特許第5940902号(P5940902)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ PIAA株式会社の特許一覧

<>
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000002
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000003
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000004
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000005
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000006
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000007
  • 特許5940902-車両用照明装置 図000008
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5940902
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/04 20060101AFI20160616BHJP
   H05B 37/02 20060101ALI20160616BHJP
   F21S 8/10 20060101ALI20160616BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20160616BHJP
【FI】
   B60Q1/04 E
   H05B37/02 J
   F21S8/10 160
   F21Y115:10
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-133584(P2012-133584)
(22)【出願日】2012年6月13日
(65)【公開番号】特開2013-256211(P2013-256211A)
(43)【公開日】2013年12月26日
【審査請求日】2015年4月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】390005304
【氏名又は名称】PIAA株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】施守仁
(72)【発明者】
【氏名】可児 玄
(72)【発明者】
【氏名】佐原 晋
【審査官】 竹中 辰利
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−055841(JP,A)
【文献】 特開2011−009701(JP,A)
【文献】 特開昭62−018970(JP,A)
【文献】 特開2004−243923(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3155988(JP,U)
【文献】 特開2004−051080(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60Q 1/04
F21S 8/10
H05B 37/02
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光ダイオードを直列に接続したライトセットと、
前記ライトセットを構成する1つの発光ダイオードを点灯させるのに必要な最低点灯電圧まで電源電圧を降圧する降圧回路と、
前記ライトセットへの電圧が、前記ライトセットを構成するすべての発光ダイオードを点灯させるのに十分な電圧であるか否かを判定する定電流回路と、
前記定電流回路によって前記ライトセットを構成するすべての発光ダイオードを点灯させるのに十分な電圧であると判定されるまで、前記最低点灯電圧を昇圧して前記ライトセットへ出力する昇圧回路と
を備えていることを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記複数の発光ダイオードはそれぞれ着脱可能に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
車両のヘッドライトを点灯させたときに前記定電流回路から前記ライトセットへ流れる電流を減らして前記ライトセットを構成する発光ダイオードの輝度を低下させる輝度切換回路をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される照明装置に係り、特にLEDを用いた昼間走行ライトとして使用される車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昼間走行ライトは、車両の車体外部に装着されて日中に走行する車両の識別性を高めるためのものである。最近では、多くの車両に昼間走行ライトが配備されるようになっており、欧州連合では2011年2月7日からすべてのセダンや小型トラックに昼間走行ライトを基本配備することが要求されている。
【0003】
昼間走行ライトは車両の運転中に長時間点灯する必要があるため消費電力量が問題となるが、初期の昼間走行ライトではハロゲンランプが採用されており、その消費電力量はヘッドライトを使用する場合の25〜30%になっていた。ところが、LED(発光ダイオード)を採用すると、体積が小さくて消費電力量が少なく、寿命も長いという長所があり、ヘッドライトの10%程度の消費電力量しか使用しない。そのため現在ではLEDが昼間走行ライトに最も適した光源となっている。このようなLEDの昼間走行ライトを備えた従来技術として特許文献1が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−147025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の昼間走行ライトを制御するための制御ユニットでは、制御ユニットに接続して点灯させるLEDの数は決まっていた。したがって、LEDの数を変えるとLEDの輝度が変化してしまうので、ユーザーがLEDの数を自由に変更することができないという問題点があった。