【実施例】
【0209】
実施例1
超微粒気泡サイズ
ガスの超微粒気泡サイズの限界値を決定するために本発明の拡散器を使用してガス富化流体にて実験を行った。超微粒気泡サイズの限界値は、ガス富化流体を、0.22ミクロンフィルタおよび0.1ミクロンフィルタを通過させることにより確定した。これらの試験を行う際、一定容量の流体が本発明の拡散器を通過し、ガス富化流体を生成した。この流体60ミリリットルを60mlの注射器に流出した。次いで、注射器内の流体の溶解酸素値をWinkler滴定により測定した。注射器内の流体を0.22ミクロンMillipore Millex GP50フィルタを通して、50mlビーカー内に注入した。次いで、50mlビーカー内の物質の溶解酸素率を測定した。実験を3回行って、下表4に示す結果を得た。
【表13】
【0210】
表に見ることができるように、注射器内で測定された溶解酸素値と50mlビーカー内で測定された溶解酸素値の間には、拡散物質を0.22ミクロンフィルタに通過させることによる有意差はなく、流体中の溶解ガスの超微粒気泡は、0.22ミクロン以下であることが推測される。
【0211】
第2の試験を、濾過されていない状態で収集した食塩溶液バッチで富化した本発明の拡散器および産出溶液サンプル内で行った。濾過されていないサンプルの溶解酸素値は44.7ppmであった。0.1ミクロンフィルタを使用して本発明の拡散器から酸素富化溶液を濾過し、2つの追加サンプルを収集した。第1のサンプルの溶解酸素値は43.4ppmであった。第2のサンプルの溶解酸素値は41.4ppmであった。最終的に、フィルタを除去し、濾過されていない溶液から最終サンプルを得た。この場合、最終サンプルの溶解酸素値は45.4ppmであった。これらの結果は、Millipore0.22ミクロンフィルタ使用時の結果と一致した。したがって、食塩溶液中の大部分の気泡または超微粒気泡は約0.1ミクロン未満のサイズである。
実施例2
【0212】
(本発明の界面動電的に生成された流体(RNS60およびSolas)で灌流されたCalu−3細胞において行われたパッチクランプ分析は、(i)RNS60およびSolasへの曝露は全細胞伝導性を増加させた、(ii)RNS60への細胞の曝露は15分間のインキュベーション時間で明らかに、非線形伝導性を増加させた、および(iii)RNS60への細胞の曝露が、カルシウム透過性チャネルに対するRNS60食塩水の効果を生じたことを示した)
【0213】
要約。本実施例において、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS60およびSolas)の有用性(本明細書に記載される全細胞電流を調節するための有用性を含む)を更に確認するためにパッチクランプ研究を行った。2セットの実験を行った。
【0214】
第1セットの実験データの概要は、Solas食塩水を用いて得た全細胞伝導性(電流−電圧関係)は、両インキュベーション時間(15分間、2時間)、およびすべての電圧プロトコルに対して、高度に線形であることを示す。しかしながら、Solasを用いた、より長いインキュベーション(2時間)が、全細胞伝導性を増加させたことは明らかである。RNS60への細胞の曝露は、デルタ電流(Rev−Sol減算)に示されるように、非線形伝導性を増加させ、これは、15分間のインキュベーション時間でのみ明らかである。この非線形電流におけるRNS60の効果は消失し、代わりに2時間のインキュベーション時間で高度に線形性である。非線形全細胞伝導性の寄与は、全電圧プロトコルで存在するが、既に観察されたように電圧感受性であった。
【0215】
第2セットの実験データの概要は、非線形電流に対してRNS60食塩水の効果があることを示し、これは、外液中の高カルシウムにおいて明らかであった。非線形全細胞伝導性の寄与は、電圧感受性ではあるが、両電圧プロトコルにて存在し、カルシウム透過性チャネルに対するRNS60食塩水の効果を示す。
【0216】
第1セットの実験(伝導性増加および非線形電圧調整された伝導性の活性化)
材料および方法:
気管支上皮細胞株Calu−3をパッチクランプ試験に使用した。Calu−3気管支上皮細胞(ATCC #HTB−55)は、実験時まで、ガラス製カバースリップ上に10%FBSで補充した1:1のHam’s F12とDMEM培地の混合物において増殖させた。簡単に述べると、全細胞電圧クランプ機器を使用して、本発明の界面動電的に生成された流体(例えば、RNS60、60ppmの溶解酸素を含む界面動電的に処理された生理食塩水、場合によっては、本実施例において「薬剤」と称される)に曝露された、Calu−3細胞に対する効果を測定した。
【0217】
パッチクランプ法を利用して、上皮細胞膜の極性およびイオンチャネル活性に対する試験材料(RNS60)の効果を評価した。具体的には、全細胞電圧クランプは、135mM NaCl、5mM KCl、1.2mM CaCl2、0.8mM MgCl2、および10mM HEPES(N−メチルD−グルカミンでpHを7.4に調整)からなる浸液中で、気管支上皮細胞株Calu−3上で行った。基礎電流は、RNS60が細胞に灌流後に測定した。
【0218】
より具体的には、パッチピペットは、2段階のNarishige PB−7垂直プラーを用いてホウケイ酸ガラス(Garner Glass Co, Claremont, CA)から引き上げ、次いで、Narishige MF−9マイクロフォージ(Narishige International USA, East Meadow, NY)を用いて、6〜12メガオーム抵抗までファイヤーポリッシュした。ピペットは、135KCl、10NaCl、5EGTA、10Hepes(mM)を含む細胞内液で充填され、NMDG(N−メチル−D−グルカミン)を用いてpHを7.4に調整した。
【0219】
培養されたCalu−3細胞は、以下の細胞外溶液(mM):135NaCl、5KCl、1.2CaCl2、0.5MgCl2、および10Hepes(遊離酸)を含むチャンバ内に入れ、NMDGを用いてpHを7.4に調整した。
【0220】
細胞は、Olympus IX71顕微鏡(Olympus Inc.,Tokyo,Japan)の40X DIC対物レンズを使用して観察した。細胞接着型ギガシールを構築後、軽く吸引して全細胞の立体構造を調整して得た。調整直後、細胞を−120、−60、−40、および0mVで電圧クランプし、±100mV間の電圧工程(500ms/工程)で刺激した。対照条件下で全細胞電流を収集後、同一細胞を、上記の対照流体と同一の細胞外溶質およびpHを含む試験流体を用いた浸液により灌流し、異なる保持電位で全細胞電流を同一プロトコルを用いて記録した。
【0221】
電気生理学的データは、Axon Patch 200B増幅器を用いて取得し、10kHzで低域フィルタリングして、1400A Digidata(Axon Instruments,Union City,CA)を用いてデジタル化した。pCLAMP10.0ソフトウェア(Axon Instruments)を使用してデータを取得し、分析した。電流(I)−電圧(V)関係(全細胞伝導性)は、該工程に、約400ミリ秒で実際の電流値を保持電位(V)に対してプロットして得た。I/V関係の傾きは、全細胞伝導性である。
【0222】
薬剤および化学物質。指定時は必ず、細胞は、8−Br−cAMP(500mM)、IBMX(イソブチル−1−メチルキサンチン、200mM)、およびホルスコリン(10mM)を含むcAMP刺激カクテルで刺激した。H
2O溶液中の25mMストックからcAMP類似体8−Br−cAMP(Sigma Chem.Co.)を使用した。10mMホルスコリンと200mM IBMX原液の両方を含むDMSO溶液からホルスコリン(Sigma)およびIBMX(Sigma)を使用した。得られたデータは、5〜9細胞あたりの平均±SEM全細胞電流として示す。
【0223】
結果:
図1A〜Cは、2つの時点(15分間(左パネル)および2時間(右パネル))ならびに異なる電圧プロトコル(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)で、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性に対する界面動電的に生成された流体(例えば、RNS60およびSolas)の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。結果は、RNS60(黒丸)は、Solas(白丸)よりも全細胞伝導性に対する効果が高いことを示す。実験において、同様の結果が、3つの電圧プロトコルならびに15分間および2時間のインキュベーション時点で見られた。
【0224】
図2A〜Cは、3つの電圧プロトコル(「デルタ電流」))(A.0mVからのステッピング、B.−60mVからのステッピング、C.−120mVからのステッピング)および2つの時点(15分間(白丸)および2時間(黒丸))で、RNS60電流データからSolas電流データを減算して得たグラフを示す。これらのデータは、RNS60を用いた15分間の時点では、2時間の時点に存在しない非線形電位依存性成分があることを示した。
【0225】
先行実験のように、「生理」食塩水を用いたデータにより、参照として用いた非常に一貫した非時間依存性の伝導性を得た。本結果はSolasまたはRNS60食塩水のいずれかと群を適合させることにより得られ、基礎条件(cAMPなし、または任意の他の刺激なし)下で、RNS60食塩水へのCalu−3細胞の曝露は、時間依存性効果(1つ以上)を作りだし、より短いインキュベーション時間(15分間)で、電圧調節された伝導性の活性化と一致することを示す。この現象は、2時間のインキュベーション時点では明らかではなかった。本明細書の他の箇所で記載される線形成分は、伝導性が、cAMP「カクテル」での刺激により増加する際、更に明らかである。それでもなお、2時間のインキュベーション時間は、RNS60およびSolas食塩水の両方に対してより高い線形伝導性を示し、この場合、RNS60食塩水は、Solas単独と比較して、全細胞伝導性が倍になった。この証拠は、全細胞伝導性への少なくとも2つの寄与、即ち、非線形電圧調整された伝導性および線形伝導性の活性化が、RNS60食塩水により影響を受け、これは、より長い時間のインキュベーション時間で、更に明らかである。
【0226】
第2セットの実験(カルシウム透過性チャネルに対する効果)
第2セットの実験のための方法:
一般的なパッチクランプ法に関しては、上記を参照されたい。以下の第2セットの実験において、なお更なるパッチクランプ研究を行い、基礎条件下で、Calu−3細胞を使用して、0mVあるいは−120mVのいずれかの保持電位からステッピングするプロトコルを用いて、全細胞電流を調節するために、本発明の界面動電的に生成された食塩水流体(RNS60およびSolas)の有用性を更に確認した。
【0227】
いずれの場合にも、全細胞伝導性は、いずれかの食塩水を使用して、15分間、インキュベートされた細胞から得た電流−電圧関係から得た。全細胞伝導性へのカルシウム透過性チャネルの寄与があるかどうか、および全細胞伝導性のこの部分が、RNS60食塩水を用いたインキュベーションにより影響を受けるかどうかを決定するために、細胞をインキュベーション時間後に生理食塩水中にパッチした(高NaCl外部溶液を伴うが、内部溶液は高KClを含有する)。次いで、外部食塩水は、NaClをCsClにより置換した溶液と置換し、主要な外部カチオンを置換することにより、伝導性が変化するかどうかを判定した。これらの条件下で、同一細胞を、次いで、カルシウム入力工程が更に明らかとなるようにカルシウム濃度を増加させるように曝露させた。
【0228】
結果:
図3A〜Dは、異なる外部食塩水を使用して、異なる電圧プロトコル(パネルAおよびCは0mVからのステッピングを示し、パネルBおよびDは−120mVからのステッピングを示す)で、上皮細胞膜極性およびイオンチャネル活性における、界面動電的に生成された流体(例えば、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS60(パネルCおよびD))の効果を評価した、パッチクランプ実験の一連の結果を示す。これらの実験において、15分間の一時点を使用した。Solas(パネルAおよびB)に関して、結果は、1)外部溶液としてNaClの代わりにCsCl(四角印)を使用し、対照(菱形印)と比較した際、線形的に全細胞伝導性が増加したこと;ならびに2)20mM CaCl
