(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
羽根車を駆動するための駆動コイルを収納する凹部、前記凹部の開口を囲む枠部、前記枠部を切り欠いて設けた配線取出口、および、前記配線取出口を介して前記枠部の内側から外側に引き出された配線を載置する配線載置部を備えるケースと、
前記枠部の高さ方向に沿った装着方向から前記ケースに取り付けられ、前記配線載置部との間に前記配線を挟んだ状態で前記配線取出口を封鎖している封鎖部材と、
前記凹部および前記枠部の内側に流し込まれて硬化している封止剤と、を有し、
前記封鎖部材は、前記配線取出口の開口幅よりも幅広であり、幅方向の両端縁に、前記配線取出口を挟んで対向する一対の枠端部分と嵌合する一対の切欠き溝を備えており、
各枠端部分において前記装着方向の前端面の周縁は、面取りが施された第1縁部と、面取りが施されていない第2縁部とを備えており、
前記第1縁部と前記封鎖部材の間には溝が形成され、前記第2縁部と前記封鎖部材とは密着していることを特徴とするカスケードポンプ装置。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態のカスケードポンプ装置を説明する。なお、以下の説明において、説明の便宜上、
図2(a)の上下に従ってカスケードポンプ装置の上下を説明する。また、吸入管および吐出管が突出している側(
図2(a)の右側)をカスケードポンプ装置の前側、その反対側を後側とし、吸入管および吐出管の配列方向を装置幅方向として説明する。また、カスケードポンプ装置を前側から見た場合の左右、すなわち、カスケードポンプ装置を前側から見た場合に吸入管の位置する側を左、吐出管の位置する側を右として、カスケードポンプ装置の左右を説明する。
【0018】
(全体構成)
図1(a)は本発明を適用したカスケードポンプ装置を前方の斜め上から見た斜視図であり、
図1(b)はカスケードポンプ装置を後方の斜め下から見た斜視図である。本形態のカスケードポンプ装置1は冷媒等の液体を圧送する渦流型のポンプである。カスケードポンプ装置1は全体として偏平な四角柱形状のポンプケース2を備えている。ポンプケース2は樹脂製であり、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等からなる。ポンプケース2の前面2aからは吸入管3および吐出管4が前方に向って平行に突出している。ポンプケース2の前面2aと、上から見て前面2aに時計回りの方向で隣接する側面の間の前側左の角部分2bには、ポンプケース2の内側からリード線5を取出すための配線取出部6が設けられている。リード線5は配線取出部6を介してカスケードポンプ装置1の軸線L方向(高さ方向)の途中位置から斜め前方に向かって引き出されている。リード線5の先端にはコネクタ7が取り付けられている。配線取出部6は軸線L方向(装着方向)の上方からポンプケース2に取り付けられた封鎖部材8を備えている。
【0019】
ポンプケース2において配線取出部6と対角に位置する後側右の角部分2cには、
図1(b)に示すように、下ケース11と上ケース12を積層する際にこれらが相対回転することを防止するための回り止め機構9が設けられている。また、ポンプケース2の吸入管3および吐出管4の間には前面2aから突出するケース固定部10が設けられている。ポンプケース2は、上下に積層された下ケース11および上ケース(ケース)12から構成されている。
【0020】
(内部構成)
図2(a)は
図1(a)のX−X線におけるカスケードポンプ装置1の縦断面図である。
図2(a)の断面は後述するロータ16および羽根車18の回転中心を通過している。
図2(b)は後述するシャフト嵌合孔35周辺の部分拡大断面図である。
図3はカスケードポンプ装置1の分解斜視図である。
図4(a)はロータの斜視図であり、
図4(b)はステータの斜視図である。
【0021】
図2、
図3に示すように、下ケース11と上ケース12は軸線Lと直交する方向で部分的に重なる状態で積層されている。下ケース11と上ケース12の間には、吸入管3および吐出管4を除いて、下ケース11と上ケース12によって密閉された区画室15が構成されている。区画室15には、ロータ16と、このロータ16を回転可能に支持するシャフト17が配置されている。ロータ16は外周端部分に環状の羽根車18を備えるとともに、羽根車18よりも内周側に駆動マグネット19を搭載している。ここで、区画室15の外周側部分は環状のポンプ室20となっており、ポンプ室20には羽根車18が挿入されている。
【0022】
下ケース11と上ケース12の間には、区画室15からの流体の漏れを防止するためのOリング21が配置されている。上ケース12の上側、すなわち、上ケース12の区画室15とは逆側(下ケース11とは反対側)には、ステータ22と基板23が搭載されている。ステータ22は、駆動コイル24およびステータコア25を備えている。基板23は、駆動コイル24への給電などを行うためのものであり、駆動コイル24と駆動マグネット19はロータ16(羽根車18)を回転駆動するための磁気駆動機構を構成している。
