(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記固定片より熱伝導率の低い導電体が、前記固定片と前記正特性サーミスターとの間において、前記固定片と前記正特性サーミスターの両者に電気的に接触するように介在されていることを特徴とする請求項1に記載のブレーカー。
前記可動片より熱伝導率の低い導電体が、前記熱応動素子と前記可動片との間において、少なくとも前記固定接点から前記可動接点が離反しているとき、前記熱応動素子と前記可動片の両者に電気的に接触するように介在されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のブレーカー。
前記導電体の導電率は、前記固定片及び/又は可動片を構成する材料の導電率の50%未満であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のブレーカー。
前記正特性サーミスターは、直径が2mm未満かつ高さが0.26mm未満の円柱形状、又はそれに相当する底面積及び体積の形状に形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のブレーカー。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に示された自己保持機能を有するブレーカーにおいては、ブレーカーの過熱によって熱応動素子が変形すると共に、PTCサーミスターの抵抗が増加し、そのジュール熱によって熱応動素子の変形が保持される。ところが、PTCサーミスターは、その裏面において固定片と接触しているため、固定片を介して放熱されブレーカーの外部に熱が逃げる。同様に、PTCサーミスターは、その表面において熱応動素子と接触し、この熱応動素子は可動片とも接触しているため、熱応動素子及び可動片を介して放熱されブレーカーの外部に熱が逃げる。このような、固定片及び可動片等から逃げる熱がPTCサーミスターで発生するジュール熱よりも大きくなると、PTCサーミスターの温度が低下し、ブレーカーの自己保持機能が正常に働かなくなる。そのため、PTCサーミスターにて発生するジュール熱を大きくするために、PTCサーミスターの厚みを増やすことにより、PTCサーミスターの抵抗を大きくしていた。また、PTCサーミスターの蓄熱量を大きくするために、PTCサーミスターの体積を大きくしていた。これらの方策は、いずれもブレーカーの小型化を妨げる要因となっていた。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、小型化を図りつつ自己保持機能を正常に働かせることができるブレーカーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明のブレーカーは、固定接点を有する固定片と、弾性変形する弾性部と該弾性部の先端部に可動接点とを有し、前記可動接点を前記固定接点に押圧して接触させる可動片と、温度変化に伴って変形することにより前記可動接点が前記固定接点から離反するように前記可動片を作動させる熱応動素子と、前記熱応動素子と前記固定片との間に介挿され、前記固定接点から前記可動接点が離反しているときに、前記熱応動素子を介して前記可動片と前記固定片を導通させる正特性サーミスターと、前記固定片、可動片及び熱応動素子を収容するケースとを備えたブレーカーにおいて、前記ケース内であって、前記熱応動素子及び前記正特性サーミスターを具備する熱機能パッケージの外側に、前記固定片及び/又は可動片より熱伝導率の低い導電体が介在されているものである。
【0009】
この発明において、前記固定片より熱伝導率の低い導電体が、前記固定片と前記正特性サーミスターとの間において、前記固定片と前記正特性サーミスターの両者に電気的に接触するように介在されていることが好ましい。
【0010】
この発明において、前記可動片より熱伝導率の低い導電体が、前記熱応動素子と前記可動片との間において、少なくとも前記固定接点から前記可動接点が離反しているとき、前記熱応動素子と前記可動片の両者に電気的に接触するように介在されていることが好ましい。
【0011】
この発明において、前記可動片の少なくとも一部を覆うカバー片をさらに備え、前記可動片より熱伝導率の低い導電体が、前記可動片と前記カバー片との間において、少なくとも前記固定接点から前記可動接点が離反しているとき、前記可動片と前記カバー片の両者に接触するように介在されていることが好ましい。
【0012】
この発明において、前記導電体は、前記固定片、前記可動片又は前記カバー片に形成されためっき層であることが好ましい。
【0013】
この発明において、前記導電体は、薄板状又は箔状の金属片であることが好ましい。
【0014】
この発明において、前記導電体の導電率は、前記固定片及び/又は可動片を構成する材料の導電率の50%未満であることが好ましい。
【0015】
