(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
これらの開発によってさえも、より予測可能かつ制御された角質層を越えた薬剤の送達への興味及び必要性が引き続きある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある特定の固体形態の局所麻酔薬をコーティングした、又はこれを含む中実のマイクロニードルを備えるマイクロニードルデバイスが今では作製されており、これは、局所麻酔薬の表皮などの角質層の下にある組織への即時的、かつ持続的な投与を提供する。
【0010】
例えば、静脈穿刺、静脈確保、及び皮膚科の処置を含む臨床処置は、痛み、又は不快感を生じる場合がある。場合によっては、これは、EMLA(商標)クリーム、2.5%リドカイン及び2.5%プリロカインの共晶混合物などの表面麻酔を使用して対処されてきた。しかしながら、これらの物質に対する最少のアプリケーション時間は60分のオーダーである。
【0011】
本提供のマイクロニードルのアレイへの暴露のわずか1分後のリドカイン及び/又はプリロカインの組織レベルは、EMLA(商標)クリームの塗布の60分後のリドカイン及びプリロカインの組織内の総レベルより高い可能性があることが、今では判明している。更に、意外なことに、リドカイン及び/又はプリロカインを、テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と組み合わせてコーティングした又はこれを含むマイクロニードルは、リドカイン及び/又はプリロカインを投与延長構成成分なしで使用するのと比較して、リドカイン及び/又はプリロカインのより高い組織レベルを長期間提供することができることが今では判明している。したがって、局所麻酔薬投与が延長される、換言すればより高いレベルで長い期間持続されることが判明した。
【0012】
加えて、投与量はマイクロニードル上にコーティングされた、又はマイクロニードル内に含まれた局所麻酔薬の量に制限される。角質層を透過した後、マイクロニードル上のコーティング中の局所麻酔薬は、角質層の下にある組織内で溶解する。溶解性マイクロニードルの場合、マイクロニードル内の局所麻酔薬は、組織内で溶解する。このように、必要量又は毒性レベルより多くを送達することを恐れずに、投与量を制御することができる。
【0013】
したがって、一実施形態では、医療用デバイスであって、
マイクロニードルのアレイと、
マイクロニードル上に配置されたコーティングと、を備え、
コーティングは、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、を含み、
局所麻酔薬は、コーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量で存在し、
局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比である、医療用デバイスが提供される。
【0014】
別の実施形態では、哺乳類の組織内への局所に送達された局所麻酔薬の投与量を延長する方法が提供され、該方法は、
局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスで組織に接触することを含み、
デバイスは、
マイクロニードルのアレイと、
マイクロニードル上に配置されたコーティングと、を備え、
コーティングは、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、を含み、
局所麻酔薬は、コーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量で存在し、
局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比である、方法である。
【0015】
別の実施形態では、局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスを作製する方法であって、
マイクロニードルのアレイを提供することと、
組成物を提供することであって、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、
揮発可能な担体と、を含む組成物を提供することと、
マイクロニードルに組成物を接触させることと、
担体の少なくとも一部を揮発させてマイクロニードル上に配置されたコーティングを提供することと、を含み、
コーティングがコーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量の局所麻酔薬を含み、局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、
デバイスが、マイクロニードル上に配置されたコーティングをともなうマイクロニードルのアレイを備える、方法が提供される。
【0016】
別の実施形態では、溶解性マイクロニードルのアレイを備える医療用デバイスであって、該マイクロニードルは、
溶解性マトリックス材料と、
少なくとも1重量%の、リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、を含み、
局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、
重量%が、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルのすべての部分内の固体の総重量に基づく、医療用デバイスが提供される。
【0017】
別の実施形態では、哺乳類の組織内への局所に送達された局所麻酔薬の投与量を延長する方法が提供され、該方法は、
局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルデバイスを組織に接触することを含み、デバイスは溶解性マイクロニードルのアレイであって、
溶解性マトリックス材料と、
少なくとも1重量%の、リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、を含み、
局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、
重量%が、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルのすべての部分内の固体の総重量に基づく、溶解性マイクロニードルのアレイを備える医療用デバイスが提供される。
【0018】
別の実施形態では、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルデバイス作製する方法であって、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、揮発可能な担体と、を含む組成物を提供することと、
微細構造キャビティのアレイを有する成形型を提供することと、
組成物を成形型内に充填することと、
揮発可能な担体の少なくとも一部を揮発させることと、
溶解性マトリックス材料及び揮発可能な担体を含む組成物を提供することと、
溶解性マトリックス材料を含む組成物を成形型内に充填することと、
揮発可能な担体の少なくとも一部を揮発させることと、
溶解性マイクロニードルを含む中実の溶解性マイクロニードルアレイを成形型から取り出すことと、を含み、
溶解性マイクロニードルが、少なくとも10重量%の溶解性マトリックス材料と、少なくとも1重量%の局所麻酔薬と、投与延長構成成分とを含み、局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、重量%が、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルのすべての部分内の固体の総重量に基づき、
デバイスが、中実の溶解性マイクロニードルアレイを備える、方法が提供される。
【0019】
別の実施形態では、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルデバイス作製する方法であって、
溶解性マトリックス材料と、リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、揮発可能な担体と、を含む組成物を提供することと、
微細構造キャビティのアレイを有する成形型を提供することと、
組成物を成形型内に充填することと、
揮発可能な担体の少なくとも一部を揮発させることと、
溶解性マイクロニードルを含む中実の溶解性マイクロニードルアレイを成形型から取り出すことと、を含み、
溶解性マイクロニードルが、少なくとも10重量%の溶解性マトリックス材料と、少なくとも1重量%の局所麻酔薬と、投与延長構成成分とを含み、局所麻酔薬と投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、重量%が、局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルのすべての部分内の固体の総重量に基づき、
デバイスが、中実の溶解性マイクロニードルアレイを備える、方法が提供される。
【0020】
定義
以下の用語は、本明細書において、以下の定義にしたがって使用される。
【0021】
用語「重量%」は、重量百分率を意味する。実施形態で、重量%が固体の総重量の基づく場合、固体は揮発性でない成分である。例えば、固体の総重量は、揮発可能な担体を含まない。
【0022】
用語「揮発可能な担体」は、揮発させることができる物質を指し、この物質の中に局所麻酔薬及び投与延長構成成分が溶解又は分散していてもよい。かかる物質としては、例えば、水及び/又は例えば、短鎖アルコール、短鎖エーテル、短鎖ケトン、及び短鎖エステル(例えば、C
1〜4一価アルコール、C
1〜4エーテル、C
1〜4ケトン、C
1〜4エステル、及び同様のもの)などの揮発性有機溶媒が挙げられる。
【0023】
揮発させることができる物質は、周囲温度で、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の1パーセント未満が劣化する間に、マイクロニードル上のコーティングから物質の少なくとも50パーセントが揮発するものである。ある特定の実施形態については、揮発可能な担体は、高くても120℃、好ましくは、高くても100℃の沸点を有する。
【0024】
「被験者」及び「患者」には、ヒト、ヒツジ、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、ラット、マウス、又は他のほ乳類が含まれる。
【0025】
用語「含む」及びこの変化形は、明細書及び「特許請求の範囲」においてこれらの用語が用いられる箇所では限定的な意味を有するものではない。
【0026】
上記の本発明の課題を解決するための手段は、開示される実施形態のそれぞれ、又は本発明のあらゆる実装を説明することを意図するものではない。以下の説明により、例示的実施形態を、より具体的に例示する。適用では、実施例の一覧を通してガイダンスを提供するが、実施例はいろいろな組み合わせにおいて使用することができる。いずれの場合でも、記載されるリストは、代表的な群としての役割のみを果たすものであり、排他的なリストとして解釈するべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の説明では、その一部を形成する添付図面を参照し、そこでは実例としていくつかの具体的な実施形態が示される。本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想到され、実施され得る点は理解されるはずである。したがって、以下の詳細な説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。
