(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、扉を最大限開放した状態では、開いた扉が通路を塞いだり、人や物が扉にあたって扉が閉まってしまったりするという問題がある。そのため、冷却運転を行わないときに扉を必要なだけ開放したまま保持することが望まれている。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、扉を必要なだけ開放したまま保持することができる冷却庫を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の冷却庫は、収納室の前面に開口部を有する冷却庫本体と、前記開口部の側縁に縦軸周りに揺動開閉可能に支持された扉と、前記扉と前記冷却庫本体との間に着脱自在に介在させることが可能とされ、前記扉と前記冷却庫本体との間に介在させた場合に、前記扉と前記収納室の外縁部とに対してそれぞれ当接し、前記扉と前記冷却庫本体とを所定の角度の開扉状態に保持可能なスペーサと、を備えることに特徴を有する。
上記構成によれば、冷却運転を行わないときに、冷却庫本体と扉の間にスペーサを介在させることで、扉と冷却庫本体の間に隙間を設けることができ、所定の角度の開扉状態に扉を保つことができるようになる。また、スペーサの寸法次第で開扉角度を決定することができるため、開いた扉が通路を塞いだり、人や物が扉にあたって扉が閉まってしまったりする問題を回避することが可能となる。
【0006】
また、上記課題を解決するための手段として、以下のような構成としてもよい。
(1)前記スペーサは、平面視略台形形状をなす天板であって、その台形形状を構成する互いに平行な底辺部と、前記底辺部に略直角の角度をなす第1脚部と、前記第1脚部に対向する第2脚部とを有する天板と、前記天板の前記第1脚部から略垂直下方に延伸して前記収納室の外縁部と当接する本体側当接部と、前記天板の前記第2脚部から略垂直下方に延伸して前記扉の外側と当接する第1扉側当接部と、前記第1扉側当接部から前記扉の厚さ分だけ前記本体側当接部側に位置し、前記第1扉側当接部と略平行に配され、前記扉の内側と当接する第2扉側当接部と、を有する構成。
この場合、スペーサの第1扉側当接部と第2扉側当接部とで扉を挟み込んだうえで、スペーサが本体に当接する構成であるため、使い勝手が良い。また、天板の第1脚部と第2脚部とのなす角度が、扉の開扉角度となり、第1脚部と第2脚部の角度によって、開扉角度を決定することができるようになる。
【0007】
(2)前記収納室を冷却する冷却器と、前記冷却器からの冷気を送風するための冷却ファンと、をさらに備え、前記スペーサを前記扉と前記冷却庫本体との間に介在させた場合には、前記冷却器は作動せず、前記冷却ファンは作動する構成。
このような構成にすると、スペーサを用いる際(すなわち開扉状態を保つ際)に、冷却庫の冷却ファンを作動させることで、収納室内の空気の循環を良くし、庫内の乾燥を早めることができる。また、冷却器は作動せず、冷却ファンのみが作動するため、冷却運転よりもランニングコストが安価な送風運転をすることができる。
【0008】
(3)前記冷却庫本体は、前記スペーサを前記扉と前記冷却庫本体との間に介在させない場合に、前記扉に設けられた被検知部を検知することに基づいて前記扉の開閉状態を認識する検知手段を備え、前記冷却ファンは、前記検知手段が検知を行った場合に限って作動するものとされており、前記スペーサには、当該スペーサを前記扉と前記冷却庫本体との間に介在させた場合に前記検知手段にて検知可能な被検知部を備えている構成。
この場合、スペーサを用いない通常の開扉状態では、扉に設けられた被検知部を検知手段が検知しないため、冷却ファンが作動しない。一方、スペーサを用いた場合の開扉状態では、スペーサに被検知部を設けているため、検知手段がスペーサの被検知部を検知することで、冷却ファンを作動させることができる。つまり、スペーサを用いない通常の開扉状態と、スペーサを用いた開扉状態とで、冷却ファンなどの作動を変更することができる。
