【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構、次世代素材等レーザー加工技術開発プロジェクト、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致していない。
【0020】
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る半導体発光素子の構成を示す斜視図、
図2は、
図1に示した半導体発光素子のII−II線における側断面図である。
図1及び
図2に示す半導体発光素子1は、シングルエミッタのブロードエリア型半導体レーザである。
【0021】
図1及び
図2に示すように、半導体発光素子1は、基板11及び基板上に形成された積層体を有する。以下では、積層体の積層方向をZ方向、光出射方向をX方向、積層方向及び光出射方向に直交する方向をY方向として説明する。
【0022】
基板11は、半導体基板であり、例えばn型(第1導電型)のGaAs基板が用いられる。また、基板11上に形成された積層体は、活性層21を含む多層膜によって形成されている。活性層21は、電流が供給されることによって所定の発光スペクトルで発光する発光層である。このような活性層21としては、例えば、AlInGaAsで形成された量子井戸活性層を用いることができる。AlInGaAsを用いた場合、活性層21は波長915nmの光を出力する。積層体は、この活性層21から発せられた光を水平方向(X方向)に共振させる水平共振器の全て又は一部を構成している。
【0023】
活性層21の基板11側には、下部ガイド層22が活性層21に接触して形成されている。下部ガイド層22は、例えばn型のAlGaAsで形成される。また、活性層21の上面には、上部ガイド層23が活性層21に接触して形成されている。上部ガイド層23は、例えばp型のAlGaAsで形成される。下部ガイド層22及び上部ガイド層23は、活性層21に光を閉じ込めるために配置される。
【0024】
下部ガイド層22の基板11側には、下部クラッド層(第1クラッド層)24が下部ガイド層22に接触して形成されている。下部クラッド層24は、例えばn型のAlGaAsで形成される。また、上部ガイド層23の上面には、上部クラッド層(第2クラッド層)25が上部ガイド層23に接触して形成されている。上部クラッド層25は、例えばp型(第2導電型)のAlGaAsで形成される。下部クラッド層24及び上部クラッド層25は、活性層21の活性領域の電子密度及びホール密度を高めるとともに、活性層21に光を閉じ込めるために配置される。このように、半導体発光素子1において、下部クラッド層24と上部クラッド層25との間に活性層21が介在し、活性層21で発生された光が水平方向で共振する水平共振器が形成される。
【0025】
上部クラッド層25の上面には、第1コンタクト層26が形成されている。第1コンタクト層26は、例えばp型のGaAsにp型の不純物(ここではZn)をドーピングして形成される。
【0026】
積層体において、光出射方向であるX方向の両端部には、窓領域A1、A2が形成されている。窓領域A1,A2は、少なくとも活性層21のX方向の両端部を含む。言い換えれば、少なくとも活性層21のX方向の両端部には、窓領域A1,A2が形成されている。窓領域A1,A2は、空孔が拡散された領域であり、活性層21と窓領域A1,A2とが重なる領域は空孔の拡散によって混晶化されている。すなわち、活性層21の窓領域A1,A2は、活性層21における窓領域A1,A2が形成されていない領域(非窓領域)に比べて光吸収の少ない領域である。窓領域A1,A2は、空孔拡散による混晶化技術であるIFVDを用いて形成される。
図1及び
図2では、窓領域A1,A2は、一例として下部クラッド層24、下部ガイド層22、活性層21、上部ガイド層23、上部クラッド層25及び第1コンタクト層26に跨がって形成されている。すなわち、下部クラッド層24、下部ガイド層22、活性層21、上部ガイド層23、上部クラッド層25及び第1コンタクト層26のX方向の両端部近傍において空孔が拡散されており、活性層21と窓領域A1,A2とが重なる領域が混晶化されている。これにより、活性層21の出射端面の溶融劣化が防止される。
【0027】
さらに、第1コンタクト層26上には、第2コンタクト層27が第1コンタクト層26に接触して形成されている。すなわち、コンタクト層が多層膜(ここでは2層構造)で形成されている。第2コンタクト層27は、第1コンタクト層26の非窓領域上に形成されている。第2コンタクト層27は、例えばp型のGaAsにp型の不純物(ここではZn)をドーピングして形成される。
【0028】
第1コンタクト層26の不純物濃度は、第2コンタクト層27の不純物濃度に比べて小さい。第1コンタクト層26の不純物濃度は、例えば1.0×10
18cm
