(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の包装袋は、1本の直線状の切目線から上側と下側に膨れる2本の切目線に分岐することにより、切目線が3方向に分岐しているため、包装袋の上記上辺部の開封方向(手前側か奥側か)、或いは開封時の力の大小等によって、上記分岐部に至った切断線が、当該3方向の分岐部から上側の切目線又は下側の切目線とは異なる方向に進行してしまい、適切な段差を形成することができない場合がある。
【0006】
また、特許文献2の包装袋は、分岐部が存在せず、上側の切目線と下側の切目線とが分離しているので、上記特許文献1の課題は存在しないが、包装袋の端縁の切欠又は傷痕群から例えば手前又は奥側に引いて開封する場合、切断線が上側の切目線又は下側の切目線に誘導されずに、上側の切目線と下側の切目線の中間部が右端縁まで直線的に切断されてしまい、開封用の適切な段差が形成されない場合がある。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、切目線に沿って包装袋の上辺部を切断して開封する際に、切目線に沿って確実に誘導して適切な段差を形成し得る包装袋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、表面側積層フィルムと裏面側積層フィルムのシーラント層同士
が対向
された状態で、周囲の所定幅
が熱溶着
されることにより形成され、上部側に再封手段が設けられると共に、上記再封手段と上辺の熱溶着部との間に易開封手段を有する包装袋において、上記表面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記表面側積層フィルムにおいて、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の上部変曲部まで上方から下方に向けて下り傾斜に形成された左右対称の下向傾斜切目線と、上記左右の上部変曲部から上記左右の下向傾斜切目線に連続し、中央部が上方に膨れる凸状切目線とから構成される全体として連続する上部切目線と、上記上部切目線の下側において、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の下部変曲部まで下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右対称の上向傾斜切目線と、上記左右の下部変曲部から上記左右の上向傾斜切目線に連続し、中央部が下方に膨れる凹状切目線とから構成される全体として連続する下部切目線により構成
され、上記上部切目線と上記下部切目線とは上下方向に離間して互いに接触しない
状態に構成
されると共に、上記上下切目線の離間距離は、上記左右の上部変曲部と上記左右の下部変曲部間が最少となる
状態に構成
されており、かつ上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線
が、上記上部切目線と上記下部切目線に接触しない
状態で各々形成
されており、上記裏面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置し、上記包装袋の左外縁から右外縁に至る直線状の切目線から構成され、上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上向傾斜切目線の中間位置に切込部
が各々形成
されているものであることを特徴とする包装袋により構成される。
【0009】
このように構成すると、上辺部を把持して左縁部側から例えば手前引くか又は奥側に押すと、切込部から切断が開始され、切断線が誘導用切目線に至り、当該誘導用切目線から下方の凹状切目線又は上方の凸状切目線に確実に誘導されるため、円滑に開封して開口部に確実に段差を形成することができる。また、左右の傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、切込部を左右の下向又は上向傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができる。
【0010】
第2に、表面側積層フィルムと裏面側積層フィルムのシーラント層同士
が対向
された状態で、周囲の所定幅
が熱溶着
