特許第5941326号(P5941326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941326
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20160616BHJP
   F16H 19/04 20060101ALI20160616BHJP
   B60J 7/057 20060101ALI20160616BHJP
   E05F 11/53 20060101ALI20160616BHJP
   E05F 15/00 20150101ALI20160616BHJP
【FI】
   H02K7/116
   F16H19/04 B
   B60J7/057 A
   E05F11/53 A
   E05F15/00
【請求項の数】3
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-84604(P2012-84604)
(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-215050(P2013-215050A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2014年12月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144027
【氏名又は名称】株式会社ミツバ
(74)【代理人】
【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和
(74)【代理人】
【識別番号】100093023
【弁理士】
【氏名又は名称】小塚 善高
(74)【代理人】
【識別番号】100117008
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 章子
(72)【発明者】
【氏名】須藤 正士
(72)【発明者】
【氏名】高村 有一
(72)【発明者】
【氏名】原田 直人
(72)【発明者】
【氏名】齋田 裕規
【審査官】 ▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−323730(JP,A)
【文献】 米国特許第04691581(US,A)
【文献】 特開2010−057295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/116
B60J 7/057
E05F 11/53
E05F 15/00
F16H 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力が供給されて駆動する電動モータと、前記電動モータの動力が伝達される出力軸と、この出力軸を軸線を中心として回転可能に支持するハウジングと、前記出力軸に同軸に取り付けられた駆動ギヤと、前記駆動ギヤの半径方向における両側に平行に配置された2本のケーブルと、2本のケーブルにそれぞれ設けられ、かつ、前記駆動ギヤに噛み合うギヤ部と、前記ハウジングに取り付けられ、かつ、前記2本のケーブル及び前記駆動ギヤの前記半径方向の両側に設けられた2つの規制部とを有し、2つの規制部により前記2本のケーブルのギヤ部と前記駆動ギヤとの噛み合いを保持するように構成された駆動装置であって、
前記2つの規制部は、前記ハウジングに対して前記駆動ギヤの半径方向に一体的に移動可能に取り付けられ
前記駆動ギヤ及び前記出力軸を前記軸線に沿った方向に押す弾性部材と、この弾性部材により押された前記駆動ギヤ及び出力軸を前記ハウジングに対して前記軸線に沿った方向で位置決めする位置決め機構と、を有することを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
請求項1に記載された駆動装置において、前記ハウジングに、前記2つの規制部を前記駆動ギヤの半径方向に移動可能に支持する支持部が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【請求項3】
