【課題を解決するための手段】
【0014】
早過ぎる放出に対する耐性を促進する本発明の特徴は、動作可能である位置までこれを移動させるのにかなりの力を必要とするアクチュエータボタンである。この第1の移動は、エアゾールディスペンサの内容物の放出を生ずる移動から独立していることが不可欠である。
【0015】
本発明の第1の態様では、その頂部で中央にディスペンシングバルブが装着されている手持ち式エアゾール容器のためのアクチュエータにして、
(i)容器に取り付けることができ、スプレーが方向付けられ得るスプレー開口を画定する側壁とスプレー流路が通過するギャップを画定する上壁とを備え、前記ギャップがスプレー流路の横移動を制限する、カップ形状のオーバーキャップと、
(ii)バルブに流体連結しており、オーバーキャップの側壁のスプレー開口を通してスプレーするのに適応している、スプレー流路と、
(iii)そこからキールが垂れ下がるフィンガーパッドを備え、作動がボタンの第1のスライド移動とボタンの第2の押し下げ移動とを必要とし、ボタンのフィンガーパッドから垂れ下がったキールがスプレー流路を押し下げることができ、スプレー流路がボタンの第1のスライド移動の後にバルブを押し下げることができるが前記第1のスライド移動の前ではない、アクチュエータボタンと、
を備える前記アクチュエータであって、
アクチュエータボタンは、独立した第2の押し下げ移動が関連するディスペンサの内容物の放出を生ずる配向にこれを動かす別個の第1のスライド移動を有すること、およびアクチュエータボタンの第1のスライド移動に必要とされる力が少なくとも5Nであることを特徴とする、アクチュエータが提供される。
【0016】
本発明の第2の態様では、本発明の第1および第2の態様によるアクチュエータの使用を含む、人体に化粧用エアゾール組成物を塗布する方法が提供される。
【0017】
この説明を通じて、「一番上の」、「より上の」、「垂直の」、および「水平の」などの配向用語は、
図1に示されるように、直立したエアゾール容器の頂部に着座した、その「使用中」位置のアクチュエータを指していることを理解されたい。
【0018】
用語「垂れ下がる」は、他のものから下方に突出するフィーチャを指すことを理解されたい。
【0019】
用語「横の」は、前々回のパラグラフで説明したように配向される場合にアクチュエータの垂直軸にほぼ直交する平面を指すことを理解されたい。
【0020】
アクチュエータの垂直軸は、その主軸として考えられることができ、用語「水平の」は、この軸に直交する平面を指している。
【0021】
用語「前部の」は、水平面を基準としており、スプレー開口に向かってであることを理解されたく、「後部の」は、そこから離れていることを理解されたい。
【0022】
横移動要素を有するアクチュエータボタンの使用によって機能するエアゾールアクチュエータは、これらが取り付けられる必要があるエアゾール容器のバルブ、特にバルブステムに対して直接的にも間接的にも横圧を加える傾向がある。これは、チルトバルブについては完全に受け入れられるが、下方へ押圧されることによって作動するバルブは、この種の横圧によって損傷される場合があり、この出来事を回避することが望ましい。本発明は、下方へ押圧されることによって作動するバルブについて使用されることが最も有利である。
【0023】
さらに、エアゾールアクチュエータは、ディスペンサの内容物の早過ぎる放出を生じ得ないことが望ましい。
【0024】
本発明は、第2の押し下げ移動が関連するディスペンサの内容物の放出を生ずる配向に動かすアクチュエータボタンの別個の第1のスライド移動を有するアクチュエータを提供することによって上記の要望を扱うものである。これらの移動を独立したものにしておくことによって、バルブステムに対する横方向の力が最小にされ、早過ぎる放出を回避するための手段が提供される。
【0025】
好ましい実施形態では、アクチュエータボタンのスライド移動は、戻し機構を有さず、すなわち、いったんアクチュエータボタンがその作動位置までスライドされると、これはそこに留まる。このフィーチャは、ディスペンサの次の使用時に作動できるようにボタンを前方にスライドさせる必要性を回避するという利点がある。
【0026】
早過ぎる放出の回避は、アクチュエータボタンの第1のスライド移動のために適切な最小限の力を設定することによって強化され、これは、その作動不能位置からその作動位置までアクチュエータボタンを移動させる。この力は、少なくとも5N、好ましくは少なくとも10N、より好ましくは少なくとも15Nである。言及したより大きな力は、特に、ディスペンサの組み立て中に偶然の放出を回避するのに適切である。
【0027】
バルブステムに対する横方向の力は、固定プラットフォームにおいてギャップまたは開口を通してこれを通過させることによってさらに最小限にされ、ギャップまたは開口は、通常、ぴったり合いまたはきちんと納まる。固定プラットフォームは、アクチュエータのオーバーキャップの上壁である。
【0028】
スプレー流路の横移動は、アクチュエータボタンが作動される方向に制限されることが特に重要であり、これは、通常、スプレー開口に向かう方向およびこれから遠ざかる方向にある。
