(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される、化合物。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための組成物であって、該組成物は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物;請求項4、5、および7のいずれか1項に記載の組成物;または請求項9または10に記載の薬学的製品を含有する、組成物。
個体における、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための組成物であって;請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物;請求項4、5、および7のいずれか1項に記載の組成物;または請求項9または10に記載の薬学的製品を含有する、組成物。
個体における、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための組成物であって;該組成物は、請求項2に記載の化合物を含有し、該化合物は、代謝化学反応の結果として請求項3に記載の化合物を生成する、組成物。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための組み合わせ物であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有する、組み合わせ物。
個体における、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための組み合わせ物であって;請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有する、組み合わせ物。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための組み合わせ物であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有し、該組み合わせ物は、その必要がある該個体に処方されることを特徴とする、組み合わせ物。
個体における、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための組み合わせ物であって;請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有し、該組み合わせ物は、その必要がある該個体に処方されることを特徴とする、組み合わせ物。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用。
GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための医薬の製造における、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための医薬の製造における、薬剤の、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物と組み合わせての使用。
GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための医薬の製造における、薬剤の、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物と組み合わせての使用。
個体におけるインクレチンの分泌を増大させるため、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための組み合わせ物であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有する組み合わせ物。
個体における、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害を処置するための組み合わせ物であって、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物および第二の薬剤を含有する組み合わせ物。
前記障害が、骨減少症、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、変形性関節症、歯周疾患、歯槽骨損失、骨切り術による骨損失、小児期特発性骨損失、パジェット疾患、転移性がんに起因する骨損失、骨溶解性病変、脊柱の弯曲、および身長の損失から選択される、低い骨質量により特徴付けられる状態である、請求項12、14、19および22のいずれか1項に記載の組成物;請求項28、30、37および42のいずれか1項に記載の組み合わせ物;または請求項25、40、および42のいずれか1項に記載の薬学的製品。