されることにより形成され、上部側に再封手段が設けられると共に、上記再封手段と上辺の熱溶着部との間に易開封手段を有する包装袋において、上記表面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記表面側積層フィルムにおいて、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の上部変曲部まで直線状に形成された上部直線状切目線と、上記左右の上部変曲部から上記左右の直線状切目線に連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる円弧状切目線とから構成される全体として連続する上部切目線と、上記上部切目線の下側において、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の下部変曲部まで直線状に形成された下部直線状切目線と、上記左右の下部変曲部から上記左右の直線状切目線に連続し、中央部が下方に逆台形状に膨れる逆台形状切目線とから構成される全体として連続する下部切目線により構成
され、上記上部切目線と上記下部切目線とは上下方向に離間して互いに接触しない
状態に構成
され、かつ上記左右の上部変曲部と下部変曲部間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線を、上記上部切目線と上記下部切目線に接触しない
状態で各々形成
されており、上記裏面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置し、上記包装袋の左外縁から右外縁に至る直線状の切目線から構成され、上記包装袋の左右外縁における上記上部直線状切目線と上記下部直線状切目線の中間位置に切込部
が各々形成
されているものであることを特徴とする包装袋により構成される。
【0011】
このように構成すると、下部切目線が逆台形状なので、切断線を切目線から離脱することを極力抑止しつつ、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、上部切目線は上に膨れる円弧状切目線であるので、裏面側の直線状の切断線との接触抵抗を低減することができ、この場合においても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【0012】
第3に、表面側積層フィルムと裏面側積層フィルムのシーラント層同士
が対向
された状態で、周囲の所定幅
が熱溶着
されることにより形成され、上部側に再封手段が設けられると共に、上記再封手段と上辺の熱溶着部との間に易開封手段を有する包装袋において、上記表面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記表面側積層フィルムにおいて、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の上部変曲部まで上方から下方に向けて下り傾斜に形成された左右対称の下向傾斜切目線と、上記左右の上部変曲部から上記左右の下向傾斜切目線に連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる円弧状切目線とから構成される全体として連続する上部切目線と、上記上部切目線の下側において、当該包装袋の左右外縁より始まり左右熱溶着部より内側の左右の下部変曲部まで下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右対称の上向傾斜切目線と、上記左右の下部変曲部から上記左右の上向傾斜切目線に連続し、中央部が下方に逆台形状に膨れる逆台形状切目線とから構成される全体として連続する下部切目線により構成
され、上記上部切目線と上記下部切目線とは上下方向に離間して互いに接触しない
状態に構成
されると共に、上下切目線の離間距離は、上記左右の上部変曲部と上記左右の下部変曲部間が最少となる
状態に構成
されており、かつ上記左右の上部変
曲部と下部変曲部間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線
が、上記上部切目線と上記下部切目線に接触しな
い近接
した状態で各々形成
されており、上記裏面側積層フィルムの上記易開封手段は、上記上部切目線と上記下部切目線の間に位置し、上記包装袋の左外縁から右外縁に至る直線状の切目線から構成され、上記包装袋の左右外縁における上記下向傾斜切目線と上記上
向傾斜切目線の中間位置に切込部
が形成
されているものであることを特徴とする包装袋により構成される。
【0013】
このように構成すると、左右の下向又は上向傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、切込部を左右の傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができると共に、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、上部切目線は上に膨れる円弧状切目線であるので、裏面側の直線状の切断線との接触抵抗を低減することができ、この場合においても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【0014】
