(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記車両用内装材は、ウインドウと、該ウインドウの外縁を囲むウインドウフレームと、該ウインドウフレームの一部に展開及び収容可能に設けられ、展開した状態で前記ウインドウを遮光するサンシェードと、を備える車両用ドアにおいて、前記ウインドウの下方に配されたドアトリムであり、
前記機能部品は、前記ドアトリムの前記ウインドウ側に露出する上面部に取り付けられており、
前記機能部品における前記第1部材には、前記サンシェードを展開した状態で係止する係止部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の車両用内装材の製造方法。
前記第2部材には、前記第2係合部と重畳する位置に、前記第2係合部の形成面とは反対側の面から立ち上がる第2部材側立ち上がり部が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の車両用内装材の製造方法。
前記第1部材は、前記車両用内装材の前記車室内に臨む面に沿って延在するとともに、当該車室内に臨む面に当接する第1部材側当接部と、前記第1部材側当接部の周端部から車室内側に向けて突出するとともに、前記第1部材側当接部の延在方向において屈曲する形をなす係止部と、を更に有し、
前記第2係合ピンは、前記第1部材側当接部の中央部から車室外側に向けて突出してなることを特徴とする請求項2に記載の車両用内装材の製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
図面を参照して実施形態1を説明する。
図1は、実施形態1に係る車両用ドア2の正面図を示している。
図1に示すように、車両用ドア2にはサイドウインドウ(ウインドウの一例)12、20が設けられている。各サイドウインドウ12、20は、ウインドウフレーム14の一部であるディビジョンフレーム16によって、車両前側に配されたサイドウインドウ12と車両後側に配されたサイドウインドウ20とに仕切られており、各サイドウインドウ12、20の外縁はウインドウフレーム14によって囲まれている。また、各サイドウインドウ12、20の下方には、ドアトリム(車両用内装材の一例)28が配されている。なお、
図1において、車両前側は
図1の左側と一致し、車両後側は
図1の右側と一致する。
【0018】
ウインドウフレーム14は、金属材料により形成され、各サイドウインドウ12、20の上側外縁等を囲む直進部14aと、直進部14aから屈曲してサイドウインドウ20の車両後側外縁を囲む屈曲部14bと、サイドウインドウ20の前側外縁を囲む前縁部14cとを有している。直進部14a、屈曲部14b、前縁部14cは中空の断面箱状になっている。
【0019】
車両前側に配されたサイドウインドウ12の下部には、第1サンシェード4が配されている。第1サンシェード4は、展開した状態でサイドウインドウ12から差し込む光を遮光する第1ブラインドシート8と、第1ブラインドシート8の先端部に取り付けられた第1フレーム10とを有している。第1ブラインドシート8は、図示しない巻取機構によって、サイドウインドウ12の下方であってドアトリム28の上面部28a(
図2参照)の一部に形成された収容開口28h内に収容可能及び当該収容開口28hから展開可能とされている。従って、第1ブラインドシート8は、車両の上下方向(
図1の上下方向)に収容及び展開される構成となっている。
【0020】
第1フレーム10は、
図1に示すように、第1ブラインドシート8の先端部の端辺に沿って取り付けられている。そして、第1フレーム10の両端側には、2つの第1係止孔10a,10aが設けられている。一方、ウインドウフレーム14の直進部14aにおいて各第1係止孔10a,10aと上下方向に重畳する位置には、それぞれ取り付けフック6,6が配されている。取り付けフック6は、ウインドウフレーム14の直進部14aに図示しない取付孔を設けることでウインドウフレーム14の直進部14aにネジ等で取り付けられている。この取り付けフック6は、その先端がかぎ爪状とされ、第1サンシェード4に設けられた第1係止孔10a,10aと係合可能となっている。取り付けフック6と第1係止孔10a,10aとが係合することで、第1サンシェード4は、第1ブラインドシート8が展開した状態で係止される構成となっている。
【0021】
一方、ディビジョンフレーム16には、第2サンシェード(サンシェードの一例)18が配されている。第2サンシェード18は、展開した状態で車両後側に配されたサイドウインドウ20から差し込む光を遮光する第2ブラインドシート22と、第2ブラインドシート22の先端部に取り付けられた第2フレーム24とを有している。第2ブラインドシート22は、図示しない巻取機構によって、ディビジョンフレーム16に設けられた図示しない収容開口に収容可能及び当該収容開口から展開可能とされている。従って、第2ブラインドシート22は、ドアトリム28の上面部28aに沿った方向、即ち車両の前後方向(
