(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
[食器用洗浄剤組成物]
本発明の食器用洗浄剤組成物は、下記一般式(1)で表される化合物(A)と、反応性不飽和基を有する炭素数3〜6のカルボン酸又はその塩(b−1)由来の構成単位、及び炭素数2〜12のオレフィン(b−2)由来の構成単位を含む共重合体(B)と、マレイン酸又はその塩由来の構成単位を含む前記(B)成分以外の重合体(C)とを含有し、前記(A)成分の含有量が0.1〜50質量%、(B)成分の含有量が0.1〜20質量%、(C)成分の含有量が0.1〜25質量%であり、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(A)成分の質量比((A)/[(B)+(C)])が0.1〜10であり、(C)成分に対する(B)成分の質量比((B)/(C))が0.1〜2.5であることから、脂質とタンパク質とが複合し、乾燥して食器に対して強固に固着した汚れについて優れた洗浄性能を示す。なお、前記食器用洗浄剤組成物は、粉末状、粒状、溶液状等のいずれの形態であってもよい。
【0014】
<(A)成分>
(A)成分は、下記一般式(1)で表される化合物である。
【0016】
(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、M
1,M
2,M
3は、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、及びアルキルアミンから選ばれる1種を示す。)
【0017】
前記一般式(1)中のRが示す炭化水素基としては、アルキル基、又はアルケニル基が好ましい。本発明において、アルキル基の炭素数は1〜12であり、1〜6が好ましく、1〜3がより好ましい。また、アルケニル基の炭素数は、2〜12であり、2〜6が好ましく、2〜3がより好ましい。炭素数が前記範囲内であれば、得られる食器用洗浄剤組成物の生分解性と洗浄力とが良好となる。
好ましいアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基等を挙げることができ、これらの中では、メチル基が好ましい。ここで「各種」とは、n−、sec−、tert−、iso−を含む各種異性体を意味する。
また、好ましいアルケニル基の具体例としては、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、2−メチル−2−プロペニル基等が挙げられる。
【0018】
前記一般式(1)中のMは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、及びアルキルアミンから選ばれる1種である。これらの中では、入手容易性の観点及び製造コスト低減の観点から、水素原子、アルカリ金属が好ましく、特にナトリウムが好ましい。
前記(A)成分は、液体、固体のいずれでもよいが、製造を効率的に行う観点、取り扱い性の観点から、固体の(A)成分を使用することが好ましい。
【0019】
前記(A)成分は、食器用洗浄剤組成物中に0.1〜50質量%含まれる。(A)成分の含有量が0.1質量%以上であると有機キレート剤としての効果を十分に得ることができ、50質量%以下であると原材料コストを抑えて効率的に製造することができる。
有機キレート剤としての効果を十分に得る観点、及びコストを抑える観点から、食器用洗浄剤組成物中の(A)成分の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、そして、35質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が更に好ましく、10質量%以下がより更に好ましく、具体的には、1〜35質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜15質量%が更に好ましく、4〜10質量%がより更に好ましい。
【0020】
<(B)成分>
本発明においては、食器用洗浄剤組成物の洗浄性能を向上させる観点から、反応性不飽和基を有する炭素数3〜6のカルボン酸又はその塩(b−1)由来の構成単位、及び炭素数2〜12のオレフィン(b−2)由来の構成単位を含む共重合体(B)を使用する。
【0021】
反応性不飽和基を有する炭素数3〜6のカルボン酸又はその塩(以下、(b−1)成分ともいう)としては、マレイン酸、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸及びシトラコン酸及びこれらの塩から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、これらの酸無水物であってもよい。前記(b−1)成分は、モノカルボン酸、ジカルボン酸のいずれでもよいが、洗浄性を向上させる観点から、ジカルボン酸の方が好ましい。