【0030】
本明細書で使用するすべての科学用語及び専門用語は、特に断らない限り、当該技術分野において一般的に使用される意味を有する。本明細書において与えられる用語の定義は、本明細書において頻繁に使用される特定の用語の理解を容易にするためのものであって、本開示の範囲を限定しようとするものではない。
【0031】
そうでないことが示されない限り、本明細書及び「特許請求の範囲」で使用される特徴の大きさ、量、物理的特性を表わす数字はすべて、どの場合においても用語「約」によって修飾されるものとして理解されるべきである。それ故に、そうでないことが示されない限り、前述の明細書及び添付の「特許請求の範囲」で示される数値パラメーターは、当業者が本明細書で開示される教示内容を用いて、目標対象とする所望の特性に応じて、変化し得る近似値である。
【0032】
端点による数値範囲の列挙には、その範囲内に含まれるすべての数(例えば1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)、並びにその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0033】
本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用するところの単数形「a」、「an」、及び「the」は、その内容が明らかにそうでないことが示さない限りは複数の指示物を有する実施形態を包含する。本明細書及び添付の「特許請求の範囲」において使用する場合、用語「又は」は、その内容が明らかにそうでないことを示さない限り、「及び/又は」を含む意味で概して用いられる。
【0034】
上に示したように、本明細書は、局所麻酔薬を被験者の細胞に送達することができる医療用デバイス、このデバイスを使用する方法、及びこのデバイスを作製する方法を提供する。デバイスは、局所麻酔薬でコーティングされたか又は溶解性であってかつ局所麻酔薬を含むかのいずれかであるマイクロニードルのアレイを備える。
【0035】
リドカイン、プリロカイン、又はこれらの組み合わせとすることができる局所麻酔薬は、投与延長構成成分と組み合わせられる。投与延長構成成分/局所麻酔薬重量比は非共晶である。非共晶重量比では、投与延長構成成分/局所麻酔薬の組み合わせは、固体の形態である。呈示のデバイス及び方法では、固体の形態は、より安定であることがわかっており、液体形態より再現可能な送達を提供する。共晶混合物が可能である場合にこれを達成するためには、重量比は、好ましくは、1:1以外である。例えば、1:1の比のテトラカイン及びリドカインの遊離塩基形態は液体(共晶混合物)を形成し、非共晶重量比を使用することは避けられる。
【0036】
本明細書で使用する場合、局所麻酔薬及び投与延長構成成分には、その遊離塩基、その薬剤として許容される塩、及び/又は遊離塩基と薬剤として許容される塩との組み合わせが含まれる。局所麻酔薬の重量、及び投与延長構成成分の重量、並びに投与延長構成成分/局所麻酔薬の重量比は、使用された局所麻酔薬の重量及び投与延長構成成分の重量、又は代替的に使用された局所麻酔薬及び投与延長構成成分の遊離塩基形態の重量から算出することができる。この代替的な場合には、例えば、塩が使用された場合、アニオン部分の重量を差し引いて遊離塩基形態の重量を得る。
【0037】
上の実施形態のうちの任意の1つを含むある特定の実施形態については、投与延長構成成分/局所麻酔薬の重量比は、好ましくは、少なくとも0.1、より好ましくは、少なくとも0.3、更により好ましくは、少なくとも0.5である。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、重量比は、好ましくは、高くても0.9、より好ましくは、高くても0.8である。代替的には、重量比は、高くても3、好ましくは、高くても2.5、2.0、又は1.5である。上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、投与延長構成成分/局所麻酔薬の重量比は、0.1〜0.9である。
【0038】
上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、局所麻酔薬は、コーティング中の固体の総重量に基づいて、好ましくは、少なくとも1重量%、より好ましくは、少なくとも3重量%、より好ましくは、少なくとも5重量%、より好ましくは、少なくとも10重量%、最も好ましくは、少なくとも20重量%の量で存在する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、局所麻酔薬は、コーティング中の固体の総重量に基づいて、高くても90重量%、好ましくは、高くても80重量%、より好ましくは、高くても70重量%の量で存在する。上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、局所麻酔薬は、コーティング中の固体の総重量に基づいて、20重量%〜90重量%の量で存在する。
【0039】
上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、投与延長構成成分は、コーティング中の固体の総重量に基づいて、少なくとも0.1重量%の量で存在する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、投与延長構成成分は、好ましくは、少なくとも1重量%、より好ましくは、少なくとも2重量%、最も好ましくは、少なくとも5重量%又は10重量%の量で存在する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、投与延長構成成分は、高くても75重量%、好ましくは、高くても60重量%、より好ましくは、高くても50重量%、又は40重量%の量で存在する。上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、局所投与延長構成成分は、コーティング中の固体の総重量に基づいて、2重量%〜48重量%の量で存在する。
【0040】
上に示したように、局所麻酔薬投与延長構成成分は、テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、投与延長構成成分は、テトラカイン、プロカイン、ブピバカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、投与延長構成成分は、テトラカインである。
【0041】
本呈示のコーティング及び溶解性マイクロニードルは、少なくとも1つの賦形剤も含んでもよい。賦形剤は、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の活性の性質を維持するために、マイクロニードル上にコーティングを堆積するときにコーティング調合物の性能を促進するために、角質層若しくは他の組織を透過するときにコーティングの崩壊に抵抗するために、又はこれらの組み合わせのために、機能する可能性がある。したがって、マイクロニードル上に堆積したコーティング、又は局所麻酔薬を含むマイクロニードル自体を含む、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、コーティング又はマイクロニードル自体が少なくとも1つの賦形剤を更に含む。
【0042】
コーティング中、したがってコーティングを堆積するために使用するコーティング調合物中の少なくとも1つの賦形剤の量は、コーティング調合物中の構成成分の独自性、マイクロニードルアレイ上に望ましい局所麻酔薬及び投与延長構成成分の量、コーティングされるマイクロニードルアレイのタイプ、マイクロニードル上のコーティングの形状及び位置、本明細書では考察されない他の考慮事項、又はこれらの何らかの組み合わせ、によって変化する可能性がある。
【0043】
賦形剤を含む、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、コーティング中の固体の総重量に基づいて、好ましくは、少なくとも2重量%、より好ましくは、少なくとも5重量%、最も好ましくは、少なくとも10重量%の量で賦形剤がコーティング中に存在する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、好ましくは、賦形剤は、高くても98重量%、より好ましくは、高くても90重量%、最も好ましくは、高くても75重量%、又は50重量%の量でコーティング中に存在する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、好ましくは、コーティングは、10〜75重量%又は10〜50重量%の少なくとも1つの賦形剤を含み、重量%はコーティングの総固体内容物に基づく。
【0044】
例示的な賦形剤としては、例えば、緩衝剤、炭水化物、ポリマー、アミノ酸、ペプチド、界面活性剤、タンパク質、不揮発性の非水性溶媒、酸、塩基、酸化防止剤、及びサッカリンを挙げることができる。
【0045】
少なくとも1つの緩衝剤は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用される。緩衝剤は、概して、マイクロニードル上にコーティングを堆積するために使用されるコーティング調合物のpHを安定させるために機能することができる。利用される特定の緩衝剤は、コーティング中に含まれる特定の局所麻酔薬及び投与延長構成成分に少なくとも部分的に依存する。調合物のpHは、例えば、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の溶解性を所望のレベルに維持するのを助ける。概して、一般的に利用される緩衝剤を、コーティング調合物に使用することができる。
【0046】
例示的な緩衝としては、例えば、ヒスチジン、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、クエン酸緩衝液、グリシン緩衝液、酢酸アンモニウム緩衝液、コハク酸緩衝液、ピロリン酸緩衝液、トリス酢酸(TA)緩衝液、及びトリス緩衝液を挙げることができる。緩衝生理食塩溶液は、緩衝剤として利用することができる。例示的な緩衝生理食塩溶液としては、例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、トリス緩衝生理食塩水(TBS)、生理食塩水酢酸ナトリウム緩衝液(SSA)、生理食塩水クエン酸ナトリウム緩衝液(SSC)が挙げられる。
【0047】
炭水化物の混合物を含む少なくとも1つの炭水化物は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。炭水化物は、単糖類、二糖類、及び多糖類を含む糖類とすることができ、例えば、ラフィノース、スタキオース、ショ糖、及びトレハロースなどの非還元糖、及び単糖類、及び二糖類などの還元糖を含んでもよい。例示的な単糖類としては、アピオース、アラビノース、ジギトキソース、フコース、フルクトース、ガラクトース、グルコース、グロース、ハマメロース、イドース、リキソース、マンノース、リボース、タガトース、ソルビトール、キシリトール、及びキシロースを挙げることができる。例示的な二糖類としては、例えば、ショ糖、トレハロース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、ラクツロース、マルトース、メリビオース、プリメベロース、ルチノース、シラビオース、ソホロース、ツラノース、及びビシアノースを挙げることができる。実施形態では、ショ糖、トレハロース、フルクトース、マルトース、又はそれらの組み合わせを利用することができる。例示された糖類のすべての光学異性体は、(D、L、及びラセミ混合物)も本明細書に含まれる。
