(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ハウジングとシリンジの遠位端との間に作用し、駆動用付勢部材が解放されるまでシリンジをハウジング内に引っ込められた状態に保つ戻し付勢部材をさらに備える、請求項1に記載の自動注射装置。
第1のプランジャ足が、第3の円すい面をさらに含み、かつ第2のプランジャ足が、第3の円すい面をさらに含み、プランジャが、第1のプランジャ足の第3の円すい面および第2のプランジャ足の第3の円すい面によって規定される第3の接触面をさらに含む、請求項1に記載の自動注射装置。
作動ボタンがユーザによって操作されたときに、内側リングのプランジャとの第1の接触領域が第1の接触面の遠位部にあるように、作動ボタンの内側リングが構成される、請求項1に記載の自動注射装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
典型的な実施形態は、ユーザへの注射の送達に遅延を生じさせる自動注射装置の発射ミスを最小限または解消する。典型的な自動注射装置は、自動注射装置が一貫して注射に成功することを保証する。典型的な実施形態は、一部には、注射の送達に遅延を生じさせる発射ミスを最小限または解消する発射機構アセンブリを提供する。いくつかの事例においては、容認できない送達の遅延が、4秒〜数時間の範囲になる可能性がある。典型的な実施形態は、作動ボタンが押されたときの注射の遅配を最小限または解消する発射機構アセンブリを備える自動注射装置、作動ボタンが押されたときの自動注射装置の注射の遅配を最小限または解消するための方法、ならびに患者の体内へと物質を届けるために注射の遅配を最小限または解消する自動注射装置を使用するための方法を提供する。典型的な実施形態に従ってもたらされる自動注射装置を、これらに限られるわけではないが、例えばアダリムマブ(HUMIRA(R))、ゴリムマブ、などといった液状の治療薬など、任意の種類の物質を患者の体内へと投与するために使用することができる。
【0016】
発射ミスした自動注射装置が呈する作動ボタンが押されたときの注射の遅配は、装置、装置を作動させる患者、装置の製造プロセス、装置の保管の環境、などに関係する1つ以上の因子によって左右されうる。装置の発射ミスに関係する典型的な因子として、以下の要素、すなわち作動ボタンリングの内側リング、作動ボタンリングの長さ、発射体トンネルの直径、発射体円すい面の角度、プランジャ足の高さ、プランジャ足の幅、などのうちの1つ以上の構造、設定、および/または材料を挙げることができる。
【0017】
装置を作動させる患者に関係する装置の発射ミスの典型的な因子として、これらに限られるわけではないが、患者によって装置の作動ボタンへと加えられる力、患者によって押し込まれる装置の作動ボタンの出発位置からの行程、などを挙げることができる。装置の製造プロセスに関係する装置の発射ミスの典型的な因子として、これらに限られるわけではないが、装置の1つ以上の構成部品(例えば、プランジャ)の成型に使用される成型温度、装置の1つ以上の構成部品(例えば、プランジャ)の成型において使用される冷却時間、などを挙げることができる。装置の保管の環境に関係する装置の発射ミスの典型的な因子として、これらに限られるわけではないが、装置または装置の構成部品の古さ、装置を組み立ててからの時間、環境の温度、環境の湿度、などを挙げることができる。
【0018】
典型的な実施形態は、典型的な自動注射装置についてユーザへの注射の発射ミスまたは遅配を最小限または解消するように、上述の因子および随意によるさらなる因子のうちの1つ以上を設定することができる。例えば、驚くべきことに、作動ボタンリングの内径を小さくすることによって、典型的な自動注射装置における注射の遅配を最小限または解消することができる。やはり驚くべきことに、作動ボタンリングの長さを増すことによって、典型的な自動注射装置における注射の遅配を最小限または解消することができる。
【0019】
I.用語の定義
典型的な実施形態の理解を容易にするために、いくつかの用語を、ここに定義する。
【0020】
典型的な実施形態の自動注射装置(例えば、自動注射ペン)は、本発明の「治療有効量」または「予防有効量」の抗体または抗体部分を含むことができる。「治療有効量」は、必要な投与量および期間にて所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。抗体、抗体部分、または他のTNFα阻害剤の治療有効量は、患者の疾病の状態、年齢、性別、および体重、ならびに患者に所望の応答を生じさせる抗体、抗体部分、または他のTNFα阻害剤の能力、などといった因子に応じて様々であってよい。治療有効量は、抗体、抗体部分、または他のTNFa阻害剤の有毒または有害な影響を、治療上の有益な効果が上回るような量でもある。「予防有効量」は、必要な投与量および期間にて所望の予防的結果を達成するために有効な量を指す。典型的には、予防の用量は疾病に先立って患者に使用され、あるいは疾病の初期段階において使用されるため、予防有効量は、治療有効量よりも少ない。
【0021】
用語「物質」は、典型的な自動注射装置を使用して患者へと治療有効量にて投与することができるあらゆる種類の薬剤、生理活性物質、生物学的物質、化学物質、または生化学物質を指す。典型的な物質として、これに限られるわけではないが、液状の物質が挙げられる。そのような物質として、これらに限られるわけではないが、アダリムマブ(HUMIRA(R))および溶液中のたんぱく質(例えば、融合たんぱく質および酵素)を挙げることができる。溶液中のたんぱく質の例として、これらに限られるわけではないが、Pulmozyme(Dornase alfa)、Regranex(Becaplermin)、Activase(Alteplase)、Aldurazyme(Laronidase)、Amevive(Alefacept)、Aranesp(Darbepoetin alfa)、Becaplermin Concentrate、Betaseron(Interferon beta−1b)、BOTOX(Botulinum Toxin Type A)、Elitek(Rasburicase)、Elspar(Asparaginase)、Epogen(Epoetin alfa)、Enbrel(Etanercept)、Fabrazyme(Agalsidase beta)、Infergen(Interferon alfacon−1)、Intron A(Interferon alfa−2a)、Kineret(Anakinra)、MYOBLOC(Botulinum Toxin Type B)、Neulasta(Pegfilgrastim)、Neumega(Oprelvekin)、Neupogen(Filgrastim)、Ontak(Denileukin diftitox)、PEGASYS(Peginterferon alfa−2a)、Proleukin(Aldesleukin)、Pulmozyme(Dornase alfa)、Rebif(Interferon beta−1a)、Regranex(Becaplermin)、Retavase(Reteplase)、Roferon−A(Interferon alfa−2)、TNKase(Tenecteplase)、ならびにXigris(Drotrecogin alfa)、Arcalyst(Rilonacept)、NPlate(Romiplostim)、Mircera(methoxypolyethylene glycol−epoetin beta)、Cinryze(C1 esterase inhibitor)、Elaprase(idursulfase)、Myozyme(alglucosidase alfa)、Orencia(abatacept)、Naglazyme(galsulfase)、Kepivance(palifermin)およびActimmune(interferon gamma−lb)が挙げられる。
【0022】
また、溶液中のたんぱく質は、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの抗原結合性フラグメントであってよく、免疫グロブリンの抗体または抗原結合部分などであってよい。典型的な自動注射装置において使用することができる抗体の例として、これらに限られるわけではないが、キメラ抗体、非ヒト抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、およびドメイン抗体(dAbs)が挙げられる。典型的な実施形態においては、免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの抗原結合性フラグメントが、坑TNFαおよび/または抗IL−12抗体である(例えば、複可変領域型免疫グロブリン(DVD)Ig(TM)であってよい)。典型的な実施形態の方法または組成物において使用することができる免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの抗原結合性フラグメントの他の例として、これらに限られるわけではないが、1D4.7(抗IL−12/IL−23抗体;Abbott Laboratories)、2.5(E)mg1(抗IL−18;Abbott Laboratories)、13C5.5(抗IL−13抗体;Abbott Laboratories)、J695(抗IL−12;Abbott Laboratories)、Afelimomab(Fab 2 抗TNF;Abbott Laboratories)、HUMIRA(アダリムマブ;Abbott Laboratories)、Campath(Alemtuzumab)、CEA−Scan Arcitumomab(fab fragment)、Erbitux(Cetuximab)、Herceptin(Trastuzumab)、Myoscint(Imciromab Pentetate)、ProstaScint(Capromab Pendetide)、Remicade(Infliximab)、ReoPro(Abciximab)、Rituxan(Rituximab)、Simulect(Basiliximab)、Synagis(Palivizumab)、Verluma(Nofetumomab)、Xolair(Omalizumab)、Zenapax(Daclizumab)、Zevalin(Ibritumomab Tiuxetan)、Orthoclone OKT3(Muromonab−CD3)、Panorex(Edrecolomab)、Mylotarg(Gemtuzumab ozogamicin)、golimumab(Centocor)、Cimzia(Certolizumab pegol)、Soliris(Eculizumab)、CNTO 1275(ustekinumab)、Vectibix(panitumumab)、Bexxar(tositumomab and I
131 tositumomab)、およびAvastin(bevacizumab)が挙げられる。
【0023】
典型的な実施形態の方法または組成物において使用することができる免疫グロブリンまたは免疫グロブリンの抗原結合性フラグメントのさらなる例として、これらに限られるわけではないが、D2E7軽鎖可変領域(配列番号1)、D2E7重鎖可変領域(配列番号2)、D2E7軽鎖可変領域CDR3(配列番号3)、D2E7重鎖可変領域CDR3(配列番号4)、D2E&軽鎖可変領域CDR2(配列番号5)、D2E7重鎖可変領域CDR2(配列番号6)、D2E7軽鎖可変領域CDR1(配列番号7)、D2E7重鎖可変領域CDR1(配列番号8)、2SD4軽鎖可変領域(配列番号9)、2SD4重鎖可変領域(配列番号10)、2SD4軽鎖可変CDR3(配列番号11)、EP B12軽鎖可変CDR3(配列番号12)、VL10E4軽鎖可変CDR3(配列番号13)、VL100A9軽鎖可変CDR3(配列番号14)、VLL100D2軽鎖可変CDR3(配列番号15)、VLL0F4軽鎖可変CDR3(配列番号16)、LOE5軽鎖可変CDR3(配列番号17)、VLLOG7軽鎖可変CDR3(配列番号18)、VLLOG9軽鎖可変CDR3(配列番号19)、VLLOH1軽鎖可変CDR3(配列番号20)、VLLOH10軽鎖可変CDR3(配列番号21)、VL1B7軽鎖可変CDR3(配列番号22)、VL1C1軽鎖可変CDR3(配列番号23)、VL0.1F4軽鎖可変CDR3(配列番号24)、VL0.1H8軽鎖可変CDR3(配列番号25)、LOE7.A軽鎖可変CDR3(配列番号26)、2SD4重鎖可変領域CDR(配列番号27)、VH1B11重鎖可変領域CDR(配列番号28)、VH1D8重鎖可変領域CDR(配列番号29)、VH1A11重鎖可変領域CDR(配列番号30)、VH1B12重鎖可変領域CDR(配列番号31)、VH1E4重鎖可変領域CDR(配列番号32)、VH1F6重鎖可変領域CDR(配列番号33)、3C−H2重鎖可変領域CDR(配列番号34)、およびVH1−D2.N重鎖可変領域CDR(配列番号35)のうちの1つ以上を含むたんぱく質が挙げられる。
【0024】
用語「ヒトTNFα」(本明細書において、hTNFαと略され、あるいは単にhTNFと略される)は、17kDの分泌型および26kDの膜結合型(その生物学的活性型が、非共有結合した17kDの分子の三量体で構成されている)として存在するヒトサイトカインを指す。hTNFαの構造は、例えばPennica,D.他のNature 312:724−729(1984)、Davis,J.M.他のBiochem.26:1322−1326(1987)、およびJones,E.Y.他のNature 338:225−228(1989)にさらに説明されている。用語「ヒトTNFα」は、標準的な組み換え発現方法によって作成でき、あるいは市場で購入(R&D Systems、カタログ番号210−TA、Minneapolis、ミネソタ州)することができる組み換えヒトTNFα(rhTNFα)を含む。TNFαは、TNFとも称される。
【0025】
用語「TNFα阻害剤」は、TNFαの活性を阻害する薬剤を指す。この用語は、本明細書ならびに米国特許第6,090,382号明細書、第6,258,562号明細書、第6,509,015号明細書、第7,223,394号明細書、および第6,509,015号明細書に記載の抗TNFαヒト抗体(本明細書において、TNFα抗体と入れ換え可能に使用される)および抗体部分の各々も含む。一実施形態においては、本発明において使用されるTNFα阻害剤が、インフリキシマブ(米国特許第5,656,272号明細書に記載のRemicade(R)、Johnson and Johnson)、CDP571(ヒト化モノクローナル抗TNFα IgG4抗体)、CDP 870(ヒト化モノクローナル抗TNFα抗体フラグメント)、抗TNF dAb(Peptech)、CNTO 148(ゴリムマブ、Centocor(国際公開第02/12502号ならびに米国特許第7,521,206号明細書および米国特許第7,250,165号明細書を参照))、およびアダリムマブ(米国特許第6,090,382号明細書にC2E7として記載のHUMIRA(R)、Abbott Laboratories)など、抗TNFα抗体またはそのフラグメントである。本発明において使用することができるさらなるTNF抗体が、米国特許第6,593,458号明細書、第6,498,237号明細書、第6,451,983号明細書、および第6,448,380号明細書に記載されている。他の実施形態においては、TNFα阻害剤が、例えばエタネルセプト(国際公開第91/03553号および国際公開第09/406476号に記載のEnbrel(R)、Amgen)などのTNF融合たんぱく質である。別の実施形態においては、TNFα阻害剤が、組み換えTNF結合たんぱく質(r−TBP−I)(Serono)である。
【0026】
一実施形態においては、用語「TNFα阻害剤」が、インフリキシマブを除外する。一実施形態においては、用語「TNFα阻害剤」が、アダリムマブを除外する。他の実施形態においては、用語「TNFα阻害剤」が、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0027】
一実施形態においては、用語「TNFα阻害剤」が、エタネルセプトを除外し、さらに随意によりアダリムマブ、インフリキシマブ、ならびにアダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0028】
一実施形態においては、用語「TNFα抗体」が、インフリキシマブを除外する。一実施形態においては、用語「TNFα抗体」が、アダリムマブを除外する。他の実施形態においては、用語「TNFα抗体」が、アダリムマブおよびインフリキシマブを除外する。
【0029】
用語「抗体」は、2本の重鎖(H)および2本の軽鎖(L)がジスルフィド結合によって相互に連結している4本のポリペプチド鎖から一般的に構成される免疫グロブリン分子を指す。各々の重鎖は、重鎖可変領域(本明細書において、HCVRまたはVHと略される)および重鎖定常領域で構成される。重鎖定常領域は、3つのドメインCH1、CH2、およびCH3で構成される。各々の軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書において、LCVRまたはVLと略される)および軽鎖定常領域で構成される。軽鎖定常領域は、1つのドメインCLで構成される。VHおよびVL領域を、相補性決定領域(CDR)と称され、フレームワーク領域(FR)と称される変化の少ない領域を散在させてなる超可変性の領域へとさらに分割することができる。各々のVHおよびVLが、3つのCDRおよび4つのFRで構成され、これらCDRおよびFRが、アミノ末端からカルボキシ末端へとFR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4の順序で配置されている。本発明の抗体は、米国特許第6,090,382号明細書、第6,258,562号明細書、および第6,509,015号明細書にさらに詳しく記載されている。
【0030】
抗体の用語「抗原結合部分」(または、単に「抗体部分」)は、抗原(例えば、hTNFα)に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上のフラグメントを指す。完全長抗体のフラグメントが、抗体の抗原結合機能を果たすことができる。抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される結合フラグメントの例として、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなる一価のフラグメントであるFab断片、(ii)ヒンジ領域においてジスルフィド架橋によって結び付けられた2つのFabフラグメントを含む二価のフラグメントであるF(ab’)2フラグメント、(iii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント、(iv)抗体の単一のアームのVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント、(v)VHまたはVLドメインからなるdAbフラグメント(Ward他のNature 341:544−546(1989))、(vi)単離相補性決定領域(CDR)、および(vii)複可変領域型免疫グロブリン(DVD−Ig)が挙げられる。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインVLおよびVHは別々の遺伝子によってコードされるが、これらを組み換え法を用いてVLおよびVH領域がペアとなって一価の分子を形成する単一のたんぱく鎖(1本鎖Fv(scFv)として知られる)とすることができる合成リンカによって結合させることができる(例えば、Bird他のScience 242:423−426(1988)およびHuston他のProc.Natl.Acad.Sci USA 85:5879−5883(1988)を参照)。このような1本鎖の抗体も、抗体の「抗原結合部分」という用語に包含される。ダイアボディなどの1本鎖の抗体の他の形状も、やはり包含される。ダイアボディは、VHおよびVLドメインを1本のポリペプチド鎖上に、しかしながら同じ鎖上で2つのドメイン間のペアリングを形成させるには短すぎるリンカを用いて発現させることで、これらのドメインを別の鎖の相補性ドメインとペアにして2つの抗原結合部位を生成してなる価の二特異性抗体である(例えば、Holliger他のProc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448(1993)およびPoljak他のStructure 2:1121−1123(1994)を参照)。本発明の抗体部分は、米国特許第6,090,382号明細書、第6,258,562号明細書、および第6,509,015号明細書にさらに詳しく記載されている。
【0031】
用語「組み換えヒト抗体」という用語には、宿主細胞に遺伝子移入された組み換え発現ベクタを用いて発現させた抗体(さらには後述)、組み換え体から単離された抗体、コンビナトリアルヒト抗体ライブラリ(さらには、後述)、ヒト免疫グロブリン遺伝子に対してトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor他のNucl.Acids Res.20:6287(1992)を参照)、あるいはヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列へのスプライシングを含む任意の他の手段によって作成され、発現させられ、生成され、あるいは単離される抗体など、組み換え手段によって作成され、発現させられ、生成され、あるいは単離されるすべてのヒト抗体を指す。そのような組み換えヒト抗体は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列由来の可変領域および定常領域を有する。しかしながら、特定の実施形態においては、そのような組み換えヒト抗体がインビトロ突然変異誘発(または、ヒトIg配列に対してトランスジェニックである動物が使用される場合、インビボ体細胞突然変異誘発)に供され、したがって組み換え抗体のVHおよびVL領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系列のVHおよびVL配列に由来し、それらに関係しているが、インビボのヒト抗体生殖細胞系列のレパートリに元来は存在し得ない配列である。
【0032】
そのようなキメラ、ヒト化、ヒト、および二重特異性抗体を、例えばPCT国際出願PCT/US86/02269号明細書、欧州特許出願第184,187号明細書、欧州特許出願第171,496号明細書、欧州特許出願第173,494号明細書、国際公開第86/01533号、米国特許第4,816,567号明細書、欧州特許出願第125,023号明細書、Better他のScience 240:1041−1043(1998)、Liu他のProc.Natl.Acad.Sci.USA 84:3439−3443(1987)、Liu他のJ.Immunol.139:3521−3526(1987)、Sun他のProc.Natl.Acad.Sci.USA 84:214−218(1987)、Nishimura他のCancer Res.47:999−1005(1987)、Wood他のNature 314:446−449(1985)、Shaw他のJ.Natl.Cancer Inst.80:1553−1559(1988)、MorrisonのScience 229:1202−1207(1985)、Oi他のBioTechniques 4:214(1986)、米国特許第5,225,539号明細書、Jones他のNature 321:552−525(1986)、Verhoeyan他のScience 239:1534(1988)ならびにBeidler他のJ.Immunol.141:4053−4060(1988)、Queen他のProc.Natl.Acad.Sci.USA 86:10029−10033(1989)、米国特許第5,530,101号明細書、米国特許第5,585,089号明細書、米国特許第5,693,761号明細書、米国特許第5,693,762号明細書、国際公開第90/07861号、および米国特許第5,225,539号明細書に記載の方法を使用して、技術的に公知の組み換えDNA技術によって生成することができる。
【0033】
用語「単離抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す(例えば、hTNFαに特異的に結合し、hTNFα以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない単離抗体)。hTNFαに特異的に結合する単離抗体が、他の種からのTNFα分子など、他の抗原に対する交差反応性を有してもよい。さらに、単離抗体は、他の細胞物質および/または化学物質を実質的に含まなくてよい。
【0034】
用語「中和抗体」(または、「hTNFα活性を中和した抗体」)は、hTNFαに結合するとhTNFαの生物学的活性を阻害する抗体を指す。hTNFαの生物学的活性のこの阻害を、hTNFαによる細胞毒性(インビトロまたはインビボ)、hTNFαによる細胞活性化、およびhTNFα受容体へのhTNFαの結合など、hTNFαの生物学的活性の1つ以上の大きさを測定することによって評価することができる。hTNFαの生物学的活性のこれらの大きさを、当分野で公知のいくつかの標準的なインビトロまたはインビボのアッセイ(米国特許第6,090,382号明細書を参照)のうちの1つ以上によって評価することができる。好ましくは、hTNFα活性を中和する抗体の能力が、L929細胞のhTNFαによる細胞毒性の阻害によって評価される。hTNFα活性のさらなるパラメータまたは別のパラメータとして、hTNFαによる細胞活性化の尺度としてのHUVECでのELAM−1のhTNFαによる発現に対する抗体の阻害能力を評価することができる。
【0035】
用語「表面プラズモン共鳴」は、例えばBIAcoreシステム(Pharmacia Biosensor AB、Uppsala、SwedenおよびPiscataway、NJ)を使用してバイオセンサマトリックス内のたんぱく質濃度の変化を検出することによってリアルタイムの生物特異的相互作用の分析を可能にする光学的現象を指す。さらなる説明については、米国特許第6,258,562号明細書の実施例1、ならびにJoensson他のAnn.Biol.Clin.51:19(1993)、Jonsson他のBiotechniques 11:620−627(1991)、Johnsson他のJ.Mol.Recognit.8:125(1995)、およびJohnnson他のAnal.Biochem.l98:268(1991)を参照されたい。
【0036】
用語「K
off」は、抗体/抗原複合体からの抗体の解離についての解離速度定数を指す。
【0037】
用語「K
d」は、特定の抗体−抗原相互作用の解離定数を指す。
【0038】
用語「IC
50」は、例えば細胞毒性活性の中和など、対象とする生物学的エンドポイントの抑制に必要な阻害剤の濃度を指す。
【0039】
用語「用量」または「投与量」は、好ましくは本発明の自動注射装置を使用して患者へと投与される物質(例えば、TNFα阻害剤)の量を指す。一実施形態においては、容量が、例えば20mg、30mg、40mg、50mg、60mg、70mg、80mg、90mg、100mg、110mg、120mg、130mg、140mg、150mg、および160mgなどの有効量のTNFα阻害剤アダリムマブを含む。
【0040】
「投薬」は、治療の目的(例えば、関節リウマチの治療)を達成するために物質(例えば、抗TNFα抗体)を投与することを指す。
【0041】
