(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一対の積層フィルムの周縁を貼り合わせてなるシール部と、前記シール部よりも内側の非シール部に被包装物を封入する収容部と、一対の側端部及びその間を横断するように切断して前記収容部を開封する開封手段と、を備える包装袋であって、
前記開封手段は、
前記一対の側端部の前記シール部に設けられる一対の傷痕群と、
前記一対の傷痕群の間における前記非シール部に、前記一対の傷痕群が対向する方向に沿って、並行して延在する複数のハーフカット線と、を有し、
前記複数のハーフカット線のうち、最も外側に配置される一対のハーフカット線は、当該ハーフカット線に沿って前記一対の傷痕群の上端同士及び下端同士をそれぞれ結ぶ仮想線の間の領域を挟むように形成されているとともに前記一対の側端部の外縁に到達しており、
前記一対のハーフカット線以外のハーフカット線の両端は、前記一対の側端部の、前記傷痕群より内側の前記シール部に前記傷痕群から離れて位置する、包装袋。
一対の積層フィルムの周縁を貼り合わせてなるシール部と、前記シール部よりも内側の非シール部に被包装物を封入する収容部と、一対の側端部及びその間を横断するように切断して前記収容部を開封する開封手段と、を備える包装袋であって、
前記開封手段は、
前記一対の側端部の前記シール部に設けられる一対の傷痕群と、
前記一対の傷痕群の間における前記非シール部に、前記一対の傷痕群が対向する方向に沿って、並行して延在する複数のハーフカット線と、を有し、
前記複数のハーフカット線のうち、最も外側に配置される一対のハーフカット線は、当該ハーフカット線に沿って前記一対の傷痕群の上端同士及び下端同士をそれぞれ結ぶ仮想線の間の領域を挟むように形成されているとともに前記一対の側端部の外縁に到達しており、
前記一対のハーフカット線以外のハーフカット線の両端が、前記シール部近傍の前記非シール部に位置する、包装袋。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
開封手段として、V字状ノッチ及びU字状ノッチに代えて傷痕群を採用することによって、切り開きを開始することが可能なエリアを大きくすることができる。傷痕群の形成エリアを大きくすることによって、切り開きの開始位置を都度確認しなくても容易に切り開きを開始できるという利点がある。また、傷痕群は、V字状ノッチ及びU字状ノッチに比べて、製造時に切りかすが出ないという利点もある。このような利点を享受するため、開放手段として、傷痕群が採用される機会が増えつつある。
【0006】
一方で、上述の利点を享受するために傷痕群の形成エリアを大きくすると、切り開きの開始位置がばらつき易くなり、切り開きが想定外の方向にずれやすくなる。このような現象を回避する手段としては、特許文献1に記載されるように、傷痕群の近傍に、包装袋を貫通するガイド線を設けることが考えられる。しかしながら、傷痕群の近傍は元々強度が低くなっているところ、このようなガイド線を設けると、さらに強度が低下してしまう。このため、輸送時等において、意図せず切り開きが進行して包装袋が開封されてしまうことが懸念される。また、包装袋を意図して開封する時、切り開きがガイド線によって直線状のハーフカット線に案内される際に、切り開きの方向を曲げる必要がある。このため、特許文献1のような技術では、切り開きが円滑に進行しない場合も想定される。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被包装物を密封する機能を十分高い水準に維持しつつ、切り開きを円滑に行うことが可能な包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、一対の積層フィルムの周縁を貼り合わせてなるシール部と、シール部よりも内側の非シール部に被包装物を封入する収容部と、一対の側端部及びその間を横断するように切断して収容部を開封する開封手段と、を備える包装袋であって、開封手段は、一対の側端部のシール部に設けられる一対の傷痕群と、一対の傷痕群の間における非シール部に、一対の傷痕群が対向する方向に沿って、並行して延在する複数のハーフカット線と、を有し、複数のハーフカット線のうち、最も外側に配置される一対のハーフカット線は、当該ハーフカット線に沿って一対の傷痕群の上端同士及び下端同士をそれぞれ結ぶ仮想線の間の領域を、挟むように形成されている、包装袋を提供する。
【0009】
