(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
刈取フレームに対して上下方向揺動自在なリール支持アームの先端部にリールを配置し、かつ前記刈取フレームと前記リール支持アームとの間に昇降シリンダを配置して、前記リールを上下方向に移動すると共に、前記リールを回転して作物を掻込んでなる、汎用コンバインにおいて、
前記昇降シリンダの前記刈取フレームに連結される固定側に、ボーデンワイヤの一端部におけるアウタワイヤを固定し、該ボーデンワイヤの一端部におけるインナワイヤを前記リール支持アームにおける前記昇降シリンダの可動側の連結部近傍に連結し、
前記ボーデンワイヤの他端部におけるアウタワイヤ及びインナワイヤの一方を前記刈取フレームに固定し、他方をポテンショメータを作動するセンサアームに連結してなり、
前記刈取フレームは、軸線を左右方向にして掻込みオーガを収納し、かつ該掻込みオーガの後方を背面板にて塞ぎ、
前記ポテンショメータを前記背面板の後側面に配置してなる、
ことを特徴とする汎用コンバイン。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記ストロークセンサによるリールの上下方向位置の検出は、ストロークセンサが高価であるため、装置全体のコストアップの原因となっている。また、ストロークセンサの可動部が、穀稈を掻込み搬送路に露出しているため、掻込み穀稈がストロークセンサの可動部に干渉し、作動不足を生ずる虞がある。
【0008】
前記リールが、リール支持アームに前後方向移動自在に支持されるものにあっては、前記ストロークセンサにより高い精度でリール支持アームの揺動角を検出し得ても、リールの前後方向の移動によりリールの高さに大きな影響を生じてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、高価なストロークセンサを用いることなく、簡単な構造でリールの上下方向位置の検出を可能とした汎用コンバインを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、刈取フレーム(8)に対して上下方向揺動自在なリール支持アーム(38)の先端部にリール(4)を配置し、かつ前記刈取フレームと前記リール支持アームとの間に昇降シリンダ(41)を配置して、前記リールを上下方向に移動すると共に、前記リールを回転して作物を掻込んでなる、汎用コンバインにおいて、
前記昇降シリンダ(41)の前記刈取フレーム(8)に連結される固定側(41a)に、ボーデンワイヤ(90)の一端部におけるアウタワイヤ(90a)を固定し、該ボーデンワイヤの一端部におけるインナワイヤ(90b)を前記リール支持アーム(38)における前記昇降シリンダの可動側(41b)の連結部近傍に連結し、
前記ボーデンワイヤ(90)の他端部におけるアウタワイヤ及びインナワイヤの一方(90a)を前記刈取フレーム(8a)に固定し、他方をポテンショメータ(91)を作動するセンサアーム(96)に連結してなる、
ことを特徴とする汎用コンバインにある。
【0011】
例えば
図11,
図14,
図15を参照して、刈取フレーム(8)は、軸線を左右方向にして掻込みオーガ(11)を収納し、かつ該掻込みオーガの後方を背面板(8a)にて塞ぎ、
前記ポテンショメータ(91)を前記背面板(8a)の後側面に配置してなる。
【0012】
例えば
図10〜
図13参照して、前記刈取フレームに回転自在に支持された進退アーム(37)を備え、
前記リール支持アーム(38)は、その後端が前記進退アーム(37)の先端部(81)に回転自在に支持され、その中間部(87)が前記昇降シリンダ(41)の可動部(41b)に回転自在に連結され、その先端部に前記リール(4)を回転自在に支持し、かつ進退シリンダ(39)により前後方向移動自在に支持されてなる。
【0013】
上記カッコ内の符号は、図面と対照するためのものであるが、これにより特許請求の範囲に記載の構成に何等影響を及ぼすものではない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、リールの上下方向位置を検出するセンサをポテンショメータ及びボーデンワイヤにて構成したので、高価なストロークセンサが不要となって、大幅なコストダウンを図ることができる。
【0015】
前記ボーデンワイヤの一端部は、アウタワイヤを昇降シリンダの固定側に固定し、インナワイヤを、リール支持アームにおける上記昇降シリンダの可動側近傍に固定したので、昇降シリンダのストローク位置を正確に検出して、高い精度でリールの上下方向位置を検出することができる。