用語「投薬計画」は、例えば第0週に第1の用量のTNFα阻害剤を投与した後で隔週の投薬計画にて第2の用量のTNFα阻害剤を投与するなど、TNFα阻害剤などの物質についての治療スケジュールを表わし、例えば長期間にわたり、さらには/あるいは治療の経過の全体にわたる治療スケジュールを表わす。
【0042】
用語「隔週投薬計画」、「隔週投薬」、および「隔週投与」は、例えば一連の治療を通じて治療の目的を達成するために患者へと物質(例えば、抗TNFα抗体)を投与する時間経過を指す。隔週投薬計画は、毎週投薬計画は含まない。好ましくは、物質が、9〜19日ごと、より好ましくは11〜17日ごと、さらに好ましくは13〜15日ごと、最も好ましくは14日ごとに投与される。一実施形態においては、隔週投薬計画は、治療の第0週に患者において開始される。別の実施形態においては、隔週投薬計画において維持用量が投与される。一実施形態においては、負荷用量および維持用量の両方が、隔週投薬計画に従って投与される。一実施形態においては、隔週投薬が、第0週から開始されて隔週で患者へとTNFα阻害剤の用量が投与される投薬計画を含む。一実施形態において、隔週投薬は、TNFα阻害剤の用量が所与の期間(例えば、4週間、8週間、16週間、24週間、26週間、32週間、36週間、42週間、48週間、52週間、56週間、など)にわたって連続的に隔週で患者へと投与される投薬計画を含む。隔週投薬の方法は、米国特許出願公開第2003/0235585号明細書にも記載されている。
【0043】
「第1の薬剤の第2の薬剤との併用」という表現における用語「併用」は、第1の薬剤および第2の薬剤の同時投与を含み、そのような同時投与において、例えば第1および第2の薬剤を同じ医薬的に許容可能な担体に溶かすことができ、あるいはそのような担体において互いに混ぜ合わせることができ、もしくは第1の薬剤の投与に続いて第2の薬剤を投与することができ、あるいは第2の薬剤の投与に続いて第1の薬剤を投与することができる。
【0044】
「同時療法」という表現における用語「同時」は、或る薬剤を第2の薬剤の存在下で投与することを含む。「同時療法」は、第1、第2、第3、またはさらなる物質を同時投与する方法を含む。さらに、同時療法は、第1またはさらなる薬剤が第2の物質またはさらなる物質の存在下で投与される方法(第2またはさらなる薬剤は、例えば先に投与されていてよい)を含む。同時療法を、異なる患者によって段階的に実行することができる。例えば、或る者が患者へと第1の薬剤を投与でき、第2の者が同じ患者へと第2の薬剤を投与でき、これらの投与段階を、第1の物質(およびさらなる物質)が第2の物質(およびさらなる物質)の存在下での事後投与である限りにおいて、同時またはほぼ同時に、あるいは時間を空けて実行することができる。行為者および患者は、同じ存在(例えば、ヒト)であってよい。
【0045】
用語「併用療法」は、2つ以上の治療物質(例えば、抗TNFα抗体および別の薬物)の投与を指す。別の薬物は、抗TNFα抗体の投与と同時に投与されても、抗TNFα抗体の投与の前または後に投与されてもよい。
【0046】
用語「治療」は、TNFαが有害である疾患(例えば、関節リウマチ)など、疾患の治療のための治療的処置ならびに予防または抑制の手段を指す。
【0047】
用語「患者」または「ユーザ」は、典型的な自動注射装置を使用して物質を注射することができるあらゆる種類の動物、ヒト、または非ヒトを指す。
【0048】
用語「自動注射装置」または「自動注射器」は、患者が1回分用量の物質(液状の薬剤など)を自身で投与することを可能にする装置を指し、ここで自動注射装置は、発射機構アセンブリを係合している場合に注射によって患者の体内へと物質を自動的に送り出すための発射機構アセンブリの注射による、標準的なシリンジとは相違する。典型的な実施形態においては、自動注射装置を患者の体に装着することが可能である。
【0049】
用語「発射機構」は、発射係合機構による係合時に自動注射装置に含まれる物質を患者の体内へと自動的に届ける機構を指す。発射係合機構は、これに限られるわけではないが、患者が発射機構を作動させるべく押すことができる作動ボタンなど、発射機構に係合して発射機構を作動させる任意の種類の機構であってよい。
【0050】
用語「発射力」(または、「FtF」)は、装置に含まれる物質を吐き出すべく発射機構を作動させるために自動注射装置の発射係合機構へともたらさなければならない最小の力を指す。必要とされるFtF以上の力を発射係合機構へと送り出すことで、発射係合機構が、装置から物質を吐き出させるべく発射機構を作動させる。FtFを、発射係合機構へと患者が手作業でもたらしても、あるいはアクチュエータ機構によって自動的にもたらしてもよい。自動注射装置の典型的なFtFは、約5N〜約25Nの範囲であってよい。自動注射装置の他の典型的なFtFは、約10N〜約15Nの範囲であってよい。自動注射装置の他の典型的なFtFは、約8N〜約12Nの範囲であってよい。自動注射装置の別の典型的なFtFは、約25Nの最小値を有する。自動注射装置の他の典型的なFtFは、約25Nの最大値を有する。
【0051】
用語「曲げ弾性率(flexural modulus)」(あるいは、「flex modulus」または「flexural modulus of elasticity」)は、材料の弾性限界の範囲内における材料の最大ひずみに対する最大応力の比を指し、曲げ試験において得られる応力−ひずみ線図から決定される。材料の曲げ弾性率は、材料の弾性の大きさであり、あるいは材料の変形およびその後の元の形状への復帰の能力の大きさである。
【0052】
用語「タブ付き足」または「タブ足」は、シリンジプランジャの分岐した端部の一方または両方のアームに取り付けられ、あるいはそのようなアームから半径方向に突き出しており、発射係合機構に接触および係合するように構成されている材料を指す。
【0053】
用語「初期接触面」(または、「ICS」)は、シリンジプランジャの分岐した端部に形成されたタブ付き足の外表面の一部分を指す。ICSは、タブ付き足の上面とタブ付き足の二次接触面(SCS)との間に形成され、発射係合機構(例えば、作動ボタン)と接触するように構成されている。
【0054】
用語「二次接触面」(または、「SCS」)は、シリンジプランジャの分岐した端部に形成されたタブ付き足の外表面の一部分を指す。SCSは、タブ付き足のICSとタブ付き足の下面との間に形成される。
【0055】
用語「初期接触面角度」または「ICS角度」は、ICSがプランジャアームの長手軸に対して形成する角度を指す。
【0056】
用語「初期接触面長さ」または「ICS長さ」は、ICSとSCSとの間の移行の点において長手軸を横切る軸に沿って測定されるタブ付き足の長さを指す。
【0057】
用語「プランジャアーム幅」は、シリンジプランジャの分岐した端部のアームの間の距離を指す。
【0058】
用語「プランジャベースブリッジ角度」または「PBB角度」は、シリンジプランジャの分岐した端部のアームの間に形成される角度を指す。例えば、0°のPBB角度は、プランジャアームが互いに平行であることを意味する。PBB角度が大きくなるとプランジャアーム幅が大きくなり、PBB角度が小さくなるとプランジャアーム幅が小さくなる点で、PBB角度とプランジャアーム幅との間には、直接的な関係が存在する。
【0059】
用語「プレ充てんシリンジ/装置」は、患者への物質の投与の直前の物質で満たされたシリンジ/装置を指し、あるいは物質で満たされ、このあらかじめ満たされた状態で患者への物質の投与までの期間について保管されるシリンジ/装置を指す。
【0060】
用語「熱可塑性材料」は、加熱されたときに軟化または溶解し、冷えたときに硬化して剛体化する能力を有する材料を指す。熱可塑性材料は、充分に加熱されたときに液体の状態または溶融した状態へと変化し、充分に冷えたときにきわめてガラス質の状態へと固まるポリマーである。熱可塑性材料は、知覚可能な化学的変化を被ることなく、繰り返しの融解および冷却が可能である。
【0061】
大部分の熱可塑性材料は、その鎖が弱いファンデルワールス力(ポリエチレン)、より強力な双極子間相互作用および水素結合(ナイロン)、または芳香環の積み重ね(ポリスチレン)によって結び付いている高分子量のポリマーである。熱可塑性ポリマーは、再び溶かして成型することができる点で、熱硬化性ポリマー(加硫ゴム)と異なる。
【0062】
多くの熱可塑性材料は、付加重合体または縮合重合体によって形成される。付加重合体は、多数の単量体が原子または分子の喪失を伴うことなく結合の再配置によって一体に結合する付加反応によって形成されるポリマーである。典型的な付加重合体として、これに限られるわけではないが、ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのビニル鎖成長ポリマーが挙げられる。縮合重合体は、ポリマーの形成時に分子(通常は、水)が失われる縮合反応によって形成されるポリマーである。
【0063】
用語「熱硬化性材料」は、最初に加熱されたときに軟化し、その後に堅い恒久的な形状へと固化(多くの場合、架橋)するポリマー材料を指す。熱硬化性材料は、後に熱を加えても軟化させることができず、再加工は不可能である。
【0064】
熱硬化性材料は、不可逆に硬化するポリマー材料である。硬化を、化学反応(例えば、2成分エポキシ)または照射(例えば、電子ビーム処理)によって熱(一般に、200℃超)を加えることによって行なうことができる。熱硬化性材料は、熱放射、紫外線(UV)放射、および/または可視線放射による硬化後、ならびに/あるいは加熱後に互いに架橋する長鎖ポリマーで形成される。硬化のプロセスにより、材料が恒久的に堅い状態になる。熱硬化性プラスチックは、硬化の前は通常は液体または可鍛性であり、最終的な形状へと成型されるように設計され、あるいは接着剤として使用されるように設計されているポリマー材料である。いくつかの熱硬化性プラスチックは、半導体および集積回路において典型的に使用される成型用化合物と同様に、固体である。
【0065】
注射の「遅配」という用語は、装置の発射係合機構(例えば、作動ボタン)の作動後に自動注射装置から送り出される治療薬について、許容範囲を超える注射の遅延を引き起こし、あるいは治療薬の送出の不履行を引き起こす発射ミスまたは発射失敗を指す。典型的な実施形態においては、許容可能な遅延が、約0〜約3秒の範囲であってよい。3秒を超える遅延が、自動注射装置の発射ミスである。
【0066】
用語「変位」または「実変位」は、自動注射装置の発射のための装置の発射係合機構(例えば、作動ボタン)の押し込み力または発射係合機構の出発位置に対する押し込み距離を指す。
【0067】
用語「しきい値変位」は、発射の際に発射係合機構(例えば、作動ボタン)を押すべく加えられる変位であって、それ以上であれば注射の遅配が見られない最小の変位を指す。典型的な実施形態においては、しきい値変位を、自動注射装置の発射を生じさせるために必要な作動ボタンの出発位置に対する押し込みの距離として提示することができる。典型的な実施形態においては、自動注射装置の作動ボタンがしきい値変位の値以上の距離にわたって押し込まれた場合に、自動注射装置がいかなる注射の遅延にも直面することがない。典型的な実施形態においては、自動注射装置の作動ボタンの押し込みの距離がしきい値変位の値よりも小さい場合、自動注射装置が、注射の遅配に直面する可能性がある。
【0068】
用語「遠位」は、典型的な自動注射装置を注射または注射の模擬のために患者に対して保持したときに患者の体の注射部位から最も遠い装置の部位、端部、または部品を指す。
【0069】
用語「近位」は、典型的な自動注射装置を注射または注射の模擬のために患者に対して保持したときに患者の体の注射部位に最も近い装置の部位、端部、または部品を指す。
【0070】
II.典型的な自動注射装置
典型的な実施形態を、以下で特定の例示の実施形態を参照して説明する。典型的な実施形態が、液状薬剤の1回分の用量の注射を送り出すための自動注射装置の使用に関して説明されるが、当業者であれば、典型的な実施形態が例示の実施形態に限られず、典型的な自動注射装置を任意の適切な物質を患者へと注射するために使用できることを、理解できるであろう。さらに、典型的な自動注射装置の構成要素ならびに典型的な自動注射装置の製作および使用の方法も、後述される例示の実施形態に限られない。
【0071】
図1および
図2が、1回分用量の物質(液状の薬物など)を患者へと注射するために適した典型的な自動注射装置10を示している。
【0072】
図1は、ハウジングの近位端および遠位端を覆うキャップが取り外された状態の典型的な自動注射装置10の斜視図を示している。
【0073】
図2は、ハウジングの近位端および遠位端にキャップが取り付けられた状態の
図1の典型的な自動注射装置10の斜視図を示している。
【0074】
図1を参照すると、自動注射装置10は、患者の体内へと注射されるべき1回分の用量を含むことができるシリンジなどの容器を収容するためのハウジング12を備えている。ハウジング12は、好ましくは管状の構成を有するが、ハウジング12が、シリンジまたは他の容器を収容するために適した任意のサイズ、形状、および構成を有してよいことを、当業者であれば理解できるであろう。典型的な実施形態を、ハウジング12内に取り付けられるシリンジに関して説明するが、自動注射装置10が、物質の収容および送出のために任意の適切な容器を使用してよいことを、当業者であれば理解できるであろう。
【0075】
典型的なシリンジは、好ましくは、詳しくは後述されるようにハウジング12内にスライド可能に取り付けられる。装置が非作動位置にあるとき、シリンジはハウジング12に覆われ、ハウジング12内に引っ込められている。装置10の作動時に、シリンジの針がハウジング12の第1の近位端20から突き出し、シリンジから患者の体内へと物質の排出を可能にする。図示のとおり、ハウジング12の第1の近位端20は、装置10の作動時にシリンジの針を突き出させる開口28を備えている。
【0076】
さらに
図1を参照すると、ハウジング12の第2の遠位端30が、発射機構を作動させるための発射係合機構(例えば、作動ボタン32)を備えている。さらにハウジング12は、シリンジをハウジング12に覆われた位置から突出位置へと移動させ、次いで物質をシリンジから患者の体内へと吐き出させる発射機構(例えば、1つ以上のアクチュエータ、または1つ以上のバイアス/付勢部材)も収容する。
【0077】
さらに、典型的な自動注射装置10は、注射まで針の露出を防止すべくハウジング12の第1の端部20を覆うための第1の着脱式キャップ24(または、針キャップ)を備えることができる。図示の実施形態においては、第1のキャップ24が、装置10を作動させる患者の準備ができるまで装置10のキャップ24を固定し、さらには/あるいは結合させておくためのボス26を備えることができる。あるいは、第1のキャップ24が、ねじ山部を備えることができ、開口28のハウジング12の内表面が、ねじ山を備えることができる。任意の適切な結合の機構を、典型的な実施形態の教示に従って使用することができる。
【0078】
さらに、ハウジング12およびキャップ24、34は、自動注射装置10の使用を容易にするためのグラフィック、記号、および/または数字を備えることができる。例えば、
図2に示されるように、ハウジング12が、どのように装置10を患者に対して保持すべきか(すなわち、第1の端部20を注射の部位に隣接させる)を示すために、装置10の第1の端部20に向かう矢印125を外表面に備える。さらに、図示の自動注射装置10を使用する注射の準備およびその後の注射において、患者に装置の第1のキャップ24を最初に取り外すべきであることを知らせるために、第1のキャップ24に「1」との標記が施され、第1のキャップ24の取り外し後に第2のキャップ34を取り外すべきであることを知らせるために、第2のキャップに「2」との標記が施される。自動注射装置10が、患者への指示を容易にするための任意の適切なグラフィック、記号、および/または数字を有することができ、あるいは自動注射装置がそのようなグラフィック、記号、および/または数字を備えなくてもよいことを、当業者であれば理解できるであろう。
【0079】
図2に示されるとおり、ハウジング12の第1の端部20は、第2の端部30よりも大きな直径を有することができる。第2のキャップ34を受け入れ、ハウジングの第2の端部30への第2のキャップ34の着座を容易にするために、2つの直径の間の変わり目に段差29を形成することができる。
【0080】
さらに、ハウジング12は、好ましくは患者がハウジング12内に収容されたシリンジの中身を眺めることができるよう、表示窓130をさらに備えることができる。窓130は、ハウジング12の側壁の開口を含むことができ、あるいは装置10の内部の観察を可能にするためのハウジング12内に透明な材料を含むことができる。
【0081】
ハウジング12を、これらに限られるわけではないが、プラスチックおよび他の公知の材料など、任意の適切な外科用の材料で形成することができる。
【0082】
図3〜
図5(先行技術)が、典型的な自動注射装置10の内部の構成部品の概略図である。
【0083】
図3(先行技術)が、使用前の典型的な自動注射装置の概略の断面図を示している。
【0084】
図4(先行技術)が、動作の中間段階における
図3の典型的な自動注射装置の概略の断面図を示している。
【0085】
図5(先行技術)が、動作の注射後段階における
図3および
図4の典型的な自動注射装置の概略の断面図を示している。
【0086】
さらに
図3〜
図5を参照すると、物質用のシリンジ50または他の適切な容器が、ハウジング12の内部に配置されている。典型的なシリンジ50は、患者の体内へと注射すべき液状の1回分用量の液状物質を保持するための中空な胴部53を備えることができる。典型的な胴部53は、実質的に円筒形であるが、胴部53が任意の適切な形状または構成を有してよいことを、当業者であれば理解できるであろう。栓54として図示されているシールが、該用量を胴部53に封じている。さらにシリンジ50は、栓54へと圧力を加えることによって物質を排出させることができる中空針55を、胴部53へと接続し、胴部53と流体連通させて備えることができる。中空針55は、胴部53の第1の近位端53aから延びている。胴部53の第2の遠位端53bは、後述のようにハウジング12のストッパ(概念的に123として示されている)に当接してハウジング12におけるシリンジ50の移動を制限するためのフランジ56または他の適切な機構を備えている。典型的な実施形態が、図示のシリンジ50の実施形態に限られず、注射すべき1回分の用量を収容するための任意の適切な容器を、典型的な実施形態の教示に従って使用できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0087】
典型的な実施形態においては、針55が、固定された27ゲージの1/2インチの針であってよい。典型的な中空針55の先端は、挿入を容易にするためのいくつかの斜面(例えば、5つの斜面)を備えることができる。しかしながら、針55は、患者の体へと物質を届けるべく患者の皮膚を貫くために適した任意の適切なサイズ、形状、および構成を有することができ、図示の実施形態には限られない。適切な針の種類は、当分野で周知である。
【0088】
図3〜
図5に示した自動注射装置10は、シリンジ50内に含まれる用量を患者の体内へと注射すべくシリンジ50を選択的に移動および作動させるための典型的なシリンジアクチュエータ70(プランジャとして示されている)を備えることができる。典型的な実施形態においては、プランジャ70の重さが、約1.93グラムよりも大きくてよい。別の典型的な実施形態においては、プランジャ70の重さが、約1.93グラムから約2.02グラムの間であってよい。
【0089】
典型的なプランジャ70は、針55から用量を吐き出させるべく栓54に圧力を選択的に加えるために、栓54に一体化された(例えば、栓54に接続され、さらには/あるいは栓54と流体連通した)第1の端部71aを有するロッド部71を備えることができる。プランジャ70は、フランジ付きの第2の端部72を備えることができる。典型的な実施形態においては、プランジャ70が、
図3〜
図5に示した構成部品よりも多数の構成部品を含むことができる。典型的な実施形態においては、装置10が、
図3〜
図5に示したアクチュエータよりも多数または少数のアクチュエータを備えることができる。
【0090】
プランジャ70を、コイルばね88として図示され、プランジャ70のフランジ付きの第2の端部72の周囲または上方に配置されている第1の付勢機構によって、装置10の第1の端部20に向かって前方へと付勢することができる。コイルばね88の近位端88aを、プランジャ70に選択的に圧力を加え、プランジャ70を近位側へと移動させるために、プランジャ70のフランジ付きの第2の端部72に当接させることができる。あるいは、プランジャ70が、ばね88の中央を貫いて延びてもよい。
【0091】
図3に示されるとおり、装置10の使用前には、コイルばね88(または、他の適切な機構)をプランジャ70とハウジング12との間で圧縮し、エネルギを蓄えることができる。作動ボタン32などの任意の適切な駆動手段によって作動させることができるトリガ91が、作動ボタン32が作動させられるまで、プランジャ70および第1の付勢機構88を、引き込まれて固定された状態に保つことができる。トリガ91が、プランジャ70のフランジ付きの第2の端部72を固定することができる。作動ボタン32または他の駆動手段が作動させられると、トリガ91がプランジャ70のフランジ付きの第2の端部72を解放し、コイルばね88がプランジャ70を装置10の第1の端部に向かって前進させることができる。
【0092】
典型的なコイルばね89として示されている第2の付勢機構が、
図3に示されるとおり、使用前において、シリンジ50をハウジング12内に引き込まれた状態に保持することができる。引き込まれた状態において、針55を、好ましくはハウジング12内に完全に収めることができる。典型的なシリンジコイルばね89を、胴部53の近位部分の周囲に配置でき、ハウジングの内側に形成された棚状部121に着座させることができる。コイルばね89の上端を、シリンジ50のフランジ付きの第2の端部56に当接させることができる。第2の付勢機構89のばね力が、シリンジ50のフランジ付きの第2の端部56をハウジング12の第1の端部20から遠ざかるように押し、シリンジ50を作動時まで引き込まれた位置に保持することができる。装置10の他の構成部品も、シリンジ50をハウジング12に対して位置決めすることができる。
【0093】
第1の付勢機構88および第2の付勢機構89は、装置の特定の構成部品の付勢に使用するために適した任意の適切な構成および張力を有することができる。例えば、第1の付勢機構88は、解放されたときにプランジャ70およびシリンジ50を前方へと移動させるために適した任意の適切なサイズ、形状、エネルギ、および特性を有することができる。第2の付勢機構89は、作動までシリンジ50を引き込んでおくために適した任意の適切なサイズ、形状、エネルギ、および特性を有することができる。プランジャ70および/またはシリンジ50の移動を容易にするための他の適切な手段も、使用可能である。
【0094】
さらに
図3〜
図5の例示の実施形態を参照すると、プランジャ70は、例えばプランジャ70の真ん中に、半径方向に圧縮することができる典型的な広がり部76を備えることができる。図示の実施形態においては、ロッド71を、例えば中央部において割り、半径方向に圧縮することができる広がり部76を定める1対の突き出しエルボ78を形成するように広げることができる。突き出しエルボ78を、成型によるプランジャ70の一部としてあらかじめ形成することができ、あるいは代案として、プランジャ70に別途取り付けてもよい。突き出しエルボ78は、ロッド71の該当の部位がロッド71の残りの部分と同様の外周となるように、半径方向内側へと移動させることができるように圧縮可能であってよい。圧縮可能な広がり部76は、後述のように、物質の排出へと続くシリンジ50の2つの実質的に別々の段階での移動を促進する。
【0095】
図4を参照すると、駆動手段320がトリガ91を動かしてプランジャ70が解放されると、コイルばね88のばね力によってプランジャ70が前方へと(近位方向に)進められる。第1の動作段階において、移動するプランジャ70が、針55の先端がハウジング12の第1の端部20から突き出すようにシリンジ50を前方へと押す。第1のコイルばね88によってもたらされる初期の付勢力は、シリンジ50を第2のコイルばね89の後方への付勢力に逆らって移動させることができるよう、第2のコイルばね89の付勢力に打ち勝つために充分である。第1の動作段階において、突き出しエルボ78によって形成されたプランジャ70の広がり領域76が、胴部53の第2の端部56に当接する。これにより、プランジャ70がシリンジ胴部53の内側を移動することが防止される。このようにして、第1のコイルばね88からのすべての付勢力が、シリンジ50を装置10の第1の端部20に向かって前方へと移動させるために加えられる。
【0096】
駆動手段320は、プランジャ70を解放し、あるいは他の方法で装置10を作動させるために適した任意の適切なサイズ、形状、構成、および位置を有することができる。例えば、駆動手段320は、ハウジング12の遠位端30に形成された作動ボタン32を含むことができ、さらには/あるいはラッチ、ねじり作動スイッチ、および当分野で公知の他の装置など、他の適切な装置を含むことができる。図示の駆動手段320は、装置10の遠位端30に向かって位置しているが、駆動手段320を装置10上の任意の適切な位置に配置できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0097】
装置10の近位端20へと向かうシリンジ50の前方移動は、
図4に示されるように胴部53のフランジ付きの端部56がハウジング12上の突起またはフランジなどのストッパ123に当接することによってストッパ機構56、123が形成されるまで、コイルばね89の付勢力に逆らって続くことができる。他のストッパ機構も使用可能であり、典型的な実施形態が図示のストッパ機構に限られないことを、当業者であれば理解できるであろう。
【0098】
さらに
図4に示されているとおり、第1の動作段階は、針55で患者の皮膚を貫くことができるよう、針55の先端を装置10の第1の端部20の開口28を通って前進させることができる。この段階において、シリンジ胴部53は、好ましくは針55を通って物質を吐き出させることなく封じられたままであってよい。ストッパ機構56、123によって引き起こされる干渉により、後の段階において、針55を装置10の開いた近位端28から突き出した所定の位置に保つことができる。ストッパ機構56、123によってシリンジ50の移動が停止させられるまで、プランジャ70の圧縮可能な広がり部76が、胴部53に対するプランジャ70の移動を防止することができる。ストッパ機構56、123は、シリンジ50が注射に適した任意の適切な深さまで皮膚を貫くことができるよう、開いた第1の端部20に対して任意の適切な位置に位置することができる。
【0099】
第2の動作段階は、ハウジング12のストッパ123がフランジ付きの部位56を捕まえ、胴部53のさらなる移動を停止させた後で始まる。この段階において、依然としてコイルばね88の付勢力が、
図5に示されるようにプランジャ70をハウジング12に対して押し続けることができる。この付勢力によって、プランジャ70のエルボ78を半径方向内側へと圧縮し、胴部53の内側へとスライドさせることができる。構成部品123および56の間の干渉によって胴部53を所定の位置(針55が露出している)に保持できる一方で、エルボ78がつぶされた状態にあるため、コイルばね88が、プランジャ70を胴部53へと押し込むことができる。プランジャ70が、エルボ78を圧縮して胴部53へと進入できるようにするために必要な力に打ち勝った後で、プランジャ70は、栓54へと圧力を加え、シリンジ50に含まれる物質を突き出している針55を通って排出することができる。針55は、すでに第1の動作段階において患者の皮膚を貫いているため、シリンジ50の胴部53に含まれる物質が、患者の体の一部分へと直接注入される。
