特許第5941312号(P5941312)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941312
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】携帯用動作チェッカー
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/00 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   G01R31/00
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-74772(P2012-74772)
(22)【出願日】2012年3月28日
(65)【公開番号】特開2013-205232(P2013-205232A)
(43)【公開日】2013年10月7日
【審査請求日】2014年12月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196565
【氏名又は名称】西日本電線株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】504237050
【氏名又は名称】独立行政法人国立高等専門学校機構
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 雄一
(72)【発明者】
【氏名】相原 茂
(72)【発明者】
【氏名】上野 崇寿
【審査官】 荒井 誠
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−107111(JP,A)
【文献】 実開平04−001466(JP,U)
【文献】 特開2011−220693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G01R 31/12−31/20
G01R 19/00−19/32
G01R 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池が収納される電源部と、前記電池を電源とした交流発生回路と、該交流発生回路により発生した電圧を昇圧し、高電圧により作動する電気回路またはデバイスのチェック電圧を得る昇圧回路と、前記電源部、前記交流発生器および前記昇圧回路を収納する携帯可能な大きさの外装ケーシングとを備え、
このチェック電圧を前記電気回路または前記デバイスに印加することで、前記電気回路または前記デバイスの動作チェックを行う携帯用動作チェッカーであって、
前記電気回路または前記デバイスは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の中心導体と、該中心導体の外周面から離間して設けられた電極との間で誘起された電圧によって動作され、かつ前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するもので、
前記チェック電圧は、通電停止状態の前記中心導体に印加されるとともに、
前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材は、前記中心導体を中心として該中心導体の外周に配置され、かつ接地される導電性のスリーブ金具を有し、
前記外装ケーシングの上板に元部が固定され、かつ先部が前記中心導体に当接される前記チェック電圧用の出力端子を有し、
この上板にあって、前記出力端子の元部の固定位置から離間した位置に、該出力端子を中心とした半径方向に長く、かつ前記スリーブ金具の外周縁に当接されるアース端子を設けた携帯用動作チェッカー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は携帯用動作チェッカー、詳しくは高電圧により作動する各種の電気回路または各種のデバイスの死活判別が可能な携帯用動作チェッカーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、特許文献1に開示された充電表示器のように、高圧ケーブルの端末などの絶縁層の表面の一部に、接地部から切り離された導電性または半導電性の非接地部(電極)を設け、非接地部と接地部とを充電表示器により電気的に接続し、高圧ケーブルに高電圧が印加されたとき、充電表示器の充電表示回路からの指令に基づき、液晶表示部に「充電中」を表示するものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第2615861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された充電表示器には、液晶表示部の充電表示回路の動作チェック機能が配備されていなかった。そのため、充電後、充電表示回路が故障して回路表示部に充電状態が表示されなかった場合、接続状態や配線状態または開閉器などの機材の故障といった原因の追求に多大な手間を要していた。 また、充電中にも、充電表示回路の短絡などにより液晶表示部から充電状態の表示が消えてしまう場合がある。そのため、停電状態を示す表示に対する信頼性は低く、その後に行われる停電復旧作業の安全性に疑問が残った。
