特許第5941421号(P5941421)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941421
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】緩衝器
(51)【国際特許分類】
   F16F 9/46 20060101AFI20160616BHJP
   F16F 9/34 20060101ALI20160616BHJP
   B62K 25/08 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   F16F9/46
   F16F9/34
   B62K25/08 B
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2013-24556(P2013-24556)
(22)【出願日】2013年2月12日
(65)【公開番号】特開2014-152888(P2014-152888A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2015年8月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】KYB株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067367
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 泉
(74)【代理人】
【識別番号】100122323
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 憲
(72)【発明者】
【氏名】栗田 典彦
【審査官】 鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−304325(JP,A)
【文献】 特開2009−156348(JP,A)
【文献】 特開2010−025232(JP,A)
【文献】 実開平02−016378(JP,U)
【文献】 特開昭51−025675(JP,A)
【文献】 特開平01−317872(JP,A)
【文献】 実開平04−013840(JP,U)
【文献】 米国特許第5219181(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 9/00− 9/58
B62K 25/00−27/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アウターチューブとこのアウターチューブに出没可能なインナーチューブとからなる緩衝器本体と、この緩衝器本体に収容されるシリンダと、上記緩衝器本体に収容されて上記緩衝器本体の伸縮に伴い上記シリンダに出没可能なピストンロッドと、上記シリンダの反ピストンロッド側の内側に起立するベースロッドと、このベースロッドの外周に軸方向に移動可能に取り付けられて上記シリンダ内に作動液が充填される作動液室を区画するフリーピストンと、上記ピストンロッドに保持されて上記作動液室を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、上記ベースロッドに保持されて上記作動液室を上記圧側室と液溜室とに区画するベース部材とを備える緩衝器において、
上記緩衝器本体の外側に配置されハウジング流路が形成されるハウジングと、上記ハウジング流路の一方側に接続されて上記圧側室と連通する第一ホースと、上記ハウジング流路の他方側に接続されて上記液溜室と連通する第二ホースと、上記ハウジングに取り付けられるとともに作動液が上記ハウジング流路通過する際の抵抗を変更するアクチュエータとを備えていることを特徴とする緩衝器。
【請求項2】
上記ベースロッドは、内筒と外筒とを備えて二重管構造を有し、
上記第一ホースは、上記内筒の内側に形成される内筒内流路を介して上記圧側室に連通するとともに、上記第二ホースは、上記内筒と上記外筒との間に形成される内筒外流路を介して上記液溜室に連通していることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
【請求項3】
上記緩衝器本体の一方側開口を塞ぐキャップ部材を備え、
上記キャップ部材は、上記緩衝器本体内に突出する筒状のロッド保持部と、上記緩衝器本体内に突出し上記ロッド保持部の外周に配置される環状のケース部と、上記キャップ部材を軸方向に貫通し上記ロッド保持部の内側に開口する第一キャップ部材通孔と、上記キャップ部材を軸方向に貫通し上記ロッド保持部と上記ケース部との間に形成される環状隙間に開口する第二キャップ部材通孔とを備え、上記環状隙間の緩衝器本体側開口が環状の蓋部材で塞がれており、
上記内筒は、上記ロッド保持部の内周に取り付けられるとともに、上記外筒は、上記ロッド保持部の外周に取り付けられており、上記ロッド保持部の外周若しくは上記外筒の内周に上記内筒外流路と上記環状隙間とを連通する溝が形成されていることを特徴とする請求項2に記載の緩衝器。
【請求項4】
