(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941337
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ロータリー包装装置
(51)【国際特許分類】
B65B 43/50 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
B65B43/50
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-113098(P2012-113098)
(22)【出願日】2012年5月17日
(65)【公開番号】特開2013-237472(P2013-237472A)
(43)【公開日】2013年11月28日
【審査請求日】2015年5月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】龍光寺 淳平
【審査官】
山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】
特開平01−124521(JP,A)
【文献】
実開平04−060811(JP,U)
【文献】
特開平06−156440(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 43/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、袋供給機構によって包装袋を供給する包装袋供給セクション、前記包装袋に印字する印字セクション、袋口を拡開する袋口開セクション、拡開した袋口から被包装物を充填する被包装物充填セクション、を備えたロータリー包装装置において、
前記包装袋供給セクションで供給された空の包装袋と、充填作業でミスが生じて再利用する空の包装袋とを、包装袋供給セクションと印字セクションにおいて、異なる経路で案内するガイドを設けたことを特徴とするロータリー包装装置。
【請求項2】
ガイドは、複数本の棒を上下方向に平行に配置し、前記複数本の棒の下流側は、包装袋の回転軌道の外側と内側に水平方向に離間するように分かれており、前記複数本の棒の上流側は回転軌道の外側に曲げられている、ことを特徴とする請求項1に記載のロータリー包装装置。
【請求項3】
包装袋供給セクションに対応する複数本の棒の部分に、袋供給機構によって供給された空の包装袋を受ける止める受け板を備えていることを特徴とする請求項2に記載のロータリー包装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの外周に一対のクランプアームが複数対軸支されて、包装作業を行うロータリー包装装置において、被包装物の充填作業にミスが生じた場合に、未充填の包装袋を
再利用する機構を備えたロータリー包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図4は特許文献1に開示されたロータリー包装装置の平面図である。この図において、10はロータ、55は一対のクランプアームでロータ10の外周に軸支されている。(A)は袋供給セクションで、袋箱から包装袋13を真空吸盤33で吸着してクランプアーム55のクランプ11に受け渡す。(B)は袋開セクションで、包装袋13の袋口を拡開し、(C)の充填セクションでホッパー14から被包装物を充填する。(D)の袋閉じセクションでは、被包装物が充填された包装袋13の袋口を閉じて、(E)セクションで袋口をシーラ15,16でシールし、搬出セクション(F)ではシールが完了した包装袋13を搬出する。このロータリー包装装置には、充填セクション(C)の後位にセンサー50が設けられており、セクション(C)で充填作業にミスが生じると、包装袋13は空のまま送り出されるので、前記センサー50で被包装物が充填された袋と空袋とを見分けて検出し、その空袋を搬出セクション(F)でクランプ11から排除せず、両セクション(F)(A)で空袋をクランプ11に支持したまま通過させて、そのまま再利用しようとする
ものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−124521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、この種のロータリー包装装置では、(B)の袋開セクションに印字装置(特許文献1には図示されていない)が設けられている。この印字装置は、包装袋13が袋開セクション(B)に到達した直後の袋口の拡開前段階において、包装袋13の表面適所に、例えば、賞味期限や製造年月日、管理記号等を印字する。