【0005】
そこで、発明者は、鋭意研究の結果、充電表示器の充電表示回路など、高電圧により作動する電気回路またはデバイスが正常に動作するか否かを、電池を電源としたチェック電圧を印加して検査する携帯用動作チェッカーを開発すれば、場所や時期に拘わりなく、高電圧により作動する電気回路またはデバイスを動作チェックできることを知見し、この発明を完成させた。
【0006】
この発明は、持ち運び可能でかつ必要に応じて、高電圧により作動する電気回路またはデバイスの動作チェックを行うことができる携帯用動作チェッカーを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、電池が収納される電源部と、前記電池を電源とした交流発生回路と、該交流発生回路により発生した電圧を昇圧し、高電圧により作動する電気回路またはデバイスのチェック電圧を得る昇圧回路と、前記電源部、前記交流発生器および前記昇圧回路を収納する携帯可能な大きさの外装ケーシングとを備え、このチェック電圧を前記電気回路または前記デバイスに印加することで、前記電気回路または前記デバイスの動作チェックを行う携帯用動作チェッカーであって、前記電気回路または前記デバイスは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の中心導体と、該中心導体の外周面から離間して設けられた電極との間で誘起された電圧によって動作され、かつ前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するもので、前記チェック電圧は、通電停止状態の前記中心導体に印加されるとともに、前記メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材は、前記中心導体を中心として該中心導体の外周に配置され、かつ接地される導電性のスリーブ金具を有し、前記外装ケーシングの上板に元部が固定され、かつ先部が前記中心導体に当接される前記チェック電圧用の出力端子を有し、この上板にあって、前記出力端子の元部の固定位置から離間した位置に、該出力端子を中心とした半径方向に長く、かつ前記スリーブ金具の外周縁に当接されるアース端子を設けた携帯用動作チェッカーである。
【0008】
携帯用動作チェッカーとは、持ち運び可能な大きさおよび重さを有して、動作チェック時のみ電気回路またはデバイスに対して電気的に接続し、交流または直流のチェック電圧を印加することで電気回路またはデバイスの動作をチェックする小型の検査器である。 携帯用動作チェッカーの大きさは、カバンまたは検査員のポケットに収納可能な大きさが好ましい。また、携帯用動作チェッカーの重さは、電池を含めて成人男性が片手で持ち運べる重さ(例えば2kg以下)が好ましい。
電池としては、各種の一次電池(マンガン乾電池、アルカリ乾電池、リチウム一次電池、酸化銀電池、空気亜鉛電池など)の他、各種の二次電池(ニカド電池、ニッケル水素電池、リチウム二次電池、リチウムイオン電池など)を採用することができる。
ここでいう「高電圧」とは、600V〜2.5kVである。直流電圧でも交流電圧でもよい。600V未満では充電電流が十分ではなく動作チェックができない。また、2.5kVを超えれば、電気絶縁が維持できず検査員の感電の恐れがある。特に、2.0kV〜2.2kVとした方が、電気素子の定格を超えないという理由により好ましい。
【0009】
ここでいう「高電圧により作動する電気回路またはデバイス」の意味としては、文字通りに直接印加された高電圧により作動する電気回路または直接印加された高電圧により作動するデバイスの場合と、高電圧を電磁誘導して発生した誘起電圧によって作動する電気回路またはこの誘起電圧によって作動するデバイスの場合の2つがある。何れの場合であっても、携帯用動作チェッカーのチェック電圧が直接印加される部分は、高電圧の入力部(入力端子)である。
高電圧により作動する電気回路またはデバイスを搭載した対象物としては、例えば、交流用のものとして、蛍光灯用安定器,オゾナイザーなどが挙げられる。また、直流用のものとしては、スパッタリング電源,複写機用電源などが挙げられる。その他、高電圧用(直流または交流)のメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材、開閉器ブッシングなどが挙げられる。
【0010】
チェック電圧の大きさは、検査対象の電気回路またはデバイスに通常印加される電圧(高電圧)とした方が好ましいものの、それより低電圧であっても、電気回路またはデバイスが作動したことを検査員が認識可能であればよい。
