(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電動アシストモータを備える自転車の走行環境または走行状態に関する値である参照値と、記憶されている閾値との関係に基づいて、人力駆動力と前記電動アシストモータの駆動力との比率であるアシスト比を自動的に切り替える自動切替機能、および、
マニュアル操作に基づいて前記アシスト比を切り替える手動切替機能を備え、
前記手動切替機能により前記アシスト比を切り替えたときの前記参照値に基づいて前記閾値を更新し、
前記参照値は、路面の抵抗に関する値である
自転車用制御装置。
前記手動切替機能により前記アシスト比が切り替えられる可能性が高い前記参照値である特定参照値を前記複数の前記参照値に基づいて特定し、前記特定参照値に基づいて前記閾値を更新する
請求項7または8に記載の自転車用制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(実施の形態1)
図1は、電動アシスト自転車である自転車10を示す。自転車10は、ライダーの人力駆動力をアシストする電動アシストモータ(以下では「モータ12」)、自転車10の本体を構成するフレーム14、フレーム14に回転可能に取り付けられる前輪16および後輪18を備える。自転車10はさらに、前輪16の向きを変更するために操作されるハンドル20、後輪18に駆動力を伝達する駆動機構22、駆動機構22に電力を供給するバッテリ24を備える。バッテリ24は、例えばフレーム14に取り付けられる。
【0023】
駆動機構22は、一対のクランクアーム26、一対のクランクアーム26が連結されるクランクシャフト28、クランクアーム26に回転可能に取り付けられる一対のペダル30、および、フレーム14に着脱可能に固定して取り付けられるドライブユニット32を備える。クランクシャフト28は、ドライブユニット32に回転可能に取り付けられる。ドライブユニット32は、モータ12を内部に配置している。
【0024】
駆動機構22はさらに、ワンウェイクラッチ(図示略)を介してクランクシャフト28と連結されるフロントスプロケット34、後輪18の車軸まわりに回転可能に取り付けられるリアスプロケット36、フロントスプロケット34およびリアスプロケット36に巻き掛けられるチェーン38を備える。駆動機構22はさらに、モータ12を含む。モータ12は、例えば電気モータである。モータ12の出力軸は、減速機構(図示略)と接続される。減速機構は、例えば複数の歯車である。
【0025】
クランクアーム26を前回転させる人力駆動力がペダル30に入力される場合、クランクアーム26およびクランクシャフト28がフレーム14に対して一体的に前回転し、クランクシャフト28の回転がフロントスプロケット34に伝達され、フロントスプロケット34の回転がチェーン38によりリアスプロケット36および後輪18に伝達される。一方、クランクアーム26およびクランクシャフト28を後回転させる人力駆動力がペダル30に入力される場合、クランクシャフト28の回転がフロントスプロケット34に伝達されない。
【0026】
モータ12は、人力駆動力に応じて駆動される。モータ12が駆動する場合、モータ12の回転が減速機構により減速され、減速機構の出力がフロントスプロケット34に伝達される。このため、クランクアーム26を回転させるためのライダーの人力駆動力が、モータ12の駆動力によりアシストされる。
【0027】
図2は、自転車10(
図1参照)の電気系の構成を示す。自転車10は、駆動機構22を含む各種の自転車用電気コンポーネントを制御する自転車用制御装置である制御装置40、および、操作信号を制御装置40に出力する操作部42をさらに備える。制御装置40は、自転車10の走行環境、走行状態、および、操作部42の操作であるマニュアル操作等に基づいて、予め用意されている複数のアシストモードの中の1つのアシストモードまたはオフモードを選択する。制御装置40は、マイクロコンピュータとソフトウェアとによって構成される。
【0028】
アシストモードでは、モータ12の駆動力を調節することにより、人力駆動力とモータ12の駆動力との比であるアシスト比を決める。アシストモードとアシスト比とが対応付けられた自転車10では、アシストモードが切り替えられることによりアシスト比が切り替えられ、人力駆動力に対するモータ12の駆動力が増加または減少する。オフモードでは、制御装置40が駆動機構22のモータ12に駆動力を出力させない。
【0029】
各アシストモードに対応するアシスト比は互いに異なる。複数のアシストモードの一例はハイモード、ノーマルモード、ローモード、および、エコモードである。各アシストモードにおける人力駆動力に対するモータ12の駆動力は、ハイモード、ノーマルモード、ローモード、および、エコモードの順に小さくなる。
【0030】
制御装置40は、各種のデータを記憶する記憶部44、記憶部44に記憶されるデータ等に基づいて演算する演算部46、および、アシストモードを切り替えるための切替条件(以下では「モード切替条件」)の成否を判定する判定部48を備える。モード切替条件は、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を増加させるための第1のモード切替条件(
図4参照)、および、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を減少させるための第2のモード切替条件(
