(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941501
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】輸液安全装置及び輸液管理システム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/162 20060101AFI20160616BHJP
A61M 39/28 20060101ALI20160616BHJP
A61J 1/16 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
A61M5/162 500J
A61M39/28 120
A61J1/16 C
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-137354(P2014-137354)
(22)【出願日】2014年7月3日
(65)【公開番号】特開2016-13333(P2016-13333A)
(43)【公開日】2016年1月28日
【審査請求日】2015年1月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】592259060
【氏名又は名称】サンリツオートメイション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】514153230
【氏名又は名称】片山 國正
(74)【代理人】
【識別番号】100074147
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 崇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一哉
(72)【発明者】
【氏名】片山 國正
(72)【発明者】
【氏名】高倉 広義
(72)【発明者】
【氏名】橘 寿一
【審査官】
安田 昌司
(56)【参考文献】
【文献】
実開平01−084652(JP,U)
【文献】
特開2013−006021(JP,A)
【文献】
特開2013−165757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
A61M 5/14
A61M 5/162 − 5/168
A61M 39/28
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを検出する検出手段と、
液体が封入された輸液バックに対する輸液チューブの着脱を阻止する阻止状態とするか着脱を許容する許容状態とするか制御する阻止/許容制御部と、
前記阻止/許容制御部を阻止状態においてロックするロック手段と、
前記検出手段による検出結果に基づき、前記ロック手段を制御するロック制御手段と
を具備することを特徴とする輸液安全装置。
【請求項2】
一端に輸液チューブが接続され、他端に前記輸液バック内の液体と連絡する連絡部を有するアダプタを、前記連絡部が前記液体と連絡している状態で保持する保持部を具備することを特徴とする請求項1に記載の輸液安全装置。
【請求項3】
輸液バックを内包する空室を備える容器であって、第1の容器と第2の容器から構成され、結合部によって前記第1の容器と第2の容器とが結合され、第1の容器と第2の容器を離間させた開いた状態と、第1の容器と第2の容器を結合させた閉じた状態を実現する容器を備え、
前記容器の一部が阻止/許容制御部となっていることを特徴とする請求項1または2に記載の輸液安全装置。
【請求項4】
容器は、透明または半透明の樹脂製容器であることを特徴とする請求項3に記載の輸液安全装置。
【請求項5】
保持部は、前記アダプタの底部または前記アダプタに接続された点滴プローブの底部を挟持する孔により構成されていることを特徴とする請求項2に記載の輸液安全装置。
【請求項6】
輸液バックは、容器内に懸架されるか、または、容器の天井部開口を介して外部の部材に懸架されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の輸液安全装置。
【請求項7】
前記検出手段により輸液可能状態であることが検出されると、前記ロック制御手段は前記阻止/許容制御部を阻止状態においてロックすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の輸液安全装置。
【請求項8】
輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムであって、当該輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを示す輸液状態情報を送信する送信手段を備える輸液調整制御システムと、
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の輸液安全装置と