【0048】
多糖類としては、例えばヒドロキシエチルデンプンなどのデンプン、アルファ化コーンスターチ、ペンタスターチ、デキストリン、デキストラン又は硫酸デキストラン、γ−シクロデキストリン、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、グルコシル−α−シクロデキストリン、マルトシル−α−シクロデキストリン、グルコシル−β−シクロデキストリン、マルトシル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシ−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン、2−ヒドロキシプロピル−γ−シクロデキストリン、ヒドロキシエチル−β−シクロデキストリン、メチル−β−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−α−シクロデキストリン、スルホブチルエーテル−β−シクロデキストリン、及びスルホブチルエーテル−γ−シクロデキストリンを挙げることができる。実施形態では、ヒドロキシエチルデンプン、デキストリン、デキストラン、γ−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、又はそれらの組み合わせを利用することができる。実施形態では、35,000〜76,000の平均分子量を有するデキストランを利用することができる。
【0049】
少なくとも1つの炭水化物は、セルロースとすることができる。適切なセルロースとしては、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、メチルセルロース(MC)、微結晶セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、及びこれらの混合物を挙げることができる。
【0050】
少なくとも1つのポリマーは、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。適切なポリマーとしては、例えば、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルアルコール(PVA)、及びポリエチレングリコールイソステアリン酸ソルビタンが挙げられる。実施形態では、10,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)を利用することができる。実施形態では、5,000〜1,500,000の平均分子量を有するポリビニルピロリドン(PVP)を利用することができる。実施形態では、300〜8,000の平均分子量を有するポリエチレングリコールを利用することができる。
【0051】
少なくとも1つのアミノ酸は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。適切なアミノ酸としては、例えばリシン、ヒスチジン、システイン、グルタミン酸塩、リシン酢酸塩、サルコシン、プロリン、トレオニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グルタミン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、血清トリプトファン、チロシン、バリン、アラニン、アルギニン、及びグリシンを挙げることができる。多くの場合、アミノ酸の塩の形態は、水性媒体又は調合物中のアミノ酸の水溶解度を増加するために使用することができる。
【0052】
少なくとも1つのペプチドは、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。ペプチドを構成するアミノ酸は、同一でもよく、又は少なくともいくらかは相互に異なってもよい。適切なポリアミノ酸(同一のアミノ酸)としては、例えばポリヒスチジン、ポリアスパラギン酸、及びポリリシンを挙げることができる。
【0053】
少なくとも1つのタンパク質は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。適切なタンパク質としては、例えばヒト血清アルブミン及び生物工学的に処理されたヒトアルブミンを挙げることができる。
【0054】
少なくとも1つのサッカリンは、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。一実施例では、サッカリンは、サッカリンナトリウム二水和物である。
【0055】
少なくとも1つの脂質は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。一実施例では、脂質は、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)であってもよい。
【0056】
少なくとも1つの酸及び/又は塩基は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。例えば、少なくとも1つの弱酸、弱塩基、強酸、強塩基、又はこれらの何らかの組み合わせが含まれてもよい。酸及び塩基は、局所麻酔薬及び/又は投与延長構成成分の可溶化又は安定化の目的で機能することができる。これらの酸及び塩基は、対イオンと称することができる。これらの酸及び塩基は、有機又は無機とすることができる。例示的な弱酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ペンタン酸、クエン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、グルクロン酸、乳酸、リンゴ酸、ピルビン酸、酒石酸、タルトロン酸、フマル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、マロン酸、酪酸、クロトン酸、ジグリコール酸、及びグルタル酸が挙げられる。例示的な強酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硝酸、スルホン酸、硫酸、マレイン酸、リン酸、ベンゼンスルホン酸、及びメタンスルホン酸が挙げられる。例示的な弱塩基としては、例えば、アンモニア、モルホリン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、メチルグルカミン、及びグルコサミンが挙げられる。例示的な強塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、及び水酸化マグネシウムが挙げられる。
【0057】
少なくとも1つの界面活性剤は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。少なくとも1つの界面活性剤は、両性、カチオン性、アニオン性、又は非イオン性とすることができる。適切な界面活性剤としては、例えば、レシチン、ポリソルベート(例えば、ポリソルベート20、ポリソルベート40、及びポリソルベート80などの)、グリセロール、ラウロアンホ酢酸ナトリウム、硫酸ドデシルナトリウム、塩化セチルピリジニウム(CPC)、ドデシルトリメチル塩化アンモニウム(DoTAC)、デオキシコール酸ナトリウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリン酸ソルビタン、及びアルコキシル化アルコール(ラウレス−4などの)を挙げることができる。
【0058】
少なくとも1つの無機塩は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。適切な無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、及び塩化カリウムを挙げることができる。
【0059】
不揮発性の、非水性溶媒も、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。実施例は、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、1−メチル−2−ピロリジノン、N,N−ジメチルホルムアミド、及び同様のものを含んでもよい。
【0060】
少なくとも1つの酸化防止剤は、少なくとも1つの賦形剤の少なくとも一部のために使用されてもよい。適切な酸化防止剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、アスコルビン酸、メチオニン、アスコルビン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせを挙げることができる。
【0061】
賦形剤を含む、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、好ましくは、少なくとも1つの賦形剤は、ショ糖、デキストリン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール、アミノ酸、ペプチド、ポリソルベート、ヒト血清アルブミン、サッカリンナトリウム二水和物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0062】
賦形剤を含む、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、少なくとも1つの賦形剤は糖類である。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、糖類は、デキストラン、ショ糖、トレハロース、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0063】
上に示したように、本明細書で提供する局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイス作製する方法では、リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、揮発可能な担体と、を含み、投与延長構成成分/局所麻酔薬の重量比は、非共晶である組成物が提供される。組成物中のこれらの内容物の量は、上に説明した、マイクロニードル上に堆積される結果として得られるコーティング中の固体の、不揮発性の内容物の量を達成するために選択される。この組成物は、本明細書ではコーティング調合物とも称され、堆積されたコーティング中の上に示した量を達成するために、上に示した賦形剤のいずれか及びその量を更に含んでもよい。コーティングは、マイクロニードルに組成物を接触することによってマイクロニードルの上に堆積される。
【0064】
コーティングをマイクロニードル上に堆積するために使用されるコーティング調合物は、概して揮発可能な担体である溶媒として水を含む。概して、コーティング調合物中の溶媒は、局所麻酔薬、投与延長構成成分、及び存在する場合、任意の賦形剤を溶解又は分散するように選択される。コーティング調合物は、水に加えて、少なくとも1つの共溶媒(これも揮発可能な担体であってもよい)も含むことができる。使用されてもよい揮発性の共溶媒(揮発可能な担体もまた)の例としては、エタノール、イソプロパノール、メタノール、プロパノール、及びブタノールが挙げられる。上で賦形剤としても称された不揮発性の共溶媒の例としては、プロピレングリコール、ジメチルスルホキシド、グリセリン、1−メチル−2−ピロリジノン、及びN,N−ジメチルホルムアミドが挙げられる。
