(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、歯科医においては、虫歯予防の観点から、唾液検査の実行が提案されている。唾液検査では、唾液の量、虫歯菌(ミュータンス菌)の数等が検査され、患者の虫歯に対する抵抗力、即ち、唾液の緩衝能が調べられる。そして、唾液検査の結果、虫歯に対する抵抗力が低いと判断された患者に対しては、歯科医は、虫歯予防を行なうために必要な提案を行なう。
【0003】
このような唾液検査に用いる唾液を、患者から効率良く採取するため、種々の採取用具が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。具体的には、特許文献1は、先端に吸水性の部材が取り付けられた棒型の器具とシリンジ型の器具とで構成された採取用具を開示している。
【0004】
特許文献1に開示された採取用具では、まず、採取者は、棒型の器具を口腔内の舌下に入れて、先端に取り付けられた吸水性の部材によって唾液を吸収する。その後、採取者が、綿棒型の器具をシリンジ型の器具に挿入し、吸水性の部材をシリンジの底に押し付けて、唾液を圧搾すると、唾液が採取される。
【0005】
また、特許文献2は、吸水性パッドとそれを収納するパッケージとを備えた採取用具を開示している。特許文献2に開示された採取用具では、パッケージは、上側部分と下側部分とに2分割可能に構成され、それぞれの端部に設けられたヒンジを介して連結されている。また、吸水性パッドは、ヒンジから突き出すように取り付けられている。
【0006】
このような構成により、特許文献2に開示された採取用具では、上側部分及び下側部分を、ヒンジを中心に180度回転させることにより、吸水性パッドが露出した状態と収納された状態とに変化させることができる。そして、採取者は、前者の状態で唾液を吸水性パッドに吸収させ、その後、後者の状態とし、吸水性パッドを上側部分と下側部分とで挟み込むことができる。これにより、吸水性パッドは圧搾され、唾液が採取される。また、この結果、採取者が、唾液と接触する可能性は、極めて小さくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、唾液検査では、測定値のばらつきを抑えるため、一定量の唾液を採取する必要がある。しかしながら、唾液の量は、患者の体質、体調等によって、更には、ドライマウスといった口腔内乾燥を起こす疾患、シェーグレン症候群といった唾液腺の唾液分泌障害の疾患等によって変化するため、特許文献1又は特許文献2に開示された採取用具を用いても、一定量の唾液の採取が困難になる場合がある。
【0009】
本発明の第1の目的は、上記問題を解消し、唾液検査の対象者における唾液の分泌を促進して、唾液検査における測定精度の向上を図り得る、唾液分泌促進用具を提供することにある。また、本発明の第2の目的は、外的要因による影響を受けていない唾液のみを検査対象として、唾液検査における測定精度の向上を図り得る、唾液採取支援装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、本発明の一側面における唾液分泌促進用具は、対象者からの唾液の採取を促進するための用具であって、前記対象者の唾液腺に皮膚上から刺激を伝達するための、複数の刺激付与部と、前記複数の刺激付与部それぞれを、前記対象者の皮膚上の、前記唾液腺に刺激を伝達可能な位置に配置させた状態で、これらを保持する、フレーム部と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
以上の特徴により、本発明における唾液分泌促進用具によれば、唾液検査の対象者の唾液腺を確実に刺激できるので、簡単に一定量の唾液を確保でき、測定精度の向上を図ることができる。
【0012】
上記本発明における唾液分泌促進用具は、前記フレーム部が、前記複数の刺激付与部それぞれを、前記対象者の皮膚上の、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺に、刺激を伝達可能な位置に配置させる、態様であるのが好ましい。これらの唾液腺では、多くの唾液が分泌されるので、唾液の採取効率の向上が可能となる。
【0013】
上記本発明における唾液分泌促進用具は、対象者が口腔から排出する唾液を採取する唾液採取部を、更に備え、前記フレーム部が、更に前記唾液採取部を保持する、態様であるのも好ましい。この態様では、分泌された唾液を確実に採取することが容易となる。
