特許第5941336号(P5941336)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941336ポリシロキサン系組成物、および該組成物を封止材として用いてなる光半導体装置
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  • 特許5941336-ポリシロキサン系組成物、および該組成物を封止材として用いてなる光半導体装置 図000017
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941336
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ポリシロキサン系組成物、および該組成物を封止材として用いてなる光半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20160616BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20160616BHJP
   C08K 5/3477 20060101ALI20160616BHJP
   C08K 5/544 20060101ALI20160616BHJP
   C08L 83/14 20060101ALI20160616BHJP
   C08L 83/07 20060101ALI20160616BHJP
   C08G 77/50 20060101ALI20160616BHJP
   C08G 77/12 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   H01L23/30 F
   C08K5/3477
   C08K5/544
   C08L83/14
   C08L83/07
   C08G77/50
   C08G77/12
【請求項の数】23
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-110290(P2012-110290)
(22)【出願日】2012年5月14日
(65)【公開番号】特開2013-239506(P2013-239506A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年3月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 文康
(72)【発明者】
【氏名】倉津 将人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 智史
(72)【発明者】
【氏名】眞鍋 貴雄
【審査官】 豊島 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−095618(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/039322(WO,A1)
【文献】 特開2012−004298(JP,A)
【文献】 特開2009−111245(JP,A)
【文献】 特表2009−527622(JP,A)
【文献】 特開2010−138380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08K 3/00− 13/08
C08L 1/00−101/14
H01L23/28− 23/31
33/00
33/48− 33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光半導体素子と、銀メッキが施されたリードフレームと、前記光半導体素子と前記銀メッキが施されたリードフレームとを封止するポリシロキサン系組成物の硬化物を備える光半導体装置であって、前記ポリシロキサン系組成物が、
(A)多面体構造ポリシロキサンとヒドロシリル基を有する化合物(b)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)とをヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサン変性体
(B)1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物
(C)一般式(1)で表される有機化合物(式中R10、R11およびR12は、炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つはグリシジル基を1個以上有し、かつ少なくとも1つはアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有する。但し、R10、R11およびR12のいずれか1つが、グリシジル基とアルケニル基および/またはヒドロシリル基を同時に有していても構わない。また、R10、R11およびR12は、異なっていても同一であってもよい。)
【化1】
からなり、
85℃相対湿度85%における連続通電500時間後のLEDの全光束保持率が80%以上であることを特徴とする光半導体装置。
【請求項2】
前記多面体構造ポリシロキサンがアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)であることを特徴とする請求項1記載の光半導体装置。
【請求項3】
前記多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、温度20℃において、液状であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項1または2に記載の光半導体装置。
【請求項4】
1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)が、アリール基を1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項5】
アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式:
[ARSiO−SiO3/2[RSiO−SiO3/2
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項6】
ヒドロシリル基を有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項7】
ヒドロシリル基を有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項1〜5のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項8】
ヒドロシリル基を有する化合物(b)が、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項7に記載の光半導体装置。
【請求項9】
光半導体素子と、銀メッキが施されたリードフレームと、前記光半導体素子と前記銀メッキが施されたリードフレームとを封止するポリシロキサン系組成物の硬化物を備える光半導体装置であって、前記ポリシロキサン系組成物が
(A)[XRSiO−SiO3/2SiO−SiO3/2
[{c+dは6〜24の整数、cは1以上の整数、dは0または1以上の整数;Rは、アルキル基またはアリール基;Rは、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(2)あるいは一般式(3)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が異なっていても良くまた一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が混在していても良い。
【化2】
【化3】
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造を有する。
−[CH−R (4)
(pは2以上の整数;Rは有機ケイ素化合物を含有する基);Rは、アルキル基またはアリール基}]を構成単位とする多面体構造ポリシロキサン変性体
(B)1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物
(C)一般式(1)で表される有機化合物(式中R10、R11およびR12は、炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つはグリシジル基を1個以上有し、かつ少なくとも1つはアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有する。但し、R10、R11およびR12のいずれか1つが、グリシジル基とアルケニル基および/またはヒドロシリル基を同時に有していても構わない。また、R10、R11およびR12は、異なっていても同一であってもよい。)、
【化4】
からなり、85℃相対湿度85%における連続通電500時間後のLEDの全光束保持率が80%以上であることを特徴とする光半導体装置。
【請求項10】
がアリール基を1個以上有することを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項9に記載の光半導体装置。
【請求項11】
一般式(1)で表される有機化合物(C)が、アルケニル基を2個有さないものである請求項1〜10のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項12】
1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物(B)が、1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリシロキサン(B1)であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項13】
1分子中に2個以上のアルケニル基を有するポリシロキサン(B1)がアリール基を1個以上有することを特徴とする請求項12に記載の光半導体装置。
【請求項14】
化合物(B)が、下記一般式(5)で表される有機化合物であって
【化5】
(式中Rは炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのRは異なっていても同一であってもよい。)、かつ1分子中に2個以上のアルケニル基を有する有機化合物(B2)であることを特徴とする請求項12に記載の光半導体装置。
【請求項15】
有機化合物(B2)が、数平均分子量900未満であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項14に記載の光半導体装置。
【請求項16】
有機化合物(B2)が、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項14または15に記載の光半導体装置。
【請求項17】
有機化合物(B2)が、ジアリルモノメチルイソシアヌレートであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である請求項14または15に記載の光半導体装置。
【請求項18】