【0016】
ポテンショメータを刈取フレームの背面板の後側面に配置することにより、ポテンショメータは作物に干渉することがなく、作物に影響されることなく検出することができる。
【0017】
リールを支持するリール支持アームが、その後端部を進退アームを介して刈取フレームに支持されると共に、その中間部を昇降シリンダにより支持される、いわゆる4点リンク機構を構成することにより、リール支持アームを進退シリンダにより前後方向に移動してリールを前後方向に調節する際、上記昇降シリンダの長さは一定であって、上記ポテンショメータの検出値は一定値にあり、昇降シリンダによりリールを上下方向に移動する際に上記ポテンショメータによりリールの上下方向位置を検出して、リールの前後方向位置に影響されることなく、リールの上下方向位置を簡単かつ正確に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至
図3は本発明を適用した汎用コンバインの平面図、左側面図及び右側面図である。図示する汎用コンバインは、稲や麦や豆類等の作物の刈取作業を行うものであり、該汎用コンバインは、左右一対のクローラ式走行装置1L,1Rを有する走行機体2と、走行機体2の前方に昇降自在に連結された刈取部3と、左右方向に延びる筒状のリール4と、該リールを上下方向(昇降)及び前後方向に移動可能に刈取部3側に支持する可動機構6とを備えている。
【0020】
上記刈取部3は、後側半部のフィーダ7及び前側半部の刈取フレーム8を一体的で備え、刈取フレーム8の左右の側壁からは前方に向かって分草体9が突出され、刈取フレーム8の左右の側壁間における下部且つ後部には、左右方向に延びる円柱状の掻込オーガ11が軸回りに回転駆動可能に支持され、該掻込オーガ11の前方には、左右方向のレシプロ式の刈刃12が設置されている。ちなみに、平面視刈取フレーム8の左右の側壁間に前記リール4が位置している。
【0021】
フィーダ7は、刈取った作物の穀稈を後方搬送する前後方向のフィーダコンベア13を備え、全体が後述する走行機体2側の操縦部14の側方に位置しており、このフィーダ7の後端部が走行機体2の前部に支持されている他、刈取フレーム8は操縦部14の前側からフィーダ7の前側に至る左右範囲に形成されている。
【0022】
この刈取部3と、走行機体2の前部との間には、伸縮作動によって該刈取部3を走行機体2に対して昇降させる油圧式のリフトシリンダ(刈取部昇降アクチュエータ)16が設けられている。このリフトシリンダ16を伸張作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して上昇する一方で、リフトシリンダ16を縮小作動させることにより、刈取部3が走行機体2に対して下降する。
【0023】
前記リール4は、後述する手段によって動力が伝動されて自身の軸回りに回転駆動される回転軸17と、該回転軸17と一体回転する側面視多角形状(図示する例では6角形状)の左右一対のサイドフレーム18,18とを備え、互いに離間した状態で平行に対向配置された左右一対のサイドフレーム18,18の頂点部分同士をそれぞれ左右方向の横フレーム19によって連結固定することにより、周囲及び左右両側方が内外で連通し且つ内部が空洞となる角柱状に成形されている。また、回転軸17の軸回りに所定間隔毎に配置された各横フレーム19には、下降突出するリールタイン21が所定間隔毎に複数配置されている。
【0024】
回転するリール4によって掻込まれた圃場の作物の穀稈は、左右に往復スライド駆動される刈刃12によって刈取られ、掻込オーガ11によってフィーダ7側に掻込まれる。フィーダ7側に導入された作物の穀稈は、フィーダコンベア13によって走行機体2側まで後方搬送される。
【0025】
上記走行機体2の左側半部には、刈取った稲や麦等の穀稈の脱穀処理を行うとともに該脱穀処理された処理物から籾等の穀粒を選別する脱穀部22が設置され、走行機体2の右側半部には、脱穀部22からの穀粒を蓄えるグレンタンク23が配設され、グレンタンク23の前方には、オペレータが乗込む前記操縦部14が設置されている。
【0026】
脱穀部22は、フィーダコンベア13からの作物の穀稈が導入される扱室24と、扱室24の真下側に形成された選別室26とを備え、扱室24内には、前後方向に延びる円柱状の扱胴27が自身の軸回りに回転自在に軸支され、選別室26内の上部には、前後動する揺動選別体28が設置され、選別室26内の下部前側には、後方斜め上方の選別風を起風する唐箕ファン29が配置され、選別室26内の下部の前後方向中途部には、一番ラセン31と、二番ラセン32が前後に配置されている。