【0065】
ある特定の実施形態については、好ましくは、コーティング調合物は、5重量%〜80重量%、10重量%〜70重量%、50重量%〜70重量%の全体的な固体容量、を有することができる。
【0066】
コーティングをマイクロニードル上に堆積するために使用されるコーティング調合物は、調合物の様々な特性によって更に説明することができる。コーティング調合物を更に説明するために利用することができる例示的な特性としては、例えば、コーティング調合物の粘度、コーティング調合物の表面張力、コーティング調合物のマイクロニードルを構成する材料上での接触角、又はこれらの何らかの組み合わせが挙げられる。
【0067】
概して、粘度は、剪断応力又は引張り応力のいずれかによって変形される流体の、抵抗の測定値である。コーティング調合物は、水性調合物の剪断粘度とも称することができる、剪断応力による変形に対する抵抗によって特徴付けることができる。粘度試験のために、例えばTA Instruments(New Castle,DE)のレオメーターなどのレオメーターを含む様々な計器を使用することができる。
【0068】
コーティング調合物が粘稠過ぎる場合、コーティング調合物は加工方法に使用するのが困難になることになり、再現不可能なコーティング(かつ、したがって、使用時にマイクロニードルアレイによって与薬されることになる再現不可能な量の局所麻酔薬及び投与延長構成成分)を生成する可能性があり、結果的にコーティング重量の全体的な減少をもたらす可能性がある。コーティング調合物が十分に粘稠でない場合、コーティング調合物は、マイクロニードルの表面を効果的にコーティングすることができないことになり(したがって、マイクロニードルのコーティング調合物中へのより多くの浸漬が必要になる可能性があり、これによって加工コストが増加する)、かついくつかの場合には、毛管力が調合物にマイクロニードル及びマイクロニードル基板をコーティングさせ、これはしばしば「キャピラリージャンプ」と称される。コーティング調合物の所望の粘度は、少なくとも部分的に、マイクロニードルの幾何学的形状、利用される特定のコーティング方法、コーティング工程の所望の回数、本明細書で考察されない他の考慮事項、又はこれらの何らかの組み合わせに依存する可能性がある。
【0069】
マイクロニードルに組成物を接触することを含む、上の方法実施形態のうちのいずれか1つを含むある特定の実施形態については、好ましくは、コーティング調合物は、100s
−1の剪断速度で、25℃の温度で測定した場合、500〜30,000センチポアズ(cps)の、より好ましくは、500〜10,000cpsの、更により好ましくは、500〜8,000cpsの粘度(又は剪断粘度)を有する可能性がある。
【0070】
コーティング調合物の表面張力を測定するために、様々な方法を利用することができる。例示的なタイプの表面張力測定は、ペンダントドロップ方法に基づく。表面張力を測定するペンダントドロップ方法では、液滴が管の端部から表面張力によって垂下される。表面張力による力は、液体と管との間の境界の長さに比例する。ここで、液滴の関連するパラメーターを測定するための光学系を包含する様々な計器、及び測定されたパラメーターに基づいて表面張力を計算するためのソフトウェアパッケージを使用することができる。例示的な計器としては、Kruss(Hamburg、Germany)から入手可能なDrop Shape Analysis System(Model DSA 100S)が挙げられる。
【0071】
概して、コーティング調合物が高すぎる表面張力を有する場合、コーティング調合物は、マイクロニードル表面を効果的にコーティングすることができない場合があり(したがって、マイクロニードルのコーティング調合物中へのより多くの浸漬が必要になる可能性があり、これによって加工コストが増加する)、コーティング調合物に、マイクロニードル、又はこれらの組み合わせを効果的にコーティングさせるのが困難な場合がある。コーティング調合物が低すぎる表面張力を有する場合、コーティング調合物は「表面の好ましい濡れ」に起因してニードルにわたって過度に広がる場合があり、この場合、マイクロニードルの先端がコーティングされるだけでなく、マイクロニードル基板に向かって更にマイクロニードルの下方に延在し、場合によっては実際にマイクロニードル基板をコーティングする場合がある。コーティング調合物の所望の表面張力は、マイクロニードルの幾何学的形状、利用される特定のコーティング方法、コーティング工程の所望の回数、本明細書で考察されない他の考慮事項、又はこれらの何らかの組み合わせに少なくとも部分的に依存する可能性がある。
【0072】
マイクロニードルに組成物(コーティング調合物)を接触することを含む、上記方法の実施形態のうちのいずれか1つを含むある特定の実施形態については、好ましくは、組成物は、60ダイン/cm以下の、より好ましくは、55ダイン/cm以下の表面張力(周囲温度、又は室温条件で測定された)を有する可能性がある。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、好ましくは、コーティング調合物は、40ダイン/cm〜55ダイン/cmの表面張力を有する。
【0073】
コーティング調合物は、マイクロニードルを構成する材料(「マイクロニードル材料」としても称される)とその接触角によって更に特徴付けることができる。マイクロニードル材料に関するコーティング調合物の接触角は、マイクロニードル材料で作製された水平な基板上で測定されることに留意されたい。
【0074】
マイクロニードル材料は、ケイ素、又はステンレス鋼、チタン、又はニッケルチタン合金などの金属とする(又はこれを含む)ことができる。マイクロニードル材料は、医療グレードのポリマー材料とする(又はこれを含む)こともできる。概して、コーティング調合物のマイクロニードル材料との接触角は、コーティング調合物のマイクロニードル材料に対する親和性の指標である。接触角が低いほど、コーティング調合物のマイクロニードル材料に対する誘引力がより強く、結果としてマイクロニードル表面の高い濡れがもたらされる。コーティング調合物のマイクロニードル材料上の接触角は、様々な方法を使用して、例えば、静滴法を使用して測定することができる。概して、接触角を測定するためには、ゴニオメータ(又はゴニオメータを使用する計器)を利用することができ、かかる計器の例は、Kruss(Hamburg、Germany)から入手可能なDrop Shape Analysis System(Model DSA 100S)である。実施形態では、接触角は、コーティング調合物の基板(マイクロニードル材料)上への移送の5秒以内に測定することができる。
【0075】
概して、コーティング調合物が、低すぎる接触角を有する(コーティング調合物がマイクロニードル材料に強く誘引される)場合、コーティング調合物は、一貫性のないコーティングを生成する(したがって、一貫性のない量の局所麻酔薬及び投与延長構成成分がマイクロニードルアレイ上にある)可能性があり、すなわちコーティング調合物は、「表面の好ましい濡れ」に起因してニードルにわたって過度に広がる場合があり、この場合、マイクロニードルの先端がコーティングされるだけでなく、マイクロニードル基板に向かって更にマイクロニードルの下方に延在し、場合によっては実際にマイクロニードル基板をコーティングする場合がある。低すぎる接触角は、特にコーティング調合物が低い粘度を有するときには、キャピラリージャンプの機会も増やす。コーティング調合物が、高すぎる接触角を有する(コーティング調合物が強く誘引されない、又は更にはマイクロニードル材料からはじかれる)場合、コーティング調合物をマイクロニードルに効果的にコーティングさせるのが困難になる場合がある。コーティング調合物のマイクロニードル材料上の所望の接触角は、マイクロニードルの組成物、マイクロニードルの幾何学的形状、利用される特定のコーティング方法、コーティング工程の所望の回数、本明細書で考察されない他の考慮事項、又はこれらの何らかの組み合わせに少なくとも部分的に依存する可能性がある。
【0076】
マイクロニードルに組成物を接触することを含む、上の方法実施形態のうちのいずれか1つを含むある特定の実施形態については、好ましくは、組成物(コーティング調合物)は、50度以上、55度以上、又は65度以上のマイクロニードル材料との接触角(周囲温度、又は室温条件で測定された)を有することができる。
【0077】
上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、マイクロニードル材料は、医療グレードのポリマー材料とすることができる。医療グレードのポリマー材料の例示的なタイプとしては、例えば、ポリカーボネート、及び液晶ポリマー(本明細書では「LCP」と称される)が挙げられる。
【0078】
上に示したように、本明細書で提供される局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスを作製する方法は、マイクロニードルのアレイを提供する工程を含む。マイクロニードルアレイを提供する工程は、マイクロニードルアレイを加工すること、マイクロニードルアレイを得ること(例えばマイクロニードルアレイを購入することによって)、又はこれらの何らかの組み合わせによって達成することができる。
【0079】
概して、「アレイ」は、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の皮膚への経皮的な送達を容易にするために、角質層に穴をあける能力がある2つ以上の(実施形態では、複数の)構造を含む、本明細書に説明された医療用デバイスを指す。用語「微細構造」、又は「マイクロニードル」は、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の皮膚への経皮的な送達を容易にするために、角質層に穴をあける能力があるアレイと関連付けられた構造を指す。例として、微細構造としては、針又は針状の構造、並びに角質層に穴をあける能力がある他の構造を挙げることができる。用語「マイクロニードルアレイ」又は「マイクロニードルのアレイ」は、したがって、局所麻酔薬及び投与延長構成成分の皮膚への経皮的な送達を容易にするために、角質層に穴をあける能力がある複数の構造を指すことができる。
【0080】
開示された実施形態に有用なマイクロニードルアレイは、それへの参照によりその開示が本明細書に組み込まれる、以下の特許及び特許出願に説明されたものなどの、多様な構成のうちのいずれかを含む。マイクロニードルアレイに対する一実施形態は、切頭された先細の形状及び制御されたアスペクト比を有するマイクロニードルを説明する、米国特許出願公開第2005/0261631号(これへの参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)に開示される構造を含む。マイクロニードルアレイに対する更なる実施形態は、外側表面上に形成された少なくとも1つの通路を有する先細のマイクロニードルを説明する米国特許第6,881,203号(これへの参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)に開示される構造を含む。マイクロニードルアレイに対する別の実施形態は、両方とも中空のマイクロニードルを説明する、米国特許仮出願第61/168,268号(これへの参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)及び米国特許仮出願第61/115,840号(これへの参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)に開示された構造を含む。本明細書に説明された実施形態のうちのいずれか1つを含む、ある特定の実施形態については、好ましくは、マイクロニードルは、中実のマイクロニードルである。中実のマイクロニードルは、全体を通して中実である。
