(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、前記開閉弁は、前記原子炉圧力容器の温度の異常を検出する検出信号に基づいて、冷却水を遮断する閉状態から冷却水を流通する開状態に切り換えられることを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、前記開閉弁は、手動により、冷却水を遮断する閉状態から冷却水を流通する開状態に切り換えられることを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、前記蓋部材の前記流出部は、前記原子炉圧力容器の周囲にほぼ等間隔に配列された3つ以上の排出用開口部を備えていることを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、前記冷却水流入部は、少なくとも、前記壁部材における前記原子炉圧力容器の軸芯と同軸に形成された1つの流入用開口部を備えていることを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、前記壁部材に前記原子炉圧力容器とのギャップを確保する複数の柱部が形成されていることを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
請求項1に記載の原子炉圧力容器の冷却設備において、さらに、前記開閉弁と前記冷却水流入部との間に前記冷却水系に連通する冷却水取入部を備え、前記冷却水取入部から前記冷却水系に外部から冷却水を注入することを特徴とする原子炉圧力容器の冷却設備。
【発明を実施するための形態】
【0009】
-実施形態1-
以下、本発明の原子炉圧力容器の冷却設備の一実施の形態を図面と共に説明する。
図1は、この発明の原子炉圧力容器の冷却設備が設けられる原子力発電設備の概略構造を示す断面図である。
以下に示す一実施の形態では、原子力発電プラントを、改良型沸騰水型原子炉(ABWR)の場合で説明する。
原子炉建屋100は、建屋基礎マット111上に建設される。
原子炉建屋100の内部に原子炉格納容器112が設けられ、原子炉格納容器112内には原子炉圧力容器1が配置されている。原子炉格納容器112は、鋼製ライナを内張りした鉄筋コンクリート製であり、気密性を有している。原子炉格納容器112の形状はほぼ円筒形である。
原子炉格納容器112の内部には、原子炉圧力容器1の周囲を囲むように、ドライウェル114、サプレッション・チャンバ115等が設けられている。
ドライウェル114の上方には、使用済み燃料貯蔵プールまたは機器仮置き場としての保管部119が設けられている。
【0010】
ドライウェル114とサプレッション・チャンバ115は鉄筋コンクリート製のダイアフラム・フロア116により仕切られている。ダイアフラム・フロア116には円周に沿って複数の貫通孔(図示せず)が設けられており、各貫通孔内には、ベント管117が設けられている。ベント管117は複数の枝管を有しており、各枝管は、サプレッション・チャンバ115内にプールされた冷却水115a中に連通している。ベント管117は、ドライウェル114内に放出された蒸気を、サプレッション・チャンバ115内にプールされた冷却水115a中に流入、凝縮させ、ドライウェル114内の圧力上昇を抑制するためのものである。
【0011】
図示はしないが、原子炉圧力容器1には、原子炉格納容器112の外部から原子炉格納容器112の外周壁を貫通して、主蒸気管と給水管とが接続されている。主蒸気管は、炉心で発生した蒸気を、原子炉格納容器112内のドライウェル114を介してタービン建屋内に設置されたタービンに送る配管である。タービンを通った後の蒸気は復水されて復水器にプールされる。復水器にプールされた水は、ポンプで吸い上げられて加圧され、かつ、加熱器により昇温され、給水管を介して、冷却水として原子炉圧力容器1内に供給される。つまり、給水管は、原子炉圧力容器1内に冷却水を供給するための配管である。
【0012】
原子炉圧力容器1は、原子炉格納容器112と原子炉圧力容器スカート118により保持されている。
