(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一および第二構成要素の少なくとも1つは、対応する動脈枝内に脱分岐肢を拡張するために構成された少なくとも1つの窓を規定する、請求項1に記載の血管装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
このように一般的な用語で本発明を説明したが、必ずしも一定の縮尺で描かれていない添付の図面を参照して説明する。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態は、本発明の、すべてではないが、いくつかの実施形態が示されている図面を参照して詳細に説明する。実際に、本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に記載された実施形態に限定されると解釈されるべきではない。むしろ、本開示が適用可能な法的要件を満たすよう、これらの実施形態が提供される。参照番号は全体を通して同じ要素を指す。
【0024】
本明細書において、用語「遠位」および「遠位に」は、心臓のように、基準点から最も遠い位置を指す; 用語「近位」および「近位に」は基準点に最も近い場所を指す。本明細書に記載の実施例は、上行大動脈および大動脈弓および/または腹部大動脈における動脈瘤を指すが、また、記載した本発明の実施形態は、上行大動脈、大動脈弓、胸部大動脈、およびその他の血管を含む種々の場所において、動脈瘤を含む様々な血管異常を治療するタイプAの剥離及びタイプBの急性の剥離に使用することができる。
【0025】
図1を参照すると、大動脈10の概略が示されている。胸腹部大動脈の病理は、多くの場合、最も治療が困難な大動脈の病変と見なされる。上行大動脈および大動脈弓12は、例えば、大きな曲率の部分であり、頭部、首、腕に酸素を含む血液を供給するように分岐する動脈でもある。このような動脈は、腕頭動脈45、左総頸動脈55、および左鎖骨下動脈60を含む。
【0026】
横隔膜から始まる腹部大動脈18は、また、主要な臓器のほとんどに供給するいくつかの重要な動脈枝が含まれている。このような動脈には、腹腔動脈20、上腸間膜動脈(SMA)25、腎動脈30、31、下腸間膜動脈(IMA)32、および大腿動脈40、41が含まれている。大動脈の異常、例えば動脈瘤および剥離(例えば、大動脈の壁の層間に偽腔を形成する大動脈の内壁内の裂け)は、例えば大動脈弓や腹部大動脈内のような多数の動脈枝を含む動脈部分において発生した際には、治療するのが極めて困難である。例えば、血管内挿型人工血管(endograft)およびステントのような従来の血管装置は、血管装置の一部を結合して標的部位の位置に装置を保持する "設置領域"、または本来の血管の長さとして機能するように、装置のそれぞれの端部から近位及び遠位に亘る血管部分が必要である。典型的には、約2cmの設置領域が必要である。
【0027】
腕頭動脈45、左総頸動脈55、および左鎖骨下動脈60に近接している大動脈弓のような、及び腹腔動脈、SMA、および腎動脈に近接している内臓大動脈のような動脈枝の群の位置においては、動脈枝の密度が高いため、設置領域として機能するために利用可能な大動脈の2cmの領域はない。また、動脈枝の群が存在するという事実は、血管器具によるこれらの分枝動脈の閉塞が、これらの動脈によって供給されている身体の部分への血流を止める、又は制限するので、従来の血管器具の使用を複雑にする。
【0028】
従来の解決策は、異なる方法でこれらの問題に対処しようと試みてきた。例えば、腹腔動脈とSMAに近接している大動脈瘤には、有窓の血管内挿型人工血管が、腎臓下部の血管における挿入部位(entry point)から腹部大動脈に配送されるように使用されている。窓、または血管内挿型人工血管の壁の開口部は、特定の患者のための典型的な外科医によるカスタムメイドのものであって、十分な血流が下流の臓器に提供されることを確実にするために、慎重に分岐動脈と位置合わせさせなければならない。窓が適切に位置合わせされた場合でも、大動脈の心拍毎の自然な伸縮は、しばしば時間をかけてステントグラフトの移動を引き起こす。そのような移動の結果、窓の初期の位置合わせが失われる可能性があり、その影響を受けた動脈によって供給される器官は、不十分な血流の影響を受ける可能性がある。
【0029】
他の例として、大動脈弓に位置し、比較的小さな大動脈瘤については、有窓血管内挿型人工血管を血管内、例えば下行大動脈のように、心臓から遠位にある血管構造内の挿入部位から大動脈に配送することができる。窓は、十分な血流が下流臓器に提供されることを保証するために、再び慎重に分岐動脈と位置合わせされる必要があり、再び各心拍による大動脈の自然な伸縮がしばしば経時的にステントグラフトの移動を引き起こして、最初に行った窓の位置合わせを妨げて、下流器官への血流の量を減少させる可能性がある。
【0030】
他の場合には、分枝状血管内挿型人工血管(例えば、小径ステントグラフトが延びている血管内挿型人工血管)が動脈分岐に主ステントグラフトの追加の「分枝」を配置するために使用されてもよい。このような方法は、血管内挿型人工血管の本体部からの血流のための通路を維持することに加えて、動脈に構造的支持を提供する。けれども、有窓の血管内挿型人工血管と同様に、分枝血管内挿型人工血管は、従来のように、血管系内の遠位挿入部位から標的部位に配送される。けれども、大動脈に対する動脈枝の角度のため、動脈枝内に主血管内挿型人工血管から脱分岐ステントグラフト肢を拡張することはしばしば困難である。例えば、内臓大動脈に対して、分枝血管内挿型人工血管は、従来、血管系における外腎挿入部位から標的部位に配送される。このように、大動脈に関して腹腔動脈とSMAなどの動脈枝の角度は、それぞれの動脈枝に主血管内挿型人工血管から脱分岐ステントグラフト肢を拡張することを困難にする。さらに、血管内挿型人工血管の移動(すなわち、患者の足の方向への)または大動脈リモデリングは、ステントグラフト肢を有するメイン血管内挿型人工血管の接合部に応力をかけることがある。このように、時間をかけて破断が発生する可能性があり、それにより血液が動脈瘤の領域に入るかもしれない。
【0031】
特に大動脈弓における大きな動脈瘤のため、大動脈の損傷した部分を切り取り、その部分を人工血管と置き換えることにより、異常部位を修復するために手術が必要となる場合がある。このような器具は、動脈枝のサイズと間隔を反映しようとする脱分岐(例えば、小径ステントグラフトが延びている血管内挿型人工血管)を含んでいて、体の下流部分への血流を維持するために、各枝がそれぞれの動脈枝内に挿入することができるようにしてもよい。分枝の血管内挿型人工血管に関して上述したように、これらの治療を必要とする患者の大きさが変化して、各患者の解剖学的構造がそれぞれ独特であるため、これらの器具は、しばしば、特定の患者の解剖学的構造に適切に対応することができず、そのような器具の使用は、不適切なサイズおよび/または血管器具に結合した分岐の角度と大動脈弓に関する動脈枝の自然な角度との間の違いのために、患者の血管系と人工血管そのものに付加的な応力をかけてしまいがちである。
【0032】
したがって、本発明の実施形態は、大動脈の病変に対処するための2つの構成要素からなる血管装置を提供する。以下でより詳細に示されて説明するように、構成要素の一方の端部は他の構成要素の端部によって受容されるように構成されて、2つの構成要素が各々別々に配送されて標的部位で配置することができるにしていていもよいが、同時に、体腔内の位置において一旦一つの装置として協働して機能する。また、構成要素の各々は、互いに独立して機能するように構成されてもよく、大動脈のある部分のみが補修を必要とする場合は1つだけの構成要素を配置する必要になる。後で、その大動脈の隣接部がまた修復を必要とする場合、第二構成要素は、配置および第一構成要素に接合されて、2つの構成要素からなる装置を完成させ、より完全に大動脈の異常に対処してもよい。