【0023】
ポンプ室20の底面(下側の面)および天井面(上側の面)には、軸線L回りの所定の角度範囲に渡って液体流路26が形成されている。より詳細には、下ケース11によって規定されているポンプ室20の底面には半円形の断面形状を備える円弧溝からなる下側流体流路26aが形成されており、上ケース12によって規定されているポンプ室20の天井面には半円形の断面形状を備える円弧溝からなる上側流体流路26bが形成されている。これら下側流体流路26aおよび上側流体流路26bは軸線L方向から見たときに重なっている。本例では、液体流路26は軸線L回りの270°を超える角度範囲に渡って形成されている。
【0024】
ポンプ室20において液体流路26の一方の端が位置する下ケース11の部位には吸入管3が連通する吸入口3a(
図5参照)が設けられており、液体流路26の他方の端が位置する下ケース11の部位は吐出管4が連通する吐出口4a(
図5参照)が設けられている。ポンプ室20の底面において、吸入口3aと吐出口4aの間に位置する部分は、下側流体流路26aが設けられていない下側封鎖部27aとなっている。同様に、ポンプ室20の天井面において、吸入口3aと吐出口4aの間に位置する部分は、上側流体流路26bが設けられていない上側封鎖部27bとなっている。
【0025】
シャフト17は、金属製であり、本例ではステンレス鋼からなる。シャフト17の上端部分は上ケース12の中央部分に設けられたシャフト圧入固定孔30に圧入固定されている。より詳細には、上ケース12の中央部分には、筒状の筒部31と、筒部31の上端を閉鎖している底部32を備える中央突出部(支持部)33が設けられており、底部32において筒部31の内側で下方(下ケース11の側)を向いている底面32aの中央にシャフト圧入固定孔30が設けられている。シャフト17はシャフト圧入固定孔30に圧入されて、軸線Lに沿った状態で固定されている。シャフト17がシャフト圧入固定孔30に圧入された状態では、シャフト17の上側の端面とシャフト圧入固定孔30の底面との間には隙間S1が形成されている。
【0026】
シャフト17の下端部分は、下ケース11に設けられたシャフト嵌合孔35に嵌め込まれている。ここで、シャフト嵌合孔35の内径寸法は、シャフト17を圧入によらず受け入れ可能な寸法とされており、シャフト嵌合孔35にシャフト17の下端部分が嵌め込まれた状態では、シャフト嵌合孔35の円形内周面とシャフト17の円形外周面との間には、極僅かなクリアランスが形成される。また、シャフト嵌合孔35にシャフト17の下端部分が嵌め込まれた状態では、シャフト17の下端面とシャフト嵌合孔35の底面との間には隙間S2が形成されている。
【0027】
図2(b)に示すように、シャフト17の下端面の外周縁には全周に渡って面取りが施されている。すなわち、シャフト17の下端面の外周縁には、先端に向かって径寸法が小さくなるテーパー状のシャフト側案内面(第1案内面)36が設けられている。また、シャフト嵌合孔35の開口縁には、上側(上ケース12の側)に向かって径寸法が大きくなるテーパー状の嵌合孔側案内面37が設けられている。ここで、シャフト嵌合孔35の深さ寸法はシャフト圧入固定孔30の深さ寸法よりも浅く、シャフト17においてシャフト圧入固定孔30に圧入される圧入代の寸法N0は、シャフト17においてシャフト嵌合孔35に嵌め込まれる嵌め込み代の寸法N1よりも長く設定されている。なお、シャフト17の長さ寸法は、シャフト17の上端面がシャフト圧入固定孔30の底面に当接した状態となった場合でも、その下端部分をシャフト嵌合孔35に嵌め込むことが可能な長さ寸法である。
【0028】
ロータ16は、PPS等からなる樹脂製であり、
図4(a)に示すように、円盤部40と、円盤部40の上面の中心から上方に突出する円筒状の軸受部41と、円盤部40の上面から上方に突出しており、軸受部41と所定間隔を開けてこの軸受部41を同軸上で包囲している円筒状の円筒部42を備えている。軸受部41と円筒部42の間の所定間隔は、上ケース12を介して、これらの間にステータ22を受け入れることが可能な間隔である。ロータ16は、軸受部41の中心孔にシャフト17が挿入されるとともに、軸受部41が上ケース12の中央突出部33の内側に配置された状態で、シャフト17の軸線L回りに回転可能とされる。ここで、軸受部41と中央突出部33の底部32の間には1枚または複数枚のワッシャー43が挿入されており、このワッシャー43の挿入によって軸線L方向におけるロータ16の位置が調整されている(
図2、
図3参照)。
【0029】
円筒部42の内周面には、円筒状のヨーク44が保持されており、ヨーク44の内周面には円筒状の駆動マグネット19が保持されている。ヨーク44はインサート成形によってロータ16と一体に形成され、駆動マグネット19はヨーク44に接着固定されている。円盤部40において円筒部42よりも外周側の外周部分は羽根車18となっている。なお、下ケース11と上ケース12が積層されて区画室15内にロータ16が配置された状態では、羽根車18は、軸線L方向において、上ケース12のシャフト圧入固定孔30よりも下ケース11のシャフト嵌合孔35に近い側に位置している。