−3であり、第2コンタクト層27の不純物濃度は、例えば1.8×10
20cm
−3である。
【0029】
第2コンタクト層26の上面には、絶縁層28が形成されている。絶縁層28は、熱処理時においてGaを吸収する機能を有する。絶縁層28として、例えばSiNが用いられる。絶縁層28には、X方向に延びる溝部28aが形成されている。溝部28aの底は、第1コンタクト層26の上面まで達している。そして、絶縁層28の上面には、アノード電極部材30が配置されている。アノード電極部材30は、溝部28aを介して第1コンタクト層26と接触している。また、基板11の下方には、カソード電極部材31が配置されている。アノード電極部材30及びカソード電極部材31は例えばAu等の金属によって形成される。
【0030】
以上、第1実施形態に係る半導体発光素子1では、絶縁層28と上部クラッド層25との間に介在するコンタクト層の不純物濃度が領域ごとに異なる。IFVDを用いた従来の構造であれば、例えば
図16に示すように、同一の不純物濃度で形成されたコンタクト層50上に、種類の異なる絶縁層51、52を形成して、空孔の拡散速度を制御している。これに対して、第1実施形態に係る半導体発光素子1では、コンタクト層を第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の二層構造とし、二層構造の積層方向の重なりが領域ごとに変更されている。このような層構造によって、第1コンタクト層26のみが形成された領域(第1領域)は、その不純物濃度が、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27が形成された領域(第2領域)の不純物濃度よりも小さい。すなわち、窓領域A1,A2に対応した領域である第1領域の不純物濃度が、窓領域A1,A2に対応していない領域である第2領域の不純物濃度よりも小さい。結晶膜中の不純物濃度が小さいほど空孔の拡散速度が大きくなることから、第1領域の方が第2領域に比べて空孔の拡散速度が大きくなる。すなわち、この半導体発光素子1によれば、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の不純物濃度を制御することで、第2領域に比べて第1領域において空孔を拡散させ、第1領域の下方に窓領域を形成することができる。このため、活性層21の窓領域A1,A2を一つ又は一種類の絶縁層28を用いて形成することが可能となる。よって、簡易な構成で活性層21の窓領域A1,A2を形成することができる。
【0031】
次に、第1実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法について
図3〜
図11を用いて説明する。
図3は、第1実施形態に係る半導体発光素子1の製造工程を説明するフローチャートである。
図4〜
図11は、各製造工程における半導体発光素子1の斜視図又は断面図である。
【0032】
まず、
図3に示すように、積層体の作製処理を行う(S10:半導体層形成工程、コンタクト層形成工程)。S10の処理では、MOCVD等を用いて積層体を作製する。
図4及び
図5に示すように、基板11上に、下部クラッド層24、下部ガイド層22、活性層21、上部ガイド層23、上部クラッド層25、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27を順に積層し、積層体を作製する。例えば、基板11としてn型のGaAs基板を用い、下部クラッド層24はn型のAlGaAs、下部ガイド層22はn型のAlGaAs、活性層21はAlInGaAs、上部ガイド層23はp型のAlGaAs、上部クラッド層25はp型のAlGaAsを用いて作製する。また、第1コンタクト層26は、p型のGaAsであって、Znの不純物濃度が1.0×10
18cm
−3となるようにドーピングして形成する(第1コンタクト層形成工程)。第2コンタクト層27は、p型のGaAsであって、Znの不純物濃度が1.8×10
20cm
−3となるようにドーピングして形成する(第2コンタクト層形成工程)。
【0033】
次に、積層体の上面に形成された第2コンタクト層27の部分エッチング処理を行う(S12:エッチング工程)。S12の処理では、ウェットエッチング等のエッチング手法により、窓領域A1,A2に対応する第2コンタクト層27の一部領域をエッチングする。
図6に示すように、第2コンタクト層27のX方向の両端部の近傍(幅L1,L2)をエッチングにより除去する。幅L1は窓領域A1の幅に対応し、幅L2は窓領域A2の幅に対応する。このようにエッチング領域が窓領域A1,A2に対応する。S12に示すエッチングによって、第1コンタクト層26の上面26aが露出する。幅L1,幅L2は例えば25μmである。
【0034】
次に、絶縁層28の成膜処理を行う(S14:絶縁層形成工程)。S14の処理では、プラズマCVD等を用いて絶縁層28を成膜する。
