(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
発光素子(100)から測定対象(70)に測定用の照射光を照射し、該測定対象(70)から反射される反射光を受光素子(102)にて検出し、その検出値に基づき前記測定対象(70)に含浸された体液中の成分を測定する成分測定装置(10)であって、
前記照射光を前記測定対象(70)に集光する照射光用レンズ(88a)と、
前記反射光を前記受光素子(102)に集光する反射光用レンズ(88b)と、
前記測定対象(70)に対向して開口する装着部(87)を有するとともに、前記装着部(87)に連通して前記発光素子(100)を前記照射光用レンズ(88a)に対向配置させるとともに前記発光素子(100)の配置位置から前記照射光用レンズ(88a)の配置位置まで貫通する照射光用光路(108)、及び前記装着部(87)に連通して前記反射光用レンズ(88b)の配置位置から前記受光素子(102)の配置位置まで貫通する反射光用光路(110)を有するブロック体(72)と、
前記発光素子(100)と前記受光素子(102)を配置する基板(74)とを備え、
前記ブロック体(72)の後面は、前記基板(74)を配置する基板配置部(80)を有し、
前記基板配置部(80)は、前記発光素子(100)と前記受光素子(102)との間に介在して、前記基板(74)を貫通する位置決め突起(80a)を有し、
前記反射光用レンズ(88b)は、前記受光素子(102)の配設位置に基づいて少なくとも前記反射光の球面収差を低減する非球面レンズとして形成されており、前記装着部(87)の開口から前記装着部(87)に挿入されることで前記反射光用光路(110)上に配置されることを特徴とする成分測定装置(10)。
【発明の概要】
【0005】
ところで、成分測定装置において、反射光用レンズをブロック体に備える構造では、該ブロック体における反射光の光路の遮光性と反射光用レンズの装着性を両立させることが難しくなる。例えば、特表2008−544265号公報の分析システムでは、ブロック体の反射光入射側の開口をできるだけ狭くする構成とすることで、反射光の光路の遮光性を確保している。しかしながら、この場合は、開口よりも大きな形状からなる透過領域(反射光用レンズに相当するものとする)をブロック体へ装着することが困難となる。すなわち、反射光の光路の遮光性を重視した場合は、ブロック体に対するレンズの装着性が悪くなり、装置の組立工程の作業効率が低下してしまう。
【0006】
これに対し、反射光用レンズの装着性を重視した場合は、反射光の光路に連通して開口する装着部をブロック体に形成し、この装着部に反射光用レンズを一方向から挿入する構造が好適である。しかしながら、この構造では、反射光の光路の遮光性を確保するために装着部を小さく形成しなければならず、反射光用レンズの形状が制限されることになる。このため、反射光用レンズを反射光の光路に配置しても、該反射光用レンズ透過後の反射光に収差(主に、球面収差)を生じさせてしまい、結果として、反射光を受光する受光素子の検出精度が向上されないという課題が生じる。
【0007】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、反射光用レンズを容易に装着可能な構造とすることで、装置の組立作業の効率化を図り、且つ該反射光用レンズによる反射光の球面収差を大幅に低減することにより、生体成分の測定精度を向上することができる成分測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
前記の目的を達成するために、本発明は、発光素子から測定対象に測定用の照射光を照射し、該測定対象から反射される反射光を受光素子にて検出し、その検出値に基づき前記測定対象に含浸された体液中の成分を測定する成分測定装置であって、
前記照射光を前記測定対象に集光する照射光用レンズと、前記反射光を前記受光素子に集光する反射光用レンズと、前記測定対象に対向して開口する装着部を有するとともに、前記装着部に連通して
前記発光素子を前記照射光用レンズに対向配置させるとともに前記発光素子の配置位置から前記照射光用レンズの配置位置まで貫通する照射光用光路、及び前記装着部に連通して前記反射光用レンズの配置位置から前記受光素子の配置位置まで貫通する反射光用光路を有するブロック体と、
前記発光素子と前記受光素子を配置する基板とを備え、
前記ブロック体の後面は、前記基板を配置する基板配置部を有し、前記基板配置部は、前記発光素子と前記受光素子との間に介在して、前記基板を貫通する位置決め突起を有し、前記反射光用レンズは、前記受光素子の配設位置に基づいて少なくとも前記反射光の球面収差を低減する非球面レンズとして形成されており、前記開口から前記装着部に挿入されることで前記反射光用光路上に配置されることを特徴とする。