請求項2に記載された駆動装置において、前記弾性部材は前記軸線を取り囲むように前記ハウジングに取り付けられており、前記弾性部材が前記軸線を中心とする半径方向に移動することを防止する移動防止部が設けられていることを特徴とする駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被駆動体に連結された2本のケーブルを、電動モータの動力により長さ方向に押し引きすることにより、被駆動体を作動させる駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のサンルーフ装置に用いられる駆動装置の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された駆動装置においては、電動モータのアマチュア軸にウォームが形成されており、電動モータのヨークはギヤケースに固定されている。ギヤケースには、出力軸が回転自在に取り付けられており、出力軸と一体回転するウォームホイールが設けられている。ウォームホイールの外周にはギヤが形成されており、ギヤとウォームとが噛み合わされて減速機構が構成されている。出力軸の一端は、ギヤケースの外部に露出しており、出力軸におけるギヤケースの外部に露出した部分に駆動ギヤが取り付けられている。
【0003】
一方、ギヤケースの外部には、ルーフパネル(被駆動体)に連結された2本のケーブルが設けられている。2本のケーブルは平行に配置されており、2本のケーブルの外周には、長さ方向に沿ってワイヤーが螺旋状に巻き掛けられている。このワイヤーは、駆動ギヤに噛み合わされるギヤとして作用する。また、ギヤケースの外部にはガイドプレートが固定されている。具体的には、ギヤケースの外面に凹部が設けられており、その凹部にガイドプレートが取り付けられている。
【0004】
このガイドプレートは、一対のガイド壁部と、一対のガイド壁部を連結する一対の連結橋部とを有している。一対のガイド壁部は平行に設けられている。そして、出力軸は、一対の連結橋部の間、および一対のガイド壁部の間に挿入されており、駆動ギヤは一対のガイド壁部の間に配置されている。さらに、一対の連結橋部は駆動ギヤ側に向けて突出する向きで湾曲されており、一対の連結橋部と一対のガイド壁部との接続部分が凹部の底面に接触した状態で、一対の連結橋部における湾曲部分が駆動ギヤの端面に接触している。すなわち、一対の連結橋部にスプリング機能をもたせて、その弾性力により駆動ギヤを中心線に沿った方向に押圧し、ウォームホイールの側面をギヤケースの内面に接触させることで、ギヤケースに対して出力軸を軸方向に位置決め固定している。このように出力軸を位置決め固定することにより、出力軸と、ギヤケース内に設けられた部品とのガタが吸収されている。
【0005】
このように構成された駆動装置において、電動モータを駆動して出力軸を回転させると、その動力が駆動ギヤを経由して2本のケーブルに伝達され、2本のケーブルが長さ方向に押し引きされてルーフパネルが作動し、開口部を開閉することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−57295号公報(図5図6図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1に記載された駆動装置を有する車両が悪路を走行すると、車体が振動してその振動が出力軸に伝達される。そして、出力軸が半径方向に振動すると、駆動ギヤと、2本のケーブルに設けられたギヤとの噛み合い深さが変化する問題があった。また、車体が静止状態でも、駆動装置を構成する部品の加工精度にばらつきが生じること、部品同士の組み付け時の組み付け誤差によって、出力軸とギヤケースとの間に隙間が形成されること、駆動ギヤそのものに形状変化が生じること等の理由により、出力軸が半径方向に振れ回り、駆動ギヤと2本のケーブルに設けられたギヤとの噛み合い深さが変化する問題があった。
【0008】
