(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
つぎに、本発明の実施の形態について詳しく説明する。ただし、本発明は、この実施の形態に限られるものではない。
【0017】
本発明のシール用の積層体は、金属部材と、シール用ゴム部材とが、プライマー層を介して接着されてなる。本発明においては、上記シール用ゴム部材が、下記の(A)
および(B)を含有するゴム組成物からなり、上記プライマー層が下記の(α)を含有することが最大の特徴である。
(A)エチレン−プロピレン−ジエンゴムおよびエチレン−プロピレンゴムの少なくとも一方からなるゴム成分。
(B)流動点が−40℃以下の軟化剤。
(α)アミノ基含有シランカップリング剤とビニル基含有シランカップリング剤との共重合オリゴマー。
【0018】
まず、上記シール用ゴム部材形成用のゴム組成物について説明する。
【0019】
《ゴム成分(A)》
上記ゴム成分(A)としては、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)およびエチレン−プロピレンゴム(EPM)の少なくとも一方が用いられる。なかでも、燃料電池の作動環境における耐酸性および耐水性の観点から、EPDMが好ましい。上記EPDMのジエン量(ジエン成分の重量割合)は、4〜15重量%の範囲が好ましい。
【0020】
上記EPDMのジエン成分としては、例えば、炭素数5〜20のジエン系モノマーが好ましく、具体的には、1,4−ペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,5−ジメチル−1,5−ヘキサジエン、1,4−オクタジエン、1,4−シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン(DCP)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ブチリデン−2−ノルボルネン、2−メタリル−5−ノルボルネン、2−イソプロペニル−5−ノルボルネン等があげられる。
【0021】
上記EPDMまたはEPMのエチレン含有量は、極低温下におけるシール性の向上の観点から
、好ましくは53重量%以下である。
【0022】
上記ゴム成分(A)のムーニー粘度は、100[ML(1+4)100℃]以下が好ましく、特に好ましくは60[ML(1+4)100℃]以下である。ムーニー粘度が上記範囲内であると、ゴム組成物の流動性が高くなり、塗工性が向上する。
なお、本明細書において、ムーニー粘度は、JIS K6300−1(2001)に準じて測定された値を意味する。
【0023】
本発明に使用するゴム組成物には、上記ゴム成分(A)以外に、架橋剤(有機過酸化物等)、シランカップリング剤、架橋助剤、軟化剤、補強剤、可塑剤、老化防止剤、粘着付与剤、加工助剤等の、通常のゴム組成物に用いられる各種添加剤を配合しても差し支えない。
【0024】
なお、上記ゴム成分(A)は、上記ゴム組成物の主成分であって、通常、ゴム組成物全体の過半を占める。
【0025】
《架橋剤》
上記架橋剤としては、有機過酸化物が好ましく、1時間半減期温度が130℃以下のものが好ましい。上記有機過酸化物としては、例えば、パーオキシケタール、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、130℃程度の温度で架橋しやすく、架橋剤を加えて混練したゴム組成物の取扱性にも優れるという理由から、1時間半減期温度が100℃以上のパーオキシケタールおよびパーオキシエステルの少なくとも一方が好ましく、特に好ましくは、1時間半減期温度が110℃以上のものが好適である。また、パーオキシエステルを用いると、より短時間で架橋を行うことができる。
【0026】
ここで「半減期」とは、有機過酸化物の濃度が初期値の半分になるまでの時間である。よって、「半減期温度」は、有機過酸化物の分解温度を示す指標となる。上記「1時間半減期温度」は、半減期が1時間となる温度である。つまり、1時間半減期温度が低いほど、低温で分解しやすい。1時間半減期温度が130℃以下の有機過酸化物を用いることにより、架橋をより低温(具体的には150℃以下)で、かつ短時間で行うことができる。したがって、例えば、固体高分子型燃料電池の電解質膜の近傍においても、本発明の積層体を使用することができる。
【0027】
上記パーオキシケタールとしては、例えば、n−ブチル−4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ジ(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ジ(4,4−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキシル)プロパン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン等があげられる。
