(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1家具構成体の第1フレームの端部と、第2家具構成体の第2フレームの端部とが、角度調節器を介して前記第1フレームと前記第2フレームとの間の角度を調節可能に連結されており、
前記角度調節器は、第1取付け部と第2取付け部とを備えるとともに、前記第1取付け部は前記第2取付け部に対して相対的に回転可能であり、
前記第1フレームの端部が前記角度調節器の前記第1取付け部に取り付けられるとともに、前記第2フレームの端部が前記角度調節器の前記第2取付け部に取り付けられており、
前記第1取付け部と前記第2取付け部とのうち少なくとも一方の取付け部は、筒状に形成されるとともに、その周壁が軸方向に延びた分断部で分断されており、
前記一方の取付け部に取り付けられる前記フレームの端部は、筒状に形成されるとともに、前記一方の取付け部に外嵌されており、
前記一方の取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とが、かしめ固定部として、内側へ塑性変形されることにより、前記一方の取付け部に前記フレームの端部がかしめ固定されていることを特徴とする家具。
第1家具構成体の第1フレームの端部と、第2家具構成体の第2フレームの端部とが、角度調節器を介して前記第1フレームと前記第2フレームとの間の角度を調節可能に連結されており、
前記角度調節器は、第1取付け部と第2取付け部とを備えるとともに、前記第1取付け部は前記第2取付け部に対して相対的に回転可能であり、
前記第1フレームの端部が前記角度調節器の前記第1取付け部に取り付けられるとともに、前記第2フレームの端部が前記角度調節器の前記第2取付け部に取り付けられた家具の製造方法であって、
角度調節器の第1取付け部と第2取付け部とのうち少なくとも一方の取付け部は、筒状に形成されるとともに、その周壁が軸方向に延びた分断部で分断されており、
前記一方の取付け部に取り付けられるフレームの端部は筒状に形成されており、
前記フレームの端部を前記一方の取付け部に外嵌し、その後、
前記一方の取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とを、かしめ固定部として、かしめパンチに形成された押圧部で前記フレームの端部の外側から内側へ押圧して塑性変形させることより、前記一方の取付け部に前記フレームの端部をかしめ固定することを特徴とする家具の製造方法。
前記かしめ固定部への押圧力によって前記フレームの端部の前記周壁全体が偏平状に変形しないように前記周壁の外周面を拘束した状態で、前記かしめパンチの前記押圧部で押圧する請求項4〜8のいずれかに記載の家具の製造方法。
フレームの筒状の端部を、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌した状態で前記取付け部にかしめ固定するかしめ固定装置であって、
1軸方向に駆動されるかしめパンチを具備し、
前記かしめパンチには2つの押圧部が互いに離間して形成されており、
前記かしめパンチの前記2つの押圧部は、フレームの端部の外側にて、取付け部の周壁における分断部にて対峙する一対の分断縁部を跨ぐ態様に配置されるものであり、
前記かしめパンチは、フレームの端部の外側から内側へ駆動されるものとなされていることを特徴とするかしめ固定装置。
フレームの筒状の端部が、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌された状態で前記取付け部にかしめ固定されたフレームと角度調節器の取付け部との連結構造であって、
前記取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とが、かしめ固定部として、内側へ塑性変形されることにより、前記取付け部に前記フレームの端部がかしめ固定されていることを特徴とするフレームと角度調節器の取付け部との連結構造。
フレームの筒状の端部を、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌した状態で前記取付け部にかしめ固定するフレームと角度調節器の取付け部との連結方法であって、
取付け部の周壁における分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応するフレームの端部の周壁の両部分とを、かしめ固定部として、かしめパンチに形成された押圧部で前記フレームの端部の外側から内側へ押圧して塑性変形させることより、前記取付け部に前記フレームの端部をかしめ固定することを特徴とするフレームと角度調節器の取付け部との連結方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
而して、上述したように第1取付け部112の周壁113の下端部は下分断部113bで分断されており、そのため、この部分をかしめパンチの押圧部で押圧すると、
図25に示すように、下分断部113bが開くように塑性変形される。このようになると、背フレーム103の端部の第1取付け部112への固定強度、即ち背フレーム103と第1取付け部112との連結強度が低下するという問題が発生する。
【0009】
本発明は、上述した技術背景に鑑みてなされたもので、その目的は、フレームと角度調節器の取付け部との連結強度が高い家具、その製造方法、かしめ固定装置、フレームと角度調節器の取付け部との連結構造、及び、フレームと角度調節器の取付け部との連結方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は以下の手段を提供する。
【0011】
[1] 第1家具構成体の第1フレームの端部と、第2家具構成体の第2フレームの端部とが、角度調節器を介して前記第1フレームと前記第2フレームとの間の角度を調節可能に連結されており、
