(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1、2のように別体のダクトをケーシングに取り付ける場合、ケーシングに対して締結部材を用いるのが一般的である。従って、別体のダクトを設けると、ケーシングの構成部材を締結するための締結部材の他、ダクトを締結するための締結部材も必要になり、製造現場における組立作業が煩雑化する恐れがある。
【0006】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、複数の構成部材を締結してなるケーシングに別体のダクトが締結固定される車両用空調装置の組立作業性を良好にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明では、ケーシングの構成部材を締結する作業と、別体のダクトをケーシングに締結固定する作業とをケーシングの同一面側から行えるようにした。
【0008】
第1の発明は、空調風を生成するための空調用機器と、上記空調用機器を収容するケーシングとを備え、上記ケーシングに導入した空調用空気を上記空調用機器によって空調風とした後、車室の各部に供給するように構成された車両用空調装置において、上記ケーシングは、複数の構成部材に分割され、該構成部材が互いに第1締結部材により締結されて一体化され、上
記ケーシングとは別部材で構成され、空調風を車室の所定部位に導くための別体のダクトが
第1及び第2ダクト構成部材に分割されるとともに、該第1及び第2ダクト構成部材が共通の第2締結部材により
上記ケーシングに締結固定され、上記第1締結部材と上記第2締結部材とは、上記ケーシングの同一面側から締結することを特徴とするものである。
【0009】
この構成によれば、ケーシングの構成部材を締結する第1締結部材と、ダクトを締結固定する第2締結部材とをケーシングの同一面側から締結することが可能になるので、例えばケーシングの構成部材の締結作業を行った後にダクトの締結作業を行う場合に、ケーシングの向きを変える必要はなく、2つの締結作業を一連の作業として行うことが可能になる。
【0010】
また、ダクトを第1及び第2ダクト構成部材に分割することで成形性が良好になり、この場合に共通の第2締結部材によりケーシングに締結固定することができるので、部品点数が抑制される。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、上記ダクトには、上記ケーシングに係合する係合部が設けられていることを特徴とするものである。
【0012】
この構成によれば、ダクトをケーシングに締結固定する前に、ダクトの係合部をケーシングに係合させておくことで、ダクトをケーシングに対し仮保持しておくことが可能になる。これにより、第2締結部材の締結作業性がより一層向上する。
【0013】
また、ダクトとケーシングとの間からの空気漏れを抑制することも可能になる
。
【0014】
第
3の発明は、第1
または2の発明において、上記ケーシングは、上記ダクトが締結固定される固定部を備え、上記固定部は、上記ケーシングの分割面に対し左右方向にオフセット配置されていることを特徴とするものである。
【0015】
この構成によれば、ケーシング側の固定部を左右方向にオフセット配置したので、ダクトを右ハンドル車用と左ハンドル車用とで共通化してもケーシングに締結固定することが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、ケーシングの構成部材を締結する第1締結部材と、ダクトを締結固定する第2締結部材とをケーシングの同一面側から締結するようにしたので、ケーシングの向きを途中で変えることなく、第1締結部材及び第2締結部材の締結作業を行うことができる。これにより、複数の構成部材を締結してなるケーシングに別体のダクトを締結固定する車両用空調装置の組立作業性を良好にすることができる。
【0017】
また、ダクトを第1及び第2ダクト構成部材に分割したので、ダクトの成形性が良好になる。そして、第1及び第2ダクト構成部材を共通の第2締結部材によりケーシングに締結固定したので、部品点数を抑制して低コスト化を図ることができる。
【0018】
第2の発明によれば、ダクトに、ケーシングに係合する係合部を設けたので、ダクトをケーシングに仮保持した状態で締結作業を行うことができ、組立作業性をより一層良好にすることができる。また、ダクトとケーシングとの間からの空気漏れを抑制することもできる
。
【0019】
第
