特許第5940900号(P5940900)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ Primetals Technologies Japan株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000002
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000003
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000004
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000005
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000006
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000007
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000008
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000009
  • 特許5940900-冷間圧延設備 図000010
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940900
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】冷間圧延設備
(51)【国際特許分類】
   B21C 47/24 20060101AFI20160616BHJP
   B21B 45/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B21C47/24 A
   B21B45/00 L
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-129851(P2012-129851)
(22)【出願日】2012年6月7日
(65)【公開番号】特開2013-252544(P2013-252544A)
(43)【公開日】2013年12月19日
【審査請求日】2014年12月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】314017543
【氏名又は名称】Primetals Technologies Japan株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎
(74)【代理人】
【識別番号】230112449
【弁護士】
【氏名又は名称】光石 春平
(74)【代理人】
【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸
(74)【代理人】
【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100182224
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲三
(72)【発明者】
【氏名】中谷 隆文
(72)【発明者】
【氏名】石山 勇
(72)【発明者】
【氏名】中司 龍輔
(72)【発明者】
【氏名】垰山 秀幸
【審査官】 長谷部 智寿
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−079025(JP,A)
【文献】 特開平10−314809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21C 45/00−49/00
B21B 45/00−45/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペイオフリールから払い出される鋼板を冷間圧延する少なくとも1台の圧延機を有する冷間圧延設備において、
前記ペイオフリールの入側に当該ペイオフリールへ挿入する圧延前コイルを搬送するコイル搬送装置を設けると共に、
前記コイル搬送装置上に複数のコイルを加熱することが可能なコイル加熱装置を設けた、
ことを特徴とする冷間圧延設備。
【請求項2】
前記コイル加熱装置は、前記搬送下の複数のコイルに加熱気体を吹き付ける加熱炉である、
ことを特徴とする請求項1に記載の冷間圧延設備。
【請求項3】
前記加熱炉は、コイルを加熱する加熱帯とコイルの均熱化を図る均熱帯とで構成される、
ことを特徴とする請求項2に記載の冷間圧延設備。
【請求項4】
前記加熱炉は、加熱気体を多孔ノズルよりコイルの両側面に吹き付ける、