【0100】
図6が、シリンジハウジングアセンブリおよび発射機構アセンブリを含む典型的な自動注射装置10の斜視図を示している。典型的な実施形態において、自動注射装置10は、連動する2つの構成要素を備えることができ、すなわち装置10の近位側の部品(例えば、シリンジ胴部53、コイルばね89、針55、および他の近位側の部品)を含むシリンジハウジングアセンブリ121と、装置10の遠位側の部品(例えば、シリンジ50を駆動するために手段)を含む発射機構アセンブリ122とを備えることができる。シリンジハウジングアセンブリ121および発射機構アセンブリ122を、任意の適切な手段によって結合させることができる。典型的な実施形態においては、発射機構アセンブリ122の近位端122aを、シリンジハウジングアセンブリ121の遠位端121bへと挿入されるようなサイズおよび構成にすることができる。さらに、発射機構アセンブリ122の近位端122aの1つ以上のタブ127を、シリンジハウジングアセンブリ122の遠位端121bの対応する開口126にはめ込むことで、2つのアセンブリ121、122および2つのアセンブリに収容された部品の位置合わせおよび結合を保証することができる。
【0101】
図7が、
図6の典型的な自動注射装置の発射機構アセンブリの斜視図を示している。発射機構アセンブリ122は、典型的な作動ボタン32、典型的なアクチュエータキャップ34、典型的な遠位側ハウジング構成要素12b(発射体)、ならびに典型的なコイルばね88または他の付勢機構を備えることができる。さらに、発射機構アセンブリ122は、第1の段階においてハウジング12の内側でシリンジ50を前方へと移動させ、第2の段階においてシリンジ50の中身を吐き出させるべくシリンジ50を作動させるために、遠位側ハウジング構成要素12bの近位端122aから突き出しているシリンジアクチュエータ(シリンジ駆動部品700’として図示されている)を備えることができる。
【0102】
さらに、
図2および
図8のシリンジ駆動部品700’は、エルボ78よりも遠位側の中実なロッド部分70にインジケータ190を備えることができる。装置10の動作において、注射の完了後に、インジケータ190がハウジング12の窓130に位置合わせして、注射が少なくとも途中まで完了したことを示すように構成されている。インジケータ190は、好ましくは注射の完了を表わすために識別的な色またはデザインを有している。
【0103】
図8に示されるように、図示のシリンジ駆動部品700’は、駆動用のコイルばね88を駆動まで圧縮された状態に保持するための保持フランジ720’をさらに備える。保持フランジ720’は、好ましくは装置10の作動時にシリンジ駆動部品700’がハウジング12内をスライドして容易に移動できるようにするサイズ、寸法、および素材である。シリンジ駆動部品700’は、保持フランジ720’から遠位方向に延びる駆動用のコイルばね88のためのベース788’を形成している。ベース788’は、トリガ固定部789’を終端としている。図示のベース788’は、周囲にばね88が配置される可撓アーム788a’、788b’を備えることができる。トリガ固定部789’は、ベース788’から延び、固定キャップ12cおよび/または遠位側ハウジング構成要素12bと選択的に係合するように構成されたタブ付き足7891’を備えることができる。遠位側ハウジング構成要素12bの遠位端に組み合わせられた作動ボタン32が、作動までトリガ固定部789’を保持するように構成されている。作動時、作動ボタン32がトリガ固定部789’を解放することで、コイルばね88が上述の動作にてシリンジ駆動部品700’を装置10の近位端20に向かって前進させることができる。
【0104】
図7および
図8に示されている引き込まれた固定位置(
図3の概略図に相当する)において、トリガ固定部789’がハウジング12と相互作用し、コイルばね88の付勢力に逆らってタブ付き足7891’を固定位置に保持し、シリンジ駆動部品700’を引き込まれた位置に保つ。この状態において、フランジ720’が、ばね88を遠位側ハウジング構成要素12bの遠位側の後壁712’へと縮める。固定キャップ12cの開口713’によって、作動ボタン32が固定部789’へとアクセスすることができる。この引き込まれた位置において、シリンジ駆動部品700’の押し部754’が、遠位側ハウジング構成要素12bの近位端122aの開口228から突き出している。
【0105】
さらに
図9を参照すると、遠位側ハウジング構成要素12bが対応するシリンジ駆動機構121に組み合わせられるとき、押し部754’が、シリンジ駆動機構121に収容されたシリンジの胴部へと延びる。押し部754’は、装置10に収容されたシリンジ50の栓54と一体であってよく、栓54と同じであってよく、栓54に接続されてよく、あるいは他の方法で栓54と連絡でき、栓54に圧力を加えるために適した任意の適切なサイズ、形状、および構成を有することができる。一実施形態においては、押し部754’が、胴部53を実質的に封じるよう、対応するシリンジ50の胴部53の形状に対応する断面を有し、押し部754’が、栓54へと圧力を加え、シリンジ50を作動させるために、胴部53をスライド移動するように構成されている。
【0106】
図7および
図8の例示の実施形態においては、シリンジ駆動部品700’が、対応するシリンジ50、ばね88、および他の構成部品を固定し、シリンジ50を駆動して突き出した位置へと移動させ、さらにシリンジ50の中身を別途吐き出させるためのただ1つの一体化された機構を構成している。
【0107】
図9が、
図7および
図8のFMアセンブリ122に結合して相互作用するように構成された本発明の例示の実施形態のシリンジハウジングアセンブリ121の分解図である。この例示のシリンジハウジングアセンブリ121は、近位側ハウジング構成要素12a、近位側キャップ24、近位側の第2の付勢機構89、シリンジキャリア500、および段付きシュラウド12dを備えており、この段付きシュラウド12dが、
図2にも示されているように、組み立てられたときにハウジング12の近位部20を形成し、近位側の開口28を備えている。構成要素12a、12d、89、500、および24が協働し、注射すべき物質を含んでいるシリンジ50を収容し、上述のとおりの2つの別々の動作段階での装置10の動作を容易にする。
【0108】
次に、
図1、
図2、および
図9を参照すると、図示の実施形態のシリンジキャリア500は、装置10において使用されるシリンジ50の遠位側の半分を包む。シリンジ50がキャリア500に置かれ、両者がハウジング12に収容される。動作時、シリンジ50およびキャリア500が、ハウジング12内を前方へと(例えば、近位側へと)移動する。ハウジング12が、キャリア500の移動を停止させて制限し、結果としてキャリア500が、シリンジ50の移動を停止させて制限する。図示のシリンジキャリア500は、好ましくはハウジング12aの窓130に位置合わせして動作前に患者がシリンジ50の中身を確認できるようにする窓の切り欠き501を備える実質的に管状の構造を有している。シリンジキャリア500は、シリンジ50のフランジ付きの遠位端56(
図3に示されている)と取り合うように構成されたフランジ付きの遠位端562を備えることができる。
【0109】
図9を参照すると、フランジ付きの遠位端562は、シリンジ50のためのダンパとして機能することができる。シリンジキャリア500は、図示の実施形態においては近位側ハウジング構成要素12aの内部のストッパ256(
図10Aおよび
図10Bに示されている)と相互作用してシリンジ50の前方移動を制限するシリンジ50のためのストッパを形成する中間フランジ563をさらに備えることができる。さらに
図9を参照すると、図示のシリンジキャリア500は、後方の遠位方向へのシリンジ50の移動を制限する近位側の固定部503をさらに備えることができる。図示の実施形態においては、近位側の固定部503が、内部のストッパ256と係合するように構成された半径方向の溝を備えている。シリンジキャリアカプラ504が、シリンジキャリア500のばね89の遠位端および段付きシュラウド12dとの結合を容易にするために、近位固定部503を過ぎて前方へと延びている。一実施形態においては、シリンジキャリア500が、ハウジング12内で静止しており、シリンジ50が、シリンジキャリア500の内側をシリンジキャリア500に対して選択的かつ制御可能にスライドする。あるいは、シリンジキャリア500が、ハウジング12内にスライド可能に配置され、シリンジ50をハウジング12内に選択的に保持する。シリンジキャリア500は、ハウジング12においてシリンジ50を保持または案内するために適した任意の適切な構成およびサイズを有することができる。
【0110】
再び
図9を参照すると、図示の段付きシュラウド12dが、ハウジング12の近位端20を形成する。図示の段付きシュラウド12dは、装置10の動作時にシリンジ針55が突き出す装置10の近位側の開口28を定める近位側のボス112を備える実質的に管状の本体を有している。主たる管状の本体部116からの段差113が、段付きシュラウド12dの主たる管状の本体部116よりも小径の近位側のボス112を形成している。
【0111】
図10Aに示されるとおり、段差113は、ばね89のための前方ストッパを形成し、ばね89を閉じ込めて、装置10の近位端20へと向かうばね89の前方移動を防止する。
図10Aに示されている例示の実施形態においては、段付きシュラウド12dの遠位側のリム115が、近位側ハウジング構成要素12aのストッパ256の近位側に当接する。ここで
図9を参照すると、遠位側のアーム114が、意図せぬ針の突き刺しを防止すべく段付きシュラウド12dを固定するために、段付きシュラウド12dから延びている。
【0112】
図10Aおよび
図10Bは、互いに90°ずらされた角度での断面図であり、組み立てられた状態の自動注射装置10を示しており、
図6のシリンジハウジングアセンブリ121およびFMアセンブリ122が一体に結合させられ、シリンジ駆動部品700’の押し部754’が、シリンジハウジングアセンブリ121に収容されたシリンジ50の胴部53へと延び、シリンジ50の栓54に連絡している。
【0113】
再び
図8および
図10Bを参照すると、シリンジ駆動部品700’は、その近位端に、栓54へと圧力を加えるための押し端754’と、圧縮可能な広がり部76(プランジャエルボ78として示されている)を備えるプランジャロッド部70と、他の構成要素(後述のようにコイルばね88をシリンジ駆動部品700’へと固定するための部品など)とを備えている。圧縮可能な広がり部76は、本明細書に記載のとおり、対応するシリンジ50の突き出し位置への移動と、シリンジ50の中身の吐出とを、2つの別々の段階にて行なうことを容易にする。あるいは、シリンジ駆動部品700’が、シリンジ50の移動および/または吐出の促進のための複数のアクチュエータを備えてもよい。
【0114】
図10Bに示されるとおり、シリンジ駆動部品700’のトリガ固定部789’が、作動ボタン32によってハウジング12の遠位端に対して固定される。患者が作動ボタン32を押すと、作動ボタン32に接続された内側リング32aがトリガ固定部789’のタブ付き足7891’を内側へと圧縮し、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足の間の距離(プランジャアーム幅)を減少させて、シリンジ駆動部品700’を解放し、ばね88を解放する。動作に先立ち、シリンジ駆動部品700’の圧縮可能な広がり部76(エルボ78として示されている)がシリンジ50のフランジ56の上方に置かれ、解放されたコイルばね88によって押されたときに圧縮可能な広がり部76によってシリンジ胴部53へと圧力を加え、作動時にシリンジ50をハウジング12において前方に移動させることができる。
【0115】
上述のように、ひとたびストッパ(
図10Bに示されている近位側ハウジング構成要素12aのストッパ256など)がシリンジ50を捕まえ、突き出しているシリンジ50のさらなる前方移動を停止させると、依然として続くばね88の付勢力がシリンジ駆動部品700’を前方へと移動させ続け、圧縮可能な広がり部76を圧縮して、シリンジ50の胴部53の中へと移動させる。胴部53においてシリンジ駆動部品700’が前方に移動することで、押し部754’が栓54に圧力を加え、シリンジの中身を注射の部位へと排出する。
【0116】
図10Aおよび
図10Bにも示されるとおり、アクチュエータキャップ34は、作動前の装置の構成部品を安定させるために、作動ボタン32を通ってシリンジ駆動部品700’のタブ付き足7891’の間へと延びる安定化突起340を備えることができる。
【0117】
図11A〜
図11Cが、典型的な実施形態に従ってもたらされる
図7の発射機構アセンブリのシリンジ駆動部品の断面図を示しており、種々の動作段階におけるプランジャアームの位置を示している。
【0118】
図11Aにおいては、シリンジ駆動部品700’が、作動ボタンの操作前の第1の付勢機構88によって予め付勢されている。プランジャアームが互いに離れており、プランジャアーム幅が第1の大きな幅である。
【0119】
図11Bにおいては、プランジャアームが、作動ボタンの操作の開始において押し合わされている。
【0120】
図11Cにおいては、作動ボタンの操作の最中にプランジャが解放されている。プランジャアームが互いに近付いた位置にあり、プランジャアーム幅が第2の小さな幅である。
【0121】
図12が、本発明の例示の実施形態による組み立てられた状態の自動注射装置10’の断面図である。自動注射装置10’の例示の実施形態は、2つの対をなす近位側および遠位側のハウジング構成要素12a、12bを備えている。近位側および遠位側のハウジング構成要素12a、12bは、ハウジング12の全体を形成するように結合する。図示のとおり、ハウジング12の近位端を形成する近位側ハウジング構成要素12aが、遠位側ハウジング構成要素12bの近位端を受け入れる。協働する突起312および溝313、あるいは複数の協働する突起312および溝313が、例示の実施形態における近位側および遠位側のハウジング構成要素12a、12bの結合を容易にする。他の適切な結合の機構を、代案として使用することもできる。遠位側ハウジング構成要素12bの外表面に形成された棚状部29が、着脱式の第2のキャップ34のためのストッパを形成することができる。
【0122】
図示のとおり、作動ボタン32’は、遠位側ハウジング構成要素12bの遠位端を覆うキャップであってよい。図示の作動ボタン32’は、プランジャ70などのシリンジアクチュエータを作動させるために、遠位側ハウジング構成要素12bに対してスライドする。図示の作動ボタン32’は、プランジャ70’の可撓な固定アーム172を解放可能に保持する。作動ボタン32’は、押し込まれたときに可撓な固定アーム172を解放し、ばね88’として図示されている第1の付勢手段によってプランジャ70’を装置10’の近位端に向かって前進させることを可能にする。
【0123】
図12の実施形態においては、プランジャ70’が、圧縮可能な広がり部78’とプランジャロッド71’の遠位端との間に位置するフランジ72’をさらに備えている。第1の付勢機構88’が、ハウジング12の内側の遠位端とフランジ72’との間に着座し、プランジャ70をハウジング12’の近位端に向かって付勢する。上述のように、作動ボタン34’が固定アーム172を解放すると、コイルばね88’または他の適切な付勢機構が、プランジャ70’を装置10の近位端20に向かって前進させる。
【0124】
例示の実施形態10’は、フランジ72’と圧縮可能な広がり部76(可撓なエルボ78’として示されている)との間のプランジャロッド71’の中間部に形成されたインジケータ190をさらに備えている。
【0125】
図12のシリンジ50’は、ハウジング12’におけるシリンジの制御された移動を促進するための突起または他の適切な構成要素を備えることができる。例えば、
図12を参照すると、シリンジ50’が、ハウジング12’における遠位方向へのシリンジ50’の移動を制限するために、ハウジング12’の内表面に形成された第1の突起168の近位側に当接する近位側の突起158を形成するスリーブ157を備えている。スリーブ157は、注射の際の近位方向へのシリンジ50’の移動を制限するために第1の突起168の遠位側に当接することができるフランジ159も形成することができる。
【0126】
図12の実施形態においては、コイルばね89’として示されている第2の付勢機構が、シリンジ50’の近位側の部分の周囲に配置されている。ハウジング12’の近位側の内表面に形成された棚状部169が、コイルばね89’の近位端を受け止める。シリンジスリーブ157の近位側の突起158または他の適切に配置された機構が、コイルばね89’の遠位端を受け止める。上述のように、第2の付勢機構89’が、装置10の作動までシリンジ50’をハウジング12’内に引き込まれた位置へと付勢する。
【0127】
図10A、
図10B、および
図12に示されるとおり、自動注射装置10’は、シリンジ50から用量が完全または実質的に完全に排出されたときにその旨を装置10’の患者へと知らせるためのインジケータ190を備えている。図示の実施形態においては、インジケータ190が、圧縮可能な広がった中央部76とフランジ72’との間のプランジャロッド71’の部位に形成されている。動作時にプランジャロッド71が移動するにつれて、インジケータ190が窓130に向かって前進し、シリンジの用量が空になるときに窓130に位置合わせする。好ましくは注射される物質とは異なる色または模様であるインジケータ190が、窓130を完全に満たして、投与量が排出されたことを示す。任意の適切なインジケータを使用することができる。
【0128】
針55による装置10’からの用量注射後に、シュラウド12dの近位端20によって形成することができる針用鞘112が、意図せぬ針の突き刺しを防止するために、ハウジングの近位端20から延びている露出した針55を覆うように自動的に前進することができる。
【0129】
シリンジ駆動部品700’またはその遠位端を、アセタール主体のプラスチックなどの任意の適切な材料で少なくとも部分的に構成できるが、他の適切な材料も使用可能である。典型的な実施形態においては、シリンジ駆動部品700’を、少なくとも部分的に熱可塑性材料または熱硬化性材料で製作することができる。
【0130】
熱可塑性材料として、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリアミド、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ならびにこれらの共重合体、三元重合体、およびこれらの充てん材入りの複合材料が挙げられる。ポリアセタール材料として、アセタールの単独重合体、共重合体、および充てん材入りの複合材料が挙げられる。Hostaform(TM) Cが、典型的なアセタールポリオキシメチレン(POM)共重合体である。アセタールの共重合体(例えば、Hostaform(TM) Cという共重合体)は、充てん材入りの材料であってよく、ガラス球またはガラス繊維が充てんされた材料であってよい。
【0131】
熱硬化性材料として、エポキシ、アクリル、ウレタン、エステル、ビニルエステル、エポキシ−ポリエステル、アクリル−ウレタン、およびフルオロビニルが挙げられる。典型的な実施形態においては、アクリル材料が、酸およびヒドロキシル基などの反応性の官能基を含むことができる。一実施形態においては、エポキシ材料が、可視、UV、および熱による架橋で構成されるグループから選択される方法によって硬化させることができる反応性の官能基を含む。典型的な熱硬化性材料として、これらに限られるわけではないが、感光性ポリマーであってよい様々な種類の光造形用樹脂が挙げられる(例えば、Somos(R) 9420感光性ポリマー、Somos(R) ProtoGen(TM) O−XT 18420感光性ポリマー、Somos(R) Watershed(TM) 11120樹脂、Somos(R) DMX−SL(TM) 100樹脂、Somos(R) ProtoTherm(TM) 12120樹脂、Somos(R) Nanoform(TM) 15120プラスチック材料、Waterclear(R) Ultra 10122樹脂、およびSomos(R) ProtoCast(TM) AF 19120樹脂)。一実施形態においては、熱硬化性材料が、エポキシの単独重合体、共重合体、または充てん材入りの複合材料である。
【0132】
典型的な実施形態においては、シリンジ駆動部品700’を構成する材料が、約1000MPa〜約6000MPaの間の曲げ弾性率を有することができる。他の典型的な実施形態においては、この材料が、約2000MPa〜約5500MPaの間の曲げ弾性率を有することができる。別の典型的な実施形態においては、この材料が、約3000MPa〜約5000MPaの間の曲げ弾性率を有することができる。他の典型的な実施形態においては、この材料が、約3800MPaの曲げ弾性率を有することができる。
【0133】
図13が、シリンジ駆動部品700’の遠位端700b’(すなわち、栓54から遠く離れて位置する端部)の断面概略図を示している。シリンジ駆動部品700’の遠位端700b’を、1対のプランジャアーム788a’および788b’へと分岐させることができる。各々のプランジャアーム788a’、788b’が、作動ボタン32に最も近い遠位端にタブ付き足7891’を有することができる。
【0134】
図14が、シリンジ駆動部品700’の遠位端700b’に配置されたプランジャアーム788a’/788b’の断面の概略の外形を示している。さらに、
図14は、ICS角度、SCS角度、およびICS長さL(第2の移行エッジ221(ICS−SCSの移行のエッジ)における横軸Xに沿ったタブ付き足7981’の長さ)を図解している。
【0135】
シリンジ駆動部品700’の長手軸Yに沿って、各々のタブ付き足7891’は、作動ボタン32に最も近い遠位端211と、作動ボタン32から最も遠い近位端213とを有することができる。各々のタブ付き足7891’は、シリンジ駆動部品700’の横軸Xに沿って実質的に平坦である遠位端211に配置された上面215と、横軸Xに沿って実質的に平坦である近位端213に配置された下面219とを有することができる。
【0136】
各々のタブ付き足7891’は、最初に作動ボタン32に接するように構成された第1の外側円すい面(初期接触面(ICS)216)を、タブ付き足7891’の上面215と二次接触面(SCS)218との間に形成して有することができる。ICSは、シリンジ駆動部品700’の長手軸Yに対して角度(ICS角度)を形成することができる。典型的な実施形態においては、ICS角度が、約0°〜約90°の間である。別の典型的な実施形態においては、ICS角度が、約40°〜約80°の間である。他の典型的な実施形態においては、ICS角度が、約28°である。別の典型的な実施形態においては、ICS角度が、約38°である。さらに別の典型的な実施形態においては、ICS角度が、約48°である。タブ付き足7891’は、上面215とICS216との間に形成される第1の移行エッジ217を有することができる。
【0137】
タブ付き足7891’は、作動ボタン32がICS216に接触した後で続いて作動ボタン32に接触するように構成された第2の外側円すい面(SCS218)を、タブ付き足7891’のICS216と下面219との間に配置して有することができる。SCS218は、長手軸Yに対して角度(SCS角度)を形成することができる。典型的な実施形態においては、SCS角度が、約0°〜約90°の間である。別の典型的な実施形態においては、SCS角度が、約6°〜約38°の間である。他の典型的な実施形態においては、SCS角度が、約8°〜約25°の間である。タブ付き足7891’は、ICS216とSCS218との間に配置された第2の移行エッジ221と、SCS218と下面219との間に配置された第3の移行エッジ223とを有することができる。
【0138】
典型的な実施形態においては、第1の接触面が、2つのプランジャアーム788a’および788b’の2つのタブ付き足7891’の第1の外側円すい面ICS216によって形成される。第1の接触面は、2つのICS216が不連続であるように、2つのプランジャアーム788a’および788b’の間に少なくとも1つの開放セグメントを含む。円すい形の接触面が、2つのプランジャアーム788a’および788b’の2つのタブ付き足7891’の第2の外側円すい面SCS218によって形成される。この第2の接触面は、2つのSCS218が不連続であるように、2つのプランジャアーム788a’および788b’の間に少なくとも1つの開放セグメントを含む。第1および第2の接触面は、作動ボタン32に接触するように構成される。第1の接触面が、作動ボタン32との初期の接触をなし、第2の接触面が、最初に第1の接触面が作動ボタン32に接触した後で、続いて作動ボタン32と接触する。
【0139】
典型的な実施形態においては、ICS角度およびSCS角度が異なってよい。別の典型的な実施形態においては、ICS角度およびSCS角度が同じであってよい。
【0140】
典型的な実施形態においては、タブ付き足7891’が、長手軸Lに沿って近位方向に下面219から突き出す第3の外表面225を有することができ、第3の外表面225は、円すい形であっても、円すい形でなくてもよい。第3の外表面225を備える典型的な実施形態においては、SCS218が、ICS216と第3の表面225との間に配置され、第3の表面が、タブ付き足7891’のSCS218と下面29との間に配置される。第3の表面225を、発射体12bと接触するように構成することができる。第3の表面225は、長手軸Yに対して角度(突き出し角度)を形成することができる。典型的な実施形態においては、突き出し角度が、約0°〜約90°の間の範囲であってよい。別の典型的な実施形態においては、突き出し角度が、約62°〜約82°の間の範囲であってよい。他の典型的な実施形態においては、突き出し角度が、約65°〜約79°の間の範囲であってよい。別の典型的な実施形態においては、突き出し角度が、約68°〜約76°の間の範囲であってよい。
【0141】
第3の表面225は、長手軸Yに沿って測定される特定の高さ(突き出し高さ)だけSCS218から突き出し、SCS218よりも延びることができる。典型的な実施形態においては、突き出し高さが、約0.17mm〜約0.47mmの間の範囲にある。他の典型的な実施形態においては、突き出し高さが、約0.20mm〜約0.42mmの間の範囲にある。別の典型的な実施形態においては、突き出し高さが、約0.23mm〜約0.37mmの間の範囲にある。
【0142】
発射体12bが、第3の外表面225と接触するように構成された発射体円すい面(FBCS)212を備えることができる。作動ボタン32が押し下げられるとき、第3の外表面225とFBCS212との間の接触により、プランジャがわずかに上方へと移動する。
【0143】
発射機構アセンブリ122の作動時に、プランジャ70を所定の位置に保持するばね88は、ボタン32が押されるときに移動することがない。発射体12bの角度およびプランジャ70の下面が相互作用する一方で、作動ボタン32およびICS216が相互作用する。作動ボタン32が発射機構アセンブリの長手軸Yに沿って下方へと移動し、タブ付き足7891’が内側へと曲がる。タブ付き足7891’が作動ボタン32に進入するとき、プランジャ70は曲げ運動にてつぶれる。
【0144】