有機化合物(C)が、1分子中にグリシジル基を1個以上含有し、かつ1分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上含有しているイソシアヌル酸誘導体であることを特徴とする、請求項1〜17のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項19】
有機化合物(C)が、アルケニル基およびグリシジル基を有する化合物であって、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物であることを特徴とする、請求項18に記載の光半導体装置。
【請求項20】
有機化合物(C)が、ヒドロシリル基およびグリシジル基を有する化合物であって、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物と、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とをヒドロシリル化させて得られる化合物(D)であることを特徴とする、請求項18に記載の光半導体装置。
【請求項21】
前記ポリシロキサン系組成物が、ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とする、請求項1〜20のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項22】
前記ポリシロキサン系組成物が、硬化遅延剤を含有することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【請求項23】
前記ポリシロキサン系組成物が、無機フィラーを含有することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
組成物と銀メッキされたLEDリードフレームとの組み合わせにおいて、長時間に渡る光または熱への暴露によって生成する銀の微小粒子の生成を抑制し、銀メッキ表面や封止樹脂層やリフレクターの変色を生じることのない光半導体装置
【背景技術】
【0002】
ポリシロキサン系組成物は、耐熱性、耐寒性、耐候性、耐光性、化学的安定性、電気特性、難燃性、耐水性、透明性、着色性、非粘着性、非腐食性に優れており、様々な産業で利用されている。中でも、多面体構造を有するポリシロキサンで構成された組成物は、その特異的な化学構造から、さらに優れた耐熱性、耐光性、化学的安定性、低誘電性等を示すことが知られている。
【0003】
その中でも、多面体構造を有するポリシロキサンを用いた化合物は、特に優れた耐熱性、耐光性、化学的安定性、低誘電性等を示すことが知られており、応用例として、光半導体素子封止剤用途への展開が知られている。
【0004】
しかしながら、これらポリシロキサン系組成物は、リフレクターとの接着性に乏しく、長期信頼性試験において、試験中に剥離を生じ、光学特性の変化を生じることが問題とされている。
【0005】
また、ポリシロキサン系組成物は優れた特性を持つ一方で、一般に光半導体素子封止剤用途で用いた場合、リードフレーム周辺が変色する問題があり、LEDの輝度低下を生じていた。
【0006】
例えば特許文献1においては、ヒドラジド誘導体を硬化性組成物中に配合することで、銀電極の変色を抑制する技術が開示されている。しかしながら、ヒドロシリル化反応を用いた硬化系においては、ヒドラジド誘導体は触媒反応を阻害することで硬化不良を引き起こすことが知られている。
【0007】
以上のように、リードフレーム周辺の変色を生じず、リフレクターとの良好な接着性を有するポリシロキサン系化合物の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−159912
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
リードフレーム周辺の変色を生じず、リフレクターとの良好な接着性を有するポリシロキサン系組成物を提供すること。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、
光半導体素子と、銀メッキが施されたリードフレーム、光半導体素子を搭載するパッケージと、光半導体素子を封止するポリシロキサン系組成物の硬化物を備える光半導体装置により、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は以下の構成を有するものである。
【0012】
1).光半導体素子と、銀メッキが施されたリードフレームと、前記光半導体素子と前記銀メッキが施されたリードフレームとを封止するポリシロキサン系組成物の硬化物を備える光半導体装置であって、前記ポリシロキサン系組成物が、
(A)多面体構造ポリシロキサンとヒドロシリル基を有する化合物(b)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)とをヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサン変性体
(B)1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物
(C)一般式(1)で表される有機化合物(式中R10、R11およびR12は、炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つはグリシジル基を1個以上有し、かつ少なくとも1つはアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有する。但し、R10、R11およびR12のいずれか1つが、グリシジル基とアルケニル基および/またはヒドロシリル基を同時に有していても構わない。また、R10、R11およびR12は、異なっていても同一であってもよい。)
【0013】
【化1】
【0014】
からなり、
85℃相対湿度85%における連続通電500時間後のLEDの全光束保持率が80%以上であることを特徴とする光半導体装置。
【0015】
2).前記多面体構造ポリシロキサンがアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)であることを特徴とする1)記載の光半導体装置。
【0016】
3).前記多面体構造ポリシロキサン変性体(A)が、温度20℃において、液状であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)または2)に記載の光半導体装置。
【0017】
4).1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)が、アリール基を1個以上有する有機ケイ素化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)〜3)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0018】
5).アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)が、式:[AR12SiO−SiO3/2]a[R23SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;R1は、アルキル基またはアリール基;R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基を含有する多面体構造ポリシロキサン系化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)〜4)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0019】
6).ヒドロシリル基を含有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサン、および/または、分子末端にヒドロシリル基を含有する直鎖状シロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)〜5)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0020】
7).ヒドロシリル基を含有する化合物(b)が、ヒドロシリル基を含有する環状シロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)〜5)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0021】
8).ヒドロシリル基を含有する化合物(b)が、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である7)に記載の光半導体装置。
【0022】
9).光半導体素子と、銀メッキが施されたリードフレームと、前記光半導体素子と前記銀メッキが施されたリードフレームとを封止するポリシロキサン系組成物の硬化物を備える光半導体装置であって、前記ポリシロキサン系組成物が
(A)[XR32SiO−SiO3/2]c43SiO−SiO3/2]d
[{c+dは6〜24の整数、cは1以上の整数、dは0または1以上の整数;R3は、アルキル基またはアリール基;R4は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(2)あるいは一般式(3)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が異なっていても良くまた一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が混在していても良い。
【0023】
【化2】
【0024】
【化3】
【0025】
(lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造を有する。
−[CH2]p−R5 (4)
(pは2以上の整数;R5は有機ケイ素化合物を含有する基);Rは、アルキル基またはアリール基}]を構成単位とする多面体構造ポリシロキサン変性体
(B)1分子中に2個以上のアルケニル基を有する化合物
(C)一般式(1)で表される有機化合物(式中R10、R11およびR12は、炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つはグリシジル基を1個以上有し、かつ少なくとも1つはアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有する。但し、R10、R11およびR12のいずれか1つが、グリシジル基とアルケニル基および/またはヒドロシリル基を同時に有していても構わない。また、R10、R11およびR12は、異なっていても同一であってもよい。)、
【0026】
【化4】
【0027】
からなり、85℃相対湿度85%における連続通電500時間後のLEDの全光束保持率が80%以上であることを特徴とする光半導体装置。
【0028】
10).R5がアリール基を1個以上有することを特徴とするポリシロキサン系組成物である9)に記載の光半導体装置。
【0029】
11).1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B)を含有することを特徴とするポリシロキサン系組成物である1)〜10)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0030】
