特許第5941711号(P5941711)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 青木 康の特許一覧

<>
  • 特許5941711-ネクタイ止め具 図000002
  • 特許5941711-ネクタイ止め具 図000003
  • 特許5941711-ネクタイ止め具 図000004
  • 特許5941711-ネクタイ止め具 図000005
  • 特許5941711-ネクタイ止め具 図000006
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941711
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】ネクタイ止め具
(51)【国際特許分類】
   A41D 25/12 20060101AFI20160616BHJP
   A44B 6/00 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   A41D25/12 C
   A44B6/00 B
   A44B6/00 G
【請求項の数】2
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-53875(P2012-53875)
(22)【出願日】2012年3月10日
(65)【公開番号】特開2013-185287(P2013-185287A)
(43)【公開日】2013年9月19日
【審査請求日】2014年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】595162013
【氏名又は名称】青木 康
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】青木 康
【審査官】 北村 龍平
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3062849(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3058671(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3133894(JP,U)
【文献】 特開2010−242228(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/023033(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41D 25/00 − 25/16
A44B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネクタイが結び付けられて、シャツの襟元に着脱自在に取り付けられるネクタイ止め具であって、
水平断面が正面方向に膨らむ円弧状に形成され、正面から視て上方から下方に向けて横幅が狭くなる略三角形状に形成され、前記ネクタイが結び付けられる本体と、
前記本体の背面側に設けられ、前記本体との間に隙間を空けて、前記本体に接続された中央片と、前記中央片の左右の端部から夫々斜め上方に延出し、棒状体に形成された一対の差し込み片とを有し、前記一対の差し込み片が前記シャツの左右の襟の下に差し込まれる突起部と、
前記突起部の前記中央片に接続され、垂直断面が略逆U字形状に形成され、ワイシャツの襟元に引っ掛けられるフック部と、を備え、
前記本体には、正面から視て略中央の孔と、前記孔の最下部に連なり、前記本体を水平方向に2分する中心線上において下方に延びる溝と、前記溝の最下部に連なり、前記本体の最下端まで広がる切り欠きが形成され、
前記孔の横幅は、中央近傍が最も広く、下方に連なる前記溝に向かって徐々に狭くなっており、
前記切り欠きの横幅は、前記溝の横幅と同じ幅から、下方に向けて徐々に広がっており、
前記本体は、
弾性変形可能な板状体で形成され、
前記孔、前記溝及び前記切り欠きの外周を形成し、前記中心線に対して互いに線対称となる、一対の挟持片により、前記本体に結び付けられた前記ネクタイの結び目の下方において、正面側で下方に垂れる前記ネクタイの一部を背面側から挟持するネクタイ止め具。
【請求項2】
前記本体に結び付けられた前記ネクタイの結び目の内部に配置され、正面側で下方に垂れる前記ネクタイを外側から内側に絞る弾性変形可能な輪状体を、さらに、備える請求項1に記載のネクタイ止め具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネクタイ止め具に関し、特にネクタイが結び付けられて、シャツの襟元に着脱自在に取り付けられるネクタイ止め具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ネクタイの着用を簡略化するには、ネクタイ止め具が用いられる。このネクタイ止め具は、樹脂製の本体に予めネクタイが固定されている。ところが、この従来のネクタイ止め具は、予めネクタイが固定されているため、使用者は、自ら選択したネクタイをネクタイ止め具に装着することができなかった。
