(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の実施の形態.
<画像形成装置の構成>
図1は、本発明の第1の実施の形態における画像形成装置100の基本構成を示す図である。画像形成装置100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)およびブラック(K)のトナー像を形成する画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kを備えている。
【0013】
画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kは、後述する中間転写ベルト112の移動経路に沿って、ここでは図中左から右に一列に配列されている。画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kは、使用するトナー(現像剤)を除いて同一の構成を有しているため、ここでは画像形成ユニット102と総称して説明する。
【0014】
画像形成ユニット102は、潜像担持体としての感光体ドラム109を有している。感光体ドラム109は、表面に感光層を有する略円筒状の部材であり、図中反時計回りに回転する。
【0015】
感光体ドラム109の回転方向に沿って、感光体ドラム109の表面を一様に帯電させる帯電部材としての帯電ローラ105と、帯電ローラ105により一様に帯電した感光体ドラム109の表面を露光して静電潜像を形成する露光装置としてのLEDヘッド103と、感光体ドラム109の表面の静電潜像を現像する現像剤担持体としての現像ローラ107と、感光体ドラム109の表面に残った残留トナーを除去するクリーニング部材としてのクリーニングブレード110とが配置されている。
【0016】
また、現像ローラ107の周囲には、現像ローラ107にトナーを供給する供給部材としての供給ローラ106と、現像ローラ107の表面に形成される現像剤層の厚さを規制する現像剤規制部材としての現像ブレード108とが配置されている。また、画像形成ユニット102の上部には、現像剤補給部としてのトナー収容ボックス104が着脱可能に取り付けられている。
【0017】
画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kの各感光体ドラム109の下側に対向するように、一次転写部材としての転写ローラ111Y,111M,111C,111Kが配置されている。
【0018】
各感光体ドラム109と転写ローラ111Y,111M,111C,111Kとの間を通過するように、中間転写体としての中間転写ベルト112が設けられている。転写ローラ111Y,111M,111C,111Kには、一次転写バイアス電圧が印加されるようになっており、各感光体ドラム109の表面に形成されたトナー像(現像剤像)を中間転写ベルト112の表面に転写する。
【0019】
中間転写ベルト112は、無端状ベルトであり、転写ローラ111Y,111M,111C,111Kと、中間転写ベルト駆動ローラ113と、中間転写ベルト従動ローラ114,115,116と、二次転写バックアップローラ117とに張架されている。
【0020】
また、中間転写ベルト112を介して二次転写バックアップローラ117に対向する位置に、二次転写部材としての二次転写ローラ133が配置されている。二次転写ローラ133には、二次転写バイアス電圧が印加されるようになっており、中間転写ベルト112の表面のトナー像を、後述するように媒体Pに転写する。二次転写ローラ133と二次転写バックアップローラ117により、二次転写部が形成される。
【0021】
中間転写ベルト112の表面には、中間転写ベルトクリーニングブレード118が当接している。中間転写ベルトクリーニングブレード118は、中間転写ベルト112に付着したトナーを掻き落として清掃するものである。また、中間転写ベルトクリーニングブレード118によって掻き落とされた廃トナーを収容するため、廃トナーボックス119が設けられている。
【0022】
画像形成装置100の下部には、媒体収容部としての媒体トレイ120が着脱可能に取り付けられている。媒体トレイ120には、例えば印刷用紙等の複数の媒体Pが、積載状態で収納されている。
【0023】
媒体トレイ120に積載された一番上の媒体Pに接する位置に、繰出し手段としてのピックアップローラ121が配置されている。ピックアップローラ121は、媒体Pを媒体トレイ120から繰出すものである。
【0024】
ピックアップローラ121に隣接して、給送手段としてのフィードローラ122と、分離手段としての分離ローラ123とが配置されている。フィードローラ122は、ピックアップローラ121により繰出された媒体Pを、媒体トレイ120から第1の搬送路125に給送する。分離ローラ123は、フィードローラ122の裏側から搬送方向とは逆向きの力を媒体Pに加えて、媒体Pを1枚ずつに分離する。
【0025】
第1の搬送路125に沿って、媒体Pの有無を検知する第1の搬送センサ124と、第2の搬送センサ126とが配置されている。第1の搬送センサ124は、例えば、媒体Pが第1の搬送センサ124の位置にあるときにON信号を出力し、無いときにOFF信号を出力する。出力がOFF信号からON信号に変化すると、媒体Pの先端が第1の搬送センサ124を通過したことが分かる。逆に、出力がON信号からOFF信号に変化すると、媒体Pの後端が第1の搬送センサ124を通過したことが分かる。第2の搬送センサ126も同様である。但し、搬送センサ124,126は、このような構成に限らず、種々のセンサおよび検知方式を用いることができる。
【0026】
媒体Pの搬送方向に沿って第2の搬送センサ126の下流側には、ローラ対としてのレジストローラ対127が配置されている。レジストローラ対127は、媒体Pが第2の搬送センサ126を通過してから所定のタイミングで回転を開始する。レジストローラ対127が停止している状態で媒体Pをニップ部に押し当ててスキューを補正し、その後、レジストローラ対127が回転して媒体Pを第2の搬送路129に搬送する。
【0027】
第2の搬送路129に沿って、媒体Pを二次転写部(二次転写ローラ133と二次転写バックアップローラ117)に搬送する搬送手段としての搬送ローラ対128,131が配置されている。搬送ローラ対128は媒体Pの搬送方向上流側に、搬送ローラ対131は媒体Pの搬送方向下流側に配置されている。
【0028】
搬送ローラ対131の上流側には第3の搬送センサ130が配置され、下流側には第4の搬送センサ132が配置されている。第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132は、第1の搬送センサ124および第2の搬送センサ126と同様、媒体Pの先端および後端の通過を検知することができる。第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132は、媒体Pの書き出し位置調整(後述)および二次転写バイアス電圧の印加のタイミングを決定するために用いられる。