本発明の包装袋は、開封手段が傷痕群を有することから、容易に切り開きを開始することができる。また、開封手段は、傷痕群とともに、一対の傷痕群が対向する方向に沿って、並行して延在する複数のハーフカット線を有する。この複数のハーフカット線のうち、最も外側に配置される一対のハーフカット線は、上記仮想線の間の領域を挟むように形成されている。このため、切り開きが、傷痕群のどの位置から開始されても、切り開きの方向が、一対のハーフカット線の間から外れて進行することを抑制することができる。すなわち、切り開きの開始位置がばらつき易い傷痕群を採用した場合にも、切り開きの進行を一対のハーフカット線上又はこれらの間にあるハーフカット線上に円滑に誘導することができる。したがって、本発明の包装袋は、切り開きを円滑に行うことができる。
【0010】
上記開封手段は、傷痕群とハーフカット線群で構成することができる。このため、貫通するガイド線を必ずしも形成する必要がないことから、輸送時等において、意図しない切り開きの進行を抑制することができる。したがって、被包装物を密封する機能を十分高い水準に維持することができる。
【0011】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、上述の複数のハーフカット線が、非シール部を横断し、一対の側端部のシール部にまで延在するように形成されていてもよい。これによって、傷痕群からハーフカット線への切り開きの移行を一層円滑にすることができる。
【0012】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、上述の複数のハーフカット線が、一対の側端部の外縁に到達するように形成されていてもよい。これによって、切り開きの開始を一層円滑にすることができる。また、切り開きが想定外の方向に進行することを、一層確実に抑制することができる。さらに、包装袋の製造において、複数連なる包装袋を個々に分割する前に、複数連なる包装袋に対してハーフカット線を一度に形成することが可能となる。したがって、製造効率を向上することができる。
【0013】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、最も外側に配置される一対のハーフカット線が一対の側端部の外縁に到達し、一対のハーフカット線以外のハーフカット線の両端が、一対の側端部のシール部に位置していてもよい。これによって、切り開きが想定外の方向に進行することを十分に抑制しつつ、全てのハーフカット線が側端部の外縁まで形成されている場合に比べて、側端部の強度を高くすることができる。したがって、輸送時等に、意図しない切り開きが進行することを十分に抑制し、被包装物を密封する機能を十分高くすることができる。
【0014】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、複数のハーフカット線の少なくとも一つにおける両端が、シール部近傍の非シール部に位置していてもよい。これによって、例えば、比較的強度の低い積層フィルムを用いて形成された包装袋であっても、意図しない切り開きが進行して開封されることを十分に抑制することができる。したがって、被包装物を密封する機能を一層向上することができる。
【0015】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、上記領域内に、ハーフカット線が複数形成されていてもよい。これによって、切り開きの開始位置によらず、切り開きを十分に円滑に進行させることができる。すなわち、切り開きの円滑性のばらつきを十分に低減することができる。
【0016】
本発明の包装袋は、幾つかの実施形態において、一方の積層フィルムに形成された複数のハーフカット線は直線状であり、他方の積層フィルムに形成された複数のハーフカット線は、非シール部の中央部において上端又は下端側に膨らむように形成されていてもよい。これによって、一方の積層フィルムと他方の積層フィルムにおける切り開きの軌道を異ならせて、開封の作業性を向上することができる。
【0017】
