(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941105
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】有隔膜電解槽の電解槽構造
(51)【国際特許分類】
C25B 9/02 20060101AFI20160616BHJP
C25B 9/00 20060101ALI20160616BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20160616BHJP
C02F 1/46 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
C25B9/02 302
C25B9/00 A
C25B15/08 302
C02F1/46 A
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-140760(P2014-140760)
(22)【出願日】2014年7月8日
(62)【分割の表示】特願2010-36540(P2010-36540)の分割
【原出願日】2010年2月22日
(65)【公開番号】特開2014-196570(P2014-196570A)
(43)【公開日】2014年10月16日
【審査請求日】2014年7月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000194893
【氏名又は名称】ホシザキ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100064724
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 照一
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 勲
(72)【発明者】
【氏名】吉田 恭一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤田 昌浩
(72)【発明者】
【氏名】畑田 康治
(72)【発明者】
【氏名】片寄 政彦
(72)【発明者】
【氏名】阿知波 信夫
【審査官】
伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】
特開2004−225148(JP,A)
【文献】
特開昭60−125386(JP,A)
【文献】
特開平09−075947(JP,A)
【文献】
特開2002−224671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25B 1/00−15/08
C02F 1/46− 1/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形の外周枠部内に複数本の縦枠を並列に形成した一対のスペーサによって挟持された隔膜と、前記各スペーサの外周枠部の内側にその周縁部を嵌合されて同スペーサの前記縦枠に密着し前記隔膜の両面側に複数のチャンネル状の電解室を上下方向に画成する一対の陽極板と陰極板により構成した複数の電極板ユニットを備え、下方の部位にて被電解水を前記電解室に導入する導入口部を有し上方の部位に前記電解室にて生成された電解生成水を導出する導出口部を有する筺体の内部に、前記電極板ユニットの各一対のスペーサをその外周枠部にて互いに接合して重合した集合体を密封して、前記複数の電極板ユニットの互いに隣り合う同士の間に同一の電極板を共用するように構成し、前記筺体の導入口部に供給される被電解水が前記各電解室に流入して生成された電解生成水が前記筺体の導出部から流出するようにした有隔膜電解槽であって、
前記電極板ユニットをそれぞれ構成する各一対のスペーサが、その外周枠部の内側に前記縦枠に密着させた前記電極板(陽極板又は陰極板)の周縁部が嵌合する深さの嵌合凹部を有し、同外周枠部に前記電極板ユニットが重合されたとき互いに嵌合する凹凸形状の嵌合面を形成してなり、前記電極板ユニットの集合体が前記筐体内に密封された状態にて同電極板ユニットにより画成された前記電解室に前記筐体の導入口部からそれぞれ供給される被電解水が他の電解室に漏洩しないようにしたことを特徴とする有隔膜電解槽。