を具備することを特徴とする輸液管理システム。
【請求項9】
輸液調整制御システムにより輸液チューブを流れる液体の流量をゼロとする調整がなされているか否かを検出するセンサを備えることを特徴とする請求項8に記載の輸液管理システム。
【請求項10】
輸液調整制御システムは、クレンメにより構成されることを特徴とする請求項8または9に記載の輸液管理システム。
【請求項11】
前記クレンメに、前記送信手段が設けられていることを特徴とする請求項10に記載の輸液管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、輸液安全装置及び輸液管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
点滴などを行う場合には、輸液チューブに輸液量の調整や輸液停止を行うことができるクレンメが用いられる。クレンメは操作が簡単であり価格も安いことから、多くの輸液システムにおいて用いられている。クレンメを用いる場合には、輸液開始前にはクレンメにより輸液不可能状態と同じ輸液チューブの閉塞を実現する必要がある。もし、閉塞していなければ、輸液バックの栓体の開口部に、輸液バックの液体を輸液チューブへ導く連絡部である針状頭部を有するアダプタを刺すと、たちまち輸液が始まってしまい、液体がベッドや床に放出されることがある。また、輸液バックからは何時でも上記アダプタを抜き取ることができ、また、アダプタが抜け落ちることもある。
【0003】
特に、点滴交換の際には輸液の急速投与が発生するフリーフローによる事故が生じ易く、これに対する対策が従来より行われている。例えば、特許文献1には、輸液ポンプを用いた輸液調整制御システムにおいて、ポンプドアの開放を原因とするフリーフローが検出されたときに輸液チューブを閉塞する輸液安全装置が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、複室型輸液バックに対する装置であるが、複室の液が混合される前に針刺通を防止すると共に、針刺通後に刺入針の抜脱を防止する装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−222485号公報
【特許文献2】国際公開2006/126459パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の発明によれば、輸液ポンプドアの開放などを原因としたフリーフローに対処できるものの、輸液バックに対するアダプタの結合時などにおける対策は全く考えられていない。
【0007】
また、特許文献2の発明は、針刺通の防止に関しては、複室型輸液バックに対するものであり、また、輸液可能状態であるか輸液不可能状態であるかとは無関係に刺入針の抜脱を防止するものである。
【0008】
本発明は上記のような輸液調整制御システムの現状に鑑みてなされたもので、その目的は、輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかとリンクして輸液バックに対する輸液チューブの着脱を制御でき、輸液調整制御システムの適切な運用を確保することができる輸液安全装置及び輸液管理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る輸液安全装置は、輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを検出する検出手段と、液体が封入された輸液バックに対する輸液チューブの着脱を阻止する阻止状態とするか着脱を許容する許容状態とするか制御する阻止/許容制御部と、前記阻止/許容制御部を阻止状態においてロックするロック手段と、前記検出手段による検出結果に基づき、前記ロック手段を制御するロック制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
本発明に係る輸液安全装置では、一端に輸液チューブが接続され、他端に前記輸液バック内の液体と連絡する連絡部を有する前記アダプタを、前記連絡部が前記液体と連絡している状態で保持する保持部を具備することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る輸液安全装置では、輸液バックを内包する空室を備える容器であって、第1の容器と第2の容器から構成され、結合部によって前記第1の容器と第2の容器とが結合され、第1の容器と第2の容器を離間させた開いた状態と、第1の容器と第2の容器を結合させた閉じた状態を実現する容器を備え、前記容器の一部が阻止/許容制御部となっていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係る輸液安全装置では、容器は、透明または半透明の樹脂製容器であることを特徴とする。
【0013】
