特許第5941733号(P5941733)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941733
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】車載装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20160616BHJP
【FI】
   G01C21/26 A
【請求項の数】5
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2012-83100(P2012-83100)
(22)【出願日】2012年3月30日
(65)【公開番号】特開2013-213689(P2013-213689A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年2月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】富士通テン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平井 香菜
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 行輔
【審査官】 相羽 昌孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−121157(JP,A)
【文献】 特開2011−254299(JP,A)
【文献】 特開2007−322306(JP,A)
【文献】 特開2010−193319(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0143981(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/00−21/36
G01C 23/00−25/00
G08G 1/00−99/00
G09B 23/00−29/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器と通信しながら該携帯機器と連携して動作するモードである連携モードを有する車載装置であって、
前記連携モードでの動作中に該連携モード以外のモードである非連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、前記車載装置に対する遠隔操作を含むアプリケーションが前記携帯機器において実行中であるときは、該車載装置と該携帯機器との通信を切断する通信制御部
を備えることを特徴とする車載装置。
【請求項2】
前記連携モードは、
前記携帯機器と前記車載装置とが連携して、前記携帯機器からの出力音を前記車載装置のスピーカから出力することができるようにするモードであり、
前記非連携モードは、
前記車載装置が単体で動作して出力される音声を前記スピーカから出力するモードである
ことを特徴とする請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記通信制御部は、
前記車載装置に対する遠隔操作を含まないアプリケーションが前記携帯機器において実行中であるときは、該車載装置と該携帯機器との通信を維持する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記遠隔操作を含むアプリケーションは、
カーナビゲーション機能における目的地の設定要求を前記携帯機器から前記車載装置へ通知し、該車載装置に対して前記目的地を設定させる遠隔操作を行う
ことを特徴とする請求項1、2またはに記載の車載装置。
【請求項5】
前記携帯機器から前記目的地の設定要求が通知されたとき、該設定要求を受け付けるか否かを確認させる確認画面を前記車載装置の表示部へ表示させる確認処理部
をさらに備え、
前記通信制御部は、
前記確認処理部が動作する場合、前記車載装置と前記携帯機器との通信を切断しない
ことを特徴とする請求項に記載の車載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、車載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーナビゲーション機能やカーオーディオ機能などの各機能を一体のユニットに統合させた統合型の車載装置が知られている。
【0003】
かかる統合型の車載装置は、各機能にそれぞれ対応したモードを有しており、ユーザは、かかるモードを切り替える「モード切替」操作を行うことによって所望の機能を選択することができる。
【0004】
また、近年では、無線通信技術の普及にともなって、携帯電話といった携帯機器と連携する車載装置も提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
かかる連携中の車載装置は、無線通信などによって接続された携帯機器との間でデータの送受信を行いながら、たとえば、携帯機器からの遠隔操作によってカーナビゲーション機能における目的地を設定するといった動作を行うことができる。
【0006】
したがって、車両の運転者は、車載装置の操作を自ら行うことなく同乗者に委ねながら、車載装置の所望の機能を利用できるという利便性を享受することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−145158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来技術によれば、上述した連携時における利便性を損ねる場合がある。具体的には、携帯機器を操作する同乗者が子供であるような場合、かかる子供によって運転者の意図しない携帯機器の操作が行われ、たとえば、上述のカーナビゲーション機能における目的地が不正確に設定されるおそれがあった。
【0009】
実施形態の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、運転者の享受する利便性を損ねることなく適切に携帯機器と連携することができる車載装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
実施形態の一態様に係る車載装置は、携帯機器と通信しながら該携帯機器と連携して動作するモードである連携モードを有する車載装置であって、通信制御部を備える。前記通信制御部は、前記連携モードでの動作中に該連携モード以外のモードである非連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、前記車載装置に対する遠隔操作を含むアプリケーションが前記携帯機器において実行中であるときは、該車載装置と該携帯機器との通信を切断する。
【発明の効果】
【0011】
実施形態の一態様によれば、運転者の享受する利便性を損ねることなく適切に携帯機器と連携することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A図1Aは、実施形態に係る通信制御手法の概要を示す図(その1)である。
図1B図1Bは、実施形態に係る通信制御手法の概要を示す図(その2)である。
図2図2は、第1の実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る車載装置の画面遷移の一例を示す図である。
図4A図4Aは、指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図(その1)である。
図4B図4Bは、指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図(その2)である。
図5図5は、第1の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図6A図6Aは、第2の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その1)である。
図6B図6Bは、第2の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その2)である。
図6C図6Cは、第2の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その3)である。
図7図7は、第2の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図8図8は、第3の実施形態に係る車載装置の概要を示す図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図10A図10Aは、第3の実施形態に係る車載装置の画面表示の一例を示す図(その1)である。
図10B図10Bは、第3の実施形態に係る車載装置の画面表示の一例を示す図(その2)である。
図10C図10Cは、第3の実施形態に係る車載装置の画面表示の一例を示す図(その3)である。
図11図11は、第3の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図12A図12Aは、第4の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その1)である。
図12B図12Bは、第4の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その2)である。
図12C図12Cは、第4の実施形態に係る車載装置の概要を示す図(その3)である。