12).化合物(B)が1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である11)に記載の光半導体装置。
【0031】
13).1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)がアリール基を1個以上有することを特徴とするポリシロキサン系組成物である12)に記載の光半導体装置。
【0032】
14).化合物(B)が、下記一般式(5)で表される有機化合物であって
【0033】
【化5】
【0034】
(式中R6は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのR6は異なっていても同一であってもよい。)、かつ1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物(B2)であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である11)に記載の光半導体装置。
【0035】
15).有機化合物(B2)が、数平均分子量900未満であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である14)に記載の光半導体装置。
【0036】
16).有機化合物(B2)が、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物であることを特徴とするポリシロキサン系組成物である14)または15)に記載の光半導体装置。
【0037】
17).有機化合物(B2)が、ジアリルモノメチルイソシアヌレートであることを特徴とするポリシロキサン系組成物である14)または15)に記載の光半導体装置。
【0038】
18).有機化合物(C)が、1分子中にグリシジル基を1個以上含有し、かつ1分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上含有しているイソシアヌル酸誘導体であることを特徴とする、1)〜17)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0039】
19).有機化合物(C)が、アルケニル基およびグリシジル基を有する化合物であって、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物であることを特徴とする、18)に記載の光半導体装置。
【0040】
20).有機化合物(C)が、ヒドロシリル基およびグリシジル基を有する化合物であって、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレートからなる群において選ばれる少なくとも1種類の化合物と、ヒドロシリル基を有する化合物(b)とをヒドロシリル化させて得られる化合物(D)であることを特徴とする、18)に記載の光半導体装置。
【0041】
21).ヒドロシリル化触媒を含有することを特徴とするポリシロキサン系硬化性組成物である1)〜20)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0042】
22).硬化遅延剤を含有することを特徴とするポリシロキサン系硬化性組成物である1)〜21)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【0043】
23).無機フィラーを含有することを特徴とする、1)〜22)のいずれか1項に記載の光半導体装置。
【発明の効果】
【0044】
リードフレーム周辺の変色を生じず、リフレクターとの良好な接着性を有するポリシロキサン系組成物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1】本発明の光半導体装置の一例である、表面実装型の発光ダイオード(LED)の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明について詳しく説明する。
【0047】
<光半導体装置>
本発明の光半導体装置としては、特に限定はされないが、例えば図1に示す構造が挙げられる。図1は、光半導体装置の概略断面図である。
【0048】
本発明の図1中の光半導体素子1は、特に限定されず、半導体発光装置のLEDとして汎用されているもの等を用いることができる。例えば、放射した光により蛍光体を励起して可視光を発光させるものであり、可視光発光タイプのLEDや、紫外発光タイプのLEDなどが挙げられる。本発明の光半導体素子1は、1つの半導体発光装置あたりに複数個の同一または異なる種類のLEDを実装してもよい。
【0049】
本発明の図1中のリフレクター2は、必要に応じて用いても良く、光半導体素子1からの光半導体装置を効率よく反射させることを目的とするものである。材質としては、熱可塑性樹脂や、熱硬化性樹脂や、ガラスエポキシや、セラミックスなどを用いることができるが、特に限定されるものではない。
【0050】
本発明の図1中のポリシロキサン系組成物の硬化物3は、光半導体素子1からの光半導体装置を効率よく外部に浸透させる、外力や埃などから光半導体素子やワイヤなどを保護する、腐食性ガスの装置内への侵入を防ぐ、といった作用を有する。
【0051】
本発明の図1中のリード4は、LED実装時の導電性確保とLEDの反射効率を高めるためのものである。特に、可視光領域での反射率が高いことから、金属の表面に銀メッキをしたものが用いられる。
【0052】
本発明の図1中のワイヤ5は、光半導体素子1とリード4を電気的に接続するものであり、材質としては導電性のものであれば特に限定しないが、金や金合金や銅等が挙げられる。また、ワイヤ5を用いる代わりに、導電性接着剤や共晶ハンダを用いて電気的接続を行ってもよい。
【0053】
リードフレーム周辺の変色を生じず、リフレクターとの良好な接着性を有するポリシロキサン系化合物を提供するために鋭意検討の結果以下のことを見出した。
【0054】
接着性の改善方法としては、例えば3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランに代表されるようなシランカップリング剤を配合することが、知られている。しかしながら、詳細な検討を行った結果、これらシランカップリング剤を配合すると、リードフレーム周辺の変色が促進され、その結果LEDの輝度低下が促進される場合があることを発見した。
【0055】
また、硬化性組成物中のSiH基/アルケニル基比率を特定範囲内にすることによって、電極基材の銅の析出を抑制し、その結果として変色を抑制することが知られている。しかしながら、詳細な分析を行った結果、リードフレーム表面もしくはリードフレーム近傍のリフレクターや封止樹脂中に銀の微小な粒子が生成することによって、可視光に吸収が生じ、変色を生じる場合があることを発見した。
本発明に用いられるポリシロキサン系組成物について詳細に説明する。
【0056】
<多面体構造ポリシロキサン>
本発明中のポリシロキサン系組成物は多面体構造ポリシロキサンを含有する。本発明に用いられる多面体構造ポリシロキサンとしては、公知の多面体構造ポリシロキサンを広く使用することができ、一般式[RSiO3/2]aや一般式[R3SiO−SiO3/2]a(Rは任意の有機基であり、同一であっても異なっていてもよい;aは6〜24の整数)で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサンが例示されるが、その構造中に[R2SiO2/2]単位や[R3SiO1/2]単位を含む部分開裂型の多面体構造ポリシロキサンであってもよい。
【0057】
また、多面体構造ポリシロキサンは、後述の(B)成分等と反応させた場合に、得られる硬化物の強度や耐熱性、耐光性、ガスバリア性の観点から、1分子中にヒドロシリル基を平均して3つ以上含有することが好ましい。
【0058】
本発明に用いられる多面体構造ポリシロキサンは、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)と、ヒドロシリル基を有する化合物(b)と、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)とをヒドロシリル化反応することにより得られる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)であることであることが、得られる硬化性組成物の耐熱性、耐光性、ガスバリア性、耐冷熱衝撃性、ハンドリング性(粘度)等の点からさらに好ましい。
【0059】
<アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)>
本発明の硬化性組成物に用いられるアルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)は、分子中にアルケニル基を有する、多面体骨格を有するポリシロキサンであれば、特に限定はない。具体的に、例えば、以下の式:
[R7SiO3/2x[R8SiO3/2y
(x+yは6〜24の整数;xは1以上の整数、yは0または1以上の整数;R7はアルケニル基、または、アルケニル基を有する基;R8は、任意の有機基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物を好適に用いることができ、さらには、式:
[AR12SiO−SiO3/2]a[R23SiO−SiO3/2]b
(a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;Aは、アルケニル基;R1は、アルキル基またはアリール基;R2は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基)で表されるシロキサン単位から構成されるアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物が好ましいものとして例示される。
【0060】
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
【0061】
1は、アルキル基またはアリール基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるR1としては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
【0062】
2は、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基である。アルキル基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基等が例示され、また、アリール基としては、フェニル基、トリル基等のアリール基が例示される。本発明におけるR2としては、耐熱性・耐光性の観点から、メチル基が好ましい。
【0063】
aは1以上の整数であれば、特に制限はないが、化合物の取り扱い性や得られる硬化物の物性から、2以上が好ましく、3以上がさらに好ましい。また、bは、0または1以上の整数であれば、特に制限はない。
【0064】