炭素数2〜12のオレフィン(以下、(b−2)成分ともいう)としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、ジイソブチレン、ペンテン、及びヘキセンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。前記オレフィンの炭素数としては、4〜12がより好ましく、6〜10が更に好ましい。
これらの中では、マレイン酸とジイソブチレンとを組み合わせた共重合体又はその塩が好ましい。
【0022】
(B)成分中、(b−2)成分に対する(b−1)成分のモル比[(b−1)成分/(b−2)成分]は、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、そして、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下が更に好ましく、具体的には、0.1〜10が好ましく、0.2〜5がより好ましく、0.3〜3が更に好ましい。
【0023】
前記(b−1)、(b−2)成分以外の構成モノマーとしては、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、スチレンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、2(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
【0024】
前記(B)成分中の(b−1)成分及び(b−2)成分の合計含有量は、90mol%以上が好ましく、95mol%以上がより好ましく、98mol%以上が更に好ましく、そして、100mol%以下が好ましい。すなわち、本発明における共重合体(B)は、実質的に(b−1)成分及び(b−2)成分のみからなる共重合体であることが好ましい。
なお、(B)成分は塩であってもよく、例えばナトリウム塩、カリウム塩、及びアンモニウム塩等が挙げられる。
【0025】
前記(B)成分の重量平均分子量は5,000以上が好ましく、7,000以上がより好ましく、8,000以上が更に好ましく、9,000以上がより更に好ましく、そして、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、20,000以下が更に好ましく、15,000以下がより更に好ましい。
なお、本明細書における(B)成分の重量平均分子量は、60mmol/Lリン酸及び50mmol/L臭化リチウムのジメチルホルムアミド溶液を展開溶媒とし、カラムはTSKgel α−Mを2本連結して、ゲルパーミェーションクロマトグラフィーでポリスチレンを標準物質として求めた値である。
【0026】
前記(B)成分の平均粒径は、10μm以上であればケーキング抑制効果があり、500μm以下であれば溶解性が向上することから、10〜500μmが好ましく、30〜400μmがより好ましく、50〜300μmが更に好ましい。
平均粒径は、JIS K 8801の標準篩(目開き2000〜45μm)を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率からメジアン径を算出できる。
より詳細には、目開き45μm、63μm、90μm、125μm、180μm、250μm、355μm、500μm、710μm、1000μm、1400μm、2000μmの12段の篩と受け皿を用いて、受け皿上に目開きの小さな篩から順に積み重ね、最上部の2000μmの篩の上から100gの粒子を添加し、蓋をしてロータップ型ふるい振とう機(HEIKO製作所製、タッピング156回/分、ローリング:290回/分)に取り付け、5分間振動させた後、それぞれの篩及び受け皿上に残留した該粒子の質量を測定し、各篩上の該粒子の質量割合(%)を算出できる。この値を対数確率紙{横軸が篩の目開き(粒子径)、縦軸が質量割合}にプロットした後、各点を結ぶ線を引き、質量割合が50質量%に対応する粒子径を平均粒径とする。
【0027】
前記(B)成分は、食器用洗浄剤組成物中に0.1〜20質量%含まれる。前記(B)成分の含有量が0.1質量%以上であると、乾燥半熟卵黄汚れに対する洗浄性が向上する。前記含有量が20質量%以下であると、(B)成分の水に対する溶解性が向上するため洗浄性能が優れたものになる。
洗浄性及び水に対する溶解性を向上させる観点から、食器用洗浄剤組成物中の(B)成分の含有量は、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、4質量%以上がより更に好ましく、そして、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましく、8質量%以下がより更に好ましく、具体的には、1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%が更に好ましく、4〜8質量%がより更に好ましい。
【0028】
<(C)成分>
前記(C)成分は、マレイン酸又はその塩由来の構成単位を含む前記(B)成分以外の重合体である。
前記(C)成分中のマレイン酸又はその塩由来の構成単位の含有量は、10mol%以上が好ましく、15mol%以上がより好ましく、20mol%以上が更に好ましい。