図2A〜5に示すように、いくつかの実施形態では、構成要素の隣接する端部は、単一の管状横断面を含む。一方他の実施形態では、
図6A〜10に示すように、一つの構成要素の端部が陥入され或いは自身の内側に折り畳まれて、隣接する構成要素のそれぞれの端部を受容するように構成された第2の狭い直径の管状横断面が形成される。以下により詳細に記載されるように両方の場合において、設置領域は、他の構成要素の隣接する端部を受容するための一方の構成要素の端部内に作成される。
【0033】
図2Aを参照して説明する。血管装置100は、このように第一構成要素110および第二構成要素120を含むように設けられている。上述したように、第一および第二構成要素110、120は標的部位に配送および配備の目的のために互いに分離しているが、二つの構成要素は、体腔内の位置において一つの器具として協働して作用するように構成されている。あるいは、各構成要素110、120は、以下でより詳細に説明するように、互いに独立して使用することができる。
【0034】
一例として、内臓大動脈の修復を用いて説明する。第一構成要素110は、副腎挿入部位または腎臓下部挿入部位のどちらか(例えば、開業医による血管系開放)から生体管腔内に置かれている配送器具を介して標的部位に配送されるように構成されてもよい。副腎挿入部位の例としては、腋窩動脈、上腕動脈、又は鎖骨下動脈の位置を含むことができる。腎臓下部の挿入部位の例としては、大腿動脈が含まれる。したがって、いくつかの場合において、順行性配送(すなわち、血流の方向の配送)は第一構成要素および/または第二構成要素の標的部位の近傍に位置決めするために使用することができる。他の場合には、逆行性配送(すなわち、血流の方向と反対方向の配送)は、1つまたは両方の構成要素を位置決めするために使用されてもよい。配送器具(例えば、配送カテーテル)は、例えば、16■20 Frの装置であってもよい。
【0035】
この点に関して、第一構成要素110は、第1の端部130と第2の端部135を含むことができる。第2の端部135は、第一の端部130よりも小さい直径を有していてもよい; 従って、テーパ部140は、第2の端部135に近接して設けてもよい。いくつかの場合において、第一構成要素110は、配送器具の壁によって第一構成要素の直径が減少していってコンパクトな構成で保持されるように、(配送カテーテルを介して)半径方向に拘束された状態で標的部位に配送することができる。第一構成要素110、又は第一構成要素の少なくとも一部は、半径方向の制約が除去されると、第一構成要素が事前に定義された、より大きな直径となるように、自己拡張可能であってもよい。
【0036】
したがって、いくつかの実施形態において、一旦第一構成要素110が各配送器具から配置されて、例えば、第一構成要素110は、標的部位における非拘束状態に向かって自己拡張を許され、テーパ部140及び第2の端部135は、第一の端部130に近接した第一構成要素の部分における小径を維持することができる。テーパ部および/または第2の端部135は約16mm〜30mm(例えば、2mm刻みの増分)の直径を有することができるのに対し、例えば、第一の端部130は、約30mm〜48mm(例えば、2mm刻みの増分)の直径を有することができる。このように、
図3において、第一構成要素110は、腎臓への血液の流れを妨げることなく、腎動脈30、31付近の位置に配置することができる。むしろ、
図3のA方向の血流は、狭径部を通過して流れ、腎動脈への流れ(B方向)を支援するだろう。
【0037】
窓111、112は、第1の構成要素110を介して、例えば、腹腔動脈およびSMAのような分枝動脈への挿入のために脱分岐ステントグラフト肢を受けるため、テーパ部140に規定されてもよい。
図2Bを参照して説明する。第一構成要素110部の内壁において、通路180は、窓111、112を通して外へと、及び位置合わせした腹腔動脈およびSMA(この例では)の中へと、第一構成要素の少なくとも長さの部分に沿ってステントグラフト肢を案内するために、第一構成要素の内壁に沿って設けてもよい。通路180は、第一構成要素110内に形成された円筒状のチューブ(例えば、一部として成形)として構成され得るか、またはステントグラフト肢の少なくとも一部が伸びている第一構成要素110の内壁に取り付けられていてもよい。各通路180は、直径が約4mm〜10mmであり、第一構成要素110の内壁に沿って約1.5〜2.5cm伸びている。
【0038】
いくつかの実施形態では、通路180は、第一構成要素110の内壁に取り付けられている布帛(例えば、ゴアテックス(登録商標)またはダクロン(登録商標)材)あるいは金属メッシュスリーブ(またはその組み合わせ)からなっていてもよい。通路を構成する管へのアクセスを維持し(例えば、通路の開放を維持する)、同様にガイドワイヤおよび/またはステントグラフト肢の通路への挿入を容易に行えるように通路の開口部の位置の視覚的な表示を外科医に提供するために、放射線不透過性材料からなるマーカーバンド183(
図2Bに示される)は、それぞれの窓111、112から最も遠位の各通路180の端部に設けてもよい
さらにいくつかの実施形態において、対応する分岐動脈にステントグラフト肢を導くように、通路180の一部はそれぞれの窓111、112から延びることができる。例えば
図2Cにおいて、通路180の第一の部分181は布帛のみであって、窓111、112から伸びていて、メッシュでサポートされている布帛で作られた通路の第二の部分182が続いており、通路の第二の部分は少なくとも部分的に対応する動脈枝内に延びるように構成されている。第一の部分181は、約1mm〜2mmの長さであり、第二の部分182は、約4mm〜6mmの長さであってよい。通路180の内側部分と動脈枝内に延びるように構成されている通路の部分との間に布帛のみの1mm〜2mmの部分を設けることにより、通路は、例えば、幾分曲げ、曲がるようにさせて、対応する動脈枝とのより良い位置合わせを可能にし、配送および/または配置時だけでなくそれ以降の手順(大動脈改造によるものなど)において構成要素によじれや損傷が生じることを防ぐことができる。
【0039】
第一構成要素110及びステントグラフト肢(
図3にて破線で示されている)はそれぞれ、ガイドワイヤを介して配送してもよい。メインの血管内挿型人工血管が標的部位に近接した位置に置かれると、脱分岐肢は窓111、112を通って延ばされて、それぞれの動脈枝内に拡張されることができる。
【0040】
ガイドワイヤがステントグラフト肢を配送するため通過できる通路180を設けることにより、ステントグラフト肢の配送のためのより自然な角度となることを促すことができる。換言すれば、ガイドワイヤを介して通路180内をステントグラフト肢を通過させることにより、第一構成要素110の壁との接合部におけるステントグラフト肢の角度は、ステントグラフト肢および/または第一構成要素における応力を最小化する角度で固定保持されることができる。また、通路180がそれぞれのステントグラフト肢のための「設置領域」として機能することができ、それによってメインの血管内挿型人工血管に関してはステントグラフト肢が移動してしまうリスクを低減させる。上述したように、各通路180は、脱分岐肢を案内するようにその中に通路が構成されている分岐動脈(例えば、腹腔動脈とSMA)の直径に近似する直径を有するように構成することができる。また、脱分岐肢(例えば、腹腔動脈および/またはSMAのサポートのため)が必要ない場合には、窓111、112を介して血液が漏れるのを防止するために、通路180の一方または両方にプラグ(図示せず)を挿入してもよい。
