(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態におけるホーム共聴工事の説明図であって、(a)ホーム共聴工事実施前、(b)ホーム共聴工事実施後。
【
図2】本発明の実施の形態における宅内配線の構成例を示す構成図である。
【
図3】本発明の実施の形態における機能(1)〜(4)の説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態における宅内配線推定システムの構成図である。
【
図5】本発明の実施の形態における宅内配線推定装置の構成図である。
【
図6】本発明の実施の形態における記憶部に記憶されるデータベースの構成図である。
【
図7】本発明の実施の形態における測定ポイントの説明図である。
【
図8】本発明の実施の形態における宅内配線推定装置のシーケンス図である。
【
図9】本発明の実施の形態における機能(1)を詳細に示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施の形態における基本的な構成例を示す構成図であって、(a)パターンa、(b)パターンb、(c)パターンc、(d)パターンd。
【
図11】本発明の実施の形態における機能(2)を詳細に示すフローチャートである。
【
図12】本発明の実施の形態における機能(3)を詳細に示すフローチャートである。
【
図13】本発明の実施の形態における機能(3)の具体例の説明図であって、(a)接続例1、(b)接続例2、(c)遅延理論値と距離との関係、(d)計算結果。
【
図14】本発明の実施の形態における測定結果の具体例1を示す図である。
【
図15】本発明の実施の形態における配線マップの具体例1を示す図である。
【
図16】本発明の実施の形態における測定結果の具体例2を示す図である。
【
図17】本発明の実施の形態における配線マップの具体例2を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための宅内配線推定装置を例示するものであり、装置の構成やデータの構造などは、以下の実施の形態に限定されるものではない。
【0015】
(ホーム共聴工事)
図1(a)は、ホーム共聴工事を実施する前の状態を示している。この図に示すように、ホーム共聴工事前は、アンテナ10が分配器20の入力端子20Aに接続され、分配器20の出力端子20B,20C,20Dが各部屋30,40,50の壁面のテレビ端子31,41,51を介してテレビ受像器32,42,52に接続されている。アンテナ10は、受信した放送信号(以下、「アンテナ信号」という。)を分配器20の入力端子20Aに入力する。分配器20は、アンテナ信号21を分配して出力端子20B,20C,20Dから出力する。分配器20の出力端子20B,20C,20Dから出力されたアンテナ信号は、それぞれ、テレビ受像器32,42,52に入力される。これにより、各テレビ受像器32,42,52においてアンテナ信号による映像を視聴することができる。
【0016】
図1(b)は、ホーム共聴工事を実施した後の状態を示している。近年では、通信用のネットワークからも放送信号(ネット信号)が送信される。このようなネット信号による映像を各テレビ受像器32,42,52において視聴するには、アンテナ10を分配器20から取り外し、GV−ONUなどの回線終端装置34を分配器20に取り付ける必要がある。
【0017】
(本発明の概要)
図2は、宅内配線の構成例を模式的に示している。この図に示すように、アンテナ10に2分配器24が接続され、2分配器24に2分配器23,25が接続されている。また、2分配器23に2分配器22が接続され、2分配器22に2分配器21が接続されている。更に、2分配器25に2分配器26が接続され、2分配器26に2分配器27が接続されている。これら2分配器21〜27(一括して「分配器20」という。)は、多くの場合、屋根裏などの作業しづらい場所に設置されているため、分配器20を見つけるのは困難である。
【0018】
そこで、本発明では、以下の手法を採用している。すなわち、
図3に示すように、分配器20の出力端子A〜Hに宅内配線推定装置60を接続する。宅内配線推定装置60は、宅内の分配器における損失を計算し、計算した損失に基づいて宅内配線の構成を推定し、推定した宅内配線の構成を示す配線マップを作成するようになっている。
【0019】