【0014】
上記本発明における唾液分泌促進用具においては、前記フレーム部が、ベース部材と、前記ベース部材から延びる複数のアーム部材とを備え、前記複数のアーム部材それぞれは、先端に、前記刺激付与部として機能する凸部を備え、且つ、弾性変形によって蓄えられた弾性力を利用して、前記凸部で前記対象者の皮膚を押圧する、のが好ましい。この場合は、簡単な構造によって、唾液分泌促進用具を実現できるので、製造コストの抑制が可能となる。
【0015】
上記本発明における唾液分泌促進用具においては、前記フレーム部が、人の顎を被覆可能な形状に形成されており、前記フレーム部の前記顎側の面に、前記刺激付与部として機能する凸部が、設けられている、のも好ましい。この場合も、簡単な構造によって、唾液分泌促進用具を実現できるので、製造コストの抑制が可能となる。
【0016】
上記本発明における唾液分泌促進用具は、前記複数の刺激付与部として機能する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子を駆動する駆動部と、を更に備えている、のが好ましい。この場合は、超音波によって、確実に唾液腺を刺激することができる。
【0017】
更に、上記の場合は、唾液分泌促進用具は、前記駆動部による前記複数の超音波素子の駆動及び停止を制御する制御部と、画面に情報を表示する表示部と、を更に備え、前記制御部は、前記表示部の画面上に、予め設定された注意事項を表示させ、その後、外部から指示が入力された場合に、前記駆動部に前記複数の超音波素子を駆動させる、のが好ましい。この場合は、注意事項が守られていることを条件に、唾液の分泌を促進できるので、唾液検査における測定精度のいっそうの向上が期待できる。
【0018】
上記本発明における唾液分泌促進用具は、前記複数の刺激付与部として機能する複数の空気袋と、前記複数の空気袋それぞれに空気を供給する空気供給部と、を更に備え、前記フレーム部が、前記対象者の少なくとも顎の部分を被覆可能な形状に形成され、前記複数の空気袋それぞれは、前記フレーム部と前記対象者との間に設置され、且つ、前記空気供給部から供給される空気によって膨張し、それによって前記対象者の皮膚を押圧する、のが好ましい。この場合は、空気による圧迫によって、確実に唾液腺を刺激することができる。
【0019】
更に、上記の場合は、唾液分泌促進用具は、前記空気供給部による空気の供給及び停止を制御する制御部と、画面に情報を表示する表示部と、を更に備え、前記制御部は、前記表示部の画面上に、予め設定された注意事項を表示させ、その後、外部から指示が入力された場合に、前記空気供給部に空気の供給を実行させる、のが好ましい。この場合も、注意事項が守られていることを条件に、唾液の分泌を促進できるので、唾液検査における測定精度のいっそうの向上が期待できる。
【0020】
更に、上記本発明における唾液分泌推進用具は、前記刺激付与部が、少なくとも前記対象者の皮膚と接触する部分の温度を調節する機能を備えている、のが好ましい。この場合、唾液腺の刺激を高めることができ、唾液分泌を促進することができる。
【0021】
また、上記目的を達成するため、本発明の一側面における唾液採取支援装置は、画面に情報を表示させる表示部と、前記表示部の画面に、予め設定された、唾液採取の際の注意事項を表示させる、情報処理部と、を備えている、ことを特徴とする。
【0022】
以上の特徴により、本発明における唾液採取支援装置によれば、外的要因による影響を受けていない唾液のみを検査対象とできるので、唾液検査における測定精度の向上を図ることができる。
【0023】
上記本発明における唾液採取支援装置は、前記情報処理部が、唾液のニコチン含有量又はpHの入力を受け付け、入力された値と、予め設定された閾値とを対比し、入力された値が閾値を超えた場合に、前記表示部の画面に、前記唾液が唾液検査の対象とならないことを表示する、態様であるのが好ましい。この態様とすれば、よりいっそう唾液検査の測定精度の向上が図られる。
【発明の効果】
【0024】
以上のように、本発明における唾液分泌促進用具によれば、患者における唾液の分泌を促進して、唾液検査における測定精度の向上を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における唾液分泌促進用具について、
図1〜
図3を参照しながら説明する。
