特許第5941589号(P5941589)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5941589基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム及び記録媒体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5941589
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】基板処理装置、半導体装置の製造方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
   C23C 16/52 20060101AFI20160616BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20160616BHJP
   H01L 21/46 20060101ALI20160616BHJP
   H01L 21/677 20060101ALI20160616BHJP
   H01L 21/027 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   C23C16/52
   H01L21/02 Z
   H01L21/46
   H01L21/68 A
   H01L21/30 562
【請求項の数】17
【全頁数】38
(21)【出願番号】特願2015-180483(P2015-180483)
(22)【出願日】2015年9月14日
【審査請求日】2015年11月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100091362
【弁理士】
【氏名又は名称】阿仁屋 節雄
(72)【発明者】
【氏名】澤田 元司
【審査官】 安齋 美佐子
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−280756(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/019893(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/103524(WO,A1)
【文献】 国際公開第2014/103525(WO,A1)
【文献】 特開2012−069809(JP,A)
【文献】 特開平09−104986(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 16/00−16/56
H01L 21/02,21/027,21/205,21/3065
H01l 21/31,21/365,21/46,21/469
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を処理する処理室と、
並設された複数の前記処理室を有する複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールの各々に設けられた熱媒体の流路と、
前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられ、前記処理モジュールの温度を調整する熱媒体を当該処理モジュールに設けられた前記流路に流す複数の温調部と、を有し、
前記流路は、
前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、
前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、
前記上流流路部に接続され、前記処理モジュールにおける並設された複数の前記処理室の間を通る貫通流路部と、
前記下流流路部に接続され、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、
を有するよう構成される基板処理装置。
【請求項2】
前記流路の各々には、前記流路内を流れる熱媒体の状態を各々検出するセンサが設けられ、
前記温調部は、前記センサの各々による検出結果に基づいて各々の前記流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する
請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記複数の温調部は、前記複数の処理モジュールから離れて纏めて設置されており、
前記流路は、前記複数の処理モジュールと各々に対応する前記複数の温調部との間を個別に接続するように構成されているとともに、当該流路が設けられた前記処理モジュールに応じて、当該処理モジュールに対応する前記温調部までの長さが異なるように構成されている
請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記センサは、前記流路を流れる熱媒体の圧力または流量を検出する機能を有し、
前記温調部は、前記流路に流す熱媒体の圧力または流量を制御する機能を有する
請求項2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記センサは、前記流路を流れる熱媒体の温度を検出する機能を有し、
前記温調部は、前記流路に流す熱媒体の温度を制御する機能を有する
請求項2または請求項4に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記センサの設置位置から前記処理モジュールまでの前記流路の長さは、当該流路を流れる熱媒体の状態の損失量が所定範囲内となる長さに構成されている請求項2、4から5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記センサの設置位置から前記処理モジュールまでの前記流路の長さは、前記複数の処理モジュールのそれぞれに対して均等になる長さに構成されている請求項2、4から6のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記流路は、
前記上流流路部と前記貫通流路部とを接続し、前記上流流路部および前記貫通流路部とは別体で設けられた上流側接続流路部と、
前記外周流路部と前記下流流路部とを接続し、前記外周流路部および前記下流流路部とは別体で設けられた下流側接続流路部と、
を有する請求項1から7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記流路は、前記上流流路部と前記貫通流路部とを接続し、前記上流流路部と一体で設けられた上流側接続流路部を有する
請求項1から7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
前記流路は、前記外周流路部と前記下流流路部とを接続し、前記下流流路部と一体で設けられた下流側接続流路部を有する
請求項1から7、9のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項11】
前記流路は、前記上流側接続流路部の曲率半径が前記下流側接続流路部の曲率半径よりも大きくなるよう構成されている
請求項8に記載の基板処理装置。
【請求項12】
前記流路は、前記上流流路部の設置高さと前記下流流路部の設置高さとが異なるように構成されている
請求項1から11のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記センサとして、前記上流流路部に設けられた上流センサに加えて、前記下流流路部に設けられた下流センサを有する
請求項2、4から7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項14】
並設された複数の処理室を有する複数の処理モジュールにおける前記処理室に基板を搬入する工程と、
前記基板が搬入された前記処理モジュールにおける前記処理室にガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整する工程と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールにおける前記処理室から搬出する工程と、
を備え
前記処理モジュールの温度を調整する工程では、前記流路として、
前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、
前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、
前記上流流路部に接続され、前記処理モジュールにおける並設された複数の前記処理室の間を通る貫通流路部と、
前記下流流路部に接続され、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、
を用いる半導体装置の製造方法。
【請求項15】
並設された複数の処理室を有する複数の処理モジュールにおける前記処理室に基板を搬入する手順と、
前記基板が搬入された前記処理モジュールにおける前記処理室にガスを供給して前記基板を処理する手順と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整する手順と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールにおける前記処理室から搬出する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるとともに、
前記処理モジュールの温度を調整する手順では、前記流路として、
前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、
前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、
前記上流流路部に接続され、前記処理モジュールにおける並設された複数の前記処理室の間を通る貫通流路部と、
前記下流流路部に接続され、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、
を用いて、当該手順を前記コンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラム。
【請求項16】
並設された複数の処理室を有する複数の処理モジュールにおける前記処理室に基板を搬入する手順と、
前記基板が搬入された前記処理モジュールにおける前記処理室にガスを供給して前記基板を処理する手順と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整する手順と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールにおける前記処理室から搬出する手順と、
をコンピュータによって基板処理装置に実行させるとともに、
前記処理モジュールの温度を調整する手順では、前記流路として、
前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、
前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、
前記上流流路部に接続され、前記処理モジュールにおける並設された複数の前記処理室の間を通る貫通流路部と、
前記下流流路部に接続され、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、
を用いて、当該手順を前記コンピュータによって前記基板処理装置に実行させるプログラムを記録する記録媒体。
【請求項17】
基板を処理する処理室と、
並設された複数の前記処理室を有する複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールの各々に設けられた熱媒体の流路と、
前記処理モジュールの温度を調整する熱媒体を当該処理モジュールに設けられた前記流路に流す温調部と、を有し、
前記流路は、
前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、
前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、
前記上流流路部に接続され、前記処理モジュールにおける併設された複数の前記処理室の間を通る貫通流路部と、
前記下流流路部に接続され、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、
を有するよう構成される基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造工程で用いられる基板処理装置の一態様としては、例えば処理室(リアクタ)を有する処理モジュールを、搬送室を中心として放射状に複数(例えば四つ)配置するよう構成されたものがある。このような構成の基板処理装置では、各処理モジュールでウエハ等の基板に対する処理を並行して行うことができるが、処理モジュール毎の処理条件を同等にする必要がある。そのため、各処理モジュールには流路が設けられるとともに、それぞれの流路には温調部が接続されている。そして、温調部がそれぞれの流路に熱媒体を流して循環させることで、各処理モジュールの処理室を所定温度(例えば、50℃程度)に維持するようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した構成の基板処理装置において、生産性を高める場合に各処理モジュール間で同様の処理をする場合がある。このような場合、歩留まりの問題から、各処理モジュールで処理されたそれぞれの基板は一定の品質を保つ必要がある。そのため、各処理モジュールの処理条件を、所定の品質が得られる条件に維持する必要がある。ここでいう処理条件とは、例えば温度条件である。
【0004】
本発明は、複数の処理モジュールを備える場合であっても、各処理モジュールの基板を処理する条件を、所定の品質を得られる条件に維持することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様によれば、
基板を処理する複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールの各々に設けられた熱媒体の流路と、
前記流路を流れる熱媒体の状態を検出するセンサと、
前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられ、前記処理モジュールの温度を調整する熱媒体を当該処理モジュールに設けられた前記流路に流すとともに、前記センサによる検出結果に基づいて当該流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する複数の温調部と、
を備える技術が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の処理モジュールを備える場合に、各処理モジュールの基板を処理する条件を、所定の品質を得られる条件に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の第一実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図2】本発明の第一実施形態に係る基板処理装置の処理室の概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
図3】本発明の第一実施形態に係る基板処理装置における配管の巻装態様の一例を模式的に示す説明図であり、(a)は平面図、(b)は図1または図3(a)におけるA−A断面図、(c)は図3(b)におけるB矢視図である。
