(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記表示機器の移動範囲における一部の区間には、キッチンにおける作業スペース側から前記表示機器を視認可能な状態で覆うカバー部が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のキッチン設備。
前記表示機器の前面部には、当該表示機器を操作する操作部が設けられており、前記カバー部の非配置領域において前記作業スペース側からの前記操作部の操作が可能となっていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のキッチン設備。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、キッチン台には加熱調理部、調理作業部、シンク等が設けられていることが一般的であり、調理の進行に応じて作業者の立ち位置が変わり得る。このため、表示機器が特定箇所に据え付けられている構成においては、作業者と表示機器との距離が変化することに起因して表示内容が見づらくなる等の不都合が生じ、表示機能が上手く享受されない可能性がある。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、キッチンに配置された表示機器の視認性を好適に担保することができるキッチン設備の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、発明の実施の形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0007】
手段1.横長状をなすキッチン台(キッチン台12)と、
前記キッチン台の長手方向に延びるレール部材(レール部材35)と、
前記レール部材に係合した状態にて前記長手方向に変位可能な可動体(スライダ36)と
を備え、
前記可動体は、表示画面(表示画面39)を有する表示機器(ディスプレイ38)をキッチンにおける作業スペース側から視認可能となるように保持するものであり、
前記表示機器が当該可動体の変位に伴って前記長手方向に移動するように構成されていることを特徴とするキッチン設備。
【0008】
横長状のキッチン台が設けられたキッチンでは、調理作業等の状況に応じて作業者の立ち位置がキッチン台に沿って変化し得る。ここで、本手段によれば、表示機器をキッチン台の長手方向に移動させることが可能であるため、作業者の立ち位置に合わせて表示機器の位置を調整することができる。これにより、作業者と表示機器との距離が変化(例えば遠ざかる)ことに起因して表示内容を把握しにくくなるといった不都合を生じにくくすることができる。故に、表示機器の視認性を担保し、表示機能を好適に発揮させることができる。
【0009】
手段2.前記キッチン台の上面部(天板部22)には、前記長手方向に離してカウンタ部(カウンタ25)と加熱調理部(IHヒータ23)及びシンク部(シンク24)の少なくとも何れかとが設けられており、
前記レール部材及び前記可動体は、前記表示機器の移動範囲が前記カウンタ部と前記加熱調理部及び前記シンク部のうち前記上面部に設けられた少なくとも一方とにかかる範囲となるように構成されていることを特徴とする手段1に記載のキッチン設備。
【0010】
手段2に示すように加熱調理部やシンク部が設けられている場合、作業状況に応じて作業者の立ち位置がカウンタ部の前、加熱調理部の前、シンク部の前に変わることとなる。そこで、表示機器の移動範囲を少なくともカウンタ部と加熱調理部及びシンク部の少なくとも一方にかかる範囲とすることにより、手段1に示した効果を好適に発揮させることができる。
【0011】
手段3.前記表示機器の移動範囲における一部の区間には、キッチンにおける作業スペース側から前記表示機器を視認可能な状態で覆うカバー部(耐熱ガラス34)が設けられていることを特徴とする手段1又は手段2に記載のキッチン設備。
【0012】
キッチンにて調理を行う際には、水や油等の液体が表示機器に飛び散る可能性がある。これは表示機器の機能担保を図る上で好ましくない。この点、本手段に示すようにカバー部を有する構成とすれば、特定の状況下となった場合にカバー部の背後に表示機器を隠すことができ、液体等の飛散から表示機器を保護することが可能となる。
【0013】
また、カバー部は表示機器の移動範囲の全域対応付けられて配置されているものではないため、作業者はカバー部の非配置部分を利用して作業スペース側から表示機器にアクセスすることが可能である。故に、カバー部の採用があっても表示機器の移動機能を上手く活用できる。