宅内配線推定装置60の主な機能は、次の機能(1)〜(4)に大別することができる。機能(1)は、分配器20の縦方向(鉛直方向)の段数を推定する機能である。機能(2)は、分配器20の横方向(水平方向)の段数や、分配器20の種類(分配数)を推定する機能である。機能(3)は、分配器20の端子間の距離を推定する機能である。機能(4)は、機能(1)〜(3)の結果に基づいて、宅内配線の構成を示す配線マップを作成する機能である。
【0020】
(システム構成例)
図4は、宅内配線推定システムの構成図である。このシステムは、
図4に示すように、アンテナ10と、分配器20と、接続端子(1)〜Xと、宅内配線推定装置60とを備えている。分配器20の出力端子A〜Hのうち、宅内配線推定装置60と接続されている出力端子を「接続端子(1)〜X」と呼ぶことにする。宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線を各部屋の壁面のテレビ端子に挿すことで、分配器20の出力端子A〜Hに宅内配線推定装置60を接続することができる。機能(1)を実現する場合は、宅内配線推定装置60から引き出されている1本の同軸線を接続端子(1)〜Xのうちの1つに接続する。機能(2)(3)を実現する場合は、宅内配線推定装置60から引き出されている2本の同軸線を接続端子(1)〜Xのうちの2つに接続する。
【0021】
(宅内配線推定装置の構成例)
図5は、宅内配線推定装置60の構成図である。この図に示すように、宅内配線推定装置60は、送信部61と、受信部62と、通知部63と、計算部64と、記憶部65と、マップ作成部66と、マップ表示部67とを備えている。送信部61は、同軸線を介して接続端子(1)〜Xに信号やパケットを送信する。受信部62は、同軸線を介して接続端子(1)〜Xから信号やパケットを受信する。通知部63は、受信部62の受信結果を計算部64に通知する。計算部64は、宅内の分配器20における損失などを計算する。記憶部65は、計算部64の計算結果を記憶する。記憶部65に記憶されるデータベースの構成例を
図6に示す。この
図6に示すように、記憶部65には、機能(1)〜(4)の計算結果が記憶されている。マップ作成部66は、記憶部65を参照することにより、計算部64の計算結果に基づいて宅内配線の構成を推定し、推定した宅内配線の構成を示す配線マップを作成する。マップ表示部67は、マップ作成部66により作成された配線マップを表示する。
【0022】
ここで、機能(1)を実現する場合、計算部64は、分配器20の各端子についてアンテナ信号の減衰特性を計算し、マップ作成部66は、アンテナ信号の減衰特性に基づいて分配器20の縦方向の段数を推定する。また、機能(2)を実現する場合、計算部64は、分配器20の各端子間について端子間信号の減衰特性を計算し、マップ作成部66は、端子間信号の減衰特性に基づいて分配器20の横方向の段数や分配器20の種類を推定する。更に、機能(3)を実現する場合、計算部64は、分配器20の各端子間についてIP信号または電気信号の送受信時間を計算し、マップ作成部66は、送受信時間に基づいて分配器20の端子間の距離を推定する。
【0023】
(周波数帯)
計算部64は、複数の周波数帯でアンテナ信号または端子間信号の減衰特性を計算してもよい。複数の周波数帯を使用すれば、その周波数帯ごとに減衰特性を計算することができるため、単数の周波数帯を使用した場合に比べて正確に減衰特性を計算することが可能となる。
【0024】
具体的には、
図7に示すように、地上デジタル放送やBSデジタル放送等で使用されていない測定ポイントI〜Yでアンテナ信号や端子間信号を測定する。測定ポイントI〜Yのいずれを使用するかは特に限定されるものではないが、低い周波数帯(例えば1〜90MHz)ほど、より正確に減衰特性を計算することができる。
【0025】
(シーケンス)
図8は、宅内配線推定装置60のシーケンス図である。まず、各接続端子(1)〜Xでそれぞれアンテナ信号を送受信し、損失を計算する(ステップS1)。このステップS1は、機能(1)に相当するものであり、分配器20が縦方向に何段あるかが分かる。次いで、各接続端子(1)〜X間でそれぞれ端子間信号を送受信し、損失を計算する(ステップS2)。このステップS2は、機能(2)に相当するものであり、分配器20が横方向に何段あるかが分かる。次いで、ステップS1及びS2の損失の結果に基づいて、分配器20の縦方向及び横方向の段数を推定する(ステップS3)。次いで、各接続端子(1)〜X間でそれぞれPingのようなIP信号または電気信号を送受信し、送受信時間を計算する(ステップS4)。このステップS4は、機能(3)に相当するものであり、端子間のケーブルの距離が分かる。最後に、機能(1)(2)(3)の結果に基づいて、配線マップを作成する(ステップS5)。実際の結果をデータベース化することで、配線マップの精度を向上させることが可能である。