【0029】
媒体Pの搬送方向に沿って二次転写部(二次転写ローラ133と二次転写バックアップローラ117)の下流側には、定着手段としての定着ユニット135が配置されている。定着ユニット135は、熱定着部材としての上下一対の定着ローラ136,137を有しており、トナー像が転写された媒体Pを加熱および加圧して、トナー像を媒体Pに定着する。
【0030】
定着ユニット135のさらに下流側には、排出ローラ対139,140が配置されている。排出ローラ対139,140は、定着ユニット135を通過した媒体Pを、第3の搬送路138に沿って搬送し、画像形成装置100の外部に排出する。画像形成装置100の上部には、排出された媒体Pを積載するための排出トレイ141が設けられており、媒体Pはフェイスダウンで排出トレイ141に載置される。
【0031】
図1には、駆動源としてのモータ(M)142,143,144,145,146,147、および、各モータからの駆動力伝達を接続および遮断するクラッチ(CL)148,149が模式的に示されている。各モータ142〜147およびクラッチ148,149は、画像形成装置100の各構成要素の配置を考慮して、それぞれ望ましい位置に配置することができる。
【0032】
フィードモータ142は、ピックアップローラ121、フィードローラ122およびレジストローラ対127を回転させる駆動力を発生する。フィードモータ142からピックアップローラ121とフィードローラ122への駆動力伝達は、フィードクラッチ148によって接続/遮断される。レジストローラ対127への駆動力伝達は、レジストクラッチ149によって接続/遮断される。
【0033】
搬送モータ143は、搬送ローラ対128,131を回転させる駆動力を発生する。定着・排出モータ144は、定着ユニット135の下側の定着ローラ137および排出ローラ対139,140を回転させる駆動力を発生する。中間転写ベルトモータ145は、中間転写ベルト112を走行させる中間転写ベルト駆動ローラ113の駆動力を発生する駆動源である。
【0034】
感光体ドラム駆動モータ146は、ブラック(K)の画像形成ユニット102Kの感光体ドラム109を回転させる駆動力を発生する。感光体ドラム駆動モータ147は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)およびシアン(C)の画像形成ユニット102Y,102M,102Cの感光体ドラム109を回転させる駆動力を発生する。
【0035】
<画像形成装置の制御系>
図2は、第1の実施の形態における画像形成装置100の制御系を示すブロック図である。
図2において、画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kが有する同一構成の部分は、4段重ねのブロックで示されている。
【0036】
画像形成装置100の制御部は、ホストインターフェース部201、コマンド/画像処理部202、LEDヘッドインターフェース部203およびプリンタエンジン制御部204を有する。プリンタエンジン制御部204は、給送・搬送制御部(媒体給送制御部)205と、LEDヘッド制御部206と、モータ制御部207と、プロセスバイアス制御部208と、定着制御部217とを有する。
【0037】
ホストインターフェース部201は、外部のコンピュータ等から送信されたコマンドや画像データを受信し、コマンド/画像処理部202に送信する。コマンド/画像処理部202は、LEDヘッドインターフェース部203に画像データを出力し、また、プリンタエンジン制御部204にコマンドを出力する。
【0038】
LEDヘッドインターフェース部203は、プリンタエンジン制御部204内のLEDヘッド制御部206(後述)によって生成されたヘッド駆動パルス等の入力を受け、LEDヘッド103を発光させる。
【0039】
プリンタエンジン制御部204のLEDヘッド制御部206は、コマンド/画像処理部202から出力された画像データに基づき、LEDヘッド103を発光させるためのヘッド駆動パルスを生成し、LEDヘッドインターフェース部203に出力する。LEDヘッド制御部206は、また、LEDヘッド103の発光による露光部分に形成されるトナー像の搬送距離と速度に基づくLEDヘッド103の発光のタイミングと、媒体Pの搬送とを同期させるための画像出力同期信号も生成する。
【0040】
モータ制御部207は、フィードモータ142、搬送モータ143、定着・排出モータ144、中間転写ベルトモータ145、および感光体ドラム駆動モータ146,147を駆動するための駆動パルスを生成する。
【0041】
給送・搬送制御部205は、第1の搬送センサ124、第2の搬送センサ126、第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132からの検知信号、およびLEDヘッド制御部206で生成された画像出力同期信号に基づいて、モータ制御部207で生成する駆動パルスにより、媒体Pを媒体トレイ120から給送し、また搬送路125,129,138に沿って搬送する制御を行う。
【0042】
定着制御部217は、定着ユニット135に設けられたサーミスタ209による温度検知値に基づいて、定着ローラ136,137に内蔵されたヒータ210に電流を流して発熱させ、定着ユニット135を所定の温度に制御する。
【0043】
プロセスバイアス制御部208は、帯電バイアス生成部212、現像/供給バイアス生成部213、一次転写バイアス生成部214、二次転写バイアス
生成部215およびバックアップバイアス
生成部216に、各バイアス電圧の目標出力値に基づく制御信号を出力する。
【0044】
帯電バイアス生成部212は、画像形成ユニット102の帯電ローラ105に、帯電バイアス電圧を印加する。現像/供給バイアス生成部213は、画像形成ユニット102の現像ローラ107および供給ローラ106に、現像バイアス電圧および供給バイアス電圧をそれぞれ印加する。
【0045】
一次転写バイアス生成部214は、一次転写ローラ111(111Y,111M,111C,111K)に一次転写バイアス電圧を印加する。二次転写バイアス生成部215は、二次転写ローラ133に二次転写バイアス電圧を印加する。バックアップバイアス生成部216は、二次転写バックアップローラ117にバックアップバイアス電圧を印加する。
【0046】
なお、上述した各バイアス生成部212,213,213,214,216は、プロセスバイアスユニット211を構成している。
【0047】
図3は、第1の実施の形態における画像形成装置100の制御系のうち、媒体Pを搬送路129に給送して二次転写部まで搬送する制御(給送・搬送制御)を司る部分を示すブロック図である。
図3では、給送・搬送制御に直接関係のない部分(例えば、定着・排出モータ144および感光体ドラム駆動モータ146,147の駆動制御部分)は省略している。
【0048】
プリンタエンジン制御部204のモータ制御部207は、フィードモータ142の駆動を制御するフィードモータ制御部301と、搬送モータ143の駆動を制御する搬送モータ制御部302と、中間転写ベルトモータ145の駆動を制御する中間
