(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る転写装置1は、マスターモールドMAの厚さ方向の一方の面に形成されている微細な転写パターンMA1を、被成形体Wに転写する装置である。マスターモールドMAは、ニッケル等の金属もしくは紫外線等の光が透過しない材料でシート状(薄い板状)に形成されている。
【0020】
転写装置1を用いて微細な転写パターンW1が形成された被成形体W(
図12(c)参照)は、たとえば、導光板、光学フィルタ等の光学素子として使用される。
【0021】
ここで、説明の便宜のために水平な一方向をX軸方向とし、水平な他の一方向であってX軸方向に対して直交する方向をY軸方向とし、X軸方向とY軸方向とに対して直交する上下方向をZ軸方向とする。
【0022】
転写装置1は、
図1等で示すように、第1転写部3と第2転写部5とを備えて構成されている。
【0023】
第1転写部3は、マスターモールドMAの微細な転写パターンMA1を、紫外等の光を透過する材料で構成されているシート状のレプリカモールドMBに転写するものである。
【0024】
すなわち、第1転写部3で、レプリカモールドMBの被成形物MB1にマスターモールドMAの微細な転写パターンMA1を転写することでレプリカモールドMBが生成されるようになっている。
【0025】
第2転写部5は、第1転写部3で形成されたレプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2を、被成形体Wに転写するものである。
【0026】
すなわち、第2転写部5で、被成形体Wの被成形物W2にレプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2を転写することで微細な転写パターンW1が形成された被成形体Wが生成されるようになっている。
【0027】
なお、レプリカモールドMBは細長く形成されており、第1転写部3から第2転写部5にかけて長く延びており、第1転写部3のところに存在しているレプリカモールドMBの部位と、第2転写部5のところに存在しているレプリカモールドMBの部位とはお互いがつながっている。
【0028】
そして、第1転写部3で微細な転写パターンMB2が形成されたレプリカモールドMBの部位が第2転写部5まで移動して、被成形体Wへの転写に使用されるようになっている。
【0029】
レプリカモールドMBは、可撓性を備えている。さらに説明すると、シート状のレプリカモールドMBは、この厚さ方向に対して直交する方向の引張り力が加えられても弾性変形をほとんどせずほぼ剛体とみなせるが、紙幣等のように厚さ方向でめくれるような変形(厚さ方向に対して直交する方向に延伸している軸まわりのモーメントによる変形)を容易にするようになっている。したがって、レプリカモールドMBは、この厚さ方向が円柱状のローラの径方向と一致して、ローラの外周
に容易に巻き付くことができるようになっている。
【0030】
第1転写部3での転写と第2転写部5での転写とは、並行してなされるようになっており、たとえば、第1転写部3での転写がなされるときに、第2転写部5での転写がなされるようになっている。
【0031】
また、転写装置1には、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9とが設けられている。
【0032】
レプリカモールドMBは、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9との間で、レプリカモールド原反設置部7に設置されているレプリカモールド原反(巻き出しロール)MB3からレプリカモールド巻き取り部9(巻き取りロールMB4)までシート状(板状)になって所定の張力で張られて延びている。
【0033】
すなわち、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9との間で、平板状になっているシート状のレプリカモールド(平板状のシート状レプリカモールド)MBには、この長手方向(レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9とをお互いにむすぶたとえば水平な方向;X軸方向)で所定の張力がかかっている。これによってレプリカモールドMBがX軸方向およびY軸方向に展開した平板状の形態を保つようになっている。
【0034】
レプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2は、
図6、
図7、
図9、
図10では図示してはいないが、平板状のレプリカモールドMBの下面に形成されている(
図1等参照)。
【0035】
レプリカモールド原反(反物状のレプリカモールド)MB3は、転写に使用される前のロール状のレプリカモールドMBである。レプリカモールド原反MB3は、シート状のレプリカモールドMB(詳しくは後述するモールド用基材MB5)を、円柱状の芯材の外周に、この外周の周方向とシート状のレプリカモールドMBの長手方向とがお互いに一致するようにして巻き重ね、円筒状もしくは円柱状に形成されている。
【0036】
レプリカモールド巻き取り部9で巻き取られた巻き取り済みレプリカモールド(巻き取りロール)MB4は、転写に使用されたレプリカモールドMBであり、レプリカモールド原反MB3と同様にしてロール状になっている。
【0037】
レプリカモールド原反設置部7に設置されているレプリカモールド原反MB3は、この中心軸(たとえばY軸方向に延びている軸;
図1等の紙面に直交する方向に延びている軸)C1を回転中心にして回転するようになっている。レプリカモールド巻き取り部9で巻き取られる巻き取り済みレプリカモールドMB4も、この中心軸(軸C1と平行で水平方向に延びている軸)C2を回転中心にして回転するようになっている。
【0038】
第1転写部3は、
図2等で示すように、マスターモールドMAを保持するマスターモールド保持体(マスターモールド設置体)11と、円柱状の第1ローラ13と、円柱状の第2ローラ15と、円柱状の第3ローラ17と、円柱状の第4ローラ19とを備えて構成されている。
【0039】
1本の細長いレプリカモールドMBは、長手方向(X軸方向等)に延びて、第2ローラ15、第1ローラ13、第3ローラ17、第4ローラ19の順に、各ローラ13,15,17,19に巻き掛けられるようになっている。
【0040】
第1転写部の第1ローラ(転写ローラ)13は、巻き掛けられたレプリカモールドMBとマスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAとを、転写をするためにマスターモールド保持体11と協働して挟み込むようになっている。そして、第1転写部の第1ローラ13は、この中心軸(Y軸方向に延びている軸)C3を回転中心にして回転し、マスターモールド保持体11に対して相対的にX軸方向で移動(
図1の右側から左側に向かって移動)するように構成されている。これにより、挟み込んでいるマスターモールドMAとレプリカモールドMBとの部位が移動するようになっている。
【0041】
第1転写部の第2ローラ(転写ガイドローラ)15は、第1転写部の第1ローラ13よりもマスターモールド保持体11からZ軸方向で(
図1では上側に)離れている。
【0042】
また、第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドMBが、マスターモールド保持体11から離れるようにして、第1転写部の第2ローラ15に巻き掛けられるようになっている。
【0043】
すなわち、第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられ第1転写部の第3ローラ17とは反対側に第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールド(第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドの長手方向の一方の側)MBが、マスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAから離れるようにして、第1転写部の第2ローラ15に巻き掛けられるようになっている。
【0044】