【0009】
(4)前記収納室内に配される紫外線発光ランプと、前記紫外線発光ランプの点灯・消灯を切り替えるランプスイッチ手段と、を有しており、前記冷却ファンが作動している場合に、前記ランプスイッチ手段のスイッチング作動を無効化させるスイッチ無効化手段を備えている構成。
例えば、スペーサを用いた開扉状態にあるときに紫外線発光ランプが作動すると、扉と本体の隙間からユーザが紫外線を見てしまうことになり有害である。ところで、スペーサによって扉を開扉している際には、上述の通り冷却ファンを作動している。そのため、スイッチ無効化手段により、冷却ファンが作動しているときには、紫外線ランプを点灯しようとしても点灯できないようにすることで、スペーサを用いた開扉状態において紫外線発光ランプを点灯させることができず、扉と本体の隙間からユーザが紫外線発光ランプの光を見ることがないようにできる。
【0010】
(5)前記スペーサと前記扉には、互いを位置合わせするための目印が設けられている。
この場合、予め決められた位置でのスペーサ使用が可能となり、適切な角度での開扉状態を保つことができるようになる。また、検知手段を用いているときに、スペーサが適切な位置にないと検知手段が被検知部を検知することができないが、扉側とスペーサ側に位置合わせをするための目印を設けておけば、スペーサを所定の位置に位置決めすることで、検知手段による被検知部の検知を確実に行うことができるようになる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、冷却運転を行わないときに、扉を必要なだけ開放したまま保持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
以下、本発明の実施形態1を
図1ないし
図11に基づいて説明する。この実施形態では、本発明の冷却庫を急速冷却庫に適用した場合を例示している。
本実施形態の急速冷却庫は、
図1に示すように、機械室11の上面に冷却庫本体10(以下、単に本体10という)が載置され、機械室11の底面に配された脚12によって支持されている。
【0014】
本体10は前面が開口された縦長の断熱箱体からなり、同本体10の前面開口部13には、断熱扉50が、正面から見た左側縁を中心として揺動開閉可能に装着されている。
断熱扉50は、少なくとも表面と周面とがステンレス鋼板等の金属板で形成されている。
図2に示すように、断熱扉50の裏面の周縁にはマグネットパッキン52が装着されているとともに、前面開口部13の周縁部にはマグネットが埋設されており、断熱扉50の閉鎖時には、マグネットパッキン52が前面開口部13の周縁部に吸着されて密着し、前面開口部13を密閉するようになっている。
【0015】
本体10の内部すなわち庫内では、
図2及び
図3に示すように、正面から見た右側の6割程度の領域が、食品の収納室15とされ、残りの左側の領域が、冷却ユニット20の設置室17となっている。
冷却ユニット20は、冷却器21と2個の冷却ファン22とを組み付けてユニット化したものである。冷却器21は、庫内の高さよりも若干低い高さ寸法と、同庫内の奥行きの半分強の幅とを持った縦長のブロック状に形成され、収納室15側の面と、その反対側の面の両面に開口部を設けた冷却器カバー21Aに収められている。一方、冷却ファン22は、ファンケース22A内に縦方向に2個並んで配置されており、同ファンケース22Aが、冷却器カバー21Aの正面側に揺動開閉可能に取り付けられることで、冷却ユニット20が形成されている。冷却ユニット20では、冷却器21の直前において2個の冷却ファン22が上下に並んで配された状態となる。なお、冷却運転時や送風運転時には、ファンケース22Aが閉じられた状態で、冷却ファン22が運転される。
【0016】