第4に、上記裏面側積層フィルムの上記易開封手段は、2本の直線状の切目線から構成
されており、当該2本の切目線が、上記上部切目線と上記下部切目線の中間に位置しているものであることを特徴とする上記第1〜3の何れかに記載の包装袋により構成される。
【0015】
第5に、上記上部変曲部と上記下部変曲部の上下切目線間の距離は、1mm〜5mmであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の包装袋により構成される。
【0016】
第6に、上記包装袋の内側に吸湿フィルム
が積層
されているものであることを特徴とする上記第1〜5の何れかに記載の包装袋により構成される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、上辺部を把持して左縁部側から手前引いた場合においても、又は奥側に押した場合においても、さらには、右利きの人が左端部側から引き裂き開始しても、或いは、左利きの人が右端部側から引き裂き開始しても、円滑に開封して開口部に確実に段差を形成することができる。
【0018】
また、左右の傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、例えばIノッチ等の切込部を左右の傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができ、製袋効率をも向上することができる。
【0019】
また、下部切目線が逆台形状なので、切断線を切目線から離脱することを極力抑止しつつ、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【0020】
また、左右の傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、切込部を左右の傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができ、製袋効率を向上し得ると共に、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る包装袋について詳細に説明する。
【0023】
(第1の実施形態)
図1、
図2は、上記包装袋1を示すものであり、
図1は包装袋の表面側積層フィルム2、
図2は包装袋の裏面側積層フィルム3を示す。
【0024】
本件発明の包装袋1は、表面側積層フィルム2と裏面側積層フィルム3の内側のシーラント層同士を対向し、周囲の所定幅を熱溶着することにより形成され、これにより、一定幅Tの左側熱溶着部4、右側熱溶着部5、上側熱溶着部6、下側熱溶着部7が形成され、内部空間に内容物が収納される。
【0025】
尚、表面側積層フィルム2を図示した
図1において、紙面に向かって左右を「左右方向」、左右方向を基準に上下を「上下方向」と定義する。従って、裏面側積層フィルム3を図示した
図2においては「左右方向」だけ
図1と逆になる。また、左右外縁4a,5aより包装袋の中央部方向を「内側」、中央部から左又は右の方向を「外側」と表現する。よって、表面側積層フィルム2においても、裏面側積層フィルム3においても、左外縁から中央部方向を「内側」、右外縁から中央部方向を「内側」という。
【0026】
また、以下の説明において「切目線」とは、表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面に、厚さ方向に貫通しない一定の深さで、レーザー加工により形成された切目線(所謂ハーフカット線)をいう。従って、この切目線は、表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3の表面に、貫通しない切目線として形成されており、この切目線に沿って包装袋の上辺部1’を例えば手前に引くことにより、当該切目線に沿って表面側積層フィルム2又は裏面側積層フィルム3を切断し得るものであり、所謂、開封用誘導線をいう。
【0027】
上記包装袋1において、上下の中央部より、上部側に再封手段8が設けられると共に、上記再封手段8と上辺の熱溶着部(上側熱溶着部6)との間に易開封手段9が形成されている。
【0028】
また、本発明の包装袋1において、易開封手段9より上側であって、開封時に包装袋から切り取られる片部分を上辺部1’という(
図1参照)。
【0029】
上記再封手段は、周知の構造であり、包装袋の表面側積層フィルム2の内側に左右方向全体に樹脂製凸条を固定し、裏面側積層フィルム3の内側に上記樹脂製凸条に対応する樹脂製凹溝部材を左右全体に固定し、上記樹脂製凸条を上記樹脂製凹溝に着脱自在とし、これにより開口部を再封止できるようにしたものである。
【0030】
上記表面側積層フィルム2の上記易開封手段9は、以下の構造を有している。
