(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、薄板の撓みを防止する冶具を、カセットの収納溝に載置しているだけである。このため、冶具の位置ずれや、擦れによる薄板の汚染が問題となる。
【0007】
特許文献2に記載の発明では、カセットの支持リブに撓みを規制する挿入体の末端部を上下から挟むように嵌合させて、挿入体上面の突起にて薄板を支持するようにしている。このため、挿入体の位置ずれの問題は解決できるものの、挿入体を嵌合させる時の支持リブとの擦れによる薄板の汚染の問題は残されている。また、支持リブから挿入体を取り除いて再使用しようとしても、支持リブが傷ついてしまうため再使用することができない。更に、挿入体を嵌合できる収納溝が一段おきになってしまうだけでなく、薄板を支持する高さ位置もカセットの収納溝の位置から変わってしまう。
【0008】
特許文献3に記載の発明では、複数のスロットを組み立てた一対の側壁組立体を、フレーム構造部に設けられた一対の端部部材に取り付けて一体化することが提案されているが、専用のフレーム体を別に作成する必要があるという問題がある。また、各スロットがフレーム構造部における左右の側壁を形成するように、一対の側壁組立体をフレーム構造部に差し込んで取り付けているだけであるため、一体化したスロットがフレーム構造部から抜け落ちてしまう問題や、不完全な差し込みにより寸法精度が不安定になるという問題もある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、同じサポート冶具を使用しながら、径の異なる複数種類の薄板を収納することができる薄板収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る薄板収納容器は、前面に開口部が形成されて薄板が収納される容器本体と、容器本体に収納されて薄板を載置するサポート冶具が積層されたサポート冶具体と、サポート冶具に載置された薄板の位置を規制する位置規制体と、位置規制体を異なる位置で保持可能な保持手段と、を有する。
【0011】
本発明に係る薄板収納容器によれば、薄板を載置するサポート冶具がサポート冶具体として積層されているため、サポート冶具の積層高さを調整することで、肉厚の薄い薄板の撓みを抑制しつつ、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板を収納することができる。そして、位置規制体により、サポート冶具体を構成する各サポート冶具に載置された薄板の位置を規制することで、薄板を位置ずれすることなく容器本体に収納することができる。しかも、保持手段による位置規制体の保持位置を変えることで、薄板の径が変わっても適切に薄板の位置を規制することができるため、一つの薄板収納容器で、径の異なる複数種類の薄板を収納することができる。
【0012】
また、保持手段は、サポート冶具に形成されて位置規制体が挿入される貫通孔であり、サポート冶具は、開口部に向かって開口する板状に形成されて薄板が載置される載置部を備えており、貫通孔は、載置部の中心からの距離が異なる位置に複数形成されているものとすることができる。
【0013】
このように、位置規制体をサポート冶具の貫通孔に挿入することで、サポート冶具に対する位置規制体の位置決めを行いつつ、サポート冶具に載置された薄板の位置を規制することができる。そして、位置規制体を挿入する貫通孔を変えることで、載置部の中心から位置規制体までの距離を変えることができるため、径の異なる複数種類の薄板の位置を適切に規制することができる。更に、サポート冶具を、開口部に向かって開口する板状に形成することで、薄板の中心から支持位置までの距離を短くしつつ、薄板を搬送する搬送装置がサポート冶具に干渉することなく容器本体に対して薄板を円滑に出し入れすることができる。
【0014】
また、保持手段は、サポート冶具に形成されて位置規制体が挿入される切り欠きであり、サポート冶具は、開口部に向かって開口する板状に形成されて薄板が載置される載置部を備えており、切り欠きは、載置部の中心からの距離が異なる方向に延びているものとすることができる。
【0015】
このように、位置規制体をサポート冶具の切り欠きに挿入することで、サポート冶具に対する位置規制体の位置決めを行いつつ、サポート冶具に載置された薄板の位置を規制することができる。そして、位置規制体の切り欠きへの挿入位置を変えることで、載置部の中心から位置規制体までの距離を変えることができるため、径の異なる複数種類の薄板の位置を適切に規制することができる。更に、サポート冶具を、開口部に向かって開口する板状に形成することで、薄板の中心から支持位置までの距離を短くしつつ、薄板を搬送する搬送装置がサポート冶具に干渉することなく容器本体に対して薄板を円滑に出し入れすることができる。