また、第1転写部の第2ローラ15は、第1転写部の第1ローラ13の中心軸C3と平行な中心軸C4を回転中心にし、第1転写部の第1ローラ13と同期して回転し、マスターモールド保持体11に対して第1転写部の第1ローラ13とともに相対的に移動するようになっている。
【0045】
第1転写部の第3ローラ(剥離ローラ)17は、第1転写部の第1ローラ13よりもX軸方向で第2転写部5側に設けられており、第1転写部の第3ローラ17には、第1転写部の第1ローラ13で挟み込まれマスターモールドMAにくっついているレプリカモールドMBが巻き掛けられるようになっている。
【0046】
第1転写部の第3ローラ17は、第1転写部の第1ローラ13の中心軸C3と平行な中心軸C5を回転中心にし、第1転写部の第1ローラ13と同期して回転し、マスターモールド保持体11に対して第1転写部の第1ローラ13とともに相対的に移動するように構成されている。これにより、レプリカモールドMBを巻き取ってマスターモールドMAから離すようになっている。
【0047】
なお、見方を変えれば、第1転写部の第3ローラ17も、第1転写部の第1ローラ13と同様にして、レプリカモールドMBとマスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAとを、マスターモールド保持体11と協働して挟み込んでいる。
【0048】
第1転写部の第4ローラ(剥離ガイドローラ)19は、第1転写部の第2ローラ15同様にして
、第1転写部の第3ローラ17よりもマスターモールド保持体11からZ軸方向で(
図1では上側に)離れている。第1転写部の第3ローラ17に巻き掛けられ第1転写部の第1ローラ13とは反対側に第1転写部の第3ローラ17から延出しているレプリカモールドMB(第1転写部の第3ローラ17から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側)が、マスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAから離れるようにして、第1転写部の第4ローラ19に巻き掛けられるようになっている。
【0049】
第1転写部の第4ローラ19は、第1転写部の第3ローラ17の中心軸C5と平行な中心軸C6を回転中心にし、第1転写部の第3ローラ17と同期して回転し、マスターモールド保持体11に対して第1転写部の第1ローラ13とともに相対的に移動するように構成されている。
【0050】
第1転写部の第1ローラ13は、すでに理解されるように、転写の際にレプリカモールドMBをマスターモールドMA側に押圧する役目を果たしている。
【0051】
第1転写部の第2ローラ15は、転写の際にレプリカモールドMBをガイドするとともに、第1転写部の第1ローラ13のバックアップローラ(第1転写部の第1ローラ13の撓みを少なくするためのローラ)としても役目を果たしている。
【0052】
第1転写部の第3ローラ17は、前述したように、転写の後にレプリカモールドMBをマスターモールドMAから離す役目を果たしている。
【0053】
第1転写部の第4ローラ19は、転写の後にレプリカモールドMBをガイドするとともに、第1転写部の第3ローラ17のバックアップローラとしても役目を果たしている。
【0054】
マスターモールドMAの微細な転写パターンMA1(シート状のレプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2)は、ピッチや高さが、たとえば可視光線の波長程度である凹凸で形成されている。マスターモールドMAの微細な転写パターンMA1が第1転写部3での転写によって、レプリカモールド(レプリカ型)MBに転写され、マスターモールドMAに形成されている転写パターンMA1とは逆形態の転写パターンMB2がレプリカモールドMBに形成されるようになっている。
【0055】
また、レプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2が第2転写部5での転写によって、被成形体Wに転写され、レプリカモールドMB
に形成されている転写パターンMB2とは逆形態の転写パターンW1が被成形体Wに形成されるようになっている。
【0056】
シート状のレプリカモールドMBは、シート状の基材(モールド用基材)MB5と転写パターン形成体(被成形物)MB1とで構成されている。
【0057】
シート状のモールド用基材MB5は、たとえば、紫外線が透過可能なPET樹脂等の樹脂材料で板状に形成されている。
【0058】
微細な転写パターンMB2が形成されている転写パターン形成体MB1は、たとえば、紫外線が透過可能な硬化した紫外線硬化樹脂(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の他の樹脂であってもよい。)で薄い膜状に形成されている。転写パターン形成体MB1は、この厚さ方向がモールド用基材MB5の厚さ方向と一致するようにして、シート状のモールド用基材MB5の厚さ方向の一方の面でモールド用基材MB5に一体に設けられている。
【0059】
転写パターン形成体MB1の微細な転写パターンMB2は、転写パターン形成体MB1の表面(厚さ方向における一方の面であって、モールド用基材MB5に接している面とは反対の面)に形成されている。
【0060】
モールド用基材MB5は、たとえば、長い矩形な板状(帯板状)に形成されている。モールド用基材MB5の幅寸法はモールド用基材MB5の厚さ寸法に比べてかなり大きくなっており、モールド用基材MB5の長さ寸法は、モールド用基材MB5の幅寸法に比べてかなり大きくなっている。
【0061】
転写パターン形成体MB1も、たとえば、矩形な板状に形成されている。転写パターン形成体MB1は、幅方向がモールド用基材MB5の幅方向と一致し、長さ方向がモールド用基材MB5の長さ方向と一致するようにしてモールド用基材MB5に設けられている。
【0062】
また、転写パターン形成体MB1は、モールド用基材MB5の長さ方向で所定の間隔をあけて断続的に複数設けられている。なお、転写パターン形成体MB1がモールド用基材MB5の長さ方向で連続して設けられていてもよい。転写パターン形成体MB1の幅寸法は、モールド用基材MB5の幅寸法よりも狭くなっている。
【0063】
モールド用基材MB5の一部には、転写パターン形成体MB1が非存在な部位が、モールド用基材MB5の長手方向に連続して延びて形成されている。たとえば、転写パターン形成体MB1の幅寸法がモールド用基材MB5の幅寸法よりも狭くなっていることで、レプリカモールドMBの幅方向
の両端部に、モールド用基材MB5のみになっている部位(基材端部部位)MB6が形成されている(
図4、
図5参照)。
【0064】
マスターモールド保持体11は、たとえば、矩形な平板状に形成されており、マスターモールドMAを保持するための平面(厚さ方向の一方の面;上面;マスターモールド設置面)21を備えている。マスターモールドMAは、この裏面(微細な転写パターンMA1が形成されている面とは反対側の面)の全面が、マスターモールド保持体11のマスターモールド設置面21に面接触し、たとえば真空吸着によって、マスターモールド保持体11に保持されるようになっている。マスターモールド保持体11に設置されたマスターモールドMAは、この幅方向、長さ方向がマスターモールド保持体11の幅方向(Y軸方向)、長さ方向(X軸方向)と一致している。
【0065】
第1転写部の第1ローラ13の外径と第1転写部の第2ローラ15の外径と第1転写部の第3ローラ17の外径と第1転写部の第4ローラ19の外径とはお互いがほぼ等しくなっており、第1転写部の第1ローラ13の長さ(幅)と第1転写部の第2ローラ15の長さ(幅)と第1転写部の第3ローラ17の長さ(幅)と第1転写部の第4ローラ19の長さ(幅)とはお互いがほぼ等しくなっている。
【0066】
第1転写部の第1ローラ13、第1転写部の第2ローラ15、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19は、これらの幅方向(Y軸方向)では、お互いの位置が一致している。
【0067】
第1転写部の第1ローラ13と第1転写部の第3ローラ17とは、上下方向(Z軸方向)では、お互いの位置が一致しており、第1転写部の第2ローラ15と第1転写部の第4ローラ19とは、上下方向(Z軸方向)では、お互いの位置が一致しており、第1転写部の第1ローラ13の上方に位置している。