図4】本発明の第一実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。
図5図4の基板処理工程における成膜工程の詳細を示すフロー図である。
図6】本発明の比較例に係る基板処理装置の一例を模式的に示す説明図である。
図7】本発明の第二実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図8】本発明の第三実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0009】
[本発明の第一実施形態]
先ず、本発明の第一実施形態について説明する。
【0010】
(1)基板処理装置の構成
図1は、第一実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図例の基板処理装置1は、大別すると、基板処理装置の本体部10と、温調システム部20と、コントローラ280と、を備えて構成されている。
【0011】
<本体部の構成>
基板処理装置1の本体部10は、基板搬送チャンバの周囲に複数の処理チャンバを備えた、いわゆるクラスタタイプのものである。クラスタタイプの基板処理装置1の本体部10は、基板としてのウエハ200を処理するもので、IOステージ110、大気搬送室120、ロードロック室130、真空搬送室140、処理モジュール(プロセスモジュール:Process Module)PM1a〜PM1dで主に構成される。次に各構成について具体的に説明する。図1の説明においては、前後左右は、X1方向が右、X2方向が左、Y1方向が前、Y2方向が後とする。
【0012】
(大気搬送室・IOステージ)
基板処理装置1の手前側には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。IOステージ110上には、ウエハを複数枚収納するFOUP(Front Opening Unified Pod:以下「ポッド」という。)111が複数搭載されている。ポッド111は、シリコン(Si)基板などのウエハ200を搬送するキャリアとして用いられる。ポッド111内には、未処理のウエハ200や処理済のウエハ200がそれぞれ水平姿勢で複数格納されるように構成されている。
【0013】
ポッド111には、キャップ112が設けられ、後述するポッドオープナ121によって開閉される。ポッドオープナ121は、IOステージ110に載置されたポッド111のキャップ112を開閉し、基板出し入れ口を開放・閉鎖することにより、ポッド111に対するウエハ200の出し入れを可能とする。ポッド111は、図示しないAMHS(Automated Material Handling Systems:自動ウエハ搬送システム)によって、IOステージ110に対して、供給および排出される。
【0014】
IOステージ110は、大気搬送室120に隣接する。大気搬送室120は、IOステージ110と異なる面に、後述するロードロック室130が連結される。
【0015】
大気搬送室120内には、ウエハ200を移載する大気搬送ロボット122が設置されている。大気搬送ロボット122は、大気搬送室120に設置された図示しないエレベータによって昇降されるように構成されているとともに、図示しないリニアアクチュエータによって左右方向に往復移動されるように構成されている。
【0016】
大気搬送室120の左側には、ウエハ200に形成されているノッチまたはオリエンテーションフラットを合わせる装置(以下、プリアライナともいう)126が設置されている。大気搬送室120の上部には、クリーンエアを供給する図示しないクリーンユニットが設置されている。
【0017】
大気搬送室120の筐体127の前側には、ウエハ200を大気搬送室120に対して搬入搬出するための基板搬入出口128と、ポッドオープナ121とが設置されている。基板搬入出口128を挟んでポッドオープナ121と反対側、すなわち筐体127の外側には、IOステージ(ロードポート)110が設置されている。
【0018】
ポッドオープナ121は、IOステージ110に載置されたポッド111のキャップ112を開閉し、基板出し入れ口を開放・閉鎖することにより、ポッド111に対するウエハ200の出し入れを可能とする。ポッド111は図示しない工程内搬送装置によって、IOステージ110に対して、供給および排出される。
【0019】
大気搬送室120の筐体127の後ろ側には、ウエハ200をロードロック室130に搬入搬出するための基板搬入出口129が設けられる。基板搬入出口129は、後述するゲートバルブ133によって解放・閉鎖することにより、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0020】
(ロードロック室)
ロードロック室130は、大気搬送室120に隣接する。ロードロック室130を構成する筐体131が有する面のうち、大気搬送室120とは異なる面には、後述するように、真空搬送室140が配置される。ロードロック室130は、大気搬送室120の圧力と真空搬送室140の圧力に合わせて筐体131内の圧力が変動するため、負圧に耐え得る構造に構成されている。
【0021】
筐体131のうち、真空搬送室140と隣接する側には、基板搬入出口134が設けられる。基板搬入出口134は、ゲートバルブ135によって解放・閉鎖することで、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0022】
さらに、ロードロック室130内には、ウエハ200を載置する載置面を少なくとも二つ有する基板載置台132が設置されている。基板載置面間の距離は、後述するロボット170のアームが有するエンドエフェクタ間の距離に応じて設定される。
【0023】
(真空搬送室)
基板処理装置1の本体部10は、負圧下でウエハ200が搬送される搬送空間となる搬送室としての真空搬送室(トランスファモジュール)140を備えている。真空搬送室140を構成する筐体141は、平面視が五角形に形成され、五角形の各辺には、ロードロック室130およびウエハ200を処理する処理モジュールPM1a〜PM1dが連結されている。真空搬送室140の略中央部には、負圧下でウエハ200を移載(搬送)する搬送ロボットとしてのロボット170が設置されている。
【0024】
筐体141の側壁のうち、ロードロック室130と隣接する側には、基板搬入出口142が設けられている。基板搬入出口142は、ゲートバルブ135によって解放・閉鎖することで、ウエハ200の出し入れを可能とする。
【0025】
真空搬送室140内に設置される真空搬送ロボット170は、エレベータによって真空搬送室140の気密性を維持しつつ昇降できるように構成されている。ロボット170が有する二つのアーム180,190は、昇降可能なよう構成されている。
【0026】
筐体141の天井には、筐体141内に熱伝導ガスを供給するための図示しない熱伝導ガス供給孔が設けられる。熱伝導ガス供給孔には、図示しない熱伝導ガス供給管が設けられる。熱伝導ガス供給管には、上流から順に熱伝導ガス源、マスフローコントローラ、バルブ(ただし、いずれも不図示)が設けられ、筐体141内に供給する熱伝導ガスの供給量を制御している。熱伝導ガスは、ウエハ200上に形成されている膜に影響が無く、かつ、熱伝導率の高いガスを用いる。例えば、ヘリウム(He)ガスや窒素ガス(N)、水素(H)ガスを用いる。
主に、熱伝導ガス供給管、マスフローコントローラ、バルブで、真空搬送室140における熱伝導ガス供給部が構成される。なお、不活性ガス源、ガス供給孔を不活性ガス供給部に含めてもよい。
【0027】
筐体141の底壁には、筐体141内の雰囲気を排気するための図示しない排気孔が設けられる。排気孔には、図示しない排気管が設けられる。排気管には、上流から順に圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)、ポンプ(ただし、いずれも不図示)が設けられる。
主に、排気管、APCで真空搬送室140におけるガス排気部が構成される。なお、ポンプ、排気孔をガス排気部に含めてもよい。
【0028】
真空搬送室140は、ガス供給部、ガス排気部の協働によって、雰囲気が制御される。例えば、筐体141内の圧力が制御される。
【0029】
筐体141の五枚の側壁のうち、ロードロック室130が設置されていない側には、複数(例えば四つ)の処理モジュールPM1a〜PM1dが、真空搬送室140を中心にして放射状に位置するように配されている。各処理モジュールPM1a〜PM1dは、ウエハに対する処理を行うためのものである。所定処理としては、詳細を後述するように、ウエハ上へ薄膜を形成する処理、ウエハ表面を酸化、窒化、炭化等する処理、シリサイド、メタル等の膜形成、ウエハ表面をエッチングする処理、リフロー処理等の各種基板処理が挙げられる。
【0030】
各処理モジュールPM1a〜PM1dには、ウエハに対する処理を行うためのチャンバとしての処理室(リアクタ)RC1〜RC8が設けられている。処理室RC1〜RC8は、各処理モジュールPM1a〜PM1dのそれぞれに複数(例えば二つずつ)設けられている。具体的には、処理モジュールPM1aには処理室RC1,RC2が設けられる。処理モジュールPM1bには処理室RC3,RC4が設けられる。処理モジュールPM1cには処理室RC5,RC6が設けられる。処理モジュールPM1dには処理室RC7,RC8が設けられる。
【0031】
各処理モジュールPM1a〜PM1dに設けられるそれぞれの処理室RC1〜RC8は、後述する処理空間201の雰囲気が混在しないよう、それぞれの間に隔壁が設けられており、各処理室RC1〜RC8が独立した雰囲気となるよう構成されている。
【0032】
なお、各処理モジュールPM1a〜PM1dにおける処理室RC1〜RC8については、その構成を後述する。
【0033】
筐体141の五枚の側壁のうち、各処理室RC1〜RC8と向かい合う壁には、基板搬入出口148が設けられる。具体的には、処理室RC1と向かい合う壁には基板搬入出口148(1)が設けられる。処理室RC2と向かい合う壁には基板搬入出口148(2)が設けられる。処理室RC3と向かい合う壁には基板搬入出口148(3)が設けられる。処理室RC4と向かい合う壁には基板搬入出口148(4)が設けられる。処理室RC5と向かい合う壁には基板搬入出口148(5)が設けられる。処理室RC6と向かい合う壁には基板搬入出口148(6)が設けられる。処理室RC7と向かい合う壁には基板搬入出口148(7)が設けられる。処理室RC8と向かい合う壁には基板搬入出口148(8)が設けられる。
【0034】
各基板搬入出口148は、ゲートバルブ149によって解放・閉鎖することで、ウエハ200の出し入れを可能とする。ゲートバルブ149は、処理室RC1〜RC8毎に設けられている。具体的には、処理室RC1との間にはゲートバルブ149(1)が、処理室RC2との間にはゲートバルブ149(2)が設けられる。処理室RC3との間にはゲートバルブ149(3)が、処理室RC4との間にはゲートバルブ149(4)が設けられる。処理室RC5との間にはゲートバルブ149(5)が、処理室RC6との間にはゲートバルブ149(6)が設けられる。処理室RC7との間にはゲートバルブ149(7)が、処理室RC8との間にはゲートバルブ149(8)が設けられる。
【0035】
処理室RC1〜RC8と真空搬送室140との間でウエハ200を搬入出する際は、ゲートバルブ149を開状態とし、そのゲートバルブ149から真空搬送ロボット170のアーム180,190が侵入することで、当該ウエハ200の搬入出を行う。
【0036】
<温調システム部の構成>
温調システム部20は、各処理モジュールPM1a〜PM1dにおける処理条件を所定の範囲内に維持するために、各処理モジュールPM1a〜PM1dの温度調整を行うものである。具体的には、各処理モジュールPM1a〜PM1dに巻装されるように設けられた熱媒体の流路である配管310a〜310dを通じて、その配管310a〜310dの管内に熱媒体を流して循環させることで、各処理モジュールPM1a〜PM1dの処理室を所定温度(例えば、50℃程度)に維持するようになっている。
【0037】
配管310a〜310dの管内を流れる熱媒体は、各処理モジュールPM1a〜PM1dを加熱または冷却して目的の温度に制御すべく、温調システム部20と各処理モジュールPM1a〜PM1dとの間での熱を移動させるために使用される流体である。このような熱媒体としては、例えば、ガルデン(登録商標)のようなフッ素系熱媒体を用いることが考えられる。フッ素系熱媒体であれば、不燃性で低温から高温まで幅広い温度範囲で使用でき、しかも電気絶縁性に優れるからである。ただし、必ずしもフッ素系熱媒体である必要はなく、熱媒体として機能し得る流体であれば、例えば、水のような液体状のものであってもよいし、不活性ガスのような気体状のものであってもよい。
【0038】
ところで、各処理モジュールPM1a〜PM1dについては、定期的なメンテナンスを行う必要がある。そして、メンテナンスを行う際には、メンテナンスの対象となった処理モジュールPM1a〜PM1dに対する熱媒体の供給を停止する。
その場合に、例えば、メンテナンスの対象が処理モジュールPM1a〜PM1dのいずれか一つであっても、各処理モジュールPM1a〜PM1dの全てに対する熱媒体の供給を停止してしまうと、各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率が著しく低下してしまう。
また、例えば、メンテナンスの対象についてのみ熱媒体の供給を停止しても、温調システム部20が各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体を一括管理していると、熱媒体の供給停止または供給再開に伴って温調システム部20内での熱収支に変化が生じてしまい、これによりメンテナンスの対象ではない処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の温度が変動してしまう。そのため、熱媒体の温度の変動が安定するまでの間、各処理モジュールPM1a〜PM1dでの処理の開始を待つ必要が生じ、その結果として各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率が低下してしまう。
【0039】
そこで、本実施形態における温調システム部20は、各処理モジュールPM1a〜PM1dの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部320a〜320dを備えている。このような構成とすることで、温調システム部20は、各処理モジュールPM1a〜PM1d単位でのメンテナンスを実現可能とし、各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率の低下を抑制しているのである。
【0040】
(温調部)
温調システム部20を構成する各温調部320a〜320dは、処理モジュールPM1a〜PM1dの温度を調整する熱媒体を配管310a〜310dに流すとともに、その配管310a〜310dに流す熱媒体の状態を制御するものである。そのために、各温調部320a〜320dは、以下に述べるように、それぞれが同様に構成されている。
【0041】
各温調部320a〜320dは、熱媒体の貯留容器である循環槽321を有している。そして、循環槽321には、熱媒体を加熱する加熱ユニット322と、熱媒体を冷却する冷却ユニット323と、が設けられている。加熱ユニット322および冷却ユニット323が設けられることで、各温調部320a〜320dは、熱媒体の温度を制御する機能を有することになる。なお、加熱ユニット322および冷却ユニット323は、公知技術を利用して構成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0042】