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の冷間圧延設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、珪素含有量の多い電磁鋼板等の難加工材料における板破断や鋼板エッジ部の割れ等の圧延トラブルの防止を可能とする冷間圧延設備に関する。
【背景技術】
【0002】
難加工材料からなる鋼板の冷間圧延においては、圧延設備入側のペイオフリールでの鋼板巻出し時に発生する鋼板の割れに起因する圧延中の板破断が生産性を著しく阻害している。
【0003】
特に近年、発電機や変圧器等種々の分野で広く使用されている、珪素含有量の多い電磁鋼板では、ペイオフリールでの鋼板巻出し時に鋼板エッジ部に割れが発生し易いことから、製品品質の悪化や圧延中における板破断の発生による生産性の低下を招来している。
【0004】
一般に、電磁鋼板においては、鋼板温度と割れ感受性の関係は反比例の関係があり、鋼板の温度が高ければ割れ感受性は低くなり、割れに起因する板破断の発生率も低くなることが知られている。そこで、特に珪素含有量の多い電磁鋼板においては、鋼板の割れやそれに起因する板破断を防止するために、圧延前の鋼板温度を100℃以上(材料によっては200℃程度まで)加熱する必要があるとされている。
【0005】
ところで、従来の鋼板(コイル)の加熱方法の一般的な例を図7に示す工程図で説明する。
【0006】
これによれば、酸洗設備にて酸洗された後コイル状に巻かれた鋼板は、コイルヤードで常温保管し(70〜80℃→10〜30℃)、その後バッチ式の加熱装置で鋼板の割れ感受性が低くなるようにバッチ加熱してから(80℃程度)、圧延設備へ搬送された後圧延待ちを経て(80℃程度→60℃程度)圧延されるようになっている。
【0007】
そして、上述したバッチ式の加熱装置として、従来、例えば図5A図5Bに示すようなものが知られている。
【0008】
これは、ペイオフリール10から払い出された鋼板Waが矯正機11でその曲げが平坦に矯正された後、一台の可逆式圧延機12の前後に配置されたテンションリール13,14間に掛け渡されて、当該可逆式圧延機12により可逆圧延される冷間圧延設備から離れた所に、例えば8個の浸漬槽100からなる加熱浸漬槽方式の加熱装置が設置される。
【0009】
前記各浸漬槽100内の温水中に浸漬されたコイルWbは、ヒータ101で80℃程度の温度に加熱された温水中に略8時間程度浸漬されることで100℃前後の温度に加熱され、この加熱後に天井クレーン102により圧延設備に搬送され、コイルカー15を介してペイオフリール10に挿入されるようになっている。
【0010】
また、バッチ式の加熱方式としては、特許文献1に開示されたように加熱浸漬槽で加熱したコイルをコンベアで搬送するものや、特許文献2に開示されたように誘導加熱装置で加熱したコイルをコンベアで搬送するものがある。
【0011】
また、上述したバッチ式の加熱方式以外のインライン加熱方式として、特許文献3に開示されたように熱プラズマによる加熱装置を圧延機前に配設するものや、特許文献4に開示されたようにペイオフリールに予備加熱装置を設けると共に圧延機の前に加熱装置を設けるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平03−052703号公報
【特許文献2】特開平03−060813号公報
【特許文献3】特開平07−132312号公報
【特許文献4】特開2011−79025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、図5A図5Bに示したバッチ式の加熱装置にあっては、加熱浸漬槽方式の加熱装置が冷間圧延設備から離れた所に設置されているため、搬送経路が長く圧延待ちが生じてコイルWbが冷えることから、コイルの加熱温度を必要以上(60℃程度→80℃程度)に高めなければならないという問題点があった。
【0014】
また、加熱されたコイルWbを圧延工場建屋の天井クレーン102を使用してペイオフリール10直前のコイルカー15まで搬送していたため、天井クレーン102が他の設備で使用されていてコイルWbの搬送に使用できない場合には、天井クレーン102が使用できるまでのクレーン待ちが発生する等、効率的なペイオフリール10へのコイル供給ができないという問題点があった。
【0015】
このように、圧延待ちやクレーン待ちを考慮して浸漬槽100内での加熱時間を必要以上に長くし、それに費やす余分な燃料や電力が増大するので、圧延前の鋼板温度を100℃以上(材料によっては200℃程度まで)加熱する必要がある珪素含有量の多い電磁鋼板等の場合には、省エネルギーの見地から到底採用することはできない。
【0016】
その対策として、加熱浸漬槽方式の加熱装置を圧延設備の直前に設置することが考えられる。しかしながら、コイル加熱時間は8〜12時間程度必要であり、1コイルの圧延所要時間が1時間とすると1シフト作業するには少なくとも8台の浸漬槽100が必要となるため、これらを圧延設備の直前に設置すると、圧延設備の入側が煩雑となり、設備メンテナンスのスペース確保や安全通路の確保などが困難となる問題点がある。