図13図13は、第4の実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図14A図14Aは、第4の実施形態に係る車載装置の指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図(その1)である。
図14B図14Bは、第4の実施形態に係る車載装置の指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図(その2)である。
図15図15は、第4の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図16図16は、第5の実施形態に係る車載装置の概要を示す図である。
図17図17は、第5の実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図18図18は、第5の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
図19図19は、第6の実施形態に係る車載装置の概要を示す図である。
図20図20は、第6の実施形態に係る車載装置の構成を示すブロック図である。
図21A図21Aは、第6の実施形態に係る車載装置が通知する拒否理由の一例を示す図(その1)である。
図21B図21Bは、第6の実施形態に係る車載装置が通知する拒否理由の一例を示す図(その2)である。
図21C図21Cは、第6の実施形態に係る車載装置が通知する拒否理由の一例を示す図(その3)である。
図22図22は、第6の実施形態に係る車載装置が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する車載装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0014】
また、以下では、車載装置が統合型の車載装置であるものとして説明を行う。また、以下では、説明の便宜上、カーナビゲーションを「ナビ」と、アプリケーションを「アプリ」と、それぞれ短縮させて記載する場合がある。
【0015】
また、以下では、実施形態に係る通信制御手法の概要について図1Aおよび図1Bを用いて説明した後に、実施形態に係る通信制御手法を適用した車載装置について、図2図22を用いて説明することとする。
【0016】
まず、実施形態に係る通信制御手法の概要について図1Aおよび図1Bを用いて説明する。図1Aおよび図1Bは、実施形態に係る通信制御手法の概要を示す図である。
【0017】
図1Aに示すように、実施形態に係る車載装置10は、車両1の車室前方などに備えられ、携帯機器20と通信しながら連携して動作する連携モードを有する。
【0018】
かかる連携モードにおいては、たとえば、携帯機器20がゲーム機である場合に、同乗者3がプレイするゲームアプリの出力音を、車載装置10のスピーカ16から出力させることができる。
【0019】
また、たとえば、かかるゲーム機において動作するナビ機能を有するアプリを介して、同乗者3に車載装置10のナビ機能における目的地設定を行わせることができる。
【0020】
これにより、運転者2は、車載装置10の操作を、携帯機器20を操作する同乗者3に委ねることができるので、自身の運転操作に集中しながら車載装置10の所望の機能を利用することができる。
【0021】
ここで、「連携モード」と、かかる連携モードに対置される「非連携モード」について説明しておく。車載装置10は、ナビ機能を提供する「ナビモード」、ラジオやコンパクトディスクといった音響ソース及びテレビやDVDといった映像ソースの再生機能を提供する「オーディオモード」等を有する。そして、連携モードは、「オーディオモード」に含まれる機能の一つとして実行され、携帯機器20と通信しながら連携して動作するモードである。一方で、非連携モードは、「オーディオモード」に含まれる機能として実行され、いわば車載装置10が単体で動作する場合の各種モードである。
【0022】
前述の連携モードとこれら非連携モードとの切り替えは、運転者2の車載装置10に対する「モード切替」操作によって行うことができる。かかる「モード切替」は、ボタンのワンタッチ操作など、簡易な操作で行えるのが通常である。
【0023】
なお、連携モードから非連携モードへの「モード切替」が行われた際、再度の連携モードへの「モード切替」を想定した場合のレスポンス性などを考慮すれば、車載装置10と携帯機器20との間の通信接続は維持されているのが好ましい。
【0024】
ここで、同乗者3が子供であるものとする。かかる場合、運転者2の意図しない同乗者3による携帯機器20の操作が行われ、たとえば、ナビ機能における目的地が不正確に設定されるなど、連携モードにおける利便性を損ねる可能性が高い。
【0025】
そこで、運転者2は、その簡易な操作性から、連携モードから非連携モードへの「モード切替」を行うことによってかかる事態を防止しようと試みることが考えられる。しかしながら、たとえ非連携モードへ切り替えられても、前述のように車載装置10と携帯機器20との通信が維持されていれば、車載装置10は、同乗者3の携帯機器20による遠隔操作をバックグラウンドで受け付けるおそれがある。
【0026】
そこで、実施形態に係る通信制御手法では、車載装置10が連携モードでの動作中に非連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、車載装置10の遠隔操作を許容されたアプリが携帯機器20において実行中であるならば、車載装置10と携帯機器20との通信を強制的に切断することとした。
【0027】
以下、具体的に説明する。図1Bに示すように、車載装置10が連携モードでの動作中に、運転者2による非連携モードへの「モード切替」操作を受け付けたものとする(図中の「Step1」参照)。
【0028】
このとき、図1Bに示すように、携帯機器20において、車載装置10の遠隔操作を許容されたアプリ(以下、「リモートモードアプリ」と記載する)が実行中であるならば、車載装置10は、強制的に車載装置10と携帯機器20との通信を切断する(図中の「Step2−a」参照)。ここで、リモートモードアプリは、たとえば、車載装置10のナビ機能における目的地設定を行うことができるアプリである。
【0029】
一方、携帯機器20において、車載装置10の遠隔操作を許容されていないアプリ(以下、「非リモートモードアプリ」と記載する)が実行中であるならば、車載装置10は、車載装置10と携帯機器20との通信を維持する(図中の「Step2−b」参照)。
【0030】
ここで、非リモートモードアプリは、たとえば、車載装置10のスピーカ16からカラオケ(登録商標)の音響を出力させるアプリである。なお、かかる非リモートモードアプリの場合には、非連携モードへ切り替えられた際、通信を維持しながら、たとえば、かかるアプリによる音響再生を停止するなどの措置をとればよい。
【0031】
これにより、運転者2は、簡易な「モード切替」操作ひとつで、携帯機器20が車載装置10を遠隔操作することを確実に防ぐことができる。すなわち、運転者2は、同乗者3による携帯機器20の不適当な操作が行われる可能性が高い場合であっても、自身の運転操作に支障をきたすことなく、連携機能を含む車載装置10の所望の機能を適切に利用することができる。また、通信を維持することで生じる携帯機器20のバッテリーの消耗を抑えることができる。
【0032】
また、遠隔操作のおそれのない非リモートモードアプリに対しては、再度連携モードへの「モード切替」が行われた際にレスポンスよく通信を行わせ、かかる非リモートモードアプリの機能をストレスなく利用することができる。
【0033】
したがって、利便性を損ねることなく携帯機器20と連携することができる。以下では、図1を用いて説明した通信制御手法を適用した車載装置10についての実施形態を「第1の実施形態」として、図2図5を用いて詳細に説明する。
【0034】
ところで、運転者2が、安全性を保ちつつ上述した連携機能における利便性を得るうえで、車載装置10がさらに種々の機能を有することとしてもよい。たとえば、連携モード中における注意喚起を促すこととしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第2の実施形態」として、図6A図7を用いて詳細に説明する。
【0035】
また、同様に、不適当である可能性のある携帯機器20からの指示要求を、ワンタッチ操作でキャンセル可能としてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第3の実施形態」として、図8図11を用いて詳細に説明する。
【0036】
また、同様に、不適当である可能性のある携帯機器20からの指示要求については、確認画面を表示して運転者2に確認させることとしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第4の実施形態」として、図12A図15を用いて詳細に説明する。
【0037】
また、同様に、携帯機器20による操作の受け付け中については、かかる旨を知らせるBGMをスピーカ16から出力することとしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第5の実施形態」として、図16図18を用いて詳細に説明する。
【0038】
また、携帯機器20からの指示要求を受け付けられない場合に、携帯機器20側へ拒否理由を通知することとしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第6の実施形態」として、図19図22を用いて詳細に説明する。
【0039】
なお、以下では、携帯機器20は、つねに同乗者3によって操作されるものとする。また、以下では、かかる携帯機器20からの指示要求が、主にナビ機能における目的地設定要求である場合を例に挙げて説明する。
