【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電池が収納される電源部と、前記電池を電源とした交流発生回路と、該交流発生回路により発生した電圧を昇圧し、高電圧により作動する電気回路またはデバイスのチェック電圧を得る昇圧回路と、前記電源部、前記交流発生器および前記昇圧回路を収納する携帯可能な大きさの外装ケーシングとを備え、このチェック電圧を前記電気回路または前記デバイスに印加することで、前記電気回路または前記デバイスの動作チェックを行う携帯用動作チェッカーであって、
前記電気回路または前記デバイスは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の中心導体と、該中心導体の外周面から離間して設けられた電極との間で誘起された電圧によって動作され、かつ前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するもので、前記チェック電圧は、通電停止状態の前記中心導体に印加されるとともに、前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材は、前記中心導体を中心として該中心導体の外周に配置され、かつ接地される導電性のスリーブ金具を有し、
前記外装ケーシングの上板に元部が固定され、かつ先部が前記中心導体に当接される前記チェック電圧用の出力端子を有し、
この上板にあって、前記出力端子の元部の固定位置から離間した位置に、該出力端子を中心とした半径方向に長く、かつ前記スリーブ金具の外周縁に当接されるアース端子を設けた携帯用動作チェッカーである。
【0008】
携帯用動作チェッカーとは、持ち運び可能な大きさおよび重さを有して、動作チェック時のみ電気回路またはデバイスに対して電気的に接続し、交流または直流のチェック電圧を印加することで電気回路またはデバイスの動作をチェックする小型の検査器である。 携帯用動作チェッカーの大きさは、カバンまたは検査員のポケットに収納可能な大きさが好ましい。また、携帯用動作チェッカーの重さは、電池を含めて成人男性が片手で持ち運べる重さ(例えば2kg以下)が好ましい。
電池としては、各種の一次電池(マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム一次電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池など)の他、各種の二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、リチウムイオン電池など)を採用することができる。
ここでいう「高電圧」とは、600V〜2.5kVである。直流電圧でも交流電圧でもよい。600V未満では充電電流が十分ではなく動作チェックができない。また、2.5kVを超えれば、電気絶縁が維持できず検査員の感電の恐れがある。特に、2.0kV〜2.2kVとした方が、電気素子の定格を超えないという理由により好ましい。
【0009】
ここでいう「高電圧により作動する電気回路またはデバイス」の意味としては、文字通りに直接印加された高電圧により作動する電気回路または直接印加された高電圧により作動するデバイスの場合と、高電圧を電磁誘導して発生した誘起電圧によって作動する電気回路またはこの誘起電圧によって作動するデバイスの場合の2つがある。何れの場合であっても、携帯用動作チェッカーのチェック電圧が直接印加される部分は、高電圧の入力部(入力端子)である。
高電圧により作動する電気回路またはデバイスを搭載した対象物としては、例えば、交流用のものとして、蛍光灯用安定器,オゾナイザーなどが挙げられる。また、直流用のものとしては、スパッタリング電源,複写機用電源などが挙げられる。その他、高電圧用(直流または交流)のメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材、開閉器ブッシングなどが挙げられる。
【0010】
チェック電圧の大きさは、検査対象の電気回路またはデバイスに通常印加される電圧(高電圧)とした方が好ましいものの、それより低電圧であっても、電気回路またはデバイスが作動したことを検査員が認識可能であればよい。
ただし、この発明における「電気回路またはデバイス」としては、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の中心導体と、中心導体の外周面から離間して設けられた電極との間で誘起された電圧によって動作され、かつメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するものを採用した方が望ましい。この場合、チェック電圧は中心導体に印加するようにした方が望ましい。
【0011】
メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルとしては、遮蔽層付きの例えば直流用または交流用のCVケーブルなどを採用することができる。メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルは、送電用または配電用のケーブルである。メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルは、低圧用、高圧用、特別高圧用、超高圧用の何れのものでもよい。
メタルケーブルの端末またはメタルケーブルの接続材と、メタルバイパスケーブルの端末またはメタルバイパスケーブルの接続材としては、例えば直線接続筒、T分岐接続筒、絶縁栓、コネクタ、π分岐アダプタなどを採用することができる。
電極の形状は任意である。例えば板形状、リング形状、ハーフリング状(C形状)などを採用することができる。
「中心導体の外周面から離間した状態」とは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材において、中心導体の外周面からこの外周面より外方へ所定の長さ離間した電気的な絶縁状態をいう。
【0012】
ここでの携帯用動作チェッカーとは、所定の電気回路(報知回路)またはデバイスを動作チェックするもので、中心導体へのチェック電圧の印加により、中心導体と電極との間で誘起された電圧を電気回路またはデバイスに印加し、電気回路またはデバイスが正常に動作するか否かを検査する。
携帯用動作チェッカーの出力端子が接続されるのは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルが接続される前の端末内の導体接続端子(中心導体)、または、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルが接続される前の接続材に内蔵された中心導体などである。
ここでいう「報知」とは、人間の視覚、聴覚などを利用し、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの所定の状態を第三者に知らせる(警報を含む)ことをいう。ここでの電気回路は報知回路である。報知回路とは、その報知を行う報知器を作動させる回路である。
【0013】