前記障害が、糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、不充分なグルコース耐性、グルコース寛容減損、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、症候群X、高血圧症、膵臓β細胞機能不全症、腸内分泌細胞機能不全症、糖尿、代謝性アシドーシス、白内障、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、末梢ニューロパシー、糖尿病性冠状動脈疾患、糖尿病性脳血管疾患、糖尿病性末梢脈管疾患、糖尿病性網膜症、代謝症候群、糖尿病に関連する状態、心筋梗塞、学習欠陥、記憶欠陥、神経変性障害、神経変性障害を罹患する個体において血中GLP-1レベルを増大させることにより軽減される状態、重篤な癲癇発作により引き起こされる興奮毒性能損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、プリオン関連疾患、脳卒中、運動ニューロン疾患、外傷性脳損傷、脊髄損傷、および肥満症から選択される代謝関連障害である、請求項12、14、19および22のいずれか1項に記載の組成物;請求項28、30、37および42のいずれか1項に記載の組み合わせ物;または請求項25、40および42のいずれか1項に記載の薬学的製品。
前記薬剤または前記第二の薬剤が、DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、インスリンアナログ、スルホニル尿素、SGLT2インヒビター、メグリチニド、チアゾリジンジオン、および抗糖尿病ペプチドアナログから選択される、請求項7および43〜50のいずれか1項に記載の組成物;請求項27〜30、35〜37および42〜50のいずれか1項に記載の組み合わせ物;または請求項9,10、38〜41および42〜50のいずれか1項に記載の薬学的製品。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
A.真性糖尿病
真性糖尿病は、世界中で1億人を超える人々が罹患する、重症の疾患である。合衆国において、1億2千万を越える糖尿病患者が存在し、毎年600,000の新たな症例が診断されている。
【0003】
真性糖尿病とは、上昇した血糖をもたらす異常なブドウ糖ホメオスタシスにより特徴付けられる一群の障害に対する診断上の用語である。多くの型の糖尿病が存在するが、最も一般的な2つのものは、1型(インスリン依存性真性糖尿病またはIDDMとも称される)および2型(インスリン非依存性真性糖尿病またはNIDDMとも称される)である。
【0004】
これらの異なる型の糖尿病の病因は同じではないが、糖尿病を罹患する全ての人は、2つのことが共通する。すなわち、肝臓によるグルコースの過剰産生、およびグルコースが身体の一次燃料となる細胞に、血液からグルコースが移動する能力がほとんどまたはまったくないことである。
【0005】
糖尿病を罹患していない人々は、グルコースを血液から身体の細胞に移動させるために、インスリン(膵臓で製造されるホルモン)に依存する。しかし、糖尿病を罹患する人々は、インスリンを産生しないか、または自分が産生するインスリンを効率的に使用することができないかのいずれかであり、従って、グルコースを細胞中に移動させることができない。グルコースが血液中に蓄積して、高血糖症と呼ばれる状態を生じさせ、そして経時的に、重大な健康上の問題を引き起こし得る。
【0006】
糖尿病は、相互に関連する代謝成分、脈管成分、およびニューロパシー成分を有する症候群である。代謝症候群(一般に高血糖症により特徴付けられる)は、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝の変化を含み、これらは、インスリン分泌が存在しないかもしくは顕著に低下していること、および/または有効でないインスリン作用により引き起こされる。脈管症候群は、血管における異常性からなり、心臓血管、網膜および腎臓の合併症をもたらす。末梢神経系および自律神経系における異常性もまた、糖尿病性症候群の一部である。
【0007】