上記ベースロッドは、上記外筒から突出する上記内筒の先端部外周に螺合して外周に上記ベース部材を保持するセンターロッドを備え、上記外筒と上記センターロッドとの間に環状のシート部材が配置されており、
上記内筒内流路は、上記センターロッドの軸心部を貫通するセンターロッド通孔を介して上記圧側室と連通し、
上記内筒外流路は、上記シート部材の内周部に形成される切欠きを介して上記液溜室と連通していることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の緩衝器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、緩衝器の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、緩衝器は、車両、機器、構造物等に作用する振動を減衰させるものである。例えば、特許文献1に開示の緩衝器は、自転車の後輪を懸架するリアクッションユニットに利用されている。そして、このリアクッションユニットは、並列に配置される懸架ばねと緩衝器とを備え、後輪に入力された路面凹凸による衝撃を懸架ばねで吸収し、この衝撃吸収に伴う伸縮運動を緩衝器で抑制する。
【0003】
上記特許文献1に開示の緩衝器は、図3に示すように、車体側に連結されるシリンダ100と、車輪側に連結されてシリンダ100に出没可能なピストンロッド200と、このピストンロッド200の先端に取り付けられて上記シリンダ100内を作動液が充填される伸側室と圧側室とに区画するピストン(図示せず)と、シリンダ100の外側に配置されるタンク700と、このタンク700内を作動液が充填される液溜室L3と気体が封入される気室E1とに区画するブラダ701と、圧側室(図示せず)と液溜室L3とを連通する流路800とを備えている。さらに、上記タンク700には、上記流路800を絞る弁体V6と、この弁体V6を駆動して作動液が上記流路800を通過する際の抵抗を変更するアクチュエータAが取り付けられている。
【0004】
そして、緩衝器の伸縮時に、シリンダ100に出没するピストンロッド体積分の作動液が上記流路800を通過して圧側室(図示せず)と液溜室L3との間を移動するため、緩衝器は、作動液が上記流路800を通過する際の抵抗に起因する減衰力を発生する。さらに、アクチュエータAで弁体V6を回転駆動して流路800の流路面積を変更し、作動液が流路800を通過する際の抵抗を変更することにより、減衰力を高低調整することができる。
【0005】
つまり、上記緩衝器は、シリンダ100の外側に設けられたタンク700内に液溜室L3及び気室E1を形成し、タンク700に弁体V6やアクチュエータAを取り付けることにより、減衰力をアクチュエータAで調整可能にしたとしても、緩衝器が嵩張ることを抑制し、緩衝器の搭載性を良好にすることができる。
【0006】
また、特許文献2に開示の緩衝器は、図4に示すように、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両の前輪を懸架するフロントフォークに利用され、前輪の両側に起立している。そして、上記緩衝器は、アウターチューブとインナーチューブとからなるテレスコピック型の緩衝器本体Tを備えており、この緩衝器本体T内に、車体側に連結されるシリンダ101と車輪側に連結されるピストンロッド(図示せず)を収容している。
【0007】
さらに、上記緩衝器において、液溜室L3がシリンダ101内にフリーピストン400で区画されている。そして、上記緩衝器は、フリーピストン400が所定量後退したとき、シリンダ101に形成される孔102から、シリンダ101内の作動液をシリンダ101の外側に流出させるリリーフ機構を備えている。また、シリンダ101の外側に流出した作動液は、緩衝器本体T内に貯留され、シリンダ101のピストンロッド側から再びシリンダ101内に戻すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−304325号公報
【特許文献2】特開2005−30534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、特許文献2に示すような、リリーフ機構を備える緩衝器においても、減衰力をアクチュエータで調整しようとした場合、緩衝器本体Tの車体側開口を塞ぐキャップ部材900にアクチュエータを取り付ける方法が考えられる。しかしながら、この場合、緩衝器が軸方向に嵩張り、緩衝器の搭載性が悪化する。
【0010】
また、緩衝器本体Tの外側にタンクを設け、フリーピストン400や、液溜室L3をタンク内に移し、タンクにアクチュエータを取り付けた場合、緩衝器が軸方向に嵩張ることを抑制することが可能になるものの、フリーピストン400でシリンダ101外に流出させた作動液をシリンダ101内に戻すことが困難になる。
【0011】
