(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
(A)成分:炭素数12以上の1価アルコールと、(B)成分:25℃において固体のワックスと、(C)成分:ノニオン界面活性剤と、を含有する水中油型乳化組成物において、
油相中の前記(A)成分の含有量は、3〜20質量%であり、
油相中の前記(B)成分の含有量は、25〜40質量%であり、
前記(B)成分は、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びカルナウバロウから選ばれる少なくとも1種を含み、
前記(C)成分は、HLBが2〜7の(c1)成分の1種以上と、HLBが11〜19.5の(c2)成分の1種以上とが組み合わされ、HLBの加重平均が7〜11であり、
油相中の前記(A)成分と前記(B)成分と25℃において固体の固体油脂との合計量が70質量%以下であり、
25℃において液体の液体油脂の含有量が30質量%以下であり、
湿潤剤の含有量が1質量%以下であることを特徴とする水中油型乳化組成物。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(水中油型乳化組成物)
本発明の水中油型乳化組成物は、(A)成分:炭素数12以上の1価アルコールと、(B)成分:25℃において固体のワックスと、(C)成分:ノニオン界面活性剤とを含有し、実質的に湿潤剤を含有しないものである。
【0009】
水中油型乳化組成物は、(A)〜(C)成分を含む油相が水相に分散したO/W型エマルションをなすものである。
水中油型乳化組成物中の油相の含有量は、10〜40質量%が好ましく、15〜35質量%がより好ましく、15〜30質量%がさらに好ましい。上記下限値未満では、耐水性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、べたつき感を生じたり、O/W型エマルションの安定性が低下したりするおそれがある。
【0010】
<(A)成分:炭素数12以上の1価アルコール>
(A)成分は、炭素数12以上の1価アルコールである。(A)成分を含有することで、水中油型乳化組成物の耐水性を高められる。本発明において、(A)成分は油相を構成する成分である。
【0011】
(A)成分の炭素数は、12〜22が好ましく、14〜18がより好ましい。上記下限値未満では、耐水性が不十分となり、上記上限値超では、べたつき感を生じるおそれがある。
(A)成分としては、ラウリルアルコール(炭素数12)、ミリスチルアルコール(炭素数14)、セタノール(炭素数16)、ステアリルアルコール(炭素数18)、セトステアリルアルコール(セタノールとステアリルアルコールとの混合物)等が挙げられる。これらの(A)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0012】
水中油型乳化組成物中の(A)成分の含有量は、1〜5質量%が好ましく、2〜4質量%がより好ましい。上記下限値未満では、耐水性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、べたつき感を生じるおそれがある。
油相中の(A)成分の含有量は、3〜20質量%であり、5〜15質量%がより好ましい。上記下限値未満では、耐水性が不十分となり、上記上限値超では、べたつき感を生じる。
【0013】
<(B)成分:25℃において固体のワックス>
(B)成分は、25℃において固体のワックス、即ち融点が25℃超のワックスである。(B)成分を含有することで、水中油型乳化組成物の耐水性を高められる。本発明において、(B)成分は油相を構成する成分である。
【0014】
(B)成分は、水中油型乳化組成物の用途等を勘案して決定される。(B)成分としては、例えばパラフィンワックス(融点:48〜69℃)、セレシン(融点:60〜80℃)、マイクロクリスタリンワックス(融点:64〜101℃)、ミツロウ(融点:60〜67℃)、カンデリラロウ(融点:68〜70℃)、綿ロウ(融点:34〜38℃)、カルナウバロウ(融点:80〜86℃)、ベイベリーロウ(融点:43〜48℃)、イボタロウ(融点:75〜80℃)、鯨ロウ(融点:42〜50℃)、モンタンロウ(融点:65〜105℃)、ヌカロウ(融点:70〜83℃)、ラノリン(融点:37〜43℃)、サトウキビロウ(融点:77〜80℃)、ジョジョバロウ(融点:66〜70℃)、硬質ラノリン(融点:43〜55℃)、セラックロウ(融点:72〜82℃)、木ロウ(融点:50〜56℃)等が挙げられ、中でも、耐水性のさらなる向上を図る観点から、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素ワックスが好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
【0015】
水中油型乳化組成物中の(B)成分の含有量は、3〜30質量%が好ましく、5〜20質量%が好ましく、5〜12質量%がより好ましい。上記下限値未満では、耐水性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、O/W型エマルションの安定性が低下するおそれがある。
油相中の(B)成分の含有量は、25〜60質量%であり、30〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。上記下限値未満では、耐水性が不十分となり、上記上限値超では、O/W型エマルションの安定性が損なわれる。