【0030】
羽根車18の外周部分には上下2段に形成された凹部45が周方向に等角度間隔で形成されている。凹部45は円盤部40の上面の周縁を円弧形状に切り欠いて形成された上側凹部46と、円盤部40の下面の周縁を円弧形状に切り欠いて形成された下側凹部47を備えており、周方向で隣接する凹部45の間はそれぞれ半径方向に延びる羽根48となっている。上下方向で隣接する上側凹部46と下側凹部47の間は、周方向に延びて各羽根48の間を上下に区画するリブ49となっている。上側凹部46と下側凹部47とは軸線Lと直交してリブ49を通過する平面に対して対称の形状をしている。
【0031】
ステータ22は、上ケース12の上面の側において、中央突出部33の筒部31の外周側に設けられた環状の凹部であるステータ収納室50に配置される。ステータコア25は、
図4(b)に示すように、環状部51および環状部51から径方向外側に突出する複数の突極52を備えており、駆動コイル24は複数の突極52にそれぞれ巻き回されている。
図2に示すように、各突極52は、中央突出部33の筒部31の外周側に設けられた円筒部75(
図6参照)を介して、区画室15内のロータ16の駆動マグネット19と対峙している。すなわち、上ケース12は、ロータ16とステータ22の間に配置されて、ポンプ室20とステータ22を隔てる隔壁として機能している。
【0032】
ステータコア25は、薄板状の磁性鋼板を型抜きして形成した同一形状の板状コアを複数枚上下方向に積層して構成されており、板状コアの積層方向が軸線L方向となっている。ステータコア25の環状部51の内周面には、軸線Lと直交する断面形状が半円形の3つの内側凹部53が軸線L回りに等角度間隔で形成されている。3つの内側凹部53は同一形状であり、いずれも、軸線L方向に延びている。各内側凹部53は半径方向の深さが一定であり、断面形状は軸線L方向のいずれの位置においても同一である。
【0033】
ここで、上ケース12の中央突出部33の筒部31の外周面には、周方向の一部分から径方向外側に突出する3つ(ステータコア25の内側凹部53と同数)のステータ固定用リブ54が設けられている(
図3、
図6参照)。ステータ固定用リブ54は、軸線Lと直交する断面形状が半円形状であり、シャフト17の軸線L回りに等角度間隔で形成されている。また、3つのステータ固定用リブ54は、同一形状であり、それぞれ、中央突出部33の外周面に沿って軸線L方向に延びているとともに、底部32の側から開口端の側(下ケース11側)に向かって径方向外側および周方向への突出量が増加するテーパー面を備えている。また、中央突出部33の筒部31の外周面には、ステータ固定用リブ54と周方向で異なる位置に、軸線L方向の下方からステータコア25の環状部51に当接してステータコア25を軸線L方向で位置決めする位置決め部55が設けられている(
図2、
図6参照)。
【0034】
ステータコア25は、中央突出部33のステータ固定用リブ54が環状部51の内側凹部53に挿入される状態としてステータ収納室50内に落とし込まれ、しかる後に、各ステータ固定用リブ54の下端部分が環状部51の内側凹部53に圧入されることによって、上ケース12に支持される。また、ステータコア25は、ステータ固定用リブ54が環状部51の内側凹部53内に圧入された後に、位置決め部55に当接して、軸線L方向に位置決めされる。これにより、ステータ22は、中央突出部33において、軸線L方向で底部32とは反対側に位置する下端側部分に固定される。
【0035】
図2に示すように、基板23は、上ケース12の上面において、ステータ収納室50の開口を囲むように設けられた枠部56の内側の空間に配置されている。すなわち、基板23は、中央に開口57を備えており、当該開口57から中央突出部33の底部32の側の端部分を上方に突出させた状態で、上ケース12の上面に設けられた複数の基板載置用突起58に載置されている。基板23が基板載置用突起58に載置された状態では、基板23は枠部56の上側の端面より下方に位置しており、枠部56の上側の端面がカスケードポンプ装置1における上端となっている。基板23におけるステータコア25の側の面にはリード線5が接続されており、リード線5は、配線取出部6を介して、ポンプケース2の外側に引き出されている。
【0036】
ここで、上ケース12のステータ収納室50および枠部56の内側の空間には、
図1に示すように、基板23を覆うまで上方からポッティング剤59が流し込まれており、ステータ22および基板23はポッティング剤59により封止される。ポッティング剤59が基板を覆った状態では、ポッティング剤59の上面は枠部56の上側の端面より下方に位置する。また、ポッティング剤59の上面は後述する封鎖部材8の上面よりも下方に位置する。ポッティング剤59としては、エポキシ系やアクリル系、シリコン系等の絶縁性の樹脂を用いることができる。本例では、ポッティング剤59はポリウレタンであり、枠部56の内側およびステータ収納室50に流し込まれた後に、熱硬化させられている。