転写ベルトモータ制御部303とを有している。
【0049】
モータ制御部207は、さらに、定着・排出モータ144の駆動を制御する制御部、および感光体ドラム駆動モータ146,147の駆動を制御する制御部も備えているが、これらについては図示および説明を省略する。
【0050】
給送・搬送制御部205には、第1の搬送センサ124、第2の搬送センサ126、第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132から、それぞれ搬送信号S401,S402,S403,S404が入力される。搬送信号S401,S402,S403,S404は、第1の搬送センサ124、第2の搬送センサ126、第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132の各地点での、媒体Pの有無を示す信号である。
【0051】
給送・搬送制御部205は、フィードモータ制御部301にON/OFF信号S405および加速/減速信号S406を出力し、搬送モータ制御部302にON/OFF信号S408および加速/減速信号S409を出力し、中間転写ベルトモータ制御部303にON/OFF信号S411および加速/減速信号S412を出力する。
【0052】
フィードモータ制御部301は、ON/OFF信号S405および加速/減速信号S406に基づき、フィードモータ駆動パルスS407を出力する。フィードモータ駆動パルスS407は、フィードモータ駆動パルスカウンタ304に出力されると共に、フィードモータ142の駆動回路142Dにも出力される。フィードモータ駆動パルスカウンタ304は、フィードモータ駆動パルスS407のパルス数をカウントし、給送・搬送制御における各種タイミングの生成に利用する。駆動回路142Dは、フィードモータ142にドライブ出力S417を出力し、フィードモータ142を駆動する。
【0053】
搬送モータ制御部302は、ON/OFF信号S408および加速/減速信号S409に基づき、搬送モータ駆動パルスS410を出力する。搬送モータ駆動パルスS410は、搬送モータ駆動パルスカウンタ305に出力されると共に、搬送モータ143の駆動回路143Dにも出力される。搬送モータ駆動パルスカウンタ305は、搬送モータ駆動パルスS410のパルス数をカウントし、給送・搬送制御における各種タイミングの生成に利用する。駆動回路143Dは、搬送モータ143にドライブ出力S418を出力し、搬送モータ143を駆動する。
【0054】
中間転写ベルトモータ制御部303は、ON/OFF信号S411および加速/減速信号S412に基づき、中間転写ベルト
モータ駆動パルスS413を出力する。中間転写ベルト
モータ駆動パルスS413は、中間転写ベルトモータ駆動パルスカウンタ306に出力されると共に、中間転写ベルトモータ145の駆動回路145Dにも出力される。中間転写ベルトモータ駆動パルスカウンタ306は、中間転写ベルト
モータ駆動パルスS413のパルス数をカウントし、給送・給送制御における各種タイミングの生成に利用する。駆動回路145Dは、中間転写ベルトモータ145にドライブ出力S419を出力し、中間転写ベルトモータ145を駆動する。
【0055】
給送・搬送制御部205は、また、フィードクラッチ148にON/OFF信号S414を出力し、レジストクラッチ149にON/OFF信号S415を出力する。フィードクラッチ148は、ON/OFF信号S414を受けて動作し、ピックアップローラ121およびフィードローラ122への駆動力伝達の接続/遮断を切り替える。レジストクラッチ149は、ON/OFF信号S415を受けて動作し、レジストローラ対127への駆動力の伝達/遮断を切り替える。
【0056】
給送・搬送制御部205には、また、LEDヘッド制御部206から、画像同期信号S416が入力される。この画像同期信号S416は、LEDヘッド103の駆動(点灯)制御で使用するものであるが、トナー像と媒体Pとの位置を合わせるため、LEDヘッド制御部206から給送・搬送制御部205にも出力される。給送・搬送制御部205には、コマンド/画像処理部202から、媒体Pのサイズ情報S420が入力される。
【0057】
上記の画像形成装置100において、媒体トレイ120の媒体Pを搬送路125に給送するための構成部分、すなわち、ピックアップローラ121、フィードローラ122、分離ローラ123、第1の搬送センサ124、レジストローラ対127、第2の搬送センサ126、フィードモータ142、および給送・搬送制御部205を含む構成部分を、「媒体給送装置」と称する。
【0058】
<画像形成装置の動作>
次に、第1の実施の形態における画像形成装置100の基本動作について、
図1〜
図3を参照して説明する。画像形成装置100の電源が投入されると、プリンタエンジン制御部204の定着制御部217は、定着ユニット135のサーミスタ209から出力された温度検知値に基づいてヒータ210に電流を流し、定着ローラ136,137を所定の温度とする。
【0059】
また、画像形成装置100には、コンピュータ等の図示しない外部機器から、ホストインターフェース部201(
図2)を介してPDL(Page Description Language:ページ記述言語)等で記述された印刷データが入力される。入力された印刷データは、コマンド/画像処理部202においてビットマップデータに変換され、プリンタエンジン制御部204に出力される。これにより印刷動作が開始される。
【0060】
プリンタエンジン制御部204の給送・給送制御部205は、モータ制御部207を介して、中間転写ベルトモータ145および感光体ドラム駆動モータ146,147を駆動する。これにより、中間転写ベルト112と、各画像形成
ユニット102における感光体ドラム109、帯電ローラ105、現像ローラ107および供給ローラ106が回転する。給送・給送制御部205は、さらに定着・排出モータ144も駆動し、これにより定着ローラ136,137および排出ローラ対139,140が回転する。
【0061】
さらに、画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kのそれぞれにおいて、電子写真プロセスによるトナー像の形成が行われる。すなわち、プロセスバイアス制御部208が、帯電電圧バイアス生成部212から帯電ローラ105に帯電バイアス電圧を印加し、帯電ローラ105により感光体ドラム109の表面を一様に帯電させる。次に、LEDヘッド制御部206が、上記のビットマップデータに基づきヘッド駆動パルスを生成してLEDヘッド103を駆動し、感光体ドラム109の表面を露光して静電潜像を形成する。
【0062】
また、プロセスバイアス制御部208は、現像/供給バイアス生成部213から現像ローラ107および供給ローラ106にバイアス電圧を印加し、現像ローラ107の表面にトナーを供給され、そのトナーにより感光体ドラム109上の静電潜像を現像する。すなわち、感光体ドラム109上にトナー像が形成される。
【0063】