【0009】
上記によれば、反射光用レンズをブロック体の開口から装着部に挿入する構成としたことで、ブロック体に反射光用レンズを容易に装着することができる。これにより、装置の組立作業の効率化を図ることができる。また、反射光用レンズが非球面レンズに形成されていることで、球面収差が大幅に低減された反射光を受光素子に集光することが可能となる。その結果、成分測定装置は、反射光を精度よく検出することができ、生体成分の測定精度を向上することができる。
【0010】
また
、前記反射光用レンズと前記照射光用レンズは、前記装着部に保持される被保持部を共有するように並べられて一体成形されていてもよい。
【0011】
このように、反射光用レンズと照射光用レンズを1つのレンズとして一体成形しても、該レンズをブロック体に容易に装着することができる。また、反射光用レンズと照射光用レンズを一体成形することで、部品点数が少なくなる。このため、製造コストを低減させることが可能となり、また装置の組立作業も一層効率化することができる。
【0012】
さらに、前記反射光用レンズは、前記被保持部から前記反射光用光路に向かって所定量突出する突出部と、前記突出部の上部に前記非球面レンズが形成された集光部とを含むことが好ましい。
【0013】
このように、反射光用レンズは、被保持部から所定量突出する突出部を有することで、反射光用光路内の所定位置に集光部を確実に位置決めすることが可能となる。したがって、成分測定装置に外力等が付与されても、反射光用レンズの位置ずれを回避することができるため、受光素子に反射光を安定的に集光することができる。
【0014】
この場合、前記照射光用レンズの光軸と前記反射光用レンズの光軸は互いに略平行に形成されており、前記非球面レンズは、前記反射光用レンズの光軸に対して所定の角度で入射された前記反射光の球面収差を低減する形状に形成されていてもよい。
【0015】
このように、照射光用レンズの光軸と反射光用レンズの光軸を互いに略平行に形成することで、照射光用レンズと反射光用レンズを一体成形する際の加工を容易に行うことができる。
【0016】
前記装着部は、前記反射光用レンズを内部に挿入した状態において開口端部が内側にかしめられる構成とすることができる。
【0017】
このように、装着部の開口端部が内側にかしめられることで、反射光用レンズの脱落を防止することができる。
【0018】
また、成分測定装置は、血液成分のうち主に血糖値を測定する血糖値測定装置として用いると好適である。
【0019】
本発明によれば、反射光用レンズを容易に装着可能な構造としたことで、装置の組立工程の効率化が図られ、さらに反射光用レンズによる反射光の球面収差を大幅に低減することにより、生体成分の測定精度を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る成分測定装置について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0022】
本実施の形態の説明では、成分測定装置として、血液成分のうち主に血糖値を測定する血糖値測定装置について詳述する。この血糖値測定装置は、医師や看護師、或いは糖尿病患者等が、血液を採取して血糖値を測定し、その血糖値の測定データを管理する装置である。なお、成分測定装置は、本血糖値測定装置に限定されないことは勿論である。
【0023】
図1は、本発明の実施の形態に係る血糖値測定装置(成分測定装置)の全体構成を示す斜視図であり、
図2は同装置の正面図、
図3は同装置の分解斜視図、
図4は
図1のIV−IV線の側面断面図である。
【0024】
図1及び
図2に示すように、血糖値測定装置10は、外観を構成する筐体12を有する。この筐体12は、人が片手で持って操作スイッチ14を容易に押圧操作できるように、少し細長であって手にフィットする立体形状に形成されている。筐体12は、上ケース16と、下ケース18と、先端ケース20とを含み、上ケース16と下ケース18とが上下に重ね合わされるとともに、上ケース16及び下ケース18の先端部に先端ケース20が装着されることで組み立てられる。また、筐体12には、血糖値の測定に必要な情報の入力事項や確認事項、測定結果等が表示される表示部22と、2つの操作スイッチ14からなる操作部24が配置されている。
【0025】
図3に示すように、血糖値測定装置10の表示部22には、上ケース16に形成された開口窓26に液晶カバー28が嵌め込まれており、この液晶カバー28の下層に液晶パネル30が内蔵されている。なお、上ケース16の上面には、液晶カバー28及び2つの操作スイッチ14を覆うため適宜な大きさに形成された正面パネル32が貼り付けられる。
【0026】