本発明の目的は、出力軸が振動したときに、駆動ギヤとケーブルのギヤとの噛み合い深さが変化することを抑制できる駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の駆動装置は、電力が供給されて駆動する電動モータと、前記電動モータの動力が伝達される出力軸と、この出力軸を軸線を中心として回転可能に支持するハウジングと、前記出力軸に同軸に取り付けられた駆動ギヤと、前記駆動ギヤの半径方向における両側に平行に配置された2本のケーブルと、2本のケーブルにそれぞれ設けられ、かつ、前記駆動ギヤに噛み合うギヤ部と、前記ハウジングに取り付けられ、かつ、前記2本のケーブル及び前記駆動ギヤの前記半径方向の両側に設けられた2つの規制部とを有し、2つの規制部により前記2本のケーブルのギヤ部と前記駆動ギヤとの噛み合いを保持するように構成された駆動装置であって、前記2つの規制部は、前記ハウジングに対して前記駆動ギヤの半径方向に一体的に移動可能に取り付けられ、前記駆動ギヤ及び前記出力軸を前記軸線に沿った方向に押す弾性部材と、この弾性部材により押された前記駆動ギヤ及び出力軸を前記ハウジングに対して前記軸線に沿った方向で位置決めする位置決め機構と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の駆動装置は、前記ハウジングに、前記2つの規制部を前記駆動ギヤの半径方向に移動可能に支持する支持部が設けられていることを特徴とする。
【0012】
本発明の駆動装置は、前記弾性部材は前記軸線を取り囲むように前記ハウジングに取り付けられており、前記弾性部材が前記軸線を中心とする半径方向に移動することを防止する移動防止部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明(請求項1)によれば、出力軸が軸線を中心とする径方向に振動すると、駆動ギヤとギヤ部との噛み合い部分の反力で、駆動ギヤの振動が2つの規制部に伝達される。このため、駆動ギヤ及び2本のケーブル及び2つの規制部は、半径方向に一体的に振動する。したがって、駆動ギヤとケーブルのギヤ部との噛み合い深さが変化する量をなるべく少なくすることができる。また、弾性部材により駆動ギヤおよび出力軸を軸線に沿った方向に押して、駆動ギヤ及び出力軸をハウジングに対して位置決めすることができる。したがって、駆動ギヤ及び出力軸が、ハウジングに対して軸線に沿った方向に振動することを防止できる。
【0014】
本発明(請求項2)によれば、2つの規制部は、支持部によって半径方向に移動可能に支持されているため、2つの規制部を半径方向に精度よく移動させることができる。
【0016】
本発明(請求項)によれば、軸線を中心として全周に亘り駆動ギヤを押すことができるため、駆動ギヤが軸線に対して傾斜することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の駆動装置を車両のサンルーフ装置に用いた平面図である。
図2】本発明の駆動装置の外観を示す斜視図である。
図3】本発明の駆動装置を構成する部品の分解斜視図である。
図4】本発明の駆動装置を構成する部品の分解斜視図である。
図5】本発明の駆動装置の要部を示す断面図である。
図6】本発明の駆動装置の要部を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は車両13のルーフ13aに設けられたサンルーフ装置11を示す平面図である。ルーフ13aは略水平方向に延ばされているか、あるいは緩やかに湾曲しながら水平方向に延ばされた板形状を有している。このルーフ13aには平面形状が略長方形の開口部14が形成されており、車両13の内部と車両13の外部とが開口部14により連通されている。サンルーフ装置11はルーフパネル12を備えており、ルーフパネル12を車両13の前後方向(図1の左右方向)に動作させることにより、開口部14を開閉することができるようになっている。
【0019】
車両13の左右方向(図1の上下方向)でルーフパネル12の両端部には、一対のシュー15a,15bがそれぞれ固定されている。各対のシュー15a,15bは車両13の前後方向に沿って配置されている。各対のシュー15a,15bは、図示しないローラ等を有している。一方、車両13の左右方向で開口部14の両側には、それぞれ車両13の前後方向に延びた直線状のガイドレール16が固定されている。各対のシュー15a,15bのローラが、ガイドレール16に沿って転動することにより、ルーフパネル12は車両13の前後方向に移動することが可能である。
【0020】
また、ルーフ13aには、ルーフパネル12を車両13の前後方向に移動させるための駆動装置21が設けられている。より具体的には、車両13の前後方向で開口部14よりも前側(図1における左側)にフロントガラス13bが設けられており、開口部14とフロントガラス13bとの間に駆動装置21が配置されている。この駆動装置21は、金属材料により構成された2本のケーブル17a,17bを有している。