前記角度調節器は、第1取付け部と第2取付け部とを備えるとともに、前記第1取付け部は前記第2取付け部に対して相対的に回転可能であり、
前記第1フレームの端部が前記角度調節器の前記第1取付け部に取り付けられるとともに、前記第2フレームの端部が前記角度調節器の前記第2取付け部に取り付けられており、
前記第1取付け部と前記第2取付け部とのうち少なくとも一方の取付け部は、筒状に形成されるとともに、その周壁が軸方向に延びた分断部で分断されており、
前記一方の取付け部に取り付けられる前記フレームの端部は、筒状に形成されるとともに、前記一方の取付け部に外嵌されており、
前記一方の取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とが、かしめ固定部として、内側へ塑性変形されることにより、前記一方の取付け部に前記フレームの端部がかしめ固定されていることを特徴とする家具。
【0012】
[2] 前記一方の取付け部の前記周壁の前記両分断縁部同士が突き合わされた状態に前記一方の取付け部に前記フレームの端部がかしめ固定されている前項1記載の家具。
【0013】
[3] 前記かしめ固定部が前記分断部の延びる方向に離間して複数、設けられている前項1又は2記載の家具。
【0014】
[4] 第1家具構成体の第1フレームの端部と、第2家具構成体の第2フレームの端部とが、角度調節器を介して前記第1フレームと前記第2フレームとの間の角度を調節可能に連結されており、
前記角度調節器は、第1取付け部と第2取付け部とを備えるとともに、前記第1取付け部は前記第2取付け部に対して相対的に回転可能であり、
前記第1フレームの端部が前記角度調節器の前記第1取付け部に取り付けられるとともに、前記第2フレームの端部が前記角度調節器の前記第2取付け部に取り付けられた家具の製造方法であって、
角度調節器の第1取付け部と第2取付け部とのうち少なくとも一方の取付け部は、筒状に形成されるとともに、その周壁が軸方向に延びた分断部で分断されており、
前記一方の取付け部に取り付けられるフレームの端部は筒状に形成されており、
前記フレームの端部を前記一方の取付け部に外嵌し、その後、
前記一方の取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とを、かしめ固定部として、かしめパンチに形成された押圧部で前記フレームの端部の外側から内側へ押圧して塑性変形させることより、前記一方の取付け部に前記フレームの端部をかしめ固定することを特徴とする家具の製造方法。
【0015】
[5] 前記一方の取付け部の前記周壁の前記両分断縁部同士が突き合わされるように、前記かしめパンチの前記押圧部で押圧する前項4記載の家具の製造方法。
【0016】
[6] 前記かしめパンチは、1軸方向に駆動されるものであり、
前記かしめパンチには2つの前記押圧部が互いに離間して形成されており、
前記かしめパンチの前記2つの押圧部を、前記フレームの端部の外側にて前記両分断縁部を跨ぐ態様にして配置し、
次いで、前記かしめパンチを駆動させることにより、前記かしめパンチの前記2つの押圧部で同時に押圧する前項4又は5記載の家具の製造方法。
【0017】
[7] 前記かしめパンチは板状に形成されるとともに、前記かしめパンチの先端縁部に前記2つの押圧部が形成されている前項6記載の家具の製造方法。
【0018】
[8] 前記かしめパンチは、前記かしめパンチの駆動方向に駆動されるパンチ取付け体に、前記分断部の延びる方向に離間して複数個取り付けられており、
前記パンチ取付け体を駆動させることにより、前記複数個のかしめパンチを一括して同時に駆動させる前項6又は7記載の家具の製造方法。
【0019】
[9] 前記かしめ固定部への押圧力によって前記フレームの端部の前記周壁全体が偏平状に変形しないように前記周壁の外周面を拘束した状態で、前記かしめパンチの前記押圧部で押圧する前項4〜8のいずれかに記載の家具の製造方法。
【0020】
[10] フレームの筒状の端部を、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌した状態で前記取付け部にかしめ固定するかしめ固定装置であって、
1軸方向に駆動されるかしめパンチを具備し、
前記かしめパンチには2つの押圧部が互いに離間して形成されており、
前記かしめパンチの前記2つの押圧部は、フレームの端部の外側にて、取付け部の周壁における分断部にて対峙する一対の分断縁部を跨ぐ態様に配置されるものであり、
前記かしめパンチは、フレームの端部の外側から内側へ駆動されるものとなされていることを特徴とするかしめ固定装置。
【0021】
[11] 前記かしめパンチは板状に形成されるとともに、前記かしめパンチの先端縁部に前記2つの押圧部が形成されている前項10記載のかしめ固定装置。
【0022】
[12] 前記かしめパンチは、前記かしめパンチの駆動方向に駆動されるパンチ取付け体に、前記分断部の延びる方向に離間して複数個取り付けられており、
前記複数個のかしめパンチは、前記パンチ取付け体が駆動されることにより、一括して同時に駆動されるものとなされている前項10又は11記載のかしめ固定装置。
【0023】
[13] 拘束凹部を備えており、
前記拘束凹部は、拘束凹部内に配置された前記フレームの端部の前記周壁全体が前記かしめ固定部への押圧力によって偏平状に変形しないように前記周壁の外周面を拘束するものである前項10〜12のいずれかに記載のかしめ固定装置。
【0024】
[14] フレームの筒状の端部が、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌された状態で前記取付け部にかしめ固定されたフレームと角度調節器の取付け部との連結構造であって、
前記取付け部の前記周壁における前記分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応する前記フレームの端部の周壁の両部分とが、かしめ固定部として、内側へ塑性変形されることにより、前記取付け部に前記フレームの端部がかしめ固定されていることを特徴とするフレームと角度調節器の取付け部との連結構造。
