【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、積層方向に第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流体(1)の各入口(2a)とその第1流路(7)との間に、中心に冷媒(1a)の連通孔(9)を有し、外周に環状の外側壁(10)を有する環状皿(11)が配置されて、その外側壁(10)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その環状皿(11)はプレス加工により形成され、その環状皿(11)の底と、その底の外面に対向する第2プレート(6)とは、両者のうち一方の対向側に突設した環状凸部(12)で、液密に接合され、
その環状凸部(12)の半径方向の外側は、環状皿(11)の底の外面と第2プレート(6)との間に外側隙間(13)が形成され、
前記環状凸部(12)の半径方向の外側位置で、前記底に冷媒(1a)の外絞り孔(14)が形成され、その外絞り孔(14)から前記外側隙間(13)を介して、前記第1流路(7)に冷媒(1a)が導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図1〜
図19の各実施例)。
【0008】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記環状皿(11)は、前記連通孔(9)の孔縁に環状の内側壁(15)を有し、その内側壁(15)と前記外側壁(10)との間に環状の膨張空間(16)が形成されると共に、前記環状凸部(12)の半径方向の内側には環状皿(11)の底の外面と第2プレート(6)との間に内側隙間(17)が形成され、
前記環状凸部(12)の半径方向の内側位置で、前記底に冷媒(1a)の内絞り孔(18)が形成され、冷媒(1a)がその内側隙間(17)から内絞り孔(18)、前記膨張空間(16)、外絞り孔(14)、外側隙間(13)を順に介して、前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図1〜
図7の各実施例)。
【0009】
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記環状皿(11)は、前記連通孔(9)の孔縁に環状の内側壁(15)を有し、その内側壁(15)と前記外側壁(10)との間に環状の膨張空間(16)が形成されると共に、その内側壁(15)の縁の一部から底の方向へ冷媒(1a)流入用の欠切部(19)または凹陥部(20)が形成され、
冷媒(1a)がその欠切部(19)または凹陥部(20)から、前記膨張空間(16)、外絞り孔(14)、外側隙間(13)を順に介して、前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図8〜
図11の各実施例)。
【0010】
請求項4に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記環状皿(11)は、前記連通孔(9)の孔縁部に前記環状凸部(12)が形成され且つ、その環状凸部(12)の半径方向外側で、内面側に凹陥する環状凹部(22)が形成され、その環状凹部(22)と第2プレート(6)との間に膨張空間(16)が形成され、その環状凹部(22)の底に前記外絞り孔(14)が形成された積層型熱交換器である(
図14、
図15の実施例)。
【0011】
請求項5に記載の本発明は、請求項1に記載の積層型熱交換器において、
前記環状皿(11)は、前記連通孔(9)の孔縁に環状の内側壁(15)を断面略逆V字状に有し、その内側壁(15)の頂部と第1プレート(5)との間に冷媒(1a)の流入隙間(21)が形成されると共に、その内側壁(15)の頂部と前記外側壁(10)との間および、その逆V字内に環状の第1および第2の膨張空間(16)が形成され、
その逆V字の内側壁(15)で、外側壁(10)に対向する斜面に外絞り孔(14)が形成され、
内側壁(15)の下端縁が前記環状凸部(12)を形成し、
冷媒(1a)がその流入隙間(21)、第1の膨張空間(16)、外絞り孔(14)、第2の膨張空間(16)、外側隙間(13)を順に介して、前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図16、
図17の実施例)。
【0012】
請求項6に記載の本発明は、一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)とをそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、積層方向に第1流体(1)の第1流路(7)と第2流体(3)の第2流路(8)とが交互配置され、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流体(1)の各入口(2a)と第1流路(7)との間に、中心に冷媒(1a)の連通孔(9)を有し、外周に環状の外側壁(10)を有する環状皿(11)が配置されて、その外側壁(10)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その環状皿(11)はプレス加工により形成され、その連通孔(9)の口縁部に環状凸部(12)が形成され、その環状凸部(12)が第2プレート(6)に液密に接合され、