そこで、本発明の目的は、緩衝器がリリーフ機構を備え、緩衝器の減衰力をアクチュエータで調整したとしても、緩衝器の搭載性を良好にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための手段は、アウターチューブとこのアウターチューブに出没可能なインナーチューブとからなる緩衝器本体と、この緩衝器本体に収容されるシリンダと、上記緩衝器本体に収容されて上記緩衝器本体の伸縮に伴い上記シリンダに出没可能なピストンロッドと、上記シリンダの反ピストンロッド側の内側に起立するベースロッドと、このベースロッドの外周に軸方向に移動可能に取り付けられて上記シリンダ内に作動液が充填される作動液室を区画するフリーピストンと、上記ピストンロッドに保持されて上記作動液室を伸側室と圧側室とに区画するピストンと、上記ベースロッドに保持されて上記作動液室を上記圧側室と液溜室とに区画するベース部材とを備える緩衝器において、上記緩衝器本体の外側に配置されハウジング流路が形成されるハウジングと、上記ハウジング流路の一方側に接続されて上記圧側室と連通する第一ホースと、上記ハウジング流路の他方側に接続されて上記液溜室と連通する第二ホースと、上記ハウジングに取り付けられるとともに作動液が上記ハウジング流路を通過する際の抵抗を変更するアクチュエータとを備えていることである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、緩衝器がリリーフ機構を備え、緩衝器の減衰力を手動によらず、アクチュエータで調整したとしても、緩衝器の搭載性を良好にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る緩衝器を部分的に切欠いて示した正面図である。
図2図1の主要部を拡大して示した図である。
図3】従来の緩衝器を部分的に切欠いて示した正面図である。
図4】他の従来の緩衝器の主要部を拡大して示した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の一実施の形態に係る緩衝器について、図面を参照しながら説明する。いくつかの図面を通して付された同じ符号は、同じ部品か対応する部品を示す。
【0016】
図1に示すように、本実施の形態に係る緩衝器Dは、アウターチューブt1とこのアウターチューブt1に出没可能なインナーチューブt2とからなる緩衝器本体Tと、この緩衝器本体Tに収容されるシリンダ1と、上記緩衝器本体Tに収容されて上記緩衝器本体Tの伸縮に伴い上記シリンダ1に出没可能なピストンロッド2と、上記シリンダ1の反ピストンロッド側の内側に起立するベースロッド3と、このベースロッド3の外周に軸方向に移動可能に取り付けられて上記シリンダ1内に作動液が充填される作動液室Lを区画するフリーピストン4と、上記ピストンロッド2に保持されて上記作動液室Lを伸側室L1と圧側室L2とに区画するピストン5と、上記ベースロッド3に保持されて上記作動液室Lを上記圧側室L2と液溜室L3とに区画するベース部材6とを備えている。
【0017】
さらに、上記緩衝器Dは、上記緩衝器本体Tの外側に配置されハウジング流路70が形成されるハウジング7と、上記ハウジング流路70の一方側に接続されて上記圧側室L2と連通する第一ホース8Aと、上記ハウジング流路70の他方側に接続されて上記液溜室L3と連通する第二ホース8Bと、上記ハウジング7に取り付けられるとともに作動液が上記ハウジング流路70を通過する際の抵抗を変更するアクチュエータAとを備えている。
【0018】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態に係る緩衝器Dは、二輪車や三輪車等の鞍乗型車両において、その前輪を懸架するフロントフォークに利用されており、前輪の両側に起立している。さらに、各緩衝器(一方の緩衝器Dのみを図示し、他方の緩衝器を省略する)のアウターチューブt1が車体側ブラケット(図示せず)で連結されて車体の骨格となる車体フレーム(図示せず)に連結されるとともに、各緩衝器Dのインナーチューブt2が車輪側ブラケットBを介して前輪の車軸(図示せず)に連結されている。
【0019】
つまり、本実施の形態のフロントフォークは、倒立型に設定されている。しかし、図示しないが、インナーチューブt2が車体側に連結されるとともに、アウターチューブt1が車輪側に連結されて、フロントフォークが正立型に設定されるとしてもよい。
【0020】
つづいて、上記緩衝器本体Tは、上記したように、アウターチューブt1と、このアウターチューブt1に出没可能なインナーチューブt2とからなり、テレスコピック型となっている。
【0021】
さらに、緩衝器本体Tは、車体側開口がキャップ部材9で塞がれるとともに、車輪側開口が上記車輪側ブラケットBで塞がれている。また、アウターチューブt1とインナーチューブt2の重複部の間に形成される筒状の隙間は、アウターチューブt1の車輪側開口端部内周に保持されてインナーチューブt2の外周面に摺接する環状のシール部材C1,C2で塞がれている。したがって、緩衝器本体T内の気体や作動液が、緩衝器本体T外に漏れ出ないようになっている。尚、本実施の形態において、上記作動液は、油、水、水溶液等の液体からなる。
【0022】
図2に示すように、上記キャップ部材9は、外周に螺子溝が形成される螺子部90と、この螺子部90の中心部分から緩衝器本体T内に突出する筒状のロッド保持部91と、上記螺子部90の外周部分から緩衝器本体T内に突出する環状のケース部92と、キャップ部材9を軸方向に貫通しロッド保持部91の内側に開口する第一キャップ部材通孔93と、同じくキャップ部材9を軸方向に貫通しロッド保持部91とケース部92との間に開口する第二キャップ部材通孔94とを備えている。
