(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941479
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】電気器具、モータ又は固定子
(51)【国際特許分類】
H02K 1/06 20060101AFI20160616BHJP
H02K 21/22 20060101ALI20160616BHJP
H02K 1/18 20060101ALI20160616BHJP
D06F 37/22 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
H02K1/06 Z
H02K21/22 M
H02K1/18 C
D06F37/22
【請求項の数】38
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2013-546059(P2013-546059)
(86)(22)【出願日】2011年12月20日
(65)【公表番号】特表2014-506446(P2014-506446A)
(43)【公表日】2014年3月13日
(86)【国際出願番号】NZ2011000266
(87)【国際公開番号】WO2012087156
(87)【国際公開日】20120628
【審査請求日】2014年11月13日
(31)【優先権主張番号】61/426,434
(32)【優先日】2010年12月22日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】592060329
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル アプライアンシーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103609
【弁理士】
【氏名又は名称】井野 砂里
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(72)【発明者】
【氏名】ダンカン ジェラルド ディヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】バーナンド ケリン エドマンド
(72)【発明者】
【氏名】ヒル グレゴリー ポール
【審査官】
小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第98/000902(WO,A1)
【文献】
特開平04−295265(JP,A)
【文献】
特開2007−049859(JP,A)
【文献】
特開平09−172762(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/06
D06F 37/22
H02K 1/18
H02K 21/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯機で使用されるモータであって、
固定子であって、
磁気的に透過性の材料から成るコアを有し、前記コアは、直径120mm〜直径250mmの内周及び5mm〜15mmの環状リング、前記環状リングの前記内周に沿って間隔を置いて設けられた27個の放射状に延びる磁極を含み、前記磁極は、15mm〜40mmの距離にわたって前記環状リングから外方に延び、
3相巻線を有し、各巻線は、コア磁極のうちの1/3に設けられた複数個のコイルを含み、前記巻線は、各コア磁極がたった1つの巻線と関連するよう前記コア磁極上に配置され、前記たった1つの巻線は、2つのすぐ隣り合うコア磁極の各々と関連した巻線とは異なっており、前記2つのすぐ隣り合うコア磁極は、別々の巻線と関連しており、
前記コア磁極を前記巻線から絶縁する絶縁体と、を備える固定子と、
前記固定子と同軸の回転子であって、外側に設けられ前記固定子の外側に設けられた永久磁石リングと、前記固定子の磁極の端に対向する回転子磁極とを有する回転子とを備え、前記回転子の磁極対前記固定子の磁極の比が4:3である、
ことを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記コアの深さは、10mm〜35mmである、
請求項1記載のモータ。
【請求項3】
前記環状リングは、少なくとも大部分が絶縁体によって包み込まれている、
請求項1又は2記載のモータ。
【請求項4】
前記コア磁極及び前記環状リングを覆う前記絶縁体は、複合成形プラスチック材料である、
請求項3記載のモータ。
【請求項5】
前記環状リングの前記内周の前記直径は、150mm〜230mmである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項6】
前記環状リングの前記内周の前記直径は、200mm〜220mmである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項7】
前記環状リングの前記幅は、5mm〜10mmである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項8】
前記環状リングの前記幅は、7mm〜10mmである、
請求項1〜4のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項9】
前記環状リングの深さ又は厚さは、12mm〜15mmである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項10】
前記環状リングの深さ又は厚さは、17mm〜23mmである、
請求項1〜8のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項11】
前記コアは、積層板から成る少なくとも1つのスタックを含み、各積層板は、前記環状リングの平面に実質的に平行な平面内に位置している、
請求項1〜10のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項12】