本発明に係る輸液安全装置では、保持部は、前記アダプタの胴部または前記アダプタに接続された点滴プローブの底部を挟持する孔により構成されていることを特徴とする。
【0014】
本発明に係る輸液安全装置では、輸液バックは、容器内に懸架されるか、または、容器の天井部開口を介して外部の部材に懸架されることを特徴とする。
【0015】
本発明に係る輸液安全装置では、前記検出手段により輸液可能状態であることが検出されると、ロック制御制御手段は前記阻止/許容制御部を阻止状態においてロックすることを特徴とする。
【0016】
本発明に係る輸液管理システムは、輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムであって、当該輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを示す輸液状態情報を送信する送信手段を備える輸液調整制御システムと、請求項1乃至7のいずれかに記載の輸液安全装置とを具備することを特徴とする。
【0017】
本発明に係る輸液管理システムは、輸液調整制御システムにより輸液チューブを流れる液体の流量をゼロとする調整がなされているか否かを検出するセンサを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明に係る輸液管理システムでは、輸液調整制御システムは、クレンメにより構成されることを特徴とする。
【0019】
本発明に係る輸液管理システムでは、前記クレンメに、前記送信手段が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを検出し、検出結果に基づき、液体が封入された輸液バックの栓体の開口部に、前記輸液バックに対する輸液チューブの着脱を阻止する阻止状態とするか着脱を許容する許容状態とするか制御する阻止/許容制御部を阻止状態においてロックするロック手段の制御を行うので、輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかとリンクして輸液バックに対する輸液チューブの着脱を制御でき、輸液調整制御システムの適切な運用を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る輸液安全装置及び輸液管理システムの第1の実施形態の斜視図。
【
図2】本発明に係る輸液安全装置の実施形態の容器を開いた状態の斜視図。
【
図3】本発明に係る輸液安全装置の実施形態に用いられる輸液バックの一例を斜視図。
【
図4】本発明に係る輸液管理システムの実施形態の要部斜視図。
【
図5】本発明に係る輸液安全装置及び輸液管理システムの実施形態のロック手段の動作を示す断面図。
【
図6】本発明に係る輸液安全装置及び輸液管理システムの第2の実施形態の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下添付図面を参照して、本発明に係る輸液安全装置及び輸液管理システムの実施形態を説明する。各図において同一の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図1には、実施形態に係る輸液安全装置10を用いて構成した輸液管理システム100の構成図が示されている。
【0023】
輸液安全装置10は、筐体の容器20を備える。容器20は、輸液バック30を内包する空室21を備える。この容器20は、
図2に示されるように、結合部であるヒンジ部22によって第1の容器20Aと第2の容器20Bとが結合されて構成されている。容器20は、透明または半透明の樹脂製容器として構成することができる。従って、不透明な容器としても良い。また、材質は樹脂以外に金属、木材、紙などにより構成しても良い。なお、この実施形態では筐体の形状であるが、筒状や定形或いは不定形な袋状など形状であっても良く、筒状や定形或いは不定形な袋状など形状を採用したばあいには、ヒンジ部22等の結合部は設けられていなくとも良い。
【0024】
輸液バック30が
図3に示されるように、透明または半透明の樹脂製の袋部31に、点滴などのための液体が封入された構成を備えている。袋部31の例えば二短辺における一方の辺の中央部には、
図4に示すアダプタ40を刺し抜きするための栓体32が設けられている。栓体32は、例えばプラスチックなどの円環枠内にゴムの栓を設けて構成することができ、栓体32の開口部33に、輸液バック30の液体を輸液チューブ71へ導く連絡部としての針状頭部41を有するアダプタ40を刺し抜きすることができる。即ち、アダプタ40は、一端に輸液チューブ71が接続され、他端に上記輸液バック30内の液体と連絡する連絡部を有する。袋部31の例えば二短辺における栓体32が設けられた辺と対向する一辺の縁部34には、輸液バック30を懸架部材に懸架するための孔35が形成されている。
【0025】