3の発明によれば、ケーシングはダクトが締結固定される固定部を備えており、固定部を左右方向にオフセット配置したので、ダクトを右ハンドル車用と左ハンドル車用とで共通化することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0022】
図1は、本発明の実施形態にかかる車両用空調装置1の斜視図である。車両用空調装置1が搭載される車両は、いわゆる乗用自動車であり、前席としての運転席及び助手席と、後席とが車室に設けられている。また、当該車両は、ハンドル(運転席)が左側に設けられている左ハンドル車である。
【0023】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両右側を単に「右」といい、車両左側を単に「左」というものとする。
【0024】
この車両用空調装置1は、自動車の車室前端部に配設されているインストルメントパネル(図示せず)内に搭載されている。
【0025】
車両用空調装置1は、図示しない送風ユニットと、空調ユニット20とを備えている。送風ユニットは、車両の助手席側(右側)に配置され、空調ユニット20は車幅方向(左右方向)中央部に配置されている。送風ユニットと空調ユニット20とは接続されている。また、送風ユニットと空調ユニット20とは、車両のダッシュパネル及びインストルメントパネルレインフォースメント(共に図示せず)に固定されている。
【0026】
送風ユニットは、シロッコファンを備えた送風機を内蔵するとともに、内外気切替部を備えている。内外気切替部は、車室内の空気と車室外の空気との一方を選択して導入するためのものである。送風ユニットは、車室内の空気又は車室外の空気を空調ユニット20に送ることができるようになっている。
【0027】
図2に内部構造を示すように、空調ユニット20は、冷却用熱交換器としてのエバポレータ21と、加熱用熱交換器としてのヒータコア22と、エアミックスダンパ23と、デフロスタダンパ24と、ベントダンパ25と、ヒートダンパ26と、これらを収容する樹脂製のケーシング27とを備えている。エバポレータ21、ヒータコア22、エアミックスダンパ23は、本発明の空調用機器に相当するものである。
【0028】
図3〜
図5に示すように、ケーシング27は、前後方向の中間部で分割された前側ケーシング構成部材27aと、後側ケーシング構成部材27bとを備えている。
図2に示すように、前側ケーシング構成部材27aには、エバポレータ21が収容される一方、後側ケーシング構成部材27bには、ヒータコア22と、エアミックスダンパ23と、デフロスタダンパ24と、ベントダンパ25と、ヒートダンパ26が収容されるようになっている。
【0029】
図5にも示すように、後側ケーシング構成部材27bは、左右方向の中間部で分割された左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとを備えている。つまり、ケーシング27は4分割構造である。後側ケーシング構成部材27bの分割面W(
図3に示す)は略鉛直に延びる仮想面である。
【0030】
左側ケーシング構成部材27cにおける右側ケーシング構成部材27dとの結合側の端部(右端部)は全面に亘って開口している。また、右側ケーシング構成部材27dにおける左側ケーシング構成部材27cとの結合側の端部(左端部)も全面に亘って開口している。
【0031】
図3や
図5に示すように、右側ケーシング構成部材27dの左端部には、ビスB1(第1締結部材)がねじ込まれる複数のケーシング締結用ボス5が間隔をあけて形成されている。各ケーシング締結用ボス5は、左右方向に延びる柱状に形成されている。各ケーシング締結用ボス5の内部には、その左端面に開口して右側へ延びるビス螺合孔(図示せず)が形成されている。従って、ビスB1は、ケーシング締結用ボス5に対して左側から螺合することになる。
【0032】
また、左側ケーシング構成部材27cの右端部には、右側ケーシング構成部材27dのケーシング締結用ボス5に対応する部位にビス挿通孔(図示せず)が形成されている。このビス挿通孔がケーシング締結用ボス5のビス螺合孔の左側に位置した状態で、ビス螺合孔と一致するようになっている。ビスB1をビス挿通孔に挿通してケーシング締結用ボス5のビス螺合孔にねじ込むことで左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとが互いに締結されて一体化する。
【0033】
また、前側ケーシング構成部材27a及び後側ケーシング構成部材27bも同様にビス(図示せず)を用いて互いに締結固定されている。
【0034】