また、循環槽321には、対応する処理モジュールPM1a〜PM1dに熱媒体を供給するために当該処理モジュールPM1a〜PM1dよりも上流側に位置する上流流路部としての上流配管部311と、当該処理モジュールPM1a〜PM1dを経て循環してきた熱媒体を回収するために当該処理モジュールPM1a〜PM1dよりも下流側に位置する下流流路部としての下流配管部312と、が接続されている。つまり、各処理モジュールPM1a〜PM1dに対応する配管310a〜310dは、それぞれが上流配管部311(図中実線参照)と下流配管部312(図中破線参照)を有する。そして、上流配管部311には、管内に熱媒体を流すための駆動力(運動エネルギ)を与えるポンプ324と、管内を流れる熱媒体の流量を調整する流量制御部325と、が設けられている。ポンプ324および流量制御部325が設けられることで、各温調部320a〜320dは、熱媒体の圧力または流量の少なくとも一方を制御する機能を有することになる。なお、ポンプ324および流量制御部325は、公知技術を利用して構成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0043】
このような構成の各温調部320a〜320dは、それぞれが各処理モジュールPM1a〜PM1dから離れて一か所に集約されて纏めて設置されている。つまり、各温調部320a〜320dを備えてなる温調システム部20は、各処理モジュールPM1a〜PM1dを備えてなる基板処理装置1の本体部10とは、例えば工場内の別フロアといった離れた場所に集約されて設置されている。基板処理装置1の本体部10と温調システム部20とでは必要とされる設置環境(クリーンルーム内のクリーン度等)が異なるからであり、また温調システム部20における各温調部320a〜320dを纏めて設置したほうが熱媒体の管理等が容易化するからである。
【0044】
(配管)
処理モジュールPM1a〜PM1dとこれに対応する温調部320a〜320dとを接続する配管310a〜310dは、上述したように、処理モジュールPM1a〜PM1dよりも上流側に位置する上流配管部311と、処理モジュールPM1a〜PM1dよりも下流側に位置する下流配管部312と、を有している。そして、上流配管部311と下流配管部312との間の配管部分は、処理モジュールPM1a〜PM1dに巻装されるように構成されている。なお、処理モジュールPM1a〜PM1dへの巻装の具体的な態様については、詳細を後述する。
【0045】
上流配管部311および下流配管部312のそれぞれには、管内に形成される熱媒体の流路を開けたり閉じたりするためのバルブ313,314が設けられている。
また、上流配管部311には、管内を流れる熱媒体の状態を検出するセンサ315a〜315dが、各処理モジュールPM1a〜PM1dのそれぞれに対応して設けられている。熱媒体の状態としては、例えば、当該熱媒体の圧力、流量、温度のいずれか一つ、またはこれらの複数を適宜組み合わせたものが挙げられる。このような状態を検出するセンサ315a〜315dは、公知技術を利用して構成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0046】
ところで、各処理モジュールPM1a〜PM1dは、真空搬送室140の周囲に放射状に位置するように配されている。一方、各温調部320a〜320dは、各処理モジュールPM1a〜PM1dから離れて纏めて設置されている。このことから、各処理モジュールPM1a〜PM1dと各温調部320a〜320dとの間を接続する配管310a〜310dは、それぞれの管長が、対応する処理モジュールPM1a〜PM1dに応じて異なるように構成されている。具体的には、例えば、処理モジュールPM1aとこれに対応する温調部320aとの間を接続する配管310aと、処理モジュールPM1bとこれに対応する温調部320bとの間を接続する配管310bとは、それぞれの管長が異なる。
【0047】
ただし、配管310a〜310dの管長が各処理モジュールPM1a〜PM1d別に異なる場合であっても、各センサ315a〜315dの設置位置から各処理モジュールPM1a〜PM1dまでの各配管310a〜310dの管長は、当該配管310a〜310dを流れる熱媒体の状態の損失量が所定範囲内となる長さに構成されている。これにより、各センサ315a〜315dにより状態検出が行われた熱媒体が各処理モジュールPM1a〜PM1dに到達するまでの当該熱媒体の状態変化を抑制し得るようになる。具体的には、熱媒体の圧力低下、流量低下、温度低下等の損失量が所定範囲内に収まるようにすることが可能となる。
【0048】
また、各センサ315a〜315dの設置位置から各処理モジュールPM1a〜PM1dまでの各配管310a〜310dの管長は、各配管310a〜310dのそれぞれで均等になる長さに構成されている。これにより、各センサ315a〜315dにより状態検出が行われた熱媒体が各処理モジュールPM1a〜PM1dに到達するまでに当該熱媒体の状態変化が生じてしまう場合であっても、その状態変化が各処理モジュールPM1a〜PM1d別にバラついてしまうのを抑制し得るようになる。
【0049】
<コントローラの構成>
コントローラ280は、基板処理装置1の本体部10および温調システム部20の処理動作を制御する制御部(制御手段)として機能するものである。そのために、コントローラ280は、少なくとも、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等の組み合わせからなる演算部281と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶部282と、を有する。このような構成のコントローラ280において、演算部281は、上位コントローラや使用者の指示に応じて、記憶部282から各種プログラムやレシピを読み出して実行する。そして、演算部281は、読み出したプログラムの内容に沿うように、本体部10や温調システム部20等における処理動作を制御するようになっている。
【0050】
なお、コントローラ280は、専用のコンピュータ装置によって構成することが考えられるが、これに限定されることはなく、汎用のコンピュータ装置によって構成されていてもよい。例えば、上述のプログラム等を格納した外部記憶装置(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスク、CDやDVD等の光ディスク、MOなどの光磁気ディスク、USBメモリやメモリカード等の半導体メモリ)283を用意し、その外部記憶装置283を用いて汎用のコンピュータ装置に当該プログラム等をインストールすることにより、本実施形態に係るコントローラ280を構成することができる。また、コンピュータ装置にプログラム等を供給するための手段についても、外部記憶装置283を介して供給する場合に限らない。例えば、インターネットや専用回線等の通信手段を用い、外部記憶装置283を介さずにプログラム等を供給するようにしてもよい。なお、記憶部282や外部記憶装置283は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体として構成される。以下、これらを総称して、単に「記録媒体」ともいう。なお、本明細書において、記録媒体という文言を用いた場合は、記憶部282単体のみを含む場合、外部記憶装置283単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。また、本明細書において、プログラムという文言を用いた場合は、制御プログラム単体のみを含む場合、アプリケーションプログラム単体のみを含む場合、または、その両方を含む場合がある。
【0051】
(2)処理モジュールの構成
次に、各処理モジュールPM1a〜PM1dにおける処理室RC1〜RC8の構成について説明する。
【0052】
各処理モジュールPM1a〜PM1dは、枚葉式の基板処理装置として機能するものであり、既に説明したように、それぞれが二つの処理室(リアクタ)RC1〜RC8を備えて構成されている。各処理室RC1〜RC8は、いずれの処理モジュールPM1a〜PM1dにおいても、同様に構成されている。
【0053】
ここで、各処理モジュールPM1a〜PM1dにおけるそれぞれの処理室RC1〜RC8について、具体的な構成を説明する。
図2は、第一実施形態に係る基板処理装置の処理室の概略構成の一例を模式的に示す説明図である。
【0054】
(処理容器)
図例のように、各処理室RC1〜RC8は、処理容器202を備えている。処理容器202は、例えば横断面が円形であり扁平な密閉容器として構成されている。処理容器202は、例えば石英またはセラミックス等の非金属材料で形成された上部容器2021と、例えばアルミニウム(Al)やステンレス(SUS)等の金属材料により形成された下部容器2022とで構成されている。処理容器202内には、上方側(後述する基板載置台212よりも上方の空間)に、基板としてシリコンウエハ等のウエハ200を処理する処理空間(処理室)201が形成されており、その下方側で下部容器2022に囲まれた空間に搬送空間203が形成されている。
【0055】
下部容器2022の側面には、ゲートバルブ205に隣接した基板搬入出口206が設けられている。ウエハ200は、基板搬入出口206を介して、搬送空間203に搬入されるようになっている。下部容器2022の底部には、リフトピン207が複数設けられている。さらに、下部容器2022は、アース電位になっている。
【0056】
(基板載置台)
処理空間201内には、ウエハ200を支持する基板支持部(サセプタ)210が設けられている。基板支持部210は、ウエハ200を載置する載置面211と、載置面211を表面に持つ基板載置台212と、基板載置台212に内包された加熱部としてのヒータ213と、を主に有する。基板載置台212には、リフトピン207が貫通する貫通孔214が、リフトピン207と対応する位置にそれぞれ設けられている。
【0057】
基板載置台212は、シャフト217によって支持される。シャフト217は、処理容器202の底部を貫通しており、さらに処理容器202の外部で昇降機構218に接続されている。昇降機構218を作動させてシャフト217および支持台212を昇降させることにより、基板載置台212は、載置面211上に載置されるウエハ200を昇降させることが可能となっている。なお、シャフト217下端部の周囲はベローズ219により覆われており、これにより処理空間201内は気密に保持されている。
【0058】
基板載置台212は、ウエハ200の搬送時には、載置面211が基板搬入出口206の位置(ウエハ搬送位置)となるように下降し、ウエハ200の処理時には、ウエハ200が処理空間201内の処理位置(ウエハ処理位置)まで上昇する。
具体的には、基板載置台212をウエハ搬送位置まで下降させた時には、リフトピン207の上端部が載置面211の上面から突出して、リフトピン207がウエハ200を下方から支持するようになっている。また、基板載置台212をウエハ処理位置まで上昇させたときには、リフトピン207は載置面211の上面から埋没して、載置面211がウエハ200を下方から支持するようになっている。なお、リフトピン207は、ウエハ200と直接触れるため、例えば、石英やアルミナ等の材質で形成することが望ましい。なお、リフトピン207に昇降機構を設けて、リフトピン207を動くように構成してもよい。
【0059】
(シャワーヘッド)
処理空間201の上部(ガス供給方向上流側)には、ガス分散機構としてのシャワーヘッド230が設けられている。シャワーヘッド230は、例えば上部容器2021に設けられた穴2021aに挿入される。そして、シャワーヘッド230は、図示せぬヒンジを介して上側容器2021に固定され、メンテナンス時にはヒンジ209を利用して開けられるように構成されている。
【0060】
シャワーヘッドの蓋231は、例えば導電性および熱伝導性のある金属で形成されている。蓋231と上部容器2021との間にはブロック233が設けられ、そのブロック233が蓋231と上部容器2021との間を絶縁し、かつ、断熱している。
【0061】
また、シャワーヘッドの蓋231には、第一分散機構としてのガス供給管241が挿入される貫通孔231aが設けられている。貫通孔231aに挿入されるガス供給管241は、シャワーヘッド230内に形成された空間であるシャワーヘッドバッファ室232内に供給するガスを分散させるためのもので、シャワーヘッド230内に挿入される先端部241aと、蓋231に固定されるフランジ241bと、を有する。先端部241aは、例えば円柱状に構成されており、その円柱側面には分散孔が設けられている。そして、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスは、先端部241aおよび分散孔241cを介して、シャワーヘッドバッファ室232内に供給される。
【0062】
さらに、シャワーヘッド230は、後述するガス供給部(供給系)から供給されるガスを分散させるための第二分散機構としての分散板234を備えている。この分散板234の上流側がシャワーヘッドバッファ室232であり、下流側が処理空間201である。分散板234には、複数の貫通孔234aが設けられている。分散板234は、基板載置面211と対向するように、その基板載置面211の上方側に配置されている。したがって、シャワーヘッドバッファ室232は、分散板234に設けられた複数の貫通孔234aを介して、処理空間201と連通することになる。
【0063】
シャワーヘッドバッファ室232には、供給されたガスの流れを形成するガスガイド235が設けられている。ガスガイド235は、ガス供給管241が挿入される貫通孔231aを頂点として分散板234方向に向かうにつれ径が広がる円錐形状である。ガスガイド235は、その下端が、分散板234の最も外周側に形成される貫通孔234aよりも更に外周側に位置するように形成される。つまり、シャワーヘッドバッファ室232は、分散板234の上方側から供給されるガスを処理空間201に向けて案内するガスガイド235を内包している。
【0064】
なお、シャワーヘッド230の蓋231には、整合器251および高周波電源251が接続されている。そして、これらでインピーダンスを調整することにより、シャワーヘッドバッファ室232および処理空間201にプラズマを生成するように構成されている。
【0065】
また、シャワーヘッド230は、シャワーヘッド230は、シャワーヘッドバッファ室232内および処理空間201内を昇温させる加熱源としてのヒータ(ただし不図示)を内包していてもよい。ヒータは、シャワーヘッドバッファ室232内に供給されたガスが再液化しない温度に加熱する。例えば、100℃程度に加熱するよう制御される。
【0066】
(ガス供給系)
シャワーヘッドの蓋231に設けられた貫通孔231aに挿入されるガス供給管241には、共通ガス供給管242が接続されている。ガス供給管241と共通ガス供給管242は、管の内部で連通している。そして、共通ガス供給管242から供給されるガスは、ガス供給管241、ガス導入孔231aを通じて、シャワーヘッド230内に供給される。
【0067】
共通ガス供給管242には、第一ガス供給管243a、第二ガス供給管244a、第三ガス供給管245aが接続されている。このうち、第二ガス供給管244aは、リモートプラズマユニット244eを介して共通ガス供給管242に接続される。
【0068】
第一ガス供給管243aを含む第一ガス供給系243からは主に第一元素含有ガスが供給され、第二ガス供給管244aを含む第二ガス供給系244からは主に第二元素含有ガスが供給される。第三ガス供給管245aを含む第三ガス供給系245からは、ウエハ200を処理する際には主に不活性ガスが供給され、シャワーヘッド230や処理空間201をクリーニングする際はクリーニングガスが主に供給される。