aとbの和(=a+b)は、6〜24の整数であるが、化合物の安定性、得られる硬化物の安定性の観点から、6〜12、さらには、6〜10であることが好ましい。
【0065】
(a)成分の合成方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いて合成することができる。合成方法としては、例えば、R9SiXa3(式中R9は、上述のR7、R8を表し、Xaは、ハロゲン原子、アルコキシ基等の加水分解性官能基を表す)のシラン化合物の加水分解縮合反応によって得られる。または、R9SiXa3の加水分解縮合反応によって分子内に3個のシラノール基を有するトリシラノール化合物を合成したのち、さらに、同一もしくは異なる3官能性シラン化合物を反応させることにより閉環し、多面体構造ポリシロキサンを合成する方法も知られている。
【0066】
その他にも、例えば、テトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシランを4級アンモニウムヒドロキシド等の塩基存在下で加水分解縮合させる方法が挙げられる。本合成方法においては、テトラアルコキシシランの加水分解縮合反応により、多面体構造を有するケイ酸塩が得られ、さらに得られたケイ酸塩をアルケニル基含有シリルクロライド等のシリル化剤と反応させることにより、多面体構造を形成するSi原子とアルケニル基とが、シロキサン結合を介して結合した多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能となる。本発明においては、テトラアルコキシランの替わりに、シリカや稲籾殻等のシリカを含有する物質からも、同様の多面体構造ポリシロキサンを得ることが可能である。
【0067】
<ヒドロシリル基を有する化合物(b)>
本発明の硬化性組成物に用いられるヒドロシリル基を有する化合物(b)は、分子中に1個以上のヒドロシリル基を有していれば特に制限はないが、得られる多面体構造ポリシロキサン変性体の透明性、耐熱性、耐光性の観点から、ヒドロシリル基を有するシロキサン化合物であることが好ましく、さらには、ヒドロシリル基を有する環状シロキサンあるいは直鎖状ポリシロキサンであることが好ましい。特に耐熱性、耐光性、ガスバリア性の観点からは、環状シロキサンであることが好ましい。
【0068】
ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
【0069】
特に、ヒドロシリル基を有する直鎖状ポリシロキサンとしては、変性させる際の反応性や得られる硬化物の耐熱性、耐光性等の観点から、ジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリシロキサン、さらにはジメチルハイドロジェンシリル基で分子末端が封鎖されたポリジメチルシロキサンを好適に用いることができ、具体的に例えば、テトラメチルジシロキサン、ヘキサメチルトリシロキサンなどが、好ましい例として例示される。
【0070】
ヒドロシリル基を有する環状シロキサンとしては、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリハイドロジェン−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタハイドロジェン−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサハイドロジェン−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロヘキサシロキサンなどが例示される。本発明における環状シロキサンとしては、工業的入手性および反応性、あるいは、得られる硬化物の耐熱性、耐光性、強度等の観点から、具体的に例えば、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンを好適に用いることができる。
【0071】
これら(b)成分である、ヒドロシリル基を有する化合物は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0072】
<1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)>
本発明の硬化性組成物に用いられる1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)は、前述のヒドロシリル基を有する化合物(b)のヒドロシリル基と反応する。(a’)成分を用いることで、得られる硬化物の弾性率を低下させることができ、耐冷熱衝撃性を向上させることができる。
【0073】
アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等が例示されるが、耐熱性・耐光性の観点から、ビニル基が好ましい。
【0074】
本発明における(a’)成分は、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、さらに好ましい。
【0075】
本発明における(a’)成分は、耐熱性、耐光性の観点から、シラン、またはポリシロキサンであることが好ましい。このような(a’)成分が、1分子中にアルケニル基を1個有するシランである場合、具体的に例えば、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシラン、トリエチルビニルシラン、ジエチルフェニルビニルシラン、エチルジフェニルビニルシラン、アリルトリメチルシラン、アリルジメチルフェニルシラン、アリルメチルジフェニルシラン、アリルトリフェニルシラン、アリルトリエチルシラン、アリルジエチルフェニルシラン、アリルエチルジフェニルシラン等が例示される。中でも、耐熱性、耐光性の観点から、トリメチルビニルシラン、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられ、さらに、ガスバリア性や屈折率の観点から、ジメチルフェニルビニルシラン、メチルジフェニルビニルシラン、トリフェニルビニルシランが好ましい例として挙げられる。
【0076】
また(a’)成分がポリシロキサンである場合、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサン、アルケニル基を1個有する環状シロキサン等が例示される。
【0077】
(a’)成分が、アルケニル基を1個有する直鎖構造のポリシロキサンである場合、具体的に例えば、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリメチルフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とメチルフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたジメチルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端がそれぞれ1個ずつ封鎖されたメチルフェニルシロキサン単位とジフェニルシロキサン単位との共重合体等が例示される。
【0078】
分子末端にアルケニル基を1個有するポリシロキサンである場合、具体的に例えば、先に例示したジメチルビニルシリル基とトリメチルシリル基で末端が1個ずつ封鎖されたポリシロキサン、SiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位、SiO1/2単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位および1つのジメチルビニルシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
【0079】
(a’)成分が、アルケニル基を1個有する環状シロキサンである場合、具体的に例えば、1−ビニル−1,3,3,5,5,7,7−ヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3−フェニル−1,3,5,5,7,7−ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5−ジフェニル−1,3,5,7,7−ペンタメチルシクロテトラシロキサン、1−ビニル−3,5,7−トリフェニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。
【0080】
これら(a’)成分である、1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0081】
<多面体構造ポリシロキサン変性体(A)>
本発明の硬化性組成物に用いられる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)は、後述のヒドロシリル化触媒の存在下、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物(a)とヒドロシリル基を有する化合物(b)と1分子中にアルケニル基を1個有する有機ケイ素化合物(a’)とをヒドロシリル化反応させることにより得られる。
【0082】
多面体構造ポリシロキサン変性体を得る方法としては、特に限定されず種々設定できるが、予め(a)成分と(b)成分を反応させた後、(a’)成分を反応させても良いし、予め(a’)成分と(b)成分を反応させた後、(a)成分を反応させても良いし、(a)成分と(a’)成分を共存させて(b)成分と反応させても良い。各反応の終了後に、例えば減圧・加熱条件下にて、揮発性の未反応成分を留去し、目的物あるいは次のステップへの中間体として用いても良い。(a’)成分と(b)成分のみが反応し、(a)成分を含まない化合物の生成を抑制するためには、(a)成分と(b)成分を反応させ、未反応の(b)成分を留去した後、(a’)成分を反応させる方法が好ましい。(a’)成分と(b)成分のみが反応し、(a)成分を含まない化合物の生成の抑制は耐熱性の観点から好ましい。
【0083】
こうして得られた多面体構造ポリシロキサン変性体には、反応に用いた(a)成分のアルケニル基が一部残存していてもよい。
【0084】
(b)成分の添加量は、(a)成分が有するアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基の数が2.5〜20個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、架橋反応によりゲル化が進行するため、多面体構造ポリシロキサン変性体のハンドリング性が劣る場合があり、添加量が多いと、硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0085】
(a’)成分の添加量は、(b)成分が有するヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基の数が0.01〜0.4個になるように用いることが好ましい。添加量が少ないと、得られる硬化物の耐冷熱衝撃性改善への効果が小さい場合があり、添加量が多いと、得られる硬化物に硬化不良が生じる場合がある。
【0086】
