(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
トランジスターや、関連種の半導体構造のような活性マイクロ回路を形成する際に、半導体ウェハ内部に形成されるデバイス(構造)の選択領域中のドーパントの活性化等、半導体製造において多様な用途のためにレーザアニール(以下「LTA」という)が利用されている。
【0003】
ある種のレーザアニールでは、半導体構造(すなわちソース領域とドレイン領域)内のドーパントを活性化するのには十分長く、しかし、実質的なドーパント拡散を防ぐことができる程度に短い時間をかけて、光線で形成される走査線画像により、ウェハ表面が、ある温度(「アニール温度」)まで加熱される。ウェハ表面がアニール温度に到達する時間は、線画像の出力密度のみならず、線画像を走査する際の速度(「走査速度」という)で除した線画像幅によって決定される。線画像がウェハ表面上の点に存在する時間量は「滞留時間」と称される。
【0004】
数種の半導体デバイス用途では、片面を臨界温度以下に保ちながらウェハのもう片面を加熱する必要がある。その一例として電源デバイスが挙げられるが、裏側のドーパント活性化やコンタクト形成は、表側のデバイスの処理後に行われる。他の例は薄膜基板太陽電池であって、電池効率改善のために表側に高導電放射体を必要とするが、これはドーピングとアニールによって達成される。3つ目の例は、画像センサーの裏側であって、典型的には高ドープ活性化層から成る視野絞り層が裏側に設けられ、暗電流が抑えられる。
【0005】
これら全例において、ドーパントの活性化やウェハの片側へのコンタクトの形成にアニールが必要とされる。基板厚さは、数マイクロメートル(すなわち、ミクロンまたはμm)から2,3百マイクロメートルまでの範囲内に収まっており、通常の8−12インチのシリコンウェハの厚み、すなわち725μmから775μmよりも極めて薄い。通常、ドーパントの活性化には、およそ1,000℃以上のアニール温度が必要とされている。しかしながら、潜在的な物質の品質劣化や、それに伴うドーパントの接合を回避するために、基板の他側の最大温度や熱収支は制限されなければならない。
【0006】
例えば、レーザアニール前において既にウェハの第1の側で金属化現象が起こっている場合において、その反対側(第2の)側がアニールされる間、物理的完全性を良好に保持するために、第1の側の最大温度はその金属の融点以下に保たれる必要がある。
【0007】
従前の高速アニール(RTA)では、アニール時間が秒単位であったが、それはシリコンにおける数ミリメートルの熱拡散長L
Dに対応している。この長さは、通常のウェハ厚さよりも著しく長く、RTAの間、ウェハの両側に同程度のピークアニール温度が観測されること意味している。したがって、RTAは、薄膜ウェハのような用途には適さない。
【0008】
薄膜ウェハのような用途向けの通常のレーザアニール方法としては、数十ナノ秒から数百ナノ秒の範囲内のパルス長を有するパルス融解レーザを利用する方法が挙げられる。シリコンであれば、これは、およそ1μm単位程度の熱拡散長に対応し、ほとんどのウェハ厚さよりも著しく短い。パルス融解アニールの利点は、片側に熱浸透をほとんど伴わせることなく、ウェハのもう片側をかなりの高温(シリコンの融点以上の温度まで含まれる)まで局所的に加熱することができることである。このため、パルス融解アニールは、数マイクロメートル程度の厚みのシリコンウェハに適用することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、パルス融解アニールのナノ秒タイムフレームでは、ドーパントの活性化が融解状態でのみ可能となる。融解中、ドーパントは、高速で拡散することができると共に、より箱似型のプロファイルに再分配することができる。これは、ある用途では利点となり得るが、精密なドーピングプロファイルを維持する必要がある場合には望ましくない。特に、複数の接合点が融解すると、反対極性のドーパントが混ざり合ってその接合特性を劣化させてしまう。パルス融解アニール法の第2の制限は、熱浸透の深さである。熱拡散長が短いため、0.5μmよりも深い接合点を有効にアニールすることが難しい。また、この方法は、パルスがナノ秒スケールであり熱収支が極めて低くなるため、融解深さよりも深い注入欠陥をアニール除去するものとして有効とは言えない。
【0010】
このため、ウェハの片側に熱劣化を引き起こすことなく、ウェハのもう片側で有効に不融解ドーパントの活性化を行うことができる薄膜半導体ウェハのアニール方法が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、薄膜半導体ウェハのアニール方法に関する。この薄膜半導体ウェハのアニール方法では、そのウェハの片側に設けられている(またはウェハの内部に埋め込まれている)熱脆弱な主要部やデバイスを損傷もしくは過熱させることなく、薄膜半導体ウェハのもう片側に対して高温アニールを行うことができる。ピーク温度はウェハの融点以下である。このため、アニール工程中にドーパントが著しく再分配されることはない。本方法は、ドーパントの活性化や抵抗接点の形成に適用することができる。