【0025】
[15] フレームの筒状の端部を、角度調節器に備えられ且つ周壁が軸方向に延びた分断部で分断された筒状の取付け部に外嵌した状態で前記取付け部にかしめ固定するフレームと角度調節器の取付け部との連結方法であって、
取付け部の周壁における分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と当該両部分に対応するフレームの端部の周壁の両部分とを、かしめ固定部として、かしめパンチに形成された押圧部で前記フレームの端部の外側から内側へ押圧して塑性変形させることより、前記取付け部に前記フレームの端部をかしめ固定することを特徴とするフレームと角度調節器の取付け部との連結方法。
【発明の効果】
【0026】
本発明は以下の効果を奏する。
【0027】
上記[1]の家具では、取付け部の周壁における分断部にて対峙する一対の分断縁部を挟んだ両側の部分と、当該両部分に対応するフレームの端部の周壁の両部分とが、かしめ固定部として、内側へ塑性変形されることにより、取付け部の周壁の両分断縁部同士が突き合わされた状態に取付け部にフレームの端部がかしめ固定される。そのため、分断部が開くことによるフレームと取付け部との連結強度の低下を防止することができ、すなわちフレームと取付け部との連結強度を高くすることができる。
【0028】
上記[2]では、取付け部の周壁の両分断縁部同士が突き合わされているので、上記[1]の効果を確実に得ることができる。
【0029】
上記[3]では、かしめ固定部が分断部の延びる方向に離間して複数、設けられているので、フレームと取付け部との連結強度を更に高くすることができる。
【0030】
上記[4]の家具の製造方法では、上記[1]と同様の理由により、分断部が開くことによるフレームと取付け部との連結強度の低下を防止することができ、すなわちフレームと取付け部との連結強度を高くすることができる。したがって、上記[1]の家具を確実に製造することができる。
【0031】
上記[5]では、取付け部の周壁の両分断縁部同士が突き合わされるように、かしめパンチの押圧部で押圧するので、上記[4]の効果を確実に得ることができる。
【0032】
上記[6]では、かしめパンチの2つの押圧部で同時に押圧するので、かしめ固定の作業能率を高めることができる。さらに、このかしめパンチは1軸方向に駆動されるものなので、かしめパンチを駆動させるための駆動手段(駆動装置)の構造を簡素化することができる。
【0033】
上記[7]では、かしめパンチを安価に製作することができる。
【0034】
上記[8]では、パンチ取付け体を駆動させることにより、複数個のかしめパンチを一括して同時に駆動させるので、かしめ固定の作業能率を更に高めることができる。
【0035】
上記[9]では、かしめ固定部への押圧力によってフレームの端部の周壁全体が偏平状に変形するのを防止することができる。
【0036】
上記[10]のかしめ固定装置では、上記[6]と同様の理由により、かしめ固定の作業能率を高めることができるし、かしめパンチを駆動させるための駆動手段(駆動装置)の構造を簡素化することができる。したがって、このかしめ固定装置は、例えば本発明に係る家具の製造方法に特に好適に用いられる。
【0037】
上記[11]では、かしめパンチを安価に製作することができる。
【0038】
上記[12]では、上記[8]と同様の理由により、かしめ固定の作業能率を更に高めることができる。
【0039】
上記[13]では、かしめ固定部への押圧力によってフレームの端部の周壁全体が偏平状に変形するのを防止することができる。
【0040】
上記[14]のフレームと角度調節器の取付け部との連結構造では、上記[1]と同様の理由により、フレームと取付け部との連結強度を高くすることができる。
【0041】
上記[15]のフレームと角度調節器の取付け部との連結方法では、上記[1]と同様の理由により、フレームと取付け部との連結強度を高くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0043】
次に、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照して以下に説明する。
【0044】
図1〜
図20は、本発明の一実施形態に係る家具としての座椅子を説明するための図である。
【0045】
本実施形態の座椅子1は、リクライニング椅子の一種であり、
図1に示すように、第1座椅子構成体(即ち第1家具構成体)としての背体2と、第2座椅子構成体(即ち第2家具構成体)としての座体5とを具備している。
【0046】
背体2は第1フレームとしての背フレーム3を有している。座体5は第2フレームとしての座フレーム6を有している。背フレーム3及び座フレーム6はそれぞれU字状に屈曲した金属パイプ製のものである。したがって、背フレーム3の各端部は筒状(パイプ状を含む)に形成されており、また座フレーム6の各端部も筒状(パイプ状を含む)に形成されている。背フレーム3の端部の断面形状及び座フレーム6の端部の断面形状はいずれも円形状である。そして、背フレーム3の各端部と座フレーム6の各端部とがそれぞれ角度調節器10を介して連結されており、
図2に示すように、背フレーム3と座フレーム6との間の角度θが角度調節器10によって無段階に調節可能になっている。この角度θは座フレーム6に対する背フレーム3の傾倒角度に相当している。背フレーム3、座フレーム6及び角度調節器10は、
図1に示すように柔軟なクッション部材(二点鎖線で示す)の内部に配置されている。
【0047】
角度調節器10は、角度調節金具とも呼ばれるものであり、
図2〜4に示すように、第1アーム11と第2アーム21とを備えている。第1アーム11は、第2アーム21に対して相対的に回転可能に角度調節器10に備えられている。この角度調節器10は金属製であり、その構成について
