(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は自動二輪車の概略を示す上面図である。
図1に示すように、車両である自動二輪車11の車体12には、前輪12aと後輪12bが設けられている。車体12の中央部に設けられた座席13に着座した運転者は、ハンドル14を操作して自動二輪車11を走行させる。
【0016】
車体12の前方および後方の右側には、灯体としての右側のターンシグナルランプ15aが設けられる。また、車体12の前方および後方の左側には、灯体としての左側のターンシグナルランプ15bが設けられる。また、
図1に示すように、スイッチユニット23(表示スイッチ)が、車体12のハンドル14の部分に自動二輪車11の外部から操作可能に配置されている。
運転者がスイッチユニット23におけるターンシグナルスイッチ(
図1において不図示)を投入することにより、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのいずれか一方を点滅表示、つまりターンシグナル表示(T/S表示)させ、自動二輪車11の進行方向を他車等に知らせることができる。
また、運転者がスイッチユニット23におけるハザードスイッチ(
図1において不図示)を投入することにより、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bを同時に点滅表示、つまりハザード表示させることにより、故障等により路上に非常停止することを他車等に知らせることができる。
さらに、後述するように、制御ユニット(
図1において不図示)によりターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bの断線が検出されると、点滅表示(断線表示)の周期が早められ、これにより運転者に灯体の断線が通知される。
【0017】
図2は、本発明の一実施の形態である車両用灯体制御装置21を示すブロック構成図である。また、
図3は、車両用灯体制御装置21におけるIC1の回路構成を示す図であり、
図4は、車両用灯体制御装置21におけるIC2の回路構成を示す図である。また、
図5は、車両用灯体制御装置21の点滅制御を示す波形図である。以下、
図2〜
図5を用いて車両用灯体制御装置21について詳細に説明する。
図1に示す自動二輪車11には、灯体15a,15b(ターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15b)の表示状態を制御するために、車両用灯体制御装置21(灯体制御装置)が設けられている。車両用灯体制御装置21は、自動二輪車11の方向指示器を兼ねており、
図2に示すように、制御ユニット22とSW(T/S,HAZ)23(スイッチユニット23)とを有している。
【0018】
制御ユニット22には、駆動用電源端子Bと駆動用出力端子Lとが設けられ、駆動用電源端子Bは車体12に搭載された電源、つまり電源27(以下、バッテリ27とする)に接続されている。バッテリ27から駆動用電源端子Bに入力された駆動電流は、駆動用出力端子Lから出力される。また、制御ユニット22には制御用電源端子IGが設けられ、この制御用電源端子IGは、IG SW29(以下、メインスイッチ29とする)を介してバッテリ27に接続されている。
ここで、図示する場合では、メインスイッチ29はイグニッションスイッチを兼ねており、運転者が、このメインスイッチ29を投入することにより自動二輪車11の図示しないエンジンを始動させることができる。また、運転者が、メインスイッチ29を投入、つまりオンすると、バッテリ27から制御用電源端子IGに制御用電流が供給される。この制御用電流は、ダイオードDA11を介してスイッチング素子24(FET;電界効果トランジスタ)のゲート端子に供給される。スイッチング素子24は、メインスイッチ29の投入により通電状態に切り替えられ駆動用電源端子Bを介して、集積回路IC1(第1の制御回路)、及び集積回路IC2(第2の制御回路)へ、動作のための制御電流を供給する。
【0019】
図3、及び
図4に示すように、スイッチユニット23(表示スイッチ)は、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのいずれか一方を点滅表示、つまりT/S表示させるためのターンシグナルスイッチ34を有している。また、スイッチユニット23は、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bを同時に点滅表示、つまりハザード表示させるためのハザードスイッチ35を有している。
ターンシグナルスイッチ34、及びハザードスイッチ35は、駆動用出力端子Lとターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bとの間に互いに並列に接続されている。
【0020】
車体12の前後に配置される2つの右側のターンシグナルランプ15aは互いに並列に接続され、車体12の前後に配置される2つの左側のターンシグナルランプ15bは互いに並列に接続されている。また、それぞれのターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのスイッチユニット23とは反対側の端子は接地されている。また、符号36a及び符号36bは、それぞれ図示しない計器板に設けられる右側および左側のパイロットランプであり、これらのパイロットランプ36a、及びパイロットランプ36bによりターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bの作動が運転者に表示される。
【0021】
ターンシグナルスイッチ34は、駆動用出力端子Lに接続される共通接続点34aと、右側のターンシグナルランプ15aに接続される右側接続点34bと、左側のターンシグナルランプ15bに接続される左側接続点34cと、を有している。運転者の操作により、ターンシグナルスイッチ34を投入すると、共通接続点34aは、右側接続点34bあるいは左側接続点34cのいずれか一方に選択的に接続される。ターンシグナルスイッチ34が投入、つまりオンされたときには、右側のターンシグナルランプ15aあるいは左側のターンシグナルランプ15bのいずれか一方が、駆動用出力端子Lに接続される。
【0022】
一方、ハザードスイッチ35は、駆動用出力端子Lに接続される共通接続点35aと、右側のターンシグナルランプ15aに接続される右側接続点35bと、左側のターンシグナルランプ15bに接続される左側接続点35cと、を有している。運転者の操作により、ハザードスイッチ35を投入すると、共通接続点35aは、右側接続点35bと左側接続点35cとの両方に接続される。ハザードスイッチ35が投入、つまりオンされたときには、右側のターンシグナルランプ15aと左側のターンシグナルランプ15bとの両方が駆動用出力端子Lに接続される。
【0023】
なお、
図3、及び
図4において、符号31〜33は、それぞれ過電流を遮断するためのヒューズである。また、
図3、及び
図4において、ツェナーダイオードZD3以外のツェナーダイオード、及びそれらのツェナーダイオードに直列または並列に接続された抵抗、容量などは、集積回路IC1、集積回路IC2、及びスイッチング素子24への過電圧印加を防止するための素子であり、本願とは直接関係しないので、その説明を省略する。
【0024】
図2に戻って、スイッチユニット23におけるターンシグナルスイッチ34あるいはハザードスイッチ35がオンされたときに、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bの少なくとも一方を点滅表示させるために、制御ユニット22は、次の構成を有している。すなわち、制御ユニット22は、負荷検出抵抗1と、負荷検出抵抗2(分圧)と、リレーRL1と、リレーRL1を駆動するための集積回路IC1と、を有している。抵抗RCS(第1の抵抗)は、一端が駆動用電源端子Bに接続され、他端がリレーRL1に接続される。直列接続されて分圧回路を構成する抵抗R11、及び抵抗R12(第2の抵抗)のうち、抵抗R11は、一端が駆動用電源端子Bに接続され、他端が抵抗R12の一端に接続される。また、抵抗R12の他端は、抵抗RCSの他端に接続される。リレーRL1は、抵抗RCSの他端と抵抗R12の他端との共通接続点と、駆動用出力端子Lとの間を断続可能なリレースイッチと、リレースイッチを開閉駆動するためのリレーコイルとを有している(
図3、
図4参照)。リレーコイルに電流が供給されると、リレースイッチは接続状態に切り替えられる。つまり、集積回路IC1がリレーコイルに電流を供給すると、リレースイッチが閉じてバッテリ27からの駆動電流が、駆動用出力端子Lに供給される。一方、集積回路IC1がリレーコイルへの電流供給が停止すると、リレースイッチaが開いて駆動用出力端子Lへの駆動電流の供給が停止される。