容器20の天井面には、容器20を上記懸架部材に吊り下げるための把持バンド24が設けられている。容器20の天井板における開口部には、例えば容器20Bの縁面から突出した棒体25が設けられており、この棒体25は容器20が閉じられると、他方の容器20Aの対向する位置の凹部に位置付けられる。この棒体25を、輸液バック30の縁部34に形成された孔35に通して、輸液バック30を懸架することができる。
【0026】
容器20の底面には、孔23が形成されている。上記容器20の一部である孔23は、液体が封入された輸液バック30に対する輸液チューブ71の着脱を阻止する阻止状態とするか着脱を許容する許容状態とするか制御する阻止/許容制御部として機能する。実際には、孔23は、アダプタ40の刺し抜きを阻止するか許容するかする阻止/許容制御部として機能する。即ち、容器20が開いた
図2の状態では、アダプタ40を容器20の空室21へ入れることも取り出すことも可能である。
【0027】
容器20には、ロック手段50(
図1)が設けられている。ロック手段50は、例えば容器20Aと容器20Bの接合部分に設けられており、容器20Aに設けられている本体部51と、容器20Bに設けられた鉤受部52とにより構成することができる。
【0028】
本体部51及び鉤受部52の断面図は、
図5に示すようである。本体部51はフリー状態では、
図5(b)に示すように、筒体53内の後端部に電磁石54が設けられ、隣接して磁石55が設けられている。一方、鉤受部52はフリー状態では、
図5(b)に示すように、筒体56内の後端部にスペーサ(磁石でも良い)57が設けられ、隣接して空室58が設けられている。
【0029】
電磁石54によって磁石55を吸引しているときには
図5(b)のように、磁石55が本体部51の筒体53内に収容された状態となる。このため、容器20Aと容器20Bを離間させて開くことができる。一方、電磁石54の極性を反転させると、これによって磁石55が反発して
図5(a)のように、鉤受部52の筒体56内へ移動し、スペーサ57に当接した状態で留まる。
【0030】
上記により、容器20Aと容器20Bは結合した状態でロックされる。この状態で円形の開口を有する孔23の径は、アダプタ40の針状頭部41の径より僅かに小さい。しかし、針状頭部41の基部に設けられたフランジ42の径は、孔23の径より大きく、容器20が閉じた
図1の状態では、アダプタ40を容器20の空室21へ入れることも取り出すことも不可能である。このように容器20の一部である孔23は、アダプタ40の刺し抜きを阻止するか許容するかする阻止/許容制御部として機能することができる。孔23はアダプタ40の底部のフランジ42を挟持することによって、アダプタ40を、栓体32に針状頭部41が刺さった状態で保持する保持部として機能する。実施形態に係る輸液安全装置は、一端に輸液チューブ71が接続され、他端に輸液バック30内の液体と連絡する連絡部を有するアダプタ40を、上記連絡部が上記液体と連絡している状態で保持する保持部を具備することができる。
【0031】
図4には、輸液チューブ71を流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムの一例であるクレンメ60と、クレンメ60からアダプタ40へ到る構成部材が示されている。クレンメ60からアダプタ40へ到る輸液チューブ71とアダプタ40との間には、点滴プローブ70が介装されている。クレンメ60は、例えば一側壁を有さない四角筒状の本体部61を有し、本体部61の筒内の部分に輸液チューブ71を貫通させて設ける構成を有する。また、本体部61の対向する二壁にはそれぞれ、筒の軸方向へ傾斜して延びる軸受溝62が形成されており、この軸受溝62には、輸液チューブ71を押圧して流量を制御するためのローラ63が回転により上下移動可能に設けられている。
【0032】
本体部61内における輸液チューブ71がローラ63によって押圧されて輸液が停止される位置(流量がゼロとなる位置)には、圧力センサ65と、この圧力センサ65により得られた信号に基づき、輸液調整制御システムであるクレンメ60が輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを示す信号を送信する送信手段とを有する状態送出部64が設けられている。圧力センサ65は輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを検出できるものであれば、他のセンサ(例えば、輸液チューブ71の閉塞させる動作を光などで捕えるセンサ)などにより構成することができる。なお、「輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているか」とは、輸液調整制御システムがその状態を作っているかを検出すること意味し、必ずしも実際に液体が輸液チューブ71に存在しなくとも良い。また、送信手段は有線であっても無線であっても良い。
【0033】