2(丸印)および40mM CaCl
2(三角印)の両方で、CaCl
2は、非線形的に全細胞伝導性が増加したことを示す。RNS60(パネルCおよびD)に関して、結果は、1)外部溶液としてNaClの代わりにCsCl(四角印)を使用し、対照(菱形印)と比較した際、全細胞伝導性に対する効果がほとんどなかったこと;ならびに2)40mMでのCaCl
2(三角印)は、非線形的に全細胞伝導性を増加したことを示す。
【0229】
図4A〜Dは、Solas(パネルAおよびB)ならびにRNS60(パネルCおよびD)に対する2つの電圧プロトコル(パネルAおよびC、0mVからのステッピング、BおよびD、−120mVからのステッピング)で、20mM CaCl
2(菱形印)および40mM CaCl
2(四角印)電流データからCsCl電流データ(
図3に示す)を減算して得たグラフを示す。結果は、SolasとRNS60溶液は共に、カルシウム誘発性非線形全細胞伝導性を活性化したことを示す。RNS60(投与量反応性を示す)使用時の効果の方が大きく、RNS60使用時のみ高カルシウム濃度で増加した。更に、高カルシウム濃度では、非線形カルシウム依存性伝導性も電圧プロトコルにより増加した。
【0230】
この第2セットの実験のデータは、Calu−3細胞中で得られた全細胞伝導性データに対するRNS60食塩水およびSolas食塩水の効果を更に示す。データは、いずれかの食塩水を用いた15分間のインキュベーションは、全細胞伝導性に対する明らかな効果を生じ、これは、RNS60使用時に最も明らかであり、外部カルシウムが増加する際、RNS60食塩水は、全細胞伝導性のカルシウム依存性非線形成分を増加することを更に示す。
【0231】
蓄積された証拠は、基底細胞伝導性の異なる原因となる、イオンチャネルのRevalesio食塩水による活性化を示唆する。
【0232】
出願者らの他のデータ(例えば、出願者らの他の実施例データ)を総合すれば、本発明の特定の態様では、膜構造、膜電位もしくは膜伝導性、膜タンパク質もしくは受容体、イオンチャネル、脂質成分、または細胞により置換可能な細胞内成分(例えば、カルシウム依存性の細胞シグナリングシステム等のシグナル経路)の少なくとも1つの調節を含む、細胞内シグナル変換を調節するための組成物および方法を提供し、これには、GPCRおよび/またはGタンパク質が挙げられるが、これらに限定されない、膜構造(例えば、膜および/もしくは膜タンパク質、受容体、または他の膜成分)の電気化学および/または立体構造の変化を与えるための本発明の界面動電的に生成された溶液の使用を含む。追加の態様によれば、これらの効果は、遺伝子発現を調節し、持続し、例えば、個々の伝達成分等の半減期に依存し得る。
【0233】
実施例3
(本発明の界面動電流体は、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)の急性実験的アレルギー性(自己免疫性)脳脊髄炎(EAE)ラットMBPモデルにおいて、実質的に用量依存的に効果的であることが示された)
【0234】
要約:
本実施例において、本発明の界面動電流体RNS60を、当該技術分野において認識されているミエリン塩基性タンパク質MBP誘発性の急性実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)ラットモデルにおける、予防投与と治療投与レジメンの両方において2用量で検討した。本発明の界面動電流体RNS60は、実質的に用量依存的に効果的であることが示された。治療(MBP注射との併用から開始するRNS60の連日投与)と予防(MBP注射の7日前に開始するRNS60の連日投与)のRNS60の投与量レジメンは共に、臨床スコアの著しい低下、および発現の遅延(高用量群)を示した。したがって、本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電組成物は、当該技術分野において認識されているヒトMSのラットモデルにおける、EAE症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。したがって、本発明の更なる態様によれば、本発明の界面動電組成物は、罹患している哺乳類(ヒトが好ましい)におけるMS症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。なお更なる態様では、本発明の界面動電組成物は、血液脳関門(BBB)を横断し、このようにして中枢神経系の炎症性状態を治療するための新規の方法を提供した。
【0235】
多発性硬化症(MS)。多発性硬化症(MS)は、中枢神経系(CNS)の脱髄疾患であり、若者において最も一般的な身体神経障害の1つである。該疾患の主要な特徴は、脱髄および炎症の病巣領域である。疾患経過は予測不能であり、生涯にわたり男性よりも女性に一般的に発症する。疾患の病因は、遺伝的要因と環境要因に依存すると考えられる。抗原は、末端でMCH IIを介して抗原提示細胞(APC)と結合する。Th0細胞は抗原に結合し、活性化および分化させる。接着分子およびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)は、Th1細胞が結合して血液脳関門(BBB)に浸透するのを促進する。CNSへのBBBを横断時、Th1細胞は、抗原−MHC複合体に会合し、炎症性サイトカインを生じ、CNS損傷を引き起こす。自己免疫系は、ミエリンタンパク質を異物として認識し、攻撃し始める。歴史的に、Th1細胞は、疾患の病変において主要な役割を果たすと考えられ、最近の証拠は、Th17細胞、IL−6、およびTGF−βの炎症性カスケードは、EAEおよびMSの発病において、重要な役割を果たすことを示す。
【0236】
実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)。実験的自己免疫脳脊髄炎(EAE)(実験的アレルギー性脳脊髄炎とも称される)は、多発性硬化症(MS)の非ヒト動物モデルである。MSとは異なり、EAEの異なる形態および段階は、多数の方法において、MSの様々な形態および段階に非常に類似している。より具体的には、EAEは、急性または慢性再発性の後天的な炎症性、かつ脱髄自己免疫疾患である。神経細胞(ニューロン)を取り囲む絶縁被覆であるミエリンを生成する、様々なタンパク質(例えば、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)、プロテオリピドタンパク質(PLP)、およびミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG))の全体または一部を動物に注射し、ヒトのMSに非常に類似する動物自身のミエリンに対して自己免疫応答を誘発する。EAEは、多くの異なる動物種(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、マカク、赤毛サル、およびマーモセット等)に誘発されている。様々な理由(免疫学的手段の数、動物のアベイラビリティ、寿命、および繁殖力、ならびにMSへの誘発した疾患の類似性等)から、マウスおよびラットが最も一般的に使用される種である。急性ラットEAEモデルは、強力な炎症性成分を有するため、MSにおける免疫事象を標的とする薬剤の治療可能性を調査するには、適切なモデルである。
【0237】
MBP誘発性EAE。LewisラットにおけるMPBは1用量後、後足麻痺を主に特徴とする再発を引き起こし得る。0日目、LewisラットにMBPを注射する。疾患は12〜16日目に発症し、18〜21日目に完全な疾患の回復が起こる。モデルは自己限定的であり、脱髄を示さない。
【0238】
材料および方法:
試験流体(RNS60)の生成および特性化。フィルタ滅菌したRNS60は、米国第2008/0219088号(2008年9月11日に公開)、米国第2008/0281001号(2008年11月11日に公開)、および国際公開特許第2008/052143号(2008年5月2日に公開)に記載される方法に従って、出願者らが調製し、これらのすべては、参照することによりその全体、特に、出願者らの発明の界面動電流体を調製するための装置および/または方法に関するすべての態様が本明細書に組み込まれる。使用したRNS60の溶解酸素(DO)含有量は、ウインクラー滴定法により59ppmと測定された(Y.C.Wong & C.T.Wong.New Way Chemistry for Hong Kong A−Level Volume 4,Page248または、Standard Methods for the Examination of Water and Wastewater−20th Edition ISBN 0−87553−235−7)。RNS60流体には、試験アイテム(TI)番号、受理日、保存条件、および使用期限を示すラベルを付けた。RNS60の保存条件および取り扱いは、試験中、試験施設で安定性を確保するために出願者らの明細書に準じた。流体は、使用していない間は、2〜8℃で冷蔵保存した。流体を含むバイアルは使い捨て容器として使用した。
【0239】
ビヒクル対照流体。ビヒクル対照流体は、Hospira製の注射用生理食塩水(0.9%)であった。
【0240】
デキサメタゾン。デキサメタゾンは、Sigmaから購入した(Cat番号D1756、ロット番号096K1805)。投与用に、デキサメタゾン(白色粉末)は、1mg/mlの濃度に達するようにエタノール溶液で希釈し、次いで、0.1mg/mlの用量濃度に達するように蒸留水で再度希釈した。
【0241】
EAE誘発アイテム:
MBP抗原剤。MBPは、モルモット由来のミエリン塩基性タンパク質(Des−Gly−77、Des−His−78)−MBP(68−84);Cat番号H−6875;MD Bioscienceにより供給)であった。MBPは2mg/mlの濃度で、生理学的食塩水に溶解させた。
CFA感作剤。完全フロインドアジュバント(CFA)は、MD Biosciences Division of Morwell Diagnostics GmbH製(Cat番号IMAD−4)であった。4mg/mlの濃度で、熱殺菌されたヒト型結核菌(Mycobacterium Tuberculosis)H37 Raを含むCFA懸濁液を、供給されたように使用し、および
MBP/CFA乳剤(抗原/感作剤)。試験0日目に行った単一接種の前に、1容量のMBP溶液を、ルアーフィッティングにより接続された2本の注射器を利用することにより等容量のCFA 4mg/mlと混合し、100μl/動物の総用量と等量になるように、乳剤混合物を完全に混合した。用量は、足底内注射領域に、2×50μlの皮下(SC)両側注射として送達した。
【0242】
試験動物、ラット。60匹の雌Lewisラット(試験開始時、6〜7週齢)を、Harlan Laboratories Israel, Ltdから得た。処置開始時の動物の体重偏差は、平均体重の20%以下とする。本試験に使用した動物の健康状態は、到着時に検査する。健康状態の良好な動物のみを、実験室条件に順化させ、本試験に使用した。試験開始前に、動物は、少なくとも5日間、順化させた。順化中および試験期間を通して、制限付きでアクセスできるげっ歯類施設内に動物を収容し、固体底部を取り付け、寝床材料として滅菌した木屑を敷床したポリプロピレンケージに、最高5匹のラットの群で飼育した。動物は、市販のげっ歯類用の食餌で不断給餌し、ステンレス製給水管でポリエチレンボトルを介して各ケージに供給した飲料水に自由にアクセスさせた。本試験で使用した食餌バッチのフィードロット分析を、試験データと共にアーカイブに収めた。水は定期的にモニタリングした。自動制御した環境条件は、20〜24℃の温度で、30〜70%の相対湿度(RH)で、12:12時間の明:暗サイクル、および試験室内の15〜30換気/時を維持するように設定した。温度およびRHは、連日モニタリングした。明サイクルは、制御時計によりモニタリングした。動物は、尾標識を使用して独自の動物識別を行った。この番号はまた、各ケージの前で見えるようにケージカードにも表示した。ケージカードはまた、試験および群番号、投与経路、性別、系統、および処置群におけるすべての他の関連する詳細も含まれた。
【表14-1】
【表14-2】
【0243】