【0069】
(第一ガス供給系)
第一ガス供給管243aには、上流方向から順に、第一ガス供給源243b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)243c、および、開閉弁であるバルブ243dが設けられている。そして、第一ガス供給源243bからは、第一元素を含有するガス(以下、「第一元素含有ガス」という。)が、MFC243c、バルブ243d、第一ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0070】
第一元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、原料ガスとして作用するものである。ここで、第一元素は、例えばチタン(Ti)である。すなわち、第一元素含有ガスは、例えばチタン含有ガスである。なお、第一元素含有ガスは、常温常圧で固体、液体および気体のいずれであってもよい。第一元素含有ガスが常温常圧で液体の場合は、第一ガス供給源243bとMFC243cとの間に、図示しない気化器を設ければよい。ここでは、第一元素含有ガスを気体として説明する。
【0071】
第一ガス供給管243aのバルブ243dよりも下流側には、第一不活性ガス供給管246aの下流端が接続されている。第一不活性ガス供給管246aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源246b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)246c、および、開閉弁であるバルブ246dが設けられている。そして、不活性ガス供給源246bからは、不活性ガスが、MFC246c、バルブ246d、第一不活性ガス供給管246a、第一ガス供給管243a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0072】
ここで、不活性ガスは、第一元素含有ガスのキャリアガスとして作用するもので、第一元素とは反応しないガスを用いることが好ましい。具体的には、例えば、窒素(N)ガスを用いることができる。なお、不活性ガスとしては、Nガスのほか、例えばヘリウム(He)ガス、ネオン(Ne)ガス、アルゴン(Ar)ガス等の希ガスを用いることができる。
【0073】
主に、第一ガス供給管243a、MFC243c、バルブ243dにより、第一ガス供給系(「チタン含有ガス供給系」ともいう)243が構成される。
また、主に、第一不活性ガス供給管246a、MFC246cおよびバルブ246dにより、第一不活性ガス供給系が構成される。
なお、第一ガス供給系243は、第一ガス供給源243b、第一不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第一不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源234b、第一ガス供給管243aを含めて考えてもよい。
このような第一ガス供給系243は、処理ガスの一つである原料ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の一つに該当することになる。
【0074】
(第二ガス供給系)
第二ガス供給管244aには、下流にリモートプラズマユニット244eが設けられている。上流には、上流方向から順に、第二ガス供給源244b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)244c、および、開閉弁であるバルブ244dが設けられている。そして、第二ガス供給源244bからは、第二元素を含有するガス(以下、「第二元素含有ガス」という。)が、MFC244c、バルブ244d、第二ガス供給管244a、リモートプラズマユニット244e、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。このとき、第二元素含有ガスは、リモートプラズマユニット244eによりプラズマ状態とされ、ウエハ200上に供給される。
【0075】
第二元素含有ガスは、処理ガスの一つであり、反応ガスまたは改質ガスとして作用するものである。ここで、第二元素含有ガスは、第一元素と異なる第二元素を含有する。第二元素としては、例えば、酸素(O)、窒素(N)、炭素(C)のいずれか一つである。本実施形態では、第二元素含有ガスは、例えば窒素含有ガスであるとする。具体的には、窒素含有ガスとして、アンモニア(NH)ガスが用いられる。
【0076】
第二ガス供給管244aのバルブ244dよりも下流側には、第二不活性ガス供給管247aの下流端が接続されている。第二不活性ガス供給管247aには、上流方向から順に、不活性ガス供給源247b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)247c、および、開閉弁であるバルブ247dが設けられている。そして、不活性ガス供給源247bからは、不活性ガスが、MFC247c、バルブ247d、第二不活性ガス供給管247a、第二ガス供給管244a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0077】
ここで、不活性ガスは、基板処理工程ではキャリアガスまたは希釈ガスとして作用する。具体的には、例えばNガスを用いることができるが、Nガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0078】
主に、第二ガス供給管244a、MFC244c、バルブ244dにより、第二ガス供給系244(「窒素含有ガス供給系」ともいう)が構成される。
また、主に、第二不活性ガス供給管247a、MFC247cおよびバルブ247dにより、第二不活性ガス供給系が構成される。
なお、第二ガス供給系244は、第二ガス供給源244b、リモートプラズマユニット244e、第二不活性ガス供給系を含めて考えてもよい。また、第二不活性ガス供給系は、不活性ガス供給源247b、第二ガス供給管244a、リモートプラズマユニット244eを含めて考えてもよい。
このような第二ガス供給系244は、処理ガスの一つである反応ガスまたは改質ガスを供給するものであることから、処理ガス供給系の一つに該当することになる。
【0079】
(第三ガス供給系)
第三ガス供給管245aには、上流方向から順に、第三ガス供給源245b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)245c、および、開閉弁であるバルブ245dが設けられている。そして、第三ガス供給源245bからは、不活性ガスが、MFC245c、バルブ245d、第三ガス供給管245a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0080】
第三ガス供給源245bから供給される不活性ガスは、基板処理工程では、処理容器202やシャワーヘッド230内に留まったガスをパージするパージガスとして作用する。また、クリーニング工程では、クリーニングガスのキャリアガスまたは希釈ガスとして作用してもよい。このような不活性ガスとしては、例えばNガスを用いることができるが、Nガスのほか、例えばHeガス、Neガス、Arガス等の希ガスを用いることもできる。
【0081】
第三ガス供給管245aのバルブ245dよりも下流側には、クリーニングガス供給管248aの下流端が接続されている。クリーニングガス供給管248aには、上流方向から順に、クリーニングガス供給源248b、流量制御器(流量制御部)であるマスフローコントローラ(MFC)248c、および、開閉弁であるバルブ248dが設けられている。そして、クリーニングガス供給源248bからは、クリーニングガス供給源248bからは、クリーニングガスが、MFC248c、バルブ248d、クリーニングガス供給管248a、第三ガス供給管245a、共通ガス供給管242を介して、シャワーヘッド230内に供給される。
【0082】
クリーニングガス供給源248bから供給されるクリーニングガスは、クリーニング工程では、シャワーヘッド230や処理容器202に付着した副生成物等を除去するクリーニングガスとして作用する。このようなクリーニングガスとしては、例えば、三フッ化窒素(NF)ガスを用いることができる。なお、クリーニングガスとしては、NFガスのほか、例えば、フッ化水素(HF)ガス、三フッ化塩素ガス(ClF)ガス、フッ素(F)ガス等を用いてもよく、またこれらを組合せて用いてもよい。
【0083】
主に、第三ガス供給管245a、マスフローコントローラ245c、バルブ245dにより、第三ガス供給系245が構成される。
また、主に、クリーニングガス供給管248a、マスフローコントローラ248cおよびバルブ248dにより、クリーニングガス供給系が構成される。
なお、第三ガス供給系245は、第三ガス供給源245b、クリーニングガス供給系を含めて考えてもよい。また、クリーニングガス供給系は、クリーニングガス供給源248b、第三ガス供給管245aを含めて考えてもよい。
【0084】
(ガス排気系)
処理容器202の雰囲気を排気する排気系は、処理容器202に接続された複数の排気管を有する。具体的には、搬送空間203に接続される排気管(第一排気管)261と、処理空間201に接続される排気管(第二排気管)262と、シャワーヘッドバッファ室232に接続される排気管(第三排気管)263と、を有する。また、各排気管261,262,263の下流側には、排気管(第四排気管)264が接続される。
【0085】
排気管261は、搬送空間203の側面または底面に接続される。排気管261には、高真空または超高真空を実現する真空ポンプとしてTMP(Turbo Molecular Pump:以下「第一真空ポンプ」ともいう。)265が設けられている。排気管261において、TMP265の上流側と下流側には、それぞれに開閉弁であるバルブ266,267が設けられている。
【0086】
排気管262は、処理空間201の側方に接続される。排気管262には、処理空間201内を所定の圧力に制御する圧力制御器であるAPC(Auto Pressure Controller)276が設けられている。APC276は、開度調整可能な弁体(図示せず)を有し、コントローラ280からの指示に応じて排気管262のコンダクタンスを調整する。また、排気管262において、APC276の上流側と下流側には、それぞれに開閉弁であるバルブ275,277が設けられている。
【0087】
排気管263は、シャワーヘッドバッファ室232の側方または上方に接続される。排気管263には、開閉弁であるバルブ270が設けられている。
【0088】
排気管264には、DP(Dry Pump)278が設けられている。図示のように、排気管264には、その上流側から排気管263、排気管262、排気管261が接続され、さらにそれらの下流にDP278が設けられる。DP278は、排気管262、排気管263、排気管261のそれぞれを介して、シャワーヘッドバッファ室232、処理空間201および搬送空間203のそれぞれの雰囲気を排気する。また、DP278は、TMP265が動作するときに、その補助ポンプとしても機能する。すなわち、高真空(あるいは超高真空)ポンプであるTMP265は、大気圧までの排気を単独で行うのは困難であるため、大気圧までの排気を行う補助ポンプとしてDP278が用いられる。
【0089】
(3)配管の巻装態様
次に、各処理モジュールPM1a〜PM1dに巻装される配管310a〜310dについて、その巻装の具体的な態様を説明する。
図3は、第一実施形態に係る基板処理装置に係る基板処理装置における配管の巻装態様の一例を模式的に示す説明図である。
【0090】
既に説明したように、各処理モジュールPM1a〜PM1dは、それぞれが複数(例えば二つずつ)の処理室(リアクタ)RC1〜RC8を備えて構成されている。図3(a)に示す例では、各処理モジュールPM1a〜PM1dが、二つの処理室RCL,RCRを備えている場合を示している。処理室RCLは、図1中の処理室RC1,RC3,RC5,RC7に相当するものであり、処理室RCRは、図1中の処理室RC2,RC4,RC6,RC8に相当するものである。各処理室RCL,RCRは、内部の雰囲気が隔離された状態で隣接して配置されている。
【0091】
各処理室RCL,RCRは、それぞれが同様に構成されたものであるが(例えば図2参照)、室内外を区画する側壁を構成する主な壁部材(すなわち、下部容器2022の構成部材)としてAlやSUS等の金属材料が用いられている。そして、各処理室RCL,RCRの側壁には、温調部320a〜320dから供給される熱媒体が流れる配管310a〜310dの一部分が巻装されている。ここで「巻装」とは、処理室RCL,RCRの側壁の外周側を囲むように配管部分が巻き回された状態で、当該配管部分が処理室RCL,RCRに装着されていることをいう。したがって、各処理室RCL,RCRにおいては、熱伝導率が高い金属材料からなる側壁を介して、巻装された配管部分を流れる熱媒体との熱交換が行われることになる。
【0092】
ところで、各処理室RCL,RCRは、それぞれが隣接するように並設されている。このことから、各処理室RCL,RCRに巻装される配管部分は、各処理室RCL,RCRを隔離する隔壁の壁内を通過するように構成される。つまり、各処理室RCL,RCRの側壁は、当該処理室RCL,RCRの間の隔壁と、当該処理室RCL,RCRの外周側に露出する外壁とで構成される。そして、各処理室RCL,RCRに巻装される配管部分は、各処理室RCL,RCRの間の隔壁内を通る貫通流路部としての貫通配管部316と、各処理室RCL,RCRの外壁の外周側を通る外周流路部としての外周配管部317と、を有する。
【0093】
貫通配管部316および外周配管部317は、図3(c)に示すように、処理室RCL,RCRの上方側から下方側に向けて、螺旋状を描くように巻装される。
ただし、貫通配管部316は、各処理室RCL,RCRの間の隔壁内を通るものなので、各処理室RCL,RCRのそれぞれが共用するように配される。一方、外周配管部317は、各処理室RCL,RCRの外壁の外周側を通るものなので、各処理室RCL,RCRのそれぞれに対して個別に配される。したがって、貫通配管部316および外周配管部317は、図3(a)および(b)に示すように、各処理室RCL,RCRの間の隔壁を中心にして図中左右方向で対称的に配置される。
このように配置されることで、図3(b)および(c)に示すように、貫通配管部316は、螺旋状の上段側に位置する上段側貫通配管部316aと、螺旋状の下段側に位置する下段側貫通配管部316bと、を有することになる。また、外周配管部317は、螺旋状の上段側に位置する上段側外周配管部317aと、螺旋状の下段側に位置する下段側外周配管部317bと、を有することになる。なお、図例では、螺旋状が上段側と下段側の二段に構成されている場合を示しているが、これに限定されることはなく、処理室RCL,RCRの大きさや配管径等に応じて適宜設定されたものであればよい。
【0094】
貫通配管部316のうち、螺旋状の上段側に位置する上段側貫通配管部316aには、図3(a)に示すように、上流側接続流路部としての上流側接続管部318を介して、上流配管部311に接続されている。上流側接続管部318は、上流配管部311および上段側貫通配管部316aとは別体で設けることが考えられるが、上流配管部311と一体で設けられたものであってもよい。このような構成により、上段側貫通配管部316aには、温調部320a〜320dから供給された熱媒体が流れ込むことになる。
【0095】