容器20の適宜な位置には、制御部59が設けられている。制御部59は、上記状態送出部64により送られた信号を受信して、輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかを検出する検出手段と、検出手段による検出結果に基づきロック手段50のロックを制御する制御手段を備える。前述した本体部51内の電磁石54はこの制御手段と接続されており電磁石54は制御手段により駆動される。
【0034】
容器20とクレンメ60(輸液調整制御システム)とは1対1に対応付けされており、無線通信の場合には、クレンメ60の状態送出部64の送信手段により所定間隔で送信される信号にアドレスや識別情報が付されており、対応付けられた容器20に設けられた制御部59がこれを受取って処理を行うことができる。
【0035】
以上の通りに構成された輸液安全装置及び輸液管理システムは、例えば次のようにして用いることができる。容器20とクレンメ60とは対応付けられているものとし、容器20に設けられた制御部59とクレンメ60に設けられた状態送出部64に電池などがセットされて、電力が供給されると、動作開始となる。容器20Aと容器20Bは当初閉じられており、中は空状態であるものとする。
【0036】
クレンメ60のローラ63を操作して、輸液が停止される位置(流量がゼロとなる位置)にセットする。これにより、状態送出部64の送信手段により輸液不可能状態を示す信号が送出される。この信号は容器20に設けられた制御部59に取得され、制御部59からロック手段50をフリー状態にする信号が送出される。
【0037】
上記により、ロック手段50では、
図5(b)に示したフリー状態が実現され、容器20Aと容器20Bを
図2の如く開くことができる。そこで、所要の液体が入った
図3に示すような輸液バック30を取り出し、栓体32にアダプタ40を刺して輸液バック30の孔35を容器20の棒体25に通して、輸液バック30が容器20内に懸架されるようにする。更に、容器20Aと容器20Bを合わせて閉じる。このとき、輸液チューブ71が容器20の孔23を通過するようにする。把持バンド24を懸架部材に吊り下げて、クレンメ60から患者へ延びる輸液チューブ71の先端に設けられた輸注針を患者の血管等に刺す。
【0038】
クレンメ60のローラ63を操作して、輸液が実行される位置(流量が所望となる位置)にセットする。これにより、状態送出部64の送信手段により輸液可能状態を示す信号が送出される。この信号は容器20に設けられた制御部59に取得され、制御部59からロック手段50をロック状態にする信号が送出される。
【0039】
上記により、ロック手段50では、
図5(a)に示したロック状態が実現され、容器20Aと容器20Bは
図1の状態となり、開くことが不可能となる。このため、容器20の孔23をフランジ42が通過することはなく、アダプタ40を輸液バック30から抜くことが不可能となり、輸液実行の途中においてアダプタ40の不用意な抜けを防止することができる。
【0040】
図6は、容器20内に点滴プローブ70までを収納して、容器20の孔23を点滴プローブ70が通過することができないように構成した第2の実施形態である。これによっても、孔23は、輸液バック30の液体を輸液チューブ71へ導く針状頭部41を有するアダプタ40の刺し抜きを阻止するか許容するかする阻止/許容制御部として機能する。また、孔23は、アダプタ40を、栓体32に針状頭部41が刺さった状態で保持する保持部であり、アダプタ40に接続された点滴プローブ70の底部を挟持する構成を備える。この実施形態も
図1に示した実施形態と同様に用いることができ、同様の効果を得ることが可能である。
【0041】
なお、上記の2つの実施形態は例示に過ぎず、様々に変更可能である。例えば、容器20によって輸液バック30全体を収容したが、栓体32が設けられた部分と、アダプタ40の部分が収納されれば十分である。また、輸液安全装置を、栓体32が設けられた部分に設け、栓体32の開口部側に孔を設け、この孔に開閉するシャッタを設けて阻止/許容制御部としてもよい。このシャッタをソレノイドなどでロックするロック手段を備えることができる。即ち、輸液調整制御システムが輸液可能状態となっているか輸液不可能状態となっているかとリンクして輸液バックに対する輸液チューブの着脱を制御できる機構であればよい。また、輸液調整制御システムは、クレンメ60に限定されることなく、輸液ポンプなど、輸液チューブを流れる液体の流量を調整する輸液調整制御システムであれば本発明は適用可能である。更に、輸液バック30は、容器20の天井部に設けた開口を介して外部の部材に懸架されるようにしても良い。
【符号の説明】
【0042】
10 輸液安全装置
20、20A、20B 容器
30 輸液バック
32 栓体
33 開口部
40 アダプタ
41 針状頭部
50 ロック手段
60 クレンメ
64 状態送出部
65 圧力センサ
70 点滴プローブ
71 輸液チューブ
100 輸液管理システム