図7に示すように、露出した第1コンタクト層26の上面26a、及び、第2コンタクト層27の上面に絶縁層28を成膜する。絶縁層28として例えば100nmの厚さのSiNを成膜する。SiNの組成は、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の厚さやキャリア濃度によって決定される。ここでは一例として屈折率が1.9となるSiNの組成を用いる。
【0035】
次に、熱処理を行う(S16:熱処理工程)。熱処理によって、絶縁層28であるSiNに、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27に含まれるGaが吸収され、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27に空孔が生成される。空孔は熱エネルギーによって積層体内部へ拡散する。このとき、第1コンタクト層26のZn不純物濃度は、第2コンタクト層27のZn不純物濃度よりも小さいことから、第1コンタクト層26の方が第2コンタクト層27に比べて空孔の拡散速度が大きくなる。すなわち、
図8に示すように、第1コンタクト層26の上面26aと絶縁層28とが接触している領域(窓領域A1,A2に対応した領域)の下方へ空孔は拡散し、活性層21の両端部が混晶化される。一方、第2コンタクト層27の上面と絶縁層28とが接触している領域(窓領域A1,A2に対応していない領域)では空孔の拡散が抑制され、窓領域A1,A2以外の領域(非窓領域)は混晶化されない。このように、Znの不純物濃度を制御することで、窓領域A1,A2のみを選択的に混晶化することができる。
【0036】
熱処理温度は、窓領域A1,A2及び非窓領域のバンドギャップエネルギーが熱処理前後で異なる温度に設定される。
図9は、バンドギャップエネルギー変化量の熱処理温度依存性を示す測定結果である。横軸が熱処理温度、縦軸がバンドギャップエネルギーの変化量である。
図9に示すグラフは、屈折率1.9のSiNを絶縁層28として採用した半導体発光素子の熱処理前後において実行したフォトルミネッセンス測定によって得られた。具体的には、熱処理前にフォトルミネッセンス測定を行い、熱処理時間60sで熱処理した後にフォトルミネッセンス測定を再度行い、熱処理前後で変化した変化量を熱処理温度ごとにプロットしたものが
図9となる。このため、バンドギャップエネルギーの変化量が大きいほど混晶化の度合いが大きいといえる。
図9に示すように、820℃以上であれば混晶化が発生していることがわかる。860℃から急峻にバンドギャップエネルギーの変化量が大きくなっていることから、設定温度は860℃以上であってもよい。S16では、一例として、熱処理温度を900℃に設定する。熱処理時間は一例として60sである。この場合、バンドギャップエネルギーの変化量は、窓領域において59meV、非窓領域において3.5meVであり、十分なバンドギャップエネルギー差が得られている。
【0037】
次に、電流注入領域形成工程を行う(S18)。S18の処理では、
図10に示すように、エッチングにより絶縁層28をストライプ状に除去する。例えば100μmの幅でストライプ状に除去する。これにより、第1コンタクト層26の上面26a、及び第2コンタクト層27の上面27aが露出し、電流注入領域が形成される。
【0038】
次に、電極形成工程を行う(S20)。S20の処理では、
図11に示すように、積層体の上面にアノード電極部材30を形成する。例えば真空蒸着によってアノード電極部材30を形成する。その後、基板11の裏面を研磨して薄くした後、カソード電極部材31を形成する。そして、へき開により共振器を形成し、出射端面と反射端面にコーティングを施し、半導体発光素子1のチップが完成する。
【0039】
以上、第1実施形態に係る半導体発光素子1の製造方法では、絶縁層28と上部クラッド層25との間に介在するコンタクト層の不純物濃度を領域ごとに異なるように形成する。例えば、コンタクト層を第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の二層構造とし、二層構造の積層方向の重なりを領域ごとに変更する。例えば、窓領域A1,A2に対応する領域である第1領域には第1コンタクト層26のみを形成し、窓領域に対応していない領域である第2領域には第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27を形成する。これにより、窓領域A1,A2に対応した領域である第1領域の不純物濃度を、窓領域A1,A2に対応していない領域である第2領域の不純物濃度よりも小さくすることができる。結晶膜中の不純物濃度が小さいほど空孔の拡散速度が大きくなることから、第1領域の方が第2領域に比べて空孔の拡散速度が大きくなる。すなわち、この半導体発光素子1によれば、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の不純物濃度を制御することで、第2領域に比べて第1領域において空孔を拡散させ、第1領域の下方に窓領域A1,A2を形成することができる。このため、活性層21の窓領域A1,A2を一つ又は一種類の絶縁層28を用いて形成することが可能となる。よって、簡易な構成で活性層21の窓領域A1,A2を形成することができる。