【0068】
また、第1転写部の第1ローラ13と第1転写部の第2ローラ15とは、X軸方向では、お互いの位置が一致しており、第1転写部の第3ローラ17と第1転写部の第4ローラ19とは、X軸方向では、お互いの位置が一致しており、第1転写部の第1ローラ13よりも第2転写部5側に位置している。
【0069】
第1転写部の第1ローラ13の幅寸法は、マスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAの幅寸法よりも僅かに大きくなっている。第1転写部の第1ローラ13の軸C3の延伸方向(幅方向;Y軸方向)は、マスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAの幅方向と一致しており、第1転写部の第1ローラ13の幅方向の中心と、マスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAの幅方向の中心とは、お互いが一致している。
【0070】
また、第1転写部の第1ローラ13は、マスターモールド保持体11のマスターモールド設置面21に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0071】
第1転写部の第1ローラ13が、レプリカモールドMBとマスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAとをマスターモールド保持体11と協働して挟み込んでいるとき、第1転写部の第1ローラ13の中心軸C3とマスターモールド設置面21との間の距離は、第1転写部の第1ローラ13の半径とマスターモールドMAの厚さとレプリカモールドMBの厚さとの和とほぼ等しいか、ごく僅かに小さくなっている。これによって上述した挟み込みがなされるようになっている。
【0072】
第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられているレプリカモールドMBの幅方向と、第1転写部の第1ローラ13の幅方向とはお互いに一致しており、第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられているレプリカモールドMBの幅方向の中心と、第1転写部の第1ローラ13の幅方向の中心とはお互いがほぼ一致している。第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、第1転写部の第1ローラ13に半周程度に巻き掛けられている。
【0073】
第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、モールド用基材MB5の裏面(厚さ方向の他方の面であって転写パターン形成体MB1が設けられている面とは反対側の面)が、第1転写部の第1ローラ13の外周に面接触している(
図4参照)。
【0074】
第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられ第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側(第1転写部の第3ローラ17側)の部位は、マスターモールド設置面21から僅かに離れ(マスターモールドMAの厚さ程度離れ)、マスターモールド設置面21と平行になって、マスターモールド保持体11の長さ方向(X軸方向)の他端側(
図1では右側)に延出している。
【0075】
第1転写部の第1ローラ13に巻き掛けられ第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の一方の側は、第1転写部の第2ローラ15に半周程度に巻き掛けられている。なお、第1転写部の第1ローラ13および第1転写部の第2ローラ15の中心軸C3,C4の延伸方向(Y軸方向)から見ると、第1転写部の第1ローラ13および第1転写部の第2ローラ15に巻き掛けられているレプリカモールドMBの部位は、「S」字状もしくは逆「S」字状になっている。
【0076】
第1転写部の第2ローラ15の中心軸C4の第1転写部の第1ローラ13の中心軸C3に対する位置関係は、すでに理解されるように、常に一定であり、第1転写部の第2ローラ15は、第1転写部の第1ローラ13といっしょになって、マスターモールド保持体11のマスターモールド設置面21に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0077】
第1転写部の第2ローラ15から
図1の左側に延出しているレプリカモールドMBは、第1転写部の第1ローラ13から
図1の右側延出しているレプリカモールド(第1転写部の第1ローラ13と第1転写部の第3ローラ17との間で延伸しているレプリカモールド)MBと平行になっている。すなわち、第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドMBの厚さ方向と、第1転写部の第2ローラ15から延出しているレプリカモールドMBの厚さ方向とはお互いが一致しており、第1転写部の第1ローラ13から延出しているレプリカモールドMBの長さ方向と、第1転写部の第2ローラ15から延出しているレプリカモールドMBの長さ方向とは
逆方向になっている。
【0078】
また、第1転写部の第2ローラ15から延出しているレプリカモールドMBとマスターモールド保持体11との間の距離は、第1転写部の第1ローラ13の直径と第1転写部の第2ローラ15の直径との和よりも僅かに大きくなっている。
【0079】
第1転写部の第1ローラ13が、レプリカモールドMBとマスターモールド保持体11に保持されているマスターモールドMAとをマスターモールド保持体11と協働して挟み込んでいるとき、すでに理解されるように、第1転写部の第3ローラ17の中心軸C5とマスターモールド設置面21との間の距離は、第1転写部の第1ローラ13のものと同じになっている。
【0080】
第1転写部の第3ローラ17には、第1転写部の第1ローラ13の場合と同様にして、レプリカモールドMBが半周程度巻き掛けられている。
【0081】
第1転写部の第3ローラ17に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、第1転写部の第1ローラ13の場合と同様にして、モールド用基材MB5の裏面が、第1転写部の第3ローラ17の外周に面接触している。
【0082】
第1転写部の第3ローラ17に巻き掛けられ第1転写部の第3ローラ17から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側は、第1転写部の第4ローラ19に半周程度に巻き掛けられている。なお、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19の中心軸C5,C6の延伸方向(Y軸方向)から見ると、第1転写部の第1ローラ13、第1転写部の第2ローラ15の場合と同様にして、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19に巻き掛けられているレプリカモールドMBの部位は、「S」字状もしくは逆「S」字状になっている。
【0083】
第1転写部の第3ローラ17の中心軸C5および第1転写部の第4ローラ19の中心軸C6の第1転写部の第1ローラ13の中心軸C3に対する位置関係は常に一定であり、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19は、第1転写部の第1ローラ13といっしょになって、マスターモールド保持体11のマスターモールド設置面21に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0084】
第1転写部の第4ローラ19から
図1の右側に延出しているレプリカモールドMBは、第1転写部の第3ローラ17から
図1の左側延出しているレプリカモールド(第1転写部の第3ローラ17と第1転写部の第1ローラ13との間で延伸しているレプリカモールド)MBと平行になっている。
【0085】
また、第1転写部の第4ローラ19から延出しているレプリカモールドMBとマスターモールド保持体11との間の距離は、第1転写部の第2ローラ15の場合と同様にして、第1転写部の第3ローラ17の直径と第1転写部の第4ローラ19の直径との和よりも僅かに大きくなっている。
