(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941311
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】護岸構造物
(51)【国際特許分類】
E02B 3/12 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
E02B3/12
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-72558(P2012-72558)
(22)【出願日】2012年3月27日
(65)【公開番号】特開2013-204266(P2013-204266A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2015年3月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000195971
【氏名又は名称】西松建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108327
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 良和
(72)【発明者】
【氏名】福本 正
【審査官】
苗村 康造
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭58−004011(JP,A)
【文献】
新版 土木工学ハンドブック 上巻,技報堂出版株式会社,1978年 4月 1日,1版4刷,P.442、図−6.3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02B 1/00〜 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基底面が開放してあって錐体面の縁にフランジが設けてある複数の三角錐体が、連続して、または、間隔をおいて頂部を下にしてフランジにおいて直立護岸壁面に固定してあり、三角錐体の錐体面には複数の透過穴が形成してある護岸構造物。
【請求項2】
請求項1において、直立護岸壁と三角錐体で区画される中空部に捨石等が充填してある護岸構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
護岸構造物に沿って、または、浅い角度で到達する進行波が護岸を越波したり越流することを防止するための護岸構造物である。
【背景技術】
【0002】
図4に示すように、護岸構造物1に沿って進むか、または、浅い角度で護岸構造物1に到達する航跡波などの進行波Pは、
図3(1)に示すように、護岸構造物1の前面で波高が増幅されて護岸構造物1を越えて浸水することがある。
また、護岸構造物1の前面に杭形式の桟橋3が設置されている場合、桟橋3の上部工31に増幅された波が上向きに作用し、上部工31が破壊されることがある。これを防止するため護岸構造物の前面に消波ブロックや捨石などを設置したり、また、護岸構造物前面にカーテンウォールやスリットケーソンを設置することが行われている。
【0003】
進行波を緩衝する方法としては、特許文献1(特開2004−143789号公報)、または、特許文献2(特開2005−220706号公報)にあるように、護岸構造物に設けたスリットや穴によって波を透過させて緩衝することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−143789号公報
【特許文献2】特開2005−220706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の護岸構造物に対する進行波による悪影響の防止策は大掛かりとなり、費用がかかることから、進行波の影響を簡単な構造で緩和できるようにすると共に、既存の護岸に対しても付設することができる進行波防止対策を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
護岸構造物の前面に錐体面に複数の透過穴が形成してある三角錐の中空体を、その頂点を下側にして取り付けたものであり、水深方向に断面が変化する三角錐体によって進行波が増幅されるのを防止し、護岸構造物を越波したり越流することを防止するものである。
透過穴の形状は円形、または長方形などであり、その形状は特に限定されるものでなく、錐体面を通じて海水の出入りができるものであればよい。
透過穴の大きさは全て同じにするか、深さ方向に向かって大きさを変更させてもよい。
また、中空三角錐体の内部にはコンクリートがらや捨石等が充填されるものでもよく、この場合、充填されるものは錐体面の透過穴の大きさより大きなものとする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、護岸構造物の壁体面が複数の透過穴の形成された三角錐体によって凹凸面となるので進行波に対しては不連続面となり、進行波の増幅が抑制され、越波や越流が低減されるのである。
更に、直立護岸壁の前面の水深方向に壁体の断面形状が凹凸に変化することになり、また、三角錐体の表面に多数の透過穴が形成されることから、生物の生息空間が創出され、護岸壁への付着性生物だけでなく、多様な生物種が生息する空間を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】進行波が護岸壁に浅い角度で到達する状態の説明図。
【符号の説明】
【0009】
1 護岸構造物
11 直立壁
2 中空三角錐体
21 頂部
22 透過穴
23 基底面
24 捨石
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1及び
図2に示すように、護岸構造物1は、直立壁11を有するものであり、この直立壁11に中空三角錐体2がその頂部21を下側にして連続して、または、間隔をおいて設置されている。
中空三角錐体2の直立壁に面する錐体面は欠損しており、直立壁11に取り付けて壁面を錐体面として中空三角錐体が構成される。中空三角錐体2の海水に接する二面には、直径200〜500mm程度の透過穴22が複数個形成してある。
【0011】
中空三角錐体2の基底面23は、開放してあり、直立壁11に設置された後、この開放された基底面23から、錐体面に形成した透過穴22の直径より径の大きな捨石24が中空部内に充填される。
【0012】
中空三角錐体2の面材は、鋼製、プレキャストコンクリート、または、繊維強化プラスチックなどであり、材質を特に限定するものでなく、環境や生物に悪影響を与えるものでなければよい。
護岸の直立壁11への取り付けは、錐体面の縁に直立壁11に取り付けるためのフランジ25を形成し、このフランジ25を直立壁11に接触させてアンカーボルト等を使用して固定する。