【0040】
さらに、上述した実施形態では、第1領域上に形成された絶縁層28が、第2領域に形成された絶縁層28に比べて、第2コンタクト層27の厚さ分、活性層21の近くに配置されている。このような構成によって、第1領域の下方の方が第2領域の下方に比べてより混晶化されやすい。すなわち上記構成によって混晶化の選択性を向上させることができる。
【0041】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法は、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法とほぼ同様に構成され、コンタクト層の構成・製造工程のみが相違する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0042】
図12は、第2実施形態に係る半導体発光素子1における、熱処理前の積層体の側断面図である。
図12は、第1実施形態で説明した
図8に対応する。
図12に示すように、コンタクト層は積層方向に重なりを持たず、第1領域に第1コンタクト層26が形成され、第2領域に第2コンタクト層27が形成されている。例えば、上部クラッド層25上に第2コンタクト層27を形成した後に、両端部をエッチングし、その後第1コンタクト層26を選択成長させることにより、
図12に示す第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27を形成することができる。あるいは、上部クラッド層25上に第1コンタクト層26を形成した後に、中央部をエッチングし、その後第2コンタクト層27を選択成長させてもよい。その他の構造は第1実施形態と同様である。
【0043】
以上、第2実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法によれば、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法と同様の効果を奏するとともに、積層体の上面を平坦に形成することができるため、チップ表面を平坦にすることが可能となる。このため、例えばチップ上面をヒートシンクに実装する場合には、チップとヒートシンクとの間に隙間が形成されないため、温度制御を適切に行うことができる。
【0044】
また、選択成長させる際のコンタクト層の材料は、n型のGaAsであってもよい。このように選択成長させる膜を高抵抗膜又はn型の導電型を有する膜とすることで、光出射端面付近に電流が流れにくくなるため、ジュール熱による温度上昇を抑えることができる。よって、端面劣化の抑制効果を向上させることが可能となる。
【0045】
(第3実施形態)
第3実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法は、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法とほぼ同様に構成され、コンタクト層の構成・製造工程のみが相違する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0046】
図13は、第3実施形態に係る半導体発光素子1における、熱処理前の積層体の側断面図である。
図13は、第1実施形態で説明した
図8に対応する。
図13に示すように、コンタクト層は、第1コンタクト層26で形成され、その中央部に、周囲のZn不純物濃度よりも高い領域である高Zn不純物濃度領域29が形成されている。高Zn不純物濃度領域29は、例えばZn拡散法を用いて形成される。その他の構造は第1実施形態と同様である。
【0047】
以上、第3実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法によれば、第1実施形態及び第2実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法と同様の効果を奏する。
【0048】
(第4実施形態)
第4実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法は、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法とほぼ同様に構成され、コンタクト層の構成・製造工程のみが相違する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0049】