【請求項2】
前記電極板ユニットの集合体をその両側端面と前後両面に密着させたスペーサを介した前記筐体内に密封したことを特徴とする請求項1に記載した有隔膜電解槽。
【請求項3】
前記筐体は、上方へ僅かに拡開する下筐体と下方へ僅かに拡開する上筐体を開口部位にて重合して接合してなり、同筐体内に収納して前記電極ユニットの集合体の左右両側端面に密着させた側方スペーサと同集合体の前後両面に密着させた前後のスペーサが、前記上下の筐体の接合部位にて最大の厚みを有するようにしたことを請求項2に記載した有隔膜電解槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽に関し、特に、当該有隔膜電解槽の電解槽構造に関する。
【背景技術】
【0002】
電解水生成装置を構成する有隔膜電解槽の一形成として、下方の部位に被電解水の導入口部を有するとともに上方の部位に電解生成水の導出口部を有する所定長さの筺体内に、一対の方形の
縦格子枠状のスペーサにて挟持され
た隔膜の
両面側に陽極側の電極板と陰極側の電極板をそれぞれ配置してなる電極板ユニットを収容してな
り、前記各スペーサの各縦枠部にて互いに並列する所定幅のチャンネルに区画された各電解室を形成する有隔膜電解槽がある。(特許文献1,2を参照)
【0003】
当該形式の有隔膜電解槽においては、隔膜と陽極側の電極板との間に
形成した陽極側電解室
と同隔膜と陰極側の電極板との間に
形成した陰極側電解室に流入する被電解水を有隔膜電解するようになっている。このため、これらの
各電解室内の被電解水や生成される電解生成水の外部への漏洩を防止する
ため、一方のスペーサと筺体の一方の壁部間、および、他方のスペーサと筺体の他方の壁部間にそれぞれシール部材を介装して、
電解生成水の漏洩に対処している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−158084号公報
【特許文献2】特開2004−18836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、本願発明が適用対象とす
る複数の電極板ユニットを互いに重合した状態で収容してなる有隔膜電解槽(複槽式有隔膜電解槽)においては、一対の電解室(陽極側電解室および陰極側電解室)が複数対存在していることから、各対の電解室に対する漏洩対策が重要と
なる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の複式有隔膜電解槽
における各対の電解室からの電解生成水の漏洩に対処するため、方形の外周枠部11、12内に複数本の縦枠23を並列に形成した一対のスペーサ10a、10bによって挟持された隔膜10cと、前記各スペーサの外周枠部の内側にその周縁部を嵌合されて同スペーサの前記縦枠13に密着し前記隔膜の両面側に複数のチャンネル状の電解室を上下方向に画成する一対の陽極板10dと陰極板10eにより構成した複数の電極板ユニット10を備え、下方の部位にて被電解水を前記電解室に導入する導入口部を有し上方の部位にて前記電解室にて生成された電解生成水を導出する導出口部を有する筺体20の内部に、前記電極板ユニットの各一対のスペーサ10をその外周枠部にて互いに接合して重合した集合体を密封して、
前記複数の電極板ユニットの互いに隣り合う同士の間に同一の電極板を共用するように構成し、前記筺体20の導入口部に供給される被電解水が前記各電解室に流入して生成された電解生成水が前記筺体の導出部から流出するようにした有隔膜電解槽であって、前記電極板ユニットをそれぞれ構成する各一対のスペーサが、その外周枠部の内側に前記縦枠に密着させた前記電極板(陽極板又は陰極板)の周縁部が嵌合する深さの嵌合凹部を有し、同外周枠部に前記電極板ユニットが重合されたとき互いに嵌合する凹凸形状の嵌合面を形成してなり、前記電極板ユニットの集合体が前記筐体内に密封された状態にて同電極板ユニットにより画成された
前記電解室に前記筐体の導入口部からそれぞれ供給される被電解水が他の電解室に漏洩しないようにしたことを特徴とする有隔膜電解槽を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る有隔膜電解槽においては、