【0040】
(第1の実施形態)
図2は、第1の実施形態に係る車載装置10の構成を示すブロック図である。なお、図2では、車載装置10の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
【0041】
図2に示すように、車載装置10は、近距離通信部11と、操作部12と、GPS部13と、車速取得部14と、表示部15と、スピーカ16と、制御部17と、記憶部18とを備える。
【0042】
制御部17は、指示受付部17aと、モード切替部17bと、ナビ制御部17dと、オーディオ制御部17eとをさらに備える。また、オーディオ制御部17eは、連携制御部17cと非連携制御部17fとをさらに備える。記憶部18は、地図情報18aと、音響情報18bとを記憶する。なお、連携制御部17cおよびナビ制御部17dの詳細な構成については後述する。
【0043】
近距離通信部11は、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信によって携帯機器20との間でデータの送受信を行うための通信部である。また、携帯機器20も同様に、Bluetooth(登録商標)による近距離無線通信機能を搭載する。携帯機器20は、たとえば、携帯電話、PHS(Personal Handy-phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、またはゲーム機といったデバイスである。
【0044】
ここで、かかる携帯機器20について説明しておく。携帯機器20は、近距離通信部21と、操作部22と、表示部23と、制御部24と、記憶部25とを備える。そして、同乗者3による操作部22への操作に応じて、制御部24が、記憶部25に記憶されたアプリケーション25aのプログラムを読み出して実行することで、車載装置10と携帯機器20とが通信可能に接続される。
【0045】
たとえば、制御部24は、アプリケーション25aのプログラムを読み出して実行し、同乗者3による操作部22への指示操作に基づく目的地設定要求を、近距離通信部21を介して車載装置10へ送信する。
【0046】
なお、本実施形態および後述する他の実施形態では、Bluetooth(登録商標)を用いて車載装置10と携帯機器20との間の通信を行う場合について説明するが、Wi−Fi(登録商標)、ZIGBEE(登録商標)といった他の無線通信規格を用いることとしてもよい。また、車載装置10と携帯機器20との間の通信を有線通信で行うこととしてもよい。
【0047】
車載装置10の説明に戻る。操作部12は、「モード切替」ボタンなどを含む入力デバイスである。GPS部13は、図示略のGPSアンテナとGPSレシーバとを備える。GPSアンテナは、衛星からのGPS信号を受信し、GPSレシーバへGPS信号を送信する。GPSレシーバは、GPSアンテナから受信したGPS信号の復調を行って生成したGPS情報を制御部17へ出力する。
【0048】
車速取得部14は、車速センサを備えており、自車両の車速を常時取得する。また、車速取得部14は、取得した車速の情報を制御部17へ出力する。
【0049】
表示部15は、液晶ディスプレイなどの出力デバイスによって構成された出力部であり、たとえば、ナビ制御部17dにおいて生成されたルート情報に含まれる経路案内画面などを表示する。スピーカ16は、オーディオ制御部17eによる制御を受けて音響信号を出力する出力部である。
【0050】
制御部17は、車載装置10の全体制御を行う。なお、図2には、制御部17の機能的な構成を示しているが、かかる制御部17は、物理的にはCPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)とを有する情報処理ユニットを備える。
【0051】
そして、CPUが、ROMから各種プログラムを読み出し、RAMを作業領域として使用して実行することにより、連携制御部17c、非連携制御部17f、ナビ制御部17dおよびオーディオ制御部17eといった各処理部がそれぞれ機能することとなる。
【0052】
指示受付部17aは、操作部12を介して入力された運転者2からの操作に基づく指示信号を受け付ける。モード切替部17bは、指示受付部17aによって受け付けられた「モード切替」操作に対応する指示信号に基づき、車載装置10の動作するモードを切り替える。
【0053】
「モード切替」操作は、「ナビモード」と「オーディオモード」との間でモードの切り替えを行う第1の切替操作(主要機能の切替操作)と、オーディオモードが実行されている(オーディオモード画面が表示されている)ときに、「連携モード」と「非連携モード」との間でモードの切り替えを行う第2の切替操作(詳細機能の切替操作)とを含む。なお、第1の切替操作は、図2に示す(第1の切替処理)に、第2の切替操作は、図2に示す(第2の切替処理)に、それぞれ対応する。
【0054】
たとえば、「ナビモード」への切り替えが指示された場合には、モード切替部17bは、ナビ制御部17dによって動作されるナビ機能へと切り替え、車載装置10の表示部15にナビ画面を表示する。同じく、「オーディオモード」への切り替えが指示された場合には、モード切替部17bは、オーディオ制御部17eによって動作されるオーディオ機能へと切り替え、車載装置10の表示部15にオーディオ画面を表示する。
【0055】
車載装置10の表示部15に表示されるオーディオ画面には、オーディオモードに含まれる各種機能を選択して実行するための各種ボタンが表示される。そして、各種ボタンのうち、たとえば、連携ボタンを選択することによって「連携モード」への切り替えが指示された場合には、モード切替部17bは、携帯機器20との間の通信を制御しつつ、車載装置10を携帯機器20とのデータ送受信に基づいて動作させる連携モードへと切り替える。
【0056】
一方、各種ボタンのうち、たとえば、AMボタン、FMボタン、CDボタン、DVDボタン等を選択することによって「非連携モード」への切り替えが指示された場合には、モード切替部17bは、車載装置10が単体でラジオやコンパクトディスクといった音響ソース及びテレビやDVDといった映像ソースを再生出力する機能を提供する非連携モードへと車載装置10を切り替える。
【0057】
連携制御部17cは、連携モードにおける携帯機器20とのデータ送受信に関する制御を行う。図2に示すように、かかる連携制御部17cは、通信制御部17caと、アプリ判定部17cbと、送受信部17ccとをさらに備える。また、非連携制御部17fは、非連携モードにおける上述の音響ソースおよび映像ソースの再生出力に関する制御を行う。
【0058】
通信制御部17caは、モード切替部17bから連携モードへの切り替えを指示された場合には、近距離通信部11と携帯機器20の近距離通信部21とを通信可能に接続させる。また、通信制御部17caは、かかる接続時における携帯機器20からの入力信号をアプリ判定部17cbへ受け渡す。
【0059】
アプリ判定部17cbは、通信制御部17caから受け取った入力信号に基づいて携帯機器20側で実行中のアプリを判定する。また、アプリ判定部17cbは、判定したアプリとのデータ送受信を送受信部17ccに対して指示する。送受信部17ccは、かかるアプリとのデータ送受信を、近距離通信部11を介して行う。
【0060】
また、通信制御部17caは、モード切替部17bから非連携モードへの切り替えを指示された場合には、携帯機器20において実行中のアプリがリモートモードであるか否かに基づいて車載装置10と携帯機器20との間の通信を制御する。
【0061】
すなわち、通信制御部17caは、かかる場合でアプリがリモートモードアプリであるならば、車載装置10と携帯機器20との間の通信を切断する。また、通信制御部17caは、かかる場合でアプリが非リモートモードアプリであるならば、車載装置10と携帯機器20との間の通信を切断せずに維持する。
【0062】
ここで、説明を分かりやすくするため、連携モードから非連携モードへ順次切り替えられる場合の車載装置10における画面遷移について一例を示しておく。図3は、第1の実施形態に係る車載装置10の画面遷移の一例を示す図である。
【0063】
なお、図3は、白抜き矢印によって「上段」、「中段」および「下段」に分かれている。また、図3に示すように、表示部15はタッチ操作可能な液晶タッチパネルであるものとし、操作部12(図示略)に相当する各種ボタンは、「AM」、「FM」などのように表示部15上に配置されているものとする。
【0064】
まず、図3の上段に示すのは、連携モードへの切り替え画面の一例である。かかる画面は、たとえば、表示部15に表示された「連携」ボタンを運転者2がタッチする(図中の(3−1)参照)ことによって表示される。
【0065】
そして、運転者2が、同じく表示部15に表示された「接続」ボタンをタッチする(図中の(3−2)参照)ことによって、通信制御部17caが、車載装置10と携帯機器20との間の通信を接続する。
【0066】
なお、ここでは、「連携」ボタンを選択(タッチ)した後に、「接続」ボタンをタッチすることによって、車載装置10と携帯機器20との間の通信を接続する構成としたが、他の実施形態として、「連携」ボタンを選択(タッチ)することによって、連携モードへ切り替えると共に車載装置10と携帯機器20との間の通信を接続する構成としてもよい。このような構成によれば、「接続」ボタンを表示させる必要がなくなり、また「接続」ボタンをタッチする操作を行う必要もなくなるため、簡易な操作でモード切替が可能となる。
【0067】
そして、図3の中段に示すように、携帯機器20と「連携中」の表示部15には、携帯機器20において実行中のアプリ、たとえば、ナビ機能を備えたリモートモードアプリの地図画面が表示される。