急性EAEマウスモデルの試験手順および原則。実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症(MS)の多くの臨床的および病理学的特徴を模倣する、中枢神経系(CNS)自己免疫脱髄疾患である。急性ラットモデルは感作期間からなり、試験0日目に完全フロインドアジュバント(CFA)で乳化したミエリン塩基性タンパク質(MBP)の単一皮下(SC)注射により誘発される。
【0244】
EAE誘発および処置レジメンの概略図を
図6)に示す。
【0245】
EAE誘発:
MBP/CF A。
図6)の概略図に示されるように、全動物は、試験0日目(試験開始)に、MBPとCFAのホモジネート乳剤混合物(MBP/CFA脳炎誘発性乳剤接種材料(100μgMBP/200μgCFA)を100μl/動物の総用量で注射し、足底内注射領域に、2×50μl皮下(SC)両側注射として送達した)からなる単一接種を行った。
【0246】
処置:
処置レジメンおよび手順。すべての化合物を、動物採点者とは別の者が連日新しく調製した。動物採点者は、群番号のみ記されたバイアルを受容し、処置は知らされなかった。
【0247】
投与経路:(i)RNS60(IV)、(ii)ビヒクル対照:(IV)、および(iii)陽性対照:(IP)。
【0248】
用量値および投与容量:(i)RNS60:350gに対して低用量2ml、350gに対して高用量4ml、(ii)ビヒクル対照:0、および(iii)陽性対照(デキサメタゾン):1mg/kg。
【0249】
支援ケア。試験経過中に判定されない場合、EAE実験的効果が予想および/または観察される(単一の脳炎誘発性接種から約8〜12日後)、または動物が、前回の判定から15%超の体重減少または初回体重測定から20%超減少を示す場合、状況に応じて適切な支援ケアを行った。
【0250】
給餌および給水。飲料水に浸した細断ペレットまたは粉状のげっ歯類用食餌からなる追加の水源を、ケージの底で、腹這い/移動しない動物の前に置く。
【0251】
脱水。動物には、体重が、初回判定の10%以内に回復するまで、少なくとも1日2回、最大2ml/動物/日まで、デキストロース5%溶液による皮下(SC)補充流体療法を行い得る。
【0252】
排尿。排尿を促進するため、および動物が膀胱を空にすることができるかどうかを観察するために動物腹部の触診を行う。
【0253】
他の特別なケア。必要に応じて、動物の肛門周囲領域および後足を湿潤ガーゼパッドで清潔にした。
【0254】
観察および検査:
臨床的徴候。全21日間の試験を通して、EAE臨床スコア採点および評価(以下を参照)に加えて、精密な臨床検査を少なくとも1日1回行い、記録した。観察項目は、皮膚、毛、目、粘膜の変化、分泌および排泄の発生(例えば、下痢)、ならびに自律神経活動(例えば、流涙、唾液分泌、立毛、瞳孔サイズ、異常な呼吸パターン)、歩行、姿勢および処置への反応、ならびに異常行動の存在、振戦、痙攣、睡眠および昏睡等であった。
【0255】
体重。体重減少は疾患発症時の最初の徴候である可能性があるが、突然の著しい体重増加は、EAE症状の回復に伴って起こる傾向がある。したがって、動物の個々の体重測定は、試験0日目(試験開始)におけるEAE誘発直前に行い、その後、全21日間の観察期間を通して連日行った。
【0256】
EAE臨床スコア採点および評価。初めに、全動物は、EAE誘発前(試験0日目)の任意の神経学的な反応の徴候および症状について検討し、その後、全21日間の観察期間を通して、連日検討した。実験的バイアスを避けるために、EAE反応は、盲検的に、できる限り、適用した具体的な処置を知らされていない部員により判定する。EAE反応は、下の表6に示されるように、重症度の昇順に、古典的な、当該技術分野において認識されている従来の0〜5の等級に従って、採点し、記録した。
【表15-1】
【表15-2】
【0257】
血液サンプル。試験終了日(21日目)、注射してから1時間後に全動物を採血した。サンプルは、試験0日目(予防群のみ)、7日目、14日目、21日目に収集した。血漿は、ヘパリン化されたバイアル中に採取し、−20℃で維持した。300μl容量を血球数分析用に保存し、100μlをLuminex Technologyを介した更なるサイトカイン分析用に保存して使用した。血球数は、0日目、7日目、14日目、および21日目に分析した。
【0258】
組織収集。試験終了時、動物を4%PFAで灌流した。脳および脊髄を収集して4%PFA中に保持した。
【0259】
安楽死。瀕死状態が認められる動物および/または激痛を示して重度の苦痛徴候が永続的である動物は、人道的に安楽死させた。
【0260】
統計学的/データ評価:
評価は、主として、すべての処置群をビヒクル対照群と比較して得られた、絶対値、変化割合(%)、および平均群値として表される、神経学的症状および体重の両方の記録された相対的変化に基づいた。適切な統計学的方法によるデータ分析を適用して、処置効果の有意性を判定した。
【0261】
動物ケアおよび使用記述:
本試験は、適切な実験動物のケアおよび使用における道義的行為のための委員会(Committee for Ethical Conduct in the Care and Use of Laboratory Animals)に、本試験が規則に準拠している旨の申請書を提出して承認された後に行った。
【0262】
結果:
試験結果を、時間(MBP注射してからの日数)をX軸に、「臨床スコア」(上の「材料および方法」の項を参照されたい)をY軸に示した
図5に示す。
【0263】
図5は、本発明の界面動電流体(RHS60)は、多発性硬化症(MS)の当該技術分野において認識されている実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)ラットモデルにおいて、実質的に効果的であったことを示す(上の「材料および方法」の項を参照されたい)。
【0264】
具体的には、17日間にわたるビヒクル対照群(黒菱形)と比較して、治療(MBP注射との併用から開始するRNS60の連日投与)と予防(MBP注射の7日前に開始するRNS60の連日投与)のRNS60の投与量レジメンは共に、臨床スコアの著しい低下、および発現の遅延(高用量群)を示した。
【0265】
低用量(1日1回cc注射)RNS60治療群の臨床スコアは、ビヒクル対照群のスコアの約2分の1(1/2)であり、一方、高用量(1日2回cc注射)RNS60治療群の臨床スコアは、ビヒクル対照群のスコアの約5分の1(1/5)〜10分の1(1/10)であっただけでなく、発現の遅延も示した。
【0266】
低用量(1日1回cc注射)RNS60予防群の臨床スコアは、ビヒクル対照群のスコアの約3分の1(1/3)であり、一方、高用量(1日2回cc注射)RNS60予防群の臨床スコアは、16日目まで0(臨床スコア検出不能)であり、それにより発現の実質的な遅発を示しただけでなく、17日目で観察可能な場合、同時点でのビヒクル対照群のスコアの10分の1(1/10)未満であった。
【0267】
したがって、本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電組成物は、当該技術分野において認識されているヒトMSのラットモデルにおける、EAE症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。
実施例4
【0268】
(本発明の界面動電流体は、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)の急性実験的アレルギー性(自己免疫性)脳脊髄炎(EAE)ラットMBPモデルにおいて、ラット体重を維持する上で効果的であることが示された)
【0269】
要約:
本実施例において、実施例7に記載の実験を行ったラットの体重変化を開示する。体重減少は、疾患発症時の最初の徴候である可能性があるが、突然の体重増加は、EAE症状の回復を伴う傾向がある。したがって、動物の各体重を、試験0日目(試験開始)のEAE誘発直前、および21日間の観察期間を通して連日測定した。本発明の界面動電流体RNS60の体重に対する効果は、EAEラットモデルに供したラットの体重を維持する上で効果的であることが示された(
図7)。
【0270】
体重データ:
図7は、グラム(パネルA)および割合(パネルB)(100グラムに基づく)で示した体重を示す。本実施例において、処置した動物の平均体重がわずかに減少後、平均体重は増加し始め、試験終了時まで増加し続けた。試験終了時、ビヒクル処置動物(1F群)の平均体重は20%増加した。試験を通して、試験0日目に投与開始したデキサメタゾン処置群(2F群)の平均体重は試験中に10%減少した。試験終了時、デキサメタゾン処置動物の平均体重は2%減少した。低用量の予防処置群(3F群)は、試験1〜3日目で最大4%の平均体重減少を示してから、試験終了日まで平均体重は23%増加した。高用量の予防処置群(4F群)は、試験1〜3日目で最大5%の平均体重減少を示してから、試験終了日まで平均体重は28%増加した。低用量の治療処置群(5F群)は、試験1〜3日目で最大4%の平均体重減少を示してから、試験終了日まで平均体重は21%増加した。高用量の治療処置群(6F群)は、試験1〜3日目で最大4%の平均体重減少を示してから、試験終了日まで平均体重は19%増加した。
【0271】
したがって、本発明の界面動電流体RNS60は、EAEラットモデルに供したラットの体重を維持する上で効果的であることが見出された。
【0272】
したがって、本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電組成物は、当該技術分野において認識されているヒトMSのラットモデルにおける、EAE症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。
実施例5
【0273】
(本発明の界面動電流体は、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)の急性実験的アレルギー性(自己免疫性)脳脊髄炎(EAE)ラットMBPモデルに供したラットから採取した血液サンプルの白血球、好中球、およびリンパ球値に対してほとんど効果がなかったことを示した)
【0274】
要約:
本実施例は、実施例7に記載の実験中にラットから採取した血液サンプルの白血球、好中球、およびリンパ球値を開示する。出願者らは、サイトカイン値変化が白血球の全体的な変化に起因するかどうかを決定するために、EAE実験を行ったラットから実験を通して血液サンプルを採取した。
【0275】
白血球、好中球、およびリンパ球値:
図8A〜Dは、EAE実験を通して収集した血液サンプルの白血球、好中球、およびリンパ球値を示す。
【0276】
試験0日目(パネルA)、7日目(パネルB)、14日目(パネルC)および21日目(パネルD)に試験アイテムを投与してから1時間後の白血球(WBC)、好中球およびリンパ球を算出した。試験7日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大WBC数は、8.23±0.36点であった。デキサメタゾン処置により平均WBC数はビヒクルと比較して2.46±0.38点に有意に低減した(p<0.05)。試験アイテム低用量の治療処置群(5F群)の平均WBC数はビヒクルと比較して9.59±0.46点に有意に増大した(p<0.1)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均WBC数はビヒクルと比較して10.84±0.88点に有意に増大した(p<0.05)。
【0277】
試験14日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大WBC数は、6.34±0.28点であった。デキサメタゾン処置により平均WBC数はビヒクルと比較して3.79±0.69点に有意に低減した(p<0.05)。試験アイテム高用量の予防処置群(4F群)の平均WBC数はビヒクルと比較して7.83±0.51点に有意に増大した(p<0.05)。試験アイテム低用量の治療処置群(5F群)の平均WBC数はビヒクルと比較して7.65±0.52点に有意に増大した(p<0.05)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均WBC数はビヒクルと比較して8.05±0.43点に有意に増大した(p<0.05)。試験21日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大WBC数は、9.09±0.75点であった。デキサメタゾン処置により平均WBC数はビヒクルと比較して5.12±0.57点に有意に低減した(p<0.05)。