【0021】
そして、車両13の走行方向を向いて右側に配置されたシュー15bにケーブル17aが連結され、車両13の走行方向を向いて左側に配置されたシュー15bにケーブル17bが連結されている。2本のケーブル17a,17bのうち、車両13の前後方向で開口部14よりも前側に位置している部分は相互に平行に、かつ、開口部14に沿って車両13の左右方向に延びて配置されている。2本のケーブル17a,17bのうち、その他の部分は開口部14の両側に車両13の前後方向に沿って配置されている。すなわち、2本のケーブル17a,17bは、平面的には略L字形状に屈曲されている。
【0022】
駆動装置21は、2本のケーブル17a,17bを押し引きする動力を発生する動力源として、図2に示す電動モータ23を有している。電動モータ23は、円筒形状に構成されたヨーク24aと、ヨーク24aの内周に取り付けられた永久磁石と、ヨーク24aの内部に設けられたアマチュアとを有している。このアマチュアは、アマチュアシャフト24b、アマチュアコイル(図示せず)、アマチュアコア(図示せず)、コンミテータ(図示せず)などを有する公知のものである。アマチュアシャフト24bは、回転中心線が略水平となるように、図示しない軸受により回転可能に支持されている。アマチュアシャフト24bのうち、ヨーク24aの外部に位置している部分の外周にはウォーム24cが形成されている。
【0023】
また、駆動装置21は図5に示すケーシング25を有しており、ケーシング25はフレーム26及び外カバー27を有している。フレーム26及び外カバー27は共に樹脂により成形されている。フレーム26は、平面形状が略長方形である天板26aと、天板26aの2つの長辺に連続して設けられ、かつ、天板26aに対して略直角に延ばされた側板26bとを有している。また、外カバー27は、板形状の底板27aと、底板27aに連続して設けられ、かつ、底板27aから所定角度で延ばされた側板27bとを有している。
【0024】
さらに、外カバー27には複数の係止爪(図示せず)が設けられており、側板26bには係止突起26eが設けられている。そして、フレーム26の側板26bと外カバー27の側板27bとを接触させて係止爪を係止突起26eに係止することにより、フレーム26と外カバー27とが固定されている。上記ケーシング25は、天板26aが車両13に対して略水平となる状態でルーフ13aに固定されている。また、天板26aの短辺の1つから、天板26aに対して略直角に延ばされた固定壁(図示せず)が設けられている。この固定壁には軸孔(図示せず)が形成されており、アマチュアシャフト24bが軸孔に挿入された状態で、ヨーク24aが固定壁に固定されている。
【0025】
このようにして、フレーム26と外カバー27とにより取り囲まれた内部空間Aに、アマチュアシャフト24bのうちヨーク24aの外部に位置している部分が配置されている。また、内部空間Aには、ウォーム24cに噛み合うギヤ28aを有するウォームホイール28が設けられている。ギヤ28aを有するウォームホイール28と、ウォーム24cとにより、減速機構が構成されている。また、ウォームホイール28と一体的に回転する出力軸29が設けられている。この出力軸29は、内部空間Aからフレーム26の上方に亘って配置されている。具体的には、天板26aには、内部空間Aから外部に向けて貫通する軸孔26cが形成されており、軸孔26c内に出力軸29が回転可能に挿入されている。つまり、出力軸29は略垂直方向の軸線Bを中心として回転可能に支持されている。また、軸孔26cの内周面と出力軸29との間には隙間が形成されている。この隙間は、出力軸29の回転時に、出力軸29とフレーム26との接触部分の摩擦力を相対的に低下させるために設けられている。出力軸29の一端はケーシング25の外部、具体的には、天板26aの上側に露出している。さらに、天板26aにおける外カバー27側の面には、軸孔26cを中心とする環状のストッパ26dが形成されている。このストッパ26dは外カバー27に向けて突出されている。
【0026】