本発明の包装袋は、開封手段よりも収容部側に、開封手段によって開封した後に収容部を再封止する再封止手段を備えていてもよい。これによって、収容部の開封と再封止を繰り返し実施することができる。このような実施形態は、被包装物が一度に消費されない場合に特に有用である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被包装物を密封する機能を十分高い水準に維持しつつ、切り開きを円滑に行うことが可能な包装袋を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を、図面を参照しながら以下に説明する。ただし、以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用い、場合により重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の包装袋の一実施形態(第1実施形態)の表面側を模式的に示す平面図である。
図2は、この包装袋の裏面側を模式的に示す平面図である。包装袋10は、略矩形の一対の積層フィルム12,13の周縁を貼り合わせてなるシール部11と、シール部11によって一対の積層フィルム12,13の間に形成される収容部18とを備える。すなわち、包装袋10は、側端部14、下端部16及び上端部17がシール部11によってシールされている。
【0022】
包装袋10は、シール部11に包囲された非シール部(シート部)15に、食料品等の被包装物が収容される収容部18を備える。収容部18には、食料品等の被包装物が封入される。なお、下端部16のシール部11は、被包装物を収容部18に充填した後にシールしてもよい。
【0023】
積層フィルム12,13は、フィルム状のものが2層又は3層以上積層されて構成される。積層フィルム12,13としては、例えば、内側から、シーラント層/中間層/基材層の積層構造を有するものが挙げられる。
【0024】
図3は、積層フィルム12(13)の断面の一部を拡大して示す模式断面図である。積層フィルム12(13)は、内側(収容部18側)から、シーラント層40,中間層50及び基材層60がこの順に積層された積層構造を有する。シーラント層40としては、例えば、フィルム状のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。より具体的には、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂;エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体等のエチレン系樹脂;ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂;ホモポリプロピレン樹脂、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体等のポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。シーラント層40は、上述の樹脂の1つを単独で、又は2つ以上を組み合わせて形成されていてもよい。
【0025】
中間層50としては、例えば、各種バリア性フィルム、及びアルミニウム箔が挙げられる。バリア性フィルムとしては、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、ガスバリア性ナイロンフィルム、ガスバリア性ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等のガスバリア性フィルム;PETフィルム等にアルミニウム等の金属を蒸着した金属蒸着フィルム;PETフィルムに酸化アルミニウム又は酸化珪素等の無機酸化物を蒸着させた無機酸化物蒸着フィルム等が挙げられる。上述のフィルムの1つを単独で、又は2つ以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
基材層60としては、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、二軸延伸ポリプロピレン(PP)フィルム、及び二軸延伸ナイロンフィルム等の二軸延伸フィルムが挙げられる。上述のフィルムの1つを単独で、又は2つ以上を組み合わせて用いてもよい。積層フィルム12,13の積層構造は、
図3に示す実施形態に限定されず、被包装物の種類、及び求められる気密性のレベル等に応じて種々の材質の層を用いることができる。
【0027】
図1に示すとおり、包装袋10は、上部に包装袋10の側端部14,14及びその間を横断するように切り開いて開封するための開封手段20と、開封手段20の下側に、開封手段20によって開封した後に収容部18を再封止する再封止手段30とを備える。
【0028】
再封止手段30は、開封と密封とを繰り返して行うことが可能な公知の構造を適宜採用することができる。例えば、帯状の突起部と帯状の溝部が嵌合することによって繰り返し密封することが可能な合成樹脂製のファスナーであってもよく、粘着シールであってもよい。