【0023】
そして、ロッド保持部91とケース部92との間には、環状隙間95が形成されており、この環状隙間95の緩衝器本体側(図2中下側)開口は、環状の蓋部材96で塞がれている。また、ロッド保持部91は、その先端部が上記ケース部92から緩衝器本体側に突出するとともに、その外周には、軸方向に沿って溝91aが形成されている。そして、この溝91aは、上記環状隙間95に連なっている。
【0024】
さらに、上記第一キャップ部材通孔93の外気側(図2中上側)開口部には、第一ホース8Aの一方端部80が接続され、上記第二キャップ部材通孔94の外気側開口部には、第二ホース8Bの一方端部81が接続されている。また、上記第一ホース8A及び上記第二ホース8Bの他方端部82,83は、緩衝器本体Tの外側に設置されるハウジング7に回転自在に取り付けられるアダプタ72,73に螺合している。
【0025】
そして、上記ハウジング7には、ハウジング流路70が形成されており、このハウジング流路70の一方側に第一ホース8Aが接続され、ハウジング流路70の他方側に第二ホース8Bが接続されている。尚、本実施の形態においては、第一ホース8A及び第二ホース8Bの他方側端部82,83がアダプタ72,73に螺合し、このアダプタ72,73を介してハウジング7に対して回転自在となっているが、第一ホース8A及び第二ホース8Bの一方側端部80,81がアダプタに螺合してキャップ部材9に対して回転自在となっていてもよい。
【0026】
さらに、上記ハウジング7には、ハウジング流路70の内圧を検出する圧力センサKと、ハウジング流路70を絞る弁体V5と、この弁体V5を駆動するアクチュエータAが取り付けられている。また、上記ハウジング流路70の途中に、ハウジング流路70に沿って筒状のケース71が取り付けられている。そして、上記弁体V5は、円錐状の頭部(符示せず)を備えており、この頭部をケース71内に挿入することで、上記頭部とケース71との隙間に周知のオリフィスを形成する。
【0027】
また、上記弁体V5を駆動するアクチュエータAは、周知の比例ソレノイドからなり、コイルに流れる電流の大きさにより弁体V5の位置を制御できる。このため、弁体V5の頭部がケース71内に進入する進入量をアクチュエータAで任意に設定することができ、上記進入量を大きくするとハウジング流路70の流路面積が狭くなり、上記進入量を小さくするとハウジング流路70の流路面積が大きくなる。
【0028】
もどって、上記緩衝器本体T内に収容されるシリンダ1は、図1に示すように、キャップ部材9に連結されるベース側シリンダ10と、このベース側シリンダ10の反キャップ部材側(図1中下側)に連結されるピストン側シリンダ11とからなり、緩衝器本体Tの軸心部に起立している。
【0029】
また、上記シリンダ1の外側には、緩衝器本体Tとの間にリザーバRが形成されている。そして、リザーバRには、作動液が貯留されるとともに、この作動液の液面を介して上側に気体が収容されている。さらに、リザーバRには、緩衝器本体Tを伸長方向に附勢して車体を弾性支持する懸架ばねS3が収容されている。尚、図1に示す懸架ばねS3は、コイルばねからなるが、エアばねからなるとしてもよい。
【0030】
もどって、上記ベース側シリンダ10は、図2に示すように、アウターチューブt1の車体側端部内周に螺合するとともに内側にキャップ部材9が螺合する連結部10aと、この連結部10aの反キャップ部材側(図2中下側)に連なる筒状の大外径部10bと、この大外径部10bの反キャップ部材側に連なり内周が大外径部10bから徐々に縮径されるスロープ部10cと、このスロープ部10cの反キャップ部材側に連なる筒状の小内径部10dと、上記大内径部10bのスロープ部側端部(図2中下端部)に形成されてシリンダ1の内側とリザーバR(シリンダ1の外側)とを連通する孔10eとを備えている。
【0031】
つづいて、上記シリンダ1の反ピストンロッド側の内側に起立する上記ベースロッド3は、キャップ部材9のロッド保持部91に保持されてベース側シリンダ10の軸心部に配置されている。さらに、ベースロッド3は、内筒30と外筒31とを備えて二重管構造を有するとともに、外筒31から突出する内筒30の先端部外周に螺合するセンターロッド32を備えている。そして、上記内筒30の基端部がロッド保持部91の内周に螺合されている。また、上記外筒31とベース部材6との間には、附勢ばねS2が設けられており、外筒31は、この附勢ばねS2の反力でロッド保持部91の外周に保持されている。さらに、上記内筒30の内側には、内筒内流路3aが形成されるとともに、上記内筒30と外筒31との間には、筒状の内筒外流路3bが形成されている。
【0032】
さらに、上記センターロッド32には、軸方向に貫通するセンターロッド通孔3cが形成されており、このセンターロッド通孔3cは、内筒内流路3a及び第一キャップ部材通孔93を介して第一ホース8Aにつながっている。
【0033】
また、内筒30の先端側外周には、環状のシート部材33が取り付けられており、このシート部材33は、外筒31とセンターロッド32との間に配置され、附勢ばねS2の反力で外筒31の先端に押し付けられている。そして、シート部材33の内周部分には、軸方向に貫通する切欠き33aが形成されており、この切欠き33aは、内筒外流路3b、ロッド保持部91の外周の溝91a、環状隙間95及び第二キャップ部材通孔94を介して第二ホース8Bにつながっている。