【0014】
手段4.前記キッチン台に設けられたカウンタ部(カウンタ25)は、加熱調理部(IHヒータ23)とシンク部(シンク24)との間に配置されており、
前記キッチン台において前記表示機器の移動範囲のうち前記カウンタ部に対応する部分は、前記カバー部の非配置領域となっており、
前記キッチン台において前記表示機器の移動範囲のうち前記加熱調理部及び前記シンク部と少なくとも何れかに対応する部分は、前記カバー部の配置領域となっていることを特徴とする手段3に記載のキッチン設備。
【0015】
手段4によれば、表示機器を熱や水等から守る保護機能を享受しつつ、手段3に示した操作性の担保を好適に実現することができる。
【0016】
手段5.前記表示機器の前面部には、当該表示機器を操作する操作部が設けられており、前記カバー部の非配置領域において前記作業スペース側からの前記操作部の操作が可能となっていることを特徴とする手段3又は手段4に記載のキッチン設備。
【0017】
表示機器の前面部(キッチン側を向いている部分又は表示画面側となる部分)に操作部が設けられている構成においては、表示機器を操作する際に当該操作部にアクセスする必要がある。この点、手段3や手段4に示す構成との組合せにおいては、全移動範囲のうち少なくとも何れかの箇所にてカバー部を回避して表示機器を作業スペース側に露出させることができる。故に、表示機器をスライド移動可能としつつその保護機能を強化した場合であっても、表示機器の操作性が低下することを抑えることが可能である。
【0018】
手段6.前記表示機器及び前記可動体の何れかには、前記表示機器の本体部(機器本体38a)から側方に突出させて取っ手部(把持部41)が設けられており、
前記カバー部の背後に前記表示機器が配置されている状況下にて、前記取っ手部が前記表示機器の移動方向に突出するように構成されていることを特徴とする手段3乃至手段5のいずれか1つに記載のキッチン設備。
【0019】
手段6によれば、カバー部の背後に隠れている表示機器を移動させたい場合には、突出部を指で摘む等して上記移動方向へ押し引きすることにより、当該移動を実現できるため、カバー部による保護機能と表示機器の移動機能とを好適に共存させることができる。
【0020】
手段7.前記キッチン台は、室内空間(室内空間IS)をキッチン側とリビング側とに仕切るように配置された対面式のキッチン台であり、
当該キッチン台におけるリビング側の端部に沿うようにして前記レール部材が配置されていることを特徴とする手段1乃至手段6のいずれか1つに記載のキッチン設備。
【0021】
手段7に示す対面式のキッチンにおいては、レール部材をリビング側に配置することにより、レール部材や可動体等が調理作業の邪魔になることを回避でき、キッチン台本来の機能を損なうことがない。
【0022】
手段8.前記キッチン台は、当該キッチン台における前記リビング側の端部に設けられ、当該キッチン台の上面部よりも上方に延出する腰壁部(腰壁ユニット30)を有し、
前記レール部材及び前記可動体は前記腰壁部に配設されていることを特徴とする手段7に記載のキッチン設備。
【0023】
手段8に示すように腰壁部を有するキッチン台においては、腰壁部にレール部材や可動体等を配設することで、表示機器のスライド機能を享受できる構成によって作業スペースが圧迫されることを好適に抑制できる。
【0024】
なお、例えば、腰壁部の上部にレール部材や可動体を配置して、腰壁部よりも上方に表示機器が位置する構成とすれば、調理作業に起因した表示機器の汚れを好適に抑制できる。また、腰壁部において作業スペース側を向いている内面にレール部材や可動体を配置して、腰壁の内面に沿って表示機器がスライド移動する構成とすれば、表示機器によるキッチン側とリビング側との視界の遮りを好適に抑えることができる。
【0025】
手段9.前記レール部材及び前記可動体は、前記腰壁部においてリビング側を向いている側面部に配置されていることを特徴とする手段8に記載のキッチン設備。
【0026】
手段8に示す腰壁部を有する構成においては、腰壁部自体がキッチン側からの液体等の飛散を防ぐ機能を有している。そこで、腰壁部においてリビング側を向いている側面部にレール部材等を配置すれば、上記事象に起因したレール部材等の汚れを抑えることができ、スライド機能の保全に貢献できる。
【0027】
手段10.前記表示機器の前記表示画面の向きを変更する変更手段を備え、
前記変更手段には、前記表示機器の移動範囲における当該表示機器の移動位置に応じて異なる回転機能が付与されていることを特徴とする手段1乃至手段9のいずれか1つに記載のキッチン設備。
【0028】