操作部24には、2つの操作スイッチ14が上ケース16の上面に設けた挿通孔34にそれぞれ挿入される。操作部24は、これら操作スイッチ14を介して血糖値測定装置10のオン/オフ操作等の各種操作が可能とされている。
【0027】
表示部22及び操作部24が備えられた上ケース16の裏面側(筐体12内部)には、表示部22の液晶パネル30と、本血糖値測定装置10を制御するメイン配線基板36が配置されている。メイン配線基板36には、プリントによって所定の配線回路が形成されている。このメイン配線基板36には、所定の処理を実行するためのマイクロコンピュータ、所定のプログラムが記憶されたROMやRAM等の記憶装置、及びその他の電子部品(能動素子、受動素子等)が実装される(ともに図示せず)。
【0028】
また、下ケース18の上面側(筐体12内部)には、電池収納部38が設けられている。電池収納部38には、携帯用電源としてのボタン型電池40が収納されている。この電池収納部38は、下ケース18に対して着脱可能に構成された電池蓋42によって開閉可能に覆われている。血糖値測定装置10は、ボタン型電池40の電力により、メイン配線基板36等の制御、或いは表示部22の表示等が行われるようになっている。なお、血糖値測定装置10に用いられる電源は、ボタン型電池に限られるものではなく、丸型乾電池、角型乾電池、二次電池又は外部電源に電源コードを介して接続する構成としてもよい。
【0029】
図1に示すように、上ケース16及び下ケース18が重ね合わされた筐体12は、中間部から先端部にかけて先細となり、且つ全体的に下ケース18側に湾曲するように形成されている。先端ケース20は、この先端部に取り付けられ、血液を光学的に検出する測定部50の筐体として構成されている。
【0030】
また、上ケース16上面の先端部寄りには、イジェクト操作子44の移動を案内する長孔46が設けられている(
図3参照)。この長孔46は、筐体12の前後方向へ所定の長さ直線的に延在しており、イジェクト操作子44の脚部44aが摺動可能に挿入される(
図4参照)。この脚部44aには、筐体12内部においてイジェクト部材48がねじ止めされており、イジェクト操作子44によってイジェクト部材48の摺動操作が可能とされている。
【0031】
図3に示すように、先端ケース20は、上ケース16及び下ケース18に取り付けられる角筒部52と、この角筒部52の先端側に形成された円筒部54と、によって構成されている。角筒部52の内部には、血液を光学的に測定するための種々の部材が取り付けられる。一方、円筒部54は先端面が開口しており、この開口部56には測定チップ58が着脱自在に取り付けられる。
【0032】
測定チップ58は、円板状に形成されたベース部60と、このベース部60の先端面側に形成されたノズル62と、ノズル62の反対面側に形成された係合部64と、を備える。ベース部60は、外径が円筒部54の外径と略一致するように形成されている。このベース部60の中央にはノズル62が立設されている。ノズル62の中心軸上には、先端面から背面に貫通する採取孔62aが形成されている(
図4参照)。また、ノズル62の先端面には血液を吸収しやすくするための凹溝62bが形成されている(
図2参照)。
【0033】
測定チップ58の係合部64は、円筒状に形成され、円筒部54の開口部56に嵌合する外径に形成されている。この係合部64は、弾性力を有した4つの係止爪(係止部)66が後方に突出するように形成されている。各係止爪66は、円筒部54に挿入される際に、円筒部54内に形成された突条54aに係合する凸部66aが外周側に形成されている(
図6参照)。測定チップ58は、この凸部66aが突条54aを乗り越えて該突条54aに係止されることにより、円筒部54に取り付けられる。
【0034】
また、係合部64の内側には、
図4に示すように、採取孔62aに連通する試験紙収容部68が設けられている。この試験紙収容部68には、血液を採取した際に該血液が染み込む試験紙(測定対象)70が収容されている。血糖値測定装置10は、この試験紙70に照射光を照射して、試験紙70からの反射光を受光することで血液成分の測定を行う。
【0035】
図5は、
図1の血糖値測定装置10の測定部50を示す分解斜視図であり、
図6は、測定部50の拡大断面図であり、
図7は、測定部50において血液成分の検出を行う場合を示す説明図である。
【0036】
血糖値測定装置10の測定部50は、測定チップ58に採取した血液に含まれる成分を光学的に検出する部位である。
図5に示すように、測定部50は、先端ケース20、測光ブロック(ブロック体)72、基板74及びイジェクト部材48等を含む構成である。先端ケース20は、既述したように、角筒部52と円筒部54からなり、上ケース16と下ケース18を重ね合わせた筐体12の先端部に取り付けられる。この先端ケース20は、例えば、ASB樹脂やポリカーボネート等の合成樹脂によって成形される。