【0278】
試験7日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大好中球数は、26.20±1.62点であった。デキサメタゾン処置により平均好中球数はビヒクルと比較して65.38±4.62点に有意に増大した(p<0.05)。試験アイテム高用量の予防処置群(4F群)の平均好中球数はビヒクルと比較して31.90±0.96点に有意に増大した(p<0.05)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均好中球数はビヒクルと比較して33.90±2.79点に有意に増大した(p<0.05)。
【0279】
試験14日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大好中球数は、33.00±2.58点であった。デキサメタゾン処置により平均好中球数はビヒクルと比較して73.10±3.15点に有意に増大した(p<0.05)。
【0280】
試験21日目、動物をビヒクルで処置してから1時間後の最大好中球数は、41.40±2.32点であった。デキサメタゾン処置により平均好中球数はビヒクルと比較して89.33±1.97点に有意に増大した(p<0.05)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均好中球数はビヒクルと比較して34.60±3.08点に有意に低減した(p<0.1)。
【0281】
試験7日目、ビヒクルで処置してから1時間後の最大リンパ球数は、73.20±1.95点であった。デキサメタゾン処置により平均リンパ球数はビヒクルと比較して30.63±1.31点に有意に低減した(p<0.05)。試験アイテム高用量の予防処置群(4F群)の平均リンパ球数はビヒクルと比較して68.30±1.42点に有意に低減した(p<0.1)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均リンパ球数はビヒクルと比較して64.80±3.00点に有意に低減した(p<0.05)。
【0282】
試験14日目、ビヒクルで処置してから1時間後の最大リンパ球数は、66.10±2.53点であった。デキサメタゾン処置により平均リンパ球数はビヒクルと比較して26.80±3.23点に有意に低減した(p<0.05)。
【0283】
試験21日目、ビヒクルで処置してから1時間後の最大リンパ球数は、57.50±2.09点であった。デキサメタゾン処置により平均リンパ球数はビヒクルと比較して10.11±2.08点に有意に低減した(p<0.05)。試験アイテム高用量の治療処置群(6F群)の平均リンパ球数はビヒクルと比較して66.20±2.74点に有意に増大した(p<0.05)。
【0284】
したがって、試験7日目に、予防的および治療的に高用量投与した本発明の界面動電流体RNS60はビヒクルと比較して好中球数を有意に増大し、リンパ球数を有意に低減した。試験14日目に、予防的に高用量投与した、および治療的に両用量投与した本発明の界面動電流体RNS60は、ビヒクルと比較してWBC数を有意に増大した。試験21日目に、治療的に高用量投与した試験アイテムRNS60は、ビヒクルと比較して好中球数を有意に低減し、リンパ球数を増大した。したがって、本発明の界面動電流体RNS60は、WBC、好中球、およびリンパ球の全体的な値に対してほとんど影響を及ぼさないことが見出された。
実施例6
【0285】
(本発明の界面動電流体は、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)の急性実験的アレルギー性(自己免疫性)脳脊髄炎(EAE)ラットMBPモデルに供したラットから採取した血液サンプルのあるサイトカイン値に対して影響を及ぼすことが示された)
【0286】
要約:
本実施例は、実施例7に記載のように実験中にラットから採取した血液サンプルに見出されたサイトカイン値を開示する。実施例7に記載のように、本発明の界面動電流体RNS60を治療投与レジメンで評価した。本発明の界面動電流体RNS60は、EAEラットモデルに供したラットから採取した血液サンプルのあるサイトカイン値に影響を及ぼすことが示された。
【0287】
あるサイトカインは、多発性硬化症において役割を有することが示されている。特にインターロイキン17(IL−17)(CTLA−8またはIL−17Aとしても知られている)値は、急性および慢性EAEの中枢神経系において上昇していることが示されている(Hofstetter, H. H., et al., Cellular Immunology (2005), 237: 123−130)。IL−17は、様々な非免疫細胞から他の広範囲のサイトカイン分泌を刺激する炎症性サイトカインである。IL−17はIL−6、IL−8、PGE2、MCP−1およびG−CSF分泌を接着細胞(線維芽細胞、ケラチン生成細胞、上皮細胞および内皮細胞等)により誘発でき、照射した線維芽細胞の存在下で共培養時にICAM−1表面発現、T細胞増殖、ならびにCD34+ヒト前駆体の増殖および好中球への分化も誘発可能である(Fossiez et al., 1998, Int.Rev.Immunol. 16, 541−551)。IL−17は、大部分が活性化記憶T細胞に産生され、遍在的に分布する細胞表面受容体(IL−17R)に結合することにより作用する(Yao et al., 1997, Cytokine, 9, 794−800)。IL−17のいくつかの相同物は、炎症反応調節において類似した役割を有するものと異なる役割を有するものの両方が同定されている。IL−17サイトカイン/受容体ファミリーの概説については、Dumont, 2003, Expert Opin. Ther. Patents, 13, 287−303を参照されたい。
【0288】
IL−17は、異常免疫応答(関節リウマチおよび気道炎症等)、ならびに臓器移植拒絶反応および抗腫瘍免疫媒介性疾患の一部を引き起こし得る。IL−17活性阻害薬は当該技術分野において周知である(例えばIL−17R):Fc融合タンパク質がコラーゲン誘発性関節炎におけるIL−17の役割を示すために使用され(Lubberts et al., J. Immunol. 2001,167, 1004−1013)、中性ポリクローナル抗体が腹膜癒着形態を減らすために使用されている(Chung et al., 2002, J. Exp. Med., 195, 1471−1478)。中性モノクローナル抗体は市販されている(R&D Systems UK)。
【0289】
したがって、MS発症原因において果たすIL−17の役割に基づき、本発明の界面動電流体RNS60は、EAE試験においてラットから採取した血液サンプルのIL−17値に対して有する効果を出願者らは評価した。
【0290】
サイトカインデータ:
様々な血中サイトカイン値を試験中に分析した。簡単に述べると、全動物は、注射してから1時間後採血され、ヘパリン化されたバイアル中に血漿を収集した。同サンプルの複数サイトカインの同時測定を可能とするLuminex Technology(Panomics製ProcartaラットサイトカインアッセイキットPC4127を使用)を介して100μlサンプルの様々な炎症性サイトカインを分析した。非ガウス的分散データおよび予備結果値がアッセイ検出閾値未満であったため、打ち切りデータのノンパラメトリックコックス回帰モデルを適用して異なる流体を比較した。
図9A〜Hに示すように、IL1a、IL1b、およびIL17値はRNS60の治療処置用量(高用量と低用量)の両用量により最も顕著に低下した。MBP誘発性EAEの臨床的症状は10日目頃に発症し、18日目頃にピークとなる。したがって、我々は、7日目(疾患症状の直前)および18日目(疾患ピーク前後)がサイトカイン分析に最も重要な時点とみなした。7日目および18日目の動物(1群10匹)由来の組織中IL1a値、IL1b値およびIL17値を
図9A〜Hに示す。
【0291】
IL−1は主な炎症性サイトカインの1つであり、先天性免疫応答の上流メディエイターである。IL−1は陽性フィードバック・ループを用いるのと同様に、様々な増殖および栄養因子、炎症性メディエイター、接着分子ならびに他のサイトカインの産生を直接および間接的に誘発する(A. Basu et al.)。1型インターロイキン−1受容体は、脳損傷に対する反応においてミクログリアの効果的な活性化および複数の炎症性メディエイター誘発に必須である(J. Neurosci. 22 (2002), pp. 6071−6082; P.N. Moynagh, The interleukin− 1 signaling pathway in astrocytes: a key contributor to inflammation in the brain, J. Anat. 207 (2005), pp. 265−269)。これらは重要な調節因子(NGF、ICAM1、IL6、TNFα、CSF等)を含む。MS進行は、末梢中の自己抗原反応T細胞の活性化、その後のCNS内浸出に関与する。IL−1は、ミエリン特異的T細胞活性化に関与するだけではなく、末梢中マクロファージ活性化の主要メディエイターも表すため、MS発症において重要である[R. Furlan et ah, HSV−1 −mediated IL−1 receptor antagonist gene therapy ameliorates MOG(35−55)−induced experimental autoimmune encephalomyelitis in C57BL/6 mice, Gene Ther. 14 (2007), pp. 93−98))。MSのEAEモデルにおいて、IL−1αとIL−1βは共に炎症過程のメディエイターであることが示されている。EAEにおけるCNS浸潤マクロファージおよび常在ミクログリア細胞内の末梢IL−1β値は臨床経過と相関し、IL−1β反応性が示されている((C.A. Jacobs et ah, Experimental autoimmune encephalomyelitis is exacerbated by IL−1 alpha and suppressed by soluble IL−1 receptor, J. Immunol. 146 (1991), pp. 2983−2989))。したがって、IL−1は、EAEおよびMSにおける適切な治療標的である。IL−1の非選択的阻害機序は、既存のMS治療薬(インターフェロンβ、抗炎症性グルココルチコイド、免疫抑制剤、アトルバスタチンおよびω3多価不飽和脂肪酸)中に示されている[F.L. Sciacca et ah, Induction of IL−1 receptor antagonist by interferon beta: implication for the treatment of multiple sclerosis, J. Neurovirol. 6 (Suppl. 2) (2000), pp. S33−S37. ; R. Pannu et ah, Attenuation of acute inflammatory response by atorvastatin after spinal cord injury in rats, J. Neurosci. Res. 79 (2005), pp. 340−350; A.P. Simopoulos, Omega−3 fatty acids in inflammation and autoimmune diseases, J. Am. Coll. Nutr. 21 (2002), pp. 495−505))。