プロセスバイアス制御部208は、さらに、一次転写バイアス生成部214から一次転写ローラ111に一次転写バイアス電圧を印加し、感光体ドラム109上のトナー像を中間転写ベルト112に転写する。これにより、画像形成ユニット102Y,102M,102C,102Kの各感光体ドラム109上に形成された各色のトナー像が、中間転写ベルト112に転写される。
【0064】
給送・搬送制御部205は、上述した中間転写ベルトモータ145および感光体ドラム駆動モータ146,147の駆動開始と同時に、フィードモータ142および搬送モータ143の駆動も開始するが、この時点ではフィードクラッチ148およびレジストクラッチ149をOFF(切断)としている。そして、給送・搬送制御部205は、各画像形成ユニット102においてLEDヘッド103の発光(トナー像の形成)が開始された後、所定のタイミングでフィードクラッチ148をON(接続)する。
【0065】
フィードクラッチ148のONに伴い、フィードモータ142の駆動力により、ピックアップローラ121およびフィードローラ122が回転する。ピックアップローラ121の回転により媒体Pが媒体トレイ120から繰り出され、さらにフィードローラ122によって第1の搬送路125に給送される。第1の搬送路125に給送された媒体Pは、レジストローラ対127のニップ部に突き当てられる。
【0066】
給送・搬送制御部205は、第2の搬送センサ126が媒体Pの先端を検知したタイミングを基準として、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407をカウントし、所定のカウント数C2に達した時点でフィードクラッチ148をOFFし、レジストクラッチ149をONする。これにより、フィードモータ142が回転を停止し、レジストローラ対127が回転を開始する。
【0067】
カウント数C2は、第2の搬送センサ126からレジストローラ対127までの距離(mm)と、レジストローラ対127に対する媒体Pの突き当て量(mm)と、1パルス当たりのフィードローラ122の送り量(mm/パルス)とによって決められる。これにより、媒体Pがレジストローラ対127のニップ部に押し当てられ、以降はスキューが矯正された状態で、レジストローラ対127によって搬送されることとなる。
【0068】
さらに、給送・搬送制御部205は、第2の搬送センサ126が媒体Pの後端を検知したタイミングを基準として、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410をカウントし、所定のカウント数C2’に達した時点でレジストクラッチ149をOFFする。
【0069】
カウント数C2’は、第2の搬送センサ126からレジストローラ対127までの距離(mm)と、1パルス当たりのフィードローラ122の送り量(mm/パルス)とによって決められる。すなわち、媒体Pの後端がレジストローラ対127を通過した後は、次の媒体Pのスキュー矯正のために、レジストローラ対127の回転を停止させる。
【0070】
また、上記の通り搬送モータ143は既に回転しているため、レジストローラ対127を通過した媒体Pは、搬送ローラ対128,131によって第2の搬送路129に沿って搬送される。
【0071】
なお、ここまでの過程では、フィードモータ142、搬送モータ143、中間転写ベルトモータ145、感光体ドラム駆動モータ146,147の駆動速度は、媒体Pを所定の速度で搬送する「プロセス速度Vp」に設定されている。このプロセス速度Vpは、トナー像を媒体Pに転写する際に媒体Pを搬送する速度であり、また中間転写ベルト112を移動させる速度でもある。これに対し、後述する調整速度Vcは、二次転写部における書き出し位置の調整のために、プロセス速度Vpから減速する速度である。
【0072】
なお、本明細書では、モータの駆動速度(回転数)を、媒体Pの搬送速度(mm/s)に換算して説明する。
【0073】
媒体Pが第2の搬送路129に沿って搬送されている間に、給送・搬送制御部205は、第3の搬送センサ130および第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知したタイミングを基準として、二次転写部における書き出し位置(トナー像の媒体Pへの書き出し位置)の調整を行う。
【0074】
以下では、二次転写部における書き出し位置の調整について説明する。
図4(A)は、二次転写部における書き出し位置の調整を説明するための模式図である。感光体ドラム109の表面に形成されたトナー像は、中間転写ベルト112に転写されて二次転写部に向かう。媒体Pは、第3の搬送センサ130に到達する時点で、既にトナー像に対してある程度先行するように搬送されている。媒体Pをトナー像に対して先行させる距離は、フィードクラッチ148のONタイミングで調整しても良いし、突き当て処理後のレジストクラッチ149のONタイミングで調整しても良い。
【0075】
媒体Pをトナー像に対して先行させる距離が短過ぎると調整距離(後述)が短くなり、逆に長過ぎると、媒体Pとトナー像との位置合わせ精度が低下する可能性があるため、媒体Pを先行させる距離は20〜30mm程度が望ましい。
【0076】
給送・搬送制御部205は、第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知してから、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410をカウントし、所定のカウント数C3に達した時点で、搬送モータ143をプロセス速度Vpから調整速度Vcに減速する。
【0077】
その後、第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知してから、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410をカウントし、カウント数C4に達した時点で、搬送モータ143を調整速度Vcから加速し、プロセス速度Vpに戻す。このときの搬送モータ143の速度変化を、
図4(B)に示す。
【0078】
なお、搬送モータ143が減速・加速するときは、これと同期してフィードモータ142も減速・加速する。一方、中間転写ベルトモータ145および感光体ドラム駆動モータ146,147は、減速・加速せず、一定のプロセス速度Vpで駆動されている。
【0079】
搬送モータ143の減速を開始するタイミングを決定するカウント数C3と、加速を開始するタイミングを決定するカウント数C4は、それぞれ以下のように決定する。
【0080】
まず、
図4(A)に示すように、最上流側の画像形成ユニット102Yの感光体ドラム109上の露光位置から二次転写ローラ133までの距離(mm)を、Limgとする。また、第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知した時点で、トナー像が感光体ドラム109上の露光位置から進んだ距離(mm)をDimgとする。第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知した時点で、トナー像が感光体ドラム109上の露光位置から進んだ距離(mm)をDimg2とする。