ただし、この発明における「電気回路またはデバイス」としては、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の中心導体と、中心導体の外周面から離間して設けられた電極との間で誘起された電圧によって動作され、かつメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するものを採用した方が望ましい。この場合、チェック電圧は中心導体に印加するようにした方が望ましい。
【0011】
メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルとしては、遮蔽層付きの例えば直流用または交流用のCVケーブルなどを採用することができる。メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルは、送電用または配電用のケーブルである。メタルケーブルおよびメタルバイパスケーブルは、低圧用、高圧用、特別高圧用、超高圧用の何れのものでもよい。
メタルケーブルの端末またはメタルケーブルの接続材と、メタルバイパスケーブルの端末またはメタルバイパスケーブルの接続材としては、例えば直線接続筒、T分岐接続筒、絶縁栓、コネクタ、π分岐アダプタなどを採用することができる。
電極の形状は任意である。例えば板形状、リング形状、ハーフリング状(C形状)などを採用することができる。
「中心導体の外周面から離間した状態」とは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材において、中心導体の外周面からこの外周面より外方へ所定の長さ離間した電気的な絶縁状態をいう。
【0012】
ここでの携帯用動作チェッカーとは、所定の電気回路(報知回路)またはデバイスを動作チェックするもので、中心導体へのチェック電圧の印加により、中心導体と電極との間で誘起された電圧を電気回路またはデバイスに印加し、電気回路またはデバイスが正常に動作するか否かを検査する。
携帯用動作チェッカーの出力端子が接続されるのは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルが接続される前の端末内の導体接続端子(中心導体)、または、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルが接続される前の接続材に内蔵された中心導体などである。
ここでいう「報知」とは、人間の視覚、聴覚などを利用し、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの所定の状態を第三者に知らせる(警報を含む)ことをいう。ここでの電気回路は報知回路である。報知回路とは、その報知を行う報知器を作動させる回路である。
【0013】
報知回路としては、例えば、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの充電状態を電気光学素子の点灯または点滅により報知する充電表示器の充電表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの充電状態を表示する液晶ディスプレイの充電表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの劣化を電気光学素子の点灯または点滅の輝度変化により報知するケーブル劣化診断器の診断結果表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの部分放電の発生を検査するコロナ放電測定器の測定値表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの断線を電気光学素子の無点灯または無点滅によって報知するケーブル断線診断器の診断結果表示回路、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの電圧測定器の測定値表示回路などを採用することができる。その他、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの所定の状態を知らせるメロディー、ブザー音、電子音声などの音をスピーカから発生させる発音器の発音回路などを採用することができる。
【0014】
報知回路が設けられる基板は、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルのうち、何れか1つの端末の外周面またはその接続材の外周面に露出状態で取り付けてもよい。また、メタルケーブルの場合には、基板をメタルケーブルの端末の内部またはメタルケーブルの接続材の内部に埋め込むことができる。また、メタルバイパスケーブルの場合には、基板をメタルバイパスケーブルの端末の内部またはメタルバイパスケーブルの接続材の内部に埋め込むことができる。
ここでいう電気光学素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)の他、EL素子、発光ランプ、液晶ディスプレイを採用することができる。