図1の左右方向)に収容及び展開される構成となっている。
【0022】
第2フレーム24は、
図1に示すように、第2ブラインドシート22の先端角部に取り付けられ、第2ブラインドシート22に沿って略三角形状をなしている。そして、第2フレーム24の先端部には、第2係止孔24aが設けられている。一方、ドアトリム28の上面部28aの車両後方側端部には、フック部材(機能部品の一例)26が配されている。フック部材26は、ドアトリム28の上面部28aに直接取り付けられている。
【0023】
続いてフック部材26の構成について説明する。ここで、
図2は、車両用ドア2のフック部材26近傍を拡大した斜視図を示している。
図3は、
図2におけるIII−III断面を上方から視た断面図を示している。
図4は、ドアトリム28の上面部28aの一部と該一部に取り付けられたフック部材26を表側から視た斜視図を示している。また、
図5は、ドアトリム28の上面部28aの一部と該一部に取り付けられたフック部材26を裏側から視た斜視図を示している。
図2及び
図3に示すように、フック部材26には、第2係止孔24aと前後方向(
図1の左右方向)に重畳する位置に、係止フック(係止部の一例)FKが設けられている。係止フックFKは、かぎ爪状とされ、第2サンシェード18に取り付けられた第2フレーム24の第2係止孔24aと係合可能となっている。係止フックFKと第2係止孔24aとが係合することで、第2サンシェード18は、第2ブラインドシート22が展開した状態で係止される構成となっている(
図3の二点鎖線参照)。
【0024】
また、
図4及び
図5に示すように、フック部材26は、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1側に配された本体部(第1部材の一例)36と、ドアトリム28の上面部28aの裏面28a2側に配されたクリップ部(第2部材の一例)46とにより構成されている。本体部36とクリップ部46とは互いに嵌合されて結合されており、本体部36とクリップ部46とによってドアトリム28の上面部28aをその表裏から挟持することで、フック部材26としてドアトリム28の上面部28aに取り付けられている。
【0025】
続いてドアトリム28の上面部28aに対するフック部材26の取付態様について詳しく説明する。ここで、
図6は、ドアトリム28の上面部28aの一部とフック部材26の本体部36とクリップ部46との分解斜視図を示している。
図7は、フック部材26の本体部36の裏面図を示している。
図8は、フック部材26のクリップ部46の平面図を示している。なお、
図6の状態における本体部36及びクリップ部46の向きは、ドアトリムの上面部にフック部材26が取り付けられた状態における本体部36及びクリップ部46の向きと等しいものとなっている。また、
図7及び
図8は、
図6の状態における本体部36及びクリップ部46の裏面図を示したものであり、
図6〜
図8に示す各方向は相互に一致している。以下では、本体部36(及びクリップ部46)において、
図6の状態(向き)における車両の前側及び後側をそれぞれ本体部36(クリップ部46)の前側、後側と称し、車室の内側及び外側をそれぞれ本体部36(クリップ部46)の内側、外側と称し、車両の上方及び下方をそれぞれ本体部36(クリップ部46)の上方、下方と称する。
【0026】
まず、フック部材26の本体部36について説明する。本体部36は、
図6に示すように、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1に当接する平板状の本体側当接部36aと、本体側当接部36aの一部から立ち上がる本体側立ち上がり部36bとを有している。本体側立ち上がり部36bの上端部の第2サンシェード18側に向けられる部位には、斜め上方に向かって既述した係止フックFKが形成されている。一方、本体部36の裏面には(本体側当接部36aの裏面には)、
図7に示すように、第1係合ピン36cと、第1係合孔36d(第2係合ピン及び第1係合孔のうちいずれか一方)とガイド縁部36eとが形成されている。第1係合ピン36cは、本体側当接部36aから本体部36の下方に向かって軸状に突出した形状をなしている(
図6参照)。第1係合孔36dは、鍵孔状とされ、円形状の開口から本体部36の前側及び後側に向かってそれぞれ横孔36d1が形成された形状をなしている。ガイド縁部36eは、第1係合孔36dの両側を囲むように2つ設けられ、それぞれ裏面から視て弧状をなすように下方に突出している。
【0027】