手段10によれば、表示機器の移動位置に応じて表示画面の向きを変更させることができる。このように、表示機器の位置に応じた表示画面の向きの変更を行うことが可能となることで、作業者による表示画面の視認性の向上等に貢献することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施の形態>
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態では、対面式のキッチン設備10、調理等の作業を行っている作業者WがリビングLを見渡せるように構成されたキッチン設備10について具体化している。先ず、
図1を参照して、キッチン設備10が設置された部屋の大まかなレイアウトとキッチン設備10の概要について説明する。
図1は、第1の実施の形態におけるキッチン設備10等を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、キッチン設備10は、キッチン台12、キッチン台12の上方に配置された排気ダクト13、キッチン台12の背後に設置された収納棚や冷蔵庫(周知の構成であるため図示省略)等の各種構成を有してなる。このうちキッチン台12については、室内空間ISをリビングL側とキッチンK側に仕切るようにして配置されている。キッチン台12と天井との間には十分な空間が確保されており、当該空間を通じてリビングLに設置されたダイニングテーブル11側へ料理を運ぶことが許容されている。なお、本実施の形態においては、キッチン台12が特徴的な構成を有している一方、他の構成については周知な構成である。故に、これら周知の各種設備については説明は省略する。
【0032】
キッチン台12は、各種調理器具を収容する収容部21と収容部21を上方から覆うように配置された天板部22とを有しており全体として横長状をなしている。天板部22には、キッチン台12の長手方向に並べて、加熱調理部を構成するIHヒータ23と、盛り付け等の各種作業を可能な大きさに形成されたカウンタ25と、シンク24とが設けられている。キッチンにて調理等を行う場合には、作業の多くがカウンタ25を中心に行われるため、カウンタ25を挟むようにしてIHヒータ23とシンク24とを配置することにより、作業領域WSにおける作業者Wの移動量を軽減している。
【0033】
天板部22には天板部22から上方に凸となるようにして腰壁ユニット30が取り付けられている。より詳しくは、天板部22は上記長手方向に延びる長板状をなしており、天板部22におけるリビングL側の長辺部及び一の短辺部の両辺部全域に沿うようにして腰壁ユニット30が形成されている。つまり、腰壁ユニット30は、キッチン設備10の平面視にて略L字状をなしており、IHヒータ23等が設けられた調理領域とリビングLとの間に位置することで、リビングL側へ水や油等が飛散することを抑制する遮蔽機能が付与されている。
【0034】
ここで、
図2を参照して腰壁ユニット30について説明する。
図2はシンク周辺での腰壁ユニット30の縦断面図である。
【0035】
腰壁ユニット30は、リビングL側に位置する外側腰壁面材31を有している。外側腰壁面材31はキッチン台12の周面(側面)と同一平面を形成するように構成されており、キッチン台12の外観の向上が図られている。外側腰壁面材31よりも作業領域WS側には、当該外側腰壁面材31に対して隙間を隔てて対向する内側腰壁面材32が配されており、両腰壁面材31,32の間には、両壁面材31,32を連結する連結部材(スペーサ)が配置されている。これにより、腰壁ユニット30の強度向上が実現されている。
【0036】
両腰壁面材31,32の上端部にはそれら腰壁面材31,32に跨るようにして笠木部材33が取り付けられており、これら各部材31,32,33によって腰壁ユニット30の外郭が形成されている。笠木部材33は、長板状をなしておりその上に食器や調理器具等を置くことが可能となっている。
【0037】
腰壁ユニット30には、腰壁ユニット30の上方に突出するようにしてディスプレイ38が取り付けられている。ディスプレイ38は、TV番組やインターネット等の映像を表示したり、家庭での電力の使用状況等を表示したり、インターホン作動時に監視カメラの映像を表示したりすることが可能なマルチディスプレイとなっており、作業者WはキッチンKの作業領域WSから移動することなく(すなわちリビングL等へと移動することなく)、ディスプレイ38を通じて各種情報を取得することが可能となっている。なお、電力使用状況を表示機能は、いわゆるHEMSの表示機能を果たすものである。
【0038】