【0086】
第1転写部の第1ローラ13、第1転写部の第2ローラ15、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19は、マスターモールドMAの長手方向(X軸方向)でもマスターモールド保持体11に対して相対的に移動自在になっている。すなわち、第1転写部の第1ローラ13、第1転写部の第2ローラ15、第1転写部の第3ローラ17および第1転写部の第4ローラ19は、マスターモールド保持体11の長手方向で、マスターモールド保持体11の長手方向の他端から僅かに離れた位置(
図6参照)と、マスターモールド保持体の長手方向の一端から僅かに離れた位置(
図8参照)との間で、移動するようになっている。
【0087】
なお、第1転写部の第4ローラ19には、巻き掛けられたレプリカモールドMBの転写パターン形成体MB1の接触を回避するための小径部23が形成されている(
図4参照)。
【0088】
マスターモールド保持体11にマスターモールドMAが設置され、レプリカモールドMBが第1転写部の各ローラ13,15,17,19に巻き掛けられ、第1転写部の第1ローラ13と第1転写部の第3ローラ17とがマスターモールド設置面21に対して直交する方向(Z軸方向)で、マスターモールド設置面21からマスターモールドMAの厚さとレプリカモールドMBの厚さとの和程度の距離(転写をするための距離)だけ離れており、第1転写部の各ローラ13,15,17,19がマスターモールド保持体11の長手方向の端から僅かに離れたところに位置している状態(初期状態;
図6参照)では、第1転写部の第2ローラ15から延出しているレプリカモールドMBが、マスターモールド保持体11の真上に位置しており、第1転写部の第1ローラ13から第1転写部の第3ローラ17側に延出しているレプリカモールドMBがマスターモールド保持体11から離れている。
【0089】
すなわち、上記初期状態をマスターモールド設置面21に対して直交する方向(Z軸方向)から見ると、第1転写部の第2ローラ15から左側に延出しているレプリカモールドMBの部位が、マスターモールド設置面21と重なっており、第1転写部の第1ローラ13から第1転写部の第3ローラ17側(右側)に延出しているレプリカモールドMBの部位は、マスターモールド設置面21から離れている。
【0090】
上記初期状態から、第1転写部の各ローラ13,15,17,19がマスターモールド保持体11の長手方向(X軸方向)の一端側(左側)に移動すると、第1転写部の第1ローラ13とマスターモールド保持体11とで挟み込んでいるレプリカモールドMBとマスターモールドMAとの部位(マスターモールド保持体11の幅方向に延びている直線状の部位)等が、右側から左側に向かって移動するようになっている。このとき、第1転写部の各ローラ13,15,17,19とレプリカモールドMBとの間、レプリカモールドMBとマスターモールドMAとの間には、当然に滑りは発生していない。また、第1転写部の第1ローラ13および第1転写部の第3ローラ17は、レプリカモールドMBを間にし、マスターモールド保持体11に設置されたマスターモールドMAに対して、ころがり対偶をなしている。
【0091】
また、レプリカモールドMBの転写パターン形成体MB1が、紫外線硬化樹脂である場合、転写パターン形成体MB1を硬化させるための紫外線発生装置25が設けられている。紫外線発生装置25は、第1転写部の各ローラ13,15,17,19とともに移動位置決めされるようになっている。そして、第1ローラ13とマスターモールド保持体11とがマスターモールドMAとレプリカモールドMBとを挟み込んでいるところの近傍(第1転写部の第1ローラ13と第1転写部の第3ローラ17との間)で、レプリカモールドMBの転写パターン形成体MB1を硬化させ、レプリカモールドMBに微細な転写パターンMB2が転写されるようになっている。
【0092】
すなわち、第1転写部の各ローラ13,15,17,19をX軸方向に移動しているときに、第1転写部のローラ13,15の後側でモールド用基材MB5を通して紫外線発生装置25が発した紫外線を転写パターン形成体MB1に照射し、転写パターン形成体MB1を右側から左側に向かって順に硬化するようになっている。
【0093】
また、第1転写部の各ローラ13,15,17,19をX軸方向で移動しているときに、第1転写部の第3ローラ17と第1転写部の第4ローラ19とでレプリカモールドMBを巻き取り、マスターモールド保持体11に設置されているマスターモールドMAにくっついているレプリカモールドMBをマスターモールドMAから剥がす(分離する)ようになっている。この分離されたレプリカモールドMBが、第2転写部5での転写に使用されるようになっている。
【0094】
また、第1転写部3には、未硬化の転写パターン形成体MB1をマスターモールドMAの上面に膜状に設けるためのノズル27が設けられている。ノズル27は、第1転写部の各ローラ13,15の上流側(ローラ13,15を間にしてローラ17,19とは反対側)に設けられており、第1転写部の各ローラ13,15,17,19とともに移動位置決めされるようになっている。
【0095】
なお、ノズル27を、
図2の参照符号27aで示すところに設け、モールド用基材MB5の下面に未硬化の転写パターン形成体MB1を設けるようにしてもよい。この場合、
図4で示すように、第1転写部の第2ローラ15に、巻き掛けられたレプリカモールドMBの転写パターン形成体MB1の接触を回避するための小径部23が形成されているものとする。また、ノズル27を、
図2の参照符号27bで示すところに設けてもよい。
【0096】
次に、第2転写部5について詳しく説明する。第2転写部5は、
図1等で示すように、第1転写部3とほぼ同様に構成されており、X軸方向で第1転写部3よりもレプリカモールド巻き取り部9側に位置している。
【0097】
すなわち、第2転写部5は、
図3等で示すように、被成形体Wを保持する被成形体保持体(被成形体設置体)29と、円柱状の第1ローラ31と、円柱状の第2ローラ33と、円柱状の第3ローラ35と、円柱状の第4ローラ37とを備えて構成されている。
【0098】
1本の細長いレプリカモールドMBは、長手方向(X軸方向等)に延びて、第2ローラ33、第1ローラ31、第3ローラ35、第4ローラ37の順に、各ローラ31,33,35,37に巻き掛けられるようになっている。
【0099】
第2転写部の第1ローラ(転写ローラ)31は、巻き掛けられたレプリカモールドMBと被成形体保持体29に保持されている被成形体Wとを、転写をするために被成形体保持体29と協働して挟み込むようになっている。そして、第2転写部の第1ローラ31は、この中心軸(Y軸方向に延びている軸)C7を回転中心にして回転し、被成形体保持体29に対して相対的にX軸方向で移動(
図1の右側から左側に向かって移動)するように構成されている。これにより、挟み込んでいるレプリカモールドMBと被成形体Wの部位が移動するようになっている。
【0100】
第2転写部の第2ローラ(転写ガイドローラ)33は、第2転写部の第1ローラ31よりも被成形体保持体29からZ軸方向で(
図1では上側に)離れている。
【0101】
また、第2転写部の第1ローラ31から延出しているレプリカモールドMBが、被成形体保持体29から離れるようにして、第2転写部の第2ローラ33に巻き掛けられるようになっている。
【0102】
すなわち、第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられ第2転写部の第3ローラ35とは反対側に第2転写部の第1ローラ31から延出しているレプリカモールド(第2転写部の第1ローラ31から延出しているレプリカモールドの長手方向の一方の側)MBが、被成形体保持体29に保持されている被成形体Wから離れるようにして、第2転写部の第2ローラ33に巻き掛けられるようになっている。
【0103】
また、第2転写部の第2ローラ33は、第2転写部の第1ローラ31の中心軸C7と平行な中心軸C8を回転中心にし、第2転写部の第1ローラ31と同期して回転し、被成形体保持体29に対して第2転写部の第1ローラ31とともに相対的に移動するようになっている。
【0104】