次に、フック部材26のクリップ部46について説明する。クリップ部46は、
図6に示すように、ドアトリム28の上面部28aの裏面に当接する平板状のクリップ側当接部46aと、クリップ側当接部46aの一部から立ち上がるクリップ側立ち上がり部46bとを有している。クリップ側当接部46aには、
図8に示すように、第2係合ピン46c(第2係合ピン及び第1係合孔のうち他方)と、係合溝(第2係合部の一例)46dとが形成されている。第2係合ピン46cは、クリップ側当接部46aから当該クリップ部46の上方に向かって軸状に突出した形状をなしている。そして、第2係合ピン46cの先端には、クリップ部46の内側及び外側に向かってそれぞれ突出する突出部46c1が設けられている。係合溝46dは、その開口が長方形状をなしており、クリップ側当接部46aの厚み方向を深さ方向として溝状に形成されている。
【0028】
次に、フック部材26が取り付けられるドアトリム28の上面部28aの一部について説明する。
図6に示すように、ドアトリム28の上面部28aにおけるフック部材26が取り付けられる部位には、上面部28aを貫通する第1挿通孔28bと第2挿通孔28cが形成されている。第1挿通孔28bは、本体部36の第1係合ピン36cを挿通可能な大きさで形成されている。また、第2挿通孔28cは、クリップ部46の第2係合ピン46cを挿通可能な大きさで形成されていると共に、本体部36のガイド縁部36eを挿通可能とされており、ガイド縁部36eを挿通させたときにその開口縁部がガイド縁部36eの外側面とほぼ当接するような大きさで形成されている。なお、本体部36の第1係合ピン36cは、上面部28aの第2挿通孔28cに貫通させた状態で、上面部28aの裏面28a2から下方にわずかに突出するような長さとされている。
【0029】
ここで、本体部36の第1係合孔36dは、第2係合ピン46cの突出部46c1を当該第1係合孔36dの横孔36d1と重畳するように位置合わせした状態で、第2係合ピン46cを挿通可能な大きさで形成されている。また、クリップ部46の係合溝46dは、第1係合ピン36cを挿通可能な大きさで形成されている。従って、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1側及び裏面28a2側からそれぞれ本体部36及びクリップ部46を互いに近づけることで、第1係合ピン36cを上面部28aの第1挿通孔28bに挿通させてから係合溝46dに挿通させることができ、さらに、第2係合ピン46cを上面部28aの第2挿通孔28cに挿通させてから第1係合孔36dに挿通させることができる構成となっている。
【0030】
以下にドアトリム28の上面部28aに対してフック部材26の本体部36とクリップ部46を取り付ける方法を説明する。ここで、
図9は、フック部材26をドアトリム28の上面部28aの一部に取り付ける工程(1)の斜視図を示している。
図10は、フック部材26をドアトリム28の上面部28aの一部に取り付ける工程(2)の斜視図を示している。
図11は、フック部材26をドアトリム28の上面部28aの一部に取り付ける工程(3)の斜視図を示している。
図12は、ドアトリム28の上面部28aの一部に取り付けられたフック部材26の高さ方向(車両の上下方向)に沿った断面図を示している。なお、
図12では、第2サンシェード18の第2係止孔24aをフック部材26の係止フックFKに係合させた状態における断面構成を示している。
図13は、
図12におけるXIII−XIII断面の断面図を示している。
【0031】
ドアトリム28の上面部28aに対してフック部材26を取り付ける場合、まずフック部材26の本体部36の本体側当接部36aを、上面部28aの表面28a1側に設置する。このとき、
図9に示すように、第1係合ピン36cと第1挿通孔28b、第1係合孔36dと第2挿通孔28c、とがそれぞれ重畳するように位置合わせをし、第1係合ピン36cを第1挿通孔28bに挿通させると共に、第1係合孔36dの両側に設けられたガイド縁部36eを第2挿通孔28cに挿通させる(
図9参照)。これにより、本体側当接部36aがドアトリム28の上面部28aの表面に当接すると共に、第1係合ピン36cとガイド縁部36eとによって本体部36が上面部28aに対して水平方向(車両の前後方向及び車室内側、外側方向)に固定された状態(
図10に示す状態)となる。
【0032】
次に、フック部材26のクリップ部46のクリップ側当接部46aを、上面部28aの裏面28a2側に設置する。まず、
図10に示すように、第2係合ピン46cと第2挿通孔28cとが重畳するように位置合わせをする。ここで、上述したように、