上段側貫通配管部316aの下流側は、二つに分岐して、各処理室RCL,RCRのそれぞれに対応する上段側外周配管部317aに接続される。それぞれの上段側外周配管部317aは、合流して、下段側貫通配管部316bに接続される。そして、下段側貫通配管部316bの下流側は、二つに分岐して、各処理室RCL,RCRのそれぞれに対応する下段側外周配管部317bに接続される。
【0096】
外周配管部317のうち、螺旋状の下段側に位置する下段側外周配管部317bは、下流側接続流路部としての下流側接続管部319を介して、下流配管部312に接続されている。下流側接続管部319は、下流配管部312および下段側外周配管部317bとは別体で設けることが考えられるが、下流配管部312と一体で設けられたものであってもよい。このような構成により、下流配管部312には、下段側外周配管部317bから排出された熱媒体が流れ込むことになる。
【0097】
このように、上段側貫通配管部316aには上流配管部311が接続され、下段側外周配管部317bには下流配管部312が接続されている。したがって、上流配管部311と下流配管部312とは、それぞれの設置高さが互いに異なるように構成される。
【0098】
以上のような上流配管部311、上流側接続管部318、貫通配管部316、外周配管部317、下流側接続管部319、および、下流配管部312を有する配管310a〜310dは、AlやSUS等といった熱伝導率が高い金属配管材によって構成される。
【0099】
ところで、配管310a〜310dについては、金属配管材によって構成されていても、熱媒体の流速が高い状態で当該熱媒体を流し続けると、金属配管材の表面の金属がイオン化することで、腐食作用が生じてしまうおそれがある。特に、熱媒体が滞留しやすい構造部分があると、その構造部分は、他の配管部分に比べて腐食作用が早く生じ得る。熱媒体が滞留しやすい構造部分とは、例えば、曲率半径の小さい曲がり管形状部分(コーナー部分)、角がある形状部分、熱媒体の主流方向と交差するT字構造部分等のことをいい、圧力の高い熱媒体が衝突する可能性が高い構造部分のことをいう。したがって、配管310a〜310dについては、熱媒体が滞留しやすい構造部分が無いことが望ましい。
【0100】
このことから、各処理室RCL,RCRに巻装される配管部分は、以下に述べるように構成されている。具体的には、貫通配管部316を熱媒体の入力側とし、外周配管部317を熱媒体の出力側としている。そして、入力側から出力側まで熱媒体が流れる際のエネルギー損失が各処理室RCL,RCRのそれぞれの側で均等となるように、左右対称の流路形状としている。
【0101】
このように、貫通配管部316を熱媒体の入力側とし、外周配管部317を熱媒体の出力側とした構成であれば、上流側接続管部318を直線状に形成できるため、少なくとも熱媒体の入力側には、曲率半径の小さいコーナー部分や角がある形状部分等を配置する必要がない。熱媒体の流れは、出力側である下流側よりも入力側である上流側のほうの勢いが強い。そのため、入力側を直線状に形成できれば、熱媒体の流れが強い上流側に当該熱媒体が滞留しやすい構造部分が存在するのを回避し得るようになる。
【0102】
また、下流側接続管部319については、外周配管部317と接続するためにコーナー部分(例えば、図3(a)中における矢印C部分)を配置する必要が生じてしまう。ただし、下流側接続管部319は、熱媒体の流れが弱い下流側に位置するため、コーナー部分を配置する必要があっても、そこに圧力の高い熱媒体が衝突してしまうのを抑制することができる。
つまり、貫通配管部316を熱媒体の入力側とし、外周配管部317を熱媒体の出力側とすれば、上流側接続管部318の曲率半径が下流側接続管部319の曲率半径よりも大きくなるように(すなわち、上流側接続管部318の曲率が下流側接続管部319の曲率よりも小さくなるように)構成することができ、これにより熱媒体が滞留しやすい構造部分が存在するのを抑制し得るようになる。
【0103】
仮に、外周配管部317を熱媒体の入力側とし、貫通配管部316を熱媒体の出力側とした場合には、コーナー部分(例えば、図3(a)中における矢印C部分)に熱媒体が滞留する可能性が高く、これにより腐食作用が生じてしまうおそれがある。
この腐食作用を防ぐためには、各処理室RCL,RCRとコーナー部分との間の距離(管長)を伸ばして、当該コーナー部分の曲率半径を小さく(曲率を大きく)してもよい。
【0104】
ところで、この場合、配管設置スペースを十分に確保する必要が生じてしまい、その結果としてフットプリント(基板処理装置の占有スペース)の増大を招いてしまう。これ対して、前述のように各処理室RCL,RCRに巻装される配管部分は、貫通配管部316を熱媒体の入力側とし、外周配管部317を熱媒体の出力側とした場合、フットプリントが増大しない。したがって、フットプリントを考慮する必要がある場合、配管部分が貫通配管部316を熱媒体の入力側とし、外周配管部317を熱媒体の出力側することが望ましい。
【0105】
(4)基板処理工程
次に、半導体製造工程の一工程として、上述した構成の処理室RCL,RCRを用いてウエハ200上に薄膜を形成する工程について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0106】
ここでは、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてTiClを気化させて得られるTiClガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてNHガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上に金属薄膜として窒化チタン(TiN)膜を形成する例について説明する。
【0107】
図4は、本実施形態に係る基板処理工程の概要を示すフロー図である。図5は、図4の成膜工程の詳細を示すフロー図である。
【0108】
(基板搬入載置・加熱工程:S102)
各処理室RCL,RCR内においては、先ず、基板載置台212をウエハ200の搬送位置(搬送ポジション)まで下降させることにより、基板載置台212の貫通孔214にリフトピン207を貫通させる。その結果、リフトピン207が、基板載置台212表面よりも所定の高さ分だけ突出した状態となる。続いて、ゲートバルブ205を開いて搬送空間203を真空搬送室140と連通させる。そして、この真空搬送室140から真空搬送ロボット170を用いてウエハ200を搬送空間203に搬入し、リフトピン207上にウエハ200を移載する。これにより、ウエハ200は、基板載置台212の表面から突出したリフトピン207上に水平姿勢で支持される。
【0109】
処理容器202内にウエハ200を搬入したら、真空搬送ロボット170を処理容器202の外へ退避させ、ゲートバルブ205を閉じて処理容器202内を密閉する。その後、基板載置台212を上昇させることにより、基板載置台212に設けられた基板載置面211上にウエハ200を載置させ、さらに基板載置台212を上昇させることにより、前述した処理空間201内の処理位置(基板処理ポジション)までウエハ200を上昇させる。
【0110】
ウエハ200が搬送空間203に搬入された後、処理空間201内の処理位置まで上昇すると、バルブ266とバルブ267を閉状態とする。これにより、搬送空間203とTMP265の間、および、TMP265と排気管264との間が遮断され、TMP265による搬送空間203の排気が終了する。一方、バルブ277とバルブ275を開き、処理空間201とAPC276の間を連通させるとともに、APC276とDP278の間を連通させる。APC276は、排気管262のコンダクタンスを調整することで、DP278による処理空間201の排気流量を制御し、処理空間201を所定の圧力(例えば10−5〜10−1Paの高真空)に維持する。
【0111】
なお、この工程において、処理容器202内を排気しつつ、不活性ガス供給系245から処理容器202内に不活性ガスとしてのNガスを供給してもよい。すなわち、TMP265あるいはDP278で処理容器202内を排気しつつ、少なくとも第三ガス供給系のバルブ245dを開けることにより、処理容器202内にNガスを供給してもよい。これにより、ウエハ200上へのパーティクルの付着を抑制することが可能となる。
【0112】
また、ウエハ200を基板載置台212の上に載置する際は、基板載置台212の内部に埋め込まれたヒータ213に電力を供給し、ウエハ200の表面が所定の温度となるよう制御される。この際、ヒータ213の温度は、図示しない温度センサにより検出された温度情報に基づいてヒータ213への通電具合を制御することによって調整される。
【0113】
このようにして、基板搬入載置・加熱工程(S102)では、処理空間201内を所定の圧力となるように制御するとともに、ウエハ200の表面温度が所定の温度となるように制御する。ここで、所定の温度、圧力とは、後述する成膜工程(S104)において、交互供給法により例えばTiN膜を形成可能な温度、圧力である。すなわち、第一の処理ガス供給工程(S202)で供給する第一元素含有ガス(原料ガス)が自己分解しない程度の温度、圧力である。具体的には、温度は例えば室温以上500℃以下であり、好ましくは室温以上であって400℃以下、圧力は例えば50〜5000Paとすることが考えられる。この温度、圧力は、後述する成膜工程(S104)においても維持されることになる。
【0114】
(成膜工程:S104)
基板搬入載置・加熱工程(S102)の後は、次に、成膜工程(S104)を行う。以下、図5を参照し、成膜工程(S104)について詳細に説明する。なお、成膜工程(S104)は、異なる処理ガスを交互に供給する工程を繰り返すサイクリック処理である。
【0115】
(第一の処理ガス供給工程:S202)
成膜工程(S104)では、先ず、第一の処理ガス供給工程(S202)を行う。第一の処理ガス供給工程(S202)において、第一の処理ガスとして第一元素含有ガスであるTiClガスを供給する際は、バルブ243dを開くとともに、TiClガスの流量が所定流量となるように、MFC243cを調整する。これにより、処理空間201内へのTiClガスの供給が開始される。なお、TiClガスの供給流量は、例えば100sccm以上5000sccm以下である。このとき、第三ガス供給系のバルブ245dを開き、第三ガス供給管245aからNガスを供給する。また、第一不活性ガス供給系からNガスを流してもよい。また、この工程に先立ち、第三ガス供給管245aからNガスの供給を開始していてもよい。
【0116】
処理空間201に供給されたTiClガスは、ウエハ200上に供給される。そして、ウエハ200の表面には、TiClガスがウエハ200の上に接触することによって「第一元素含有層」としてのチタン含有層が形成される。
【0117】
チタン含有層は、例えば、処理容器202内の圧力、TiClガスの流量、基板支持部(サセプタ)210の温度、処理空間201の通過にかかる時間等に応じて、所定の厚さおよび所定の分布で形成される。なお、ウエハ200上には、予め所定の膜が形成されていてもよい。また、ウエハ200または所定の膜には、予め所定のパターンが形成されていてもよい。
【0118】
TiClガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ243dを閉じ、TiClガスの供給を停止する。TiClガスの供給時間は、例えば2〜20秒である。
【0119】
このような第一の処理ガス供給工程(S202)では、バルブ275およびバルブ277が開状態とされ、APC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。第一の処理ガス供給工程(S202)において、バルブ275およびバルブ277以外の排気系のバルブは全て閉状態とされる。
【0120】
(パージ工程:S204)
TiClガスの供給を停止した後は、第三ガス供給管245aからNガスを供給し、シャワーヘッド230および処理空間201のパージを行う。
このとき、バルブ275およびバルブ277は開状態とされてAPC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。一方、バルブ275およびバルブ277以外の排気系のバルブは、全て閉状態とされる。これにより、第一の処理ガス供給工程(S202)でウエハ200に結合できなかったTiClガスは、DP278により、排気管262を介して処理空間201から除去される。
次いで、第三ガス供給管245aからNガスを供給した状態のまま、バルブ275およびバルブ277を閉状態とし、その一方でバルブ270を開状態とする。他の排気系のバルブは、閉状態のままである。すなわち、処理空間201とAPC276の間を遮断するとともに、APC276と排気管264の間を遮断し、APC276による圧力制御を停止する一方で、シャワーヘッドバッファ室232とDP278との間を連通する。これにより、シャワーヘッド230(シャワーヘッドバッファ室232)内に残留したTiClガスは、排気管263を介し、DP278によりシャワーヘッド230から排気される。
【0121】
パージ工程(S204)では、ウエハ200、処理空間201、シャワーヘッドバッファ室232での残留TiClガスを排除するために、大量のパージガスを供給して排気効率を高める。
【0122】
シャワーヘッド230のパージが終了すると、バルブ277およびバルブ275を開状態としてAPC276による圧力制御を再開するとともに、バルブ270を閉状態としてシャワーヘッド230と排気管264との間を遮断する。他の排気系のバルブは閉状態のままである。このときも、第三ガス供給管245aからのNガスの供給は継続され、シャワーヘッド230および処理空間201のパージが継続される。なお、パージ工程(S204)において、排気管263を介したパージの前後に排気管262を介したパージを行うようにしたが、排気管263を介したパージのみであってもよい。また、排気管263を介したパージと排気管262を介したパージを同時に行うようにしてもよい。
【0123】
(第二の処理ガス供給工程:S206)
シャワーヘッドバッファ室232および処理空間201のパージが完了したら、続いて、第二の処理ガス供給工程(S206)を行う。第二の処理ガス供給工程(S206)では、バルブ244dを開けて、リモートプラズマユニット244e、シャワーヘッド230を介して、処理空間201内へ第二の処理ガスとして第二元素含有ガスであるNHガスの供給を開始する。このとき、NHガスの流量が所定流量となるように、MFC244cを調整する。NHガスの供給流量は、例えば1000〜10000sccmである。また、第二の処理ガス供給工程(S206)においても、第三ガス供給系のバルブ245dは開状態とされ、第三ガス供給管245aからNガスが供給される。このようにすることで、NHガスが第三ガス供給系に侵入することを防ぐ。
【0124】
リモートプラズマユニット244eでプラズマ状態とされたNHガスは、シャワーヘッド230を介して、処理空間201内に供給される。供給されたNHガスは、ウエハ200上のチタン含有層と反応する。そして、既に形成されているチタン含有層がNHガスのプラズマによって改質される。これにより、ウエハ200上には、例えばチタン元素および窒素元素を含有する層であるTiN層が形成されることになる。
【0125】
TiN層は、例えば、処理容器202内の圧力、NHガスの流量、基板支持部(サセプタ)210の温度、プラズマ生成部206の電力供給具合等に応じて、所定の厚さ、所定の分布、チタン含有層に対する所定の窒素成分等の侵入深さで形成される。
【0126】
NHガスの供給を開始してから所定時間経過後、バルブ244dを閉じ、NHガスの供給を停止する。NHガスの供給時間は、例えば2〜20秒である。
【0127】