図1は、人の唾液腺を説明するための模式図である。
図2は、本発明の実施の形態1における唾液分泌促進用具を示す斜視図である。
図3は、本発明の実施の形態1における唾液分泌促進用具の使用形態を示す図である。
【0027】
最初に、対象者となる人の唾液腺について
図1を用いて説明する。
図1に示すように、人には、複数の唾液腺があり、このうち、舌下腺、顎下腺、耳下腺は、最も多くの唾液を分泌する唾液腺である。このため、本実施の形態1では、
図2及び
図3に示す唾液分泌促進用具10は、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺を同時に刺激して、唾液の分泌を促進する。
【0028】
図2及び
図3に示す、本実施の形態における唾液分泌促進用具10は、複数の刺激付与部11〜14とフレーム部15とを備えている。刺激付与部11〜14それぞれは、対象者100の唾液腺に皮膚上から刺激を伝達するために用いられる。フレーム部15は、刺激付与部11〜14それぞれを、対象者100の皮膚上における、唾液腺に刺激を伝達可能な位置に配置させ、その状態でこれらを保持する。
【0029】
本実施の形態では、
図2及び
図3に示すように、対象となる唾液腺は、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺である。フレーム部15は、ベース部材15eと、ベース部材15eから延びるアーム部材15a〜15dとを備えている。
【0030】
アーム部材15a〜15dそれぞれの先端には、刺激付与部11〜14として機能する凸部が設けられている。また、
図3に示すように、アーム部材15a〜15dは、弾性変形可能な材料によって形成されており、そして、弾性変形によって蓄えられた弾性力を利用して、各凸部で対象者100の皮膚を押圧する。
【0031】
つまり、
図3に示すように、アーム部材15aと刺激付与部11とによって、対象者100の右側の耳下腺が押圧され、アーム部材15bと刺激付与部12とによって、対象者100の左側の耳下腺が押圧される。また、アーム部材15cと刺激付与部13とによって、対象者100の舌下腺が押圧され、アーム部材15dと刺激付与部14とによって、対象者100の顎下腺が押圧される。
【0032】
以上のように本実施の形態1における唾液分泌促進用具10よれば、確実に、多くの唾液を分泌する唾液腺を刺激することができる。このため、唾液検査において、簡単に一定量の唾液を確保できるので、測定精度の向上を図ることができる。また、簡単な構造によって、唾液分泌促進用具を実現できるので、製造コストの抑制が可能となる。
【0033】
また、本実施の形態1において、刺激付与部11〜14は、対象者100の皮膚と接触する部分の温度を調節する機能を備えているのが好ましい。このような温調機能は、例えば、刺激付与部11〜14として機能する凸部の内部に発熱線を埋め込むことによって付与することができる。
【0034】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における唾液分泌促進用具について、
図4及び
図5を参照しながら説明する。
図4は、本発明の実施の形態2における唾液分泌促進用具を示す斜視図である。
図5は、本発明の実施の形態2における唾液分泌促進用具の使用形態を示す図である。
【0035】
図4及び
図5に示すように、本実施の形態2における唾液分泌促進用具20は、実施の形態1において
図2に示した唾液分泌促進用具10と同様に、フレーム部21と、刺激付与部22〜24とを備えている。また、この構成により、唾液分泌促進用具20は、実施の形態1における唾液分泌促進用具10と同様に、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺に対して刺激を与えて、唾液の分泌を促進する。
【0036】
但し、本実施の形態2では、
図3及び
図4に示すように、フレーム部21は、
図1に示されたフレーム部15と異なり、人(対象者100)の顎を被覆可能な形状に形成されている。また、フレーム部21には、環状の引掛部26及び27が設けられている。引掛部26及び27は、対象者100の耳に引っ掛け可能に形成されており、フレーム部21は、引掛部26及び27によって対象者100の顎に固定される。
【0037】
また、フレーム部21の顎側の面21aには、刺激付与部22〜25それぞれとして機能する凸部が、設けられている。そして、