また、ディスプレイ38は、その表示画面39自体が操作部として機能するタッチパネル式のディスプレイとなっている。ディスプレイ38は、腰壁ユニット30の上方に位置しており、作業者Wが作業スペース側からのアクセスすなわち表示等にかかる各種操作が可能となっている。これにより、ディスプレイ38を操作する際の利便性の向上が実現されている。
【0039】
しかしながら、既に説明したように、作業者は作業中は一箇所に留まるのことが少なく、通常は常時立ち位置を変えながら作業を行うと想定される。このため、単にディスプレイ38をキッチン台12に設けただけでは、作業者Wの立ち位置の変化に追従することができないため、ディスプレイ38の表示機能が十分に発揮されない可能性がある。また、対面式のキッチンKにおいてディスプレイ38を備え付けとした場合には、状況によってはディスプレイ自体が対面式キッチンのよさを損なう要因となり得る。そこで、本実施の形態におけるキッチン台12は、これらの各種不都合を解消するための構成を有していることを特徴の1つとしている。
【0040】
以下、
図2及び
図3を参照して上記特徴的な構成について説明する。
図3(a)はディスプレイの配置を示す概略図、
図3(b)は
図3(a)のA−A線部分断面図である。
【0041】
図2に示すように、腰壁ユニット30においてリビングL側を向いている部分、詳しくは外側腰壁面材31と笠木部材33との境界部位には、当該境界に沿って延びる溝部が形成されている。この溝部には、同溝部に沿って延びるレール部材35が配置されている。レール部材35はキッチン台12の両端部(両短辺部)に跨るようにして延びており、その上部が可動体としてのスライダ36を収容する収容領域、下部がディスプレイ38に接続される配線の収容領域となっている。言い換えれば、腰壁ユニット30の内部は、レール部材35や配線等の収容空間ASとなっている。
【0042】
スライダ36はレール部材35に係合しており、同レール部材35に沿ってその長手方向へ摺動可能となっている。スライダ36には、上方に延びるアーム37が接続されており、このアーム37の上端部がディスプレイ38を保持する保持部として機能している。ディスプレイ38をレール部材35に沿って押し引きすることにより、スライダ36がレール部材35に沿って摺動し、ディスプレイ38の位置を任意に変更することが可能となっている。
【0043】
なお、本実施の形態においては、アーム37において鉛直方向に延びている部分が、その中間位置にて組み合わされた複数の部材からなっており、鉛直部分の中心軸線を中心としてディスプレイ38を回動させることが可能となっている。つまり、表示画面39がキッチンK側を向いている状態と、リビングL側を向いている状態とで切替可能となっている。また、図示は省略しているが、アーム37とディスプレイ38との接続部分においては、ディスプレイ38の昇降を許容する可変機構が採用されており、ディスプレイ38の高さ位置を所定の範囲内で変更することが可能となっている。但し、当該所定の範囲は、少なくともディスプレイ38が笠木部材33よりも下側とならないように設定されており、その視認性が担保されている。
【0044】
ここで、
図3(a)を参照して、ディスプレイ38の移動範囲について説明する。ディスプレイ38は、作業領域WS側から見てIHヒータ23の奥側となる位置、カウンタ25の奥側となる位置、シンク24の奥側となる位置に移動可能となっている。作業者は状況に応じて主となる立ち位置がIHヒータ23の手前側、カウンタ25の手前側、シンク24の手前側で変化するが、その場合、自身の立ち位置に応じてディスプレイ38を移動(スライド)させることにより、視認性の低下を抑えることができる。また、リビングL側にいる家族等とのコミュニケーションを重視している場合には、視界を妨げにならない位置へとディスプレイ38を移動させることにより、対面式キッチンの機能(対話の容易化)を担保することができる。
【0045】
ここで、ディスプレイ38をIHヒータ23の奥側に配置した場合には、IHヒータ23等からの熱によってディスプレイ38に悪影響が及ぶことが懸念される。この点、腰壁ユニット30においてIHヒータ23の奥側に位置する部分には上記熱の伝播を遮蔽する遮蔽機能が付与された耐熱ガラス34が配置されており(
図3(b)参照)、ディスプレイ38はこの耐熱ガラス34の背後に隠れる構成となっている。耐熱ガラス34については透明性を有しており、同耐熱ガラス34を通じてディスプレイ38(表示画面39)を視認可能となっている。
【0046】