【0081】
概して、マイクロニードルアレイは、複数のマイクロニードルを含む。
図1は、マイクロニードル基板120上に位置付けられた4つのマイクロニードル110(
図1ではそのうち2つが参照されている)を含む、マイクロニードルアレイ100の一部分を示す。それぞれのマイクロニードル110は、マイクロニードル110の先端から基板120におけるマイクロニードル基部までの長さである、高さhを有する。単一のマイクロニードルの高さ、又はマイクロニードルアレイ上のすべてのマイクロニードルの平均高さのいずれかを、マイクロニードルの高さhと称することができる。本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、複数のマイクロニードルのそれぞれ(又は複数のマイクロニードルのすべての平均)は、約100〜1200マイクロメートル(μm)、好ましくは、約200〜1000μm、より好ましくは、約200〜750μmの高さを有する。本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、マイクロニードルのアレイは、マイクロニードルのアレイ1cm
2当たり200〜1500個のマイクロニードルを含む。
【0082】
マイクロニードルアレイ中の単一のマイクロニードル又は複数のマイクロニードルは、そのアスペクト比によって特徴付けることもできる。マイクロニードルのアスペクト比は、マイクロニードルの幅(マイクロニードルの基部における)wに対するマイクロニードルの高さhの比である(
図1に示すように)。アスペクト比は、h:wと示すことができる。本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、複数のマイクロニードルのそれぞれ(又は複数のマイクロニードルのすべての平均値)は、2:1〜5:1の範囲のアスペクト比を有する。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、複数のマイクロニードルのそれぞれ(又は複数のマイクロニードルのすべての平均値)は、少なくとも3:1のアスペクト比を有する。
【0083】
マイクロニードルアレイ中の1つのマイクロニードル又は複数のマイクロニードルは、形状によって特徴付けることができる。本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、複数のマイクロニードルのそれぞれは、正四角錘形状又は皮下注射針の形状を有することができる。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、好ましくは、形状は正四角錘である。
【0084】
本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、デバイスは貼付剤の形態であってもよい。かかる実施形態の一実施例が、
図2により詳細に示される。
図2は、マイクロニードルアレイ22、感圧接着剤24、及び裏材26の組み合わせの形態の貼付剤20を含むデバイスを図示する。かかる貼付剤20、又は多重のマイクロニードルアレイ又は多重の貼付剤20を含むデバイスは、送達デバイスと称することができる。マイクロニードルアレイ22は、マイクロニードル基板14から突出するマイクロニードル10をともなって図示される。マイクロニードル10は、任意の所望のパターンで配設されても、又はマイクロニードル基板14にわたって無作為に分布されてもよい。示されるように、マイクロニードル10は、均一間隔をあけた列で配設されている。本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、マイクロニードルアレイは、約0.1cm
2より大きく、かつ約20cm
2未満の遠位に面した(distal-facing)表面積を有することができる。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、好ましくは、マイクロニードルアレイ面積は、約0.5cm
2より大きく、かつ約5cm
2未満である。一実施形態では(図示せず)、貼付剤20の基板14の一部には、パターンが存在しない。一実施形態において、パターンの存在しない表面は、患者の皮膚表面に面するデバイス表面の総面積の約1%よりも大きく、かつ約75%よりも小さい面積を有する。一実施形態において、成形品の、パターンの存在しない表面は、約0.10平方インチ(0.65cm
2)よりも大きく、かつ約1平方インチ(6.5cm
2)よりも小さい面積を有する。別の実施形態(
図2に示される)では、マイクロニードルは、本質的にパターンの存在しない領域がないように、アレイ22の実質的に全表面積にわたって配置される。
【0085】
本明細書に説明される局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスを作製する方法では、マイクロニードルに組成物(本明細書ではコーティング調合物とも称される)を接触する工程は、マイクロニードルを浸し塗りして行うことができる。かかる方法は、例えば、2010年5月28日に出願された同時係属中の米国仮特許出願第61/349,317号(参照によりその開示が本明細書に組み込まれる)に、特にその中の
図3A、
図3B、及び
図3C、を参照して説明される。
【0086】
浸し塗りする場合、マイクロニードルの高さの部分のみにコーティング調合物を接触し、マイクロニードル基板に接触することを避けることによって、局所麻酔薬並びに投与延長構成成分を無駄にすることが避けられる。
図3は、マイクロニードル基板220上に位置付けられた4つのマイクロニードル210(
図3ではそのうち2つが参照されている)を含む、マイクロニードルアレイ200の一部分を断面で図示する。コーティング250は、マイクロニードル210上の、マイクロニードルの先端から距離260以内に配置される。これは、コーティング調合物を、マイクロニードル高さを超えない部分に接触することによって達成される。したがって、ある特定の実施形態については、マイクロニードルに組成物(本明細書ではコーティング調合物とも称される)を接触する工程を含む、本明細書に説明される方法の実施形態のうちのいずれか1つを含み、マイクロニードルは、それぞれ先端及び基部を有し、先端は基部から距離(h)だけ延在し、マイクロニードルの先端と、先端から基部までの距離の90パーセント(0.9h)以下、好ましくは、距離(0.7h)の70パーセント以下、より好ましくは、距離(0.5h)の50パーセント以下だけ延在するマイクロニードルの一部分とを、組成物を接触することによって接触が行われる。距離は、単一のマイクロニードル又はアレイ中のマイクロニードルの平均値に対して適用することができることが理解されるべきである。ある特定の実施形態については、マイクロニードル上に配置されたコーティングを含む本明細書で説明する実施形態のいずれか1つを含み、マイクロニードルの少なくとも50%がマイクロニードルの先端の近傍の上に存在し、かつ基部に向かう距離の90パーセント以下、好ましくは、距離の70パーセント以下、より好ましくは、距離の50パーセント以下に延在するコーティングを有する。
【0087】
マイクロニードルをコーティング調合物に接触させるとき、マイクロニードルは、コーティング調合物中へと下向きに向けられる。ある特定の実施形態については、好ましくは、マイクロニードルにコーティング調合物を接触させた後、接触は終了し、揮発可能な担体の少なくとも一部が揮発する前及び/又は揮発する間、マイクロニードルは上向きに位置付けられる。この位置で、マイクロニードル上に残っているコーティング調合物の一部は、基部に向かって流れ、マイクロニードルの先端を露出されたままにする、又はコーティング調合物の少ない量のみを先端上に残す。流れが生じる程度は、上に説明したように粘度、接触角、及び表面張力などの要因に依存する可能性がある。
【0088】
コーティング調合物からマイクロニードルを取り出した後、一部のコーティング調合物がマイクロニードル上に残り、その量は、上に説明したように、コーティング調合物の特性及びマイクロニードル材料の表面特性に依存する。揮発可能な担体の少なくとも一部は、マイクロニードルに付着するコーティング調合物から除去され、マイクロニードル上に配置されたコーティングが残される。1つ以上の追加的な接触工程が使用されてもよい。コーティングの形状、平均コーティング厚さ、及びコーティングによって覆われたマイクロニードルの表面の量は、上に考察された要因並びに接触工程が繰り返される回数に依存する。
【0089】
図3は、マイクロニードル上に配置されたコーティングをともなう一実施形態を図示し、マイクロニードルの先端は、先端から距離270だけ本質的に露出している(コーティングがない、又はコーティングの量が比較的少ない)。マイクロニードル上に配置されたコーティングを含む本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含むある特定の実施形態については、マイクロニードルの先端は、露出している、又は先端上に少量のコーティングのみがある。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、距離270は、先端から基部までの距離の少なくとも1パーセント(0.1h)、3パーセント(0.03h)、又は6パーセント(0.06h)である。これらの実施形態のうちのある特定のものについては、距離270は、先端から基部までの距離の多くても10パーセント(0.1h)である。
【0090】
図5は、マイクロニードルに組成物(コーティング調合物)を接触する前の、マイクロニードルアレイのうちの4つのマイクロニードルを図示する光学顕微鏡写真である。
【0091】
マイクロニードル上に配置されたコーティングを含む、本明細書に説明する実施形態のいずれか1つを含む、ある特定の実施形態については、コーティングは、マイクロニードル上に平均量でマイクロニードル1本当たり0.01〜2マイクログラム存在する。コーティングの重量は、コーティングがマイクロニードル上に配置される前後にマイクロニードルアレイを重量測定し、差をアレイ中のマイクロニードルの数によって割ることによって決定される。コーティングが配置された後に重量測定する前に、揮発可能な担体が除去されたことを示すように、コーティングされたマイクロニードルアレイが一定の重量になるのが好ましい。代替的には、アレイ全体のすべての全マイクロニードル上のコーティング中の固体構成成分(局所麻酔薬などの)の総量は、分析的に判定することができ、次いですべての固体構成成分の既知の重量に基づいて計算された固体の総重量がコーティング調合物に使用された。
【0092】
担体を揮発させることは、例えば、周囲条件で乾燥すること、周囲条件以外の条件(室温以外の温度、又は平均湿度以外の湿度など)で乾燥すること、様々な回数で乾燥すること、熱で乾燥すること、凍結乾燥、冷凍乾燥、他の同様な技法、又はこれらの組み合わせを含む、様々な手段を使用して行うことができる。