【0016】
(A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、A/B比ということがある)は、特に限定されないが、0.1〜0.5が好ましく、0.2〜0.3がより好ましい。A/B比が上記下限値未満では、耐水性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、べたつき感を生じるおそれがある。
【0017】
<(C)成分:ノニオン界面活性剤>
(C)成分は、ノニオン界面活性剤である。(C)成分を含有することで、良好なO/W型エマルションを形成できる。本発明において、(C)成分は、油相を構成する成分である。
【0018】
(C)成分としては、特に限定されず、例えば、モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等が挙げられる。
【0019】
(C)成分は、HLBが異なる2種以上が、加重平均でHLB7〜11となるように組み合わされて用いられる。HLBが異なる2種以上の(C)成分が組み合わされることで、O/W型エマルションの安定性を高められる。
HLBの加重平均が上記下限値未満では、O/W型エマルションの安定性が損なわれ、上記上限値超では、耐水性が不十分となる。
HLBは、親水性−親油性バランス(Hydrophile−Lipophile Balance)、つまり、界面活性剤の分子がもつ親水性と親油性の相対的な強さを意味し、その親水親油バランスを数量的に表したものである。(C)成分のHLBは、Griffinの方法により求められた値である(吉田、進藤、大垣、山中共編、「新版界面活性剤ハンドブック」,工学図書株式会社,1991年,第234頁参照)。
【0020】
(C)成分の組み合わせは、加重平均でHLB7〜11となるものであれば特に限定されないが、例えば、HLB9未満もの(以下、(c1)成分ということがある)と、HLB9以上のもの(以下、(c2)成分ということがある)との組み合わせが挙げられる。
(c1)成分のHLBは、2〜7が好ましく、3〜6がより好ましい。
(c2)成分のHLBは、11〜19.5が好ましく、12〜19がより好ましい。
(c1)成分と(c2)成分との組み合わせにおいて、(c1)成分のHLBと(c2)のHLBとの差は、4〜17.5が好ましく、12〜16がより好ましい。
例えば、HLB2〜7の(c1)成分と、HLB11〜19.5の(c2)成分との組み合わせが好ましく、HLB3〜6の(c1)成分と、HLB12〜19の(c2)成分との組み合わせがより好ましい。
(c1)成分と(c2)成分とを組み合わせることにより、O/W型エマルションの安定性のさらなる向上を図れる。
【0021】
水中油型乳化組成物中の(C)成分の含有量は、(C)成分の種類等を勘案して決定され、例えば、2〜10質量%が好ましく、2.5〜7質量%がより好ましく、3〜5質量%がさらに好ましい。上記下限値未満では、O/W型エマルションの安定性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、耐水性が低下したり、べたつき感を生じたりするおそれがある。
【0022】
油相中の(C)成分の含有量は、例えば、7〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。上記下限値未満では、O/W型エマルションの安定性が低下するおそれがあり、上記上限値超では、耐水性が低下したり、べたつき感を生じたりするおそれがある。
【0023】
<湿潤剤>
水中油型乳化組成物は、実質的に湿潤剤を含有しないものである。
湿潤剤としては、例えば、ソルビトール、マルチトール、トレハロース等の糖アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数5以下の脂肪族多価アルコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン等の炭素数5以下の脂肪族多価アルコールのエーテル等、従来公知のものが挙げられる。これらの湿潤剤は、保湿効果を高める一方、べたつき感を生じたり、耐水性を低下させる原因となるものである。
「実質的に湿潤剤を含有しない」とは、湿潤剤の効果を発揮できないような量を含有したり、(A)〜(C)成分から持ちこまれるキャリーオーバー分等、意図せずして含有するものを除き、湿潤剤を積極的に配合しないことを意味する。水中油型乳化組成物中の湿潤剤の含有量は、1質量%以下が好ましく、0.1質量%以下がより好ましい。
【0024】
<水溶性薬剤>
水溶性薬剤は、外用医薬品として許容される薬効成分であり、100gの水(20℃)に対して1g以上溶解するものである。本発明において、水溶性薬剤は水相を構成する成分である。
水溶性薬剤としては、例えば、アラントイン等の皮膚緩和剤、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩等の抗ヒスタミン剤、ベンザルコニウム塩化物、塩化セチルピリジニウム等の殺菌・消毒剤、クロコナゾール塩酸塩等の抗真菌剤、テトラサイクリン塩酸塩等の抗生物質等、第十五改正日本薬局方(広川書店)又は医薬品添加物事典2007(日本医薬品添加剤協会編集、株式会社薬事日報社)に収載のものが挙げられる。
水溶性薬剤は、水相に良好に溶解するため、水中油型乳化組成物に配合するのが容易である。