【0026】
(機能(1)の詳細)
図9は、機能(1)を詳細に示すフローチャートである。この図に示すように、機能(1)では、各接続端子(1)〜Xについてアンテナ信号の強度がN種類あるか計算する(ステップS11)。具体的には、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線を分配器20の出力端子Aに接続し、出力端子Aを介して受信されるアンテナ信号の強度を計算する。その後、出力端子B,C,…,G,Hというように、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線の挿し位置を順次変更しながら、同様の手法でアンテナ信号の強度を計算する。これにより、アンテナ信号の強度がN種類あることが分かると、縦方向の段数がN段であると推定する(ステップS12)。
【0027】
図10は、本発明の実施の形態における基本的な構成例を示す図である。縦方向の段数は、“アンテナ信号の強度の種類の数+0または1”で推定することができる。0または1のいずれを加算してもよいが、本実施の形態では0を加算している。分配器20は、最も分配数の多いものが頂点にあり、その頂点の下にはそれ以下の分配数の分配器20が存在する。基本的に、分配器20は複雑化しすぎると損失が多く、テレビ視聴が困難になるため、以下のパターンa〜dとするのが通常である。
【0028】
パターンaでは、
図10(a)に示すように、アンテナ10に6分配器20が接続されている。この場合、出力端子A〜Fのアンテナ信号の強度の種類は1つである。強度が最も大きい出力端子A〜Fがアンテナ10に接続されている分配器20に最も近い。縦方向の段数は1段である。
【0029】
パターンbでは、
図10(b)に示すように、アンテナ10に2分配器20が接続され、その2分配器20の各出力端子の下に1つずつ2分配器20が接続されている。この場合、出力端子A〜Dのアンテナ信号の強度の種類は1つである。強度が最も大きい出力端子A〜Dがアンテナ10に接続されている分配器20に最も近い。縦方向の段数は1段である。
【0030】
パターンcでは、
図10(c)に示すように、アンテナ10に4分配器20が接続され、その4分配器20の1つの出力端子に1つの2分配器20が接続されている。この場合、出力端子C〜Eのアンテナ信号の強度が出力端子A,Bのアンテナ信号の強度に比べて強い。アンテナ信号の強度の種類は2つである。強度が最も大きい出力端子C〜Eがアンテナ10に接続されている分配器20に最も近い。縦方向の段数は2段である。
【0031】
パターンdでは、
図10(d)に示すように、アンテナ10に2分配器20が接続され、その2分配器20の各出力端子の下に3つずつ直列に2分配器20が接続されている。この場合、アンテナ信号の強度の種類は、「A,B,G,H」「C,F」「D,E」の3つである。強度が最も大きい出力端子D,Eがアンテナ10に接続されている分配器20に最も近い。縦方向の段数は3段である。
【0032】
(機能(2)の詳細)
図11は、機能(2)を詳細に示すフローチャートである。この図に示すように、機能(2)では、各接続端子(1)〜X間について端子間信号の強度がM種類あるか計算する(ステップS21)。具体的には、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線を分配器20の出力端子A及びBに接続し、出力端子A〜B間で送受信される端子間信号の強度を計算する。その後、出力端子A及びB,A及びC,…,G及びHというように、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線の挿し位置を順次変更しながら、同様の手法で端子間信号の強度を計算する。これにより、端子間信号の強度がM種類あることが分かると、横方向の段数がM段であると推定する(ステップS22)。
【0033】
横方向の段数の推定方法は、縦方向の段数の推定方法と同様である。すなわち、横方向の段数は、“端子間信号の強度の種類の数+0または1”で推定することができる。0または1のいずれを加算してもよいが、本実施の形態では0を加算している。
【0034】
(機能(3)の詳細)