【0027】
フィーダ7から脱穀部22に導入された穀稈は、扱室24内の回転する扱胴27によって後方搬送されながら脱穀処理され、その処理物は、選別室26に落下する。選別室26に落下した処理物は揺動選別体28によって揺動選別されるとともに、上記選別風によって選別(風選)される。具体的には、選別風の影響を受けずに前側の一番ラセン31に落下する一番物と、選別風の影響を若干受けて後側の二番ラセン32に落下する二番物と、選別風の影響を受けて後方斜め上方に吹上げられる藁屑等の排出物とに選別される。ちなみに、一番物は穀粒としてグレンタンク23内に搬送され、二番物は選別室26内に再度導入されて風選され、排出物は走行機体2の後端側から機外に排出される。
【0028】
なお、揺動選別体28の後半部には、前後方向に並列配置された複数のフィン33aによりなるチャフシーブ33が設置されている。そして、電動モータ等からなるフィン開閉アクチュエータによって、フィン33aが下方を向くように回動される開作動時には、開度が大きくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が増加する一方で、フィン開閉アクチュエータによって、フィン33aが水平方向を向くように回動される閉作動時には、開度が小さくなって、揺動選別体28の上方側に吹抜ける選別風の風量が減少する。このようなフィン33aの開閉作動による風量の調整によって、処理物の量に応じた最適な風選を行うことが可能になる。
【0029】
グレンタンク23内の穀粒は、走行機体2の後端部に支持された排出オーガ36によって機外に排出される。具体的には、全体が上下揺動可能且つ水平回動可能なように排出オーガ36の基端部が走行機体2に支持され、該排出オーガ36の先端部には穀粒を排出する排出部36aが設けられており、上下揺動又は水平回動によって排出オーガ36の排出部36aを所定位置に移動させ、その場で穀粒を排出させることができる。
【0030】
図4は刈取部3を走行機体に対して下降させかつリール4を刈取部に対して上昇させた状態を示す汎用コンバインの側面図であり、
図5は刈取部を走行機体に対して上昇させ且つリールを刈取部に対して下降させた状態を示す汎用コンバインの側面図である。本汎用コンバインは、刈取部3を走行機体2に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、リール4のみを刈取部3に対して最上げ位置に上昇させることもでき(
図4参照)、さらに、リール4を刈取部3に対して最下げ位置に下降させた状態のまま、刈取部3を走行機体2に対して最上げ位置に上昇させることも可能なる(
図5参照)。
【0031】
図6は、本汎用コンバインの動力伝動系統図である。エンジン42で発生した動力は、伝動最上流側で、走行系の動力と作業系の動力とに分岐される。そして、走行系の動力は、走行HST43→走行トランスミッション44の順に伝動されて左右のクローラ式走行装置1L,1Rを走行駆動させる。一方、作業系の動力は、脱穀クラッチ46を介して脱穀部22に断続伝動される他、脱穀部22側の動力は刈取クラッチ47を介して刈取部3及びリール4に断続伝動される。
【0032】
走行HST43はエンジン42側からの動力の正逆転切換及び無段階変速伝動を行い、その出力動力を走行トランスミッション44に伝動する。走行トランスミッション44は、走行HST43からの動力を左右のクローラ式走行装置1L,1Rに等速で伝動する機能を有するとともに異なる回転速度で伝動する機能も有する他、走行HST43からの動力を左側のクローラ式走行装置1Lに断続伝動する左サイドクラッチ48Lと、走行HST43からの動力を右側のクローラ式走行装置1Rに断続伝動する右サイドクラッチ48Rとを備えている。このため、左右のサイドクラッチ48L,48Rの一方を切断するとともに他方を接続すると、切断した側に走行機体2が旋回される。ちなみに、左右のクローラ式走行装置1L,1Rを同一速度で駆動させれば、走行機体2が直進走行する。
【0033】
刈取部3側に伝動された動力は、フィーダ駆動軸49にチェーン伝動されてフィーダコンベア13を搬送駆動させる他、該フィーダ駆動軸49の動力は、分岐軸51に伝動される。分岐軸51の動力は、掻込オーガ駆動軸52にチェーン伝動され掻込オーガ11を掻込駆動させるとともに、刈刃駆動軸53にベルト伝動されて刈刃12を刈取駆動させる。
