(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
Pd、OSC材、無機多孔質体及びCoを含有する触媒層Aと、Pt、Rh又はこれら両方、及び無機多孔質体を含有する触媒層Bと、を基材上に備え、前記触媒層Aよりも上層側に前記触媒層Bを配置してなる構成を備え、
前記触媒層Aにおいて、Coは金属コバルト又は酸化コバルトの状態で含有され、且つ、Pd1質量部に対して0.4〜7.3質量部の割合でCoを含有することを特徴とする排気ガス浄化触媒(但し、前記触媒層Aがペロブスカイト型複合酸化物を構成する金属としてのみCoを含有する触媒は除く)。
【背景技術】
【0002】
ガソリンを燃料とする自動車の排気ガス中には、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)等の有害成分が含まれる。前記炭化水素(HC)は酸化して水と二酸化炭素に転化させ、前記一酸化炭素(CO)は酸化して二酸化炭素に転化させ、前記窒素酸化物(NOx)は還元して窒素に転化させ、それぞれの有害成分を触媒で浄化する必要がある。
このような排気ガスを処理するための触媒(以下「排ガス浄化触媒」と称する)として、CO、HC及びNOxを酸化還元することができる3元触媒(Three way catalysts:TWC)が用いられている。
【0003】
3元触媒としては、高い比表面積を有する耐火性酸化物多孔質体、例えば高い比表面積を有するアルミナ多孔質体に、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の貴金属を担持し、これを基材、例えば耐火性セラミック又は金属製ハニカム構造で出来ているモノリス型(monolithic)基材に担持したり、或いは、耐火性粒子に担持したりしたものが知られている。
【0004】
近年、上記の白金やロジウムがとても高価であるため、製造コストを抑えるために、比較的安価なパラジウムを用いた排気ガス浄化触媒が提案されている(例えば特許文献1など)。
しかし、パラジウムは、排気ガス中の硫化水素(H
2S)等の硫黄分によって被毒を受け易く、劣化し易いという問題を抱えていた。そこで、触媒層を上下2層とし、下層にパラジウム(Pd)を含有させることが提案されている。
【0005】
例えば特許文献2には、ハニカム担体上に、触媒貴金属としてパラジウムと、アルミナと、酸素吸蔵材とを含有する触媒層が備えられた排気ガス浄化触媒であって、前記触媒層は、上下2層からなり、前記パラジウムは下層に担持されていると共に、前記ロジウムは上層に担持されていることを特徴とする排気ガス浄化触媒が開示されている。
【0006】
また、特許文献3には、上層のアルミナには白金を担持させ、上層の酸素吸蔵材にはロジウムを担持させ、下層のアルミナにはパラジウムを担持させ、各触媒貴金属をそれぞれ相異なるアルミナ及び酸素吸蔵材に分離して担持させることとなり、異種の触媒貴金属のシンタリング及び合金化を防ぐことができる触媒が開示されている。
【0007】
さらに特許文献4には、担体上に、複数の触媒層が層状に形成されている排気ガス浄化触媒において、最上層の触媒層よりも下層側に位置している所定の触媒層が酸化ニッケルとパラジウムとを含む排気ガス浄化触媒が開示されており、パラジウムの周囲に酸化ニッケルが存在することで、この酸化ニッケルがパラジウムへの毒性物質の接近を妨げるのでパラジウムの被毒が抑制される旨が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について説明する。但し、本発明が次に説明する実施形態に限定されるものではない。
【0014】
<本触媒>
本実施形態の一例に係る触媒(「本触媒」と称する)は、Pd、OSC材及び無機多孔質体を含有する触媒層Aと、Pt、Rh又はこれら両方、及び無機多孔質体を含有する触媒層Bとを備えた触媒であって、触媒層AにCo、Ni、Mn、Cu及びFeからなる群から選ばれる一種又は二種以上の遷移金属を含有してなる排気ガス浄化触媒である。
【0015】
「触媒層」とは、ガス吸着作用乃至ガス浄化触媒作用を有する層を意味し、触媒活性成分を含有していればガス浄化触媒作用を有するから該当する。
【0016】
<触媒層A>