前記(C)成分を構成する共重合体は、マレイン酸又はその塩由来の構成単位を含む前記(B)成分以外の重合体であれば特に制限はなく、マレイン酸又はその塩由来の構成単位以外の構成単位として、(メタ)アクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、t−ブチルアクリルアミド、酢酸ビニル、スチレン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ステアリル、スチレンスルホン酸及びその塩、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びその塩、2(メタクリロイルオキシ)エタンスルホン酸及びその塩から選ばれる1種又は2種以上のモノマーに由来する構成単位を含んでいてもよい。なお、本明細書において(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を表す。
前記(C)成分としては、(メタ)アクリル酸とマレイン酸又はその塩との共重合体が好ましく、アクリル酸とマレイン酸又はその塩との共重合体がより好ましい。
【0029】
前記(C)成分は、食器用洗浄剤組成物中に0.1〜25質量%含まれる。前記(C)成分の含有量が0.1質量%以上であると、乾燥半熟卵黄汚れに対する洗浄性が向上し、前記含有量が25質量%以下であると、製造コストを低く抑えることができる。
洗浄性を向上させる観点から、食器用洗浄剤組成物中の(C)成分の含有量は、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、9質量%以上がより更に好ましく、そして、23質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、16質量%以下が更に好ましく、15質量%以下がより更に好ましく、具体的には、0.5〜23質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、3〜16質量%が更に好ましく、9〜15質量%がより更に好ましい。
【0030】
<配合比>
前記食器用洗浄剤組成物中の(B)成分及び(C)成分の合計に対する(A)成分の質量比((A)/[(B)+(C)])は、乾燥固着汚れに対する洗浄性能を向上させる観点から、0.1〜10である。
前記質量比は、0.1以上が好ましく、0.12以上がより好ましく、0.15以上が更に好ましく、油の再付着防止性能を向上させる観点から、5.0以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、0.3以下が更に好ましい。
【0031】
前記(C)成分に対する(B)成分の質量比[(B)/(C)]は、0.1〜2.5であることが好ましい。質量比[(B)/(C)]が、0.1以上であると洗浄性能が向上し、2.5以下であると洗浄性能が向上する。
質量比[(B)/(C)]は、0.1以上であり、0.2以上が好ましく、0.22以上がより好ましく、0.26以上が更に好ましく、0.3以上がより更に好ましく、そして、2.5以下であり、2.3以下が好ましく、2.0以下がより好ましく、1.8以下が更に好ましく、1.7以下がより更に好ましい。
【0032】
前記食器用洗浄剤組成物における、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計含有量は、優れた洗浄性能を得る観点から、5質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、28質量%以下が更に好ましい。
【0033】
食器用洗浄剤組成物の0.1質量%水溶液の25℃におけるpHは、洗浄力の観点から、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、9.5以上が更に好ましく、そして、洗浄剤組成物の安定性の観点から、13以下が好ましく、12以下がより好ましく、11.5以下が更に好ましい。
【0034】
<その他の成分>
食器用洗浄剤組成物においては、通常の洗浄剤に用いることができるその他の成分を配合することができる。例えば、酵素、アルカリ剤、(A)成分以外の金属イオン封鎖剤、界面活性剤、漂白剤、漂白活性化剤、吸油性粉体、増量剤又は希釈剤、バインダー、カルシウム塩や蟻酸等の酵素安定化剤、香料、防菌・防黴剤、及び色素等を挙げることができる。
【0035】
(酵素)
本発明の食器用洗浄剤組成物は、酵素を含有していることが好ましい。酵素としては、プロテアーゼ、α−アミラーゼ、リパーゼ、セルラーゼ、エステラーゼ、ペルオキシダーゼから選ばれる1種又は2種以上が好ましく、市販品として粒状化されたものを用いることができる。いずれの酵素も他成分との保存安定性等を考慮して適宜選択すればよい。これらの中では、他の界面活性剤では除去が難しい糊化したデンプンへの作用が期待されるアミラーゼが好ましい。また、界面活性剤等では除去が困難な変性タンパク質等に対して著しい効果を示すことからプロテアーゼも好ましい。
食器用洗浄剤組成物中の酵素の含有量は、0.2〜20質量%が好ましく、0.4〜14質量%がより好ましく、0.4〜10質量%が更に好ましい。