【0034】
また、分岐軸51の動力は、リール変速装置54に伝動される。このリール変速装置54は、分岐軸51の動力がチェーン伝動される入力軸56と、該入力軸56と一体回転する入力プーリ57と、出力軸58と、該出力軸58と一体回転する出力プーリ59と、入力プーリ57と出力プーリ59との掛け回されるVベルト61とから構成される。入力軸56の動力は、リール変速アクチュエータを介した入力プーリ57と出力プーリ59とVベルト61の作動により、無段階で変速され出力軸58に伝動される。出力軸58の動力は、前記回転軸17に伝動されてリール4を回転駆動させる。
【0035】
すなわち、リール変速装置54は、リール4の回転速度を無段階で変速するように構成されている。また、リール変速装置54は、左右のリール支持アーム38,38の一方を構成する伝動ケース38Aに内装されている。
【0036】
次に、
図7及び
図8に基づき操縦部の構成を説明する。
図7は、操縦部の斜視図である。操縦部14は、オペレータが着座する座席63(
図1乃至
図3参照)と、座席63の側方に配置された変速レバー64と、座席63の前方に配置されたマルチステアリングレバー66と、変速レバー64の後方に配置されたスイッチパネル67と、変速レバー64の前方且つマルチステアリングレバー66の側方に配置された刈高さ設定ダイヤル68とを備えている。
【0037】
上記変速レバー64は、走行HST43をニュートラル状態とする前後中立位置から左右一方側への揺動によって、該中立位置からの前方揺動が可能になる一方で、中立位置からの左右他方側への揺動によって、該中立位置からの後方揺動が可能になる。そして、変速レバー64の中立位置からの前方揺動によって、走行HST43を介した前進走行側への増速操作を行う一方で、変速レバー64の中立位置からの後方揺動によって、走行HST43を介した後進走行側への増速操作を行う。
【0038】
この変速レバー64の上端部にはグリップ64aが形成され、このグリップ64aの側部には、該グリップ64aを把持しながら押し操作可能なモーメンタリ式の掻込スイッチ(強制掻込操作手段)69が設けられ、グリップ64aの背面側には、オルタネート式の倒伏スイッチ(倒伏刈操作手段)71が配設されている。
【0039】
上記刈高さ設定ダイヤル68は、押し操作可能且つダイヤル操作可能に構成され、刈高さ設定ダイヤル68の押し操作によって刈高さ自動スイッチが入状態になるとともに、再度の押し操作によって刈高さ自動スイッチが切状態になる一方で、刈高さ設定ダイヤル68のダイヤル操作によって刈取作業時の刈取部3の昇降高さ(刈高さ)が設定される。
【0040】
図8は、マルチステアリングレバーの背面図である。上記マルチステアリングレバー66は、前後揺動によって、リフトシリンダ16を介した刈取部3の昇降手動操作を行うとともに、左右揺動によって車体の操向操作を行う。
【0041】
具体的には、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から前方揺動させることにより、リフトシリンダ16を縮小作動させる刈取部3の下降操作を行い、マルチステアリングレバー66を前後中立位置から後方揺動させることにより、リフトシリンダ16を伸張作動させる刈取部3の上昇操作を行う一方で、マルチステアリングレバー66を左右中立位置から左側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの右側を左側に対して高速走行駆動させて車体を左側に旋回させる左旋回操作を行い、マルチステアリングレバー66を中立位置から右側に揺動させることにより、左右のクローラ式走行装置1L,1Rの左側を右側に対して高速走行駆動させて車体を右側に旋回させる右旋回操作を行う。
【0042】
すなわち、マルチステアリングレバー66は、刈取部3を走行機体2に対して昇降させる刈取部昇降手動操作手段であるとともに、走行機体2の操向操作手段でもある。
【0043】
また、マルチステアリングレバー66上端部の背面側における左右一方側にはリール昇降手動操作手段74が設けられ、左右他方側にはリール前後移動手動操作手段76が設けられている他、マルチステアリングレバー66上端部の正面側にはモーメンタリ式のトリガースイッチ73が設置されている。
【0044】