【0016】
また、サポート冶具体は、容器本体の上面及び下面に対して第一のスペーサを介して固定されているものとすることができる。
【0017】
このように構成すれば、第一のスペーサの高さ寸法を変えることで、容器本体に対するサポート冶具体の上下位置を設定することができる。これにより、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板を収納することも容易にできる。
【0018】
また、サポート冶具体は、上下に隣接するサポート冶具が第二のスペーサを介して積層されているものとすることができる。
【0019】
このように構成すれば、第二のスペーサの高寸法を変えることで、上下に隣接するサポート冶具の間隔を設定することができる。これにより、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板を収納することやサポート冶具の積層枚数を変えることも容易にできる。
【0020】
また、第一のスペーサ及び第二のスペーサは、上下に貫通した筒状に形成されており、第一のスペーサ及び第二のスペーサの中空内部に棒状の補強体が挿入されているものとすることができる。
【0021】
このように、第一のスペーサ及び第二のスペーサの中空内部に補強体を挿入することで、サポート冶具体の強度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、肉厚の薄い薄板の撓みを抑制して、薄板を従来の収納容器と同じ支持高さで収納しつつ、同じサポート冶具を使用しながら、径の異なる複数種類の薄板を収納することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明に係る薄板収納容器の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明において、薄板収納容器の左右方向(幅方向)をX方向、薄板収納容器の前後方向をY方向、薄板収納容器の上下方向(高さ方向)をZ方向といい、薄板収納容器における上下・前後・左右・内外の方向を、単に上下・前後・左右・内外の方向という。また、全図中、同一又は相当部分には同一符号を付すこととする。
【0025】
図1は、実施形態に係る薄板収納容器の斜視図である。
図2は、薄板収納容器の底面図である。
図1及び
図2に示すように、実施形態に係る薄板収納容器1は、容器本体3と、蓋体4と、を備えている。
【0026】
容器本体3は、内部に直径150mm〜450mm、厚さ10μm〜400μm等の薄板Wを収納するものである。容器本体3は、正面となる前側に開口部3aが形成されたフロントオープン型の容器であり、開口部3aに隣接して対向する一対の側壁3b及び側壁3cと、底壁3dと、天壁3eと、開口部3aに対向する背壁3fと、を備えている。なお、容器本体3の下面部には、容器本体3を加工装置に位置決めしたり固定したりするためのボトムプレート7が取り付けられており、ボトムプレート7には、容器本体3を加工装置に位置決めするための位置決め部材8が配設されている。
【0027】
蓋体4は、容器本体3の開口部3aに嵌め合わされて容器本体3を密封するものである。蓋体4の外周面には、容器本体3の開口部3aとの間をシールするシール部材が取り付けられており、蓋体4の内側面には、容器本体3に収納された薄板Wを個別に保持する弾性材の保持部材5が取り付けられている。また、蓋体4には、開口部3aに蓋体4が嵌め合わされた状態に保持する施錠機構9が内蔵されている。
【0028】
図3は、薄板収納容器の幅方向(X方向)における中心を通る鉛直線で薄板収納容器を二分割した縦断面図であって、
図1に示すIII−III線における断面図である。
図4は、薄板収納容器の高さ方向における中心を通る水平線で薄板収納容器を二分割した横断面図であって、
図1に示すIV−IV線における断面図である。
図3及び
図4に示すように、容器本体3には、薄板Wが載置されるサポート冶具10が積層されて容器本体3に収納されるサポート冶具体11と、サポート冶具体11を容器本体3に固定する固定部材12と、サポート冶具10に載置された薄板Wの位置を規制する位置規制体13と、を備えている。
【0029】
図5は、サポート冶具の斜視図である。
図3〜
図5に示すように、サポート冶具体11を構成するサポート冶具10は、容器本体3の開口部3aに向かって開口する板状に形成されている。すなわち、サポート冶具10は、容器本体3の開口部3a側に向けて開口する開口部14が形成されたU字型の板状部材であり、少なくとも開口部14を囲う内側周縁に薄板Wが載置されるU字状の載置部15が形成されている。開口部14は、薄板Wを載置部15に載置する際や、薄板Wを載置部15から取り出す際に、搬送ロボットのハンド(エンドエフェクタ)がZ方向に上下動するのを可能とする空間である。開口部14の内径は、載置部15に載置する薄板Wの外径よりも小さい寸法となっている。