この発明において、前記正特性サーミスターは、直径が2mm未満かつ高さが0.26mm未満の円柱形状、又はそれに相当する底面積及び体積の形状に形成されていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の電気機器用の安全回路は、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の2次電池パックは、前記ブレーカーを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明のブレーカーによれば、ケース内であって、熱応動素子及び正特性サーミスターを具備する熱機能パッケージの外側に、固定片及び/又は可動片より熱伝導率の低い導電体が介在されているので、熱機能パッケージから固定片及び/又は可動片への熱伝導が抑制され、固定接点から可動接点が離反しているとき(すなわち非導通時)の熱機能パッケージの温度低下が抑制される。これにより、熱機能パッケージの蓄熱能力すなわち熱機能パッケージを構成する部品の体積を大きくすることなく、ブレーカーの自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカーの小型化を図ることができる。
【0019】
また、固定片より熱伝導率の低い導電体が固定片と正特性サーミスターとの間に介在されている形態によれば、正特性サーミスターから固定片への熱伝導が抑制され、非導通時の正特性サーミスターの温度低下が抑制される。これにより、上記と同様に、正特性サーミスターの蓄熱能力すなわち正特性サーミスターの体積を大きくすることなく、ブレーカーの自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカーの小型化を図ることができる。
【0020】
また、可動片より熱伝導率の低い導電体が熱応動素子と可動片との間に介在されている形態によれば、熱応動素子から可動片への熱伝導が抑制され、非導通時の熱応動素子ひいては正特性サーミスターの温度低下が抑制される。これにより、上記と同様に、正特性サーミスターの蓄熱能力すなわち正特性サーミスターの体積を大きくすることなく、ブレーカーの自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカーの小型化を図ることができる。
【0021】
また、カバー片より熱伝導率の低い導電体が可動片とカバー片との間に介在されている形態によれば、可動片からカバー片への熱伝導が抑制され、非導通時の可動片、熱応動素子ひいては正特性サーミスターの温度低下が抑制される。これにより、上記と同様に、正特性サーミスターの蓄熱能力すなわち正特性サーミスターの体積を大きくすることなく、ブレーカーの自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカーの小型化を図ることができる。
【0022】
また、固定片及び/又は可動片より熱伝導率の低い導電体が、固定片、可動片又はカバー片に形成されためっき層である形態によれば、ブレーカーの製造工程、特にケースへの各部品の組み込み工程を簡素化することができ、ブレーカーの製造コストを低減できる。また、めっき層の膜厚を適宜変更することによって、ブレーカーの厚み寸法と熱伝導のバランスを容易に調整できる。
【0023】
また、固定片及び/又は可動片より熱伝導率の低い導電体が、薄板状又は箔状の金属片である形態によれば、金属片の厚みを適宜変更することによって、ブレーカーの厚み寸法と熱伝導のバランスを容易に調整できる。
【0024】
また、ケース内に介在される導電体の導電率が、固定片及び/又は可動片を構成する材料の導電率の50%未満である形態によれば、固定接点から可動接点が離反しているときに、導電体において発生するジュール熱を大きくできる。このジュール熱は、各部における温度勾配を減少させ、正特性サーミスターから固定片及び/又は可動片に伝導する熱量を抑制するように機能する。従って、ブレーカーの自己保持機能をより一層有効に働かせることが可能となる。
【0025】
また、正特性サーミスターの直径が2mm未満で、かつ高さが0.26mm未満の円柱形状である形態によれば、ブレーカーのより一層の小型化を図ることができる。また、上述した本発明の特徴により、このような小型の正特性サーミスターを適用しても、非導通時の正特性サーミスターの温度低下が抑制されるので、その自己保持機能を正常に働かせることができる。また、上記円柱に相当する底面積及び体積の形状に形成されている形態においても上記と同様である。
【0026】
また、本発明のブレーカーを備えた安全回路又は2次電池パックによれば、自己保持機能を正常に働かせながら、ブレーカーの小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の一実施形態によるブレーカーについて図面を参照して説明する。
図1乃至
図3はブレーカーの構成を示す。ブレーカー1は、固定接点21を有する固定片2と、先端部に可動接点3を有する可動片4と、温度変化に伴って変形する熱応動素子5と、PTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスター6と、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を収容するケース7等によって構成されている。ケース7は、樹脂ベース71と樹脂ベース71の上面に装着されるカバー部材72等によって構成されている。
【0029】