【0003】
そこで、中央部が前面に向かって凸円弧状に湾曲した本体と、この本体の両側から斜め上方に突出する一対の差し込み片と、本体の前面に設けられ上下方向に開口するネクタイ通し部と、前記本体の裏面に設けられ本体から逆U字状に突出するフック部とを具備したことを特徴とするネクタイ止め具が提案されている(特許文献1を参照)。
【0004】
この特許文献1のネクタイ止め具によれば、大剣部、ネックバンド及び小剣部からなるネクタイの表面を手前側にして小剣部をネクタイ通し部の上側を通し、その小剣部を引き上げて本体からの大剣部の長さを好みの長さに調節する。次に、ネックバンドを左側の差し込み片に後側から前側に1回絡め、さらに本体の前面を覆うように横方向に渡して右側に導き、右側の差し込み片に前側から後側に1回絡める。さらに、小剣部を本体の上辺部を通ってネクタイ通し部の上側から下側に通すと、小剣部が大剣部の裏側に重なってネクタイがネクタイ止め具に結ばれる。
これにより、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、しかもネクタイ通し部にネクタイを通すことにより結び目が緩み難く、さらに、市販のネクタイをそのままネクタイ止め具に結び付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】第3062849号登録実用新案公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、着用したネクタイの結び目の直下に窪み(以下、ディンプルとも言う)を形成するネクタイの着用方法がある。着用したネクタイにディンプルを形成すると、ネクタイに立体感を出すことができる。
そして、特許文献1のネクタイ止め具に結び付けられたネクタイにおいても、ディンプルを形成したい、という要望がある。そのため、ネクタイをネクタイ止め具に結び付けた後、例えば、ネクタイ止め具とは別の金物により、ネクタイの背面側からネクタイの一部を挟み、ディンプルを形成していた。
しかしながら、この態様では、ネクタイ止め具とは別に金物を用意しなければ、ディンプルを形成することができない。
【0007】
本発明は、任意のネクタイを結び付けることができ、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、さらに、容易にディンプルを形成することができるネクタイ止め具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) ネクタイが結び付けられて、シャツの襟元に着脱自在に取り付けられるネクタイ止め具であって、
水平断面が正面方向に膨らむ円弧状に形成され、正面から視て上方から下方に向けて横幅が狭くなる略三角形状に形成され、前記ネクタイが結び付けられる本体と、
前記本体の背面側に設けられ、前記本体との間に隙間を空けて、前記本体に接続された中央片と、前記中央片の左右の端部から夫々斜め上方に延出し、棒状体に形成された一対の差し込み片とを有し、前記一対の差し込み片が前記シャツの左右の襟の下に差し込まれる突起部と、
前記突起部の前記中央片に接続され、垂直断面が略逆U字形状に形成され、ワイシャツの襟元に引っ掛けられるフック部と、を備え、
前記本体には、正面から視て略中央の孔と、前記孔の最下部に連なり、前記本体を水平方向に2分する中心線上において下方に延びる溝と、前記溝の最下部に連なり、前記本体の最下端まで広がる切り欠きが形成され、
前記孔の横幅は、中央近傍が最も広く、下方に連なる前記溝に向かって徐々に狭くなっており、
前記切り欠きの横幅は、前記溝の横幅と同じ幅から、下方に向けて徐々に広がっており、
前記本体は、
弾性変形可能な板状体で形成され、
前記孔、前記溝及び前記切り欠きの外周を形成し、前記中心線に対して互いに線対称となる、一対の挟持片により、前記本体に結び付けられた前記ネクタイの結び目の下方において、正面側で下方に垂れる前記ネクタイの一部を背面側から挟持するネクタイ止め具。
【0009】
(1)の発明によれば、使用者は、任意に選択したネクタイの小剣部を、本体と突起部の中央片との隙間に通し、背面側に垂らす。次に、使用者は、ネクタイの小剣部を、差し込み片の外側から、本体の正面側及び差し込み片の外側に回し、一ひねりして輪をつくる。そして、使用者は、この輪に差し込み片を差し込み、ネクタイの小剣部の端部を下方に引っ張る。