多面体構造ポリシロキサン変性体の合成時に用いるヒドロシリル化触媒の添加量としては特に制限はないが、反応に用いる(a)成分及び(a’)成分のアルケニル基1モルに対して10-1〜10-10モルの範囲で用いるのがよい。好ましくは10-4〜10-8モルの範囲で用いるのがよい。ヒドロシリル化触媒が多いと、ヒドロシリル化触媒の種類によっては、短波長の光に吸収を示すため、着色原因になったり、得られる硬化物の耐光性が低下する恐れがあり、また、硬化物が発泡する恐れもある。また、ヒドロシリル化触媒が少ないと、反応が進まず、目的物が得られない恐れがある。
【0087】
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、30〜400℃、さらに好ましくは、40〜250℃であることが好ましく、より好ましくは、45〜140℃である。温度が低すぎると反応が十分に進行せず、温度が高すぎると、ゲル化が生じ、ハンドリング性が悪化する恐れがある。
【0088】
本発明の硬化性組成物に用いられる多面体構造ポリシロキサン変性体(A)は、式
[XR32SiO−SiO3/2]a[R43SiO−SiO3/2]b
[a+bは6〜24の整数、aは1以上の整数、bは0または1以上の整数;R3は、アルキル基またはアリール基;R4は、アルケニル基、水素原子、アルキル基、アリール基、または、他の多面体骨格ポリシロキサンと連結している基、Xは、下記一般式(2)あるいは一般式(3)のいずれかの構造を有し、Xが複数ある場合は一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が異なっていても良くまた一般式(2)あるいは一般式(3)の構造が混在していても良い。
【0089】
【化6】
【0090】
【化7】
【0091】
{lは2以上の整数;mは0以上の整数;nは2以上の整数;Yは水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。;Zは、水素原子、アルケニル基、アルキル基、アリール基、もしくは、アルキレン鎖を介して多面体構造ポリシロキサンと結合している部位であり、同一であっても異なっていてもよい。ただし、YあるいはZの少なくとも1つは水素原子であり、少なくとも1つは下記一般式(4)の構造を有する。
−[CH2]p−R5 (4)
(pは2以上の整数;R5は有機ケイ素化合物を含有する基);Rはアルキル基またはアリール基}]
で表されるシロキサン単位から構成される多面体構造ポリシロキサン系化合物であってもよい。
【0092】
ここで、R5はケイ素化合物を含有する基であれば特に限定はされないが、1分子中に少なくともアリール基を1個以上含有していることが、ガスバリア性や屈折率の観点から好ましく、さらには、該アリール基が直接ケイ素原子に結合していることが、耐熱性、耐光性の観点から、好ましい。
【0093】
このような多面体構造ポリシロキサン変性体は、各種化合物、具体的には、後述の(B)成分との相溶性を確保でき、さらに、例えば、分子内にヒドロシリル基を含有していることから、各種アルケニル基を有する化合物と反応させることが可能となる。具体的には、後述の1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)や有機化合物(B2)と反応させることにより、耐熱性や耐光性、ガスバリア性等に優れる硬化物を得ることができる。
【0094】
また、多面体構造ポリシロキサン変性体は、温度20℃において液状とすることも可能である。多面体構造ポリシロキサン変性体を液状とすることで、ハンドリング性に優れることから好ましい。
【0095】
<1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B)>
本発明の硬化性組成物は、1分子中にアルケニル基を2個以上有する化合物(B)を含有しえる。本発明に用いられる硬化性組成物が化合物(B)を含有し、かつ、多面体構造ポリシロキサンがヒドロシリル基を有する場合、これらをヒドロシリル化反応させることにより、硬化物となすことができる。ヒドロシリル化反応に際してはヒドロシリル化触媒を用いることが好ましい。この反応に用いることができるヒドロシリル化触媒としては、後述のものを用いることができる。
【0096】
化合物(B)の添加量は種々設定できるが、多面体構造ポリシロキサンがヒドロシリル基を有する場合、化合物(B)のアルケニル基1個あたり、多面体構造ポリシロキサン変性体に含まれるヒドロシリル基が0.3〜5個、好ましくは、0.5〜3個となる割合で添加されることが望ましい。アルケニル基の割合が少ないと、発泡等による外観不良が生じやすくなり、また、アルケニル基の割合が多いと、硬化後の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0097】
ここで、化合物(B)としては、例えば、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)や、後述する有機化合物(B2)などが好ましい。なお、(B1)成分と(B2)成分とは併用してもよい。
【0098】
<1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)>
本発明の硬化性組成物が含有しえる、1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン(B1)のシロキサンのユニット数は、特に限定されないが、2つ以上が好ましく、さらに好ましくは、2〜10個である。1分子中のシロキサンのユニット数が少ないと、組成物から揮発しやすくなり、硬化後に所望の物性が得られないことがある。また、シロキサンのユニット数が多いと、得られた硬化物のガスバリア性が低下する場合がある。
【0099】
1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、アリール基を有していることが、ガスバリア性の観点から好ましい。また、アリール基を有する1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、耐熱性、耐光性の観点から、Si原子上に直接アリール基が結合していることが好ましい。また、アリール基は分子の側鎖または末端いずれにあってもよく、このようなアリール基含有ポリシロキサンの分子構造は限定されず、例えば直鎖状、分岐鎖状、一部分岐鎖状を有する直鎖状の他に、環状構造を有してもよい。
【0100】
このようなアリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、3−イソプロピルフェニル基、4−イソプロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、3−イソブチルフェニル基、4−イソブチルフェニル基、3−tブチルフェニル基、4−tブチルフェニル基、3−ペンチルフェニル基、4−ペンチルフェニル基、3−ヘキシルフェニル基、4−ヘキシルフェニル基、3−シクロヘキシルフェニル基、4−シクロヘキシルフェニル基、2,3−ジメチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2,5−ジメチルフェニル基、2,6−ジメチルフェニル基、3,4−ジメチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、2,3−ジエチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2,5−ジエチルフェニル基、2,6−ジエチルフェニル基、3,4−ジエチルフェニル基、3,5−ジエチルフェニル基、ビフェニル基、2,3,4−トリメチルフェニル基、2,3,5−トリメチルフェニル基、2,4,5−トリメチルフェニル基、3−エポキシフェニル基、4−エポキシフェニル基、3−グリシジルフェニル基、4−グリシジルフェニル基等が挙げられる。中でも、耐熱・耐光性の観点から、フェニル基が好ましい例として挙げられる。これらは、単独で用いても良く、2種以上併用して用いてもよい。
【0101】
本発明における1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンとしては、耐熱性、耐光性の観点から、アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサン、分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサン、アルケニル基を2個以上有する環状シロキサンなどが好ましい例として挙げられる。
【0102】
アルケニル基を2個以上有する直鎖状ポリシロキサンの具体例としては、ジメチルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、メチルフェニルシロキサン単位とメチルビニルシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジメチルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリジフェニルシロキサン、ジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリメチルフェニルシロキサンなどが例示される。
【0103】
分子末端にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの具体例としては、先に例示したジメチルビニルシリル基で末端が封鎖されたポリシロキサン、ジメチルビニルシロキサン単位2つ以上とSiO2単位、SiO3/2単位、SiO単位からなる群において選ばれる少なくとも1つのシロキサン単位からなるポリシロキサンなどが例示される。
【0104】
アルケニル基を2個以上有する環状シロキサン化合物としては、1,3,5,7−ビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1−フェニル−3,5,7−トリメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3−ジフェニル−5,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,5−ジフェニル−3,7−ジメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−ビニル−1,3,5−トリフェニル−7−メチルシクロテトラシロキサン、1−フェニル−3,5,7−トリビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3−ジフェニル−5,7−ジビニル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5−トリビニル−1,3,5−トリメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタビニル−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロシロキサン、1,3,5,7,9,11−ヘキサビニル−1,3,5,7,9,11−ヘキサメチルシクロシロキサンなどが例示される。
これら1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
【0105】
<有機化合物(B2)>