【0037】
コネクタ7からリード線5および基板23を介して駆動コイル24に励磁電流が供給されると、ロータ16は軸線L回りに回転する。これにより、液体は吸入管3からポンプ室20内に吸い込まれ、ポンプ室20内で加圧されて、吐出管4から吐出される。なお、本例のカスケードポンプ装置1を駆動するモータ(ロータ16、ステータ22、基板23)は3相ブラシレスモータであり、基板23にはロータ16の駆動マグネット19の位置を検出する図示しない3つのホール素子および駆動コイル24への励磁電流を制御する駆動ICがステータ22の側の面に配置される。ホール素子は、後述する上ケース12の外側環状部78を介してステータ22の上方に配置される。また、基板23のステータ22とは反対側の面(上側の面)には、駆動コイル24のコイル線の端部がハンダ付けで接合されるコイル接合部23aが構成される。駆動コイル24のコイル線は、例えば、基板23の開口57などを介して基板23のステータ22とは反対側に引き出されている。ここで、駆動コイル24に供給される励磁電流の順序を逆にすると、ロータ16が逆方向に回転し、液体を吐出管4から吸入して、ポンプ室20内で加圧して、吸入管3から吐出する。
【0038】
(下ケース)
図5(a)は下ケース11を上方から見た斜視図であり、
図5(b)は下ケース11を下方から見た斜視図である。下ケース11は、底板部61と、底板部61の外周側部分から起立して上方に延びる環状の側壁部62と、これら底板部61および側壁部62によって形成された円形凹部63を備えている。側壁部62を軸線L方向から見た輪郭形状は略矩形であり、下ケース11は軸線L方向から見た平面形状が略矩形となっている。側壁部62は平坦な上端面62aを備えており、この上端面62aは下ケース11の上端面となっている。ポンプ室20は、円形凹部63の周縁に沿って環状に構成される。円形凹部63の円形底面の中央にはシャフト嵌合孔35が設けられている。
【0039】
シャフト嵌合孔35の外周側には環状凹部64がシャフト嵌合孔35と同軸に形成されている。シャフト嵌合孔35と環状凹部64の間は内側環状突出面65となっており、環状凹部64の外周側は外側環状突出面66が形成されている。シャフト嵌合孔35には嵌合孔側案内面37が設けられている。
【0040】
外側環状突出面66には、その周縁に沿ってポンプ室20の底面を構成する下側流体流路26aと下側封鎖部27aが設けられている。外側環状突出面66においてポンプ室20の内側に隣接している環状の端面部分67は、区画室15内に配置されたロータ16の円盤部40と微小なギャップG1を開けて対向する(
図2参照)。環状の端面部分67には、環状凹部64と下側流体流路26aとを連通させる一定幅の溝67aが、180°離れた位置に、2つ形成されている。
【0041】
円形凹部63の上側部分、すなわち、側壁部62の上側部分の内周面には、環状段部68が設けられている。環状段部68は、側壁部62の内周面の軸線L方向の途中位置から半径方向を外側に延びる環状端面68aと、環状端面68aの外周縁から上方に延びる円形内周面68bを備えている。環状段部68は、上ケース12の上端部分に円形凹部63よりも径の大きな円形の凹部を形成している。円形内周面68bの上端開口縁には、上方に向かって径寸法が大きくなるテーパー状の段部側案内面(第2案内面)68cが設けられている。
【0042】
側壁部62の前面からは吸入管3と吐出管4が平行に突出している。側壁部62の吐出管4に隣接する下ケース11の前側左の角部分62bは傾斜面となっており、リード線5を係止するためのフック70が設けられている。側壁部62の後側右の角部分62cには、回り止め機構9を構成する回り止め用凹部69が設けられている。回り止め用凹部69は上端面62aから軸線L方向を下方に窪む凹部である。
【0043】
側壁部62の前面の吸入管3と吐出管4の間からはケース固定部10を構成する下側ケース固定部10aが前方に突出している。下側ケース固定部10aには、軸線L方向に貫通するネジ用貫通孔71が設けられている。また、側壁部62の後側右の角部分62cおよび後側左の角部分62dにも、それぞれ軸線L方向に貫通するネジ用貫通孔71が設けられている。
【0044】
ここで、下ケース11は射出成型品であり、成形時のゲートは、底板部61の下側の中心に設けられている。すなわち、底板部61において、シャフト嵌合孔35とは反対側にゲートが設けられる。従って、シャフト嵌合孔35の中心から樹脂が流れ込むため、シャフト嵌合孔35は寸法精度良く形成される。
【0045】
(上ケース)
図6(a)は上ケース12を上方から見た斜視図であり、
図6(b)は上ケース12を下方から見た斜視図である。上ケース12は、