まず、表面側積層フィルム2側の易開封手段9は、1本の上部切目線10と、該上部切目線10より下方向に離間した1本の下部切目線11とにより構成されている。
【0031】
上記上部切目線10は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅Tより内側に入った位置における左右の上部変曲部12a,12bまで、上方から下方に向けて下り傾斜に形成された左右対称の下向傾斜切目線13a,13bと、上記左右の上部変曲部12a,12bから、左右端部が左右の上記下向傾斜切目線13a,13bに連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる凸状切目線14とから構成される、全体として連続する1本の切目線により構成されている。
【0032】
上記左右の下向傾斜切目線13a,13bは、
図3に示すように、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて下り傾斜直線又は上向き円弧状に形成されると共に、上記上部変曲部12a,12bにおいて、下向き円弧状に変曲しつつ、さらに上向き円弧状の上記凸状切目線14に滑らかに連続するように構成されている。
【0033】
上記左右の変曲部12a,12bの左右方向の中心位置a,a’は、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bから内側に各々距離S,Sだけ入った左右位置に形成されており、上記距離Sは、上記熱溶着部4,5の幅Tの2倍程度とすることが好ましい。何れにしても、上記上部変曲部12a,12bは、左右熱溶着部4,5に近い左右位置に各々設けることが好ましい。
【0034】
次に、上記下部切目線11は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右の熱溶着部4,5の左右外縁4a,5aの同一高さより始まり、左右熱溶着部4,5の幅Tより内側に入った位置における左右の下部変曲部15a,15bまで、下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右対称の上向傾斜切目線16a,16bと、上記左右の下部変曲部15a,15bから、左右端部が上記左右の上向傾斜切目線16a,16bに連続し、中央部が下方に円弧状に膨れる凹状切目線17とから構成される、全体として連続する1本の切目線により構成されている。
【0035】
上記左右の上向傾斜切目線16a,16bは、
図3に示すように、左右熱溶着部4,5の外縁4a,5aから内側方向に向けて上向き傾斜直線又は下向き円弧状に形成されると共に、上記下部変曲部15a,15bにおいて、上向き円弧状に変曲しつつ、さらに下向き円弧状の上記凹状切目線17に滑らかに連続するように構成されている。
【0036】
上記左右の下部変曲部15a,15bの中心位置a,a’は、左右の熱溶着部4,5の内縁4b,5bから内側に各々距離S,Sだけ入った左右位置に形成されており、上記距離Sは、上記熱溶着部4,5の幅Tの2倍程度とすることが好ましい。従って、上記上部変曲部12a,12bと上記下部変曲部15a,15bとは、表面側積層フィルム2の左右位置において、同一位置に形成されている。何れにしても、上記下部変曲部15a,15bは、上記上部変曲部12a,12bと同様、何れも左右熱溶着部4,5の外縁に近い位置に各々設けることが好ましい。
【0037】
そして、上記上部切目線10と上記下部切目線11とは、上下方向に離間して互いに接触しないように構成すると共に、上下切目線10,11の離間距離は、左側の上記上部変曲部12aと15a間、上記右側の上記上部変曲部12bと15b間が最少の離間距離Mとなるように構成している。
【0038】
具体的には、上記上部変曲部12a,12bと下部変曲部15a,15bとの離間距離Mは、左右何れも1mm〜5mm、好ましくは、2mm〜5mmとする。勿論、左右の離間距離Mは同一とする。
【0039】
さらに、上記左側の上記上部変曲部12aと上記下部変曲部15aとの間、及び、上記右側の上記上部変曲部12bと上記下部変曲部15bとの間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線18,19を、上記上部切目線10(14)と上記下部切目線11(17)に接触しないように各々形成する。
【0040】
この誘導切目線18,19は、左右対称なので、左側の誘導切目線18について説明し、右側の誘導切目線19は対応部分の符号をかっこ書で表示する。この誘導切目線18(19)は、
図4に示すように、上記上部変曲部12a(12b)と下部変曲部15a(15b)の間であって、その「V字」を構成する上側の開き切目線18a(19a)が、上記凸状切目線14の上向傾斜切目線14a(14b)に沿って内側方向に延びると共に、その「V字」を構成する下側の開き切目線18b(19b)が、上記凹状切目線17の下向傾斜切目線17a(17b)に沿って内側方向に延びるように形成され、かつ、その「V字」の頂点18c(19c)は、外側方向を向いており、後述のIノッチ21から水平方向に延長した延長線L上に形成されている。