固定片2は、導電性に優れた銅を主成分とする銅系金属等の材料からなる金属板をプレス加工することにより形成され、樹脂ベース71にインサート成形により埋め込まれている。固定片2の一端には外部と電気的に接続される端子22が形成され、他端部の近傍にはPTCサーミスター6が載置されている。PTCサーミスター6は、固定片2の他端部の近傍に3箇所形成された凸状の小突起(ダボ)の上に載置される。固定接点21は、銀、ニッケル、ニッケル−銀合金の他、銅−銀合金、金−銀合金などの導電性の良い材料のクラッド、めっき又は塗布等により可動接点3に対向する位置に形成され、樹脂ベース71の上方に形成されている開口73bから露出されている。端子22は樹脂ベース71の一端から外側に露出されている。
【0030】
可動片4は、固定片2と同等の銅系金属等の材料からなる金属板をプレス加工することにより、長手方向の中心線に対して対称なアーム状に形成されている。可動片4の長手方向の一端には外部回路と電気的に接続される端子41が形成されて樹脂ベース71から外側に露出される。可動片4の他端(アーム状の可動片4の先端に相当)には可動接点3が形成されている。可動接点3は、固定接点21と同等の材料によって形成され、溶接等の手法によって可動片4の先端部に接合されている。なお、本出願においては、可動片4において、可動接点3が接合されている面(すなわち
図1において下側の面)を裏(うら)面、その反対側の面を表(おもて)面として説明している。可動片4は、可動接点3と端子41の間に、固定部42(アーム状の可動片4の基端に相当)、弾性部43を有している。固定部42において樹脂ベース71とカバー部材72によって裏表両面側から挟み込まれて可動片4が固定され、弾性部43が弾性変形することにより、その先端に形成されている可動接点3が固定接点21の側に押圧されて接触し、固定片2と可動片4とが通電可能となる。樹脂ベース71とカバー部材72には、可動片4の固定部42と当接し、固定部42を固定状態で保持する当接部74と当接部79(
図2参照)がそれぞれ形成されている。本実施形態では、樹脂ベース71の収容部73の外縁から樹脂ベース71の外壁に亘る領域に当接部74が形成されている。また、カバー部材72において、段部77を含み、可動片4を挟んで当接部74と対向する領域に当接部79が形成されている。
【0031】
可動片4は、弾性部43において、プレス加工により湾曲又は屈曲されている。湾曲又は屈曲の度合いは、熱応動素子5を収容できる限り特に限定はなく、動作温度及び復帰温度における弾性力、接点の押圧力などを考慮して適宜設定すればよい。また、弾性部43の下面には、熱応動素子5に対向して一対の小突起44a,44bが形成されている。小突起44a,44bと熱応動素子5とは接触して、小突起44a,44bを介して熱応動素子5の変形が弾性部43に伝達される(
図2及び
図3参照)。
【0032】
また、可動片4には、可動片4の厚み方向に貫通し、樹脂ベース71の突起74aが挿通される貫通穴45と、クランク状に形成された段曲げ部46と、段曲げ部46に形成された斜面47と、樹脂ベース71の位置決め部75と係合される一対の係合部48と、可動片4の長手方向に対して垂直な短手方向に可動片4の一部が切除されたくびれ部49が形成されている。貫通穴45、段曲げ部46、斜面47、係合部48及びくびれ部49は、弾性部43を挟んで可動接点3とは反対側、すなわち弾性部43に対して端子41の側に設けられている。貫通穴45は、可動片4の長手方向の中心線上に設けられている。斜面47は、可動片4の方向に沿って連続して形成されている。係合部48は、可動片4の短手方向に沿って2箇所に設けられている。
【0033】
貫通穴45は、可動片4の固定部42に形成されている。固定部42は、弾性部43に対して可動片4の短手方向に幅広に形成されている。これにより、固定部42における可動片4の長手方向に垂直な断面積が、弾性部43における該断面積に対して大きい箇所となる。また、貫通穴45は、平面視で(可動片4の厚み方向に視て)可動片4の短手方向に長い長円形状に形成されている。
【0034】
係合部48は、くびれ部49の端子41側の端縁にて形成される。くびれ部49は、固定部42を挟んで弾性部43とは反対側で、固定部42と端子41の間に配設されている。くびれ部49の幅寸法(可動片4の短手方向の長さ寸法、以下同様)は、弾性部43の幅寸法に対して同等以下に設定されているのが望ましいが、少なくとも固定部42及び端子41の幅寸法よりも小さく設定されていればよい。本実施形態におけるくびれ部49は、上記特許文献1における第2弾性部としての機能を有しており、端子41に加えられた外力や衝撃を吸収し、可動接点3の位置を適正に維持する。
【0035】
熱応動素子5は円弧状に湾曲した初期形状をなし、バイメタル、トリメタルなどの複合材料からなる。過熱により動作温度に達すると湾曲形状はスナップモーションを伴って逆反りし、冷却により復帰温度を下回ると復元する。熱応動素子5の初期形状は、プレス加工により形成することができる。所期の温度で熱応動素子5の逆反り動作により可動片4の弾性部43が押し上げられ、かつ弾性部43の弾性力により元に戻る限り、熱応動素子5の材質及び形状は特に限定されるものでないが、生産性及び逆反り動作の効率性の観点から矩形が望ましく、小型でありながら弾性部43を効率的に押し上げるために正方形に近い長方形であるのが望ましい。なお、熱応動素子5の材料としては、例えば、高膨脹側に銅−ニッケル−マンガン合金又はニッケル−クロム−鉄合金、低膨脹側に鉄−ニッケル合金をはじめとする、洋白、黄銅、ステンレスなど各種の合金からなる熱膨張率の異なる2種類の材料を積層したものが、所要条件に応じて組み合わせて使用される。