【0017】
また、加熱浸漬槽方式の加熱装置にあっては、コイルWbの板層に溶液が浸入しているため、コイルWbを可逆式圧延機12及び/又はテンションリール13,14へ通板する際に、鋼板表面からその溶液が圧延機設備に付着し、設備が腐食する問題点があった。更に、鋼板表面から発生する水蒸気によって、センサーの誤作動や制御用カメラの画像処理が適正に処理できないなどの問題点もあった。
【0018】
また、特許文献1に開示されたものは、加熱浸漬槽で加熱したコイルをコンベアで搬送するので、加熱時間の増長、設備メンテナンスのスペース確保や安全通路の確保及び溶液・水蒸気弊害等で、図5A図5Bに示したバッチ式の加熱装置と同様の問題点がある。また、特許文献2に開示されたものも、加熱したコイルをコンベアで搬送するので、加熱時間の増長、設備メンテナンスのスペース確保や安全通路の確保等の問題点を有する。
【0019】
また、特許文献3に開示されたものは、加熱装置を通過する前の鋼板は加熱されていないため、ペイオフリールからコイルを払い出す際や、鋼板が矯正機等を通過する際に、鋼板の割れが生じ、この割れに起因した板破断の発生を招来するという問題点がある。また、特許文献4に開示されたものは、予備加熱装置と加熱装置とで二段階でコイル及び鋼板を加熱する方式であり、圧延設備が煩雑となりコストアップを招来すると共に、加熱温度も100℃未満であり、圧延前の鋼板温度を100℃以上(材料によっては200℃程度まで)加熱する必要がある珪素含有量の多い電磁鋼板等には到底採用することはできない。
【0020】
本発明は、このような実情に鑑み提案されたもので、その目的は、所定の温度まで加熱したコイルの温度低下を抑制できると共に装置の設置スペースの削減が図れ、かつコイルのハンドリングが容易なコイル加熱装置を有する冷間圧延設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上記の課題を解決するための本発明に係る冷間圧延設備は、
ペイオフリールから払い出される鋼板を冷間圧延する少なくとも1台の圧延機を有する冷間圧延設備において、
前記ペイオフリールの入側に当該ペイオフリールへ挿入するコイルを搬送するためのコイル搬送装置を設けると共に、
前記コイル搬送装置上に複数のコイルを加熱することが可能なコイル加熱装置を設けた、
ことを特徴とする。
【0022】
また、
前記コイル加熱装置は、前記搬送下の複数のコイルに加熱気体を吹き付ける加熱炉である、
ことを特徴とする。
【0023】
また、
前記加熱炉は、コイルを加熱する加熱帯とコイルの均熱化を図る均熱帯とで構成される、
ことを特徴とする。
【0024】
また、
前記加熱炉は、加熱気体を多孔ノズルよりコイルの両側面に吹き付ける、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る冷間圧延設備によれば、ペイオフリールにコイルを挿入する直前の設備であるコイル搬送装置部で難加工材料のコイルを加熱するため、加熱コイルの搬送時間及び圧延待ち時間による温度低下を考慮する必要が無いので余計なエネルギーを与えなくて済み省エネルギーが図れる。また、コイル搬送装置上にコイル加熱装置を設置したため、コイル加熱装置の設置スペースの削減が図れると共に、コイルはコイル搬送装置によって、コイル加熱装置内を移動しながら加熱されるため、天井クレーン等によるコイルの搬送が不要となり、コイルのハンドリングが容易となる。
【0026】
また、コイル加熱装置をコイルに加熱気体を吹き付ける加熱炉とすることで、コイル全体を加熱できコイルの均熱化が図れると共に、加熱浸漬槽方式で問題となる鋼板の溶液残留が無いので、圧延機やテンションリールへ通板する際に鋼板表面からの溶液が圧延設備に付着することが無く、設備が腐食する問題が無くなる。加えて、鋼板表面からの水蒸気発生がないので、水蒸気によるセンサー等の誤作動が発生せず、制御用カメラの画像処理等が適正に処理できる。
【0027】
また、加熱炉が加熱帯と均熱帯とで構成されることで、複数のコイルを効率よく均熱化することができる。
【0028】
また、加熱炉において、コイル外周面から加熱するとコイル状に巻かれた鋼板の間には、スケールや空気の層が存在する為、効率的に加熱することはできないが、加熱気体を多孔ノズルよりコイル両側面に吹き付けることで、板幅方向に鋼板を直接加熱し、効率良くコイルの巻出し先端部(コイル表面)から尾端部(コイル内部)まで迅速に加熱・均熱化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】本発明の実施例1を示す冷間圧延設備の概略構成平面図である。
図1B】本発明の実施例1を示す冷間圧延設備の概略構成側面図である。