【0068】
そして、かかる「連携中」の状態から、運転者2が、非連携モードのひとつであるAM放送モードへの切り替えを行うべく「AM」ボタンをタッチすると(図3の下段の(3−3)参照)、通信制御部17caは、車載装置10と携帯機器20との間の通信を切断する。なお、このとき、図3の下段に示すように、「携帯機器を切断しました」といった旨のメッセージを表示してもよい。
【0069】
また、通信制御部17caは、携帯機器20において実行中のアプリが非リモートモードアプリであるならば、車載装置10と携帯機器20との間の通信を維持したままとする。
【0070】
なお、携帯機器20において実行中のアプリがリモートモードアプリであるか否かは、たとえば、携帯機器20からの指示信号にその種別を含むことで判定可能となる。かかる場合のデータ項目の一例について、図4Aおよび図4Bを用いて説明する。
【0071】
図4Aおよび図4Bは、指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図である。なお、以下の一例に示すデータ項目の格納値は、そのデータ形式を限定するものではない。
【0072】
図4Aに示すように、携帯機器20からの指示信号には、たとえば、「携帯機器名情報」項目や「アプリケーション名情報」項目、携帯機器20側のアプリがリモートモードアプリであるか否かを示す「遠隔操作可否」項目などを含むことができる。
【0073】
そして、図4Aは、「ゲーム機#1」と名付けられた携帯機器20において「リモートナビ」というアプリが実行中であり、かかる「リモートナビ」は、遠隔操作が「可」である、すなわち、リモートモードアプリである場合の一例を示している。
【0074】
かかる場合、通信制御部17caは、非連携モードへの切り替えに際して、車載装置10と携帯機器20との間の通信を強制的に切断することとなる。
【0075】
また、図4Bは、同じく「ゲーム機#1」と名付けられた携帯機器20において「ケータイデカラオケ」というアプリが実行中であり、かかる「ケータイデカラオケ」は、遠隔操作が「否」である、すなわち、非リモートモードアプリである場合の一例を示している。
【0076】
かかる場合、通信制御部17caは、非連携モードへの切り替えに際して、車載装置10と携帯機器20との間の通信を維持することとなる。
【0077】
図2の説明に戻り、ナビ制御部17dについて説明する。ナビ制御部17dは、主に車載装置10の「ナビモード」における動作を制御する処理部である。また、ナビ制御部17dは、車載装置10が「連携モード」である場合には、携帯機器20からの指示要求に応じたナビ機能関連の動作制御を行う。
【0078】
ここで、図2に示すように、ナビ制御部17dは、目的地設定部17daと、位置情報取得部17dbと、ルート情報生成部17dcとをさらに備える。
【0079】
目的地設定部17daは、ナビ機能における「目的地」の設定を行う。かかる目的地の設定は、車載装置10が「ナビモード」である場合には、運転者2により操作部12から指示受付部17aを介して入力された目的地設定要求に基づく。
【0080】
また、車載装置10が「連携モード」である場合には、同乗者3により携帯機器20の操作部22から入力され、近距離通信部11および送受信部17ccを介して受信された目的地設定要求に基づく。さらに、運転者2により操作部12から指示受付部17aを介して入力された目的地設定要求に基づいて目的地が設定されてもよい。
【0081】
位置情報取得部17dbは、GPS部13から受け取ったGPS情報に基づいて車載装置10の現在位置の緯度情報および経度情報を取得する。また、位置情報取得部17dbは、車速取得部14から車速の情報を取得する。
【0082】
ルート情報生成部17dcは、上述の目的地設定要求、現在位置の情報、車速の情報および記憶部18に記憶された地図情報18aなどに基づき、経路案内画面を含むルート情報を生成する。
【0083】
また、ルート情報生成部17dcは、生成した経路案内画面を表示部15へ出力する。また、ルート情報生成部17dcは、生成した経路案内画面に対応する音響データを音響情報18bから取得して出力するように、オーディオ制御部17eに対して指示する。
【0084】
なお、車載装置10が「連携モード」である場合には、ルート情報生成部17dcは、生成したルート情報を携帯機器20へ受け渡して、携帯機器20側で出力することとしてもよい。
【0085】
オーディオ制御部17eは、主に車載装置10の「オーディオモード」における機能にかかる動作を制御する処理部である。また、オーディオ制御部17eは、車載装置10が「連携モード」である場合には、携帯機器20からの指示要求に応じた音響出力関連の動作制御を行う。また、車載装置10が「非連携モード」である場合には、車載装置10が単体でラジオやコンパクトディスクといった音響ソース及びテレビやDVDといった映像ソースを再生出力する場合の動作制御を行う。
【0086】
記憶部18は、ハードディスクドライブや不揮発性メモリ、レジスタといった記憶デバイスで構成される記憶部であり、地図情報18aと音響情報18bとを記憶する。
【0087】
地図情報18aには、ルート情報の生成用データ、たとえば、道路データや施設データ、表示アイコンの画像データなどが含まれる。また、音響情報18bには、経路案内用の音声データやアプリ用の効果音データ、BGMデータなどが含まれる。
【0088】
次に、第1の実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順について説明する。図5は、第1の実施形態に係る車載装置10が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0089】
図5に示すように、まず、指示受付部17aが、運転者2による操作部12からの操作に基づく指示信号を受け付ける(ステップS101)。ここで、受け付けられた指示信号がモード切り替え指示である場合(ステップS102,Yes)、指示受付部17aは、ステップS104の処理へ制御を移す。
【0090】
なお、受け付けられた指示信号がモード切り替え指示でない場合(ステップS102,No)、指示受付部17aは、車載装置10を受け付けた指示信号に応じて動作させた後(ステップS103)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0091】
つづいて、モード切替部17bは、受け付けられたモード切り替え指示が非連携モードへの切り替え指示であるか否かを判定する(ステップS104)。ここで、非連携モードへの切り替え指示であると判定された場合(ステップS104,Yes)、モード切替部17bは、携帯機器20と連携中であるか否かを判定する(ステップS105)。
【0092】
そして、携帯機器20と連携中であると判定された場合(ステップS105,Yes)、通信制御部17caは、携帯機器20がリモートモードアプリを実行中であるか否かを判定する(ステップS106)。なお、ステップS105の判定条件を満たさない場合(ステップS105,No)、ステップS109の処理へ制御を移す。
【0093】
そして、携帯機器20がリモートモードアプリを実行中であると判定された場合(ステップS106,Yes)、通信制御部17caは、車載装置10と携帯機器20との通信を強制的に切断する(ステップS107)。
【0094】
また、携帯機器20がリモートモードアプリを実行中でないと判定された場合(ステップS106,No)、通信制御部17caは、車載装置10と携帯機器20との通信を維持する(ステップS108)。
【0095】
そして、モード切替部17bは、以降、車載装置10を非連携モードにて動作させる(ステップS109)。
【0096】
一方、ステップS104において非連携モードへの切り替え指示でない、たとえば、連携モードへの切り替え指示であると判定された場合(ステップS104,No)、モード切替部17bは、携帯機器20と未接続であるか否かを判定する(ステップS110)。
【0097】
ここで、携帯機器20と未接続であると判定された場合(ステップS110,Yes)、通信制御部17caは、車載装置10と携帯機器20との通信を接続する(ステップS111)。なお、携帯機器20と接続中であると判定された場合(ステップS110,No)、ステップS112の処理へ制御を移す。
【0098】
そして、モード切替部17bは、以降、車載装置10を連携モードにて動作させる(ステップS112)。
【0099】
そして、車載装置10は、処理終了イベント(たとえば、ACC電源の停止など)があるか否かを判定し(ステップS113)、処理終了イベントがある場合には(ステップS113,Yes)、処理を終了する。また、処理終了イベントがない場合には(ステップS113,No)、ステップS101からの処理を繰り返す。
【0100】
上述してきたように、第1の実施形態では、通信制御部を備えるように車載装置を構成した。通信制御部は、連携モードでの動作中にかかる連携モード以外のモードである非連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、車載装置に対する遠隔操作を含むアプリケーションが携帯機器において実行中であるときは、車載装置と携帯機器との通信を切断する。したがって、第1の実施形態に係る車載装置によれば、運転者の享受する利便性を損ねることなく適切に携帯機器と連携することができる。
【0101】
なお、第1の実施形態では、通信制御部が、非連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、車載装置の遠隔操作を許容されたアプリケーションが携帯機器において実行中であるならば、車載装置と携帯機器との通信を強制的に切断する場合について説明した。