原子炉圧力容器1の下部には、ギャップGを設けて壁部材2が取り付けられている。原子炉圧力容器1と壁部材2との間のギャップGには、冷却水が自然還流により供給されて原子炉圧力容器1が冷却される。
なお、
図1には、以下に説明する原子炉圧力容器1を冷却する冷却水系は図示されていない。
以下、本発明による原子炉圧力容器の冷却装置の一実施の形態を説明する。
【0013】
図2は、本発明に係る原子炉圧力容器の冷却設備の一実施の形態を示す図である。
なお、
図2には、原子炉圧力容器1と壁部材2の断面図と共に、原子炉圧力容器1を冷却するための冷却水系が図示されているが、冷却水系は、模式的な図である。
原子炉圧力容器1内には、炉心4が配置されている。
原子炉圧力容器1の下部は、ほぼドーム状に形成されている。原子炉圧力容器1の下部の下方には、壁部材2が配置されている。壁部材2は、例えば、鉄、合金、ステンレス、あるいは鉄筋コンクリート等により形成されており、壁部材2と原子炉圧力容器1との間にはギャップGが形成されている。壁部材2は、その上面側が原子炉圧力容器1の下部に沿って湾曲するドーム状に形成されており、壁部材2の上面は全体に亘り、原子炉圧力容器1の下部と、軸方向にほぼ同じ寸法だけ離間している。
【0014】
図3は、
図2に図示された壁部材2を上面側からみた平面図である。
壁部材2は、平面視では、ほぼ円形であり、原子炉圧力容器1の軸芯と同軸の冷却水流入口(冷却水流入部)6bが形成されている。また、壁部材2の外周には、等間隔に配列された8個の冷却水の流出口(流出部)6aが設けられている。
壁部材2には、マトリックス状に配置された複数の柱部8が形成されている。また、壁部材2には、制御棒案内管5を貫通するための複数の開口が形成されており、この開口に制御棒案内管5が挿通された状態で、
図2に図示されるように、原子炉圧力容器1の下部に固定される。壁部材2は、例えば、各柱部8を原子炉圧力容器1の下部に溶接により接合して固定される。従って、柱部8の高さが、原子炉圧力容器1と壁部材2との離間寸法であるギャップGとなる。
【0015】
原子炉圧力容器1と壁部材2とのギャップGは、上部における開放端が蓋部材15により密封状態に閉塞される。
図4は、
図2に図示された蓋部材の平面図である。また、
図4には、二点鎖線により、冷却水系の配管の一例が図示されている。
蓋部材15は、内径が原子炉圧力容器1の外周と密着するサイズのリング状の部材であり、図示はしないシール部材を介して、原子炉圧力容器1および壁部材2に密封状態に取り付けられる。
蓋部材15には、壁部材2の冷却水の流出口6aに対応する8個の開口16が形成されている。
【0016】
壁部材2の各開口16には、配管10aが嵌入され、これにより、壁部材2の冷却水の流出口6aは、それぞれ、配管10aの一端に連結されている。また、壁部材2の冷却水流入口6bには、配管10bが連結されている。
原子炉圧力容器1の上方には、復水器9が配置されている。復水器9内には熱交換用配管12が装着されている。なお、
図2においては、復水器9は、原子炉圧力容器1の下部の上方に位置して図示されているが、これは図示の都合であり、復水器9は、原子炉圧力容器1の上方に配置することが好ましい。復水器9の貯水部9aを、原子炉建屋100の保管部119に設けるようにしてもよい。
【0017】
復水器9の下方には、開閉弁13が配置されている。配管10aの他端は、復水器9の熱交換用配管12の一端に接続され、熱交換用配管12の他端は開閉弁13の一端に接続されている。開閉弁13の他端には配管10bが接続されている。
【0018】
図4に図示されるように、配管10aは、蓋部材15に設けられた各開口16に挿通される枝管部10a
1と各枝管部10a
1を連通する連管部10a
2と、連管部10a
2と復水器9の熱交換用配管12とを連結する集管部10a
3を備える。
図4では、連管部10a
2は、蓋部材15の外周、換言すれば、原子炉圧力容器1の外周を囲む1つの円形形状に形成されているが、これは単なる一例に過ぎず、異なる半径にしたり、直線状に延出して屈曲させたりしてもよい。また、各枝管部10a
1を連管部10a
2により連結せず、直接、集管部10a
3に接続するようにしてもよい。復水器9を複数個配置し、それぞれの復水器9に、連管部10a