発光ダイオードとして高輝度発光ダイオードを採用してもよい。高輝度発光ダイオードとは、例えば1000mcdの輝度を有した発光素子である。高輝度発光ダイオードを採用することで、一般的な発光ダイオードに比べて、より明るく点灯または点滅させることができる。高輝度発光ダイオードを10mcd以上で点灯または点滅させるために必要な電流は、20μA以上である。発光素子の点滅間隔は任意である。例えば、0.1〜3秒間隔である。
【0015】
液晶ディスプレイとしては、例えば、太陽光などの外光を反射する反射型の液晶ディスプレイ、または、外光による反射光の表示とバックライトの透過光による表示とを併用可能な半透過型の液晶ディスプレイ、高輝度発光ダイオードなどの発光ダイオードなどを採用することができる。
電気光学素子の使用数は任意である。例えば、液晶ディスプレイのみ、発光ダイオードのみ、または液晶ディスプレイが1つと、発光ダイオードが1つとの合計2つ以上などである。
メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルには交流電圧が充電されるため、報知回路は整流回路を有している。報知回路は各種の基板に設けられる。
ここでのデバイスとは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの状態を報知するデバイスをいう。具体的には、液晶モジュール、圧電素子、各種のセンサなどを採用することができる。デバイスの使用数は任意である。1つまたは2つ以上でもよい。
【0016】
また、この発明におけるメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材は、中心導体を中心として中心導体の外周に配置され、かつ接地される導電性のスリーブ金具を有し、外装ケーシングに元部を固定し、かつ先部が中心導体に当接されて昇圧回路により昇圧された高電圧の出力端子を有し、外装ケーシングのうち、出力端子の元部の固定位置から離間した位置に、出力端子を中心とした半径方向に長く、かつスリーブ金具の外周縁に当接されるアース端子を設けた方が望ましい。
【0017】
ここでいうスリーブ金具とは、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの端末またはそれらの接続材の外装体となる円筒形状の金具である。
スリーブ金具の素材としては、例えばアルミニウム合金などの導電性を有した金属を採用することができる。スリーブ金具は、その軸線上に中心導体を配置した状態で、中心導体の外周に配置される。中心導体とスリーブ金具との間には、絶縁素材からなる絶縁層が介在され、スリーブ金具の絶縁状態が維持されている。スリーブ金具には、例えば外周面などに接地(アース)線が接続される。
出力端子の形状は任意である。例えば、丸棒、角棒などの棒形状の他、円筒、角筒などの筒形状を採用することができる。
【0018】
アース端子は、内部で高電圧を発生する携帯用動作チェッカーにおいて、漏電電流による感電事故および機器破損を防止するため、スリーブ金具に電気的に接続された接地線を利用してこの携帯用動作チェッカーの接地アースを得るための端子である。
アース端子は、出力端子から離間し、かつ出力端子を中心とした半径方向に長い端子であれば、その大きさ、形状は任意である。例えば、アース端子が板片の場合、その外観形状としては円形、楕円形、三角形または四角形以上の多角形などを採用することができる。 また、外装ケーシングのうち、出力端子とアース端子とが設けられる位置もそれぞれ任意である。例えば、外装ケーシングが直方体の筐体の場合には、外装ケーシングの長さ方向の一端面における離間した2つの位置(一端部と他端部など)でもよい。
ただし、これらのアース端子の大きさや形状、外装ケーシング上での出力端子とアース端子との形成位置は、出力端子を中心導体に当接した状態で、スリーブ金具の外周縁にアース端子が当接(接地)する条件を満足しなければならない。
交流発生回路としては、例えば、タイマーIC/555発信回路などを採用することができる。その他、LC発信器やCR発信器および水晶発振器などでもよい。このうち、回路構成の簡便性、安定度、コストの観点からタイマーIC/555発振回路が好ましい。
【0019】
昇圧回路としては、例えば、直流の高電圧を出力する整流回路、交流の高電圧を出力するトランス(変圧器)などを採用することができる。
このうち、整流回路としては、例えば(多段式)コッククロフトウォルトン回路、ダイオード型半波,全波整流回路などを採用することができる。
また、トランスとしては、例えば圧電トランスなどを採用することができる。圧電トランスとは、電圧の印加により形状が変化する圧電セラミックスを本体とし、圧電セラミックスに入力側から電圧を印加し、圧電逆効果により圧電セラミックスを機械的に大きく振動させるものである。これにより、出力側で機械的歪みを発生させ、これを圧電効果により電荷として出力することで、入力側より高い電圧を出力側から得られる。