【0012】
本開示の一局面は、裏側にアニール領域を有する半導体製品ウェハのアニール方法である。製品ウェハは、電気デバイス主要部を有する。電気デバイス主要部は、裏側からdの距離を隔てた位置に存在し、臨界温度T
Cを超えると損傷する。この方法には、裏側にアニールレーザ光線を走査してアニール領域を、半導体製品ウェハの融点T
M未満のアニール温度T
Aまで加熱してアニールすることが含まれる。走査には、それに付随する熱拡散長L
Dが考慮される。そして、その方法には、熱拡散長L
Dが距離dよりも小さくなる滞留時間で走査を行うことがさらに含まれる。そして、電気デバイス主要部は、臨界温度T
C以下に保たれる。
【0013】
本開示の他の局面は上述の方法であって、アニール領域は、イオン注入層または接点層である。
【0014】
本開示の他の局面は上述の方法であって、滞留時間は、3マイクロ秒から200マイクロ秒の範囲内である。
【0015】
本開示の他の局面は上述の方法であって、電気デバイス主要部には、金属が含まれる。また、臨界温度T
Cは、約600℃から約900℃の範囲内である。
【0016】
本開示の他の局面は上述の方法であって、デバイスウェハとキャリアウェハとを接合して半導体製品ウェハを形成することをさらに備える。また、デバイスウェハには、電気デバイス主要部が含まれている。
【0017】
本開示の他の局面は上述の方法であって、アニールレーザ光線は、薄膜ウェハ厚さ未満の光吸収長を有する可視光波長または赤外線波長を有する。
【0018】
本開示の他の局面は上述の方法であって、電気デバイス主要部には、CMOSデバイス層が含まれる。
【0019】
本開示の他の局面は上述の方法であって、電気デバイス主要部には、半導体電源デバイス層が含まれる。
【0020】
本開示の他の局面は上述の方法であって、裏側の同一部分に対して複数回走査を行うことをさらに備える。また、時間間欠走査が時間間隔τで時間的に分割されている。τは、1ミリ秒以上10秒以下の範囲内である。
【0021】
本開示の他の局面は上述の方法であって、走査回数が10回以下である。
【0022】
本開示の他の局面は上述の方法であって、dは、5μm以上150μm以下の範囲内である。
【0023】
本開示の他の局面は上述の方法であって、dは、10μm以上20μm以下の範囲内である。電気デバイス主要部は、アルミニウムから形成されている。滞留時間t
dは、約3マイクロ秒から約20マイクロ秒の範囲内である。
【0024】
本開示の他の局面は上述の方法であって、dは、5μm以上150μm以下の範囲内である。電気デバイス主要部は、銅から形成されている。滞留時間t
dは、約15マイクロ秒から約100マイクロ秒の範囲内である。
【0025】
本開示の他の局面は、製品ウェハのアニール方法である。この方法には、裏側と、5ミクロンから150ミクロンの範囲内の厚みdとを有するデバイスウェハの表側に保護構造を形成して製品ウェハを形成することが含まれる。また、表側には、臨界温度Tcを超えて加熱されると損傷する電気デバイス主要部が含まれる。この方法には、デバイスウェハの内部または裏側にアニール領域を形成することが含まれる。また、この方法には、裏側にアニールレーザ光線を走査してアニール領域の不融解アニールを行うことが含まれる。走査は、dよりも小さい熱拡散長L
Dを規定する滞留時間t
dで行われる。また、電気デバイス主要部は、臨界温度T
C以下に保たれる。
【0026】
本開示の他の局面は上述の方法であって、アニール領域は、裏側内部に形成されるイオン注入ドープ層、または、前記裏側に形成される接点層である。
【0027】
本開示の他の局面は上述の方法であって、裏側の同一部分に対して複数回走査を行うことをさらに備える。また、時間間欠走査が時間間隔τで分割されている。τは1ミリ秒以上10秒以下の範囲内である。
【0028】
本開示の他の局面は上述の方法であって、走査回数が10回以下である。
【0029】
本開示の他の局面は上述の方法であって、保護構造には、キャリアウェハが含まれる。
【0030】
本開示の他の局面は上述の方法であって、保護構造は、単一の保護層から構成される。
【0031】
本開示の他の局面は上述の方法であって、電気デバイス主要部には、金属およびCMOS層の少なくとも一方が含まれている。
【0032】
本開示の他の局面は上述の方法であって、電気デバイス主要部には、半導体電源デバイス層が含まれている。
【0033】
本開示の他の局面は上述の方法であって、滞留時間t
dは、3マイクロ秒から200マイクロ秒の範囲内である。
【0034】
本開示の他の局面は上述の方法であって、d
2/D
effで規定される最大滞留時間τ
dm未満の滞留時間t
dを選択することをさらに備える。D
effは、デバイスウェハの有効熱拡散率である。
【0035】