【0036】
(アルカリ剤)
アルカリ剤としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アミン化合物等を用いることができる。
アルカリ金属炭酸塩としては、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、及び炭酸水素カリウムから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。また、ソーダ灰として知られている炭酸ナトリウムの無水塩を用いてもよい。
アルカリ金属珪酸塩としては、結晶性層状珪酸ナトリウム((株)トクヤマシルテック製、商品名「プリフィード」)等を用いることができる。また、非晶質のものを用いてもよい。なおアルカリ金属珪酸塩は食器の酸化防止剤としても有効である。
アミン化合物としては、アルカノールアミンを挙げることができる。本発明では特に1級のアルカノールアミンが好ましく、具体的にはモノエタノールアミンを挙げることができる。これらアルカリ剤の中では、アルカリ金属炭酸塩が好ましい。
アルカリ剤は、粉末状、顆粒状のものを用いることができる。顆粒状のものは、造粒処理等によって粒子径や、嵩比重を適宜調整して用いることができる。
食器用洗浄剤組成物中のアルカリ剤の含有量は、0〜70質量%が好ましく、10〜60質量%がより好ましく、15〜55質量%が更に好ましい。
【0037】
(金属イオン封鎖剤)
(A)成分以外の金属イオン封鎖剤としては、トリポリリン酸ナトリウム等のリン酸塩を用いることができる。食器用洗浄剤組成物をリンを含有しないものとする場合には、(A)成分以外の金属イオン封鎖剤として、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、L−グルタミン酸二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、エチレンジアミン二コハク酸、ニトリロ三酢酸、1,3−プロパンジアミン三酢酸、1,3−ジアミノ−2−ヒドロキシプロパン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸、トリエチレンテトラアミン六酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、及びヒドロキシエチルエチレンジアミンジカルボキシメチルグルタミン酸等のポリカルボン酸又はその塩を用いることができる。
これらの中では、クエン酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、ジヒドロキシエチルグリシン、ヒドロキシエチルエチレンジアミンジカルボキシメチルグルタミン酸、及びそれらのアルカリ金属塩が好ましい。
【0038】
(界面活性剤)
界面活性剤としては、非イオン界面活性剤や陰イオン界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン界面活性剤を挙げることができる。
【0039】
本発明においては、洗浄力を更に向上させる洗浄補助成分として、一般的に自動食器洗浄機用洗浄剤として配合される漂白剤、漂白活性化剤等を配合してもよい。
(漂白剤)
漂白剤としては、モノパーオキシフタル酸マグネシウム等の有機塩酸又はその塩、アルカリ金属の過ホウ酸塩(1水和物又は4水和物)、過炭酸塩、過硫酸塩、過ケイ酸塩の水溶液中で過酸化水素を発生する過酸化物から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。これらの中では、過硫酸ナトリウム、過炭酸ナトリウム、及び過硼酸ナトリウム等の無機過酸化物がより好ましい。
【0040】
(漂白活性化剤)
本発明においては、洗浄力を更に向上させる洗浄補助成分として、一般的に自動食器洗浄機用洗浄剤として配合される漂白活性化剤を配合してもよい。
漂白活性化剤は漂白剤と併用するものであって、漂白剤から放出される過酸化水素と反応して、より酸化還元電位が高い有機過酸を生成する物質である。具体的には、テトラアセチルエチレンジアミン(TAED)、テトラアセチルメチレンジアミン(TAMD)、アルカノイルオキシベンゼンカルボン酸又はその塩や、アルカノイルオキシベンゼンスルホン酸塩、例えばn−ノナノイル又はiso−ノナノイルオキシベンゼンスルホネート(n−又はiso−NOBS)から選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
【0041】
(吸油性粉体)
吸油性粉体としては、非晶質シリカ、デキストリン等を用いることができる。
非晶質シリカの市販品としては、トクシールNR、トクシールNP(Oriental Silicas Corporation製)、フローライト(富田製薬(株)製)、TIXOLEX25(韓仏化学社製)、サイロピュア(富士シリシア(株)製)等が挙げられる。
【0042】