このような冷却ユニット20が庫内の左側の設置室17に設置され、より詳細には、庫内の高さ方向並びに奥行方向のほぼ中央部において、冷却器カバー21Aの背面(収納室15とは反対側の面)と庫内の左側壁10Lとの間に所定の間隔を開けた形態で設置されている。また、冷却器21に対して出し入れされる冷媒管23が、機械室11内に装備された冷凍装置(図示せず)と循環接続されて、冷凍回路が構成されている。
【0017】
庫内右側の収納室15には、ホテルパン等のトレイTが複数段にわたり、前方から出し入れされて収納可能となっている。そのため、収納室15の左右の側面となる冷却ユニット20におけるファンケース22Aの正面板と、庫内の右側壁10Rとには、一対のトレイ受け25が対向して取り付けられるようになっている。
トレイ受け25はステンレス鋼線等の線材を素材として形成され、大まかには、縦長の長方形をなす枠体を有し、両縦枠の間に載置棒27が一定のピッチで複数段(図示12段)にわたって差し渡されているとともに、枠体の四隅の位置に、縦長の環形をなす取付部が形成されている。
【0018】
一方、ファンケース22Aの正面板と、庫内(収納室15)の右側壁10Rとには、それぞれ対応する4箇所に取付具が取り付けられていて、各トレイ受け25は、四隅の取付部を対応する取付具に掛止することにより、収納室15の左右の側面に対向した形態で着脱可能に取り付けられるようになっている。そしてトレイTは、
図2に示すように、左右のフランジを同じ段で対向した載置棒27に載せつつ、前方から出し入れされて収納されるようになっている。
【0019】
冷却運転は、冷凍装置(圧縮機)と冷却ファン22とが駆動されることで行われ、
図3の矢線に示すように、収納室15の空気がファンケース22Aを通って冷却ユニット20内に吸引されて冷却器21を通過する間に冷気が生成され、冷却ユニット20の背面側に吹き出された冷気が、庫内の左側壁10Lに当たって手前と奥に分かれて同冷却ユニット20の手前側と奥側の側面に回り込んだのち、一部が右側壁10R側まで流通しつつ収納室15に送り込まれるといった循環流を生じ、これによりトレイTに入れられた食品が急速冷却されるようになっている。なお、冷却ファン22のみを駆動して送風運転を行うことも可能である。
【0020】
また、収納室15の右側壁10Rには、
図4に示すように、紫外線発光ランプ34を備えた殺菌装置30が設けられている。収納室15の右側壁10R、詳細にはトレイ受け25の装着領域内における奥行方向のほぼ中央部で、かつ上部寄りの位置にはランプ収納ケース33が埋設されている。このケース33は、庫内側に開口を有する箱形をなし、その開口部には、保護カバー35が、設けられている。紫外線発光ランプ34は、ガラス管内に発光部が挿入された直管タイプであって、同紫外線発光ランプ34が2本、収納室15側から見て左右方向に並んで配されている。
【0021】
機械室11の正面における上部位置には操作パネル60が装備され、操作パネル60には、
図11に示すように、各種操作ボタン等が配備された操作部61と、情報等を表示する表示部62とが設けられている。操作ボタンの操作により、運転モードの設定や、庫内温度の設定等が行われ、それらが表示部62で表示されるようになっている。操作部61には、上記した紫外線発光ランプ34のオンオフを切り替えるランプボタン61Aと、冷却ファン22の送風運転のオンオフを切り替える送風ボタン61Bとが含まれる。
また、
図2に示すように、断熱扉50の上縁には被検知部材であるマグネット54が設けられる一方、本体10の前面開口部13の上縁には、同マグネット54に感応する近接スイッチからなる扉スイッチ(検知手段)65が設けられて、マグネット54の検知状態に応じて、断熱扉50の開閉状態を認識するようになっている。扉スイッチ65がマグネット54等の被検知部材を検知しているときには、冷却ファン22を運転可能とし、紫外線発光ランプ34を点灯可能とする(ランプボタン61Aを押したときに通常は点灯する)。一方、扉スイッチ65がマグネット54等の被検知部材を検知しないときには、冷却ファンの運転を不可能とし(送風ボタン61Bを押しても作動しないようにし)、紫外線発光ランプ34を消灯する。このように扉スイッチ65がマグネット54等を検知している場合のみ送風運転を可能とすることで、通常の開扉状態(トレイTを出し入れする状態や洗浄作業を行っている状態)で、ファンケース22Aが開いている場合に誤って送風ボタン61Bを押しても、冷却ファン22が回転することがない。