本開示の他の局面は上述の方法であって、アニールレーザ光線は、薄膜ウェハ厚さ未満の光吸収長を有する可視光波長または赤外線波長を有する。
【0036】
本開示の他の局面は上述の方法であって、dは、10μm以上20μm以下の範囲内である。電気デバイス主要部は、アルミニウムから形成されている。滞留時間t
dは、約3マイクロ秒から約20マイクロ秒の範囲内である。
【0037】
本開示の他の局面は上述の方法であって、dは、10μm以上20μm以下の範囲内である。電気デバイス主要部は、銅から形成されている。滞留時間t
dは、約15マイクロ秒から約100マイクロ秒の範囲内である。
【0038】
ここに引用される全ての参照文献は、参照としてここに組み込まれる。
【0039】
特許請求の範囲の記載は、発明の詳細な説明に組み込まれると共にその一部を構成する。
【0040】
本考察において、「d」は「距離」と「厚さ」の両方の意味で使われる。これらの2つの概念が密接に関連するものであることは当業者によって理解されるべきである。ある場合、距離dはウェハ厚さであり、距離dは、より一般的には、ウェハの裏側から電気デバイス主要部までの計測値である。距離dは、ウェハ厚さと同一である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1A】本開示のレーザアニールシステムおよび方法によりレーザアニール可能な種々の製品ウェハの例を示す図である。
【
図1B】本開示のレーザアニールシステムおよび方法によりレーザアニール可能な種々の製品ウェハの例を示す図である。
【
図1C】本開示のレーザアニールシステムおよび方法によりレーザアニール可能な種々の製品ウェハの例を示す図である。
【
図2A】4つの異なる製品ウェハの例の側面図であり、これらの図には、それぞれ製品ウェハの例の拡大断面図が含まれている。
【
図2B】4つの異なる製品ウェハの例の側面図であり、これらの図には、それぞれ製品ウェハの例の拡大断面図が含まれている。
【
図2C】4つの異なる製品ウェハの例の側面図であり、これらの図には、それぞれ製品ウェハの例の拡大断面図が含まれている。
【
図2D】4つの異なる製品ウェハの例の側面図であり、これらの図には、それぞれ製品ウェハの例の拡大断面図が含まれている。
【
図3】本開示のアニール方法を実行するのに適したレーザアニール装置の一例の模式図である。
【
図4】4つの異なるアニール方法のプロセスウィンドウを示す時間対温度(℃)のプロット図であり、この図には、本開示のアニール方法が含まれている。
【
図5】薄膜シリコンウェハにおける深度対温度のプロット図であり、この図では、4つの異なるアニール技術による製品ウェハの深度温度プロファイルが比較されている。
【
図6A】深度(nm)対ホウ素濃度(cm
−3)のプロット図であり、これらの図には、本開示の不融解アニール方法(
図6B)に比べて、融解アニール工程が、実質的なドーパント拡散、およびドーパントプロファイルにおける実質的な変化(
図6A)をどのように引き起こすかが示されている。
【
図6B】深度(nm)対ホウ素濃度(cm
−3)のプロット図であり、これらの図には、本開示の不融解アニール方法(
図6B)に比べて、融解アニール工程が、実質的なドーパント拡散、およびドーパントプロファイルにおける実質的な変化(
図6A)をどのように引き起こすかが示されている。
【
図7】時間対温度のプロット図であり、この図には、製品ウェハの裏側であって電気デバイス主要部の位置の一点における温度プロファイルの例が示されている。
【
図8】厚さがd1およびd2である2つの製品ウェハにつき、滞留時間t
dに対して温度T
Bをプロットしたものである。なお、ここで、d1はd2よりも小さい。また、この図には、任意のウェハ厚さにつき、T
BがT
Cよりも小さなるようには、滞留時間t
dをどのようにして最大滞留時間t
dm以下にする必要があるのかが示されている。
【
図9】ウェハ厚さd対滞留時間t
dのプロット図であり、この図では、図中において影で示されているように、任意の基板厚さにつき滞留時間の限界が図示されている。
【
図10】時間対温度のプロット図であり、この図には、アニールレーザ光線の複数回(N)走査に伴うウェハの任意の点における一連のN個の典型的な温度プロファイルが図示されている。
【
図11A】アニール走査回数対漏れ電流(任意単位,a.u.)のプロット図であり、この図には、走査回数の増加に伴う漏れ電流の減少が図示されている。これは、複数回/連続アニール走査時のアニール不良の増大を示している。
【
図11B】アニール走査回数対シート抵抗R
S(ohm/sq.)のプロット図であり、この図には、走査回数が増えるに従ってシート抵抗がどのように低下するかが図示されている。これは、ドーパント活性化の増大を示している。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以降、本開示の好ましい実施形態、および、添付の図面に示される複数の例について詳述する。可能な限り、同一または類似の部分の図では、同一の参照番号および参照符号が用いられる。