【0028】
上記パーオキシエステルとしては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネートがあげられる。
【0029】
これらのうち、上記ゴム成分(A)との反応が比較的速いという理由から、1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートが好適である。なかでも、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネートを用いると、より短時間で架橋を行うことができる。
【0030】
上記架橋剤(純度100%の原体の場合)の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して0.4〜12重量部の範囲が好ましい。上記架橋剤の配合量が少なすぎると、架橋反応を充分に進行させることが困難となる傾向がみられ、上記架橋剤の配合量が多すぎると、架橋反応時に架橋密度が急激に上昇して、接着力の低下を招く傾向がみられる。
【0031】
《シランカップリング剤》
上記シランカップリング剤としては、官能基としてエポキシ基を有するものが好ましく、例えば、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等があげられる。また、揮発を防ぐために、これら化合物が結合したオリゴマーも用いられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0032】
上記シランカップリング剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して0.5〜20重量部の範囲が好ましく、特に好ましくは5〜10重量部の範囲である。上記シランカップリング剤の配合量が少なすぎると、所望の接着力を得ることが困難となる傾向がみられ、上記シランカップリング剤の配合量が多すぎると、ゴムの物性低下を招き、加工性も低下する傾向がみられる。
【0033】
《架橋助剤》
上記架橋助剤としては、例えば、マレイミド化合物、トリアリルシアヌレート(TAC)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、架橋密度や強度の向上効果が大きいという理由から、マレイミド化合物を用いることが好ましい。
【0034】
上記架橋助剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して0.1〜3重量部の範囲が好ましい。上記架橋助剤の配合量が少なすぎると、架橋反応を充分に進行させることが困難となる傾向がみられ、上記架橋助剤の配合量が多すぎると、架橋密度が大きくなり過ぎて、接着力が低下する傾向がみられる。
【0035】
《軟化剤》
上記軟化剤としては、例えば、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤、ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤、トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類、リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0036】
上記軟化剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して、通常40重量部以下である。
【0037】
上記軟化剤のなかでも、流動点が−40℃以下の軟化剤が
用いられ、例えば、ポリ−α−オレフィン、ジオクチルフタレート(DOP)、ジオクチルアジペート(DOA)、ジオクチルセバケート(DOS)、ジブチルセバケート(DBS)等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。なかでも、ゴム成分(A)との相溶性が良好で、ブリードしにくいという観点から、ポリ−α−オレフィンが好ましい。ポリ−α−オレフィンは、炭素数6〜16のα−オレフィンを重合させたものである。ポリ−α−オレフィンにおいては、分子量が小さいほど、粘度が小さく流動点も低い。
【0038】
軟化剤は、流動点が低いほど、極低温下において硬化しにくい。したがって、流動点が低いものほど、極低温下におけるゴム成分の結晶化抑制効果が大きい。
本発明で使用する軟化剤の流動点は、−40℃以下である。一方、流動点が低すぎると、燃料電池の作動時等において揮発しやすくなる。よって、軟化剤の流動点は、−80℃以上であることが望ましい。
なお、流動点の測定は、JIS K2269(1987)に準じて行えばよい。
【0039】
《補強剤》
上記補強剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ等があげられる。上記カーボンブラックのグレードは、特に限定されるものではなく、SAF級、ISAF級、HAF級、MAF級、FEF級、GPF級、SRF級、FT級、MT級等から適宜選択すればよい。