図6(a)に示すように、中央突出部33と、この中央突出部33と同軸に構成された円筒部75と、中央突出部33の開口端と円筒部75の下端部とを連続させている内側環状部76を備えている。また、上ケース12は、
図6(b)に示すように、円筒部75の外周側で中央突出部33および円筒部75と同軸に構成され、下方に向かって突出している環状突出部77と、円筒部75の上端部と環状突出部77の上端部の間を連続させている外側環状部78と、環状突出部77の上端部から外周側に張り出す張り出し部79を備えている。張り出し部79の上面には枠部56が設けられている。枠部56の上側の端面は平坦であり、カスケードポンプ装置1が取り付けられる相手部材との当接面となる。
【0046】
ステータ22が配置されるステータ収納室50は、中央突出部33、円筒部75、および内側環状部76の下ケース11とは反対側の面によって構成されている。中央突出部33は底部32の側にステータ収納室50の開口から上方に突出する突出部分33aを備えている。円筒部75の半径方向における厚さは中央突出部33の筒部31の厚さと比較して薄く形成されている。張り出し部79は平坦な下端面79aを備えている。
【0047】
環状突出部77は、上方から下方に向かって大径部80と、大径部80よりも外径寸法の小さい小径部81を備えている。環状突出部77の環状下端面(小径部81の先端面)には、径方向の途中位置にポンプ室20の天井面を構成する上側流体流路26bと上側封鎖部27bが形成されている。環状下端面においてポンプ室20の内側に隣接している環状の端面部分77aは、区画室15内に配置されたロータ16の円盤部40と微小なギャップG2を開けて対向する(
図2参照)。また、環状突出部77の大径部80の円形外周面80aの下端縁には、下端に向かって径が小さくなるテーパー状の突出部側案内面(第2案内面)80bが設けられている。ここで、
図2(a)に示すように、環状突出部77(大径部80)は、下ケース11の環状段部68とともに、上ケース12と下ケース11を径方向で位置決めする位置決め機構82を構成している。なお、環状突出部77の大径部80の軸線L方向の高さ寸法(大径部80の嵌め込み代N2)は、シャフト17においてシャフト嵌合孔35に嵌め込まれる嵌め込み代N1よりも長く設定されている。
【0048】
張り出し部79の輪郭形状は略矩形であり、前側左の角部分79bが斜めに切り欠かれている。枠部56は、この切り欠きがある前側左の角部分79bを除き、張り出し部79の外周縁から上方に向かって突出している。前側左の角部分79bでは枠部56は張り出し部79の外周縁からセットバックした位置に設けられており、前側左の角部分79bには、配線取出部6が構成される。配線取出部6の詳細は後述する。
【0049】
張り出し部79の後側右の角部分79cからは、回り止め用凹部69とともに回り止め機構9を構成する円柱形状の回り止め用突起83が下方に突出している。回り止め用突起83の先端面83a(下端面)の外周縁にはアールが施されている。ここで、回り止め用突起83の先端面83aの位置は、軸線L方向において環状突出部77の環状下端面と同じ位置となっている。また、回り止め用突起83の突出寸法は、回り止め用凹部69の深さ寸法よりも短く設定されている。さらに、回り止め用突起83は、この回り止め用突起83が回り止め用凹部69内に挿入されたときに、軸線L回りの周方向では回り止め用凹部69の内周面との間に隙間が形成されず、軸線Lを中心とする半径方向においては、回り止め用凹部69の内周面との間に隙間が形成されるように形成されている。
【0050】
張り出し部79の前面の装置幅方向の中央にはケース固定部10を構成する上側ケース固定部10bが前方に突出している。上側ケース固定部10bには、軸線L方向に窪むネジ孔84が設けられている。また、後側右の角部分79cおよび後側左の角部分79dにも、それぞれ軸線L方向に窪むネジ孔84が設けられている。
【0051】
ここで、上ケース12は射出成型品であり、成形時のゲートは、中央突出部33の中心に設けられる。すなわち、中央突出部33の底部32において、シャフト圧入固定孔30とは反対側にゲートが設けられる。従って、シャフト圧入固定孔30の中心から樹脂が流れ込むため、シャフト圧入固定孔30は寸法精度良く形成される。
【0052】
(ポンプ室の区画形成)
ポンプ室20(区画室15)を区画形成する際には、上ケース12の上下の反転させた状態とし、シャフト17を、上ケース12のシャフト圧入固定孔30に圧入固定する。また、ロータ16を下ケース11の円形凹部63内に配置して、軸受部41にシャフト17を挿入した状態とする。さらに、Oリング21を上ケース12の環状突出部77の小径部81の外周に装着する。この際に、Oリング21には、潤滑剤を塗布しておく。
【0053】
次に、上ケース12の環状突出部77を下ケース11の環状段部68の内側に挿入する。ここで、回り止め機構9の回り止め用突起83の先端面83aは軸線L方向において環状突出部77の環状下端面と同じ位置にあるので、環状突出部77が環状段部68の内側に挿入されるのと同時に、回り止め用突起83は下ケース11に設けられた回り止め用凹部69に挿入される。