プランジャアーム788a’/788b’典型的なタブ付き足7891’を、中間点固定(MPF)構成または最上点固定(TPF)構成に設定することができる。MPF構成においては、ICS216とSCS218との間の移行の点が、ICS角度が変えられるときに固定に保たれる。TPF構成においては、平坦な上面215とICS216との間の移行の点が、ICS角度が変えられるときに固定に保たれる。自動注射装置の発射時のICS216に沿った作動ボタンの移動距離は、TPF構成においてMPF構成よりも大きい。この距離は、作動ボタンとICS216との間の最初の接触点から、ICS−SCSの移行点221までの距離である。
【0145】
図15Aが、約38°のICS角度を有する制御プランジャの斜視図を示している。
【0146】
図15Bが、MPF構成および約48°のICS角度を有する典型的なプランジャの斜視図を示している。
【0147】
図16Aが、約38°のICS角度を有する制御プランジャの斜視図を示している。
【0148】
図16Bが、TPF構成および約48°のICS角度を有する典型的なプランジャの斜視図を示している。
【0149】
図17Aが、MPF構成および約48°のICS角度を有する典型的なプランジャアームの概略図を示している。この例では、プランジャアームが、約23°のSCS角度を有している。
【0150】
図17Bが、TPF構成および約48°のICS角度を有する典型的なプランジャアームの概略図を示している。この例では、プランジャアームの直径がMPF構成とTPF構成との間で一定に保たれたため、プランジャアームが約9.4°のSCS角度を有している。プランジャアームの典型的な直径は、約8.9mmである。
【0151】
図18A〜
図18Dが、典型的な実施形態に従ってもたらされる典型的な作動ボタン32を示している。典型的な実施形態に従ってもたらされる典型的な作動ボタン32は、作動ボタン32を押し込むために患者が触れるように構成された接触面を有する外キャップとして機能することができる。さらに、典型的な実施形態に従ってもたらされる典型的な作動ボタン32は、作動ボタン32が患者によって押されたときに装置の作動または発射を生じさせるべくプランジャアームのタブ付き足に接触するように構成された内側リングまたは内側駆動部32aを備えることができる。
【0152】
図18Aが、作動ボタン32の外側の斜視図を示しており、自動注射装置に組み合わせられたときに遠位側ハウジング構成要素12b(図示されていない)の遠位端から突き出す接触面として構成された作動ボタンの端壁32dを示している。典型的な実施形態においては、外側のキャップ部32bが、自動注射装置に組み合わせられたときに遠位側ハウジング構成要素12bの遠位端の一部または全体を覆う。
【0153】
作動ボタン32は、これらに限られるわけではないが、円形の断面を有する実質的な円筒形、矩形または正方形の断面を有する実質的な箱形、など、任意の適切な形状または形態をとることができる。
図18Aおよび
図18Bに示されるように作動ボタン32が円形の断面を有する実質的に円筒形の形状を有する典型的な実施形態においては、作動ボタン32が、実質的に円形の断面を有する管状または実質的に円筒形の外壁32cを備える。管状の外壁32cは、実質的に長手軸Lに沿って延びている。
【0154】
管状の外壁32cの終端が、接触面を形成する端壁32dへと接続されている。端壁が、外壁32cの終端を部分的または完全に覆うことができる。端壁32dは、横軸Tに実質的に沿って延びている。端壁は、任意の適切な形状または形態をとることができる。典型的な実施形態においては、
図18Aに示されているように、端壁32dが平坦かつ平面的であってよい。別の典型的な実施形態においては、端壁32dが、平面的な表面とは対照的に、上向きまたは下向きに湾曲した表面を有することができる。典型的な実施形態においては、端壁32dが、装置の作動または発射の際に患者が作動ボタンをより確実かつ器用に取り扱うことができるよう、規則的または不規則な肌理の表面を有することができる。典型的な実施形態においては、
図18Aに示されているように、端壁32dが、意図された使用の前の装置の意図せぬ発射を防止する安全機構を収容するための貫通孔32fを備えることができる。
【0155】
典型的な実施形態においては、管状の外壁32cの終端を、端壁32dへと直接接続することができる。別の典型的な実施形態においては、管状の外壁32cの終端、端壁32d、または両方が、面取りされた表面32eを備えることができる。面取りされた表面32eは、端壁32dと管状の外壁32cとの間に位置して両者を接続することができ、上壁32dに対して90°未満の角度を向くことができ、長手軸Lに対しても90°未満の角度を向くことができる。面取りされた表面32eは、任意の適切な形状または形態をとることができる。典型的な実施形態においては、
図18Aに示されているように、面取りされた表面32eが平坦かつ平面的であってよい。他の典型的な実施形態においては、面取りされた表面32eが、平面的な表面とは対照的に、上方または下方へと湾曲した表面を有することができる。
【0156】
図18Bが、
図18Aの典型的な作動ボタン32の内側の斜視図を示しており、内側リングまたは内側駆動部32aを示している。内側駆動部32aを、作動ボタン32の端壁32dの内面に接続することができる。内側駆動部32aは、端壁32dの内面から長手方向Lに沿って近位方向に突き出すことができる。自動注射装置に組み付けられたときに、内側駆動部32aを、作動ボタン32の押し込みによって内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’の遠位端の1つ以上の表面(例えば、初期接触面(ICS)および二次接触面(SCS)など)に係合するように、プランジャアーム788a’、788b’の遠位端の直近に位置させることができ、あるいはプランジャアーム788a’、788b’の遠位端に接触させることができる。
【0157】
内側駆動部32aは、これらに限られるわけではないが、円形の断面を有する実質的な円筒形、矩形または正方形の断面を有する実質的な箱形、など、任意の適切な形状または形態をとることができる。内側駆動部32aを、任意の適切な熱可塑性材料および/または任意の適切な熱硬化性材料から形成することができる。
【0158】
典型的な実施形態においては、1つ以上の機械的な支持構造体32j(例えば、控え壁)が、内側駆動部32aの外表面に対して形成されて、内側駆動部32aの外表面から突き出し、外側キャップ部32bの内表面へと接続されている。支持構造体32jは、内側駆動部32aを外側キャップ部32bの内表面に支持および補強する。
【0159】
図18Cが、長手軸Lに沿って得た典型的な作動ボタン32の断面図を示している。
図18Dが、典型的な作動ボタン32の内表面の正面図を示している。
【0160】
典型的な実施形態においては、
図18Cおよび18Dに示されるように、作動ボタン32の典型的な内側駆動部32aが、円形の断面を有する管状または実質的に円筒形のリングとして構成される。
【0161】
リングは、リングの内縁32iに関して測定される内径R
diameterを有している。典型的な内径R
diameterとして、これらに限られるわけではないが、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0mm、などが挙げられる。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.4mm〜約6.8mmの範囲にある。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.7mmを下回る範囲にある。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.4mmである。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.5mmである。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.6mmである。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.7mmである。典型的な実施形態においては、内径R
diameterが、約6.75mmである。
【0162】
典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.30mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.35mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.40mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.45mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.50mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.55mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.60mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.65mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.70mmである。典型的な実施形態においては、最大リング内径R
diameterが、約6.75mmである。
【0163】
リングは、リングの外径とリングの内径R
diameterとの間の差の半分として測定される肉厚R
thicknessを有する。典型的な肉厚R
thicknessとして、これらに限られるわけではないが、約0.50、0.55、0.60、0.65、0.70、0.75、0.80、0.85、0.90、0.95、1.00、1.05、1.10、1.15、1.20、1.25、1.30、1.35、1.40、1.45、1.50、1.55、1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.0mm、などが挙げられる。典型的な肉厚R
thicknessは、約0.60mm〜約2.00mmの範囲であってよい。典型的な肉厚R
thicknessは、約0.80mm〜約2.00mmの範囲であってよい。典型的な肉厚R
thicknessは、約0.90mmであってよい。
【0164】
リングは、内側駆動部32aの遠位端32gから内側駆動部32aの近位端32hまで測定される長さR
lengthを有する。典型的なリング長さR
lengthとして、これらに限られるわけではないが、約6.70、6.71、6.72、6.73、6.74、6.75、6.76、6.77、6.78、6.79、6.80、6.81、6.82、6.83、6.84、6.85、6.86、6.87、6.88、6.89、6.90mmなどが挙げられる。典型的な実施形態においては、リング長さR
lengthが、約6.73mm〜約6.83mmの範囲である。典型的な実施形態においては、リング長さR
lengthが、約6.75mm〜約6.90mmの範囲である。典型的な実施形態においては、最小リング長さR
lengthが、約6.60mmである。典型的な実施形態においては、最小リング長さR
lengthが、約6.65mmである。典型的な実施形態においては、最小リング長さR
lengthが、約6.70mmである。典型的な実施形態においては、最小リング長さR
lengthが、約6.75mmである。典型的な実施形態においては、最小リング長さR
lengthが、約6.80mmである。
【0165】
動作時、患者が、作動ボタン32の端壁32dに触れて押すことによって、作動ボタン32を押し込む。結果として、作動ボタン32が、遠位側ハウジング構成要素12bに対して長手軸Lに沿って近位方向にスライドする。これにより、作動ボタン32の内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’に係合し、タブ付き足7891’を圧縮する。プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’の圧縮により、タブ付き足の間の距離(すなわち、プランジャアーム幅)が減少し、結果としてシリンジ駆動機構700’が解放され、ばね88が解放される。シリンジ駆動機構700’およびばね88が解放されることで、自動注射装置の作動または発射が成功裏に達成される。
【0166】
図19Aが、長手軸に沿って得た典型的な発射体12bの断面図を示している。典型的な実施形態においては、発射体12bの近位部が、実質的に長手軸に沿って延びる中空穴を形成するトンネル1904として構成されている。トンネル1904の中空穴は、装置の発射時にプランジャアーム788a’、788b’が中空穴を通って長手軸に沿って下方へと移動できるように構成されている。典型的な実施形態においては、トンネル1904が、円形の断面を有する実質的な円筒形である。トンネル1904は、円形の断面の内径である内径T
diameterを有している。典型的な内径T
diameterとして、これらに限られるわけではないが、約6.00、6.10、6.20、6.30、6.40、6.50、6.60、6.70、6.80、6.90、7.00、7.10、7.20、7.30、7.40、7.50、7.60、7.70、7.80、7.90、8.00mm、などが挙げられる。
【0167】
トンネル1904の遠位端に、内径TunnelEntrance
diameterを有する入り口領域または開口1908が形成されている。典型的な実施形態においては、入り口領域1908が、トンネル1904の内径と同じ内径を有する。別の実施形態においては、入り口領域1908が、トンネル1904の内径とは異なる内径を有し、トンネル1904の内径よりも小さい内径または大きい内径を有する。
【0168】
典型的な入り口内径TunnelEntrance
diameterとして、これらに限られるわけではないが、約6.00、6.10、6.20、6.30、6.40、6.50、6.60、6.70、6.80、6.90、7.00、7.10、7.20、7.30、7.40、7.50、7.60、7.70、7.80、7.90、8.00mmなどが挙げられる。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TunnelEntrance
diameterが、約6.70mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TunnelEntrance
diameterが、約6.60mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TunnelEntrance
diameterが、約6.50mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TunnelEntrance
diameterが、約6.40mmである。
【0169】
図19Bが、
図19Aのトンネル1904の入り口領域1908の断面図を示している。典型的な実施形態においては、作動ボタン32に最も近いトンネル1904の入り口領域1908を、装置の発射までプランジャ足が当接することができる円すい面212を形成する円すいフランジとして構成することができる。円すい面212は、トンネル1904の遠位端から半径方向外側へと広がることができる。円すい面212は、プランジャアーム788a’、788b’(図示されていない)のタブ付き足の下面219および/または第3の表面225に据わるように構成される。動作時、プランジャアームのタブ付き足が円すい面212から外れると、プランジャアームが発射体12bのトンネル1904を通って下方へと移動する。
【0170】
円すい面212は、横軸Tに対して角度(円すい面角度(CSA))を形成することができる。典型的な実施形態においては、円すい面212が、横軸Tに沿って実質的に平坦であってよく、すなわちCSAが約0度である。他の典型的な実施形態においては、円すい面212が、横軸Tから或る角度を形成することができ、すなわちCSAが0度よりも大きい。典型的なCSAの値として、これらに限られるわけではないが、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20度、などが挙げられる。典型的な実施形態においては、CSAが、約12度〜18度の範囲にあるように構成される。典型的なCSAの値として、これらに限られるわけではないが、約12、13、14、15、16、17、18、19、20度、などが挙げられる。
【0171】
円すい面212は、長手軸Lに沿って測定される高さhを有することができる。典型的な円すい面の高さとして、これらに限られるわけではないが、約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70mm、などを挙げることができる。典型的な実施形態においては、円すい面の高さが、約0.50mmである。典型的な実施形態においては、円すい面の高さが、約0.24mm〜約0.28mmの範囲である。一典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.20mmである。他の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.3mmである。別の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.4mmである。他の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.5mmである。
【0172】
III.発射力(FtF)を大きくするための成型パラメータの設定
特定の従来からの自動注射装置は、発射力(FtF)が第1の最適レベルよりも小さい場合、時期尚早に作動または発射を生じる可能性がある。特定の従来からの自動注射装置は、FtFが第2の最適レベルよりも大きい場合、発射するのに過度に大きい力を要求する可能性がある。典型的なシステム、装置、および方法は、本明細書に記載されるとおり、改善されたFtFを有する自動注射装置、ならびにそのような自動注射装置を製作および使用する方法を提供することによって、これらの問題を克服する。
【0173】
自動注射装置の典型的なFtFは、約5N〜約25Nの間の範囲であってよい。自動注射装置の別の典型的なFtFは、約10N〜約15Nの間の範囲であってよい。自動注射装置の他の典型的なFtFは、約10N〜約20Nの間の範囲であってよい。自動注射装置の別の典型的なFtFは、約8N〜約12Nの間の範囲であってよい。自動注射装置の他の典型的なFtFは、約5Nを上回る範囲であってよい。自動注射装置の別の典型的なFtFは、約25Nを上回る範囲であってよい。典型的なFtFの値として、これらに限られるわけではないが、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40N、などが挙げられる。
【0174】
典型的な実施形態は、自動注射装置の発射アセンブリの1つ以上の構成部品(例えば、プランジャ)を成型するために使用される1つ以上の成型パラメータを設定することができる。成型パラメータが、成型されるプランジャの物理的な特性を左右でき、したがって物質がシリンジから患者の体内へと吐き出されるように発射機構を作動させるために必要な最小力を左右することができる。したがって、成型パラメータは、発射機構アセンブリのFtFに影響を及ぼすことができる。典型的な実施形態によって設定することができる典型的な成型パラメータとして、これらに限られるわけではないが、成型温度、冷却時間、ショット/プランジャの重量、注入圧力、注入速度、などが挙げられる。
【0175】
典型的な実施形態においては、典型的なプランジャを、1段階の射出成型プロセスを使用して成型することができる。他の典型的な実施形態においては、典型的なプランジャを、2段階の射出成型プロセスを使用して成型することができる。典型的な実施形態においては、射出成型プロセスの第1の段階において使用される注入圧力が、約750×10
3psi〜約900×10
3psiの範囲であってよい。別の典型的な実施形態においては、射出成型プロセスの第1の段階において使用される注入圧力が、約1600×10
3psi〜約1800×10
3psiの範囲であってよい。典型的な実施形態においては、射出成型プロセスの第2の段階において使用される注入圧力が、約500×10
3psi〜約750×10
3psiの範囲であってよい。別の典型的な実施形態においては、射出成型プロセスの第2の段階において使用される注入圧力が、約800×10
3psi〜約900×10
3psiの範囲であってよい。
【0176】
典型的な実施形態においては、プランジャの幅を増加させることで、FtFを高めるために、成型プロセスにおいて使用される成型温度を低くすることが可能である。典型的な実施形態においては、プランジャの幅を増加させることで、FtFを高めるために、成型プロセスにおいて使用される冷却時間を長くすることが可能である。典型的な実施形態においては、FtFを高めるために、成型温度を低くすることができ、冷却時間を長くすることができる。すなわち、より低い成型温度および/またはより長い冷却時間を、FtFを高めるために使用することができる。
【0177】
典型的な実施形態においては、成型温度が、約100F〜約200Fの範囲であってよい。典型的な実施形態においては、成型温度が、約200F未満であってよい。別の典型的な実施形態においては、成型温度が、約100F未満であってよい。
【0178】
典型的な実施形態においては、冷却時間が、約10秒〜約25秒の範囲であってよい。典型的な実施形態においては、冷却時間が、約10秒よりも長くてよい。他の典型的な実施形態においては、冷却時間が、約20秒よりも長くてよい。別の典型的な実施形態においては、冷却時間が、約25秒よりも長くてよい。典型的な冷却時間として、これらに限られるわけではないが、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35秒、などが挙げられる。
【0179】
典型的な実施形態においては、FtFを大きくするために、プランジャを形成する材料の曲げ弾性率を大きくすることができる。本明細書で検討される典型的なプランジャは、とくにそのようでないと述べられない限りは、例えばTicona社のHostaform(TM) C 13031というアセタール(POM)共重合体プラスチック材料など、アセタールポリオキシメチレン(POM)共重合体で少なくとも部分的に形成される。典型的なプランジャを、他の熱可塑性材料および熱硬化性材料で形成することも可能である。
【0180】
典型的な実施形態においては、FtFを大きくするために、プランジャの重量を増やすことができる。典型的なプランジャの重量として、これらに限られるわけではないが、約1.90、1.91、1.92、1.93、1.94、1.95、1.96、1.97、1.98、1.99、2.00、2.01、2.02、2.03、2.04、2.05、2.06、2.07、2.08、2.09、2.10グラム、などを挙げることができる。典型的なプランジャの重量は、約1.92グラム〜約2.04グラムの範囲であってよいが、この典型的な範囲に限られるわけではない。典型的な実施形態においては、プランジャの重量が、約2グラムよりも大きくてよい。典型的な実施形態においては、プランジャの重量が、約1.93グラムよりも大きくてよい。
【0181】
IV.注射の遅配を最小化または解消するための典型的な自動注射装置の設定
典型的な実施形態は、これらに限られるわけではないが、作動ボタン、発射体、プランジャ、などといった自動注射装置の1つ以上の構造的特徴を、注射の遅配が最小化または解消されるように設定することができる。
【0182】
ここで、典型的な実施形態の理解を容易にするために、いくつかの用語が
図20を参照して定義される。
【0183】
用語「力プロフィル」は、自動注射装置の発射のプロセスにおいて加えられる力を、発射のプロセスにおける作動ボタンの移動距離に対して示したグラフを指す。
【0184】
図20が、力(y軸:単位はN)を距離(x軸:単位はmm)に対して示す典型的な力プロフィルを示している。
【0185】
用語「初期接触点」は、自動注射装置の発射のプロセスにおいて最初に力が必要になる力プロフィル上の点を指す。これは、作動ボタン32の内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’に接触する瞬間に相当する。
【0186】
用語「ICS/SCS移行点」は、その後に力がピークに達する力プロフィル上の点を指す。これは、作動ボタン32の内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’の初期接触面(ICS)216から二次接触面(SCS)218へと通過する瞬間に相当する。
【0187】
用語「発射点」は、その後に力が実質的にゼロに戻る力プロフィル上の点を指す。これは、プランジャ70が外れ、もはや作動ボタン32の内側駆動部32aに接触しなくなる瞬間に相当する。
【0188】
用語「作動ボタン/発射体接触点」は、その後に力が増加(すなわち、急上昇)する力プロフィル上の点を指す。これは、
図13に示されているように、作動ボタン32の内側駆動部32aが発射体12bの円すい面212に接触する瞬間に相当する。
【0189】
用語「d」は、発射点と作動ボタン/発射体接触点との間のx軸に沿った距離の差を指す。
【0190】
A.作動ボタンの内側駆動部の内径R
diameter
典型的な自動注射装置において、注射の遅配は、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが小さくなるにつれて、減少する傾向にある。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが小さくされる。
【0191】
以下で、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterの縮小と注射の遅配との間の関係を、
図21を参照して説明する。
【0192】
図21は、約6.53mmの長さR
lengthを有する作動ボタン32の内側駆動部32aについて、力(y軸:単位はN)を距離(x軸:単位はmm)に対して示した4つの典型的な力プロフィル「G」、「H」、「Cnl」、および「I」を示している。
【0193】
力プロフィル「G」は、約6.50mmの内径R
diameterを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「H」は、約6.65mmの内径R
diameterを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「Cnl」は、約6.80mmの内径R
diameterを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「I」は、約6.95mmの内径R
diameterを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。
【0194】