これにより、ネクタイの結び目を起点として、ネクタイの大剣部が正面側に配置され、小剣部が背面側に配置される。このとき、水平断面が正面方向に膨らむ円弧状に形成された本体を覆うようにネクタイの結び目が形成されることで、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出する。
【0010】
次に、使用者は、正面側からネクタイの結び目の中に指を入れ、この結び目の中において、本体の溝が形成された位置に配置された正面側のネクタイを背面側に押し込んでから離す。すると、本体の一対の挟持片は、弾性変形して、一旦正面側のネクタイと共に背面側に押し込まれ、その後、元に戻るときに、共に押し込まれたネクタイの一部を挟持する。
これにより、結び目の直下に、ネクタイの一部が窪んだディンプルが形成される。
したがって、任意のネクタイを結び付けることができ、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、さらに、容易にディンプルを形成することができるネクタイ止め具を提供できる。
【0011】
(2) 前記本体に結び付けられた前記ネクタイの結び目の内部に配置され、正面側で下方に垂れる前記ネクタイを外側から内側に絞る弾性変形可能な輪状体を、さらに、備える(1)に記載のネクタイ止め具。
【0012】
(2)の発明によれば、使用者は、ネクタイ止め具にネクタイを結び付けた後、輪状体の輪の中にネクタイを通し、ネクタイの結び目の内部にこの輪状体を配置する。
これにより、輪状体がネクタイにおいてディンプルが形成された部分に配置され、この輪状体によって、ネクタイが絞られているので、ディンプルを長時間維持できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、任意のネクタイを結び付けることができ、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、さらに、容易にディンプルを形成することができるネクタイ止め具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係るネクタイ止め具の斜視図である。
図2】前記実施形態に係るネクタイ止め具を示す図である。(a)は、ネクタイ止め具1の平面図である。(b)は、ネクタイ止め具の正面図である。
図3図2の中心線Cにおける、前記実施形態に係るネクタイ止め具の断面図である。
図4】本発明の実施形態に係るネクタイ止め具にネクタイが結び付けられた状態を示す図である。
図5】前記実施形態の応用例に係るネクタイ止め具を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態に係るネクタイ止め具1の構成を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るネクタイ止め具1の斜視図である。
図2は、前記実施形態に係るネクタイ止め具1を示す図である。(a)は、ネクタイ止め具1の平面図である。(b)は、ネクタイ止め具1の正面図である。
図3は、図2の中心線Cにおける、前記実施形態に係るネクタイ止め具1の断面図である。
【0016】
ネクタイ止め具1は、ネクタイが結び付けられ、当該ネクタイにディンプルを形成する本体10と、本体10の背面側に設けられ、ワイシャツの左右の襟の下に差し込まれる突起部20と、突起部20の背面側略中央に設けられ、ワイシャツの襟元に引っ掛けられるフック部30と、フック部30の正面側に設けられ、ネクタイ50の結び目の緩みを防止する2つの押さえ部40と、を備える。
【0017】
本体10は、水平断面が正面方向に膨らむ円弧状に形成され、正面から視て上方から下方に向けて横幅が狭くなる略三角形状に形成されている。本体10は、弾性変形可能な板状体(例えば、プラスチック等の樹脂製の板状体)により形成されている。
【0018】
また、本体10には、正面から視て略中央の孔10aと、孔10aの最下部に連なり、本体10を水平方向に2分する中心線C上において下方に延びる溝10bと、溝10bの最下部に連なり、本体10の最下端まで広がる切り欠き10cが形成されている。
【0019】
孔10aの横幅は、中央近傍が最も広く、下方に連なる溝10bに向かって徐々に狭くなっている。
溝10bの横幅は、中心線Cを中心とした等幅である。
切り欠き10cの横幅は、溝10bの横幅と同じ幅から、下方に向けて徐々に広がっている。
本体10は、孔10a、溝10b及び切り欠き10cの外周を形成する、中心線Cに対して互いに線対称となる、挟持片11a及び挟持片11bを有する。
【0020】
突起部20は、本体10の背面側に配置され、本体10との間に隙間Sを空けて、本体10の左右端部に接続された中央片21と、中央片21の左右の端部から夫々上方に延出し、中心線Cに対して互いに線対称に配置され、棒状体に形成された、差し込み片22a及び差し込み片22bと、を有する。