図4に示すように、各凸部(刺激付与部22〜25)は、フレーム部21を対象者100の顎に被せ、引掛部26及び27を対象者の耳に引っ掛けたときに、舌下腺、顎下腺、及び左右の耳下腺を、皮膚の上から押圧するように配置されている。
【0038】
以上のように本実施の形態2における唾液分泌促進用具20を用いた場合も、確実に、多くの唾液を分泌する唾液腺を刺激することができるので、唾液検査において、測定精度の向上を図ることができる。また、本実施の形態2においても、簡単な構造によって、唾液分泌促進用具を実現できるので、製造コストの抑制が可能となる。
【0039】
また、本実施の形態2においても、刺激付与部22〜25は、対象者100の皮膚と接触する部分の温度を調節する機能を備えているのが好ましい。温調機能は、刺激付与部22〜25として機能する凸部の内部に発熱線を埋め込むことによって付与することができる。
【0040】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における唾液分泌促進用具について、
図6及び
図7を参照しながら説明する。
図6は、本発明の実施の形態3における唾液分泌促進用具を示す斜視図である。
図7は、
図6に示した制御装置の構成を示すブロック図である。
【0041】
図6に示すように、本実施の形態3における唾液分泌促進用具30は、実施の形態1において
図2に示した唾液分泌促進用具10と同様に、フレーム部35と、刺激付与部31〜34とを備えている。
【0042】
更に、フレーム部35は、実施の形態1において
図2に示したフレーム部15と同様に、ベース部材35eと、それから延びるアーム部材35a〜35dとを備えている。アーム部材35a〜35dは、弾性変形可能な材料によって形成されており、弾性変形によって蓄えられた弾性力を利用して、刺激付与部31〜34で対象者の皮膚を押圧する。また、これにより、刺激付与部31〜34の位置が保持される。
【0043】
但し、本実施の形態3では、実施の形態1と異なり、刺激付与部31〜34として、超音波振動子が用いられている。本実施の形態では、超音波振動子による振動によって、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺に刺激が与えられ、唾液の分泌が促進される。また、唾液分泌促用具30は、超音波振動子の駆動及び制御を行なう制御装置40も備えている。
【0044】
図7に示すように、制御装置40は、駆動部41と、制御部42と、表示部43と、入力部44とを備えている。このうち、駆動部41は、複数の超音波振動子を駆動する。制御部42は、駆動部41による複数の超音波素子の駆動及び停止を制御する。表示部43は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、画面43a(
図6参照)に情報を表示する。入力部44は、ボタン45〜47(
図6参照)による操作を受け付け、受け付けられた操作を制御部42に入力する。
【0045】
また、制御部42は、表示部43の画面43a上に、予め設定された注意事項を表示させる。注意事項の具体例としては、「唾液検査前の1時間以内に飲食及び喫煙をしていないこと。」、「唾液検査前の12時間以内に、アルコールを含む洗口液で口をゆすいでいないこと。」、「唾液検査前の1時間以内に歯磨きをしていないこと。」、「ホルモン療法を受けていないこと。」、「月経期間でないこと。」等が挙げられる。更に、避妊薬、メラトニン、コルチゾール、ハイドロコルチゾン、プロゲステロンといった薬剤を服用又は使用していないことも、注意事項として挙げられる。このような注意事項が守られていない状態で採取された唾液では、唾液検査の検査精度が低くなってしまう可能性があるからである。
【0046】
その後、外部から指示が入力された場合、即ち、対象者等がボタン操作によって、注意事項が守られていることを意思表示した場合に、制御部42は、駆動部41に複数の超音波素子を駆動させる。この結果、唾液の分泌が促進され、正常な唾液の採取が可能となる。
【0047】
以上のように本実施の形態3における唾液分泌促進用具30を用いた場合も、確実に、多くの唾液を分泌する唾液腺を刺激することができるので、唾液検査において、測定精度の向上を図ることができる。また、本実施の形態3では、注意事項が守られている場合にのみ、唾液の分泌が促進されるため、唾液検査における測定精度の向上が期待できる。