【0041】
そして、上記上側及び下側の開き切目線18a,18b(19a,19b)は、上記上下向傾斜切目線14a,17a(14b,17b)に近接してはいるが、決して接したり交わることはないように構成される。
【0042】
上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、以下のように構成されている(
図1参照)。
上記上部切目線10と上記下部切目線11の中間(間)に位置し、上記包装袋1の左外縁4aから右外縁5aに至る直線状の上下2本の切目線20a,20bから構成されている(
図3参照)。この2本の切目線の上下の間隔Nは1mm〜5mm、好ましくは2mm〜5mmとする。例えば、表面側積層フィルム2の上記上下の切目線の間隔Mと、上記裏面側積層フィルム3の上記2本の切目線の間隔Nを同一値(例えばN=M=2mm)とした場合は、
図3に示すように、上記上下部変曲部12a,15a、12b,15bの中心位置a,a’に上記裏面側の切目線20a,20bが接する状態となる。
【0043】
また、上記裏面側の上側の上記切目線20aから表面側の上記凸条切目線14の最も上部に位置する頂点部14’までの距離P1は3mm〜5mm、上記下側の切目線20bから表面側の上記凹状切目線17の最も下部に位置する下向き頂点部17’までの距離P2は3mm〜5mmとすることが好ましい(
図3参照)。この距離P1又はP2が、切断縁における段差となって残る距離となる。
【0044】
さらに、上記包装袋1の左右外縁4a,5aにおける上記下向傾斜切目線13a(13b)の外端位置13a’(13b’)と上記上向傾斜切目線16a(16b)の外端位置16a’(16b’)との中間位置に切込部としてのIノッチ21,21を各々形成している。
【0045】
本発明に係る包装袋1は上述のように構成されるものであるから、次に、この包装袋1の開封動作について説明する(
図5参照)。
【0046】
まず、上記右手で上記上辺部1’を以って、左端部から上記上辺部1’を手前側に引いて開封する場合を説明する(
図5の方向)。
【0047】
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を以って手前に引くと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、切断線が変曲部12a,15aを通って誘導用切目線18に至り、手前に引いている関係上、誘導用切目線18の下側の開き切目線18bに沿って切断されて、その結果、切断線が下部切目線11の凹状切目線17に誘導され、そのまま凹状切目線17に沿って切断され、左側の下部変曲部15bを通って上向傾斜切目線16bを介して右外縁5aまで切断される。
【0048】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から手前側に引かれるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、すぐに下側の切断線20bに移行し、その後は、下側の切断線20bに沿って切断線が形成され、右外縁5aまで引き裂かれる。
【0049】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凹状切目線17に沿って切断されるため、下向凹状切断線22が形成され、裏面側積層フィルム3は、下側の切目線20bに沿って切断されるため、当該切目線20bに沿った直線状切断線23が形成される(
図5参照)。
【0050】
このとき、上記下向凹状切断線22の最も下部の位置と上記直線状切断線23との間には、距離P2の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P2の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0051】
また、上記Iノッチ21から切断線が上記誘導用切目線18に至らずに、切断線が下向きに移動したとしても、Iノッチ21から始まる引裂線の下方向き延長方向には、必ず下部切目線11、即ち、上向傾斜切目線16a及び凹状切目線17が存在しているので、引裂線が下向きにずれても、その引裂線は、必ず下部切目線11(上向傾斜切目線16a又は凹状切目線17)に合流するため、その後は下部切目線11に沿って確実に切断することができる。
【0052】
次に、右手で上記上辺部1’を以って、左端部から上記上辺部1’を奥側に押して開封する場合を説明する(
図5のとは逆の方向)。
【0053】