図6に示すクリップ部46の向きでは、第1係合孔36dの横孔36d1に対して第2係合ピン46cの突出部46c1が90°ずれた状態となっている。即ち、第1係合孔36dの横孔36d1は本体部36の前側及び後側に向かって形成されているのに対し、第2係合ピン46cの突出部46c1はクリップ部46の内側及び外側に向かって形成されている。そこで、第2係合ピン46cを第2挿通孔28cと重畳させると共に、クリップ部46を、
図6の状態(向き)から第2係合ピン46cの軸周りに時計回りで90°回転させた状態(
図10の状態)とする。これにより、第1係合孔36dの横孔36d1と第2係合ピン46cの突出部46c1が重畳した状態となるので、クリップ部46を上面部28aの裏面28a2へと近づけることで(
図10に示す矢印参照)、第2係合ピン46cを第2挿通孔28cに挿通させた後、第2係合ピン46cを第1係合孔36dに挿通させることができる(
図11の破線で示す状態)。
【0033】
次に、第2係合ピン46cを第1係合孔36dに挿通させた状態で、
図11に示すように、クリップ部46を第2係合ピン46cの軸周りに反時計回りで90°回転させる(
図11の矢印参照)。これにより、第1係合孔36dの横孔36d1と第2係合ピン46cの突出部46c1とが重畳しない状態となるので、第2係合ピン46cが第1係合孔36dに対して固定される。また、上述したように、第1係合ピン36cの先端は裏面28a2からわずかに突出した状態となっている。このため、クリップ部46を回転させながらクリップ側当接部46aの係合溝46dを上面部28aの裏面28a2からわずかに離し、クリップ部46の回転が完了した後にクリップ側当接部46aを上面部28aの裏面28a2と当接させることで、上面部28aの裏面28a2から突出した第1係合ピン36cの先端を係合溝46dに収容させることができる(
図12及び
図13参照)。ここで、
図13に示すように、係合溝46dの車室内側及び外側方向の幅は第1係合ピン36cの先端の直径よりもわずかに大きいものとされている。このため、第1係合ピン36cの先端が係合溝46dに収容されることで、第1係合ピン36cは係合溝46dに係合される。これにより、クリップ部46を上面部28aの裏面28a2側に設置することができると共に、上面部28aを挟んで本体部36とクリップ部46とを嵌合させることができる。以上の手順により、ドアトリム28の上面部28aに対してフック部材26(本体部36及びクリップ部46)を取り付けることができる。なお、上面部28aを挟んで本体部36とクリップ部46とが嵌合された状態では、
図12に示すように、上面部28aを挟んで本体部36とクリップ部46とが相互に固定された状態となっている。
【0034】
また、上面部28aからフック部材26を取り外す場合、上記の手順と逆の手順を行うことにより、フック部材26を取り外すことができる。即ち、クリップ側当接部46aの係合溝46dを上面部28aの裏面28a2からわずかに離し、クリップ部46を第2係合ピン46cの軸周りに反時計回りで90°回転させる。これにより、第2係合ピン46cを第1係合孔36dから抜くことができ、上面部28aからクリップ部46を取り外すことができ、その後に、上面部28aから本体部36を取り外すことができる。このように、本実施形態に係るフック部材26は、ドアトリム28の上面部28aに対して容易に取り付けることができると共に、ドアトリム28の上面部28aから容易に取り外すことができる。さらに、ドアトリム28の上面部28aにフック部材26を取り付けることで、フック部材26を上面部28aに固定させることができる。このため、ドアトリム28の上面部28aに取り付けたフック部材26を、第2サンシェード18の第2ブラインドシート22を展開した状態で係止させるための部材として好適に利用することができる。
【0035】
以上のように本実施形態に係るフック部材26の取付構造では、機能部品としてのフック部材26の取付工程において、ドアトリム28の上面部28aに第1挿通孔28b及び第2挿通孔28cを設け、本体部36をドアトリム28の上面部28aに対して位置決めした状態でクリップ部46の第2係合ピン46cを第1挿通孔28bを介して第1係合孔36dと係合させ、クリップ部46を90°回転させるだけで、本体部36とクリップ部46とを係合させることができ、フック部材26をドアトリム28の上面部28aに取り付けることができる。このため、車両用内装材としてのドアトリム28の上面部28aに対して、機能部品としてのフック部材26を容易に安定して取り付けることができる取付構造を実現することができる。
【0036】