【0025】
また、制御ユニット22は、メインスイッチ29が開かれてもターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bを表示状態(ハザード表示状態)に維持するために、集積回路IC2を有している。集積回路IC2は、集積回路IC1がターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bを点滅表示させる動作に同期して、タイマ回路26を駆動する。タイマ回路26は、バッテリ27から駆動用電源端子Bを介して制御用電流が供給される。この制御用電流は、ダイオードDA12を介してスイッチング素子24に供給される。これにより、スイッチング素子24は、メインスイッチ29が開かれても、通電状態が維持され、集積回路IC1、及び集積回路IC2へ、動作のための制御電流を供給する。
【0026】
以下、集積回路IC1、集積回路IC2、及び周辺回路(負荷検出抵抗1、負荷検出抵抗2、リレーRL1、充放電回路25、タイマ回路26、及び定電圧発生手段28)の構成、動作について、
図3、及び
図4を中心にして説明する。
なお、
図2〜
図4において、端子としてのピン、内部の回路部、及び手段を示す符号は、その末尾に集積回路IC1では「a」の符号を、集積回路IC2では「b」の符号を、それぞれ付加して示している。例えば、1番ピンを、集積回路IC1では1番ピン41aと、集積回路IC2では1番ピン41bとして示している。
集積回路IC1は、負荷検出部50a、及び駆動部60aを含んで構成される。
負荷検出部50aは、負荷検出手段51a、及び閾値切替手段52aを含んで構成され、駆動部60aは、充放電電位検出手段61a、パルス生成手段(リレー駆動手段)62a、負荷電位検出手段63a、及び充放電切替手段64aを含んで構成される。
【0027】
同様に、集積回路IC2は、負荷検出部50b、及び駆動部60bを含んで構成される。負荷検出部50bは、負荷検出手段51b、及び閾値切替手段52bを含んで構成され、駆動部60bは、充放電電位検出手段61b、パルス生成手段(擬似IGN信号生成手段)62b、負荷電位検出手段63b、及び充放電切替手段64bを含んで構成される。これらの各手段の回路構成は、集積回路IC1における対応する各手段の回路構成と同じである。つまり、集積回路IC1と集積回路IC2とは同一回路構成の集積回路であり、以下では、各集積回路の構成について、集積回路IC1を代表として説明し、集積回路IC2については、集積回路IC1との動作の際の相違点について説明する。
【0028】
集積回路IC1は、端子である8つのピン(1番ピン41a〜8番ピン48a)を備えている。1番ピン41aは、接地用となっており、抵抗R3、スイッチング素子24及び接地用端子Eとを介して接地される。集積回路IC2は、端子である8つのピン(1番ピン41b〜8番ピン48b)を備えている。1番ピン41bは接地用となっており、抵抗R10、スイッチング素子24、及び接地用端子Eを介して接地される。スイッチング素子24がオン(導通)することにより、集積回路IC1、及び集積回路IC2の内部回路は接地されて動作可能な状態に移行する(スイッチング素子24から制御電流を供給されて動作可能な状態に移行する)。
集積回路IC1の2番ピン42a、及び6番ピン46aは動作電圧入力用であり、それぞれ駆動用電源端子Bに接続され、バッテリ27から電源電圧が供給される。同様に、集積回路IC2の2番ピン42b、及び6番ピン46bは動作電圧入力用であり、それぞれ駆動用電源端子Bに接続され、バッテリ27から電源電圧が供給される。集積回路IC1、及び集積回路IC2の内部回路は、それぞれ、これらの動作電圧入力用ピンに接続され、動作のための電圧を駆動用電源端子Bから供給されて動作する。
【0029】
集積回路IC1の3番ピン43aは、駆動信号出力用となっており、リレーRL1のリレーコイル、及びスイッチング素子24を介して接地用端子Eに接続される。IC1に内蔵された後述する発振回路(駆動部60a)におけるパルス生成手段62aが周期的な駆動信号を供給すると、駆動部60aの発振周期に基づいて3番ピン43aは断続的にONされ、リレーコイルに電流が断続的に供給されてリレースイッチが開閉(オンまたはオフ)動作する。
一方、集積回路IC2の3番ピン43bは、駆動信号出力用となっており、タイマ回路26に接続される。IC2に内蔵された後述するパルス生成手段62bが、ハザード表示状態において、集積回路IC1におけるパルス生成手段62aが出力する駆動信号に同期した周期的な駆動信号を、3番ピン43bを介してタイマ回路26に供給する。タイマ回路26は、3番ピン43bを介して入力される駆動信号に応じて、スイッチング素子24の通電状態を維持する擬似IGN信号(制御用電流)を、ダイオードDA12を介してスイッチング素子24に供給する。
【0030】
ここで、タイマ回路26は、
図4に示すように、HAZ保持タイマ回路261と、これを駆動するタイマ駆動回路262から構成される。HAZ保持タイマ回路261は、PNP型バイポーラトランジスタQ1、抵抗R15、抵抗R16、抵抗R17、及び容量C8を有する。また、タイマ駆動回路262は、抵抗R19、抵抗R20、及びNPN型バイポーラトランジスタQ2を有する。
タイマ駆動回路262におけるNPN型バイポーラトランジスタQ2において、ベース端子は抵抗R19を介して集積回路IC2の3番ピン43bに接続され、コレクタ端子は抵抗R17を介して容量C8の他端に接続され、エミッタ端子はスイッチング素子24に接続される。
一方、HAZ保持タイマ回路261において、容量C8の一端は駆動用電源端子Bに接続され、他端は抵抗R17を介してNPN型バイポーラトランジスタQ2のコレクタ端子に接続される。IC2に内蔵されたパルス生成手段62bが周期的な駆動信号をNPN型バイポーラトランジスタQ2のベース端子に供給することにより、タイマ駆動回路262は容量C8の他端を所定電圧レベル(ここではLレベルとする)と電源電圧レベル(ここではHレベルとする)との間で駆動し、容量C8を充放電する。
【0031】
また、HAZ保持タイマ回路261において、PNP型バイポーラトランジスタQ1のエミッタ端子は駆動用電源端子Bに接続され、コレクタ端子はダイオードDA12を介してスイッチング素子24に接続される。つまり、直列に接続されたPNP型バイポーラトランジスタQ1、及びダイオードDA12は、バッテリ27とスイッチング素子24との間に直列に接続されたメインスイッチ29、及びダイオードDA11と、並列に接続されている。また、PNP型バイポーラトランジスタQ1のベース端子は、抵抗R16を介して容量C8の他端に接続されるとともに、抵抗R15を介して駆動用電源端子Bに接続される。
容量C8が充電されたとき、つまり容量C8の他端がLレベルとなったとき、PNP型バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電圧レベルは、Lレベル(PNP型バイポーラトランジスタQ1が十分オンする電圧レベル)となる。一方、容量C8が放電されたとき、つまり容量C8の他端がHレベルとなったとき、PNP型バイポーラトランジスタQ1のベース端子の電圧レベルは、Hレベルとなるが、このレベルは、抵抗R15、及び抵抗R16により、上記のLレベルより高い電圧レベルであるが、PNP型バイポーラトランジスタQ1がオンする電圧レベルに設定される。つまり、容量C8が充放電動作を繰り返す期間、PNP型バイポーラトランジスタQ1は、通電状態つまりオン状態に移行する。
【0032】
このように、タイマ回路26は、IC2に内蔵されたパルス生成手段62bがハザード表示状態における点灯期間中に、Hレベルの駆動信号を出力する期間、PNP型バイポーラトランジスタQ1をオンさせ(飽和領域)、スイッチング素子24を通電状態に駆動する擬似IGN信号(制御用電流)を出力する。一方、タイマ回路26は、IC2に内蔵されたパルス生成手段62bがハザード表示状態における消灯期間中にLレベルの駆動信号を出力する期間に、容量C8に充電された電位にてPNP型バイポーラトランジスタQ1のオンを維持することで(飽和領域)、スイッチング素子24を通電状態に駆動する擬似IGN信号の出力を維持する。
つまり、集積回路IC2に内蔵された後述するパルス生成手段62bが、ハザード表示状態において、集積回路IC1におけるパルス生成手段62aが出力する駆動信号に同期した周期的な駆動信号を供給する(詳細後述)。これにより、タイマ回路26は、3番ピン43bを介して入力される駆動信号に応じて、スイッチング素子24の通電状態を維持する擬似IGN信号を、駆動用電源端子Bから、ダイオードDA12を介してスイッチング素子24に供給する。
【0033】
集積回路IC1の4番ピン44aと5番ピン45aは、それぞれ充放電回路25に接続される。充放電回路25は、