【0037】
測光ブロック72は、血液成分の検出を行う基板74を保持して、先端ケース20内部に取り付けられる部材である。この測光ブロック72は、先端ケース20と同じ材料で成形することができ、平板状の基端部76と、基端部76から先端方向に突出する突出部78とからなる。
【0038】
図6に示すように、測光ブロック72の基端部76は、前面に突出部78を備え、後面に基板配置部80を備えている。基板配置部80は、基板74が配置可能な平坦状に形成されており、この基板配置部80の略中央部には、基板74を位置決めする位置決め突起80aが立設されている。この位置決め突起80aは、基板74の係合孔74aを貫通し、後述する発光素子100と受光素子102の間に介在して、発光素子100から受光素子102への直接的な光の伝搬を阻止する機能を有している。
【0039】
また、基板配置部80には、2つの開口部(照射光基板側開口部104、反射光基板側開口部106)が形成されている。照射光基板側開口部104は照射光用光路108に連通し、反射光基板側開口部106は反射光用光路110に連通する。照射光用光路108及び反射光用光路110は、測光ブロック72(基端部76及び突出部78)内部をそれぞれ貫通し、位置決め突起80aに連なる壁部109によって互いが遮光されている。このように、血糖値測定装置10は、照射光用光路108及び反射光用光路110を共に測光ブロック72に形成することで、部品点数を少なくすることができ、製造コストを低減することが可能となる。
【0040】
なお、基端部76の後面には、基板配置部80から後方に突出する隔壁112が形成されている。隔壁112は、基板配置部80に基板74を配設した状態において、測光ブロック72の後面の全辺を囲い、且つ基板74よりも後方に突出するように形成されており、基板74に対して液体の接触や埃等の付着を防ぐ機能を有している。さらに、基端部76には、取付用ねじ孔82が二箇所形成されている(
図5参照)。測光ブロック72は、この取付用ねじ孔82に後方から取付用ねじ84が挿通されて、先端ケース20に形成された取付用雌ねじ(図示せず)にねじ止めされることで、先端ケース20に取り付けられる。
【0041】
一方、測光ブロック72の突出部78は、
図5に示すように、両側面が直線状で且つ上下面が円弧状となった略円筒体に形成されている。突出部78の前面には突出部側開口部86が形成されており、この突出部側開口部86は、内面が突出部78の軸方向に所定の深さ切り欠かれることで装着部87を有している。装着部87には照射光用光路108及び反射光用光路110が連通する。この装着部87は、前方側から挿入されたレンズ88を保持する。
【0042】
測光ブロック72に保持されるレンズ88は、上部側に照射光用レンズ88aが形成され、下部側に反射光用レンズ88bが形成された一体型となっている。このレンズ88は、装着時に、Oリング90が側周面に嵌め込まれて装着部87に装着されることで、照射光用光路108及び反射光用光路110を密封した状態とする。このレンズ88の具体的な構造及び作用効果については後述する。
【0043】
測定部50の基板74は、前記基板配置部80に配置可能な形状に形成されており、基板74の所定の箇所(二箇所)には基板側ねじ孔92が穿設されている。基板74は、基板側ねじ孔92に後方から基板用ねじ94が挿通されて、基板配置部80に形成された基板固定孔96にねじ止めされることで、測光ブロック72に配設される。この基板74の略中央部には、位置決め突起80aに係合する係合孔74aが形成されている。
【0044】
図6に示すように、基板74の基板配置部80と対向する表面には、照射光を出射する2つの発光素子100(第1の発光素子100a、第2の発光素子100b)、反射光を受光する受光素子102が実装されている。一方、発光素子100及び受光素子102の実装面と反対側の表面には、受光素子102に電気的に接続される増幅器(AMP)103、及び血液成分の検出に必要なその他の電子部品(図示せず)が実装されている。さらに、本実施形態に係る基板74は、複数の平板層(第1の平板層75a、第2の平板層75b)及び遮光層75cによる積層構造に形成されており、照射光用光路108及び反射光用光路110に外光等が入り込むことを防止する構成となっている。
【0045】
第1の発光素子100aと第2の発光素子100bは、異なる波長の照射光を出射するために設けられる。発光素子100としては、例えば、所定波長の光を発光する発光ダイオード(LED)を適用することができる。また、受光素子102としては、例えば、フォトダイオード(PD)を適用することができる。なお、本実施の形態では、砲弾形状の外装(透過体)を有していない発光素子100及び受光素子102を基板74に実装することで、基板74の小型化及び血糖値測定装置10の小型化を実現している。