【0040】
上記補強剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して、通常10〜150重量部の範囲である。
【0041】
上記可塑剤としては、ジオクチルフタレート(DOP)等の有機酸誘導体、リン酸トリクレジル等のリン酸誘導体があげられる。
【0042】
上記可塑剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して、通常40重量部以下である。
【0043】
上記老化防止剤としては、フェノール系、イミダゾール系、ワックス等があげられる。上記老化防止剤の配合量は、上記ゴム成分(A)100重量部に対して、通常0.5〜10重量部の範囲である。
【0044】
つぎに、上記シール用ゴム部材と金属部材とを接着させるプライマー層について説明する。
《プライマー層》
上記プライマー層を形成するプライマーとしては、アミノ基含有シランカップリング剤と、ビニル基含有シランカップリング剤との共重合オリゴマー(α)を含有するものが用いられる。
【0045】
上記アミノ基含有シランカップリング剤としては、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのアミノ基含有シランカップリング剤は、これをそのままプライマー層の一成分として使用すると、皮膜形成が上手くできず、良好な接着剤を与えることができないので、ビニル基含有アルコキシシランとの共重合オリゴマーとして用いられる。
【0046】
また、上記ビニル基含有シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのビニル基含有シランカップリング剤は、水に溶け難く、油状となって分離してしまい、他の成分と混合することができない。また、そのオリゴマーも水に溶け難く、沈殿を生じてしまうため、アミノ基含有シランカップリング剤とのオリゴマーとして用いられる。
【0047】
オリゴマー化反応に際しては、アミノ基含有シランカップリング剤100重量部に対して、ビニル基含有シランカップリング剤25〜400重量部、好ましくは50〜150重量部および加水分解用の水20〜150重量部が用いられる。ビニル基含有シランカップリング剤の配合量が多すぎると、ゴムとの相溶性が悪くなって接着性が低下する傾向がみられ、ビニル基含有シランカップリング剤の配合量が少なすぎると、耐水性が低下する傾向がみられる。
【0048】
オリゴマー化反応は、上記原料(アミノ基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、加水分解用の水等)を、蒸留装置および攪拌機を有する反応器内に仕込み、約60℃で約1時間攪拌する。その後、アミノ基含有シランカップリング剤1モルに対し、ギ酸等の酸約1〜2モルを1時間以内に添加する。この際の温度は約65℃に保たれる。さらに1〜5時間攪拌し、反応を進行させると同時に、加水分解によって生成したアルコールを減圧下で蒸留する。蒸留水が水しか存在しなくなった時点で蒸留を終了させ、その後シラン濃度が30〜80重量%になるように希釈して調節することにより、共重合オリゴマー(α)を得ることができる。この共重合オリゴマー(α)は、メタノール、エタノール等のアルコール系有機溶媒に可溶な程度のオリゴマーである。なお、上記共重合オリゴマー(α)としては、市販されているものをそのまま用いることもできる。上記共重合オリゴマー(α)は、3量体以上のものが好ましい。
【0049】
上記共重合オリゴマー(α)中のアミノ基(a)とビニル基(b)との比率(重量比)は、(a)/(b)=100/200〜100/50の範囲が好ましく、特に好ましくは(a)/(b)=100/200〜100/150の範囲である。(b)がリッチであると、接着性が向上するため好ましい。なお、上記アミノ基(a)はアミノ基含有シランカップリング剤に由来するアミノ基であり、ビニル基(b)はビニル基含有シランカップリング剤に由来するビニル基である。
【0050】
上記共重合オリゴマー(α)の具体例としては、ロード・ファー・イースト社製のAP−133〔アミノ基(a)とビニル基(b)との重量比:(a)/(b)=100/186〕や、ロード・ファー・イースト社製のケムロック607〔アミノ基(a)とビニル基(b)との重量比:(a)/(b)=100/63〕等があげられる。
【0051】
なお、上記プライマーは、必要に応じて、上記共重合オリゴマー(α)濃度が約0.5〜15重量%程度になるように有機溶剤で希釈した溶液として用いられる。上記有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、2−エトキシエタノール(エチレングリコールモノエチルエーテル)等のアルコール系有機溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系有機溶剤等があげられる。