図2に示すように、ケーシング27の内部には、空調用空気が流通する空気通路Rが形成されている。エバポレータ21は、前側ケーシング構成部材27aの内部において空気通路R内に収容されている。
【0035】
空気通路Rの一部を構成している冷却通路R1内を流れる空調用空気がエバポレータ21を通過することによって冷媒と空調用空気とが熱交換し、空調用空気が冷却され、この時にエバポレータ21の表面に結露した結露水は、チューブやフィンを伝って下方へ流れる。
【0036】
図4に示すように、ケーシング27の底壁部には、エバポレータ21に結露して滴下した結露水を収集して排出するためのドレン部Dが設けられている。ドレン部Dには、結露水を車室外へ排出するためのドレンホースHが接続されている。
【0037】
図1及び
図2に示すように、ケーシング27の上壁部の前後方向中央部近傍には、エアミックス空間R3に連通するデフロスタ吹出口32が形成されている。このデフロスタ吹出口32には、図示しないがインストルメントパネルのデフロスタノズルまで延びるデフロスタダクトが接続されている。
【0038】
ケーシング27の上壁部におけるデフロスタ吹出口32よりも後側には、エアミックス空間R3に連通するベント吹出口34が形成されている。このベント吹出口34には、図示しないがインストルメントパネルのベントノズルまで延びるベントダクトが接続されている。
【0039】
ケーシング27の後側には、エアミックス空間R3に連通するヒート吹出口36が形成されている。このヒート吹出口36には、図示しないが乗員の足下まで延びるフットダクトが接続されている。
【0040】
さらに、
図2及び
図5に示すように、ケーシング27の後壁部には、車両の後部座席へ供給される空調風が吹き出す後席用吹出口37が形成されている。後席用吹出口37は、ケーシング27の後壁部の上部近傍に開口しており、エアミックス空間R3に連通している。後席用吹出口37は左右方向に細長い形状となっており、左側ケーシング構成部材27cから右側ケーシング構成部材27dに亘っている。ケーシング27の後壁部における後席用吹出口37の周囲には、環状に延びる凹条部37aが後席用吹出口37を囲むように形成されている。
【0041】
ケーシング27の後壁部には、後席用吹出口37の外方において該吹出口37の左端部及び右端部近傍に左側及び右側係合孔31a,31bが形成されている。左側及び右側係合孔31a,31bには、後述する後席用ダクト50の左側及び右側係合爪(係合部)55a,55bがそれぞれ係合する。左側及び右側係合孔31a,31bは、凹条部37aよりも外方に位置しており、前後方向に貫通する貫通孔で構成されている。また、左側及び右側係合孔31a,31bは上下方向に長い略矩形状とされている。
【0042】
図5に示すように、ケーシング27の後壁部には、後述の後席用ダクト50を締結固定するためのダクト締結用ボス6が上側と下側とにそれぞれ形成されている。各ダクト締結用ボス6は、ケーシング締結用ボス5と同様に左右方向に延びる柱状に形成され、その左端面に開口して右側へ延びるビス螺合孔6a(
図12にも示す)を有している。また、各ダクト締結用ボス6は、左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27cdとの分割面Wよりも右側に位置している。つまり、ダクト締結用ボス6は、分割面Wに対し左右方向にオフセット配置されている。
【0043】
図1に示すように、後席用吹出口37には、後席用ダクト50が接続される。
図4〜
図9に示すように、後席用ダクト50は、全体として略上下方向に延びている。
図7及び
図8に示すように、後席用ダクト50の左右方向の寸法は上部が最も長く、下側へ行くほど短くなるように設定されており、下部が最も短い。また、
図9に示すように、後席用ダクト50の前後方向の寸法は、上部が最も短く設定され下部が最も長く設定されている。
【0044】
図7に示すように、後席用ダクト50の前壁部の上部には、後席用吹出口37に接続される上側開口部53が形成されている。上側開口部53は、後席用吹出口37に対応して左右方向に細長い形状となっている。上側開口部53の周囲には、前方へ突出して上側開口部53を囲むように環状に延びる突条部53aが形成されている。この突条部53aは、上記ケーシング27の凹条部37aに嵌入するようになっている。突条部53aが凹条部37aに嵌入することにより空調風の漏れが抑制される。
【0045】
後席用ダクト50の前壁部の上部には、左右両端部にそれぞれ左側及び右側係合爪55a,55bが前方へ向けて突出するように形成されている。