図3に示すように、容量C1と抵抗R1とから構成される。容量C1において、その一端は駆動用電源端子Bに接続され、他端は4番ピン44a、及び抵抗R1の一端に接続される。抵抗R1の他端は5番ピン45aに接続される。また、5番ピン45aは、充放電切替手段64aに接続される。充放電切替手段64aは、負荷電位検出手段63aからの出力信号I63aに応じて、5番ピン45a、及び抵抗R1を介して容量C1を充放電し、4番ピン44aの電圧レベルをLレベル(充電状態)とHレベル(放電状態)の間で変化させる。4番ピン44aは、充放電電位検出手段61aに接続される。充放電電位検出手段61aは、4番ピン44aの電圧レベルの変化と負荷検出部50aの検出結果(出力信号C50a)とを比較判定し、その比較判定結果(出力信号C61a)を、パルス生成手段62aに対して出力する。
【0034】
一方、集積回路IC2の4番ピン44bは、定電圧発生手段28に接続される。定電圧発生手段28は、
図4に示すように、ツェナーダイオードZD3、抵抗R13、抵抗R14、及び抵抗R18から構成される。ツェナーダイオードZD3において、カソード端子は駆動用電源端子Bに接続され、アノード端子は抵抗R18の一端に接続される。抵抗R18は、スイッチング素子24、及び接地用端子Eを介して接地される。
また、抵抗R13、及び抵抗R14は、ツェナーダイオードZD3のカソード端子とアノード端子の間に直列接続されて分圧回路を構成し、この分圧回路の出力が4番ピン44bに接続される。定電圧発生手段28は、スイッチング素子24が通電状態にある場合、ツェナーダイオードZD3のカソード端子とアノード端子との間に定電圧を発生し、その定電圧を抵抗R13及び抵抗R14により分圧し、分圧後の電圧レベル(バッテリ27の電圧レベルより所定電圧レベルだけ降下した定電圧レベル)を4番ピン44bに対して出力する。この分圧後の電圧レベルは、灯体(ターンシグナルランプ)がハザード表示状態において点灯している期間を他の期間から区別するために設定される。4番ピン44bは、充放電電位検出手段61bに接続される。充放電電位検出手段61bは、4番ピン44bの電圧レベル(定電圧発生手段28が発生する固定された電圧レベル)と、負荷検出部50bの検出結果(出力信号C50b)との比較判定結果(出力信号C61b)を、パルス生成手段62bに対して出力する。なお、
図4に示す充放電切替手段64bは、充放電切替手段64aと同様、その出力端子は5番ピン45bに接続されるが、5番ピン45bは集積回路IC1の5番ピン45aと相違して使用されない。
【0035】
集積回路IC1の7番ピン47aは、抵抗RCS(負荷検出抵抗1)の他端に接続される。抵抗RCSの一端は、駆動用電源端子Bに接続される。一方、集積回路IC2では、7番ピン47bは、抵抗R11及び抵抗R12(負荷検出抵抗2(分圧))により構成される分圧回路の出力に接続される。また、分圧回路を構成する抵抗R11は、一端が駆動用電源端子Bに接続され、他端が抵抗R12の一端に接続される。分圧回路を構成する抵抗R12は、一端が抵抗R11の他端に接続され、他端が抵抗RCSの他端に接続される。
負荷検出手段51aは、
図3に示すように、コンパレータK1により構成される。コンパレータK1において、反転入力端子が7番ピン47aを介して抵抗RCSの他端に接続されて、バッテリ27の電源電圧(電源電圧Vccとする)の電圧レベルを抵抗RCS(第1の抵抗)により降下した電圧レベルの信号(第1の電圧降下信号)が入力される。一方、非反転入力端子(以下、正転入力端子とよぶ)には、バッテリ27の電源電圧Vccから所定電圧レベル降下させた電圧レベル(図示する例では電源電圧Vccから49mV降下させた電圧レベル)が基準電圧レベルとして入力される。
【0036】
同様に、負荷検出手段51bは、
図4に示すように、負荷検出手段51aと同様にコンパレータK1により構成される。コンパレータK1において、反転入力端子が7番ピン47bを介して分圧回路の出力(抵抗R11と抵抗R12との共通接続点)に接続されて、第1の電圧降下信号を抵抗R11及び抵抗R12により分圧した第2の電圧降下信号が入力される。一方、正転入力端子には、負荷検出手段51bと同様にバッテリ27の電源電圧Vccから所定電圧レベル降下させた電圧レベルが基準電圧として入力される。
いずれのコンパレータK1も、反転入力端子に入力される電圧レベルが正転入力端子に入力される電圧レベルより高い場合、Lレベルの出力信号を、反転入力端子に入力される電圧レベルが正転入力端子に入力される電圧レベルより低い場合、Hレベルの出力信号を出力する。反転入力端子に入力される電圧レベルは、灯体の表示状態、さらに点灯期間にあるか消灯期間にあるかにより異なるように、抵抗RCSの抵抗値、抵抗R11の抵抗値、及び抵抗R12の抵抗値を設定することにより決定される。
【0037】
ここで、抵抗RCSの抵抗値、抵抗R11,及び抵抗R12との関係について、以下に説明する。すなわち、抵抗RCSの抵抗値は、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのいずれかに断線がある場合の点滅表示(断線表示)において、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bが点灯している期間の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルよりも高くなるように設定されている。なお、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bの断線は1箇所に限られるものではなく、複数断線の場合であってもよい。本実施形態においては、断線は1灯断線(ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうちいずれか一方のターンシグナルランプのうちの1つのターンシグナルランプが断線)の場合であるとする。
【0038】
抵抗RCSの抵抗値を上記のように設定したことにより、ハザード表示状態の点灯期間、及びT/S表示状態の点灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルは、正転入力端子の電圧レベルより低くなる。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Hレベルの出力信号を出力端子から出力する。一方、ハザード表示状態の消灯期間、T/S表示状態の消灯期間、断線表示状態の点灯期間、及び断線表示状態の消灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルは、正転入力端子の電圧レベルより高くなる。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Lレベルの出力信号を出力端子から出力する。
【0039】
一方、抵抗R11,及び抵抗R12の抵抗値は、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち一方がT/S表示状態において、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち一方が点灯している期間の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルよりも高くなるように設定されている。
抵抗R11,及び抵抗R12の抵抗値を上記のように設定したことにより、ハザード表示状態の点灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルは、正転入力端子の電圧レベルより低くなる。従って、この期間では、コンパレータK1は、Hレベルの出力信号を出力端子から出力する。一方、ハザード表示状態の消灯期間、T/S表示状態の点灯期間、T/S表示状態の消灯期間、断線表示状態の点灯期間、及び断線表示状態の消灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルは、正転入力端子の電圧レベルより高くなる。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Lレベルの出力信号を出力端子から出力する。
【0040】
集積回路IC1、及び集積回路IC2において、負荷検出手段51a、及び負荷検出手段51bの出力信号(コンパレータK1の出力信号)は、それぞれ次段の閾値切替手段52a、及び閾値切替手段52bに入力され、充放電電位検出手段61a、及び充放電電位検出手段61bの判定における閾値電圧レベルの変更に用いられる(詳細後述)。
【0041】
集積回路IC1の8番ピン48aは、スイッチユニット23の入力検出用となっており、抵抗R2を介して駆動用出力端子Lに接続される。ターンシグナルスイッチ34あるいはハザードスイッチ35がオン(投入)されると、8番ピン48aに接続された負荷電位検出手段63aにより、ターンシグナルスイッチ34あるいはハザードスイッチ35がオンされたことが検出される。