このように耐熱ガラス34の背後にディスプレイ38が隠れる構成とした場合には、上記保護機能を享受できる反面、ディスプレイ38の移動が耐熱ガラス34によって妨げられることで、上記移動機能を上手く発揮できなくなることは好ましくない。しかしながら、耐熱ガラス34については、ディスプレイ38の移動範囲の全域に配置されているわけではなく、移動範囲には耐熱ガラス34等のカバー部が配置されていない非配置領域も存在している。より詳しくはIHヒータ23と横並びとなる位置に設けられたカウンタ25については、耐熱ガラス34等のカバー部が存在していない。故に、この非配置領域を通じてディスプレイ38(詳しくはディスプレイ本体38a:
図1参照)にアクセスすることができるため、ディスプレイ38の移動機能が上手く活用されなくなることが回避されている。
【0047】
更には、
図1に示すようにディスプレイ本体38aの側部には当該ディスプレイ38の移動方向に突出するようにして取っ手部としたの把持部41が設けられている。この把持部41については、ディスプレイ38が耐熱ガラス34の背後に配置されている状況下においても、耐熱ガラス34の背後領域から移動方向側(カウンタ25側)に突出している。
【0048】
耐熱ガラス34の背後に隠れたディスプレイ38を移動させる場合には、作業者Wは把持部41を持ってディスプレイ38を動かすことにより、配置変更が困難になることが抑制されている。
【0049】
以上詳述した第1の実施の形態によれば以下の優れた効果が期待できる。
【0050】
ディスプレイ38をキッチン台12の長手方向に移動させることが可能であるため、作業者の立ち位置に合わせてディスプレイ38の位置を調整することができる。これにより、作業者Wとディスプレイ38との距離が変化(例えば遠ざかる)ことに起因して表示内容を把握しにくくなるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0051】
キッチンKにて調理を行う際には、水や油等の液体がディスプレイ38に飛び散る可能性がある。これはディスプレイ38の機能担保を図る上で好ましくない。この点、上記事象の発生しやすい過熱調理部(IHヒータ23)の周辺にカバー部としての耐熱ガラス34を設けることにより、上記状況下にて耐熱ガラス34の背後にディスプレイ38を配置することで液体等の飛散からディスプレイ38を保護することが可能となる。
【0052】
ディスプレイ38の表示画面39に操作部としての機能が付与されている構成においては、ディスプレイ38を操作する際に当該操作部にアクセスする必要がある。この点、ディスプレイ38の全移動範囲の一部にカバー部としての耐熱ガラス34を配置する構成とすることで、ディスプレイ38を作業領域WS側に露出させることができる。故に、ディスプレイ38をスライド移動可能としつつその保護機能を強化した場合であっても、ディスプレイ38の操作性が低下することを抑えることが可能である。
【0053】
また、腰壁ユニット30の内側腰壁面材32がキッチンK側からの液体等の飛散を防ぐ機能を有している。腰壁ユニット30においてリビングL側を向いている側面部にレール部材35等を配置しているため、上記事象に起因したレール部材35等の汚れを抑えることができ、スライド機能の保全に貢献できる。
【0054】
なお、本実施の形態においては、タッチパネル式のディスプレイ38を採用し、表示画面39そのものを操作部としたが、これに限定されるものではなく、ディスプレイ38の前面部に別途操作部を設けてもよい。
【0055】
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態においては、手動によりディスプレイ38を回動させることが可能な機構を採用したが、本実施の形態においてはディスプレイ38Xの回動にかかる構成が上記第1の実施の形態と相違している。具体的には、ディスプレイ38Xの移動に応じてディスプレイ38Xの向きが変更される構成(変更手段)が採用されている。そこで以下、
図4を参照して本実施の形態におけるディスプレイの動作機構の概要、及びディスプレイの動きについて説明する。
図4は第2の実施の形態におけるキッチンK等を示す平面図である。
【0056】
本実施の形態におけるアーム37X及びレール部材には、ディスプレイ38Xの動きに応じてディスプレイ38Xの向きを変更する角度調整機構(具体的にはラック&ピニオン)が組み込まれている。
【0057】
既に説明したように、キッチンKにて調理等の作業を行う場合、IHヒータ23やシンク24と比較して作業者Wの立ち位置がカウンタ25の正面位置となることが多い。上記角度調整機構については、駆動区間と非駆動区間とが設定されており、ディスプレイ38Xが何れの位置に配置された場合であっても作業者Wが表示画面39Xを見やすくなるようにその向きが自動調整される。