また、本実施形態に係るフック部材26の取付構造では、車両用内装材として、サイドウインドウ12、20と、サイドウインドウ12、20の外縁を囲むウインドウフレーム14と、ウインドウフレーム14の一部であるディビジョンフレーム16に展開及び収容可能に設けられ、展開した状態で一方のサイドウインドウ20を遮光する第2サンシェード18とを備える車両用ドア2において、サイドウインドウ12、20の下方に配されたドアトリム28を例示している。そして、機能部品としてのフック部材26は、ドアトリム28のサイドウインドウ12、20側に露出する上面部28aに取り付けられており、フック部材26の本体部36には、第2サンシェード18を展開した状態で係止する係止フックFKが設けられている。このため、第2サンシェード18を展開した状態で係止するための部材をウインドウフレーム14上に設けることができない場合であっても、フック部材26によって第2サンシェード18を展開した状態で係止できる構成を実現することができる。
【0037】
また、本実施形態に係るフック部材26の取付構造では、フック部材26の本体部36に本体側立ち上がり部36bが設けられている、これにより、本体部36を上面部28aの表面28a1側に設置する際に、本体側立ち上がり部36bを把持しながら本体部36を上面部28aの表面28a1側に近づけることができるので、本体部36を上面部28aの表面28a1側に設置させ易い構成となっている。
【0038】
また、本実施形態に係るフック部材26の取付構造では、フック部材26のクリップ部46にクリップ側立ち上がり部46bが設けられている。これにより、第2係合ピン46cを第1係合孔36dに挿通させた状態でクリップ部46を第2係合ピン46cの軸周りに回転させる際に、クリップ側立ち上がり部46bを把持しながら回転させることができるので、クリップ部46を回転させ易い構成となっている。
【0039】
また、本実施形態に係るフック部材26の取付構造では、製造工程において、ドアトリム28の上面部28aに設けられる2つの挿通孔28c、28dは、ネジ溝等を備えない貫通孔なので、製造工程において、ネジ溝を備える取付孔を形成する従来の取付構造に比して、製造工程を簡略化及び短縮化することができる。
【0040】
<実施形態2>
図面を参照して実施形態2を説明する。
図14は、実施形態2に係るフック部材126のクリップ部146の平面図を示している。
図15は、実施形態2においてドアトリム128の上面部128aの一部に取り付けられたフック部材126の高さ方向に沿った断面図を示している。実施形態2は、クリップ部146の係合溝146d内に第2係合孔146eが設けられている点で実施形態1のものと異なっている。その他の構成については実施形態1と同じであるため、構造、作用、および効果の説明は省略する。なお、
図14において、
図8の参照符号に数字100を加えた部位、および
図15において、
図12の参照符号に数字100を加えた部位は、それぞれ実施形態1で説明した部位と同一である。
【0041】
実施形態2に係るフック部材126のクリップ部146は、
図14に示すように、係合溝146dの底面に、クリップ側当接部146aを貫通する第2係合孔(第2係合部の一例)146eが設けられている。このため、ドアトリム128の上面部128aに取り付けられた本体部136にクリップ部146を取り付ける場合に、第1係合ピン136cの先端を係合溝146d内に収容させ、さらに、第2係合孔146eに挿通させることができる(
図15参照)。このように、第1係合ピン136cの先端を第2係合孔146eに挿通させることで、第1係合ピン136cの先端がクリップ部146から外れ難くなるので、本体部136に対してクリップ部146をより確実に固定することができる。
【0042】
<実施形態3>
次に、本発明の実施形態3を
図16ないし
図21によって説明する。上記実施形態と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。上記実施形態においては、本体部(第1部材)に第1係合孔を設け、クリップ部(第2部材)に第2係合ピンを設ける構成を例示した。これに対して、本実施形態のフック部材226においては、本体部236に第2係合ピン236dを設け、クリップ部246に第1係合孔247aを設ける構成としてある。
【0043】
まず、本体部236の構成について説明する。本体部236は、
図16及び
図17に示すように、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1に当接し、長手状をなす本体側当接部236aと、本体側当接部236aの長手方向における一端部から上方に立ち上がる本体側立ち上がり部236bとを有している。
【0044】
本体側立ち上がり部236bの上端部には、斜め上方に向かって延びる係止フックFK2(係止部)が形成されている。係止フックFK2は、かぎ爪状とされ、第2サンシェード18の第2フレーム24(
図1参照)に係止可能となっている。なお、
図16及び
図17においては、図の右側が車両前側(第2サンシェード18側)に対応し、図の左側が車両後側に対応している。