【0034】
つづいて、上記ベースロッド3の外周に軸方向に移動可能に取り付けられるフリーピストン4は、環状に形成される隔壁部40と、この隔壁部40の外周部分からキャップ部材側(図2中上側)に延びる筒状の延設筒41とを備え、シリンダ1内を作動液が充填される作動液室Lと、気体が封入されるシリンダ内気室Eとに区画している。また、隔壁部40の外周及び内周と、延設筒41の外周には、環状のシールC4,C5,C6が取り付けられており、隔壁部40の外周に取り付けられるシールC4と、延設筒41に取り付けられるシールC6の間にベース側シリンダ10の孔10eが配置されるようになっている。
【0035】
そして、隔壁部40の内周に取り付けられるシールC5は、ベースロッド3における外筒31の外周面に摺接し、フリーピストン4とベースロッド3との間を常に塞いでいる。他方、隔壁部40の外周に取り付けられるシールC4は、ベース側シリンダ10における小内径部10dの内周面に摺接する場合において、フリーピストン4とベース側シリンダ10との間を塞ぐ。しかし、隔壁部40の外周に取り付けられるシールC4は、ベース側シリンダ10におけるスロープ部10cに達すると、フリーピストン4とベース側シリンダ10との間を完全には塞がない。このため、作動液室Lの作動液を、孔10eを介してリザーバR(シリンダ1の外側)に流出させることができる。つまり、本実施の形態において緩衝器Dは、リリーフ機構を備えている。
【0036】
また、延設筒41に取り付けられるシールC6は、ベース側シリンダ10における大内径部10bの内周面に摺接し、フリーピストン4とシリンダ1との間を常に塞いでいる。このため、本実施の形態において、シリンダ内気室Eは、リザーバRと区画されている。しかし、シリンダ内気室EがリザーバRと連通していてもよい。
【0037】
さらに、上記シリンダ内気室Eには、コイルばねからなるリターンばねS1が収容されている。そして、このリターンばねS1は、隔壁部40と蓋部材96との間に介装されてフリーピストン4を作動液室側(図2中下側)に附勢し、フリーピストン4を介して作動液室Lを加圧するとともに、作動液室Lの内圧が下がると作動液室LとリザーバRとの連通を速やかに遮断する。尚、リターンばねS1は、コイルばね以外であってもよく、ゴムや、エアばねからなるとしてもよい。
【0038】
つづいて、図1に示すように、上記緩衝器本体T内に収容されてシリンダ1に出没可能なピストンロッド2は、上記車輪側ブラケットBの底部に起立し、先端側を上記ピストン側シリンダ11の内側に挿入している。さらに、上記ピストンロッド2は、ピストン側シリンダ11の車輪側開口端部に固定される環状のロッドガイドGの軸心部を貫通し、このロッドガイドGで軸方向に移動自在に軸支されている。
【0039】
さらに、ロッドガイドGの内周には、図示しないが、環状に形成されてピストンロッド2の外周面に摺接するシールが取り付けられており、シリンダ1内の作動液がロッドガイドGとピストンロッド2との間からシリンダ1の外側に流出することを防いでいる。
【0040】
つづいて、上記ピストンロッド2に保持されるピストン5は、作動液室Lをピストンロッド側の伸側室L1とピストン側の圧側室L2とに区画する。また、ピストン5には、伸側室L1と圧側室L2とを連通する伸側と圧側のピストン流路51(圧側のピストン流路51のみを図示し、伸側のピストン流路は図示せず)が形成されている。
【0041】
さらに、ピストン5の圧側室側には、図示しない伸側のピストン流路の出口を開閉可能に塞ぐ伸側のリーフバルブV1が積層されており、ピストン5の伸側室側には、圧側のピストン流路51の出口を開閉可能に塞ぐ圧側のリーフバルブV2が積層されている。そして、本実施の形態において、上記伸側のリーフバルブV1は、作動液が図示しない伸側のピストン流路を通過して伸側室L1から圧側室L2に移動することのみを許容し、図示しない伸側のピストン流路を通過する作動液に所定の抵抗を与える伸側減衰弁である。他方、上記圧側のリーフバルブV2は、作動液が圧側のピストン流路51を圧側室L2から伸側室L1に移動することのみを許容し、圧側のピストン流路51を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定される圧側逆止弁である。
【0042】
また、図示しないが、上記ピストンロッド2には、圧側及び伸側のピストン流路を迂回して伸側室L1と圧側室L2とを連通するバイパス流路が形成されている。そして、このバイパス流路には、バイパス流路を絞り、周知のオリフィスを形成するニードル弁が挿入されている。
【0043】
つづいて、ベースロッド3に保持されるベース部材6は、ベースロッド3におけるセンターロッド32の外周に固定されており、作動液室Lをベース部材側の圧側室L2と、ベースロッド側の液溜室L3とに区画する。また、ベース部材6には、圧側室L2と液溜室L3とを連通する伸側と圧側のベース部材流路60,61が形成されている。
【0044】