図5はその印字装置12の一例を示す側面図であって、通常、ロータ10の外周部の袋開セクション(B)に設けられている。12Aは印字装置12のエアーシリンダを示し、このエアーシリンダ12Aの先端部に印字部12Bが設けられており、この印字部12Bと対向して、印字台12Cが所定間隔を開けて立設している。エアーシリンダ12Aは包装袋13の回転軌道の外側に、印字台12Cは内側に位置し、前記印字部12Bは包装袋の回転軌道の外側と印字台12C側とを往復動する。
【0005】
ところが、特許文献1では、(B)の袋開セクションで袋口が拡開された後、(C)の充填セクションで被包装物の充填にミスが発生し、この充填ミスした未充填の包装袋13を
再利用する場合、袋開セクション(B)では膨らんだ包装袋13が前記印字部12Bと印字台12Cの対向間隔が狭い箇所を再度通過することになる。このため、膨らんだ包装袋13は、印字台12Cや印字部12Bに引っ掛かって傷が付いたり、破損したり、或いは、破損に起因して充填セクションでの被包装物がこぼれ出たりして充填ミスが生じるおそれがある。
【0006】
一般的には、袋開セクション(B)で膨らんだ包装袋13を
再利用する場合に、包装袋13を畳むための装置を設けることが考えられるが、そのような装置は、駆動手段や制御手段などを備えた装置となるので、コストが高くなりあまり好ましくはない。
【0007】
そこで本発明は、充填セクション(C)で充填ミスが発生し、この充填ミスした未充填の包装袋を
再利用する場合、膨らんだ包装袋を畳むための装置を必要としない極めて簡単な機構で、傷や破損の発生およびこれらが起因して生じる充填ミスの確実な防止が可能で安価なロータリー包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のロータリー包装装置は、少なくとも、袋供給機構によって包装袋を供給する包装袋供給セクション、前記包装袋に印字する印字セクション、袋口を拡開する袋口開セクション、拡開した袋口から被包装物を充填する被包装物充填セクション、を備えたロータリー包装装置において、
前記包装袋供給セクションで供給された空の包装袋と
、充填作業でミスが生じて再利用する空の包装袋とを、
包装袋供給セクションと印字セクションにおいて、異なる経路で案内するガイドを設けたことを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、包装袋供給セクションで供給された空の包装袋は、ガイドの一方の経路を通過しながら印字セクションで賞味期限や製造年月日、管理記号等が鮮明に印字された後、袋口開セクションで袋口が拡開され、被包装物充填セクションでは拡開された袋口から被包装物が充填される。
【0010】
一方、被包装物充填セクションで被包装物の充填にミスが発生すると、充填ミスした未充填の包装袋は、
再利用するために充填セクションから下流の複数セクションに向けて間欠移動し、搬出セクションで搬出されることなく、包装袋供給セクションに到達する。包装袋供給セクションに到達した未充填の包装袋は、ガイドの他方の経路により、印字セクションを迂回して被包装物充填セクションに案内されて被包装物が充填される。
再利用する未充填の包装袋は、膨らんだままの状態であるが、印字セクションを迂回することで、対向間隔が狭い印字セクションの通過が回避されるため、印字セクションでの包装袋の傷や破損を確実に防止することができる。しかも、駆動手段や制御手段などを備えた大掛かりな装置を必要としない極めて簡単な機構によって
再利用することが可能となる。
【0011】
本発明のロータリー包装装置のガイドは、複数本の棒を上下方向に平行に配置し、複数本の棒の内、上下位置の棒は下流側に向かって水平方向に離間するように配置されている極めて簡単な機構のガイドによって、包装袋供給セクションで供給された空の包装袋と被包装物充填セクションでの被包装物の充填ミスにより
再利用する包装袋とを、異なる経路で案内することができる。
【0012】
本発明のロータリー包装装置は、ガイドの包装袋供給セクションに対応する位置に、袋供給機構によって供給された空の包装袋を受ける止める鉛直な受け板を備えている。この受け板は、包装袋を袋供給機構からクランプアームに受け渡す際に、空の包装袋が鉛直な受け板に当接することで、回転軌道へ移る際に、包装袋の姿勢を鉛直に保持して印字セクションの通過をスムースにすることができる。さらに、前記受け板によって、複数本の棒を上下方向に間隔を開けて簡単に無理なく設置することが可能になる。さらに、この複数本の棒からなるガイドの上下方向の位置や複数本の棒の間隔や数も容易に変えることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、
充填ミスした包装袋を
再利用する場合、膨らんだ包装袋を畳む必要がないので、駆動手段や制御手段などを備えた大掛かりな装置を必要とせず、極めて簡単な機構によって、無傷の状態で
再利用できる安価なロータリー包装装置を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(実施例1)