【0042】
負荷電位検出手段63aは、
図3に示すように、ウインドコンパレータを構成する2つのコンパレータK2、コンパレータK3、5つの抵抗R63a1〜抵抗R63a5を含んで構成される。抵抗R63a1の一端は6番ピン46aを介して駆動用電源端子Bに接続され、他端は8番ピン48aを介して駆動用出力端子Lに接続される。また、抵抗R63a2の一端は8番ピン48aを介して駆動用出力端子Lに接続され、他端は1番ピン41aに接続される。抵抗R63a1、及び抵抗R63a2の共通接続点が、コンパレータK2の反転入力端子、及びコンパレータK3の正転入力端子に接続される。
抵抗R63a3の一端は6番ピン46aを介して駆動用電源端子Bに接続され、他端はコンパレータK2の正転入力端子、及び抵抗R63a4の一端に接続される。抵抗R63a4の他端は、コンパレータK3の反転入力端子、及び抵抗R63a5の一端に接続される。抵抗R63a5の他端は、1番ピン41aに接続される。
【0043】
ここで、8番ピン48aの電圧レベルを入力電圧Vin、抵抗R63a3、及び抵抗R63a4の共通接続点の電圧レベルを基準電圧Vref2、抵抗R63a4、及び抵抗R63a5の共通接続点の電圧レベルを基準電圧Vref3とする。ウインドコンパレータを構成する2つのコンパレータK2、及びコンパレータK3の出力信号のレベルは、以下のようになる。
すなわち、コンパレータK2は、基準電圧レベルVref2≧入力電圧レベルVinのときHレベルの出力信号を出力し、基準電圧レベルVref2<入力電圧レベルVinとなるとLレベルの出力信号を出力する。一方、コンパレータK3は、入力電圧レベルVin>基準電圧レベルVref3のときHレベルの出力信号を出力し、入力電圧レベルVin≦基準電圧レベルVref3となるとLレベルの出力信号を出力する。
負荷電位検出手段63aは、コンパレータK2、及びコンパレータK3の出力信号から否定的論理和を演算し、演算結果である出力信号N63aをパルス生成手段62aに対して出力する。
【0044】
従って、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が点灯期間に入ると8番ピン48aの電圧レベルが上昇し、コンパレータK2において基準電圧レベルVref2<入力電圧レベルVinとなるので、負荷電位検出手段63aは、Hレベルの出力信号N63aをパルス生成手段62aに対して出力する。一方、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が消灯期間に入ると8番ピン48aの電圧レベルが下降し、コンパレータK3において基準電圧レベルVref3>入力電圧レベルVinとなる。負荷電位検出手段63aは、Hレベルの出力信号N63aをパルス生成手段62aに対して出力する。また、負荷電位検出手段63aは、コンパレータK2の出力信号を論理反転して出力信号I63aを生成し、充放電切替手段64aに対して出力する。
【0045】
パルス生成手段62aは、
図3に示すように、バッファ回路B62aを含んで構成される。パルス生成手段62aは、充放電電位検出手段61aの出力信号C61a(比較結果)の論理反転信号と、負荷電位検出手段63aの出力信号N63aの論理和を演算し、演算結果を、バッファ回路B62aによりバッファリングして、3番ピン43aから出力する。
【0046】
ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が点灯期間に入ると、負荷電位検出手段63aの出力信号N63aはHレベルになる。その所定期間経過後、充放電電位検出手段61aの出力信号C61aがHレベルとなり、パルス生成手段62aは出力信号をオフして、リレーRL1のコイルへの電流供給を停止し、リレースイッチをオフ状態にする。これにより、点灯期間にあるターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方は、点灯期間から消灯期間へ移行する。一方、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が消灯期間に入る場合も、負荷電位検出手段63aの出力信号N63aはHレベルになる。その所定期間経過後、充放電電位検出手段61aの出力信号C61aがLレベルとなり、パルス生成手段62aはHレベルの出力信号を出力して、リレーRL1のコイルへの電流供給を開始し、リレースイッチをオン状態にする。これにより、消灯期間にあるターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方は、消灯期間から点灯期間へ移行する。
【0047】
また、負荷電位検出手段63aは、コンパレータK2の出力信号を論理反転して、論理反転結果である出力信号N63aを充放電切替手段64aに対して出力する。
充放電切替手段64aの出力は5番ピン45aに接続され、この出力信号N63aに応じて、5番ピン45aを駆動する。
ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が点灯期間に入ると、コンパレータK2において基準電圧レベルVref2<入力電圧レベルVinとなるので、コンパレータK2はLレベルの出力信号を出力する。これに応じて、負荷電位検出手段63aはHレベルの出力信号I63aを出力する。充放電切替手段64aは、5番ピン45aを駆動する。これにより、充放電回路25における容量C1が、抵抗R1、及び充放電切替手段64aを介して充電され、4番ピン44aの電圧レベルがHレベルからLレベルへ変化する。
一方、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が消灯期間に入ると、コンパレータK2において基準電圧レベルVref2>入力電圧レベルVinとなる。コンパレータK2はHレベルの出力信号を出力し、これに応じて負荷電位検出手段63aはLレベルの出力信号I63aを出力する。充放電切替手段64aは、5番ピン45aを駆動する。これにより、充放電回路25における容量C1が、抵抗R1、及び充放電切替手段64aを介して放電され、4番ピン44aの電圧レベルがLレベルからHレベルへ変化する。
【0048】
この4番ピン44aの電圧レベルの変化は、充放電電位検出手段61aにより検知される。この検知の際、充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルが、まず、4番ピン44aの電圧レベルがLレベルからHレベルへ変化する場合と、4番ピン44aの電圧レベルがHレベルからLレベルへ変化する場合とで異なる。また、表示状態(ハザード表示、T/S表示状態、断線表示)が点灯期間にあるか消灯期間にあるかに応じて、閾値切替手段52aが充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルを切り替える。これにより、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方の消灯期間、点灯期間、及びこれらの合計の点灯周期を、表示状態に応じて可変とすることができる(詳細後述)。
【0049】
図4を参照して、集積回路IC2の8番ピン48bは、集積回路IC1の8番ピン48aと同様、スイッチユニット23の入力検出用となっており、抵抗R9を介して駆動用出力端子Lに接続される。つまり、集積回路IC2は、駆動用電源端子Bと駆動用出力端子Lとの間に集積回路IC1と並列に接続され、集積回路IC1の負荷電位検出手段63aと同期して、8番ピン48bに接続された負荷電位検出手段63bにより、ターンシグナルスイッチ34あるいはハザードスイッチ35がオンされたことを検出する。
【0050】
集積回路IC2において、負荷電位検出手段63bの構成、及び作用は、負荷電位検出手段63aの構成、及び作用と同じであるので、その説明は省略する。また、パルス生成手段62bの構成は、パルス生成手段62aの構成と同じであるので、その説明は省略する。集積回路IC2では、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が点灯期間に入ると、負荷電位検出手段63bの出力信号N63bはHレベルになる。
ハザード表示における点灯期間の場合、充放電電位検出手段61bの出力信号C61bはLレベルであり(詳細後述)、パルス生成手段62bにおけるバッファ回路B62bはHレベルの出力信号を出力して、NPN型バイポーラトランジスタQ2をオンする。これにより、タイマ回路26は、容量C8の充電に応じてPNP型バイポーラトランジスタQ1をオンさせ、擬似IGN信号を出力し、スイッチング素子24を通電状態にする。
【0051】