【0102】
しかし、携帯機器からの目的地設定要求が通知されたならば、かかる目的地設定要求を受け付けるか否かを確認させる確認画面を生成して運転者に可否を問えるような場合には、例外的に通信を切断しなくともよい。この点は、後述する第4の実施形態において触れる。
【0103】
ところで、上述した第1の実施形態では、利便性を損ねることなく携帯機器と連携することができる点を重視した車載装置の構成例について説明したが、安全性を保つ観点から、たとえば、連携モード中における注意喚起を運転者へ自動的に促すこととしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第2の実施形態」として、図6A図7を用いて詳細に説明する。
【0104】
なお、図示しないが、第2の実施形態に係る車載装置には符号「10A」を付して説明を行うこととする。また、第2の実施形態に係る車載装置10Aのブロック構成は、上述した第1の実施形態に係る車載装置10と同様であるものとする(図2参照)。したがって、以下では、図2に示したのと同一の符号を用いて各処理部を記載する場合がある。
【0105】
(第2の実施形態)
図6A図6Cは、第2の実施形態に係る車載装置10Aの概要を示す図である。図6Aの上段に示すように、車載装置10Aは、表示部15に表示された連携モードへの切り替え画面(図3の上段参照)に対して、連携モード中における注意喚起メッセージを表示する。
【0106】
たとえば、図6Aの上段には、「安全のために運転者は走行中に本機や携帯機器を操作しないでください」との注意喚起メッセージを表示した例を示している。また、図6Aの下段に示すように、車載装置10Aは、連携モード中を通じてかかる注意喚起メッセージを表示することができる。
【0107】
これにより、元来禁じられてはいるが、マニュアルなどに記載されるのみで軽視されがちな車両走行中における運転者2の各種機器操作に対する注意喚起を、運転者2の目につきやすい形で促すことができる。すなわち、注意喚起を促すことで安全性を保ちつつ、運転者2に対して連携機能における利便性を享受させることができる。
【0108】
なお、ここで、上述の注意喚起メッセージを、携帯機器20において実行中のアプリに応じたものとしてもよい。
【0109】
かかる場合、携帯機器20において実行中のアプリを、たとえば、(1)車載装置10Aおよび携帯機器20双方の操作を伴うもの、(2)車載装置10Aのみの操作を伴うもの、(3)携帯機器20の操作のみを伴うものの3種別に区分けすることができる。
【0110】
そして、実際に携帯機器20において実行中のアプリが上記(1)に相当するアプリである場合には、図6Aに示した注意喚起メッセージを表示することとすればよい。
【0111】
また、上記(2)に相当するアプリである場合には、図6Bに示すように、「安全のため運転者は走行中に本機を操作しないでください」といった車載装置10Aのみを対象とした注意喚起メッセージを表示することとすればよい。
【0112】
同様に、上記(3)に相当するアプリである場合には、図6Cに示すように、「安全のため運転者は走行中に携帯機器を操作しないでください」といった携帯機器20のみを対象とした注意喚起メッセージを表示することとすればよい。
【0113】
なお、このように区分けされたアプリの判別は、第1の実施形態で示したアプリ判定部17cb(図2参照)を用いることによって判別可能である。
【0114】
次に、第2の実施形態に係る車載装置10Aが実行する処理手順について説明する。図7は、第2の実施形態に係る車載装置10Aが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0115】
図7に示すように、まず、指示受付部17aが、連携モードへの切り替え指示を受け付ける(ステップS201)。
【0116】
そして、モード切替部17bが、注意喚起メッセージを含んだ連携モードへの切り替え画面を表示する(ステップS202)。そして、かかる画面から、携帯機器20との接続操作が行われたならば、通信制御部17caが携帯機器20との通信を開始する(ステップS203)。
【0117】
そして、アプリ判定部17cbが、携帯機器20において実行中のアプリを判別し、かかるアプリに応じた注意喚起メッセージを生成して(ステップS204)、表示部15へ表示させる(ステップS205)。なお、かかる注意喚起メッセージは、連携モード中を通じて表示される。
【0118】
そして、指示受付部17aが非連携モードへの切り替え指示を受け付けるなどの連携モードの終了イベントが受信される(ステップS206)。ここで、モード切替部17bは、連携モードを終了させた後(ステップS207)、表示中の注意喚起メッセージを消去して(ステップS208)、処理を終了する。
【0119】
また、他の実施形態として、所定の時間が経過したら、表示中の注意喚起メッセージを消去する構成であってもよい。
【0120】
上述してきたように、第2の実施形態では、モード切替部が、連携モードへの切り替え指示を受け付けた場合に、アプリ判定部が、携帯機器において実行されるアプリを判別し、かかるアプリに応じた注意喚起メッセージを運転者に対して表示するように車載装置を構成した。したがって、第2の実施形態に係る車載装置によれば、運転者に対してアプリに応じた直接的な注意喚起を促すことができる。すなわち、安全性を保ちつつ、運転者に対して連携機能における利便性を享受させることができる。
【0121】
ところで、上述した第1の実施形態では、同乗者によって運転者の意図しない携帯機器の操作が行われる可能性があり、かかる操作に基づく不正確な目的地設定などを防止するために、必要に応じて車載装置と携帯機器との通信を切断する場合について説明した。
【0122】
この点につき、たとえば、携帯機器から不適当な可能性のある目的地設定要求を受け付けた場合に、かかる目的地設定要求に応じて設定された目的地を運転者がキャンセルできることとしてもよい。なお、このときのキャンセル操作は、運転者の運転操作に支障のないように簡易な操作であることが望ましい。
【0123】
以下では、かかる場合の実施形態を「第3の実施形態」として、図8図11を用いて詳細に説明する。
【0124】
(第3の実施形態)
図8は、第3の実施形態に係る車載装置10Bの概要を示す図である。図8に示すように、同乗者3により携帯機器20から目的地設定操作が行われ(図中の(8−1)参照)、目的地設定要求が車載装置10Bへ送信されたものとする(図中の(8−2)参照)。
【0125】
ここで、同乗者3が子供であるような場合、かかる目的地設定要求は不適当なものであるおそれがある。
【0126】
そこで、第3の実施形態に係る車載装置10Bでは、携帯機器20から目的地設定要求を受け付けた場合に、かかる指示要求に応じて設定された目的地をキャンセルできるようにキャンセルボタンを表示することとした(図中の(8−3)参照)。かかるキャンセルボタンは、簡易なワンタッチ操作が可能な操作部品として構成する。
【0127】
そして、かかるキャンセルボタンを運転者2がタッチ操作した場合に、車載装置10Bは、携帯機器20からの設定要求に基づいて設定された直近の目的地を削除する。すなわち、携帯機器20から設定された目的地で、最も新しい目的地を削除する。
【0128】
これにより、運転者2は、自身の手元に近い車載装置10B側で、携帯機器20によって設定された目的地を簡易な操作で削除することができるので、運転操作に支障を来すことなく、すなわち安全性を保ちつつ、連携機能における利便性もまた保つことができる。
【0129】
なお、キャンセルボタンは、車載装置10Bに2個以上の目的地が設定されている場合に表示されることが好ましい。これは、目的地が1個である場合にかかる目的地をキャンセルして新たに設定するよりも、上書きで目的地を新規設定する方が運転者2の手数を少なくできるためである。なお、かかる点は、目的地が1個である場合にキャンセルボタンを表示することを妨げるものではない。
【0130】
また、携帯機器20からの設定要求に基づいて設定された目的地すべてをリスト表示して、キャンセルボタンの押下によって一括削除してもよい。また、リストの中から選択して削除することとしてもよい。かかる点は、図10Bおよび図10Cを用いて後述する。
【0131】
次に、第3の実施形態に係る車載装置10Bの構成について図9を用いて説明する。図9は、第3の実施形態に係る車載装置10Bの構成を示すブロック図である。
【0132】
なお、図9は、図2に示した第1の実施形態に係る車載装置10の構成を示すブロック図に対応しているが、説明の簡略化のために、第1の実施形態と重複する構成要素の図示を一部省略している。図9では、第1の実施形態で示したナビ制御部17dを中心とした説明を行うこととする。
【0133】
また、図9は、第1の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付しており、第1の実施形態と重複する構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
【0134】
図9に示すように、車載装置10Bは、ナビ制御部17dにキャンセル処理部17ddをさらに備える点が、上述した第1の実施形態に係る車載装置10とは異なる。また、記憶部18が、さらに目的地情報18cを記憶する点も車載装置10とは異なる。
【0135】
目的地情報18cは、携帯機器20からの目的地設定要求を受けた目的地設定部17daによって順次追加設定される。キャンセル処理部17ddは、目的地設定部17daにおいて携帯機器20からの目的地設定要求に基づく目的地設定が行われたならば、表示部15に対してキャンセルボタンを表示する。
【0136】