2を振り分けて接続するようにしてもよい。
【0019】
復水器9は、原子炉圧力容器1が発する熱により冷却水が沸騰して、蒸気となった場合に、これを冷却して復水するものである。熱交換用配管12は、内部を流通する蒸気と復水器9の貯水部9a内に貯えられた水との熱交換の効率を向上するために、配管10a、10bよりも直径および肉厚が小さく形成されている。
【0020】
開閉弁13は、熱交換用配管12および配管10b内を流通する冷却水を、遮断する状態と流通する状態とに切り換える。開閉弁13を閉じた状態では、熱交換用配管12および配管10b内を流通する冷却水は遮断される。開閉弁13を開いた状態では、熱交換用配管12内を流通する冷却水は開閉弁13内を流通して配管10b内に流入する。開閉弁13として、電動弁(電磁弁)または空気駆動弁を用いることができる。電動弁または空気起動弁は、災害等により電源が喪失した状態でも開閉機能が喪失することが無いように、電池駆動とすることが好ましい。
【0021】
原子炉圧力容器1の温度を温度センサ(図示せず)により検出し、正常状態か、異常状態かを判断する。開閉弁13は、通常は、閉状態に設定しておき、異常と判断された場合には、開状態に切り換える。図示はしないが、温度センサからの検出値を制御回路に取り込み、原子炉圧力容器1の温度が異常であるか否かを判断する。原子炉圧力容器1の温度が異常であると判断された場合には、制御回路から、開閉弁13のドライバー(図示せず)に閉状態から開状態に切り換える指令信号が発信され、開閉弁13が開状態となる。これにより、復水器9により復水された冷却水が開閉弁13および配管10bを流通し、原子炉圧力容器1の冷却水流入口6bからギャップG内に流入する。
【0022】
開閉弁13は、手動操作弁としてもよい。原子炉圧力容器1が異常温度に達した場合、手動により開閉弁13を開くようにする。手動の開閉弁13とする場合、操作が可能となるように原子炉格納容器112の外側に設けるようにすることが好ましい。電池駆動と手動操作のいずれでも開閉が可能なように、両駆動方式の開閉弁13を並列に設けてもよい。
【0023】
配管10bには、外部から冷却水を取り入れるための冷却水取入部17が設けられている。冷却水取入部17は、配管10bに連結する配管10cと、配管10cの配管10bとの連結部近傍に設けられた注水用弁18により構成される。注水用弁18は、電動弁(電磁弁)または空気駆動弁でよい。配管10cは、事故時に炉心4に注水する低圧炉心注水系に接続してもよい。
なお、
図2において、符号3はデブリである。
【0024】
図5は、本発明に係る原子炉圧力容器の冷却設備による冷却の処理フロー図である。
以下、
図5を参照して、本発明の原子炉圧力容器の冷却設備による処理フローの一実施の形態を説明する。
ステップS1では、注水用弁18を開く。
ステップS2では、注水用弁18を開いて冷却水系に冷却水を注入する。
配管10cは、ポンプ等の給水装置に接続されており、この給水装置を駆動する。配管10cが事故時に炉心4に注水する低圧炉心注水系に接続されている場合には、この低圧炉心注水系のポンプを駆動する。これにより、配管10b内に冷却水が注入され、また、冷却水流入口6bを介して原子炉圧力容器1と壁部材2との間のギャップGに冷却水が注入される。さらに、冷却水は、配管10aおよび熱交換用配管12の内部を満たす。冷却水は、注入用弁18と開閉弁13との間の配管10b内にも注入される。しかし、開閉弁13が閉じているため、熱交換用配管12内に注入された冷却水と、冷却水取入部17と開閉弁13との間の配管10b内に注入された冷却水は遮断されている。
【0025】
ステップS3では、原子炉を駆動する。
これにより、原子炉圧力容器1の内の炉心4で核分裂反応が起き、原子炉圧力容器1の温度が上昇する。
ステップS4では、温度センサ(図示せず)により原子炉圧力容器1の温度を検出し、その温度が正常か、異常かを判断する。原子核分裂反応が正常な場合、原子炉圧力容器1の温度は290℃程度である。しかし、この状態では、開閉弁13が閉じており、復水器9の熱交換用配管12内に満たされている冷却水は遮断される。冷却水系内は高圧力となっているため、この状態では、冷却水系は殆ど蒸発しない。仮に、一部が蒸気となったとしても、復水器9で復水されて損失となるエネルギー量は僅かであり、原子炉圧力容器1の温度を下げる程の冷却能力はないので、原子炉の出力に影響が出ることはない。