図7〜10を参照して以下に説明する。
【0048】
第1アーム11及び第2アーム21はいずれも鋼等の金属製である。第1アーム11は、
図7及び8に示すように、回転軸部15を有する回転板部14と、筒状(パイプ状を含む)の第1取付け部12とを備えている。第1取付け部12は回転板部14の一端から突出して一体形成されている。回転軸部15は、回転板部14の厚さ方向両側(即ち左右両側)にそれぞれ円筒状に突出して一体形成されている。
図7においてO1は、第1取付け部12の中心軸線である。Jは回転軸部15の回転中心軸線である。
【0049】
さらに、第1アーム11は、これを容易に製造しうるようにするため、
図8に示すように、左右一対の第1アーム分割片11A、11A同士を合体させて製作されたものである。そのため、第1取付け部12の周壁13はその軸方向に真直に延びた2つの分断部13a、13dで分断されている。本実施形態では、一方の分断部13a(これを「上分断部13a」という)は第1取付け部12の周壁13の上端部に形成されており、他方の分断部13d(これを「下分断部13d」という)は第1取付け部12の周壁13の下端部に形成されている。したがって、第1取付け部12の周壁13の上端部及び下端部がそれぞれ上分断部13a及び下分断部13dで左右に分断されている。
【0050】
第2アーム21は、
図7及び8に示すように、ケース部24と、筒状(パイプ状を含む)の第2取付け部22とを備えている。第2取付け部22はケース部24の一端から突出して一体形成されている。
図7においてO2は、第2取付け部22の中心軸線である。
【0051】
さらに、第2アーム21は、これを容易に製造しうるようするため、
図10に示した所定の平面形状の金属素板を所定形状に屈曲加工することにより製作されたものである。そのため、
図8に示すように第2取付け部22の周壁23はその軸方向に真直に延びた1つの分断部23a(これを「上分断部23a」という)で分断されている。本実施形態では、この上分断部23aは第2取付け部22の周壁23の上端部に形成されている。したがって、第2取付け部22の周壁23の上端部が上分断部23aで左右に分断されている。一方、第2取付け部22の周壁23の下端部は分断されていない。
【0052】
さらに、この角度調節器10は、
図8に示すように、左右一対の巻締め部材31、31、板状のスペーサ部材32、解除ピン33などを備えている。
【0053】
各巻締め部材31は金属製であり、バネ弾性を有している。スペーサ部材32は、金属製であり、両巻締め部材31、31の間に第1アーム11の回転板部14の厚さに対応する隙間を形成するためのものである。両巻締め部材31、31は、
図9に示すように、両巻締め部材31、31の間にスペーサ部材32を挟んで対向状に配置されており、そのため、両巻締め部材31、31の間にはスペーサ部材32による隙間が形成されている。そして、この隙間に第1アーム11の回転板部14が配置されるとともに、更に、回転板部14の各回転軸部15が各巻締め部材31の略C字状の巻締め部31a内に圧入嵌合されている。そのため、回転軸部15の外周面が巻締め部材31の巻締め部31aで巻き締められた状態になっている。さらに、回転軸部15は巻締め部31a内にて回転可能に嵌合されている。
【0054】
この角度調節器10では、第1アーム11の第1取付け部12と第2アーム21の第2取付け部22との間の角度は、
図2に示した背フレーム3と座フレーム6との間の角度θと同じであり、この角度θは無段階に調節可能である。第1アーム11の第1取付け部12に角度θを小さくする回転方向の力が加わると、第1アーム11の回転軸部15は巻締め部31aの巻締め力に抗して巻締め部31a内にて摺動回転され、その結果、角度θが変更される。これとは逆に、第1アーム11の第1取付け部12に角度θを大きくする回転方向の力が加わると、巻締め部31aの巻締め力が増加して回転軸部15の回転が阻止され、その結果、角度θは変更されない。解除ピン33は、金属製であり、回転軸部15の回転が阻止された状態を解除するためのものである。
【0055】
さらに、
図7及び9に示すように、第1アーム11の回転板部14と両巻締め部材31、31とスペーサ部材32と解除ピン33は、第2アーム21のケース部24内に配置されている。そして、ケース部24の外側から挿入された複数のリベット34によって、ケース部24と両巻締め部材31、31とスペーサ部材32と回転板部14とが締結されている。
【0056】
次に、本実施形態の座椅子1における背フレーム3と角度調節器10の第1取付け部12との連結構造について
図2〜6を参照して以下に説明する。
【0057】
背フレーム3の端部は角度調節器10の第1取付け部12に外嵌されている。そして、
図5に示すように、第1取付け部12の周壁13における上分断部13aにて対峙する一対の上分断縁部13b、13bを挟んだ両側の部分13c、13cと、当該両部分13c、13cに対応(詳述すると重合)する背フレーム3の端部の周壁4の両部分4a、4aとが、上かしめ固定部K1として、内側に局部的に凹状に塑性変形されている。したがって、第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13bと、当該両上分断縁部13b、13bに対応(重合)する背フレーム3の端部の周壁4の両部分(詳述すると周壁4の上端部)とは、内側に塑性変形されていない。これにより、第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13b同士が突き合わされた状態に第1取付け部12に背フレーム3の端部が上かしめ固定部K1にてかしめ固定されており、その結果、背フレーム3と第1取付け部12とが連結されている。
【0058】
なお本実施形態では、第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13bを挟んだ両側の部分13c、13cとは、詳述すると、両上分断縁部13b、13bを挟んだ両側近傍部分である。