1つ又は複数の前記積層板スタックは、鋼ストリップの螺旋コイルで形成されたスタックを含み、該スタックの各層は、前記螺旋中のターンを構成している、
請求項11記載のモータ。
【請求項13】
前記鋼ストリップは、前記環状リングを形成しているバンド及び前記コア磁極を形成している延長部分を有する、
請求項12記載のモータ。
【請求項14】
1つ又は複数の前記積層板スタックは、端部のところで互いに接合された多数のスタックから成り、各スタックは、前記環状リングのセグメント及び1つ又は2つ以上の延長磁極を含む、
請求項11記載のモータ。
【請求項15】
前記環状リングの各セグメントは、当接端部のところの相互係止成形部によって前記環状リングの隣接のセグメントに接合されている、
請求項14記載のモータ。
【請求項16】
各セグメントは、複数個の半径方向に延びるコア磁極を含む、
請求項14又は15記載のモータ。
【請求項17】
前記コアは、6個のスタックを有し、3個のスタックは各々、5個の半径方向に延びるコア磁極を有し、3個のスタックは各々、4個の半径方向に延びるコア磁極を有する、
請求項16記載のモータ。
【請求項18】
前記固定子は、前記固定子を機械に取り付けるための複数個の締結部位を有し、各締結部位の中心は、前記コアの前記環状リングの内面の半径方向内側に所与の距離を置いたところに位置し、該距離は、コア磁極が前記環状リングの外面を超えて延びる長さよりも長い、
請求項1〜17のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項19】
前記固定子を前記機械に締結するための前記締結部位は、前記固定子の中心から40mmを超える距離に中心を有する、
請求項18記載のモータ。
【請求項20】
前記締結部位は、前記固定子の中心から40mm〜80mmの距離に位置している、
請求項19記載のモータ。
【請求項21】
前記締結部位は、前記固定子の中心から50mm〜75mmの距離に位置している、
請求項19記載のモータ。
【請求項22】
前記締結部位は、前記固定子の中心から60mm〜70mmの距離に位置している、
請求項19記載のモータ。
【請求項23】
前記固定子は、前記環状リングの周囲内の領域を占めるよう前記環状リングから内方に延びるダイヤフラム部分を有し、該ダイヤフラム部分は、前記締結部位を有する、
請求項19〜22のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項24】
前記締結部位は、前記ダイヤフラムを貫通して設けられた孔から成る、
請求項23記載のモータ。
【請求項25】
前記ダイヤフラム部分は、環状であり、前記ダイヤフラム部分は、前記環状リングと前記締結部位の内方に間隔を置いて設けられた円形の孔との間の領域を占めている、
請求項23又は24記載のモータ。
【請求項26】
前記ダイヤフラムは、前記締結部位と前記環状リングとの間の区域内に少なくとも1つの実質的に切頭円錐形の表面を有する、
請求項23〜25のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項27】
前記ダイヤフラムは、前記締結部位と前記環状リングとの間に位置する少なくとも2つの実質的に切頭円錐形の部分を有し、前記切頭円錐形部分は、前記固定子の一方の側から見て円形隆起部を形成し前記固定子の他方の側から見て谷部を形成するよう互いに接合されている、
請求項26記載のモータ。
【請求項28】
前記隆起部又は前記谷部の高さは、前記環状リングの高さよりも低い、
請求項27記載のモータ。
【請求項29】
前記回転子は、
2つの側縁部を備えた複数個の磁石要素を有し、各磁石要素は、ドメイン整列パターンを形成するよう異方性的に整列した磁気ドメインを備え、前記複数個の磁石は、内側フェース及び外側フェースを備えた永久磁石リングを形成するよう配置され、
前記磁石要素を前記リング構造体中に保持する剛性支持体を有し、
各磁石要素の前記磁気ドメイン整列パターンは、前記磁石要素の少なくとも一部分をその側縁部相互間で実質的に連続的に横切って、前記磁石要素の磁極に主要半径方向成分を有する向きから前記磁石要素の1つの側縁部のところの少なくとも幾分かの接線方向成分を有する向きまで変化する向きを有し、前記磁石要素は、結果として生じる磁束場を生じさせるよう磁化されている、
請求項1〜28のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項30】
前記磁石要素のうちの1つ又は2つ以上は、各側縁部と前縁部との交差部に面取り部を有し、前記前縁部は、前記回転子の前記内側フェースに位置した縁部である、
請求項29記載のモータ。
【請求項31】
前記磁気ドメイン整列パターンの向きは、両方の側縁部に相当大きな接線方向成分を有し、該接線方向成分の結果として、前記磁気ドメイン整列パターンは、前記側縁部に対して少なくとも15°の向きを有する、
請求項29又は30記載のモータ。
【請求項32】
前記向きは、前記磁石要素全体にわたって実質的に非線形的に変化している、
請求項29〜31のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項33】
前記結果としての磁束場は、前記リングの周りに間隔を置いて位置する磁性が交番する磁極を有し、前記磁極は、前記永久磁石リングに対して半径方向に整列し、前記永久磁石リングの前記結果としての磁束場は、互いに逆の極性の隣り合う磁極相互間を横切り、該磁極相互間の前記結果としての磁束場の部分は、前記内側フェースによって構成された境界を越えて延びるが前記永久磁石リングの前記外側フェースによって定められた境界内に少なくとも部分的に閉じこめられたままであるよう集束されている、
請求項29〜32のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項34】
前記永久磁石リングの磁石要素の前記内側フェースにより定められた境界を越えて延びる隣り合う磁極相互間の前記結果としての磁束場の部分は、連続的に変化する向きを有し、前記磁極相互間において、前記向きは、前記磁極に主要半径方向成分を有する向きから前記磁極相互間の中間点に主要な接線方向成分を有する向きまで変化し、