【0029】
これがギャップを通過する点での前後方向のスプレー流路の幅は、一般的には、前記点での前後方向のギャップの幅の少なくとも90%、より一般的には少なくとも95%、最も好ましくは少なくとも98%を占める。
【0030】
上壁のギャップは、スプレー流路を完全に取り囲む開口であることが好ましい。開口は、円形横断面を有することが好ましい。上壁のギャップが円形横断面の開口である場合には、これが開口を通過する点でのスプレー流路の断面積は、一般的には、前記点での開口の断面積の少なくとも95%、より一般的には少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも99%を占める。
【0031】
スプレー流路がギャップまたは開口を通過する「点」は、その「静止した」状態のアクチュエータと関連し、好ましくは、またスプレー流路がその完全に押し下げた状態にある時のアクチュエータにも関連することを理解されたい。
【0032】
本発明のある実施形態では、また、スプレー流路の回転移動も制限される。この種の実施形態は、望ましくは作動の追加のロバスト性を有する傾向がある。
【0033】
本発明の好ましい実施形態では、アクチュエータボタンは、オーバーキャップの上壁と関連する。この位置では、アクチュエータは、特に良好な人間工学、すなわち使い易さを有する。
【0034】
アクチュエータボタンがオーバーキャップの上壁と関連する場合には、その第1の位置からその第2の位置までのアクチュエータボタンの移動はスプレー開口に向かう方向にあることが好ましい。
【0035】
本発明は、傾斜したアクチュエータボタンを有するアクチュエータで使用するのに特に適しており、より詳細には前記アクチュエータボタンを支持するオーバーキャップの上壁の傾斜したセグメントに配置される場合に特に適している。オーバーキャップの上壁の傾斜したセグメントは、水平面から好ましくは10°から50°までにおいて、およびより好ましくは水平面から25°から40°までにおいて上方に傾斜される。
【0036】
キールは、通常、中央ゾーンでフィンガーパッドから垂れ下がる。これは、後部から前部へ先細になる、すなわち後部でより深い、プロファイルの楔形の下面を有することが望ましい。
【0037】
好ましい実施形態では、キールは、ボタンがアクチュエータボタンのフィンガーパッドから垂れ下がり、かつ上壁の上面から立ち上がる突出部分と相互に作用する突出部分によってその作動不能位置にある場合、スプレー流路を押し下げることを阻まれる。2つの組のこの種の突出部分があることが好ましい。
【0038】
より好ましい実施形態では、先行するパラグラフで述べられた垂れ下がる突出部分または複数の突出部分は、アクチュエータボタンがその作動位置にある場合に上壁の上面から立ち上がる突出部分または複数の突出部分を通り過ぎて下方にスライドすることができる。
【0039】
好ましい実施形態では、オーバーキャップは、エアゾール容器の頂部の適切な場所にロック可能である。これは、オーバーキャップの底部の内側縁部の周りのビーディング、およびエアゾール容器の頂部に向かう関連する溝によって実現され得る。オーバーキャップをエアゾール容器の頂部の適切な位置に「ロック」させることによって、動作のロバスト性が改善される。
【0040】
本発明により使用されるスプレー流路は、アクチュエータが使用される容器のバルブに流体連結している。これは、通常、互いにおよびバルブに流体連結している2つのセグメントを備える。通常、スプレー流路は、アクチュエータが使用されるエアゾール容器の頂部でバルブのバルブステムの頂部に嵌合するように設計される垂直セグメントを有する。作動時には、キールがこの垂直セグメントの頂部を押さえつけることが通常である。
【0041】
スプレー流路は、通常、垂直セグメント、および前記垂直セグメントに対してある角度をなすセグメントを備え、2つのセグメントは、流体連結している。セクションの間の角度は、通常、100°から130°、好ましくは110°から120°である。このパラグラフで述べたフィーチャは、アクチュエータの使用の人間工学を促進するように、傾斜したセグメント(上を参照されたい)を有するオーバーキャップの上壁と共に働く。
【0042】
アクチュエータは、通常、プラスチックから、最も一般的には射出成形を必要とする方法によって作られる。スプレー流路およびオーバーキャップは、ポリプロピレンで作られ得る。アクチュエータボタンの大部分は、アセタール共重合体から調製されることができるが、アクチュエータボタンの上面は、把持力を高めるために熱可塑性エラストマーで作られることが好ましい。
【0043】
アクチュエータ用のエアゾール容器は、人体の表面に塗布するための化粧用組成物を含むことが好ましい。この種の使用およびこの種の組成物の場合、本発明の人間工学およびロバスト性の利点が特に有利である。
【0044】
アクチュエータ用の容器は、通常、ブリキ板またはアルミニウムで作られる。
【0045】
次に述べる特定の実施形態に関して説明されるフィーチャは、上記で与えられ、かつ/または特許請求の範囲で与えられるような包括的な説明の中に独立して組み込まれ得る。