このような第二の処理ガス供給工程(S206)では、第一の処理ガス供給工程(S202)と同様に、バルブ275およびバルブ277が開状態とされ、APC276によって処理空間201の圧力が所定圧力となるように制御される。また、バルブ275およびバルブ277以外の排気系のバルブは全て閉状態とされる。
【0128】
(パージ工程:S208)
NHガスの供給を停止した後は、上述したパージ工程(S204)と同様のパージ工程(S208)を実行する。パージ工程(S208)における各部の動作は、上述したパージ工程(S204)と同様であるので、ここでの説明を省略する。
【0129】
(判定工程:S210)
以上の第一の処理ガス供給工程(S202)、パージ工程(S204)、第二の処理ガス供給工程(S206)、パージ工程(S208)を1サイクルとして、コントローラ280は、このサイクルを所定回数(nサイクル)実施したか否かを判定する(S210)。サイクルを所定回数実施すると、ウエハ200上には、所望膜厚のTiN層が形成される。
【0130】
(判定工程:S106)
図4の説明に戻ると、以上の各工程(S202〜S210)からなる成膜工程(S104)の後は、判定工程(S106)を実行する。判定工程(S106)では、成膜工程(S104)を所定回数実施したか否かを判定する。ここで、所定回数とは、例えば、メンテナンスの必要が生じる程度に成膜工程(S104)を繰り返した回数のことをいう。
【0131】
上述した成膜工程(S104)において、第一の処理ガス供給工程(S202)では、TiClガスが搬送空間203の側に漏れて、さらに基板搬入出口206に侵入することがある。また、第二の処理ガス供給工程(S206)でも同様に、NHガスが搬送空間203の側に漏れて、さらに基板搬入出口206に侵入することがある。パージ工程(S204,S208)では、搬送空間203の雰囲気を排気することが困難である。そのため、搬送空間203の側にTiClガスおよびNHガスが浸入すると、侵入したガス同士が反応してしまい、搬送空間203内や基板搬入出口206等の壁面に反応副生成物等の膜が堆積されてしまう。このようにして堆積された膜は、パーティクルとなり得る。したがって、処理容器202内については、定期的なメンテナンスが必要となる。
【0132】
このことから、判定工程(S106)において、成膜工程(S104)を行った回数が所定回数に到達していないと判定した場合は、処理容器202内に対するメンテナンスの必要が未だ生じていないと判断し、基板搬出入工程(S108)に移行する。一方、成膜工程(S104)を行った回数が所定回数に到達したと判定した場合は、処理容器202内に対するメンテナンスの必要が生じていると判断し、基板搬出工程(S110)に移行する。
【0133】
(基板搬入出工程:S108)
基板搬入出工程(S108)では、上述した基板搬入載置・加熱工程(S102)と逆の手順にて、処理済みのウエハ200を処理容器202の外へ搬出する。そして、基板搬入載置・加熱工程(S102)と同様の手順にて、次に待機している未処理のウエハ200を処理容器202内に搬入する。その後、搬入されたウエハ200に対しては、成膜工程(S104)が実行されることになる。
【0134】
(基板搬出工程:S110)
基板搬出工程(S110)では、処理済のウエハ200を取り出して、処理容器202内にウエハ200が存在しない状態にする。具体的には、上述した基板搬入載置・加熱工程(S102)と逆の手順にて、処理済みのウエハ200を処理容器202の外へ搬出する。ただし、基板搬出入工程(S108)の場合とは異なり、基板搬出工程(S110)では、次に待機している新たなウエハ200の処理容器202内への搬入は行わない。
【0135】
(メンテナンス工程:S112)
基板搬出工程(S110)が終了すると、その後は、メンテナンス工程(S112)に移行する。メンテナンス工程(S112)では、処理容器202内に対するクリーニング処理を行う。具体的には、クリーニングガス供給系におけるバルブ248dを開状態として、クリーニングガス供給源248bからのクリーニングガスを、第三ガス供給管245aおよび共通ガス供給管242を通じて、シャワーヘッド230内および処理容器202内へ供給する。供給されたクリーニングガスは、シャワーヘッド230内および処理容器202内に流入した後に、第一排気管261、第二排気管262または第三排気管263を通じて排気される。したがって、メンテナンス工程(S112)では、上述したクリーニングガスの流れを利用して、主にシャワーヘッド230内および処理容器202内に対して、付着した堆積物(反応副生成物等)を除去するクリーニング処理を行うことができる。メンテナンス工程(S112)は、以上のようなクリーニング処理を所定時間行った後に終了する。所定時間は、予め適宜設定されたものであれば、特に限定されるものではない。
【0136】
(判定工程:S114)
メンテナンス工程(S112)の終了後は、判定工程(S114)を実行する。判定工程(S114)では、上述した一連の各工程(S102〜S112)を所定回数実施したか否かを判定する。ここで、所定回数とは、例えば、予め想定されたウエハ200の枚数分(すなわち、IOステージ110上のポッド111に収納されているウエハ200の枚数分)に相当する回数のことをいう。
【0137】
そして、各工程(S102〜S112)の繰り返し回数が所定回数に到達していないと判定した場合は、再び基板搬入載置・加熱工程(S102)から上述した一連の各工程(S102〜S112)を実行する。一方、各工程(S102〜S112)の繰り返し回数が所定回数に到達したと判定した場合は、IOステージ110上のポッド111に収納された全てのウエハ200に対する基板処理工程が完了したと判断し、上述した一連の各工程(S102〜S114)を終了する。
【0138】
(5)温調システム部による温度調整処理
次に、上述した一連の基板処理工程に際して、温調システム部20が各処理室RC1〜RC8に対して行う温度調整処理について、図1を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、温調システム部20を構成する各部の動作はコントローラ280により制御される。
【0139】
(熱媒体の供給)
各処理モジュールPM1a〜PM1dにおける処理室RC1〜RC8のそれぞれが上述した一連の基板処理工程(S102〜S114)を実行する間、温調システム部20における各温調部320a〜320dは、ポンプ324等を動作させて、配管310a〜310dの管内に熱媒体を供給する。これにより、各処理室RC1〜RC8は、熱媒体との熱交換を行うことで、それぞれが所定温度(例えば、50℃程度)に維持されるようになる。
【0140】
このとき、各配管310a〜310dが有する上流配管部311に設けられたセンサ315a〜315dのそれぞれは、管内を流れる熱媒体の状態を検出する。各センサ315a〜315dにて検出されたデータは、コントローラ280に送られる。コントローラ280は、各センサ315a〜315dから受信したデータに基づき、各温調部320a〜320dを制御する。具体的には、センサ315aで検出されたデータに基づき温調部320aが制御され、センサ315bで検出されたデータに基づき温調部320bが制御される等、各温調部320a〜320dは、対応したセンサ315a〜315dが検出したデータに基づきコントローラ280によって制御される。各温調部320a〜320dは、それぞれのセンサ315a〜315dによる検出結果に基づき、各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の状態がそれぞれの間で同等となるように、ポンプ324等を独立して制御する。
【0141】
(センサ検出)
熱媒体の状態検出を行うセンサ315a〜315dとしては、例えば、当該熱媒体の圧力、流量、温度のいずれか一つ、またはこれらの組み合わせを計測可能なものを用いる。具体的には、例えば、センサ315a〜315dは、熱媒体の状態として当該熱媒体の温度を検出する。また、例えば、センサ315a〜315dは、熱媒体の状態として当該熱媒体の圧力を検出するとともに、その圧力の変動により当該熱媒体の管外への漏れの有無を検出する。また、例えば、センサ315a〜315dは、熱媒体の状態として当該熱媒体の流量を検出する。また、例えば、センサ315a〜315dは、熱媒体の状態として当該熱媒体の流量と温度を検出し、これにより当該熱媒体の熱容量を求めることを可能にする。特に、熱容量の場合、既に知られているように、熱媒体の比熱、流量、温度によって一義的に求められることが知られている。すなわち、流量や温度を計測することで容易に熱容量を求めることが可能となる。したがって、外周配管部317に供給される熱媒体が、所望の熱容量を維持しているか否かを容易に把握できる。
【0142】
各配管310a〜310dに設けられたそれぞれのセンサ315a〜315dは、対応する各処理モジュールPM1a〜PM1dから同等の距離に配置される。例えば、配管310aが有する上流配管部311に設けられたセンサ315aとこれに対応する処理モジュールPM1aとの間の距離(管長)と、配管310bが有する上流配管部311に設けられたセンサ315bとこれに対応する処理モジュールPM1bとの間の距離(管長)とは、それぞれがほぼ等しくなる長さに構成されている。このようにすることで、各配管310a〜310dに設けられたそれぞれのセンサ315a〜315dの、各処理モジュールPM1a〜PM1dから見た検出条件をほぼ等しくすることができる。
【0143】
(センサ検出結果に基づく熱媒体の状態制御)
センサ315a〜315dが熱媒体の状態を検出すると、各温調部320a〜320dは、以下に述べるような当該熱媒体に対する状態制御を行う。
例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の温度を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の温度範囲よりも低ければ、所定の温度範囲に属するように加熱ユニット322で熱媒体を加熱する。これとは逆に、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の温度範囲よりも高ければ、冷却ユニット323で熱媒体を冷却する。
また、例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の圧力を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の圧力範囲から外れていると、熱媒体の圧力が所定の圧力範囲に属するようにポンプ324の動作を制御する。
また、例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の流量を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の流量範囲から外れていると、熱媒体の流量が所定の流量範囲に属するように流量制御部325の動作を制御する。
また、例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の温度と流量を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の温度範囲から外れていると、熱媒体の温度が所定の温度範囲に属するように加熱ユニット322または冷却ユニット323の動作を制御するとともに、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の流量範囲から外れていると、熱媒体の流量が所定の流量範囲に属するように流量制御部325の動作を制御する。
【0144】
以上のように、各温調部320a〜320dは、各センサ315a〜315dによる検出結果に基づいて、各配管310a〜310dを流れる熱媒体が所定の状態となるように制御する。つまり、熱媒体が所定の状態から外れると、その状態をリカバリーするように、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態を制御する。したがって、各温調部320a〜320dが各処理モジュールPM1a〜PM1dに対して供給する熱媒体は、所定の状態が維持されるようになる。
【0145】
しかも、各温調部320a〜320dは、熱媒体の状態に対するリカバリー制御を、それぞれが独立して行う。つまり、ある温調部320aでの制御内容は、その温調部320aに対応して設けられたセンサ315aの検出結果を基に決定され、他の温調部320b〜320dでの制御内容の影響を受けることがない。したがって、例えば、クリーンルーム内のクリーン度等といった設置環境の都合により、各配管310a〜310dの管長が処理モジュールPM1a〜PM1d毎に異なるように構成されている場合であっても、当該管長の違いの影響を受けずに、各処理モジュールPM1a〜PM1dに対して供給する熱媒体の状態をほぼ均一にすることが可能となる。
【0146】
(メンテナンス工程時の処理)
上述した一連の基板処理工程(S102〜S114)には、メンテナンス工程(S112)が含まれる。メンテナンス工程(S112)は、上述の説明では成膜工程(S104)の回数が所定回数に到達したら行う場合を例に挙げたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、成膜工程(S104)を所定回数実施する前であっても、熱媒体が流れる配管310a〜310dでメンテナンスを必要とするレベルのエラーが起きたときには、メンテナンス工程(S112)に移行することが考えられる。また、ウエハ200の処理結果に問題があった場合等に、適宜メンテナンス工程(S112)に移行してもよい。
【0147】
このようなメンテナンス工程(S112)は、処理モジュールPM1a〜PM1d毎に行うものとする。メンテナンス工程(S112)を行う際には、メンテナンスの対象となった処理モジュールPM1a〜PM1dに接続する配管310a〜310dにおけるバルブ313,314を閉状態にして、熱媒体の循環を停止させる。ただし、メンテナンスの対象とならない処理モジュールPM1a〜PM1dに関しては、バルブ313,314を開状態にして、熱媒体の供給を継続する。つまり、温調システム部20は、各処理モジュールPM1a〜PM1dの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部320a〜320dを備えているので、各処理モジュールPM1a〜PM1d単位でメンテナンス工程(S112)を行うことが実現可能である。
【0148】
各処理モジュールPM1a〜PM1d単位でメンテナンス工程(S112)を行えば、メンテナンスの対象が処理モジュールPM1a〜PM1dのいずれか一つであっても、各処理モジュールPM1a〜PM1dの全てに対する熱媒体の供給を停止する必要がない。したがって、メンテナンス工程(S112)のために各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率が著しく低下してしまうのを抑制することができる。
【0149】
また、各処理モジュールPM1a〜PM1d単位でメンテナンス工程(S112)を行う場合であっても、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態制御をそれぞれが独立して行う。そのため、熱媒体の状態に関しては、メンテナンスの対象となった処理モジュールPM1a〜PM1dの影響がメンテナンスの対象とならない処理モジュールPM1a〜PM1dに及んでしまうことがない。具体的には、各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体を各温調部320a〜320dが独立に管理しているので、メンテナンスの対象についてのみ熱媒体の供給を停止しても、熱媒体の供給停止または供給再開に伴ってシステム内での熱収支に変化が生じてしまうのを回避することができる。つまり、熱媒体の供給停止または供給再開に起因してメンテナンスの対象ではない処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の温度変動を招いてしまうことがなく、そのために熱媒体の温度変動が安定するまで処理の開始を待つ必要も生じることがないので、各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率が低下してしまうのを抑制することができる。