前記内側フェースから半径方向に延び、前記向きは、内側フェースに主要な半径方向成分を有する向きから前記内側フェースからの距離につれて漸増する接線方向成分を有する向きまで変化している、
請求項29〜33のいずれか1項に記載のモータ。
【請求項35】
請求項1〜34のいずれか1項に記載のモータを有する洗濯機であって、前記固定子は、前記洗濯機の非回転タブ又はハウジングに結合され、前記回転子は、前記洗濯機の回転ドラムに結合されている、洗濯機。
【請求項36】
前記洗濯機は、頂部出し入れ型洗濯機であり、該洗濯機は、外側ラッパと前記外側ラッパ内に浮いた状態で設けられたタブと、前記タブ内に設けられた回転ドラムとを有する、
請求項35記載の洗濯機。
【請求項37】
前記洗濯機は、水平軸型機械であり、該機械は、外側ラッパと、回転ドラムハウジングと、前記ハウジング内に設けられた回転ドラムとを有する、
請求項35記載の洗濯機。
【請求項38】
前記洗濯機は、頂部出し入れ口を備えた水平軸型機械であり、該機械は、外側ラッパと、タブと、前記タブ内に設けられた回転ドラムとを有する、
請求項35記載の洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気モータ及びこのようなモータに用いられる磁石要素に関し、特に、家庭用ランドリー機械又は他の装置用の主駆動モータとして用いられる形式の外部回転子を備えたモータに関する。
【0002】
本発明は、ランドリー機械に特に用いられるモータに関する。このようなモータは、半径方向に延びる固定子磁極を備えた内部固定子と、内方に向いている回転子磁極を備えた外部回転子とを有する形式のものである。ダイレクトドライブ式ランドリー型洗濯機に用いられる回転子磁極と固定子磁極の比が4:3であるモータでは、30個を超える固定子磁極が典型的であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、先行技術に対して改良が施され又は少なくとも有用な選択肢を公衆又は業界に提供する固定子、固定子を有するモータ又はモータを有する洗濯機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様では、本発明の要旨は、広義には、固定子であって、磁気的に透過性の材料から成るコアを有し、コアは、直径120mm〜直径250mmの内周及び5mm〜15mmの幅の環状リング、環状リングの内周に沿って間隔を置いて設けられた24又は27個の放射状に延びる磁極を含み、磁極は、15mm〜40mmの距離にわたって環状リングから外方に延び、固定子は、3相巻線を更に有し、各巻線は、コア磁極の1/3に設けられた複数個のコイルを含み、巻線は、各コア磁極がたった1つの巻線と関連するようコア磁極上に配置され、1つの巻線だけが、2つのすぐ隣り合うコア磁極の各々と関連した巻線とは異なっており、2つのすぐ隣り合うコア磁極は、別々の巻線と関連しており、固定子は更に、コア磁極を巻線から絶縁する絶縁体を有することを特徴とする固定子にあると言える。
【0005】
別の態様によれば、コアの深さは、10mm〜35mmである。
【0006】
別の態様によれば、環状リングは、少なくとも大部分が絶縁体によって包み込まれている。
【0007】
別の態様によれば、コア磁極及び環状リングを覆う絶縁体は、複合成形プラスチック材料である。
【0008】
別の態様によれば、環状リングの内周の直径は、150mm〜230mmである。
【0009】
別の態様によれば、環状リングの内周の直径は、200mm〜220mmである。
【0010】
別の態様によれば、環状リングの幅は、5mm〜10mmである。
【0011】
別の態様によれば、環状リングの幅は、7mm〜10mmである。
【0012】
別の態様によれば、環状リングの深さ又は厚さは、12mm〜15mmである。
【0013】
別の態様によれば、環状リングの深さ又は厚さは、17mm〜23mmである。
【0014】
別の態様によれば、コアは、積層板から成る少なくとも1つのスタックを含み、各積層板は、環状リングの平面に実質的に平行な平面内に位置している。
【0015】
別の態様によれば、1つ又は複数の積層板スタックは、鋼ストリップの螺旋コイルで形成されたスタックを含み、このようなスタックの各層は、螺旋中のターンを構成している。
【0016】
別の態様によれば、鋼ストリップは、環状リングを形成しているバンド及びコア磁極を形成している延長部分を有する。
【0017】
別の態様によれば、1つ又は複数の積層板スタックは、端部のところで互いに接合された多数のスタックから成り、各スタックは、環状リングのセグメント及び1つ又は2つ以上の延長磁極を含む。
【0018】
別の態様によれば、環状リングの各セグメントは、当接端部のところの相互係止成形部(例えば、あり継ぎ)によって環状リングの隣接のセグメントに接合されている。
【0019】
別の態様によれば、各セグメントは、複数個の半径方向に延びるコア磁極を含む。
【0020】
別の態様によれば、固定子は、27個の半径方向に延びるコア磁極を含み、コアは、6個のスタックを有し、3個のスタックは各々、5個の半径方向に延びるコア磁極を有し、3個のスタックは各々、4個の半径方向に延びるコア磁極を有する。
【0021】
別の態様によれば、固定子は、半径方向に延びるコア磁極を27個しか備えていない。
【0022】
別の態様によれば、固定子は、固定子を機械に取り付けるための複数個の締結部位を有し、各締結部位の中心は、コアの環状リングの内面の半径方向内側に所与の距離を置いたところに位置し、この距離は、コア磁極が環状リングの外面を超えて延びる長さよりも長い。
【0023】
別の態様によれば、固定子を機械に締結するための締結部位は、固定子の中心から40mmを超える距離のところに中心を有する。
【0024】
別の態様によれば、締結部位は、固定子の中心から40mm〜80mmの距離のところに位置している。
【0025】
別の態様によれば、締結部位は、固定子の中心から50mm〜75mmの距離のところに位置している。
【0026】