第2転写部の第3ローラ(剥離ローラ)35は、第2転写部の第1ローラ31よりもX軸方向でレプリカモールド巻き取り部9側に設けられており、第2転写部の第3ローラ35には、第2転写部の第1ローラ31で挟み込まれ被成形体WにくっついているレプリカモールドMBが巻き掛けられるようになっている。
【0105】
第2転写部の第3ローラ35は、第2転写部の第1ローラ31の中心軸C7と平行な中心軸C9を回転中心にし、第2転写部の第1ローラ31と同期して回転し、被成形体保持体29に対して第2転写部の第1ローラ31とともに相対的に移動するように構成されている。これにより、レプリカモールドMBを巻き取って被成形体Wから離すようになっている。
【0106】
なお、見方を変えれば、第2転写部の第3ローラ35も、第2転写部の第1ローラ31と同様にして、レプリカモールドMBと被成形体保持体29に保持されている被成形体Wとを、被成形体保持体29と協働して挟み込んでいる。
【0107】
第2転写部の第4ローラ(剥離ガイドローラ)37は、第2転写部の第2ローラ33と同様にして、第2転写部の第3ローラ35よりも被成形体保持体29からZ軸方向で(
図1では上側に)離れている。第2転写部の第3ローラ35に巻き掛けられ第2転写部の第1ローラ31とは反対側に第2転写部の第3ローラ35から延出しているレプリカモールドMB(第2転写部の第3ローラ35から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側)が、被成形体保持体29に保持されている被成形体Wから離れるようにして、第2転写部の第4ローラ37に巻き掛けられるようになっている。
【0108】
第2転写部の第4ローラ37は、第2転写部の第3ローラ35の中心軸C9と平行な中心軸C10を回転中心にし、第2転写部の第3ローラ35と同期して回転し、被成形体保持体29に対して第2転写部の第1ローラ31とともに相対的に移動するように構成されている。
【0109】
第2転写部の第1ローラ31は、すでに理解されるように、転写の際にレプリカモールドMBを被成形体W側に押圧する役目を果たしている。
【0110】
第2転写部の第2ローラ33は、転写の際にレプリカモールドMBをガイドするとともに、第2転写部の第1ローラ31のバックアップローラとしても役目を果たしている。
【0111】
第2転写部の第3ローラ35は、前述したように、転写の後にレプリカモールドMBを被成形体Wから離す役目を果たしている。
【0112】
第2転写部の第4ローラ37は、転写の後にレプリカモールドMBをガイドするとともに、第2転写部の第3ローラ35のバックアップローラとしても役目を果たしている。
【0113】
第2転写部の第1ローラ31と第2転写部の第2ローラ33と第2転写部の第3ローラ35と第2転写部の第4ローラ37とは、第1転写部の各ローラ13,15,17,19と同形状に形成されており、第2転写部の各ローラ31,33,35,37は、これらの幅方向(Y軸方向)で、お互いの位置が一致しており、第1転写部の各ローラ13,15,17,19と同じところに位置している。
【0114】
第2転写部の第1ローラ31と第2転写部の第3ローラ35とは、上下方向(Z軸方向)では、お互いの位置が一致しており、第2転写部の第2ローラ33と第2転写部の第4ローラ37とは、上下方向(Z軸方向)では、お互いの位置が一致しており、第2転写部の第1ローラ31の上方に位置している。
【0115】
また、第2転写部の第1ローラ31と第2転写部の第2ローラ33とは、X軸方向では、お互いの位置が一致しており、第2転写部の第3ローラ35と第2転写部の第4ローラ37とは、X軸方向では、お互いの位置が一致しており、第2転写部の第1ローラ31よりもレプリカモールド巻き取り部9側に位置している。
【0116】
第2転写部の第1ローラ31の幅寸法は、被成形体保持体29に保持されている被成形体Wの幅寸法よりも僅かに大きくなっている。第2転写部の第1ローラ31の軸C7の延伸方向(幅方向;Y軸方向)は、被成形体保持体29に保持されている被成形体Wの幅方向と一致しており、第2転写部の第1ローラ31の幅方向の中心と、被成形体保持体29に保持されている被成形体Wの幅方向の中心とは、お互いが一致している。
【0117】
また、第2転写部の第1ローラ31は、被成形体保持体29の被成形体設置面39に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0118】
第2転写部の第1ローラ31が、レプリカモールドMBと被成形体保持体29に保持されている被成形体Wとを被成形体保持体29と協働して挟み込んでいるとき、第2転写部の第1ローラ31の中心軸C7と被成形体設置面39との間の距離は、第2転写部の第1ローラ31の半径と被成形体Wの厚さとレプリカモールドMBの厚さとの和とほぼ等しいか、ごく僅かに小さくなっている。これによって上述した挟み込みがなされるようになっている。
【0119】
第1転写部3の場合と同様にして、第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられているレプリカモールドMBの幅方向と、第2転写部の第1ローラ31の幅方向とはお互いに一致しており、第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられているレプリカモールドMBの幅方向の中心と、第2転写部の第1ローラ31の幅方向の中心とはお互いがほぼ一致している。第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、第2転写部の第1ローラ31に半周程度に巻き掛けられている。
【0120】
第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、モールド用基材MB5の裏面(厚さ方向の他方の面であって転写パターン形成体MB1が設けられている面とは反対側の面)が、第2転写部の第1ローラ31の外周に面接触している(
図5参照)。
【0121】
第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられ第2転写部の第1ローラ31から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側(第2転写部の第3ローラ35側)の部位は、被成形体設置面39から僅かに離れ(被成形体Wの厚さ程度離れ)、被成形体設置面39と平行になって、被成形体保持体29の長さ方向(X軸方向)の他端側(
図1では右側)に延出している。
【0122】
第2転写部の第1ローラ31に巻き掛けられ第2転写部の第1ローラ31から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の一方の側は、第2転写部の第2ローラ33に半周程度に巻き掛けられている。なお、第2転写部の第1ローラ31および第2転写部の第2ローラ33の中心軸C7,C8の延伸方向(Y軸方向)から見ると、第2転写部の第1ローラ31および第2転写部の第2ローラ33に巻き掛けられているレプリカモールドMBの部位は、「S」字状もしくは逆「S」字状になっている。
【0123】
第2転写部の第2ローラ33の中心軸C8の第2転写部の第1ローラ31の中心軸C7に対する位置関係は常に一定であり、第2転写部の第2ローラ33は、第2転写部の第1ローラ31といっしょになって、被成形体保持体29の被成形体設置面39に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0124】
第2転写部の第1ローラ31が、レプリカモールドMBと被成形体保持体29に保持されている被成形体Wとを被成形体保持体29と協働して挟み込んでいるとき、すでに理解されるように、第2転写部の第3ローラ35の中心軸C9と被成形体設置面39との間の距離は、第2転写部の第1ローラ31のものと同じになっている。
【0125】
第2転写部の第3ローラ35には、第3転写部の第1ローラ31の場合と同様にして、レプリカモールドMBが半周程度巻き掛けられている。
【0126】
第2転写部の第3ローラ35に巻き掛けられているレプリカモールドMBは、第2転写部の第1ローラ31の場合と同様にして、モールド用基材MB5の裏面が、第2転写部の第3ローラ35の外周に面接触している。
【0127】