触媒層Aは、触媒活性成分としてのPdと、遷移金属と、OSC材と、無機多孔質体と、その他必要に応じた成分と、を含有する触媒層である。
触媒層Aにおいて、Pdと共に所定の遷移金属を組み合わせて含有させると、Pdの分散度を高めることができると共に、Pd上に一酸化炭素(CO)が吸着され易くなり、一酸化炭素(CO)の浄化性能を高めることができる。
【0017】
(触媒活性成分)
触媒層Aは、触媒活性成分としてパラジウム(Pd)を主成分として含有していれば、他の触媒活性成分を含んでいてもよい。例えば白金、ロジウム、金、銀、ルテニウム、イリジウム、セリウム、オスミウム、ストロンチウム等のうちの一種又は2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。
但し、触媒層A中の触媒活性成分のうちの50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100質量%含む)をPdが占めるのが好ましい。
【0018】
(遷移金属)
触媒層Aは、一酸化炭素(CO)の浄化性能を高める観点から、Co、Ni、Mn、Cu及びFeからなる群から選ばれる一種又は二種以上の遷移金属を含有するのが好ましい。中でも、一酸化炭素(CO)の浄化性能をより長期に渡って維持できる観点から、Co、Niのうちの何れか或いは両方を含有するのが好ましい。触媒層Aに含まれる遷移金属の状態は、金属、化合物、酸化物の何れであってもよい。
なお、これら触媒層Aに含まれる遷移金属は、アルミナなどの無機多孔質体には担持されず、バインダーのように単独で存在しているものと推察される。
【0019】
これら遷移金属の含有量は、一酸化炭素(CO)の浄化性能を高める観点から、触媒層Aに含まれるPd1質量部に対して0.4〜14.7質量部の割合で遷移金属を含有するのが好ましく、中でも3.3質量部以上の割合で、その中でも5.1質量部以上の割合で含有するのがさらに好ましい。
【0020】
(OSC材)
触媒層Aは、酸素ストレージ能(OSC:Oxygen Storage capacity)を有する助触媒(「OSC材」と称する)を含むのが好ましい。但し、無機多孔質体が、OSC機能を有していれば。必ずしも必要ではない。
OSC材としては、例えばセリウム化合物、ジルコニウム化合物、セリア・ジルコニア複合酸化物などを挙げることができる。
【0021】
(無機多孔質体)
触媒層Aは、触媒活性成分を担持する無機多孔質体として、例えばシリカ、アルミナおよびチタニア化合物から成る群から選択される化合物の多孔質体、より具体的には、例えばアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミアおよびアルミナ−セリアから選択される化合物からなる多孔質体を含有するのが好ましい。
【0022】
(その他の成分)
触媒層Aは、必要に応じて、安定剤を含むのが好ましい。
安定剤としては、例えばアルカリ土類金属やアルカリ金属を挙げることができる。中でも、マグネシウム、バリウム、ホウ素、トリウム、ハフニウム、ケイ素、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される金属のうちの一種又は二種以上を選択可能である。その中でも、OSC材及び無機多孔質体の耐熱性向上の観点から、バリウムが特に好ましい。
【0023】
触媒層Aは、必要に応じて、バインダーを含むのが好ましい。
バインダー成分としては、無機系バインダー、例えばアルミナゾル等の水溶性溶液を使用することができる。
【0024】
触媒層Aは、必要に応じて他の成分を含有することができる。
【0025】
<触媒層B>
触媒層Bは、触媒活性成分としてのPt、Rh又はこれら両方と、OSC材と、無機多孔質体と、その他必要に応じた成分と、を含有する触媒層である。
【0026】
(触媒活性成分)
触媒層Bは、触媒活性成分として触媒活性成分としてのPt、Rh又はこれら両方を主成分として含有していれば、他の触媒活性成分を含んでいてもよい。例えば金、銀、パラジウム、ルテニウム、イリジウム、ニッケル、セリウム、コバルト、銅、オスミウム、ストロンチウム、マンガン、鉄等のうちの一種又は2種以上の組み合わせを含んでいてもよい。