一方、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうち少なくとも一方が消灯期間に入る場合も、負荷電位検出手段63bの出力信号N63bはHレベルになる。ハザード表示における消灯期間の場合、充放電電位検出手段61bの出力信号C61bがHレベルとなり、バッファ回路B62bは出力信号をオフして、NPN型バイポーラトランジスタQ2をオフする。タイマ回路26は、容量C8の放電に応じてPNP型バイポーラトランジスタQ1のオンを維持させ、擬似IGN信号を出力し、スイッチング素子24の通電状態を維持する。このように、集積回路IC2は、集積回路IC1がターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bの両方を点滅させる動作に同期して、ハザード表示の点灯期間においてスイッチング素子24を通電状態にする。つまり、ハザード表示後にメインスイッチ29が開かれても(イグニッションスイッチがオフされても)、灯体のハザード表示状態が継続可能となるように作用する。
【0052】
続いて、集積回路IC1における閾値切替手段52a、及び充放電電位検出手段61a、集積回路IC2における閾値切替手段52b、及び充放電電位検出手段61bの構成、及び動作について説明する。
閾値切替手段52aは、負荷検出手段51aの出力信号のレベルに応じて閾値切替手段52aの出力信号C50aを、2通りに切り替える。例えば、閾値切替手段52aは、出力信号C50aのレベルを、HレベルとLレベルとの間で切り替えることにより、駆動部60aにおける充放電電位検出手段61aが入力レベルを判定させる際の閾値電圧レベルを切り替える。
【0053】
充放電電位検出手段61aは、4番ピン44aに接続される入力端子に入力される電圧レベル(入力電圧レベルをVinとする)が、閾値電圧レベルVthHを超えたときに出力信号C61aをHレベルからLレベルへと変化させる。一方、充放電電位検出手段61aは、入力電圧レベルVinが閾値電圧レベルVthLに満たない場合にはHレベルの出力信号を出力する。
つまり、充放電電位検出手段61aは、その出力信号がHレベル(電圧レベルVOHとする)からLレベル(電圧レベルVOLとする)に遷移する際の閾値電圧レベルVthHと、VOLからVOHに遷移する際の閾値電圧レベルVthLが異なる、いわゆるヒステリシス特性を有する。
【0054】
さらに、負荷検出部50aにおいて、閾値切替手段52aが負荷検出手段51aの出力信号に応じて、充放電電位検出手段61aの閾値電圧VthH、及びVthLを切り替える。つまり、閾値電圧レベルVthHと閾値電圧レベルVthLとを一組の閾値電圧レベルの組とすると、閾値切替手段52aは、出力信号C50aのレベルをHレベルとLレベルとの間で切り替えることにより、充放電電位検出手段61aに対して、2組の閾値電圧レベルを設定する。
【0055】
ここで、抵抗RCSの抵抗値を、ハザード表示状態の点灯期間、及びT/S表示状態の点灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルより低くなるように設定している。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Hレベルの出力信号を出力端子から出力し、閾値切替手段52aは、Lレベルの出力信号C50aを充放電電位検出手段61aに対して出力する。これらの期間は、いずれも点灯期間であるので、容量C1は充電期間であり、入力電圧レベルVinはHレベルからLレベルへのみ遷移する。すなわち、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの2組の閾値電圧レベルのうち一方の組の閾値電圧レベルVthL1のみを決定する。
【0056】
一方、抵抗RCS(第1の抵抗)の抵抗値を、ハザード表示状態の消灯期間、T/S表示状態の消灯期間、断線表示状態の点灯期間、及び断線表示状態の消灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルより高くなるように設定している。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Lレベルの出力信号を出力端子から出力し、閾値切替手段52aは、Hレベルの出力信号C50aを充放電電位検出手段61aに対して出力する。これらの期間には、点灯期間、消灯期間の両方が含まれるので、容量C1は充電状態、放電状態の両方がある。容量C1が充電期間の場合、入力電圧レベルVinはHレベルからLレベルへ遷移する。すなわち、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの2組の閾値電圧レベルのうち他方の組の閾値電圧レベルVthL2を決定する。一方、容量C1が放電期間の場合、入力電圧レベルVinはLレベルからHレベルへ遷移する。すなわち、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの2組の閾値電圧レベルのうち他方の組の閾値電圧レベルVthH2を決定する。
【0057】
ここで、閾値電圧レベルの大小関係は、
図5に示すようにVthL1<VthL2<VthH2であり、以下では、これらの閾値電圧レベルを電圧レベルの低い方から、順に「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」、及び「C1放電→充電切替閾値」と呼ぶものとする。
【0058】
一方、集積回路IC2における閾値切替手段52b、及び充放電電位検出手段61bの構成については、集積回路IC1における閾値切替手段52a、及び充放電電位検出手段61aの構成と同様である。しかし、動作については、4番ピン44bに接続される回路が充放電回路25ではなく、定電圧発生手段28であるため、集積回路IC1とは相違する。
集積回路IC2では、抵抗R11,及び抵抗R12(第2の抵抗)の抵抗値を、ハザード表示状態の点灯期間において、集積回路IC2のコンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルより低くなるように設定している。従って、ハザード表示状態の点灯期間は、コンパレータK1は、Hレベルの出力信号を出力端子から出力し、閾値切替手段52bは、Lレベルの出力信号C50bを充放電電位検出手段61bに対して出力する。
一方、抵抗R11,及び抵抗R12(第2の抵抗)の抵抗値を、ハザード表示状態の消灯期間、T/S表示状態の点灯期間、T/S表示状態の消灯期間、断線表示状態の点灯期間、及び断線表示状態の消灯期間において、コンパレータK1の反転入力端子の電圧レベルが、正転入力端子の電圧レベルより高くなるに設定している。従って、これらの期間では、コンパレータK1は、Lレベルの出力信号を出力端子から出力し、閾値切替手段52bは、Hレベルの出力信号C50bを充放電電位検出手段61bに対して出力する。
【0059】
従って、定電圧発生手段28の出力信号の電圧レベル、すなわち、4番ピン44bに接続される充放電電位検出手段61bの入力端子に入力される電圧レベル(入力電圧レベルをVinとする)を、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」と「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」との間に固定する。これにより、ハザード表示状態の点灯期間には、充放電電位検出手段61bの出力信号C61bをLレベルとし、ハザード表示状態の消灯期間には、充放電電位検出手段61bの出力信号C61bをHレベルとすることができ、他の表示状態では点灯期間、消灯期間に係らず、充放電電位検出手段61bの出力信号C61bをHレベルとすることができる。そのため、パルス生成手段62bは、ハザード表示状態の点灯期間には、3番ピン43bからHレベルの駆動信号を、ハザード表示状態の消灯期間には、3番ピン43bからLレベルの駆動信号を、タイマ回路26に出力することができる。タイマ回路26は、この駆動信号を受けて、メインスイッチ29が開いた後においても、集積回路IC1及び集積回路IC2の動作状態を維持する擬似IGN信号(制御用電流)をスイッチング素子24に供給し、スイッチング素子24を通電状態に維持する。これにより、集積回路IC1は、集積回路IC1が制御するハザード表示状態(灯体の点滅状態)を維持することができる。
【0060】
続いて、以上説明した構成を有する車両用灯体制御装置21の作動について説明する。
[T/S表示動作]