本発明の硬化性組成物が含有しえる、有機化合物(B2)は、下記一般式(5)で表される有機化合物であって、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上有する有機化合物であれば特に限定はされない。
【0106】
【化8】
【0107】
(式中R6は炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、それぞれのR6は異なっていても同一であってもよい。)
(B2)成分は、1分子中にアルケニル基を平均して2個以上含有しているため、得られる硬化物の強度やガスバリア性、耐熱性、耐光性等が優れることとなる。また、ガスバリア性の観点から、数平均分子量900未満であることが好ましい。
【0108】
また、(B2)成分の骨格中にアルケニル基以外の官能基を有していても構わないが、多面体構造ポリシロキサンとの相溶性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖上の脂肪族炭化水素系基をはじめとする極性の低い官能基であるほうが好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、特にメチル基が好ましい。
【0109】
(B2)成分は、例えば組成物を基材と硬化させた場合の基材との接着性の観点から、上記一般式(5)で表され、かつ、1分子中にアルケニル基を2個以上含有するイソシアヌル酸誘導体であることが好ましく、さらに耐熱性・耐光性のバランスの観点から、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、ジアリルモノメチルイソシアヌレートを用いることがより好ましく、特に耐冷熱衝撃性の観点からジアリルモノメチルイソシアヌレートがさらに好ましい。これらは、単独で用いても良く、2種類以上併用して用いてもよい。
【0110】
<有機化合物(C)>
本発明における(C)成分は、下記一般式(1)で表される有機化合物であって、かつ、1分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有し、かつ1分子中にグリシジル基を1個以上有する有機化合物であれば特に限定はされない。
【0111】
【化9】
【0112】
(式中R10、R11およびR12は、炭素数1〜50の一価の有機基または水素原子を表し、R10、R11およびR12のうち少なくとも1つはグリシジル基を1個以上有し、かつ少なくとも1つはアルケニル基および/またはヒドロシリル基を1個以上有する。但し、R10、R11およびR12のいずれか1つが、グリシジル基とアルケニル基および/またはヒドロシリル基を同時に有していても構わない。また、R10、R11およびR12は、異なっていても同一であってもよい。)
本発明における(C)成分は、得られる硬化物の強度やガスバリア性、耐熱性、耐光性等の観点から、1分子中にアルケニル基および/またはヒドロシリル基を2個以上含有していることが好ましい。また、(C)成分の骨格中にアルケニル基やヒドロシリル基以外の官能基を有していても構わないが、(A)成分との相溶性との観点から、メチル基、エチル基、プロピル基等の直鎖上の脂肪族炭化水素系基をはじめとする極性の低い官能基であるほうが好ましく、耐熱性、耐光性の観点から、特にメチル基が好ましい。
【0113】
アルケニル基を含有する(C)成分としては、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレート等が例示され、耐熱性・耐光性・ガスバリア性等の観点から、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートが好ましい例として挙げられる。
【0114】
アルケニル基を有する(C)成分の添加量は種々設定できるが、ポリシロキサン系組成物100重量%中に0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜3重量%がさらにより好ましい。添加量が少なすぎると、接着性や耐冷熱衝撃性が改善されず、多すぎると硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
【0115】
ヒドロシリル基を含有する(C)成分としては、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルモノグリシジルモノメチルイソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物と、前述のヒドロシリル基を有する化合物(b)をヒドロシリル化して得られる変性体等が例示され、耐熱性・耐光性・ガスバリア性等の観点から、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートからなる群から選ばれる少なくとも1つの化合物と、前述のヒドロシリル基を有する化合物(b)をヒドロシリル化して得られる変性体が好ましい例として挙げられる。
【0116】
ヒドロシリル基を有する(C)成分の添加量は種々設定できるが、ポリシロキサン系組成物100重量%中に0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましく、0.1〜3重量%がさらにより好ましい。添加量が少なすぎると、接着性や耐冷熱衝撃性が改善されず、多すぎると硬化物の物性に悪影響を及ぼす場合がある。
これらの化合物は単独で用いてもよく、2種類以上併用して用いてもよい。
【0117】
<ヒドロシリル化触媒>
本発明で用いることができるヒドロシリル化触媒としては、通常ヒドロシリル化触媒として公知のものを選択でき、特に制限はない。
【0118】
具体的に例示すれば、白金−オレフィン錯体、塩化白金酸、白金の単体、担体(アルミナ、シリカ、カーボンブラック等)に固体白金を担持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、例えば、Ptn(ViMe2SiOSiMe2Vi)n、Pt〔(MeViSiO)4m;白金−ホスフィン錯体、例えば、Pt(PPh34、Pt(PBu34;白金−ホスファイト錯体、例えば、Pt〔P(OPh)34、Pt〔P(OBu)34(式中、Meはメチル基、Buはブチル基、Viはビニル基、Phはフェニル基を表し、n、mは整数を表す)、Pt(acac)2、また、Ashbyらの米国特許第3159601及び3159662号明細書中に記載された白金−炭化水素複合体、並びにLamoreauxらの米国特許第3220972号明細書中に記載された白金アルコラ−ト触媒も挙げられる。
【0119】
また、白金化合物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh33、RhCl3、Rh/Al23、RuCl3、IrCl3、FeCl3、AlCl3、PdCl2・2H2O、NiCl2、TiCl4、等が挙げられる。これらの触媒は単独で使用してもよく、2種以上併用しても構わない。触媒活性の点から塩化白金酸、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、Pt(acac)2等が好ましい。
【0120】
<硬化遅延剤>
硬化遅延剤は、本発明で用いられる硬化性組成物の保存安定性の改良あるいは、硬化過程でのヒドロシリル化反応性を調整するために用いることができる成分である。本発明においては、硬化遅延剤としては、ヒドロシリル化触媒による付加型硬化性組成物で用いられている公知のものが使用でき、具体的には脂肪族不飽和結合を含有する化合物、有機リン化合物、有機イオウ化合物、窒素含有化合物、スズ系化合物、有機過酸化物等が挙げられる。これらを単独使用、または2種以上併用してもよい。
【0121】
前記の脂肪族不飽和結合を含有する化合物としては、具体的には3−ヒドロキシ−3−メチル−1−ブチン、3−ヒドロキシ−3−フェニル−1−ブチン、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノール等のプロパギルアルコール類、エン−イン化合物類、無水マレイン酸、マレイン酸ジメチル等のマレイン酸エステル類等が例示できる。
【0122】
有機リン化合物としては、具体的にはトリオルガノフォスフィン類、ジオルガノフォスフィン類、オルガノフォスフォン類、トリオルガノフォスファイト類等が例示できる。
【0123】
有機イオウ化合物としては、具体的にはオルガノメルカプタン類、ジオルガノスルフィド類、硫化水素、ベンゾチアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾールジサルファイド等が例示できる。
【0124】
窒素含有化合物としては、具体的にはN,N,N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N,N′,N′−テトラエチルエチレンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン、2,2’−ビピリジン等が例示できる。
【0125】
スズ系化合物としては、具体的にはハロゲン化第一スズ2水和物、カルボン酸第一スズ等が例示できる。
【0126】
有機過酸化物としては、具体的にはジ−t−ブチルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、過安息香酸t−ブチル等が例示されうる。これらのうち、マレイン酸ジメチル、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール、1−エチニル−1−シクロヘキサノールが、特に好ましい硬化遅延剤として例示できる。
【0127】
硬化遅延剤の添加量は、特に限定するものではないが、ヒドロシリル化触媒1モルに対して10-1〜103モルの範囲で用いるのが好ましく、1〜100モルの範囲で用いるのがより好ましい。また、これらの硬化遅延剤は単独で使用してもよく、2種類以上組み合わせて使用してもよい。
【0128】
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤は、本発明の効果を阻害しない範囲において、接着性の改善のために用いることができる成分である。シランカップリング剤としては、分子中に有機基と反応性のある官能基と加水分解性のケイ素基を各々少なくとも1個有する化合物であれば特に限定されない。有機基と反応性のある基としては、取扱い性の点からエポキシ基、メタクリル基、アクリル基、イソシアネート基、イソシアヌレート基、ビニル基、カルバメート基から選ばれる少なくとも1個の官能基が好ましく、硬化性及び接着性の点から、エポキシ基、メタクリル基、アクリル基が特に好ましい。加水分解性のケイ素基としては取扱い性の点からアルコキシシリル基が好ましく、反応性の点からメトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
【0129】
好ましいシランカップリング剤としては、具体的には3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン等のエポキシ官能基を有するアルコキシシラン類:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、メタクリロキシメチルトリエトキシシラン、アクリロキシメチルトリメトキシシラン、アクリロキシメチルトリエトキシシラン等のメタクリル基あるいはアクリル基を有するアルコキシシラン類が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0130】
