特許第5941799号(P5941799)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5941799
(24)【登録日】2016年5月27日
(45)【発行日】2016年6月29日
(54)【発明の名称】商品の移送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/11 20060101AFI20160616BHJP
   A47F 1/12 20060101ALI20160616BHJP
【FI】
   B65G13/11
   A47F1/12
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-196554(P2012-196554)
(22)【出願日】2012年9月6日
(65)【公開番号】特開2014-51355(P2014-51355A)
(43)【公開日】2014年3月20日
【審査請求日】2015年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100105463
【弁理士】
【氏名又は名称】関谷 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100099128
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 康
(72)【発明者】
【氏名】田中 幹彦
(72)【発明者】
【氏名】勝田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 航史
【審査官】 葛原 怜士郎
(56)【参考文献】
【文献】 実開平05−037724(JP,U)
【文献】 意匠登録第1318776(JP,S)
【文献】 特開平08−143121(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 1/12
B65G 13/00−13/12
B65G 39/00−39/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の移動方向と直角方向に商品を支持するための複数のローラーを下部支持枠と上部支持枠とで回転自在に支持し、支持した状態で前記各ローラーの少なくとも頂部が上部支持枠から上方に露出している形態を備えた商品の移送装置であって、
商品の移動方向に隣接する前記各ローラーの軸間距離は該ローラーの直径2倍以上とされており、前記上部支持枠は前記各ローラーの頂部を結ぶ仮想平面より下方位置に各隣接するローラー間の隙間を閉鎖する閉鎖用平板を備えており、前記閉鎖用平板はローラーの長手方向のほぼ全域に亘って形成されており、かつ、前記閉鎖用平板は、商品の移動方向に適数の上に凸の縦リブを有することを特徴とする商品の移送装置。
【請求項2】
前記閉鎖用平板はローラーの長手方向に沿って適数の開口部を有することを特徴とする請求項1に記載の商品の移送装置。
【請求項3】
前記閉鎖用平板は、ローラーに面した端面にローラーの長手方向に沿う上に凸の横リブを有することを特徴とする請求項1または2に記載の商品の移送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品等の移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
商品等の移動方向と直角方向に複数のローラーが回転自在に配置され、該ローラー上を商品等が移動できるようにした商品等の移送装置は知られており、その一例が、特許文献1、2、3等に記載されている。この形態の従来の商品等の移送装置では、図5および図6に示すように、下部支持枠1と上部支持枠2とでローラー3の回転軸4を回転自在に支持するとともに、上部支持枠2からローラー3の頂部を露出させ、該露出したローラーの頂部上をペットボトル等の商品kが移動するようにされている。隣接するローラー3、3の軸間距離(回転軸4の中心間の距離)Sは、ローラー同士が接触しないように、当該ローラー3の直径dよりもわずかに(1〜2mm程度)広くされている。
【0003】