図2】コイル加熱装置の詳細斜視図である。
図3】コイル加熱部のコイル無しの状態を示す斜視図である。
図4】本発明の実施例2を示す冷間圧延設備の概略構成側面図である。
図5A】従来のコイル加熱装置を有する冷間圧延設備の概略構成平面図である。
図5B】従来のコイル加熱装置を有する冷間圧延設備の概略構成側面図である。
図6】本発明の鋼板(コイル)の加熱方法の工程図である。
図7】従来の鋼板(コイル)の加熱方法の工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る冷間圧延設備を実施例により図面を用いて詳細に説明する。
【実施例1】
【0031】
図1Aは本発明の実施例1を示す冷間圧延設備の概略構成平面図、図1Bは本発明の実施例1を示す冷間圧延設備の概略構成側面図、図2はコイル加熱装置の詳細斜視図、図3はコイル加熱部のコイル無しの状態を示す斜視図、図6は本発明の鋼板(コイル)の加熱方法の工程図である。
【0032】
図6に示すように、本発明の鋼板(コイル)の加熱方法によれば、酸洗設備にて鋼板の酸洗後にコイルヤードで常温保管し(70〜80℃→10〜30℃)、その後コイル搬送装置上のコイル加熱装置で、コイル搬送中にコイルを鋼板エッジ部の割れが発生しない温度(100〜200℃)に加熱してから、圧延開始時にコイルをペイオフリールに挿入するようになっている。
【0033】
具体的には、図1A及び図1Bに示すように、本冷間圧延設備においては、ペイオフリール10から払い出された珪素含有量の多い電磁鋼板等の鋼板(難加工材料)Waが矯正機11でその曲げが平坦に矯正された後、一台の可逆式圧延機12の前後に配置されたテンションリール13,14間に掛け渡されて、当該可逆式圧延機12により可逆圧延される。ペイオフリール10には加熱後のコイルWbがコイルカー15により挿入される。
【0034】
そして、冷間圧延設備の入側(ペイオフリール10)直近には、ウォーキングビーム(コイル搬送装置)19上に位置してコイル加熱装置20が設置される。このコイル加熱装置20は熱風発生装置21a,21bからの熱風(加熱気体)でコイルWbを加熱する熱風加熱装置(加熱炉)である。尚、図中22aはウォーキングビーム19入側のスキッドで、22bはウォーキングビーム19出側のスキッドである。
【0035】
従って、ウォーキングビーム19入側のスキッド22aに置かれたコイルWbは、ウォーキングビーム19によってコイル加熱装置20内を移動し、ここで加熱・均熱されて所定の温度(100〜200℃)に達した後、ウォーキングビーム19出側のスキッド22bよりコイルカー15により順次ペイオフリール10に挿入され、圧延ラインに払い出される。
【0036】
前記コイル加熱装置20は、図2及び図3に示すように、複数個(図示例では4個)のコイルWbが収容可能な加熱ボックス(加熱帯)20Aと、この加熱ボックス20Aに隣接する複数個(図示例では4個)のコイルWbが収容可能な均熱ボックス(均熱帯)20Bとからなるボックス型の炉となっており、各々のコイルWbはウォーキングビーム19により加熱ボックス20Aから均熱ボックス20Bへと間欠搬送されるようになっている。図2中23a〜23cはコイルWbの間欠搬送時に開閉するドアである。
【0037】
そして、前記加熱ボックス20Aと均熱ボックス20Bの内部には、加熱ボックス20A用の熱風発生装置21aと均熱ボックス20B用の熱風発生装置21bからの熱風が送り込まれる。具体的には、加熱ボックス20Aと均熱ボックス20Bの左右両側壁には、ボックス内で搬送停止された各コイルWbの両側面に対向した位置に、円形のチャンバー24a,24bが複数個(図示例では各コイルWbの両側面に対応して8個)設置され、これらのチャンバー24a,24bの内側面にはコイル側面に熱風を吹き付ける多数(例えば150個)の噴流ノズル25a,25bが突設されている。
【0038】
前記各チャンバー24a,24bには、熱風発生装置21a,21bで発生した熱風が配管26a,26bを介してそれぞれ供給される一方、ボックス内で各コイルWbを加熱・均熱(保温)した熱風は、排出口27a,27bより排気ファン30a,30bと流量調整弁32a,32bを介して配管33a,33bを通り、ボックス外へ排出された熱風が熱風発生装置21a,21bにそれぞれ回収されるようになっている。さらに、流量調整弁31a,31bを介して配管28a,28bを通り、煙突29から、ボックス外へ排出された熱風の一部が大気に放出される。尚、図中34a,34bは配管26a,26bに介装された吸気ファンである。
【0039】
このように構成されるため、前述したコイル加熱装置20においては、加熱ボックス20A内で熱風により加熱されたコイルWbが順次均熱ボックス20Bに移され、当該均熱ボックス20B内で加熱ボックス20A内の熱風より温度が低い熱風(温風)により均熱・保温されるので、コイル全体で温度の均一化が図られる。