【0048】
また、本実施の形態3においても、刺激付与部31〜34は、対象者100の皮膚と接触する部分の温度を調節する機能を備えているのが好ましい。温調機能は、刺激付与部31〜34として機能する超音波振動糸の周囲に発熱線を巻き付けたりすることによって付与することができる。
【0049】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4における唾液分泌促進用具について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、本発明の実施の形態4における唾液分泌促進用具を示す斜視図である。
図9は、
図7に示した制御装置の構成を示すブロック図である。
【0050】
図8及び
図9に示すように、本実施の形態4における唾液分泌促進用具50は、実施の形態1において
図2に示した唾液分泌促進用具10と同様に、フレーム部55と、刺激付与部51〜54とを備えている。
【0051】
但し、本実施の形態4では、実施の形態1と異なり、刺激付与部51〜54として、空気袋が用いられている(
図8においては、刺激付与部52の図示は省略されている。)。更に、フレーム部55は、対象者100の頭全体を覆う形状に形成され、各空気袋は、フレーム部55と対象者100との間に設置されている。なお、本実施の形態4において、フレーム部55は、少なくとも対象者100の顎の部分を被覆可能な形状に形成されていれば良い。また、
図8において、フレーム部55は、説明のため、外形のみが線によって示されている。
【0052】
また、唾液分泌促用具40は、制御装置60も備えている。
図9に示すように、制御装置60は、空気供給61と、制御部62と、表示部63と、入力部64とを備えている。このうち、空気供給部61は、複数の空気袋それぞれに空気を供給するポンプであり、各空気袋(刺激付与部51〜54)とチューブ56によって接続されている。
【0053】
制御部62は、空気供給部61による空気の供給及び停止を制御する。表示部63は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、画面63a(
図6参照)に情報を表示する。入力部64は、ボタン65〜67(
図8参照)による操作を受け付け、受け付けられた操作を制御部62に入力する。
【0054】
よって、制御部62が空気供給部61に空気袋への空気の供給を行なわせ、空気供給部61が空気袋を膨張させると、空気袋はフレーム部と対象者100との間に存在するため、対象者100の皮膚が押圧され、舌下腺、顎下腺、及び耳下腺に対して刺激が与えられる。
【0055】
また、制御部62は、実施の形態3において
図7に示した制御部42と同様に、表示部63の画面63a上に、予め設定された注意事項を表示させる。本実施の形態4においても、注意事項の具体例としては、実施の形態3で挙げたものが挙げられる。
【0056】
その後、本実施の形態4においても、外部から指示が入力された場合、即ち、対象者等がボタン操作によって、注意事項が守られていることを意思表示した場合に、制御部62は、空気供給部61に複数の空気の供給を行なわせる。この結果、唾液の分泌が促進され、正常な唾液の採取が可能となる。
【0057】
以上のように本実施の形態4における唾液分泌促進用具50を用いた場合も、確実に、多くの唾液を分泌する唾液腺を刺激することができるので、唾液検査において、測定精度の向上を図ることができる。また、本実施の形態4でも、注意事項が守られている場合にのみ、唾液の分泌が促進されるため、唾液検査における測定精度の向上が期待できる。
【0058】
また、本実施の形態4においても、刺激付与部51〜54は、対象者100の皮膚と接触する部分の温度を調節する機能を備えているのが好ましい。温調機能は、例えば、空気供給部61において、空気を加熱できるようにすることによって、付与することができる。
【0059】
[変形例]
ここで、本実施の形態4における唾液分泌促進用具50の変形例を、
図10〜
図13を用いて説明する。
図10は、本発明の実施の形態4における唾液分泌促進用具の変形例を示す図である。
図11は、
図10に示した唾液採取部の具体構成を示す断面図である。
図12は、本発明の実施の形態4における唾液分泌促進用具の他の変形例を示す図である。
図13は、
図12に示した唾液採取部の具体構成を示す断面図である。
【0060】