【0054】
その後、上ケース12と下ケース11とを更に相対的に接近させて、上ケース12の環状突出部77の大径部80を環状段部68に嵌め込む。これにより、上ケース12の環状突出部77の大径部80の円形外周面80aが、下ケース11の環状段部68の円形内周面68bに当接した状態となり、上ケース12は下ケース11に対して径方向で位置決めされる。ここで、環状突出部77の大径部80の下端縁には突出部側案内面80bが設けられており、環状段部68の円形内周面68bの上端開口縁には段部側案内面68cが設けられているので、環状突出部77を環状段部68の内側に挿入することが容易である。
【0055】
上ケース12と下ケース11が位置決めされると、位置決めの時点から僅かに遅れて、シャフト17の端部分がシャフト嵌合孔35に嵌め込まれる。ここで、シャフト17にはシャフト側案内面36が設けられており、シャフト嵌合孔35には嵌合孔側案内面37が設けられているので、シャフト17のシャフト嵌合孔35への嵌め込みは容易に行われる。
【0056】
しかる後に、下ケース11に上ケース12を更に接近させて、上ケース12の環状突出部77の端面部分77aと下ケース11の環状段部68の環状端面68aとを当接させ、下ケース11の側壁部62の上端面62aと上ケース12の張り出し部79の下端面79aを当接させることにより、上ケース12は下ケース11に対して径方向で位置決めされる。また、Oリング21は、上ケース12の環状突出部77の小径部81下ケース11の円形内周面68bの間で径方向に潰された状態となり、区画室15からの流体の漏れが防止された状態が形成される。これにより、
図2に示すように、下ケース11と上ケース12は積層状態となり、これらの間にポンプ室20(区画室15)が区画される。下ケース11と上ケース12が積層状態となると、シャフト17のシャフト嵌合孔35への嵌め込みは完了し、これにより、シャフト17の軸線は、中央突出部33が同軸状態となり、かつ、ポンプ室20の中心軸線と一致する。
【0057】
その後、下ケース11に設けられたネジ用貫通孔71を貫通して上ケース12に設けられたネジ孔84に螺合する3本の有頭ネジによって、上ケース12と下ケース11が固定される。
【0058】
(配線取出部)
次に、
図1、
図3、
図6、
図7、
図8、
図9を参照して、配線取出部を詳細に説明する。
図7(a)は封鎖部材8を上方から見た斜視図であり、
図7(b)は封鎖部材8を下方から見た斜視図である。
図8は配線取出部6の部分拡大図であり、
図8(a)は配線取出部6からリード線5を引き出す前の状態を示し、
図8(b)は配線取出部6からリード線5を引き出した状態を示し、
図8(c)は封鎖部材8を上ケース12に取り付けて配線取出口を封鎖した状態を示す。
図9は配線取出部6の説明図である。
図9(a)は軸線方向から見た配線取出部6の平面図であり、
図9(b)は
図9(a)のX−X線における断面図であり、
図9(c)は
図9(a)のY−Y線における断面図である。
図9(b)、および
図9(c)では、ポッティング剤59が枠部56の内側およびステータ収納室50に充填された状態を示している。
【0059】
図1に示すように、配線取出部6はポンプケース2の前側左の角部分2b(上ケース12の前側左の角部分79b)に構成されている。上ケース12においてステータ収納室50の開口を囲んで設けられた枠部56は、
図3および
図6に示すように、前側左の角部分79bに位置する部分が一定幅で上端側から矩形に切り欠かれており、この切り欠きがリード線5をポンプケース2の内側から外側に引き出すための配線取出口85となっている。配線取出口85から張り出し部79の外周縁に至る間はリード線5を載せるための配線載置部86が形成されている。配線載置部86を挟んだ両側には、封鎖部材8をケースに固定するための一対の固定用突起87が設けられている。上ケース12における配線取出口85の内周側には、内周側に向かって延びる円弧溝88が形成されている。封鎖部材8はリード線5の引き出し方向と交差する方向であって、枠部56の高さ方向に沿った装着方向(軸線L方向)から上ケース12に取り付けられる。
【0060】
枠部56において、配線取出口85を挟んで対向している一対の枠端部分89の軸線L方向(封鎖部材8の装着方向)の前端面90の周縁91は、
図8に示すように、面取りが施された第1縁部93と、面取りが施されていない第2縁部94を備えている。より詳細には、
図8(a)に示すように、各枠端部分89の前端面90の周縁91は、枠部56の外側の外側周縁部分91a、枠部56の内側の内側周縁部分91b、および、配線取出口85の側の中間周縁部分91cから構成されており、外側周縁部分91a、中間周縁部分91c、および、内側周縁部分91bにおいて中間周縁部分91cに連続する配線取出口85の側の部位は第1縁部93とされている。内側周縁部分91bにおいて、配線取出口85の側とは反対側の部位、すなわち、封鎖部材8がケースに取り付けられたときに当該封鎖部材8の幅方向の端部分と対向する部位は第2縁部94とされている。