互いに接合される電極板ユニットの両スペーサ
がその対向面(凹凸形状の嵌合面)にて同一の電極板を共用した状態で互いに嵌合して密着す
るので、
各電極ユニットにより画成された電極室にてそれぞれ生成された電解生成水の他の電解室への漏洩を確実に防止することができる。
【0008】
また、上記の電極板ユニットのかかる組付構造を採用すれば、互いに接合される電極板ユニットの
両スペーサがその外周枠部の内側に電極板を嵌合させた状態で同外周枠部に形成した凹凸形状の嵌合面にて嵌合して密着するので、ガスケット等のシール部材を省略
して部品点数を削減し、組付工数
を削減できる利点がある。さらには、互いに接合される両電極板ユニットのかかる組付構造を採用すれば、スペーサ
の外周枠部内に嵌合した電極板は、スペーサ(特に合成樹脂製の場合)の収縮を防止し、電極板のスペーサからのはみ出しを阻止することができる。
【0009】
本発明に係る有隔膜電解槽においては、電極板ユニットを構成する隔膜と同隔膜を挟持する両スペーサとを互いに一体的に形成する構成を採ることができる。この場合には、各スペーサと隔膜の位置関係の組立バラツキを解消することができて、電極板ユニットの組立性を一層向上させることができる。また、各スペーサと隔膜が密着していることから、経年変化により、各電解室の各チャンネルの位置ずれが皆無となって、被電解水の均一な流路(チャンネル)を長期にわたって確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明に係る有隔膜電解槽を装備した電解水生成装置を示すもので、ケースのフロントカバーを外して電装部を取り出し、ケース内の装置本体を正面から可視し得る状態の斜視図である。
【
図3】本発明に係る有隔膜電解槽の正面図(a)、および、同図の矢印3−3線に沿って切断した縦断側面図(b)である。
【
図4】本発明に係る有隔膜電解槽における筺体と電極板ユニットとの間に挿入する一方のスペーサの正面および側面図(a)、および、他方のスペーサの正面および側面図(b)である。
【
図5】本発明に係る有隔膜電解槽を構成する複数の電極板ユニットを分解した状態の斜視図である。
【
図6】本発明に係る有隔膜電解槽を構成する電極板ユニットを複数重合した状態の正面側からみた斜視図である。
【
図7】本発明に係る有隔膜電解槽を構成する一方の電極板ユニットのスペーサの正面図(a)、および、同スペーサに対向する他方の電極板ユニットのスペーサの正面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には、本発明に
よる電解槽構造を採用した有隔膜電解槽を装備する電解水生成装置を示している。
図1は、当該電解水生成装置のケースAのケース本体a1からフロントカバーa2を外して、電装部Bを取り出し、ケース本体a1内の装置本体Cを正面から可
視できるように分解した状態の斜視図である。
【0012】
当該電解水生成装置は、ケース本体a1内に装置本体Cを収容してなるもの
で、装置本体Cの前面
に各電装部品を支持している支持板b1を取付
け、ケース本体a1の前面側をフロントカバーa2にて覆蓋することにより構成されている。
電装部B
の各部品を支持する支持板b1
は、装置本体Cを仕切る仕切り板として機能していて、
この支持板b1に
は送風ファンb2と空気口b3が設けられている。これにより、送風ファンb2を駆動すれば、電装部品の収容部と装置本体Cの収容部を循環する空気流
が生じて、装置本体Cの水経路部にて冷却した空気を電装部品の収容部側へ還流させて各電装部品を冷却
し、各電装部品の温度を低下させ
る。
【0013】
当該電解水生成装置を構成する装置本体Cは、主要部として有隔膜電解槽Dを備えて
いる。この有隔膜電解槽Dは、
図3に示すように、複数の電極板ユニット10を重合した状態で筺体20内に収容して構成されている。各電極板ユニット10は、互いに同一の構成であって、
その内部には一対の電解室(陽極側電解室および陰極側電解室)が形成されている。
【0014】
当該電解水生成装置においては、
図2に示すように、有隔膜電解
槽Dを収容する筺体20の下方の部位に設けられた被電解水の導入口部に