さらに、ウォームホイール28と出力軸29との固定構造を説明する。図5のように、ウォームホイール28は、円筒形状のボス部28bと、ボス部28bの外周に接続部28cを介して形成された環状部28dとを有している。ボス部28bには軸孔28eが設けられており、軸孔28eに出力軸29が嵌め込まれて、出力軸29とウォームホイール28とが一体回転するように固定されている。接続部28cには環状のリブ28fが設けられている。このリブ28fは軸線Bを中心として形成されており、かつ、軸線Bに沿った方向で天板26aに向けて延ばされている。さらに、環状部28dの全周に前記ギヤ28aが形成されている。また、内部空間Aにおける外カバー27側には制御基板30が設けられている。この制御基板30は、電動モータ23のアマチュアコイルに供給する駆動電流を制御するためのものである。
【0027】
そして、内部空間Aにおける制御基板30とウォームホイール28との間には、ギヤカバー31が設けられている。このギヤカバー31は、ウォームホイール28の上方で生じた磨耗分等の異物が制御基板30に付着することを防止するためのものである。ギヤカバー31は円板形状を備えており、ギヤカバー31の軸孔31aに、ウォームホイール28のボス部28bが挿入されている。また、図3のように、ギヤカバー31の外周には複数の係止爪31bが設けられており、複数の係止爪31bがフレーム26に係止されて、ギヤカバー31がフレーム26に固定されている。
【0028】
前記天板26aの上部には、図4のように軸孔28eが設けられている。そして、軸孔28eを挟んで2つの保持溝32が設けられている。すなわち、ケーシング25を平面視すると、2つの保持溝32の間に軸孔28eが配置され、2つの保持溝32同士は平行に配置されている。2つの保持溝32は壁面32bを有している。また、2つの保持溝32の間には、軸孔28eを挟んで台座33が設けられている。
【0029】
また、台座33には軸孔28eと同軸のスリーブ32aが設けられている。このスリーブ32aは筒形状を有しており、スリーブ32a内に軸孔28eの一部が形成されている。さらに、ケーシング25を平面視したとき、スリーブ32aの外周形状は略八角形になっている。前記出力軸29が軸孔28eに挿入された状態で、出力軸29における天板26aの上部に露出した箇所に駆動ギヤ22が固定されている。つまり、駆動ギヤ22はスリーブ32aよりも上方に位置している。駆動ギヤ22は、本実施形態では「はす歯歯車」として形成されている。前記2本のケーブル17a,17bの外周にはギヤ部34が形成されている。このギヤ部34は、2本のケーブル17a,17bの長さ方向に沿って形成されたウォーム形状のものである。ギヤ部34が駆動ギヤ22と噛み合わされている。
【0030】
また、天板26aには、図4図6のように、天板26aの上面から上方に向けて突出されたマウント部35が軸孔28eを挟んで2つ設けられている。また、2つのマウント部35同士の間には、2つのマウント部35を繋ぐように保持溝32が配置されている。また、2つのマウント部35における保持溝32側には壁面35aがそれぞれ設けられている。2つの壁面35aは略垂直な平坦面であり、2つの壁面35aは車両13の幅方向に延ばされている。さらに、2つの壁面35a同士は平行である。
【0031】
そして、天板26aの上部には、出力軸29を取り囲むようにガイドプレート36が設けられている。ガイドプレート36は金属材料により一体成形されたものであり、ガイドプレート36は、2つのガイド壁36aと、2つのガイド壁36aを連結する2本の連結部36bとを有する。2つのガイド壁36aは共に板形状を有しており、2つのガイド壁36aは平行に配置されている。また、2本の連結部36bは互いに平行に配置され、連結部36bの両端にガイド壁36aが設けられ、ガイド壁36aは連結部36bに対して略垂直に形成されている。
【0032】
このように構成されたガイドプレート36は、2本の連結部36bが2つの保持溝32に配置されてフレーム26に取り付けられている。2本の連結部36bが壁面32bに接触することで、ガイドプレート36がフレーム26に対して車両13の左右方向に位置決めされている。
【0033】