【0020】
外装ケーシングの素材としては、各種の合成樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂など)、各種の金属(ステンレス、ジュラルミンなどのアルミニウム合金など)などを採用することができる。絶縁性が高い素材の方が好ましいが、導電性の素材でもよい。
外装ケーシングの外観形状は任意である。例えば直方体、楕円体などが挙げられる。
ここでいう「携帯可能な大きさ」とは、成人男性が片手で持ち運べる大きさである。外装ケーシングが筐体である場合の一例を挙げれば、長さ5〜30cm、幅3〜20cm、厚さ1〜5cmなどである。
【発明の効果】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、電池を電源として交流発生回路から発生した電圧を昇圧回路により昇圧し、得られた高電圧のチェック電圧を、外装ケーシングを握り、高電圧により作動する電気回路またはデバイスに印加する。これにより、電気回路またはデバイスの動作チェックを行う。
携帯用動作チェッカーは、持ち運びできる大きさの外装ケーシングの内部空間に、電源部、交流発生回路および昇圧回路が収納された電子検査機器としたため、携帯が可能でかつ必要に応じて、高電圧により作動する電気回路またはデバイスの動作チェックを行うことができる。
【0022】
特に、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルを充電することで、中心導体と電極との間で電圧が誘起され、電気回路を介して、第三者に対してメタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの所定の状態の報知が行われる。または、中心導体と電極との間に誘起された電圧によりデバイスが動作される。
電気回路またはデバイスの動作チェック時には、例えば、現場において、メタルケーブルまたはメタルバイパスケーブルの配線の前に、外装ケーシングを握り、チェック電圧を中心導体に印加することで、携帯用動作チェッカーを使用し、高電圧により動作する電気回路またはデバイスが正常に動作しているか否かのチェックを行うことができる。
【0023】
また、外装ケーシングを握り、外装ケーシングから突出した出力端子を中心導体に当接するとともに、アース端子をスリーブ金具の外周縁に当接する。この状態で、チェック電圧を中心導体に印加して前記電気回路またはデバイスの動作チェックを行う。このとき、仮に漏電電流が発生しても、漏電電流をアース端子からスリーブ金具を経て大地に流すため、感電事故および機器破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】この発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーの要部の構成を示す正面図である。
図2】この発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーの斜視図である。
図3】この発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーにより動作チェックされる充電表示器付きの直線接続筒の長さ方向に平行な縦断面図である。
図4】この発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーにより動作チェックされる充電表示器付きの直線接続筒の長さ方向に直交する縦断面図である。
図5】この発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーの使用状態を示す要部の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。なお、説明の都合上、何れも特記がなければ、長さ方向は直線接続筒の長さ方向、左右方向は直線接続筒の図4における左右方向、上下方向は直線接続筒の図4における上下方向をいう。直線接続筒を構成する各部材において、元側とは直線接続筒の長さ方向の中間側をいい、先側とは直線接続筒の長さ方向の端側をいう。
【実施例】
【0026】
図1および図2において、10はこの発明の実施例1に係る携帯用動作チェッカーである。この携帯用動作チェッカー10は、電池88を収納する電源部89と、電池88を電源としたインバータ(交流発生回路)86と、インバータ86により発生した電圧を昇圧し、高電圧によって作動する充電表示回路のチェック電圧を得る多段式整流回路(昇圧回路)72と、このチェック電圧(高電圧)をパルス波に変換する際のトリガ信号を発生させるトリガ信号発生部95と、トリガ信号発生部95からのトリガ信号によって、多段式整流回路72により発生した高圧のチェック電圧を50Hzまたは60Hzの交流電圧に変換するBJT96と、これらの構成体(多段式整流回路72,インバータ86,電池88,電源部89,トリガ信号発生部95およびBJT96)を収納し、携帯可能な大きさの外装ケーシング90とを備えたものである。