【0036】
熱応動素子5の逆反り動作により固定片2と可動片4との通電が遮断されたとき、PTCサーミスター6に流れる電流が増大する。PTCサーミスター6は、温度上昇と共に抵抗値が増大して電流を制限する正特性サーミスターであれば、動作電流、動作電圧、動作温度、復帰温度などの必要に応じて種類を選択できる。本実施形態においてPTCサーミスター6は、薄型の円柱形状に形成されているが、その形状は上記諸特性を損なわない限り特に限定されるものではない。上記熱応動素子5及びPTCサーミスター6は、付与された熱によって機能を発揮する熱機能部品であって、このような熱機能部品の集合によって熱機能パッケージ(熱機能部品の集合体)が構成される。
【0037】
ケース7を構成する樹脂ベース71及びカバー部材72は、難燃性のポリアミド、耐熱性に優れたポリフェニレンサルファイド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などの樹脂により成形されている。樹脂ベース71には、熱応動素子5及びPTCサーミスター6などを収容するための収容部73及び可動片4を収容するための開口73a,73bなどが形成されている。なお、樹脂ベース71に組み込まれた熱応動素子5及びPTCサーミスター6の端縁は、収容部73の内部に形成されている枠によってそれぞれ当接され、熱応動素子5の逆反り時に案内される。
【0038】
また、樹脂ベース71は、可動片4の貫通穴45に挿通される突起74aと、可動片4を位置決めするための一対の位置決め部75とを有する。突起74aは、貫通穴45に対応し、平面視で長円形状に形成され、樹脂ベース71を補強する。突起74aの高さすなわち突出量は、可動片4の厚みより大きく設定され、カバー部材72の裏面には、突起74aの頂部が嵌合される凹部が必要に応じて設けられる。位置決め部75は、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って2箇所に設けられている。本実施形態では、樹脂ベース71の側壁の一部が可動片4のくびれ部49に対応する形状に形成され、位置決め部75を構成する。すなわち、位置決め部75は、くびれ部49の近傍において切除された部分に介在し、樹脂ベース71を補強する。
【0039】
カバー部材72は、その内壁面から可動片4の段曲げ部46に対応する形状に突出する段部77と、段部77に形成された斜面78とを有する。斜面78は、可動片4の斜面47に対応し、可動片4の長手方向に対して垂直な方向に沿って連続して形成されている。
【0040】
カバー部材72には、カバー片8がインサート成形によって埋め込まれている。カバー片8は、例えば銅系金属等の材料からなる金属板をプレス加工することにより形成される。カバー片8は、収容部73に収容されている熱応動素子5及び可動片4を覆い、
図2及び
図3に示すように、可動片4の上面と適宜当接し、可動片4の動きを規制する。カバー片8によってカバー部材72のひいては筐体としてのケース7の剛性・強度が高められる。カバー片8には、可動片4の側に突出する小突起81a,81bが形成されている。小突起81aは、可動片4の小突起44aの近傍に、81bは、小突起44bの近傍にそれぞれ配設される。
【0041】
図1に示すように、固定片2、可動片4、熱応動素子5及びPTCサーミスター6等を収容した樹脂ベース71の収容部73を塞ぐように、カバー部材72が、樹脂ベース71の上面に装着される。樹脂ベース71とカバー部材72とは、例えば超音波溶着によって接合される。
【0042】
図2は、通常の充電又は放電状態におけるブレーカー1の動作を示している。通常の充電又は放電状態においては、熱応動素子5は初期形状を維持し(逆反り前であり)、固定接点21と可動接点3は接触し、可動片4の弾性部43などを通じてブレーカー1の両端子22、41間は導通している。可動片4の弾性部43と熱応動素子5とは接触しており、可動片4、熱応動素子5、PTCサーミスター6及び固定片2は、回路として導通している。しかし、PTCサーミスター6の抵抗は、可動片4の抵抗に比べて圧倒的に大きいため、PTCサーミスター6を流れる電流は、固定接点21及び可動接点3を流れる量に比して実質的に無視できる程度である。また、この導通状態では、カバー片8の小突起81aが可動片4と当接し、可動片4の弾性部43を熱応動素子5の側に付勢する。
【0043】
図3は、過充電状態又は異常時などにおけるブレーカー1の動作を示している。過充電又は異常により高温状態となると、PTCサーミスター6が過熱され、動作温度に達した熱応動素子5は逆反りし、可動片4の弾性部43が押し上げられて固定接点21と可動接点3とが離反する(この状態を非導通状態とする)。このとき、固定接点21と可動接点3の間を流れていた電流は遮断され、僅かな漏れ電流が熱応動素子5及びPTCサーミスター6を通して流れることとなる。PTCサーミスター6は、このような漏れ電流の流れる限り発熱を続け、熱応動素子5を逆反り状態に維持させつつ抵抗値を激増させるので、電流は固定接点21と可動接点3の間の経路を流れず、上述の僅かな漏れ電流のみが存在する(自己保持回路を構成する)。この漏れ電流は安全装置の他の機能に充てることができる。PTCサーミスター6にて発生したジュール熱は、小突起24a,24b,24c(