別の態様によれば、締結部位は、固定子の中心から60mm〜70mmの距離のところに位置している。
【0027】
別の態様によれば、固定子は、環状リングの周囲内の領域を占めるよう環状リングから内方に延びるダイヤフラム部分を有し、このダイヤフラム部分は、締結部位を有する。
【0028】
別の態様によれば、締結部位は、ダイヤフラムを貫通して設けられた孔から成る。
【0029】
別の態様によれば、ダイヤフラム部分は、環状であり、ダイヤフラム部分は、環状リングと締結部位の内方に間隔を置いて設けられた円形の孔との間の領域を占めている。
【0030】
別の態様によれば、ダイヤフラムは、締結部位と環状リングとの間の区域内に少なくとも1つの実質的に切頭円錐形の表面を有する。
【0031】
別の態様によれば、ダイヤフラムは、締結部位と環状リングとの間に位置する少なくとも2つの実質的に切頭円錐形の部分を有し、切頭円錐形部分は、円形隆起部(固定子の一方の側から見て)及び谷部(固定子の他方の側から見て)を形成するよう互いに接合されている。
【0032】
別の態様によれば、隆起部又は谷部の高さは、環状リングの高さよりも低い。
【0033】
別の態様では、本発明の要旨は、広義には、固定子であって、磁気的に透過性の材料から成るコアを有し、コアは、直径120mm〜直径250mmの内周及び5mm〜15mmの環状リング、環状リングの内周に沿って間隔を置いて設けられた24又は27個の放射状に延びる磁極を含み、磁極は、15mm〜40mmの距離にわたって環状リングから外方に延び、固定子は、3相巻線を更に有し、各巻線は、コア磁極のうちの1/3に設けられた複数個のコイルを含み、固定子は更に、コア磁極を巻線から絶縁する絶縁体を有し、固定子は更に、固定子を機械に取り付ける複数個の取付け場所を有し、各取付け場所の中心は、コアの環状リングの内面の半径方向内側に所与の距離を置いたところに位置し、この距離は、コア磁極が環状リングの外面を超えて延びる長さよりも長く且つ固定子の中心から40mmを超えることを特徴とする固定子にあると言える。
【0034】
別の態様によれば、固定子を機械に取り付けるための取付け場所は、固定子の中心から40mmを超える距離のところに中心を有する。
【0035】
別の態様によれば、取付け場所は、固定子の中心から40mm〜80mmの距離に位置している。
【0036】
別の態様によれば、取付け場所は、固定子の中心から50mm〜75mmの距離に位置している。
【0037】
別の態様によれば、取付け場所は、固定子の中心から60mm〜70mmの距離に位置している。
【0038】
別の態様によれば、固定子は、環状リングの周囲内の領域を占めるよう環状リングから内方に延びるダイヤフラム部分を有し、このダイヤフラム部分は、取付け場所を有する。
【0039】
別の態様によれば、取付け場所は、ダイヤフラムを貫通して設けられた孔から成る。
【0040】
別の態様によれば、ダイヤフラム部分は、環状であり、ダイヤフラム部分は、環状リングと取付け場所の内方に間隔を置いて設けられた円形の孔との間の領域を占めている。
【0041】
別の態様によれば、ダイヤフラムは、取付け場所と環状リングとの間の区域内に少なくとも1つの実質的に切頭円錐形の表面を有する。
【0042】
別の態様によれば、ダイヤフラムは、取付け場所と環状リングとの間に位置する少なくとも2つの実質的に切頭円錐形の部分を有し、切頭円錐形部分は、円形隆起部(固定子の一方の側から見て)及び谷部(固定子の他方の側から見て)を形成するよう互いに接合されている。
【0043】
別の態様によれば、隆起部又は谷部の高さは、環状リングの高さよりも低い。
【0044】
別の態様では、本発明の要旨は、広義には、洗濯機に用いられるモータであって、モータは、上述の固定子と、固定子と同心の回転子とを有し、回転子は、固定子の外側に位置した永久磁石リング及び固定子磁極の端に向いた回転子磁極を備えていることを特徴とするモータにあると言える。
【0045】
別の態様によれば、回転子は、2つの側縁部を備えた複数個の磁石要素を有し、各磁石要素は、ドメイン整列パターンを形成するよう異方性的に整列した磁気ドメインを備え、複数個の磁石は、内側フェース及び外側フェースを備えた永久磁石リングを形成するよう配置され、回転子は、磁石要素をリング構造体中に保持する剛性支持体を更に有し、各磁石要素の磁気ドメイン整列パターンは、磁石要素の少なくとも一部分をその側縁部相互間で実質的に連続的に横切って、磁石要素の磁極に主要半径方向成分を有する向きから磁石要素の1つの側縁部のところの少なくとも幾分かの接線方向成分を有する向きまで変化する向きを有し、磁石要素は、結果として生じる磁束場を生じさせるよう磁化されている。
【0046】
別の態様によれば、磁石要素のうちの1つ又は2つ以上は、各側縁部と前縁部との交差部に面取り部を有し、前縁部は、回転子の内側フェースに位置した縁部である。
【0047】
別の態様によれば、磁気ドメイン整列パターンの向きは、両方の側縁部に相当大きな接線方向成分を有し、この接線方向成分の結果として、磁気ドメイン整列パターンは、側縁部に対して少なくとも15°の向きを有する。
【0048】
別の態様によれば、このような向きは、磁石要素全体にわたって実質的に非線形的に変化している。
【0049】
別の態様によれば、結果としての磁束場は、リングの周りに間隔を置いて位置する磁性が交番する磁極を有し、磁極は、永久磁石リングに対して半径方向に整列し、永久磁石リングの結果としての磁束場は、互いに逆の極性の隣り合う磁極相互間を横切り、これら磁極相互間の結果としての磁束場の部分は、内側フェースによって構成された境界を越えて延びるが永久磁石リングの外側フェースによって定められた境界内に少なくとも部分的に閉じこめられたままであるよう集束されている。
【0050】
別の態様によれば、永久磁石リングの磁石要素の内側フェースにより定められた境界を越えて延びる隣り合う磁極相互間の結果としての磁束場の部分は、連続的に変化する向きを有し、磁極相互間において、向きは、磁極に主要半径方向成分を有する向きから磁極相互間の中間点に主要な接線方向成分を有する向きまで変化し、内側フェースから半径方向に延び、向きは、内側フェースに主要な半径方向成分を有する向きから内側フェースからの距離につれて漸増する接線方向成分を有する向きまで変化している。