【0027】
電源部89には、電池88として3本の1.5Vの単三電池が直列状態で収納されている。これにより、4.5Vの直流電圧が得られる。
インバータ86は、電源部89からの4.5Vの直流電圧を、最大値が600Vの交流電圧として出力可能なものである。具体的には、インバータ86として、2個のBJTを一定の周期で交互にオンオフすることにより、変圧器の1次側の励磁電流の方向を切り換え、2次側に交流電圧を発生させることで、DC4.5VからAC600Vが得られるものを採用している。
【0028】
多段式整流回路72は、4段式のコッククロフト・ウォルトン回路である。これは、インバータ86により600Vに昇圧された交流電圧が、2400Vの直流の高電圧までさらに昇圧さる。具体的には、この多段式整流回路72において、まず入力電圧600Vが第1コンデンサに充電され、次に第1コンデンサに充電された600Vと入力電圧600Vとのを加算した1200Vが、第2コンデンサに充電される。以後、同様にして第3コンデンサおよび第4のコンデンサにそれぞれ1200Vが充電される。これにより、段数倍の2400Vの直流電圧が得られる。
【0029】
トリガ信号発生部95では、デューティー比50%のトリガ信号を発生させる。すなわち、ダイオードによってコンデンサの充電、放電の閉路を独立させ、Hiレベル、Lowレベルの時間を独立に変化させる。このスイッチを接続し、抵抗値を変えることによって周波数50Hz、60Hzの切り替えを行う。
BJT96は、トリガ信号発生部95からのトリガ信号を使用し、多段式整流回路72により発生した2400Vの直流のチェック電圧を、50Hzまたは60Hzの交流電圧に変換する。BJT96の出力部は、出力端子91に電気的に接続されている。
【0030】
外装ケーシング90の上板90aの長さ方向の一端部には、先端部が丸まった長さ丸棒形状の出力端子91の元部が固定されている。出力端子91は導電材料からなり、後述する直線接続筒12の中心導体13の両端部内に形成された大径部13aに挿入可能な直径を有する。また、出力端子91の長さは、大径部13aの長さと略同一である。そのため、出力端子91を中心導体13の大径部13aに挿入した際、出力端子91の先端部が、大径部13aの奥面の中心部に連通した開口部13bに当接する。この開口部13bは、中心導体13の両端部を除く部分の前記大径部13aより小径な通常径部13cと連通している。なお、出力端子91は多段筒方式の伸縮ロッドとすれば、例えば直線接続筒12のサイズによって異なる中心導体13の開口端から大径部13aまでの長さに応じて長さを変更することができる。または、外装ケーシング90の上板90aから突出および没入可能に設けた出力端子91を、コイルばねなどのばね力により常に上板90aから突出させた構成のものでもよい。この場合、出力端子91を中心導体13の内部に押し込むことで、大径部13aの奥面に出力端子91の先端部が当接し、中心導体13の開口端から大径部13aまでの長さに応じて、出力端子91の元部が外装ケーシング90の内部空間に没入(見掛け上短縮)する。
【0031】
外装ケーシング90は、縦長な直方体型の筐体(長さ10cm、幅5cm、厚さ3cm)で、その前板90bの上部には液晶ディスプレイ92を設け、前板90bの中央部にはチェック電圧を発生させる検査開始スイッチ93を設けている。また、外装ケーシング90の幅方向に長い上板90aには、その長さ方向の一端部に前記出力端子91を突設し、また上板90aの長さ方向の他端部には、アース端子94を固定している。
アース端子94は、内部で高電圧が発生する携帯用動作チェッカー10において、漏電電流による感電事故および機器破損を防止するもので、スリーブ金具18に電気的に接続された接地線を利用し、携帯用動作チェッカー10の接地アースを得る導電性材料からなる部材である。アース端子94は出力端子91から離間し、かつ出力端子91を中心とした半径方向に長い矩形状の板片である。出力端子91からアース端子94までの離間距離は、複数の口径が存在する直線接続筒12において、最小口径の直線接続筒12における略中心導体13からスリーブ金具18までの離間距離で、アース端子94の長さは、その最小口径の直線接続筒12と最大口径の直線接続筒12との外径の差と略同一である。
【0032】
次に、図3および図4を参照して、携帯用動作チェッカー10により動作チェックされる充電表示器Aを詳細に説明する。
充電表示器Aは、高圧バイパスケーブル(メタルバイパスケーブル)11の一端部に接続された直線接続筒(接続材)12に設けられ、直線接続筒12の中心導体13の外周面から離間して設けられた埋め込み電極14と、直線接続筒12の外周面に設けられ、中心導体13と埋め込み電極14との間で誘起された電圧によって、高圧バイパスケーブル11が充電状態であることを表示する反射型の液晶ディスプレイ60と、赤色に発光する2対の高輝度発光ダイオード15と、液晶ディスプレイ60および高輝度発光ダイオード15用の充電表示回路(報知回路)が形成された回路基板16とを備えている。