図6参照)を含む。
【0031】
制御装置40は、記憶部44、演算部46、および、判定部48により構成される自動切替機能と、手動切替機能とを備える。自動切替機能は、自転車10の傾斜に基づいて、アシスト比を自動的に切り替える機能、すなわち、マニュアル操作から独立してアシスト比を切り替える機能である。手動切替機能は、操作部42のマニュアル操作に基づいてアシスト比を切り替える機能である。
【0032】
自動切替機能に基づく制御装置40の動作は、自転車10の走行環境または走行状態に関する値である参照値と、記憶部44に記憶されている閾値との関係に基づいてアシスト比を切り替える動作を含む。制御装置40は、操作部42のマニュアル操作に基づいてアシスト比を切り替えたときの参照値を記憶部44に記憶させ、記憶部44に記憶されている閾値を記憶した参照値に基づいて更新し、更新した閾値を自動切替機能に用いる。
【0033】
自転車10は、制御装置40と接続される勾配検出センサ50および表示部52をさらに備える。勾配検出センサ50および表示部52は、電気コンポーネントである。勾配検出センサ50の一例は、角度センサであり、フレーム14(
図1参照)に取り付けられる。角度センサは、例えば加速度センサによって実現される。勾配検出センサ50は、フレーム14のうちの自転車10の挙動の影響を受けにくい部分に取り付けられることが好ましい。勾配検出センサ50は、参照値の一例である路面の勾配を検出する。勾配検出センサ50は、検出した勾配の情報である勾配情報を制御装置40に出力する。勾配情報は、勾配に関する値を含む。表示部52は、制御装置40の指令信号に応じてマニュアル操作に対応する情報を表示する。
【0034】
図3は、操作部42および表示部52の一例を示す。操作部42および表示部52は、一体的に構成され、ハンドル20に取り付けられる。操作部42の一例は、ボタンであり、第1操作スイッチ54および第2操作スイッチ56を含む。
【0035】
第1操作スイッチ54および第2操作スイッチ56は、操作される毎に制御装置40(
図2参照)に操作信号を出力する。制御装置40は、第1操作スイッチ54から出力された操作信号を受信した場合、人力駆動力に対するモータ12の駆動力が増加するようにアシストモードを切り替える。制御装置40は、第2操作スイッチ56から出力された操作信号を受信した場合、人力駆動力に対するモータ12の駆動力が減少するようにアシストモードを切り替える。
【0036】
表示部52は、制御装置40の指令信号に基づいて点灯または消灯する複数のランプを備える。複数のランプの一例は、LED(Light Emitting Diode)ランプであり、第1ランプ58、第2ランプ60、第3ランプ62、第4ランプ64、および、第5ランプ66を含む。第1ランプ58は、ハイモードが選択されているときに点灯する。第2ランプ60は、ノーマルモードが選択されているときに点灯する。第3ランプ62は、ローモードが選択されているときに点灯する。第4ランプ64は、エコモードが選択されているときに点灯する。第5ランプ66は、オフモードが選択されているときに点灯する。
【0037】
図4は、第1のモード切替条件の一例を示す。第1のモード切替条件は、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を増加させるための閾値である増加閾値と、路面の勾配との関係を表す。記憶部44(
図2参照)は、複数の増加閾値を記憶している。複数の増加閾値の一例は、第1増加閾値TU1、第2増加閾値TU2、および、第3増加閾値TU3を含む。なお、
図4では、二点鎖線により各増加閾値TU1〜TU3を示している。
【0038】
判定部48(
図2参照)は、勾配検出センサ50(
図2参照)から入力される勾配情報と各増加閾値TU1〜TU3との関係に基づいて、以下に示すように第1のモード切替条件の成否を判定する。
【0039】
エコモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第1増加閾値TU1未満の大きさから第1増加閾値TU1以上の大きさに変化したとき、判定部48は第1のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをエコモードからローモードに切り替える。
【0040】
ローモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第2増加閾値TU2未満の大きさから第2増加閾値TU2以上の大きさに変化したとき、判定部48は第1のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをローモードからノーマルモードに切り替える。
【0041】
ノーマルモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第3増加閾値TU3未満の大きさから第3増加閾値TU3以上の大きさに変化したとき、判定部48は第1のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをノーマルモードからハイモードに切り替える。
【0042】
制御装置40は、勾配情報に基づいて各増加閾値TU1〜TU3を更新する。ここでは、各増加閾値TU1〜TU3を代表して第2増加閾値TU2の更新方法について説明する。なお、第1増加閾値TU1および第3増加閾値TU3の更新方法は、第2増加閾値TU2の更新方法と実質的に同じである。