特に、LEDの数を減らすと、LEDの輝度が明るくなりすぎて、ECE(ヨーロッパ経済委員会)の規格を満たさなくなってしまうという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上述した実情に鑑みて提案されたものであり、LEDの数を変更してもLEDの輝度が変化することなく一定の明るさで点灯させることのできる車両用照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用照明装置は、複数の発光ダイオードを直列に接続したライトセットと、前記ライトセットを構成する1つの発光ダイオードを点灯させるのに必要な最低点灯電圧まで電源電圧を降圧する降圧回路と、前記ライトセットへの電圧が、前記ライトセットを構成するすべての発光ダイオードを点灯させるのに十分な電圧であるか否かを判定する定電流回路と、前記定電流回路によって前記ライトセットを構成するすべての発光ダイオードを点灯させるのに十分な電圧であると判定されるまで、前記最低点灯電圧を昇圧して前記ライトセットへ出力する昇圧回路とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る車両用照明装置によれば、降圧回路で最低点灯電圧まで降圧させてから、ライトセットを構成するすべてのLEDを点灯させるのに十分な電圧が検知されるまで昇圧回路で昇圧させるので、LEDの数を変更したとしてもLEDの輝度が変化することなく一定の明るさで点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置に用いるLEDの構造を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置に用いるLEDにブラケットを結合する方法を示した図である。
図4】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置に用いるLEDにブラケットを結合した状態を示す斜視図である。
図5】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置に用いるLEDにブラケットを結合した状態を示す断面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置を車両に搭載した状態を示す図である。
図7】本発明の一実施形態に係る車両用照明装置の制御装置の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を適用した一実施形態について図面を参照して説明する。
【0011】
[車両用照明装置の構成]
図1は本実施形態に係る車両用照明装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態に係る車両用照明装置1は、複数のLED(発光ダイオード)を直列に接続したライトセット2a、2bと、LEDの発光を制御する制御装置3とを備えている。ただし、図1ではライトセットが2つの場合を一例として示しているが、ライトセットの数は1つでも2つ以上であってもよい。
【0012】
ライトセット2a、2bは複数のLED4を直列に接続して構成され、図2に示すように各LED4はケース111と、ケース111の内部に設置されたLED素子112とを備えている。ケース111の裏面には、オス接続端子1131が設けられた正極接続ケーブル113と、メス接続端子1141が設けられた負極接続ケーブル114とが接続されている。正、負極接続ケーブル113、114はそれぞれ他のLED4の正、負極接続ケーブル113、114と連結されて直列に接続される。このようにオス接続端子1131とメス接続端子1141を順次挿入して嵌め込む方式でLED4を直列に接続するので、複数のLED4をそれぞれ着脱可能に接続することができる。これによってユーザの必要に応じてLEDの数や配列を自由に変更することができ、いずれかのLEDが破損したときでも簡単に単独で交換することができるので、ライトセット全体を交換する無駄をなくすことができる。
【0013】
また、上述したライトセット2a、2bの各LED4には、図3〜5に示すように逆L字形をしたブラケット30がそれぞれ結合されている。そして、ブラケット30は縦板31と横板32とから形成され、縦板31はケース111の後側に設置されて正極接続ケーブル113及び負極接続ケーブル114を貫通させる丸穴311が設けられている。この丸穴311に固定ネジ40を貫通させてケース111の裏面にあるネジ穴に接続すると、丸穴311の縁の部分が固定ネジ40によって固定されるので、ブラケット30をLED4に固定することができる。また、横板32には車両外部にLED4を固定ネジで固定するための2つの切欠溝321が設けられている。使用時には、ブラケット30を用いて2つのライトセット2a、2bの各LED4を、図6に示すように車両外部のフロントバンパー50や車両外部のその他の位置に装着する。
【0014】
制御装置3は、図1に示すように車両ACC電源に接続される正極電源供給ケーブル25及び負極電源供給ケーブル26と、車両のヘッドライトに接続される制御ケーブル27と、2セットの正極接続ケーブル28及び負極接続ケーブル29とが接続されている。2セットの正極接続ケーブル28の端部にはオス接続端子281が設けられ、負極接続ケーブル29の端部にはメス接続端子291が設けられている。そして、オス接続端子281及びメス接続端子291はそれぞれライトセット2a、2bの両端にあるオス接続端子1131とメス接続端子1141と接続されている。
【0015】
次に、図7を参照して制御装置3の回路構成を説明する。図7に示すように、制御装置3は、最低点灯電圧まで電源電圧を降圧させる降圧回路61と、ライトセット2a、2bへの電圧がライトセット2a、2bを構成するすべてのLEDを点灯させるのに十分な電圧であるか否かを判定する定電流回路62と、最低点灯電圧を昇圧してライトセット2a、2bへ出力する昇圧回路63と、車両のヘッドライドを点灯させたときにライトセット2a、2bを構成するLEDの輝度を低下させる輝度切換回路64とを備えている。
【0016】
ここで、降圧回路61は、チョークコイル401と、降圧IC402と、コンデンサ403、404と、ダイオード405と、抵抗406、407とを備え、降圧IC402がチョークコイル401へ流れる電流をON/OFFすることによって、電源電圧の12Vを6.4Vに降圧している。これにより、降圧回路61は、ライトセット2a、2bを構成する1つのLED4を点灯させるのに必要な最低点灯電圧まで電源電圧を降圧させている。
【0017】
定電流回路62は、トランジスタ501と、抵抗502〜505とを備え、ライトセット2a、2bへの電圧がライトセット2a、2bを構成するすべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧であると判定すると、トランジスタ501をONして一定の電流を昇圧回路63へフィードバックする。これにより、定電流回路62は、ライトセット2a、2bへの電圧がライトセット2a、2bを構成するすべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧であるか否かを判定する。
【0018】