【0030】
また、サポート冶具10には、固定部材12が挿入される固定部材挿入穴16と、位置規制体13が挿入される位置規制体挿入穴17と、容器本体3に対するサポート冶具10の位置決めを行う位置決め用切り欠き18と、が形成されている。
【0031】
位置決め用切り欠き18は、サポート冶具10を細長いU字状に切り欠いた切り欠きである。位置決め用切り欠き18は、容器本体3の背壁3f側に配置される後端部に一対形成されており、互いに平行となるようにY方向に延びている。一方、容器本体3の背壁3f又は底壁3dには、一対の位置決め用切り欠き18に対応する位置に、容器本体3の前後方向に延びる位置決め用リブ39が形成されている。そして、位置決め用切り欠き18に位置決め用リブ39が挿入されることで、容器本体3に対するサポート冶具10の位置決めが行われる。
【0032】
なお、位置決め用切り欠き18は、少なくとも一枚のサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に挿入することができればよい。このため、位置決め用切り欠き18は、一枚のサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に対応する高さにのみ形成されてもよく、複数枚のサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に対応する高さに形成されてもよく、全てのサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に対応する高さにのみ形成されてもよい。なお、一枚のサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に対応する高さにのみ形成される場合は、例えば、最下層に配置されるサポート冶具10の位置決め用切り欠き18に対応する高さに形成することができる。
【0033】
固定部材挿入穴16は、サポート冶具10を上下に貫通されて固定部材12が挿入される貫通穴である。固定部材挿入穴16は、サポート冶具10の外周部に合計5箇所形成されており、容器本体3の左右の側壁3b及び側壁3cの近傍に2箇所ずつ形成されるとともに、容器本体3の背壁3fの近傍に1箇所形成されている。なお、固定部材挿入穴16は、薄板Wとの干渉を防止するために、載置部15の外側に形成されている。
【0034】
図6は、容器本体上部の拡大断面図である。
図7は、容器本体下部の拡大断面図である。
図8は、固定部材の斜視図である。
図9は、中間スペーサの斜視図である。
図10は、上側スペーサの斜視図である。
図11は、下側スペーサの斜視図である。
【0035】
図6及び
図7に示すように、サポート冶具10に形成される固定部材挿入穴16は、上面側に位置する上部開口16aと、下面側に位置する下部開口16bと、を備えており、上部開口16aの内径が下部開口16bの内径よりも大きくなるように、段付きに形成されている。
【0036】
図6〜8に示すように、固定部材挿入穴16に挿入される固定部材12は、上下に隣接するサポート冶具10の間に配置される円筒状の中間スペーサ21と、最上層に配置されるサポート冶具10と容器本体3の天壁3eとの間に配置される円筒状の上側スペーサ22と、最下層に配置されるサポート冶具10と容器本体3の底壁3dとの間に配置される円筒状の下側スペーサ23と、上側スペーサ22及び下側スペーサ23を容器本体3の天壁3e及び底壁3dに固定するネジ部材24と、を備えている。また、中間スペーサ21、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の連結強度を高くするために、中間スペーサ21、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の中空内部に、補強体となる棒状のシャフト25が挿入されている。
【0037】
図9に示すように、中間スペーサ21の一方端部には、外周面が小径化された一方段差部21Aが形成されており、中間スペーサ21の他方端部には、内周面が大径化された他方段差部21Bが形成されている。また、一対の中間スペーサ21の一方段差部21Aと他方段差部21Bとが嵌合するように、一方段差部21Aの外径と他方段差部21Bの内径とが略同じ寸法となっており、一方段差部21Aにおけるサポート冶具10の下部開口16bから上方に突出する部分と他方段差部21Bの軸線長さがほぼ同じ寸法となっている。そして、
図6及び