【0046】
増幅器103は、受光素子102が出力する検出信号を増幅する機能を有している。増幅器103としては、例えば、オペアンプを適用することができる。
【0047】
測光ブロック72の基板配置部80に基板74を配設する場合は、発光素子100及び受光素子102を基板配置部80に向けて配設する。基板配置部80に基板74を配設した状態では、発光素子100は照射光用光路108の基端側に、受光素子102は反射光用光路110の基端側に配置される。
図7に示すように、発光素子100は、測定時に照射光Liを出射し、照射光用光路108及び照射光用レンズ88aを介して、該照射光を試験紙70に照射する。一方、受光素子102は、試験紙70から反射される反射光Lrを、反射光用レンズ88b及び反射光用光路110を介して受光する。
【0048】
測光ブロック72を先端ケース20に取り付けた状態では、先端ケース20の内周面と測光ブロック72の突出部78側面との間にクリアランス114が形成される。このクリアランス114には、イジェクト部材48が摺動可能に配置される。
【0049】
図5に示すように、イジェクト部材48は、先端側に形成された押出部116と、この押出部116が固定されるとともに所定距離だけ摺動可能な摺動プレート118と、を一体成形した構成である。
【0050】
イジェクト部材48の押出部116は、円筒形状の下部が所定量切り欠かれた円弧状に形成されている。
【0051】
摺動プレート118は、押出部116から後方に延在する平板状に形成されている。この摺動プレート118は、中央部が長手方向に切り欠かれており、この切り欠き部118aの後端にバネ用突起120が形成されている。また、摺動プレート118の後部には、イジェクト用ねじ122(
図4参照)に螺合され、イジェクト操作子44の脚部44aに固定されるためのイジェクト部材側ねじ孔124が穿設されている。
【0052】
一方、先端ケース20には、
図6に示すように、イジェクト部材48の先端側を収容するイジェクト部材配置部126が形成されている。このイジェクト部材配置部126は、角筒部52内の上側に形成されており、摺動プレート118の両側端部を支持する構成となっており、後方に突出するバネ配置突起130を有している。
【0053】
イジェクト部材48は、
図5及び
図6に示すように、バネ部材132を切り欠き部118aに配して、イジェクト部材配置部126に設けられる。この場合、バネ部材132の一端にバネ用突起120が挿入され、他端にバネ配置突起130が挿入される。
【0054】
測光ブロック72及びイジェクト部材48を先端ケース20に配設した状態では、押出部116が測光ブロック72の突出部78外周面(上面及び両側面)上に配置される。また、イジェクト部材48は、筐体12の長手方向に摺動自在に配置されることになり、このイジェクト部材48が摺動することで、押出部116が突出部78の外周上(すなわち、クリアランス114)を進退移動する。測定チップ58が先端ケース20に取り付けられている場合は、イジェクト部材48の先端方向への移動により、押出部116が測定チップ58の係止爪66を押し出す。これにより、筐体12から測定チップ58を取り外すことができる。
【0055】
次に、本実施の形態に係るレンズ88の特徴部分について詳述する。
図8は、レンズ88の構造を概略的に示す斜視図であり、
図9Aは、レンズ88の側面断面図であり、
図9Bは、反射光用レンズ88bの一部を拡大して示す側面断面図である。
【0056】
レンズ88は、上述したように、照射光を集光する照射光用レンズ88aと反射光を集光する反射光用レンズ88bが一体成形されている。このレンズ88は、ガラス材や樹脂材等を用いて成形することができる。レンズ88は、測光ブロック72の装着部87に装着保持される被保持部140と、照射光用レンズ88aの機能を有する照射光凸部142と、反射光用レンズ88bの機能を有する反射光凸部144とを備えている。
【0057】
図9Aに示すように、レンズ88は、被保持部140の一方の面に照射光凸部142及び反射光凸部144が形成され、被保持部140の他方の面が平坦状に形成されている。すなわち、照射光用レンズ88aと反射光用レンズ88bは被保持部140を共有している。この場合、照射光用レンズ88aは、照射光凸部142と被保持部140によって平凸レンズとして機能し、反射光用レンズ88bは、反射光凸部144と被保持部140によって同じく平凸レンズとして機能する。
【0058】
図8に示すように、被保持部140は、全体的に小判形状に形成されており、側周面の中央部分に溝部146が形成されている。この溝部146は、側周面の周方向に沿って刻設されており、装着部87にレンズ88を挿入する際にOリング90が嵌め込まれる。