図1において、ロータリー包装装置Mは、ロータ1の周縁に2本を一組とする8組のクランプアーム2が支持され、各クランプアーム2は、それぞれの先端に包装袋4の上端両側縁部を挟持するクランプ3を備える。図示していないモータの動力を、間欠回転伝達機構(図示省略)を介してロータ1の中心軸1aに伝えると、ロータ1は8組のクランプアーム2の円周方向間隔に相当する45゜のピッチで反時計まわり(矢印R1)に間欠回転する。なお、本実施例1では、ロータリー式包装装置Mだけで、包装が完結する例を示しているが、本発明はロータリー式包装装置Mで被包装物を充填した後、真空包装機で真空包装するような場合でも適用できるものであり、従って、本発明は以下説明する実施例に限定されるものではない。
【0016】
ロータ1は、空の包装袋4を供給する包装袋供給セクション(1)、包装袋4に賞味期限や製造年月日、管理記号等を印字する印字セクション(2)、包装袋4の袋口開工程を実施する袋口開セクション(3)、被包装物を充填する被包装物充填セクション(4)、包装袋4内に被包装物が充填されているか否かを検知する検知セクション(5)、被包装物が充填されている包装袋の袋口をシーラでシールするシールセクション(6)、包装袋4のシール部を冷却する冷却セクション(7)、包装した包装袋4を搬出する搬出セクション(8)の各セクション(1)〜(8)において所定時間停止する。従って、包装袋供給セクション(1)でクランプアーム2に供給された包装袋4は、その上端両側縁部をクランプ3に挟持された懸垂状態で、45゜のピッチで1ピッチずつロータ1外域の回転軌道Rに沿って搬出セクション(8)に向けて間欠搬送される。
【0017】
図1〜
図3において、包装袋供給セクション(1)には、袋供給機構5が設けられ、この袋供給機構5によって、実線で示す袋箱5Aに積層されている多数の空の包装袋4が上から順に1枚ずつクランプ3に供給され、その上端両側縁部を挟持して懸垂される。
【0018】
袋供給機構5は、積層されている多数の空の包装袋4における最上の1枚の包装袋4の先端部側を吸着して持ち上げる真空吸盤(図示省略)と、持ち上げられた包装袋4の先端部側の中央部を挟持する挟持爪5aと、を備える。挟持爪5aは、レバー5cの先端部に取り付けられ、シリンダー5bによって上下方向に回動する。従って、真空吸盤によって持ち上げられた最上の1枚の空の包装袋4の先端部側は、挟持爪5aによって挟持されて開放状態で待機している一対のクランプ3のレベルまで持ち上げられ、ここで、各クランプ3が閉動することによって、包装袋4はその上端両側縁部がクランプ3に挟持されて懸垂される。
【0019】
印字セクション(2)では、
図5に示すような印字装置6により、例えば、賞味期限や製造年月日、管理記号等が空の包装袋4の表面適所に印字される。印字装置6は、印字部6aと、包装袋4の回転軌道の内側に位置する印字台6bとを備え、エアーシリンダ6cによって印字部6aを印字台6b側に往復動して、包装袋4に印字する。
【0020】
包装袋供給セクション(1)における袋供給機構5とロータ1の間には、取付板20が鉛直姿勢で立設され、この取付板20の表面(袋供給機構5側の面)にエンボス材でできた鉛直な受け板21が取り付けられており、取付板20の裏面(ロータ1側の面)にガイド22が取り付けられている。これにより、ガイド22と受け板21の構造の簡素化が図れる。
【0021】
ガイド22は、包装袋供給セクション(1)と印字セクション(2)の両セクション(1),(2)に対応する5本の丸棒23,24,25,26,27を上下方向等間隔で平行に取付板20の裏面に配置することによって構成されている。そして、1本おきに配置された3本の丸棒23,25,27における包装袋供給セクション(1)と印字セクション(2)に対応する部分の外側を第1経路として、袋供給機構5から取り出された空の包装袋4を案内する。この第1経路の3本の丸棒23,25,27は、包装袋供給セクション(1)に対応する部分が回転軌道Rに位置し、印字セクション(2)に対応する部分が回転軌道Rの外周に位置する。
【0022】
また、残りの2本の丸棒24,26における包装袋供給セクション(1)と印字セクション(2)に対応する部分を第2経路とし、
再利用する未充填の包装袋4を、印字セクション(2)を迂回して袋口開セクション(3)に案内する。このため、第2経路を構成する丸棒24,26の印字セクション(2)に対応する部分がロータ1側に曲げられており、
図1に示すように平面視において、上下位置の丸棒23,25,27と丸棒24,26とは下流側に向かって水平方向に離間するように曲がっている。
【0023】
袋口開セクション(3)では、真空吸盤(図示省略)により包装袋4の表裏両面を吸引、開口するとともに、袋口開セクション(3)と被包装物充填セクション(4)の間を往復動している回動アーム7の先端部側方に設けられた一対のヘラ7a,7aにより袋口が拡開される。この場合、クランプアーム2の円周方向間隔は、袋口の拡開を許容するために僅かに縮小される。