図10に示すように、左側係合爪55aは、突条部53aの左縁部よりも左側へ突出しており、ケーシング27の左側係合孔31aに対応するように配置されている。右側係合爪55bは、突条部53aの右縁部よりも右側へ突出しており、ケーシング27の右側係合孔31bに対応するように配置されている。
【0046】
左側及び右側係合爪55a,55bは、左側及び右側係合孔31a,31bに後側から挿入された状態で左側及び右側係合孔31a,31bの周縁部に係合する。これにより、後席用ダクト50が仮保持されるようになっている。
【0047】
図9に示すように、後席用ダクト50の下部は後方へ屈曲し、後側に開口する下側開口部54(
図8等に示す)を有している。下側開口部54には、図示しないフロアダクトの上流端部が接続されるようになっている。このフロアダクトはフロアの上面に沿って後席近傍まで延び、開口している。
【0048】
図6や
図8に示すように、後席用ダクト50は、後側ケーシング構成部材27bと同様に左右方向の中間部において左側ダクト構成部材(第1ダクト構成部材)51と右側ダクト構成部材(第2ダクト構成部材)52とに分割されている。
図7に示すように、後席用ダクト50の内部には、板状の後席用ダンパ57が収容されている。後席用ダンパ57は、左右方向に延びる回動軸57aを有している。この回動軸57aは、後席用ダクト50の左右両側壁部を貫通した状態で該両側壁部に回動可能に支持されている。後席用ダンパ57は空調制御装置(図示せず)によって開閉動作し、後席用ダクト50内の通路を開いた状態と閉じた状態とに切り替えるようになっている。
【0049】
右側ダクト構成部材52の左端部には、複数の係合爪52aが間隔をあけて設けられている。一方、左側ダクト構成部材51の右端部には、右側ダクト構成部材52の係合爪52aが係合する複数の係合孔51aが形成されている。
【0050】
また、右側ダクト構成部材52の上端部及び下端部には、ケーシング27に締結される右側締結板52bがそれぞれ形成されている。
図11にも示すように、右側締結板52bは、前後方向に延びるとともに、後席用ダクト50外へ向けて延びている。
図12に示すように、右側締結板52bには、左右方向に貫通するビス挿通孔52cが形成されている。このビス挿通孔52cは、ダクト締結用ボス6のビス螺合孔6aと一致するようになっている。
【0051】
また、
図6に示すように、左側ダクト構成部材51の上端部及び下端部には、ケーシング27に締結される左側締結板51bがそれぞれ形成されている。
図11に示すように、左側締結板51bは、右側ダクト構成部材52の右側締結板52bに沿って延びている。
図12に示すように、左側締結板51bには、左右方向に貫通するビス挿通孔51cが右側ダクト構成部材52のビス挿通孔52cと一致するように形成されている。
【0052】
図11及び
図12に示すように、右側ダクト構成部材52の右側締結板52b及び左側ダクト構成部材51の左側締結板51bは、ビスB2(第2締結部材)によってダクト締結用ボス6に締結されるようになっている。
【0053】
図2に示すように、空気通路Rの冷却通路R1の下流部は、後側ケーシング構成部材27b内において上下に分岐しており、後側ケーシング構成部材27b内の隔壁38の上側に形成された上側開口部29と、隔壁38の下側に形成された下側開口部28とに連通している。
【0054】
下側開口部28には、空調用空気を加熱する加熱通路R2が接続されている。この加熱通路R2も空気通路Rの一部を構成するものである。上側開口部29には、空気通路Rの一部を構成しているエアミックス空間R3が接続されている。加熱通路R2の下流側は、エアミックス空間R3に接続されている。
【0055】
エアミックスダンパ23は、上側開口部29及び下側開口部28を開閉するとともに、加熱通路R2の下流端開口30も開閉するように構成されており、上側開口部29を全開にした状態で下側開口部28及び加熱通路R2の下流端開口30を全閉にし、一方、上側開口部29を全閉にした状態で下側開口部28及び加熱通路R2の下流端開口30を全開にする。
【0056】
尚、エアミックスダンパ23による各開口部28,29,30の開度は任意に設定できるようになっている。
【0057】
デフロスタダンパ24は、デフロスタ吹出口32を開閉するものであり、左右方向に延びる回動軸周りに回動することでデフロスタ吹出口32を閉状態と開状態とに切り替えるようになっている。
【0058】
ベントダンパ25は、ベント吹出口34を開閉するものであり、左右方向に延びる回動軸周りに回動することでベント吹出口34を閉状態と開状態とに切り替えるようになっている。