原子炉に苛酷事故が発生し、デブリ3が原子炉圧力容器1の下部に落下した場合、原子炉圧力容器1の温度は290℃以上に上昇する。
【0026】
ステップS4で、肯定されれば、原子炉圧力容器1の温度検出を継続する。ステップS4で否定されれば、ステップS5の処理を行う。
ステップS5では、開閉弁13を開く。開閉弁13の開放は、電池駆動による電気式の場合は、自動的に行うことができる。手動式の開閉弁13の場合には、手動操作によって行う。
【0027】
苛酷事故が発生し、デブリ3が原子炉圧力容器1の下部に落下すると、原子炉圧力容器1の温度は急上昇する。このため、原子炉圧力容器1の下部と壁部材2との間のギャップGおよび配管10a内の冷却水の一部は、蒸気となる。蒸気は、配管10aから復水器9の熱交換用配管12に流入し、貯水部9a内の冷却用水により冷却されて復水する。
このとき、開閉弁13は開状態であるので、復水した冷却水は開閉弁13および配管10bを流通して、冷却水流入口6bを介して原子炉圧力容器1と壁部材2との間のギャップGに流入する。ギャップGに流入した冷却水は、原子炉圧力容器1を冷却する。
そして、冷却時に加温され蒸気となった冷却水は、再び、復水器9において復水される。
このように、蒸気の浮力と水頭圧により自然還流による冷却が継続される。
【0028】
ステップS6では、原子炉圧力容器1の温度を検出し、正常か否かを判断する。
ステップS6が否定されれば、ステップS5に戻り、開閉弁13の開状態を維持し、冷却水の自然還流による冷却を継続する。
ステップS6が肯定されれば、ステップS7の処理を行う。
ステップS7では、開閉弁13を閉じる。開閉弁13の閉塞は、電池駆動による電気式の場合は、自動的に行うことができる。手動式の開閉弁13の場合には、手動操作によって行う。
【0029】
上記の処理フローにおいて、ステップS6の原子炉圧力容器1の温度が正常であることを確認した時点でこの処理フローを終了してもよい。苛酷事故が発生した後は、原子炉圧力容器1、制御棒、制御棒案内管5等に損傷が発生したか否かを点検する必要がある。また、冷却水系内の冷却水の不足分の補給あるいは新規な冷却水との交換が必要となる場合がある。
このため、このような点検作業を行ったうえで、開閉弁13を閉じるようにしてもよい。
【0030】
--実施形態2--
図6は、本発明の原子炉圧力容器の冷却設備の実施形態2を示す図である。
図6においても、
図2と、同様に、原子炉圧力容器1と壁部材2の断面図と共に、原子炉圧力容器1を冷却するための冷却水系が図示されているが、冷却水系は、模式的な図である。
図6に図示された原子炉圧力容器の冷却設備が、実施形態1と相違する点は、壁部材2Aに中性子吸収材21が含まれている点である。
即ち、壁部材2Aには、鉄、合金、ステンレス等の基材中に、中性子吸収材21としてホウ素、ハフニウム等が含まれている。
【0031】
壁部材2Aに中性子吸収材を含ませる理由を説明する。
デブリ3は、原子炉圧力容器1の下部に落下した後も、僅かながら核分裂反応を続けている。デブリ3は、制御棒を巻き込んでいるため、デブリ3が臨界に達する可能性は少ない。しかし、デブリ3から中性子が放出され、放出された中性子が壁部材2で反射され、再び、デブリ3に吸収されることにより再臨界に達する可能性を考慮しておくことは好ましいことである。
【0032】
実施形態2では、壁部材2Aの内部に中性子吸収材21が存在する。このため、デブリ3から中性子が放出されたとしても、中性子吸収材21に吸収させることができる。
このため、デブリ3における再臨界を防止し、安全性を一層、確実にすることができる。
なお、実施形態2において、上記以外は実施形態1と同様であり、対応する部材に同一の符号を付して、説明を省略する。
【0033】
本発明の実施形態によれば、下記の効果を奏する。