【0051】
別の態様では、本発明の要旨は、広義には、上述の電子的に整流されるモータを有する洗濯機であって、固定子は、洗濯機の非回転タブ又はハウジングに結合され、回転子は、洗濯機の回転ドラムに結合されていることを特徴とする洗濯機にあると言える。
【0052】
別の態様によれば、洗濯機は、頂部出し入れ型洗濯機であり、この洗濯機は、外側ラッパと外側ラッパ内に浮いた状態で設けられたタブと、タブ内に設けられた回転ドラムとを有する。
【0053】
別の態様によれば、洗濯機は、水平軸型機械であり、この機械は、外側ラッパと、回転ドラムハウジングと、ハウジング内に設けられた回転ドラムとを有する。
【0054】
別の態様によれば、洗濯機は、頂部出し入れ口を備えた水平軸型機械であり、この機械は、外側ラッパと、タブと、タブ内に設けられた回転ドラムとを有する。
【0055】
特許明細書、他の外国特許文献若しくは非特許文献又は他の情報源の参照が行われている本明細書において、これは、一般に、本発明の特徴を説明するための技術背景を提供する目的のためである。特段の指定がなければ、このような外国文献の参照は、このような文献又はこのような情報源がいかなる管轄下においても先行技術であること又は当該技術分野における通常の知識の一部をなしているという承認として解されるべきではない。
【0056】
原文明細書において用いられる“comprising”という用語(翻訳文では、「〜を有する」又は「〜を含む」と訳出されている場合が多い)は、“consisting at least in part of”(少なくとも一部が〜から成る)を意味している。例えば“compose”及び“comprises”のような関連用語は、同様に解釈されるべきである。
【0057】
本明細書において開示する数の範囲(例えば、1〜10)についての記載は、この範囲内の全ての有理数(例えば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9及び10)及び更にこの範囲内の有理数についての任意の範囲(例えば、2〜8、1.5〜5.5及び3.1〜4.7)を含むものである。
【0058】
本発明と関連した分野における当業者には、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の構成、種々の実施形態及び用途についての多くの変更が想到されよう。本明細書における開示内容及び説明は、純粋に例示であり、いかなる意味においても本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【
図1】本発明の一実施形態としての固定子の斜視図である。
【
図6】
図1に固定子に適した積層コアの平面図である。
【
図7】
図1の固定子に適した別の積層固定子コアの平面図である。
【
図8】
図1の固定子に用いるのに適した(固定子磁極の数に適合可能な)回転子の一方の側から見た斜視図である。
【
図9】
図8の回転子を他方の側から見た斜視図である。
【
図10】
図1の固定子に用いるのに適した(固定子磁極の数に適合可能な)別の回転子の斜視図である。
【
図11】
図1の固定子に用いるのに適した(固定子磁極の数に適合可能な)別の回転子の斜視図である。
【
図12】本発明の固定子及び/又はモータを有することができる垂直軸形式の洗濯機の概略切除図である。
【
図13】本発明の固定子及び/又はモータを有することができる前側出し入れ口(フロントオープン型)水平軸型洗濯機の略図である。
【
図14】本発明の固定子及び/又はモータを有することができる頂部出し入れ口(トップオープン型)又は傾動出し入れ口を備えた水平軸型洗濯機の略図である。
【
図15】本発明の固定子及び/又はモータを有することができる傾動出し入れ口を備えた水平軸型ランドリー機械の略図である。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本発明の一実施形態による固定子が
図1〜
図5に示されている。
固定子100は、27個の磁極102を有している。固定子は、一般に、環状リング部分104、リング部分内に設けられた取付け部分106及び環状リング部分104の外面から半径方向に延びる複数個の磁極102を有している。
【0061】
構成に関し、固定子は、一般に、磁気的に透過性のコア108と、コアを包囲し又はコアの大部分を包囲した絶縁体構造と、磁極102上に配置された導電性巻線とを有する。
【0062】
図示の実施形態では、絶縁構造体は、磁気的に透過性のコアを覆った状態で複合成形されたプラスチックの層を有する。複合成形プラスチックは、少なくとも、導電性巻線を支持すると共にこれらを位置決めするコアの部分を覆っている。図示の実施形態では、プラスチックは、外側端面118を除き半径方向に延びるコア磁極の全てを覆っている。変形実施形態では、絶縁プラスチックは、コア磁極の端面も又覆う場合がある。
【0063】
穴又は部分穴110が固定子の環状リング部分のところでプラスチックを貫通して延びるのが良い。これら穴は、成形中、固定子コアを定位置に保持するために用いられるピン又は他の位置決め装置の結果として生じる場合がある。
【0064】
磁気的に透過性のコア108は、例えば焼結フェライト粉末を含む任意適当な材料で形成できるが、最も好ましくは、鋼積層板で作られる。一般的な形態では、積層鋼の積層板は、固定子の環状リングの平面に実質的に平行な平面内に位置する。
図4の平面図は、積層板の外形を示し、
図5の断面図は、積層板の縁部を示している。
【0065】
積層板鋼は、例えば、公称損失が約7w/kgの完全処理済みの無方向性結晶積層板鋼であるのが良い。
【0066】
コアを覆った状態で複合成形されているプラスチック材料は、任意適当なプラスチックであって良い。例えば、適当な一材料は、デュポン社(Dupont Corporation)によって“CRASTIN”として販売されているポリブチレンテレフタレート(PBT)である。
【0067】