図6のように、ガイドプレート36がフレーム26に取り付けられ、かつ、出力軸29が軸孔26cに挿入された状態において、駆動ギヤ22とフレーム26との間に2つの連結部36bが位置する。また、車両13の前後方向において、2つのガイド壁36aの両方の端面36c同士の距離L1は、2つの壁面35a同士の距離L2よりも短く設定されている。このため、車両13の左右方向におけるガイドプレート36の位置に関わりなく、車両13の前後方向で、フレーム26とガイドプレート36との間には、少なくとも一方の端面36cと壁面35aとの間に隙間Dが形成される。
【0034】
このため、2本の連結部36bが2つの保持溝32に配置されて、ガイドプレート36がフレーム26に取り付けられた状態において、ガイドプレート36は2つの保持溝32に沿って車両13の前後方向に移動可能である。すなわち、2つのガイド壁36aを2つの連結部36bにより接続してガイドプレート36が一体成形されており、そのガイドプレート36がフレーム26に対して車両13の前後方向に移動することができる。そして、ガイドプレート36がフレーム26に取り付けられた状態では、車両13の前後方向で、2つのガイド壁36aの間に駆動ギヤ22及び2本のケーブル17a,17bが位置している。すなわち、駆動ギヤ22に噛み合う2本のケーブル17a,17bに対して、2つの保持溝32は直交するように配置されており、ガイドプレート36も2本のケーブル17a,17bに対して直交する方向に移動することができる。
【0035】
さらに、車両13の前後方向における2つのガイド壁36a同士の間隔は、次の条件等に基づいて設定することが可能である。この条件には、例えば、駆動ギヤ22に2本のケーブル17a,17bのギヤ部34が噛み合った状態で、駆動ギヤ22が回転したとき、2本のケーブル17a,17bと2つのガイド壁36aとの間の摩擦抵抗を目標値以下とすることが含まれる。また、この条件には、駆動ギヤ22とケーブル17a,17bのギヤ部34との噛み合い深さ(噛み合い量)を、予め定められた目標値以上に保つことが含まれる。駆動ギヤ22と、ケーブル17a,17bのギヤ部34との噛み合い深さとは、駆動ギヤ22の半径方向における噛み合い深さを意味する。より具体的には、駆動ギヤ22と、2つのギヤ部34との噛み合い点とを通る線分(図示せず)に沿った方向での噛み合い深さである。
【0036】
そして、ルーフパネル12を動作させるために必要な動力をケーブル17a,17bで発生させるために、駆動ギヤ22とケーブル17a,17bのギヤ部34との係合部分における目標係合力が決定され、この目標係合力に基づいて噛み合い深さの目標値が決定されている。なお、駆動ギヤ22とケーブル17a,17bのギヤ部34との噛み合い深さは、最大値または平均値のいずれであってもよい。
【0037】
さらに、図6のように、軸線Bに沿った方向で駆動ギヤ22とガイドプレート36との間にはワッシャ37及びスプリングプレート38が介在されている。スプリングプレート38は、駆動ギヤ22及び出力軸29を、軸線Bに沿った方向に押圧する力を生じる弾性部材(ばね)である。図4のようにスプリングプレート38は、環状に構成された枠部38aと、枠部38aの外側に連続された4本の脚部38bとを備えている。枠部38aは孔38dを有しており、枠部38aの内周縁が下方に向けて折り曲げられている。孔38dの平面形状は略八角形であり、スリーブ32aの外径よりも大きく設定されている。4本の脚部38bは、車両13の左右方向で枠部38aの両側に設けられている。具体的には、枠部38aの左右に2本づつの脚部38bが設けられている。4本の脚部38bは車両13の前後方向に延ばされており、4本の脚部38bは枠部38aに対して傾斜している。具体的には、4本の脚部38bは2本の連結部36bに近づく向きで傾斜している。4本の脚部38bは、軸線Bに沿った方向の荷重に対して反発する弾性復元力を有している。
【0038】
ワッシャ37は金属材料により構成された環状体であり、軸線Bに沿った方向でワッシャ37はスプリングプレート38と駆動ギヤ22との間に配置されている。図4のようにワッシャ37には孔37aが形成されており、孔37aに出力軸29が挿入されている。駆動ギヤ22とガイドプレート36との間にワッシャ37及びスプリングプレート38が介在された組み付け状態において、4本の脚部38bの先端が2本の連結部36bに接触して弾性変形している。
【0039】