皮膚化粧品や外皮用薬は、塗布した後、長時間残留することで、患部等の治癒を促進できる。しかしながら、水溶性薬剤は、水に容易に溶解するため、手洗いや発汗等によって、失われやすい。
本発明の水中油型乳化組成物は、耐水性が高いために、患部等に長時間滞留して、水溶性薬剤を効率的に作用させられる。
【0025】
<その他の成分>
水中油型乳化組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、油溶性薬剤、液体油脂、固体油脂、(B)成分以外のワックス(25℃で液体のワックス、以下、任意ワックスということがある)、炭素数12以下の1価アルコール、増粘剤、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、粉末成分、金属石鹸、皮膜剤、紫外線吸収剤、高分子エマルション、香料等の任意成分を含有できる。
水中油型乳化組成物中の任意成分の含有量は、任意成分の種類等に応じて適宜決定される。
【0026】
油溶性薬剤としては、例えば、クロタミトン、ウフェナマート、グリチルレチン酸等が挙げられる。本発明において、油溶性薬剤は油相を構成する成分である。
【0027】
液体油脂は、25℃で液体の油脂である。本発明において、液体油脂は油相を構成する成分である。
液体油脂としては、例えば、ヤシ油、アーモンド油、オリーブ油等の植物油、スクワラン、流動パラフィン等の炭化水素油、ジカプリル酸プロピレングリコール、トリエチルヘキサノイン等の多価アルコール脂肪酸エステル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等の脂肪酸エステル、シクロメチコン、ジメチコン等のシリコーン油等が挙げられる。
水中油型乳化組成物中の液体油脂の含有量は、例えば、2〜30質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。上記下限値未満では、O/W型エマルションの安定性のさらなる向上を図れないおそれがあり、上記上限値超では、べたつき感を生じるおそれがある。
【0028】
固体油脂は、25℃で固体の油脂である。本発明において、固体油脂は油相を構成する成分である。
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、硬化ひまし油等が挙げられる。
水中油型乳化組成物中の固体油脂の含有量は、(A)〜(B)成分の含有量を勘案して決定され、例えば、油相中における(A)〜(B)成分と固体油脂との合計量が、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%とされる。上記上限値超では、液安定性が低下したり、べたつき感を生じるおそれがある。
【0029】
増粘剤としては、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライト、ラポナイト、無水ケイ酸等が挙げられる。
【0030】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、乳酸ナトリウム、クエン酸、クエン酸ナトリウムコハク酸、コハク酸ナトリウム、リン酸、リン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0031】
キレート剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸三ナトリウム等が挙げられる。
【0032】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、エチルパラベン、ブチルパラベン、フェノキシエタノール等が挙げられる。
【0033】
粉末成分としては、例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、フッ素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、窒化ホウ素等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸との共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四フッ化エチレン粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等の無機赤色系顔料;γ−酸化鉄等の無機褐色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、低次酸化チタン等の無機黒色系顔料;マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色405号、赤色505号、橙色203号、橙色204号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色205号、黄色401号、緑色3号、青色1号、青色404号等及びこれらのジルコニウムレーキ、バリウムレーキ又はアルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素等が挙げられる。
【0034】
金属石鹸としては、例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