【0043】
画像センサーや高出力デバイスのような一種の半導体デバイスを製造する際には、薄膜半導体ウェハが利用される。
図1は、製品ウェハ10の一側面図である。この製品ウェハ10は、上面22を規定する上側21と、裏面24を規定する裏側23とを有する。
図1の製品ウェハ10は、図中において「上側」21が下方を向いているため、上下逆様であると言える。
【0044】
図1Bには、デバイスウェハ10aとキャリアウェハ10bを接合させて形成した製品ウェハ10の一例の構造が示されている。このデバイスウェハ10aは、表側12aを有している。この表側12aには、電気デバイス主要部34が形成されている。以下、表側をデバイス側と称することもある。また、このデバイスウェハ10aは、裏側14aを有している。裏側14aは、表側(デバイス側)12aの反対側に位置する。キャリアウェハ10bは、表側12bを有している。この表側12bには、酸化物層15が形成されている。最終的なウェハ10、ここでいう製品ウェハは、キャリアウェハ10bの表側12bにデバイスウェハ10aのデバイス側12aを接合することによって形成される。酸化物層15は、2つのウェハ10a,10bを接合する接合層として機能する。したがって、キャリアウェハ10bの表側12bは、接合側と称されることもある。デバイスウェハ10aは、例えば、シリコン基板から形成される。
【0045】
図1Cには、最終的な製品ウェハ10が図示されている。この時点で、デバイスウェハ10aは裏側14aから削られており、その結果、
図1Cの差込拡大図に示されるように、デバイスウェハ10aの厚さが約750μmから、約5μmから約150nmの範囲内の厚みdまで薄くなっている。酸化物層15とキャリアウェハ10bによって上側21に保護構造が構築されている。この保護構造は、電気デバイス主要部34を保護する役目を担っており、製品ウェハ10の内部に埋め込まれている。
【0046】
図2Aは
図1Cと同様の図面であり、この図面には、製品ウェハ10のCMOSデバイス構造30の一例のより詳細な拡大断面を示す差込図が含まれている。CMOSデバイス構造30の一例としては、CMOSセンサー構造が挙げられる。酸化物層15を有するキャリアウェハ10(通常、数ミクロン厚み)は、デバイスウェハ10aを支持している。このデバイスウェハ10aには、熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34が含まれている。ここで、「熱に対して脆弱」との用語は、電気デバイス主要部34が臨界温度T
Cを超えるまで加熱されると、電気デバイス主要部34が損傷され得ることを意味する。
【0047】
熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34としては、例えば、金属化要素が挙げられる。なお、このような電気デバイス主要部34は、
図2Aに示されるように、隣接するCMOSデバイス層40に接している。このCMOSデバイス層40は、薄膜化デバイスウェハ10aにより順に支持されている。デバイスウェハ10aは、約5μmから50μmの範囲内の厚さdを有している。電源デバイスの他の例では、厚さdは、約30μmから約150μmの範囲内である。
【0048】
レーザアニールを必要とする薄膜イオン注入層44は、例えば、薄膜化デバイスウェハ10aにおいて、表面24を規定する裏面14aに隣接するように形成される。漏れ電流を低減したり接点抵抗を低下させたりするために、イオン注入層44には、接点形成用のドーパントが含まれている。シリコン用のドーパントとしては、例えば、ヒ素、リン、ホウ素、インジウム、アンチモン等が挙げられる。注入欠陥を直したりドーパントを活性化させたりするためにアニールが必要となる。なお、このような工程は、裏面接点活性化と称される。
【0049】
図2Bは
図2Aと同様の図面あり、この図面には、イオン注入層44上の接点層54が含まれている。接点層54をアニールすると、接点層54がシリコン基板と合金化し、抵抗接点が形成される。なお、このような現象は、裏面接点アニールと称される。接点層54は、通常、薄膜金属堆積物から成る。接点層54を形成する金属としては、例えば、Ti、Ni、Co、W、Al、Cu、Au、Pt等が挙げられる。金属ケイ化物を形成したり接点層54の接点抵抗を低下させたりするには、接点層54をレーザアニールすればよい。
【0050】
接点層54がアニールされることにより、接点層54の直下のドープ済みのイオン注入層44も活性化される。しかしながら、かかる場合の最大アニール温度は、ケイ化物の分解や金属膜堆積物の損傷によって制限され得る。このため、ドーパントの活性化は、
図2Aの製品ウェハ10の構造における場合とは同程度に最適化されないおそれがある。その代替手段としては、(接点層54の分解前後で)レーザアニールを2度行ってドーパント活性化と接点形成とを別々に最適化させることが考えられる。
【0051】