【0041】
テーパ部140と第2の構成(すなわち、大きさや形)は、上で説明し、
図3に示した。腎動脈への血流が維持されるので、第一構成要素110および窓111、112を通っている任意の脱分岐肢の適切な位置決めは、腎臓への血流についての過度の懸念を生じさせることなく行うことができる。換言すれば、医師は患者の腎臓への血流に重要な影響を与えることなく、第一構成要素110及び任意の脱分岐肢を適切に位置決めするために多くの時間を取ることができる。
【0042】
第一構成要素110が配置されると、
図2Aを参照すると、第2の構成要素120は必要に応じて、患者の血管系に挿入される(第一構成要素のための配送器具と同一又は異なっていてもよい)配送器具によって標的部位に配送することができる。
【0043】
第二構成要素120は、挿入部位に対して、第1の端部150と第2の端部155を含むことができる。第2の端部155は、いくつかの場合において、第1の端部150と実質的に同じ直径を有することができる。他の場合には、しかし、第二構成要素120の第2の端部155は、第1の端部150よりも小さい直径を有していてもよいし、図示のように、テーパ部160を含んでもよい。第二構成要素120の第2の端部155の直径は、しかしながら、隣接する第一構成要素110の第2の端部135の直径よりも大きくてもよい。以下により詳細に記載されるように、第一構成要素110の第2の端部135は、第二構成要素120の第2の端部155内に受け入れられるように構成されてもよい。例えば、第二構成要素120の第1の端部150は、約22mm〜40mmの直径を有し、第二構成要素の第2の端部155は、約18mm〜30mmの直径を有することができる。
【0044】
第一構成要素110とともに、腎臓へのより直接的な血流と腎動脈の支えを可能にするために、脱分岐肢は第二構成要素120の主な血管内挿型人工血管から、窓121、122を通って腎動脈内に延長することができる。第一構成要素110に関して上述したように、窓121、122を通って対応する腎動脈内へと脱分岐肢を案内するために、通路(図示せず)を第二構成要素120の内壁に設けてもよい。
【0045】
最後に、第一および第二構成要素110、120を設置した後に、各構成要素の第2の端部135、155を連結、結合、付着、又は接合して、二つの構成要素を固定して、標的部位に対しておよび二つの構成要素それぞれに対してその位置を維持することができる。この点で、オーバーラップセグメント(例えば、各テーパ部140、160)は、
図4に示すように、大動脈壁全体の直径に適合するように拡張することができ、第一および第二構成要素をお互いに対して及び標的部位に対してさらに固定しうる。例えば、テーパ部140、160と小径の第2の端部135、155は、第2の端部135(オーバーラップセグメントの場所)に近接した第一構成要素110内に配置されたバルーンを膨らませることによって拡張させることができる。第一および第二構成要素110、120の相対的なサイズ(例えば、各々の公称直径)に応じて、一定量のオーバーラップは、2つの構成要素間の適切な結合を確実にするために必要とされ得る。例えば、第一構成要素110が約4mmオーバーサイズである場合(例えば、第二構成要素120よりも大径)、約3mmのオーバーラップ長は、2つの構成要素が一旦膨張したら両者間で移動しないことを確実にできるよう必要とされる。第一構成要素110がオーバーサイズではない又は、より少ない程度にオーバーサイズである場合には、第一及び第二構成要素110、120が一旦隣接したら互いに対して移動しないことを確実にするために、長いオーバーラップ長が必要とされうる。
【0046】
いくつかの実施形態では、オーバーラップゾーン(例えば、第一および第二構成要素のオーバーラップ部)を形成している第一および第二構成要素110、120の各々の部分は、バルーン拡張を容易にするために、それぞれの構成要素の残りの部分とは異なる材料で作ることができる。例えば、第一および第二構成要素110、120の非オーバーラップ部は、布メッシュによって覆われたニチノールなどの自己拡張型、形状記憶合金で作られてもよく、他方の構成要素の対応する部分と重なるように構成された部分は、例えばステンレス鋼等の材料で作ることができる。上記のように、さらに第二構成要素120は、第一構成要素110の最終的な(拡張された)直径よりも最終的な(拡張された)直径が、約4mm〜8mm小さいように構成することができる。
【0047】
また、膨張したバルーンを介してそれぞれの構成要素110、120の第2の端部135、155を拡張させることにより、自己拡張型の端部と比較して、必要に応じて、多かれ少なかれ端部を拡張させるためにより柔軟性をもたせてもよい。換言すれば、特定の患者における患部の解剖学的構造に応じて、同じサイズの血管内挿型人工血管を使用しても、医師が決定するようにそれぞれの第2の端部を多かれ少なかれ拡張させてもよい。例えば、オーバーラップゾーンは、外科医によって適切であると決定された、バルーン拡張によって20mm、25mm、または30mmの最終直径であるように構成されてもよい。オーバーラップ領域の長さは、構成要素間の漏れを最小限にするために第一および第二構成要素110、120との間の最適な適合を提供するよう、必要に応じて、調整することができる。例えばいくつかの実施形態では、オーバーラップゾーンは約2cmと5cmの間の長さであってもよい。
【0048】
腹腔動脈、SMA、および腎動脈の近傍である胸腹部領域のような動脈枝の密度が高い大動脈の領域に対処するために2つの構成要素を用いることにより、その領域内の動脈枝は、段階的なやり方で群として対処することができ、それによって血管内修復するための手順を簡略化し、より安全で、より再現性のある結果を可能にする。さらに、2つの構成要素(例えばこの例では、副腎動脈のための第一構成要素と、外腎動脈のための第二構成要素)を用いて、患者のニーズを満たすための手順を構成するのに施術者により大きな柔軟性与えることができる。例えば、いくつかの場合において、患者は、例えば、腹腔動脈とSMAの上側の大動脈の一部に、第一構成要素110の配送だけ要求するかもしれない。第一構成要素110は、この場合には、順行性又は逆行性配送により配送されてもよいし、腹腔動脈とSMA内に脱分岐肢を伸長することにより、その結果第2の端部135に近接した適切な"設置領域"を提供することができて、第二構成要素120を必要としなくなるかもしれない。この場合、小径の第2の端部135は展開されず、むしろ、
図3に示すように、腎動脈への適切な血流を可能にするようにテーパ形状に維持することができる。しかし、その後の手順として、腎動脈および/または腎動脈の近くの大動脈の部分を処置する必要がある場合、第二構成要素120を、説明したように、その時点で、その領域に配送して、第一構成要素に連れ添わせてもよい。
【0049】
さらに、別個の第一および第二構成要素は、患者の血管構造内への配送を容易にするために、一方または両方の構成要素をよりよい大きさにすることができる。例えば、第一構成要素110及び/又は第二構成要素120が、腹腔動脈、SMAおよび腎動脈のすべてに対処するように構成された従来の血管内挿型人工血管よりも全体で(overall)小さい直径を有するように構成されてもよい。全体で小さな直径であるとき、上述したように、一方または両方の構成要素110、120は、副腎挿入部位から順行性の様式で配送可能であって、動脈へのアクセスのより自然な角度を提供し、最初の配送と展開中またはグラフトの移動又は大動脈改造の結果として後で生じる、脱分岐肢をよじれさせ及び/又は折れさせる機会を減少させる。さらに、2つの群における動脈枝に取り組むことにより、必要に応じて2つの構成要素間のオーバーラップの長さを異ならせて2つの動脈グループの間により多くの余地を提供するために、施術者は腹腔動脈とSMAを僅かに上方へ移動させ、腎動脈を僅かに下方へ移動させることにより、例えば動脈枝の位置を操作することを可能にする。