具体的には、リール昇降手動操作手段74として、リール4を刈取部3に対して上昇操作するモーメンタリ式のリール上昇スイッチ74Aと、リール4を刈取部3に対して下降操作するモーメンタリ式のリール下降スイッチ74Bとが上下に設けられ、リール前後移動手動操作手段76として、リール4を刈取部3に対して前進操作するモーメンタリ式のリール前進スイッチ76Aと、リール4を刈取部3に対して後退操作するモーメンタリ式のリール後退スイッチ76Bとが上下に設けられている。
【0045】
ついで、
図9ないし
図14に沿って、本発明の要部である刈取部3におけるリールの可動機構6について説明する。該可動機構6は、前端にリール4の回転軸17を支持した左右1対のリール支持アーム38,38を備える。これらリール支持アーム38の後端部は、進退アーム37,37を介して刈取フレーム8に支持されている。即ち、進退アーム37の上端部は枢支軸81を介して上記リール支持アーム38に連結されており、その下端部は枢支軸82を介して刈取フレーム8に連結されている。詳しくは、
図11に詳示するように、左右のリール支持アーム38,38の後端部は連結フレーム83により一体に連結されており、上記進退アーム37は、左右及び中間の3個からなり、右及び中間の進退アーム37a,37bは、中間シャフト84により一体に連結されていると共に、その上端が上記連結フレーム83にブラケットを介して回転自在に連結され、その下端部が刈取フレーム8の後端にブラケット85を介して取付けられた上記枢支軸82に連結されている。
【0046】
前記左右のリール支持アーム38,38の中間部と刈取フレーム8との間にはそれぞれ昇降シリンダ(リール上下移動用アクチュエータ)41,41が取付けられている。該昇降シリンダ41は、その固定側であるシリンダ部41aがピン86を介して刈取フレーム8に連結され、その可動側であるピストン部41bがピン87を介してリール支持アーム38に連結されている。前記左右リール支持アーム38の後端部を連結する連結フレーム83とフィーダ7の上面との間に進退シリンダ(リール前後移動用アクチュエータ)39が取付けられている。なお、上記昇降シリンダ41及び進退シリンダ39は、本実施の形態では油圧シリンダからなるが、電動シリンダ等の他の直動アクチュエータでもよい。また、進退シリンダ39の一端は、連結フレーム83に連結したが、進退アーム37に連結してもよい。
【0047】
従って、上記リール支持アーム38は、枢支点81,82,86,87の4点で支持される4点リンク(4節リンク)機構を構成し、昇降シリンダ41の伸縮により
図12に示すよう、枢支点81を中心として上下(昇降)方向に揺動し、進退シリンダ39を伸縮することにより
図13に示すように、枢支点82,86を中心として前後方向に移動し得る。
【0048】
図10及び
図11に示すように、リール支持アーム38の上下方向の移動は、ボーデンワイヤ90を介してポテンショメータ91に伝えられる。ボーデンワイヤ90のアウタワイヤ90aの一端部は、右昇降シリンダ41の固定側であるシリンダ部41aに設けられたアウタ受け92に取付けられる。該ワイヤ90のインナワイヤ90bの一端部は、リール支持アーム38における枢支軸87の近傍にピン93により取付けられる。上記ポテンショメータ91は、刈取フレーム8の背面板8aの後側面に配置される。該背面板8aは、掻込オーガ11が軸線を左右方向にして収納されている刈取フレーム8の後側における右後側を塞いでおり、該刈取フレーム8の左後側はフィーダ7が連結されている。
【0049】
上記ポテンショメータ91は、
図11,
図14に示すように、上記背面板8aに桟部材95を介して取付けられており、該桟部材95には、センサアーム96が枢支ピン97により回転自在に支持されている。該センサアーム96の一端には前記ボーデンワイヤ90のインナワイヤ90bの他端部が連結されており、該センサアーム96の他端は、ピン99を介して前記ポテンショメータ91の作動アーム91aに連動している。前記ボーデンワイヤ90のアウタワイヤ90aの他端は、背面板8aの縁部8cに設けられたアウタ受け100に取付けられており、また上記センサアーム96は、上記インナワイヤ90bの引張り力に抗するように、背面板8aの他側縁部8dとの間にスプリング101が張設される。上記ポテンショメータ91は、昇降シリンダ41のストロークを検出するストロークセンサを構成し、従ってリール支持アーム38の上下方向の揺動によるリール4の上下方向(昇降)位置を検出する上下方向検出センサを構成する。なお、上記ポテンショメータ91へのボーデンワイヤ90の連結は、インナワイヤ90bを背面板8a等の固定部材に固定し、アウタワイヤ90aをセンサアーム96に連結してもよい。
【0050】