昇圧回路63は、チョークコイル601と、昇圧IC602と、コンデンサ603、604と、ダイオード605と、トランジスタ606と、抵抗607〜611とを備え、昇圧IC602がトランジスタ606をON/OFFすることによってチョークコイル601に流れる電流をON/OFFし、これによって降圧回路61から出力された電圧を昇圧している。このとき昇圧IC602は、デューティー比を調節することによって徐々に電圧を上昇させ、定電流回路62からのフィードバック電流を受信すると、昇圧動作を停止する。これにより、昇圧回路63は、定電流回路62がライトセット2a、2bを構成するすべてのLEDを点灯させるのに十分な電圧であると判定するまで最低点灯電圧を昇圧してライトセット2a、2bへ出力する。
【0019】
輝度切換回路64は、トランジスタ701〜703と、ツェナーダイオード704と、抵抗705〜710とを備え、ヘッドライトが点灯したときにトランジスタ701、702をOFFさせることにより、抵抗708による電圧を上昇させて、例えば15Vを超えるとツェナーダイオード704が一定の電圧を出力してトランジスタ703をONする。これによって、輝度切換回路64は、定電流回路62からの電流をトランジスタ703へ流してライトセット2a、2bへ流れる電流を減らし、車両のヘッドライドが点灯したときにライトセット2a、2bを構成するLEDの輝度を低下させている。
【0020】
[制御装置の動作]
本実施形態の制御装置3では、車両エンジン始動時にACC電源をオンにすると、昼間走行ライトの点灯を自動制御する。まず、制御装置3の降圧回路61によって、電源電圧を単一のLEDを点灯させるのに必要な最低点灯電圧まで降圧する。具体的には、電源電圧が降圧回路61に印加されると、ダイオード405によって電流の逆流を防止してから降圧IC402がチョークコイル401へ流れる電流をON/OFFすることによって、電源電圧の12Vを最低点灯電圧、例えば6.4Vに降圧している。
【0021】
そして、降圧回路61から最低点灯電圧が出力されると、次に昇圧回路63は、昇圧IC602によってトランジスタ606をON/OFFすることによってチョークコイル601に流れる電流をON/OFFし、これによって降圧回路61から出力された最低点灯電圧を昇圧する。このとき昇圧IC602はデューティー比を調節することによって、徐々に電圧を上昇させ、この出力電圧をライトセット2a、2bへ印加する。
【0022】
そして、定電流回路62は、昇圧回路63から出力されたライトセット2a、2bへの電圧が、ライトセット2a、2bを構成するすべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧であるか否かを判定し、すべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧になると、トランジスタ501をONして電流を昇圧IC602へフィードバックする。このフィードバック電流を受信した昇圧IC602はデューティー比を固定するので、その後は昇圧回路63から一定の電圧が出力され、ライトセット2a、2bを構成するLED4は一定の輝度で点灯する。
【0023】
このように、本実施形態に係る制御装置3は、降圧回路61で電源電圧を降圧してからライトセット2a、2bを構成するすべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧になるまで昇圧回路63で昇圧するので、ライトセット2a、2bが何個のLED4で構成されていたとしても、LED4の数に関係なくLED4の輝度を均一に点灯させることができる。
【0024】
次に、本実施形態に係る車両用照明装置1による別の機能について説明する。本実施形態に係る車両用照明装置1は、ライトセット2a、2bの輝度を切り換えることによって、昼間走行ライトとしての使用からポジションランプとしての使用に切り換えることができる。
【0025】
本実施形態に係る車両用照明装置1を昼間走行ライトとして使用している際に、車両のヘッドライトを点灯させると、輝度切換回路64のトランジスタ701、702はOFFされる。これにより抵抗708に流れる電流が増加して電圧が上昇し、例えば15Vを超えるとツェナーダイオード704が一定の電圧を出力してトランジスタ703がONする。トランジスタ703がONすると、定電流回路62からの電流の一部がトランジスタ703へ流れるので、ライトセット2a、2bへ流れる電流が減少し、ライトセット2a、2bを構成するLED4の輝度が低下する。
【0026】
このようにして輝度切換回路64がライトセット2a、2bを構成するLED4の輝度を低下するように制御し、昼間走行ライトからポジションランプとしての使用に切り換える。
【0027】
逆に、ヘッドライトを消したときには、輝度切換回路64のトランジスタ701、702がONすることによって、ライトセット2a、2bを構成するLED4の輝度を再び明るくなるように制御し、昼間走行ライトとしての使用に戻すことになる。
【0028】
以上詳細に説明したように、本実施形態に係る車両用照明装置1によれば、降圧回路61で最低点灯電圧まで降圧させてから、ライトセット2a、2bを構成するすべてのLED4を点灯させるのに十分な電圧が検知されるまで昇圧回路63で昇圧するので、LED4の数を変更したとしてもLED4の輝度が変化することなく一定の明るさで点灯させることができる。すなわち、制御装置3はLED4の数を検知して電圧を自動調整し、各LED4を均一な輝度になるように制御することができる。そのためユーザは、LED4の数や配列、組み合わせを必要に応じて自由に変更することができ、さまざまな異なる造型の照明効果を容易に形成することができる。
【0029】
また、本実施形態に係る車両用照明装置1によれば、複数のLED4をそれぞれ着脱可能に接続したので、ユーザの必要に応じて数や配列を自由に変更することができる。また、いずれかのLED4が破損したときでも簡単に単独で交換することができるので、ライトセット全体を交換する無駄をなくすことができる。
【0030】
さらに、本実施形態に係る車両用照明装置1によれば、車両のヘッドライトを点灯させたときにライトセット2a、2bを構成するLED4の輝度を低下させるので、昼間走行ライトをポジションランプとして切り換えて使用することができ、ライトセット2a、2bの電力を節電できるとともに多用途で使用することができる。
【0031】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。したがって、本発明は上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0032】
1 車両用照明装置
2a、2b ライトセット
3 制御装置
4 LED
61 降圧回路
62 定電流回路
63 昇圧回路
64 輝度切換回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7