図12は、機能(3)を詳細に示すフローチャートである。この図に示すように、機能(3)では、各接続端子(1)〜X間についてIP信号または電気信号の送受信時間を計算する(ステップS31)。具体的には、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線を分配器20の出力端子A及びBに接続し、出力端子A〜B間でpingなどのIP通信を実施または電気信号を送受信し、送受信時間を計算する。その後、出力端子A及びB,A及びC,…,G及びHというように、宅内配線推定装置60から引き出されている同軸線の挿し位置を順次変更しながら、同様の手法で送受信時間を計算する。これにより、送受信時間に基づいて各端子間の距離を推定する(ステップS32)。
【0035】
図13は、機能(3)の具体例の説明図である。
図13(a)は、S−5C−FB10mの同軸ケーブルを通じてIP通信機器により通信する接続例1を示している。
図13(b)は、S−5C−FB20mの同軸ケーブルと2分配器を通じてIP通信機器により通信する接続例2を示している。
図13(c)は、10mあたりの遅延理論値(sec)と距離(m)との関係を示している。
図13(d)は、接続例1と接続例2における遅延値の計算結果を示している。具体的には、N2Xにて上下50MbpsのUDPトラヒックを1分間印加し、最大遅延値及び最小遅延値を各2回測定して平均遅延値を計算した。このような平均遅延値に基づいて、各端子間の距離を推定することが可能である。
【0036】
(具体例1)
図14は、本発明の実施の形態における測定結果の具体例1を示す図である。ここでは、
図3に示す構成において、出力端子Aを中心に測定した場合について説明する。
【0037】
機能(1)の測定結果は、出力端子AとBが−60dB、出力端子Cが−55dB、出力端子DとEが−50dB、出力端子Fが−55dB、出力端子GとHが−60dBであった。これら信号の強度に着目すると、出力端子DとEが1段目、出力端子CとFが2段目、出力端子AとBとGとHが3段目となり、分配器20の縦方向の段数は3段と推定することができる。
【0038】
機能(2)の測定結果は、出力端子Bが−30dB、出力端子Cが−35dB、出力端子Dが−40dB、出力端子Eが−50dB、出力端子Fが−55dB、出力端子GとHが−60dBであった。これら信号の強度に着目すると、出力端子Bが1段目、出力端子Cが2段目、出力端子Dが3段目、出力端子Eが4段目、出力端子Fが5段目、出力端子GとHが6段目となり、分配器20の横方向の段数は6段と推定することができる。
【0039】
機能(3)の測定結果は、出力端子Bが0.1m、出力端子Cが2m、出力端子Dが4m、出力端子Eが8m、出力端子Fが12m、出力端子Gが15m、出力端子Hが15mであった。出力端子Bの測定結果(0.1m)は所定の閾値以下であるため、出力端子AとBは同一分配器の出力端子であると推定した。
【0040】
図15は、本発明の実施の形態における配線マップの具体例1を示す図である。この配線マップは、
図14の測定結果に基づいて作成されたものである。
【0041】
まず、機能(1)の測定結果に基づいて、出力端子A〜Hが縦方向に3段に配置される。具体的には、出力端子DとEが1段目、出力端子CとFが2段目、出力端子AとBとGとHが3段目に配置される。
【0042】
次いで、機能(2)の測定結果に基づいて、出力端子A〜Hが横方向に6段に配置される。具体的には、出力端子AとBが1段目、出力端子Cが2段目、出力端子Dが3段目、出力端子Eが4段目、出力端子Fが5段目、出力端子GとHが6段目に配置される。
【0043】
次いで、機能(3)の測定結果に基づいて、各端子間の距離を示す情報が配置される。具体的には、出力端子A〜C間が2m、出力端子A〜D間が4m、出力端子A〜E間が8m、出力端子A〜F間が12m、出力端子A〜G,H間が15mであることを示す情報が配置される。
【0044】
最後に、このように作成された配線マップがマップ表示部67に表示される。
【0045】
(具体例2)
図16は、本発明の実施の形態における測定結果の具体例2を示す図である。ここでは、
図3に示す構成において、出力端子Dを中心に測定した場合について説明する。
【0046】
機能(1)の測定結果は、出力端子AとBが−60dB、出力端子Cが−55dB、出力端子DとEが−50dB、出力端子Fが−55dB、出力端子GとHが−60dBであった。これら信号の強度に着目すると、出力端子DとEが1段目、出力端子CとFが2段目、出力端子AとBとGとHが3段目となり、分配器20の縦方向の段数は3段と推定することができる。
【0047】
機能(2)の測定結果は、出力端子Aが40dB、出力端子Bが40dB、出力端子Cが35dB、出力端子Eが40dB、出力端子Fが45dB、出力端子GとHが50dBであった。これら信号の強度に着目すると、出力端子Cが1段目、出力端子AとBとEが2段目、出力端子Fが3段目、出力端子GとHが4段目となり、分配器20の横方向の段数は4段と推定することができる。