【0081】
なお、Dimgは、LEDヘッド103の発光開始(すなわち画像同期信号S416の出力)から、第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知するまでの間に、中間転写ベルトモータ駆動パルスカウンタ306がカウントする中間転写ベルトモータ
駆動パルスS413と、1パルスあたりの中間転写ベルト112の送り量(mm/パルス)から求められる。Dimg2は、LEDヘッド103の発光開始から、第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知するまでの間に、中間転写ベルトモータ駆動パルスカウンタ306がカウントする中間転写ベルトモータ
駆動パルスS413と、1パルスあたりの中間転写ベルト112の送り量(mm/パルス)から求められる。
【0082】
また、第3の搬送センサ130から、加速を開始するときの媒体Pの先端位置(加速開始位置)までの距離(mm)をD1とし、加速開始位置から二次転写ローラ133までの距離(mm)をD2とする。第4の搬送センサ132から二次転写ローラ133までの距離(mm)をD3とし、第3の搬送センサ130から第4の搬送センサ132までの距離(mm)をD4とする。
【0083】
また、
図4(B)に示すように、搬送モータ143の減速距離(mm)をDdecとし、減速時間(s)をTdecとする。また、搬送モータ143加速距離(mm)をDaccとし、加速時間(s)をTaccとする。搬送モータ143の1パルス当たりの送り量(mm/パルス)をPfとする。
【0084】
さらに、第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知してから搬送モータ143の減速を開始するまでの間に、媒体Pが進む距離(mm)をXとする。第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知してから搬送モータ143の加速を開始するまでの間に、媒体Pが進む距離(mm)をYとする。
【0085】
第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知してから、トナー像が二次転写ローラ133に到達するまでの時間と、媒体Pが二次転写ローラ133に到達するまでの時間とが同じになるという関係から、以下の(1)式が得られる。
【0087】
(1)式の左辺は、媒体Pの先端が第3の搬送センサ130を通過してから、中間転写ベルト112上のトナー像が二次転写ローラ133に到達するまでの時間である。すなわち、トナー像が進む距離(Limg−Dimg)をプロセス速度Vpで除算したものである。
【0088】
(1)式の右辺は、媒体Pの先端が第3の搬送センサ130通過してから、媒体Pが二次転写ローラ133に到達するまでの時間である。より具体的には、右辺の第1項は、媒体Pの先端が第3の搬送センサ130を通過してから、搬送モータ143の減速を開始する減速開始位置まで媒体Pが進む時間である。右辺の第2項は、プロセス速度Vpから調整速度Vcへの減速に要する時間である。右辺の第3項は、調整速度Vcに減速してから、搬送モータ143の加速を開始する加速開始位置まで媒体Pが進む時間である。右辺の第4項は、調整速度Vcからプロセス速度Vpへの加速に要する時間である。右辺の第5項は、プロセス速度Vpに戻ってから、媒体Pの先端が二次転写ローラ133に到達するまでの時間である。
【0089】
また、第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知してから、トナー像が二次転写ローラ133に到達するまでの時間と、媒体Pが二次転写ローラ133に到達するまでの時間とが同じになるという関係から、以下の(2)式が得られる。
【0091】
(2)式の左辺は、媒体Pの先端が第4の搬送センサ132を通過してから、中間転写ベルト112上のトナー像が二次転写ローラ133に到達するまでの時間である。すなわち、トナー像が進む距離(Limg−Dimg2)をプロセス速度Vpで除算したものである。
【0092】
(2)式の右辺は、媒体Pが第4の搬送センサ132を通過してから、媒体Pが二次転写ローラ133に到達するまでの時間である。すなわち、右辺の第1項は、媒体Pの先端が第4の搬送センサ132を通過してから、搬送モータ143の減速を開始する減速開始位置まで媒体Pが進む時間である。右辺の第2項は、プロセス速度Vpから調整速度Vcへの減速に要する時間である。右辺の第3項は、調整速度Vcに減速してから、搬送モータ143の加速を開始する位置まで媒体Pが進む時間である。右辺の第4項は、調整速度Vcからプロセス速度Vpへの加速に要する時間である。右辺の第5項は、プロセス速度Vpに戻ってから、媒体Pの先端が二次転写ローラ133まで進む時間である。
【0093】
(1)式と(2)式をX,Yについて解くと、以下の(3)式と(4)式が得られる。なお、int関数は、小数点以下を切り捨てて整数にするものである。
【0095】
ここで、A1,A2,A3は、以下の通りである。
【数5】
【数6】
【数7】
【0096】
給送・搬送制御部205は、(3)式と(4)式から得られたカウント数C3,C4に基づき、
図4(B)に示すように搬送モータ143の駆動速度を制御する。すなわち、第3の搬送センサ130が媒体Pの先端を検知してから、搬送モータ駆動パルスS410のカウント数がC3に達すると、搬送モータ143をプロセス速度Vpから調整速度Vcに減速する。その後、第4の搬送センサ132が媒体Pの先端を検知してから、搬送モータ駆動パルスS410のカウント数がC4に達すると、搬送モータ143を調整速度Vcからプロセス速度Vpに加速する。
【0097】
これにより、搬送される媒体Pの先端と、中間転写ベルト112上のトナー像の先端とを、二次転写部(二次転写ローラ133および二次転写バックアップローラ117)において位置合わせすることができる。なお、搬送モータ143のプロセス速度Vpから調整速度Vcへの減速、調整速度Vcでの運転、および調整速度Vcからプロセス速度Vpへの加速の過程で媒体Pが進む距離を、調整距離(
図4(B)に斜線で示す部分)と称する。この調整距離は、媒体Pの先端と中間転写ベルト112上のトナー像の先端との位置合わせ(すなわち書き出し位置調整)のために必要な距離である。
【0098】
第4の搬送センサ132での媒体Pの先端検知を基準として所定のタイミングで、プロセスバイアス制御部208は、二次転写バイアス生成部215から二次転写ローラ133に二次転写バイアス電圧を印加する。媒体Pが二次転写ローラ133を通過する際には、二次転写バイアス電圧により、トナー像が中間転写ベルト112の表面から媒体Pの表面に転写される。なお、二次転写ローラ133上に媒体Pがないときに、二次転写バックアップローラ117にバックアップバイアス電圧を印加することにより、画像形成ユニット102から漏れ出た微量のトナー(いわゆる、かぶりトナー)を中間転写ベルト112側に引き付け、二次転写ローラ133に付着しないようにする。