【0045】
本体部236の裏面には(本体側当接部236aの裏面には)、第1係合ピン236c及び第2係合ピン236dがそれぞれ設けられている。第1係合ピン236c及び第2係合ピン236dは、それぞれドアトリム28の上面部28a(ひいてはクリップ部246)に向かって軸状に突出した形状をなしている。
【0046】
第1係合ピン236cは、
図17に示すように、ドアトリム28の上面部28aに貫通形成された第1挿通孔28bに挿通可能とされる。第1係合ピン236cは、第1挿通孔28bに挿通された状態で、上面部28aの裏面28a2から下方(クリップ部246側)に突出するような長さで設定されている。
【0047】
第2係合ピン236d(第2係合ピン及び第1係合孔のうちいずれか一方)は、ドアトリム28の上面部28aに貫通形成された第2挿通孔28cに挿通可能とされる。より具体的には、第2係合ピン236dは、
図17に示すように、基端部よりも先端部の径が小さい略円柱形状をなし、基端部が第2挿通孔28cに嵌合されている。
【0048】
第2係合ピン236dは、第2挿通孔28cに挿通された状態で、その先端部が上面部28aの裏面28a2から下方(クリップ部246側)に突出するような長さで設定されている。第2係合ピン236dの先端部における外周面には、
図18に示すように、外側に向かってそれぞれ突出する一対の突出部236d1が設けられている。なお、一対の突出部236d1は、互いに反対方向に突出されている。
【0049】
次に、クリップ部246の構成について説明する。クリップ部246は、
図16及び
図17に示すように、平板状のクリップ基板部246aと、クリップ基板部246aの一部から立ち上がるクリップ側立ち上がり部246bとを有している。
【0050】
クリップ基板部246aにおいて、第2係合ピン236dと重畳する箇所には、
図16に示すように、円筒状をなす円筒部246cが形成されている。また、クリップ基板部246aにおいて、第1係合ピン236cと重畳する箇所には、
図16及び
図21に示すように、係合溝246d(第2係合部の一例)が形成されている。
【0051】
円筒部246cは、
図17に示すように、ドアトリム28の上面部28aと対向配置される上壁部247を有している。上壁部247には、第2係合ピン236dに対応して第1係合孔247aが形成されている。
【0052】
第1係合孔247a(第2係合ピン及び第1係合孔のうち他方)は、
図16及び
図21に示すように鍵孔状とされる。具体的には、第1係合孔247aは、第2係合ピン236dの先端部が挿通可能な円形状をなす係合孔本体部247a1(
図18参照)と、係合孔本体部247a1と連通され車両前側及び車両後側に向かってそれぞれ延びる一対の横孔247a2(
図21参照)とを有している。なお、一対の横孔247a2は、係合孔本体部247a1からそれぞれ反対側に延設されている。
【0053】
係合溝246dは、平面視長方形状をなしており、クリップ基板部246aの厚み方向を深さ方向として溝状に形成されている。
【0054】
ここで、第1係合孔247aは、第2係合ピン236dの突出部236d1を当該第1係合孔247aの横孔247a2と重畳するように位置合わせした状態で、第2係合ピン236dを挿通可能な大きさで形成されている。
【0055】
また、係合溝246dは、第1係合ピン236cを挿通可能な大きさで形成されている。なお、
図19に示すように、係合溝246dの溝幅は、第1係合ピン236cの先端部の径とほぼ同じとされる。
【0056】
従って、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1側及び裏面28a2側からそれぞれ本体部236及びクリップ部246を互いに近づけることで、第2係合ピン236dを上面部28aの第2挿通孔28cに挿通させてから第1係合孔247aに挿通(係合)させることができる。さらに、第1係合ピン236cを上面部28aの第1挿通孔28bに挿通させてから係合溝246dに挿通(係合)させることができる。
【0057】
また、
図16に示すように、上述したクリップ側立ち上がり部246bは、クリップ基板部246aにおいて、係合溝246dの形成面とは反対側の面に設けられ、係合溝246dと重畳されている。
【0058】
次に、ドアトリム28の上面部28aに対してフック部材226の本体部236とクリップ部246を取り付ける方法を
図17ないし
図21によって説明する。
図20及び
図21は、上面部28aに対してフック部材226を取り付ける手順を示す概略図である。なお、
図20及び
図21は本体部236を下方から視た図である。
【0059】
また、
図20及び
図21においては、クリップ部246を2点鎖線で模式的に図示してある。また、
図20及び