デキストリンとしては、各種穀物由来のデンプンを酸又はアミラーゼで加水分解して得られたものが挙げられる。加水分解の度合いや構造により種々の分解物があるが、例えば、アミロデキストリン(可溶性デンプン)、エリトロデキストリン、アクロデキストリン、マルトデキストリン、シクロデキストリン等が挙げられる。中でも、DE値(デンプンの分解率=グルコース相当質量/全固形分質量×100)が0.1〜10のものが好ましく、0.1〜5のものがより好ましい。また、冷水や温水でも急速に溶解するものが好ましく、耐アルカリ性の観点からDE値が0.1〜3のものが好ましい。
前記吸油性粉体の中では、非晶質シリカが好ましい。前記吸油性粉体は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0043】
(増量剤、希釈剤)
前記食器用洗浄剤組成物を粉末状又は粒状の洗浄剤とする場合、増量剤又は希釈剤として、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の硫酸塩等を含有させることが好ましい。増量剤又は希釈剤を配合すれば、各成分を希釈し、適度な濃度に分散させることで、使用に適した量に設計することができ、また、各成分の安定性を保持させるためにも有効である。
硫酸ナトリウムとしては、四国化成工業(株)製の「A6ボウショウ」等の市販品を用いることができる。本発明に用いることができるボウショウとしては、溶解性の観点から、粒径20μm以下ものが全体の90質量%以上を占めるものが好ましい。
なお、前記食器用洗浄剤組成物中の増量剤及び希釈剤の合計含有量は、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、そして、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。増量剤及び希釈剤の合計含有量が、1質量%以上であると各成分の安定性を向上させることが可能であり、50質量%以下であると持ち運び易い洗浄剤組成物とすることができる。
【0044】
<食器用洗浄剤組成物の形態>
前記食器用洗浄剤組成物は、粉末状の洗浄剤として使用してもよく、また、水、有機溶媒等に溶解させ溶液状の洗浄剤として使用してもよく、更に、粒状に造粒したものを洗浄剤として使用してもよい。
【0045】
溶液状の洗浄剤とする場合に使用することができる溶媒としては、水、エタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、イソプレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、フェノキシエタノール、フェニルグリコール、フェノキシイソプロパノール、ブチルジグリコール(ジエチレングリコールモノブチルエーテル)、ジブチレンジグリコール、及びベンジルアルコールから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
溶液状の洗浄剤の溶媒として用いる場合、食器用洗浄剤組成物中の溶媒の量は、組成物の安定性を向上させる観点から、3質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、安価に製造する観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
【0046】
粉末状又は粒状の洗浄剤とする場合、食器用洗浄剤組成物を混合する方法としては、前記各成分をヘンシェルミキサー(日本コークス工業(株))、ハイスピードミキサー(深江パウテック(株)製)、ナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製)、リボン型混合機((株)特寿工作所製)、V型ブレンダ((株)ダルトン製)、ベンチニーダ((株)入江商会製)等の公知の混合機を用いて混合する方法を挙げることができ、攪拌時に剪断力があまりかからないナウターミキサーを用いることが好ましい。また、前記各成分の一部ないし全てを混合した後、造粒機で共造粒しても構わない。
【0047】
造粒方法としては、押出造粒法、転動造粒法、解砕造粒法、流動層造粒法、噴霧造粒法、破砕造粒法等を挙げることができ、これらの中では押出造粒法、転動造粒法がより好ましい。
【0048】
(バインダー)
前記食器用洗浄剤組成物を造粒する場合には、造粒物の物理的強度を向上させることを目的として、非イオン界面活性剤やポリマー等のバインダーを用いてもよい。
ポリマーとしては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、及びポリオキシエチレンフェノールエーテルが好ましく、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールがより好ましい。
【0049】
バインダーとしては、前記化合物の1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。なお、ポリプロピレングリコールは、粉末状の洗浄剤組成物とした場合における消泡性を向上させる観点から、消泡剤としても用いることができる。