【0150】
このように、各処理モジュールPM1a〜PM1dの各々に対応して個別に設けられた各温調部320a〜320dが熱媒体の状態制御を独立して行うことで、メンテナンス工程(S112)を行う場合であっても、各処理モジュールPM1a〜PM1dのダウンタイムの短縮化が図れ、装置全体としての運用効率を高めることができる。
【0151】
(6)本実施形態の効果
本実施形態によれば、以下に示す一つまたは複数の効果を奏する。
【0152】
(a)本実施形態においては、複数の温調部320a〜320dが複数の処理モジュールPM1a〜PM1dの各々に対応して個別に設けられており、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態に対するリカバリー制御をそれぞれ独立して行う。したがって、本実施形態によれば、各処理モジュールPM1a〜PM1d単位でのメンテナンスを実現することが可能となり、当該メンテナンスに伴う各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率の低下を抑制することができる。
【0153】
ここで、本実施形態の比較例について考える。
図6は、比較例に係る基板処理装置の一例を模式的に示す説明図である。
図例の基板処理装置は、上述した本実施形態の場合と同様に、複数(例えば四つ)の処理モジュール51a〜51dを備えて構成されている。各処理モジュール51a〜51dには配管52a〜52dが巻装されているとともに、それぞれの配管52a〜52dには一つの温調ユニット53が接続されている。そして、それぞれの配管52a〜52dに対して温調ユニット53が一括して熱媒体を供給して循環させることで、各処理モジュール51a〜51dの処理室(リアクタ)を所定温度(例えば、50℃程度)に維持するようになっている。
このような構成の基板処理装置において、メンテナンスを行う際には、作業環境の都合により、処理モジュール51a〜51dに巻装された配管52a〜52dへの熱媒体の供給を停止することになる(例えば、図中矢印D参照)。ただし、一つの温調ユニット53が一括して各配管52a〜52dに熱媒体を供給しているので、例えば、メンテナンスの対象が一つの処理モジュール51aのみの場合であっても、その影響がメンテナンスの対象ではない他の処理モジュール51b〜51dにも及んでしまう。つまり、メンテナンスの影響が及ぶことで、各処理モジュール51a〜51dの稼働効率の低下を招いてしまうおそれがある。
【0154】
これに対して、本実施形態においては、複数の温調部320a〜320dが各処理モジュールPM1a〜PM1dに対応して個別に設けられており、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態に対するリカバリー制御をそれぞれ独立して行うので、各処理モジュールPM1a〜PM1dのいずれかにメンテナンスを行う必要があっても、各処理モジュールPM1a〜PM1dの稼働効率の低下を抑制することが可能となる。
しかも、 各温調部320a〜320dが熱媒体の状態に対するリカバリー制御をそれぞれ独立して行うので、各処理モジュールPM1a〜PM1dの処理条件を所定の品質が得られる条件に維持することが可能である。つまり、生産性を高めるために各処理モジュールPM1a〜PM1d間で同様の処理をする場合において、各処理モジュールPM1a〜PM1dで処理されたそれぞれのウエハ200が一定の品質を保つようにする上で非常に有効である。
【0155】
(b)また、本実施形態においては、各配管310a〜310dの管長が処理モジュールPM1a〜PM1d毎に異なるように構成されていても、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態に対するリカバリー制御をそれぞれ独立して行う。したがって、本実施形態によれば、各配管310a〜310dの管長が異なっていても、各処理モジュールPM1a〜PM1dに対して供給する熱媒体の状態をほぼ均一にすることが可能となり、各処理モジュールPM1a〜PM1dの温調状態を実質的に等しくすることができる。
【0156】
(c)また、本実施形態においては、各配管310a〜310dに設けられたセンサ315a〜315dが熱媒体の圧力または流量を検出するものであれば、熱媒体の圧力または流量に変動があったとしても、各温調部320a〜320dでのリカバリー制御が可能となる。したがって、本実施形態によれば、各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の圧力または流量の状態を成膜状態に差が無い範囲とすることができる。
【0157】
(d)また、本実施形態においては、各配管310a〜310dに設けられたセンサ315a〜315dが熱媒体の温度を検出するものであれば、熱媒体の温度に変動があったとしても、各温調部320a〜320dでのリカバリー制御が可能となる。したがって、本実施形態によれば、各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の温度の状態を成膜状態に差が無い範囲とすることができる。
【0158】
(e)また、本実施形態においては、センサ315a〜315dの設置位置から各処理モジュールPM1a〜PM1dまでの各配管310a〜310dの管長が、当該各配管310a〜310dを流れる熱媒体の状態の損失量が所定範囲内となる長さに構成されている。したがって、本実施形態によれば、センサ315a〜315dにより検出された後の熱媒体の圧力低下、流量低下、温度低下等の損失量が所定範囲内に収まるようにすることが可能であり、センサ315a〜315dにより状態検出が行われた熱媒体が各処理モジュールPM1a〜PM1dに到達するまでの当該熱媒体の状態変化を抑制することができる。
【0159】
(f)また、本実施形態においては、センサ315a〜315dの設置位置から各処理モジュールPM1a〜PM1dまでの各配管310a〜310dの管長が、当該各配管310a〜310dのそれぞれで均等になる長さに構成されている。したがって、本実施形態によれば、各配管310a〜310dに設けられたそれぞれのセンサ315a〜315dの検出条件をほぼ等しくすることができ、センサ315a〜315dにより状態検出が行われた熱媒体が各処理モジュールPM1a〜PM1dに到達するまでに当該熱媒体の状態変化が生じてしまう場合であっても、その状態変化が各処理モジュールPM1a〜PM1d別にバラついてしまうのを抑制することができる。
【0160】
(g)また、本実施形態においては、処理モジュールPM1a〜PM1dに供給する熱媒体の状態を検出するセンサ315a〜315dが、各配管310a〜310dにおける上流配管部311に設けられている。したがって、本実施形態によれば、各配管310a〜310dでの熱媒体に対するセンシング条件を適切で、かつ、より確実に等しいものとすることができる。例えば、仮にセンサ315a〜315dを下流配管部312に設けた場合には、処理モジュールPM1a〜PM1d毎に熱媒体の状態(温度等)の損失量に違いが生じてしまうため、熱媒体に対するセンシング条件にバラツキが生じてしまうおそれがある。この点、センサ315a〜315dを上流配管部311に設ければ、各処理モジュールPM1a〜PM1dへの到達前に熱媒体がセンシングされるので、センシング条件が適切で、かつ、より確実に等しいものとなるのである。
【0161】
(h)また、本実施形態においては、各処理モジュールPM1a〜PM1dが二つの処理室(リアクタ)RCL,RCRを備えており、上流配管部311が各処理室RCL,RCの間を通過する上段側貫通配管部316aに接続され、下流配管部312が各処理室RCL,RCの外周側を通る下段側外周配管部317bに接続されている。したがって、本実施形態によれば、少なくとも熱媒体の入力側については、曲率半径の小さいコーナー部分や角がある形状部分等を配置する必要がなく、配管310a〜310dを直線状に形成することが可能となる。つまり、熱媒体の流れが強い上流側に当該熱媒体が滞留しやすい構造部分が存在するのを回避して、配管表面の金属がイオン化することによる腐食作用が生じてしまうのを抑制することができる。
【0162】
(i)また、本実施形態において、上流側接続管部318または下流側接続管部319は、コーナー部分等が存在する構造となっており、そのために他の配管部よりも腐食作用が生じ易いおそれがある。このことから、本実施形態で説明したように、上流側接続管部318を上流配管部311および上段側貫通配管部316aとは別体で設け、また下流側接続管部319を下流配管部312および下段側外周配管部317bとは別体で設ければ、上流側接続管部318または下流側接続管部319のみを別部品として交換でき、他の配管部に比べて高い頻度で部品交換をすることが実現可能となる。したがって、上流側接続管部318または下流側接続管部319に生じ得る腐食作用に対して、容易かつ適切に対応し得るようになる。
【0163】
(j)また、本実施形態において、上流側接続管部318または下流側接続管部319は、上流配管部311または下流配管部312と一体で設けられたものであってもよい。例えば、上流側接続管部318または下流側接続管部319が別部品である場合には、上流配管部311または下流配管部312との接続箇所において、その構造上の問題から管内に段差等が生じてしまうおそれがある。このような接続箇所の段差等は、管内を流れる熱媒体が衝突してしまう部分、すなわち当該熱媒体が滞留しやすい構造部分となり得る。ところが、上流配管部311または下流配管部312が一体型に構成されていれば、接続箇所の段差等が存在しないため、熱媒体が滞留してしまうことがなく、その結果として配管310a〜310dに対するメンテナンス頻度を少なくすることができる。
【0164】
(k)また、本実施形態においては、上流側接続管部318の曲率半径が下流側接続管部319の曲率半径よりも大きくなるよう構成されている。したがって、本実施形態によれば、上流側接続管部318または下流側接続管部319にコーナー部分等が存在する場合であっても、熱媒体の流れが強い上流側に熱媒体が滞留しやすい構造部分が存在するのを抑制することができる。つまり、熱媒体は下流側よりも上流側のほうの勢いが強いため、その上流側において、熱媒体の流れを往なすような構造とすることができる。
【0165】
(l)また、本実施形態においては、上流配管部311の設置高さと下流配管部312との設置高さとが互いに異なるように構成されている。したがって、本実施形態によれば、各処理室RCL,RCRのそれぞれに対する熱媒体の流路形状を、貫通配管部316および外周配管部317が螺旋状を描くような左右対称のものとすることが可能である。つまり、各処理室RCL,RCRに巻装される配管長を左右均等にすることが実現可能となり、各処理室RCL,RCRにおける温度調整条件を等しくすることができる。
【0166】
[本発明の第二実施形態]
次に、本発明の第二実施形態について説明する。ここでは、主として上述した第一実施形態との相違点を説明し、第一実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0167】
(装置構成)
図7は、第二実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図例の基板処理装置1は、上流配管部311だけではなく、下流配管部312にもセンサ331a〜331dが設けられている点で、上述した第一実施形態の構成とは異なる。
【0168】
センサ331a〜331dは、上流配管部311に設けられたセンサ315a〜315dと同様に、下流配管部312の管内を流れる熱媒体の状態を検出するものである。つまり、センサ331a〜331dは、センサ315a〜315dと同様に、熱媒体の圧力、流量、温度のいずれか一つ、またはこれらの複数を適宜組み合わせたものを検出する。
センサ315a〜315dは、各温調部320a〜320dから各処理モジュールPM1a〜PM1dに供給される熱媒体の状態を検出するものである。これに対して、センサ331a〜331dは、各処理モジュールPM1a〜PM1dから出力されて各温調部320a〜320dに戻る熱媒体の状態を検出するものである。
このようなセンサ331a〜331dは、公知技術を利用して構成されたものであればよく、ここではその詳細な説明を省略する。
【0169】
各配管310a〜310dに設けられたそれぞれのセンサ331a〜331dは、センサ315a〜315dの場合と同様に、対応する各処理モジュールPM1a〜PM1dから同等の距離に配置される。例えば、配管310aが有する下流配管部312に設けられたセンサ331aとこれに対応する処理モジュールPM1aとの間の距離(管長)と、配管310bが有する下流配管部312に設けられたセンサ331bとこれに対応する処理モジュールPM1bとの間の距離(管長)とは、それぞれがほぼ等しくなる長さに構成されている。このようにすることで、各配管310a〜310dに設けられたそれぞれのセンサ331a〜331dの検出条件をほぼ等しくすることができる。
【0170】
(センサ検出結果に基づく制御処理)
本実施形態のように下流配管部312にもセンサ331a〜331dが設けられている場合には、センサ315a〜315d,331a〜331dのそれぞれで熱媒体の状態を検出し、それぞれにおける検出結果の差分を求めることで、センサ315a〜315d,331a〜331d間における熱媒体のトラブル有無を判定することができる。
【0171】
具体的には、ある配管310aが有する上流配管部311に設けられたセンサ315aと、当該配管310aが有する下流配管部312に設けられたセンサ331aとで、それぞれの管内を流れる熱媒体の状態を検出する。そして、それぞれの検出結果の差分を求め、その差分が予め設定された許容損失範囲を超えているか否かを判断する。その結果、差分が許容損失範囲を超えている場合には、上流配管部311と下流配管部312との間のいずれかの配管部分において腐食作用による熱媒体の漏れや目詰まり等が発生している可能性があると判断する。つまり、それぞれのセンサ315a〜315d,331a〜331dの検出結果を基に、各配管310a〜310dにおいて熱媒体の循環が正常に行われていない可能性がある否かを認識するのである。この認識結果については、例えば、配管メンテナンスを行う必要がある旨のアラーム情報として、メンテナンス作業者に対して報知出力することが考えられる。
【0172】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、上述した第一実施形態における効果に加えて、以下に示す効果を奏する。
【0173】
(m)本実施形態においては、上流配管部311に設けられたセンサ(上流センサ)315a〜315dに加えて、下流配管部312に設けられたセンサ(下流センサ)331a〜331dをも有している。したがって、本実施形態によれば、各センサ315a〜315d,331a〜331dの検出結果に基づき、熱媒体の循環が正常に行われていない可能性がある否かについても管理できるようになる。
【0174】
[本発明の第三実施形態]