図14は、第4実施形態に係る半導体発光素子1における、熱処理前の積層体の側断面図である。
図14は、第1実施形態で説明した
図8に対応する。
図14に示すように、コンタクト層は、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27の二層構造によって構成されている。第2コンタクト層27は、その両端部27bに傾斜が設けられている。すなわち、窓領域A1,A2に対応する領域から窓領域A1,A2に対応しない領域に向けて傾斜的に膜厚が厚くなるように構成されている。第2コンタクト層27の両端部27bに傾斜を設けることで、第1コンタクト層26及び第2コンタクト層27には、第1領域と第2領域との間に、第1領域から第2領域に向かうに従い第1領域の不純物濃度から第2領域の不純物濃度となるように、不純物濃度の濃度勾配が設けられた第3領域が形成されることになる。この傾斜は例えばエッチングにより設けられる。その他の構造は第1実施形態と同様である。
【0050】
以上、第4実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法によれば、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法と同様の効果を奏するとともに、窓領域A1,A2と窓領域でない領域との間においてバンドギャップの不連続性を緩和することができるため、境界部分の特性悪化を抑制することが可能となる。
【0051】
(第5実施形態)
第5実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法は、第1実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法とほぼ同様に構成され、コンタクト層の構成・製造工程のみが相違する。以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、重複する説明は省略する。
【0052】
図15は、第5実施形態に係る半導体発光素子1における、熱処理前の積層体の側断面図である。
図15は、第1実施形態で説明した
図8に対応する。
図15に示すように、コンタクト層40は、領域によってZn濃度が異なるように形成されている。第1領域40aは、窓領域A1,A2に対応する領域であり、例えば第1実施形態の第1コンタクト層26と同様のZn不純物濃度とされる。第2領域40bは、窓領域A1,A2に対応しない領域であり、例えば第1実施形態の第2コンタクト層27と同様のZn不純物濃度とされる。第1領域40a及び第2領域40bとの境界は、第4実施形態と同様に、第1領域から第2領域に向かうに従い第1領域の不純物濃度から第2領域の不純物濃度となるように、不純物濃度の濃度勾配が設けられた第3領域が形成されてもよい。その他の構造は第1実施形態と同様である。
【0053】
以上、第5実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法によれば、第1実施形態、第2実施形態及び第4実施形態に係る半導体発光素子1及び製造方法と同様の効果を奏する。
【0054】
なお、上述した実施形態は、本発明に係る半導体発光素子の一例を示すものである。本発明に係る半導体発光素子は、実施形態に係る半導体発光素子に限られるものではなく、実施形態に係る半導体発光素子を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。
【0055】
例えば、上述した実施形態では、活性層21の材料としてAlInGaAsを用いる場合を例に説明したが、他の材料であってもよい。また、ナローストライプ型のシングルモード半導体レーザであってもよい。また、半導体発光素子を構成する層間(基板11と層との間も含む)にバッファ層等を介在させてもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、p型の不純物としてZnを用いる例を説明したが、Mg又はC等の一般的なp型不純物であってもよい。また、p型の不純物としてZnを他のp型不純物と複合化させて含有したものであってもよい。
【0057】
また、上述した実施形態では、半導体発光素子のチップ単体を抜き出して概説したが、実際の製造工程のように、ウエハ状態で実施し、へき開で共振器を作製(棒状態)とし、その後、端面にコーティングした後、切断してチップ状態にしてもよい。
【0058】
さらに、上述した実施形態では、n型の基板11を用いた半導体発光素子1について説明したが、p型の基板を用いて、実施形態のn型とp型を入れ替えて構成される半導体発光素子に適用した場合であっても、素子抵抗の低減を図ることができる。