【0029】
図1に示すように、開封手段20は、一対の側端部14,14のシール部11に傷痕群24,24を有する。傷痕群24,24は、複数の貫通孔で構成される。複数の貫通孔は、シール部11において千鳥状に配置されていてもよく、横方向に並んで列をなすとともに、各列において縦方向に複数並んで配置されていてもよい。
【0030】
一対の傷痕群24,24の間における非シール部15には、並行する複数のハーフカット線26a,26b,26c,26d,26e(以下、纏めて「ハーフカット線26a〜26e」という場合もある。)からなるハーフカット線群26が形成されている。ハーフカット線26a〜26eは、一対の傷痕群24,24が対向する方向、すなわち開封手段20による切断方向に沿って延在している。複数のハーフカット線26a〜26eは互いに平行に形成されている。なお、本明細書における「平行」とは、複数の直線が並行して延在していればよく、ハーフカット線26a〜26eの機能が大きく損なわれない範囲であれば、厳密に平行でなくてもよく、実質的に平行であればよい。
【0031】
複数のハーフカット線26a〜26eは、互いに並行に延在する線状の溝(切り込み)である。例えば、
図3に示すように、積層フィルム12,13の表面にある基材層60を切り欠いて形成される。複数のハーフカット線26a〜26eは、例えば、ダイカッター、又はレーザー光を用いて形成することができる。
【0032】
図1及び
図2に示すように、一方の積層フィルム12に形成されるハーフカット線群26と、他方の積層フィルム13に形成されるハーフカット線群26’は、互いに異なる形状を有していてもよい。すなわち、ハーフカット線群26における5本のハーフカット線26a〜26eは、直線状に形成されている。一方、ハーフカット線群26’における5本のハーフカット線26a’,26b’,26c’,26d’,26e’(以下、纏めて「ハーフカット線26a’〜26e’」という場合もある。)は、非シール部15の端部よりも中央部において下端部16側に突出するように湾曲している。
【0033】
このように、積層フィルム12,13に形成されるハーフカット線群26,26’を異なる形状とすることによって、包装袋10を開封手段20で切り開いたときに、積層フィルム12と積層フィルム13の切り開きの経路をずらすことができる。対向する積層フィルム12,13の切り開きの経路が互いにずれることによって、包装袋10の切り口には、一方の積層フィルムの内面が露出する。これによって、内面が露出した積層フィルムの上端を容易に把持することができる。したがって、包装袋10の開封及び再開封を容易に行うことができる。
【0034】
左右のどちらの傷痕群24から切断しても、同等の切れ味とする観点から、ハーフカット線群26,26’は、包装袋10を縦断する中心線を基準として左右対称な形状であることが好ましい。ハーフカット線26a’〜26e’の形状は、
図2に示すような放物線状又は円弧状等の曲線状であってもよく、直線状であってもよい。すなわち、積層フィルム12,13に形成されるハーフカット線群の形状は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
【0035】
ハーフカット線26a〜26e及びハーフカット線26a’〜26e’の長さに制限はない。開封手段20による切り開きを一層円滑にする観点から、包装袋10の横幅をLとした場合、ハーフカット線26a〜26e及びハーフカット線26a’〜26e’の長さは、好ましくは0.8L以上であり、より好ましくは0.9L以上である。
【0036】
図4は、包装袋10の開封手段20の一部を拡大して示す部分平面図である。なお、
図4は、包装袋10の左側の上側端部しか示していないが、包装袋10の右側の上側端部も同じ構成を有する。5本のハーフカット線26a〜26eは、ほぼ同一の間隔で、包装袋10の上縁及び再封止手段30と平行に並んでいる。
【0037】