図9C〜Fに示すように、RNS60のIV投与は、組織中のIL1α値とIL1β値の両方を効果的に低減する。IL1αについて、RNS60処置は血中値をビヒクル処置群と比較して有意に低下させ、この時点でデキサメタゾンと同等に効果的であった。しかしながら18日目の時点で、本処置は組織中IL1α値に対して有意な効果がなかった。組織中IL1β値もまた、RNS60のIV処置から7日後にデキサメタゾン処置群値と同等値まで有意に低減し、いずれの毒性副作用徴候もなかった。18日目の時点で同様の傾向が認められたが、対照群との間に統計学的有意差はなかった。IL−17はまた、強力な炎症効果を有する重要なエフェクターサイトカインでもある。IL−17は他の炎症性サイトカイン(腫瘍壊死因子−αおよびケモカイン)発現を誘発し、好中球性白血球を引き付け、樹状細胞成熟を促進する(Kolls JK, Linden A.Interleukin−17 family members and inflammation.Immunity. 2004 Oct;21(4):467−76)。IL−17産生細胞は、自己免疫性疾患(コラーゲン誘発性関節炎、大腸炎、乾癬、およびEAE等)に必須の炎症性メディエイターであると考えられる。EAEにおけるTヘルパー17細胞はCD4+細胞であり、それらはEAEにおける免疫末梢中と炎症性中枢神経系の両方に存在する。更に、IL−17中性化は臨床的疾患を緩和し、本所見はIL−17欠損動物におけるEAE重症度低下のと並行する((Gold and Liihder, Interleukin−17− Extended Features of a Key Player in Multiple Sclerosis Am J Pathol. 2008 January; 172(1): 8−10.)。RNS60による7日間のIV治療は血中IL17値を有意に低減し、再びデキサメタゾン処置動物と同等値に戻った。処置18日後でも同様の事象が生じたが、結果に統計学的有意差は認められなかった。RNS60は、EAEにおいて、IL1値のみならず、2つの重要サイトカインであるIL1とIL17の組み合わせの低下においても効果的であり、IV注射21日後でも著しい毒性副作用は認められなかった点に留意することが重要である。
【0292】
IL1とIL17の他に、神経系の炎症において重要な役割を果たす他のいくつかの分子もまた、RIS60により調節される。これらの分子としては、Rantes、KC、NGFおよびICAMが挙げられる(データは示さず)。
【0293】
したがって、本発明の界面動電流体RNS60は、EAE試験においてラットから採取した血液サンプルのIL−17値に対して有意な効果を有した。加えて、IL−17はIL−6、IL−8、PGE2、MCP−1およびG−CSF分泌を刺激するため、本発明の界面動電流体RNS60は、これらの血中サイトカイン値に対して有意な効果を有すると思われる。したがって、本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電組成物は、当該技術分野において認識されているヒトMSのラットモデルにおける、EAE症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。
実施例7
【0294】
(本発明の界面動電流体(例えば、RNS60)は、iNOSとIL−1βの両発現をミクログリア細胞内で用量依存的に阻害することを示した)
【0295】
要約:
本明細書に記載される特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、パーキンソン病(PD)の治療のために実質的な有用性を有する。
【0296】
パーキンソン病(PD)は、ヒトにおいて最も破壊的な神経変性障害の1つである。PDは任意の年齢で生じ得るが、30歳未満の者には一般的ではない。臨床的に、PDは振戦、動作緩慢、硬直および不安定な姿勢を特徴とする。病理学的に、PDは、黒質緻密部(SNpc)中の細胞質内封入体(レヴィー小体)の存在と関連するドーパミン作動系ニューロンのグリオーシスおよび進行的変性を示す。検視したPD脳でのニューロン死は、アポトーシスの形態的な特徴(細胞収縮、クロマチン凝縮物、およびDNA分裂等)を示すことが報告されている。したがって、疾患進行を中断させる効果的な神経保護治療アプローチの開発が最も重要である。MPTPマウスモデルは検査のために実質的な有用性を有し、PDに対して立証された治療アプローチである。
【0297】
ミクログリア活性化は、パーキンソン病(PD)ならびに他の神経変性障害の発症原因において重要な役割を果たす。特定のPD特徴は、1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)中毒動物においてモデル化される。MPTPの神経中毒作用は、MPP
+への変換によって異なる。グリア細胞において、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)はMPTPをMPP
+に変換し、MPP
+は次いでグリア細胞を活性化する。最近では、MPP
+はミクログリアにおいて炎症性分子の発現を誘発することが示されている。加えて、MPP
+はドーパミン作動系ニューロンのアポトーシスを引き起こす。
【0298】
本実施例では、MPP
+刺激したミクログリア細胞内の炎症性分子発現を調節するRNS60の能力を確認した。
【0299】
材料および方法:
簡単に述べると、マウスBV−2ミクログリア細胞を各種濃度のRNS60および生理食塩水(NS)で1時間インキュベートし、その後、血清を含まない条件下で2μΜ MPP
+で刺激した。6時間後、総RNAを単離して、iNOSおよびIL−1βのmRNAを半定量RT−PCRにより測定した。データは、3つの独立した実験を表す。
【0300】
結果:
図10の半定量RT−PCR分析に証されるように、MPP
+単独はマウスBV−2ミクログリア細胞内で誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびインターロイキン−1β(IL−1β)mRNA発現を誘発した。注目すべきことに、RNS60は、ミクログリア細胞内でiNOSとIL−1βの両発現を用量依存的に阻害した(
図10)。一方、類似実験条件下にて、対照の生理食塩水(NS)はこれら2つの炎症性遺伝子発現に対して効果がなく(
図10)、効果の特異性が示された。
【0301】
具体的には、
図10は、本発明の界面動電流体(RNS60)は、対照生理食塩水(NS)とは異なり、マウスミクログリア細胞内における誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびインターロイキン−1β(IL−1β)のMPP
+誘発性発現を軽減することを示す。BV−2ミクログリア細胞を血清を含まない培地内で各種濃度のRNS60および生理食塩水(NS)で1時間プレインキュベートし、MPP
+(パーキンソン毒素)で刺激した。刺激してから6時間後、総RNAを単離して、iNOSおよびIL−1βのmRNA発現を半定量RT−PCR分析した。結果は、3つの独立した実験を表す。
【0302】
したがって、MPP
+はパーキンソン毒素であるため、特定の態様によれば、これらの結果は、RNS60は当該技術分野において認識されている、MPTP誘発性パーキンソン病マウスモデルにおいて保護効果を有することを示す。
【0303】
特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、パーキンソン病(PD)の治療のために実質的な有用性を有する。
実施例8
【0304】
(本発明の界面動電流体(例えば、RNS60)は、神経細胞およびヒト一次ニューロンをアミロイドβ毒性から保護することを示した)
【0305】
要約:
本明細書に記載される特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、アルツハイマー病(AD)の治療のために実質的な有用性を有する。
【0306】
アルツハイマー病(AD)は、進行性ニューロン死および記憶喪失に至る神経変性障害である。検視したAD脳におけるTUNEL染色増加は、AD患者の脳内のニューロンがアポトーシスにより死すことを示す。原線維アミロイドβペプチドはADの病態生理学に関与する。神経病的に、該疾患は、アミロイドβ(Αβ)タンパク質凝集、アミロイド前駆体タンパク質由来の40〜43アミノ酸タンパク質分解断片、およびリン酸化タウからなる神経原線維のもつれおよび神経突起プラークを特徴とする。トランスジェニックマウスにおける細胞内のΑβペプチド過剰発現は、クロマチンセグメント、凝縮物、およびTUNEL染色増加を引き起こすことが見出されている。また、細胞培養試験により、Αβペプチドはニューロン細胞に対してアポトーシスおよび細胞毒性であることも示されており、Αβ原線維l−42ペプチドはニューロン細胞のアポトーシスを誘発できることが示されている。
【0307】
更に、炎症とAD間の関連性の特性化を目的とする試験が増えつつあり、広範囲のグリア活性化がプラークおよびもつれ周辺に見出されている。
【0308】
本実施例では、ヒトSHSY5Y神経細胞およびヒト一次ニューロンのΑβ(l−42)誘発性アポトーシスを阻害するRNS60の効果を確認した。
【0309】
材料および方法:
CalBiochemから市販されているキット(TdT FragEL(商標登録))を用いて、SHS5Yヒトニューロン細胞のDNA断片を、Αβ原線維l−42反応において生成されたDNA断片3’−OH端に対する末端デオキシヌクレオチド転移酵素(TdT)媒介結合により原位置で検出した。簡単に述べると、カバースリップを20μg/mlプロテイナーゼKで15分間室温で処置し、TdT染色前に洗浄した。既に記載のようにニューロンを単離して、培養した(1、2)。
【0310】
結果:
図11AおよびBに示したように、Αβ原線維l−42ペプチドは、ニューロン細胞のアポトーシス体形成を著明に誘発した。我々はまた、Αβl−42処置後にニューロン過程損失も観察した(2列目;
図11A)。対して、逆ペプチドΑβ42−1はニューロンアポトーシスおよび過程損失を誘発し損ねた(3列目;
図11A)。注目すべきことに、試験した各種用量のRNS60は、Αβ(l−42)誘発性アポトーシスを著明に阻害し、ニューロン細胞過程を保持した(4列目、5列目および6列目;
図11AおよびB)。一方、対照の生理食塩水流体(NS)はΑβ(l−42)誘発性アポトーシスおよび過程損失に対して効果がなかった(7列目および8列目;
図11A)。
【0311】
具体的には、
図11Aは、RNS60が対照の生理食塩水(NS)とは異なり、ヒトSHSY5Yニューロン細胞のΑβ原線維(l−42)媒介性アポトーシスを抑制することを示す。分化後、SHSY5Y細胞を各種濃度のRNS60またはNSのいずれかで1時間インキュベートし、その後1μΜのΑβ原線維(l−42)ペプチドで損傷させた。処置から18時間後、TUNEL(Calbiochem)により、アポトーシスをモニタリングした。Αβ(42−1)ペプチドも対照としてインキュベートした。結果は、3つの独立した実験を表す。
【0312】
加えて、
図11Bの2列目および3列目は、RNS60がヒト一次ニューロンのΑβ原線維(l−42)媒介性アポトーシスを抑制することを示す。ニューロンをRNS60で1時間インキュベートし、その後1μΜのΑβ原線維(l−42)ペプチドで損傷させた。処置から18時間後、TUNEL(Calbiochem)により、アポトーシスをモニタリングした。Αβ(42−1)ペプチドも対照としてインキュベートした。結果は、3つの独立した実験を表す。
【0313】
これらの結果は、ADの病因的試薬(Αβ原線維l−42)がRNS60感受性経路を介してニューロンのアポトーシスを誘発し、RNS60が培養ニューロンと一次ニューロンの両方にて原線維誘発性アポトーシスを強く阻害できることを示す。
【0314】
特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、アルツハイマー病(AD)の治療のため、および好ましい態様では、AD進行の予防または遅発化のために実質的な有用性を有する。
実施例9
【0315】
(本発明の界面動電流体は、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)のマウスMOGモデルの臨床スコアの低下において実質的に用量依存的に効果的であることが示された)
【0316】
要約:
本実施例において、本発明の界面動電流体RNS60を、当該技術分野において認識されている多発性硬化症(MS)の実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)マウスMOGモデルにおいて、治療投与レジメンの2用量で評価した。
【0317】
材料および方法:
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)は、多発性硬化症(MS)の多くの臨床的および病理学的特徴を模倣する、中枢神経系(CNS)自己免疫脱髄疾患である。マウスMOGモデルは、感作期間からなり、試験0日目に完全フロインドアジュバント(CFA)において乳化されたMOGの単一皮下(SC)注射により誘発される(200μg MOG/300μg CFAを総容量200μl/動物注射し、側腰領域全体に2×100μl皮下両側注射として送達した);その後、試験0日目のEAE誘発時に1回、および48時間後の試験2日目、百日咳毒素(PT)20μg/kg(約400ng/マウス)を腹腔内(IP)注射する腹腔内(IP)補助的免疫刺激を行った(Gilgun−Sherki Y. et al., Neurosciences Research 47:201−207, 2003)。次いで動物を
図12に示されるようにRNS60IV注入処置した。使用した動物は、Harlan Laboratories Israel, Ltdから得た雌C57BL/6Jマウス(動物1群10匹);若い成体;8〜9週齢(試験開始時)であった。
【0318】
全動物は、EAE誘発前(試験0日目)の神経学的な反応の徴候および症状について評価し、その後、35日間の観察期間を通して、連日評価した。EAE反応は、重症度の昇順に、当該技術分野において認識されている0〜15の等級に従って、採点し、記録した。臨床スコアは、各項目スコアを加算して決定した(例えば、Weaver et al., FASEB 2005; The FASEB Journal express article 10.1096/fj.04−2030fje.(2005年8月4日にオンライン公開)を参照されたい)。
【0319】
結果:
図12は、RNS60がビヒクル対照(ビヒクル)とは異なり、当該技術分野において認識されている、多発性硬化症(MS)のマウスMOGモデルにおいて臨床スコア抑制に実質的に用量依存的に効果的であることを示す。RNS60高用量および低用量の両用量の治療的連日投与、ならびにRNS60高用量の3日ごとの投与を行い(RNS60投与は、最初の臨床的徴候の発現時に開始)、臨床スコアの著明な低下を示した(白菱形=ビヒクル対照;白四角=デキサメタゾン陽性対照;明色「×」=低用量(0.09ml RNS60)臨床的徴候の発現時から連日投与;暗色「×」=高用量(0.2ml RNS60)臨床的徴候の発現時から3日ごとに投与、ならびに白三角=高用量(0.2ml RNS60)臨床的徴候の発現時から連日投与)。
【0320】
本明細書の上記のMBPモデルの実施例と比較して、このマウスMOGモデルは、当該技術分野において、MBPモデルでは示されないMSの軸索損傷特性を模倣できることが知られており、観察される治療効果がより長い期間(MBPモデルの21日間と比較して28〜30日間)に延長される。更なる態様によれば、RNS60は、ビヒクル対照(ビヒクル)とは異なり、このマウスMOGモデルにおける軸索損傷低減において実質的に効果的である。
【0321】
本発明の特定の態様によれば、本発明の界面動電組成物は、当該技術分野において認識されているヒトMSのマウスモデルにおける、症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。本発明の更なる態様によれば、本発明の界面動電組成物は、罹患した哺乳類(好ましくはヒト)における、MS症状の治療(緩和および予防を含む)のために実質的な有用性を有する。
【0322】
なお更なる態様では、本発明の界面動電組成物は、血液脳関門(BBB)を横断し、したがって中枢神経系の炎症性状態を治療するための新規の方法を提供する。
実施例10
【0323】
(RNS60は、生理食塩水(NS)とは異なり、MBPでプライミングしたT細胞中のNFκΒ活性化を軽減した)
【0324】
要約。NFκΒキナーゼは、当該技術分野において広く認識されている炎症媒介性状態および疾患における炎症反応を媒介するキナーゼである。
【0325】
本実施例は、RNS60が生理食塩水(NS)とは異なり、MBPでプライミングしたT細胞中のNFκΒの活性化を軽減したことを示す。したがって、特定の態様によれば、本発明の界面動電的に生成された流体は、糖尿病および関連代謝障害、インスリン耐性、神経変性疾患(例えば、MS、パーキンソン病、アルツハイマー病等)、喘息、嚢胞性線維症、血管/冠状動脈性心臓病、網膜および/または黄斑変性、消化障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病等)が挙げられるが、これらに限定されない炎症および炎症媒介性の状態および疾患の治療のために実質的な有用性を有する。
【0326】
方法。
図13Aおよび13Bに示す実験において、MBP免疫化マウスから単離されたT細胞をMBPで再プライミングし、24時間後、細胞を各種濃度のRNS60およびNSで処置した。処置から2時間後、電気泳動移動度シフトアッセイ(EMSA)による核抽出物内でNFκΒのDNA結合活性をモニタリングした。
【0327】
図13Cに示す実験において、MBP免疫化マウスから単離されたT細胞をPBIIX−Luc、NFκΒ依存性レポーター構築物でトランスフェクトし、その後MBPで再プライミングした。MBPプライミングから24時間後、細胞を各種濃度のRNS60およびNSで2時間処置し、その後、ルシフェラーゼアッセイキット(Promega)による総細胞抽出物内のルシフェラーゼ活性のアッセイを行った。他の場合、MBPでプライミングしたT細胞はまた、30nM PMAでも1時間刺激した。この場合、RNS60およびNSで前処置してから1時間後にPMAを添加した。結果は、3つの異なる実験の平均+SDである。
【0328】
結果。
図13A〜Cは、RNS60が生理食塩水(NS)とは異なり、MBPでプライミングしたT細胞中のNFκΒの活性化を軽減したことを示す。具体的には、
図13Aおよび13Bは、RNS60(
図13Aおよび124Bの中央3レーン参照)は、NS(
図13Aおよび13Bの右端レーン参照)とは異なり、MBPでプライミングしたT細胞中のNFκΒの活性化を用量依存的に軽減したことを示す。
【0329】
同様に、
図13Cの棒グラフは、RNS60(
図13Aおよび13Bの第2、第三および第四棒グラフ参照)は、NS(
図13Aおよび13Bの第五棒グラフ参照)とは異なり、MBPでプライミングしたT細胞中のNFκΒの活性化を軽減し、したがってまた、総細胞抽出物内のトランスフェクトしたNFκΒ依存性レポーター構築物(PBIIX−Luc)からルシフェラーゼ活性も用量依存的に軽減したことを示す。
【0330】
したがって、特定の態様によれば、本開示の界面動電的に生成された流体は、糖尿病および関連代謝障害、インスリン耐性、神経変性疾患(例えば、MS、パーキンソン病、アルツハイマー病等)、喘息、嚢胞性線維症、血管/冠状動脈性心臓病、網膜および/または黄斑変性、消化障害(例えば、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、クローン病等)が挙げられるが、これらに限定されない炎症および炎症媒介性の状態および疾患の治療のために実質的な有用性を有する。
実施例11
【0331】
(RNS60は、生理食塩水(NS)とは異なり、マウスにおけるMPTP誘発性パーキンソン病病的徴候を軽減した)
【0332】
要約:
マウスにおいて1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)処置により、パーキンソン病(PD)の病的徴候(例えば、運動時間短縮、運動距離縮小、回転ロッド上の平衡能低下、振戦、および線条体制御行動パターン常同症および立ち上がり(上下運動)障害)を示すように誘発することができる。MPTPの神経中毒作用は、MPP
+への変換によって異なる。グリア細胞において、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)はMPTPをMPP
+に変換し、MPP
+は次いでグリア細胞を活性化する。最近では、MPP
+はミクログリアにおいて炎症性分子の発現を誘発することが示されている。加えて、MPP
+はドーパミン作動系ニューロンのアポトーシスを引き起こすことが示されている。
【0333】
本実施例では、MPTP処置マウスにおけるRNS60のPD病的症状の抑制(例えば、協調運動の改善、線条体依存性行動障害の予防、ドーパミン作動系ニューロンの救助)能力を確認した。
【0334】
材料および方法:
簡単に述べると、C57BL/6マウスにMPTP−HCl(遊離塩基18mg/kg)の食塩水を2時間間隔で4回腹腔内注射した。対照動物に同容積の食塩水を投与した。RNS60または生理食塩水(NS)による処置はMPTP中毒前日に開始した。MPTP注射7日後、コンピュータベースのDigiscan赤外線活動モニタを用いて移動運動活性を測定した(
図14および15)。データは平均±SEMとして示し、P値はANOVAにより算出した;
*=P<0.05、
**=P<0.01、
***=P<0.001、ns=有意差なし。
【0335】
MPTPで中毒化したマウスにおいてRNS60処置がドーパミン作動系ニューロンを救助することを検証する実験において、線条体をMPTP中毒から7日後に切開した(
図16)。チロシン水酸化酵素抗体を用いた免疫染色、ドーパミン合成に関与する速度制限酵素により、黒質緻密部中のドーパミン作動系ニューロンの存在を検出した。パネルAは、対照マウス=MPTPで中毒化しない健常対照マウス由来の線条体を示し、パネルBは、MPTP=MPTP曝露マウス由来の線条体を示し、パネルCは、MPTP+RNS60=RNS60で処置したMPTP曝露マウス由来の線条体を示す。
【0336】
結果:
図14および15における移動運動分析に証されるように、MPP
+単独は対象において、運動時間短縮(
図14A)、運動距離縮小(
図14B)、マウスの回転ロッド上の平衡維持能低下(
図14C)、線条体制御行動パターン常同症(身づくろい)(
図15A)、および立ち上がり(上下運動)障害(
図15B)を含むPD様症状を誘発した。注目すべきことに、RNS60はこれらの症状を実質的に軽減し、一部の協調運動実験においてマウス行動は対照マウスと同等であった。一方、類似の実験条件下にて、対照の生理食塩水(NS)で前処置してからMPP
+で誘発したマウスでは、MPP
+処置単独群と同等の症状を呈した(
図14および15)。したがって、これらのデータは、RNS60がMPP
+中毒化マウスに特異的な保護効果を有することを示す。
【0337】
したがって、
図14および15では、本発明の界面動電流体(RNS60)は、対照生理食塩水(NS)とは異なり、PDマウスモデルにおけるマウスの協調運動を改善し、線条体依存性行動障害を予防することを示す。
【0338】
更に、大部分がPDに罹患した脳の一部である黒質緻密部の免疫染色により、RNS60で処置したマウスにおいてドーパミン作動系ニューロンの著明な救助が示され(
図16)、該処置の神経保護活性を確認した。
図16に見ることができるように、MPP+中毒はチロシン水酸化酵素(TH)陽性ニューロン喪失に至り、RNS60前処置は黒質緻密部(SNpc)中のTH陽性ニューロンを保護した。
【0339】
加えて、マウス全群(n=6/群)の線条体TH免疫染色定量を既に記載のように実施する(1、2)。光学密度測定はデジタル画像解析(Scion)により得られる。線条体TH光学密度は基本的にドーパミン作動系線維の神経分布を反映する。
【0340】
したがって、MPP
+は神経毒であるため、特定の態様によれば、これらの結果は、RNS60が神経毒からの保護効果を有することを示す。更なる特定の態様によれば、MPP
+はドーパミン作動系神経毒であるため、これらの結果はRNS60がドーパミン作動系神経毒からの保護効果を有することを示す。
【0341】
特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、神経毒曝露に起因する神経毒性症状の予防において実質的な有用性を有する。
【0342】
上記項目に引用した参考文献:
1. Ghosh, A., Roy, A., Liu, X., Kordower, J.H., Mufson, E.J., Mosely, R.L., Ghosh, S., Gendelman, H.E. & Pahan, K. 2007. Selective inhibition of NFκΒ activation prevents dopaminergic neuronal loss in a mouse model of Parkinson’s disease. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104: 18754−18759.