【0059】
さらに、第1取付け部12の周壁13における下分断部13dにて対峙する一対の下分断縁部13e、13eを挟んだ両側の部分13f、13fと、当該両部分13f、13fに対応(詳述すると重合)する背フレーム3の端部の周壁4の両部分4b、4bとが、下かしめ固定部K2として、内側に局部的に凹状に塑性変形されている。したがって、第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eと、当該両下分断縁部13e、13eに対応(重合)する背フレーム3の端部の周壁4の両部分(詳述すると周壁13の下端部)とは、内側に塑性変形されていない。これにより、第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13e同士が突き合わされた状態に第1取付け部12に背フレーム3の端部が下かしめ固定部K2にて更にかしめ固定されている。
【0060】
なお本実施形態では、第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eを挟んだ両側の部分13f、13fとは、詳述すると、両下分断縁部13e、13eを挟んだ両側近傍部分である。
【0061】
さらに本実施形態では、
図2〜4に示すように、上かしめ固定部K1は、第1取付け部12の周壁13の上分断部13aの延びる方向(即ち第1取付け部12の軸方向)に離間して2つ配設されており、各上かしめ固定部K1が内側に塑性変形されている。下かしめ固定部K2は、下分断部13dの延びる方向(即ち第1取付け部12の軸方向)に離間して2つ配設されており、各下かしめ固定部K2が内側に塑性変形されている。また、
図5に示すように、各上かしめ固定部K1の位置と各下かしめ固定部K2の位置とは、第1取付け部12の中心軸線O1に対して互いに反対側に配置されるとともに、更に、第1取付け部12の軸方向において一致している。
【0062】
座フレーム6と角度調節器10の第2取付け部22との連結構造は、第2取付け部22の周壁23の下端部23gに分断部が存在していないことを除いて、上述した背フレーム3と角度調節器10の第1取付け部12との連結構造と同じである。その構造について以下に簡単に説明する。
【0063】
座フレーム6の端部が角度調節器10の第2取付け部22に外嵌されている。そして、
図6に示すように、第2取付け部22の周壁23における上分断部23aにて対峙する一対の分断縁部23b、23bを挟んだ両側の部分23c、23cと、当該両部分23c、23cに対応(詳述すると重合)する座フレーム6の端部の周壁7の両部分7a、7aとが、上かしめ固定部K3として、内側に局部的に凹状に塑性変形されている。これにより、第2取付け部22の周壁23の両上分断縁部23b、23b同士が突き合わされた状態に第2取付け部22に座フレーム6の端部が上かしめ固定部K3にてかしめ固定されており、その結果、座フレーム6と第2取付け部22とが連結されている。
【0064】
さらに、第2取付け部22の周壁23における下端部23gを挟んだ両側の部分23h、23hと、当該両部分23h、23hに対応(詳述すると重合)する座フレーム6の端部の周壁7の両部分7b、7bとが、下かしめ固定部K4として、内側に局部的に凹状に塑性変形されている。これにより、第2取付け部22に座フレーム6の端部が下かしめ固定部K4にて更にかしめ固定されている。
【0065】
さらに本実施形態では、
図2〜4に示すように、上かしめ固定部K3は、第2取付け部22の周壁23の上分断部23aの延びる方向(即ち第2取付け部22の軸方向)に離間して2つ配設されており、各上かしめ固定部K3が内側に塑性変形されている。下かしめ固定部K4は、周壁23の下端部23gの延びる方向(即ち第2取付け部22の軸方向)に離間して2つ配設されており、各下かしめ固定部K4が内側に塑性変形されている。また、
図6に示すように、各上かしめ固定部K3の位置と各下かしめ固定部K4の位置とは、第2取付け部22の中心軸線O2に対して互いに反対側に配置されるとともに、更に、第2取付け部22の軸方向において一致している。
【0066】
次に、本実施形態の座椅子1の製造方法について、
図11〜20を参照して以下に説明する。
【0067】
まず、
図11及び12に示すように、背フレーム3の端部を角度調節器10の第1取付け部12に外嵌させるとともに、座フレーム6の端部を角度調節器10の第2取付け部22に外嵌させる。この状態では、
図13に示すように、第1取付け部12の周壁13の上端部及び下端部はそれぞれ上分断部13a及び下分断部13dで左右に分断されている。なお同図では、周壁13が各分断部13a、13dで分断されていることを分かり易くするため、各分断部13a、13dを若干開いた状態にして図示されており、そのため、両上分断縁部13b、13bの間と両下分断縁部13e、13eの間とにそれぞれ小さな隙間が生じている。これと同じく、
図14に示すように、第2取付け部22の周壁23の上端部は上分断部23aで左右に分断されている。なお同図では、周壁23が上分断部23aで分断されていることを分かり易くするため、上分断部23aを若干開いた状態にして図示されており、そのため、両上分断縁部23b、23bの間に小さな隙間が生じている。
【0068】
次いで、角度調節器10の第1取付け部12と第2取付け部22との間の角度θを約180°に調節し、そして、
図15に示すように角度調節器10を上下反転させる。次いで、同図に示したかしめ固定装置50を用いて、角度調節器10の第1取付け部12に背フレーム3の端部をかしめ固定すると同時に、角度調節器10の第2取付け部22に座フレーム6の端部をかしめ固定する。
【0069】
ここで、かしめ固定装置50の構成を
図15〜20を参照して以下に説明する。
【0070】