ここで、図10A図10Cを用いて、車載装置10Bの画面表示について具体的に説明する。図10A図10Cは、第3の実施形態に係る車載装置10Bの画面表示の一例を示す図である。
【0137】
図10Aに示すように、車載装置10Bは、かかる車載装置10B側の表示部15にキャンセルボタンを表示する。なお、図10Aには、キャンセルボタンのみを表示した例を示している。かかる場合、運転者2のキャンセルボタンの押下によって、車載装置10Bは、携帯機器20から設定された直近の目的地のみを削除する。すなわち、キャンセルボタンの押下によって、携帯機器20から設定された最も新しい目的地のみを削除する。
【0138】
また、図10Bに示すように、表示部15にキャンセルボタンを表示するとともに、携帯機器20から設定された目的地すべてをリスト表示させてもよい。かかる場合、運転者2のキャンセルボタンの押下によって、車載装置10Bは、リスト表示された目的地すべてを一括削除することができる。また、車載装置10Bは、表示部15に表示されたキャンセルボタンを押下することによって、目的地すべてをリスト表示させ、再度キャンセルボタンを押下することによって、リスト表示された目的地すべてを一括削除する構成であってもよい。なお、リストをタッチ操作することで目的地を選択し、選択された目的地のみを削除してもよい。
【0139】
また、図10Cには、かかるリスト表示の変形例を示している。図10Cに示すように、車載装置10B(図中の「本機」参照)および携帯機器20(図中の「携帯」参照)のいずれから設定された目的地であるかを文字情報やアイコンで識別可能に表示する。そして、車載装置10Bおよび携帯機器20のいずれから設定された目的地であるかを問わず、目的地情報18cのすべての目的地をリスト表示することとしてもよい。
【0140】
かかる場合、車載装置10Bは、リスト表示された「携帯」の目的地すべてを一括削除することができる。たとえば、リスト表示された「携帯」を示す表示部分(文字情報やアイコン等)を押下した後、キャンセルボタンを押下することによって、リスト表示された「携帯」の目的地すべてを一度に削除する。また、かかるリストから、運転者2に「本機」の目的地(たとえば、図中の「W地点」)を含めて任意に選択削除させてもよい。たとえば、リスト表示された任意の目的地を押下した後、キャンセルボタンを押下することによって、選択された目的地すべてを一度に削除する。
【0141】
なお、図10A図10Cには示していないが、携帯機器20からの目的地設定操作には、同乗者3が自ら所定の手順を踏んで行う「通常型」のものと、同乗者3が携帯機器20のアプリに誘導されて行う「誘導型」のものがある。
【0142】
「誘導型」の目的地設定操作は、たとえば、ランドマークとしてあらかじめ登録された観光地情報やスポット情報、すなわち、目的地として設定可能な地点の属性に応じたアプリによるリコメンド(recommend)に誘導されて行われる。かかる「誘導型」は、操作は簡易であるものの、同乗者3が熟慮することなく安易に設定しやすいともいえるので、「通常型」に比べて目的地設定要求が不適当なものである可能性が高い。
【0143】
そこで、車載装置10Bは、かかる「誘導型」によって設定された目的地のみをキャンセル対象として取り扱うこととしてもよい。
【0144】
図9の説明に戻る。キャンセル処理部17ddは、キャンセルボタンから「キャンセル操作」を受け付けたならば、目的地情報18cから該当の目的地を削除することとなる。
【0145】
次に、第3の実施形態に係る車載装置10Bが実行する処理手順について説明する。図11は、第3の実施形態に係る車載装置10Bが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0146】
なお、図11には、キャンセル処理部17ddによる「ワンタッチキャンセル処理」を中心とした処理手順を示している。また、ここでは、2個以上の目的地が設定されている場合に、携帯機器20から設定された目的地のうちの直近の目的地のみを削除する場合について示す。
【0147】
図11に示すように、まず、目的地設定部17daが目的地設定要求を受信して(ステップS301)、目的地を設定する(ステップS302)。
【0148】
そして、キャンセル処理部17ddが、目的地情報18cに設定されている目的地が2個以上であるか否かを判定する(ステップS303)。ここで、ステップS303の判定条件を満たす場合(ステップS303,Yes)、キャンセル処理部17ddは、携帯機器20からの要求に基づいて設定された目的地か否かを判定する(ステップS304)。
【0149】
なお、ステップS303の判定条件を満たさない場合(ステップS303,No)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0150】
そして、ステップS304の判定条件を満たす場合(ステップS304,Yes)、キャンセル処理部17ddは、表示部15へキャンセルボタンを表示させる(ステップS305)。また、ステップS304の判定条件を満たさない場合には(ステップS304,No)、キャンセルボタンを非表示とし(ステップS306)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0151】
つづいて、キャンセルボタンが押下された場合(ステップS307,Yes)、キャンセル処理部17ddは、携帯機器20から設定された直近の目的地を削除する。すなわち、携帯機器20から設定された最も新しい目的地を削除する。(ステップS308)。なお、キャンセルボタンが押下されない場合(ステップS307,No)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0152】
そして、処理終了イベントがあるか否かを判定し(ステップS309)、処理終了イベントがある場合には(ステップS309,Yes)、処理を終了する。また、処理終了イベントがない場合には(ステップS309,No)、ステップS301からの処理を繰り返す。
【0153】
上述してきたように、第3の実施形態では、キャンセル処理部が、携帯機器から設定された目的地がある場合に車載装置側の表示部にキャンセルボタンを表示し、かかる表示ボタンが押下された場合には携帯機器から設定された直近の目的地を削除するように車載装置を構成した。したがって、第3の実施形態に係る車載装置によれば、携帯機器から不適当な目的地設定が行われた場合であっても、運転者が簡易な操作でこれをキャンセルできるので、運転者の安全性を保ちつつ、運転者へ連携機能における利便性を提供することができる。
【0154】
ところで、上述した第3の実施形態では、携帯機器から不適当な可能性のある目的地設定要求を受け付けた場合に、かかる目的地設定要求に応じて設定された目的地を運転者がキャンセルできる場合について説明した。
【0155】
この点につき、同様に、携帯機器から不適当な可能性のある目的地設定要求を受け付けた場合に、確認画面を表示して運転者に確認させることとしてもよい。なお、携帯機器からの目的地設定は、その手順が妥当なものであれば、運転者が連携機能における高い利便性を享受するうえで有効である。
【0156】
そこで、確認画面の表示は、上述した「誘導型」の目的地設定操作が行われた場合などに表示されることが好ましい。以下では、かかる場合の実施形態を「第4の実施形態」として、図12A図15を用いて詳細に説明する。
【0157】
(第4の実施形態)
図12A図12Cは、第4の実施形態に係る車載装置10Cの概要を示す図である。図12Aに示すように、同乗者3により携帯機器20から「通常型」の目的地設定操作が行われ(図中の(12A−1)参照)、「通常型」の目的地設定要求が車載装置10Cへ送信されたものとする(図中の(12A−2)参照)。
【0158】
ここで、車載装置10Cは、かかる「通常型」の目的地設定要求を受け付けた場合には、かかる要求に応じた目的地設定を常に許可する(図中の(12A−3)参照)。すなわち、所定の手順を踏んだ妥当性の高い「通常型」については、連携機能における利便性を優先する。
【0159】
また、図12Bに示すように、同乗者3により携帯機器20から「誘導型」の目的地設定操作が行われ(図中の(12B−1)参照)、「誘導型」の目的地設定要求が車載装置10Cへ送信されたものとする(図中の(12B−2)参照)。
【0160】
かかる場合、車載装置10Cは、目的地設定要求に応じた設定の可否を問う確認画面を表示する(図中の(12B−3)参照)。すなわち、車載装置10Cは、不適当な目的地設定要求である可能性の高い「誘導型」については、「通常型」の場合よりも慎重な取り扱いを行うこととなる。
【0161】
ここで、確認画面の一例を示しておく。図12Cに示すように、たとえば、「携帯機器から送信された目的地を設定してもよいですか?」といった分かりやすいメッセージとともに、「はい」または「いいえ」を選択させるだけの簡易な操作ボタンなどを運転者2に示すことが好ましい。
【0162】
次に、第4の実施形態に係る車載装置10Cの構成について図13を用いて説明する。図13は、第4の実施形態に係る車載装置10Cの構成を示すブロック図である。
【0163】
なお、図13は、図9に示した第3の実施形態に係る車載装置10Bの構成を示すブロック図に対応している。したがって、図13では、図9の第3の実施形態の場合と同様に、第1の実施形態で示したナビ制御部17dを中心とした説明を行うこととする。
【0164】
また、図13は、上述した各実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付しており、重複する構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめることとする。