図2Cは、キャリアウェハ10bにデバイスウェハ10aが接合されることによって製品ウェハ10が形成されないことを除いては
図2Aと同様の図面である。かかる場合、デバイスウェハ10aには、保護層19が設けられる。なお、この保護層19は、デバイスウェハ10aの表側12aに隣接する電気デバイス構造34を被複し、製品ウェハ10の上側21を形成する。
図2Dは、
図2Bに示されるものと同様に接点層54を含んでいることを除いては
図2Cと同様の図面である。保護層19は、例えば、製品ウェハ10がチャック110(
図3参照)で固定されているときに電気デバイス主要部34を傷つけないようにするために用いられている。保護層19としては、例えば、二酸化ケイ素や窒化ケイ素が挙げられる。したがって、例えば、保護構造17は、保護層19から成る。
【0052】
CMOSデバイス構造30の一例では、デバイスウェハ10aの電気デバイス主要部34は、通常パターン化されていないデバイスウェハ10aの裏側14aから、約5μmから約150μm程度離れた位置に存在する。すなわち、デバイスウェハ10aの裏側14aは、例えば、良好なアニール表面を形成する製品ウェハ10の平滑なパターン化されていない裏面24を規定している。
【0053】
図2Aから2Dは、それぞれ、本開示の不融解レーザアニールが実施される際に、製品ウェハ10の裏側23にアニールレーザ光線80がどのようにして走査されるかを示している。製品ウェハ10の裏側23には、イオン注入層44や接点層54のようなアニール領域が含まれている。そして、熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34は、デバイスウェハ10aの裏側14aから距離dだけ離れた位置に存在する。このアニール領域は、距離dだけ離れた位置に存在する熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34が損傷しないようにアニールされる必要がある。なお、ここで、dは、例えば、5μmから150μmの範囲内である。
【0054】
図3には、本開示の不融解レーザアニール方法を実施可能なレーザアニールシステム100の一例が図示されている。本開示の不融解レーザアニール方法を実施可能なレーザアニールシステム100の一例は、「超短滞留時間レーザアニールシステムおよび方法」との名称の米国仮特許出願61/658,086に開示されている。
図3を参照すると、レーザアニールシステム100には、走査レーザシステム150、および、製品ウェハ10を把持するチャック110が含まれる。チャック110は、例えば、冷却される。また、チャック110は、例えば、移動可能である。
【0055】
走査レーザシステム150には、レーザ装置151が含まれている。このレーザ装置151は、第1軸A1に沿って走査ミラー162方向に初期レーザ光線80’を発する。なお、走査ミラー162は、ミラー駆動装置164に操作可能に接続されている。走査レーザシステム150には、集光レンズ166が含まれている。集光レンズ166は、第2軸A2に沿って配向されている。なお、第2軸A2は、第1軸A1に対して概ね直交している。第2軸A2は、走査ミラー162の位置で第1軸A1と交差し、また製品ウェハ10の裏側23と実質的に直交している。集光レンズ166は、NAの開口数を有している。レーザ装置151は、例えば、アニールレーザ光線80が赤外線波長を含むように赤外線を発する。
【0056】
また、他の例では、レーザ装置151は、アニールレーザ光線80が可視光線波長を含むように可視光80’を発する。光線80中の可視光線波長は、光吸収深さが浅いため、極薄基板(すなわちdが30μmより小さいもの)にとって好ましい。通常、光吸収深さは薄膜ウェハ厚さよりも小さいのが望ましい。
【0057】
平行化レンズ168は、レーザ装置151に隣接して示されており、レーザ装置151からの発散レーザ光線80’を受光して平行化する。平行化されたレーザ光線80’は、走査ミラー162で反射されて集光レンズ166に向かう。そして、この集光レンズ166は、平行化されたレーザ光線80’を集光して集光アニールレーザ光線80を生成する。集光されたアニールレーザ光線80は、順に、製品ウェハ10の裏側23に線画像82を形成する。走査ミラー162を動作させることにより、アニールレーザ光線80および線画像82が、矢印AR2で示されるように、製品ウェハ10の裏側23を高速で移動する。アニールレーザ光線80には、例えば、可視光線波長が含まれる。
【0058】
製品ウェハ10の裏側23から集光レンズ166までの距離はDWで表されている。例えば、距離DWは約1メートルであり、開口数は、約0.15である。ミラー駆動装置164は、走査ミラー162を駆動させる役目、すなわち選択角度範囲で走査ミラー162を高速で回転させる役目を担っている。その結果、アニールレーザ光線80および線画像82は、
図3中、θとして示されている選択角度範囲で走査されることができる。角度範囲θは、例えば、線画像82が製品ウェハ10の裏側23を製品ウェハ10の最大幅部分の端から端まで走査することができるように選択される。