【0022】
次に、上記急速冷却庫を開扉状態に保持するためのスペーサ40について
図5ないし
図10に基づいて説明する。
スペーサ40は、平面視略台形形状をなす天板46を備えている。天板46は、その台形形状を構成する互いに平行な底辺部46a,46aと、底辺部46a,46aに略直角の角度をなす第1脚部46bと、第1脚部46bに対向するもう一方の第2脚部46cとからなる台形形状となっている。この台形の脚部46b、46cのなす角度が、本スペーサ40により設定される「本体10と断熱扉50の開扉角度」となっている。この開扉角度は、スペーサ40を用いて開扉している際に、空気を入れ替えられる程度に空いていればよい。つまり、断熱扉50の内面が本体10の庫外に露出され、本体10と断熱扉50の間に隙間が設けられていればよい。なお、庫内の空気の入れ替えの効率という点では、開扉角度は大きい方が望ましいが、開扉角度が大きいと人や物が断熱扉50にぶつかってしまうため、開扉角度は、人や物の妨げにならない程度で、空気を入れ替えられる範囲で適宜決められる。また、開扉角度が大きいと、後述する庫内の乾燥の際に、作動している冷却ファン22にユーザが手で触れるおそれがあり、危険である。そのため、ユーザの手が奥まで入らない程度の開扉角度とすることが好ましい。
また第1脚部46b及び第2脚部46cの長さ(スペーサ40の幅)は、断熱扉50を開扉状態に保つための強度が確保できる程度の長さがあればよく、適宜決めることができる。
【0023】
また天板46には、上側の面の第1脚部46bの近傍で、第1脚部46bの長さ(スペーサ40の幅)の略中央近辺に被検知部材であるマグネット49が設けられている。断熱扉50と本体10の間にスペーサ40を介在させる際に、マグネット49が、断熱扉50のマグネット54の代わりに扉スイッチ65に検知される。
【0024】
また、スペーサ40には、天板46の第1脚部46bから略垂直下方に延伸して、略長方形状の本体側当接部45が設けられている。さらに、スペーサ40には、天板46の第2脚部46cから略垂直下方に延伸して、略長方形状の第1扉側当接部41が設けられている。天板46と本体側当接部45と第1扉側当接部41は一枚の板金を折り曲げ加工して一体的に成形している。もちろん、それぞれの部材を切り出した後、天板46に溶接して成形するようにしてもよい。
また、スペーサ40には、第1扉側当接部41から断熱扉50の厚さ分だけ本体側当接部45側に位置し、第1扉側当接部41と略平行に配され、前記扉の内側と当接する第2扉側当接部42が設けられている。第2扉側当接部42は、断熱扉50に当接する部分42cと、天板46に取り付けられる部分42dとの断面略L字形状の部材からなっている。天板に取り付けられる部分42dは、天板46に対して例えば接着部材等で取り付けられている。なお、接着部材で取り付ける代わりに、螺子等で取り付けても良い。
【0025】
第1扉側当接部41と第2扉側当接部42とは、断熱扉50から離れる方向に向かって傾斜をつけたガイド部41a、42aを有している。
第1扉側当接部41には断熱扉50に当接する側の面にマグネット43が貼り付けられている。また、本体側当接部45には本体に当接する側の面にクッション部材48が貼り付けられている。なお、第1扉側当接部41の断熱扉に当接する側の面に、マグネット43の代わりにクッション部材を貼り付けるようにしてもよい。
【0026】
第1扉側当接部41の正面側には、
図7、
図8に示すように、ガイド部41aにかからない位置に、