また、隣接するローラー3、3に形成される空間領域には、当該空間領域にローラー上を移動する商品等が傾いたときなどに、当該商品等の一部が入り込んで転倒したりしないように、幅の狭い閉鎖部材5が上部支持枠2に上部支持枠2の上面と面一になるようにして一体に形成されており、通常、該閉鎖部材5の上面は、各ローラーの頂部を結ぶ仮想平面Lよりもわずかに(0.1〜2mm程度)下方に位置している。
【0004】
また、図5の平面図に示すように、1つの移送装置は、複数列のローラー群(図ではa〜dの4列)で構成されることが多く、その際に、各ローラー列a〜dは回転軸心が前後するように千鳥状に配置されるものが多い。
【0005】
また、ローラー3の回転軸4と下部支持枠1との間の摩擦抵抗を低減するために、下部支持枠1のローラー軸4の支持面を平坦面とし、上部支持枠2に各ローラー軸4を収容できる凹入部6を形成し、各ローラー軸4を上部支持枠2の前記凹入部6に収容することで、上部支持枠1と下部支持枠2との間でローラー3の軸受けをするようにしている。
【0006】
一般に、繰り返しての商品等の移動に耐えうるように、ローラー3はポリアセタール樹脂のような耐久性のある素材で作られている。また、ローラー3の直径は5〜7mm程度のものが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−155701号公報
【特許文献2】特開2001−29186号公報
【特許文献3】特開2001−240225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の形態の商品等の移送装置において、商品等が移動するときに生じる装置側の抵抗が小さいことは、スムーズに商品等を移動させる観点から好ましい。また、移送装置としての機能を低下させることなく、より低いコストで製造できることが好ましい。本発明は、上記の要請に応えることを課題としており、具体的には、商品等が移動するときの装置側の抵抗をより小さくすることができ、かつ従来の同等製品よりも低コストで製造できるようにした商品等の移送装置を開示することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による商品等の移送装置は、商品等の移動方向と直角方向に商品等を支持するための複数のローラーを下部支持枠と上部支持枠とで回転自在に支持し、支持した状態で前記各ローラーの少なくとも頂部が上部支持枠から上方に露出している形態を備えた商品等の移送装置であって、商品等の移動方向に隣接する前記各ローラーの軸間距離は該ローラーの直径2倍以上とされており、前記上部支持枠は前記各ローラーの頂部を結ぶ仮想平面より下方位置に各隣接するローラー間の隙間を閉鎖する閉鎖用平板を備えることを特徴とする。
【0010】
商品等の移動方向と直角方向に複数のローラーを備えた移送装置において、ローラー上を商品等が移動するときに、装置側に生じる抵抗は、移動時に当該商品が乗っている複数本のローラーの転がり摩擦抵抗の総和にほぼ等しい。従来の商品等の移送装置では、隣接するローラーの軸間距離が当該ローラーの直径よりも少しだけ大きくされており、最大でも2倍未満であるのに対して、本発明による商品等の移送装置では、各ローラーの軸間距離を該ローラーの直径2倍以上としている。そのために、同じ底面積である商品等がローラー上を移動するときに、当該商品等の底面が接しているローラーの本数を、従来のものと比較して少なくすることができ、結果として、ローラー上を商品等が移動するときに生じる装置側の抵抗を小さくすることができる。そして、上部支持枠は各ローラーの頂部を結ぶ仮想平面よりわずかに下方に位置する閉鎖用平板を備えており、商品等の移動方向先端部がローラーとローラーとの間の隙間部に入り込んで転倒するようなことも確実に阻止することができる。
【0011】
さらに、各ローラーの軸間距離を該ローラーの直径2倍以上としたことで、従来の商品等の移送装置と比較して、商品等の移動方向での単位距離当たりでのローラー本数を少なくすることができる。前記したように、ローラーにはポリアセタール樹脂のような高価な材料が用いられるのが一般的であり、ローラーの本数を少なくしたことで、製造原価の低減ももたらされる。
【0012】
本発明による商品等の移送装置において、前記閉鎖用平板は、ローラーの長手方向のほぼ全域に亘って形成されていてもよく、ローラーの長手方向に沿って適数の開口部が形成されていてもよい。ローラー上を移動する商品等の形状に応じて、適宜選択すればよい。
【0013】