高圧バイパスケーブル11は、6.6kVの高圧送電用のもので、ケーブル中心に配置される導体と、導体を覆う架橋ポリエチレンの絶縁層と、絶縁層の外周面を覆う銅編組である遮蔽層と、遮蔽層の外周面を覆う塩化ビニルからなる被覆(シース)とにより構成された架橋ポリエチレン絶縁ビニルシースケーブルである。
【0033】
直線接続筒12は、その長さ方向に離間配置された一対の円筒形状のスリーブ金具18と、各スリーブ金具18の元部(高圧バイパスケーブル11の接続側とは反対側の端部)に外挿される一対の円筒形状のロック用スライド金具19と、各スリーブ金具18の元部同士を連結する円筒形状の厚肉な外部金具20と、一対の光学素子固定金具30と、直線接続筒12の内部空間に収納された円筒形状の外部半導電層17と、外部半導電層17の内部に埋め込まれた略円筒形状の絶縁層40と、絶縁層40の軸線上に埋め込まれた円筒形状の中心導体13とを備えている。
【0034】
両スリーブ金具18は、アルミニウム合金製の筒体である。両スリーブ金具18の内周部のうち、元側の半分の領域には、環状溝21が形成されている。両環状溝21の奥部には、外径がスリーブ金具18の内径と略同一で、かつ接続側の端部にフランジ22aが形成されたスライド金具22が装着されている。両環状溝21には、両スライド金具22を環状溝21の先側の奥部に位置決めするスライド金具用コイルばね26が挿入されている。また、両スリーブ金具18の長さ方向の中間部付近には、スリーブ金具18の周方向へ45°間隔で、外端部が若干小径化された8個のボール孔18aが形成されている。各ボール孔18aには、一部を外方へ突出させて8個のロックボール23が収納されている。各ロックボール23は、外方へ突出した部分とは反対側の部分が、スライド金具22の外周面に当接されている。
【0035】
両スリーブ金具18の厚肉な元部の上部には、一対のビス孔18cが形成されている。また、両スリーブ金具18の先部の外周面には、幅が狭い1条の環状溝18dが形成されている。両環状溝18dには、ロック用スライド金具19の抜け防止用のストッパリング50が装着されている。 各ロック用スライド金具19は、各スリーブ金具18の長さ方向の中間部に外挿されるアルミニウム合金製の厚肉な円筒体である。各ロック用スライド金具19の先部は、内径を一定にして、先方向へ向かって徐々に薄肉化されている。また、各ロック用スライド金具19の内周面のうち、元側の略半分の領域には、幅が広い環状溝19aが形成されている。環状溝19aの奥面と前記スリーブ金具18の厚肉な元部の先側の端面との間には、各ロック用スライド金具19を、対応するストッパリング50の方向へ付勢するロック用コイルばね27が挿入されている。
【0036】
各ロック用スライド金具19の先部の内周面には、その周方向へ45°間隔で前記8個のロックボール23の一部が掛止される略半球形状の凹部19bが形成されている。各凹部19bに各ロックボール23が嵌入されることで、ロック用スライド金具19の長さ方向の位置が決定される。各ロック用スライド金具19の元側の上部には、ロック用スライド金具19の表裏面を貫通して一対の位置決め用の切欠部19cが形成されている。ロック用スライド金具19の回り止めは、切欠部19cを介して、ロックピン28を前記ビス孔18cに掛止することでなされる。
前記外部金具20は、上下部が後述する中間金具65となった厚肉なアルミニウム合金製の円筒体で、両端の開口部を両スリーブ金具18の元部に外挿させることで、両スリーブ金具18を連結させる部材である。
【0037】
上下一対の光学素子固定金具30は、断面円弧形状でかつ平面視して矩形状のアルミニウム製の部材である。両光学素子固定金具30は、その四隅を、外部金具20の上端部または下端部のねじ孔20aに4本のビス61を螺合することで、外部金具20と連結される。
両光学素子固定金具30の中央部の表側には、前記反射型の液晶ディスプレイ60が設けられている。各液晶ディスプレイ60は、太陽光などの外光を反射することで、充電を略した「充」という文字を液晶表示する。
両光学素子固定金具30の長さ方向の両端部の表側には、1対ずつ前記高輝度発光ダイオード15が配設されている。各高輝度発光ダイオード15は10mcdで発光する。
【0038】
両光学素子固定金具30の裏側には、前記回路基板16が設けられている。両回路基板16には、液晶ディスプレイ60と各高輝度発光ダイオード15とが電気的に接続されている。両回路基板16の裏面の中央部には、銅製のコイルばね63の元部が固定されている。両コイルばね63の先端部は、埋め込み電極14の外周面に当接されている。両回路基板16の充電表示回路は、充電中、液晶ディスプレイ60に「充」の文字を液晶表示し、かつ各高輝度発光ダイオード15を、例えば0.5秒間隔で点滅させる。
【0039】