は被電解水の供給管路31(31a,31b)が接続されてお
り、筺体20の上方の部位に設けられた電解生成水の導出口部に
は各電解生成水を流出させる各流出管路32a,32bが接続されている。
【0015】
被電解水は、高濃度の塩水を原水にて所定濃度に希釈してなる希薄塩水であって、原水が流入する供給管路33の途中に、筺体20の外部に設置されている塩水タンクEから塩水供給管路34を通して一定量の高濃度塩水を継続して供給することによって、供給
導管33内にて調製されるようになっている。調製された被電解水は、供給
導管31の分岐管路部31a,31bを通して、各電極板ユニット10内に形成されている陽極側電解室
と陰極側電解室にそれぞれ供給される。
【0016】
有隔膜電解槽Dにおいては、陽極側電解
室と陰極側電解室に供給され
た被電解水
が電極板ユニット10を構成する陽極側の電極板、陰極側の電極板に沿って上方へ流動し、この間に有隔膜電解されて、陽極側電解室では電解生成酸性水が生成され、同期的に、陰極側電解室では電解生成アルカリ性水が生成される。陽極側電解室にて生成された電解生成酸性
水と陰極側電解室にて生成された電解生成アルカリ性水は、各導出口部を経て各流出管路32a,32bに流出し
て、予め指定されている場所に供給される。なお、
図1の符号Fは、電解生成酸性水の流出
導管32aの先端に接続されるノズルであって電解生成酸性水
を注出
する。
【0017】
本発明に係る有隔膜電解槽Dは、
図3(b)に示すように、複数の電極板ユニット10を互いに重合した集合体として、筺体20内に収容することにより構成されている。電極板ユニット10の集合体を収容する筺体20は、上筺部21と下筺部22とからなるもので、上筺体21は下方へわずかに拡開する形状
に、下筺部22は上方へわずかに拡開する形状に形成されている。
この筺体20は、上筺部21と下筺部22の開口部位を互いに重合して接合さ
れ、これらの両開口部位は最大の拡開幅となるように形成されている。
電極板ユニット10の集合体を筺体20に収容するには、先ず、例えば下筺部22に集合体の
下部を挿入し、次いで、
図4(a)に示す側方スペーサ23を、挿入された集合体と下筺部22の左右の側部間に挿入するとともに、
図4(b)に示す前方
と後
方のスペーサ24を、挿入された集合体と下筺部22の前後の側部間に挿入する。かかる挿入状態の集合体の上半分に上筺部21を嵌合する。
【0018】
これにより、電極板ユニット10の集合体は、その左右の両側部を側方スペーサ23にて密着さ
れ、その前後の側部を前
方と後方スペーサ24に密着された状態
で筺体20内に収容された状態となる。これらの各スペーサ23,24は、その上下方向の中央部が最大の厚みとなっている。各スペーサ23,24の最大厚み部は、上下の筺部21,22の接合部
位に位置し、各スペーサ23,24
との接合部位での密着性を高めて同接合部位での水溶液等の漏洩を防止している。
なお、電極板ユニット10の集合体は、有隔膜電解槽Dの分解時に上下の筺部21,22の接合部位を開放すれば
、容易に取出すことができる。
【0019】
有隔膜電解槽Dを構成する電極板ユニット10は、
図5および
図6に示すように、一対の方形格子枠状のスペーサ10a,10bにて挟持された状態の隔膜10cの各側面側に、各スペーサ10a,10bにて規定される間隔を保持して陽極側の電極板10dと陰極側の電極板10eをそれぞれ配置して構成されている。但し、
図5に例示している電極板ユニット10は、
図6に示すように、互いに重合された集合体として筺体20に収容されることから、互いに隣り合う同士の電極板ユニット10間では、同一の電極板10d,10eを互いに共用する構成になっている。
【0020】
電極板ユニット10を構成するスペーサ10a,10bは、
図7に示すように、略同一形状の格子状枠体であって、互いに対向させた場合には、互いに対称の形状となる。各スペーサ10a,10bは、方形の外周枠部11,12内に、複数本の縦枠部13を有するもので、各縦枠部13は、互いに所定の間隔を保持した並列状態で、上下方向に延びている。これにより、各縦枠部13は、各外周枠部11,12内に形成される各電解室内を複数のチャンネルに区画し、各チャンネルを、被電解水が均等に流動する流路として機能させる。