図21においては、ドアトリム28の上面部28aは、図示省略してあり、ドアトリム28の主壁部29(上面部28aに連結される壁部、
図18参照)を2点鎖線で図示してある。
【0060】
まず、本体部236を上面部28aに取り付ける。具体的には、本体部236の第1係合ピン236cを上面部28aの第1挿通孔28bに、第2係合ピン236dを上面部28aの第2挿通孔28cにそれぞれ挿通する。言い換えると、本体部236の第2係合ピン236dと、第2挿通孔28cとが重畳された状態とする。
【0061】
これにより、本体部236が水平方向(車両の前後方向及び車室内側、外側方向)に固定された状態となる。また、2つのピン236c,236dを各挿通孔28b,28cに挿通させることで、本体部236が、例えば、一方のピンを回動軸として回動する事態を防止できる。これにより、続いて行うクリップ部246の取付工程において、本体部236とクリップ部246との位置合わせを容易に行うことができる。
【0062】
次に、上面部28aに固定された本体部236に対して下方からクリップ部246を取り付ける。具体的には、まず、
図20に示すように、本体部236の第2係合ピン236dと、クリップ部246の第1係合孔247aとを位置合わせする。
【0063】
このとき、第2係合ピン236dにおける一対の突出部236d1と、第1係合孔247aにおける一対の横孔247a2とが重畳するように、クリップ部246を配する。そして、第2係合ピン236dに対して、クリップ部246を近づけることで、第1係合孔247aに対して、第2係合ピン236dを挿通させる(係合させる)。これにより、一対の突出部236d1が一対の横孔247a2を通過し、円筒部246cの上壁部247よりも下方に配される。
【0064】
続いて、
図20の状態から、クリップ部246を第2係合ピン236dの軸周りに90度回動させる。言い換えると、クリップ部246の係合溝246dを第1係合ピン236cに近づけるようにクリップ部246を回動させる。なお、このときのクリップ部246の回動方向(
図20の時計回り)を
図20において、矢線R1で示す。なお、クリップ部246を回動させる際には、クリップ側立ち上がり部246bを把持することで、容易に回動させることができる。
【0065】
クリップ部246を回動させることで、一対の横孔247a2と一対の突出部236d1とが重畳しない状態となる。つまり、一対の突出部236d1が、上壁部247における係合孔本体部247a1の孔縁に対して下方から係止した状態となる(
図18の状態)。この結果、第2係合ピン236dが第1係合孔247aに対して抜け止めされ、本体部236と、クリップ部246とが離間しないように固定される。
【0066】
また、クリップ部246の回動に伴って、クリップ部246の係合溝246dが、第1係合ピン236cに接近してゆく。そして、
図20の状態からクリップ部246が軸周りに90度回動された状態、すなわち、一対の横孔247a2の配列方向と一対の突出部236d1の配列方向とが略直交する状態(
図21の状態)では、係合溝246dに第1係合ピン236cの先端が嵌合(係合)する。
【0067】
このように、第1係合ピン236cが係合溝246dに係合することで、本体部236に対するクリップ部246の回動が規制される。本体部236に対するクリップ部246の回動が規制された状態になることで、一対の突出部236d1が係合孔本体部247a1の孔縁に対して回動することも規制されるから、一対の突出部236d1の係合孔本体部247a1の孔縁に対する係止が解除される事態が抑制される。
【0068】
以上の手順によって、上面部28aを挟んで本体部236とクリップ部246とを嵌合させることができ、ドアトリム28の上面部28aに対してフック部材226(本体部236及びクリップ部246)を取り付けることができる。
【0069】
また、上面部28aからフック部材226を取り外す場合、上記の手順と逆の手順を行うことにより、フック部材226を取り外すことができる。すなわち、クリップ基板部246aにおいて係合溝246dが形成されている部分を、本体部236の第1係合ピン236cから、離れる方向(
図17の下方)に変位させる。
【0070】
これにより、第1係合ピン236cを係合溝246dから抜くことができ、本体部236に対して、クリップ部246を回動可能とすることができる。なお、クリップ側立ち上がり部246bは、クリップ基板部246aにおいて係合溝246dとは反対側の部分に設けられている。このため、作業者は、クリップ側立ち上がり部246bを把持し、これを下方に引っ張ってやることで、クリップ基板部246aにおいて係合溝246dが形成されている部分を容易に下方に変位させることができる。
【0071】
そして、本体部236に対して、クリップ部246を、