【0099】
プロセスバイアス制御部208は、第4の搬送センサ132が媒体Pの後端を検知したのち、所定のタイミングで二次転写バイアス電圧の印加を停止する。
【0100】
二次転写部(二次転写ローラ133および二次転写バックアップローラ117)を通過した媒体Pは、定着ユニット135に到達する。上記の通り、定着ユニット135のヒータ210は所定温度に加熱されており、定着ローラ136,137は回転している。媒体Pは、定着ローラ136,137のニップ部を通過して加熱および加圧され、トナー像が媒体Pの表面に定着する。定着ユニット135を通過した媒体Pは、既に回転している排出ローラ対139,140により搬送され、排出トレイ141に排出される。
【0101】
次の媒体Pの給送は、第1の搬送センサ124が前の媒体P(先に給送した媒体)の後端を検知したタイミングに基づいて開始される。ここでは、前の媒体Pの後端と、次の媒体Pの先端との間隔(媒体間隔)が、トナー像の形成間隔よりも短い距離となるようなタイミングで、次の媒体Pを給送する(具体的には、フィードクラッチ148を接続する)。これにより、媒体Pの先端をトナー像の先端よりも先行するようにして、二次転写部での書き出し位置の調整距離(
図4(B))を確保する。
【0102】
<媒体の間隔制御>
ここで、媒体トレイ120から順次給送される媒体Pの間隔の制御について説明する。
図5は、正常動作時の媒体給送制御の動作タイミングを示すタイミングチャートである。正常動作時(すなわち、後述する「連れ重送」が発生していない場合)には、給送・給送制御部205は、第1の
搬送センサ124が前の媒体P(N−1)の後端を検知すると、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407のカウントを開始し、カウント数がC1に達すると、フィードクラッチ148を接続(ON)し、フィードローラ122を回転させて次の媒体P(N)を給送する。すなわち、前の媒体P(N)の後端と次の媒体P(N−1)の先端との間には、カウント数C1に対応する間隔が確保される。
【0103】
また、上述したように、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の先端を検知すると、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407のカウントを開始し、カウント数C2に達すると、フィードクラッチ148をOFFしてフィードローラ122の回転を停止し、同時にレジストクラッチ149を接続(ON)してレジストローラ対127の回転を開始する(これにより、媒体P(N)はレジストローラ対127により搬送される)。
【0104】
そして、第2の搬送センサ126が媒体P(N)の後端を検知すると、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410のカウントを開始し、カウント数C2’に達すると、レジストクラッチ149を切断(OFF)してレジストローラ対127の回転を停止する。これにより、媒体P(N)は搬送ローラ対128,131により搬送される。
【0105】
給送・搬送制御部205は、第3の搬送センサ130が媒体P(N)の先端を検知すると、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410をカウントし、カウント数がC3に達すると、搬送モータ143の速度をプロセス速度Vpから調整速度Vcに減速する。さらに、第4の搬送センサ132が媒体P(N)の先端を検知すると、搬送モータ駆動パルスカウンタ305により搬送モータ駆動パルスS410をカウントし、カウント数がC4に達すると、搬送モータ143の速度をプロセス速度Vpに加速する。以降の処理は、上述した通りである。
【0106】
ここで、
図6に模式的に示すように、フィードローラ122および分離ローラ123により、媒体トレイ120の媒体Pが重なり合って給送される場合がある。
【0107】
分離ローラ123は、フィードローラ122から媒体Pが1枚だけ給送された場合(或いは媒体Pがない場合)には、フィードローラ122に従動して搬送方向に回転するが、2枚の媒体Pが重なり合った状態で給送された場合は、重なり合っている2枚のうちの下側の媒体Pに搬送方向と逆方向に力を加えるように構成されている。そのため、通常、媒体Pは一枚ずつ給送される。
【0108】
しかしながら、媒体トレイ120に積載されている媒体P間に強い静電気力が発生した場合など、分離ローラ123で2枚の媒体Pを分離しきれない場合がある。このような場合には、媒体P(N−1)を給送しているときに、次の媒体P(N)が分離ローラ123からせり出すことがある。この現象を「連れ重送」という。
【0109】
このように次の媒体P(N)が分離ローラ123からせり出すと、第1の搬送センサ124がONのままとなり、前の媒体P(N−1)の後端を検知することができない。そのため、正常動作時(
図5)のように第1の搬送センサ124が媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて、次の媒体P(N)の給送を開始する(すなわちフィードクラッチ148をONする)ことができない。
【0110】
そこで、このような場合には、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて、フィードクラッチ148をONする(次の媒体P(N)の給送を開始する)。
図7は、このような媒体給送制御を行った場合の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0111】
しかしながら、
図7に示す媒体給送制御を行った場合、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知する時間は、通常動作時(
図5)に第1の搬送センサ124が媒体P(N−1)の後端を検知する時間よりも遅いため、その分、媒体P(N)の給送開始が遅れることになる。
【0112】
上述したように、媒体P(N)はトナー像の先端よりも先行するように搬送されるが、媒体P(N)の給送が遅れると、先行する距離が短くなり(0になる場合も含む)、あるいは、媒体P(N)の先端がトナー像の先端よりも遅れて搬送されることになる。そのため、上述した調整距離(
図4(B))を確保することができず、媒体P(N)の先端とトナー像の先端とを一致させる処理(書き出し位置調整)を行うことができない。その結果、媒体Pとトナー像との位置ずれが発生して印刷エラーとなり、そのページに印刷したトナーが無駄になり、また後続のページがある場合はそのページに印刷されたトナーが無駄になる。
【0113】