造粒物中にポリプロピレングリコールを含有させる場合、その含有量は1〜20質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜12質量%が更に好ましい。
造粒物中にポリエチレングリコールを含有させる場合、その含有量は、3〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましく、10〜20質量%が更に好ましい。
【0050】
粉末状の洗浄剤として使用する際のかさ比重は、製造し易さ、及び溶解性向上の観点から、0.7〜0.9g/cm
3が好ましく、0.75〜0.85g/cm
3がより好ましい。
【0051】
本発明の食器用洗浄剤組成物は、従来の食器用洗浄剤組成物に比べて洗浄性能が高いため使用量を低減することができる。また、使用量を低減することができるため、容器のコンパクト化を図ることが可能であり、包装材料の使用量を低減することができる。
また、本発明の食器用洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用の洗浄剤組成物として好適である。
【0052】
[食器の洗浄方法]
本発明の食器の洗浄方法は、前記食器用洗浄剤組成物の濃度が0.02〜0.4質量%である洗浄水を、食器に付着した被洗浄物と接触させるものである。前記洗浄水中の前記(A)、(B)及び(C)成分の合計濃度は、0.02質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.07質量%以上が更に好ましく、0.09質量%以上がより更に好ましく、そして、0.4質量%以下が好ましく、0.3質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がより好ましく、0.15質量%以下が更に好ましく、0.12質量%以下がより更に好ましい。前記濃度が下限値以上であれば洗浄力が向上し、上限値以下であれば経済性に優れる上に、容量の小さい、持ち運びに便利な洗浄剤とすることができる。
食器用洗浄剤組成物を被洗浄物と接触させる時間は、5分以上が好ましく、10分以上がより好ましく、12分以上が更に好ましく、16分以上がより更に好ましく、そして、45分以下が好ましく、35分以下がより好ましく、25分以下が更に好ましく、20分以下がより更に好ましい。前記時間が下限値以上であれば、より優れた洗浄効果を得ることができ、上限値以下であれば、より短時間で家事を完了することができる。
食器用洗浄剤組成物を被洗浄物と接触させる温度は、5℃以上が好ましく、10℃以上がより好ましく、20℃以上が更に好ましく25℃以上がより更に好ましく、そして、80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、60℃以下が更に好ましく、50℃以下が更に好ましく、40℃以下がより更に好ましい。前記温度が下限値以上であれば洗浄力が向上し、上限値以下であれば、電気、ガス等の洗浄水の加熱に要するエネルギーを節約することができる。
また、本発明の食器の洗浄方法は、下記一般式(1)で表される化合物(A)と、反応性不飽和基を有する炭素数3〜6のカルボン酸又はその塩(b−1)由来の構成単位、及び炭素数2〜12のオレフィン(b−2)由来の構成単位を含む共重合体(B)と、マレイン酸又はその塩由来の構成単位を含む前記(B)成分以外の重合体(C)とを食器に接触させる食器の洗浄方法であって、前記(A)成分の含有量が0.1〜50質量%、(B)成分の含有量が0.1〜20質量%、(C)成分の含有量が0.1〜25質量%であり、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(A)成分の質量比((A)/[(B)+(C)])が0.1〜10であり、(C)成分に対する(B)成分の質量比((B)/(C))が0.1〜2.5である食器の洗浄方法である。
【0054】
(式中、Rは炭素数1〜12の炭化水素基を示し、M
1、M
2、M
3は、それぞれ独立に水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、アルカノールアミン、及びアルキルアミンから選ばれる1種を示す。)
【実施例】
【0055】
実施例1
実施例1の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を以下の(1)〜(4)の手順にしたがって調製した。
(1)30Lナウターミキサー(ホソカワミクロン(株)製、スクリューの自転:110
r/min、スクリューの公転:4r/min)に、(A)成分、硫酸ナトリウム
、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、コハク酸、ポリエチレングリコールを混合し
て第1混合物を調製した。
(2)前記第1混合物に、ポリプロピレングリコール、香料を混合して第2混合物を調製
した。
(3)前記第2混合物に過炭酸ナトリウム、テトラアセチルエチレンジアミン、α−アミ
ラーゼ、及びプロテアーゼを混合して第3混合物を調製した。
(4)(B)成分の10質量%水溶液、及び(C)成分の10質量%水溶液をそれぞれ調