2. Ghosh, A., Roy, A., Matras, J., Brahmachari, S., Gendelman, H.E., & Pahan, K. 2009. Simvastatin inhibits the activation of p21ms and prevents the loss of dopaminergic neurons in a mouse model of Parkinson’s disease. J. Neurosci. 29: 13543 − 13556.
実施例12
【0343】
(RNS60は、生理食塩水(NS)とは異なり、MPTP誘発性の黒質緻密部(SNpc)中のミクログリアiNOSインビボ発現を抑制する)
【0344】
要約:
本明細書に記載される特定の態様によれば、本発明の界面動電流体は、神経毒からの神経細胞保護において実質的な有用性を有する。
【0345】
マウスにおいて1−メチル−4−フェニル−1,2,3,6−テトラヒドロピリジン(MPTP)処置により、パーキンソン病(PD)の病的徴候を示すように誘発することができる。MPTPの神経中毒作用は、MPP
+への変換によって異なる。グリア細胞において、モノアミンオキシダーゼB(MAO−B)はMPTPをMPP
+に変換し、MPP
+は次いでグリア細胞を活性化する。最近では、MPP
+はミクログリアにおいて炎症性分子の発現を誘発することが示されている。加えて、MPP
+はドーパミン作動系ニューロンのアポトーシスを引き起こすことが示されている。
【0346】
実施例7および11において、PDのMPTPマウスモデルにおける、ミクログリア細胞中の誘導型一酸化窒素合成酵素(iNOS)およびIL−1βのMPP
+誘発性発現を阻害して線条体ドーパミン作動系ニューロンを保護し、移動運動活性を改善するRNS60の能力が示された。追加の実験を、a)MPTP中毒化マウスの黒質緻密部(SNpc)中のミクログリアiNOSインビボに対するRIS60の効果を評価するために行う。
【0347】
材料および方法:
MPTP中毒化の前日にRIS60またはIS(300μl/日/マウス、腹腔内注射)を投与した雄C57BL/6マウス(各群n=3)に、MPTPを2時間間隔で4回注射する。RIS60/IS処置を継続し、MPTP中毒化の翌日、マウスを屠殺し、既に記載のように脳を固定化し、組込み、iNOS免疫染色に供した(1、2)。簡単に述べると、記載のように、マウス全群の腹側中脳切片(食塩水、MPTP、MPTP−RIS60 300μl、MPTP−IS 300μl)を、iNOSおよびCDllb(ミクログリア)に対する抗体を用いて浮遊性二重免疫標識化した(1〜3)。
【0348】
CDllb陽性、iNOS陽性、およびCDllb陽性かつiNOS陽性の細胞数を「Microsuite Biological Suite」ソフトウェア、Olympus IX81顕微鏡を用いて測定し、RIS60処置したMPTP中毒化マウスのSNpcにおいて、ミクログリア活性化およびiNOS発現が対照MPTPマウスおよびIS(ビヒクル)処置MPTPマウスと比較して低減するかどうかを決定する。動物3匹のそれぞれから単離した各脳の6つの黒質切片を用いて、MPTP処置マウスのSNpcにおけるCDllbおよびiNOSのタンパク質値に対するRIS60効果を決定する。
【0349】
結果:
ある実施形態によれば、RNS60は、生理食塩水とは異なり、MPTP誘発性の黒質緻密部(SNpc)中のミクログリアiNOSインビボ発現を抑制する。したがって、これらのインビボ実験は、実施例7に見られる結果を確認し、半定量PCRにより、RNS60は、生理食塩水とは異なり、マウスミクログリア細胞内でMPTP誘発性iNOS発現を抑制することが示された。
【0350】
上記項目に引用した参考文献:
1. Ghosh, A., Roy, A., Liu, X., Kordower, J.H., Mufson, E.J., Mosely, R.L., Ghosh, S., Gendelman, H.E. & Pahan, K. 2007. Selective inhibition of NFκΒ activation prevents dopaminergic neuronal loss in a mouse model of Parkinson’s disease. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 104: 18754−18759.
2. Ghosh, A., Roy, A., Matras, J., Brahmachari, S., Gendelman, H.E., & Pahan, K. 2009. Simvastatin inhibits the activation of p21ms and prevents the loss of dopaminergic neurons in a mouse model of Parkinson’s disease. J. Neurosci. 29: 13543 − 13556.
3. Roy, A. & Pahan, K. 2010. Prospects of statins in Parkinson’s disease. Neuroscientist 16: 000−000.
実施例13
【0351】
(RNS60は、生理食塩水(NS)とは異なり、一次ニューロンおよび星状細胞内におけるAktリン酸化反応の活性化を誘発した)
【0352】
要約。Aktは、複数の細胞過程(グルコース代謝、細胞増殖、アポトーシス、転写および細胞移動等)において重要な役割を果たすセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。Aktは細胞生存を調節することが知られている。特に、リン酸化AktはBAD(プロアポトーシスタンパク質)の不活性化によりアポトーシスを阻害することが示されている(Song G, et al., (2005). “The activation of Akt/PKB signaling pathway and cell survival”. J. Cell. Mol. Med. 9 (1): 59−71.を参照されたい)。当該技術分野において認識されているように、Aktのリン酸化反応は、細胞(神経細胞等)の毒性およびプロアポトーシス刺激からの保護において重要な役割を果たす。
【0353】
本実施例では、一次神経細胞および星状細胞内においてAktリン酸化反応を誘発するRNS60の能力を確認した。更に、RNS60のアポトーシス阻害能におけるAktの役割を示した。
【0354】
材料および方法:
既に記載のようにニューロンを単離して、培養した(1、2)。既に記載のように星状細胞を単離して、培養した。ニューロンまたは星状細胞を、10%RIS60またはIS(対照として使用)で0分間、15分間、30分間、60分間、90分間、120分間、および180分間処置し、リン酸化Aktおよび正常Akt(細胞シグナル伝達)抗体を用いた細胞抽出物のウエスタンブロット法によりAkt活性化をモニタリングした。総Aktを正常Akt抗体により検出した。ニューロンまたは星状細胞を、各種用量のRIS60(2%、5%、10%、および20%)で処置した。各種用量のISを対照として使用した。Akt活性化を上記のようにモニタリングした。
【0355】
図17Aは、一次ニューロンのAktリン酸化反応の誘発に対するRNS60の効果を生理食塩水(NS)対照と比較検討した実験の結果を示す。βチューブリンおよびリン酸化Akt抗体を用いた二重標識免疫蛍光検査法により、Aktリン酸化反応をモニタリングした。βチューブリンをニューロン標識として使用して、DAPI染色を用いて細胞核を視覚化した。パネルBおよびCは、Aktリン酸化反応は10%RNS60により誘発され、対して対照生理食塩水(「NS」)は効果がなかったことを示す。
【0356】
図17Bは、RNS60の存在または不在下における一次ニューロンのAkt阻害効果を評価した実験の結果を示す。既に記載のようにΑβ原線維l−42(Bachem Biosciences)を原線維形態に変化させた(1、3)。ニューロンのリン酸化Akt機能は、AktI(特異的なAkt阻害薬、CalBiochem製)により阻害された。各種濃度のAktIで30分間プレインキュベートしたニューロンをRNS60処置した。1時間インキュベーション後、細胞をΑβ原線維l−42に曝露させた。12時間後、ニューロンアポトーシスをTUNELによりモニタリングし、24時間後、既に記載のようにMTTおよびLDH放出によって細胞死を評価した(1、2)。結果(
図17B)により、Akt阻害薬であるAktIは、Αβ原線維に曝露したニューロンに対するRNS60の保護効果を無効化することが示された。
【0357】
したがって、本結果は、RNS60がAβ毒性からニューロンを保護するためにはAktが必要であることを確認した。
図18は、一次ニューロンのAktリン酸化反応の誘発に対するRNS60の効果を生理食塩水(NS)対照と比較して経時的(0分、15分、60分、および120分)に評価した実験の結果を示す。グラフは、RNS60または生理食塩水のいずれかで処置時の星状細胞に存在するAkt総量とリン酸化Akt量との比率を示す。
図18に見ることができるように、RNS60は、生理食塩水(NS)効果の4倍増大した星状細胞内Aktリン酸化反応を誘発する。したがって、RNS60は、Aktリン酸化反応を特異的に誘発する。
【0358】
本明細書に記載される特定の態様によれば、いかなる特定の機序にも束縛されず、本発明の界面動電流体は、毒素への曝露により誘発されたアポトーシスの予防による神経細胞の神経毒からの保護において実質的な有用性を有する。
【0359】
上記項目に引用した参考文献:
1. Jana, A. & Pahan, K. 2004. Fibrillar amyloid−β peptides kill human primary neurons via NADPH oxidase−mediated activation of neutral sphingomyelinase: Implications for Alzheimer’s disease. J. Biol. Chem. 279: 51451−51459.
2. Jana, A. & Pahan, K. 2004. HIV−1 gpl20 induces apoptosis in human primary neurons through redox−regulated activation of neutral sphingomyelinase. J. Neurosci. 24: 9531−9540.