【0050】
上記の説明は、腹腔動脈、SMA、および腎動脈の領域における大動脈病変の例を用いているが、大動脈の他の領域における他の条件はまた、上記の2つの構成要素、三段階の手順を使用して対処することができる。例えば、
図5を参照して説明する。上行大動脈と大動脈弓の病態も同様の構成要素と手順を用いて取り扱うことができる。例えば、この場合の第一構成要素110は、腕頭動脈45の近傍の位置に逆行様式で配送することができ、心臓の近傍に第1の端部130を配置し、大動脈弓内に第2の端部135を配置する。窓190は、テーパ部140に設けて腕頭動脈と位置合わせさせて窓の中に右鎖骨下動脈50からガイドワイヤの通過を可能にしてもよく、それにより、脱分岐ステントグラフトは、ワイヤを介して配送され、腕頭動脈のサポートのために窓190内に受け入れられる。内臓大動脈における使用のために構成された構成要素に関連して上述したようにいくつかのケースでは、テーパ部140は、第一構成要素110の全周にわたって延びることができる。しかしながら、他の場合では、施術者が大動脈弓(例えば腕頭動脈45および/または左頸動脈55が延びる大動脈弓)の外周曲面にテーパ部を整合させる必要があるように、テーパ部140は、第一構成要素110の片側のみに設けてもよい。
【0051】
必要であれば、上述したように、第二構成要素120は、第二構成要素の対応するテーパ部160が左頸動脈55および左鎖骨下動脈60に近接して配置されるように、逆行性様式で配送することができる。再度、窓192、194は、左頸動脈55および左鎖骨下動脈60と整合するようにテーパ部160に設けてもよい。このように、第二構成要素120を通過してそれぞれの動脈へと窓192、194を通って入るガイドワイヤは、左頸動脈55および左鎖骨下動脈60を支持するための脱分岐肢(ステントグラフト)が前記ワイヤにより配送される(例えば、第二構成要素におけるメインの血管内挿型人工血管内から)ようにすることができる。上述したように第一および第二構成要素110、120の一方または両方の内面は、窓を通って、対応する動脈枝内に脱分岐肢をガイドして支持するように構成された通路(図示せず)を規定することができる。
【0052】
第一および第二構成要素110、120は、オーバーラップする第2の端部内からのバルーンの膨張を介して、上述したようにそれぞれの第2の端部において結合させることができる。しかしながら
図5に示すように、いくつかのケースでは構造の管理や適用によって、第二構成要素120の第2の端部155は、第一構成要素110の第2の端部135内に受け入れられるように構成されてもよい。
【0053】
上述の例に加えて、本発明の実施形態は、胸骨全切開または左側の小さな開胸(例えば第5または第6肋間空間において)を介して左心尖における病変に対処することを可能にする。また、上行大動脈内の病変は、部分上部胸骨切開、胸骨全切開、または右側の小さな開胸(例えば、第3肋間空間において)を介して対処することができる。
【0054】
上述の血管装置100の、第一構成要素110及び/又は第二構成要素120は、体内腔に配置するための、および血管異常を閉塞するのに適した任意の材料または材料の組合せで作ることができる。例えば、構成要素のそれぞれの第1の端部130、150の近傍の部分であるような、第一および第二構成要素110、120の一方または両方の部分は、形状記憶合金(例えば、ニチノール)製のワイヤーフレームを含むことができ、それにより直径が減少した収縮ポジションにある拘束状態の時(例えば、配送カテーテル内に配置された時)から、拡張ポジションにある非拘束状態の時(例えば、配送カテーテルから展開されたとき)に自己拡張するように設定されている。しかし、構成要素のそれぞれの第2の端部135、155の近傍の部分であるような、第一および第二構成要素110、120の一方または両方の他の部分は、自己拡張するように構成されていない金属でできていてもよく、むしろ、外向きの半径方向の圧力が(そのようにバルーンが拡張するなど)、構成要素内部から作用すると展開することができる。さらに、ワイヤフレームの部分は、配送および機能を容易にするための特性(上述したように、例えば、テーパー形状または細径部)を有するフレームを提供するために、いくつかの場合には熱処理されてもよい。
【0055】
第一および/または第二構成要素110、120のワイヤフレームは、取り囲む又はワイヤフレームに埋め込まれている材料の遮蔽層のための構造的支持体として働くことができる。遮蔽層は、例えば、ポリマー材料などの材料を含んでもよい。一例として、例えば、遮蔽層は、ポリエステル繊維を含むことができる。
【0056】
したがって、上述のように、血管装置100は、体腔内の標的部位を治療するための方法を提供する。装置100は、第1の端部と第2の端部とそれらの間に延在する管腔とを規定する第一構成要素を備え、更に、第1の端部と第2の端部とそれらの間に延在する管腔とを規定する第二構成要素を含む。上述したように、第一構成要素は、標的部位の動脈枝の第1グループの近傍の血管壁(例えば、内臓大動脈または大動脈弓のように大動脈の壁)の内側表面と結合するように構成されていてもよい。第二構成要素は、標的部位の動脈枝の第2グループの近傍の血管壁の内側表面と結合するように構成されていてもよい。例えば、内臓大動脈において、動脈枝の第2のグループは、腎動脈とすることができるのに対し、動脈枝の第1のグループは、腹腔動脈とSMAであってもよい。
【0057】
同様に、大動脈弓内において、動脈枝の第1のグループは、腕頭動脈45および/または右鎖骨下動脈50とすることができ、動脈枝の第2のグループは、左頸動脈55および左鎖骨下動脈60とすることができる。第一および第二構成要素の各々は、標的部位に独立して展開可能であってもよいし、上記のように、両方とも独立して、及び他の構成要素と協働して、標的部位での使用のために構成されてもよい。
【0058】
図2A〜5に示された実施形態では、血管装置100は第一および第二構成要素110、120を含み、それぞれの第2の端部135、155は、単一の管状横断面を規定している。しかしながら、他の実施形態では、
図6A〜10に示すように、第一構成要素210の第2の端部235が陥入しており、下記にてより詳細に記載されるように、それにより第二構成要素220の第2の端部240は、それ自体の上に折り畳まれている第一構成要素の区間内に受容される。
【0059】
従って、
図6A、6B、7を参照して説明すると、血管装置200は、第一構成要素210及び第二構成要素220を含むように設けてもよい。
【0060】
第一および第二構成要素210、220は、標的部位に配送および配備のために互いから分離されているが、
図6Bに示されるように、2つの構成要素は、体腔内に一旦置かれたら一つの装置として協働し、作用するように構成されている。あるいは、各構成要素210、220は、以下でより詳細に説明するように、互いに独立して使用することができる。
【0061】
図6A、6Bに示すように、実施形態では、第一構成要素210は第二構成要素220に対して心臓の近位に位置するように構成され(例えば、サイズおよび形状)、第二構成要素220は少なくとも部分的に第一構成要素210内に受け入れられるように構成されている。この点に関して、第一および第二構成要素210、220の各々は、それらが展開される血管の形状に対応する管状の形状を有してもよく、
図7に示すように、そこを血液が流れる体腔を規定することができる。第一構成要素210は、第1の端部230と第2の端部235を含むことができ、第二構成要素220は、第1の端部240と第2の端部245を含むことができる。第一構成要素210の第2の端部235は、