より小さな内径を有する作動ボタン32の内側駆動部32aは、より大きな直径を有する作動ボタン32の内側駆動部32aと比べて、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’の上方により高く位置し、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’により早期に接触する。作動ボタン32の内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’により早期に接触するため、力プロフィルがより早期に始まり、すなわちより短い距離の作動ボタンの押し込みの後に始まる。結果として、内径を小さくすると、力プロフィル上の初期接触点が、より早期に生じ、すなわちx軸上のより短い距離において生じる。したがって、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterを小さくすると、自動注射装置の発射の成功のためのプランジャの適切なつぶれを達成するために必要な変位が小さくなる。
【0195】
いくつかの典型的な実施形態においては、ICS/SCS移行点が変化せず、実質的に同じx軸上の距離で生じる。
【0196】
いくつかの典型的な実施形態においては、作動ボタン/発射体接触点が変化せず、実質的に同じx軸上の距離で生じる。これは、典型的な実施形態において、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが、異なる力プロフィルにおいて一定に保たれているからである。他の典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さを変えてもよい。
【0197】
典型的な自動注射装置の種々の構成部品の構造的な構成ゆえに、力プロフィルのx軸上の距離「d」は、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが小さくなるにつれて大きくなる。距離「d」は、プランジャが内側駆動部32aから離れた後で、内側駆動部32aが発射体12bの発射体円すい面212に接触して、さらなる移動が止められるまでに、作動ボタン32の内側駆動部32aを押し込むことができるさらなる距離に相当する。作動ボタンを押しても、発射点まで自動注射装置の発射が生じない場合、自動注射装置の発射を生じさせるために、作動ボタンを距離「d」にわたってさらに押し込むことができる。したがって、距離「d」を増やすことで、注射の遅配が少なくなり、発射の成功の確率が高くなる。このように、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterを小さくすることで、注射の遅配が少なくなる。
【0198】
要約すると、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterを小さくすることで、注射の遅配が少なくなり、発射の成功の確率が高くなり、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位が小さくなる。典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterを小さくすることができる。
【0199】
典型的な実施形態においては、内径R
diameterを小さくする一方で、作動ボタン32の内側駆動部32aの外径も小さくすることができる。この典型的な実施形態は、作動ボタン32の内側駆動部32aの肉厚(すなわち、外径と内径との間の差)を変わらぬままにすることができる。
【0200】
別の典型的な実施形態においては、内径R
diameterを小さくする一方で、作動ボタン32の内側駆動部32aの外径を変えなくてもよい。この典型的な実施形態は、作動ボタン32の内側駆動部32aの肉厚(すなわち、外径と内径との間の差)を大きくすることができる。肉厚の増加は、作動ボタン32が押されたときの作動ボタン32の内側駆動部32aの変形の程度を軽くする傾向にある。作動ボタン32の内側駆動部32aの変形の減少は、発射の遅配を好都合に最小化する。
【0201】
典型的な実施形態においては、長手軸Lに沿った典型的な自動注射装置の長さを、一定に保つことができ、あるいは特定の範囲内に抑えることができる。これらの典型的な実施形態において、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterを、特定の最小内径を超えて減少させなくてもよい。これは、内径を最小内径よりも小さくすると、作動ボタンが装置において高すぎる位置に位置する結果となり、装置の構成部品の組み立てにおける困難が増す可能性があるからである。特定の典型的な実施形態においては、最小内径(内径がこれよりも小さくされることがない)が、約5.0mm〜約5.9mmの範囲であってよい。
【0202】
典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.80mm未満に設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.70mm未満に設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.60mm未満に設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.50mm未満に設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.50mmに設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、約6.40mmに設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの内径R
diameterが、これらに限られるわけではないが、約6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、7.0mm、などに設定される。
【0203】
B.作動ボタンの内側駆動部の長さR
length
典型的な自動注射装置において、注射の遅配は、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが増すにつれて、少なくなる傾向にある。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが増やされる。
【0204】
以下で、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthの増加と注射の遅配との間の関係を、
図22を参照して説明する。
【0205】
図22は、約6.80mmの内径R
diameterを有する作動ボタン32の内側駆動部32aについて、力(y軸:単位はN)を距離(x軸:単位はmm)に対して示した4つの典型的な力プロフィル「C」、「B」、「Cnl」、および「A」を示している。
【0206】
力プロフィル「C」は、約6.83mmの長さR
lengthを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「B」は、約6.73mmの長さR
lengthを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「Cnl」は、約6.53mmの長さR
lengthを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。力プロフィル「A」は、約6.33mmの長さR
lengthを有する作動ボタン32の内側駆動部32aに相当する。
【0207】
より長い長さを有する作動ボタン32の内側駆動部32aは、より短い長さを有する作動ボタン32の内側駆動部32aと比べて、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’により早期に接触する。作動ボタン32の内側駆動部32aがプランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’により早期に接触するため、力プロフィルがより早期に始まり、すなわちより短い距離の作動ボタンの押し込みの後に始まる。力プロフィルが、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが大きくなるにつれて左方に移動する。結果として、長さが大きくなると、力プロフィル上の初期接触点がより早期に生じ、すなわちx軸上のより短い距離において生じる。したがって、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthを大きくすると、自動注射装置の発射の成功のためのプランジャの適切なつぶれを達成するために必要な変位が小さくなる。
【0208】
力プロフィルのx軸上の距離「d」は、変わらないままである。
【0209】
要約すると、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthを大きくすることで、注射の遅配が少なくなり、発射の成功の確率が高くなり、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位が小さくなる。典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthを大きくすることができる。
【0210】
典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが、約6.75mmを上回るように設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが、約6.73mm〜約6.83mmの範囲にあるように設定される。典型的な実施形態においては、作動ボタン32の内側駆動部32aの長さR
lengthが、これらに限られるわけではないが、約6.70、6.71、6.72、6.73、6.74、6.75、6.76、6.77、6.78、6.79、6.80、6.81、6.82、6.83、6.84、6.85、6.86、6.87、6.88、6.89、6.90mm、などであるように設定される。
【0211】
C.発射体の円すい面の円すい面角度CSA
典型的な自動注射装置においては、発射体12bの円すい面212の円すい面角度(CSA)の値が大きくなるにつれて、注射の遅配が減少する傾向にある。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、CSAが大きくされる。
【0212】
より大きなCSAを有する発射体12bの円すい面212においては、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’が、より高い位置に位置する。これにより、作動ボタン32の内側駆動部32aが、作動ボタン32が押されたときにより早い時点でプランジャ70をつぶすことができる。したがって、発射体12bの円すい面212のCSAを大きくすることで、注射の遅配が減少する。
【0213】
典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて発射体12bの円すい面212のCSAを大きくすることができる。
【0214】
典型的な実施形態においては、CSAが、約12度〜約18度の範囲にあるように設定される。典型的なCSAの値として、これらに限られるわけではないが、約10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20度、などが挙げられる。
【0215】
D.発射体の円すい面の高さ
典型的な自動注射装置においては、発射体12bの円すい面212の高さが大きいほど、注射の遅配が減少する傾向にある。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、発射体12bの円すい面212の高さが大きくされる。円すい面の高さは、発射体12bの円すい面212がプランジャの足に係合することによって引き起こされる円すい面212の変形に起因して、時間とともに減少する可能性がある。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、発射体12bの円すい面212の変形の程度を小さくすることができる。
【0216】
円すい面212の高さの減少および/または変形の増大は、発射体12bの円すい面212の円すい面角度(CSA)の減少に相当する。より小さなCSAを有する発射体12bの円すい面212においては、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’が、より低い位置に位置する。これにより、作動ボタン32の内側駆動部32aは、作動ボタン32が押されたときにより遅い時点でプランジャ70をつぶすことになる。したがって、発射体12bの円すい面212の円すい面高さを減らし、さらには/あるいは発射体12bの円すい面212の変形を小さくすると、注射の遅配が増加する。
【0217】
典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて発射体12bの円すい面212の変形の程度を小さくすることができる。円すい面212の変形は、発射体12bの円すい面212(典型的な実施形態においては、ポリプロピレンなどの柔らかい材料で形成される)のプランジャの足(典型的な実施形態においては、ポリアセタール材料で形成される)との係合から生じうる。典型的な実施形態においては、発射体12bが、円すい面の変形の程度を小さくするために、比較的高剛性の材料で形成される。
【0218】
典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて発射体12bの円すい面212の高さを増やすことができる。
【0219】
典型的な円すい面の高さとして、これらに限られるわけではないが、約0.10、0.15、0.20、0.25、0.30、0.35、0.40、0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.70mm、などを挙げることができる。典型的な実施形態においては、円すい面の高さが、約0.50mmである。典型的な実施形態においては、円すい面の高さが、約0.24mm〜約0.28mmの範囲である。一典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.20mmである。他の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.3mmである。別の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.4mmである。他の典型的な実施形態においては、円すい面の最小高さが、約0.5mmである。
【0220】
E.発射体のトンネル入り口内径TEntrance
diameter
典型的な自動注射装置においては、発射体12bのトンネル入り口内径TEntrance
diameterが特定の最小径を下回って小さくなる場合に、注射の遅配を観察することができる。典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消するために、発射体12bのトンネル入り口内径TEntrance
diameterが、最小トンネル入り口内径を上回る範囲に設定される。
【0221】
狭すぎるトンネル入り口内径TEntrance
diameterにおいては、プランジャ70が、発射体のトンネルを最後まで移動することができない可能性がある。狭いトンネルは、プランジャがトンネルを移動するときに、トンネルの壁に対するプランジャの足のより強い引きずりを生じさせる可能性がある。したがって、トンネル入り口内径TEntrance
diameterが特定の最小内径を下回って小さくなると、注射の遅配が増加する可能性がある。
【0222】
典型的な実施形態は、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて、発射体12bのトンネル入り口内径TEntrance
diameterを最小内径を上回るように保つことができる。
【0223】
典型的な入り口内径TEntrance
diameterとして、これらに限られるわけではないが、約6.00、6.10、6.20、6.30、6.40、6.50、6.60、6.70、6.80、6.90、7.00、7.10、7.20、7.30、7.40、7.50、7.60、7.70、7.80、7.90、8.00mm、などが挙げられる。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TEntrance
diameterが、約6.70mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TEntrance
diameterが、約6.60mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TEntrance
diameterが、約6.50mmである。典型的な実施形態においては、最小の典型的な入り口内径TEntrance
diameterが、約6.40mmである。
【0224】
F.中間点固定(MPF)または最上点固定(TPF)のプランジャ設計
典型的な自動注射装置においては、注射の遅配が、最上点固定(TPF)のプランジャ設計において中間点固定(MPF)のプランジャ設計と比べて少ない。TPFのプランジャ設計は、プランジャアーム788a’、788b’のタブ付き足7891’が、発射体12bの円すい面212において、より高い位置に位置することを可能にする。これにより、作動ボタン32の内側駆動部32aが、作動ボタン32が押されたときにより早い時点でプランジャ70をつぶすことができる。したがって、TPFのプランジャ設計は、MPFのプランジャ設計と比べて、注射の遅配を少なくすることができる。この効果を、MPFのプランジャ設計と比較して、TPFのプランジャ設計の力プロフィルにおける距離「d」の増加として観察することができる。
【0225】
典型的な実施形態においては、注射の遅配を最小化または解消し、発射の成功の確率を高め、自動注射装置の発射の成功のためにプランジャに適切なつぶれを達成するために必要な変位を小さくするために、単独または1つ以上の他のさらなる因子との組み合わせにおいて、プランジャの足をTPFのプランジャ設計に従って構成することができる。
【0226】
他の典型的な実施形態においては、プランジャの足を、発射機構の組み立てに適しているがゆえに、MPFのプランジャ設計に従って構成することができる。
【0227】
V.実施例
典型的なシステム、装置、ならびに少なくとも典型的な作動ボタンおよび典型的な自動注射装置を製作および使用するための方法を、以下の実験例を参照しつつ、以下でさらに詳しく説明する。
【0228】
A.典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンおよび典型的な市販のプランジャについての試験
典型的な自動注射装置を、典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンを典型的な市販のプランジャおよび他の構成部品と組み立てることによって製造した。典型的なRPT作動ボタンは、1つ以上の熱硬化性材料で形成されている。典型的なプランジャは、それぞれ約38度の初期接触面(ICS)角度を有している。組み立てられた自動注射装置を、種々の構成要素の特徴について、装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0229】
(i)作動ボタンリングの内径と注射の遅配との間の関係
作動ボタンの材料と作動ボタンリングの内径との組み合わせについて、遅配の時間への影響を試験した。以下の組み合わせを含む種々の組み合わせを試験した。以下の組み合わせとは、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.60mmの作動ボタンリング内径、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.80mmの作動ボタンリング内径(基準として使用される)、Watershed(TM) 11120樹脂および約7.00mmの作動ボタンリング内径、ProtoTherm(TM) 12120樹脂および約6.60mmの作動ボタンリング内径、ProtoTherm(TM) 12120樹脂および約6.80mmの作動ボタンリング内径(基準として使用される)、ならびにProtoTherm(TM) 12120樹脂および約7.00mmの作動ボタンリング内径である。
【表1】
【0230】
第1組の試験においては、装置の作動ボタンを、試験者によって約2.4mmのZwick変位まで押し込んだ。この変位は、作動ボタンを完全に押し込むためには充分でなく、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位が、装置の注射の遅配の一因であると判断される。
【0231】
図23が、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.6mmの作動ボタンリング内径について、遅配を呈した装置の割合(y軸)の種々の遅配時間(x軸)に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、いずれの装置も注射の遅配を示すことがなかったことを示している。
【0232】
図24が、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.8mmの作動ボタンリング内径について、遅配を呈した装置の割合(y軸)の種々の遅配時間(x軸)に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、装置のうちの約20%は注射の遅配を示さなかったが、装置の約80%が約1秒〜約60秒の範囲の注射の遅配を示したことを示している。
【0233】
図25は、Watershed(TM) 11120樹脂について、遅配を呈した装置の割合(z軸)の種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング内径に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmの作動ボタンリング内径において最高(100%)であり、約6.8mmの作動ボタンリング内径において中程度(20%)であり、約7.0mmの作動ボタンリング内径において最低(0%)であったことを示している。
【0234】
図26は、ProtoTherm(TM) 12120樹脂について、遅配を呈した装置の割合(z軸)の種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング内径に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmの作動ボタンリング内径において最高(100%)であり、約6.8mmの作動ボタンリング内径において中程度(60%)であり、約7.0mmの作動ボタンリング内径において最低(0%)であったことを示している。
【0235】
図27は、ProtoTherm(TM) 12120樹脂について、種々の遅配時間を呈した装置の割合(y軸)の種々の作動ボタンリング内径(x軸)に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmの作動ボタンリング内径において最高(100%)であり、約6.8mmの作動ボタンリング内径において中程度(60%)であり、約7.0mmの作動ボタンリング内径において最低(0%)であったことを示している。さらに、このヒストグラムは、6.8mmの作動ボタンリング内径を有する装置のうち、約20%が約1秒〜約60秒の範囲の遅配時間を示し、約20%が約1分〜約60分の範囲の遅配時間を示したことを示している。さらに、このヒストグラムは、7.0mmの作動ボタンリング内径を有する装置のうち、50%が約1分〜約60分の範囲の遅配時間を示し、約40%が約60時間を超える遅配時間を示したことを示している。
【0236】
図28は、ProtoTherm(TM) 12120樹脂およびWatershed(TM) 11120樹脂について、種々の遅配時間を呈した装置の割合(y軸)の種々の作動ボタンリング内径(x軸)に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmの作動ボタンリング内径において最高(両方の樹脂において100%)であり、約6.8mmの作動ボタンリング内径において中程度(ProtoTherm(TM) 12120樹脂において60%であり、Watershed(TM) 11120樹脂において20%)であり、約7.0mmの作動ボタンリング内径において最低(両方の樹脂において0%)であったことを示している。
【0237】
第2組の試験においては、装置の作動ボタンを、試験者によって約2.6mmのZwick変位まで押し込んだ。この変位は、作動ボタンを完全に押し込むために充分であり、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位は、装置の注射の遅配の原因でないと判断される。
【0238】
図29は、Watershed(TM) 11120樹脂について、遅配を呈した装置の割合(z軸)の種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング内径に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmおよび約6.8mmの作動ボタンリング内径において高く(100%)、約7.0mmの作動ボタンリング内径においてより低い(80%)ことを示している。
【0239】
図30は、ProtoTherm(TM) 12120樹脂について、遅配を呈した装置の割合(z軸)の種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング内径に対するヒストグラムを示している。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmおよび約6.8mmの作動ボタンリング内径において高く(100%)、約7.0mmの作動ボタンリング内径においてより低い(70%)ことを示している。
【0240】
図31は、ProtoTherm(TM) 12120樹脂およびWatershed(TM) 11120樹脂について、種々の遅配時間を示した装置の割合(y軸)の種々の作動ボタンリング内径(x軸)に対するヒストグラムを示している。使用された変位は、約2.4mmおよび約2.6mmである。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.6mmおよび約6.8mm(2.6mmの変位)の作動ボタンリング内径において高く(100%)、約7.0mm(2.6mmの変位)の作動ボタンリング内径においてより低い(ProtoTherm(TM) 12120樹脂において70%、Watershed(TM) 11120樹脂において80%)ことを示している。
【0241】
図31に示した実験結果によれば、約2.6mmという充分な変位において、Watershed(TM) 11120樹脂で形成された特定の典型的な作動ボタンは、7.0mmの作動ボタンリング内径(2.6mmの変位)において、ProtoTherm(TM)樹脂で形成された特定の典型的な作動ボタンと比べて、注射の遅配を減少させる。Watershed(TM) 11120樹脂は、約2,865MPa〜約2,880MPaの範囲の曲げ弾性率を有し、ProtoTherm(TM)樹脂は、約3,520MPaの曲げ弾性率を有している。いくつかの典型的な実施形態においては、作動ボタンを形成する材料の曲げ弾性率の減少により、発射時の作動ボタンリングの変形が少なくなることで、注射の遅配が減らされ、あるいは解消される。
【0242】