図4参照)を介して固定片2に伝導し放熱されると共に、熱応動素子5、小突起44a,44bを介して可動片4に伝導し放熱される。また、この非導通状態では、カバー片8の小突起81a,81bが可動片4と当接しているので、PTCサーミスター6にて発生したジュール熱は、可動片4から小突起81a,81bを介してカバー片8に伝導し放熱される。
【0044】
過充電状態を解除し、又は異常状態を解消すると、PTCサーミスター6の発熱も収まり、熱応動素子5は復帰温度に戻り、元の初期形状に復元する。そして、可動片4の弾性部43の弾性力によって可動接点3と固定接点21とは再び接触し、回路は遮断状態を解かれ、
図2に示す導通状態に復帰する。
【0045】
図4は、樹脂ベース71にインサート成形される前の固定片2の平面図である。固定片2は、その中央近傍に固定接点21が形成され、固定接点21を挟んで端子22とは反対側に、クランク状に屈曲された段曲げ部23及びPTCサーミスター6の側に突出する小突起24a,24b,24cを有している。小突起24a,24b,24cは、段曲げ部23から延出された先端近傍において、PTCサーミスター6の中心から等距離かつ対称的に配設され、それぞれPTCサーミスター6と当接し、3点でPTCサーミスター6を支持する。小突起24a,24b,24cを含む領域には、PTCサーミスター6と電気的に接触する表面に、熱伝導率が固定片2を構成する金属よりも低いニッケルによってなるめっき層24dが形成されている。
【0046】
図4では、めっき層24dが形成されている領域をハッチングで示している。本実施形態においては、樹脂ベース71の収容部73に露出される全領域に亘ってめっき層24dが形成されている。PTCサーミスター6に当接する小突起24a,24b,24c及びその周辺領域の表面に局所的にめっき層24dが形成されている形態であってもよい。めっき層24dが形成される領域は、PTCサーミスター6から放出される輻射熱の吸収及び反射等を考慮しつつ、ブレーカー1に求められる温度特性、電流特性、動作時間特性等の諸特性を満たすように設定すればよい。めっき層24dに用いられるニッケルの熱伝導率は、固定片2を構成する金属よりも低いため、PTCサーミスター6から固定片2への熱伝導が抑制され、
図3に示す非導通時のPTCサーミスター6の温度低下が抑制される。
【0047】
また、めっき層24dを構成するニッケルは、固定片2を構成する金属に対して、その導電率が、50%未満である。従って、固定片2にめっき層24dを形成しない形態と比較すると、固定接点21から可動接点3が離反しているときの、PTCサーミスター6と固定片2との間において発生するジュール熱が大きくなる。このジュール熱は、PTCサーミスター6から固定片2に至る温度勾配を減少させ、PTCサーミスター6から固定片2を介して放出される熱量を抑制するように機能する。これにより、PTCサーミスター6の温度を高く維持し、ブレーカー1の自己保持機能をより一層有効に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。なお、ここでは、それぞれの金属の導電率をIACS(International Annealed Copper Standard)により評価し、比較している(以下、同様)が、比較の基準は、これに限らない。
【0048】
図5は、可動片4の底面図である。可動片4の弾性部43には、熱応動素子5の側に突出する小突起44a,44bが形成されている。小突起44a,44bは、熱応動素子5の長手方向の両端近傍に対向して設けられ、熱応動素子5の変形を弾性部43に伝達する。小突起44a,44bを含む領域には、熱応動素子5と電気的に接触する裏面にニッケルによってなるめっき層44cが形成されている。
【0049】
図5では、めっき層44cが形成されている領域をハッチングで示している。本実施形態においては、熱応動素子5に当接する小突起44a,44b及びその周辺領域に局所的にめっき層44cが形成されている。可動接点3及び端子41が形成される領域を除く領域に広範に亘ってめっき層44cが形成されていてもよい。めっき層44cが形成される領域は、熱応動素子5から放出される輻射熱の吸収及び反射等を考慮しつつ、ブレーカー1に求められる温度特性、電流特性、動作時間特性等の諸特性を満たすように設定すればよい。めっき層44cに用いられるニッケルの熱伝導率は、可動片4を構成する金属よりも低いため、熱応動素子5から可動片4への熱伝導が抑制される。その結果、
図3に示す非導通時において、PTCサーミスター6から熱応動素子5を介して可動片4に伝導し、放出される熱量が減少され、PTCサーミスター6の温度低下が抑制される。
【0050】
また、めっき層44cを構成するニッケルは、可動片4を構成する金属に対して、その導電率が、50%未満である。従って、上述しためっき層24dと同様に、固定接点21から可動接点3が離反しているときの、熱応動素子5と可動片4との間において発生するジュール熱が大きくなる。このジュール熱は、熱応動素子5から可動片4に至る温度勾配を減少させ、熱応動素子5から可動片4に伝導し放出される熱量を抑制するように機能する。これにより、熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度を高く維持し、ブレーカー1の自己保持機能をより一層有効に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0051】