但し、触媒層A中の触媒活性成分のうちの50質量%以上、特に70質量%以上、中でも特に90質量%以上(100質量%含む)を、触媒活性成分としてのPt、Rh又はこれら両方が占めるのが好ましい。
【0027】
(遷移金属)
Co、Ni、Mn、Cu及びFeからなる群から選ばれる一種又は二種以上の遷移金属は、触媒層Aに含まれていれば十分であるが、触媒層Bに含まれていてもよい。触媒層Bに含まれる遷移金属の状態は、金属、化合物、酸化物の何れであってもよい。
【0028】
(OSC材)
触媒層Bは、酸素ストレージ能(OSC:Oxygen Storage capacity)を有する助触媒(OSC材)を含むのが好ましい。但し、無機多孔質体が、OSC機能を有していれば必ずしも必要ではない。
OSC材としては、例えばセリウム化合物、ジルコニウム化合物、セリア・ジルコニア複合酸化物などを挙げることができる。
【0029】
(無機多孔質体)
触媒層Bは、触媒活性成分を担持する無機多孔質体として、例えばシリカ、アルミナおよびチタニア化合物から成る群から選択される化合物の多孔質体、より具体的には、例えばアルミナ、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミノ−シリケート類、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−クロミアおよびアルミナ−セリアから選択される化合物からなる多孔質体を含有するのが好ましい。
【0030】
(その他の成分)
触媒層Bは、必要に応じて、安定剤を含むのが好ましい。
安定剤としては、例えばアルカリ土類金属やアルカリ金属を挙げることができる。中でも、マグネシウム、バリウム、ホウ素、トリウム、ハフニウム、ケイ素、カルシウムおよびストロンチウムから成る群から選択される金属のうちの一種又は二種以上を選択可能である。その中でも、OSC材及び無機多孔質体の耐熱性向上の観点から、バリウムが特に好ましい。
【0031】
触媒層Bは、必要に応じて、バインダーを含むのが好ましい。
バインダー成分としては、無機系バインダー、例えばアルミナゾル等の水溶性溶液を使用することができる。
【0032】
触媒層Bは、必要に応じて他の成分を含有することができる。
【0033】
なお、触媒層AとBの接合性並びに製造コストなどの観点からすると、触媒活性成分の種類及び量以外は、触媒層Aと共通とするのが好ましい。
【0034】
<本触媒の構成例>
本触媒は、例えば基材上に上記触媒層A及びBを備え、前記触媒層Aよりも上層側に前記触媒層Bを配置してなる構成を備えたものであるのが好ましい。
【0035】
かかる構成の触媒を作製するには、例えば触媒活性成分、遷移金属或いはその塩或いはその酸化物、無機多孔質体、OSC材、安定化材、バインダー及び水を混合・撹拌してスラリーとし、得られたスラリーを例えばセラミックハニカム体などの基材にウオッシュコートし、これを焼成して、基材表面に触媒層Aを形成した後、上記同様に上層(表面層)としての触媒層Bを形成すればよい。
【0036】
また、例えば遷移金属或いはその塩、無機多孔質体、OSC材、安定化材、バインダー及び水を混合・撹拌してスラリーとし、得られたスラリーを例えばセラミックハニカム体などの基材にウオッシュコートした後、これを、触媒活性成分を含有する溶液に浸漬させて含浸させて基材表面に触媒層Aを形成した後、上記同様に上層(表面層)としての触媒層Bを形成すればよい。
【0037】
この際、触媒層Aと触媒層Bの間に、触媒層ではない層、例えば多孔質耐火性無機酸化物粉体からなる層や、多孔質耐火性無機酸化物粉体及び助触媒成分からなる層などの層が存在していてもよい。
【0038】
触媒層Aと触媒層Bの容量比率は0.5:1〜5:1であるのが好ましく、中でも0.5:1〜4:1、その中でも0.5:1〜3:1であるのが特に好ましい。
触媒層Aと触媒層Bの厚み比率は0.2:1〜20:1であるのが好ましく、中でも0.5:1〜10:1、その中でも0.5:1〜5:1であるのが特に好ましい。
【0039】
(基材)
上記の基材の材質としては、セラミックス等の耐火性材料や金属材料を挙げることができる。セラミック製基材の材質としては、耐火性セラミック材料、例えばコージライト、コージライト−アルファアルミナ、窒化ケイ素、ジルコンムライト、スポジュメン、アルミナ−シリカマグネシア、ケイ酸ジルコン、シリマナイト(sillim