実施例14
【0360】
(RNS60は、生理食塩水(NS)とは異なり、一次ニューロンのΑβ原線維l−42ペプチド誘発タウリン酸化反応を軽減した)
【0361】
要約。タウの高リン酸化反応は、脳およびニューロン組織におけるもつれ特質であり、タウパチーとして知られているグループ分けされたいくつかの疾患の1つに至る可能性がある。タウパチーとしては、アルツハイマー病、嗜銀顆粒性疾患、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症、前頭側頭葉変性症(ピック病)、およびパンチドランカー(DP)(別名ボクサー認知症、慢性ボクサー病)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0362】
図19A〜Bは、一次ニューロンのΑβ原線維(l−42)媒介性タウリン酸化反応に対するRNS60の効果を生理食塩水(NS)対照と比較検討した実験の結果を示す。βチューブリンおよびリン酸化タウ抗体を用いた二重標識免疫蛍光検査法により、タウリン酸化反応をモニタリングした。βチューブリンをニューロン標識として使用して、DAPI染色を用いて細胞核を視覚化した。「(p)−タウ」標識カラムの上から第三および第四パネルは、タウリン酸化反応がRNS60により用量依存的に阻害され、対して対照生理食塩水(「NS」)は10%高用量でも効果がなかったことを示す(「(p)−タウ」標識カラムの下パネルを参照されたい)。
実施例15
【0363】
(神経毒の存在下におけるRNS60の保護効果は、Akt阻害薬により阻害された)
【0364】
要約。Aktは、複数の細胞過程(グルコース代謝、細胞増殖、アポトーシス、転写および細胞移動等)において重要な役割を果たすセリン/スレオニンタンパク質キナーゼである。特に、Aktは細胞生存を調節することが知られている。特に、リン酸化AktはBAD(プロアポトーシスタンパク質)の不活性化によりアポトーシスを阻害することが示されている(Song G, et al., (2005). “The activation of Akt/PKB signaling pathway and cell survival”. J. Cell. Mol. Med. 9 (1): 59−71.を参照されたい)。当該技術分野において認識されているように、Aktのリン酸化反応は、細胞(神経細胞等)の毒性およびプロアポトーシス刺激からの保護において重要な役割を果たす。
【0365】
実施例13および14は、a)一次ニューロンのAktをRNS60の存在下でリン酸化した、およびb)RNS60は、一次ニューロンのΑβ原線維l−42ペプチド誘発性タウリン酸化反応を軽減したことを示した。本実施例に開示の実験により、神経毒の存在下におけるRNS60の保護効果は、Akt阻害薬により阻害される可能性があることを確認した。したがって、本実施例は、RNS60がAβ毒性からニューロンを保護するためにはAktが必要であることを確認した。
【0366】
既に記載のようにニューロンまたは星状細胞を単離して、培養した(1、2)。ニューロンまたは星状細胞を、10%RIS60またはIS(対照として使用)で0分間、15分間、30分間、60分間、90分間、120分間、および180分間処置し、リン酸化Aktおよび正常Akt(細胞シグナル伝達)抗体を用いた細胞抽出物のウエスタンブロット法によりAkt活性化をモニタリングした。総Aktを正常Akt抗体により検出した。ニューロンまたは星状細胞を、増量RNS60(2%、5%、10%、および20%)で処置した。各種用量のNSを対照として使用した。Akt活性化を上記のようにモニタリングした。
【0367】
既に記載のようにΑβ原線維l−42(Bachem Biosciences)を原線維形態に変化させた(1、3)。ニューロンのリン酸化Akt機能は、AktI(特異的なAkt阻害薬、CalBiochem製)により阻害された。
【0368】
各種濃度のAktIで30分間プレインキュベートしたニューロンをRNS60処置した。1時間インキュベーション後、細胞をΑβ原線維l−42に曝露させた。12時間後、ニューロンアポトーシスをTUNELによりモニタリングし、24時間後、既に記載のようにMTTおよびLDH放出によって細胞死を評価した(1、2)。
【0369】
結果は、Akt阻害薬であるAktIは、Αβ原線維に曝露したニューロンに対するRNS60の保護効果を無効化することが示された。したがって、本結果は、RNS60がAβ毒性からニューロンを保護するためにはAktが必要であることを確認した。
【0370】
上記項目に引用した参考文献:
1. Jana, A. & Pahan, K. 2004. Fibrillar amyloid−β peptides kill human primary neurons via NADPH oxidase−mediated activation of neutral sphingomyelinase: Implications for Alzheimer’s disease. J. Biol Chem. 279: 51451−51459.
2. Jana, A. & Pahan, K. 2004. HIV−1 gpl20 induces apoptosis in human primary neurons through redox−regulated activation of neutral sphingomyelinase. J. Neurosci. 24: 9531−9540.
3. Jana, M. & Pahan, K. 2008. Fibrillar amyloid−β peptides activate microglia via toll−like receptor 2: Implications for Alzheimer’s disease. J. Immunol. 181: 7254−7262.
実施例16
【0371】
(神経毒の存在下におけるRNS60の保護効果は、PI3キナーゼ阻害薬により阻害された)
【0372】
要約。PI3キナーゼは、複数の細胞過程(細胞増殖、増殖、分化、遊走、生存および細胞内トラフィッキング等)において重要な役割を果たす。加えて、PI3キナーゼは、インスリンシグナル伝達経路の重要な成分でもある。特に、PI3キナーゼは、リン酸化されていることが知られており、したがって、Aktを活性化させ、これは、細胞(神経細胞等)の毒性およびプロアポトーシス刺激からの保護において重要な役割を果たす。
【0373】
本明細書の上記の実施例13および15は、a)一次ニューロンのAktはRNS60の存在下でリン酸化された、およびb)RNS60媒介性の神経毒からの保護は、Akt阻害薬により阻害される可能性があることを示した。本実施例は更に、RNS60媒介性のアポトーシスを誘発する神経毒からの保護にはPI3キナーゼ経路が必要であることも示す。
【0374】
図20は、PI3キナーゼ阻害薬で処置したヒト一次ニューロンに対するRNS60の効果を評価した実験の結果を示す。既に記載のようにヒト一次ニューロンを単離して、培養した(1、2)。既に記載のようにΑβ原線維l−42(Bachem Biosciences)を原線維形態に変化させた(1、3)。ニューロン中のPI3キナーゼ機能はLY294002(PI3キナーゼに特異的な阻害薬、Enogene製)により阻害された。
【0375】
2μm LY294002でプレインキュベートしたニューロンをRNS60処置した。1時間インキュベーション後、細胞をΑβ原線維l−42に曝露させた。12時間後、ニューロンアポトーシスをTUNELによりモニタリングし、24時間後、既に記載のようにMTTおよびLDH放出によって細胞死を評価した(1、2)。
【0376】
結果は、PI3キナーゼ阻害薬であるLY294002は、Αβ原線維に曝露したニューロンに対するRNS60の保護効果を無効化することが示された。したがって、本結果は、RNS60がAβ毒性からニューロンを保護するためにはPI3キナーゼが必要であることを示す。
【0377】
したがって、ある実施形態によれば、
図21に図解するように、ニューロン中、RNS60は膜効果を介して(例えば、1つ以上のイオンチャネルの調節を介して)PI3キナーゼを活性化させ、続いてAktをリン酸化および活性化させる。リン酸化Aktは次いでニューロン細胞の神経毒媒介性アポトーシスを阻害する。
【0378】
参照による組み込み。本明細書において言及される、および/または出願データ用紙に列挙される、上記の米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願、および非特許刊行物のすべては、参照することによりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0379】
本明細書の図面および詳細な説明は、限定的な形ではなく例示的なものであるとみなされ、開示される特定の形態および例に本発明を限定することを意図しない。逆に、本発明には、以下の特許請求の範囲により定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく、当業者には明らかな任意の更なる修正、変更、再配置、置換、代替、設計選択、および実施形態が含まれる。したがって、以下の特許請求の範囲は、すべてのかかる更なる修正、変更、再配置、置換、代替、設計選択、および実施形態を包含すると解釈されるべきであることを意図する。
【0380】
前述の実施形態は、異なる他の成分内に含有された、または接続された、異なる成分を示す。かかる示された構築物は、例示に過ぎず、かつ同一の機能性を達成する多くの他の構築物を実施することができるという事実が理解されるべきである。概念的な意味において、同一の機能性を達成するための成分の任意の配置は、所望の機能性を達成するように、効果的に「会合」される。したがって、特定の機能性を達成するために組み合わせた本明細書の2つの成分は、構築物または媒介の成分と無関係で、所望の機能性を達成するように互いに「会合する」とみなすことができる。同様に、このように会合された2つの成分はまた、所望の機能性を達成するように、互いに、「操作可能に接続される」または「操作可能に連結される」ものとして見ることもできる。
【0381】
本発明の特定の実施形態が示され、記載されているが、本明細書の教示に基づいて、本発明およびその広範な態様から逸脱することなく、変更および修正し得ることが当業者には明らかであるため、かかる変更および修正を範囲内にすべて包含する添付の特許請求の範囲は、本発明の真意および範囲内である。更に、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることが理解されるべきである。概して、本明細書、特に添付の特許請求の範囲(例えば、添付の特許請求の範囲の主要部)に使用される用語は、一般的に、「開放的な」用語として意図されるものであること(例えば、「含む(including)」という用語は、「〜が含まれるが、これらに限定されない(including but not limited to)」として解釈されるものとし、「有する(having)」という用語は、「少なくとも〜を有する(having at least)」として解釈されるものとし、「含む(includes)」という用語は、「〜が含まれるが、これらに限定されない(includes but is not limited to)」として解釈されるものとする等)が、当業者によって理解されるであろう。特定数の導入される特許請求の範囲の詳述が意図される場合、かかる意図は、特許請求の範囲中に明確に引用され、かかる詳述がない場合、かかる意図は存在しないことが、当業者によって更に理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、特許請求の範囲の詳述を導入するために、前置きの語句「少なくとも1つの(at least one)」および「1つ以上(one or more)」の使用を含有し得る。しかしながら、かかる語句の使用は、同一請求項が前置きの語句「1つ以上」もしくは「少なくとも1つの」、ならびに「a」もしくは「an」等の不定冠詞を含むときでさえも、不定冠詞「a」もしくは「an」による特許請求の範囲の詳述の導入が、唯一のかかる詳述を含む発明のかかる導入された特許請求の範囲の詳述を含むいかなる特定の特許請求の範囲も限定することを意味すると
解釈されるべきではない(例えば、「a」および/または「an」は、一般的に「少なくとも1つの(at least one)」または「1つ以上(one or more)」を意味すると解釈されるべきである);同じことが特許請求の範囲の詳述の導入に使用される定冠詞の使用にも当てはまる。加えて、特定の数の導入される特許請求の範囲の詳述が明確に引用される場合であっても、かかる詳述は、少なくとも引用される数(例えば、他の修飾語句なしの「2つの詳述」の単なる詳述は、一般に少なくとも2つの詳述、または2つ以上の詳述を意味する)を意味すると一般に解釈すべきことが、当業者によって更に理解されるであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されない。