【0048】
機能(3)の測定結果は、出力端子Aが6m、出力端子Bが6m、出力端子Cが4m、出力端子Eが8m、出力端子Fが12m、出力端子Gが15m、出力端子Hが15mであった。
【0049】
図17は、本発明の実施の形態における配線マップの具体例2を示す図である。この配線マップは、
図16の測定結果に基づいて作成されたものである。
【0050】
まず、機能(1)の測定結果に基づいて、出力端子A〜Hが縦方向に3段に配置される。具体的には、出力端子DとEが1段目、出力端子CとFが2段目、出力端子AとBとGとHが3段目に配置される。
【0051】
次いで、機能(2)の測定結果に基づいて、出力端子A〜Hが横方向に4段に配置される。具体的には、出力端子Cが1段目、出力端子AとBとEが2段目、出力端子Fが3段目、出力端子GとHが4段目に配置される。ここでは、アンテナ10を「X」で表しているが、配線マップにアンテナ10を配置するかどうかは特に限定されるものではない。
【0052】
次いで、機能(3)の測定結果に基づいて、各端子間の距離を示す情報が配置される。具体的には、出力端子C〜C間が4m、出力端子D〜A,B間が6m、出力端子D〜E間が8m、出力端子D〜F間が12m、出力端子D〜G,H間が15mであることを示す情報が配置される。出力端子AとBとEの横方向の段数はいずれも2段目であるが、出力端子D〜A,B間の距離は6mであり、出力端子D〜E間の距離は8mである。そのため、出力端子D〜A,B間の距離(6m)よりも出力端子D〜E間の距離(8m)が大きくなるように、配線マップ上の出力端子の配置を調整している。
【0053】
最後に、このように作成された配線マップがマップ表示部67に表示される。
【0054】
以上のように、本発明の実施の形態における宅内配線推定装置60は、宅内の分配器20における損失を計算し、計算した損失に基づいて宅内配線の構成を推定し、推定した宅内配線の構成を示す配線マップを作成する。これにより、宅内配線の構成(分配器20の数や種類など)を工事前に把握することができるため、工事必要の有無や工事規模を迅速に判断することが可能となる。
【0055】
具体的には、計算部64は、分配器20の各端子についてアンテナ信号の減衰特性を計算し、マップ作成部66は、アンテナ信号の減衰特性に基づいて分配器20の縦方向の段数を推定してもよい。これにより、簡便な方法で迅速に縦方向の段数を推定することが可能である。
【0056】
また、計算部64は、分配器20の各端子間について端子間信号の減衰特性を計算し、マップ作成部66は、端子間信号の減衰特性に基づいて分配器20の横方向の段数を推定してもよい。これにより、簡便な方法で迅速に横方向の段数を推定することが可能である。
【0057】
また、計算部64は、複数の周波数帯でアンテナ信号または端子間信号の減衰特性を計算してもよい。これにより、単数の周波数帯を使用した場合に比べて正確に減衰特性を計算することができる。
【0058】
また、計算部64は、分配器20の各端子間についてIP信号または電気信号の送受信時間を計算し、マップ作成部66は、送受信時間に基づいて分配器20の端子間の距離を推定してもよい。これにより、端子間の距離を配線マップに反映することができるので、宅内環境をより正確に把握することが可能となる。
【0059】
なお、ここでは、宅内配線推定装置60に配線マップを表示することとしているが、宅内配線推定装置60とネットワークを介して接続された別の装置で配線マップを表示するようにしてもよい。もちろん、この別の装置で配線マップを作成することもできる。すなわち、
図5の各処理部61〜67は、複数の装置に分散させることが可能である。
【0060】
また、機能(1)〜(3)の全部を備えていない場合でも配線マップを作成することは可能である。例えば、アンテナ10が未対応または視聴困難エリアである場合は、機能(1)を使用せず、機能(2)(3)だけを使用して配線マップを作成してもよい。もちろん、機能(1)〜(3)の全部を使用した方が、より高精度な推定が可能である。
【0061】
また、本発明は、宅内配線推定装置60として実現することができるだけでなく、このような宅内配線推定装置60が備える特徴的な処理部をステップとする宅内配線推定方法として実現したり、それらのステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したりすることもできる。このようなプログラムは、CD−ROM等の記録媒体やインターネット等の伝送媒体を介して配信することができるのはいうまでもない。