【0035】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(PABA)、PABAモノグリセリンエステル、N,N−ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N−ジエトキシPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル、N,N−ジメチルPABAブチルエステル、N,N−ジメチルPABAエチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤;ホモメンチル−N−アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤;アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p−イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤;オクチルメトキシシンナメート、エチル−4−イソプロピルシンナメート、メチル−2,5−ジイソプロピルシンナメート、エチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、メチル−2,4−ジイソプロピルシンナメート、プロピル−p−メトキシシンナメート、イソプロピル−p−メトキシシンナメート、イソアミル−p−メトキシシンナメート、オクチル−p−メトキシシンナメート(2−エチルヘキシル−p−メトキシシンナメート)、2−エトキシエチル−p−メトキシシンナメート、シクロヘキシル−p−メトキシシンナメート、エチル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、2−エチルヘキシル−α−シアノ−β−フェニルシンナメート、グリセリルモノ−2−エチルヘキサノイル−ジパラメトキシシンナメート等の桂皮酸系紫外線吸収剤;3−(4’−メチルベンジリデン)−d,l−カンファー、3−ベンジリデン−d,l−カンファー;2−フェニル−5−メチルベンゾキサゾール;2,2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニルベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール;2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4−メトキシ−4’−t−ブチルジベンゾイルメタン;5−(3,3−ジメチル−2−ノルボルニリデン)−3−ペンタン−2−オン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられる。
【0036】
高分子エマルションとしては、例えば、アクリル樹脂エマルション、ポリアクリル酸エチルエマルション、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルション、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルション、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0037】
(製造方法)
本発明の水中油型乳化組成物の製造方法は、水相に油相を分散できるものであればよく、例えば、以下の製造方法が挙げられる。
分散媒と、必要に応じて水溶性の任意成分とを任意の温度で混合して水相を調製する(水相調製工程)。(A)〜(C)成分と、必要に応じて、液体油脂、固形油脂、任意ワックス等の油溶性の任意成分とを任意の温度で混合し、油相を調製する(油相調製工程)。次いで、ホモミキサーに水相を投入し攪拌しつつ、油相を加える。油相を水相に分散し、乳化した後、粉末成分等を加え混合して、水中油型乳化組成物を得る。
また、例えば、水相と油相とをそれぞれ調製し、ホモミキサーに油相を投入し攪拌しつつ水相を加えて、乳化した後、粉末成分等を加え混合して、水中油型乳化組成物を得る。
あるいは、(A)〜(C)成分と、分散媒と、必要に応じて任意成分とをホモミキサーに仕込み、これを任意の温度で攪拌して水中油型乳化組成物を得てもよい。
分散媒としては、精製水等の水、又は、水と炭素数1〜5の1価アルコールとの混合液等が挙げられる。炭素数1〜5の1価アルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール等が挙げられ、中でも、エタノールが好ましい。
【0038】
本発明の水中油型乳化組成物は、特定量の(A)成分と、特定量の(B)成分と、HLBが異なる2種以上が組み合わされてHLBの加重平均が特定の範囲に調整された(C)成分とを含有するため、べたつき感がなく、耐水性及び安定性に優れる。
【0039】
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば、皮膚化粧品や、軟膏、クリーム剤、ローション剤等の外皮用薬として好適である。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
【0041】
(使用原料)
<(A)成分>
セトステアリルアルコール:コノコール30CK、新日本理化株式会社製。
セタノール:日本薬局方セタノール、花王株式会社製。
【0042】
<(B)成分>
パラフィンワックス:Paraffin Wax−140、日本精蝋株式会社製。
マイクロクリスタンワックス:Hi Mic−1045、日本精蝋株式会社製。