【0059】
例えば、走査と走査の間に、(破線矢印AR3で示されるように、チャック110を動かすことによって)走査方向と直交する方向に製品ウェハ10を平行移動させる間に、アニールレーザ光線80を端から端まで単に一振りするだけでよい。その結果、線画像82は、各走査において製品ウェハ10の裏側23の異なる部分を露光(光照射)するか、隣接する走査で、少なくとも製品ウェハ10の新たな部分を覆うことになる(隣接する走査の重複が生じ得る)。チャック110は、一般的に、3次元的に移動可能であり、必要に応じていずれの方向にも回転可能である。アニールレーザ光線80は、例えば、製品ウェハ10の裏側23の少なくとも一部で走査される。
【0060】
レーザの出力およびアニール時間によって、アニール温度が調節される。アニール時間は、滞留時間によって規定される。なお、滞留時間は、走査速度に対するレーザ光線(または線画像)の幅の比で表される。レーザ光線の幅は通常、数ミクロンから2,3百マイクロメートルの範囲内であり、走査速度は通常、0.1から5m/secの範囲内である。
【0061】
製品ウェハ10のアニールには、電気デバイス主要部34に関連して、製品ウェハ10のデバイス側12aが比較的低い温度、特に臨界温度T
C以下の温度に保持されなければならないとの条件がある。臨界温度T
Cとは、それを超えると電気デバイス主要部34が損傷するであろう温度である。このため、このアニール方法は、そのデバイスの優れた機能性を保護するために、電気デバイス主要部34が臨界温度T
C以下に保持されるようにして行われる。デバイス側12aでの最大温度は、特定の電気デバイス主要部34によって決定される。配線のような電気デバイス主要部34に使用される金属を考えると、臨界温度T
Cは銅で約900℃であり、アルミニウムで約600℃である。ケイ化物を含むデバイスを考えると、臨界温度T
Cは、ケイ化物の熱安定性に制限されるものと思われる。
【0062】
デバイス側12aに形成された電気デバイス主要部34が臨界温度T
C以下に保たれなければならないとの制限により、レーザアニール時間を、そのデバイス表面が熱くなり過ぎないような十分に短い時間とする必要がある。これは、アニール時間(滞留時間)を、対応する熱拡散長L
Dがデバイスウェハ10aの厚さよりも短くなるように(すなわちL
Dがdよりも小さい)設定しなければならないことを暗示している。
【0063】
図4は、時間に対する温度(℃)のプロット図である。この図には、異なるアニール技術の温度−時間プロセスウィンドウが図示されている。
図4には、AからDで示される異なるウィンドウが含まれている。従来の高速アニール(RTP)はウィンドウAで示されている。RTPでは、1,200℃までの温度において数秒から数分の範囲の時間尺度で操作が行われる。ミリ秒レーザおよびフラッシュランプアニール方法はウィンドウBで示されている。この方法では、アニール時間が数百マイクロ秒から数十ミリ秒の範囲に設定されると共に、温度が、シリコンの融点T
Mである1,412℃に丁度満たない温度に設定される。パルスレーザ融解プロセスはウィンドウDで示されている。このプロセスでは、シリコンの融点T
M以上のピーク温度で、10nsから1μsの範囲の時間尺度で操作が行われる。
【0064】
図4において、ウィンドウCが、本開示の短滞留時間,亜融解レーザアニール方法に関連する。この方法では、シリコンの融点T
M以下の温度での規定操作により、数マイクロ秒から2,3百マイクロ秒の範囲のアニール時間で操作が行われる。すなわち、
図4では、アニール温度−時間プロセス空間の短滞留時間,亜融解レーザアニールウィンドウCが、いかに他の従来のアニールのプロセスウィンドウとは異なるかがわかる。ウィンドウCのアニール時間範囲は、例えば、3マイクロ秒から200マイクロ秒である。
【0065】
図5は、薄膜シリコンウェハの深度に対する温度のプロット図である。この図では、薄膜シリコンウェハの深度温度プロファイルが、上述の4つの異なるアニール技術と比較されている。ウェハ厚さdは、5μmから200μmの範囲内である。RTA(曲線A)では、全基板において温度が一定である。これは、アニール時間が長ったことに起因して熱拡散長L
Dが長くなったためである(すなわちLDがdよりも著しく大きい)。
【0066】
ミリ秒レーザまたはフラッシュランプアニール方法(曲線B)では、ウェハの深度が深くなるに従って温度が低下している。しかし、その低下速度は極めて低い。その結果として、ウェハの反対側の温度は、損傷閾値温度T
Cを超えている(すなわち、L
Dがdよりも大きい)。
【0067】
ナノ秒パルスレーザアニール(曲線D)では、露光面近傍で温度が急激に低下している。ウェハの反対側において熱浸透はない。しかしながら、熱浸透が浅すぎて0.5マイクロメートルよりも深い位置の接点をアニールできていない(すなわち、L
Dがdよりも著しく小さい)。
【0068】