銀メッキが施されたリードフレームへの着色を防ぐためには、シランカップリング剤の添加量としては、多面体構造ポリシロキサン変性体と1分子中にアルケニル基を2個以上有するポリシロキサンの混合物100重量部に対して、1重量部以下であることが好ましく、0.5重量部以下であることが更に好ましい。
【0131】
接着性を高めるためには、シランカップリング剤の量がある程度の量が必要であり、シランカップリング剤を用いる場合には、0.05〜1重量部であることが好ましく、さらに好ましくは、0.1〜0.5重量部である。添加量が少ないと接着性改良効果が表れず、添加量が多いと硬化物の物性や銀面の着色に悪影響を及ぼす場合がある。
【0132】
本発明においては、接着性付与剤の効果を高めるために、公知の接着性促進剤を用いることができる。接着性促進剤としては、エポキシ含有化合物、エポキシ樹脂、ボロン酸エステル化合物、有機アルミニウム化合物、有機チタン化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0133】
<ポリシロキサン系組成物>
本発明のポリシロキサン系組成物は、(A)成分、(B)成分および(C)成分、また、必要に応じて、ヒドロシリル化触媒、硬化遅延剤等を加えることにより得ることができる。本発明のポリシロキサン系組成物は、液状樹脂組成物として取り扱うことが可能である。液状樹脂組成物とすることにより、型、パッケージ、基板等に、注入あるいは塗布して硬化させることで、用途に応じた成型体を容易に得ることができる。
【0134】
硬化させる際に温度を加える場合は、好ましくは、30〜400℃、さらに好ましくは50〜250℃である。硬化温度が高くなり過ぎると、得られる硬化物に外観不良が生じる傾向があり、低すぎると硬化が不十分となる。また、2段階以上の温度条件を組み合わせて硬化させてもよい。具体的には例えば、70℃、120℃、150℃の様に段階的に硬化温度を引き上げていくことで、良好な硬化物を得ることができ好ましい。
【0135】
硬化時間は硬化温度、用いるヒドロシリル化触媒の量及び反応性基の量、その他、本願組成物のその他の配合物の組み合わせにより適宜選択することができるが、あえて例示すれば、1分〜12時間、好ましくは10分〜8時間行うことにより、良好な硬化物を得ることができる。
【0136】
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて無機フィラーを添加することができる。無機フィラーを用いることにより、得られる成形体の強度、硬度、弾性率、熱膨張率、熱伝導率、放熱性、電気的特性、光の反射率、難燃性、耐火性、およびガスバリア性等の諸物性を改善することができる。
【0137】
無機フィラーは、無機物もしくは無機物を含む化合物であれば特に限定されないが、具体的に例えば、石英、ヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、溶融シリカ、結晶性シリカ、超微粉無定型シリカ等のシリカ系無機フィラー、アルミナ、ジルコン、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化アルミ、炭化ケイ素、ガラス繊維、ガラスフレーク、アルミナ繊維、炭素繊維、マイカ、黒鉛、カーボンブラック、フェライト、グラファイト、ケイソウ土、白土、クレー、タルク、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マンガン、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウム、ケイ酸カルシウム、無機バルーン、銀粉等を挙げることができる。これらは、単独で用いてもよく、2種類以上併用してもよい。
【0138】
無機フィラーは、適宜表面処理をほどこしてもよい。表面処理としては、アルキル化処理、トリメチルシリル化処理、シリコーン処理、シランカップリング剤による処理等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0139】
無機フィラーの形状としては、破砕状、片状、球状、棒状等、各種用いることができる。無機フィラーの平均粒径や粒径分布は、特に限定されるものではないが、ガスバリア性の観点から、平均粒径が0.005〜50μmであることが好ましく、さらには0.01〜20μmであることがより好ましい。同様に、BET比表面積についても、特に限定されるものでないが、ガスバリア性の観点から、70m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、さらに200m2/g以上であることが特に好ましい。
【0140】
無機フィラーの添加量は特に限定されないが、硬化性組成物100重量部に対して、1〜1000重量部、よりこの好ましくは、3〜500重量部、さらに好ましくは、5〜300重量部である。無機フィラーの添加量が多いと、流動性が悪くなる場合があり、無機フィラーの添加量が少ないと、所望の物性が得られない場合がある。
【0141】
無機フィラーを混合する手段としては、特に限定されるものではないが、具体的に例えば、2本ロールあるいは3本ロール、遊星式撹拌脱泡装置、ホモジナイザー、ディゾルバー、プラネタリーミキサー等の撹拌機、プラストミル等の溶融混練機等が挙げられる。無機フィラーの混合は、常温で行ってもよいし加熱して行ってもよく、また、常圧下で行ってもよいし減圧状態で行ってもよい。混合する際の温度が高いと、成型する前に組成物が硬化する場合がある。
【0142】
また、本発明中の硬化性組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを任意で添加することができる。この充填剤用分散剤としては、例えば、ジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどが挙げられる。なお、これら任意成分は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0143】
本発明中の硬化性組成物は、上記した成分をロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどの混練機を用いたり、遊星式攪拌脱泡機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施したりしてもよい。
【0144】
本発明の硬化性組成物を使用した半導体発光装置は従来公知の各種の用途に用いることができる。具体的に、例えば、受発光デバイス液晶表示装置等のバックライト、照明、センサー光源、車両用計器光源、信号灯、表示灯、表示装置、面状発光体の光源、ディスプレイ、装飾、各種ライト等を挙げることができる。
【実施例】
【0145】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものではない。
【0146】
(SiH価)
多面体構造ポリシロキサン変性体0.200g、ジブロモエタン0.200g、重クロロホルム1.000gの混合溶液を作成した。多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH価は、得られた溶液を、バリアン・テクノロジーズ・ジャパン・リミテッド製 400MHz NMRを用いて測定し、下記計算式(1)
SiH価(mol/kg)=[多面体構造ポリシロキサン変性体のSiH基に帰属されるピークの積分値]/[ジブロモエタンのメチル基に帰属されるピークの積分値]×4×[混合物中のジブロモエタン重量]/[ジブロモエタンの分子量]/[混合物中の多面体構造ポリシロキサン変性体重量] (1)
を用いることで算出した。
(LED連続通電試験)
株式会社イーチュン製LEDパッケージ(型番:SMD6721)に、ジェネライツ社製12mil×13mil角 青色LEDチップ(品番:B1213AAA0 S46C−20)を、金ワイヤーとヘンケルジャパン製ダイボンド剤(DX−20C)を用いて実装した。ここにポリシロキサン系組成物を注入し、対流式オーブンで80℃×2時間、100℃×1時間、180℃×1時間熱硬化させてサンプルを作成した。
【0147】
得られた光半導体装置を、大塚電子社製全光束測定(φ300mm)システム(品番:HM−0930)を用いて、温度25℃、電流30mA、待機時間30秒の条件で通電して発光させ、その全光束を測定した(初期全光束)。
【0148】
この光半導体装置をダイセン電子工業製ガラスエポキシ基板(品番:D006)の0.95mmピッチ面に、藤倉化成製導電性ペースト(FA−705BN)を用いて150℃40分加熱して接着し、ADCMT製定電流電源装置6240Aに接続して、恒温恒湿器(ナガノサイエンス製LH43−13M)内に入れ、85℃、相対湿度85%で、500時間・20mAの電流を通電しLED連続通電試験を行った。
【0149】
試験後の光半導体素子を23℃の温度下、積分球を用いた全光束測定装置を用いて電流値20mAの全光束測定を行った(連続通電試験後の全光束)。初期全光束と連続通電試験後の全光束を用いて下記式を用いて全光束保持率を算出した。全光束保持率=(連続通電試験後の全光束/初期全光束)×100である。全光束保持率が80%以上を○、80%未満を×と評価した。
【0150】
また、連続通電試験後、硬化物がパッケージ・リードフレームからの剥離がなければ○、剥離のある場合は×とした。
【0151】
さらに、連続通電試験後、リードフレームまたはリードフレーム近傍の封止樹脂またはリードフレーム近傍のリフレクターに変色が見られた場合には×、変色がみられなかった場合には○とした。
【0152】
(製造例1)
48%コリン水溶液(トリメチル−2ヒドロキシエチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液)1262gにテトラエトキシシラン1083gを加え、室温で2時間激しく攪拌した。反応系内が発熱し、均一溶液になった段階で、攪拌を緩め、さらに12時間反応させた。次に、反応系内に生成した固形物に、メタノール1000mLを加え、均一溶液とした。
【0153】
ジメチルビニルクロロシラン716g、トリメチルシリクロリド516gおよびヘキサン1942mLの溶液を激しく攪拌しながら、メタノール溶液をゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間反応させた後、有機層を抽出、濃縮することにより、固形物を得た。次に、生成した固形物をメタノール中で激しく攪拌することにより洗浄し、ろ別することにより、Si原子16個と、ビニル基4個を有するアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン(Fw=1178.2)を白色固体として601g得た。
【0154】
(製造例2)