【0093】
図6は、マイクロニードルに組成物(コーティング調合物)を接触し、かつ担体を揮発させた後の、マイクロニードルアレイのうちの4つのマイクロニードルを図示する光学顕微鏡写真である。
【0094】
一旦コーティング調合物中の担体(これは溶媒の一部又は全部であってもよい)の少なくとも一部が蒸発すると(単一の接触工程又は多重の接触工程のいずれの後であっても)、マイクロニードルアレイ上のコーティング調合物は、上に説明したように「コーティング」と称することができる。
【0095】
マイクロニードルアレイをコーティングする方法は、コーティングされたマイクロニードルアレイを形成するために使用することができる。マイクロニードル上に配置されたコーティング又はコーティングされたマイクロニードルアレイは、複数のマイクロニードルの少なくとも一部の上のコーティングを含むことができる。
【0096】
上に示したように、溶解性マイクロニードルのアレイを備える医療用デバイス、溶解性マイクロニードルのアレイを使用して哺乳類の組織内で局所に送達された局所麻酔薬投を延長する方法、及び局所麻酔薬を含む溶解性マイクロニードルデバイスを作製する方法も、本明細書で提供される。溶解性マイクロニードルは、同一の構成成分を、マイクロニードル上に配置されたコーティングに対して上に説明した様々な量で含んでもよい。
【0097】
図4は、マイクロニードル基板320上に位置付けられた、4つのマイクロニードル310(
図4ではそのうち2つが参照されている)を含むマイクロニードルアレイ300の一部を断面で図示する。溶解性マイクロニードル部分360は、局所麻酔薬及び投与延長構成成分を含み、かつ所望により賦形剤のいずれかを上に説明したように更に含有してもよい。溶解性マイクロニードル及び基板320の残りの部分は、溶解性マトリックス材料を含む。局所麻酔薬及び投与延長構成成分を無駄にすることを避けるために、これらの物質は、好ましくは、部分360にのみ位置する。しかしながら、局所麻酔薬及び投与延長構成成分は、マイクロニードルの全容積中に、又は基板320を含むマイクロニードルアレイ300全体を通して、含むことができる。好ましくは、溶解性マトリックス材料は、部分360、並びにマイクロニードルのすべての他の部分の中に含まれる。
【0098】
溶解性マイクロニードル中の局所麻酔薬及び投与延長構成成分の重量%は、これらの材料を含むマイクロニードルアレイの全部分内の固体の総重量基づく。例えば、
図4では部分360中の固体の総重量は、重量%の値の基準である。
【0099】
溶解性マトリックス材料は、局所麻酔薬及び投与延長構成成分を組織内に、好ましくは、10分以内に、より好ましくは、1分以内に放出できるようにするために、角質層の下にある組織内に十分に溶解する任意の固体であってもよい。溶解性マイクロニードルを含む、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、溶解性マトリックス材料は、ヒアルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ショ糖、ブドウ糖、デキストラン、トレハロース、マルトデキストリン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される。
【0100】
溶解性マイクロニードルアレイは、揮発性の担体及び溶解性マトリックス材料(好ましくは、水溶性)を含む溶液を微細構造キャビティを含む成形型内に流し込みかつ乾燥することによって製造されてもよい。微細構造キャビティの内部形状は、溶解性マイクロニードルの外側形状に対応する。成形型は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)又は他のプラスチックなどの、溶解性マイクロニードルを作製するために使用される材料に恒久的に結合しない、又はこれに低い接着性を有する材料で構成することができる。
【0101】
局所麻酔薬及び投与延長構成成分は、最初にこれらの構成成分の溶液を揮発可能な担体(好ましくは、溶解性マトリックス材料も含む)とともに微細構造キャビティを備える成形型内に充填することによって溶解性マイクロニードル中に組み込むことができる。少なくとも部分的に乾燥(揮発可能な担体の少なくとも一部を揮発)した後、成形型は溶解性マトリックス材料(麻酔薬及び投与延長構成成分を含まない)の溶液で充填され、その後に乾燥が続く。あるいは、一工程プロセスでは、局所麻酔薬及び投与延長構成成分は、揮発可能な担体をともなう溶液中で溶解性マトリックス材料と組み合わせることができ、成形型はこの溶液で充填され、その後に乾燥が続く。上に説明した、コーティング調合物中の同一の揮発可能な担体がここで使用されてもよい。
【0102】
乾燥は、凍結乾燥、遠心分離、真空、及び/又は加熱などの方法を使用して行うことができる。乾燥後、固体状の溶解性マイクロニードルアレイは、成形型から取り出され、使用する準備が整う。これらの溶液は、上に説明したように、マイクロニードルアレイに使用されるすべての材料の可溶化を確実にするために、水及び/又はエタノールなどの有機溶媒を使用して作製されてもよい。
【0103】
本明細書で提供されるマイクロニードルデバイスは、即時的な送達、例えば、デバイスの適用及び適用部位からの即時的な除去のために使用されてもよい。即時的除去は、10分以内又は10分未満、好ましくは、1分以内又は1分未満とすることができる。
【0104】
図7は、組織内で1分後の、本明細書で提供されるコーティングされたマイクロニードルを図示する光学顕微鏡写真である。コーティングの、すべてでない場合、ほとんどが除去され、かつ組織内に残っていることを明確に示すことができる。
【0105】
マイクロニードルデバイスの適用は、被験者の組織にマイクロニードルが接触し、マイクロニードルを組織内に押し込むように手の圧力を適用することによって行われてもよい。あるいは、圧力を適用し、マイクロニードルを組織内に押し込む、適用デバイスが、使用されてもよい。これは、マイクロニードルを、最適な速度で組織内に押し込む圧力及び力のより一様な分布を提供することができ、これによって本質的にすべてのマイクロニードルが、局所麻酔薬及び投与延長構成成分を組織内に放出することができる。哺乳類の組織内の局所に送達された局所麻酔薬投与を延長する方法の、上の実施形態の任意の1つを含むある特定の実施形態については、マイクロニードルデバイスで組織に接触することは、5〜10メートル/秒のマイクロニードルの速度で行われる。
【0106】
以下の実施例は、本発明の種々の実施形態をより具体的に例示するために提供されるが、これらの実施例において列挙されるその具体的な材料及びその量、並びにその他の条件及び詳細は、本発明を限定することを決して意図していない。
【実施例】
【0107】
以下の実施例で、マイクロニードルアレイをコーティングするために使用されるすべての調合物は、重量パーセント(w/w %)基準で調製され、水中で調製された。例えば、調合物は30%のデキストラン、20%の塩酸リドカイン、及び10%の塩酸テトラカインを含み、40%の水を含む。
【0108】
(実施例1)
テトラカインとともにリドカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0109】
リドカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、20%の塩酸リドカイン(Sigma、St.Louis,MO)及び10%の塩酸テトラカイン(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0110】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のリドカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされた(well-plated)サーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、リドカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、54.4±2.1mcg/アレイの測定されたリドカイン充填量を提供した。
【0111】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したリドカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0112】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるリドカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0113】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0114】
リドカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0115】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:リドカインに対して235→86.2、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。リドカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0116】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され、表1に示される。
【0117】
【表1】
【0118】
(実施例2)
テトラカインとともにプリロカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0119】
プリロカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、12%の塩酸プリロカイン(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)、及び8%の塩酸テトラカイン(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0120】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のプリロカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされたサーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、プリロカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、50.0±2.2mcg/アレイの測定されたプリロカイン充填量を提供した。
【0121】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したプリロカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0122】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるプリロカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0123】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0124】
プリロカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0125】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:プリロカインに対して221.1→86.1、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。プリロカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0126】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され表2に示される。
【0127】
【表2】
【0128】
(実施例3)ブピバカインとともにリドカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0129】
リドカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、30%の塩酸リドカイン(Sigma、St.Louis,MO)、及び1.7%の塩酸ブピバカイン(MP Biomedicals LLC、Solon,OH)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0130】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のリドカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされた(well-plated)サーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、リドカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、91.4±6.0mcg/アレイの測定されたリドカイン充填量を提供した。
【0131】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したリドカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0132】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるリドカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0133】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0134】
リドカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0135】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:リドカインに対して235→86.2、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。リドカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0136】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され表3に示される。
【0137】
【表3】
【0138】
(実施例4)
プロカインとともにリドカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0139】
リドカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、20%の塩酸リドカイン(Sigma、St.Louis,MO)及び10%の塩酸プロカイン(Alfa Aesar、Wardwill,MA)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0140】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のリドカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされた(well-plated)サーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、リドカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、62.3±2.0mcg/アレイの測定されたリドカイン充填量を提供した。
【0141】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したリドカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0142】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるリドカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0143】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0144】
リドカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0145】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:リドカインに対して235→86.2、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。リドカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0146】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され表4に示される。
【0147】
【表4】
【0148】
比較例1
投与延長構成成分なしのリドカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0149】
リドカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、30%の塩酸リドカイン(Sigma、St.Louis,MO)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0150】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のリドカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされた(well-plated)サーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、リドカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、94.0±9.0mcg/アレイの測定されたリドカイン充填量を提供した。
【0151】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したリドカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0152】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるリドカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0153】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0154】
リドカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0155】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:リドカインに対して235→86.2、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。リドカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0156】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され表5に示される。
【0157】
【表5】
【0158】
比較例2
投与延長構成成分なしのプリロカインを含む調合物
マイクロニードルアレイは、クラスVIの医療グレードの液晶ポリマー(LCP)(Vectra(登録商標)MT1300、Ticona Plastics、Auburn Hills,Michigan)から、約1.27cm
2の表面積で射出成型(3M、St.Paul,MN)された。それぞれのマイクロニードルアレイは、八角形のパターン内に用意された316の四面ピラミッド形のマイクロニードルを特徴とし、公称500マイクロメートルのマイクロニードル高さ、約3:1のアスペクト比、公称550マイクロメートルの隣接するマイクロニードルの間の先端間距離を有する。
【0159】
プリロカインは、30%のデキストラン(Pharmacosmos、Holbaek、Denmarkから)、及び15%の塩酸プリロカイン(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)から成る調合物で、浸し塗りプロセスを使用して、マイクロニードルアレイ上にコーティングされた。コーティングの前に、マイクロニードルアレイは、70%のイソプロピルアルコール(BDH、West Chester,PA)で清浄にされ、35℃の炉内で1時間乾燥された。マイクロニードルアレイは、次いでコーティング溶液中に一回浸漬された。コーティングされたマイクロニードルは、35℃で1時間乾燥された。インビボ適用については、それぞれのアレイは、5cm
2の粘着性貼付剤に、1513両面医療用接着剤(3M Company、St.Paul,MN)で取り付けられた。アレイは、インビボ適用の前に、光及び湿気を通さないフォイルパッチ(Oliver−Tolas Healthcare Packaging、Feasterville,PA)内に、室温で格納された。
【0160】
アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物中のプリロカイン含有量の決定は、クォータナリポンプ、十分にメッキされたサーモスタット付きオートサンプラー、サーモスタット付きカラムコンパートメント、及びダイオードアレイUV検出器を備えた、Agilent 1100 HPLC(Agilent Technologies、Wilmington,DE)を使用して行われた。アレイのマイクロニードルの上にコーティングされた調合物は、適切な量の希釈剤(水中の0.1%のトリフルオロ酢酸(TFA、J T.Baker、Phillpsburg,NJ))中に脱着され、HPLCシステム中に注入された。結果は、プリロカイン(遊離塩基)の外部標準に対して、コーティング量と同様な濃度で定量された。3.5μmの粒径、150×3.0mmの内径のZorbax SB−C18カラム(Agilent Technologies、Wilmington,DE)が分離に使用された。2つの溶離剤から成る移動相:溶離剤Aは、100%の水に0.1%のTFAをともなうものであり、溶離剤Bは、100%のアセトニトリル(Spectrum Chemical & Laboratory Products、New Brunswick,NJ)に0.1%のTFAをともなうものであった。80/20〜0/100(A/B)の線形勾配が、5分間にわたって適用された。流速は、0.5mL/分であり、かつUV検出波長は、230nmであった。総照射時間は8分であった。合計5つの複製が行われた。個々の複製からの結果は平均され、51.3±1.6mcg/アレイの測定されたプリロカイン充填量を提供した。