まず、メインスイッチ29がオフされているときには、制御用電源端子IGに制御用電流は供給されず、スイッチング素子24は非通電状態にあり、集積回路IC1、及び集積回路IC2は動作しない。そのため、ターンシグナルスイッチ34またはハザードスイッチ35のいずれか一方がオンされても、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのいずれも点滅表示しない。したがって、メインスイッチを切っておけば、この自動二輪車11の駐車中に悪戯等により、ターンシグナルスイッチ34またはハザードスイッチ35が操作されても、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのいずれも表示状態に移行することはない。なお、メインスイッチ29は、その操作に専用のキー等が必要な構造とされており、これによりメインスイッチ29の悪戯等による操作が防止される。
【0061】
メインスイッチ29がオンされると、バッテリ27からの制御用電流が、制御用電源端子IG、及びダイオードDA11を介してスイッチング素子24に供給され、スイッチング素子24が通電状態に移行する。集積回路IC1、及び集積回路IC2は、スイッチング素子から制御電流が供給されて、起動する。集積回路IC1、及び集積回路IC2が起動した状態のもとで、ターンシグナルスイッチ34が右側あるいは左側にオンされると、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bのうちいずれか一方)がターンシグナルスイッチ34を介して駆動用出力端子Lに接続される。
これにより、集積回路IC1の負荷電位検出手段63aにおいて、コンパレータK3がLレベルの出力信号を出力し、負荷電位検出手段63aはHレベルの出力信号N63aを出力する。このとき、集積回路IC1の4番ピン44aは、バッテリ27の電圧レベルと同じレベル(Hレベル)にあり、集積回路IC1のおける充放電電位検出手段61aは、入力端子に入力される入力電圧レベルVin>「C1放電→充電切替閾値」であり、Lレベルの出力信号C61a(比較判定結果)を出力する。これにより、集積回路IC1のパルス生成手段62aにおいて、バッファ回路B62aはHレベルの出力信号を出力し、リレーRL1のリレーコイルに電流を供給する。リレーRL1において、ウインカスイッチがオンし、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bのうちのいずれか一方)は、バッテリ27から電流が供給され、点灯する(点灯期間へ移行する)。
【0062】
図5の時刻t1において点灯期間に移行することにより、8番ピン48aの電圧レベルが上昇し、集積回路IC1の負荷電位検出手段63aにおいて、コンパレータK2がLレベルの出力信号を出力する。これにより、集積回路IC1の充放電切替手段64aが、充放電回路25における容量C1を放電し、4番ピン44aの電圧レベルは、HレベルからLレベルへと遷移する。このとき、集積回路IC1の負荷検出部50aにおいて、負荷検出手段51a(コンパレータK1)は、正転入力端子の電圧レベル>反転入力端子の電圧レベルであるので、Hレベルの出力信号を出力している。これにより、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルを「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」に設定している。4番ピン44aの電圧レベルがこの閾値電圧レベルまで下降すると、充放電電位検出手段61aは出力信号をLレベルからHレベルへと遷移させる。これにより、集積回路IC1のパルス生成手段62aにおいて、バッファ回路B62aはLレベルの出力信号を出力し、リレーRL1のリレーコイルへの電流供給を停止する。リレーRL1において、ウインカスイッチがオフし、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプは、バッテリ27からの電流供給が停止され、消灯する(消灯期間へ移行する)。
【0063】
消灯期間に移行することにより、ターンシグナルスイッチ34が右側あるいは左側にオンされると同様、集積回路IC1の負荷電位検出手段63aにおいて、コンパレータK3がLレベルの出力信号を出力し、負荷電位検出手段63aはHレベルの出力信号N63aを出力する。このとき、コンパレータK2がHレベルの出力信号を出力し、充放電切替手段64aは、5番ピンの電圧レベルを、Hレベルに(バッテリ27の電圧レベルの方向へ)駆動する。これにより、集積回路IC1の4番ピン44aは、Lレベル(「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」)からHレベルへ遷移する。このとき、集積回路IC1の負荷検出部50aにおいて、負荷検出手段51a(コンパレータK1)は、正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルであるので、Lレベルの出力信号を出力している。これにより、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルを、「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」から切り替え、「C1放電→充電切替閾値」に設定している。4番ピン44aの電圧レベルがこの閾値電圧レベルまで上昇すると、充放電電位検出手段61aは出力信号C61aをHレベルからLレベルへと遷移させる。これにより、集積回路IC1のパルス生成手段62aにおいて、バッファ回路B62aはHレベルの出力信号を出力し、リレーRL1のリレーコイルへの電流供給を開始する。リレーRL1において、ウインカスイッチがオンし、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプは、バッテリ27からの電流供給が開始され、点灯する(点灯期間へ移行する)。
【0064】
このように、ターンシグナルスイッチ34がオンされたことが集積回路IC1により検出されて発振回路(駆動部60a)が起動し、リレーRL1の開閉動作が開始される。これにより、左右のいずれか一方のターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bのいずれか一方)は、断続的に駆動電流が供給されて点滅表示する。なお、この点滅周期(発振回路の周期に等しい)は、充放電回路25の充放電周期、すなわち、4番ピン44aの電圧レベルが「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」と「C1放電→充電切替閾値」との間を繰り返す周期に一致する。このように、ターンシグナルスイッチ34の右側あるいは左側をオンすることにより、右側あるいは左側のターンシグナルランプの一方を、周期的に点滅表示させて、自動二輪車11の進行方向を他車や通行人等に表示することができる。
【0065】
[一灯断線表示動作]
上述の様に、メインスイッチ29がオンされた状態のもとでターンシグナルスイッチ34がオンされると、上述した右側あるいは左側のターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bを、周期的に点滅表示させるターンシグナル点滅表示動作を行う。このとき、オンさせた側のターンシグナルランプ15aまたはターンシグナルランプ15bのいずれか一方の2つのターンシグナルランプのうちの1つに断線がある(一灯断線がある)場合、残りの断線のない方のターンシグナルランプの点滅周期を早めて点滅表示(一灯断線表示)させることができる。
この場合、点灯期間において、負荷検出手段51a(コンパレータK1)の正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルとなるように、7番ピン47aに接続された抵抗RCS(負荷検出抵抗1)の抵抗値が設定されている。そのため、負荷検出手段51aは、Lレベルの出力信号を出力している。これにより、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルを「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」に設定している。
図5の時刻t2において、集積回路IC1の充放電切替手段64aが、充放電回路25における容量C1を放電し、5番ピン45aの電圧レベルはHレベルからLレベルへと遷移する。これにより、4番ピン44aの電圧レベルは、HレベルからLレベルへと遷移する。4番ピン44aの電圧レベルがこの閾値電圧レベルまで下降すると、充放電電位検出手段61aは出力信号C61aをLレベルからHレベルへと遷移させる。これにより、集積回路IC1のパルス生成手段62aは、リレーRL1のリレーコイルへの電流供給を停止する。リレーRL1において、ウインカスイッチがオフし、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bのいずれか一方)のうちの断線のない方のターンシグナルランプは、バッテリ27からの電流供給が停止され、消灯する(消灯期間へ移行する)。