本発明による商品等の移送装置において、好ましくは、閉鎖用平板の上面は前記仮想平面より0.1〜0.3mm程度だけ下方に位置するようにされる。一般に、商品等がローラー上を移動するときに、前記閉鎖用平板に商品等が接することはない。しかし、移動の過程で商品等が傾いたりすると、商品等の移動方向先端部が前記閉鎖用平板に当接することが起こる。閉鎖用平板の上面が前記仮想平面より0.1〜0.3mm程度だけ下方に位置している態様では、傾いた商品等は、閉鎖用平板に当接した後、直ぐにもとの姿勢に復帰することができる。
【0014】
本発明による商品等の移送装置において、前記閉鎖用平板は、ローラーに面した端面にローラーの長手方向に沿う上に凸の横リブを有するようにしてもよい。その形態のリブを備えることで、閉鎖用平板の長手方向の反り(たわみ)に対する強度を大きくすることができ、商品等が傾いたときに、その傾きを一層確実に是正することができるようになる。前記横リブの頂部と前記仮想平面との間の距離は、0〜0.2mm程度であることが好ましい。
【0015】
本発明による商品等の移送装置において、前記閉鎖用平板は、商品等の移動方向に適数の上に凸の縦リブを有するようしてもよい。この縦リブを有することで、閉鎖用平板の短手方向(幅方向)の反り(たわみ)に対する強度を大きくすることがでる。それにより、商品等が傾いたときに、その傾きを一層確実に是正することができるようになる。また、移動中に、商品等の底面が閉鎖用平板に接することがあっても、縦リブの頂部のみとの接触であり、摩擦抵抗に大きな増加が生じないので、安定した移動をそのまま継続することができる。縦リブの頂部と前記仮想平面との間の距離は、0〜0.2mm程度であることは好ましい。
【0016】
本発明による商品等の移送装置において、下部支持枠と上部支持枠との間でローラーの回転軸を軸受けする(支持する)態様に制限はなく、任意であってよい。好ましくは、前記下部支持枠のローラー軸支持面は平坦面であり、前記上部支持枠は前記下部支持枠の前記ローラー軸支持面上の各ローラー軸を収容できる凹入部を備えており、前記各ローラーはローラー軸を前記上部支持枠の対応する前記凹入部に収容することで前記下部支持枠と上部支持枠とにより回転自在に支持されている形態は好ましい。この形態とすることにより、ローラーの転がり抵抗を長期にわたってより小さな値に維持できる。
【0017】
なお、本発明による商品等の移送装置において、商品等がローラーの上を安定して移動するために、常時3本以上のローラーの頂部が商品等の底面に接していることが推奨される。ローラーの直径をどの程度のものとするかは、そのことを前提として、移送の対象となる商品等の底面積との関係で設定するのが好ましい。現在用いられているペットボトルを対象とする場合に、ペットボトルの底面の直径は50〜90mm程度であり、そこから演算してローラーの直径は5〜25mm程度のものとなる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、商品等の移動方向と直角方向に商品等を支持するための複数のローラーを下部支持枠と上部支持枠とで回転自在に支持し、支持した状態で前記各ローラーの頂部が上部支持枠から上方に露出している形態を備えた商品等の移送装置において、商品等が移動するときに生じる装置側の抵抗を長期にわたって小さくすることができ、安定した商品の移動が可能となるとともに、従来の同等製品よりも低コストで商品等の移送装置を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による商品等の移送装置の要部を説明する斜視図。
図2】本発明による商品等の移送装置の要部を説明する側面図。
図3図3(a)は本発明による商品等の移送装置の他の形態を示す図1に相当する図であり、図3(b)はそこで用いる閉鎖用平板を示す斜視図。
図4】閉鎖用平板のさらに他の3つの例を示す斜視図。
図5】従来の商品等の移送装置の要部を説明する平面図。
図6】従来の商品等の移送装置の要部を説明する側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施の形態に基づき説明する。本発明による商品等の移送装置Aは、図1に示すように、図5および図6に示した従来の装置と同様、商品等kの移動方向と直角方向に商品等kを支持するための複数のローラー30が、下部支持枠10と上部支持枠20との間に回転自在に支持されており、図2によく示すように、支持された状態で各ローラー30の頂部31の近傍は上部支持枠20の上面21から上方に露出している。