第2転写部の第3ローラ35に巻き掛けられ第2転写部の第3ローラ35から延出しているレプリカモールドMBの長手方向の他方の側は、第2転写部の第4ローラ37に半周程度に巻き掛けられている。なお、第2転写部の第3ローラ35および第2転写部の第4ローラ37の中心軸C9,C10の延伸方向(Y軸方向)から見ると、第2転写部の第1ローラ31、第2転写部の第2ローラ33の場合と同様にして、第2転写部の第3ローラ35および第2転写部の第4ローラ37に巻き掛けられているレプリカモールドMBの部位は、「S」字状もしくは逆「S」字状になっている。
【0128】
第2転写部の第3ローラ35の中心軸C9および第2転写部の第4ローラ37の中心軸C10の第2転写部の第1ローラ31の中心軸C7に対する位置関係は常に一定であり、第2転写部の第3ローラ35および第2転写部の第4ローラ37は、第2転写部の第1ローラ31といっしょになって、被成形体保持体29の被成形体設置面39に直交する方向(Z軸方向)で移動位置決め自在になっている。
【0129】
第2転写部の第4ローラ37から
図1の右側に延出しているレプリカモールドMBは、第2転写部の第3ローラ35から
図1の左側延出しているレプリカモールド(第2転写部の第3ローラ35と第1転写部の第1ローラ13との間で延伸しているレプリカモールド)MBと平行になっている。
【0130】
また、第2転写部の第4ローラ37から延出しているレプリカモールドMBとマスターモールド保持体11との間の距離は、第2転写部の第2ローラ33の場合と同様にして、第2転写部の第3ローラ35の直径と第2転写部の第4ローラ37の直径との和よりも僅かに大きくなっている。
【0131】
第2転写部の第1ローラ31、第2転写部の第2ローラ33、第2転写部の第3ローラ35および第2転写部の第4ローラ37は、被成形体Wの長手方向(X軸方向)でも
被成形体保持体
29に対して相対的に移動自在になっている。すなわち、第2転写部の第1ローラ31、第2転写部の第2ローラ33、第2転写部の第3ローラ35および第2転写部の第4ローラ37は、被成形体保持体29の長手方向で、被成形体保持体29の長手方向の他端から僅かに離れた位置(
図8参照)と、
被成形体保持体
29の長手方向の一端から僅かに離れた位置(
図10参照)との間で、移動するようになっている。
【0132】
なお、第2転写部の第2ローラ33と第2転写部の第4ローラ37とには、第1転写部の第4ローラ19の場合と同様にして、巻き掛けられたレプリカモールドMBの転写パターン形成体MB1の接触を回避するための小径部41が形成されている(
図5参照)。
【0133】
被成形体保持体29に被成形体Wが設置され、レプリカモールドMBが第2転写部の各ローラ31,33,35,37に巻き掛けられ、第2転写部の第1ローラ31と第2転写部の第3ローラ35とが被成形体設置面39に対して直交する方向(Z軸方向)で、被成形体設置面39から被成形体Wの厚さとレプリカモールドMBの厚さとの和程度の距離(転写をするための距離)だけ離れており、第2転写部の各ローラ31,33,35,37が被成形体保持体29の長手方向の端から僅かに離れたところに位置している状態(初期状態;
図8参照)では、第2転写部の第2ローラ33から延出しているレプリカモールドMBが、被成形体保持体29の真上に位置しており、第2転写部の第1ローラ31から第2転写部の第3ローラ35側に延出しているレプリカモールドMBが被成形体保持体29から離れている。
【0134】
すなわち、上記初期状態を被成形体設置面39に対して直交する方向(Z軸方向)から見ると、第2転写部の第2ローラ33から左側に延出しているレプリカモールドMBの部位が、被成形体設置面39と重なっており、第2転写部の第1ローラ31から第2転写部の第3ローラ35側(右側)に延出しているレプリカモールドMBの部位は、被成形体設置面39から離れている。
【0135】
上記初期状態から、第2転写部の各ローラ31,33,35,37が被成形体保持体29の長手方向(X軸方向)の一端側(左側)に移動すると、第2転写部の第1ローラ31と被成形体保持体29とで挟み込んでいるレプリカモールドMBと被成形体Wとの部位(被成形体保持体29の幅方向に延びている直線状の部位)等が、右側から左側に向かって移動するようになっている。このとき、第2転写部の各ローラ31,33,35,37とレプリカモールドMBとの間、レプリカモールドMBと被成形体Wとの間には、当然に滑りは発生していない。また、第2転写部の第1ローラ31および第2転写部の第3ローラ35は、レプリカモールドMBを間にし、被成形体保持体29に設置された被成形体Wに対して、ころがり対偶をなしている。
【0136】
ところで、被成形体Wは、基材(被成形体用基材)W3と被成形物W2とを備えて構成されている。
【0137】
シート状の被成形体用基材W3は、たとえば、PET樹脂等の樹脂材料で板状に形成されている。レプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2が転写されて形成される被成形物W2は、たとえば、紫外線硬化樹脂(熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂等の他の樹脂であってもよい。)で薄い膜状に形成されている。
【0138】
被成形体用基材W3は、たとえば矩形な板状に形成されている。被成形体用基材W3の幅寸法は、モールド用基材MB5の幅寸法と同程度になっており、被成形体用基材W3の長さ寸法は、レプリカモールドMBのモールド用基材MB5に断続的に設けられている1つの被成形物(転写パターン形成体)MB1の長さ寸法よりも僅かに大きくなっている。
【0139】
被成形物W2も矩形な薄い膜状になって設けられている。被成形物W2は、この厚さ方向(Z軸方向)が被成形体用基材W3の厚さ方向と一致するようにして、シート状の被成形体用基材W3の厚さ方向の一方の面で被成形体用基材W3に設けられている。また、被成形物W2は、幅方向(Y軸方向)が被成形体用基材W3の幅方向と一致しており、長さ方向が被成形体用基材W3の長さ方向(X軸方向)と一致している。被成形物W2の幅寸法は、被成形体用基材W3の幅寸法と同程度になっており、レプリカモールドMBのモールド用基材MB5に断続的に設けられている1つの被成形物(転写パターン形成体)MB1の長さ寸法と同程度になっている。
【0140】
被成形物W2の微細な転写パターンW1は、被成形物W2の表面(厚さ方向における一方の面であって、被成形体用基材W3に接している面とは反対の面)に形成されるようになっている。
【0141】
また、被成形体保持体29は、たとえば、矩形な平板状に形成されており、上述したように、被成形体Wを保持するための平面(厚さ方向の一方の面;上面;被成形体設置面)39を備えている。被成形体Wは、この裏面(被成形体用基材W3の厚さ方向の一方の面であって被成形物W2が設けられている面とは反対側の面)の全面が、被成形体保持体29の被成形体設置面39に面接触し、たとえば真空吸着によって、被成形体保持体29に保持されるようになっている。
【0142】
被成形体保持体29に設置された被成形体Wは、この幅方向、長さ方向が被成形体保持体29の幅方向(Y軸方向)、長さ方向(X軸方向)と一致している。
【0143】
また、被成形体Wの被成形物W2が、紫外線硬化樹脂である場合、被成形物W2を硬化させるための紫外線発生装置43が設けられている。紫外線発生装置43は、第2転写部の各ローラ31,33,35,37とともに移動位置決めされるようになっている。そして、第1ローラ31と被成形体保持体29とが被成形体WとレプリカモールドMBとを挟み込んでいるところの近傍(第2写部の第1ローラ31と第2転写部の第3ローラ35との間)で、被成形体Wの被成形物W2を硬化させ、被成形体Wに微細な転写パターンW1が転写されるようになっている。
【0144】
すなわち、第2転写部の各ローラ31,33,35,37をX軸方向に移動しているときに、第2転写部のローラ31,33の後側でレプリカモールドMBを通して紫外線発生装置43が発した紫外線を被成形物W2に照射し、被成形物W2を右側から左側に向かって順に硬化するようになっている。
【0145】
また、第2転写部の各ローラ31,33,35,37をX軸方向で移動しているときに、第2転写部の第3ローラ35と第2転写部の第4ローラ37とでレプリカモールドMBを巻き取り、被成形体保持体29に設置されている被成形体WにくっついているレプリカモールドMBを被成形体Wの被成形物W2から剥がすようになっている。この分離されたレプリカモールドMBを、第2転写部5での転写に再使用してもよい。