図6B、6Cに示すように、第二構成要素220の第2の端部245に結合して、第一構成要素に対して所定の位置に第二構成要素を保持するための設置領域を提供するように構成されてもよい。
【0062】
この点で、第一構成要素210の第1の端部230の外側表面231(
図6Aに示される)は、標的部位の領域で血管壁250の内面(
図6Cに示す)に結合するように構成されてもよい。第一の端部230は、一旦展開されると血管の内面にぴったりとフィットする大きさの管状構成を有していて、第一構成要素210が展開されると血管壁250に対して定位置に実質的に残るようにしてもよい。第一構成要素210は、このように、いくつかの実施形態では、ニチノールなどの形状記憶合金を含むことができ、配送器具の内に受け入れられて半径方向に拘束された収縮した構成と、配送器具から展開された拡張した構成との間を移るように構成されてもよい。このような実施形態では、第一構成要素210の展開は、第一構成要素210の第1の端部230を血管壁(例えば、この例では大動脈壁)の全径に適合するよう拡張させて、標的部位に対して第一構成要素を止めておくように作用する可能性がある。上記の例では、形状記憶合金を含む第一構成要素を説明するが、人体に適合性のある他の材料、例えばステンレス鋼や他の金属を使用してもよい。このような場合には、第一構成要素210は、第一構成要素の第一の端部230がバルーン拡張または他の膨張機構を介して血管壁に結合するように拡張することができる。
【0063】
第一構成要素210の第2の端部235の外面は、一方で拡大した
図6C示すように、血管壁250の内面と第二構成要素220の第2の端部245の外表面の両方に結合するように構成されてもよい。このようにして、第2の構成要素220は、少なくとも部分的に第一構成要素210内に受容され、第二構成要素の位置は、実質的に第一構成要素に対して固定されてもよい。
【0064】
連続した
図6A、6B、6C、及び
図7を参照すると、いくつかの実施形態において、第一構成要素210の第2の端部235は反転部260を含むことができる。反転部260は、第2の端部235の外側領域275の内面272が反転部において第2の端部の内側領域280の内面278に面するように構成されてもよい。換言すると、内部領域280の外面279が第二構成要素220の第2の端部245を受容し、固定するために第一構成要素210内に管状の設置領域を形成するように(例えば、反転部260の内側領域に対する第二構成要素の第1の端部の膨張を介して)、図示の実施形態における第2の端部235を効果的にそれ自体の上に折り返す。いくつかの実施形態では、設置領域を形成している内側領域280の長さは、1.5−5cmの長さの間の範囲であり、2cmから4cmの間の拡張された内径を有していてもよい。
【0065】
従って、いくつかの実施形態において、反転部は、第一構成要素210の外側領域275及び内側領域280との間の環状空間290を形成してもよい。外側領域275は、さらに、大動脈の対応する分枝血管と実質的に位置合わせされるように構成された1つまたは複数の窓295を規定することができる。
図6A、7に示す例では、第一構成要素210が第二構成要素220対して心臓の近位に配置されるように構成されたところにおいて、単一の窓295が腕頭動脈45(
図1に示す)に実質的に位置合わせするよう構成されて提供されてもよい。さらに、
図6Cに示した第一構成要素210の単一の窓295のような窓295の位置は、変化してもよく、いくつかの実施形態では、必要に応じて、内側領域280と外側領域275との界面により近い又はより遠くであってもよい。しかし
図8A、8Bに示す例では、第一構成要素210が第二構成要素220に対して心臓の遠位に配置されるように構成されたところにおいて、二つの窓295は反転部260の外側領域275内に設けてもよいし、各窓が実質的に、それぞれ左総頸動脈55又は左鎖骨下動脈60と位置合わせしてもよい。
【0066】
そのような実施形態では、血液は環状空間290に流入することができ、それぞれの分岐血管への血流を維持することができるように、窓295を通過することができる。換言すれば、第一構成要素210の実施形態は、反転部260によって規定される環状空間290のおかげで分岐血管への血流を維持するのと同時に、分岐血管の一般的な領域における第二構成要素220の第2の端部245を受け入れるための設置領域を提供するように構成されている。第一および第二構成要素を通る血液の流れは、矢印を使って説明するため、
図6Bと
図8Bに示されている。
【0067】
第一構成要素210の第2の端部235の反転部260は、様々な方法で形成することができる。いくつかの実施形態では、例えば、第一構成要素(例えば、ニチノールなどの形状記憶合金)の材料が環状空間290を規定するプリセット形状となるように、反転部260は、第一構成要素210の第2の端部235を熱固定又は成形により形成することができる。このような実施形態では、第一構成要素210は、前述のように、縮小された直径を有した拘束された構成により、配送カテーテルまたは他の配送器具を介して標的部位に配送することができる。第一構成要素210が配送器具から展開されると、しかしながら、第一構成要素は、第一構成要素の第1の端部230が血管壁の内側表面に結合し、第2の端部235が、反転部260及びそれによって形成された環状の空間290を含むプリセット形状に実質的になるように自己拡張してもよい。いくつかの場合において、第一構成要素110の内部領域180は、環状空間290が最初に折りたたまれるように、第一構成要素の展開中に折り畳まれた状態(例えば、外側領域275に対するよう配置)に拘束されてもよい。環状空間290は、第一構成要素210が体管腔内に配置されると外科医によって別々に拡張する(例えば、外側領域275から内部領域280を離すように引っ張る)ことができる。
【0068】
第二構成要素220は、第1の端部240と第2の端部245を含むことができる。上述したように、第2の端部245は、例えば第一構成要素の第2の端部235の反転部260を介して、第一構成要素210内に受容されるように構成されてもよい。いくつかの場合において、第二構成要素220の第2の端部245は、完全に第一構成要素210内で拡張した際に第1の端部240よりも小さい直径を有することができ、それにより第2の端部245が第一構成要素の反転部260の細径内に受け入れられるように構成されているテーパ部を形作っている。
【0069】
このように、第二構成要素220の第2の端部245は、第一構成要素210の第2の端部235内に拡張したときに第一構成要素210の第2の端部235に結合して連結するように構成され、同時に上述したように、血液が反転部の窓を通って各分岐血管に流れるための環状空間290を成し、維持するような反転部260としている。換言すれば、第一構成要素210の反転部260の内側領域280との結合を維持するために適切な量の半径方向の力をかけ、一方、外側領域275に向かって内側領域を押して各窓部を通る血流を遮断するよう環状空間290を折り畳むことができる過度の半径方向の力をかけないように、第二構成要素220の第2の端部245を構成することができる。
【0070】
いくつかの実施形態では、反転部260の内部領域と外側領域の界面付近における血流の乱流又は凝固の危険性を最小にするように、環状空間290は、第一構成要素210の周囲の全てには延びず、むしろ、窓295の領域に局在化することができる。例えば、