【0021】
中央片21は、水平断面が正面方向に膨らむ、本体10と略同一形状の円弧状に形成され、ネクタイが結び付けられた時に、本体10と共にネクタイの結び目に覆われる。
差し込み片22aは、正面から視て、右斜め背面方向に延びる。差し込み片22bは、正面から視て、左斜め背面方向に延びる。
【0022】
フック部30は、突起部20の中央片21の下端に、基端が接続され、水平方向に延出する爪支承体31と、爪支承体31の先端に接続され、正面から視て、斜め背面方向に延びて、頂点で折り返して、垂直断面が略逆U字形状に形成された爪部32とを有する。
【0023】
押さえ部40は、フック部30の爪部32において、この爪部32と突起部20の中央片21との間に形成されている。2つの押さえ部40は、中心線Cに対して互いに線対称となる位置に配置され、正面側に突出して形成されている。即ち、押さえ部40は、ネクタイた結び付けられた時に、背面側よりネクタイの結び目を、フック部30の中央片21の背面側に押さえ付ける。これにより、ネクタイの結び目が緩むのを防止できる。
【0024】
次に、本発明の実施形態に係るネクタイ止め具1の使用手順について説明する。
まず、使用者は、大剣部と小剣部とからなる任意のネクタイを選択する。使用者は、ネクタイ止め具1を持ち、本体10を正面側に、フック部30を背面側(使用者側)に向ける。そして、使用者は、ネクタイの小剣部を、本体10と突起部20の中央片21との隙間Sに通し、背面側(使用者側)に垂らす。
【0025】
次に、使用者は、ネクタイの小剣部を、差し込み片22bの外側から、本体10の正面側及び差し込み片22aの外側に回し、一ひねりして輪をつくる。そして、使用者は、この輪に差し込み片22aを差し込み、ネクタイの小剣部の端部を下方に引っ張る。これにより、ネクタイの結び目を起点として、ネクタイの大剣部が正面側に配置され、小剣部が背面側に配置される。このとき、水平断面が正面方向に膨らむ円弧状に形成された本体10を覆うようにネクタイの結び目が形成されることで、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出する。
【0026】
次に、使用者は、正面側からネクタイの結び目の中に指を入れ、この結び目の中において、本体10の孔10a、溝10b及び切り欠き10cが形成された位置に配置された正面側のネクタイを背面側に押し込んでから離す。すると、本体10の挟持片11a及び挟持片11bは、弾性変形して、一旦正面側のネクタイと共に背面側に押し込まれ、その後、元に戻るときに、共に押し込まれたネクタイの一部を挟持する。
【0027】
図4は、本発明の実施形態に係るネクタイ止め具1にネクタイが結び付けられた状態を示す図である。
図4に示すように、上記使用手順でネクタイ止め具1にネクタイ50が結び付けられると、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、さらに、この結び目の直下に、ネクタイの一部が窪んだディンプル51が形成される。
【0028】
よって、本発明の実施形態に係るネクタイ止め具1によれば、任意のネクタイを結び付けることができ、ネクタイの結び目が程よく前方に膨出し、さらに、容易にディンプルを形成することができるネクタイ止め具を提供できる。
【0029】
次に、本発明の実施形態に係るネクタイ止め具1の応用例について説明する。
図5は、前記実施形態の応用例に係るネクタイ止め具1Aを説明する図である。
図5は、応用例に係るネクタイ止め具1Aにネクタイを結び付け、結び目の中を見上げた図である。
応用例に係るネクタイ止め具1Aは、前記実施形態に係るネクタイ止め具1の構成に加え、本体10に結び付けられたネクタイ50の結び目の内部に配置され、正面側で下方に垂れるネクタイ50を外側から内側に絞る弾性変形可能な輪状体45を備える。輪状体45は、例えば、輪ゴムで形成されている。
【0030】
使用者は、ネクタイ止め具1Aにネクタイを結び付け、ディンプルを形成した後、この輪状体45の輪の中にネクタイ50を通し、ネクタイ50の結び目の中に輪状体45を配置する。
これにより、輪状体45がネクタイ50においてディンプル51が形成された部分に配置され、この輪状体45によって、ネクタイ50が絞られているので、ディンプル51を長時間維持できる。
【0031】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0032】
1 ネクタイ止め具
10 本体
10b 溝
11a,11b 挟持片
20 突起部
21 中央片
22a, 22b 差し込み片
30 フック部

図1
図2
図3
図4
図5