【0052】
《金属部材》
金属部材の材質としては、例えば、チタン、ステンレス、銅、マグネシウム、アルミニウム等があげられる。また、燃料電池用金属構成部材としては、金属セパレータ等が用いられる。上記金属セパレータは、チタン等が好ましく、導通信頼性の観点から、DLC膜(ダイヤモンドライクカーボン膜)やグラファイト膜等の炭素薄膜を有する金属セパレータが特に好ましい。
【0053】
つぎに、本発明の積層体の製法について説明する。
(ゴム組成物の調製)
EPDM等からなるゴム成分(A)
および軟化剤(B)と、必要に応じて有機過酸化物(架橋剤)、シランカップリング剤、架橋助剤、補強
剤等の各種添加剤を含有するゴム組成物を調製する。このゴム組成物をプレス等して、所定厚みの平板状ゴム部材(未架橋)を作製する。
【0054】
(積層体の製法)
チタン板等の金属部材上に、上記(α)を含有するプライマーを、スプレー法、浸漬法、ロールコート法等の任意の方法によって塗布し、必要により室温で乾燥した後、その表面に、上記平板状ゴム部材(未架橋)を積層し、これを所定条件(130〜170℃×3〜30分)で加硫、接着させることにより、金属部材とゴム部材(加硫ゴム)とが接着してなる積層体を作製することができる。なお、上記ゴム部材は、シール部の形状に応じて、予め所定形状に成形しておくと、煩雑な位置合わせが不要になり、連続加工がしやすく、生産性が向上するため好ましい。
【0055】
本発明の積層体における各部材の厚み等は、積層体が使用されるシール部位によって異なるが、金属部材の厚みは、通常、0.05〜5mm、好ましくは0.1〜3mmであり、シール部材の厚みは、通常、0.2〜5mm、好ましくは0.5〜3mmであり、プライマー層の厚みは、通常、1×10
-5〜0.025mm、好ましくは2×10
-5〜0.02mmである。なお、プライマー層は、2層以上の多層とすることもできるが、塗装工程を短時間化できる点から、単層が好ましい。
【0056】
本発明の積層体は、金属部材間のシール用に用いられるが、燃料電池構成用の金属部材(金属セパレータ等)間をシールするのに好適である。適用対象となる燃料電池としては、例えば、固体高分子型燃料電池(PEFC)(ダイレクトメタノール型燃料電池(DMFC)を含む)等があげられる。
【実施例】
【0057】
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」は重量基準を意味する。
【0058】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示すゴム組成物の材料を準備した。
【0059】
《ゴム成分(A):EPDM》
住友化学社製、エスプレン505(ムーニー粘度=75[ML(1+4)100℃]、エチレン量=50%、ジエン量=10%)
【0060】
《有機過酸化物:パーオキシケタール》
1,1−ジ(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン(日油社製、パーヘキサC−40、純度40%、1時間半減期温度=111.1℃)
【0061】
《シランカップリング剤》
3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM403)
【0062】
《架橋助剤》
マレイミド化合物(大内新興化学工業社製、バルノックPM)
【0063】
《補強剤》
カーボンブラック(GPF級)(キャボットジャパン社製、ショウブラックIP200)
【0064】
《軟化剤》
ポリ−α−オレフィン化合物(エクソンモービル社製、SpectranSyn 4、流動点=−60℃)
【0065】
また、プライマーとして下記の材料を準備した。
《共重合オリゴマー(α1)》
アミノ基含有シランカップリング剤とビニル基含有シランカップリング剤との共重合オリゴマー(ロード・ファー・イースト社製、AP−133)。共重合オリゴマー(α1)中のアミノ基(a)とビニル基(b)との重量比:(a)/(b)=100/186
【0066】
《共重合オリゴマー(α2)》
アミノ基含有シランカップリング剤とビニル基含有シランカップリング剤との共重合オリゴマー(ロード・ファー・イースト社製、ケムロック607)。共重合オリゴマー(α2)中のアミノ基(a)とビニル基(b)との重量比:(a)/(b)=100/63
【0067】
《シランカップリング剤(a′)》
ビニルメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM1003)
【0068】
《シランカップリング剤(b′)》
アミノエトキシシラン(信越化学工業社製、KBE903)
【0069】
〔実施例1〕
(ゴム組成物の調製)
下記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、ゴム組成物を調製した。すなわち、まず、表1中、ゴム成分(A)、補強剤および軟化剤を、バンバリーミキサーを用いて120℃で5分間混練した。混練物を冷却した後、架橋剤(有機過酸化物)、シランカップリング剤および架橋助剤を追加して、オープンロールを用いて50℃で10分間混練し、ゴム組成物を調製した。このゴム組成物をプレスして、平板状ゴム成形体(幅25mm、長さ60mm、厚み5mm)を作製した。