かしめ固定装置50は、角度調節器10の上側に配置される上パンチ取付け体51と、角度調節器10の下側に配置される下パンチ取付け体61とを具備している。
【0071】
図15に示すように、上パンチ取付け体51の一端部側には、角度調節器10の第1取付け部12側(即ち背フレーム3側)の下かしめ固定部K2を押圧する、第1取付け部12側(即ち背フレーム3側)の2個の上かしめパンチ70、70が下方向に突出して固定状態に取り付けられている。その取付け構造は次のとおりである。
図15及び18に示すように、上かしめパンチ70は、1軸方向として下方向に駆動されるものであり、板状である。さらに、上かしめパンチ70の先端縁部(同図では下端縁部)70aの中間部に略U字状の切欠き部72が形成されており(
図19参照)、これにより、当該先端縁部70aに切欠き部72の両端角部からなる2つの押圧部71、71が互いに離間して形成されている。さらに、上パンチ取付け体51の下面に両上かしめパンチ70、70間の間隔を所定間隔に保つための上スペーサ片52が2個のボルト(詳述すると六角穴付きボルト)55、55によって固定されている。そして、両上かしめパンチ70、70がこの上スペーサ片52を挟んた状態でボルト(詳述すると六角穴付きボルト)56によって固定されている。このように固定された状態において、両上かしめパンチ70、70は、第1取付け部12の周壁13の下分断部13dの延びる方向(即ち第1取付け部12の軸方向)に離間して配置されている。このようにして、両上かしめパンチ70、70は、下分断部13dの延びる方向に離間して上パンチ取付け体51に取り付けられている。さらに、上かしめパンチ70の両押圧部71、71は、
図19に示すように、下かしめ固定部K2を押圧する際に、背フレーム3の端部の外側にて第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eを跨ぐ態様に配置されるものである。なお
図18において、53は上挟み片であり、この上挟み片53と上スペーサ片52との間で上かしめパンチ70が挟まれている。57はボルトと螺合するネジ孔である。その他の孔はボルト挿通孔である。
【0072】
図15に示すように、下パンチ取付け体61の一端部側には、角度調節器10の第1取付け部12側(即ち背フレーム3側)の上かしめ固定部K1を押圧する、第1取付け部12側(即ち背フレーム3側)の2個の下かしめパンチ80、80が上方向に突出して固定状態に取り付けられている。その取付け構造は次のとおりである。
図15及び18に示すように、下かしめパンチ80の形状は、上かしめパンチ70と略同じ形状になっている。すなわち、下かしめパンチ80は板状であり、その先端縁部(同図では上端縁部)80aの中間部に略U字状の切欠き部82が形成されており(
図19参照)、これにより、当該先端縁部80aに切欠き部82の両端角部からなる2つの押圧部81、81が互いに離間して形成されている。さらに、下パンチ取付け体61の上面に両下かしめパンチ80、80間の間隔を所定間隔に保つための下スペーサ片62が2個のボルト(詳述すると六角穴付きボルト)65、65によって固定されている。そして、両下かしめパンチ80、80がこの下スペーサ片62を挟んた状態でボルト(詳述すると六角穴付きボルト)66によって固定されている。このように固定された状態において、両下かしめパンチ80、80は、第1取付け部12の周壁13の上分断部13aの延びる方向(即ち第1取付け部12の軸方向)に離間して配置されている。このようにして、両下かしめパンチ80、80は、上分断部13aの延びる方向に離間して下パンチ取付け体61に取り付けられている。さらに、下かしめパンチ80の両押圧部81、81は、
図19に示すように、上かしめ固定部K1を押圧する際に、背フレーム3の端部の外側にて第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13bを跨ぐ態様に配置されるものである。なお
図18において、63は下挟み片であり、この下挟み片63と下スペーサ片62との間で下かしめパンチ80が挟まれている。67はボルトと螺合するネジ孔である。その他の孔はボルト挿通孔である。
【0073】
さらに、下スペーサ片62の上面及び各下挟み片63の上面には、それぞれ、背フレーム3の端部の周壁4の外周面の断面形状に対応して断面略半円弧状に窪んだ拘束凹部64が形成されている。この拘束凹部64は、拘束凹部64内に配置された背フレーム3の端部の周壁4全体がかしめ固定部K1、K2への押圧力によって偏平状に変形しないように周壁4の外周面を拘束するものであり、下かしめパンチ80に隣接して配置されている。さらに、
図19に示すように、下かしめパンチ80の両押圧部81、81はこの拘束凹部64内に突出するように配置されている。また、各下かしめパンチ80の両押圧部81、81は、各上かしめパンチ70の両押圧部71、71に対向する位置に配置されている。
【0074】
上パンチ取付け体51の他端部側には、
図15に示すように、角度調節器10の第2取付け部22側(即ち座フレーム6側)の下かしめ固定部K4を押圧する、第2取付け部22側(即ち座フレーム6側)の2個の上かしめパンチ70、70が下方向に突出して固定状態に取り付けられている。その取付け構造は、
図18に示すように第1取付け部12側の上かしめパンチの取付け構造と同じであり、これらの図では第1取付け部12側と同じ符号が付されている。
【0075】
下パンチ取付け体61の他端部側には、
図15に示すように、角度調節器10の第2取付け部22側(即ち座フレーム6側)の上かしめ固定部K3を押圧する、第2取付け部22側(即ち座フレーム6側)の2個の下かしめパンチ80、80が上方向に突出して固定状態に取り付けられている。その取付け構造は、
図18に示すように第1取付け部12側の下かしめパンチの取付け構造と同じであり、これらの図では第1取付け部12側と同じ符号が付されている。
【0076】