【0059】
また、
図9Aに示すように、被保持部140の表面には、照射光凸部142が球面レンズとして形成されている。この場合、球面レンズは、試験紙70、レンズ88及び発光素子100の間隔に基づいて、球面の曲率半径が調整されている。本実施の形態に係る血糖値測定装置10では、発光素子100と試験紙70間の略中間位置に照射光凸部142の球面が配置されるように構成されており(
図6参照)、球面レンズの形状を比較的容易に設計することが可能となっている。
【0060】
一方、反射光凸部144は、被保持部140の表面から所定量突出する円柱部(突出部)148と、円柱部148の上部において非球面レンズに形成される集光部150とからなる。円柱部148は、測光ブロック72の装着部87との接続箇所に形成される反射光用光路110の連通部110a(
図6参照)に係合する外径に形成されており、レンズ88の装着によって反射光用光路110の連通部110aに嵌合される。これにより、円柱部148の上部に備える集光部150を、反射光用光路110の所定位置に確実に位置決めすることができる。
【0061】
集光部150は、表面が非球面レンズに形成されている。非球面レンズは、球面とならない曲面に形成されたレンズであり、例えば、双曲面や高次多項式曲面が相当する。集光部150は、非球面レンズに形成されていることで、試験紙70から反射された反射光を球面収差がないように受光素子102の表面に集光する。
【0062】
本実施の形態に係る集光部150(非球面レンズ)についてより具体的に説明すると、
図9Bに示すように、非球面レンズの曲面(
図9Bの実線)は、一般的な球面レンズの曲面(
図9Bの点線)に対して中央部が同じ位置に形成され、中央部から周縁部に向かって、球面レンズの曲面に比べて最初は傾斜が急で徐々に緩やかな曲面となるように形成される。なお、
図9では、反射光用レンズ88bの周縁部が大きく窪んだ状態を図示しているが、実際の非球面レンズの曲面は、球面レンズに対してごく僅かな形状差(例えば、数μm)に形成される。この非球面レンズの曲面は、レンズ88の屈折率や形状(直径、厚さ及び曲率半径)、又は反射光用レンズ88bや受光素子102、試験紙70の配置間隔等に基づいて適宜設計される。
【0063】
また、レンズ88は、照射光用レンズ88a(照射光凸部142)の光軸Laと反射光用レンズ88b(反射光凸部144)の光軸Lbが互いに略平行に形成されている。これにより、照射光用レンズ88aと反射光用レンズ88bを一体成形する際に、例えば照射光用レンズ88aと反射光用レンズ88bの光軸La、Lbが傾く構成に比べて、レンズ88の加工を容易に行うことができる。特に、反射光凸部144を非球面レンズに形成する場合は、高度な加工技術が要求されるため、互いの光軸La、Lbを平行とすることで、加工効率の向上を図ることも可能である。
【0064】
このレンズ88を測光ブロック72に装着する場合は、被保持部140の溝部146にOリング90を装着した後、突出部側開口部86から装着部87にレンズ88を挿入する。測光ブロック72は、突出部側開口部86がレンズ88の平面形状(小判形状)に係合する形状に形成されており、さらに、この平面形状が所定の深さまで切り欠かれることで装着部87が形成されている。このため、レンズ88の装着時には、突出部側開口部86の開口方向からレンズ88を挿入することで、該レンズ88を装着部87に容易に案内することができる。すなわち、この測光ブロック72によれば、レンズ88の装着において良好な装着性を発揮することができる。
【0065】
図6に示すように、レンズ88が装着部87に装着保持された状態では、測光ブロック72内の壁部109が被保持部140に当接して、照射光凸部142が配置される空間(照射光用光路108)と反射光凸部144が配置される空間(反射光用光路110)が隔離される。また、装着部87の開口端部(突出部側開口部86の先端)が熱かしめ等によって内側にかしめられる。このように突出部側開口部86の開口端部がかしめられることにより、レンズ88の脱落が防止され、装着部87によるレンズ88の保持が一層確実となる。
【0066】
また、レンズ88が装着部87に装着保持された状態では、照射光凸部142が発光素子100に対向し、反射光凸部144が受光素子102に対向する。反射光凸部144は、上述したとおり、円柱部148が連通部110aに嵌合される。ここで、例えば円柱部148を備えない構成では、非球面レンズに形成される集光部が位置ずれを起こす可能性があり、これにより集光部による反射光の集光精度を低下させてしまうことになる。これに対し、本実施の形態に係る反射光凸部144では、円柱部148が嵌合することで、集光部150を確実に位置決めすることができる。したがって、反射光用レンズ88bは、受光素子102に反射光を安定的に集光することができる。