図7に示すように、サポート冶具体11は、サポート冶具10の上下に配置される一対の中間スペーサの一方段差部21A及び他方段差部21Bが、サポート冶具10の固定部材挿入穴16において嵌合されることで、所定枚数のサポート冶具10が積層されている。
【0038】
図10に示すように、上側スペーサ22の一方端部は、内周面に螺刻溝が形成されており、上側スペーサ22の他方端部には、内周面が大径化された他方段差部22Bが形成されている。また、上側スペーサ22の他方段差部22Bと中間スペーサ21の一方段差部21Aとが嵌合するように、上側スペーサ22の他方段差部22Bの外径と中間スペーサ21の一方段差部21Aとが略同じ寸法となっており、上側スペーサ22の他方段差部22Bと中間スペーサ21の一方段差部21Aにおけるサポート冶具10の下部開口16bから上方に突出する部分の軸線長さがほぼ同じ寸法となっている。そして、
図6に示すように、上側スペーサ22の他方段差部22Bは、サポート冶具体11の最上層に配置されるサポート冶具10の固定部材挿入穴16に挿入されることで、当該固定部材挿入穴16に挿入された中間スペーサ21の一方段差部21Aと嵌合されている。
【0039】
図11に示すように、下側スペーサ23の一方端部には、外周面が小径化された一方段差部23Aが形成されており、下側スペーサ23の他方端部は、内周面に螺刻溝が形成されている。また、下側スペーサ23の一方段差部23Aと中間スペーサ21の他方段差部21Bとが嵌合するように、下側スペーサ23の一方段差部23Aの外径と中間スペーサ21の他方段差部21Bとが略同じ寸法となっており、下側スペーサ23の一方段差部23Aにおけるサポート冶具10の下部開口16bから上方に突出する部分と、中間スペーサ21の他方段差部21Bの軸線長さがほぼ同じ寸法となっている。そして、
図7に示すように、下側スペーサ23の一方段差部23Aは、サポート冶具体11の最下層に配置されるサポート冶具10の固定部材挿入穴16に挿入されることで、当該固定部材挿入穴16に挿入された中間スペーサ21の他方段差部22Bと嵌合されている。
【0040】
なお、中間スペーサ21、上側スペーサ22及び下側スペーサ23は、互いの嵌合させやすくするために、外径を円錐台形状のような傾斜面に形成することが好ましい。
【0041】
図6及び
図7に示すように、容器本体3の天壁3e及び底壁3dには、上側スペーサ22及び下側スペーサ23に対応する位置に、天壁3e及び底壁3dを貫通する固定部材固定用穴31と、固定部材固定用穴31を囲む円筒状のボス32と、が形成されている。
【0042】
ボス32の内径は、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の外径よりも僅かに大きな寸法となっており、上側スペーサ22及び下側スペーサ23をボス32に挿入することで、容器本体3に対して上側スペーサ22及び下側スペーサ23が位置決めされる。
【0043】
固定部材固定用穴31の内径は、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の外径よりも小さく、シャフト25の外径よりも大きな寸法となっている。このため、上側スペーサ22及び下側スペーサ23をボス32に挿入した状態で、シャフト25を固定部材固定用穴31から容器本体3内に挿入することで、シャフト25を、中間スペーサ21、下側スペーサ23及び上側スペーサ22の中空内部に挿入することが可能となっている。シャフト25は、サポート冶具体11の上端から下端に至る長さに形成されている。なお、シャフト25の長さを容器本体3の上下から突出する長さとして、これを利用して固定部材12を容器本体3に固定することも可能である。
【0044】
そして、ネジ部材24が、固定部材固定用穴31から容器本体3内に挿入されて、上側スペーサ22の他方端部の内周面に形成された螺刻溝および下側スペーサ23の一方端部の内周面に形成された螺刻溝に螺合されている。これにより、サポート冶具体11が容器本体3に固定されている。なお、気密性が要求される場合は、容器本体3とネジ部材24との間にOリングなどのパッキン33を配設することが好ましい。
【0045】
このように、上下に隣接するサポート冶具10の間隔は、中間スペーサ21の高さにより決定さるとともに、サポート冶具体11の高さ位置は、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の高さにより決定される。このため、中間スペーサ21の高さを変更することで、上下に隣接するサポート冶具10の間隔を任意に調節することができ、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の高さ位置を変更することで、サポート冶具体11の高さを任意に調節することができる。これにより、例えば、従来からある既存の薄板収納容器において薄板Wを支持する支持部と同じ高さに各サポート冶具10を配置することができる。また、積層するサポート冶具10の枚数を変更することで、薄板収納容器に収納する薄板Wの枚数を、顧客要求に合わせて任意に選定することができる。