糖尿病を罹患する人々のうちの約5%〜10%が、IDDMを罹患する。これらの個体は、インスリンを産生しないので、自分の血中グルコースレベルを正常に維持するために、インスリンを注射しなければならない。IDDMは、インスリンを産生する膵臓のβ細胞の破壊により引き起こされる、低レベルまたは検出不可能なレベルの内因性インスリン産生により特徴付けられ、これは、IDDMをNIDDMと最も容易に区別する特徴である。IDDMは、かつては若年発症糖尿病と呼ばれ、若年および年長の成人を同様に襲う。
【0008】
糖尿病を罹患する人々のうちの約90%〜95%が、NIDDM(2型)を罹患する。NIDDM被験体はインスリンを産生するが、その体内の細胞はインスリン抵抗性である。すなわち、これらの細胞は、このホルモンに適切に応答せず、従って、グルコースが血液中に蓄積する。NIDDMは、内因性インスリン産生とインスリン要求との間の相対的な不一致により特徴付けられ、上昇した血中グルコースレベルをもたらす。IDDMとは異なり、NIDDMにおいては常に、いくらかの内因性インスリン産生が存在する。多くのNIDDM患者は、血中インスリンレベルが正常であるか、または高くさえある一方で、他のNIDDM患者は、インスリン産生が不充分である(非特許文献1)。NIDDMであると診断されたほとんどの人々は、30歳以上であり、そして全ての新たな症例のうちの半分は、55歳以上である。白人およびアジア人と比較して、NIDDMは、アメリカン先住民、米国黒人、ラテン民族、およびヒスパニックの間で、より一般的である。さらに、その発症は潜行性であり得るか、または臨床的に不顕性でさえあり得、診断を困難にし得る。
【0009】
NIDDMの主要な病原性の病変は、依然としてわかりにくい。多くの人が、末梢組織の主要なインスリン抵抗性が初期事象であると示唆している。遺伝の疫学遺伝学的研究が、この見解を支持している。同様に、インスリン分泌の異常性が、NIDDMにおける主要な欠陥であると論じられている。両方の現象が、疾患プロセスに重要に寄与することは、ありそうなことである(Rimoin,D.L.ら,Emery and Rimoin's Principles and Practice of Medical Genetics第3版.1:1401-1402(1996))。
【0010】
NIDDMを罹患する多くの人々は、ほとんど座っている生活様式を有し、そして肥満している。すなわち、これらの人々は、体重が、身長および体格に対して推奨される体重よりもおよそ20%重い。さらに、肥満症は、高インスリン血症およびインスリン抵抗性により特徴付けられ、NIDDM、高血圧症およびアテローム性動脈硬化症と共有される特徴である。
【0011】
糖尿病を罹患する患者は、30%減少した寿命に直面する。45歳を過ぎると、糖尿病を罹患する人々は、糖尿病を罹患しない人々よりも、重大な心臓病を約3倍有しやすく、そして発作を約5倍有しやすい。これらの知見は、NIDDMおよび冠状脈心臓病の危険因子と、これらの状態の予防のための統合されたアプローチの潜在値との間の、相互関係を強調する(Perry,I.J.ら,BMJ 310,560-564(1995))。
【0012】
糖尿病はまた、腎疾患、眼疾患および神経系の問題の発症に関連している。腎疾患(腎症とも呼ばれる)は、腎臓の「フィルター機能」が損傷され、そしてタンパク質が尿内に過剰量で漏出し、そして最終的に、この腎臓が不全になる場合に起こる。糖尿病はまた、眼の後方の網膜への損傷の主要な原因であり、そして白内障および緑内障の危険性を増大させる。最後に、糖尿病は、神経損傷に関連しており(特に、脚および足において)、これは、疼痛を感じる能力を妨害し、そして重篤な感染に寄与する。一緒に考慮すると、糖尿病の合併症は、国民の主要な死因の1つである。
【0013】
B.肥満症
肥満症および糖尿病は、工業化社会における最も一般的なヒトの健康上の問題の最たるものである。工業国において、その人口のうちの3分の一が、少なくとも20%過体重である。合衆国において、肥満の人々の百分率は、1970年代後期の25%から、1990年代初期の33%まで、増大している。糖尿病は、NIDDMの最も重要な危険因子のうちの1つである。肥満症の定義は様々であるが、一般に、彼/彼女の身長および体格に対して推奨される体重より少なくとも20%体重が重い被験体が、肥満とみなされる。NIDDMを発症する危険性は、30%過体重の被験体において3倍であり、そしてNIDDMを罹患する4分の3が、過体重である。
【0014】