図6Dでは、環状空間290が窓295の近傍に配置されている一方、第一構成要素291の反対側は、反転部(例えば、環状空間を欠いていてもよい)を全く含んでいないことを、実施形態が示している。例えば環状空間290は、第一構成要素210の第2の端部235の周囲に、360°全てとは対照的に、約180°以下でのみ延長することができる。従って、血液は第二構成要素220に第一構成要素210から直接流れることができ、第二構成要素220は、第一構成要素の第2の端部235の直線部分291に対応するように構成する第二構成要素の第2の端部245の部分がテーパを欠いている、または第一構成要素の反転部に結合する反対側と比較してテーパが減少している構成としてもよい。
【0071】
さらに他の実施形態では、
図6Dに示してもいるように、環状空間290は、窓295に近接した支持構造292を含むように構成されてもよい。支持構造292は、例えば、反転部260の反転構造を維持することに加えて、窓295の下流に位置する環状空間290の部分に血液が流れ込むのを邪魔する、ゴアテックス(登録商標)またはダクロン(登録商標)の布で囲まれた金属メッシュ(例えば、ニチノール又はステンレス鋼)からなっていてもよい。このように、反転部260の内側領域と外側領域の間の界面またはその近くの環状空間290内での凝固もしくは乱流を最小化または排除することができる。
【0072】
特定の構成に関係なく、第二構成要素220の第1の端部240は径方向外側に(例えば、血管壁に向かって)拡がるように付勢されてもよい。この点で、第二構成要素220の第1の端部240は、標的部位及び/又は第一構成要素210に対して第二構成要素を固定するため、一旦配送器具から展開された第1の端部が血管壁のそれぞれの部分に適切に結合するように拡張された直径を有するように構成することができる。
【0073】
ここでの説明は、大動脈弓内(例えば、腕頭動脈、左総頸動脈、および左鎖骨下動脈の領域における)の標的部位の治療のため、血管内を配送するように構成されている装置の例を使用しているが、大動脈の他の領域における条件も、前記血管装置の実施形態を用いて対処することができる。例えば、
図9、10を用いて説明すると、腹腔動脈、SMA、および腎動脈の領域内の内臓大動脈の病理も同様の陥入の構成要素および手順を用いて治療することができる。
【0074】
図9、10では、血管装置200の実施形態は、内臓大動脈のような体腔の他の場所における標的部位の治療のために血管内に配送されるように構成されてもよい。例えば、
図9を参照すると、第一構成要素210は、腹腔動脈20 や SMA 25(
図1に示す)に近い位置に配置されるように構成されてもよいし、一方、第二構成要素220は、腎動脈30、31の近くの位置に配置されるように構成することができる。
図9に示されている実施形態では、第一構成要素210は第2の端部235に反転部260を含んでもよく、上記のように反転部は環状空間290を形成してもよい。
【0075】
一つまたは複数の窓295は、各窓が実質的にそれぞれの分枝血管(例えば、腹腔動脈又はSMA)と位置合わせされて血液がそこに流れるように構成されるべく、第2の端部235の外側領域275に規定されてもよい。患者の特定の解剖学的構造および第二構成要素220の適切な結合に必要な設置領域の長さに応じて、窓295の一つが環状空間290の領域に規定されてもよいし、他の窓は、環状空間の外部領域(例えば図のように、第2の端部235と反転部260から遠位側)に規定されてもよい。一方、他のケースにおいて、比較的長い設置領域が必要とされる及び/又は枝血管がより密接に一緒に配置されているようなところでは、窓295の両方が、環状空間290を規定する第2の端部235の外側領域275内に設けられてもよい。次に、第二構成要素220は、2つの構成要素が標的部位に展開されて互いに及び大動脈に結合されると、実質的に腎動脈と位置合わせされる窓295を規定するように構成されてもよい。
【0076】
他の実施形態では、第一構成要素210は、
図10に示すように、第二構成要素220に対して心臓から遠位に配置されるように構成されてもよい。従って、
図10の実施形態では、反転部260は、腹腔動脈に実質的に位置合わせされてそこへの血流を提供する窓295を規定するように構成されるのに対して、第二構成要素220は、腎動脈及びSMAに実質的に位置合わせされてそこへの血流を提供する窓をように構成されてもよい。
【0077】
第一および第二構成要素210、220が特定の構成又は相対位置にあるのにかかわらず、それぞれに設けられた窓295は、一旦構成要素が標的部位に位置して及び/又は第一および第二構成要素が互いに結合したら、それぞれの分枝血管内に血管装置200から脱分岐肢を延ばすために使用することができる。いくつかの実施形態では、第一構成要素210および任意のステントグラフト肢は、各ガイドワイヤにより別々に配送することができる。第一構成要素210及び/又は第二構成要素220が標的部位に近接して位置すると、脱分岐肢は窓295を通って延びてそれぞれの動脈枝に展開してもよい。他の実施形態では、脱分岐肢と構成要素が一緒に配送されるように、脱分岐肢が第一および/または第二構成要素210、220と一体であってもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、上述した
図2A、2Bの血管装置100に関して描かれているように、通路は、第一構成要素の長さの少なくとも一部に沿い、窓295を通って出て、位置合わせされた動脈枝内へとステントグラフト肢を案内するため、第一構成要素210の内壁に沿って設けてもよい。上述のようにガイドワイヤがステント・グラフト肢を配送するために通過できる通路を設けることは、ステントグラフト肢の配送のためのより自然な角度を促すことができる。換言すれば、ガイドワイヤを介して通路をステントグラフト肢を通過させることにより、第一および/または第二構成要素210、220の壁との接合部におけるステントグラフト肢の角度は、ステントグラフト肢および/または、各構成要素にかかる応力を最小限に抑える角度に固定保持されうる。さらに、通路はそれぞれのステントグラフト肢のための「設置領域」として働くことができ、それによって第一および/または第二構成要素210、220に対するステントグラフト肢の移動の危険性を低減させる。各通路は、その通路が脱分岐肢を案内するように構成されているに分岐動脈の直径に近似している直径を有するように構成することができる。また、脱分岐肢が必要ない場合には、窓295を介して血液が逃げるのを防ぐために、栓を対応する通路に挿入することができる。
【0079】
血流はそれぞれの分岐血管へ維持されるので、窓295を通った第一構成要素210および任意の脱分岐肢の適切な位置決めは、それぞれの臓器への血流についての過度の懸念を上昇させることなく行うことができる。換言すれば、
図10に示されている実施形態において、例えば、患者の腎臓への血流に大幅に影響を与えることなく、医師は適切に第一構成要素210及び任意の脱分岐肢を位置決めするために時間をとることができる。
【0080】
第一構成要素210が配置されると、第二構成要素220は、患者の血管系に挿入される配送器具(第一構成要素のための配送器具と同一又は異なっていてもよい)によって標的部位に配送されてもよい。
図6A、6Bの実施形態では(例えば、大動脈弓の領域の修復)、第一及び第二構成要素210、220は、逆行性配送(血液の流れに対する配送)により標的部位に配送されることができる。
図8A、8Bの実施形態で(例えば、内臓大動脈の領域の修復)、第一構成要素210は、逆行性配送または順行性配送(血流の方向に配達)により配送され、第二構成要素220は、第一構成要素の第2の端部235と第二構成要素の第2の端部245との結合のために順行性配送により配送され得る。
図9の実施形態では、第一構成要素210は逆行性または順行性配送により配送される一方、第二構成要素220は逆行配送により配送される。