【0061】
配線載置部86の上面には、上ケース12の対角線に沿って直線状に延びる円弧状断面の配線保持溝95がリード線5の数に対応する数だけ並列に設けられている。配線保持溝95には、円弧状の内周面に沿って配線保持溝95の延設方向と直行する方向に延びる第1リブ95aおよび第2リブ95bが設けられている。第1リブ95aは一対の固定用突起87の中心を結んだ線上に形成されており、第2リブ95bは一対の枠端部分89を結んだ線上に形成されている。配線保持溝95と円弧溝88は直線上に形成されている。
【0062】
封鎖部材8はPPS等からなる樹脂製の部材である。
図3、
図7、
図8(b)、8(c)に示すように、封鎖部材8は、配線取出口85の開口幅よりも幅広な平面形状をしており、幅方向の一方の縁および他方の縁に一対の切欠き溝100を備えている。一対の切欠き溝100は、同一直線状に配置され、互いに反対側を向いて開口している。一対の切欠き溝100は一対の枠端部分89と嵌合する形状をしている。
【0063】
また、封鎖部材8は、
図7に示すように、一対の切欠き溝100の間および各切欠き溝100の溝幅方向の一方側に厚肉部101を備え、各切欠き溝100の溝幅方向の他方側に軸線L方向(装着方向)の高さが厚肉部101よりも低い一対の薄肉部102を備えている。厚肉部101において、一対の切欠き溝100の間の中央部分101aの下面には配線載置部86の配線保持溝95に対応する円弧状断面の配線押え溝103が形成されている。配線押え溝103は封鎖部材8の幅方向と直行する方向に延びており、配線押え溝103内には、配線保持溝95の第1リブ95aおよび第2リブ95bのそれぞれと対向する位置にリブ103aが設けられている。また、封鎖部材8の溝幅方向の一方側の端部(厚肉部101の端部)は、下方から一定厚さ切り欠かれており、上側に残った板部分が枠部56の内側に配置された基板23を上から押さえるための基板押え部101bとなっている。薄肉部102には、一対の固定用突起87のそれぞれを貫通させるための突起用貫通孔(固定機構)104が設けられている。
【0064】
配線取出口85を介してリード線5をポンプケース2の内側から外側に取り出す際には、
図8(b)に示すように、枠部56の内側に配置した基板23のステータ22側の面から引き出されたリード線5を配線載置部86に配列する。その後、封鎖部材8を軸線L方向から上ケースに接近させて、一対の枠端部分89を封鎖部材8の一対の切欠き溝100に嵌め込むとともに、突起用貫通孔104に固定用突起87を貫通させる。また、封鎖部材8の基板押え部101bによって基板23の外周枠端部分23bを上から押えた状態とする。これにより、リード線5は、配線載置部86の配線保持溝95と封鎖部材8の配線押え溝103の間に挟まれ、更に、配線載置部86の第1リブ95aおよび第2リブ95b並びに封鎖部材8のリブ103aによって被覆が押圧された状態で、固定される。また、封鎖部材8の一対の切欠き溝100が一対の枠端部分89に嵌合して、封鎖部材8が一対の枠端部分89の間(配線取出口85)を隙間なく封鎖する。しかる後に、固定用突起87を熱溶着して封鎖部材8を上ケースに固定すると、リード線5がポンプケース2の軸線L方向の途中位置から引き出された状態が形成される。
【0065】
ここで、封鎖部材8を上ケース12に固定すると、
図8(c)、
図9(a)に示すように、一対の枠端部分89の前端面90の第1縁部93と封鎖部材8の間には溝106が形成される。すなわち、
図9(b)に示すように、第1縁部93が封鎖部材8の厚肉部101の上端面より下方まで延びて、溝106となる。より詳細には、封鎖部材8の厚肉部101の軸線L方向(装着方向)の高さは、カスケードポンプ装置1の軸線L方向の寸法を抑制するために、枠部56から上方に突出しない高さとされているとともに、一対の枠端部分89の間(配線取出口85)を封鎖するために各枠端部分89の高さと同程度の高さ(本例では、枠部56の高さよりも僅かに低い)とされているので、封鎖部材8の切欠き溝100の内壁面部分のうちの厚肉部101の端面と傾斜面である第1縁部93が対向して溝106を形成する。
【0066】
一方、一対の枠端部分89の前端面90の第2縁部94は、
図9(c)に示すように、封鎖部材8を上ケース12に固定すると、封鎖部材8と密着する。従って、各枠端部分89の周囲に形成された溝106は第2縁部94の外周側で塞がれる。より詳細には、各枠端部分89と封鎖部材8の間に形成された溝106は、枠部56の内側と外側を連通させておらず、枠部56の内側の端の溝開口となる部分が第2縁部94によって塞がれる。
【0067】
なお、封鎖部材8の薄肉部102は、封鎖部材8を上ケース12に固定したときに、軸線L方向の高さが各枠端部分89の第1縁部93よりも低い。従って、封鎖部材8の切欠き溝100の内壁面部分のうち薄肉部102の端面は、第1縁部93よりも下方に位置する枠端部分89の外周側の端面に密着している。