そこで、本発明の第1の実施の形態では、第1の搬送センサ124が媒体P(N−1)の後端を検知できなかった場合には、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて次の媒体P(N)を給送すると共に、前の媒体P(N−1)との間隔を短くするために、所定の期間、フィードモータ142の駆動速度をプロセス速度Vpから第1リカバリ速度vr1に加速する。また、既に搬送モータ143が書き出し位置調整のために減速しているときには、フィードモータ142の駆動速度を、調整速度Vcから第2リカバリ速度Vr2(=プロセス速度Vp)に加速する。
【0114】
図8は、第1の実施の形態において媒体Pの連れ重送が発生したときの動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0115】
給送・給送制御部205は、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の先端を検知してから、媒体サイズAに所望のマージンaを加えた長さA+aだけ媒体Pを搬送しても第1の搬送センサ124が媒体Pの後端を検知ができない場合、連れ重送が発生した(すなわち、次の媒体P(N)が分離ローラ123からせり出した)と判断する。なお、
媒体サイズAは、コマンド/画像処理部202から入力される媒体サイズ情報S420(
図3)に含まれている。
【0116】
すなわち、給送・給送制御部205は、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の先端を検知してから、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ
駆動パルスS407のパルス数をカウントし、長さA+aに対応するカウント数に達した時点で第1の搬送センサ124がONのままであれば、連れ重送が発生したと判断する。
【0117】
そして、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知すると、フィードモータ142の駆動速度を、プロセス速度vpから第1リカバリ速度Vr1に加速する。給送・搬送制御部205は、さらに、第2の搬送センサ126が媒体P(N)の後端を検知してから、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407をカウントし、カウント数C1に達した時点でフィードクラッチ148を接続(ON)する。すなわち、ピックアップローラ121およびフィードローラ122は、通常動作時(Vp)よりも高速(Vr1)で、次の媒体P(N)を給送する。
【0118】
給送・給送制御部205は、さらに、第2の搬送センサ126が次の媒体P(N)の先端を検知してから、フィードモータ
駆動パルスS407をカウントし、カウント数C2に達した時点でフィードクラッチ148を切断(OFF)し、レジストクラッチ149を接続(ON)する。
【0119】
レジストクラッチ149をONしたのち、フィードモータ142をリカバリ速度Vr1からプロセス速度Vpに減速する。ここで、前の媒体P(N−1)の書き出し位置の調整のため、搬送モータ143が調整速度Vcへの減速処理に移行していた場合には、フィードモータ142は第1リカバリ速度Vr1から調整速度Vcに減速する。
【0120】
以上のように、ピックアップローラ121およびフィードローラ122が、通常動作時(Vp)よりも高速(Vr1)で次の媒体P(N)を給送するため、媒体P(N)の給送開始の遅れをある程度まで(あるいは完全に)取り戻すことができる。これにより、媒体P(N)の先端がトナー像の先端よりも先行する関係を保ち、調整距離(
図8に符号L2で示す)を確保することができる。従って、媒体P(N)の搬送速度の減速および加速によって媒体P(N)の先端とトナー像の先端とを一致させる動作(すなわち二次転写部での書き出し位置の調整動作)を確実に行うことができる。なお、フィードモータ142の加速により、通常動作時よりも媒体Pが進む距離を、リカバリ距離(
図8の符号L3)とする。
【0121】
なお、本実施の形態では、一例として、プロセス速度Vp、調整速度Vc、第1リカバリ速度Vr1および第2リカバリ速度Vr2の関係を、Vp−Vc=Vr1−Vr2=Vr1−Vp(Vr2=Vp)としたが、これに限定されるものではない。
【0122】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態によれば、連れ重送により第1の搬送センサ124が前の媒体P(N−1)の後端を検知できなかった場合には、第2の搬送センサ126が前の媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて次の媒体P(N)の給送を開始すると共に、その給送速度を加速することにより、前の媒体P(N−1)との間隔を短くしている。そのため、媒体間隔が必要以上に広がることがなく、二次転写部での書き出し位置調整を確実に行うことができる。従って、媒体Pとトナー像との位置ずれによる印刷エラーの発生を防止し、トナーの無駄をなくすことができる。
【0123】
第2の実施の形態.
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。第1の実施の形態の構成要素と同様の構成要素には、同一の符号を付す。
【0124】
図9は、本発明の第2の実施の形態における制御系を示すブロック図である。第1の実施の形態の制御系(
図3)との相違点は、給送・搬送制御部205に媒体間隔制御部901を追加したことである。媒体間隔制御部901には、第2の搬送センサ126から出力される媒体Pの有無を示す信号S402と、フィードモータ駆動パルスカウンタ304から出力されるカウント数が入力される。他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0125】
次に、第2の実施の形態の動作について、第1の実施の形態と同様の動作との相違点を中心に説明する。
【0126】
第1の実施の形態でも説明したように、媒体P(N−1)を給送する際に次の媒体P(N)が分離ローラ123からせり出した場合には、第1の搬送センサ124が媒体P(N−1)の後端を検知することができない。そこで、第2の実施の形態においても、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて、媒体P(N)の給送を開始する。すなわち、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知してからフィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407をカウントし、カウント数がC1に達した時点でフィードクラッチ148をONする。
【0127】
このとき、媒体間隔制御部901は、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知してから、第2の搬送センサ126が媒体P(N)の先端を検知するまでのフィードモータ駆動パルスS407をフィードモータ駆動パルスカウンタ304によりカウントし、そのカウント数に基づいて媒体P(N−1)と媒体P(N)との間隔を求める。
【0128】