5本のハーフカット線26a〜26eのうち、最も外側に配置される一対のハーフカット線26a,26eは、側端部14,14のシール部11,11に対向配置された傷痕群24,24の上端同士を結ぶ仮想線P1、及び、傷痕群24,24の下端同士を結ぶ仮想線P2よりも外側に形成されている。すなわち、ハーフカット線26a〜26eのうち、最も上端部17側に位置するハーフカット線26aは、傷痕群24,24の上端同士を結ぶ仮想線P1よりも、上端部17側に形成されている。ハーフカット線26a〜26eのうち、最も下端部16側に位置するハーフカット線26eは、傷痕群24,24の下端同士を結ぶ仮想線P2よりも、再封止手段30側(下端部16側)に形成されている。この位置関係によって、ハーフカット線26a及びハーフカット線26eは、仮想線P1,P2の間の領域Rを挟むように形成されている。なお、領域Rには、仮想線P1,P2は含まれない。
【0038】
開封手段20は、傷痕群24,24とともに、上述の構成を有するハーフカット線群26を有することによって、傷痕群24から開始された切り開きが、ハーフカット線群26の外側に外れることを抑制することができる。例えば、傷痕群24の上端付近から上方に切り開きが進行しても、その後、切り開きはハーフカット線26aに合流し、ハーフカット線26aに沿って進行することとなる。
【0039】
一方、傷痕群24の下端付近から下方に切り開きが進行しても、その後、切り開きはハーフカット線26eに合流し、ハーフカット線26eに沿って進行することとなる。また、一方の傷痕群24の中央部付近から、他方の傷痕群24に向けて切り開きが進行する場合、仮想線P1,P2の間の領域Rに形成されたハーフカット線26b,26c,26dのいずれかに沿って切り開きが進行する。したがって、包装袋10は、開封手段20によって切り開きを円滑に行うことができる。ハーフカット線26b,26c,26dの少なくとも一つは、仮想線P1,P2の間の領域Rの外側に形成されていてもよい。
【0040】
ハーフカット線26aは、仮想線P1上に形成されていてもよい。ハーフカット線26eは、仮想線P2上に形成されていてもよい。これらの場合でも、包装袋10の切り開きを円滑に行うことができる。仮想線P1,P2は、一対のハーフカット線26a,26eに沿って描かれる線(仮想直線)であり、一対のハーフカット線26a,26eと平行である。したがって、積層フィルム12における仮想線P1,P2は直線状である。一方、積層フィルム13における仮想線(仮想曲線)は、一対のハーフカット線26a’,26e’と同様に、非シール部15の端部よりも中央部において下端部16側に突出するように湾曲する。
【0041】
一対のハーフカット線26a,26eは、側端部14の外縁に到達するように形成されている。これによって、ハーフカット線26a,26eは、傷痕群24を挟んでいる。このため、ハーフカット線群26は、切り開きがハーフカット線群26の外側に向けて進行することを一層確実に抑制することができる。
【0042】
一対のハーフカット線26a,26eの間に形成されるハーフカット線26b,26c,26dは、一対のハーフカット線26a,26eよりも短い。ハーフカット線26b,26c,26dの一端E1,E2,E3は、側端部14におけるシール部11に位置している。なお、図示しないハーフカット線26b,26c,26dの他端も、側端部14におけるシール部11に位置している。このような構成を有するハーフカット線群26は、全てのハーフカット線が側端部14の外縁まで形成されている場合に比べて、側端部14の強度を高くすることができる。したがって、輸送時等に、意図しない切り開きが進行することを十分に抑制し、被包装物を密封する機能を十分高い水準に維持することができる。
【0043】
ハーフカット線26b,26c,26dの一端E1,E2,E3を、側端部14におけるシール部11に配置することによって、一端E1,E2,E3と、傷痕群24との間隔を狭くすることができる。これによって、傷痕群24から始まる切り開きを、一端E1、一端E2、又は一端E3のいずれか一つに容易に到達させることができる。一端E1,E2,E3と、傷痕群24との間隔は、切り開きの進行を一層円滑にする観点から、例えば0.01L〜0.1Lである。
【0044】
図5は、本発明の包装袋の第2実施形態における開封手段20aの一部を拡大して示す部分平面図である。包装袋10aは、開封手段20aにおけるハーフカット線群26Aの形状が、上述の第1実施形態の包装袋10と異なっている。包装袋10aのその他の構成は、包装袋10と同じである。
図5には、一方の上側端部側しか示していないが、他方の上側端部側も同様の構成を有する。
【0045】