【0068】
(ポッティング剤の充填)
配線取出口85が封鎖部材8によって封鎖されると、枠部56の内側およびステータ収納室50には、上方から設定量のポッティング剤59が流し込まれて、充填される。ポッティング剤59の充填高さは、
図9(b)に示すように基板23よりも上方である。これにより、本例では、基板23のコイル接合部23aと駆動コイル24のコイル線の端部の接合部はポッティング剤59に埋設される。また、ポッティング剤59の充填高さは、リード線5が載置された配線載置部86よりも高い位置にある。さらに、ポッティング剤59の充填高さは、枠部56の上端および封鎖部材8の上端よりも低い位置となっている。ポッティング剤59は熱によって硬化され、基板23およびステータ22を封止する。
【0069】
ここで、設定量は、枠部56の内側に充填されるポッティング剤59の充填高さが封鎖部材8の上端(厚肉部101の上端面)に達しない量に制御されている。しかし、ポッティング剤59が枠部56およびステータ収納室50に充填されると、
図9(c)に示すように、配線取出部6から外れた位置では、ポッティング剤59が表面張力によって封鎖部材8の上端よりも上方に位置し、枠部56の上端面の縁部分にまで達してしまうことがある。この場合に、枠端部分89の上端面の周縁91が全周に渡って面取りされた第1縁部93となっていると、第1縁部93と封鎖部材8の間に形成される溝106が枠部56の内側と外側を連通させてしまうので、封鎖部材8の上端面の縁部分に達したポッティング剤59が毛細管現象で溝106を伝わり、外側まで漏れ出すことがある。しかしながら、本例では、枠部56の前端面90の周縁91に第2縁部94を備えており、第2縁部94は封鎖部材8の幅方向の端部分と対向する部位で封鎖部材8と密着して溝106が枠部56の内側に開口することを防いでいる。この結果、ポッティング剤59が溝106に侵入することがなく、ポッティング剤59が溝106を伝わって漏れ出すことがない。
【0070】
(作用効果)
本例によれば、枠部56を切欠いて形成した配線取出口85を封鎖する封鎖部材8を、配線取出口85の開口幅よりも幅広の部材として、幅方向の両端縁に、配線取出口85を挟んで対向する一対の枠端部分89と嵌合する一対の切欠き溝100を備えるものとしたので、封鎖部材8を軸線L方向(装着方向)から枠端部分89に嵌め込むという簡易な作業によって封鎖部材8と配線載置部86との間にリード線5を挟んで配線取出口85を封鎖できる。また、各枠端部分89の装着方向の前端面90の周縁91に面取りが施された第1縁部93を備えているので、封鎖部材8を装着方向から枠端部分89に嵌め込む際に、前端面90の第1縁部93を案内面として封鎖部材8を各枠端部分89に嵌め込むことができる。よって、封鎖部材8による配線取出口85の封鎖が容易となる。
【0071】
また、本例では、枠端部分89の前端面90の周縁91を全周に渡って面取りしておらず、面取りを施さない第2縁部94を残している。この結果、枠端部分89の周りに形成される溝106が、枠部56の内側と外側を連通させないので、枠部56の内側に流し込まれたポッティング剤59が溝106を伝わって外側に漏れ出すことがない。
【0072】
さらに、本例では、基板23およびステータ22をポッティング剤59で封止している。従って、基板23およびステータ22をポンプケース2(上ケース12)に確実に固定することができる。また、ポッティング剤59よって基板23およびステータ22を上ケース12に固定したので、カスケードポンプ装置1のポンプ動作に基板23およびステータ22が共振してノイズを発生させることが抑制される。すなわち、本例のカスケードポンプ装置1では、ポッティング剤59によって基板23を封止しない場合と比較して、3dB〜6dBのノイズの低減が認められる。
【0073】
また、本例では、基板23およびステータ22をポッティング剤59で封止しているので、基板23のコイル接合部23a、ホール素子や駆動ICなどの基板23に搭載された電気部品、および、ステータコア25の錆びを防止できる。
【0074】
さらに、本例では、封鎖部材8に薄肉部102を設け、この薄肉部102に形成した突起用貫通孔104に上ケース12の固定用突起87を貫通させて熱溶着することにより封鎖部材8を上ケース12に固定する固定構造を採用したので、
図9(b)、
図9(c)に示されるように、封鎖部材8を上ケース12に固定するための固定構造が枠部56よりも上方に突出することが回避されている。
【0075】
(その他の実施の形態)
なお、第2縁部94は、第1縁部93と封鎖部材8の間に形成される溝106を分断できる位置であれば、枠部56の前端面90の周縁91のいずれの部位に設けられていてもよい。ここで、第2縁部94が内側周縁部分91bに設けられていれば、ポッティング剤59が溝106を伝わった場合でも、そのポッティング剤59を枠部56の内側で堰きとめることができる。
【0076】
また、ポッティング剤59として、光硬化型樹脂、或いは2液混合型硬化樹脂を用いてもよい。