この場合、左手で包装袋1の下半部を保持し、右手で上記上辺部1’の左端部を以って奥側に押すと、左端部のIノッチ21から引き裂きが始まり、表面側積層フィルム2では、切断線が変曲部12a,15aを通って誘導用切目線18に至り、奥側に押している関係上、誘導用切目線18の上側の開き切目線18aに沿って切断されて、その結果、切断線が上部切目線11の凸状切目線14に誘導され、そのまま凸状切目線14に沿って切断され、右側の上部変曲部12bを通って下向傾斜切目線13bを介して右外縁5aまで切断される。
【0054】
一方、裏面側積層フィルム3では、上記Iノッチ21から奥側に押されるため、上記Iノッチ21から始まった引き裂きは、すぐに上側の切断線20aに移行し、その後は、上側の切断線20aに沿って切断線が形成され、右外縁5aまで引き裂かれる。
【0055】
その結果、表面側積層フィルム2側は、その中央部は凸状切目線14に沿って切断されるため、上向凸状切断線が形成され、裏面側積層フィルム3は、上側の切目線20aに沿って切断されるため、当該切目線20aに沿った直線状切断線が形成される。
【0056】
このとき、上記上向凸状切断線の最も上部の位置と上記直線状切断線との間には、距離P1の段差が生じているので、その後、使用者は上記距離P1の段差を利用して、包装袋1を容易に開口することができる。
【0057】
また、上記Iノッチ21から切断線が上記誘導用切目線18に至らずに、切断線が上向きに移動したとしても、Iノッチ21から始まる引裂線の上方向き延長方向には、必ず上部切目線10、即ち、下向傾斜切目線13a及び凸状切目線14が存在しているので、引裂線が上向きにずれても、その引裂線は、必ず上部切目線10(下向傾斜切目線13a又は凸状切目線14)に合流するため、その後は上部切目線11に沿って確実に切断することができる。
【0058】
また、上記説明は、左手で包装袋1を保持し、右手で上辺部1’を切断する場合であって、主に右利きの人の開封動作について説明したが、左利きの人の開封動作も同様に行うことができる。即ち、左利きの人は、右手で包装袋1を保持し、左手で上辺部1’の右端部を持ち、該右端部を手前に引くか、奥側に押すかの何れかの動作により、上記上辺部1’を切り裂いて開口する。
【0059】
この場合、本発明に係る包装袋は、上記上部切目10と下部切目線11の構成は左右対称なので、上記のような左利きの使用者の開封動作においても、上記右利きの動作と同様の円滑な開封動作を行うことができる。
【0060】
このように本発明の包装袋では、右利き、左利きに拘わらず、また、上記上辺部1’を手前に引いて開封する場合も、奥側に押して開封する場合も、何れの場合も確実に開封部に段差を形成することができるものである。
【0061】
また、上部下向傾斜切目線13a(13b)と下部上向傾斜切目線16a(16b)は、外縁に向けて両切目線の間隔が順次拡大しており、熱溶着部4,5の左外縁(右外縁)における間隔Qが大であるので(
図4参照)、製造工程において、両切目線の中間位置に容易にIノッチ21を形成することができる、という効果がある。これにより、包装袋の製袋速度を高速化し得る。
(第2の実施形態)
【0062】
次に、本発明の包装袋1の第2の実施形態を説明する(
図6〜
図8参照)。
尚、この第2の実施形態において、上記第1の実施形態と同一部分、対応部分には同一符号を付して詳しい説明は便宜上省略する。
【0063】
この第2の実施形態の上記第1の実施形態との相違点は、上記第1の実施形態では、左右の下向傾斜切目線13a,13b及び左右の上向傾斜切目線16a,16bによって、易開封手段9の左右端部の2本の切目線が、外側から内側方向に行くにつれて近接していたのに対し、第2の実施形態では、これらの切目線が、直線の上部直線状切目線24a,24b、及び直線の下部直線状切目線25a,25bにより構成されている点、及び、第1の実施形態では下部切目線11の中央部が下に凸の円弧状の凹状切目線17により構成されたのに対し、第2の実施形態では、逆台形状切目線26により構成されている点が異なる。
【0064】
即ち、上記表面側積層フィルム2の易開封手段9は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右外縁4a,5aより始まり左右熱溶着部4,5より内側の左右の上部変曲部12a,12bまで直線状に形成された上部直線状切目線24a,24bと、上記左右の上部変曲部12a,12bから上記左右の直線状切目線24a,24bに連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる円弧状切目線(凸状切目線)14とから構成される全体として連続する1本の上部切目線10と、上記上部切目線10の下側において、当該包装袋1の左右外縁4a,5aより始まり左右熱溶着部4,5より内側の左右の下部変曲部15a,15bまで直線状に形成された下部直線状切目線25a,25bと、上記左右の下部変曲部15a,15bから上記左右の直線状切目線25a,25bに連続し、中央部が下方に逆台形状に膨れる逆台形状切目線26とから構成される全体として1本の切目線11とから構成される。