【0043】
制御装置40は、第1操作スイッチ54(
図3参照)の操作に基づいてアシストモードをローモードからノーマルモードに切り替える毎に、そのときに得られた勾配情報に関するデータ(以下では「モード切替時のデータ」)を記憶部44に記憶させる。モード切替時のデータの総数が所定の数に達したとき、演算部46(
図2参照)は、次の手順により第2増加閾値TU2を更新する。
【0044】
演算部46はまず、アシストモードを切り替える頻度(以下、「モード切替頻度」)と勾配情報との関係を求める。
図5は、その一例を示す。演算部46は次に、その関係から特異点を除去する。特異点は、例えば参照する全てのデータのうちの所定の領域に含まれるデータである。所定の領域は、例えば全てのデータにおける上位の数%および下位の数%である。上位の数%は、例えば1%であり、下位の数%は、例えば1%である。
【0045】
演算部46は次に、モード切替頻度が最も高い勾配情報である特定参照値を特定する。
図5に示される例によれば、勾配5%を示す勾配情報が特定参照値である。実際の路面の勾配が特定参照値を跨いで増加する場合、マニュアル操作に基づいてアシストモードが切り替えられる可能性が高い。
【0046】
演算部46(
図2参照)は次に、特定参照値以下の領域に新たな第2増加閾値TU2を設定する。新たな第2増加閾値TU2は、特定参照値よりも自転車10のペダリングの負荷が低い領域、すなわち、特定参照値未満の領域に設定されることが好ましい。新たな第2増加閾値TU2を特定参照値未満の領域に設定することによって、ライダーの意図よりも少し早い段階でアシスト比を切り替えることができる。新たな第2増加閾値TU2は、例えば特定参照値に1未満の所定の係数を乗算することにより、または、特定参照値から所定値を減算することにより求められる。また、新たな第2増加閾値TU2は、特異点を除いたモード切替時のデータにおける勾配の小さい方から所定の割合を含む領域のうち、最大の勾配の領域に設定されてもよい。所定の割合は、例えば20%〜30%である。第2増加閾値TU2の下限値は、第1増加閾値TU1よりも大きい。記憶部44(
図2参照)は、記憶している第2増加閾値TU2を新たな第2増加閾値TU2に更新する。このように、制御装置40(
図2参照)は、勾配情報に基づいて各増加閾値TU1〜TU3を更新する。
【0047】
図6は、第2のモード切替条件の一例を示す。第2のモード切替条件は、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を減少させるための閾値である減少閾値と、路面の勾配との関係を表す。記憶部44(
図2参照)は、複数の減少閾値を記憶している。複数の減少閾値の一例は、第1減少閾値TD1、第2減少閾値TD2、および、第3減少閾値TD3を含む。なお、
図6では、二点鎖線により各減少閾値TD1〜TD3を示している。
【0048】
判定部48(
図2参照)は勾配検出センサ50(
図2参照)から入力される勾配情報と各減少閾値TD1〜TD3との関係に基づいて、以下に示すように第2のモード切替条件の成否を判定する。
【0049】
ハイモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第3減少閾値TD3以上の大きさから第3減少閾値TD3未満の大きさに変化したとき、判定部48は第2のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをハイモードからノーマルモードに切り替える。
【0050】
ノーマルモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第2減少閾値TD2以上の大きさから第2減少閾値TD2未満の大きさに変化したとき、判定部48は第2のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをノーマルモードからローモードに切り替える。
【0051】
ローモードが選択されている場合に、勾配情報により示される路面の勾配が第1減少閾値TD1以上の大きさから第1減少閾値TD1未満の大きさに変化したとき、判定部48は第2のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40がアシストモードをローモードからエコモードに切り替える。
【0052】
なお、操作部42(
図3参照)の操作に基づいてアシストモードが切り替えられた場合、制御装置40は、例えば第1のモード切替条件および第2のモード切替条件のいずれかのモード切替条件が成立するまでアシストモードを自動的に切り替えない。
【0053】
制御装置40は、勾配情報に基づいて各減少閾値TD1〜TD3を更新する。ここでは、各減少閾値TD1〜TD3を代表して第2減少閾値TD2の更新方法について説明する。なお、第1減少閾値TD1および第3減少閾値TD3の更新方法は、第2減少閾値TD2の更新方法と実質的に同じである。
【0054】
制御装置40は、第2操作スイッチ56(
図3参照)の操作に基づいてアシストモードをノーマルモードからローモードに切り替える毎に、モード切替時のデータを記憶部44に記憶させる。モード切替時のデータの総数が所定の数に達したとき、演算部46(
図2参照)は、次の手順により第2減少閾値TD2を更新する。
【0055】