【0165】
図13に示すように、車載装置10Cは、ナビ制御部17dに、許可レベル判定部17deと、確認画面生成部17dfとをさらに備える点が、上述した第1の実施形態に係る車載装置10とは異なる。また、記憶部18が、さらに目的地情報18cを記憶する点も車載装置10とは異なるが、かかる点は、第3の実施形態に係る車載装置10Bと同様である。
【0166】
許可レベル判定部17deは、携帯機器20からの目的地設定要求を受け付け、その許可レベルを判定する。ここで、図14Aおよび図14Bを用いて、具体的な許可レベル判定部17deの動作について説明する。
【0167】
図14Aおよび図14Bは、第4の実施形態に係る車載装置10Cの指示信号に含まれるデータ項目の一例を示す図である。なお、図14Aおよび図14Bは、既に図4Aおよび図4Bに示した指示信号の一例に対応しているため、重複するデータ項目についてはその説明を省略する。
【0168】
図14Aに示すように、携帯機器20からの指示信号には、たとえば、「許可レベル」項目を含むことができる。かかる「許可レベル」項目は、たとえば、目的地設定操作に「通常型」や「誘導型」といった違いがある場合に異なる値が格納される項目である。
【0169】
かかる格納値の具体例を図14Bに示す。図14Bに示すように、「許可レベル」項目には、「常に許可」や「毎回要確認」、「常に拒否」といった区分けを与えることができ、たとえば順に、「0x00」、「0x01」、「0xFF」のようなそれぞれ異なる値を割り当てることができる。なお、第4の実施形態では、「通常型」の目的地設定操作は「常に許可」に、「誘導型」の目的地設定操作は「毎回要確認」に、それぞれ対応する。
【0170】
また、他の実施形態として、「許可レベル」の項目と目的地設定操作の各種別との対応付けをユーザの任意で設定できるようにしてもよい。たとえば、「通常型」の目的地設定操作は「毎回要確認」に、「誘導型」の目的地設定操作は「常に拒否」に、それぞれ対応するよう設定すれば、目的地の設定や変更を容易に行うことができず、不適当な目的地設定を防ぐことが可能となる。
【0171】
そして、上述した許可レベル判定部17deは、かかる「許可レベル」項目の格納値に基づいて確認画面(図12C参照)を表示するのか否かといった判定を行うこととなる。
【0172】
図13の説明に戻る。確認画面生成部17dfは、かかる許可レベル判定部17deの判定結果に応じた確認画面を生成して表示部15へ表示させる。そして、表示部15に表示された確認画面から運転者2による「確認操作」を受け付けたならば、目的地設定部17daが目的地の設定を行う。
【0173】
なお、このように、運転者2による可否確認が行われるのであれば、すなわち、確認画面生成部17dfが動作するような場合であれば、通信制御部17ca(図2参照)は、車載装置10Cと携帯機器20との通信を例外的に切断しなくともよい。
【0174】
次に、第4の実施形態に係る車載装置10Cが実行する処理手順について説明する。図15は、第4の実施形態に係る車載装置10Cが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0175】
なお、図15には、許可レベル判定部17deおよび確認画面生成部17dfによる「可否確認処理」を中心とした処理手順を示している。
【0176】
図15に示すように、まず、許可レベル判定部17deが目的地設定要求を受信して(ステップS401)、許可レベルが「常に許可」であるか否かを判定する(ステップS402)。
【0177】
ここで、ステップS402の判定条件を満たす場合(ステップS402,Yes)、目的地設定部17daが、目的地を設定する(ステップS406)。また、ステップS402の判定条件を満たさない場合(ステップS402,No)、許可レベル判定部17deが、許可レベルが「常に拒否」であるか否かを判定する(ステップS403)。
【0178】
そして、ステップS403の判定条件を満たす場合(ステップS403,Yes)、目的地設定要求に応じた目的地の設定は行わずに、ステップS401からの処理を繰り返す。また、ステップS403の判定条件を満たさない場合(ステップS403,No)、確認画面生成部17dfが、許可レベルに応じた確認画面を生成して表示部15に表示させる(ステップS404)。
【0179】
そして、表示された確認画面を通じて設定が許可された場合(ステップS405,Yes)、目的地設定部17daが、目的地を設定する(ステップS406)。なお、設定が許可されない場合(ステップS405,No)、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0180】
そして、処理終了イベントがあるか否かが判定され(ステップS407)、処理終了イベントがある場合には(ステップS407,Yes)、処理を終了する。また、処理終了イベントがない場合には(ステップS407,No)、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0181】
上述してきたように、第4の実施形態では、許可レベル判定部が、携帯機器からの目的地設定要求について許可レベルを判定し、確認画面生成部が、判定された許可レベルに応じた確認画面を生成して運転者に目的地設定における可否確認を行わせるように車載装置を構成した。
【0182】
したがって、第4の実施形態に係る車載装置によれば、携帯機器からの目的地設定要求について、その可否を簡易な操作で運転者に確認させることができるので、不適当な目的地設定が行われるのを防止することができる。すなわち、運転者の安全性を保ちつつ、運転者へ連携機能の利便性を十分に享受させることができる。
【0183】
ところで、同乗者が携帯機器から目的地設定操作中である場合に、かかる旨を運転者に知らせれば、運転者は、不適当な目的地設定が行われる可能性があることを確知することができる。
【0184】
この点につき、たとえば、「設定中」などのメッセージを車載装置の表示部に表示させてもよいが、運転者は、運転操作に気を取られて見落とすおそれもある。したがって、運転者へ確実に確知させるうえでは音響を利用することが有効である。
【0185】
たとえば、携帯機器から目的地設定操作中である旨を知らせるBGMを車載スピーカから出力することとしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第5の実施形態」として、図16図18を用いて詳細に説明する。
【0186】
(第5の実施形態)
図16は、第5の実施形態に係る車載装置10Dの概要を示す図である。図16に示すように、目的地設定のために、同乗者3により携帯機器20から目的地検索操作が行われ、携帯機器20において目的地検索中であるものとする(図中の(16−1)参照)。
【0187】
かかる場合に、携帯機器20は、車載装置10Dへ目的地検索中通知を送信する(図中の(16−2)参照)。
【0188】
そして、車載装置10Dは、かかる目的地検索中通知を受け付けた場合には、携帯機器20において目的地設定操作中である旨を示すBGMをスピーカ16から出力する(図中の(16−3)参照)。
【0189】
これにより、運転者2や同乗者3以外の同乗者が、携帯機器20において目的地設定操作中であることを確知できるので、乗員全員の同意のない、不適当な目的地設定が行われるのを防止することが可能となる。
【0190】
次に、第5の実施形態に係る車載装置10Dの構成について図17を用いて説明する。図17は、第5の実施形態に係る車載装置10Dの構成を示すブロック図である。
【0191】
なお、図17についても、第3の実施形態および第4の実施形態の場合と同様に、第1の実施形態で示したナビ制御部17dを中心とした説明を行うこととする。
【0192】
また、上述した各実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめる点もこれまでと同様である。
【0193】
図15に示すように、車載装置10Dは、ナビ制御部17dに設定中処理部17dgをさらに備える。設定中処理部17dgは、携帯機器20からの目的地検索中通知を受け付け、携帯機器20において目的地設定操作中である旨を示すBGMデータを、音響情報18bから取得する。
【0194】
また、設定中処理部17dgは、取得したBGMデータに基づくBGMをスピーカ16から出力する。
【0195】
そして、目的地設定部17daが、携帯機器20からの目的地設定要求を受け付けて目的地設定を行ったならば、設定中処理部17dgは、出力中のBGMを停止する。
【0196】
次に、第5の実施形態に係る車載装置10Dが実行する処理手順について説明する。図18は、第5の実施形態に係る車載装置10Dが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0197】
なお、図18には、設定中処理部17dgによる「設定中処理」を中心とした処理手順を示している。
【0198】
図18に示すように、まず、設定中処理部17dgが目的地検索中通知に基づき、携帯機器20で目的地検索中であるか否かを判定する(ステップS501)。
【0199】
ここで、ステップS501の判定条件を満たす場合(ステップS501,Yes)、設定中処理部17dgは、目的地設定操作中である旨を示すBGMをスピーカ16から出力させる(ステップS502)。
【0200】
なお、ステップS501の判定条件を満たさない場合には(ステップS501,No)、ステップS501からの処理を繰り返す。
【0201】