カルナウバロウ:精製カルナウバワックス No.1、株式会社セラリカNODA製。
ミツロウ:脱臭精製蜜蝋、株式会社セラリカNODA製。
【0043】
<(C)成分>
モノステアリン酸グリセリン:HLB3.0、NIKKOL MGS−BMW、日光ケミカルズ株式会社製。
ステアリン酸ポリオキシル:HLB17.5、NIKKOL MYS−40MV、日光ケミカルズ株式会社製。
オレイン酸ポリグリセリル:HLB9.0、NIKKOL Hexaglyn 1−OV、日光ケミカルズ株式会社製。
トリステアリン酸ソルビタン:HLB2.1、NIKKOL SS−30V、日光ケミカルズ株式会社製。
ポリオキシエチレン(エチレンオキシドの平均付加モル数25)ラウリルエーテル(表中、POE(25)ラウリルエーテルと記載):HLB19.5、NIKKOL BL−25、日光ケミカルズ株式会社製。
ポリエチレングリコール(エチレンオキシドの平均付加モル数10)水添ひまし油(表中、PEG(25)水添ひまし油と記載):HLB6.5、NIKKOL HCO−10、日光ケミカルズ株式会社製。
ポリオキシチレン(エチレンオキシドの平均付加モル数7)セチルエーテル(表中、POE(7)セチルエーテルと記載):HLB11.5、NIKKOL BC−7、日光ケミカルズ株式会社製。
【0044】
<水溶性薬剤>
アラントイン:株式会社パーマケムアジア製。
ジフェンヒドラミン塩酸塩:金剛化学株式会社製。
グリチルリチン酸二カリウム:丸善製薬株式会社製。
ベンザルコニウム塩化物:日油株式会社製。
【0045】
<湿潤剤>
ポリエチレングリコール:マクロゴール400、日油株式会社製。
【0046】
<その他>
スクワラン:NIKKOL スクワラン、日光ケミカルズ株式会社製。
パルミチン酸イソプロピル:NIKKOL IPP−EX、日光ケミカルズ株式会社製。
エタノール:局方エタノール、コニシ株式会社製。
【0047】
(実施例1〜31、比較例1〜10)
表1〜5の組成に従い、以下の手順で各例の水中油型乳化組成物を得た。
まず、水相成分を65℃で混合して水相を得、油相成分を70℃で混合して油相を得た。
ホモミキサーを用い、65℃の温度下で油相を加温溶解しつつ、6000rpmで攪拌した。油相を撹拌しつつ、水相を30秒間掛けて添加し、次いで5分間攪拌して乳化した。その後、200rpmで撹拌しつつ室温(25℃)に冷却し、12時間放置した後、耐水性、べたつき感、安定性を評価した。その結果を表中に示す。
ただし、実施例5、6は、参考例である。
【0048】
(評価方法)
<耐水性>
ウレタン合皮(5cm×5cm)全体に各例の水中油型乳化組成物0.1gを塗布し、室温(25℃)で乾燥した。乾燥した後、ウレタン合皮を40℃の流水で20秒間洗浄した。その後ウレタン合皮から水溶性薬剤をメタノールで抽出し、HPLCにより定量し、これを残存量とした。得られた残存量から下記(1)式により残存率を算出した。残存率5質量%以上のものを耐水性「○」、残存率5質量%未満のものを耐水性「×」とした。
【0049】
残存率(質量%)=[残存量]÷[塗布された水中油型乳化組成物中の水溶性薬剤の質量]×100 ・・・(1)
【0050】
<べたつき感>
評価パネル10名により、各例の水中油型乳化組成物を左内腕に塗布し、塗布した直後のべたつき感の有無の回答を得た。得られた回答を下記評価基準に従って分類して、べたつき感を評価した。
【0051】
≪評価基準≫
◎:10名中9名以上がべたつき感を感じないと回答。
○:10名中7〜8名がべたつき感を感じないと回答。
△:10名中5〜6名がべたつき感を感じないと回答。
×:10名中4名以下がべたつき感を感じないと回答。
【0052】
<安定性(凍結復元)>
各例の水中油型乳化組成物50gをガラス製バイアルに入れ、−20℃で12時間保管し、次いで、室温(25℃)で12時間保管するサイクルを5回行った。その後、外観を目視で観察し、下記の安定性の評価基準に従って評価した。
【0053】
<安定性(50℃保管)>
各例の水中油型乳化組成物50gをガラス製バイアルに入れ、50℃の恒温槽に2ヶ月間保管した後、外観を目視で観察し、下記の安定性の評価基準に従って評価した。
【0054】
≪安定性の評価基準≫
◎:表面がつやのある状態で、分離は全く見られない。
○:表面にざらつきが見られるが、分離は全く見られない。
△:表面に水又は油の染み出しが見られる。
×:水又は油が完全に分離している。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
表1〜5に示す通り、本発明を適用した実施例1〜31は、いずれも耐水性「○」、べたつき感「△」〜「◎」、安定性(凍結復元)「△」〜「◎」、安定性(50℃保管)「△」〜「◎」であった。
湿潤剤を含有する比較例1、油相中の(B)成分の含有量が20質量%である比較例3、(C)成分のHLBの加重平均が14.3である比較例5、油相中の(A)成分の含有量が2質量%以下である比較例8、9は、いずれも耐水性「×」であった。
(B)成分を含有しない比較例2は、耐水性「×」、べたつき感「×」であった。
油相中の(A)成分の含有量が23質量%である比較例10は、べたつき感「×」であった。
油相中の(B)成分の含有量が70質量%である比較例4、(C)成分のHLBの加重平均が6.5である比較例6、1種のみの(C)成分を用いた比較例7は、安定性(凍結復元)「×」であった。
これらの結果から、本発明を適用した水中油型乳化組成物は、べたつき感がなく、耐水性に優れ、かつ安定性に優れたものであることが判った。