固定子取付け部分106は、全体を符号112で示された取付け部位を含む。図示の実施形態では、各締結部位112は、締結穴114を有する。締結穴114は、スロット付きであっても良く、或いは、締結穴を貫通するようになった締結具の外径よりも大径であっても良い。これにより、固定子が固定される機械の製造公差の実現が可能である。
【0068】
取付け部分106は、締結部位112に加えて位置決め部分116を有するのが良い。位置決め部分116は、固定子をモータのシャフトと同心状に整列させることができる。例えば、位置決め部分116は、固定子の中心に位置する円形の開口部120を有するのが良い。開口部120のリップ又はリム122が軸受ハウジング又は駆動シャフトを支持した軸受の対応の1つ又は複数の特徴部上に位置するのが良い。
【0069】
締結部位112(締結穴114を備えている)は、開口部120と環状リング部分104との間で取付け部分106に配置されている。図示の実施形態では、これら締結部位及び締結穴の中心は、固定子の中心から40mmを超える距離に位置している。幾つかの実施形態では、これらが、固定子の中心から45mmを超えた距離に位置しても良く、固定子の中心から50mmを超えた距離に位置しても良く、固定子の中心から55mmを超えた距離に位置しても良く、固定子の中心から60mmを超えた距離に位置しても良く、固定子の中心から65mmを超えた距離に位置しても良く、或いは固定子の中心から68mmの距離に位置しても良い。
【0070】
取付け場所及び締結穴114の中心は、コア108の環状リング部分111の内面から、コア108の半径方向に延びる磁極部分109がコア108の環状リング部分の外面を越えて延びる距離よりも長い距離に位置する。例えば、一実施形態では、締結穴の中心は、コア108の環状リング部分の内面から30mmを超える距離に位置するのが良く、環状リング部分の内面から32mmを超える距離に位置するのが良く、環状リング部分の内面から34mmを超える距離に位置するのが良く、環状リング部分の内面から35mmを超える距離に位置するのが良い。これに対し、磁極部分は、コア108の環状リング部分の外面から30mm未満の距離にわたって延びるのが良く、最も好ましくは、27mm未満の距離にわたって延びる。他の実施形態では、磁極部分は、環状リングの外面から30mmを越える距離にわたって延びるのが良く、例えば最高40mmにわたって延び、この場合、締結穴は、環状リングの内面から40mmを超える距離に位置するのが良い。磁極部分は、環状リングの外面から30mmを大幅に下回る距離にわたって延びるのが良く、例えば15mmしか延びないのが良い。
【0071】
平面図で見て、各磁極部分は、T字形であり、各磁極部分のクロスバー部分は、各磁極部分の幹部分によって固定子の環状リング部分から間隔を置いた状態で支持されている。
【0072】
固定子の取付け部分106は、全体がプラスチックで作られるのが良い。取付け部分106は、コア108の複合成形と共に一作業で形成されるのが良い。
【0073】
取付け部分は、固定子の環状リング部分と同心の1つ又は2つ以上の切頭円錐形部分を有するのが良い。図示の固定子は、内側切頭円錐形部分124及び外側切頭円錐形部分126を有している。切頭円錐形部分124,126は、一緒になって、円形隆起部128(
図1の場合では固定子の一方の側から見て)及び円形谷部130(
図2の場合では固定子の他方の側から見て)を形成している。
【0074】
固定子の全直径132は、約280mmであるのが良い。他の実施形態では、このような直径は、320mm〜270mmでるのが良く、290mm〜270mmであるのが良く、又は290mm〜240mmであるのが良い。
【0075】
固定子コアの環状リング部分の幅134は、約9mmであるのが良い。他の実施形態では、固定子コアの環状リング部分の幅は、5mm〜10mmであるのが良い。
【0076】
固定子コア108の内面の直径131は、約208mmであるのが良い。他の実施形態では、このような距離は、230mm〜190mm又は250mm〜120mmであるのが良い。
【0077】
固定子の中心からの締結部位の半径方向距離133は、約68mmであるのが良い。他の実施形態では、このような半径方向距離は、40mm〜80mmであるのが良い。
【0078】
半径方向に突き出たコア磁極の付近のプラスチック絶縁体の厚さは、約1.5mmであるのが良い。取付け部分106の厚さは、取付け場所112の付近では約4mmであるのが良く、固定子の環状部分104に隣接したところでは約3mmであるのが良い。取付け部分106の厚さは、切頭円錐形部分124,126の付近では約2mmであるのが良い。
【0079】
好ましくは、モータは、各突出磁極が別個の導体コイルを有するよう巻かれており、各磁極は、モータの3相巻線の各々とそれぞれ関連している。したがって、各相巻線は、固定子の磁極の1/3と関連している。
【0080】
特定の相巻線と関連した各磁極のコイルは、互いに直列接続されている。相巻線のコイルは、単一の連続導体から巻かれるのが良く、導体は、直列接続された各磁極のコイルを形成する。
【0081】
図中、巻線のコイルは、不定形材料ブロックとして示されている。これは、説明を簡単にするためである。実際には、図示のブロックの各々は、導体のコイルである。導体(図示せず)の追加の部分は、特定の相巻線についてコイルを相互連結している。コイルを相互連結している導体の部分は、環状リング部分104の付近に配置される。案内ポスト127及び支持面129のフレーム構造125は、導体の相互連結部分の配置を助ける。この構成によれば、各相巻線の導体の第1の端部は、一緒になってコネクタ117のところで終端している。各相巻線の導体の第2の端部は、一緒になってコネクタ119のところで終端している。モータに関して種々の電気的構成では、対をなす端部が一緒になって終端することが好ましい場合がある。モータに関する一電気的構成では、相巻線は、星形形態で互いに接続される。この形態では、3相巻線の各々の端部は、共通コネクタ117のところで互いに接続される。
【0082】
図6及び
図7を参照すると、積層板スタックを製造する互いに異なる方法によって製造された変形例としてのコアが示されている。