いくつかの典型的な実施形態においては、作動ボタンへと加えられる変位が不充分であることが、注射の遅配の原因である。いくつかの典型的な実施形態においては、試験に供された特定の典型的な装置のうちで注射の遅配を示した装置の割合が、作動ボタンの変位が小さくなるにつれて増加した。さらに、試験に供されて注射の遅配を示した特定の典型的な装置について、遅配時間が、作動ボタンの変位が小さくなるにつれて増加した。いくつかの典型的な実施形態においては、約2.6mmの変位が、作動ボタンの押し込みにおいて充分であり、発射の遅配の原因となることがなかった。したがって、これらの典型的な実施形態において、約2.6mmの変位で試験された注射の遅配は、作動ボタンを押す患者によって持ち込まれる因子を反映したものではない。
【0243】
実験結果にもとづくと、試験に供された特定の典型的な装置のうちで注射の遅配を示した装置の割合が、両方の作動ボタンの材料(Watershed(TM) 11120樹脂およびProtoTherm(TM) 12120樹脂)において、作動ボタンリング内径が大きくなるにつれて増加した。いくつかの典型的な実施形態においては、約6.6mmの作動ボタンリング内径について、試験されたすべての装置において注射の遅配が生じず、約6.8mmの作動ボタンリング内径について、試験された装置の一部において注射の遅配が生じ、約7.0mmの作動ボタンリング内径について、試験された装置のすべてにおいて注射の遅配が生じた。加えて、注射の遅配を示した特定の典型的な装置について、遅配時間が、両方の作動ボタンの材料(Watershed(TM) 11120樹脂およびProtoTherm(TM) 12120樹脂)において、作動ボタンリング内径が大きくなるにつれて増加した。
【0244】
(ii)作動ボタンリングの長さと注射の遅配との間の関係
作動ボタンの材料および作動ボタンリングの長さの組み合わせと、遅配の時間との関係を試験した。以下の組み合わせを含む種々の組み合わせを試験した。以下の組み合わせとは、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.33mmの作動ボタンリング長さ、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.53mmの作動ボタンリング長さ(基準として使用される)、Watershed(TM) 11120樹脂および約6.73mmの作動ボタンリング長さ、ProtoTherm(TM) 12120樹脂および約6.33mmの作動ボタンリング長さ、ProtoTherm(TM) 12120樹脂および約6.53mmの作動ボタンリング長さ(基準として使用される)、ならびにProtoTherm(TM) 12120樹脂および約6.73mmの作動ボタンリング長さである。試験した典型的な構成部品の仕様が、表1にまとめられている。
【0245】
第1組の試験においては、装置の作動ボタンを、試験者によって約2.4mmのZwick変位まで押し込んだ。この変位は、作動ボタンを完全に押し込むためには充分でなく、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位が、装置の注射の遅配の一因であると判断される。
【0246】
図32が、ProtoTherm(TM) 12120樹脂およびWatershed(TM) 11120樹脂で形成された作動ボタンについて、種々の遅配時間を示した装置の割合(y軸)を、作動ボタンリング長さ(x軸)に対して示したヒストグラムである。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、(両方の樹脂について)約6.73mmの作動ボタンリング長さにおいて最高(100%)であり、Watershed(TM) 11120樹脂について約6.53mmの作動ボタンリング長さにおいて中程度(20%)であり、(両方の樹脂について)約6.33mmの作動ボタンリング長さおよびProtoTherm(TM) 12120樹脂について約6.53mmの作動ボタンリング長さにおいて最低(0%)であったことを示している。
【0247】
第2組の試験においては、装置の作動ボタンを、試験者によって約2.6mmのZwick変位まで押し込んだ。この変位は、作動ボタンを完全に押し込むために充分であり、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位は、装置の注射の遅配の原因でないと判断される。
【0248】
図33が、Watershed(TM) 11120樹脂について、遅配を示した装置の割合(z軸)を種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング長さに対して示したヒストグラムである。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.53mmおよび約6.73mmの作動ボタンリング長さにおいて高く(100%)、約6.33mmの作動ボタンリング長さにおいてより低い(70%)ことを示している。
【0249】
図34が、ProtoTherm(TM) 12120樹脂について、遅配を示した装置の割合(z軸)を種々の遅配時間および種々の作動ボタンリング長さに対して示したヒストグラムである。このヒストグラムは、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、約6.53mmおよび約6.73mmの作動ボタンリング長さにおいて高く(100%)、約6.33mmの作動ボタンリング長さにおいてより低い(10%)ことを示している。
【0250】
図35が、ProtoTherm(TM) 12120樹脂およびWatershed(TM) 11120樹脂で形成された作動ボタンについて、種々の遅配時間を示した装置の割合(y軸)を、種々の作動ボタンリング長さ(x軸)に対して示したヒストグラムである。使用された変位は、約2.4mmおよび約2.6mmである。2.6mmの変位についてのヒストグラムが、注射の遅配を示さなかった装置の割合が、(両方の樹脂について)約6.53mmおよび約6.73mmの作動ボタンリング長さにおいて高く(100%)、約6.33mmの作動ボタンリング長さにおいてより低い(ProtoTherm(TM) 12120樹脂の作動ボタンについて10%、Watershed(TM) 11120樹脂の作動ボタンについて70%)ことを示している。
【0251】
図35に示されている実験結果によれば、約2.6mmという充分な変位において、Watershed(TM) 11120樹脂で形成された特定の典型的な作動ボタンは、6.33mmの作動ボタンリング長さにおいて、ProtoTherm(TM)樹脂で形成された特定の典型的な作動ボタンと比べて、注射の遅配を減少させる。Watershed(TM) 11120樹脂は、約2,865MPa〜約2,880MPaの範囲の曲げ弾性率を有し、ProtoTherm(TM)樹脂は、約3,520MPaの曲げ弾性率を有している。いくつかの典型的な実施形態においては、作動ボタンを形成する材料の曲げ弾性率の減少により、発射時の作動ボタンリングの変形が少なくなることで、注射の遅配が減らされ、あるいは解消される。
【0252】
図32と
図35との間の比較にもとづくと、作動ボタンの不充分な変位が、試験に供された特定の典型的な装置における注射の遅配の一因である。試験に供された特定の典型的な装置について、注射の遅配を示した装置の割合が、作動ボタンの変位が小さいときに高くなっている。加えて、試験に供された特定の典型的な装置のうちの注射の遅配を示した装置について、遅配時間が、作動ボタンの変位が小さいときに長くなっている。いくつかの典型的な実施形態においては、約2.6mmの変位が、作動ボタンの押し込みにおいて充分であり、発射の遅配の原因となることがなかった。したがって、いくつかの典型的な実施形態において、約2.6mmの変位で試験された遅配は、作動ボタンを押す患者によって持ち込まれる因子を反映したものではない。
【0253】
実験結果にもとづくと、試験に供された特定の典型的な装置のうちで注射の遅配を示した装置の割合が、両方の作動ボタンの材料(Watershed(TM) 11120樹脂およびProtoTherm(TM) 12120樹脂)において、作動ボタンリング長さが短くなるにつれて増加した。より具体的には、試験したいくつかの典型的な実施形態に関して、約6.73mmの作動ボタンリング長さでは、試験されたすべての装置において注射の遅配が生じず、約6.53mmの作動ボタンリング長さでは、試験された装置の一部において注射の遅配が生じ、約6.33mmの作動ボタンリング長さでは、試験された装置のすべてにおいて注射の遅配が生じた。加えて、試験に供した特定の典型的な装置のうちの注射の遅配を示した装置について、遅配時間が、両方の作動ボタンの材料(Watershed(TM) 11120樹脂およびProtoTherm(TM) 12120樹脂)において、作動ボタンリング長さが短くなるにつれて増加した。
【0254】
(iii)作動ボタンリング内径および作動ボタンリング長さの組み合わせと注射の遅配との間の関係
作動ボタンリングの内径および作動ボタンリングの長さの組み合わせと遅配時間との間の関係を試験した。
【0255】
装置の作動ボタンを、試験者によって約2.4mmのZwick変位まで押し込んだ。この変位は、試験に供された特定の典型的な装置において作動ボタンを完全に押し込むためには充分でなく、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位が、装置の注射の遅配の一因であると判断される。
【0256】
図36が、遅配時間(z軸:単位は秒)を種々の作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)および作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)に対して示した3D散布図である。
【0257】
図37は、y軸に沿ってx−z平面から見た
図36の2D断面を示しており、作動ボタンリング長さが増すにつれて遅配時間が減少することを示している。注射の遅配が、約6.75mmおよびそれ以上のリング長さにおいて解消している。
【0258】
図38は、x軸に沿ってy−z平面から見た
図36の2D断面を示しており、作動ボタンリング内径が小さくなるにつれて遅配時間が減少することを示している。注射の遅配が、約6.60mmおよびそれ以下の作動ボタンリング内径において解消している。
【0259】
(iv)結果の概要
RPT作動ボタンと約38度のICS角度を有する市販のプランジャとの組み合わせについての結果は、充分な変位において、注射の遅配が、約6.60mm以下の作動ボタンリング内径および約6.75mm以上の作動ボタンリング長さにおいて解消されたことを示している。
【0260】
B.典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンおよび典型的な1個取り金型(SIM)プランジャについての試験
典型的な自動注射装置を、典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンを典型的な1個取り金型(SIM)プランジャと組み立てることによって製造した。典型的なRPT作動ボタンは、1つ以上の熱硬化性材料で形成され、典型的なSIMプランジャは、1つ以上の熱可塑性材料で形成されている。典型的なプランジャは、それぞれ約48度の初期接触面(ICS)角度を有している。組み立てられた自動注射装置を、種々の構成要素の特徴について、装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0261】
装置の作動ボタンを、試験者によって約3.2mm〜約3.4mmの範囲のZwick変位まで押し込んだ。この変位は、試験に供した特定の典型的な装置において作動ボタンを完全に押し込むために充分であり、したがって作動ボタンの押し込みにおける変位は、装置の注射の遅配の原因でないと判断される。
【0262】
作動ボタンリング長さを、約6.30mmから約7.40mmまで変化させた。作動ボタンリング内径を、約6.40mmから約7.10mmまで変化させた。
【0263】
(i)中間点固定(MPF)プランジャの試験
図39が、約3.2mm〜約3.4mmの変位について、遅配時間(y軸:単位は秒)を作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対して示した散布図である。遅配時間は、試験した作動ボタンのうちの1つを除くすべてについて、約0秒であり、すなわち注射の遅配が存在しなかった。約6.86mmの内径を有する作動ボタンのうちの1つにおいて、遅配時間が約1秒であった。
【0264】
図40が、約3.2mm〜約3.4mmの変位について、遅配時間(y軸:単位は秒)を作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対して示した散布図である。試験した作動ボタンの大部分において、遅配時間は約0秒であり、すなわち注射の遅配が存在しなかった。いずれも約7.1mmの作動ボタン内径を有するおよそ3つの作動ボタンが、注射の遅配を呈した。
【0265】
この実験結果にもとづき、いくつかの典型的な実施形態における作動ボタンリング内径を、典型的な自動注射装置について注射の遅配がないようにするために、約3.2mm〜約3.4mmの間の変位において、約6.8mm未満に維持することができる。
【0266】
図41が、約3.2mm〜約3.4mmの変位について、遅配時間(y軸:単位は秒)を作動ボタンリング長さ(x軸:単位はmm)に対して示した散布図である。試験した作動ボタンのうちの1つを除くすべてにおいて、遅配時間は約0秒であり、すなわち注射の遅配が存在しなかった。約6.58mmの内径を有する作動ボタンのうちの1つにおいて、遅配時間が約1秒であった。
【0267】
図42が、約3.2mm〜約3.4mmの変位について、遅配時間(y軸:単位は秒)を作動ボタンリング長さ(x軸:単位はmm)に対して示した散布図である。試験した作動ボタンの大部分において、遅配時間は約0秒であり、すなわち注射の遅配が存在しなかった。いずれも約6.55mm未満の作動ボタン長さを有するおよそ3つの作動ボタンが、注射の遅配を呈した。
【0268】
この実験結果にもとづき、いくつかの典型的な実施形態における作動ボタン長さは、典型的な自動注射装置について注射の遅配がないようにするために、約3.2mm〜約3.4mmの間の変位において、約6.60mmよりも長く保たれる。
【表2】
【0269】
(ii)最上点固定(TPF)プランジャの試験
TPFプランジャの試験によって、同様の結果が得られた。
【0270】
(iii)結果の概要
RPT作動ボタンと約48度のICS角度を有するSIMプランジャ(MPFまたはTPF)との組み合わせについての結果は、約3.2mm〜約3.4mmの範囲の変位において、注射の遅配が、約6.80mm未満の作動ボタンリング内径および約6.60mmを超える作動ボタンリング長さにおいて解消されたことを示している。
【0271】
C.高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンについての実験結果の概要
典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)作動ボタンに関して、注射の遅配が、市販品および1個取り金型(SIM)プランジャの両方において、約6.60mmよりも小さい作動ボタンリング内径および約6.75mmよりも長い作動ボタンリング長さにおいて解消された。典型的な実施形態は、組み立てられた自動注射装置における注射の遅配を減少させ、あるいは解消するために、典型的な作動ボタンリング内径を約6.60mmよりも小さくなるように設定でき、作動ボタンリング長さを約6.75mmよりも大きくなるように設定することができる。
【0272】
図43が、作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対する作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)の散布図を示している。
図43のゾーンAが、短いリング長さ(約6.50mm未満)および大きいリング内径(約6.80mm超)において、注射の遅配の或る程度の恐れが存在することを示している。典型的な実施形態は、組み立てられた自動注射装置における注射の遅配を減少させ、あるいは解消するために、ゾーンAに位置するリングの長さおよび内径の組み合わせの選択を、回避することができる。
図43のゾーンBは、長いリング長さ(約6.75mm超)および小さなリング内径(約6.60mm未満)において、注射の遅配の恐れがきわめて少ないことを示している。典型的な実施形態は、組み立てられた自動注射装置における注射の遅配を減少させ、あるいは解消するために、ゾーンBに位置するリングの長さおよび内径の組み合わせを選択することができる。
【0273】
D.典型的な1個取り金型(SIM)作動ボタンおよび約38度の典型的な初期接触面(ICS)角度を有する典型的な市販のプランジャについての試験
典型的な自動注射装置を、典型的な1個取り金型(SIM)作動ボタンおよび市販のプランジャを組み立てることによって製造した。典型的な作動ボタンは、例えばポリプロピレンなどの1つ以上の熱可塑性材料で形成されている。典型的なプランジャは、それぞれ約38度の初期接触面(ICS)角度を有している。組み立てられた自動注射装置を、種々の構成要素の特徴について、装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0274】
図44は、種々の作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)および作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)を有する試験対象の装置の散布図を示している。
【0275】
作動ボタンへと加えられる変位を、変位を変化させたときに注射の遅配を示す装置の割合にどのような影響が及ぶかを判断するために、約1.45mm、1.55mm、および約1.65mmに設定した。
【0276】
図45が、約1.45mmの実変位について、遅配を示した装置の割合(z軸)を種々の作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)および作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)に対して示したヒストグラムである。約1.45mmの実変位は、装置の発射を開始させるために充分に深く作動ボタンを押すことがなく、あるいはそのようにすることができない患者を模擬している。注射の遅配を示した装置の割合は、作動ボタンリングの長さおよび内径に応じて、約0%〜約70%の範囲であった。
【0277】
図46が、約1.55mmの実変位について、遅配を示した装置の割合(z軸)を種々の作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)および作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)に対して示したヒストグラムである。約1.55mmという実変位は、約1.45mmの実変位の場合よりも大きく作動ボタンを押し込む患者を模擬している。注射の遅配を示した装置の割合が少なくなり、作動ボタンリングの長さおよび内径に応じて、約0%〜約10%の範囲であった。
【0278】
図47が、約1.65mmの実変位について、遅配を示した装置の割合(z軸)を種々の作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)および作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)に対して示したヒストグラムである。約1.65mmという実変位は、約1.55mmの実変位の場合よりも大きく作動ボタンを押し込む患者を模擬している。注射の遅配を示した装置の割合が少なくなり、あらゆる作動ボタンリングの長さおよび内径について0%であった。
【0279】
実験結果にもとづくと、いくつかの典型的な実施形態において、約1.65mmの実変位において、約6.95mm未満の作動ボタンリング内径および約6.33mm超の作動ボタンリング長さが、注射の遅配のない自動注射装置をもたらしている。いくつかの典型的な実施形態においては、約1.55mmの実変位において、約6.80mm未満の作動ボタンリング内径および約6.53mm超の作動ボタンリング長さが、注射の遅配のない自動注射装置をもたらしている。いくつかの典型的な実施形態においては、約1.45mmの実変位において、約6.65mm未満の作動ボタンリング内径および約6.53mm超の作動ボタンリング長さが、注射の遅配のない自動注射装置をもたらしている。加えられる実変位にもとづき、典型的な実施形態は、注射の遅配を減らし、あるいは解消するために、作動ボタンリングの長さおよび内径を、この実験結果にもとづいて設定することができる。
【0280】
図48が、作動ボタンについて、種々の作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)および作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)についてのしきい値変位(z軸:単位はmm)のヒストグラムを示している。用語「しきい値変位」は、注射の遅配が観察されない自動注射装置の発射において作動ボタンの押し込みにて加えられる最小の実変位を指す。この実験結果にもとづくと、いくつかの典型的な実施形態において、注射の遅配の解消に必要な作動ボタンリングの長さおよび内径は、患者によって加えられる実変位に左右されている。大きな変位のグループに属する患者(すなわち、作動ボタンを充分に押し込むことができる患者)は、より大きなリング内径およびより短いリング長さでも、注射の遅配を解消できている。しかしながら、より小さい変位のグループに属する患者(すなわち、作動ボタンを充分に押し込まず、あるいは充分に押し込むことができない患者)は、注射の遅配の解消のために、より小さなリング内径およびより長いリング長さを必要としていた。
【0281】
典型的な作動ボタンにおいては、注射の遅配を解消するために、作動ボタンリング長さを、約6.73〜約6.83mmの間に設定でき、作動ボタンリング内径を、約6.50mm〜約6.65mmの間に設定することができる。
図48に示されているとおり、選択される典型的な内径および長さの範囲は、しきい値変位を約1.40mmに設定する。作動ボタンリングの内径および長さについて、他の典型的な範囲も選択可能であり、そのような選択によって関連のしきい値変位を変えることができることを、当業者であれば少なくとも
図48から理解できるであろう。しきい値変位を、関連の作動ボタンリングの内径および長さを設定することによって設定できることを、当業者であれば理解できるであろう。
【0282】
E.発射体の円すい面角度(CSA)と注射の遅配との間の関係
(i)市販の発射体の試験
典型的な自動注射装置を、典型的な市販の発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み合わせることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、市販の発射体の円すい面角度(CSA)が装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0283】
典型的な発射体のCSAの値を変化させ、生じる注射の遅配を測定した。
【表3】
【0284】
図49が、長手軸に沿って発射体を貫いて得た断面図を示しており、円すい面212の典型的なCSA値(約6度、約12度、および約18度)が示されている。
【0285】
約38度の初期接触面(ICS)角度を有する市販のプランジャ、約48度のICS角度を有する中間点固定(MPF)の1個取り金型(SIM)プランジャ、および約48度のICS角度を有する最上点固定(TPF)のSIMプランジャという3つの典型的なプランジャの構成を、典型的な発射体との組み合わせにおいて使用した。
【0286】
図50A〜
図50Cが、典型的なプランジャのタブ付き足の設計の斜視図を示している。
図50Aは、約38度のICS角度を有する市販のプランジャ5002のタブ付き足5004の設計の斜視図を示している。
図50Bは、約48度のICS角度を有するMPF SIMプランジャ5006のタブ付き足5008の設計の斜視図を示している。
図50Cは、約48度のICS角度を有するTPF SIMプランジャ5010のタブ付き足5012の設計の斜視図を示している。
【0287】
要約すると、発射体の4つの異なる典型的なCSA値(すなわち、0、6、12、および18度)を、3種類(すなわち、市販品、MPF、およびTPF)の典型的なプランジャにおいて試験した。検討される各々のCSA値について、15個の自動注射装置を試験した。各々の作動ボタンを該当の発射体と組み立てる前に、作動ボタンリング内径および作動ボタンリング長さを測定した。
【0288】
実験においては、自動注射装置における発射体−作動ボタンの各々の組み合わせについて、それぞれの種類のプランジャで1回ずつ、3回の発射を行なった。注射の遅配への変位の影響を除くために、大きな変位を加えるZwick−Roell Force Testerにて装置を発射させた。大きな変位において、作動ボタンが、発射のほぼ終わりまで発射体に力を加えた。
【表4】
【0289】
表4は、注射の遅配に直面した装置の数を示している。
【0290】
図51は、遅配に直面した装置の数および割合(y軸)のヒストグラムを、種々のCSA値および種々のプランジャの種類(x軸)に対して示している。
【0291】
市販の発射体についての実験結果が、いくつかの典型的な実施形態において、あらゆる種類のプランジャについて約12度および約18度のCSA値で注射の遅配が観察されなかったことを示している。いくつかの典型的な実施形態においては、CSA値が0度であるとき、遅配時間がMPFプランジャにおいて最長であり、市販のプランジャにおいて中間的であり、TPFプランジャにおいて最短であった。いくつかの典型的な実施形態においては、より大きなCSA値が、より大きなCSA値においてはプランジャが発射体の円すい面においてより高い位置に位置するため、注射の遅配の解消をもたらした。プランジャが発射体の円すい面においてより高い位置に位置すると、作動ボタンリングが、作動ボタンが押し込まれるときにより早い時点でプランジャをつぶす。
【0292】
典型的な実施形態は、注射の遅配を減らし、あるいは解消するために、単独またはプランジャの種類の設定との組み合わせにおいて、発射体のCSA値を大きくすることができる。
【0293】
(ii)高速プロトタイプ試験(RPT)発射体の試験
典型的な自動注射装置を、典型的な高速プロトタイプ試験(RPT)発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み合わせることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、RPT発射体の円すい面角度(CSA)が装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0294】
典型的な発射体のCSAの値を変化させ、生じる注射の遅配を測定した。
【表5】
【0295】
約38度の初期接触面(ICS)角度を有する市販のプランジャ、約48度のICS角度を有する中間点固定(MPF)の1個取り金型(SIM)プランジャ、および約48度のICS角度を有する最上点固定(TPF)のSIMプランジャという3つの典型的なプランジャの構成を、典型的な発射体との組み合わせにおいて使用した。
【0296】
図50A〜
図50Cが、典型的なプランジャのタブ付き足の設計の斜視図を示している。