【0066】
消灯期間に移行することにより、充放電切替手段64aは、5番ピン45aの電圧レベルを、Hレベルに(バッテリ27の電圧レベルの方向へ)駆動する。これにより、集積回路IC1の4番ピン44aは、Lレベル(「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」)からHレベルへ遷移する。このとき、集積回路IC1の負荷検出部50aにおいて、負荷検出手段51a(コンパレータK1)は、正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルであるので、Lレベルの出力信号を出力している。これにより、閾値切替手段52aは、充放電電位検出手段61aの閾値電圧レベルを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」から切り替え、「C1放電→充電切替閾値」に設定している。4番ピン44aの電圧レベルがこの閾値電圧レベルまで上昇すると、充放電電位検出手段61aは出力信号C61aをHレベルからLレベルへと遷移させる。これにより、集積回路IC1のパルス生成手段62aは、リレーRL1のリレーコイルへの電流供給を開始する。リレーRL1において、ウインカスイッチがオンし、右側あるいは左側のいずれか一方のターンシグナルランプのうちの断線のない方のターンシグナルランプは、はバッテリ27からの電流供給が開始され、点灯する(点灯期間へ移行する)。
【0067】
このように、一灯断線表示動作においても、ターンシグナルスイッチ34がオンされたことが集積回路IC1により検出されて発振回路(駆動部60a)が発振動作を継続し、リレーRL1の開閉動作が継続される。これにより、オンさせた側のターンシグナルランプ15aまたはターンシグナルランプ15bのいずれか一方の2つのターンシグナルランプのうちの断線のない方のターンシグナルランプは、断続的に駆動電流が供給されて点滅表示する。この点滅周期(発振回路の周期に等しい)は、充放電回路25の充放電周期、すなわち、4番ピン44aの電圧レベルが「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」と「C1放電→充電切替閾値」との間を繰り返す周期に一致する。この電圧レベルの変化の振幅は、T/S表示動作における振幅に比べて小振幅であるので、
図5に示すように、点滅周期はT/S表示動作における点滅周期に比べて短い周期となる。このように、ターンシグナルスイッチ34の右側あるいは左側をオンすることにより、右側あるいは左側のターンシグナルランプ15a、ターンシグナルランプ15bのうちいずれか一方のターンシグナルランプを周期的に点滅表示させた場合に、断線が検出されると点滅表示(断線表示)の周期が早められ、これにより運転者に灯体の断線が通知される。
【0068】
[ハザード表示、及び維持動作]
ハザード表示における点滅周期は、上述したT/S表示における点滅周期と同じである。これは抵抗RCSの抵抗値が、負荷検出手段51aが一灯断線表示における点灯期間を検出するように設定されているためである。そのため、ハザード表示における回路動作は、上述したT/S表示における回路動作と同じであり、その詳細な説明は省略する。
ハザード表示では、メインスイッチ29がオンされた状態のもとでハザードスイッチ35がオンされると、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bがハザードスイッチ35を介して駆動用出力端子Lに接続される。また、ハザードスイッチ35がオンされたことが集積回路IC1により検出されて発振回路(駆動部60a)が起動し、リレーRL1の開閉動作が開始される。これにより、左右両方のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bは、断続的に駆動電流が供給されて点滅表示する。この点滅周期(発振回路の周期に等しい)は、充放電回路25の充放電周期、すなわち、4番ピン44aの電圧レベルが「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」と「C1放電→充電切替閾値」との間を繰り返す周期に一致する。このように、ハザードスイッチ35をオンすることにより、左右両方のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bを、周期的に点滅表示(ハザード表示)させて、たとえば非常停車することを他車や通行人等に知らせることができる。
【0069】
ここで、この車両用灯体制御装置21には、集積回路IC2が設けられている。そのため、ハザードスイッチ35がオンされて左右両方のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bがハザード表示されているときに、メインスイッチ29が開かれても、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bがハザード表示状態に維持される。
つまり、ハザード表示状態の点灯期間において、抵抗R11及び抵抗R12(負荷検出抵抗2)からなる分圧回路の出力が接続された負荷検出手段51b(コンパレータK1)の反転入力端子には、T/S表示状態の点灯期間における負荷検出手段51aの反転入力端子に抵抗RCS(負荷検出抵抗1)から入力される信号(第1の電圧降下信号)と同じ電圧レベルの出力信号(第2の電圧降下信号)が入力される。これにより、ハザード表示状態の点灯期間においてのみ、コンパレータK1は、正転入力端子の電圧レベル>反転入力端子の電圧レベルとなり、Hレベルの出力信号を出力する。集積回路IC2の閾値切替手段52bは、充放電電位検出手段61bの閾値電圧レベルを、「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」に設定する。充放電電位検出手段61bでは、定電圧発生手段28が充放電電位検出手段61bの入力端子の電圧レベルVinを、「ターンシグナル時容量C1充電→放電切替閾値」より高いレベルに固定している。そのため、充放電電位検出手段61bはLレベルの出力信号C61b(比較結果)を出力する。パルス生成手段62aは、点灯期間の開始時に負荷電位検出手段63bからHレベルの出力信号C61bが入力されるので、3番ピン43bからHレベルの駆動信号をタイマ回路26へ出力する。
【0070】
一方、ハザード表示状態の消灯期間において、抵抗R11及び抵抗R12からなる分圧回路の出力が接続された負荷検出手段51bの反転入力端子には、T/S表示状態の消灯期間における負荷検出手段51aの反転入力端子に抵抗RCSから入力される信号(第1の電圧降下信号)と同じ電圧レベルの信号(第2の電圧降下信号)が入力される。これにより、ハザード表示状態の消灯期間において、コンパレータK1は、正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルとなり、Lレベルの出力信号を出力する。集積回路IC2の閾値切替手段52bは、充放電電位検出手段61bの閾値電圧レベルを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」に設定する。充放電電位検出手段61bでは、定電圧発生手段28が充放電電位検出手段61bの入力端子の電圧レベルVinを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」より低いレベルに固定している。そのため、充放電電位検出手段61bはHレベルの出力信号C61b(比較結果)を出力する。パルス生成手段62aは、消灯期間の開始時に負荷電位検出手段63bからHレベルの出力信号C61bが入力されるので、3番ピン43bからLレベルの駆動信号をタイマ回路26へ出力する。
【0071】
このように、ハザード表示状態において、ハザード表示される左右両方のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bが同時に点灯するのに同期して、集積回路IC2の3番ピン43bからHレベルの駆動信号が出力され、タイマ回路26はスイッチング素子24に擬似IGN信号(制御用電流)を供給する。ハザード表示される左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bが同時に消灯するのに同期して、集積回路IC2の3番ピン43bからLレベルの駆動信号が出力され、タイマ回路26はスイッチング素子24に擬似IGN信号を供給して、スイッチング素子の通電状態を維持する。これにより、集積回路IC1、及び集積回路IC2はスイッチング素子24を介して制御電流が供給される(各集積回路の1番ピン41a、及び1番ピン41bを接地する)ので、メインスイッチ29をオフしても、集積回路IC1、及び集積回路IC2の動作状態は維持され、左右のターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのハザード表示が維持される。