図6に示されている構成では、固定子コアは、螺旋平打ち(沿層方向)巻きストリップで作られた積層板から成る。ストリップは、バンド部分602及び一定間隔を置いて設けられた半径方向に延びる磁極部分604を有している。ストリップを沿層方向に巻いていると、磁極部分は、互いに僅かに扇形に開く。次に、ストリップのターンは、積層固定子コアを形成するよう積み重なる。ターンの螺旋スタックは、複数本のリベット608により又は変形例としてストリップの各層のタブが層に設けられた凹部中に下から押し込められた相互係止パンチダウン部分(図示せず)によって固定されるのが良く、このような凹部は、その層中にタブをパンチダウンすることによって形成される。螺旋巻きストリップの一端部606は、スタックの頂部上に載る。螺旋巻きストリップの他端部は、スタックの底部上に載る。
【0083】
図7は、コアが積層板の多数のスタックから作られた変形実施形態を示している。各積層板スタックは、固定子コアの環状リング部分のセグメント702又は704及び複数個の半径方向に延びる磁極コア部分706を有している。
【0084】
27個の磁極を備えた固定子の場合、コアは、好ましくは、各々5個のコア磁極を備えた3個の積層板スタック及び各々4個のコア磁極を備えた3個の積層板スタックを有する。5磁極スタック710及び4磁極スタック708は、固定子コアを形成するよう互いに組み立てられるのが良く、スタック708,710は、固定子コアの周りに交互に位置する。個々の積層板スタックは、任意適当な仕方で互いに接合可能である。例えば、スタックは、突き合わせ溶接されても良く、或いは、単に定位置に拘束されて成形プラスチック絶縁層によって互いに当接した状態で保持されても良い。しかしながら、好ましくは、スタックは、環状リング部分702,704の突き合わせ端部のところの相互連結成形部によって互いに接合される。例えば、相互係止成形部は、ダブテール形又はあり継ぎ連結部を形成するのが良い。
【0085】
各スタック中の積層板は、リベット止めされても良く、或いは互いに固定されても良い。例えば、これら積層板は、接着剤によって固定されても良く、或いはプラスチックが複合成形するまで何らかの位置的なやり方で固定されても良く、或いは、積層板の層相互間の適切な穿孔連結部によって相互係止されても良い。
【0086】
積層板スタックの高さは、モータのトルク要件に応じて様々であって良い。例えば、積層板スタックの高さは、モータに関する出力要件に応じて10mm〜35mmである場合がある。
【0087】
積層板スタックの各積層板の厚さは、約0.5mmであるのが良い。例えば、27個の層から成る積層板スタックは、13.5mmの固定子コア厚さを有する場合がある。38個の層から成るスタックは、19mmの固定子コア厚さを有する場合がある。
【0088】
本発明者は、洗濯機における用途に用いられるようになった説明対象の固定子が回転速度が1600rpmまでの状態で例えば
図16及び
図17に示されている(“先行技術”(prior art)と記載されている)従来型固定子よりも低いノイズを生じさせることを見出した。
【0089】
説明対象の固定子は、固定子の磁極端部の外面の方へ内方に向いた磁石のリングを有する外部回転子用である。例えば、回転子は、
図8〜
図11に示されている。使用に当たり、固定子は、機械のシャフトが固定子取付け部分の内側孔120を貫通した状態で機械に固定される。回転子は、シャフトに固定される。
【0090】
このような固定子は、回転子磁極と固定子磁極の比が4:3のモータ向きである。したがって、図示のように27個の磁極固定子用の回転子は、36個の磁極を有するべきである。変形例として、本発明者は、24個の磁極を備えた固定子が説明対象の固定子の利点のうちの幾つかを達成することができると考えている。これに対応する回転子は、32個の磁極を有することになる。
【0091】
図8〜
図11を参照すると、回転子36は、多数個の硬質フェライト又はネオジウム‐鉄‐ホウ素永久磁石要素37を有し、これら永久磁石要素は、このような要素の永久磁石リング38を形成するよう配置されている。永久磁石要素37は又、硬質フェライトとネオジウム‐鉄‐ホウ素材料又は他の磁性材料、例えばサマリウム‐コバルト(これには限定されない)の配合物で構成されても良い。変形例として、永久磁石要素37は、これら磁性材料とプラスチック材料の配合物から成っていても良い。磁性材料のリング38は、剛性回転子支持体又はハウジング39によって支持されるのが良い。これは、プラスチックハブを備えた複合成形プラスチック環状リングから成るのが良い。変形例として、ハウジングは、永久磁石要素が収納状態で取り付けられたプレス加工鋼39a(
図10の回転子の場合)を有しても良い。単一部品又は多数の部品から成り或いは多数の層から成る積層状態の裏当てリング40(
図8参照)がオプションとして磁性材料により作り出される結果としての磁束場を増大させるよう設けられても良い。好ましくは、永久磁石材料のリング38は、固定子の外径よりも僅かに大きい内径を有する。このような組み合わせにより、2.5mm〜0.5mmの空隙の実現が達成される。各区分(及びリング)は、好ましくは、厚さが20mm未満である。当業者であれば理解されるように、洗濯機用モータに用いられる回転子36の構成に関して多くの考えられる変形例が存在する。
【0092】
図8及び
図9は、例示目的で、ちょうど1つの考えられる回転子を一般的な形態で示し、
図10及び
図11は、別の考えられる回転子を示している。
【0093】
回転子の他の構成のそれ以上の詳細は、本出願人の米国特許第5,040,285号明細書、本出願人の国際公開第2009/017430号パンフレット並びに本出願人の係属中の米国特許出願第61/358746号明細書に記載されている。各特許文献を参照により引用し、その記載内容全体を本明細書の一部とする。好ましい回転子は、4:3の磁石磁極と固定子磁極の比を有している。
図10及び