【0065】
このように、第2の実施形態では、中央部の切目線10,11が上下非対象に形成されており、特に、下側が逆台形状、即ち、
図8に示すように、左右の下部変曲部15a,15bから下方向きの傾斜直線部26a,26bが形成され、中央部には水平方向に水平直線部26cが形成され、左右の傾斜直線部26a,26bと水平直線部26cとの接続点には、屈曲点27a,27bが形成されている。
【0066】
第2の実施形態の包装袋は以下の利点を有する。
本来的に、中央部の上方に膨れる切目線と、下方に膨れる切目線は、円弧状に形成するよりは、上下とも台形状、即ち、上方は台形状として、下方は逆台形状とする方が、切断線と切目線からの離脱が起こりにくい。これは、円弧状の切目線であると、切目線の全体が弧状に湾曲しているため、力の入れ方、方向等によっては、どの位置からも切断線が切目線から離脱して、切目線以外の部分が切断される可能性がある。
【0067】
これに対して、台形状又は逆台形状であれば、切目線が左右の傾斜直線と中央の水平直線の3種の直線により構成され、直線の方向に変化が生ずる点、即ち屈曲点が2か所のみであるので、直線状の切目線では切断線の離脱は起こり難く、仮に、離脱が生ずる可能性があるとしても、2か所の屈曲点のみであるため、全体としてみれば、台形状又は逆台形状の方が切断線の切目線からの離脱が発生し難いといえる。
【0068】
この場合、上部切目線10の中央を台形状とした場合、上辺部1’を手前に引いて切断する場合、通常は、表面側積層フィルム2は、下部切目線11に沿って切断されるが、ごくまれに、上部切目線10に沿って切断される場合がある。
【0069】
このとき、上部切目線10が台形状であると、表面側積層フィルム2の台形状切目線によって切断された凸形状部分と裏面側積層フィルム3の直線状の切断縁が接触してしまい、上辺部を手前に引く抵抗力が大となってしまう。このような表面の凸形状部分と裏面の直線状の切断縁との引っ掛かりが生じた場合、直線の切断縁同士の接触が起き、台形の屈曲点で切断線が離脱する可能性が高くなる。
【0070】
よって、これを防ぐために、上部切目線10は、第1の実施形態と同様の、上方に膨らむ円弧状の凸状切目線14(円弧状切目線14)としている。
【0071】
これに対して、上辺部1’を奥側に押して切断する場合においても、まれに下部切目線11に沿って切断が起こる場合は同様のことが言えるが、そもそも上辺部1’を奥側に押して切断する人は、上辺部1’を手前に引いて切断する人に比べて非常に少ないので、下部切目線11については、切断線の離脱が生じ難い逆台形状(逆台形状切目線26)としたものである。
【0072】
このように第2の実施形態によると、下部切目線11が逆台形状なので、切断線を切目線から離脱することを極力抑止しつつ、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線10に沿って切断されたとしても、上部切目線10は上に膨れる円弧状切目線14であるので、裏面側の直線状の切断線20a,20bとの接触抵抗を低減することができ、この場合においても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができるという効果を奏する。
(第3の実施形態)
【0073】
次に、本発明の包装袋1の第3の実施形態を説明する(
図9〜
図11参照)。
尚、この第3の実施形態において、上記第1,2の実施形態と同一部分、対応部分には同一符号を付して詳しい説明は便宜上省略する。
【0074】
この第3の実施形態の上記第1の実施形態との相違点は、第1の実施形態では下部切目線11の中央部が下に凸の円弧状の凹状切目線17により構成されたのに対し、第
3の実施形態では、逆台形状切目線26により構成されている点が異なる。その他は、第1の実施形態と同様である。
【0075】
即ち、上記表面側積層フィルム2の上記易開封手段9は、上記表面側積層フィルム2において、当該包装袋1の左右外縁4a,5aより始まり左右熱溶着部4,5より内側の左右の上部変曲部12a,12bまで上方から下方に向けて下り傾斜に形成された左右対称の下向傾斜切目線13a,13bと、上記左右の上部変曲部12a,12bから上記左右の下向傾斜切目線13a,13bに連続し、中央部が上方に円弧状に膨れる円弧状切目線14とから構成される全体として連続する1本の上部切目線10と、上記上部切目線10の下側において、当該包装袋1の左右外縁4a,5aより始まり左右熱溶着部4,5より内側の左右の下部変曲部15a,15bまで下方から上方に向けて上り傾斜に形成された左右対称の上向傾斜切目線16a,16bと、上記左右の下部変曲部15a,15bから上記左右の上向傾斜切目線16a,16bに連続し、中央部が下方に逆台形状に膨れる逆台形状切目線26とから構成される全体として連続する1本の下部切目線11により構成する。