【0040】
コイル加熱装置20内のコイル数は、1コイルの圧延時間と必要なコイル加熱温度から決定され、必要なコイル加熱温度によって加熱ボックス20A内の温度(例えば400度)及び均熱ボックス20B内の温度(例えば200度)が制御される。
【0041】
図示例では、コイル加熱時間は8時間程度必要とし、1コイルの圧延所要時間が1時間であるので、8スキッド分のコイル加熱スペースが設定されている。
【0042】
このようにして、本実施例によれば、ペイオフリール10にコイルWbを挿入する直前の設備であるウォーキングビーム19で難加工材料であるコイルWbを加熱するため、従来のように加熱コイルの搬送時間及び圧延待ち時間による温度低下を考慮する必要が無いので余計なエネルギーを与えなくて済み省エネルギーが図れる。
【0043】
また、ウォーキングビーム19上にコイル加熱装置20を設置したため、コイル加熱装置20の設置スペースの削減が図れると共に、コイルWbはウォーキングビーム19によって、コイル加熱装置20内を移動しながら加熱されるため、従来のように天井クレーン等によるコイルの搬送が不要となり、コイルWbのハンドリングが容易となる。
【0044】
また、コイル加熱装置20を熱風でコイルWbを加熱する熱風加熱装置とすることで、コイル全体を加熱できコイルWbの均熱化が図れると共に、加熱浸漬槽方式で問題となる鋼板Waの溶液残留が無いので、可逆式圧延機12やテンションリール13,14へ通板する際に鋼板表面からの溶液が圧延設備に付着することが無く、設備が腐食する問題が無くなる。加えて、鋼板表面からの水蒸気発生がないので、水蒸気によるセンサー等の誤作動が発生せず、制御用カメラの画像処理等が適正に処理できる。
【0045】
また、コイル加熱装置20が加熱ボックス20Aと均熱ボックス20Bとで構成されることで、複数のコイルWbを効率よく均熱化することができる。
【0046】
また、加熱ボックス20Aと均熱ボックス20Bにおいて熱風を多数の噴流ノズル(多孔ノズル)25a,25bよりコイルWbの両側面に吹き付けることで、コイルWbの巻出し先端部(コイル表面)から尾端部(コイル内部)まで迅速に加熱・均熱化することができる。
【実施例2】
【0047】
図4は本発明の実施例2を示す冷間圧延設備の概略構成側面図である。
【0048】
本実施例は、実施例1のウォーキングビーム19上に設けられるコイル加熱装置20を、ペイオフリール10から払い出されて矯正機11で矯正された先行材(難加工材料)と後行材(難加工材料)とを接合機40で接合した後、ルーパ41で張力を調整しながら複数台(図示例では4台)の圧延機スタンドからなるタンデム圧延機12Aで圧延してテンションリール42で巻き取る圧延設備に適用して、ペイオフリール10の入側直近にウォーキングビーム19上に設けられるコイル加熱装置20を配置した例であり、その他の構成は実施例1と同様なので、図1A及び図1Bと同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略する。
【0049】
この実施例においても、実施例1と同様の作用効果が得られる。
【0050】
尚、本発明は上記各実施例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、コイル加熱装置10で加熱されるコイル数の変更やコイル搬送装置にチェーンコンベアを用いるとか、タンデム圧延機12Aとして4,6段ミルに代えて12段、20段のクラスタミル及びサイドサポートロール付き6段ミル(18段ミル)を用いる等各種変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明の冷間圧延設備に用いられるコイル加熱装置は、コイルを払い出す際にコイルを加熱しておく必要があるプロセス設備(酸洗設備や焼鈍設備)の入側コイル搬送装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
10 ペイオフリール
11 矯正機
12 可逆式圧延機
12A タンデム圧延機
13,14 テンションリール
15 コイルカー
19 ウォーキングビーム(コイル搬送装置)
20 コイル加熱装置
20A 加熱ボックス(加熱帯)
20B 均熱ボックス(均熱帯)
21a,21b 熱風発生装置
22a,22b スキッド
23a〜23c ドア
24a,24b 円形のチャンバー
25a,25b 噴流ノズル
26a,26b 配管
27a,27b 排出口
28a,28b 配管
29 煙突
30a,30b 排気ファン
31a,31b 流量調整弁
32a,32b 流量調整弁
33a,33b 配管
34a,34b 吸気ファン
40 接合機
41 ルーパ
42 テンションリール
Wa 鋼板(難加工材料)
Wb コイル(難加工材料)
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7