糖尿病は、カロリー摂取量とエネルギー消費量との間の不釣合いの結果であり、実験動物およびヒトにおいて、インスリン抵抗性および糖尿病に高度に相関付けられている。しかし、肥満症-糖尿病症候群に関与する分子機構は、明らかではない。肥満症の初期の発症中に、増大したインスリン分泌がインスリン抵抗性と釣り合いを取り、そして患者を高血糖症から保護する(非特許文献2)。しかし、数十年後、β細胞機能が悪化し、そしてインスリン非依存性糖尿病を、糖尿病人口の約20%において発症する(Pederson,P.Diab.Metab.Rev.5,505-509(1989))および(Brancati,F.L.ら,Arch.Intern.Med.159,957-963(1999))。最近の社会におけるこの高い有病率を考慮すると、肥満症は、NIDDMの主要な危険因子になっている(Hill,J.O.ら,Science 280,1371-1374(1998))。しかし、患者の一部分を、脂肪蓄積に応答してインスリン分泌を変化させやすくする要因は、未知のままである。
【0015】
あるヒトが過体重であると分類されるか肥満であると分類されるかは、多数の異なる方法によって、例えば、ボディマス指数(BMI)(体重(kg)を身長の二乗(m
2)で割ることにより計算される)に基づいて決定され得る。従って、BMIの単位はkg/m
2であり、そしてBMI範囲を、人生の各10年間において、最小の死亡率に関連して計算することが可能である。過体重は、25kg/m
2〜30kg/m
2の範囲のBMIとして定義され、そして肥満症は、30kg/m
2より大きいBMIとして定義される(以下の表を参照のこと)。この定義には、例えば、脂肪(脂肪組織)に関連して、筋肉であるボディマスの割合を考慮しない問題がある。これを考慮に入れるために、代替的に、肥満症は、体脂肪率(男性において25%より高い、および女性において30%より高い)に基づいて定義され得る。
【0016】
【表1A】
【0017】
BMIが増大するにつれて、種々の要因による死の危険性が増大し、これは、他の危険因子と無関係である。肥満症に関連する最も一般的な疾患は、心臓血管疾患(特に、高血圧症)、糖尿病(肥満症は、糖尿病の発症を悪化させる)、胆嚢疾患(特に、がん)および生殖の疾患である。研究は、体重の穏やかな減少でさえも、冠状脈心臓病を発症する危険性のかなりの低下に対応し得ることを示している。
【0018】
肥満症は、心臓血管疾患も発症させる危険性を、かなり増大させる。冠状動脈不全、アテロームの疾患、および心不全は、肥満症により誘導される心臓血管合併症の、最前線にある。全人口が理想体重を有するならば、冠状動脈不全の危険性は25%低下し、そして心不全および脳血管障害(cerebral vascular accident)の危険性は35%低下すると推定されている。冠状脈疾患の発生数は、30%過体重である50歳未満の被験体において、2倍である。
【0019】
C.アテローム性動脈硬化症
アテローム性動脈硬化症は、炎症、脂質蓄積、細胞死および線維症により特徴付けられる、複雑な疾患である。アテローム性動脈硬化症は、内皮下空間へのコレステロール沈着および単球浸潤により特徴付けられ、泡沫細胞形成をもたらす。アテローム性動脈硬化症後の血栓症は、心筋梗塞および発作をもたらす。アテローム性動脈硬化症は、合衆国を含めた多くの国における、死亡の主要な原因である(例えば、非特許文献3;非特許文献4を参照のこと)。
【0020】
D.骨粗鬆症
骨粗鬆症は骨質量の喪失および骨格構造のミクロ造型的劣化によって特徴付けられる廃疾病であり、損なわれた骨強度をもたらし、このことは患者を脆性骨折の増大した危険性に対して素因があるようにする。欧州、日本および合衆国において骨粗鬆症は7500万人を超える人々が罹っており、欧州および合衆国単独において230万を超える骨折を引き起こす。合衆国において、骨粗鬆症は、全ての閉経後白人の婦人の少なくとも25%が罹っており、該割合は80歳を超える婦人で70%まで上昇する。50歳を超える3人の婦人のうち一人は骨粗鬆症的骨折を有し、これは社会に対してかなりの社会的かつ経済的負担を引き起こす。該疾患は婦人に限定されず;老齢の男性も罹り得る。2050年までには、臀部骨折の世界的な発生率は、男性において310%まで増加すると試算されており、女性においては240%まで増加すると試算されている。臀部、前腕、および脊椎骨折の臨床的に示される人生における危険性は合計40%程度であり、心血管病に対する危険性と匹敵する。従って、骨粗鬆症骨折は実質的な死亡率、有病率、および経済的コストを引き起こす。高齢化している集団では、骨粗鬆症骨折の数およびそのコストは、効果的な予防戦略が開発されるのでなければ、次の50年で少なくとも2倍となるであろう(例えば、非特許文献5;非特許文献6;および非特許文献7を参照のこと)。
【0021】
E.炎症性腸疾患(IBD)