下パンチ取付け体61は、固定テーブル(図示せず)上に位置固定状態に配置されている。上パンチ取付け体51には、上かしめパンチ70の駆動方向D(
図19参照)である下方向Dに上パンチ取付け体51を駆動させる駆動手段としての駆動装置90が接続されている。この駆動装置90は、プレスラム(図示せず)と駆動源(例:油圧シリンダ)91とを備えている。上パンチ取付け体51の上面にはプレスラムに連結される連結部59が上方突出状に設けられており、プレスラムに駆動源91が接続されている。そして、上パンチ取付け体51は、駆動源91を動作させることによって下方向(即ち上かしめパンチ70の駆動方向)Dに駆動され、これにより、第1取付け部12側の2個の上かしめパンチ70、70と第2取付け部22側の2個の上かしめパンチ70、70とが一括して同時に下方向Dに駆動されるものとなされている。
【0077】
上記かしめ固定装置50を用いたかしめ固定方法は以下のとおりである。
【0078】
上述したように、背フレーム3の一方の端部を角度調節器10の第1取付け部12に外嵌させるとともに、座フレーム6の一方の端部を角度調節器10の第2取付け部22に外嵌させる(
図11及び12参照)。そして、角度調節器10の第1取付け部12と第2取付け部22との間の角度θを約180°に調節する。
【0079】
次いで、
図15に示すように角度調節器10を上下反転させる。そして、下パンチ取付け体61の第1取付け部12側の2個の下かしめパンチ80、80上に背フレーム3の端部を水平に載置するとともに、下パンチ取付け体61の第2取付け部22側の2個の下かしめパンチ80、80上に座フレーム6の端部を水平に載置する。その際に、背フレーム3の端部を第1取付け部12側の拘束凹部64内に配置するとともに、座フレーム6の端部を第2取付け部22側の拘束凹部64内に配置する。これにより、
図19に示すように、背フレーム3の端部の周壁4の外周面が拘束凹部64で拘束され、さらに、第1取付け部12側の各下かしめパンチ80の2つの押圧部81、81が背フレーム3の端部の外側にて第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13bを跨ぐ態様になるように、第1取付け部12と背フレーム3の端部とが配置される。第2取付け部22と座フレーム6の端部とについても上記と同様に配置する。
【0080】
次いで、駆動源91を動作させることによって上パンチ取付け体51を下方向Dに駆動させ、これにより、第1取付け部12側の2個の上かしめパンチ70、70と第2取付け部22側の2個の上かしめパンチ70、70とを一括して同時に下方向Dに駆動させる。
【0081】
すると、
図19に示すように、第1取付け部12側の各上かしめパンチ70の2つの押圧部71、71が、背フレーム3の端部の外側にて第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eを跨ぐ態様に配置されるとともに、引き続き上パンチ取付け体51が下方向Dに駆動することによって、
図20に示すように、各上かしめパンチ70の両押圧部71、71で第1取付け部12側の各下かしめ固定部K2が背フレーム3の端部の外側から内側へ同時に押圧されて両下分断縁部13e、13e同士が突き合わされるように局部的に凹状に塑性変形される。これにより、第1取付け部12に背フレーム3の端部が各下かしめ固定部K2にてかしめ固定される。これと同時に、各下かしめパンチ80の両押圧部81、81で第1取付け部12側の各上かしめ固定部K1が背フレーム3の端部の外側から内側へ同時に押圧されて両上分断縁部13b、13b同士が突き合わされるように局部的に凹状に塑性変形される。これにより、第1取付け部12に背フレーム3の端部が各上かしめ固定部K1にて更にかしめ固定される。
【0082】
第2取付け部22側の各下かしめ固定部K4及び各上かしめ固定部K3についても上記と同様に塑性変形される。これにより、第2取付け部22に座フレーム6の端部が各下かしめ固定部K4及び各上かしめ固定部K3にてかしめ固定される。
【0083】
上記のような背フレーム3の端部のかしめ固定と座フレーム6の端部のかしめ固定とは、同時に行われる。その結果、背フレーム3の端部と角度調節器10の第1取付け部12とが連結されると同時に、座フレーム6の端部と角度調節器10の第2取付け部22とが連結される。
【0084】
背フレーム3の他方の端部と他方の角度調節器10の第1取付け部12との連結作業、及び、座フレーム6の他方の端部と他方の角度調節器10の第2取付け部22との連結作業についても、上記と同様に行われる。その後、公知の製造方法に従って本実施形態の座椅子1を製造する。
【0085】
而して、本実施形態の座椅子1には次の利点がある。
【0086】
本実施形態の座椅子1では、
図5に示すように、角度調節器10の第1取付け部12の周壁13の両上分断縁部13b、13bを挟んだ両側の部分13c、13cと、当該両部分13c、13cに対応する背フレーム3の端部の周壁4の両部分4a、4aとが、上かしめ固定部K1として、内側へ塑性変形されることにより、両上分断縁部13b、13b同士が突き合わされた状態に第1取付け部12に背フレーム3の端部がかしめ固定される。そのため、上分断部13aが開くことによる背フレーム3と第1取付け部12との連結強度の低下を防止することができ、すなわち背フレーム3と第1取付け部12との連結強度を高くすることができる。
【0087】
さらに、角度調節器10の第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eを挟んだ両側の部分13f、13fと、当該両部分13f、13fに対応する背フレーム3の端部の周壁4の両部分4b、4bとが、下がかしめ固定部K2として、内側へ塑性変形されることにより、両下分断縁部13e、13e同士が突き合わされた状態に第1取付け部12に背フレーム3の端部がかしめ固定される。そのため、下分断部13dが開くことによる背フレーム3と第1取付け部12との連結強度の低下を防止することができ、すなわち背フレーム3と第1取付け部12との連結強度を更に高くすることができる。