anite)、ケイ酸マグネシウム、ジルコン、ペタライト(pet
alite)、アルファアルミナおよびアルミノシリケート類などを挙げることができる。金属製基材の材質としては、耐火性金属、例えばステンレス鋼または鉄を基とする他の適切な耐食性合金などを挙げることができる。
【0040】
基材の形状は、ハニカム状、ペレット状、球状を挙げることができる。
ハニカム材料としては、例えばセラミックス等のコージェライト質のものを用いることができる。また、フェライト系ステンレス等の金属材料からなるハニカムを用いることもできる。
ハニカム形状の基材を用いる場合、例えば基材内部を流体が流通するように、基材内部に平行で微細な気体流通路、すなわちチャンネルを多数有するモノリス型基材を使用することができる。この際、モノリス型基材の各チャンネル内壁表面に、触媒組成物をウォッシュコートなどによってコートして触媒層を形成することができる。
【0041】
本触媒はまた、排気ガスが流通する方向に触媒層B、触媒層Aの順に配置してなる構成のものとすることもできる。
この際、触媒層Aと触媒層Bの間に、触媒層ではない層、例えば多孔質耐火性無機酸化物粉体からなる層や、多孔質耐火性無機酸化物粉体及び助触媒成分からなる層などの層が存在していてもよい。
【0042】
<語句の説明>
本明細書において「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現する場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」或いは「好ましくはYより小さい」の意も包含する。
また、「X以上」(Xは任意の数字)或いは「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、「Xより大きいことが好ましい」或いは「Y未満であることが好ましい」旨の意図も包含する。
【実施例】
【0043】
以下、本発明を下記実施例及び比較例に基づいてさらに詳述する。
【0044】
<実施例1>
硝酸Coを酸化物換算で7質量部と、多孔質γ-アルミナ46質量部と、セリア・ジルコニア複合酸化物粒子粉末30質量部と、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを酸化物換算で17質量部と、純水100質量部とを秤量し、ボールミルにて混合を行うことでスラリーを得た。
Φ40mm×L90mm(300セル):担体容積0.113Lのステンレス製メタルハニカム基材を、前記スラリー中に浸漬し、引き上げて過剰なスラリーをエアーガンで吹き払った後、大気雰囲気下600℃で3時間焼成してコート層を形成した。このとき、コート層の量はハニカム基材1L当り100gであった。
このようにして得られたコート層付きハニカム基材を、硝酸Pd溶液中に浸漬させて余分な液滴をエアーガンで吹き払い、大気雰囲気下600℃で3時間焼成して基材上に触媒層Aを形成した。このとき、触媒層Aの量はハニカム基材1Lに対して150gであり、Pdの量はハニカム基材1Lに対し1.00gであった。
【0045】
次に、多孔質γ-アルミナ53質量部と、セリア・ジルコニア複合酸化物粒子粉末30質量部と、無機系バインダーとしてのアルミナゾルを酸化物換算で17質量部と、純水100質量部とを秤量し、ボールミルにて混合を行うことでスラリーを得た。
前記触媒層Aを形成した基材を、該スラリー中に浸漬し、引き上げて過剰なスラリーをエアーガンで吹き払った後、大気雰囲気下600℃で3時間焼成してコート層を形成した。このとき、コート層の量はハニカム基材1L当り100gであった。
このようにして得られたコート層付きハニカム基材を、硝酸Pt・Rh溶液中に浸漬させて余分な液滴をエアーガンで吹き払い、大気雰囲気下600℃で3時間焼成して触媒層Bを形成して、基材上に触媒層A,Bを備えた排ガス浄化触媒(サンプル)を得た。
このとき、触媒層Bの量はハニカム基材1Lに対して100gであり、Pt及びRhの量はハニカム基材1Lに対し0.10gであった。
【0046】
<実施例2>
触媒層Aと同様の割合で、触媒層Bを形成するためのスラリーに硝酸Coを配合した以外の点は実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0047】