【0070】
(積層体の作製)
金属部材であるチタン板(幅25mm、長さ60mm、厚み2mm)の表面に、共重合オリゴマー(α)からなるプライマーを、塗布後の厚みが80nmになるよう、スプレー塗布した後、上記で作製した平板状ゴム成形体を積層し、150℃で10分間保持することによりゴムを加硫し、金属と加硫ゴムとが接着してなる積層体を作製した。
【0071】
〔実施例2〜6、比較例1〜4〕
(ゴム組成物の調製)
下記の表1および表2に示す各成分を同表に示す割合で配合し、実施例1に準じて、ゴム組成物の調製を調製した。このゴム組成物をプレスして、平板状ゴム成形体(幅25mm、長さ60mm、厚み5mm)を作製した。
【0072】
(積層体の作製)
実施例1のゴム組成物に代えて、各ゴム組成物からなる平板状ゴム成形体を使用し、実施例1で使用したプライマーに代えて、下記の表1および表2に示す各プライマーを使用した以外は、実施例1に準じて、積層体を作製した。なお、比較例4は、シランカップリング剤(a′)と、シランカップリング剤(b′)とを併用してなるプライマー〔(a′)/(b′)=50/50(重量比)〕を使用した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
このようにして得られた実施例および比較例について、下記の基準に従い、各特性の評価を行った。これらの結果を、上記表1および表2に併せて示した。
【0076】
〔接着性の評価〕
実施例および比較例の積層体を用い、JIS K6256−2(2006)に準拠した90°剥離試験を行い、接着性を評価した。すなわち、各積層体を所定の試験ジグに取り付けて、90°剥離試験を行い、初期の接着性を評価した。つぎに、上記積層体を、90℃の温水に100時間、200時間、300時間浸漬した後、初期の接着性と同様にして、温水浸漬後の接着性を評価した。
(評価基準)
◎:接着界面にゴムのみが観察された場合
○:接着界面にゴムが観察されるが、一部にプライマーまたは金属部材が観察された場合
△:接着界面にゴム、プライマー、金属部材が観察され、ゴムの割合より、プライマーまたは金属部材の割合が多く観察された場合
×:接着界面にゴムが観察されず、プライマーまたは金属部材が観察された場合
【0077】
〔引張り強さ、切断時伸びの測定〕
実施例および比較例で使用する各ゴム組成物について、JIS K6251(2004)に準拠して、引張り強さおよび切断時伸びを測定した。試験片には、ダンベル状5号形を用いた。評価は、比較例1のゴム組成物の引張り強さおよび切断時伸びを、各々基準(100)とした時の、各ゴム組成物の引張り強さおよび切断時伸びの比を指数として表示した。
引張り強さ、切断時伸びの指数については、各々、次式(I)、(II)により算出した。
引張り強さ指数=(各ゴム組成物の引張り強さ)/(比較例1のゴム組成物の引張り強さ)×100・・・(I)
切断時伸び指数=(各ゴム組成物の切断時伸び)/(比較例1のゴム組成物の切断時伸び)×100・・・(II)
【0078】
〔ムーニー粘度の測定(流動性の評価)〕
実施例および比較例で使用する各ゴム組成物(混練物)のムーニー粘度を、JIS K6300−1(2001)に準じ、試験温度80℃にて測定した。
なお、比較例1のゴム組成物(混練物)のムーニー粘度を基準(100)とした時の、各ゴム組成物の(混練物)のムーニー粘度を示した。ムーニー粘度指数については、次式(III)により算出した。ムーニー粘度指数が大きいほど、流動性が高いことを示す。
ムーニー粘度指数=(比較例1の混練物のムーニー粘度)/(各混練物のムーニー粘度)×100・・・(III)
【0079】
〔体積抵抗率の測定(絶縁性評価)〕
実施例および比較例で使用する各ゴム組成物について、JIS K6271(2008)に準拠して、体積抵抗率を測定した。測定は、直流電圧100Vを印加して行った。
【0080】
上記表1および表2の結果から、全実施例は、初期の接着性に優れるとともに、温水浸漬後の接着性にも優れていた。
【0081】
なお、実施例の各ゴム組成物中のEPDMに代えて、EPMを使用した場合も、上記EPDMを使用した場合と同様の評価結果が得られた。
【0082】
これに対して、比較例1は、プライマーを塗布していないため、初期および温水浸漬後の接着性が劣っていた。
比較例2は、プライマーにビニルメトキシシランのみを使用しているため、温水浸漬後の接着性が劣っていた。
比較例3は、プライマーにアミノエトキシシランのみを使用しているため、温水浸漬後の接着性が劣っていた。
比較例4は、ビニルメトキシシランとアミノエトキシシランとの共重合オリゴマーではなく、単に両者をブレンドしたものをプライマーに使用しているため、温水浸漬後の接着性が劣っていた。