【0059】
ヒートダンパ26は、ヒート吹出口36を開閉するものであり、左右方向に延びる回動軸周りに回動することでヒート吹出口36を閉状態と開状態とに切り替えるようになっている。
【0060】
デフロスタダンパ24、ベントダンパ25及びヒートダンパ26は連動して各吹出口32,34,36を開閉し、吹出モードを切り替えることができるようになっている。
【0061】
また、ヒータコア22は、加熱通路R2に配設されている。ヒータコア22の内部にはエンジン冷却水が循環するようになっている。このエンジン冷却水と加熱通路R2内を流れる空調用空気とが熱交換することによって空調用空気が加熱される。
【0062】
次に、車両用空調装置1の組立要領について説明する。まず、樹脂材を成形して前側ケーシング構成部材27aと、後側ケーシング構成部材27b(左側ケーシング構成部材27c、右側ケーシング構成部材27d)を得る。
【0063】
前側ケーシング構成部材27aには、エバポレータ21を挿入して組み付ける。一方、右側ケーシング構成部材27dには、その左端の開放部分からヒータコア22、各ダンパ23〜26を挿入して組み付ける。
【0064】
その後、左側ケーシング構成部材27cの開放側を覆うように右側ケーシング構成部材27dを左側ケーシング構成部材27cに合わせる。これにより、右側ケーシング構成部材27dのケーシング締結用ボス5のビス螺合孔と左側ケーシング構成部材27cのビス挿通孔とが一致する。
【0065】
しかる後、ビスB1をビス挿通孔に挿通してケーシング締結用ボス5のビス螺合孔にねじ込むことで左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとが互いに締結されて一体化し、後側ケーシング構成部材27bが構成される。
【0066】
このとき、ケーシング締結用ボス5のビス螺合孔は左側に開口しているので、ビスB1をケーシング27の左側面からビス螺合孔にねじ込むことになり、ビスB1の締結はケーシング27の左側面から行うことになる。
【0067】
また、後側ケーシング構成部材27bと前側ケーシング構成部材27aも同様に締結して一体化し、ケーシング27が構成される。
【0068】
一方、後席用ダクト50も製造しておく。すなわち、樹脂材を成形して左側ダクト構成部材51と右側ダクト構成部材52を得る。その後、後席用ダンパ57を左側ダクト構成部材51と右側ダクト構成部材52とで挟むようにして両ダクト51,52内に収容する。後席用ダンパ57を両ダクト51,52内に収容した後、
図8に示すように、右側ダクト構成部材52の係合爪52aを左側ダクト構成部材51の係合孔51aに挿入して係合させる。これにより、後席用ダンパ57が回動可能な状態で収容された後席用ダクト50が得られる。
【0069】
次いで、後席用ダクト50をケーシング27に締結固定する。後席用ダクト50をケーシング27の後壁部に重ねるように配置し、後席用ダクト50の突条部53aをケーシング27の凹条部37aに嵌入するとともに、後席用ダクト50の左側及び右側係合爪55a,55bをそれぞれ左側及び右側係合孔31a,31bに挿入して係合させる。これにより、後席用ダクト50がケーシング27に仮保持されるとともに、突条部53aが凹条部37aから抜け難くなり、後席用ダクト50とケーシング27との間からの空気の漏れが抑制される。
【0070】
後席用ダクト50がケーシング27に仮保持された状態で、
図11及び
図12に示すように、右側ダクト構成部材52の右側締結板52bがダクト締結用ボス6の左端面に重なり、左側ダクト構成部材51の左側締結板51bが右側締結板52bに重なる。これにより、
図12に示すように、ダクト締結用ボス6のビス螺合孔6aと、ビス挿通孔51c,52cとが一致する。
【0071】
このとき、ダクト締結用ボス6のビス螺合孔6aは左側に開口しているので、ビスB2をケーシング27の左側面からビス螺合孔6aにねじ込むことになり、ビスB2の締結は上記ビスB1と同じケーシング27の左側面から行うことになる。また、左側ダクト構成部材51及び右側ダクト構成部材52は、共通のビスB2で締結固定されることになる。
【0072】
従って、本実施形態によれば、ビスB1とビスB2をケーシング27の同一面側から締結することが可能になるので、ビスB1の締結作業が終わった後にケーシング27の向きを変えることなく、ビスB2の締結作業に取りかかることができる。
【0073】
次に、上記のように構成された車両用空調装置1の動作について説明する。