本開示の短滞留時間亜融解レーザアニール(曲線C)では、ウェハの非露光側を低温に保つのに十分な速さで温度が低下しているが、深い接点のアニールに十分な大きさの熱浸透が維持されている(すなわち、L
Dがdよりも小さい)。
【0069】
図6Aおよび6Bは、ホウ素ドープシリコンウェハの深度(nm)に対するホウ素濃度(cm
−3)のプロット図である。
図6Aには、未アニール(すなわちアニール前)のドーパント再分配を示す曲線C0、および、レーザ融解アニール後のドーパント分配を示す曲線CMの2つの曲線が示されている。接点プロファイルは、融解深さによって決定される。融解アニール曲線CMは、シリコンが液状になったときのドーパントの素早い拡散に基づく、箱似型のドーパント再分配プロファイルを示している。この拡散は、急激な箱似型プロファイルを生じさせながら、液−固境界線で停止している。多量のドーパントを活性化させると共に電気抵抗を低下させる点が、この方法の利点である。しかしながら、それが原因で融解領域においてドーパントが再分配し、そのため精密なドーパントプロファイルを維持する必要がある場合に適用することができなかったり、異なるドーパントが混合されるのが望まれない多数の接点に適用することができなかったりする点が不利な点である。さらに、ドーパントの活性化が融解領域に制限される。そのため、融解領域外のドーパントは、十分に活性化されない。
【0070】
図6Bには、本発明の開示による短滞留時間不融解レーザアニールに関する曲線C0および曲線CSが示されている。
図6Bから、短滞留時間不融解レーザアニールによってドーパントが実質的に再分配していないことが分かる。これは、シリコンウェハが固体の状態に維持されているときに、ドーパントがかなり遅い速度で拡散するためである。また、熱拡散長の増大によって深い位置の接点も活性化されている。
【0071】
図7は、時間に対する温度のプロット図である。この図には、短滞留時間不融解レーザアニールに見られる典型的な時間温度プロファイルが示されている。シリコンにおけるドーパント活性化では、製品ウェハ10の上面22における典型的なピークアニール温度T
Aは、曲線CAで示されるように、950℃から1,350℃の範囲内である。曲線CBで示されるように、(埋め込まれた)電気デバイス主要部34の位置における最大底面温度T
Bが損傷閾値(すなわち臨界)温度T
C以下に保たれることが保証されるように、滞留時間が選択される。金属ケイ化物接点用途では、600℃から1,000℃のより低いアニール温度T
Aが用いられる。
【0072】
図8は、厚さがd1とd2である2つのウェハの滞留時間t
dに対する底面温度T
Bのプロット図である。なお、ここで、d1はd2よりも小さい。任意のウェハ厚さでは、T
BがT
Cよりも小さくなることを保証するために、滞留時間t
dが臨界または最大滞留時間t
dm以下とされる必用がある。最大滞留時間t
dmはウェハ厚さに依存するであろう。ウェハが薄くなるほど、必要な滞留時間は短くなる。ウェハ厚さd1の曲線では最大滞留時間t
dm1が示されており、ウェハ厚さd2の曲線では最大滞留時間t
dm2が示されている。
【0073】
図9では、シミュレーションに基づいてウェハ厚さに対して滞留時間がプロットされている。その関係は、概ね、二乗の法則に従っている。これは、熱拡散長が時間の平方根に対して増加する事実と一致する。プロット図の影領域は、デバイスが損傷するであろうt
d−dプロセスウィンドウの領域に対応している。シミュレーションの結果、ウェハ厚さdを40μmとした場合において臨界温度T
Cがアルミニウムメタライゼーションに対する損傷によって制限されると仮定すると、約70μs未満の滞留時間t
dが必要となることが分かる。同様に、ウェハ厚さdを20μmとした場合、滞留時間t
dは、約20μs未満となる必要がある。
【0074】
例えば、dが10μmから20μmの範囲内である場合、アルミニウム製の電気デバイス主要部34に対する滞留時間は約3マイクロ秒から約20マイクロ秒の範囲内であり、銅製の電気デバイス主要部34に対する滞留時間は約15マイクロ秒から約100マイクロ秒の範囲内である。
【0075】
最低近似度に対して、最大滞留時間t
dmは、t
dm≒η・d
2/D
effで見積もることができる。ここで、dはウェハ厚さであり、D
effは基板フィルム堆積物の有効熱拡散率であり、ηは損傷温度の関数として表され、通常約1である。アルミニウムメタライゼーションに対する損傷が制限要因である実施形態では、例えば、最大滞留時間は、t
dm=d
2/D
effで近似され、滞留時間t
dはこの近似滞留時間未満となるように選択される。銅メタライゼーションに対する損傷が制限要因である場合、最大滞留時間t
dmを通常5倍程度までに緩和することができる。
【0076】
接点をアニールする際の重要要件の一つは、損傷除去能力である。損傷除去能力は、アニール工程の全熱収支に関係する。通常、熱収支が大きくなる程、損傷除去能力は向上する。しかしながら、本開示の短滞留時間亜融解レーザアニール方法を用いれば電気デバイス主要部34の過熱を防ぐことができる。また、滞留時間を短くすれば、熱収支も小さくなる。このため、アニール不良を妥協することができる。