さらに、ベース部材6の圧側室側には、伸側のベース部材流路60の出口を開閉可能に塞ぐ伸側のリーフバルブV3が積層されており、ベース部材6の液溜室側には、圧側のベース部材流路61の出口を開閉可能に塞ぐ圧側のリーフバルブV4が積層されている。そして、本実施の形態において、上記圧側のリーフバルブV4は、作動液が圧側のベース部材流路61を通過して圧側室L2から液溜室L3に移動することのみを許容し、圧側のベース部材流路61を通過する作動液に所定の抵抗を与える圧側減衰弁であり、附勢ばねS2でベース部材側、即ち、閉じ方向に附勢されている。他方、上記伸側のリーフバルブV3は、作動液が伸側のベース部材流路60を通過して液溜室L3から圧側室L2に移動することのみを許容し、伸側のベース部材流路60を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定される伸側逆止弁である。
【0045】
つづいて、本発明の一実施の形態に係る緩衝器Dの動作について説明する。インナーチューブt2がアウターチューブt1から退出し、ピストンロッド2がシリンダ1から退出する緩衝器Dの伸長時において、ピストン速度が低速領域にある場合、ピストン5に積層された伸側のリーフバルブV1(伸側減衰弁)が開弁しないため、ピストン5で加圧された伸側室L1の作動液がピストンロッド2に形成される図示しないオリフィスを通過して圧側室L2に移動する。
【0046】
さらに、ベース部材6に積層された伸側のリーフバルブV3(伸側逆止弁)が開弁し、シリンダ1から退出したピストンロッド体積分の作動液が伸側のベース部材流路60を通過して液溜室L3から圧側室L2に移動する。
【0047】
そして、ベース部材6に積層された伸側のリーフバルブV3(伸側逆止弁)は、上記したように、伸側のベース部材流路60を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定されているため、緩衝器Dは、主に、ピストンロッド2に形成される図示しないオリフィスの抵抗に起因する減衰力を発生する。
【0048】
また、ピストン速度が高くなり、低速領域を脱して中高速領域に達すると、緩衝器Dの伸長時において、ピストン5に積層された伸側のリーフバルブV1(伸側減衰弁)が開弁し、ピストン5で加圧された伸側室L1の作動液が伸側のピストン流路(図示せず)を通過して圧側室L2に移動する。
【0049】
さらに、ベース部材6に積層された伸側のリーフバルブV3(伸側逆止弁)が開弁し、シリンダ1から退出したピストンロッド体積分の作動液が伸側のベース部材流路60を通過して液溜室L3から圧側室L2に移動する。
【0050】
そして、ベース部材6に積層された伸側のリーフバルブV3(伸側逆止弁)は、上記したように、伸側のベース部材流路60を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定されているため、緩衝器Dは、主に、ピストン5に積層された伸側のリーフバルブV1(伸側減衰弁)の抵抗に起因する減衰力を発生する。
【0051】
他方、インナーチューブt2がアウターチューブt1内に進入し、ピストンロッド2がシリンダ1内に進入する緩衝器Dの圧縮時において、ピストン速度が低速領域にある場合、ピストン5に積層された圧側のリーフバルブV2(圧側逆止弁)が開弁し、ピストン5で加圧された圧側室L2の作動液が圧側のピストン流路51を通過して伸側室L1に移動する。
【0052】
さらに、ベース部材6に積層された圧側のリーフバルブV4(圧側減衰弁)が開弁しないため、シリンダ1内に進入したピストンロッド体積分の作動液が圧側室L2から、内筒内流路3a、第一ホース8A、ハウジング内流路70、第二ホース8B、内筒外流路3bの順に通過して液溜室L3に移動する。
【0053】
そして、ピストン5に積層された圧側のリーフバルブV2(圧側逆止弁)は、上記したように、圧側のピストン流路51を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定されているため、緩衝器Dは、主に、ハウジング内流路70の途中に弁体V5によって形成されるオリフィスの抵抗に起因する減衰力を発生する。
【0054】
また、緩衝器Dの圧縮時おいて、ピストン速度が低速領域にあるときの減衰力(以下、圧側低速減衰力とする)は、圧力センサKで検出された値を基に、アクチュエータAで弁体V5の頭部をケース71に出没させることで調整することができる。
【0055】
例えば、弁体V5の頭部をケース71内に進入させると、ハウジング内流路70の流路面積が狭くなり、作動液がハウジング流路70を通過する際の抵抗を大きくして、圧側低速減衰力が大きくなるように調整できる。また、弁体V5の頭部をケース71から退出させると、ハウジング内流路70の流路面積が広くなり、作動液がハウジング流路70を通過する際の抵抗を小さくして、圧側低速減衰力が小さくなるように調整できる。
【0056】
また、ピストン速度が高くなり、低速領域を脱して中高速領域に達すると、緩衝器Dの圧縮時において、ピストン5に積層された圧側のリーフバルブV2(圧側逆止弁)が開弁し、ピストン5で加圧された圧側室L2の作動液が圧側のピストン流路51を通過して伸側室L1に移動する。
【0057】
