特許第5941512号(P5941512)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941512大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941512
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20160616BHJP
   F24F 5/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   F24H1/18 A
   F24F5/00 102C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2014-178783(P2014-178783)
(22)【出願日】2014年9月3日
(65)【公開番号】特開2016-53428(P2016-53428A)
(43)【公開日】2016年4月14日
【審査請求日】2015年6月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】596170608
【氏名又は名称】佐々木 万八
(74)【代理人】
【識別番号】100074055
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 靖雄
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 万八
【審査官】 吉村 俊厚
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−007773(JP,U)
【文献】 実開平06−052850(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3184097(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 − 9/20
F24D 1/00 − 19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
大容量の蓄熱槽を設け、
該蓄熱槽内に、高温水を取水するための取水パイプを設け、
該パイプの先端部を取水口とすると共にフロートを設け、
該パイプの末端部は、前記蓄熱槽の下部に設け、高温水を外部へ供給する高温水供給口 に接続した大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置において、
前記蓄熱槽の天板を閉塞し、
前記フロートは、偏平状であって、前記取水パイプを挟んで2個を並列状に設け、
前記取水パイプは、両フロートを上下から挟んだ連結金具の下方の連結金具の下部に設けた
ことを特徴とする大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置。
【請求項2】
前記取水パイプは、シリコン製のパイプであって、
該パイプの内側に、耐腐性金属のコイルスプリングを設けた
ことを特徴とする請求項1記載の大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄熱槽は、比較的安価な夜間電力を用いて水を沸かした熱水を蓄え、これを昼間に使用している。
【0003】
しかし、蓄熱槽内の温水は、上部は高温であっても底部は温度が低く、それにもかかわらず供給口は蓄熱槽の底部、あるいは底部付近に設けられており、従って、上部に位置する温水より低温度の温水を供給する結果となっていた。
【0004】
そのため、蓄熱水槽の外部にラインポンプを設け、蓄熱水槽内に向けて配管し、該ポンプを稼働することにより蓄熱水槽内の温水を攪拌したり、また、蓄熱槽内に水中ポンプを設け、該蓄熱槽内でポンプを稼働することにより温水を攪拌して一定の高温水を提供するよう構成していた。しかし、蓄熱装置は存在している。例えば特許文献1のように。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−325656号公報
【0006】
しかし、この文献は流動的な氷を氷蓄熱槽内に蓄えるものに過ぎず、また、前述の蓄熱槽は、ラインポンプや水中ポンプ等の設備を設けることにより、設備コストが高くなり、また、ポンプを稼働させるための電気代等の高熱費が発生し、ランニングコストも発生して不経済であったり、さらには水中ポンプの設置により蓄熱水槽内の清掃の際には邪魔となり不便であった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、この発明の課題は、蓄熱槽内の温水を供給する際に、常に、高温の熱水を限定して供給でき、しかも簡単な構造で、費用も安価な大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置を開発・提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置は、
大容量の蓄熱槽を設け、
該蓄熱槽内に、高温水を取水するための取水パイプを設け、
該パイプの先端部を取水口とすると共にフロートを設け、
該パイプの末端部は、前記蓄熱槽の下部に設け、高温水を外部へ供給する高温水供給口 に接続した
ことを特徴とする。
【0009】
そして、前記取水パイプは、耐熱性樹脂製パイプであって、
該パイプの内側に、耐腐性金属のコイルスプリングを設けた
ことを特徴とする。
【0010】
また、前記取水パイプ先端部には、ストレーナーと温度センサーを設けた
ことを特徴とする。