図11に示されている回転子磁石の数は、回転子/固定子の物理的性状を示すための例示に過ぎない。磁石の実際の個数は、様々であって良い。本出願人の国際公開第2009/017430号パンフレットに記載されているように、回転子36は、標準のハルバック(Halbach)アレイにより得られる磁束場と同じ又はほぼ同じのハルバック型の結果としての磁束場を生じさせるよう磁化されるのが良い。
【0094】
国際公開第2009/017430号パンフレットに記載されているように、回転子中の各永久磁石要素37は、これが磁気ドメイン整列パターン中にあらかじめ整列された磁気ドメインを有するように作られるのが良い。「磁気ドメイン整列パターン」という用語は、製造プロセスの結果として生じる磁気ドメイン41の向きを意味している。多数の磁石要素は、磁気材料を次に磁化パターンにより磁化したときにハルバック型の結果としての磁束場の形成を可能にするあらかじめ整列した磁気ドメインにより磁性材料を作るよう一纏めに配置されるのが良い。このような永久磁石要素のリングを組み立てて回転子の永久磁石リングを形成するのが良い。これは、ハルバック型の結果としての磁束場を有するよう磁化されるのが良い。この磁束場は、等方性の又は半径方向に整列した異方性磁性材料を同一の磁束場で磁化した場合よりも強力である。ハルバック型の結果としての磁束場を備えた回転子は、モータの改良型動作特性を生じさせるための所望の磁束場である。
【0095】
永久磁石リングの磁石要素は、回転子の曲率と同等に湾曲しているのが良い。
【0096】
「ハルバック型」という表現は、伝統的なハルバックアレイ磁石構造により作られる磁束場と同じ又はほぼ同じ結果としての磁束場を意味している。「磁化パターン」という用語は、ドメイン整列パターンに従って磁石要素を付勢し、それにより磁石が磁化状態になるようにするために用いられる外部磁束場を意味している。「結果としての磁束場」という表現は、製造、組立て及び磁化後における磁石要素(及び該当する場合には周りの構造体)中に存在する磁束場を意味している。
【0097】
本明細書において説明しているモータ用の回転子の幾つかの実施形態において使用できる磁石要素に関するそれ以上の詳細、変形例及びオプションは、国際公開第2009/017430号パンフレットに記載されている。
【0098】
本発明の実施形態は、上述したモータを有する洗濯機を含み、或いは、別の実施形態は、モータそれ自体又は回転子それ自体を含む場合がある。変形例として、モータ又は固定子は、別の用途、例えば発電装置に使用できる。
【0099】
上述したモータを用いる洗濯機は、多くの形態のうちの1つを取ることができる。例えば、図
12を参照すると、一実施形態は、外側ラッパ及びラッパ内に浮いた状態で設けられたタブを有する頂部投入型(トップオープン型)洗濯機である。有孔壁を備えた回転ドラムが浮き状態のタブ内に設けられると共にこの中で回転可能である。上述した固定子及び回転子を有するモータが回転シャフトを介して回転ドラムに結合されている。モータは、衣類の洗濯を実施するよう回転ドラムを高速回転させると共に振動させるようコントローラによって作動可能である。本発明者は、モータの上述の固定子が同様なサイズ、重量及び出力の先行技術の固定子と比較して共振の影響を受けにくいということを見出した。これらは、モータを全体として安価に作ることができ又は低ノイズで作動させることができる。
【0100】
図
13を参照すると、別の実施形態は、外側ラッパ及び外側ラッパ内に浮いた状態で設けられた回転ドラムハウジングを有する前部投入型(フロントオープン型)水平軸洗濯機である。回転ドラムが回転ドラムハウジング内に設けられると共にこの中で回転可能である。ドアが洗濯されるべき衣類を投入し又はこれを取り出すために回転ドラムへの接近を可能にする。ドアと回転ドラムとの間のシールを提供するようガスケットが設けられるのが良い。回転子は、回転シャフトを介して回転ドラムに結合され、固定子は、タブの後部に結合されている。モータは、衣類の洗濯を実施するよう回転ドラムを高速回転させると共に振動させるようコントローラによって作動可能である。本発明者は、モータの上述の固定子が同様なサイズ、重量及び出力の先行技術の固定子と比較して共振の影響を受けにくいということを見出した。これらは、モータを全体として安価に作ることができ又は低ノイズで作動させることができる。
【0101】
図
14を参照すると、別の実施形態は、頂部投入型(トップオープン型)又は傾動投入型水平軸洗濯機である。この洗濯機は、外側ラッパ及び外側ラッパ内に浮いた状態で設けられたタブを有する。回転ドラムがタブ内で回転することができる。衣類をドラムの頂部に設けられた開口部を通して導入したり回転ドラムから取り出したりすることができる。上述の固定子及び回転子を有するモータは、回転シャフトを介して回転ドラムを駆動するよう配置されている。モータは、衣類の洗濯を実施するよう回転ドラムを高速回転させると共に振動させるようコントローラによって作動可能である。本発明者は、モータの上述の固定子が同様なサイズ、重量及び出力の先行技術の固定子と比較して共振の影響を受けにくいということを見出した。これらは、モータを全体として安価に作ることができ又は低ノイズで作動させることができる。
【0102】
図
15は、傾斜投入型水平軸洗濯機を示している。この洗濯機は、外側ラッパ及び外側ラッパ内に浮いた状態で設けられたタブを有する。回転ドラムがタブ内で回転することができる。ドラムを傾斜させることによって衣類を回転ドラム内に投入したりこれから取り出したりすることができる。上述の固定子及び回転子を有するモータは、回転シャフトを介して回転ドラムを駆動するよう配置されている。モータは、衣類の洗濯を実施するよう回転ドラムを高速回転させると共に振動させるようコントローラによって作動可能である。本発明者は、モータの上述の固定子が同様なサイズ、重量及び出力の先行技術の固定子と比較して共振の影響を受けにくいということを見出した。これらは、モータを全体として安価に作ることができ又は低ノイズで作動させることができる。
【0103】
図12〜図15は、上述したように作られた磁石要素を含む回転子を備えたモータを利用することができる洗濯機のちょうど4つの実施例を示している。本発明の他の実施形態は、上述したモータによって作動される他の洗濯機を含む場合がある。