さらに、ベース部材6に積層された圧側のリーフバルブV4(圧側減衰弁)が附勢ばねS2の附勢力に抗して開弁し、シリンダ1内に進入したピストンロッド体積分の作動液が圧側のベース部材流路61を通過して圧側室L2から液溜室L3に移動する。
【0058】
そして、ピストン5に積層された圧側のリーフバルブV2(圧側逆止弁)は、上記したように、圧側のピストン流路51を通過する作動液に小さい抵抗しか与えないように設定されているため、緩衝器Dは、主に、ベース部材6に積層される圧側のリーフバルブV4(圧側減衰弁)の抵抗に起因する減衰力を発生する。
【0059】
尚、上記説明において、ピストン速度を低速領域と、中高速領域に分けているが、各領域の閾値は任意に設定することが可能である。
【0060】
また、緩衝器Dの圧縮時において、液溜室L3に作動液が流入し、フリーピストン4が所定量後退すると、フリーピストン4のシールC4がベース側シリンダ10のスロープ部10cに達する。このため、液溜室L3の作動液が上記シールC4とシリンダ1との間を通り、孔10eを介してリザーバRに流出する。しかし、緩衝器Dが伸長を始めると、リターンばねS1の附勢力によりフリーピストン4が前進し、液溜室L3とリザーバRとの連通を速やかに遮断する。
【0061】
また、緩衝器Dの圧縮時において、ロッドガイドGがリザーバR内に貯留された作動液中に没入すると、リザーバRの作動液がロッドガイドGに取り付けられるシール(図示せず)とピストンロッド2の間からシリンダ1内に供給される。
【0062】
以下、本実施の形態の緩衝器Dの作用効果について説明する。本実施の形態に係る緩衝器Dは、アウターチューブt1とこのアウターチューブt1に出没可能なインナーチューブt2とからなる緩衝器本体Tと、この緩衝器本体Tに収容されるシリンダ1と、上記緩衝器本体Tに収容されて上記緩衝器本体Tの伸縮に伴い上記シリンダ1に出没可能なピストンロッド2と、上記シリンダ1の反ピストンロッド側の内側に起立するベースロッド3と、このベースロッド3の外周に軸方向に移動可能に取り付けられて上記シリンダ1内に作動液が充填される作動液室Lを区画するフリーピストン4と、上記ピストンロッド2に保持されて上記作動液室Lを伸側室L1と圧側室L2とに区画するピストン5と、上記ベースロッド3に保持されて上記作動液室Lを上記圧側室L2と液溜室L3とに区画するベース部材6とを備えている。
【0063】
さらに、上記緩衝器Dは、上記緩衝器本体Tの外側に配置されハウジング流路70が形成されるハウジング7と、上記ハウジング流路70の一方側に接続されて上記圧側室L2と連通する第一ホース8Aと、上記ハウジング流路70の他方側に接続されて上記液溜室L3と連通する第二ホース8Bと、上記ハウジング7に取り付けられるとともに作動液が上記ハウジング流路70を通過する際の抵抗を変更するアクチュエータAとを備えている。
【0064】
つまり、本実施の形態においては、緩衝器Dがリリーフ機構を備え、フリーピストン4が所定量後退したとき、シリンダ1内の作動液をシリンダ1外に流出させたとしても、このシリンダ1外に流出した作動液が緩衝器本体T内に貯留される。したがって、シリンダ1外に流出させた作動液をシリンダ1内に容易に戻すことができる。
【0065】
また、上記緩衝器Dは、アクチュエータAで弁体V5を駆動し、ハウジング流路70の流路面積を変更することで、緩衝器Dの減衰力(本実施の形態においては圧側低速減衰力)を手動によらず、アクチュエータAで調整することができる。
【0066】
そして、アクチュエータAは、緩衝器本体Tと第一ホース8A及び第二ホース8Bでつながれたハウジング7に取り付けられており、アクチュエータAを緩衝器本体Tに直接取り付ける必要がない。したがって、緩衝器Dがリリーフ機構を備え、減衰力をアクチュエータAで調整したとしても、アクチュエータAを直接緩衝器本体Tに取り付ける必要がなく、緩衝器Dの搭載性を良好にすることが可能となる。
【0067】
また、本実施の形態において、上記ベースロッド3は、内筒30と外筒31とを備えて二重管構造を有している。そして、上記第一ホース8Aは、上記内筒30の内側に形成される内筒内流路3aを介して上記圧側室L2に連通する。また、上記第二ホース8Bは、上記内筒30と上記外筒31との間に形成される内筒外流路3bを介して上記液溜室L3に連通している。
【0068】
したがって、第一ホース8Aと圧側室L2とを連通させるための構成及び、第二ホース8Bと液溜室L3とを連通させるための構成を簡易にすることが可能になるとともに、ベースロッド3の構成を複雑化させることがない。
【0069】
また、本実施の形態において、緩衝器Dは、上記緩衝器本体Tの車体側(一方側)開口を塞ぐキャップ部材9を備えており、上記キャップ部材9は、上記緩衝器本体T内に突出する筒状のロッド保持部91と、上記緩衝器本体T内に突出し上記ロッド保持部91の外周に配置される環状のケース部92と、上記キャップ部材9を軸方向に貫通し上記ロッド保持部91の内側に開口する第一キャップ部材通孔93と、上記キャップ部材9を軸方向に貫通し上記ロッド保持部91と上記ケース部92との間に形成される環状隙間95に開口する第二キャップ部材通孔94とを備えている。そして、上記環状隙間95の緩衝器本体側開口が環状の蓋部材96で塞がれている。