製造例1で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン20gをトルエン40gで溶解させ、さらに白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)3.82μLを溶解させた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン40.83g(使用したテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサンのアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基10.0個となる量)とトルエン13.61gの混合溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。この溶液を1H−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物由来のアルケニル基が消失している事を確認した。この溶液からトルエンと未反応成分を留去し、再度、トルエン33gを加えて生成物を溶解させ、さらに、別途準備したビニルジフェニルメチルシラン19.0gをトルエン19.0gに溶解させた溶液をゆっくり滴下し、105℃で2時間反応させた。この溶液を1H−NMR測定すると、ビニルジフェニルメチルシラン由来のアルケニル基のピークが消失している事を確認した。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール7.30μl、マレイン酸ジメチル1.70μlを加え、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体52.0(SiH価1.36mol/kg)を得た。
【0155】
(製造例3)
製造例1で得られたアルケニル基含有多面体構造ポリシロキサン系化合物であるテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサン30gと、ビニルジフェニルメチルシラン31.42g(使用した1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンのヒドロシリル基1個に対し、アルケニル基0.34個となる量)をトルエン120gに溶解させ、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)3.82μLを加えた。このようにして得られた溶液を、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン24.5g(使用したテトラキス(ビニルジメチルシロキシ)テトラキス(トリメチルシロキシ)オクタシルセスキオキサンのアルケニル基1個に対し、ヒドロシリル基4個となる量)とトルエン24.5gの溶液にゆっくりと滴下し、105℃で2時間反応させた。この溶液を1H−NMR測定すると、アルケニル基を有する多面体構造ポリシロキサン系化合物由来のアルケニル基及び、ビニルジフェニルメチルシラン由来のアルケニル基の両方のピークが消失している事を確認した。反応終了後、エチニルシクロヘキサノール7.30μl、マレイン酸ジメチル1.70μlを加え、トルエンを留去することにより、液状の多面体構造ポリシロキサン変性体83.1g(SiH価1.70mol/kg)を得た。
【0156】
(製造例4)
1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン362gとトルエン362gを均一に混ぜて、窒素雰囲気下、105℃で攪拌した。ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート100g、トルエン100g及び白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.049gの混合液を90分かけて滴下し、105℃で4時間反応させた。未反応成分とトルエンを減圧留去することにより1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンとジアリルモノグリシジルイソシアヌレートの反応物(反応物II)を203g(SiH価数7.74mol/kg)得た。
【0157】
(配合例1)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン2.28g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.61μL、エチニルシクロヘキサノール1.17μl、マレイン酸ジメチル0.27μlを加えて均一に混合し撹拌し、配合物を得た。
【0158】
(配合例2)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、ジアリルモノメチルイソシアヌレート1.38g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.57μL、エチニルシクロヘキサノール1.09μl、マレイン酸ジメチル0.25μlを加えて均一に混合し撹拌し、配合物を得た。
【0159】
(配合例3)
製造例3で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン2.85g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.64μL、エチニルシクロヘキサノール1.23μl、マレイン酸ジメチル0.28μlを加えて均一に混合し撹拌し、配合物を得た。
【0160】
(配合例4)
製造例3で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、ジアリルモノメチルイソシアヌレート1.73g、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.59μL、エチニルシクロヘキサノール1.12μl、マレイン酸ジメチル0.26μlを加えて均一に混合し撹拌し、配合物を得た。
【0161】
(実施例1)
配合例1で得られた配合物に、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.25gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0162】
(実施例2)
配合例2で得られた配合物に、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0163】
(実施例3)
配合例3で得られた配合物に、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.26gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0164】
(実施例4)
配合例4で得られた配合物に、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0165】
(実施例5)
配合例4で得られた配合物に、製造例4で得られた反応物0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0166】
(実施例6)
配合例4で得られた配合物に、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、ポリシロキサン系組成物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0167】
(実施例7)
製造例2で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン0.86g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート0.86g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.23gを加えて、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.59μL、エチニルシクロヘキサノール1.12μl、マレイン酸ジメチル0.26μlを加えて均一に混合し撹拌し、ポリシロキサン系配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0168】
(実施例8)
製造例3で得られた多面体構造ポリシロキサン変性体10.00gに、1,5−ジビニル−3,3−ジフェニル−1,1,5,5−テトラメチルトリシロキサン1.08g、ジアリルモノメチルイソシアヌレート1.08g、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート0.24gを加えて、白金ビニルシロキサン錯体のキシレン溶液(白金として3wt%含有する白金ビニルシロキサン錯体、ユミコアプレシャスメタルズジャパン製、Pt−VTSC−3X)0.61μL、エチニルシクロヘキサノール1.16μl、マレイン酸ジメチル0.27μlを加えて均一に混合し撹拌し、ポリシロキサン系配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0169】
(比較例1)
配合例1で得られた配合物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0170】
(比較例2)
配合例2で得られた配合物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0171】
(比較例3)
配合例3で得られた配合物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0172】
(比較例4)
配合例4で得られた配合物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0173】
(比較例5)
配合例1で得られた配合物に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.25gを加えて、均一に混合し攪拌し、配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0174】
(比較例6)
配合例2で得られた配合物に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0175】
(比較例7)
配合例3で得られた配合物に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.26gを加えて、均一に混合し攪拌し、配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0176】
(比較例8)
配合例4で得られた配合物に、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.23gを加えて、均一に混合し攪拌し、配合物を得た。このようにして得られた組成物を用いて、上述の各種評価を行い、その結果を表1に記載した。
【0177】
【表1】
【0178】
表1に示すように、本発明の製造方法を使用した半導体発光装置は、リードフレーム周辺の変色を生じず、リフレクターとの良好な接着性を有する。
【符号の説明】
【0179】
1 LEDチップ
2 リフレクター
3 ポリシロキサン系組成物の硬化物
4 リード
5 ボンディングワイヤ
図1