この4本の脚部38bの弾性復元力により、枠部38aをワッシャ37に押し付ける力が生じ、ワッシャ37が駆動ギヤ22の端面に押し付けられている。その結果、駆動ギヤ22及び出力軸29及びウォームホイール28が共に上方に向けて押される。このようにして、ウォームホイール28のリブ28fが、フレーム26のストッパ26dに接触し、駆動ギヤ22及び出力軸29及びウォームホイール28が、軸線Bに沿った方向でフレーム26に対して位置決めされている。なお、4本の脚部38bの弾性復元力により押圧力が生じたときに、ガイドプレート36と2つの保持溝32の底面との接触部分の摩擦力が、駆動ギヤ22と2本のケーブル17a,17bのギヤ部34との噛み合い部分に生じる反力未満となるように、4本の脚部38b全体のバネ定数が設定されている。
【0040】
上記のように構成された駆動装置21において、電動モータ23に電力が供給されてアマチュアシャフト24bが所定方向に回転すると、アマチュアシャフト24bのトルクがウォームホイール28に伝達されて、出力軸29及び駆動ギヤ22が回転する。その結果、2本のケーブル17a,17bが相互に逆向きに長さ方向に移動する。したがって、ルーフパネル12が車両13の後方に向けて動作し、開口部14が開放される。これに対して、アマチュアシャフト24bが上記とは逆向きに回転すると、駆動ギヤ22が上記とは逆向きに回転し、ルーフパネル12が車両13の前方に向けて動作し、開口部14が閉じられる。
【0041】
ところで、車両13が悪路を走行したとき等のように車体が振動すると、その振動がケーシング25に伝達される。前述のように、軸孔26cの内周面と出力軸29との間には微少量の隙間が形成されているため、ケーシング25が振動すると、出力軸29及び駆動ギヤ22が軸線Bを中心とする半径方向に振動する。ここでは、軸線Bを中心とする半径方向、特に、車両13の前後方向においての半径方向を、便宜上、Y軸方向と称する。駆動ギヤ22がY軸方向に振動すると、駆動ギヤ22とギヤ部34との噛み合い部分に生じる反力で、2本のケーブル17a,17bがY軸方向に振動する。
【0042】
本実施形態においては、ガイドプレート36はフレーム26に対して、車両13の前後方向に移動可能に取り付けられている。このため、2本のケーブル17a,17bがY軸方向に振動して、その振動が2つのガイド壁36aに伝達されると、ガイドプレート36はフレーム26に対してY軸方向に移動する。このようにして、駆動ギヤ22及び2本のケーブル17a,17b及びガイドプレート36が、一体的にフレーム26に対してY軸方向に相対移動するため、駆動ギヤ22とギヤ部34との噛み合い深さが変化することを抑制できる。すなわち、駆動ギヤ22の振動により、駆動ギヤ22とギヤ部34との噛み合い深さが変化するとしても、その変化量をなるべく少なくすることができる。このため、ケーブル17aに伝達される動力と、ケーブル17bに伝達される動力とに差が生じることを抑制できる。したがって、ルーフパネル12の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0043】
また、本実施形態においては、2つの保持溝32が車両13の前後方向に沿って設けられている。このため、2つの連結部36bが2つの保持溝32に沿って移動することで、ガイドプレート36をフレーム26に対してY軸方向に精度良く移動させることができる。したがって、駆動ギヤ22とギヤ部34との噛み合い状態を良好に保持することができる。また、本実施形態においては、スプリングプレート38の押圧力をワッシャ37を介して駆動ギヤ22に伝達し、駆動ギヤ22及び出力軸29及びウォームホイール28を上方に向けて押すように構成されている。そして、ウォームホイール28のリブ28fをストッパ26dに接触させて、駆動ギヤ22及び出力軸29及びウォームホイール28を軸線Bに沿った方向でフレーム26に対して位置決めしている。したがって、出力軸29及び駆動ギヤ22及びウォームホイール28が、軸線Bに沿った方向(Z軸方向)に振動することを防止できる。
【0044】