【0067】
また、測光ブロック72は、基端部76と突出部78が周方向に閉じているため、反射光用光路110内に反射光以外の光が入り込むことを低減することができる。すなわち、測光ブロック72は、反射光用光路110内の遮光性が充分に確保された形状に形成されている。
【0068】
本実施の形態に係る血糖値測定装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次に血糖値測定装置10による血液成分の測定について説明する。血液成分の測定では、まず測定チップ58が装着された血糖値測定装置10を用いて被測定者の血液を採取する。具体的には、指先を専用の穿刺器具(図示せず)で穿刺し、皮膚上に少量(例えば、0.3〜1.5μL程度)の血液を流出させる。そして、指先から流出した血液に、血糖値測定装置10の先端に装着されている測定チップ58のノズル62先端を当接させる。
【0069】
これにより、血液は、ノズル62先端の凹溝62bを経て採取孔62a内に入り込み、毛細管現象によって後端に吸引される。そして、試験紙収容部68内に収容されている試験紙70に染み込み、試験紙70の径方向外側へ向かって円形状に広がっていく。この血液の展開と同時に、血液中のブドウ糖と試験紙70に含まれている発色試薬とが反応を開始し、ブドウ糖の量に応じて試験紙70が呈色する。
【0070】
図7に示すように、血糖値測定装置10により試験紙70の呈色を光学的に検出する場合は、先ず第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から照射光Liを出射する。第1の発光素子100a(又は第2の発光素子100b)から出射された照射光Liは、照射光用光路108を通過し、照射光用レンズ88a(照射光凸部142)に入射される。照射光Liが入射されると、照射光凸部142は、その曲面にしたがって光軸Laの方向に照射光Liの光線を屈折させる。照射光凸部142によって屈折された照射光Liの光線は、そのままレンズ内を通って被保持部140から出射され、試験紙70の焦点位置Aに集光される。
【0071】
試験紙70に照射された照射光Liは、試験紙70の焦点位置Aに照射されると、照射光Liの入射方向に反射する直接反射光と、その周囲に散乱する散乱光とに分かれる。
図6に示すように、反射光用レンズ88bは、この試験紙70の焦点位置Aに対して所定角度(例えば、30°)ずれた位置にあり、散乱光が反射光Lrとして入射される。また、反射光Lrを受光する受光素子102は、試験紙70の焦点位置Aに対して、反射光凸部144の光軸Lbと反射光凸部144の頂部が交わる交点Bを基点とした対称位置に配置されている。反射光用レンズ88bは、この受光素子102の配置位置に集光するように反射光Lrを出射する。
【0072】
図10は、反射光用レンズ88b内における反射光の光線Lr0〜Lr2の進行を概略的に示す説明図である。試験紙70から反射してきた反射光の光線Lr0〜Lr2は、反射光用レンズ88bに入射されると、空間(空気)の屈折率とレンズ88の屈折率の違いによって所定角度屈折する。反射光用レンズ88bの被保持部140及び円柱部148内では、所定角度で屈折した反射光の光線Lr0〜Lr2がそのまま直進して、集光部150に導かれる。集光部150では、反射光の光線Lr0〜Lr2が非球面レンズの曲面に従って屈折される。
【0073】
ここで、反射光用レンズ88b内の反射光の光線Lr0〜Lr2の進行を具体的に説明すると、
図10に示す反射光凸部144の頂部を通る反射光の光線Lr0は、反射光凸部144の光軸Lbに角度θで進入した場合、反射光凸部144の頂部から角度−θで出射することになる。そして、反射光用光路110内において、反射光の光線Lr0はそのまま直進し、対向する受光素子102の表面(焦点位置C)に対してφの角度(φ=90°−θ)で入光する。
【0074】
また、
図10に示す反射光凸部144の上部を通る反射光の光線Lr1は、集光部150(非球面レンズ)の緩やかな曲面によって、出射角度を僅かに光軸Lbに向かって傾かせる。その結果、反射光の光線Lr1は、反射光凸部144の上部から内側に僅かに屈折されて出射され、受光素子102の表面(焦点位置C)において光線Lr0に合焦される。
【0075】
さらに、
図10に示す反射光凸部144の下部を通る反射光の光線Lr2は、集光部150(非球面レンズ)の緩やかな曲面に対し光線Lr1よりも大きな角度で進入し、出射角度を光線Lr1よりも光軸Lbに向かって傾かせる。その結果、反射光の光線Lr1は、反射光凸部144の下部から内側に屈折されて出射され、受光素子102の表面(焦点位置C)において光線Lr0に合焦される。