【0021】
図示の例において、下部支持枠10の上面11は平坦面であり、上部支持枠20の下面22側には、前記ローラー30の回転軸32を軸受けするための適数の軸受け溝23が、所定の間隔をおいて形成されている。なお、図示しないが、本発明において、ローラー30の回転軸32を軸受けするための軸受け溝23は、下部支持枠10の上面11側に形成されていてもよく、下部支持枠10の上面11に形成した凹溝と上部支持枠20の下面22の対向箇所に形成した凹溝とで1つの軸受け溝が形成されるようにしてもよい。
【0022】
本発明による商品等の移送装置Aにおいて、図2に示すように、ローラー30の直径をdとしたときに、隣接する軸受け溝23、23の中心間の距離、すなわち、隣接するローラー30、30の軸間距離(回転軸32の中心間の距離)Sは、S≧2dの関係を満たすように設計されている。一例として、図示のものでは、ローラー30の直径:d=6mmであり、隣接するローラー30、30の軸間距離:S=15mmとされている。
【0023】
上部支持枠20の上面21は平坦面とされており、隣接するローラー30、30の間には、適宜深さの凹溝24が形成されている。そして、該凹溝24には閉鎖用平板40が配置されていて、それにより、隣接するローラー30、30間の隙間のほぼ全域を閉鎖している。この例において、各ローラー30の頂部31を結ぶ仮想平面Lと前記閉鎖用平板40の上面41は平行な面となっており、その間の距離hは0.1〜0.3mm程度とされている。
【0024】
本発明による商品等の移送装置Aは、図1に示した1列のローラー群のみで構成されてもよく、図5に示したもののように、複数列のローラー群を並行に配置して構成されてもよい。後者の場合、各列のローラーは同列に位置するようにしてもよく、図2に示すように、千鳥状となるように配置してもよい。移送装置Aの上を移動する商品等kの底面の形状と大きさを勘案して、適宜選択すればよい。
【0025】
図2に側面図を示す本発明による移送装置Aにおいては、商品等kがローラー30上を移動するときに、商品等kの底面は4本のローラー30と接している。一方、図6に示した従来の移送装置では、本発明による移送装置Aと同じ直径dのローラー3を用いていながら、商品等kの底面は8本のローラー3と接している。このことは、本発明による移送装置Aにおいては、各ローラー30の軸間距離Sが該ローラー30の直径dの2倍以上であることに起因している。
【0026】
すなわち、同じ底面積である商品等kがローラー30上を移動するときに、当該商品等kの底面が接しているローラーの本数が、従来のものと比較して少なくなっており、結果として、ローラー30上を商品等kが移動するときに生じる装置A側の抵抗を小さくすることができ、商品等kの円滑な移送が可能となる。さらに、移送性能を確保しながら、装置A全体としてローラー30の本数を少なくすることができるので、製造コストを低減することができる。
【0027】
また、ローラー30、30間の隙間には閉鎖用平板40が配置されており、商品等kの移送時に、何らかの事情で商品等kが傾斜した姿勢となり、移動方向先端部がローラー30とローラー30との間の隙間部に入り込むようになったとしても、該先端部はすぐに閉鎖用平板40の上面41に衝接することで、姿勢の安定は保持される。前記したように、各ローラー30の頂部31を結ぶ仮想平面Lと前記閉鎖用平板40の上面41が平行であり、その間の距離hは0.1〜0.3mm程度であることは、この姿勢の安定性を確実に確保するための好ましい態様となる。
【0028】
図3は、本発明による商品等の移送装置の他の形態を示しており、図3(a)は図1に相当する図であり、図3(b)はそこで用いる閉鎖用平板を示す斜視図である。図3(a)において、図1に示した装置の部材と同じ部材には同じ符号を付し、説明は省略する。この移送装置A1では、用いる閉鎖用平板40Aの形態のみが、図1に示した装置Aと異なっている。すなわち、図1に示した装置Aでは閉鎖用平板40がローラー30の長手方向のほぼ全域に亘ってその隙間を閉鎖するようになっているのに対して、ここで用いる閉鎖用平板40Aは、図3(b)によく示すように、部分的な開口部42を適数有している点に特徴がある。この形態の閉鎖用平板40Aを用いることで、商品等kの一部が閉鎖用平板40Aに接触したときの接触面積を小さくすることが可能となり、商品等kの移送を一層安定化することができる。