さらに、本実施形態においては、枠部38aの孔38dにスリーブ32aが挿入されて、スプリングプレート38がフレーム26に対して、軸線Bを中心とする半径方向で位置決めされている。このため、スプリングプレート38とフレーム26とが、軸線Bを中心とする半径方向で相対移動することを防止できる。したがって、枠部38aと駆動ギヤ22との同軸度を確保することができる。つまり、スプリングプレート38の押圧力を駆動ギヤ22に対して、軸線Bを中心として全周に亘り均等に加えることができ、軸線Bに対して駆動ギヤ22が傾斜することを防止できる。このため、駆動ギヤ22とギヤ部34との噛み合い状態を良好に保つことができる。
【0045】
ここで、本実施形態において説明した構成と、本発明の構成との対応関係を説明すると、フレーム26が、本発明のハウジングに相当し、2つのガイド壁36aが、本発明における2つの規制部に相当し、保持溝32が、本発明の支持部に相当し、スプリングプレート38が、本発明の弾性部材に相当し、スリーブ32aが、本発明の移動防止部に相当し、リブ28f及びストッパ26dが、本発明の位置決め機構に相当する。
【0046】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、スリーブ32aの平面形状及び孔38dの平面形状は、共に八角形となっているが、同じ平面形状であり、かつ、スプリングプレート38が回転しなければ、六角形でもよい。さらに、ガイドプレート36をフレーム26に対して車両13の前後方向に移動可能に支持する支持部は、保持溝32に代えて、フレーム26に車両13の前後方向に沿ってレールを設けてもよい。この場合、ガイドプレート36には、レールに対応する溝を車両13の前後方向に沿って設けることとなる。すなわち、本発明における支持部は、溝または凹部に限定されるものではなく、凸部であってもよい。
【0047】
さらに、本実施形態においては、ケーシング25の外部に駆動ギヤ22、ガイドプレート36、ワッシャ37、スプリングプレート38などが設けられているが、ケーシングの内部にこれらの部品を収容するとともに、ケーシングの内部に出力軸を支持し、かつ、これらの部品を取り付ける支持壁を設けることも可能である。この場合、ケーブルがケーシングの内部と外部とを行き来できるように、孔を設けることは勿論である。
【0048】
また、ルーフパネルは車両の左右方向に動作して、開口部を開閉するように構成されていてもよい。この場合、車両の左右方向でルーフパネルの側方に、駆動装置を配置することができる。すなわち、駆動ギヤと2本のケーブルのギヤ部との噛み合い点を通る線分は、車両の左右方向に沿ったものとなる。また、フレームに対してガイドフレームが車両の左右方向に移動可能に取り付けられることとなる。そして、出力軸及び駆動ギヤが軸線を中心として、車両の左右方向に沿って振動したときに、前述と同様にガイドプレートがフレームに対して車両の左右方向に移動して、前述と同様の効果を得られる。
【0049】
さらに、本発明における被駆動体には、開口部を開閉するためのパネル、扉、蓋等が含まれる。また、本発明の被駆動体はケーブルの動力により往復動作するものであり、開口部を開閉するものでなくてもよい。本発明におけるハウジングは、出力軸を支持するように構成された構造物もしくは対象物であり、ハウジングには、前述したフレームの他、ケーシング、ブラケット等が含まれる。
【符号の説明】
【0050】
11 サンルーフ装置
12 ルーフパネル
13 車両
13a ルーフ
13b フロントガラス
14 開口部
15a,15b シュー
16 ガイドレール
17a,17b ケーブル
21 駆動装置
22 駆動ギヤ
23 電動モータ
24a ヨーク
24b アマチュアシャフト
24c ウォーム
25 ケーシング
26 ストッパ
26 フレーム
26a 天板
26b 側板
26c 軸孔
26d ストッパ
26e 係止突起
27 外カバー
27a 底板
27b 側板
28 ウォームホイール
28a ギヤ
28b ボス部
28c 接続部
28d 環状部
28e,31a 軸孔
28f リブ
29 出力軸
30 制御基板
31 ギヤカバー
31b 係止爪
32 保持溝
32a スリーブ
32b 壁面
33 台座
34 ギヤ部
35 マウント部
35a 壁面
36 ガイドプレート
36a ガイド壁
36b 連結部
36c 端面
37 ワッシャ
37a,38d 孔
38 スプリングプレート
38a 枠部
38b 脚部
A 内部空間
B 軸線
D 隙間
L1,L2 距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6