演算部46はまず、モード切替頻度と勾配情報との関係を求める。
図7は、その一例を示す。演算部46は次に、その関係から特異点を除去する。演算部46は次に、特定参照値を特定する。
図7に示される例によれば、勾配5%を示す勾配情報が特定参照値である。実際の路面の勾配が特定参照値を跨いで減少する場合、マニュアル操作に基づいてアシストモードが切り替えられる可能性が高い。
【0056】
演算部46(
図2参照)は次に、特定参照値以上の領域に新たな第2減少閾値TD2を設定する。新たな第2減少閾値TD2は、特定参照値よりも自転車10のペダリングの負荷が高い領域、すなわち、特定参照値よりも大きい領域に設定されることが好ましい。新たな第2増加閾値TU2を特定参照値よりも大きい領域に設定することによって、ライダーの意図よりも少し早い段階でアシスト比を切り替えることができる。新たな第2減少閾値TD2は、例えば特定参照値に1以上2未満の所定の係数を乗算することにより、または、特定参照値に所定値を加算することにより求められる。また、新たな第2減少閾値TD2は、特異点を除いたモード切替時のデータにおける勾配の大きい方から所定の割合を含む領域のうち、最小の勾配の領域に設定されてもよい。所定の割合は、例えば20%〜30%である。第2減少閾値TD2の上限値は、第3減少閾値TD3よりも小さい。記憶部44(
図2参照)は、記憶している第2減少閾値TD2を新たな第2減少閾値TD2に更新する。このように、制御装置40(
図2参照)は、勾配情報に基づいて各減少閾値TD1〜TD3を更新する。
【0057】
図8は、制御装置40により実行される制御のフローチャートを示す。制御装置40は、アシストモードがオフモードから他のモードに切り替えられた場合、または、電源が投入されて制御装置40が起動したときに、アシストモードがオフモード以外のモードに設定されている場合、
図8の処理を開始する。
【0058】
制御装置40は、ステップS11において、第1操作スイッチ54または第2操作スイッチ56から操作信号を受信したか否かを判定する。操作信号を受信している場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS12に移行する。操作信号を受信していない場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS18に移行する。
【0059】
制御装置40は、ステップS12において、アシストモードをオフモードに変更するか否かを判定する。アシストモードをオフモードに変更すると判定した場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS19に移行する。アシストモードをオフモードに変更しないと判定した場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS13に移行する。
【0060】
制御装置40は、ステップS13において、アシストモードの切り替えが可能であるか否かを判定する。アシストモードの切り替えが可能であると判定した場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS14に移行する。アシストモードの切り替えが不可能であると判定した場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS11に移行する。制御装置40は、ハイモードが選択されている場合に第1操作スイッチ54が操作されたとき、ステップS13においてアシストモードの切り替えが不可能であると判定する。
【0061】
制御装置40は、ステップS14において、操作信号に基づいてアシストモードを切り替え、そのときの勾配情報に関するデータを記憶部44に記憶させる。勾配情報に関するデータは、アシストモードが切り替えられる毎に記憶部44に記憶される。
【0062】
制御装置40は、ステップS15において、勾配情報に関するデータの総数が所定の数に達したか否かを判定する。勾配情報に関するデータの総数は、エコモードからローモードに切り替えたときの勾配情報に関するデータの総数、ローモードからノーマルモードに切り替えたときの勾配情報に関するデータの総数、ノーマルモードからハイモードに変更したときの勾配情報に切り替えたときの勾配情報に関するデータの総数、ハイモードからノーマルモードに切り替えたときの勾配情報に関するデータの総数、ノーマルモードからローモードに切り替えたときの勾配情報に関するデータの総数、および、ローモードからエコモードに切り替えたときの勾配情報に変更したときの勾配情報に関するデータの総数を含み、制御装置40はこれらのデータの総数を別々に集計する。制御装置40は、ステップS15において、上記データの総数のうちのいずれかのデータの総数が所定の数に達した否かを判断している。勾配情報に関するデータの総数が所定の数に達している場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS16に移行する。勾配情報に関するデータの総数が所定の数に達していない場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS19に移行する。
【0063】
制御装置40は、ステップS16において、演算部46によって勾配情報に関するデータに基づいて新たな増加閾値または新たな減少閾値を算出する。制御装置40は、ステップS17において、増加閾値を演算部46により算出された新たな増加閾値または新たな減少閾値に更新して記憶部44に記憶する。