報知回路としては、例えば、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの充電状態を電気光学素子の点灯または点滅により報知する充電表示器の充電表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの充電状態を表示する液晶ディスプレイの充電表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの劣化を電気光学素子の点灯または点滅の輝度変化により報知するケーブル劣化診断器の診断結果表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの部分放電の発生を検査するコロナ放電測定器の測定値表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの断線を電気光学素子の無点灯または無点滅によって報知するケーブル断線診断器の診断結果表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの電圧測定器の測定値表示回路などを採用することができる。その他、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの所定の状態を知らせるメロディー、ブザー音、電子音声などの音をスピーカから発生させる発音器の発音回路などを採用することができる。
【0014】
報知回路が設けられる基板は、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルのうち、何れか1つの端末の外周面またはその接続材の外周面に露出状態で取り付けてもよい。また、メタルケーブルの場合には、基板をメタルケーブルの端末の内部またはメタルケーブルの接続材の内部に埋め込むことができる。また、メタルバイパスケーブルの場合には、基板をメタルバイパスケーブルの端末の内部またはメタルバイパスケーブルの接続材の内部に埋め込むことができる。
ここでいう電気光学素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)の他、EL素子、発光ランプ、液晶ディスプレイを採用することができる。
発光ダイオードとして高輝度発光ダイオードを採用してもよい。高輝度発光ダイオードとは、例えば1000mcdの輝度を有した発光素子である。高輝度発光ダイオードを採用することで、一般的な発光ダイオードに比べて、より明るく点灯または点滅させることができる。高輝度発光ダイオードを10mcd以上で点灯または点滅させるために必要な電流は、20μA以上である。発光素子の点滅間隔は任意である。例えば、0.1〜3秒間隔である。
【0015】
液晶ディスプレイとしては、例えば、太陽光などの外光を反射する反射型の液晶ディスプレイ、または、外光による反射光の表示とバックライトの透過光による表示とを併用可能な半透過型の液晶ディスプレイ、高輝度発光ダイオードなどの発光ダイオードなどを採用することができる。
電気光学素子の使用数は任意である。例えば、液晶ディスプレイのみ、発光ダイオードのみ、または液晶ディスプレイが1つと、発光ダイオードが1つとの合計2つ以上などである。
メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルには交流電圧が充電されるため、報知回路は整流回路を有している。報知回路は各種の基板に設けられる。
ここでのデバイスとは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するデバイスをいう。具体的には、液晶モジュール、圧電素子、各種のセンサなどを採用することができる。デバイスの使用数は任意である。1つまたは2つ以上でもよい。
【0016】
また、この発明におけるメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材は、中心導体を中心として中心導体の外周に配置され、かつ接地される導電性のスリーブ金具を有し、外装ケーシングに元部を固定し、かつ先部が中心導体に当接されて昇圧回路により昇圧された高電圧の出力端子を有し、外装ケーシングのうち、出力端子の元部の固定位置から離間した位置に、出力端子を中心とした半径方向に長く、かつスリーブ金具の外周縁に当接されるアース端子を設けた方が望ましい。
【0017】
ここでいうスリーブ金具とは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の外装体となる円筒形状の金具である。
スリーブ金具の素材としては、例えばアルミニウム合金などの導電性を有した金属を採用することができる。スリーブ金具は、その軸線上に中心導体を配置した状態で、中心導体の外周に配置される。中心導体とスリーブ金具との間には、絶縁素材からなる絶縁層が介在され、スリーブ金具の絶縁状態が維持されている。スリーブ金具には、例えば外周面などに接地(アース)線が接続される。
出力端子の形状は任意である。例えば、丸棒、角棒などの棒形状の他、円筒、角筒などの筒形状を採用することができる。
【0018】
アース端子は、内部で高電圧を発生する携帯用動作チェッカーにおいて、漏電電流による感電事故および機器破損を防止するため、スリーブ金具に電気的に接続された接地線を利用してこの携帯用動作チェッカーの接地アースを得るための端子である。
アース端子は、出力端子から離間し、かつ出力端子を中心とした半径方向に長い端子であれば、その大きさ、形状は任意である。例えば、アース端子が板片の場合、その外観形状としては円形、楕円形、三角形または四角形以上の多角形などを採用することができる。 また、外装ケーシングのうち、出力端子とアース端子とが設けられる位置もそれぞれ任意である。例えば、外装ケーシングが直方体の筐体の場合には、外装ケーシングの長さ方向の一端面における離間した2つの位置(一端部と他端部など)でもよい。
ただし、これらのアース端子の大きさや形状、外装ケーシング上での出力端子とアース端子との形成位置は、出力端子を中心導体に当接した状態で、スリーブ金具の外周縁にアース端子が当接(接地)する条件を満足しなければならない。
交流発生回路としては、例えば、タイマーIC/555発信回路などを採用することができる。その他、LC発信器やCR発信器および水晶発振器などでもよい。このうち、回路構成の簡便性、安定度、コストの観点からタイマーIC/555発振回路が好ましい。
【0019】
昇圧回路としては、例えば、直流の高電圧を出力する整流回路、交流の高電圧を出力するトランス(変圧器)などを採用することができる。
このうち、整流回路としては、例えば(多段式)コッククロフトウォルトン回路、ダイオード型半波,全波整流回路などを採用することができる。
また、トランスとしては、例えば圧電トランスなどを採用することができる。圧電トランスとは、電圧の印加により形状が変化する圧電セラミックスを本体とし、圧電セラミックスに入力側から電圧を印加し、圧電逆効果により圧電セラミックスを機械的に大きく振動させるものである。これにより、出力側で機械的歪みを発生させ、これを圧電効果により電荷として出力することで、入力側より高い電圧を出力側から得られる。
【0020】
外装ケーシングの素材としては、各種の合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など)、各種の金属(ステンレス、ジュラルミンなどのアルミニウム合金など)などを採用することができる。絶縁性が高い素材の方が好ましいが、導電性の素材でもよい。
外装ケーシングの外観形状は任意である。例えば直方体、楕円体などが挙げられる。
ここでいう「携帯可能な大きさ」とは、成人男性が片手で持ち運べる大きさである。外装ケーシングが筐体である場合の一例を挙げれば、長さ5〜30cm、幅3〜20cm、厚さ1〜5cmなどである。