製し、これらの溶液と前記第3混合物とを混合し、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物
を調製した。
【0056】
実施例2〜7、比較例1〜3
表1に記載の割合で配合したこと以外は、実施例1と同様の手順で自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を調製した。
【0057】
<洗浄性の評価>
・試験皿の作成
以下の手順にしたがって試験皿を作成した。
(1)鶏卵(5個)を割って、卵黄取り分け器を用いて卵白を除き卵黄を取り分けた。
(2)スクリュー管(No.8)に卵黄5個分を入れて、水浴(73〜75℃)にて10
分間加熱した。
(3)水浴よりスクリュー管を取り出し、25℃にて1時間静置し、半熟卵黄を茶こしに
かき出し、裏ごしした。
(4)半熟卵黄を裏ごしし、茶こし下部より排出されたものをよくかき混ぜた後3gとり
、絵筆で陶器皿(白玉渕業務用9吋リムミート皿(直径233mm×24mm)
、有限会社鎌田商店製)に対して均一に塗布した。
(5)陶器皿に塗った半熟卵黄を25℃で一昼夜乾燥させて試験皿とした。
【0058】
・洗浄試験
前記実施例及び比較例で調製した自動食器洗浄機用洗浄剤組成物を洗浄液中の濃度が0.1質量%となるように食器洗い乾燥機(パナソニック(株)、型番「NP−TR3」(卓上タイプ))の専用洗剤入れに投入した(水道水の使用量:3L)。なお、前記濃度は、表1に記載される各成分の合計濃度であり、(B)成分、(C)成分を溶解させるために用いた水及びエタノールは自動食器洗浄機用洗浄剤組成物の濃度として計算していない。なお、エタノールは、実施例及び比較例でそれぞれ同じ量を使用した。
前記試験皿を食器洗い乾燥機の下かご右側の皿を立てる場所に、皿立て溝の1つおきに3枚立ててスピーディーコース(給水温度20℃,ミスト6分,洗い8分,すすぎ19分)にて洗浄を行った。なお、前記試験皿の汚れを付着させた面を内側に向けて立てた。3枚のうち、両端の2枚をそれぞれ評価に供した。
【0059】
・評価方法
試験皿の表面に残った乾燥半熟卵黄の量を目視により、0〜5の6段階で評価した。5人により評価を行い、平均を算出することにより評価とした。すなわち、5人の各評価者が前記2枚の皿についてそれぞれ評価を行い、平均を算出することにより評価を行った。結果を表1に示す。
(判定基準)
5:完全に洗浄されている。
4:若干汚れが残っているが、ほとんど洗浄できている(許容範囲内)。
3:大部分洗浄できているが、汚れが残っている。または、全体的に薄く残っている(許
容範囲外)。
2:少し洗浄できているが、大部分汚れが残っている。
1:ほとんど洗浄できていない。
0:全く洗浄できていない。
【0060】
なお、前記判定基準で3を超える、好ましくは4以上の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、自動食器洗浄機用洗浄剤組成物として十分な洗浄性能を有しているといえる。
【0061】
【表1】
【0062】
表に記載の化合物の詳細は以下のとおりである。なお、表中に記載された含有量の単位は質量%であり、(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の表中の含有量は、下記有効成分の量を考慮して計算した値である。また、その他の成分に関しては有効成分を考慮していない値である。
*1 :BASFジャパン(株)製、商品名「Trilon M Powder」
(メチルグリシン二酢酸三ナトリウム)、有効成分87質量%
*2 :ローム・アンド・ハース・ジャパン(株)製、商品名「Acusol 460ND」
重量平均分子量=10,000、平均粒径=134μm、有効成分92質量%
マレイン酸/ジイソブチレン=1/1(モル比)
*3 :BASFジャパン(株)製,商品名「ソカランCP45 グラニュール」
アクリル酸/マレイン酸共重合体の30質量%部分中和品
重量平均分子量=70,000
有効成分92質量%、アクリル酸/マレイン酸=7/3(モル比)
*4 :BASFジャパン(株)製,商品名「ソカランPA25CL グラニュール」
ポリアクリル酸塩、有効成分92質量%
*5 :和光純薬工業(株)製
*6 :和光純薬工業(株)製
*7 :日本パーオキサイド(株)製、型番「KCPZ」
(メタホウ酸ナトリウムで表面を被覆した過炭酸ナトリウム)
*8 :東京化成工業(株)製
*9 :(株)トクヤマシルテック製、商品名「プリフィード顆粒」
*10:ノボザイムズ ジャパン(株)製、商品名「デュラミル120T」
*11:ノボザイムズ ジャパン(株)製、商品名「サビナーゼ18T」
*12:和光純薬工業(株)製
*13:花王(株)製、商品名「K−PEG6000LA」
数平均分子量=8,500
*14:旭硝子(株)製,商品名「プレミノールS4011」、
数平均分子量=10,000
【0063】
表1の結果より、本発明の自動食器洗浄機用洗浄剤組成物は、脂質とタンパク質とが複合し、乾燥して食器に対して強固に固着している汚れに対して優れた洗浄性能を示すことがわかる。