【0064】
制御装置40は、ステップS18において、判定部48によってモード切替条件が成立したか否かを判定する。モード切替条件が成立している場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS19に移行する。モード切替条件が成立していない場合、制御装置40が実行する処理が、ステップS11に移行する。
【0065】
制御装置40は、ステップS19において、マニュアル操作またはモード切替条件に基づいてアシストモードを切り替える。なお、制御装置40は、ステップS12において、アシストモードをオフモードに変更すると判定し、アシストモードがオフモードに切り替えられるまで、または、電源が落とされるまでステップS11〜ステップS19の処理を繰り返す。
【0066】
図2を参照して、自転車10の作用について説明する。
ライダーは自転車10(
図1参照)に乗って坂道を走行するとき、ペダリングの負荷に応じて第1操作スイッチ54または第2操作スイッチ56をマニュアル操作して、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を変更する。
【0067】
ライダー毎のばらつきが存在するものの、自転車10が坂道を走行する場合にライダーが各操作スイッチ54,56を操作するタイミングは、坂道の勾配と相関を有する。これは、坂道の勾配がライダーに与える負荷と相関を有することと関係している。
【0068】
このため、第1操作スイッチ54におけるモード切替頻度が最も高いときの坂道の勾配は、そのライダーが自転車10により坂道を走行するときに人力駆動力に対するモータ12の駆動力の増加を期待する勾配と推定できる。また、第2操作スイッチ56におけるモード切替頻度が最も高い坂道の勾配は、そのライダーが自転車10により坂道を走行するときに人力駆動力に対するモータ12の駆動力の減少を期待する勾配と推定できる。
【0069】
制御装置40には、このような事項を踏まえた制御が組み込まれている。その制御では、モード切替頻度が最も高い勾配情報である特定参照値を特定し、その特定参照値をモード切替条件に基づくアシストモードの切り替えが期待されるタイミングの予測に活用している。そして、特定参照値を基準に閾値が更新されるため、自転車10が坂道を走行する場合にライダーが期待するタイミングでアシストモードが切り替えられやすくなる。このように、制御装置40を搭載する自転車10によれば、ライダーの意図が自転車10の挙動に反映されやすい。これは、快適な運転環境をライダーに提供することに寄与する。
【0070】
実施の形態1によれば、さらに以下の効果が得られる。
(1)制御装置40は、勾配情報に関する複数のデータに基づいて閾値を更新する。このため、ライダーの意図が一層反映されやすい。
【0071】
(2)制御装置40は、特異点を除去した勾配情報に関するデータに基づいて閾値を更新する。このため、例えば操作部42の誤操作が勾配情報に関するデータに反映されていたとしても、更新された閾値がライダーの意図から外れにくい。
【0072】
(3)制御装置40は、特定参照値よりも小さい領域に新たな増加閾値TU1〜TU3を設定する。このため、路面の勾配の増加にともない、ライダーが第1操作スイッチ54を操作する可能性が高いタイミングよりも前に、人力駆動力に対するモータ12の駆動力が増加するようにアシストモードが切り替えられる。すなわち、ライダーが第1操作スイッチ54を操作する体勢に入る前に、アシストモードが切り替えられる。このため、ライダーがアシストモードを切り替えるために動作しなくとも、おおよそ期待するタイミングでアシストモードが切り替えられる。このため、より快適な運転環境がライダーに提供される。
【0073】
(4)制御装置40は、特定参照値よりも大きい領域に新たな減少閾値TD1〜TD3を設定する。このため、路面の勾配が減少する場合においても上記(3)の効果に準じた効果が得られる。
【0074】
(実施の形態2)
実施の形態2の自転車用制御装置は、以下に説明する点において実施の形態1の自転車用制御装置と相違し、その他の点において実施の形態1の自転車用制御装置と実質的に同じ構成を備える。なお、実施の形態2の自転車用制御装置の説明は、実施の形態1の自転車用制御装置と共通する構成に同一の符号を付し、その構成の説明の一部または全部を省略する。
【0075】
自転車10は、制御装置40と接続される電気コンポーネントである風力センサ(図示略)をさらに備える。風力センサは、フレーム14またはハンドル20に取り付けられる。風力センサは、参照値の一例である風力を検出する。風力センサは、検出した風力の情報である風力情報を制御装置40に出力する。風力情報は、風力に関する値を含む。
【0076】
制御装置40は、複数の種類の参照値を組み合わせて複合値を決め、記憶されている複合閾値と複合値との関係に基づいてアシスト比を切り替える。制御装置40は、例えば勾配情報と風力情報とを組み合わせることにより複合値を演算する。なお、複合値は、自転車10の負荷のレベルで表される。
【0077】
制御装置40は、複合値と複合閾値との関係に基づいて判定部48によりモード切替条件の成否をさらに判定させる。モード切替条件は、複合値と複合閾値との関係に基づいて人力駆動力に対するモータ12の駆動力を増加させるための第3のモード切替条件(