図6は、カバー部材72にインサート成形される前のカバー片8の底面図である。カバー片8には、可動片4の側に突出する小突起81a,81bが形成されている。小突起81a,81bは、可動片4の弾性部43の長手方向の両端近傍に対向して設けられ、非導通時に弾性部43の表面と当接し、弾性部43の変形を制限する。小突起81a,81bを含む領域には、弾性部43と当接する裏面にニッケルによってなるめっき層81cが形成されている。
【0052】
図6では、めっき層81cが形成されている領域をハッチングで示している。本実施形態においては、可動片4に接触する小突起81a,81b及びその周辺領域に局所的にめっき層81cが形成されている。カバー片8の裏面全体又はカバー部材72からケース7の内部に露出される領域に広範に亘ってめっき層81cが形成されていてもよい。めっき層81cが形成される領域は、可動片4から放出される輻射熱の吸収及び反射等を考慮しつつ、ブレーカー1に求められる温度特性、電流特性、動作時間特性等の諸特性を満たすように設定すればよい。めっき層81cに用いられるニッケルの熱伝導率は、カバー片8を構成する金属よりも低いため、可動片4からカバー片8への熱伝導が抑制される。その結果、
図3に示す非導通時において、PTCサーミスター6から熱応動素子5及び可動片4を介してカバー片8に伝導し、放出される熱量が減少され、PTCサーミスター6の温度低下が抑制される。
【0053】
また、めっき層81cを構成するニッケルは、カバー片8を構成する金属に対して、その導電率が、50%未満である。従って、上述しためっき層24d,44cと同様に、固定接点21から可動接点3が離反しているときの、可動片4とカバー片8との間において発生するジュール熱が大きくなる。このジュール熱は、可動片4からカバー片8に至る温度勾配を減少させ、可動片4からカバー片8に伝導し放出される熱量を抑制するように機能する。これにより、可動片4、熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度を高く維持し、ブレーカー1の自己保持機能をより一層有効に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0054】
本実施形態のブレーカー1にあっては、上記構成を適用することにより、小型で蓄熱能力の低いPTCサーミスター6を採用しながらも、
図3に示す非導通時におけるPTCサーミスター6の温度低下を十分に抑制することが可能となる。これにより、円柱形状のPTCサーミスター6の直径を2mm未満に、かつ高さを0.26mm未満とすることができ、ブレーカー1のさらなる小型化を図ることができる。例えば、上記諸元のPTCサーミスター6を適用することにより、ケース7の長さ、幅、高さをそれぞれ4.8mm、3.0mm、1.0mm以下に小型化することができる。なお、PTCサーミスター6の形状は、円柱に限られない。円柱以外の形状でPTCサーミスター6を構成した場合は、上記サイズの円柱に相当する底面積及び体積を有するPTCサーミスター6を適用することができ、上記円柱形状のPTCサーミスター6と同様に、ブレーカー1のさらなる小型化に貢献する。
【0055】
以上のように、本実施形態のブレーカー1によれば、ケース7内に、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を具備する熱機能パッケージの外側に、固定片2及び可動片4より熱伝導率の低いめっき層24d,44c,81cが介在されているので、PTCサーミスター6から固定片2及び可動片4への熱伝導が抑制され、固定接点21から可動接点3が離反しているとき(すなわち非導通時)の熱機能パッケージの温度低下が抑制される。これにより、熱機能パッケージの蓄熱能力すなわち熱機能パッケージを構成する部品の体積を大きくすることなく、ブレーカー1の自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0056】
特に本実施形態では、固定片2を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケルによってなるめっき層24dが、固定片2の小突起24a,24b,24cを含む領域の表面に形成されているので、PTCサーミスター6から固定片2への熱伝導が抑制され、非導通時のPTCサーミスター6の温度低下が抑制される。これにより、PTCサーミスター6の蓄熱能力すなわちPTCサーミスター6の体積を大きくすることなく、ブレーカー1の自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0057】