そして、求めた媒体間隔(媒体間隔値と称する)に基づき、フィードモータ142をリカバリ速度Vrで駆動する期間を決定する。ここでは、第2の搬送センサ126が媒体P(N)の先端を検知してから、フィードモータ142を加速するものとする。媒体間隔制御部901は、上述した媒体間隔値に基づいて、フィードモータ142をリカバリ速度Vrで駆動する期間に対応するフィードモータ駆動パルス
カウント数C5を計算する。
【0129】
なお、
図10に示した例では、フィードモータ142の加速開始時に、前の媒体P(N−1)の書き出し位置調整のため搬送モータ143は調整速度Vcで駆動されている。そこで、ここでは、フィードモータ142を調整速度Vcから第2リカバリ速度Vr2に加速させている。また、フィードモータ142の加速開始時に書き出し位置調整が行われていない場合には、フィードモータ142をプロセス速度Vpから第1リカバリ速度Vr1に加速させる。
【0130】
具体的には、媒体間隔値GS(mm)は、以下の通りである。
GS=Ph・Cg
Phは、1パルス当たりのフィードローラ122/レジストローラ対127の送り量(mm/パルス)である。Cgは、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知してから媒体P(N)先端を検知するまでの間に、フィードモータ駆動パルスカウンタ304がカウントしたフィードモータ駆動パルスS407のパルス数である。
【0131】
目標とする媒体間隔(mm)をGpとすると、フィードモータ142をプロセス速度Vpからリカバリ速度Vrに加速することで短縮する距離Gr(mm)は、
Gr=Gp−GS=Gp−Ph・Cg
となる。
これより、リカバリ速度Vrへの加速時間Tr(S)は、
Tr=Gr/(Vr−Vp)=(Gp−Ph・Cg)/(Vr−Vp)
となる。
【0132】
ここでは、説明の簡単化のため、フィードモータ142の加速/減速期間、およびレジストローラ対127への媒体Pの突き当て量は除いて計算したが、これらを考慮に入れることにより、さらに高い精度で媒体間隔制御を行うことができる。
【0133】
また、本実施の形態では、一例として、Vr−Vp=Vr1−Vp=Vr2−Vcとしているが、Vr1−Vp≠Vr2−Vcとして、プロセス速度Vpから第1リカバリ速度Vr1に加速する場合と、調整速度Vcから第2リカバリ速度Vr2に加速する場合とで分けて計算してもよい。
【0134】
フィードモータ142の駆動速度がリカバリ速度Vrであるときの駆動パルスレートをRr(パルス/s)とすると、リカバリ速度Vrを維持するフィードモータ駆動パルスカウント数C5は、
C5=Rr・Tr=Rr・(Gp−Ph・Cg+B)/(Vr−Vp)
となる。
【0135】
フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりカウントした駆動パルス数がC5に達するまで、フィードモータ142をリカバリ速度Vrで駆動することにより、媒体P(N)を通常動作時よりも高速(Vr)で給送し、前の媒体P(N−1)との間隔を、所定の媒体間隔(mm)とすることができる。フィードモータ142の加速により、通常動作時よりも媒体Pが進む距離を、リカバリ距離(
図10の符号L3)とする。
【0136】
図10は、第2の実施の形態における媒体給送制御の動作タイミングを示すタイミングチャートである。
【0137】
給送・給送制御部205は、第1の実施の形態(
図8)と同様、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の先端を検知してから、フィードモータ
駆動パルスS407のパルス数をカウントし、長さA+aに対応するカウント数に達した時点で第1の搬送センサ124がONのままであれば、連れ重送が発生したと判断する。
【0138】
給送・給送制御部205は、さらに、第2の搬送センサ126が媒体P(N−1)の後端を検知してから、第2の搬送センサ126が媒体P(N)の先端を検知するまで、フィードモータ駆動パルスS407をカウントし、そのカウント数に基づいてフィードモータ駆動パルス
カウント数C5を決定する。そして、フィードモータ142の駆動速度をプロセス速度Vpから第1リカバリ速度Vr1に加速する。
【0139】
給送・給送制御部205は、フィードモータ駆動パルスカウンタ304によりフィードモータ駆動パルスS407をカウントし、フィードモータ駆動パルス
カウント数C5に達すると、フィードモータ142の駆動速度を第1リカバリ速度Vr1からプロセス速度Vpに減速する。
【0140】
なお、
図10の例では、フィードモータ142を加速している間に、フィードクラッチ148の切断(OFF)およびレジストクラッチ149の接続(ON)が行われ、媒体P(N)の給送の主体がフィードローラ122からレジストローラ対127に切り替わる。この例では、媒体P(N)の高速での給送は、主としてレジストローラ対127によって行われる。
【0141】
上述した第1の実施の形態における媒体給送制御(
図8)では、媒体P(N−1)の分離ローラ123からのせり出し量に関わらず、フィードモータ142をリカバリ速度Vrからプロセス速度Vpに戻すタイミングを固定していたが、媒体P(N−1)のせり出し量が大きい場合には、媒体P(N)の搬送開始の遅れを完全に取り戻すにはリカバリ距離が足りず、二次転写部での調整距離L2が通常動作時
の調整距離L1に比べて短くなる可能性がある。
【0142】
これに対し、第2の実施の形態における媒体給送制御(
図10)では、前の媒体P(N−1)と次の媒体P(N)との間隔を測定し、所定の媒体間隔を得るために必要な期間だけフィードモータ142を加速するため、媒体Pのせり出し量の大きさに関わらず、二次転写部での調整距離L2を通常動作時の調整距離L1と略同一にすることができる。
【0143】
なお、連れ重送が発生しているか否かに関わらず、毎回第2の搬送センサ126が前の媒体P(N−1)の後端を検知したタイミングに基づいて次の媒体P(N)の給送を開始し、本実施の形態の媒体給送制御を行うことも可能である。但し、必要以上に給送速度を速くすることは装置動作音の増大やフィードローラ122の磨耗等の観点から好ましいことではないため、あくまで異常時のリカバリ手段として用いることが望ましい。
【0144】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、連れ重送による媒体Pのせり出し量の多少にかかわらず、フィードモータ142の駆動速度を加速させて前の媒体P(N−1)と次の媒体P(N)との媒体間隔を短くすることができ、二次転写部での書き出し位置の調整を確実に行うことができる。そのため、媒体Pとトナー像との位置ずれによる印刷エラーを低減し、トナーの無駄を抑えることができる。また、第1の実施の形態よりもさらに正確に媒体間隔を管理することができるため、より安定した媒体給送動作を実現することができる。
【0145】
本発明は、電子写真方式のカラー画像形成装置、例えばカラープリンタ、カラー複写機、ファクシミリ、またはこれらのうち複数の機能を有するカラー複合機等に適用することができる。また、本発明は、モノクロ画像形成装置に適用してもよい。