図10に示すように、唾液分泌促進用具50には、対象者100が口腔から排出する唾液を採取する唾液採取部70が備えられていても良い。唾液採取部40は、フレーム部55によって、対象者の口と接触するように保持される。また、
図10においても、フレーム部55は、説明のため、外形のみが線によって示されている。
【0061】
具体的には、
図11に示すように、唾液採取部70は、半球状の受け部71と、筒状の本体部72と、筒状の先端部73とを備えている。このうち、受け部71は、対象者100の口と直接接触する部分であり、シリコンゴム等の軟質材料によって形成されている。本体部72と先端部73とは、樹脂材料等によって一体的に形成されている。
【0062】
また、先端部73の内部には、液体に対しては非透過性を示すが、気体に対しては透過性を示す部材74が充填されている。このため、対象者100が排出した唾液は、先端部73及び本体部72の内部に貯留される。部材74の具体例としては、中空糸膜、疎水性多孔質膜(例えば、ミリポア社製 Durape膜等)、多孔質中空糸膜等が挙げられる。
【0063】
更に、本実施の形態4においては、
図12及び
図13に示すように、唾液分泌促進用具50は、唾液採取部70の代わりに、唾液採取部80を備えていても良い。また、
図12においても、フレーム部55は、説明のため、外形のみが線によって示されている。更に、
図13に示すように、唾液採取部80は、皿状の本体部82と、筒状の排出部81とを備えている。排出部81の一方の端部は、本体部82の中央に設けられた貫通孔82aに差し込まれ、他方の端部は対象者100の口腔内に挿入される。
【0064】
また、排出部81の一方の端部において、その内部には、部材83が充填されている。部材83は、
図11に示した部材74と同様の材料によって形成されている。このため、対象者100が排出した唾液は、排出部83の内部に貯留される。
【0065】
以上のように、唾液分泌促進用具50が唾液採取部70又は80を備えている態様であれば、唾液の分泌の促進と唾液の採取とが同時に行なわれる。よって、唾液検査を効率的に実行することが可能になる。
【0066】
(実施の形態5)
次に、本発明の実施の形態における唾液採取支援装置について、
図14を参照しながら説明する。
図14は、本発明の実施の形態における唾液採取支援装置の構成を示すブロック図である。
【0067】
図14に示すように、唾液採取支援装置90は、情報処理部91と、表示部92と、入力部93とを備えている。このうち、表示部92は、液晶ディスプレイ等の表示装置であり、画面に情報を表示する。入力部93は、ボタン等による操作を受け付け、受け付けられた操作を情報処理部91に入力する。情報処理部91は、起動操作が入力されると、表示部92の画面に、予め設定された、唾液採取の際の注意事項を表示させる。
【0068】
注意事項の具体例としては、実施の形態3及び4に示した注意事項と同様に、「唾液検査前の1時間以内に飲食及び喫煙をしていないこと。」、「唾液検査前の12時間以内に、アルコールを含む洗口液で口をゆすいでいないこと。」、「唾液検査前の1時間以内に歯磨きをしていないこと。」、「ホルモン療法を受けていないこと。」、「月経期間でないこと。」等が挙げられる。更に、避妊薬、メラトニン、コルチゾール、ハイドロコルチゾン、プロゲステロンといった薬剤を服用又は使用していないことも、注意事項として挙げられる。
【0069】
このように唾液採取支援装置90は、実施の形態3で
図7に示した制御装置40、及び実施の形態4で
図9に示した制御装置60と同様に、唾液検査の対象者に、その者が守るべき、注意事項を通知することができる。従って、唾液採取支援装置90は、正常な唾液の採取に貢献でき、唾液検査における精度の向上を図ることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、唾液採取支援装置90は、外部から、入力部93を介して、採取された唾液のニコチン含有量又はpHの入力を受け付けることもできる。この場合、情報処理部91は、入力された値と、予め設定された閾値とを対比し、入力された値が閾値を超えた場合に、表示部92の画面に、採取された唾液が唾液検査の対象とならないことを表示する。唾液のニコチン含有量が高い場合、及び唾液のpHが高い場合は、唾液検査の精度が著しく低下するため、上記態様とすれば、よりいっそう唾液検査の測定精度の向上が図られる。