(1)原子炉圧力容器1の下部と壁部材2との間にギャップGを設け、このギャップGの流出口6aから流出し、冷却水流入口6bから流入する冷却水系を設けた。冷却水系は、原子炉圧力容器1よりも上方に配置された復水器9により復水され、復水器9の復水側に、開・閉状態に切り換え可能な開閉弁13を設けた。
このため、苛酷事故により、原子炉圧力容器1が異常温度に達した場合、開閉弁13を開状態にして冷却水を流通させることにより、冷却水の蒸気の浮力と水頭圧により自然還流による冷却系を形成することができる。
(2)原子炉が正常動作中であり、原子炉圧力容器1の温度が正常状態では、開閉弁13を閉状態に維持することにより、復水器9により復水された冷却水は、開閉弁13により遮断される。このため、仮に、ギャップG中に満たされている冷却水の一部が蒸気となったとしても、復水器9で復水されて損失となるエネルギー量は僅かであり、原子炉圧力容器1の温度を下げる程の冷却能力はないので、原子炉の出力に影響が出ることはない。
【0034】
(3)原子炉圧力容器1の下部と壁部材2との間のギャップGへの冷却水流入口6bを、壁部材2における原子炉圧力容器1の軸芯と同軸に設けた。このため、冷却水が冷却水流入口6bから同心円状に流入し、原子炉圧力容器1を均一に冷却することができる。
(4)壁部材2の外周に、等間隔に配列された8個の冷却水の流出口6aを設けた。このため、苛酷事故発生時における原子炉圧力容器1の冷却を効率的に、かつ、原子炉圧力容器1全体に対して均一に行うことができる。
【0035】
(5)壁部材2に複数の柱部8を設け、この柱部8を溶接等により原子炉圧力容器1の下部に固定した。この構造では、柱部8の高さが、原子炉圧力容器1と壁部材2との離間寸法であるギャップGとなる。このため、壁部材2の取り付けおよびギャップGの形成を効率的に行うことができる。
(6)原子炉圧力容器1を冷却する冷却水系に外部から冷却水を取り入れるための冷却水取入部17を設けた。このため、原子炉圧力容器1の冷却処理の終了後、あるいは、冷却水の交換作業等の際等、ポンプ等により冷却水系への注入を随時行うことできる。
また、冷却水取入部17を事故時に炉心4に注水する低圧炉心注水系に接続しておけば、ポンプの共用化ができる。
(7)復水器9の貯水部9aを、原子炉建屋100の保管部119に設けることにより、苛酷事故発生時でも貯水部9aに水を補給することができる。
【0036】
(8)実施形態2の如く、壁部材2Aに中性子吸収材21を含ませることにより、デブリ3が再臨界に達することを確実に防止し、一層、安全性を向上することができる。
【0037】
なお、上記実施形態では、復水器9を原子炉圧力容器1の上方に設置するものとして例示した。しかし、復水器9は、冷却水が、水頭圧により原子炉圧力容器1と壁部材2とのギャップG内に流入することができる高さに設置すればよい。従って、ギャップGの流出口6aよりも高い位置に設置すればよい。
【0038】
上記実施形態では、蓋部材2の外周に、等間隔に8個の流出口6aを設けた構造と知って例示した。しかし、流出口6aの数は、何個でもよく、1個であってもよい。しかし、苛酷事故発生時における原子炉圧力容器1の冷却を、効率的かつ均一に行うためには、壁部材2の外周に沿って、等間隔に3個以上設けることが好ましい。
【0039】
上記実施形態では、ギャップGへの冷却水流入口6bを、壁部材2における原子炉圧力容器1の軸芯と同軸に1個設けた構造として例示した。しかし、冷却水流入口6bは、原子炉圧力容器1の軸芯を中心とする円周上にも、等間隔に複数個設けてもよい。この場合、原子炉圧力容器1の軸芯と同軸に設けずに、原子炉圧力容器1の軸芯を中心とする円周上のみに設けてもよい。
【0040】
その他、本発明は、本発明の趣旨の範囲内において、種々、変形して適用することが可能であり、要は、原子炉圧力容器と壁部材とのギャップ内に冷却水が流出入可能な冷却水系と、冷却水系の流出部よりも高い位置に復水器と、復水器から流下する冷却水を遮断状態および流通状態に切り換え可能な開閉弁とを備え、
復水器は、冷却水が貯留された冷却槽と、冷却槽内に収容された熱交換用配管とを備え、熱交換用配管は、復水器の外部に設けられた配管よりも、直径および肉厚が小さく、原子炉圧力容器を、冷却水系を循環する自然循環流により冷却するようにしたものであればよい。