【0146】
また、第2転写部5には、未硬化の被成形物W2を被成形体用基材W3の上面に膜状に設けるためのノズル45が設けられている。ノズル45は、第2転写部の各ローラ31,33の上流側(ローラ31,33を間にしてローラ35,37とは反対側)に設けられており、第2転写部の各ローラ31,33,35,37とともに移動位置決めされるようになっている。
【0147】
なお、ノズル45を、
図3の参照符号45aで示すところに設け、レプリカモールドMBの下面に未硬化の被成形物W2を設けるようにしてもよい。さらに、ノズル45を、
図3の参照符号45bで示すところに設けてもよい。
【0148】
ここで、転写装置1についてさらに詳しく説明する。
【0149】
転写装置1はベース体47を備えている。第1転写部3には、除振台49が設けられている。除振台49は、ベース体47の上でベース体47に一体的に設けられている。第1転写部3のマスターモールド保持体11は、除振台49の上面で除振台49に一体的に設けられている。
【0150】
除振台49の上方には、支柱51と下側支柱保持体(図示せず)と上側支柱保持体53とが設けられている。支柱51と下側支柱保持体と上側支柱保持体53とは一体化している。下側支柱保持体(支柱51、上側支柱保持体53)は、図示しないリニアガイドベアリングを介して除振台49に支持されており、X軸方向で除振台49に対して移動するようになっている。
【0151】
また、下側支柱保持体(支柱51、上側支柱保持体53)は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータやボールネジによって、制御装置(CPUを含む制御装置)の制御の下、除振台49(マスターモールド保持体11)に対してX軸方向で移動位置決めされるようになっている。
【0152】
支柱51には、リニアガイドベアリング55を介して移動体57が支持されている。移動体57は、Z軸方向で支柱51対して移動するようになっている。また、移動体57は、サーボモータ59等のアクチュエータとボールネジ61によって、制御装置の制御の下、支柱51(除振台49、マスターモールド保持体11)に対してZ軸方向で移動位置決めされるようになっている。
【0153】
移動体57には、ローラ支持体63が一体的に設けられており、ローラ支持体63が各ローラ13,15,17,19を回転自在に支持している。これにより、各ローラ13,15,17,19は、X軸方向およびZ軸方向でマスターモールド保持体11に対して移動位置決め自在になっている。
【0154】
なお、各ローラ13,15,17,19は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータで回転するようになっているが、ローラ支持体63が各ローラ13,15,17,19をフリーの状態で回転自在に支持している構成であってもよい。
【0155】
また、ローラ支持体63には、紫外線発生装置25とノズル27が一体的に設けられている。
【0156】
なお、下側支柱保持体(支柱51、上側支柱保持体53)を移動位置決めすることに代えてもしくは加えて、マスターモールド保持体11を除振台49に対して移動位置決めするように構成されていてもよい。
【0157】
第2転写部5には、除振台65が設けられている。除振台65は、ベース体47の上でベース体47に一体的に設けられている。なお、除振台65が除振台49と一体のもので構成されていてもよい。第2転写部5の被成形体保持体29は、除振台65の上面で除振台65に一体的に設けられている。
【0158】
被成形体保持体29には、リフトピン67が設けられている。リフトピン67は、図示しない制御装置の制御の下、図示しない空気圧シリンダ等のアクチュエータでZ軸方向に移動するようになっている。
【0159】
リフトピン67が下方に位置しているとき、リフトピン67は、被成形体保持体29内に埋没している。リフトピン67が上方に位置しているとき、リフトピン67は、被成形体保持体29の被成形体設置面39から上方に突出している。
【0160】
除振台65の上方には、支柱69と下側支柱保持体(図示せず)と上側支柱保持体71とが設けられている。支柱69と下側支柱保持体と上側支柱保持体71とは一体化している。下側支柱保持体(支柱69、上側支柱保持体71)は、図示しないリニアガイドベアリングを介して除振台65に支持されており、X軸方向で除振台65に対して移動するようになっている。
【0161】
また、下側支柱保持体(支柱69、上側支柱保持体71)は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータやボールネジによって、制御装置の制御の下、除振台65(被成形体保持体29)に対してX軸方向で移動位置決めされるようになっている。
【0162】
支柱69には、リニアガイドベアリング73を介して移動体75が支持されている。移動体75は、Z軸方向で支柱69対して移動するようになっている。また、移動体75は、サーボモータ77等のアクチュエータとボールネジ79によって、制御装置の制御の下、支柱69(除振台65、被成形体保持体29)に対してZ軸方向で移動位置決めされるようになっている。
【0163】
移動体75には、ローラ支持体81が一体的に設けられており、ローラ支持体81が各ローラ31,33,35,37を回転自在に支持している。これにより、各ローラ31,33,35,37は、X軸方向およびZ軸方向で被成形体保持体29に対して移動位置決め自在になっている。
【0164】
なお、各ローラ31,33,35,37は、図示しないサーボモータ等のアクチュエータで回転するようになっているが、ローラ支持体81が各ローラ31,33,35,37をフリーの状態で回転自在に支持している構成であってもよい。
【0165】
また、ローラ支持体81には、紫外線発生装置43とノズル45が一体的に設けられている。
【0166】
なお、下側支柱保持体(支柱69、上側支柱保持体71)を移動位置決めすることに代えてもしくは加えて、被成形体保持体29を除振台65に対して移動位置決めするように構成されていてもよい。
【0167】
レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9とは、ベース体47(除振台49,65でもよい。)に設けられている。
【0168】
レプリカモールド原反設置部7と第1転写部3との間には、レプリカモールドMBが巻き掛けられるガイドローラ83A〜83Dが設けられている。ガイドローラ83A〜83Dは、ベース体47(除振台49でもよい。)に設けられている。
【0169】
なお、ガイドローラ83Bは、ダンサローラであり、Z軸方向で移動位置決めされるようになっている。また、ガイドローラ83C,83Dは、ガイドローラ83C,83Dと第1転写部の第2ローラ15との間でレプリカモールドMBが水平に展開するように、たとえば、第2ローラ15のZ軸方向の移動位置決めに応じて、Z軸方向で移動位置決め自在になっている。
【0170】
第2転写部5とレプリカモールドモールド巻き取り部9との間には、Z軸方向で移動位置決め自在なガイドローラ85が設けられており、第2転写部の第4ローラ37とガイドローラ85との間でレプリカモールドMBが水平に展開するようになっている。ガイドローラ85は、ベース体47(除振台65でもよい。)に設けられている。
【0171】
次に転写装置1の動作について説明する。
【0172】
初期状態として、
図6に示すように、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9との間で、レプリカモールドMBが板状になって延びて停止しているものとする。
【0173】
第1転写部3では、マスターモールドMAがマスターモールド保持体11に保持されており、各ローラ13,15,17,19が、X軸方向では、マスターモールド保持体11から離れ第2転写部5側に位置しており、Z軸方向では、転写をするための位置決めがなされている。紫外線発生装置25は紫外線を発していない。
【0174】
第2転写部5では、被成形体保持体29には、被成形体Wが設置されておらず、リフトピン67が下降しており、各ローラ31,33,35,37が、X軸方向では、被成形体保持体29から離れレプリカモールド巻き取り部9側に位置しており、Z軸方向では、転写をするための位置決めがなされている。紫外線発生装置43は紫外線を発していない。