【0046】
図3〜
図5に示すように、位置規制体挿入穴17は、サポート冶具10を上下に貫通されて位置規制体13が挿入される貫通穴である。位置規制体挿入穴17は、載置部15に載置される薄板Wに容器本体3の背壁3f側から当接されるものである。この位置規制体挿入穴17は、載置部15の中心からの距離が異なる複数位置に形成されており、本実施形態では、載置部15の中心からの距離が短い位置に形成される位置規制体挿入穴17Aと、載置部15の中心からの距離が長い位置に形成される位置規制体挿入穴17Bと、を備えている。
【0047】
位置規制体挿入穴17Aは、例えば、200mmの外径を有する薄板Wの位置を規制する場合に、位置規制体13が挿入される挿入穴である。位置規制体挿入穴17Aは、200mmの外径を有する薄板Wが載置部15に載置されて蓋体4の保持部材5に保持された際に、位置規制体挿入穴17Aに挿入された位置規制体13が当該薄板Wに当接される位置に配置されている。位置規制体挿入穴17Aの数は特に制限されるものではないが、位置規制体挿入穴17Aに挿入された位置規制体13により薄板Wの位置を適切に規制する観点からは、2つであることが好ましく、2つ以上とすることもできる。
【0048】
なお、載置部15に載置された薄板Wと保持部材5との接触位置は変わらないため、位置規制体13が位置規制体挿入穴17Aに挿入された場合における薄板Wの中心位置Oと、位置規制体13が位置規制体挿入穴17Aに挿入された場合における薄板Wの中心位置O’とは、Y方向にずれた位置となる。
【0049】
位置規制体挿入穴17Bは、例えば、300mmの外径を有する薄板Wの位置を規制する場合に、位置規制体13が挿入される挿入穴である。位置規制体挿入穴17Bは、300mmの外径を有する薄板Wが載置部15に載置されて蓋体4の保持部材5に保持された際に、位置規制体挿入穴17Bに挿入された位置規制体13が当該薄板Wに当接される位置に配置されている。位置規制体挿入穴17Bの数は特に制限されるものではないが、位置規制体挿入穴17Bに挿入された位置規制体13により薄板Wの位置を適切に規制する観点からは、2つであることが好ましく、2つ以上とすることもできる。
【0050】
図12は、位置規制体の斜視図である。
図3及び
図12に示すように、位置規制体挿入穴17に挿入される位置規制体13は、容器本体3の底壁3d及び天壁3eとサポート冶具10とを貫通する細長い円柱状の棒状部材として形成されている。位置規制体13の両端部には、螺刻溝13A及び螺刻溝13Bが形成されている。
【0051】
図13は、容器本体上部の拡大断面図である。
図14は、容器本体下部の拡大断面図である。なお、
図13及び
図14では、位置規制体挿入穴17Aに位置規制体13を挿入して、位置規制体挿入穴17Bに位置規制体13を挿入しない態様を図示している。
図13及び
図14に示すように、容器本体3の底壁3d及び天壁3eには、容器本体3に固定されたサポート冶具10の位置規制体挿入穴17A及び位置規制体挿入穴17Bに挿入された位置規制体13に対応する位置に、底壁3d及び天壁3eを貫通する位置規制体固定用穴34A及び位置規制体固定用穴34Bが形成されている。
【0052】
底壁3dに形成された位置規制体固定用穴34A及び位置規制体固定用穴34Bの内径は、位置規制体13の外径と略同じ寸法となっており、位置規制体固定用穴34A及び位置規制体固定用穴34Bの内周面には、位置規制体13の螺刻溝13Bと螺合される螺刻溝が形成されている。一方、天壁3eに形成された位置規制体固定用穴34A及び位置規制体固定用穴34Bの内径は、位置規制体13の外径よりも大きい寸法となっており、位置規制体固定用穴34A及び位置規制体固定用穴34Bの内周面には、螺刻溝が形成されている。
【0053】
そして、位置規制体13は、天壁3eに形成された位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bと、各サポート冶具10の位置規制体挿入穴17A又は位置規制体挿入穴17Bと、底壁3dに形成された位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bと、に貫通された状態で、位置規制体13の螺刻溝13Bが底壁3dに形成された位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bの螺刻溝に螺合されるとともに、位置規制体13の螺刻溝13Aがナットなどの締付部材35に螺合されることで、容器本体3に固定されている。なお、気密性が要求される場合は、容器本体3と締付部材35との間にOリングなどのパッキン36を配設することが好ましい。