<実施例3>
硝酸Coの代わりに、硝酸Niを配合した以外の点は実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0048】
<実施例4>
硝酸Coの代わりに、硝酸Mnを配合した以外の点は実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0049】
<実施例5>
硝酸Coの代わりに、硝酸Cuを配合した以外の点は実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0050】
<実施例6>
硝酸Coの代わりに、硝酸Feを配合した以外の点は実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0051】
<実施例7>
実施例1において、コート層付きハニカム基材を硝酸Pd溶液中に浸漬させる代わりに、硝酸Pd・Pt溶液に浸漬させて基材上に触媒層Aを形成すると共に、コート層付きハニカム基材を硝酸Pt・Rh溶液中に浸漬させる代わりに、硝酸Rh溶液に浸漬させて触媒層Bを形成した以外の点は、実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0052】
<実施例8−13>
触媒層Aの形成において、硝酸Coの配合量を変更して、Pdに対するCoを表4に示すように調整した以外の点は、実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0053】
<比較例1>
触媒層Aの形成において、硝酸Coを配合しなかった以外の点は、実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0054】
<比較例2>
触媒層Aの形成において、硝酸Coに浸漬させず、実施例1の触媒層Aと同様の割合で、触媒層Bを形成するためのスラリーに硝酸Coを配合した以外の点は、実施例1と同様に排ガス浄化触媒(サンプル)を作製した。
【0055】
なお、表中のPd量、Rh量、CeO
2量などは、製造時の配合量を示したものであるが、触媒を製造後に測定した場合の含有量と同じ値である(他の実施例・比較例についても同様)。
【0056】
<浄化性能評価方法(T50-CO)>
次の表1に示す模擬排気ガス(Fresh)を、実施例1〜7、比較例1〜2で得た排ガス浄化触媒(サンプル)に流通させ、100℃〜500℃における出口ガス成分をCO分析計を用いて測定した。得られた測定結果より、50%浄化率に到達する温度(Fresh
CO:T50(℃))を求めた。
【0057】
【表1】
【0058】
【表2】
【0059】
(考察)
触媒層Aにおいて、Pdに対して、Co、Ni、Mn、Cu及びFeなどの遷移金属を組み合わせて含有させることにより、一酸化炭素(CO)の浄化性能が良くなることが分かった。中でも、Pdに対してCo又はNiを組み合わせて含有させると、一酸化炭素(CO)浄化性能がより一層良好となることが分かった。また、Ptは、触媒層A、Bのどちらに含有されていてもよいことが分かった。
【0060】
<浄化性能評価方法(車両評価)>
実施例2、実施例8〜13及び比較例1で得た排ガス浄化触媒(サンプル)を2輪車へ組み込み、EuroIIIモードでのCOガス排出量を、CO分析計を用いて測定した(Fresh CO:CO排出量)。
また、実施例2、実施例8〜13及び比較例1で得た排ガス浄化触媒(サンプル)を、
表3に示す条件で耐久試験を行った後(Aged)、EuroIIIモードでのCOガス排出量(Aged CO:CO排出量)を上記同様に求めた。なお、CO排出量は比較例1を100%としたときの相対排出量で示した。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
(考察)
遷移金属は、一酸化炭素(CO)の浄化性能を高める観点から、Pd1質量部に対して0.4〜14.7質量部の割合で配合するのが好ましく、中でもFreshの一酸化炭素(CO)の浄化性能を高める観点から、3.3質量部以上或いは14.7質量部以下、その中でも5.1質量部以上或いは14.7質量部以下の割合で配合するのが好ましいと考えることができる。