また、可動片4を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケルによってなるめっき層44cが、可動片4の小突起44a,44bを含む領域の裏面に形成されているので、熱応動素子5から可動片4への熱伝導が抑制され、非導通時の熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度低下が抑制される。これにより、上記と同様に、PTCサーミスター6の蓄熱能力すなわちPTCサーミスター6の体積を大きくすることなく、ブレーカー1の自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0058】
また、カバー片8を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケルによってなるめっき層81cが、カバー片8の小突起81a,81bを含む領域の裏面に形成されているので、可動片4からカバー片8への熱伝導が抑制され、非導通時の可動片4、熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度低下が抑制される。これにより、上記と同様に、PTCサーミスター6の蓄熱能力すなわちPTCサーミスター6の体積を大きくすることなく、ブレーカー1の自己保持機能を正常に働かせることが可能となり、ブレーカー1の小型化を図ることができる。
【0059】
また、固定片2の小突起24a,24b,24cを含む領域の表面、可動片4の小突起44a,44bを含む領域の裏面及びカバー片8の小突起81a,81bを含む領域の裏面に、固定片2及び可動片4より熱伝導率の低いニッケルによってなるめっき層24d,44c及び81cによって形成されているので、ブレーカー1の製造工程、特にケース7への各部品の組み込み工程を簡素化することができ、ブレーカー1の製造コストを低減できる。また、めっき層24d,44c及び81cの膜厚を適宜変更することによって、ブレーカー1の厚み寸法と熱伝導の程度を容易に調整できる。
【0060】
また、ケース7内に介在されるめっき層24d,44c及び81cを構成する金属の導電率が、固定片2及び可動片4を構成する銅系金属の導電率の50%未満であるので、固定接点21から可動接点3が離反しているときに、めっき層24d,44c及び81cにおいて発生するジュール熱を大きくできる。このジュール熱は、各部における温度勾配を減少させ、PTCサーミスター6から固定片2及び可動片4等に伝導し放出される熱量を抑制するように機能する。従って、ブレーカー1の自己保持機能をより一層有効に働かせることが可能となる。
【0061】
(変形例)
図7は、ブレーカー1の変形例の構成を示す。本変形例においては、めっき層24dに替えて、固定片2とPTCサーミスター6との間に、固定片2を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケル等の金属材料からなる薄板状又は箔状の金属片91が介在されている。本変形例においては、金属片91は、固定片2と同様に、樹脂ベース71にインサート成形される。金属片91は、PTCサーミスター6の底面(裏面)全体と接触するように形成されているが、PTCサーミスター6の底面及び小突起24a,24b,24cと局所的に接触するように、部分的に形成されていてもよい。金属片91の機能は、めっき層24dと同様であり、発生するジュール熱によってPTCサーミスター6から固定片2に至る温度勾配を減少させ、PTCサーミスター6から固定片2への熱伝導を抑制し、非導通時のPTCサーミスター6の温度低下を抑制する。
【0062】
また、本変形例においては、めっき層44cに替えて、熱応動素子5と可動片4との間に、固定片2を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケル等の金属材料からなる薄板状又は箔状の金属片92a,92bが介在されている。金属片92aは可動片4の小突起44aと当接するように、金属片92bは可動片4の小突起44bと当接するように、それぞれ溶接等の手法によって熱応動素子5に接合されている。金属片92a,92bは、可動片4の小突起44a,44bと局所的に接触するように、熱応動素子5の表面に部分的に設けられているが、熱応動素子5の表面全体に亘って設けられていてもよい。金属片92a,92bの機能は、めっき層44cと同様であり、発生するジュール熱によって熱応動素子5から可動片4に至る温度勾配を減少させ、熱応動素子5から可動片4への熱伝導を抑制し、非導通時の熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度低下を抑制する。
【0063】
また、本変形例においては、めっき層81cに替えて、可動片4とカバー片8の間に、カバー片2を構成する銅系金属より熱伝導率の低いニッケル等の金属材料からなる薄板状又は箔状の金属片93a,93bが介在されている。金属片93aはカバー片8の小突起81aと当接するように、金属片93bはカバー片8の小突起81bと当接するように、それぞれ溶接等の手法によって可動片4に接合されている。金属片93a,93bは、可動片4の小突起44a,44bと局所的に接触するようにかつ弾性部43の弾性変形を妨げないように、可動片4の表面に部分的に設けられている。弾性部43の弾性変形を十分に確保できる場合は、可動片4又は弾性部43の表面全体に亘って設けられていてもよい。金属片93a,93bの機能は、めっき層81cと同様であり、発生するジュール熱によって可動片4からカバー片8に至る温度勾配を減少させ、可動片4からカバー片8への熱伝導を抑制し、非導通時の可動片4、熱応動素子5ひいてはPTCサーミスター6の温度低下を抑制する。