【0074】
送風ユニットから送風された空調用空気は、ケーシング27の空気通路Rにおける冷却通路R1に流入してエバポレータ21を通過する。また、エアミックスダンパ23の回動位置に応じて加熱通路R2に流入する空気量が決定される。加熱通路R2に流入した空気はヒータコア22を通過して加熱されてエアミックス空間R3に流入し、一方、加熱通路R2に流入しなかった空気は冷却通路R1からエアミックス空間R3へ直接流入する。
【0075】
エアミックス空間R3内で生成された調和空気はデフロスタ吹出口32、ベント吹出口34及びヒート吹出口36へ向かって流れる。このとき、デフロスタダンパ24、ベントダンパ25及びヒートダンパ26の開閉状態によって吹出モードが設定されているので、その吹出モードに応じて車室の各部に調和空気が供給される。
【0076】
以上説明したように、この実施形態にかかる車両用空調装置1によれば、左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとを締結するビスB1と、後席用ダクト50をケーシング27に締結固定するビスB2とをケーシング27の同一面側から締結するようにしたので、ケーシング27の向きを途中で変えることなく、ビスB1及びビスB2の締結作業を行うことができる。これにより、左側ケーシング構成部材27c及び右側ケーシング構成部材27dを締結してなるケーシング27に別体の後席用ダクト50を締結固定する車両用空調装置1の組立作業性を良好にすることができる。
【0077】
また、後席用ダクト50に、ケーシング27に係合する左側及び右側係合爪55a,55bを設けたので、後席用ダクト50をケーシング27に仮保持した状態で締結作業を行うことができ、組立作業性をより一層良好にすることができる。また、後席用ダクト50とケーシング27との間からの空気漏れを抑制することもできる。
【0078】
尚、図示しないが、後席用ダクト50に係合部としての係合孔を設け、ケーシング27に係合爪を設けてもよい。
【0079】
また、後席用ダクト50を左側ダクト構成部材51と右側ダクト構成部材52とに分割したので、後席用ダクト50の成形性が良好になる。そして、左側ダクト構成部材51と右側ダクト構成部材52とを共通のビスB2によりケーシング27に締結固定したので、部品点数を抑制して低コスト化を図ることができる。
【0080】
尚、上記実施形態では、車両が左ハンドル車の場合について説明したが、右ハンドル車の場合には、
図13に示す変形例のように、車両用空調装置1を左右対称に構成すればよい。
【0081】
すなわち、ダクト締結用ボス6を左側ケーシング構成部材27cに形成し、左側ダクト構成部材51の左側締結板51bをダクト締結用ボス6の右端面に重ね、右側ダクト構成部材52の右側締結板52bを左側締結板51bに重ねる。そして、ビスB2を右側からビス挿通孔52c,51cに順に挿通した後、ダクト締結用ボス6のビス螺合孔6aにねじ込む。
【0082】
この変形例では、図示しないが、左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとを締結するビスは右側からケーシング締結用ボスにねじ込む。従って、左側ケーシング構成部材27cと右側ケーシング構成部材27dとを締結するビスと、後席用ダクト50をケーシング27に締結固定するビスB2とをケーシング27の同一面側から締結することができる。このように、ダクト締結用ボス6を右ハンドル車用と左ハンドル車用とで車両の左右対称位置に配置することで、後席用ダクト50を右ハンドル車用と左ハンドル車用とで共通化することができる。
【0083】
尚、ケーシング27の前側ケーシング構成部材27aと後側ケーシング構成部材27bとを右側から締結するビスを設けてもよい
。
【0084】
また、後席用ダクト50の後席用ダンパ57は省略することも可能である。
【0085】
また、上記実施形態では、後席用ダクト50をケーシング27に締結固定するようにしているが、これに限らず、乗員の足下に空調風を導くためのダクトをケーシング27に締結固定する場合に、ケーシング締結用のビスB1とダクト締結用のビスB2とをケーシング27の同一面側から締結するようにしてもよい。
【0086】
また、上記実施形態では、ビスB1,B2を締結部材としているが、締結部材はビスB1,B2に限られるものではなく、例えば、ボルト、ネジ等であってもよい。
【0087】
また、本発明は、送風機、熱交換器が車幅方向中央部にまとめて配設されたフルセンタ型の車両用空調装置に別体のダクトを組み付ける場合にも適用することができる。