次に、本発明の第三実施形態について説明する。ここでも、主として上述した第一実施形態との相違点を説明し、第一実施形態と同様の箇所については説明を省略する。
【0175】
(装置構成)
図8は、第三実施形態に係る基板処理装置の概略構成例を示す説明図である。
図例の基板処理装置1は、温調システム部20の構成が、上述した第一実施形態および第二実施形態の構成とは異なる。具体的には、第一実施形態および第二実施形態では各温調部320a〜320dが個別に循環層321を有していたが、図例の基板処理装置1では、循環層321を各温調部320a〜320dが共有した構成としている。
【0176】
各温調部320a〜320dは、それぞれが個別にポンプ324a〜324dおよび流量制御部325a〜325dを有している。つまり、温調部320aにはポンプ324aおよび流量制御部325aが設けられ、温調部320bにはポンプ324bおよび流量制御部325bが設けられ、温調部320cにはポンプ324cおよび流量制御部325cが設けられ、温調部320dにはポンプ324dおよび流量制御部325dが設けられている。
【0177】
(センサ検出結果に基づく制御処理)
以上のような構成の基板処理装置1では、温調システム部20がコントローラ280によって以下のように制御される。
【0178】
例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の圧力を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の圧力範囲から外れていると、熱媒体の圧力が所定の圧力範囲に属するようにポンプ324a〜324dの動作を個別に制御する。したがって、例えば、センサ315aでの検出結果が所定の圧力範囲から外れている場合には、これに対応する温調部320aがポンプ324aの動作を制御することになるので、その影響が他の温調部320b〜320dに及んでしまうことがない。
【0179】
また、例えば、センサ315a〜315dが熱媒体の流量を検出する場合に、対応する温調部320a〜320dでは、そのセンサ315a〜315dでの検出結果が所定の流量範囲から外れていると、熱媒体の流量が所定の流量範囲に属するように流量制御部325a〜325dの動作を個別に制御する。したがって、例えば、センサ315aでの検出結果が所定の圧力範囲から外れている場合には、これに対応する温調部320aが流量制御部325aの動作を制御することになるので、その影響が他の流量制御部325b〜325dに及んでしまうことがない。
【0180】
つまり、本実施形態においては、各温調部320a〜320dが循環層321を共有していても、各温調部320a〜320dが熱媒体の状態に対するリカバリー制御をそれぞれ独立して行うことが可能である。
【0181】
(本実施形態の効果)
本実施形態によれば、上述した第一実施形態における効果に加えて、以下に示す効果を奏する。
【0182】
(n)本実施形態においては、例えば一つの循環層321に共有化されるため、熱媒体の温度を安定して制御することができるとともに、バルブ313,314の開け閉めだけで熱容量を制御することができるので、単純な構成で各処理モジュールPM1a〜PM1dの外周温度の均一化を達成することができる。
【0183】
なお、本実施形態においては、第一実施形態と同様、上流配管部311にセンサ315a〜315dを設けた構成としているが、それに限るものではなく、下流配管部312にもセンサ331a〜331dを設けてもよい。
【0184】
[他の実施形態]
以上に、本発明の第一実施形態、第二実施形態および第三実施形態を具体的に説明したが、本発明は上述の各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0185】
例えば、上述した各実施形態では、熱媒体を流す流路が金属配管材によって構成された配管310a〜310dである場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、熱媒体を流す流路は、各処理モジュールPM1a〜PM1dの各々に設けられたものであれば、配管によって形成されたものには限られず、例えば金属ブロック材の内部に孔状や溝状等に形成されたものであってもよい。具体的には、例えば、熱媒体が流れる孔状や溝状等の流路を金属ブロック材に一つまたは複数形成しておき、その金属ブロック材を各処理モジュールPM1a〜PM1dの壁面に隣接するように装着し、そこに熱媒体を流すようにしてもよい。
【0186】
また、例えば、上述した各実施形態では、各処理モジュールPM1a〜PM1dが隣接配置された二つの処理室RCL,RCRを備えている場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、各処理モジュールPM1a〜PM1dは、処理室を一つのみ備えたものであっても、または処理室を三つ以上備えたものであってもよい。
【0187】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う成膜処理において、第一元素含有ガス(第一の処理ガス)としてTiClガスを用い、第二元素含有ガス(第二の処理ガス)としてNHガスを用いて、それらを交互に供給することによってウエハ200上にTiN膜を形成する場合を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、成膜処理に用いる処理ガスは、TiClガスやNHガス等に限られることはなく、他の種類のガスを用いて他の種類の薄膜を形成しても構わない。さらには、3種類以上の処理ガスを用いる場合であっても、これらを交互に供給して成膜処理を行うのであれば、本発明を適用することが可能である。具体的には、第一元素としては、Tiではなく、例えばSi、Zr、Hf等、種々の元素であってもよい。また、第二元素としては、Nではなく、例えばO等であってもよい。
【0188】
また、例えば、上述した各実施形態では、基板処理装置が行う処理として成膜処理を例に挙げたが、本発明がこれに限定されることはない。すなわち、本発明は、各実施形態で例に挙げた成膜処理の他に、各実施形態で例示した薄膜以外の成膜処理にも適用できる。また、基板処理の具体的内容は不問であり、成膜処理だけでなく、アニール処理、拡散処理、酸化処理、窒化処理、リソグラフィ処理等の他の基板処理を行う場合にも適用できる。さらに、さらに、本発明は、他の基板処理装置、例えばアニール処理装置、エッチング装置、酸化処理装置、窒化処理装置、露光装置、塗布装置、乾燥装置、加熱装置、プラズマを利用した処理装置等の他の基板処理装置にも適用できる。また、本発明は、これらの装置が混在していてもよい。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
【0189】
[本発明の好ましい態様]
以下に、本発明の好ましい態様について付記する。
【0190】
[付記1]
本発明の一態様によれば、
基板を処理する複数の処理モジュールと、
前記複数の処理モジュールの各々に設けられた熱媒体の流路と、
前記流路を流れる熱媒体の状態を検出するセンサと、
前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられ、前記処理モジュールの温度を調整する熱媒体を当該処理モジュールに設けられた前記流路に流すとともに、前記センサによる検出結果に基づいて当該流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する複数の温調部と、
を備える基板処理装置が提供される。
【0191】
[付記2]
好ましくは、
前記複数の温調部は、前記複数の処理モジュールから離れて纏めて設置されており、
前記流路は、前記複数の処理モジュールと各々に対応する前記複数の温調部との間を個別に接続するように構成されているとともに、当該流路が設けられた前記処理モジュールに応じて、当該処理モジュールに対応する前記温調部までの長さが異なるように構成されている
付記1に記載の基板処理装置が提供される。
【0192】
[付記3]
好ましくは、
前記センサは、前記流路を流れる熱媒体の圧力または流量を検出する機能を有し、
前記温調部は、前記流路に流す熱媒体の圧力または流量を制御する機能を有する
付記1または2に記載の基板処理装置が提供される。
【0193】
[付記4]
好ましくは、
前記センサは、前記流路を流れる熱媒体の温度を検出する機能を有し、
前記温調部は、前記流路に流す熱媒体の温度を制御する機能を有する
付記1から3のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0194】
[付記5]
好ましくは、
前記センサの設置位置から前記処理モジュールまでの前記流路の長さは、当該流路を流れる熱媒体の状態の損失量が所定範囲内となる長さに構成されている
付記1から4のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0195】
[付記6]
好ましくは、
前記センサの設置位置から前記処理モジュールまでの前記流路の長さは、前記複数の処理モジュールのそれぞれに対して均等になる長さに構成されている
付記1から5のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0196】
[付記7]
好ましくは、
前記流路は、前記処理モジュールよりも上流側に位置する上流流路部と、前記処理モジュールよりも下流側に位置する下流流路部と、を有しており、
前記センサは、前記上流流路部に設けられている
付記1から6のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0197】
[付記8]
好ましくは、
前記処理モジュールは、並設された複数の処理室を有しており、
前記流路は、前記処理モジュールにおける前記複数の処理室の間を通る貫通流路部と、前記処理モジュールの外周側を通る外周流路部と、を有しており、
前記貫通流路部は、前記上流流路部に接続され、
前記外周流路部は、前記下流流路部に接続される
付記7に記載の基板処理装置が提供される。
【0198】
[付記9]
好ましくは、
前記流路は、
前記上流流路部と前記貫通流路部とを接続し、前記上流流路部および前記貫通流路部とは別体で設けられた上流側接続流路部と、
前記外周流路部と前記下流流路部とを接続し、前記外周流路部および前記下流流路部とは別体で設けられた下流側接続流路部と、
を有する付記8に記載の基板処理装置が提供される。
【0199】
[付記10]
好ましくは、
前記流路は、前記上流流路部と前記貫通流路部とを接続し、前記上流流路部と一体で設けられた上流側接続流路部を有する
付記8に記載の基板処理装置が提供される。
【0200】
[付記11]
好ましくは、
前記流路は、前記外周流路部と前記下流流路部とを接続し、前記下流流路部と一体で設けられた下流側接続流路部を有する
付記8または10に記載の基板処理装置が提供される。
【0201】
[付記12]
好ましくは、
前記流路は、前記上流側接続流路部の曲率半径が前記下流側接続流路部の曲率半径よりも大きくなるよう構成されている
付記8、10または11のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0202】
[付記13]
好ましくは、
前記流路は、前記上流流路部の設置高さと前記下流流路部の設置高さとが異なるように構成されている
付記7から12のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0203】
[付記14]
好ましくは、
前記センサとして、前記上流流路部に設けられた上流センサに加えて、前記下流流路部に設けられた下流センサを有する
付記7から12のいずれかに記載の基板処理装置が提供される。
【0204】
[付記15]
本発明の他の態様によれば、
複数の処理モジュールに基板を搬入する工程と、
前記処理モジュールにガスを供給して前記基板を処理する工程と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整するとともに、前記流路を流れる熱媒体の状態をセンサで検出し、前記センサによる検出結果に基づいて前記流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する工程と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールから搬出する工程と、
を備える半導体装置の製造方法が提供される。
【0205】
[付記16]
更に本発明の他の態様によれば、
複数の処理モジュールに基板を搬入する手順と、
前記処理モジュールにガスを供給して前記基板を処理する手順と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整するとともに、前記流路を流れる熱媒体の状態をセンサで検出し、前記センサによる検出結果に基づいて前記流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する手順と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールから搬出する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【0206】
[付記17]
更に本発明の他の態様によれば、
複数の処理モジュールに基板を搬入する手順と、
前記処理モジュールにガスを供給して前記基板を処理する手順と、
前記基板の処理にあたり、前記複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられた複数の温調部から、前記複数の処理モジュールの各々に設けられた流路に熱媒体を流して、前記処理モジュールの温度を調整するとともに、前記流路を流れる熱媒体の状態をセンサで検出し、前記センサによる検出結果に基づいて前記流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する手順と、
処理後の前記基板を前記処理モジュールから搬出する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラムを記録する記録媒体が提供される。
【符号の説明】
【0207】
1…基板処理装置、10…本体部、20…温調システム部、200…ウエハ(基板)、280…コントローラ、281…演算部、282…記憶部、283…外部記憶装置、310a〜310d…配管、311…上流配管部、312…下流配管部、313,314…バルブ、315a〜315d…センサ(上流センサ)、316…貫通配管部、316a…上段側貫通配管部、316b…下段側貫通配管部、317…外周配管部、317a…上段側外周配管部、317b…下段側外周配管部、318…上流側接続管部、319…下流側接続管部、320a〜320d…温調部、321…循環槽、322…加熱ユニット、323…冷却ユニット、324…ポンプ、325…流量制御部、331a〜331d…センサ(下流センサ)、PM1a〜PM1d…処理モジュール、RC1〜RC8,RCL,RCR…処理室
【要約】
【課題】複数の処理モジュールを備える場合に、各処理モジュールの基板を処理する条件を、所定の品質を得られる条件に維持する。
【解決手段】基板を処理する複数の処理モジュールと、複数の処理モジュールの各々に設けられた熱媒体の流路と、流路を流れる熱媒体の状態を検出するセンサと、複数の処理モジュールの各々に対応して個別に設けられ、処理モジュールの温度を調整する熱媒体を流路に流すとともに、センサによる検出結果に基づいて流路に流す熱媒体を所定の状態に制御する複数の温調部と、を備えて基板処理装置を構成する。
【選択図】図1
図4
図5
図1
図2
図3
図6
図7
図8