【0076】
このように、反射光の光線Lr0〜Lr2は、反射光用レンズ88bにより受光素子102の表面の所定の焦点位置Cに集光される。一般的に、集光部150が球面レンズの場合は、反射光の光線Lr0〜Lr2の焦点位置Cが光軸Lb方向にずれることになる。これに対し、本実施の形態では、集光部150が非球面レンズに形成されているため、反射光凸部144の周縁部を通った反射光の光線Lr1及びLr2と、反射光凸部144の頂部を通った反射光の光線Lr0の焦点位置Cが一致することになり、球面収差を大幅に低減することができる。
【0077】
受光素子102は、反射光Lrを受光すると、その光量を検出する。血糖値測定装置10は、この検出値に基づき試験紙70の呈色の度合いを測定する。
【0078】
血糖値測定装置10による血糖値の測定では、第1の発光素子100aと第2の発光素子100bの照射光Liが交互に出射される。そして、第1の発光素子100aが照射する照射光Liによって発色試薬とブドウ糖との反応で生じた色素を検出し、ブドウ糖の量に応じた呈色濃度を測定する。また、第2の発光素子100bが照射する照射光Liによって赤血球を検出し、赤血球の赤色濃度を測定する。そして、呈色濃度から得られるグルコース値を赤色濃度から得られるヘマトクリット値を用いて補正し、血糖値を求めることができる。
【0079】
測定終了後、測定チップ58を筐体12から取り外す場合は、イジェクト操作子44を先端側に押圧してイジェクト部材48を前方(先端側)にスライドさせる。これにより、イジェクト部材48の押出部116が測定チップ58の係止爪66を前方に押圧し、測定チップ58を取り外すことができる。
【0080】
この場合、ユーザは、片手操作によって測定チップ58を血糖値測定装置10から容易に取り外すことができる。しかも、測定チップ58は下ケース18側に湾曲した筐体12の先端に取り付けられているため、イジェクト操作子44の操作によって、測定チップ58に手を触れることなく、簡単且つ迅速に該測定チップ58の廃棄処理を行うことができる。
【0081】
図11は、本発明に係るレンズの変形例を概略的に示す説明図である。
図11に示すように、レンズ160の反射光用レンズ162は、反射光凸部164の集光部166を球面レンズとして形成し、この球面レンズの表面に樹脂材料によって成形した非球面レンズ168を貼り付けるように構成してもよい。この場合、非球面レンズ168は、その表面が
図9の集光部150(非球面レンズ)の曲面と同じ曲面となるように、集光部166の形状(直径及び曲率半径)も加味されて成形される。通常、非球面レンズの加工には高度な技術が要求されるため、このようにレンズ160の加工とは別に非球面レンズ168を成形して、該非球面レンズ168を貼り付ける構成とすることで、レンズ88に非球面レンズを直接加工するよりも安価に製造することができる。
【0082】
また、反射光用レンズ88bは、反射光Lrが斜めに入射されると、スネルの法則に基づきレンズ内に屈折が起こるため、被保持部140の板厚を調整することによって、反射光の光線Lr0の入射角度θを変更することができる。すなわち、反射光用レンズ88bは、試験紙70とレンズ88(反射光用レンズ88b)と受光素子102の配置位置の関係から反射光の光線Lr0の最適な入射角度θを求め、最適な入射角度θとなるように被保持部140の板厚を設定すれば、試験紙70から反射された反射光Lrを受光素子102の所定の焦点位置Cに容易に集光させることができる。これにより、集光部150を非球面レンズに加工した後は、非球面レンズの形状を変更することなく、被保持部140の板厚を調整することで、反射光の焦点位置を補正することが可能となる。
【0083】
以上のように、血糖値測定装置10は、測光ブロック72にレンズ88の平面形状と一致する装着部87を設けることにより、レンズ88の装着性を向上することができ、装置の組立作業の効率化を図ることができる。また、反射光用レンズ88bが非球面レンズに形成されていることで、反射光Lrの球面収差を大幅に低減することが可能となり、生体成分の測定精度を向上することができる。
【0084】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは勿論である。例えば、本発明に係る成分測定装置は、尿の成分の測定する装置として適用してもよく、或いは、体液以外に、排水や工業用水等の成分測定を行う装置として適用することもできる。
【0085】
また、反射光凸部144の形状は、球面収差の低減のみを目的として形成されなくてもよい。すなわち、反射光凸部144は、収差として知られるコマ収差、非点収差、像面湾曲、歪曲収差、軸上色収差、倍率色収差等を勘案して、最適な曲面に形成されることで、反射光Lrをより精度よく集光することができる。