【0054】
これにより、載置部15に載置されて前側が保持部材5に保持された薄板Wは、サポート冶具10の位置規制体固定用穴34に挿入された位置規制体13に当接されることで、載置位置が規制される。このため、位置規制体13を挿入するサポート冶具10の位置規制体挿入穴17を、位置規制体挿入穴17Aと位置規制体挿入穴17Bとの間で変更することで、異なる径の薄板Wの載置位置を適切に規制することができる。
【0055】
一方、位置規制体13が挿入されない方の位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bには、固定ボルトなどのダミー用固定部材37を取り付ける。この場合も、気密性が要求される場合は、容器本体3とダミー用固定部材37との間にOリングなどのパッキン38を配設することが好ましい。
【0056】
次に、薄板収納容器1の素材について説明する。
【0057】
サポート冶具10、中間スペーサ21、上側スペーサ22及び下側スペーサ23は、ポリアセタール、ポリカーボネートやポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、シクロオレフィンポリマーなどの熱可塑性樹脂や、ポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系などの熱可塑性エラストマーなどから形成することができる。また、これらの樹脂には、導電性を付与するためカーボン繊維、カーボンブラック、カーボンナノチューブなどの添加剤を適宜加えることができる。また、剛性を向上させるためにガラス繊維を添加しても良いし、マイカやフッ素樹脂などを添加して摺動性を向上させることができる。
【0058】
シャフト25及び位置規制体13は、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、液晶ポリマーなどの高剛性の熱可塑性樹脂から形成することができる。あるいは、アルミやSUSなどの金属を用いることもできる。金属を用いるときは、表面を樹脂層で被覆することが好ましい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る薄板収納容器1によれば、薄板Wを載置するサポート冶具10がサポート冶具体11として積層されているため、サポート冶具10の積層高さを調整することで、肉厚の薄い薄板Wの撓みを抑制しつつ、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板を収納することができる。そして、サポート冶具10の位置規制体挿入穴17に位置規制体13を挿入することで、サポート冶具10に載置された薄板Wの位置を規制することができる。しかも、位置規制体13を挿入する位置規制体挿入穴17を変えることで、載置部15の中心から位置規制体13までの距離を変えることができるため、径の異なる複数種類の薄板Wの位置を適切に規制することができる。
【0060】
また、サポート冶具10を容器本体3の開口部3aに向かって開口するU字型の板状に形成することで、薄板Wの中心から支持位置までの距離を短くしつつ、薄板Wを搬送する搬送装置がサポート冶具に干渉することなく容器本体に対して薄板を円滑に出し入れすることができる。
【0061】
また、中間スペーサ21の高さ寸法を変えることで、容器本体3に対するサポート冶具体11の上下位置を設定することができるため、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板Wを収納することも容易にできる。
【0062】
また、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の高寸法を変えることで、上下に隣接するサポート冶具10の間隔を設定することができるため、従来の収納容器と同じ支持高さで薄板Wを収納することやサポート冶具10の積層枚数を変えることも容易にできる。例えば、13枚や25枚の薄板Wを収納するようにもできる。
【0063】
また、中間スペーサ21、上側スペーサ22及び下側スペーサ23の中空内部にシャフト25を挿入することで、サポート冶具体11の強度を向上させることができる。
【0064】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、上記実施形態では、スペーサ同士を嵌合させて複数枚のサポート冶具を積層させるものとして説明したが、サポート冶具の積層構造は、これに限定されるものではない。例えば、