【0175】
上記初期状態で、ノズル27から未硬化の紫外線硬化樹脂(被成形物)MB1を吐出してマスターモールドMAに被成形物MB1を薄膜状に設けるとともに、各ローラ13,15,17,19をノズル27およ
び紫外線発生装置25
といっしょにレプリカモールド原反設置部7側に移動し、紫外線発生装置25が紫外線を発して被成形物MB1を硬化し、さらに、レプリカモールドMBをマスターモールドMAから剥がす(
図7参照)。
【0176】
各ローラ13,15,17,19等の移動は、各ローラ13,15,17,19がX軸方向でマスターモールド保持体11から離れるまで行う(
図8参照)。
【0177】
これにより、マスターモールドMAの微細な転写パターンMA1が、光を透過する材料で構成されているレプリカモールドMBに転写される(第1転写写工程)。
【0178】
続いて、リフトピン67を上昇し、図示しないロボット等により被成形体用基材W3をリフトピン67に載置し、この後、リフトピン67を下降し、被成形体保持体29に被成形体用基材W3を設置する。
【0179】
続いて、ノズル45から未硬化の紫外線硬化樹脂(被成形物)W2を吐出して被成形体用基材W3に被成形物W2を薄膜状に設けるとともに、各ローラ31,33,35,37をノズル45およ
び紫外線発生装置43
といっしょにレプリカモールド原反設置部7側に移動し、紫外線発生装置43が紫外線を発して被成形物W2を硬化し、さらに、レプリカモールドMBを被成形体Wから剥がす(
図9参照)。
【0180】
各ローラ31,33,35,37等の移動は、各ローラ31,33,35,37がX軸方向で被成形体保持体29から離れるまで行う(
図10参照)。
【0181】
これにより、第1転写工程で形成されたレプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2が被成形体Wに転写される(2転写工程)。
【0182】
続いて、リフトピン67を上昇し、図示しないロボット等により、微細な転写パターンW1が転写された被成形体Wを搬出し、リフトピン67を下降する。
【0183】
続いて、各ローラ13,15,17,19,31,33,35,37等をレプリカモールド巻き取り部9側に戻す等することで、上述した初期状態に戻る。
【0184】
なお、上記説明では、第1転写部3の動作が終えてから第2転写部5が動作をするようになっているが、第1転写部3の動作と第2転写部5が動作とは並行してなされるものとする。すなわち、第2転写部5で被成形体Wへの転写がなされているときに、次の転写を第1転写部3で行うようになっている。
【0185】
転写装置1によれば、被成形体Wに微細な転写パターンMB2を転写する際、光を透過する材料で構成されているレプリカモールドMBを通して被成形体Wの被成形物(未硬化の紫外線硬化樹脂)W2に紫外線を照射し被成形物W2を硬化することができるので、被成形体Wとして光を透過しない材料を採用することができ、被成形体Wの仕様の自由度を広げることができる。
【0186】
また、レプリカモールドMBに微細な転写パターンMA1を転写する際、光を透過する材料で構成されているレプリカモールドMBを通して転写パターン形成体(未硬化の紫外線硬化樹脂)MB1に紫外線を照射し転写パターン形成体MB1を硬化することができるので、マスターモールドMAとして光を透過しない材料を採用することができ、マスターモールドMAの仕様の自由度を広げることができる。
【0187】
また、レプリカモールドMBが可撓性を備えているので、被成形体Wへの微細な転写パターンMB2の転写が終えてレプリカモールドMBが被成形体Wにくっついている状態からでも、レプリカモールドMBをめくることでレプリカモールドMBを被成形体Wから離すことができる。これにより、レプリカモールドMBを被成形体Wから離す際、被成形体Wを変形させる必要が無くなり、たとえば、被成形体Wが傷付くことが防止される。
【0188】
また、転写装置1によれば、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9とを備えているので、レプリカモールドMBの交換を正確かつ容易に行うことができる。
【0189】
詳しく説明すると、レプリカモールドMBは耐久性が低いため、1回の転写をする毎にもしくは数回の転写をする毎に交換する必要がある。
【0190】
転写装置1では、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9とが設けられているので、レプリカモールドMBの交換をするとき、レプリカモールド巻き取り部9で所定の長さだけレプリカモールドMBを巻き取り、レプリカモールド原反設置部7のレプリカモールド原反MB3からレプリカモールドMBの新しい部分(転写に使用されていない部分)を引き出せばよく、レプリカモールドMBを転写部3,5から一旦取り外して再び設置する操作が不要になり、レプリカモールドMBの交換を正確かつ容易におこなうことができる。
【0191】
また、レプリカモールドMBの交換を迅速におこなうことができるので、転写装置1で要したレプリカモールドMBの交換時間を被成形体Wへの転写に使用することができ、転写を効率良く行うことができる。
【0192】
第1転写部3が第1〜第4ローラ13,15,17,19を備えており、各ローラ13,15,17,19がX軸方向の一方向に移動するだけで、第1ローラ13で転写がなされ後ただちに第3ローラ17でマスターモールドMAからレプリカモールドMBを離すので、レプリカモールドMBへの微細な転写パターンMA1の転写を効率良く行うことができる。
【0193】
また、転写装置1によれば、同様にして、第2転写部5が第1〜第4ローラ31,333,35,37を備えており、各ローラ31,33,35,37がX軸方向の一方向に移動するだけで、第1ローラ31で転写がなされ後ただちに第3ローラ35で被成形体WからレプリカモールドMBを離すので、被成形体Wへの微細な転写パターンMB2の転写を効率良く行うことができる。
【0194】
また、転写装置1によれば、第1転写部の第4ローラ19と第2転写部の第2ローラ33とに、巻き掛けられたレプリカモールドMBの微細な転写パターンMB2の接触を回避するための小径部23,41が形成されているので、レプリカモールドMBの張力によって微細な転写パターンMB2がつぶれてしまうことを防止することができる。
【0195】
また、転写装置1によれば、第1ローラ13(31)と第2ローラ15(33)とでレプリカモールドMBを挟み込込んでいるので、第2ローラ15(33)を第1ローラ13(31)のバックアップローラとして作用させることができ、転写をするときに被成形体W等から受ける反力による第1ローラ13(31)の撓みを極力少なくすることができる。
【0196】
また、転写装置1によれば、各ローラ13,15,17,19に巻き掛けられ各ローラ13,15,17,19から延出しているレプリカモールドMBがマスターモールド設置面21と平行になっており、各ローラ31,33,35,37に巻き掛けられ各ローラ31,33,35,37から延出しているレプリカモールドMBが被成形体設置面39と平行になっているので、転写のために各ローラ13,15,17,19,31,33,35,37がX軸方向で移動しても、レプリカモールド原反設置部7とレプリカモールド巻き取り部9との間で延伸しているレプリカモールドMBの長さ調整をする必要がほぼ無くなり、転写装置1の構成を簡素化することができる。
【0197】
なお、転写装置1において、
図11で示すように、第1転写部3が、側面に微細な転写パターンMA1が形成されている円柱状のマスターモールドMA2を備えて構成されていてもよい。そして、レプリカモールドMBへの転写が、マスターモールドMAにレプリカモールドMBが巻き掛けられることでなされるように構成されていてもよい。
【0198】
図11で示す参照符号87は、レプリカモールドMBの被成形物MB1を供給するノズルである。
【0199】
また、微細な転写パターンMA1は、マスターモールドMA2に一体で形成されていてもよいし、微細な転写パターンMA1を薄いシート状のものに設け、この薄いシート状のものをマスターモールドMA2の本体に巻き付けて一体的に設けた構成であってもよい。