【0029】
図4(a)〜(c)は、閉鎖用平板40のさらに他の形態を示している。図4(a)に示す閉鎖用平板40Bは、装置Aに配置したときに、ローラー30、30に面した端面側にローラー30の長手方向に沿う上に凸の横リブ43、43を有している。そして、該横リブ43の頂部と前記した仮想平面Lとの間の距離は0〜0.2mm程度となるようにされている。リブ43、43を備えることで、閉鎖用平板40Bの長手方向の反り(たわみ)に対する強度を大きくすることができ、商品等kが傾いたときに、その傾きを一層確実に是正することができるようになる。
【0030】
図4(b)に示す閉鎖用平板40Cは、装置Aに配置したときに、商品等kの移動方向に適数の上に凸の縦リブ44を有しており、該縦リブ44の頂部と前記仮想平面Lとの間の距離は0.0〜0.2mm程度となるようにされている。リブ44、44を備えることで、閉鎖用平板40Cの短手方向(幅方向)の反り(たわみ)に対する強度を大きくすることがでる。それにより、商品等kが傾いたときに、その傾きを一層確実に是正することができるようになる。また、移動中に、商品等の底面が閉鎖用平板に接することがあっても、縦リブ44の頂部のみとの接触であり、摩擦抵抗に大きな増加が生じないので、安定した移動をそのまま継続することができる。
【0031】
図4(c)に示す閉鎖用平板40Dは、図3(b)に示した閉鎖用平板40Aにおける開口部42と図4(b)に示した閉鎖用平板40Cにおける上に凸の縦リブ44の双方を備えた形態の閉鎖用平板である。図示しないが、横リブ43と縦リブ44の双方を備えた閉鎖用平板40、横リブ43と開口部42を備えた閉鎖用平板40なども用いることができる。
【0032】
図示しないが、本発明による商品等の移送装置Aにおいて、閉鎖用平板40と上部支持枠20とを一体成形したものを用いることができる。
【0033】
次に、本発明者らが行った実験結果を説明する。実験には、図6に示す移送装置であって、直径:d=6mmのローラーを、隣接するローラーの軸間距離:S=15mmで並列に配置した移送装置B1と、移送装置B1から一つおきにローラーを除去してローラーの軸間距離を2Sとした移送装置B2と、移送装置B2において隣接するローラー間の隙間を閉鎖用平板40で閉鎖した移送装置A(すなわち、図1および図2に示した本発明による移送装置A)の3つの移送装置を用いた。それぞれの移送装置A、B1、B2について、そのローラー上に同じ商品k(具体的には、円筒体のジュース缶であって底面の直径が60mmのもの)を置き、テンシロンで、ローラー上で引っ張りながら移動させて、そのときの引っ張り力を転がり摩擦抵抗として測定した。各移送装置は水平配置とし、引っ張り速度は50mm/minとした。
【0034】
それぞれについて、測定開始時での転がり摩擦抵抗Fと23000回後の転がり摩擦抵抗F1を測定し、Fに対するF1の増加率を求めた。その結果、移送装置B1では23%、移送装置B2では64%、移送装置A(本発明による移送装置)では15%であった。
【0035】
この結果から、移送装置B2のように一本置きにローラーを除去してローラーの軸間距離を2Sとした場合には、移動時に商品kの底面が接触するローラーの本数は少なくなるものの、ローラー間を移動するときの商品kの姿勢が傾斜するなどで不安定になり、ローラーに偏荷重が繰り返し作用するようになって、ローラーの転がり摩擦抵抗が大きく増加したものと考えられる。
【0036】
一方、本発明による移送装置Aの場合では、隣接するローラー間の隙間を閉鎖用平板40で閉鎖したことで、商品kの姿勢を安定させることができ、ローラーに偏荷重が作用するのを回避できることと、移動時に商品kの底面が接触するローラーの本数は少なくなることから、転がり摩擦抵抗の増加率は15%であり、従来技術の移送装置B1、すなわち商品kの底面が接触するローラーの本数が移送装置Aと比較してほぼ倍である移送装置の増加率23%よりも低くなっている。
この実験結果から、本発明による商品等の移送装置の有効性が確認できた。
【符号の説明】
【0037】
A…商品等の移送装置、
10…下部支持枠、
20…上部支持枠、
30…ローラー、
32…ローラーの回転軸、
40…閉鎖用平板。
図1
図2
図3
図4
図5
図6