その環状皿(11)の前記環状凸部(12)を除く底の外面と、その底の外面に対向する第2プレート(6)と、のうちの一方に内面側へ凹陥する小凹陥部(23)が形成され、
その小凹陥部(23)の半径方向外側で、その底と第2プレート(6)との間に外側隙間(13)が形成され、
その小凹陥部(23)の位置で、前記底に冷媒(1a)の外絞り孔(14)が形成され、その外絞り孔(14)から前記小凹陥部(23)、外側隙間(13)を介して、前記第1流路(7)に冷媒(1a)が導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図18〜
図23の各実施例)。
【0013】
請求項7に記載の発明は、一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流路(7)の各入口(2a)側端部の内周縁に整合し、第2出口(4b)またはその入口を内包して、第2プレート(6)の略全幅に渡る環状の外側壁(10)を有すると共に、前記各入口(2a)に冷媒(1a)の連通孔(9)を設けた偏平皿(11a) が配置されて、その外側壁(10)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その偏平皿(11a) はプレス加工により形成され、その偏平皿(11a) の前記各入口(2a)の周辺の周辺底と、その周辺底の外面に対向する第2プレート(6)とは、両者のうち一方の対向側に突設した環状凸部(12)で、液密に接合され、
その環状凸部(12)の半径方向の外側は、偏平皿(11a) の底の外面と第2プレート(6)との間に外側隙間(13)が第2プレート(6)の幅方向に形成され、
前記環状凸部(12)の半径方向の外側位置で、前記外側隙間(13)に対向して、外絞り孔(14)が前記底に形成され、その外絞り孔(14)から前記外側隙間(13)を介して、前記第1流路(7)に冷媒(1a)が導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図24、
図28の実施例)。
ここに、第2出口4bまたはその入口とは、
図5において、第2流体3の流れ方向が逆向きのとき、第2出口4bが第2入口となることを意味する。即ち、第1流体1と第2流体3とが対向流の場合と、平行流の場合との両者を考慮したものである。
【0014】
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記偏平皿(11a) は、前記連通孔(9)の孔縁に環状の内側壁(15)を有し、その内側壁(15)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その内周壁(15)の付根と第2プレート(6)との間に部分的に内側隙間(17)が形成され、
その内側隙間(17)の底に冷媒(1a)の内絞り孔(18)が形成され、冷媒(1a)がその内側隙間(17)から内絞り孔(18)、外絞り孔(14)、外側隙間(13)を順に介して、前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図24の実施例)。
【0015】
請求項9に記載の発明は、一対の第1流体(1)の第1入口(2a)および第1出口(2b)と、一対の第2流体(3)の第2入口(4a)および第2出口(4b)と、をそれぞれ有する皿状の第1プレート(5)と第2プレート(6)とが交互に積層され、
積層方向に、第1流体(1)が流通する第1流路(7)と、第2流体(3)が流通する第2流路(8)とが交互配置され、第1流体(1)が気液二相流の冷媒(1a)である積層型熱交換器において、
第1流路(7)の各入口(2a)側端部の内周縁に整合し、第2出口(4b)またはその入口を内包して、第2プレート(6)の略全幅に渡る環状の外側壁(10)を有すると共に、前記各入口(2a)に冷媒(1a)の連通孔(9)を設けた偏平皿(11a) が配置されて、その外側壁(10)と第1プレート(5)とが液密に接合され、
その偏平皿(11a) はプレス加工により形成され、その偏平皿(11a) の前記各入口(2a)の周辺の周辺底と、その周辺底の外面に対向する第2プレート(6)とが液密に接合され、
偏平皿(11a) の外側壁(10)の前記第1流路(7)側の上縁が凹陥されて凹陥部(28)を形成し、その凹陥部(28)と第1プレート(5)との間に外絞り孔(14)が形成され、偏平皿(11a) 内の冷媒(1a)がその外絞り孔(14)から前記第1流路(7)に導かれるように構成された積層型熱交換器である(
図32の実施例)。
【発明の効果】
【0016】
請求項1に記載の発明は、第1流体1の各入口2aと第1流路7との間に環状皿11を配置し、その環状皿11の底または、第2プレート6の上面に環状凸部12を設けると共に、その外側に冷媒1aの外絞り孔14を形成し、その外絞り孔14から外側隙間13を介して、前記第1流路7に冷媒1aを導くように構成したものである(
図1〜
図19の各実施例)。
そのため、冷媒1aはその底の外絞り孔14から一旦絞られて、外側隙間13に拡散し、第1流路7に導かれて、さらに拡散する。それにより、気液二相状態の冷媒が効果的に細分化されると共に、攪拌され、冷媒1aと第2流体3との熱交換を促進する。