【0072】
次に、ターンシグナルスイッチ34がオンされて左右のいずれか一方のターンシグナルランプ(ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうちいずれか一方)が点滅表示されているときにメインスイッチ29がオフされた場合について説明する。
この場合、T/S表示状態の点灯期間において、抵抗R11及び抵抗R12(負荷検出抵抗2)からなる分圧回路の出力が接続された負荷検出手段51b(コンパレータK1)の反転入力端子には、断線表示状態の点灯期間における負荷検出手段51aの反転入力端子に抵抗RCS(負荷検出抵抗1)から入力される信号(第1の電圧降下信号)と同じ電圧レベルの信号(第2の電圧降下信号)が入力される。これにより、T/S表示状態の点灯期間において、コンパレータK1は、正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルとなり、Lレベルの出力信号を出力する。集積回路IC2の閾値切替手段52bは、充放電電位検出手段61bの閾値電圧レベルを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」に設定する。充放電電位検出手段61bでは、定電圧発生手段28が充放電電位検出手段61bの入力端子の電圧レベルVinを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」より低いレベルに固定している。そのため、充放電電位検出手段61bはHレベルの出力信号C61b(比較結果)を出力する。パルス生成手段62aは、点灯期間の開始時に負荷電位検出手段63bからHレベルの出力信号C61bが入力されるので、3番ピン43bからLレベルの駆動信号をタイマ回路26へ出力する。
【0073】
一方、T/S表示状態の消灯期間において、抵抗R11及び抵抗R12からなる分圧回路の出力が接続された負荷検出手段51bの反転入力端子には、断線表示状態の消灯期間における負荷検出手段51aの反転入力端子に抵抗RCSから入力される信号(第1の電圧降下信号)と同じ電圧レベルの信号(第2の電圧降下信号)が入力される。これにより、T/S表示状態の消灯期間において、コンパレータK1は、正転入力端子の電圧レベル<反転入力端子の電圧レベルとなり、Lレベルの出力信号を出力する。集積回路IC2の閾値切替手段52bは、充放電電位検出手段61bの閾値電圧レベルを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」に設定する。充放電電位検出手段61bでは、定電圧発生手段28が充放電電位検出手段61bの入力端子の電圧レベルVinを、「一灯断線時容量C1充電→放電切替閾値」より低いレベルに固定している。そのため、充放電電位検出手段61bはHレベルの出力信号C61b(比較結果)を出力する。パルス生成手段62aは、消灯期間の開始時に負荷電位検出手段63bからHレベルの出力信号C61bが入力されるので、3番ピン43bからLレベルの駆動信号をタイマ回路26へ出力する。
このように、集積回路IC2は3番ピン43bからLレベルの駆動信号を出力し、Hレベルの駆動信号を出力しない。そのため、タイマ回路26は動作しないので、スイッチング素子24はオフされ、集積回路IC1、及び集積回路IC2はスイッチング素子24を介して制御電流が供給されず、ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15bのうちいずれか一方のターンシグナルランプの点滅表示は停止される。
【0074】
このように、本発明の灯体制御装置(車両用灯体制御装置21)によれば、表示スイッチ(本実施形態ではハザードスイッチ35)の投入により灯体を表示状態(本実施形態ではハザード表示状態)にしたときには、集積回路IC1(第1の制御部)、及び集積回路IC2(第2の制御部)において、次の制御が行なわれる。すなわち、集積回路IC1において、第1の駆動部(駆動部60a)が、第1の負荷検出部(負荷検出部50a)の検出結果と、灯体の点灯期間に充電され、消灯期間において放電される充放電手段の電圧レベルの変化との比較判定結果(充放電電位検出手段61aの出力信号C61a)に応じて、リレーRL1をオンまたはオフさせる駆動信号(3番ピン43aからの出力信号)を出力する。一方、集積回路IC2(第2の制御部)において、第2の負荷検出部(負荷検出部50b)が第2の電圧降下信号に基づいて、灯体(ターンシグナルランプ15a、及びターンシグナルランプ15a)の表示状態が点灯期間であることを検出する。第2の駆動部(駆動部60b)は、この検出結果を用いて比較判定結果(充放電電位検出手段61bの出力信号C61b)を生成し、この比較判定結果に応じて、第1の制御回路(集積回路IC1)、及び第2の制御回路(集積回路IC2)へ制御電流を供給するスイッチング素子24の通電状態を維持する駆動信号(3番ピン43bからの出力信号)を、タイマ回路26に対して出力する。タイマ回路26は、この駆動信号を受けて擬似IGN信号(制御用電流)をスイッチング素子24に供給し、スイッチング素子24の通電状態を維持する。これにより、表示スイッチの投入により指定される表示状態(本実施形態では、ハザード表示状態)のときにメインスイッチが開かれても、灯体の表示状態を維持することができる。
【0075】
また、本発明の灯体制御装置(車両用灯体制御装置21)によれば、灯体に断線がある際(上記説明では一灯断線)、第1の負荷検出部(負荷検出部50a)が第1の電圧降下信号に基づいて、灯体の表示状態が点灯期間であることを検出する。第1の駆動部(駆動部60a)は、この検出結果を用いて比較判定結果(充放電電位検出手段61aの出力信号C61a)を生成し、この比較判定結果に応じて、リレーRL1のオンまたはオフの周期を切り替える駆動信号(3番ピン43aからの出力信号)を出力する。これにより、灯体に断線がある際、表示状態における点灯期間及び点滅期間からなる点滅周期を短くして、運転者に断線を通知することができる。
【0076】
また、第1の負荷検出部(負荷検出部50a)、及び第2の負荷検出部(負荷検出部50b)は、それぞれ第1の電圧降下信号、第2の電圧降下信号に基づいて検出結果を出力するため、回路としての機能は同じであり、その回路構成を上述したように同一にできる。また、第1の駆動部(駆動部60a)、及び第2の駆動部(駆動部60b)は、それぞれ第1の負荷検出部(負荷検出部50a)、及び第2の負荷検出部(負荷検出部50b)の検出結果を用いて比較判定結果を生成し、この比較判定結果に応じて駆動信号を出力するので、回路としての機能は同じであり、その回路構成を上述したように同一にできる。従って、車両用灯体制御装置21において、第1の制御部、(集積回路IC1)と第2の制御部(集積回路IC2)とを同じ部品(例えば上述の通り同じ集積回路)とすることができる。そのため、表示スイッチの投入により指定される表示状態(本実施形態では、ハザード表示状態)を維持するためスイッチング素子24を通電状態に維持するという第2の制御部が行なう機能を有する回路を、特に第2の負荷検出部(負荷検出部50b)に相当する回路を、第1の制御部の外付けの回路として設計、製造することが不要となる。これにより、灯体制御装置の部品点数を減らして製造コストを低減させることができる。
【0077】
特に、第2の抵抗(抵抗R11及び抵抗R12;負荷検出抵抗2)を、表示スイッチ(ハザードスイッチ35またはターンシグナルスイッチ34)の投入により第1の表示状態(T/S表示状態)を指定する場合、点灯期間における第2の電圧降下信号のレベルが、灯体に断線がある際の灯体の表示状態が点灯期間にあるときの第1の電圧降下信号のレベルとなるように設定する。また、表示スイッチの投入により第2の表示状態(ハザード表示状態)を指定する場合、点灯期間における第2の電圧降下信号のレベルが、第1の表示状態が点灯期間にあるときの第1の電圧降下信号のレベルとなるように設定する。これにより、次の効果が得られる。すなわち、ハザード表示状態を、他の表示状態(T/S表示、断線表示)と区別できるので、メインスイッチが開かれても、ハザード表示のときのみ灯体の表示状態を維持することができる。
【0078】
本願の技術思想は、灯体の表示状態を制御する車両用灯体制御装置に適用できる。更に、図面で開示した各回路ブロック内の回路形式、その他の制御信号を生成する回路は、実施例が開示する回路形式に限られない。
本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であれば成し得る各種変形、修正を含むことは勿論である。