包装袋10aでは、ハーフカット線群26Aのうち、仮想線P1及び仮想線P2の間の領域R内に形成されているハーフカット線26f,26g,26hが、一対のハーフカット線26a,26eと同様に、側端部14の外縁に到達するように形成されている。これによって、ハーフカット線26f,26g,26hを、傷痕群24に近接又は一致させることができる。このようなハーフカット線群26Aを有することによって、包装袋10aの切り開きを、一層容易に開始することができる。また、切り開きの当初から、切り開きの軌道が蛇行することを十分に抑制することができる。これによって、当初の切り開きを一層円滑に進行させることができる。
【0046】
図6は、本発明の包装袋の別の実施形態(第3実施形態)に係る包装袋10bの開封手段20bの一部を拡大して示す部分平面図である。包装袋10bは、開封手段20bにおけるハーフカット線群26Bの形状が、上述の第1実施形態の包装袋10と異なっている。包装袋10bのその他の構成は、包装袋10と同じである。
図6には、一方の上側端部側しか示していないが、他方の上側端部側も同様の構成を有する。
【0047】
包装袋10bでは、ハーフカット線群26Bのうち、仮想線P1及び仮想線P2の間の領域R内に形成されているハーフカット線26i,26j,26kが、一対のハーフカット線26a,26eよりも短い。ハーフカット線26i,26j,26kの一端E4,E5,E6は、側端部14のシール部11近傍の非シール部15に位置している。このような構成を有するハーフカット線群26Bは、ハーフカット線が側端部14のシール部11又は外縁にまで形成されている場合に比べて、側端部14の強度を高くすることができる。したがって、輸送時等に、意図しない切り開きを進行することを一層抑制し、被包装物を密封する機能を一層高い水準に維持することができる。
【0048】
包装袋10bでは、傷痕群24から開始された切り開きがハーフカット線群26Bに到達するまでの間、領域R内において、切り開きの方向がハーフカット線に案内されることなく進行する。このため、ハーフカット線26a,26i,26j,26k,26eが延在する方向(長手方向)と切り開きの方向が大きく異なっていても、切り開きがハーフカット線群26Bに到達するまで、切り開きを円滑に進行させることができる。このような作用は、例えば、積層フィルム12,13が斜めに配向している場合などに特に効果的に発揮される。そして、切り開きがハーフカット線群26Bに到達する際には、切り開きは既に十分に大きなサイズを有している。このため、ハーフカット線26a,26i,26j,26k,26eの長手方向と切り開きの方向が異なっていても、切り開きはハーフカット線26a,26i,26j,26k,26eに円滑に誘導されて進行する。一端E4,E5,E6と、傷痕群24との間隔は、切り開きの進行を十分に円滑にする観点から、例えば0.05L〜0.1Lである。
【0049】
図7は、本発明の包装袋の別の実施形態(第4実施形態)に係る包装袋10cの開封手段20cの一部を拡大して示す部分平面図である。包装袋10cは、開封手段20cにおけるハーフカット線群26Cの形状が、上述の第1実施形態の包装袋10と異なっている。包装袋10cのその他の構成は、包装袋10と同じである。
図7には、一方の上側端部側しか示していないが、他方の上側端部側も同様の構成を有する。
【0050】
包装袋10cでは、ハーフカット線群26Cのうち、仮想線P1及び仮想線P2の間の領域Rを挟むように設けられる一対のハーフカット線26l,26mが、領域R内に形成されているハーフカット線26b,26c,26dと同じ長さを有している。一対のハーフカット線26l,26mの一端E7,E8は、側端部14のシール部11に位置している。このような構成を有するハーフカット線群26Cは、ハーフカット線が側端部14の外縁まで延在している場合に比べて、側端部14の強度を高くすることができる。したがって、輸送時等に、意図しない切り開きを進行することを一層抑制し、被包装物を密封する機能を一層高い水準に維持することができる。
【0051】
図8は、本発明の包装袋の別の実施形態(第5実施形態)に係る包装袋10dの開封手段20dの一部を拡大して示す部分平面図である。包装袋10dは、開封手段20dにおけるハーフカット線群26Dの形状が、上述の第3実施形態の包装袋10bと異なっている。包装袋10dのその他の構成は、包装袋10bと同じである。
図8には、一方の上側端部側しか示していないが、他方の上側端部側も同様の構成を有する。
【0052】