そして、目的地設定部17daが、目的地設定要求を受信したか否かを判定する(ステップS503)。ここで、ステップS503の判定条件を満たす場合(ステップS503,Yes)、目的地設定部17daは、目的地を設定する(ステップS504)。なお、ステップS503の判定条件を満たさない場合には(ステップS503,No)、ステップS503からの処理を繰り返す。
【0202】
そして、設定中処理部17dgが、出力中のBGMを停止する(ステップS505)。
【0203】
そして、処理終了イベントがあるか否かが判定され(ステップS506)、処理終了イベントがある場合には(ステップS506,Yes)、処理を終了する。また、処理終了イベントがない場合には(ステップS506,No)、ステップS501からの処理を繰り返す。
【0204】
上述してきたように、第5の実施形態では、設定中処理部(報知部)が、携帯機器から目的地検索中通知を受け付けた場合に、携帯機器において目的地設定操作中である旨を示すBGMをスピーカから出力させるように車載装置を構成した。
【0205】
したがって、第5の実施形態に係る車載装置によれば、乗員全員が携帯機器において目的地設定操作中であることを確知できるので、不適当な目的地設定が行われるのを防止することができる。すなわち、乗員へ連携機能の利便性を十分に享受させることができる。
【0206】
ところで、同乗者によって携帯機器から目的地設定操作が繰り返し行われるような場合、車載装置に無用な負荷がかかってしまうことが考えられる。このような場合、たとえば、車載装置のレスポンスが遅くなるなどの事象が起こりうるため、連携機能における利便性を損ねかねない。
【0207】
そこで、このような事態を回避するため、車載装置が無用な目的地設定要求を拒否することとしてもよい。また、その際に、携帯機器側へ拒否理由を通知することとしてもよい。以下では、かかる場合の実施形態を「第6の実施形態」として、図19図22を用いて詳細に説明する。
【0208】
(第6の実施形態)
図19は、第6の実施形態に係る車載装置10Eの概要を示す図である。図19に示すように、同乗者3により携帯機器20から目的地設定操作が行われ(図中の(19−1)参照)、目的地設定要求が車載装置10Eへ送信されたものとする(図中の(19−2)参照)。
【0209】
ここで、車載装置10Eは、かかる目的地設定要求を受け付けられるか否かを判定する受付可否判定処理を行う(図中の(19−3)参照)。そして、要求を受け付けられないと判定した場合には、車載装置10Eはかかる要求を破棄したうえで携帯機器20に対して拒否理由を通知する(図中の(19−4)参照)。
【0210】
なお、かかる拒否理由通知には、たとえば、携帯機器20側の表示部23へ表示させる画面やメッセージなどの表示情報を含むことができる。かかる表示の一例については、図21A図21Cを用いて後述する。
【0211】
これにより、車載装置10Eに対して無用な負荷をかけるのを防止することができる。また、携帯機器20に対しても拒否理由を通知することで、携帯機器20を操作する同乗者3の、無用な繰り返し操作などを抑止することが可能となる。
【0212】
次に、第6の実施形態に係る車載装置10Eの構成について図20を用いて説明する。図20は、第6の実施形態に係る車載装置10Eの構成を示すブロック図である。
【0213】
なお、図20についても、第3の実施形態〜第5の実施形態の場合と同様に、第1の実施形態で示したナビ制御部17dを中心とした説明を行うこととする。
【0214】
また、上述した各実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する構成要素についての説明は省略するか簡単な説明にとどめる点もこれまでと同様である。
【0215】
図20に示すように、車載装置10Eは、ナビ制御部17dに受付可否判定部17dhをさらに備える。受付可否判定部17dhは、携帯機器20からの目的地設定要求を受け付けた場合に、かかる要求を受け付けられるか否かを判定する。
【0216】
そして、受付可否判定部17dhは、目的地設定要求を受け付けられないと判定した場合には、かかる目的地設定要求を破棄したうえで、携帯機器20に対して拒否理由通知を送信する。
【0217】
なお、拒否理由の具体例としては、目的地設定要求に含まれる地点情報などが不正な値をとっている場合や、目的地情報18cの登録数が上限に達している場合、車載装置10Eがビジー中である場合などを挙げることができる。
【0218】
ここで、かかる具体例に応じて携帯機器20側に表示させる拒否理由の一例を示しておく。図21A図21Cは、第6の実施形態に係る車載装置10Eが通知する拒否理由の一例を示す図である。
【0219】
図21Aは、目的地設定要求に含まれる地点情報などが不正な値をとっている場合の一例である。かかる場合、図21Aに示すように、車載装置10Eは、携帯機器20の表示部23に対して、たとえば「送信された情報は利用できません」といった拒否理由を表示させる。
【0220】
また、図21Bは、目的地情報18cの登録数が上限に達している場合の一例である。かかる場合、図21Bに示すように、車載装置10Eは携帯機器20側へ、たとえば「これ以上設定できません」ならびに「消去してお使いください」といった拒否理由を表示させる。
【0221】
また、図21Cは、車載装置10Eがビジー中である場合の一例である。かかる場合、図21Cに示すように、車載装置10Eは携帯機器20側へ、たとえば「システムがビジーです」ならびに「しばらく経ってから設定し直してください」といった拒否理由を表示させる。
【0222】
なお、図21A図21Cに示したのはあくまで一例である。したがって、同乗者3を子供であると想定すれば、ひらがな表記のより平易なメッセージを表示させることとしてもよい。
【0223】
図20の説明に戻る。そして、受付可否判定部17dhが、目的地設定要求を受け付けられると判定した場合には、目的地設定部17daが、目的地設定要求に応じた目的地設定を行う。
【0224】
次に、第6の実施形態に係る車載装置10Eが実行する処理手順について説明する。図22は、第6の実施形態に係る車載装置10Eが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0225】
なお、図22には、受付可否判定部17dhを中心とした「受付可否判定処理」の処理手順を示している。
【0226】
図22に示すように、まず、受付可否判定部17dhが、目的地設定要求を受信したか否かを判定する(ステップS601)。
【0227】
ここで、ステップS601の判定条件を満たす場合(ステップS601,Yes)、受付可否判定部17dhは、受信した目的地設定要求を受け付けられるか否かを判定する(ステップS602)。なお、ステップS601の判定条件を満たさない場合(ステップS601,No)、ステップS601からの処理を繰り返す。
【0228】
そして、ステップS602の判定条件を満たす場合(ステップS602,Yes)、目的地設定部17daが、目的地を設定する(ステップS603)。また、ステップS602の判定条件を満たさない場合(ステップS602,No)、目的地設定部17daは、目的地設定要求を破棄して携帯機器20へ拒否理由を通知し(ステップS604)、ステップS601からの処理を繰り返す。
【0229】
そして、処理終了イベントがあるか否かが判定され(ステップS605)、処理終了イベントがある場合には(ステップS605,Yes)、処理を終了する。また、処理終了イベントがない場合には(ステップS605,No)、ステップS601からの処理を繰り返す。
【0230】
なお、図示していないが、車載装置10Eがビジー中に目的地設定要求を繰り返し受信するような場合、目的地設定要求をバッファリングしておき、所定時間の経過後に、最後にバッファリングされた直近の目的地設定要求のみを用いて設定を行うこととしてもよい。
【0231】
上述してきたように、第6の実施形態では、受付可否判定部が、受信した目的地設定要求を受け付けられるか否かを判定し、受け付けられない場合には、携帯機器側へ拒否理由を通知するように車載装置を構成した。
【0232】
したがって、第6の実施形態に係る車載装置によれば、車載装置に対して無用な負荷をかけるのを防止することができる。また、携帯機器に対しても拒否理由を通知することで、携帯機器を操作する同乗者の無用な操作を抑止することが可能となる。すなわち、運転者に対しては、連携機能における利便性を損ねることなく享受させることができる。
【0233】
なお、一つの車載装置において、上述してきた各実施形態を適宜組み合わせて構成することができるのは言うまでもない。
【0234】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0235】
1 車両
2 運転者
3 同乗者
10 車載装置
10A 車載装置
10B 車載装置
10C 車載装置
10D 車載装置
10E 車載装置
11 近距離通信部
12 操作部
13 GPS部
14 車速取得部
15 表示部
16 スピーカ
17 制御部
17a 指示受付部
17b モード切替部
17c 連携制御部
17ca 通信制御部
17cb アプリ判定部
17cc 送受信部
17d ナビ制御部
17da 目的地設定部
17db 位置情報取得部
17dc ルート情報生成部
17dd キャンセル処理部
17de 許可レベル判定部
17df 確認画面生成部
17dg 設定中処理部
17dh 受付可否判定部
17e オーディオ制御部
17f 非連携制御部
18 記憶部
18a 地図情報
18b 音響情報
18c 目的地情報
20 携帯機器
21 近距離通信部
22 操作部
23 表示部
24 制御部
25 記憶部
25a アプリケーション
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22