【0161】
上に説明したコーティングされたマイクロニードルアレイを使用したプリロカインの組織へのインビボ送達は、ナイーブな若い大人のメスの雑種の農業用ブタ(Midwest Research Swine、Gibbon,MNからのYorkshire X)を使用して決定された。最小限の皮膚色素沈着を有し、かつ10〜40kgの重量のブタが、研究のために選択された。動物を最初にケタミン(10mg/kg)で鎮静させ、唾液腺、気管気管支、及び咽頭の分泌物を低減するためにグリコピロレート(0.011mg/kg)を筋肉内に与薬した。意図される適用部位におけるブタの皮膚上の毛及び汚れは、合併症を最小限にするために、マイクロニードルアレイの適用の前に除去された。皮膚試験部位は、皮膚の色素沈着及び皮膚の損傷がないことに基づいて選択された。動物が麻酔下にある間に、毛を、まず電気カミソリを使用して刈り込み、続いて湿式マルチブレード使い捨てカミソリ(Schick Xtreme3)及びシェービングクリーム(Gillette Foamy Regular)で剃った。
【0162】
1.5〜4Lの酸素中の1.5〜5%のイソフルランをマスクにより与薬することによって軽い麻酔のサージカルプレーン(surgical plane)に達した。麻酔下の動物は、断熱されたテーブルパッド上に横向きに臥床して置かれた。実験中、動物は、体温を約38℃に制御するために、加熱されたテーブル上に置かれた。動物は、通常の回復が達成されるまで継続的に観察された。マイクロニードルアレイは、約8m/sの衝撃速度を提供するバネ式のアプリケーターでブタのあばらに適用され、アプリケーターを取り外す前に適所にアプリケーターを5秒間保持し、皮膚に1分間接触したままにした。このアプリケーターは、国際特許公報第WO 2005/123173 A1号に以前に説明された。貼付剤は除去され、皮膚表面上に残ったあらゆるプリロカインを除去するために、適用部位をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(EMD chemicals Inc.,Gibbstown,NJ)で湿らせたコットンボールで拭いた。この拭くことに続いて、すべての残ったPBSを除去するために、乾燥したコットンボールを使用した。4mmの皮膚生検(Miltex Inc.,York,PAからの使い捨て生検パンチ)が、アレイの除去後、0、5、15、30、60、90、及び120分の時点でマイクロニードルアレイ適用部位から収集された。生検パンチ試料は、分析されるまで−20℃で保存された。
【0163】
使用された動物施設は、国際実験動物管理公認協会(AAALAC、Frederick,Maryland)によって認定され、かつすべての手順は、許可された所内動物管理使用委員会(IACUC)のプロトコルに従った。
【0164】
プリロカインは、それぞれのブタ皮膚組織生検パンチから酵素消化を使用して抽出された。皮膚組織は、ガラスのバイアル瓶内へ重量測定して入れられ、次いで皮膚組織1mg当たり0.1UのプロテイナーゼK(EMD Chemicals、San Diego,CA)を含む組織消化緩衝剤がこのバイアル瓶に加えられた。組織は、55℃で5時間消化された。消化プロセスは、均質な試料溶液を生成した。
【0165】
LC/MS/MSによる分析のための消化された組織試料を調製するために、タンパク質沈殿が使用された。タンパク質は、内標準としてメピバカインを含む2体積のメタノールを添加し、その後、14,000RPMで10分間遠心分離することによって、消化された組織試料から除去された。結果として得られた試料は、陽イオンモードで運転され、m/z移行:プリロカインに対して221.1→86.1、及びメピバカインに対して247→97.5から、結果として得られた生成物のイオンをモニターするためにTurbo IonSprayインターフェースを使用する、Sciex API3000三重四極子質量分析器(Applied Biosystems、Foster City,CA)を用いて定量的に分析された。プリロカインに対する線形範囲は、1/x
2曲線重み付けを使用して評価され、50.0〜20,000ng/mLであった。
【0166】
合計3つの複製が行われた。個々の複製の結果は、平均され表6に示される。
【0167】
【表6】
【0168】
本明細書中に引用される特許、特許文献、及び刊行物の完全な開示内容を、恰もそれぞれが個々に組み込まれたのと同様に、それらの全体を組み込むものである。本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなく、本発明の様々な改変及び変更が当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されることを意図せず、かかる実施例及び実施形態は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定されることが意図される本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。
本発明の実施態様の一部を以下の項目[1]−[15]に記載する。
[1]
医療用デバイスであって、
マイクロニードルのアレイと、
前記マイクロニードル上に配置されたコーティングと、
を備え、前記コーティングは、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、を含み、前記局所麻酔薬は、前記コーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量で存在し、
前記局所麻酔薬と前記投与延長構成成分とが非共晶重量比である、医療用デバイス。
[2]
哺乳類の組織内の局所に送達された局所麻酔薬投与を延長する方法であって、
局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスで前記組織に接触することを含み、
前記デバイスは、
マイクロニードルのアレイと、
前記マイクロニードル上に配置されたコーティングと、
を備え、前記コーティングは、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、
を含み、前記局所麻酔薬は、前記コーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量で存在し、
前記局所麻酔薬と前記投与延長構成成分とが非共晶重量比である、方法。
[3]
局所麻酔薬をコーティングしたマイクロニードルデバイスを作製する方法であって、
マイクロニードルのアレイを提供することと、
組成物を提供することであって、
リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、
揮発可能な担体と、を含む組成物を提供することと、
前記マイクロニードルに前記組成物を接触させることと、
前記担体の少なくとも一部を揮発させて前記マイクロニードル上に配置されたコーティングを提供することと、
を含み、前記コーティングが前記コーティング中の固体の総重量に基づいて少なくとも1重量%の量の前記局所麻酔薬を含み、前記局所麻酔薬と前記投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、
前記デバイスが、前記マイクロニードル上に配置された前記コーティングをともなう前記マイクロニードルのアレイを備える、方法。
[4]
前記マイクロニードルはそれぞれが先端及び基部を有し、前記先端は前記基部からある距離延在し、前記マイクロニードルの前記先端及び前記先端から前記基部までの前記距離の90パーセント以下に延在する前記マイクロニードルの一部に前記組成物を接触することによって接触することが行われる、項目3に記載の方法。
[5]
前記コーティングが、少なくとも1つの賦形剤を更に含む、項目1に記載のデバイス、又は項目2、3、4のいずれか一項に記載の方法。
[6]
前記コーティングが、前記コーティング中の固体の総重量に基づいて10〜75重量%の前記少なくとも1つの賦形剤を含む、項目5に記載のデバイス、又は項目5に記載の方法。
[7]
前記賦形剤は、ショ糖、デキストリン、デキストラン、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール、アミノ酸、ペプチド、ポリソルベート、ヒト血清アルブミン、サッカリンナトリウム二水和物、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、項目5若しくは6に記載のデバイス、又は項目5若しくは6に記載の方法。
[8]
前記少なくとも1つの賦形剤が糖類である、項目5、6、7のいずれか一項に記載のデバイス、又は項目5、6、7のいずれか一項に記載の方法。
[9]
前記糖類は、デキストラン、ショ糖、トレハロース、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、項目8に記載のデバイス、又は項目8に記載の方法。
[10]
前記局所麻酔薬が、前記コーティング中の固体の総重量に基づいて20〜90重量%の量で存在する、項目1若しくは5〜9のいずれか一項に記載のデバイス、又は項目2〜9のいずれか一項に記載の方法。
[11]
前記投与延長構成成分が、前記コーティング中の固体の総重量に基づいて2〜48重量%の量で存在する、項目1若しくは5〜10のいずれか一項に記載のデバイス、又は項目2〜10のいずれか一項に記載の方法。
[12]
前記コーティングは、マイクロニードル1本当たり平均0.01〜2マイクログラムの量で前記マイクロニードル上に存在する、項目1若しくは5〜11のいずれか一項に記載のデバイス、又は項目2〜11のいずれか一項に記載の方法。
[13]
前記マイクロニードルが、200〜1000マイクロメートルの高さを有する、項目1若しくは5〜12のいずれか一項に記載のデバイス、又は項目2〜12のいずれか一項に記載の方法。
[14]
前記マイクロニードルの少なくとも50%が、前記先端付近で、かつ前記基部に向かう前記距離の50パーセント以下に延在する、前記マイクロニードル上に存在する前記コーティングを有する、項目13に記載のデバイス、又は項目13に記載の方法。
[15]
溶解性マイクロニードルのアレイを備える医療用デバイスであって、前記マイクロニードルは、
溶解性マトリックス材料と、
少なくとも1重量%の、リドカイン、プリロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬と、
テトラカイン、ロピバカイン、ブピバカイン、プロカイン、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される局所麻酔薬投与延長構成成分と、
を含み、前記局所麻酔薬と前記投与延長構成成分とが非共晶重量比であり、
重量%が、前記局所麻酔薬を含む前記溶解性マイクロニードルのすべての部分内の固体の総重量に基づく、医療用デバイス。