図15に示すように、サポート冶具40の上面と下面に連結用リブ41A及び連結用リブ41Bを形成し、これらの連結用リブ41A及び連結用リブ41Bに断面H型をした中空のスペーサ部材42を外側から挿入して嵌合させてもよい。この場合も、連結用リブ41、連結用リブ41B及びスペーサ部材42に、Z方向に貫通する貫通孔を形成し、この貫通孔(中空内部)に棒状の補強体43を挿入することができる。なお、容器本体に対するサポート冶具40の固定は、上記実施形態と同様に行うことができる。また、連結用リブ41A、連結用リブ41B及びスペーサ部材42は、円筒状の他、多角形に形成することもできる。
【0066】
また、上記実施形態では、固定部材挿入穴を、側壁3b及び側壁3cの近傍に2箇所ずつ、背壁3fの近傍に1箇所、の合計5箇所形成するものとして説明したが、例えば、開口部3a側の側壁3b及び側壁3cの近傍に1箇所ずつ、背壁3fの近傍に1箇所、の合計3箇所形成するものとしてもよく、3箇所以上とすることもできる。
【0067】
また、容器本体に対する位置規制体や固定部材の固定は、様々な手法により行うことができる。例えば、
図16に示すように、位置規制体13や固定部材12に挿入されるシャフト25の両端部を容器本体の底壁及び天壁から突出させ、ナット51及びナット52を、位置規制体13の両端部に形成された螺刻溝13A及び螺刻溝13Bに螺合させることにより行うことができる。また、
図17に示すように、位置規制体60に、両端面から軸線方向に窪み内周面に螺刻溝が形成された凹部61を形成する。そして、位置規制体60の両端部を容器本体の底壁及び天壁から突出させ、一対のボルト62を、位置規制体60の凹部61に螺合させることにより行うことができる。この場合、位置規制体60が挿入されない方の位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bには、弾性部材により円柱状胴64部の両端に一対のフランジ65が形成されたダミー用固定部材66を取り付けることもできる。ダミー用固定部材66の取り付けは、一方のフランジ65を変形させて、ダミー用固定部材66を位置規制体固定用穴34A又は位置規制体固定用穴34Bに押し込むことにより行うことができる。
【0068】
また、上記実施形態では、サポート冶具に形成された位置規制体挿入穴および容器本体の底壁及び天壁に形成された位置規制体固定用穴に位置規制体を挿入することで、薄板の位置を規制するものとして説明したが、例えば、
図18に示すように、サポート冶具70の背壁3f側端部に、載置部の中心からの距離が異なる方向に延びる細長いU字状の切り欠き71を形成し、背壁3fに、切り欠き71に挿入される位置規制リブ72を形成するものとしてもよい。そして、位置規制リブ72の突出長さを変更することで、径の異なる複数種類の薄板の位置を適切に規制することができる。この場合、背壁3fにZ方向に延びる長穴を形成し、この長穴からサポート冶具70の切り欠き71に位置規制リブ72を挿入するとともに、位置規制リブ72の挿入長さを調整することでも、同様の効果を得ることができる。
【0069】
また、上記実施形態において、サポート冶具は、U字型の板状であるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、
図19に示すサポート冶具80のように、ウェーハ中央の撓みを防止するために、U字型の奥側から開口部14に向かって支持片81が突出したような形状であってもよい。この場合、支持片81の左右に位置する空間部を利用して、ウェーハを容器本体3から出し入れすることができる。
【0070】
また、上記実施形態において、容器本体は、最初からボックス形状として一体的に形成されるものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、容器本体を、複数の壁部材に分割し、これらの壁部材を組み立てることによりボックス形状になるようにしてもよい。この場合、例えば、容器本体を、左右の側壁、底壁、天壁、背壁の5つの板状の壁部材に分割してもよく、容器本体を、これら5つの壁のうち少なくとも一つ以上の壁が連結された壁部材に分割してもよい。壁部材の組み立ては、例えば、壁部材同士を、ねじ止めや嵌合により一体化したり、超音波、高周波、熱溶着、レーザー溶接などで一体化したりすることで行うことができる。
【0071】
また、上記実施形態において、保持部材は、弾性片により薄板を個別に保持するものとして説明したが、これに限定されるものではない。例えば、低硬度の弾性材及び発泡材やスポンジ材などで1又は複数の板状に形成した保持部材に、薄板を接触させるようにしてもよい。また、複数枚の薄板を同時に保持できる保持部材を採用してもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、薄板の直径や厚さを具体的に説明したが、これらは特に限定されるものではなく、様々な寸法の薄板に対応することができる。