【0076】
そして、上記上部切目線10と上記下部切目線11とは上下方向に離間して互いに接触しないように構成すると共に、上下切目線10,11の離間距離は、上記左右の上部変曲部12a,12bと上記下部変曲部15a,15b間が最少となるように構成し、かつ上記左右の上下変曲部間に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線18,19を、上記上部切目線10と上記下部切目線11に接触しないように近接して各々形成する。
【0077】
上記裏面側積層フィルム3の上記易開封手段9は、上記上部切目線10と上記下部切目線11の間に位置し、上記包装袋1の左外縁から右外縁に至る直線状の切目線20a,20bから構成する。
【0078】
そして、上記包装袋1の左右外縁における上記下向傾斜切目線13a,13bと、上記上向傾斜切目線16a,16bの中間位置に切込部(Iノッチ)21,21を形成したものである。
【0079】
この第3の実施形態によると、上部下向傾斜切目線13a(13b)と下部上向傾斜切目線16a(16b)は、外縁に向けて両切目線の間隔が順次拡大しており、熱溶着部4,5の左外縁(右外縁)における間隔Qが大であるので、製造工程において、両切目線の中間位置に容易にIノッチ21を形成することができる、という効果と共に、下部切目線11が逆台形状であるので、上辺部1’を以って手前に引いて開口する際、切断線の切目線からの離脱が生じ難いという効果と共に、第2の実施形態と同様に、上部切目線10が円弧状に形成されているので、上辺部を持って手前に引いて開口する際、仮に上部切目線10に沿って切断されたとしても、上部切目線10が屈曲点のない円弧状であるので、上部切目線10と裏面側の直線状の切目線20a,20bとの接触抵抗が少なく、切断線の切目線からの離脱が生じにくいため、この場合においても、切断線の切目線からの離脱をなくして、円滑に開封して適切な段差を形成することができるという効果を奏する。
【0080】
尚、表裏の積層フィルムとしては、基材層として例えば二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、中間層としてアルミニウム箔等のバリア性フィルム、最内層のシーラント層としては、低密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂等を用いる。また、最内層のシーラント層にさらに吸湿フィルムを積層して、吸湿性を有する包装袋とすることも可能である。
【0081】
以上のように本発明によれば、上辺部1’を把持して左縁部側から手前引いた場合においても、又は奥側に押した場合においても、さらには、右利きの人が左端部側から引き裂き開始しても、或いは、左利きの人が右端部側から引き裂き開始しても、円滑に開封して開口部に確実に段差を形成することができる包装袋を実現したものである。
【0082】
また、左右の傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、例えばIノッチ21等の切込部を左右の傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができ、製袋効率をも向上することができる。
【0083】
また、下部切目線が逆台形状なので、切断線を切目線から離脱することを極力抑止しつつ、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【0084】
また、左右の傾斜切目線が外側方向に間隔が拡大しているため、製造時に、切込部を左右の傾斜切目線の中間位置に容易に形成することができ、製袋効率を向上し得ると共に、上辺部を手前に引いて切断する際、仮に上部切目線に沿って切断されたとしても、切断線を切目線から離脱することなく、円滑に切断することができ、確実に段差を形成することができる。
【解決手段】 表面側積層フィルム2の易開封手段9は、中央部が上方に膨れる凸状切目線14を含む全体として連続する1本の上部切目線10と、上部切目線10とは分離しており、中央部が下方に膨れる凹状切目線17を含む全体として連続する1本の下部切目線11により構成し、上下の切目線10,11間の左右位置に、互いに内側に開口する横向きV字型の誘導用切目線18,19を、上記上部切目線10と上記下部切目線11に接触しないように各々形成し、裏面側積層フィルム3の易開封手段9は包装袋1の左外縁から右外縁に至る直線状の切目線20a,20bとから構成し、包装袋1の左右外縁における上下切目線の中間位置に切込部21,21を各々形成した。