【0058】
具体的には、カウンタ25に対応する区間はスライド区間となっており、この区間ではディスプレイ38Xは作業者Wの正面側を向いたままその角度を変更することなくスライド移動する。
【0059】
一方、耐熱ガラス34Xの背後となる区間は、スライド&回動区間となっており上記スライド区間から遠ざかるに従ってディスプレイ38Xが回動することとなる。つまり、カウンタ25から遠ざかれば遠ざかる程、作業者W側を向くようにしてディスプレイ38Xの回動角度が大きくなる。このようにディスプレイ38の向きが調整されることにより、カウンタ25から遠い位置にディスプレイ38を配置したとしても、カウンタ25にて作業を行っている作業者Wが表示画面39Xを見づらくなるといった不都合が生じにくくなっている。なお、本実施の形態においては、回動領域の確保(耐熱ガラス34Xとディスプレイ38Xとの隙間の確保)を実現すべく、耐熱ガラス34Xを腰壁ユニット30ではなく、作業台ユニット20の天板部22に配置している。
【0060】
また、シンク24に対応する区間についても同様に、スライド&回動区間となっている。ディスプレイ38Xはカウンタ25から遠ざかるに従って上記IHヒータ23側の区間での回動方向とは逆向きに回動することとなる。このようにディスプレイ38の向きが調整されることにより、カウンタ25から遠い位置にディスプレイ38を配置したとしても、カウンタ25にて作業を行っている作業者Wが表示画面39Xを見づらくなるといった不都合が生じにくくなっている。
【0061】
<第3の実施の形態>
上記第1の実施の形態及び第2の実施の形態においては、作業者W等が手動でディスプレイ38を移動させることでディスプレイ38の位置を変更可能な構成としたが、ディスプレイ38の位置が作業者Wの位置に応じて自動で変更される構成とすることも可能である。
【0062】
具体的には、レール部材35にはスライダ36や配線の他に、スライダ36をレール部材35に沿って移動させるための駆動モータが取り付けらている。駆動モータは動制御装置に接続されており、この駆動制御装置からの駆動信号に基づいて動作する。詳しくは、駆動信号を受けて駆動モータが動作すると、その動力がスライダ36に伝わることで同スライダ36がレール部材35に沿って摺動する。
【0063】
また、キッチンKにおける作業領域WSの上方(例えば天井)又は下方(フロアマット)等には作業者Wの位置を検知する検知センサが配置され、同検知センサは上記駆動制御装置に接続されている。駆動制御装置においては、検知センサからの検知情報に基づいて作業者がどの位置にいるかを特定し、作業者Wの正面となる位置へディスプレイ38が移動するように駆動モータに対して駆動信号を出力して、ディスプレイ38の位置を調整する。
【0064】
これにより、作業者Wは自身の立ち位置が変わった場合に、直接手で触れてディスプレイ38の位置を調整しなくとも、作業者Wに追従してディスプレイ38が移動するため、表示画面39の視認性が好適に担保されることとなる。
【0065】
なお、本実施の形態に示すディスプレイ38の位置調整機能については、場合によっては作業者Wに煩わしさを与える要因になりえるため、その待機位置(停止位置)については、作業に応じて特定の箇所(例えば大きく3つ:IHヒータ23に対応する位置、シンク24に対応する位置、カウンタ25に対応する位置)に限定し、作業者の細かな立ち位置の違いの影響を排除する構成とすることが好ましい。
【0066】
因みに、本実施の形態においては、検知センサからの情報に基づいてディスプレイ38の位置を調整する構成としたが、作業者の声等を認識する音感センサを用いて、音声認識(作業者Wの声等による指示に基づいて)によりディスプレイ38の位置を調整する構成としてもよい。また、作業台ユニット20にディスプレイ38の位置を調整するための操作部を設け、当該操作部が操作されたことに基づいてディスプレイ38を移動させる構成としてもよい。
【0067】
<その他の実施の形態>
なお、上述した各実施の形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。因みに、以下の別形態の構成を、上記各実施の形態における構成に対して、個別に適用してもよく、相互に組み合わせて適用してもよい。
【0068】
(1)上記各実施の形態では、キッチン設備10に付属する「表示機器」としてのディスプレイ38をスライダ36に対して固定したが、少なくともキッチン台12側にてディスプレイ38に相当する構成を保持可能なホルダ等の構成を備えていれば足り、ディスプレイを着脱可能とすることも可能である。