前記外部半導電層17は、半導電性ゴムからなる円筒体である。外部半導電層17の長さ方向の中間部の両側部分の外周面には、アルミニウム合金からなる環状の外部埋め込み金具64が埋め込まれている。また、両外部埋め込み金具64の外周面に内周面が面接触したアルミニウム合金からなる環状の中間金具65が、両スリーブ金具18の元側の端部の内周部に形成された環状溝18gに嵌入されている。両スリーブ金具18と中間金具65と外部埋め込み金具64とは、合計4本の埋め込みねじ80により、直線接続筒12の上部および下部で螺合されている。
【0040】
外部半導電層17の内部空間には、絶縁性ゴムからなる円筒形状の絶縁層40を介して、前記中心導体13と埋め込み電極14とが収納されている。絶縁層40の両端部は、外部半導電層17の両側の開口部から外方へ突出している。
中心導体13は、その軸線が外部半導電層17の軸線と合致した銅合金製の直線的な細長いスリーブである。中心導体13には、両高圧バイパスケーブル11を接続した際、内部空気が外部へ漏れるように空気抜き孔が形成されている。前記中心導体13の空気抜き孔の両端には、前記大径部13aが配設されている。中心導体13の両大径部13aには、2本の高圧バイパスケーブル11の端部が電気的に接続されるように構成されている。
【0041】
埋め込み電極14は、銅合金からなるリング状(円環形状)の部材で、絶縁層40の長さ方向の中間部の外周部に埋め込まれている。具体的には、中心導体13の長さ方向の中間部の外周に、所定距離離間して埋め込み電極14が埋設されている。埋め込み電極14の内周面と中心導体13の外周面との離間距離(最短距離)は、約7mmである。これにより、埋め込み電極14と中心導体13との間で1600Vの電圧が誘起される。
また、埋め込み電極14の上部および下部には、短尺な一対の突起14aが一体形成されている。両突起14aの先端面には、埋め込み電極14の製造時に用いられる電極固定用の孔14bが形成されている。
【0042】
次に、図5を参照して、実施例1の携帯用動作チェッカー10による充電表示回路の動作チェック方法を説明する。
この動作チェック時には、外装ケーシング90を握り、外装ケーシング90から突出した出力端子91を中心導体13の一方の大径部13aに挿入するとともに、アース端子94をスリーブ金具18の外周縁に押し当てる。このとき、出力端子91からアース端子94までの離間距離は、複数の口径が存在する直線接続筒12において、最小口径の直線接続筒12における略中心導体13からスリーブ金具18までの離間距離とし、かつアース端子94の長さ(出力端子91を中心とした半径方向における長さ)を、それぞれ市販品の最小口径の直線接続筒12と最大口径の直線接続筒12との外径の差と略同一としている。そのため、口径が異なる全ての市販の直線接続筒12に搭載された充電表示回路の動作チェックを行うことができる。
【0043】
その後、検査開始スイッチ93を押す(入力する)ことで、インバータ86から600Vの交流電圧が出力され、AC600Vが多段式整流回路72により整流されて2400Vの直流のチェック電圧に変換される。その後、この高電圧のチェック電圧はBJT96に送電され、トリガ信号発生部95からのトリガ信号を使用し、50Hzまたは60Hzの交流電圧に変換される。得られた所定周波数の交流のチェック電圧は、その後、出力端子91から中心導体13に印加され、前記直線接続筒12に搭載された充電表示器Aの充電表示回路の動作チェックが行われる。
【0044】
このように携帯用動作チェッカー10は、持ち運び可能な大きさの外装ケーシング90の内部空間に、多段式整流回路72,インバータ86,電池88,電源部89,トリガ信号発生部95およびBJT96を収納したため、携帯が可能でかつ必要に応じて、中心導体13への高電圧の印加で発生した誘起電圧により作動する充電表示回路(各種のデバイスの場合も同じ)の動作チェックを行うことができる。しかも、このような構成としたことで、この充電表示器Aだけでなく、その他、既存の充電表示器付機材(ケーブル端末、ケーブル接続材)の充電表示回路の動作チェックにも利用することができる。
また、充電表示回路の動作チェック時には、アース端子94をスリーブ金具18の外周縁に当接して動作チェックを行うため、仮に漏電電流が発生しても、漏電電流をアース端子94からスリーブ金具18を経て大地に流すことができ、感電事故および機器破損を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この発明は、例えば、充電表示器の充電表示回路の回路死活判別を行うために有用である。
【符号の説明】
【0046】
10 携帯用動作チェッカー、
11 高圧バイパスケーブル(メタルバイパスケーブル)、
12 直線接続筒(接続材)、
13 中心導体、
14 埋め込み電極(電極)、
16 回路基板(電気回路)、
18 スリーブ金具72 多段式整流回路(昇圧回路)、
86 インバータ(交流発生回路)、
88 電池、
89 電源部、
90 外装ケーシング、
91 出力端子、
94 アース端子。
図1
図2
図3
図4
図5