【0011】
さらに、前記フロートは、前記パイプに直接、あるいは隣接して設けた
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
この発明によると、大容量の蓄熱槽内に設けた取水パイプは、先端部に浮遊するフロートを設けたことにより、取水口は水面近くに位置し、該蓄熱槽内の常に高温水面から高温水を取り出し供給でき、しかも、格別な装置を用いることなく、取水パイプとフロートとを用いて、簡易で安価な部材により供給できる等の極めて有益なる効果を奏する。
【0013】
こらに取水パイプの内側に、耐腐性金属のコイルスプリングを設けたことにより、取水パイプ内の減圧によってもパイプが潰れないし、また、腐食することもない等の極めて有益なる効果を奏する。
【0014】
また、取水パイプ先端部には、ストレーナーと温度センサーを設けることにより、蓄熱槽内のゴミを除去し、また、蓄熱槽内の表面付近の高温水の温度を計測でき、設定した適温により供給管に設けた電動バルブを制御することにより、適温の温水が供給されるよう構成できる等の効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の一実施例を示す斜視図である。
図2図1中a部分の要部拡大一部欠截斜視図である。
図3図1中b−b線の要部拡大一部欠截断面図である。
図4】この発明の一実施例を示す要部拡大一部欠截断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明について詳細に説明する。尚、この発明においては、以下の記述に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲においては適宜変更可能である。
【実施例】
【0017】
先ず、この発明の一実施例を図面に基づいて詳述すると、大容量の蓄熱槽(1)を設け、該蓄熱槽内に、高温水を取水するための取水パイプ(2)を設け、該取水パイプの先端部を取水口(2a)とすると共にフロート(3)を設け、該取水パイプの末端部は、前記蓄熱槽の下部に設け、高温水を外部へ供給する高温水供給口(4)に接続したことを特徴とする大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置から構成されている。
【0018】
尚、前記大容量の蓄熱槽(1)には、上面に点検口(8)を設け、平素は、点検口には蓋(9)が堅牢に閉塞されており、該点検口の蓄熱槽(1)の内壁には・内部点検・清掃のためのタラップ(10)を設けている。
【0019】
また、前記蓄熱槽(1)の上部付近には蓄熱槽(1)に湯水を流入する逆止弁(11)を有する流入口(12)を形成すると共に、オーバーフロー口(13)を形成し、さらに、水位を検知する水位電極棒(14)を設けている。
【0020】
さらに、前記蓄熱槽(1)の側壁には温度計(15)、制御盤(16)を設けており、該蓄熱槽(1)の下部にはドレーン排出口(17)を形成するとともに、前記高温水供給口(4)を設けている。
【0021】
そして、前記取水パイプ(2)は、耐熱性樹脂製パイプであって、該パイプの内側に、耐腐性金属のコイルスプリング(5)を設けたことを特徴とするものであり、該コイルスプリングは、図4に示すように、取水パイプ(2)内に設けてもよく、図示しないが、前記パイプ(2)の内周壁に添って設けてもよいものである。
【0022】
尚、前記取水パイプ(2)の素材の一例としては、耐熱性樹脂の一例としてシリコン製のチューブを設けてもよい。
【0023】
また、取水パイプ(2)は、前記フロート(3)に直接、取水パイプ(2)を設けてもよく、あるいは隣接して設けてもよい。例えば図3に示すように、一対のフロート(3)(3)を連結金具で連結し、係止バンドでフロートと連結金具を縛り、両フロートの中間した部に取水パイプ(2)を隣接して設けてもよい。
【0024】
さらに、水面(L)付近に位置する取水パイプ(2)は、先端部にはストレーナー(6)と温度センサー(7)を設けてもよい。該温度センサーにより湯温を検知し、湯温の高・低により制御盤(16)で制御し、供給管(24)に設けた電動バルブ(19)を開放したり、閉塞したりすることにより予め設定した適温水を供給するものである。
【0025】
また、高温水供給口(4)とは、蓄熱槽(1)に開けられた開口穴であるが、その一例としては、図4に示すように、開口穴にエルボ管(21)が差し込み固定されているものである。
【0026】
そして、前記エルボ管(21)は、一端が前記パイプ(2)の回転リング(23)を介して回転可能に接続しており、他端は、蓄熱槽(1)の外で、手動バルブ(18)、電動バルブ(19)を介してラインポンプ(20)で高温水を各設備に供給する供給管(24)と接続されている。また、ラインポンプ(20)に接続して逆止弁(11′)を設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0027】
この発明の大容量の蓄熱槽における高温水限定供給装置の技術を確立し、実施することにより、産業上利用できるものである。
【符号の説明】
【0028】
1 蓄熱槽
2 取水パイプ
2a 取水口
3 フロート
4 高温水供給口
5 コイルスプリング
6 ストレーナー
7 温度センサー
8 点検口
9 蓋
10 タラップ
11,11′逆止弁
12 流入口
13 オーバーフロー口
14 水位電極棒
15 温度計
16 制御盤
17 ドレーン排出口
18 手動バルブ
19 電動バルブ
20 ラインポンプ
21 エルボ管
22 開口穴
23 回転リング
24 供給管
L 水面
図1
図2
図3
図4