図8に示すような下向きの矢印マーク47が設けられている。断熱扉50の上部にも上向きの矢印マーク53が設けられ、矢印マーク47と矢印マーク53の先端同士を合わせることによって位置合わせされ、スペーサ40の取り付け位置が決められる。なお、本体側当接部45が本体10に当接した際に、マグネット49の位置が扉スイッチ65の近傍になる(扉スイッチ65がマグネット49を検知する)ように位置合わせされている。なお、位置合わせをするための手段は、矢印マークに限らず、取り付け位置がわかれば他の目印等でもよい。
【0027】
続いて、本実施形態の急速冷却庫の使用方法について説明する。当該急速冷却庫は、加熱調理後の食品を短時間で冷却することに用いられる。
調理後の食品はトレイTに入れられ、同トレイTは、左右のトレイ受け25の同じ段の載置棒27で受けられつつ、最大12段にわたって収納室15内に収納される。
トレイTの収納が完了したら、断熱扉50を閉じてスタートボタンをオンすることにより急速冷却運転が開始され、すなわち冷凍装置(圧縮機)と冷却ファン22とが運転されると、
図3の矢線に示すように、冷気が収納室15に循環流通され、これによりトレイTに入れられた食品が急速冷却される。芯温センサによって食品が所定温度まで冷却されたことが検知されると急速冷却運転が停止され、必要に応じて保冷運転に切り替わる。
【0028】
その後、食品を取り出す際に、断熱扉50を開いてトレイTが庫外に出される。トレイTが出されたら、断熱扉50を閉じて次の急速冷却運転が開始されるまで待機する。この間に、庫内の壁面等の殺菌を行う場合には、ランプボタン61Aを押すことにより紫外線発光ランプ34を点灯する。そうすると、
図4の矢線に示すように、紫外線発生ランプ34からの紫外線が保護カバー35を通して収納室15の壁面に向けて照射され、同壁面に付着した雑菌、さらには同収納室15に浮遊した雑菌が有効に殺菌される。なお、本急速冷却庫にはランプボタン61Aの作動(スイッチング作動)を無効化させる制御を備えており、具体的には、断熱扉50が開けられると、マグネット54,49を扉スイッチ65が検知しなくなることにより、ランプボタン61Aの作動(スイッチング作動)を無効化させる制御を行い、紫外線発光ランプ34が消灯するものとなっている。なお、このような制御は、殺菌装置30内に備えられる制御装置により行われるものとされている。
【0029】
また、トレイTを取り出した後、庫内の乾燥を行う場合には、
図7に示すように断熱扉50の上部からスペーサ40をはめ込む。第1扉側当接部41と第2扉側当接部42には、ガイド部41a、42aがあるので、断熱扉50に対し上側からスペーサ40をはめる際に、ガイド部41a、42aの傾斜面に沿って、第1扉側当接部41と第2扉側当接部42との間に断熱扉50が挟み込まれる。断熱扉50がスペーサ40に挟み込まれた状態では、
図9に示すように、マグネット43が断熱扉50の外側に当接する。断熱扉50は磁性を帯びた素材で少なくとも表面が作られているので、マグネット43がその外側表面に当接することで、磁力でくっつき、スペーサ40は簡単に動いたり、外れたりしなくなる。また、第2扉側当接部42は、マグネットパッキン52に当接している。そして、スペーサ40を断熱扉50に挟み込んだ状態で断熱扉50を閉めると、
図10に示すように、スペーサ40の本体側当接部45が本体10の収納室15の外縁部に当接し、所定の角度での開扉状態を保つことができる。なお、本体側当接部45にはクッション部材48が設けられていることから、断熱扉50を閉める際に、本体10にはクッション部材48が当接し、本体10とスペーサ40が当接した際の衝撃を和らげることができる。
【0030】
なお、スペーサ40を断熱扉50に取り付ける際には、
図8に示すようにスペーサ40の矢印マーク47と、断熱扉50の矢印マーク53の矢印の先端同士が合うように位置合わせをする。このように位置合わせをすることで、天板46に設けられたマグネット49が、本体10の扉スイッチ65に近接し、扉スイッチ65がマグネット49を検知することで、送風運転等を行えるようにする。また、スペーサ40を所定の位置に取り付けることで、断熱扉50を閉めた際に、本体側当接部45(クッション部材48)が、本体10に面で当接し、所定の開扉角度を保持することができる。もし、所定の位置に取り付けられていない場合には、本体側当接部45の長方形の面の短辺と本体10が当接してしまい、所定の角度の閉扉状態を保持できない場合がある。