図50Aは、約38度のICS角度を有する市販のプランジャのタブ付き足の設計の斜視図を示している。
図50Bは、約48度のICS角度を有するMPF SIMプランジャのタブ付き足の設計の斜視図を示している。
図50Cは、約48度のICS角度を有するTPF SIMプランジャのタブ付き足の設計の斜視図を示している。
【0297】
要約すると、発射体の5つの異なる典型的なCSA値(すなわち、0、8、18、28、および38度)を、3種類(すなわち、市販品、MPF、およびTPF)の典型的なプランジャにおいて試験した。各々の作動ボタンを該当の発射体と組み立てる前に、作動ボタンリング内径および作動ボタンリング長さを測定した。
【0298】
実験においては、自動注射装置における発射体−作動ボタンの各々の組み合わせについて、それぞれの種類のプランジャで1回ずつ、3回の発射を行なった。注射の遅配への変位の影響を除くために、大きな変位を加えるZwick−Roell Force Testerにて装置を発射させた。大きな変位において、発射のほぼ終わりまで、作動ボタンが発射体に力を加えた。
【0299】
RPT発射体についての試験結果は、すべてのCSA値(0度でも)において注射の遅配が見られなかったことを示している。より大きいCSA値が、より大きいCSA値においてはプランジャが発射体の円すい面においてより高い位置に位置するため、注射の遅配の解消をもたらした。プランジャが発射体の円すい面においてより高い位置に位置すると、作動ボタンリングが、作動ボタンが押し込まれるときにより早い時点でプランジャをつぶす。
【0300】
典型的な実施形態は、注射の遅配を減らし、あるいは解消するために、単独またはプランジャの種類の設定との組み合わせにおいて、発射体のCSA値を大きくすることができる。
【0301】
典型的なRPT発射体は、市販の発射体(項目(i)で試験した)と比べ、より少ない注射の遅配を示した。RPT発射体が、高剛性の材料で形成されている一方で、市販の発射体(項目(i)で試験した)は、ポリプロピレン(PP)などの比較的低い剛性の材料で形成されている。高剛性の材料で構成されているがゆえに、RPT発射体の円すい面は、より剛性の低い市販の発射体と比べて容易には変形しない。さらに、プランジャとRPT発射体材料との間の摩擦がより小さいことも、プランジャがより滑らかにスライドしてRPT発射体の円すい面から離れることを可能にする。これらの因子により、RPT発射体においては、市販の発射体と比べて注射の遅配が少なくなった。
【0302】
典型的な実施形態は、注射の遅配を減らし、あるいは解消するために、単独あるいはCSA値および/またはプランジャの種類の設定との組み合わせにおいて、発射体の材料(例えば、より高剛性の材料を使用)および構成(例えば、市販の発射体ではなくてRPT発射体を使用)を設定することができる。
【0303】
F.発射体の円すい面高さと注射の遅配との間の関係
典型的な自動注射装置を、典型的な市販の発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み合わせることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、発射体の円すい面高さが装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0304】
項目(i)および(ii)で説明した実験において、発射体の種々の円すい面角度(CSA)の値が、種々の円すい面高さに対応する。
【表6】
【0305】
円すい面高さを減らしたことで、CSA値が小さくなった。この円すい面高さの減少は、発射体の円すい面の変形の増大を呈する。
【0306】
円すい面の変形は、発射体の円すい面(典型的な実施形態においては、ポリプロピレンなどの柔らかい材料で形成される)がプランジャの足(典型的な実施形態においては、ポリアセタール材料で形成される)と係合することによって生じうる。異なるレベルの変形が、組み立て時、2年間の保管期限の終わり、および装置の発射後という組み立てられた自動注射装置の寿命における3つの段階において確認された。変形が時間につれて増加することが確認された。また、円すい面の変形は、自動注射装置の保管の温度にも影響される可能性がある。
【表7】
【0307】
約0.491mmの円すい面高さ(約18度の対応CSA値)を基準として用いた。
【0308】
約25℃の温度において、2年間の保管の終わりに、円すい面高さは約0.281mm(=0.491−0.2098)になる。この変形後の高さは、約6℃〜約12℃の間のCSA角度の範囲に相当する。約5℃の温度において、2年間の保管の終わりに、円すい面高さは約0.240mm(=0.491−0.2507)になる。この変形後の高さも、約6℃〜約12℃の間のCSA角度の範囲に相当する。
【0309】
発射時に、円すい面高さは、約25℃および約5℃の温度において約0.174mmになる。この変形後の高さも、約6度〜約12度の間のCSA角度の範囲に相当する。
【0310】
このように、いくつかの典型的な実施形態においては、2年間の保管の終わりおよび発射時に、円すい面の変形後の高さが約6度〜約12度の間のCSA角度の範囲に相当する。これは、円すい面の変形の程度が、いくつかの典型的な実施形態において注射の遅配に影響を及ぼす可能性があることを示している。より具体的には、いくつかの典型的な実施形態において、円すい面の変形が大きいほど、円すい面の高さが低くなる可能性があり、円すい面の高の減少は、CSA値の減少に相当する。これは、いくつかの典型的な実施形態において、円すい面の変形が大きいと、注射の遅配の可能性の増大および/または遅配時間の増大につながる可能性があることを示している。
【0311】
典型的な実施形態は、単独または1つ以上の他の因子との組み合わせにおいて発射体の円すい面の変形を最小限にすることによって、注射の遅配を減少させ、あるいは解消することができる。より具体的には、典型的な実施形態は、発射体を変形しにくい材料から形成することによって、変形を最小限にすることができる。
【0312】
G.発射体のトンネル入り口内径と注射の遅配との間の関係
典型的な自動注射装置を、典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み立てることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、発射体のトンネル入り口内径が装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0313】
図52が、長手軸Lに沿って得た発射体12bの典型的なトンネル1904の断面図を示しており、発射体12bのトンネル1904およびトンネル入り口1908を示している。典型的な発射体12bのトンネル入り口1908の内径を、75個の自動注射装置において変化させ、生じる注射の遅配を測定した。
【表8】
【0314】
しかしながら、実際のトンネル入り口内径は、設計仕様から多少異なっている。
【0315】
図53が、設計および実際のトンネル入り口内径(y軸:単位はmm)を種々の発射体の材料(x軸)に対して示したヒストグラムである。
【0316】
図54が、RPT発射体について、種々の実際の(測定された)トンネル入り口内径(x軸:単位はmm)に対する装置の数(y軸)のヒストグラムを示している。
【0317】
図55が、注射の遅配への発射体トンネル入り口内径の影響を明らかにするために試験した装置について、種々の典型的な作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)の種々の典型的な作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対する散布図を示している。発射体トンネル入り口内径の影響だけを分離して試験できるよう、作動ボタンリングの寸法を許容限度内とし、発射の遅配の原因とならないように設定した。
【0318】
図56が、作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)および作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対する発射体トンネル入り口内径(凡例に示されており、単位はmm)のコンター図を示している。
【0319】
第1組のテストでは、種々のトンネル入り口内径を有する75個の自動注射装置のすべてを手動で試験した。すべての装置のうち、サンプル番号30だけが注射の遅配に直面した。
図56に示されるとおり、サンプル番号30は、約6.63mmに位置する最小のトンネル入り口内径のうちの1つを有している。この寸法は設計寸法よりも小さく、約6.90mm〜約7.05mmの間の許容限度の範囲内になかった。
【0320】
第2組のテストでは、種々のトンネル入り口内径を有する75個の自動注射装置のすべてを、Zwick−Roell Force Testerを使用し、約2.4mmの変位で試験した。すべての装置が正常に発射を達成し、注射の遅配は観察されなかった。
【0321】
要約すると、実験結果は、いくつかの典型的な実施形態において、発射体トンネル入り口内径が、とりわけ約6.70mmを上回る入り口内径において、注射の遅配にあまり影響しなかったことを示している。典型的な実施形態は、トンネル入り口内径によって引き起こされる可能性がある注射の遅配を少なくし、あるいは解消するために、発射体トンネル入り口内径を、約6.70mmよりも大きくなるように設定することができる。
【0322】
H.発射体のトンネル入り口内径およびトンネル径と注射の遅配との間の関係
典型的な自動注射装置を、典型的な高速プロトタイプ技術(RPT)発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み立てることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、発射体のトンネル入り口内径およびトンネル内径が装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0323】
図57が、長手軸に沿って得た発射体12bのトンネル1904の断面図を示しており、発射体12bのトンネル1904およびトンネル入り口1908を示している。
図57に示されるとおり、トンネルの形状の全体(入り口部分および内側部分)が、表9に示される増分に対応する増分にて長手軸を中心にして一様にずらされる。
【0324】
典型的な発射体のトンネル入り口の内径を、75個の自動注射装置において変化させ、生じる注射の遅配を測定した。40個の自動注射装置を、観察される注射の遅配が不充分な変位に起因するものではないことを保証するために、Zwick−Roell Force Testerによって大きな変位で試験した。大きな変位で発射を生じなかった装置を、Force Testerから取り外し、手作業で試験した。
【表9】
【0325】
しかしながら、実際のトンネル入り口内径は、設計仕様から多少異なっている。
【0326】
図58が、種々の発射体の材料(x軸)に対する設計および実際のトンネル入り口内径(y軸:単位はmm)のヒストグラムを示している。
【0327】
図59が、RPT発射体について、種々の実際の(測定された)トンネル入り口内径(x軸:単位はmm)に対する装置の数(y軸)のヒストグラムを示している。
【0328】
図60が、注射の遅配への発射体トンネル入り口内径の影響を明らかにするために試験した装置について、種々の典型的な作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)の種々の典型的な作動ボタンリング内径(x軸:単位はmm)に対する散布図を示している。発射体トンネル入り口内径の影響だけを分離して試験できるよう、作動ボタンリングの寸法を許容限度内とし、発射の遅配の原因とならないように設定した。
【表10】
【0329】
約7.02mmのトンネル入り口内径では、すべての装置がZwick−Roell Force Testerにおいて発射を生じた。約6.70mmのトンネル入り口内径では、ただ1つの装置が、Zwick−Roell Force Testerにおいて遅配を生じた。この装置は、作動ボタンを手動で押したときにも発射を生じなかった。その後にこの装置は、約1分後に自然に発射を生じた。約6.60mmのトンネル入り口内径においては、装置のうちの6つが、Zwick−Roell Force Testerにおいて発射を生じた。それらの装置のうちの1つは、約5秒の遅配を生じたものの、手動で作動ボタンを押す前に自然に発射を生じた。それらの装置のうちの3つは、Zwick−Roell Force Testerでも、手動でも、発射を生じなかった。発射を生じなかったこれら3つの装置のうちの2つは、それぞれ約25秒および約10分の後に発射を生じた。発射を生じなかったこれら3つの装置のうちの1つは、一晩をかけて自然に発射を生じた。しかしながら、この装置においては、プランジャが装置を最後まで移動することがなかった。約6.50mmのトンネル入り口内径においては、装置のうちの1つが、Zwick−Roell Force Testerにおいて発射を生じた。装置のうちの2つは、Zwick−Roell Force Testerでは発射を生じなかったが、手動で発射を生じた。装置のうちの7つが、Zwick−Roell Force Testerでも、手動でも、発射を生じなかった。これら7つの装置のうち、1つの装置は、手動で押した後に約5秒で発射を生じ、6つの装置は、一晩かけて発射を生じた。一晩かけて発射を生じた6つの装置においては、装置のうちの5つにおいて、プランジャが装置を最後まで移動することがなかった。
【0330】
いくつかの典型的な装置においては、トンネルが狭く、狭いトンネルにおいてはプランジャがトンネルを移動するときにトンネルの壁に対するプランジャの足の引きずりが大きくなるため、プランジャが最後まで移動することがなかった。
【表11】
【0331】
表11は、たとえ作動ボタンリング内径が発射体トンネル入り口内径よりも約0.32mm大きくても、装置が正常に発射を達成することを示している。
【0332】
要約すると、実験結果は、いくつかの典型的な実施形態において、発射体トンネル入り口内径が、とりわけ約6.70mmを上回る入り口内径において、注射の遅配にあまり影響しなかったことを示している。典型的な実施形態は、トンネル入り口内径によって引き起こされる可能性がある注射の遅配を少なくし、あるいは解消するために、発射体トンネル入り口内径を、約6.70mmよりも大きくなるように設定することができる。
【0333】
I.プランジャ先端突起と注射の遅配との間の関係
典型的な自動注射装置を、典型的な発射体および作動ボタンを典型的なプランジャと組み立てることによって製造した。組み立てられた自動注射装置を、プランジャの先端の突起(すなわち、先端の鈍さまたは鋭さ)が装置の注射の遅配(あれば)に及ぼす影響を定量的に割り出すために試験した。
【0334】
図61A〜
図61Cが、プランジャの典型的なタブ付き足を示しており、
図61Aが丸みを帯びた先端すなわち鈍い先端6102を有するプランジャ6101を示し、
図61Bが約38度のICS角度および鋭い先端6104を有するプランジャ6103を示し、
図61Cが約48度のICS角度および鋭い先端6106を有するプランジャ6105を示している。
【0335】
図62が、それぞれプランジャ6102(
図61A)、6104(
図61B)、および6106(
図61C)を試験することによって得られた力プロフィル6202、6204、および6406(単位はN)を示している。丸みを帯びた先端すなわち鈍い先端を有するプランジャにおいては、注射の遅配を最小にする力プロフィル(力プロフィル6202)のx軸上のより大きな距離「d」が見られた。丸みを帯びた先端すなわち鈍い先端を有するプランジャにおいては、不充分な変位によって持ち込まれる可能性がある注射の遅配の恐れを最小にするより小さい「発射変位」(力プロフィル6202)が見られた。
【0336】
要約すると、実験結果は、いくつかの典型的な実施形態において、プランジャのタブ付き足の丸みを帯びた先端すなわち鈍い先端が、鋭い先端と比べて、注射の遅配を最小にできることを示している。典型的な実施形態は、注射の遅配を最小にするために、プランジャのタブ付き足を丸みを帯びた先端すなわち鈍い先端を有するように構成することができる。
【0337】
J.作動ボタンリングの肉厚と注射の遅配との間の関係
作動ボタンリングの肉厚が注射の遅配に及ぼす影響を試験した。典型的な作動ボタンリングを、外径を実質的に一定にしつつ内径を変化させて設計し、成型し、試験した。外径を一定に保ったため、内径が小さくなるにつれて作動ボタンリングの肉厚が大きくなり、内径が大きくなるにつれて作動ボタンリングの肉厚が小さくなった。
【表12】
【0338】
図63が、試験に用いた種々の作動ボタンリング長さ(y軸:単位はmm)およびリング内径(x軸:単位はmm)の散布図を示している。
【0339】
図64が、基準の作動ボタンリング32の正面図を示しており、リングの肉厚を示している。基準の作動ボタンは、約6.80mmの典型的な内径、約0.75mmの肉厚、および約6.53mmの典型的な長さを有している。
【0340】
図65が、「G」作動ボタンリング32の正面図を示しており、リングの肉厚を示している。「G」作動ボタンリングの内径は、約6.50mmであり、「G」作動ボタンリングの肉厚は、約0.90mmであり、基準の作動ボタンリングの肉厚よりも大きい。基準の作動ボタンリングと比べて「G」作動ボタンリングの肉厚が大きいことで、作動ボタンを押し込んだときの作動ボタンリングの変形の程度は小さくなった。「G」作動ボタンリングにおいては、変形の減少により、基準の作動ボタンリングと比べて注射の遅配が好都合に最小化された。さらに、作動ボタンリングの内径が約6.80mmから約6.50mmへと減少したため、自動注射装置の作動または発射に必要な発射力(FtF)が、好都合にも約2Nほど増加した。
【0341】
図66が、「H」作動ボタンリング32の正面図を示しており、リングの肉厚を示している。「H」作動ボタンリングの内径は、約6.65mmであり、「H」の肉厚は、基準の作動ボタンリングよりも大きいが、「G」作動ボタンリングよりは小さい。基準の作動ボタンリングと比べて「H」作動ボタンリングの肉厚が大きいことで、作動ボタンを押し込んだときの作動ボタンリングの変形の程度は小さくなった。作動ボタンリング変形の減少により、基準の作動ボタンリングと比べて注射の遅配が好都合に最小化された。しかしながら、「H」作動ボタンリングにおいては、「G」作動ボタンリングと比べて肉厚が小さいため、作動ボタンリングを押し込んだときの作動ボタンリングの変形の程度が大きくなった。「H」作動ボタンリングにおいては、変形の増加ゆえに、「G」作動ボタンリングと比べて注射の遅配が増加した。
【0342】
図67が、「I」作動ボタンリング32の正面図を示しており、リングの肉厚を示している。「I」作動ボタンリングの内径は、約6.95mmであり、「I」作動ボタンリングの肉厚は、約0.675mmであり、基準、「G」、および「H」の作動ボタンリングの肉厚よりも小さい。「I」作動ボタンリングにおいては、基準、「G」、および「H」の作動ボタンリングと比べて肉厚が小さいため、作動ボタンリングを押し込んだときの作動ボタンリングの変形の程度が大きくなった。「I」作動ボタンリングにおいては、変形の増加ゆえに、基準、「G」、および「H」の作動ボタンリングと比べて注射の遅配が増加した。
【0343】
典型的な実施形態は、注射の遅配を最小にし、あるいは解消するために、典型的な作動ボタンリングをより小さな内径および肉厚を有するように設定することができる。典型的な実施形態においては、典型的な作動ボタンリングが、約6.50mmの典型的なリング内径、約6.53mmの典型的なリング長さ、および約0.90mmの典型的な肉厚という「G」作動ボタンリングの仕様にもとづいて構成されるが、典型的な作動ボタンリングは、この構成に限られない。
【0344】
K.成型温度と発射力(FtF)との間および冷却時間とFtFとの間の関係
典型的なプランジャを、典型的な自動注射装置に使用するための成型プロセスにて成型した。プランジャを、典型的な樹脂材料であるHostaform(TM) C 13031というアセタール(POM)共重合体プラスチック材料で形成した。成型プロセスにおいて使用される成型温度および冷却時間を変え、プランジャの幅(すなわち、プランジャアーム間の距離)およびFtFへの影響を調べた。
【0345】
第1組の試験においては、成型温度を約200Fに設定し、冷却時間を約10秒に設定した。第2組の試験においては、成型温度を約100Fに設定し、冷却時間を約10秒に設定した。第3組の試験においては、成型温度を約200Fに設定し、冷却時間を約25秒に設定した。第4組の試験においては、成型温度を約100Fに設定し、冷却時間を約25秒に設定した。
【0346】
図68が、Hostaform(TM) C 13031アセタール(POM)共重合体プラスチック材料で種々の成型温度(単位はF)および種々の冷却時間(単位は秒)にて形成されたプランジャについて、プランジャ幅の値(x軸:単位はmm)に対するFtFの値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
図68は、いくつかの典型的な実施形態において、冷却時間を長くするとプランジャ幅が大きくなり、結果的にFtFが大きくなることを示している。また、
図68は、いくつかの典型的な実施形態において、成型温度を低くするとプランジャ幅が大きくなり、結果的にFtFが大きくなることを示している。
【0347】
図69が、平均のFtF値(y軸:単位はN)およびFtF値の標準偏差(y軸:単位はN)を、種々のプランジャ材料、種々の成型温度(単位はF)、および種々の冷却時間(単位は秒)の組み合わせ(x軸)に対して示したヒストグラムである。
【0348】
図70が、種々のプランジャ材料、種々の成型温度(単位はF)、および種々の冷却時間(単位は秒)におけるFtF値(単位はNであり、四角で囲まれている)の三次元のデータプロットを示している。
図69および
図70は、いくつかの典型的な実施形態において、同じプランジャ材料について、冷却時間を長くするとプランジャ幅が大きくなり、結果的にFtFが大きくなることを示している。また、
図69および
図70は、いくつかの典型的な実施形態において、同じプランジャ材料について、成型温度を低くするとプランジャ幅が大きくなり、結果的にFtFが大きくなることを示している。
【0349】
L.プランジャ重量と発射力(FtF)との間の関係
典型的なプランジャを、典型的な自動注射装置に使用するための成型プロセスにて成型した。プランジャを、典型的な樹脂材料であるHostaform(TM) C 13031アセタール(POM)共重合体プラスチック材料で形成した。プランジャの重量を、約1.94グラム〜約2.01グラムの間で変化させ、FtFへの影響を調べた。
【0350】
図71が、種々のプランジャ重量(x軸:単位はグラム)に対するFtF値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
図71は、プランジャの重量を大きくするとFtFが大きくなることを示している。典型的な実施形態においては、約1.94グラムのプランジャ重量が、約7.43Nの典型的なFtFに相当する。典型的な実施形態においては、約2.01グラムのプランジャ重量が、約11.63Nの典型的なFtFに相当する。
【0351】
図72が、種々のプランジャ重量(x軸:単位はグラム)に対するプランジャ幅の値(y軸:単位はmm)の散布図を示している。
【0352】
図73は、種々のプランジャ重量(単位はグラム)について、FtF値(単位はN)およびプランジャ幅の値(単位はmm)の三次元のデータプロットを示している。
【0353】
図72および
図73は、いくつかの典型的な実施形態において、プランジャ重量を大きくするとプランジャ幅が大きくなり、結果としてFtFが大きくなることを示している。典型的な実施形態において、約1.94グラムのプランジャ重量が、約2.12mmの典型的なプランジャ幅に相当する。典型的な実施形態において、約2.01グラムのプランジャ重量が、約2.52mmの典型的なプランジャ幅に相当する。
【0354】
M.成型注入圧力と発射力(FtF)との間の関係
典型的なプランジャを、典型的な自動注射装置に使用するための典型的な2段階の成型プロセスにて成型した。プランジャを、典型的な樹脂材料であるHostaform(TM) C 13031アセタール(POM)共重合体プラスチック材料で形成した。2段階の成型プロセスにおいて、プロセスの2つの段階について成型注入圧力を変え、FtFへの影響を調べた。
【0355】
第1組の試験においては、注入圧力を、第1の段階において約750×10
3psiになるように設定し、第2の段階において約500×10
3psiになるように設定した。この組の注入圧力の値において、成型温度および冷却時間を様々にした。
【0356】
図74が、約750×10
3psiの第1段階の注入圧力および約500×10
3psiの第2段階の注入圧力に関して、種々の成型温度(単位はF)および種々の冷却時間(単位は秒)について、種々のプランジャ幅(x軸:単位はmm)に対するFtF値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
【0357】
第2組の試験においては、注入圧力を、第1の段階において約1600×10
3psiになるように設定し、第2の段階において約800×10
3psiになるように設定した。この組の注入圧力の値において、成型温度および冷却時間を様々にした。
【0358】
図75が、約1600×10
3psiの第1段階の注入圧力および約800×10
3psiの第2段階の注入圧力に関して、種々の成型温度(単位はF)および種々の冷却時間(単位は秒)について、種々のプランジャ幅(x軸:単位はmm)に対するFtF値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
【0359】
第3組の試験においては、注入圧力を、第1の段階において約900×10
3psiになるように設定し、第2の段階において約750×10
3psiになるように設定した。この組の注入圧力の値において、成型温度および冷却時間を様々にした。
【0360】
図76が、約900×10
3psiの第1段階の注入圧力および約750×10
3psiの第2段階の注入圧力に関して、種々の成型温度(単位はF)および種々の冷却時間(単位は秒)について、種々のプランジャ幅(x軸:単位はmm)に対するFtF値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
【0361】
第4組の試験においては、注入圧力を、第1の段階において約1600×10
3psiになるように設定し、第2の段階において約900×10
3psiになるように設定した。この組の注入圧力の値において、成型温度および冷却時間を様々にした。
【0362】
図77が、約1600×10
3psiの第1段階の注入圧力および約900×10
3psiの第2段階の注入圧力に関して、種々の成型温度(単位はF)および種々の冷却時間(単位は秒)について、種々のプランジャ幅(x軸:単位はmm)に対するFtF値(y軸:単位はN)の散布図を示している。
【0363】
VI.典型的な作動ボタンおよびプランジャの形成に使用される材料
本明細書において検討される典型的なプランジャおよび作動ボタンを、約300MPa〜約11,000MPaの範囲の曲げ弾性率を有する熱硬化性および/または熱可塑性材料で少なくとも部分的に形成することができる。典型的な実施形態においては、作動ボタンを形成する典型的な材料の曲げ弾性率が、約1,500MPa〜約1,700MPaの範囲である。典型的な実施形態においては、作動ボタンを形成する典型的な材料の曲げ弾性率が、約1,600MPa〜約3,520MPaの範囲である。