図9参照)、および、複合値と複合閾値との関係に基づいて人力駆動力に対するモータ12の駆動力を減少させるための第4のモード切替条件(図示略)をさらに含む。
【0078】
図9は、第3のモード切替条件の一例を示す。第3のモード切替条件は、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を増加させるための複合閾値である複合増加閾値と複合値との関係を表す。記憶部44(
図2参照)は、複数の複合増加閾値を記憶している。複数の複合増加閾値の一例は、第1複合増加閾値TX1、第2複合増加閾値TX2、および、第3複合増加閾値TX3を含む。なお、
図9では、二点鎖線により各複合増加閾値TX1〜TX3を示している。
【0079】
判定部48(
図2参照)は、制御装置40(
図2参照)が演算した複合値と各複合増加閾値TX1〜TX3との関係に基づいて、以下に示すように第3のモード切替条件の成否を判定する。
【0080】
エコモードが選択されている場合に、演算された複合値が第1複合増加閾値TX1未満の大きさから第1複合増加閾値TX1以上の大きさに変化したとき、判定部48が第3のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40は、アシストモードをエコモードからローモードに切り替える。
【0081】
ローモードが選択されている場合に、演算された複合値が第2複合増加閾値TX2未満の大きさから第2複合増加閾値TX2以上の大きさに変化したとき、判定部48が第3のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40は、アシストモードをローモードからノーマルモードに切り替える。
【0082】
ノーマルモードが選択されている場合に、演算された複合値が第3複合増加閾値TX3未満の大きさから第3複合増加閾値TX3以上の大きさに変化したとき、判定部48が第3のモード切替条件が成立したと判定し、制御装置40は、アシストモードをノーマルモードからハイモードに切り替える。なお、各複合増加閾値TX1〜TX3の更新方法は各増加閾値TU1〜TU3の更新方法と実質的に同じである。
【0083】
また、第4のモード切替条件は、人力駆動力に対するモータ12の駆動力を減少させるための複合閾値である複合減少閾値と複合値との関係を表す。記憶部44(
図2参照)は、複数の複合減少閾値を記憶している。複数の複合減少閾値の一例は、第1複合減少閾値、第2複合減少閾値、および、第3複合減少閾値を含む。
【0084】
判定部48は、制御装置40が演算した複合値と各複合減少閾値との関係に基づいて、第4のモード切替条件の成否を判定する。なお、第4のモード切替条件の成否の判定および各複合減少閾値の更新方法は、第2のモード切替条件の成否の判定および各減少閾値TD1〜TD3の更新方法と実質的に同じである。
【0085】
制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、複合値と複合閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0086】
実施の形態2によれば、実施の形態1により得られる(1)〜(4)の効果に加えて、さらに以下の効果が得られる。
(5)自転車用制御装置によれば、勾配情報と閾値との関係に加えて、複合値と複合閾値との関係に基づいてアシストモードが切り替えられる。このため、勾配情報と閾値との関係のみに基づいてアシストモードを切り替える場合と比較して、ライダーの意図が自転車10の挙動に一層反映されやすい。
【0087】
(実施の形態3)
実施の形態3の自転車用制御装置は、以下に説明する点において実施の形態1の自転車用制御装置と相違し、その他の点において実施の形態1の自転車用制御装置と実質的に同じ構成を備える。なお、実施の形態3の自転車用制御装置の説明は、実施の形態1の自転車用制御装置と共通する構成に同一の符号を付し、その構成の説明の一部または全部を省略する。
【0088】
自転車10は、変速比が変更可能な変速機(図示略)をさらに備える。変速機は、例えばハブと一体的に構成された内装変速機または外装変速機である。
図10に示されるように、変速機は、変速比を切り替えるための駆動力を伝達するアクチュエータ68、および、アクチュエータ68により制御される遊星歯車機構(図示略)を備える。アクチュエータ68は、例えば電気モータであり、遊星歯車機構を構成する歯車の回転を制御することにより変速比を切り替える。自転車10(
図1参照)は、変速比の切り替えに関する操作信号を制御装置40に出力する変速操作部70をさらに備える。
【0089】
制御装置40は、記憶部44、演算部46、および、判定部48により構成される変速比に関する自動切替機能および手動切替機能をさらに備える。変速比に関する自動切替機能は変速比を自動的に切り替える機能、すなわち、マニュアル操作から独立して変速比を切り替える機能である。手動切替機能は、マニュアル操作に基づいて変速比を切り替える機能である。
【0090】
変速比に関する自動切替機能に基づく制御装置40の動作は、参照値と記憶部44に記憶されている閾値との関係に基づいて変速比を切り替える動作を含む。この制御装置40の動作は、アシスト比を切り替える動作と実質的に同じである。制御装置40は、変速操作部70のマニュアル操作に基づいて変速比を切り替えたときの参照値を記憶部44に記憶させ、記憶部44に記憶されている閾値をその参照値に基づいて更新し、更新した閾値を変速比に関する自動切替機能に用いる。