【0031】
スペーサ40を用いて本体10と断熱扉50を所定の開扉状態にした後、庫内の乾燥のために送風運転を行うことができる。送風運転を行うには、操作パネル60の送風ボタン61Bを押す。なお、送風ボタン61Bを押しても、扉スイッチ65がマグネット49を検知していない場合には、冷却ファン22は作動しない。一方、送風ボタン61Bを押した際に、扉スイッチ65がマグネット49を検知している場合には、冷却ファン22が作動し、収納室15内の空気を循環させる。この際、スペーサ40によって、断熱扉50と本体10の間に隙間が空いていることから、この隙間から空気が入れ替わり、庫内の乾燥が早く進む。なお、このような制御は、例えば本体10内に備えられる冷却ファン制御装置により行われるものとされている。
【0032】
なお、送風運転をしているときは、スペーサ40を用いて庫内の乾燥を行っているときである。そのため、送風運転をしている場合には、紫外線発生ランプ34を点灯させようとランプボタン61Aを押しても、そのボタンの動作を無効とし、紫外線発光ランプ34を点灯させない制御を行う。このようにすることで、断熱扉50と本体10の間の隙間から、ユーザが紫外線発光ランプ34を目視してしまうことを防ぐことができるようになる。
【0033】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、上記実施形態1を概念的に捉えると以下のように記述することができる。
(概念1)
本体側当接部45と、第1扉側当接部41と、第2扉側当接部42とが、その板面が略長方形形状をなす板状部材からなることを特徴とする冷却庫。
(概念2)
第1側扉当接部41と、第2扉側当接部42とは、互いに離れる方向に向かって傾斜をつけたガイド部41a,42aを有することを特徴とする冷却庫。
(概念3)
第2扉側当接部42は、断面L字型形状の部材で形成され、当該L字の一片42cが扉と当接する一方、他片42dが天板46に取り付けられることを特徴とする冷却庫。
(概念4)
第1扉側当接部41は、扉50と当接する側に磁石43を有していることを特徴とする冷却庫。
(概念5)
第1扉側当接部41は、扉50と当接する側にクッションを有していることを特徴とする冷却庫。
(概念6)
扉50はその外縁部に密閉を保持するためのパッキン52を有しており、
第2扉側当接部42は、パッキン52に当接していることを特徴とする冷却庫。
(概念7)
本体側当接部41は、収納室15の外縁部と当接する側にクッション48を有していることを特徴とする冷却庫。
【0034】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図12ないし
図13によって説明する。この実施形態では、実施形態1からスペーサの形状に変更が加えられている。なお、以下の実施形態2において、上記実施形態1と同様の部材には、上記実施形態1と同符号を付して図示及び説明を省略する。
スペーサ140は、平面視略長方形形状をなす天板146と、コの字型形状をなす挟み込み部材141と、を備えている。天板146の1つの短辺には、該短辺から略垂直下方に延伸して、略長方形状の収納室15の外縁部と当接する本体側当接部145が設けられている。本体側当接部145の本体10と接する側には、クッション部材148が設けられている。
また、天板146の上面には、マグネット149が設けられ、扉スイッチ65と近接した際に、被検知部材として作動する。
【0035】
挟み込み部材141は、断熱扉50の外側と当接する第1扉側当接部144と、第1扉側当接部144と対向して、略平行に断熱扉50の厚さ分だけ離れた位置に設けられ、断熱扉50の内側と当接する第2扉側当接部142と、天板146に当接する天板側当接部143からなっている。