【0021】
しかして、各スペーサ10a,10bを構成する外周枠部11,12は、各電極板10d,10eを嵌合して外周枠部11,12内に位置する各縦枠部13に受承される深さの嵌合凹部14,15を備えている。また、各外周枠部11,12には、各嵌合凹部14,15と同等の深さの嵌合凹部11a,12aを有する凹凸形状に形成されている。このため、各外周枠部11,12は、凹凸形状を構成する嵌合凹部11a,12aと、これに隣り合う嵌合凸部11b,12bを備える形状となっている。
【0022】
従って、各スペーサ10a,10dは、互いに対向した場合には、互いに対称の凹凸形状となり、両電極板ユニット10を互いに重合する場合には、各外周枠部11,12が有する嵌合凹部11a,12aと嵌合凸部12b,11bとが、互いに嵌合する位置関係となる。各スペーサ10a,10bにおいては、各スペーサ10a,10bが有する各電極板10d,10eを嵌合させる嵌合凹部14,15の深さは、各電極板10d,10eの板厚と同等の深さに設定されており、また、各外周枠部11,12が有する嵌合凹部11a,12aもまた、各電極板10d,10eの板厚と同等の深さに設定されている。
【0023】
かかる構成の本発明に係る有隔膜電解槽Dにおいては、両電極板ユニット10を構成する両スペーサ10a,10bを、その対向する外周枠部11,12の嵌合凹部14,15に、同一の電極板10d,10eを共用した状態で互いに嵌合して、外周枠部11,12を互いに密着させることができ、外周枠部11,12内に形成される各電解室からの被電解水や電解生成水の外部への漏洩を防止することができる。
【0024】
また、両電極板ユニット10のかかる組付構造を採用すれば、両電極板ユニット10を互いに組付ける際には、両スペーサ10a,10bの両外周枠部11,12に介装すべきガスケット等のシール部材を省略することができて、部品点数の削減、これに基づく組付工数の削減、これに基づく部品費用の削減等を図ることができる。
【0025】
さらには、両電極板ユニット10のかかる組付構造を採用すれば、スペーサ10a,10bの外周枠部11,12の嵌合凹部14,15に嵌合した電極板10d,10eは、スペーサ10a,10b(特に合成樹脂製の場合)の収縮を防止し、電極板10d,10eのスペーサ10a,10bからのはみ出しを阻止することができる。
【0026】
本発明に係る有隔膜電解槽Dにおいては、電極板ユニット10を構成する隔膜10cと同隔膜10cを挟持する両スペーサ10a,10bとを、互いに一体的に形成しているので、各スペーサ10a,10bと隔膜10cの位置関係の組立バラツキを解消することができて、電極板ユニット10およびその集合体の組立性を一層向上させることができる。また、各スペーサ10a,10bと隔膜10cは、互いに密着した状態にあることから、経年変化により、各電解室の各チャンネルの位置ずれが皆無となって、被電解水の均一な流路(チャンネル)を長期にわたって確保することができる。
【0027】
なお、本発明に係る有隔膜電解槽Dにおいては、電極板ユニット10の集合体を形成する各電極板10d,10eには、互いに異なる材質で異なる特性の電極板を採用することができる。例えば、陰極側の電極板10eとして、陰極電極として好適に機能するPt電極を採用し、陽極側の電極10dとしては、Pt電極と(Pt−Ir)電極等異なる材質で異なる特性を有する電極を選択的に使用して、陰極側の電極板10eと陽極側の電極板10dを種々の組み合わせを形成して、互いに特性の異なる電解生成水を生成することができる。
【符号の説明】
【0028】
A…ケース、a1…ケース本体、a2…フロントカバー、B…電装部、b1…支持板、b2…送風ファン、b3…開口部、C…装置本体、D…有隔膜電解槽、E…塩水タンク、10…電極板ユニット、10a,10b…スペーサ、10c…隔膜、10d,10e…電極板、11,12…外周枠部、11a,12a…嵌合凹部、11b,12b…嵌合凸部、13…縦枠部、14,15…嵌合凹部、20…筺体、21…上筺部、22…下筺部、23…側方スペーサ、24…前側、後側スペーサ、31(31a,31b)…被電解水の供給管路、32a,32b…電解生成水の流出管路、33…原水供給管路、34…塩水供給管路。