【0088】
その上、上かしめ固定部K1が上分断部13aの延びる方向に離間して2つ設けられるとともに、下かしめ固定部K2が下分断部13dの延びる方向に離間して2つ設けられているので、背フレーム3と第1取付け部12との連結強度を更に一層高くすることができる。
【0089】
さらに、
図6に示すように、角度調節器10の第2取付け部22の周壁23の両上分断縁部23b、23bを挟んだ両側の部分23c、23cと、当該両部分23c、23cに対応する座フレーム6の端部の周壁7の両部分7a、7aとが、上かしめ固定部K3として、内側へ塑性変形されることにより、両上分断縁部23b、23b同士が突き合わされた状態に第2取付け部22に座フレーム6の端部がかしめ固定される。そのため、上分断部23aが開くことによる座フレーム6と第2取付け部22との連結強度の低下を防止することができ、すなわち座フレーム6と第2取付け部22との連結強度についても高くすることができる。
【0090】
また、本実施形態のかしめ固定装置50によれば、角度調節器10の第1取付け部12側の上かしめパンチ70の2つの押圧部71、71で下かしめ固定部K2を同時に押圧するので、第1取付け部12側のかしめ固定の作業能率を高めることができる。しかも、この上かしめパンチ70は1軸方向(即ち下方向)Dに駆動されるものであるから、上かしめパンチ70を駆動させるための駆動装置90の構造を簡素化することができる。
【0091】
さらに、第1取付け部12側の上かしめパンチ70は、上パンチ取付け体51に、第1取付け部12の周壁13の下分断部13dの延びる方向に離間して2個取り付けられており、これらの上かしめパンチ70は、上パンチ取付け体51が駆動されることにより、一括して同時に駆動されるものとなされているので、第1取付け部12側のかしめ固定の作業能率を更に高めることができる。
【0092】
さらに、第1取付け部12側の下かしめパンチ80の2つの押圧部81、81で上かしめ固定部K1を同時に押圧するので、第1取付け部12側のかしめ固定の作業能率を更に高めることができる。しかも、下かしめパンチ80は、下パンチ取付け体61に、上分断部の延びる方向に離間して2個取り付けられているので、第1取付け部12側のかしめ固定の作業能率を更に高めることができる。
【0093】
さらに、角度調節器10の第2取付け部22側の上かしめパンチ70は、上パンチ取付け体51に2個取り付けられるとともに、第2取付け部22側の下かしめパンチ80は、下パンチ取付け体61に第2取付け部22の周壁23の上分断部23aの延びる方向に離間して2個取り付けられている。そのため、上パンチ取付け体51を下方向Dに駆動させることにより、第1取付け部12側の全ての上かしめパンチ70と第2取付け部22側の全ての上かしめパンチ70とが一括して同時に駆動する。これにより、第1取付け部12側のかしめ固定と第2取付け部22側のかしめ固定とを同時に行うことができる。したがって、これらのかしめ固定の作業能率を更に高めることができる。
【0094】
さらに、上かしめパンチ70は板状に形成されるとともに、上かしめパンチ70の先端縁部70aに2つの押圧部71、71が形成されており、更に、下かしめパンチ80も上かしめパンチ70と同様に形成されているから、これらのかしめパンチ70、80を安価に製作することができる。
【0095】
さらに、背フレーム3の端部を拘束凹部64内に配置することにより、上かしめ固定部K1への押圧力及び下かしめ固定部K2への押圧力によって背フレーム3の端部の周壁4全体が偏平状に変形しないように周壁4の外周面が拘束されるので、背フレーム3の端部の周壁4全体が偏平状に変形するのを防止することができる。座フレーム6の端部についても、同様の理由により、座フレーム6の端部の周壁7全体が偏平状に変形するのを防止することができる。
【0096】
図21〜23は、本発明のもう一つの実施形態に係る家具としての座椅子を説明するための図である。これらの図において、上記実施形態の座椅子と同等の構成要素には同一の符号が付されている。
【0097】
これらの図に示した座椅子1では、角度調節器10の第1取付け部12の周壁13の両下分断縁部13e、13eを挟んだ両側の部分13f、13fと、当該両部分13f、13fに対応する背フレーム3の端部の周壁4の両部分4b、4bとは、かしめ固定部ではなく、即ち塑性変形されていない。さらに、第2取付け部22の周壁23の下端部23gを挟んだ両側の部分23h、23hと、当該両部分23h、23hに対応する座フレーム6の端部の周壁7の両部分7b、7bとは、かしめ固定部ではなく、即ち塑性変形されていない。この座椅子1のその他の構成は、上記実施形態の座椅子と同じである。
【0098】
以上で本発明の幾つかの実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々に変更可能である。
【0099】
また、上記実施形態で用いた角度調節器10は、第1取付け部12と第2取付け部22との間の角度θを無段階に調節可能なものであるが、本発明で用いる角度調節器10は、その他に例えば、角度θを段階的に調節可能なものであっても良い。
【0100】
また、上記実施形態で用いた角度調節器10の第1取付け部12の周壁13を分断する分断部の数は2つであるが、本発明では、その他に例えば、第2取付け部22のように1つであっても良い。
【0101】
また、本発明に係る家具は、上記実施形態で示すような座椅子1であることに限定されるものではなく、その他に、肘掛けの角度を調節可能な肘掛け付き椅子やフットレストの角度を調節可能なフットレスト付き椅子等であっても良いし、折り畳み式ソファーや折り畳み式ベッド等であっても良い。さらに本発明は、乗り物(例:自動車、鉄道車両、飛行機)の座席用椅子に本発明の技術的思想を適用することを排除するものではない。