【0091】
このような構成によれば、自転車10が坂道を走行する場合にライダーが期待するタイミングで変速比が切り替えられやすくなる。このため、制御装置40を搭載する自転車10によれば、ライダーの意図が自転車10の挙動に反映されやすい。これは、快適な運転環境をライダーに提供することに寄与する。なお、実施の形態3の自転車用制御装置によれば、実施の形態1の(1)〜(4)の効果も得られる。
【0092】
(変形例)
各実施の形態に関する説明は、本発明に従う自転車用制御装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明に従う自転車用制御装置は、各実施の形態以外に例えば以下に示される各実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0093】
・実施の形態1または実施の形態3の変形例によれば、自転車10は参照値の一例である風力を検出する風力センサを勾配検出センサ50に代えて備える。風力センサは例えばフレーム14またはハンドル20に取り付けられ、検出した風力の情報である風力情報を制御装置40に出力する。風量情報は、風力に関する値を含む。
【0094】
制御装置40は、風力情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの風力情報のデータを記憶部44に記憶させ、風力情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0095】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50および風力センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、風力情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0096】
・自転車10は、前輪16または後輪18の回転角度を検出する磁気センサを勾配検出センサ50に代えて備える。自転車10はさらに、ホイールのスポークに取り付けられる磁石を備える。磁気センサは、フレーム14に取り付けられる。磁気センサは、前輪16または後輪18の回転角度に関する情報である角度情報、または、前輪16または後輪18の回転速度に関する情報である速度情報を制御装置40に出力する。
【0097】
制御装置40は、角度情報または速度情報に基づいて自転車10の走行距離に関する情報である距離情報を求める。距離情報は、参照値の一例であり、自転車10の走行距離に関する値を含む。制御装置40は、距離情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの距離情報のデータを記憶部44に記憶させ、距離情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0098】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50および磁気センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、距離情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0099】
・自転車10は、参照値の一例である自転車10に搭載される荷物の重量を検出する荷重センサを勾配検出センサ50に代えて備える。荷重センサは、例えば自転車10のバスケットまたはキャリアに取り付けられ、検出した重量の情報である重量情報を制御装置40に出力する。重量情報は、荷物の重量に関する値を含む。
【0100】
制御装置40は、重量情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの重量情報のデータを記憶部44に記憶させ、重量情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0101】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50および荷重センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、重量情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0102】
・自転車10は、参照値の一例である人力駆動力を検出する荷重センサを勾配検出センサ50に代えて備える。荷重センサは、例えばペダル30またはクランクアーム26に取り付けられ、検出した人力駆動力の情報である人力情報を制御装置40に出力する。人力情報は、人力駆動力に関する値を含む。
【0103】
制御装置40は、人力情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの人力情報のデータを記憶部44に記憶させ、人力情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0104】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50および荷重センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、人力情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0105】