【0364】
典型的な作動ボタンを形成するために使用することができる典型的な材料として、これらに限られるわけではないが、Watershed(TM) 11120樹脂(典型的な実施形態において約2,865MPa〜約2,880MPaの間の典型的な曲げ弾性率を有することができる)、ProtoTherm(TM) 12120樹脂(典型的な実施形態において約3,520MPaの典型的な曲げ弾性率を有することができる)、ポリプロピレン(PP)熱可塑性ポリマー(典型的な実施形態において約1,600MPaの典型的な曲げ弾性率を有することができる)、などが挙げられる。
【0365】
典型的なプランジャを形成するために使用することができる典型的な材料として、これ限られるわけではないが、アセタールポリオキシメチレン(POM)共重合体が挙げられ、例えばTicona社のHostaform(TM) C 13031というアセタール(POM)共重合体プラスチック材料が挙げられる。
【0366】
典型的なプランジャおよび作動ボタンを、他の熱可塑性および熱硬化性材料で形成することもでき、その例が表13(典型的な熱可塑性材料)および表14(典型的な熱硬化性材料)に示される。
【0367】
表13は、典型的なプランジャおよび典型的な作動ボタンを製作するために使用することができる種々の熱可塑性材料、それらの材料の製造供給元、材料の等級、材料の密度、メルトボリューム、引張弾性率、および曲げ弾性率の一覧である。引張弾性率は、材料の剛性の大きさであり、曲げ弾性率は、材料の曲げの傾向の大きさである。
【表13】
【0368】
http://tools.ticona.com/tools/mcbasei/product−tools.php?sPolymer=POM&sProduct=HOSTAFORMおよびhttp://love8ff.diytrade.eom/sdp/450410/4/pd−2493053/3735737−1249560.htmlによれば、表13の他のポリアセタールのさらなるHostaform(TM) C 13031アセタール(POM)共重合体プラスチック材料の等級として、これらに限られるわけではないが、HOSTAFORM(TM) AM90S、HOSTAFORM(TM) AM90S Plus、HOSTAFORM(TM) C 13021、HOSTAFORM(TM) C 13021 RM、HOSTAFORM(TM) C 13031、HOSTAFORM(TM) C 13031 K、HOSTAFORM(TM) C 13031 XF、HOSTAFORM(TM) C 2521、HOSTAFORM(TM) C 2521 G、HOSTAFORM(TM) C 2552、HOSTAFORM(TM) C 27021、HOSTAFORM(TM) C 27021 AST、HOSTAFORM(TM) C 27021 GV3/30、HOSTAFORM(TM) C 52021、HOSTAFORM(TM) C 9021、HOSTAFORM(TM) C 9021 10/1570、HOSTAFORM(TM) C 9021 AW、HOSTAFORM(TM) C 9021 G、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV1/10、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV1/20、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV1/20 XGM、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV1/30、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV1/30 GT、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV3/10、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV3/20、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV3/30、HOSTAFORM(TM) C 9021 GV3/30 TF2、HOSTAFORM(TM) C 9021 K、HOSTAFORM(TM) C 9021 M、HOSTAFORM(TM) C 9021 SW、HOSTAFORM(TM) C 9021 TF、HOSTAFORM(TM) C 9021 TF5、HOSTAFORM(TM) C 9021 XAP(R)、HOSTAFORM(TM) CP 15X、HOSTAFORM(TM) EC140CF10、HOSTAFORM(TM) EC140XF(POM)、HOSTAFORM(TM) EC270TX、HOSTAFORM(TM) FK 1:25、HOSTAFORM(TM) FK 2:25、HOSTAFORM(TM) LM140LG、HOSTAFORM(TM) LM140LGZ、HOSTAFORM(TM) LM25、HOSTAFORM(TM) LM90、HOSTAFORM(TM) LU−02XAP(R)、HOSTAFORM(TM) LW15EWX、HOSTAFORM(TM) LW90BSX、HOSTAFORM(TM) LW90EWX、HOSTAFORM(TM) M15HP、HOSTAFORM(TM) M25AE、HOSTAFORM(TM) M90XAP(R)、HOSTAFORM(TM) MR130ACS、HOSTAFORM(TM) MT12R01、HOSTAFORM(TM) MT12U01、HOSTAFORM(TM) MT12U03、HOSTAFORM(TM) MT24F01、HOSTAFORM(TM) MT24U01、HOSTAFORM(TM) MT8F01、HOSTAFORM(TM) MT8F02、HOSTAFORM(TM) MT8R02、HOSTAFORM(TM) MT8U01、HOSTAFORM(TM) S 27063、HOSTAFORM(TM) S 27064、HOSTAFORM(TM) S 27072 WS 10/1570、HOSTAFORM(TM) S 9063、HOSTAFORM(TM) S 9064、HOSTAFORM(TM) S 9243、HOSTAFORM(TM) S 9244、HOSTAFORM(TM) S 9364、HOSTAFORM(TM) TF−10XAP(R)、およびHOSTAFORM(TM) WR140LGが挙げられる。
【0369】
図14が、典型的なプランジャおよび典型的な作動ボタンを製作するために使用することができる種々の熱硬化性材料、ならびにそれらの曲げ弾性率(例えば、ASTM D790M(www.DSMSOMOS.comによる)によって測定される)の一覧である。曲げ弾性率は、材料の曲げの傾向の大きさである。表14に記載の樹脂から製造されたプランジャの曲げ弾性率は、或る程度は硬化の種類および程度に依存し、したがってばらつく可能性があり、提示の範囲に反映されている。
【表14】
【0370】
VII.典型的な自動注射装置において使用される物質
本発明の方法および構成を、注射による投与に適した基本的に任意の物質または薬剤を投与する自動注射装置において使用することができる。典型的には、物質または薬剤は流体であり、例えば液体の状態であるが、ゲルまたは半固体、スラリ、微粒子溶液、などといった他の形状の薬剤も、自動注射装置がそのような状態の薬剤の投与を可能にするように設計される場合には、使用に適したものとすることができる。
【0371】
好ましい薬剤は、抗体、サイトカイン、ワクチン、融合たんぱく質、および成長因子などといった生物学的薬剤である。抗体の製造方法は上述した。
【0372】
自動注射装置において薬剤として使用することができる他の生物学的薬剤の例として、これらに限られるわけではないが、例えばTNF、LT、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−15、IL−16、IL−18、IL−21、IL−23、インターフェロン、EMAP−II、GM−CSF、FGF、およびPDGFなどといったヒトサイトカインまたは成長因子に対する抗体または拮抗剤、CD2、CD3、CD4、CD8、D25、CD28、CD30、CD40、CD45、CD69、CD80(B7.1)、CD86(B7.2)、CD90、CTLA、あるいはCD154(gp39またはCD40L)を含むそれらのリガンドなどといった細胞表面分子に対する抗体、TNFα変換酵素(TACE)阻害剤、IL−1阻害剤(インターロイキン−1変換酵素阻害剤、IL−1RA、など)、インターロイキン11、IL−18抗体または可溶性IL−18受容体あるいはIL−18結合たんぱく質を含むIL−18拮抗剤、非減少性抗CD4阻害剤、抗体、可溶性受容体、または拮抗リガンドを含む同時刺激経路CD80(B7.1)またはCD86(B7.2)の拮抗剤、TNFαまたはIL−1などの炎症性サイトカインによるシグナリングを妨害する物質(例えば、IRAK、NIK、IKK、p38、またはMAPキナーゼ阻害剤)、IL−1b変換酵素(ICE)阻害剤、キナーゼ阻害剤などのT細胞シグナリング阻害剤、メタロプロテイナーゼ阻害剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤、可溶性サイトカイン受容体およびその誘導体(例えば、可溶性p55またはp75 TNF受容体および誘導体p75TNFRIgG(Enbrel(TM)およびp55TNFRIgG(Lenercept))、sIL−1RI、sIL−1RII、sIL−6R)、抗炎症性サイトカイン(例えば、IL−4、IL−10、IL−11、IL−13、およびTGF−ベータ)、Rituximab、IL−1 TRAP、MRA、CTLA4−Ig、IL−18 BP、抗IL−18、抗IL−15、IDEC−CE9.1/SB 210396(非減少性霊長類化抗CD4抗体;IDEC/SmithKline;例えばArthritis&Rheumatism Vol.38、S185(1995)を参照)、DAB 486−IL−2および/またはDAB 389−IL−2(IL−2融合たんぱく質;Seragen;例えばArthritis&Rheumatism Vol.36;1223(1993)を参照)、Anti−Tac(ヒト化抗IL−2Ra;Protein Design Labs/Roche)、IL−4(抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering)、IL−10(SCH 52000;組み換えIL−10、抗炎症性サイトカイン;DNAX/Schering)、IL−10および/またはIL−4作動薬(例えば、作動薬抗体)、IL−1RA(IL−1受容体拮抗剤;Synergen/Amgen)、アナキンラ(Kineret(R)/Amgen)、TNF−bp/s−TNF(可溶性TNF結合たんぱく質;例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S284(1996);Amer.J.Physiol.− Heart and Circulatory Physiology 268:37−42(1995))を参照)、R973401(ホスホジエステラーゼIV型阻害剤;例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S282(1996)を参照)、MK−966(COX−2阻害剤;例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S81(1996)を参照)、Iloprost(例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S82(1996)を参照)、zap−70および/またはlck阻害剤(チロシンキナーゼzap−70またはlckの阻害剤)、VEGF阻害剤および/またはVEGF−R阻害剤(血管内皮細胞成長因子または血管内皮細胞成長因子受容体の阻害剤、血管形成の阻害剤)、TNF転換酵素阻害剤、抗IL−12抗体、抗IL−18抗体、インターロイキン−11(例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S296(1996)を参照)、インターロイキン−13(例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S308(1996)を参照)、インターロイキン−17阻害剤(例えばArthritis&Rheumatism 39(9、supplement);S120(1996)を参照)、抗胸腺細胞グロブリン、抗CD4抗体、CD5毒素、ICAM−1アンチセンスホスホロチオエートオリゴデオキシヌクレオチド(ISIS 2302;Isis Pharmaceuticals,Inc.)、可溶性補体レセプタ1(TP10;T Cell Sciences,Inc.)、ならびに抗IL2R抗体が挙げられる。
【0373】
VIII.典型的な自動注射装置において使用するためのTNFα阻害剤
本発明の一実施形態によれば、例示の自動注射装置を、関節炎および他の疾病の治療に使用される1回分の用量のTNF阻害剤を送り出すために使用することができる。一実施形態においては、シリンジに収容される溶液が、1mL当たり40または80ミリグラムの製剤(TNFα遮断剤または阻害剤)、例えば40または80mgのアダリムマブ、4.93mgの塩化ナトリウム、0.69mgの無水リン酸一ナトリウム、1.22mgの無水リン酸二ナトリウム、0.24mgのクエン酸ナトリウム、1.04mgのクエン酸一水和物、9.6mgのマンニトール、0.8mgのポリソルベート50、および注射用の水を含み、pHを約5.2に調節するために必要に応じてUSP水酸化ナトリウムが加えられている。
【0374】
本発明を、例えばTNFα阻害剤など、液状の薬物などの1回分の用量の物質を患者へと投与するために使用することができる。一実施形態においては、本発明の自動注射装置によってもたらされる1回分の用量が、ヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分を含む。
【0375】
一実施形態においては、本発明の方法および構成において使用されるTNF阻害剤として、高い親和性および低い分離率でヒトTNFαに結合し、高い中和能を有している単離されたヒト抗体またはその抗原結合部分が挙げられる。好ましくは、本発明のヒト抗体は、例えばD2E7と称され、HUMIRA(R)またはアダリムマブ(Abbott Laboratories;D2E7のVL領域のアミノ酸配列は、米国特許第6,090,382号明細書の配列番号1に示されており、D2E7のVH領域のアミノ酸配列は、米国特許第6,090,382号明細書の配列番号2に示されている)とも称される組み換え中和抗体など、組み換え中和ヒト抗hTNFα抗体である。D2E7の特性は、Salfeld他の米国特許第6,090,382号明細書、第6,258,562号明細書、および第6,509,015号明細書に記載されている。TNFα阻害剤の他の例として、関節リウマチの治療に関して臨床試験を受けているキメラおよびヒト化マウス抗hTNFα抗体が挙げられる(例えば、Elliott他、Lancet 344:1125−1127(1994);Elliot他、Lancet 344:1105−1110(1994);およびRankin他、Br.J.Rheumatol.34:334−342(1995))を参照)。
【0376】
抗TNFα抗体(本明細書において、TNFα抗体とも称される)またはその抗原結合フラグメントとして、キメラ、ヒト化、およびヒト抗体が挙げられる。本発明において使用することができるTNFα抗体の例として、これらに限られるわけではないが、インフリキシマブ(Remicade(R)、Johnson and Johnson;米国特許第5,656,272号明細書(本明細書に組み込まれる)に記載されている)、CDP571(ヒト化モノクローナル抗TNFアルファIgG4抗体)、CDP870(ヒト化モノクローナル抗TNFアルファ抗体フラグメント、抗TNF dAb(Peptech)、およびCNTO 148(ゴリムマブ;Medarex and Centocor、国際公開第02/12502号を参照)が挙げられる。本発明において使用することができるさらなるTNF抗体が、米国特許第6,593,458号明細書、第6,498,237号明細書、第6,451,983号明細書、および第6,448,380号明細書に記載されている。
【0377】
本発明の方法および構成において使用することができるTNFα阻害剤の他の例として、エタネルセプト(Enbrel、国際公開第91/03553号および国際公開第09/406476号に記載)、I型可溶性TNF受容体、I型ペグ化可溶性TNF受容体(PEGs TNF−R1)、p55TNFR1gG(Lenercept)、および組み換えTNF結合たんぱく質(r−TBP−I)(Serono)が挙げられる。
【0378】
一実施形態において、典型的な実施形態が、自動注射装置により、例えばヒトTNFα抗体またはその抗原結合部分などのTNFα阻害剤によって、例えば関節リウマチのなどのTNFαが有害である疾患を治療するための優れた使用および構成を提供する。
【0379】
TNFα阻害剤として、TNFαの活性を妨げる任意の薬剤(または、物質)が挙げられる。好ましい実施形態においては、TNFα阻害剤がTNFα活性を中和でき、とくには、これらに限られるわけではないが関節リウマチ、若年性関節リウマチ、強直性脊椎炎、クローン病、乾癬、および乾癬性関節炎など、TNFα活性が有害である疾患に関する有害なTNFα活性を中和することができる。
【0380】
IX.典型的な自動注射装置において使用するための薬用組成物
薬用組成物を、患者へと送り出すために本発明の自動注射装置へと装てんすることができる。一実施形態においては、抗体、抗体部分、ならびに他のTNFα阻害剤を、本発明の装置を用いての患者への投与に適した薬用組成物に取り入れることができる。典型的には、薬用組成物は、抗体、抗体部分、または他のTNFα阻害剤、ならびに薬学的に容認できる基剤を含む。「薬学的に容認できる基剤」として、生理学的に適合する任意かつすべての溶媒、分散媒、コーティング、抗菌および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤、などが挙げられる。薬学的に容認できる基剤の例として、水、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、など、ならびにこれらの組み合わせの1つ以上が挙げられる。多くの場合、例えば糖類、マンニトールまたはソルビトールなどの多価アルコール、あるいは塩化ナトリウムなどの等張剤が組成に含まれることが好ましい。薬学的に容認できる基剤は、湿潤剤または乳化剤や、保存料または緩衝剤など、抗体、抗体部分、または他のTNFα阻害剤の有効期限または効果を向上させる少量の補助剤をさらに含むことができる。
【0381】
本発明の方法および構成において使用される組成物は、例えば溶液(例えば、注射および注入が可能な溶液)、分散液、または懸濁液など、本発明の装置による投与に応じた様々な状態であってよい。好ましい実施形態においては、抗体または他のTNFα阻害剤が、本発明の装置を用いた皮下注射によって投与される。一実施形態においては、患者が、これらに限られるわけではないがTNFα抗体またはその抗原結合部分などのTNFα阻害剤を、本発明の装置を使用して自分自身に投与する。
【0382】
治療用の組成物は、典型的には、製造および保管の条件下で無菌かつ安定でなければならない。組成物を、高い薬物濃度に適した溶液、マイクロエマルジョン、分散液、リポゾーム、または他の秩序立った構造として調製することができる。無菌の注射用溶液を、必要な量の活性な化合物(すなわち、抗体、抗体部分、または他のTNFα阻害剤)を、必要に応じて上述した成分のうちの1つまたは組み合わせとともに適切な溶媒に取り入れ、フィルタ処理によって殺菌することによって作成することができる。一般に、分散液は、基本分散媒と上述した成分からの必要な他の成分とを含む無菌の媒体へと活性な化合物を取り入れることによって作成することができる。無菌の注射用溶液の作成のための無菌の粉末の場合には、好ましい作成方法は、有効成分と任意の追加の所望の成分(前もって溶液から無菌フィルタ処理される)とからなる粉末を送り出す真空乾燥および凍結乾燥である。溶液の適切な流動性を、例えばレシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合における必要な粒子サイズの維持、および界面活性剤の使用によって維持することができる。注射用の組成物の長時間にわたる吸収を、例えばモノステアレート塩およびゼラチンなどの吸収を遅らせる物質を組成物に取り入れることによって送り出すことができる。
【0383】
一実施形態において、典型的な実施形態は、有効なTNFα阻害剤と薬学的に容認できる基剤とを含む自動注射装置(例えば、自動注射ペン)を提供する。すなわち、本発明は、TNFα阻害剤を含む充てん済みの自動注射装置を提供する。
【0384】
一実施形態においては、本発明の方法において使用するための抗体または抗体部分が、国際出願PCT/IB03/04502号明細書および米国特許出願公開第2004/0033228号明細書に記載の製剤調合物に取り入れられる。この調合物は、濃度50mg/mlの抗体D2E7(アダリムマブ)を含み、自動注射装置が、皮下注射のための40mgの抗体を含む。一実施形態においては、本発明の自動注射装置(あるいは、より詳しくは装置のシリンジ)が、アダリムマブ、塩化ナトリウム、リン酸一ナトリウム二水和物、無水リン酸二ナトリウム二水和物、クエン酸ナトリウム、クエン酸一水和物、マンニトール、ポリソルベート80、および水(例えば、注射用の水)という処方を有するアダリムマブの調合物を含む。別の実施形態においては、自動注射装置が、40mgのアダリムマブ、4.93mgの塩化ナトリウム、0.69mgのリン酸一ナトリウム二水和物、1.22mgの無水リン酸二ナトリウム二水和物、0.24mgのクエン酸ナトリウム、1.04mgのクエン酸一水和物、9.6mgのマンニトール、0.8mgのポリソルベート80、および水(例えば、注射用の水)を含むアダリムマブを含む。一実施形態においては、pHを調節するために水酸化ナトリウムが必要に応じて追加される。
【0385】
自動注射装置におけるTNFα阻害剤の1回分の用量は、治療にTNFα阻害剤が使用される疾患に応じて様々であってよい。一実施形態において、本発明は、約20mgのアダリムマブ、40mgのアダリムマブ、80mgのアダリムマブ、および160mgのアダリムマブという用量のアダリムマブを含む自動注射装置を含む。用量の範囲などの本明細書に記載のすべての範囲に関して、例えば36mgのアダリムマブ、48mgのアダリムマブ、など、本明細書に記載の値の中間に位置するすべての数が、本発明に含まれることに注意すべきである。さらに、例えば40〜80mgのアダリムマブなど、上述の数字を使用して記載される範囲も含まれる。本明細書の記載の数字は、本発明の技術的範囲を限定しようとするものではない。
【0386】
本発明において使用されるTNFα抗体および阻害剤を、コートされた粒子を形成するようにポリマーキャリアに包まれたたんぱく質結晶の組み合わせを含むたんぱく質結晶調合物の形状で投与することも可能である。コートされたたんぱく質結晶調合物の粒子は、球の形態を有することができ、直径が最大500マイクロメートルのマイクロスフェアであってよく、あるいは何らかの他の形状を有することができ、微粒子であってよい。たんぱく質結晶の高い濃度が、本発明の抗体を皮下に送り出すことを可能にする。一実施形態においては、本発明のTNFα抗体が、たんぱく質結晶調合物または組成物の1つ以上がTNFα関連の疾患を抱える患者へと投与されるたんぱく質送達システムによってもたらされる。抗体全体の結晶または抗体フラグメントの結晶の安定した調合物を作成する構成および方法が、ここでの参照により本明細書に組み込まれる国際公開第02/072636号にも記載されている。一実施形態においては、国際特許出願PCT/IB03/04502号明細書および米国特許出願公開第2004/0033228号明細書に記載の結晶化抗体フラグメントを含む調合物が、本発明の方法を使用して関節リウマチを治療するために使用される。
【0387】
補助的な有効な化合物を、組成物に取り入れることがさらに可能である。特定の実施形態においては、本発明の方法において使用するための抗体または抗体部分が、関節リウマチ抑制剤または拮抗剤などの1つ以上のさらなる治療薬と一緒に調合され、さらには/あるいは一緒に投与される。例えば、抗hTNFα抗体または抗体部分を、TNFα関連の疾患に関係する他の標的に結合する1つ以上のさらなる抗体(例えば、他のサイトカインに結合し、あるいは細胞表面分子に結合する抗体)、1つ以上のサイトカイン、可溶性TNFα受容体(例えば、国際公開第94/06476号を参照)、および/またはhTNFαの生成または活性を阻害する1つ以上の化学剤(国際公開第93/19751号に記載のシクロヘキサン−イリデン誘導体など)、またはその任意の組み合わせと一緒に調合することができ、さらには/あるいは一緒に投与することができる。さらに、本発明の1つ以上の抗体を、上述の治療薬のうちの2つ以上と組み合わせて使用してもよい。そのような組み合わせ治療は、好都合なことに、投与される治療薬の量を減らすことができ、種々の単剤治療に関する患者の副作用、合併症、または反応不足の可能性を回避することができる。TNFα抗体または抗体部分と組み合わせて使用することができるさらなる薬剤が、ここでの参照により全体が本明細書に明示的に組み込まれる米国特許出願第11/800531号明細書に記載されている。
【0388】
X.援用
本出願の各所において言及される特許および特許出願を含むすべての参考文献の内容は、ここでの参照によりその全体が本開示に組み込まれる。それらの参考文献の適切な構成要素および方法を、本発明および本発明の実施形態に合わせて選択することができる。またさらに、背景技術の箇所で特定した構成要素および方法は、本明細書の開示に不可欠であり、本発明の技術的範囲において、本明細書の他の箇所に記載の構成要素および方法と同時に使用することができ、あるいは本明細書の他の箇所に記載の構成要素および方法を置き換えることが可能である。
【0389】
XI.均等物
典型的な実施形態の説明においては、特定の用語が分かり易さを目的にして使用されている。説明の目的において、各々の具体的な用語は、同様の方式で機能して同様の目的を達成するすべての技術的および機能的な均等物を少なくとも含むことを意図している。さらに、特定の典型的な実施形態が、システムの複数の構成要素または方法の複数の段階を含むいくつかの事例においては、それらの構成要素または段階を、ただ1つの構成要素または段階で置き換えることができる。同様に、ただ1つの構成要素または段階を、同じ目的を果たす複数の構成要素または段階で置き換えることができる。さらに、典型的な実施形態に関して種々の特性についてのパラメータが本明細書において指定されている場合、とくにそのようでないと示されない限りは、それらのパラメータを1/20、1/10、/1/5、1/3、1/2、などにより、あるいはそれらの丸め近似によって、上下に調節することができる。さらに、典型的な実施形態を、その特定の実施形態に関して図示および説明したが、それらにおいて本発明の技術的範囲から離れることなく形態および詳細について様々な置き換えおよび変更が可能であることを、当業者であれば理解できるであろう。またさらに、他の態様、機能、および利点も、本発明の技術的範囲に包含される。