そして環状凸部12の存在により、その外絞り孔14は、環状皿11の底に形成することができ、その孔14を精度よく容易にプレス成形により制作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
さらには、外絞り孔14が環状皿11の底に形成されるので、環状皿11の高さを低くすることができ、各プレート間の間隔を狭めて、熱交換を促進できる。
【0017】
請求項2に記載の発明は、上記構成に加えて、環状皿11の連通孔9の孔縁に内側壁15を設け、その内側壁15と外側壁10との間に環状の膨張空間16を形成すると共に、環状凸部12の半径方向の内側で、環状皿11と第2プレート6との間に内側隙間17を形成し、その環状皿11の底に内絞り孔18を形成する。そして、冷媒1aを内側隙間17から内絞り孔18、膨張空間16、外絞り孔14、外側隙間13を順に介して、前記第1流路7に導くものである(
図1〜
図7の各実施例)。
そのため、内側隙間17から内絞り孔18を介して、膨張空間16に流出した冷媒がそこで充分細分化されると共に、攪拌され、次いで、外絞り孔14、外側隙間13を順に介して、前記第1流路7に導くことにより、さらに攪拌、細分化し、均一にして第2流体との熱交換を促進できる。
この場合も、環状凸部12の存在により、その内絞り孔18と外絞り孔14は、環状皿11の底に形成されるので、それらの孔14,18を精度よく容易にプレス成形により制作でき、熱交換性能を所望の値にすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、上記構成に加えて、内側壁15の縁の一部から底の方向へ冷媒1a流入用の欠切部19または凹陥部20を形成し、冷媒1aをその欠切部19または凹陥部20から、膨張空間16、外絞り孔14、外側隙間13を順に介して、第1流路7に導くようにしたものである(
図8〜
図11の各実施例)。
この場合にも、その欠切部19または凹陥部20は、その内側壁15の縁から底に向けて形成するため、プレス成形により容易に制作でき、その精度を維持することができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、上記構成に加えて、環状凹部22と第2プレート6との間に膨張空間16を形成し、その環状凹部22の底に前記外絞り孔14を形成したものである(
図14、
図15の実施例)。
そのため、その膨張空間16で気液二相状態の冷媒が充分細分化されると共に、攪拌することができる。また、この場合にも、環状凹部22および、その底の外絞り孔14をプレス成形により容易に制作でき、その精度を維持して、熱交換性能を向上することができる。
【0020】
請求項5に記載の発明は、上記構成に加えて、その逆V字の内側壁15で、外側壁10に対向する斜面に外絞り孔14を形成し、冷媒1aをその流入隙間21、第1の膨張空間16、外絞り孔14、第2の膨張空間16、外側隙間13を順に介して、前記第1流路7に導くものである(
図16、
図17の実施例)。
そのため二つの膨張空間16により、気液二相状態の冷媒が効果的に細分化されると共に、攪拌される。
また、この場合にも、外絞り孔14を逆V字の斜面に設けたので、それをプレス成形により容易に制作でき、その精度を維持して、熱交換性能を向上することができる。
【0021】
請求項6に記載の発明は、その環状皿11の底と、第2プレート6と、のうちの一方の内面側に小凹陥部23を形成し、その外側で、底と第2プレート6との間に外側隙間13を形成し、その小凹陥部23の位置で、底に外絞り孔14を形成し、その外絞り孔14から小凹陥部23、外側隙間13を介して、前記第1流路7に冷媒1aを導くものである(
図18〜
図23の各実施例)。
この場合にも、外絞り孔14を底面に設けたので、それをプレス成形により容易に制作でき、その精度を維持して、熱交換性能を向上することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明は、請求項1の環状皿11の代わりに、第1流路7の各入口2a側端部の内周縁に整合すると共に、第2出口4bまたはその入口を内包する環状の外側壁10を有する偏平皿11a が配置されたものである。そして外側隙間13に対向して、外絞り孔14が前記底に形成されている。
そのため、請求項1の効果を有すると共に、この偏平皿11aを使用することにより、外絞り孔14の配置位置の自由度が大きくなる。さらに、プレートの幅全体に渡って、冷媒を均一に流すことができる。
【0023】
請求項8に記載の発明は、偏平皿11aを有するものにおいて、請求項7の効果を有すると共に、前記請求項2の効果を有する。
【0024】
請求項9に記載の発明は、偏平皿11aの外側壁10の前記第1流路7側の上縁が凹陥されて凹陥部28を形成し、その凹陥部28と第1プレート5との間に外絞り孔14が形成され、偏平皿11a 内の冷媒1aがその外絞り孔14から前記第1流路7に導かれるものである。
この場合の外絞り孔14は、偏平皿11aの外側壁10の上縁に凹陥部28を形成したものであるから、それをプレス成形により容易に製作でき、その精度を維持して、熱交換性能を向上することができる。