包装袋10dでは、ハーフカット線群26Dのうち、仮想線P1及び仮想線P2の間の領域Rを挟むように設けられる一対のハーフカット線26n,26pが、領域R内に形成されているハーフカット線26i,26j,26kと同じ長さを有している。一対のハーフカット線26l,26mの一端E9,E10は、側端部14のシール部11近傍の非シール部15に位置している。このような構成を有するハーフカット線群26Dは、ハーフカット線が側端部14のシール部11にまで延在している場合に比べて、側端部14の強度を高くすることができる。したがって、輸送時等に、意図しない切り開きを進行することを一層抑制し、被包装物を密封する機能を一層高い水準に維持することができる。
【0053】
包装袋10dでは、傷痕群24から開始された切り開きがハーフカット線群26Dに到達するまでの間、領域R内において、切り開きの方向がハーフカット線に案内されることなく進行する。このため、ハーフカット線26n,26i,26j,26k,26pが延在する方向(長手方向)と切り開きの方向が大きく異なっていても、切り開きがハーフカット線群26Dに到達するまで、切り開きを円滑に進行させることができる。このような作用は、例えば、積層フィルム12,13が斜めに配向している場合などに特に効果的に発揮される。そして、切り開きがハーフカット線群26Dに到達する際には、切り開きは既に十分に大きなサイズを有している。このため、ハーフカット線26n,26i,26j,26k,26pの長手方向と切り開きの方向が異なっていても、切り開きはハーフカット線26n,26i,26j,26k,26pに円滑に誘導されて進行する。
【0054】
図1〜8に示す包装袋10,10a,10b,10c,10dは、例えば、以下の手順で作製できる。まず、基材層60となる基材フィルムに、中間層50及びシーラント層40を貼り合わせる。積層フィルム12,13のシーラント層40同士を対向させ、再封止手段30となる例えばファスナーテープを挟んだ状態で、上記シーラント層40同士を接着し、上端部17及び側端部14,14に対応する位置にシール部11を形成する。これによって、コの字状のシール部11で包囲された非シール部15が形成される。シール部11を切断すると共に化粧裁ちをして個々の袋に分割した後、傷痕群24を形成する。なお、傷痕群24は、シール部11を切断する前に形成してもよい。
【0055】
未シール状態にある下端部16から被包装物を充填する。その後、下端部16において積層フィルム12,13を接着して、下端部16にもシール部11を形成する。このようにして、包装袋10,10a,10b,10c,10dを製造することができる。ハーフカット線は、貼り合わせた一対の積層フィルム12,13を所定の幅にスリットする前に形成することができる。これによって、レーザー光を用いて、スリットされる前の積層フィルム12,13にハーフカット線を効率よく形成することができる。なお、シール部11の形成と、レーザー光によるハーフカット線の形成は同時に行ってもよい。ただし、各工程の順序は上述の例に限定されるものではなく、積層フィルム12,13を所定の幅にスリットした後に、ハーフカット線を形成してもよい。
【0056】
包装袋10,10a,10b,10c,10dの形状は、四方袋に限定されるものではなく、三方シール袋でもよいし、底テープを付加したスタンディングパウチ形状であってもよい。
【0057】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではない。例えば、ハーフカット線群26,26A,26B,26C,26Dにおけるハーフカット線の数は特に限定されず、例えば3〜8本程度であってもよい。領域R内に形成されるハーフカット線は3本に限定されず、2本であってもよく、4本以上であってもよい。仮想線P1及びP2の間の領域Rを挟むように設けられるハーフカット線は、一対に限定されず、二対以上のハーフカット線が形成されていてもよい。積層フィルム12,13には、ハーフカット線群26,26A,26B,26C,26D以外のハーフカット線が形成されていてもよい。
【解決手段】包装袋10は、積層フィルム12,13の周縁を貼り合わせてなるシール部11と、シール部11よりも内側の非シール部15に被包装物を封入する収容部18と、側端部14,14及びその間を横断するように切断して収容部18を開封する開封手段と、を備える。開封手段20は、側端部14,14のシール部11に設けられる傷痕群24,24と、傷痕群24,24の間における非シール部15に、傷痕群24,24が対向する方向に沿って並行して延在する複数のハーフカット線26a,26b,26c,26d,26eと、を有する。一対のハーフカット線26a,26eは、傷痕群24,24の上端同士及び下端同士をそれぞれ結ぶ仮想線の間の領域を挟むように形成されている。