【0064】
本変形例においては、金属片91,92a,92b,93a,93bの厚みを適宜変更することによって、ブレーカーの厚み寸法と熱伝導のバランスを容易に調整できる。
【0065】
なお、本発明は、上記変形例の他、種々の変形が可能である。固定片2の表面に形成されるめっき層24dは、ニッケルの他、固定片2を形成する銅系金属よりも熱伝導率及び導電率の低いクロム、スズなどの金属によってなるものであってもよい。また、めっき層24dを構成する金属は、このような金属を主成分とする合金であってもよい。また、可動片4の裏面に形成されるめっき層44cも、ニッケルの他、可動片4を形成する銅系金属よりも熱伝導率及び導電率の低いクロム、スズなどの金属又はこれらの合金によってなるものであってもよい。同様に、カバー片8の裏面に形成されるめっき層81cも、ニッケルの他、カバー片8を形成する銅系金属よりも熱伝導率及び導電率の低いクロム、スズなどの金属又はこれらの合金によってなるものであってもよい。また、上述した温度勾配の減少作用を効果的に発揮させるためには、めっき層24d,44c,81cを構成するこれらの材料の導電率は、固定片2、可動片4、カバー片8を形成する銅系金属の導電率の50%未満であることが好ましい。特に、導電率が70%IACS以上の金属を固定片2、可動片4、カバー片8に用いる場合においては、めっき層24d,44c,81cを構成する材料の導電率は、固定片2、可動片4、カバー片8を形成する金属の導電率の40%未満であることがより好ましい。また、
図7に示した変形例における金属片91,92a,92b,93a,93bを構成する材料についても、上記めっき層24d,44c,81cを構成する材料と同様である。
【0066】
また、ブレーカー1において、めっき層24d,44c,81c又は金属片91,92a,92b,93a,93bは、全てが必須の構成要素ではなく、いずれか一つが備わっていればよい。また、部位に応じて、めっき層と金属片を適宜組み合わせて構成してもよい。また、カバー片8の裏面に形成されるめっき層81cに替えて、又はめっき層81cに加えて、可動片4の表面に同等の金属によってなるめっき層を形成してもよい。
【0067】
また、固定片2に形成される小突起24a,24b,24c、可動片4に形成される小突起44a,44b、及びカバー片8に形成される小突起81a,81bは、省略されていてもよい。
【0068】
このように、本発明は上記実施形態及び変形例の構成に限られることなく、少なくともPTCサーミスター6を有する自己保持型のブレーカー1において、ケース7内であって、熱応動素子5及びPTCサーミスター6を具備する熱機能パッケージの外側に、固定片2又は可動片4より熱伝導率の低い金属等の導電体(金属以外も含まれる)が介在されていればよい。このような構成により、熱機能パッケージから固定片2又は可動片4への熱伝導を抑制し、熱機能パッケージを構成する熱機能部品の温度低下を抑制できるからである。
【0069】
また、
図1等においては、可動片4は、貫通穴45、段曲げ部46、斜面47、係合部48及びくびれ部49の構成を有する形態であるが、これらの構成うちのいずれか又は全てが廃されていてもよい。例えば、貫通穴45を廃する場合は、樹脂ベース71の突起74aも廃される。また、段曲げ部46、斜面47が廃される場合は、可動片4は平面状に形成され、樹脂ベース71の当接部74及びカバー部材72の当接部79が平坦な形状となる。この構成においては、段曲げ部46及び斜面47を廃することにより、可動片4及び樹脂ベース71の長手方向の寸法を小さくして、ブレーカー1のさらなる小型化を図ることができる。なお、段曲げ部46及び斜面47は、必要に応じて樹脂ベース71の外部に設けられていてもよい。また、係合部48及びくびれ部49が廃される場合は、可動片4は、固定部42から端子41に亘って等幅に形成され、これに伴い樹脂ベース71の位置決め部75の形状も変更される。
【0070】
また、樹脂ベース71とカバー部材72との接合手法は、超音波溶着に限られることなく、両者が隙間なく強固に接合される手法であれば、適宜適用することができる。また、ケース7は、樹脂ベース71とカバー部材72等によって構成される形態に限られることない。
【0071】
また、可動片4をバイメタル又はトリメタル等によって形成することにより、可動片4と熱応動素子5を一体的に形成する構成であってもよい。この場合、めっき層44a,44b又は金属片92a,92bも廃され、ブレーカーの構成が簡素化されて、さらなる小型化を図ることができる。
【0072】
また、可動片4とカバー片8とを固定部42等を介して電気的に接続させ、可動片4の端子41に替えて、カバー片8の一部をケース7の外側に延出し、その先端近傍に別途端子を設けた形態に本発明を適用してもよい。また、特開2005−203277号公報に示されるような、固定部42又はその近傍において、端子41の側と可動接点3の側に構造的に分離されている形態に、本発明を適用してもよい。また、特開2006−331705号公報に示されるような、ブレーカーの両端に接点(同文献中第1の接点141及び第2の接点142)を有する形態に、本発明を適用してもよい。