・自転車10は、参照値の一例である路面の抵抗に関連する情報を検出する複数のセンサを勾配検出センサ50に代えて備える。複数のセンサは、例えば人力駆動力を検出する荷重センサ、および、クランクシャフト28の回転速度を検出する回転速度センサである。回転速度センサは、クランクシャフト28の回転速度に関する情報を制御装置40に出力する。
【0106】
制御装置40は、上記各センサから得られる情報に基づいて路面の抵抗に関する情報である抵抗情報を求める。抵抗情報は、参照値の一例であり、路面の抵抗に関する値を含む。制御装置40は、抵抗情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの抵抗情報のデータを記憶部44に記憶させ、抵抗情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0107】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50、荷重センサ、および、回転速度センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、抵抗情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0108】
・自転車10は、参照値の一例である自転車10の進行方向の加速度を検出する加速度センサを勾配検出センサ50に代えて備える。加速度センサは、例えばフレーム14に取り付けられ、検出した加速度の情報である加速度情報を制御装置40に出力する。加速度情報は、自転車10の加速度に関する値を含む。
【0109】
制御装置40は、加速度情報と閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、制御装置40は、アシストモードを切り替えたときの加速度情報のデータを記憶部44に記憶させ、加速度情報に基づく所定の更新方法により閾値を更新する。
【0110】
・上記変形例のさらに別の例によれば、自転車10は、勾配検出センサ50および加速
度センサを併せて備える。制御装置40は、勾配情報と閾値との関係に基づくモード切替条件、および、加速度情報と閾値との関係に基づくモード切替条件を予め決められたルールに従って使い分ける。例えば、早く成立したモード切替条件に基づいてアシストモードが切り替えられる。
【0111】
・実施の形態2の変形例によれば、判定部48は、複合値のレベルと各複合増加閾値TX1〜TX3および各複合減少閾値との関係だけに基づいて、モード切替条件の成否を判定する。
【0112】
・実施の形態2の変形例によれば、複合値は勾配情報、風力情報、距離情報、重量情報、人力情報、抵抗情報、および、加速度情報のうちの少なくとも2つが組み合わせられた情報である。
【0113】
・実施の形態3の変形例によれば、制御装置40は、参照値と記憶されている閾値との関係に基づいて変速比のみを自動的に切り替える。
・実施の形態3の変形例によれば、自転車10からモータ12、操作部42、および、表示部52を省略してもよい。
【0114】
・複数のアシストモードの内容は、任意に変更可能である。
・制御装置40は、複数の種類の参照値とその参照値のそれぞれに対応する複数の閾値との関係に基づいてアシストモードを切り替える。複数の参照値は、勾配情報、風力情報、距離情報、重量情報、人力情報、抵抗情報、および、加速度情報のそれぞれに対応する参照値のうちの少なくとも2つである。この場合、制御装置40は、例えば最も早くモード切替条件が成立する閾値を用いてアシストモードを切り替える。
【0115】
・制御装置40は、マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えた場合、勾配の変動が所定の範囲に収まっているか否かを判定する。勾配の変動が所定の範囲に収まっている場合、制御装置40は、勾配情報を記憶部44に記憶させる。アシストモードを切り替えた時点から所定の時間が経過するまでの間に、勾配の変動が所定の範囲に収まらない場合、制御装置40は、そのアシストモードの切替時における勾配情報を記憶部44に記憶させない。この構成によれば、勾配の変動が大きいときの勾配情報が閾値の更新に用いられにくい。
【0116】
・制御装置40は、モード切替時のデータの総数が所定の数に達していない場合であっても、自転車10の走行距離が所定の走行距離に達したときに、参照値に基づいて閾値を更新する。この構成によれば、ライダーによる操作部42の操作回数が少なくても、勾配情報が閾値を更新することができる。
【0117】
・制御装置40は、特定参照値を新しい閾値に設定する。
・制御装置40は、マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替えたときの1つの勾配情報に関するデータに基づいて新しい閾値を設定する。
【0118】
・制御装置40は、マニュアル操作に基づいてアシストモードを切り替える毎に閾値を更新する。
・フロントスプロケット34がクランクシャフト28と相対回転しないように連結される。この場合、自転車10は後輪18のハブにコースターブレーキを備える形態を取り得る。