【0024】
被包装物充填セクション(4)には、下側に昇降可能な漏斗8が設置されている。この漏斗が上昇している状態で、空の包装袋4が袋口開セクション(3)から被包装物充填セクション(4)に到達するのに伴って、回動アーム7は一対のヘラ7a,7aにより袋口を拡開したままで被包装物充填セクション(4)まで回動する。ここで漏斗8が下降して袋口に挿入され、所定量の被包装物が漏斗8に投入され空の包装袋4に充填される。この充填の途中で回動アーム7は袋口開セクション(3)に向けて回動復帰する。また、被包装物充填セクション(4)には、振動機構(図示省略)が設けられ、包装袋4は振動機構によって底部が支持された状態で上下に振動する。これにより、被包装物の充填密度が高められることで、所定量の被包装物の充填が完了する。
【0025】
検知セクション(5)にはセンサー9が設けられ、包装袋4が表裏方向に設定値以上に大きく膨らんでいる状態をセンサー9によって検知する。この検知に基づいて、シールセクション(6)では包装袋4の袋口をシーラ10a,10aで加熱シールし、冷却セクション(7)では加熱シールにより温度の上がったシール部を冷却する。搬出セクション(8)では、クランプ3による包装袋4の両側縁部の挟持を解除して搬出コンベアCで搬出する。
以上を順次、実施して包装を完成する。
【0026】
被包装物充填セクション(4)で被包装物の充填にミスが発生すると、充填ミスした未充填の包装袋4は、検知セクション(5)のセンサー9によって表裏方向の膨らみが設定値未満であることから空であることが見分けられ、この検知に基づいて、シールセクション(6)でシールせず、搬出セクション(8)で搬出されることなく
再利用される。当然、包装袋供給セクション(1)では、さらなる空の包装袋4の供給を停止する。
【0027】
包装袋供給セクション(1)に到達した
再利用の包装袋4は、ガイド22により印字セクション(2)の印字部6aと印字台6bとを迂回して、回転軌道Rの内側の第2経路を通過し、袋口開セクション(3)、被包装物充填セクション(4)に順次案内されて被包装物が充填される。
再利用ルする未充填の包装袋4は、膨らんだままの状態であるが、印字セクション(2)の印字部6aと印字台6b間の狭い隙間を通過することがないので、無傷のままで被包装物充填セクション(4)に到達することができる。従って、印字セクション(2)での包装袋4に対する傷や破損並びに損傷に伴う充填ミスを防止することができる。しかも、駆動手段や制御手段などを備えた大掛かりな装置を必要としない極めて簡単な機構によって包装袋4を安全に
再利用することが可能となる。
【0028】
ガイドは、5本の丸棒23,24,25,26,27を上下方向等間隔で平行に取付板20の裏面に配置し、5本の丸棒23〜27の内、丸棒23,25,27で外側の第1経路を構成し、丸棒24,26で内側の第2経路を構成する。印字セクション(2)に対応する丸棒23,25,27の部分は回転軌道Rの外側に、丸棒24,26の部分は内側に湾曲し、丸棒は下流側に向かって水平方向に離間するように配置される。5本の丸棒23,24,25,26,27の上流側の先端部は、全て回転軌道Rの外側に曲げられており、
再利用する
未充填の包装袋4を第2経路に案内する。
【0029】
また、ガイド22の包装袋供給セクション(1)に対応する位置に、袋供給機構5によって供給された空の包装袋4を受ける止める鉛直な受け板21を備えている。この袋供給機構5によって供給される空の包装袋4が鉛直な受け板21に受け止められることで、袋供給機構5から供給され、クランプ3に挟持された包装袋4を安定的な鉛直姿勢で印字セクション(2)側へ移動させることができる。さらに、前記受け板21によって、複数本の丸棒23,24,25,26,27を上下方向に間隔を開けて簡単に無理なく設置することが可能になる。また、受け板21に複数本の丸棒23,24,25,26,27を取り付けることにより、ガイド22の上下方向の位置や間隔や数も容易に変えることができる。
【0030】
なお、ガイド22は丸棒に限定されるものではなく、丸棒に代えて帯板で構成してもよいし、丸棒や帯板ではなく単なる壁に変えてもよい。また、包装袋供給セクションに対応する複数本の棒の部分に、袋供給機構によって供給された空の包装袋を受ける止める鉛直な受け板を備えているが、この受け板は必ずしも必要ではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、被包装物の充填ミスが発生した場合に、
充填ミスした包装袋を
再利用するロータリー包装装置において有用である。
【符号の説明】
【0032】
4 包装袋
5 袋供給機構
6 印字装置
6a 印字部
6b 印字台
20 取付板
21 受け板
22 ガイド
23〜27 複数本の丸棒
(1) 包装袋供給セクション
(2) 印字セクション
(3) 袋口開セクション
(4) 被包装物充填セクション
M ロータリー包装装置