【0070】
また、上記内筒30は、上記ロッド保持部91の内周に取り付けられるとともに、上記外筒31は、上記ロッド保持部91の外周に取り付けられており、上記ロッド保持部91の外周に上記内筒外流路3bと上記環状隙間95とを連通する溝91aが形成されている。
【0071】
このため、上記第一キャップ部材通孔93に第一ホース8Aを接続することで、第一ホース8Aと内筒内流路3aとを連通することができる。また、上記第二キャップ部材通孔94に第二ホース8Bを接続することで、第二ホース8Bと内筒外流路3bとを連通することができる。したがって、第一ホース8Aと内筒内流路3aとを連通するための構成と、第二ホース8Bと内筒外流路3bとを連通するための構成を簡易にすることができる。
【0072】
また、本実施の形態において、上記ベースロッド3は、上記外筒31から突出する上記内筒30の先端部外周に螺合して外周に上記ベース部材6を保持するセンターロッド32を備えている。そして、上記外筒31と上記センターロッド32との間に環状のシート部材33が配置されている。
【0073】
さらに、上記内筒内流路3aは、上記センターロッド32の軸心部を貫通するセンターロッド通孔3cを介して上記圧側室L2と連通し、上記内筒外流路3bは、上記シート部材33の内周部に形成される切欠き33aを介して上記液溜室L3と連通している。
【0074】
したがって、内筒内流路3aと圧側室L2とを連通させるための構成と、内筒外流路3bと液溜室L3とを連通させるための構成を簡易にすることが可能となる。
【0075】
以上、本発明の好ましい実施の形態を詳細に説明したが、特許請求の範囲から逸脱することなく改造、変形及び変更を行うことができることは理解すべきである。
【0076】
例えば、上記実施の形態において、緩衝器Dは、鞍乗型車両の前輪を懸架するフロントフォークに利用されているが、鞍乗型車両の後輪を懸架するリアクッションユニットや、他の車両用の懸架装置や、懸架装置以外に利用されるとしてもよい。
【0077】
また、上記緩衝器Dは、シリンダ1が車体側に連結されるとともに、ピストンロッド2が車輪側に連結されて倒立型に設定されている。しかし、図示しないが、シリンダ1が車輪側に連結されるとともに、ピストンロッド2が車体側に連結されて、緩衝器が正立型に設定されるとしてもよい。
【0078】
また、上記実施の形態において、アクチュエータAが比例ソレノイドからなる。しかし、アクチュエータAがモータや、リニアアクチュエータであってもよく、手動によらず、アクチュエータAで弁体V5を駆動することが可能な限りにおいて、アクチュエータAの構成は適宜選択することが可能である。
【0079】
また、上記実施の形態において、ハウジング7には、圧力センサKが取り付けられている。しかし、圧力センサKを廃してもよい。
【0080】
また、上記実施の形態において、緩衝器Dは、ハウジング流路70の途中にオリフィスを形成する弁体V5を備え、この弁体V5をアクチュエータAで駆動することにより、圧側低速減衰力を調整している。しかし、ベース部材流路60,61を廃してハウジング流路70と並列に流路を設け、この流路の途中に伸側逆止弁(V3)や圧側減衰弁(V4)を設け、伸側逆止弁や圧側減衰弁を上記アクチュエータAで操作するとしてもよい。
【0081】
また、上記実施の形態において、ピストン5にリーフバルブからなる伸側減衰弁や圧側逆止弁が積層され、ベース部材6にリーフバルブからなる伸側逆止弁や圧側弁が積層されている。しかし、ピストン5やベース部材6に積層されるバルブの種類は上記の限りではなく、適宜変更することができる。
【0082】
また、上記実施の形態において、ロッド保持部91の外周に内筒外流路3bと環状隙間95とを連通する溝91aが形成されている。しかし、図示しないが、外筒31の内周に上記溝が形成されるとしてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態において、ベースロッド3が内筒30、外筒31及びセンターロッド32を備えており、センターロッド32の外周にベース部材6が保持されている。しかし、図示しないが、上記センターロッド32を廃し、上記内筒30の外周にベース部材6を保持させるとしてもよい。
【0084】
また、ハウジング流路70の構成や形状、第一ホース8Aと圧側室L2とを連通するための構成、第二ホース8Bと液溜室L3とを連通するための構成は、上記の限りではなく、適宜選択することが可能である。
【符号の説明】
【0085】
A アクチュエータ
D 緩衝器
L 作動液室
L1 伸側室
L2 圧側室
L3 液溜室
T 緩衝器本体
t1 アウターチューブ
t2 インナーチューブ
V5 弁体
1 シリンダ
2 ピストンロッド
3 ベースロッド
3a 内筒内流路
3b 内筒外流路
3c センターロッド通孔
4 フリーピストン
5 ピストン
6 ベース部材
7 ハウジング
8A 第一ホース
8B 第二ホース
9 キャップ部材
30 内筒
31 外筒
32 センターロッド
33 シート部材
33a 切欠き
70 ハウジング流路
91 ロッド保持部
91a 溝
92 ケース部
93 第一キャップ部材通孔
94 第二キャップ部材通孔
95 環状隙間
96 蓋部材
図1
図2
図3
図4