図10の実施形態で 第一構成要素210は逆行性または順行性配送により配送される一方、第二構成要素220は順行性配送により配送される。第一構成要素210と同様に、別個のまたは一体脱分岐肢は、それぞれの窓295を通って、対応する分岐動脈内に第二構成要素220から延長されてもよい。
【0081】
最後に、第一および第二構成要素210、220が設置された後、2つの構成要素を固定して標的部位に対して及び互いに対して位置を維持するために、第一構成要素と第2の端部235と第二構成要素の第2の端部245とは互いに接続され(connected)、連結され(joined)、接合され(affixed)、あるいは結合され(engaged)うる。この点に関して、第二構成要素220の第2の端部245のテーパ部は、反転部260の領域における第一構成要素210の内径に適合するように半径方向に拡張することができ、第一構成要素210の対応する部分は重なっている。また、第一構成要素210の第1の端部230及び第二構成要素220の第1の端部240は、血管(例えば、大動脈)の壁の内径に適合するように拡張することができ、第一および第二構成要素を互いに及び標的部位に対して固定することができる。
【0082】
上述の例に加えて、本発明の実施形態は、(例えば第5または第6肋間空間において)胸骨全切開または小さな開胸を介して左心尖における病変に対処することを可能にする。また、上行大動脈内の病変は、上部胸骨部分切開、胸骨全切開、または小さな右開胸(例えば第3肋間空間において)を介して対処することができる。
【0083】
大動脈弓及び、腹腔動脈とSMAと腎動脈との近くの胸腹部領域のような、動脈枝の密度が高い大動脈の領域に対処するために二つの構成要素を用いて、それぞれの領域における動脈枝を群内でステップ・バイ・ステップ方式によって対処することができ、それによって手続きを簡素化し、より再現性のある結果を可能にする。上記のように2つの構成要素からなる装置の使用は、外科医が大動脈の病状に対処するために、処置の間に頭部血管への血流の停止を必要としないような処置を用い、より制御された方法により行うことができる処置を用いることを可能とする。さらに、2つの構成要素を用いると、患者のニーズを満たすための手順を構成するために施術者により柔軟な対処を可能とする。例えば、いくつかの場合において、患者は、例えば、腹腔動脈およびSMA(
図3、9)の上の大動脈の部分に対処するため、第一構成要素110、220の配送のみを必要とかもしれない。しかし、腎動脈および/または腎動脈の近くの大動脈の部分に対処するために必要とされるその後の手順は、上述したように第二構成要素120、220を、その時点でその領域に配送して、第一構成要素110、210に結合させてもよい。
【0084】
さらに、別々の第一および第二構成要素は、患者の血管構造への配送を容易にするために、一方または両方の構成要素をよりよい大きさにすることができる。例えば、第一構成要素110、210および/または第二構成要素120、220は、大動脈(内臓大動脈など)の特定の領域における分岐血管のすべてに対処するように構成された従来の血管内挿型人工血管よりも小さい全直径を有するように構成することができる。小さな全直径となることで、一方または両方の構成要素110、210、120、220は、上述したように、副腎挿入部位から順行性の様式で配送可能であり、最初の配送と展開の間または後でのグラフトの移動または大動脈リモデリングの結果のいずれかとして、動脈へアクセスするのにより自然な角度を提供できて、脱分岐肢の折れ曲がりおよび/または破断の可能性を低下させる。
【0085】
上述したように、血管装置100、200の第一構成要素110、210および/または第二構成要素120、220は、体内腔に配置するための、および血管異常を閉塞するのに適した任意の材料または材料の組合せで作ることができる。例えば、構成要素のそれぞれの第1および第2の端部のような第一および第二構成要素110、210、120、220、の一方または両方の部分は、形状記憶合金(例えば、ニチノール)からなるワイヤフレームを含むことができ、それは拘束された状態(例えば、配送カテーテル内に配置されたとき)における小径の収縮位置から、拘束されていない状態(例えば、配送カテーテルから展開されたとき)における拡張位置に自己拡張して前もって決められた形状になるように構成されている。
【0086】
しかしながら、他の場合では、構成要素110、210、120、220の構成要素又は部分は、自己拡張するように構成されていない金属製でもよく、むしろ半径方向外向きの圧力が構成要素内から作用した場合(拡張用バルーンを介してなど)に拡張することができる。加えて、ワイヤフレームの部分は、配送および機能を容易にするよう、特性(上述したように、例えば、反転部および/または環状の空間)を有するフレームを提供するために、いくつかのケースで熱処理してもよい。
【0087】
第一および/または第二構成要素110、210、120、220のワイヤフレームは、ワイヤフレームを取り囲む又はワイヤフレームに埋め込まれている材料の遮蔽層のための構造的支持体として働くことができる。遮蔽層は、例えば、ポリマー材料などの材料を含んでもよい。一例として、例えば、遮蔽層は、ポリエステル繊維を含むことができる。
【0088】
上述したように、体腔内の標的部位に近接して血管装置を位置させるための方法が
図11〜13にまとめられている。体腔内の標的部位に近接して血管装置を位置させるための一実施形態は、
図11にまとめられている。この方法は、ブロック300において、第1の端部及び第2の端部を含む第一構成要素と、第1の端部および第2の端部を含む第二構成要素を含む血管装置を提供することを含む。上述したように、第一構成要素の第2の端部は、第二構成要素の第2の端部と対になるように構成される、又は第二構成要素の第2の端部に結合することができる。
【0089】
第1の配送器具は、副腎の挿入部位を介して体腔内に挿入してもよいし、第1の配送器具の遠位端が標的部位の近傍に配置されてもよい。ブロック310。一旦配置されると次は、第一構成要素が第1の配送器具を介して標的部位に向かって運ばれて第1の配送器具から展開され、第一構成要素の第2の端部が少なくとも一つの動脈枝(例えば腹腔動脈および/またはSMA)から遠位に位置するようになり、第一構成要素の第1の端部が動脈枝の近位に位置するようになる。ブロック320。
【0090】
第一構成要素が配置された後、他の動脈枝を対処する必要があれば、第2の配送器具は、腎臓下部挿入部位を介して体腔内に挿入され、第2の配送器具の遠位端を標的部位の近傍に配置することができる。ブロック330。第二構成要素は、第2の配送器具を介して標的部位に向かって運ばれて、第二構成要素の第2の端部が第一構成要素第2の端部近傍に位置する(例えば上述したように、第一構成要素の第2の端部の周囲)ように配送器具から展開されることができる。ブロック340。第一構成要素は、上記のように、第2の端部に近接してテーパ部を含むことができ、テーパ部は少なくとも一つの動脈枝と位置合わせされている少なくとも一つの窓を規定してもよく、それにより脱分岐肢が、少なくとも一つの窓を通して少なくとも一つの動脈枝に挿入され得るようになっている。第二構成要素はまた、第2の端部に近接してテーパ部を含むことができ、テーパ部は少なくとも一つの他の動脈枝と位置合わせされている少なくとも一つの窓を規定してもよく、上述したようにそれにより脱分岐肢が、少なくとも一つの窓を通して少なくとも一つの他の動脈枝に挿入され得るようになっている。さらに、第一構成要素の第2の端部は第二構成要素の第2の端部と協働する(例えば、結合する)ように構成することができて、それにより上記のように、第一および第二構成要素の位置が互いに対しておよび標的部位に対して維持されるようになっている。各構成要素が展開されてしまった後か、配送器具がもはや必要ないときは第一および第二の配送器具は、体腔から除去する(例えば引き抜く)ことができる。