【0069】
例えば、アーム37又はスライダ36に携帯端末等のポータブルタイプの表示機器用の載置部と、載置部に載置された表示機器用の脱落を阻止するロック装置とを併設するとよい。携帯端末等のポータブルタイプの表示機器については、例えば通信機能を有するスマートフォン等の通信機器を含む。
【0070】
(2)上記各実施の形態においては、腰壁ユニット30を構成する外側腰壁面材31及び笠木部材33の境界部位に「レール部材」としてのレール部材35を配置したが、レール部材35については必ずしもこの境界部位に配置される必要はなく、例えば外側腰壁面材31の中間位置に配置することも可能である。
【0071】
また、腰壁ユニット30を有さないタイプのキッチン台にレール部材35を取り付ける場合には、その取付対象を作業台ユニット20(例えば側面部や天板部22)とするとよい。
【0072】
(3)上記各実施の形態では、ディスプレイ38を保持する「保持手段」としてアーム37を有する構成としたが、当該アーム37については必須の構成ではなく、「可動体」としてのスライダ36によってディスプレイ38を直接保持する構成としてもよい。
【0073】
(4)上記各実施の形態では、腰壁ユニット30を作業台ユニット20の天板部22上に載せた状態で固定する構成としたがこれに限定されるものではない。作業台ユニット20に対してどのように腰壁ユニットを固定するかは任意である。
図5(a)に示すキッチン台12Yのように、作業台ユニット20を側面側から覆うようにして腰壁ユニット30Yを取り付けてもよい。これにより、腰壁ユニット30Yとキッチン台12との境界部位がリビングL側に露出することを回避することができ、キッチン設備の外観向上に貢献することができる。
【0074】
また、腰壁ユニットについては平面視にてL字状となるように折れ曲っている必要は必ずしもなく、例えば、作業台ユニット20のリビング側の端部に沿って形成された平板状であってもよい。
【0075】
(5)上記各実施の形態では、腰壁ユニット30(詳しくは笠木部材33)の上方に位置するようにしてディスプレイ38を配置したが、これに限定されるものではない。例えば
図5(b)のキッチン台12Zに示すように内側腰壁面材32Zの下端部にレール部材35Zを収容する収容部を設け、このレール部材35Zに係合するスライダ36にディスプレイ38を固定してもよい。これにより、腰壁ユニット30Zよりも上方へのディスプレイ38の突出を抑え、当該ディスプレイ38が内側腰壁面材32Zに沿うようにして移動する構成を実現できる。
【0076】
かかる変形例においては、ディスプレイ38の高さ位置が低くなることにより、シンク24にて作業を行う際に同シンク24の奥側にディスプレイ38が位置している状況下においては水しぶき等がディスプレイ38に付着する可能性が高くなる。故に、このような不都合を解消すべく、シンクとディスプレイ38との間に透明なガラス板45Zを配置することが好ましい。ガラス板45Zによってディスプレイ38の保護機能を向上した場合であっても、カウンタ25の奥側をガラス板45Zの非配置領域としてディスプレイを露出させることができる構成としておくことにより、ディスプレイ38を操作する際の操作性を担保したり、ディスプレイ38を移動させる際の同ディスプレイ38へのアクセス機能を担保したりすることができる。
【0077】
なお、より好ましくは、ガラス板45Zの背後にディスプレイ38を配置した場合であっても、同ディスプレイ38の把持部等がガラス板45Zと重ならないように突出する構成とするとよい。
【0078】
(6)上記各実施の形態では、「突出部」としての把持部41が耐熱ガラス34に対してディスプレイ38の移動方向に突出する構成としたが、把持部41については少なくとも耐熱ガラス34と重ならない位置に突出していればよく、例えばその突出方向を上方としてもよい。
【0079】
なお、把持部41についてはディスプレイ38自体に設けてもよいし、アーム37等の保持部側に設けてもよい。
【0080】
(7)上記第2及び第3の実施の形態では、ディスプレイ38が移動する全区間のうちカウンタ25に対応する区間をスライド区間とし、カバー部としての耐熱ガラス34等が設けられている区間をスライド&回動区間としたが、これに限定されるものではない。例えばカウンタ25に対応する区間をスライド&回動区間とし、耐熱ガラス等が設けられている区間をスライド区画とすることも可能である。かかる構成とすれば、耐熱ガラス34等とディスプレイ38との距離をできるだけ近づけつつ、耐熱ガラス34等とディスプレイ38とのぶつかりを抑制することができる。