第1扉側当接部144の扉側の面にはマグネットまたはクッションが設けられている。
また、第1扉側当接部144及び第2扉側当接部142には、互いに離れる方向に向かって傾斜をつけたガイド部142a、144aが設けられている。
【0036】
天板側当接部143の天板146に取り付けられる面には、フック状の係止部材143a、143bが設けられている。
天板146には係止部材143a、143bを係止する孔146a、146bが設けられている。孔146bは断熱扉50の角度を変更できるように、複数(
図12では3つ)設けられている。孔146bの数は、天板146の強度が落ちない程度に適宜の数を設けることができる。また、孔146aは、孔146bよりも多少大きくなっている。これは、係止部材143aの取り付け角度が変更されるため、それに対応するためである。
係止部材143bを、孔146b1〜146b3のいずれかに挿入し、係止部材143aを孔146aに挿入して、そのフックが天板146に係止されると、挟み込み部材141は天板146に係止され、取り付けられる。
【0037】
図13は、孔146aと孔146b1に係止部材143aと143bを挿入した場合の、スペーサ140を下から見た場合の図である。破線で表すように、孔146aと孔146b2、孔146aと孔146b3に係止部材143aと143bを挿入すると、挟み込み部材141の天板146に対する角度が変更される。
その結果、スペーサ140を断熱扉50に挟み込んだ場合の断熱扉50と本体10の開扉の角度が変更される。
なお、係止部材をフック形状のもので説明したが、螺子等他の手段で係止してもよい。
【0038】
以上、本発明に係る一実施形態を説明したが、上記実施形態2を概念的に捉えると以下のように記述することができる。
(概念)
スペーサ140は、平面視略長方形形状をなす天板146と、
天板146の1つの短辺から略垂直下方に延伸して収納室15の外縁部と当接する本体側当接部145と、
コの字型形状をなす部材であって、扉50の外側と当接する第1扉側当接部144と、第1扉側当接部144と対向して略平行に扉50の厚さ分だけ離れた位置に設けられ、扉50の内側に当接する第2扉側当接部142と、天板146に当接する天板側当接部143からなる挟み込み部材141と、を有しており、
天板146には複数の孔146a,146b1,146b2,146b3が設けられ、
挟み込み部材141の天板側当接部143には複数の孔146a,146b1,146b2,146b3から選択される2以上の孔に係止可能な係止部材143a,143bが設けられるとともに、
複数の孔146a,146b1,146b2,146b3は、係止部材143a,143bを係止する当該孔の選択により、挟み込み部材141の天板146に対する角度が変化するように配されていることを特徴とする冷却庫。
なお、実施形態1の概念1ないし概念7に記載の冷却庫は、本実施形態2の概念においても実施することが可能である。
このように構成することで、あらかじめ決められた一つの角度のほかに、ユーザの希望に応じて複数の角度で開扉を行うことができる。
【0039】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施形態1では、第2扉当接部45を別部材で形成する構成を説明したが、天板等と一体的に成形するようにしてもよい。
(2)断熱扉の裏面に、マグネットを備えない通常のパッキンを装着した形式の扉装置にも、本発明は同様に適用可能である。
(3)庫内の乾燥を、一日の終業時の庫内の掃除が終了した後に行う場合や、次の急速冷却を行うまでの比較的長い待機時間を利用して行うような場合の便宜のために、作動された送風ファンが所定時間経過したら消灯するような自動消灯機能を備えるとよい。
(4)本発明は上記実施形態に例示した急速冷却庫に限らず、収納室に食品を収納して冷却運転を行うことと、冷却された食品を庫外に出して待機することとを交互に行う形式の冷却庫全般に広く適用することができる。