また、進退アーム37の刈取フレーム8側の枢支軸(回転軸)82部分には、該進退アーム37と一体に回転する回転軸82の回転角を検出するポテンショメータ103が配置されている。該ポテンショメータ103は、リール支持アーム38の前後方向位置を検出する前後方向検出センサを構成する。
【0051】
従って、
図12に示すように、昇降シリンダ41の伸縮によりリール支持アーム38を枢支軸81を中心に上下方向に揺動して、リール4の昇降位置を調節する際、前記昇降シリンダ41のストロークを検出する前記ポテンショメータ91により、上記リール4の昇降(上下方向)位置が検出される。この際、進退アーム37は一定位置にあって、その枢支軸(回転軸)82の回動角を検出するポテンショメータ103の検出値は一定値にある。
【0052】
図13に示すように、進退シリンダ39を伸縮することにより、昇降シリンダ41及び進退アーム37の刈取フレーム8側の枢支軸82,86を中心にしてリール支持アーム38を前後方向に揺動して、リール4の前後位置を調節する際、進退アーム37の枢支軸(回転軸)82の回動角を検出することにより、上記リール4の前後方向位置が検出される。この際、昇降シリンダ41は一定長さ位置にあって、ストロークセンサである上記ポテンショメータ91の検出値は一定値にある。
【0053】
なお、上記ストロークセンサであるポテンショメータ91は、
図15に示すように、背面板8aに横方向に取付けた桟部材95に横向きに配置してもよい。センサアーム96は、枢支ピン97により上下方向に移動自在に取付けられ、その先端に、上方向から垂下したボーデンワイヤ90のインナワイヤ90bが連結される。該ボーデンワイヤ90のアウタ受け100は背面板8aの上部に配置されている。従って、本実施の形態にあっては、センサアーム96が重力により下方に向けて付勢されて、インナワイヤ90bに対抗するので、
図14に示すスプリング101が不要になる。
【0054】
なお、前記前後方向検出センサは、進退アーム37の刈取フレーム8側の枢支軸82の回動角を検出するポテンショメータ103に限らず、昇降シリンダ41の刈取フレーム8に対する回動角(該昇降シリンダ41と一体に回動する枢支軸86の回動角)を検出するもの、また進退シリンダ39のストロークを検出するもの等、他のものでもよい。
【0055】
前記背面板8aに配置されたポテンショメータ91は、ワイヤ90を介して上記昇降シリンダのストロークを検出し、昇降シリンダのストロークを直接検出するストロークセンサに比して、安価になり、またポテンショメータ91が作物の流れと干渉しない背面板8aに配置されるので、作物の影響を受けることなく検出することができる。
【0056】
前述したリール4の上下方向(昇降)及び前後方向の調節は、前記リール昇降手動操作手段74の上昇スイッチ74A及び下降スイッチ74B並びに前記リール前後移動手動操作手段76の前進スイッチ76A及び後退スイッチ76Bの操作により行われる。
【0057】
また、変速レバー64の上端グリップ64aに配置された掻込スイッチ69をオン操作すると、強制掻込制御となる。該強制掻込制御にあっては、リール回転が掻込みに適した所定回転速度(例えば最高回転)になり、リールが掻込みに適した所定後方位置(例えば最後方位置)に設定され、かつリールが掻込みに適した所定高さ位置(例えば下限位置)に設定される。具体的には、リール4が
図13における鎖線位置となる。そして、上記掻込みスイッチ69をオフして強制掻込制御を終了すると、該スイッチ69がオン操作される前の状態にリールが戻される。
【0058】
変速レバー64に配置された倒伏スイッチ71をオン操作すると、倒伏制御となる。該倒伏制御にあっては、リール回転が倒伏材刈取りに適した所定回転数(例えば最高回転数)になり、リールが倒伏刈取に適した所定前側位置(例えば最前位置)に設定され、かつリールが倒伏刈取りに適した所定高さ位置(例えば下限位置)に設定される。具体的には、リール4が
図13における実線位置になる。そして、上記倒伏スイッチ71をオフして倒伏制御を終了すると、該スイッチがオン操作される前の状態にリールが復帰される。
【0059】
上述した実施の形態は、リール支持アーム38を、その後端部が進退アーム37を介して刈取フレーム8に連結される。いわゆる4点リンク機構としたが、これに限らず、リール支持アーム38は、その後端部を刈取フレームに枢支軸により直接支持され、リールがリール支持アーム38に前後方向移動自在に支持されるものに、上記ポテンショメータ91及びボーデンワイヤ90からなるリールの上下方向位置を検出するセンサを適用してもよい。