図21における反時計回りに90度回動させる。これにより、一対の突出部236d1と一対の横孔247a2が重畳する結果、第1係合孔247aから、第2係合ピン236dを抜くことができ、上面部28aからクリップ部246及び本体部236を取り外すことができる。
【0072】
このように、本実施形態に係るフック部材226は、ドアトリム28の上面部28aに対して容易に取り付けることができると共に、ドアトリム28の上面部28aから容易に取り外すことができる。さらに、ドアトリム28の上面部28aにフック部材226を取り付けることで、フック部材226を上面部28aに固定させることができる。このため、ドアトリム28の上面部28aに取り付けたフック部材226を、第2サンシェード18の第2ブラインドシート22を展開した状態で係止させるための部材として好適に利用することができる。
【0073】
上記の各実施形態の変形例を以下に列挙する。
(1)上記の各実施形態では、機能部品がフック部材である構成を例示したが、これに限定されない。機能部品の一例としては、例えば、オーナメント、カップホルダ、灰皿、アームレストを挙げることができる。
【0074】
(2)上記の各実施形態のように機能部品がフック部材である場合、第1部材が本体部で第2部材がクリップ部であってもよいし(上記各実施形態)、その逆であってもよい。また、例えば、本体部が、係合溝と第1係合孔とを有し、クリップ部が第1係合ピンと第2係合ピンとを有する構成としてもよい。つまり、係止フック(係止部)は第1部材(少なくとも第1係合ピンを備える部材)及び第2部材(少なくとも第2係合部を備える部材)のうちいずれか一方の部材に設けられていればよい。
【0075】
(3)上記の各実施形態では、第1挿通孔の横孔が本体部の前側及び後側に向かって形成され、第2係合ピンの突出部がクリップ部の内側及び外側に向かって形成された構成を例示したが、このような構成に限定されない。例えば、横孔が本体部の内側及び外側に向かって形成され、突出部がクリップ部の前側及び後側に向かって形成された構成を採用してもよい。
【0076】
(4)上記の各実施形態では、クリップ部を90°回転させることで、本体部に対してクリップ部を嵌合することができる構成を例示したが、このような構成に限定されない。例えば、クリップ部を180°回転させることで、本体部に対してクリップ部を嵌合することができる構成としてもよい。この場合、例えば、第1挿入孔の横孔が一方向にのみ設けられ、第2係合ピンの突出部が一方向にのみ設けられていてもよい。また、例えば、クリップ部を回転させることなくクリップ部を本体部に押し込む構成としてもよい。この場合、例えば、第1係合ピン及び第2係合ピンの外周の一部に爪部を形成し、第2係合孔及び第1係合孔に係合することで、本体部とクリップ部がドアトリム上面部に挟持固定される。
【0077】
(5)上記の各実施形態では、第2係合部が係合溝または係合溝と係合孔との組み合わせとされた構成を例示したが、第2係合部の係合態様は限定されない。第2係合部が係合溝や係合孔以外の係合構造を備えていてもよい。
【0078】
(6)上記実施形態3では、
図17に示すように、ドアトリム28の上面部28aの表面28a1を覆う形で表皮材30が配されている。そして、本体部236は、上面部28aの表面28a1側(表皮材30の表面上)に配されている。また、クリップ部246は、上面部28aの裏面28a2側に配されている。
【0079】
上述したように、上記実施形態3では、クリップ部246を本体部236に対して回動させることで、第1係合ピン236cを係合溝246dに係合させる構成となっている。
つまり、上記実施形態3では、回動させる側の部材(第2部材)が上面部28aの裏面28a2側(表皮材30が配されていない側)に配されている構成を例示した。
【0080】
例えば、第2部材(回動させる側の部材)を表皮材30側に配し、第1部材を表皮材30が配されていない面側に配する構成としてもよい。しかしながら、第2部材を表皮材30側に配した場合、例えば、表皮材30の柔軟性に起因した表皮材30との摩擦などによって、第2部材を回動させにくくなることが懸念される。
【0081】
以上のことから、車両用内装材の一部(上面部28a)が表皮材で覆われている構成の場合、第2部材は、上記実施形態3のように、車両用内装材の一部において表皮材に覆われていない面側に配することが好ましい。これにより、表皮材の影響を受けることなく第2部材を回動させることができ、作業性が良好となる。
【0082】
以上、本発明の各実施形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【0083】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。