【0091】
他の実施形態によれば、
図12に示すように、血管装置を体腔内の標的部位の近傍に位置させるための方法は、ブロック400における血管装置を用意することを含む。上記の実施形態で述べたように、血管装置は第1の端部及び第2の端部を含む第一構成要素と、第1の端部及び第2の端部を含む第二構成要素を含んでもよい。第一構成要素の第2の端部は反転部を備えていてもよく、それにより第2の端部の外側領域の内側表面が反転部における第2の端部の内部領域の内側表面に対向するようになっている。
【0092】
ブロック410において、第一構成要素又は第二構成要素の一方が標的部位に配送されうる。構成要素が配置された後、他の動脈枝を対処する必要があれば、第一構成要素又は第二構成要素の他方が、ブロック420において、標的部位に配送されることができる。各構成要素は、患者の血管構造に同一の挿入部位を介して同一の配送器具を介して配送されてもよいし、または別の挿入部位を介して別の配送器具を用いてもよい。いずれの場合においても、第一構成要素の第1の端部の外側表面は、標的部位の近傍の血管壁の内面と結合するように構成され、第二構成要素は第一構成要素の第2の端部の反転部を介して第一構成要素内に少なくとも部分的に受容されうる。このように、第二構成要素の位置は、実質的に上述したように、第一および第二構成要素の結合時に第一構成要素に対して固定されてもよい。
【0093】
さらに他の実施形態において、
図13に示すように、方法は、体腔内において血管装置を標的部位の近傍に位置させるためのものとして提供される。ブロック500において、この方法は、第1の端部及び第2の端部を含む第一構成要素と第1の端部およびの第2の端部を含む第二構成要素を含む血管装置を用意することを含む。第1の配送器具は、体腔内に挿入され、第一の配送器具の遠位端は、ブロック510において標的部位の近傍に配置することができる。第一構成要素は、ブロック520において第1の配送器具を介して標的部位に向かって運ばれていくことができ、第一構成要素は第一構成要素の第2の端部が少なくとも一つの動脈枝の遠位に配置され、第一構成要素の第1の端部は、少なくとも一つの前記動脈枝の近位に位置しているように、ブロック530において、第一の配送器具から展開されてもよい。
【0094】
第2の配送器具は、体腔内に挿入され、第2の配送器具の遠位端は、ブロック540において標的部位の近傍に配置することができる。第二構成要素は、ブロック550において第2の配送器具を介して標的部位に向かって運ばれていき、第二構成要素は、ブロック560において配送器具から展開されて、第二構成要素の第2の端部は、第一構成要素第2の端部の近傍に位置するようになっている。第一構成要素の第2の端部は、第一および第二構成要素の位置が互いに対して、および標的部位に対して維持されるように第二構成要素の第2の端部と協働する構成であっても。さらに、いくつかの実施形態では、第一および第二構成要素の第2の端部は、第二構成要素の第2の端部が第一構成要素の第2の端部を受け入れるように、ブロック570において、第二構成要素の展開後に、バルーン膨張を介して結合されてもよい。
【0095】
図面に示され、上述の装置および方法は、血管装置および装置を配送する方法の単に或る構成を表している。配送の特定の構成および方法は、患者の解剖学的構造、標的部位の状態や位置、施術者の好み、および他の考慮に依存するであろう。
【0096】
要約すると、血管装置は体腔内の標的部位を治療するため上に記載されている。装置は、第1の端部及び第2の端部を規定する第一構成要素と、第1の端部および第2の端部を規定する第二構成要素を含む。第一および第二構成要素は、いくつかの場合では、患者の血管系の異常に対処するために、互いに独立して使用することができ、他の場合では、構成要素のそれぞれの第2の端部が上記のように、血管装置を形成するように結合されることができる。
【0097】
従って、記載された本発明の実施形態は、一方の構成要素の内部に他方の構成要素の端部を受容するための設置領域を提供する2つの構成要素からなる装置を提供することによって、より容易に、より再現性よく、より解剖学的に正しく、より安全な天然血管の結合を可能にするのと同時に、血流が分岐血管に維持されることを可能にする。換言すれば、一方の構成要素の端部に、他方の構成要素の対応する端部のための設置領域として機能するテーパ、細径部または反転部を設けることにより、大動脈弓および内臓大動脈の動脈の枝のような分枝血管の群を遮り続けることができ、大動脈およびその血管枝の、より自然な結合を達成することができる。
【0098】
また必要な場合、あるいは臨床的状況により処置の完了ができない場合、まだ後でインターベンション(intervention)を完了するためのオプションを維持しながら上述した実施形態における構成要素のいずれかが別々に展開することができる。これは、時間が重要である急性大動脈解離のような急性病態だけでなく、慢性の選択的な治療などに対処するために特に重要である。対照的に、複数の窓を有する単一の構成要素からなる本体を有する従来の器具は、標的部位に展開することがより困難であって位置決めするのにより多くの時間がかかり、そのような従来の装置を配送するための手順は、効率が悪く、特に緊急処置の場合により大きなリスクをもたらす。任意の選択的な手順が、処置手順の進め具合においてより良い制御と変化を必要とするであろう緊急の処置手順にできるように、安全性と効率性が重要な検討事項である。
【0099】
2つの構成要素からなる装置の実施形態は、より小さな直径の配送システムを介して血管内配送を可能にする。その結果、血管組織に対する外傷が発生するのをより少なくしてより多くの血管を経由して標的部位へアクセスすることができ、その中には末梢動脈だけでなく、疾患のためより小径である血管、または特定の患者の解剖学的大きさがより小さい血管が含まれる。
【0100】
本発明の多くの修正および他の実施形態は、前述の説明及び関連する図面に提示された教示の利益を有するために本発明が属する技術分野の当業者に思い浮かぶであろう。従って、本発明は開示された特定の実施形態に限定されるものではなく、変形例および他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されていることが理解されるべきである。いくつかの実施形態では、上記の操作のいくつかのものは修正されうるし、以下にさらに記載されるように拡充することができる。さらに、いくつかの実施形態において、追加の任意の操作は、いくつかの例が
図13に破線で示されているが、含まれてもよい。上記の操作に対しての修正、付加又は拡充は任意の順序で任意の組み合わせで実行されてもよい。例えば、上述し関連する図面に示した方法は第二構成要素より先に第一構成要素を配置するが、場合によっては第二構成要素を第一構成要素よりも先に標的部位に配置することができる。
【0101】
また、上述したように、同一または異なる配送器具を、第一および第二構成要素のそれぞれを配置するために使用することができ、2つの構成要素は、順行性経路、逆行性経路、またはその2つの組み合わせ(例えば、第一構成要素を順行性配送、第二構成要素を逆行性配送)により配送されうる。また、第一および第二構成要素は、いくつかの場合において、本明細書に記載されたものよりも多いまたは少ない特徴を含んでもよい。例えば、追加の窓は、治療される領域及び/又は処置すべき特定の患者の解剖学的構造における動脈枝の構成に応じて含めることができる。特定の用語が本明細書に用いられているが、それらは限定の目的のためではなく、一般的かつ説明的な意味で使用される。