【0077】
したがって、アニールの一例には、製品ウェハ10の裏面23の同一領域を複数回走査するか、隣接する走査において線画像82の重複部分を増やすことが含まれる。この結果、製品ウェハ10の裏側23の各点が複数回走査される。
【0078】
図10は、時間に対する温度のプロット図である。この図には、アニールレーザ光線80の複数回(N)操作中において製品ウェハ10の裏側23の任意の点が受けるであろう典型的な温度プロファイルが示されている。連続する2つの走査間の時間間隔τは、第1走査での残留熱が第2走査前に完全に残らないように十分に長くとるべきである。放熱時間τは、例えば、1ミリ秒以上10秒以下の範囲内であり、より制限された例においてτの範囲は数ミリ秒から2,3百ミリ秒である。
【0079】
図11Aでは、アニールレーザ光線80の走査回数に対して計測接点漏れ電流(任意単位,a.u.)がプロットされている。漏れは、接点空乏領域における欠陥レベルの計測値である。走査回数が増える程、接点漏れは減少する。この現象は、アニール不良の改善を示すものである。
【0080】
複数回亜融解レーザ走査を用いれば、ドーパントの活性化レベルを向上させることもできる。これは、
図11Bから垣間見える。
図11Bでは、アニールレーザ光線80の走査回数に対する計測シート抵抗R
S(ohm/sq.)がプロットされている。走査回数が増える程、電気シート抵抗が減少する。この現象は、ドーパントの活性化が向上していることを示すものである。
【0081】
なお、単発,長滞留時間,亜融解アニールを用いても良好に活性化を行うことができ、欠陥除去能力も向上させることができる。しかしながら、熱拡散長L
Dが長いと、電気デバイス主要部34が損傷するおそれがある。複数回短滞留時間走査が用いられれば、熱拡散長L
Dをウェハ厚さdよりも短く維持しながら、単発方法よりも熱収支を大きくすることができる。複数回短滞留時間走査方法では、例えば、走査回数は10以下とされる。
【0082】
原則、亜融解型においてナノ秒パルスレーザアニールが用いられてもよい。また、その際、ドーパント活性化を向上させるために多重パルスが用いられてもよい。しかしながら、各レーザパルスにおいて極短時間しかアニールすることができないため、多数回のパルスすなわち約100から1,000回のパルスが必要になるであろう。この方法は、処理速度が比較的遅く、大量生産には向かない。また、ナノ秒パルスレーザアニールでは、多数のパルスが使用されているにも関わらず、熱浸透深さは未だに約1μm(各パルス期間によって決定される)が限界である。この結果、この方法は、深い位置の接点を活性化するのに有効ではない。
【0083】
電気デバイス主要部34の温度に影響するであろう他の要因としては、チャック110の温度や、ウェハ−チャック間の接触熱抵抗が挙げられる。通常、チャック温度や接触熱抵抗が低い程、電気デバイス主要部34の温度が低下する。このため、滞留時間が長くなったり、上側のアニール温度が高くなったりする。
【0084】
そうは言うものの、チャック温度が著しく低ければ、製品ウェハ10の表側21と裏側23で大きな温度差が生じ、その結果、熱負荷が増大するおそれがある。このような状況になると、すべりが生じたり、ウェハに反りが生じたり、ウェハが破断したりする。このため、このような状況は、望ましくない。チャック110は、例えば、耐熱機能および耐寒機能の両方を兼ね備えている。その結果、電気デバイス主要部34が低負荷である必要性と、主要部が低温度である必要性とを両立させるために、チャック温度が最適化される。ウェハの表側温度をより効果的に保持させるためには、製品ウェハ10とチャック110とが良好に熱接触することが望ましい。このためには、減圧器や静電気的手段を用いればよい。放熱能力を高めるためには、チャック110の素材として、高熱伝導率を有する物質を使用することが考えられる。チャック110用の材料としては、例えば、アルミニウムやSiCが挙げられる。
【0085】
本開示の短滞留時間,不融解アニール方法は、薄膜ウェハのアニールに著しく適合しているが、その方法は、表面アニールが必要とされている構造物や、熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34が裏側23すなわち製品ウェハ10のアニールレーザ光線入射側からdの距離の位置に埋設された(埋め込まれた)構造物に対しても用いることができる。熱に対して脆弱な電気デバイス主要部34に損傷を与えることなく、ドーパントの活性化を向上させたり、アニール不良を改善したりするために、アニール方法の一例として複数回亜融解レーザ走査を用いることができる。
【0086】
当業者には明白であるが、本開示の精神および範囲を逸脱することなく、本開示に対して様々な修正および変更を加えることができる。したがって、本開示は、添付の特許請求の範囲およびその均等範囲内において本開示の修正および変更を包含する。