炎症性腸疾患(IBD)は、腸管における炎症を引き起こす疾患に対する一般的な名称であり、そして例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、および潰瘍性直腸炎を含む。1990年の合衆国の炎症性腸疾患の医療費は、14億ドル〜18億ドルであると推定されている。失われた生産力は、さらに4億ドル〜8億ドルを加えたと推定され、炎症性腸疾患の推定費用は、18億ドル〜26億ドルになる(例えば、非特許文献8;非特許文献9;非特許文献10を参照のこと)。
【0022】
腸炎(enteritis)とは、腸管(特に、小腸)の炎症をいい、多数の異なる原因のいずれかを有し得る一般的な状態である。腸炎(enterocolitis)とは、小腸および結腸の炎症をいう。
【0023】
クローン病(CD)は、消化管の任意の部分に影響を与え得る炎症プロセスであるが、最も一般的には、小腸の少なくとも一部分((末端の)回腸および盲端とも呼ばれる)で見られる。まとめて、この領域は、回盲領域としても公知である。他の症例は、結腸のみ、小腸のみ(十二指腸、空腸および/または回腸)、肛門、胃または食道のうちの1つ以上に影響を与え得る。潰瘍性大腸炎とは異なり、CDは通常、直腸には影響を与えず、頻繁に肛門に影響を与える。炎症は、罹患した器官の管壁に深く広がる。この炎症は疼痛を引き起こし得、そしてこれらの腸管を頻繁に空にし得、下痢を引き起こし得る。CDも、腸炎と呼ばれ得る。肉芽腫性大腸炎は、CDの別の名称であり、これは、結腸に影響を与える。回腸炎は、小腸の第三の部分である回腸のCDである。クローン結腸炎は、結腸の一部分または全てに影響を与えるCDである。
【0024】
潰瘍性大腸炎(UC)は、大腸(一般に、結腸と呼ばれる)の炎症性疾患である。UCは、結腸および直腸の管の内壁の炎症および潰瘍を引き起こす。UCの炎症は通常、直腸領域において最も重篤であり、その重篤度は、盲端(ここで大腸と小腸とが接合する)に向かって(患者ごとに異なる割合で)低下する。直腸の炎症は、直腸炎と呼ばれる。S状結腸(直腸のすぐ上に位置する)の炎症は、S状結腸炎と呼ばれる。結腸全体にわたる炎症は、全大腸炎(pancolitis)と呼ばれる。この炎症は、結腸を頻繁に空にし、下痢を引き起こす。結腸の管壁が破壊されるにつれて、潰瘍が形成され、粘液、膿および血液を放出する。潰瘍性直腸炎は、直腸のみに影響を与えるUCの1形態である。
【0025】
F.GPR119
GPR119は、Gタンパク質共役レセプター(GPR119;例えば、ヒトGPR119、GenBank(登録商標)登録番号AAP72125およびその対立遺伝子;例えば、マウスGPR119、GenBank(登録商標)登録番号AY288423およびその対立遺伝子)であり、そして膵臓のβ細胞で選択的に発現される。GPR119の活性化は、細胞内cAMPのレベルの上昇をもたらし、これは、GPR119がGに共役することに一致する。GPR119に対するアゴニストは、インビトロでグルコース依存性インスリン分泌を刺激し、そしてインビボで上昇した血中グルコースレベルを低下させる。例えば、特許文献1、特許文献2、および特許文献3を参照のこと。文献において、GPR119は、RUP3(国際公開第00/31258号を参照のこと)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激レセプターGDIR(Jonesら,Expert Opin.Ther.Patents(2009),19(10):1339-1359を参照のこと)とも称されている。
【0026】
GPR119アゴニストはまた、グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、および少なくとも1つの他のL細胞ペプチド、ペプチドYY(PYY)の放出を刺激する(Jonesら,Expert Opin.Ther.Patents(2009),19(10):1339-1359)。GPR119アゴニストと:
GIPの放出に関する具体的な言及については、Shah,Current Opinion in Drug Discovery & Development,(2009)12:519-532;Jonesら,Ann.Rep.Med.Chem.,(2009)44:149-170;国際公開第2007/120689号;および国際公開第2007/120702号を参照のこと;
GLP-1の放出に関する具体的な言及については、Shah,Current Opinion in Drug Discovery & Development,(2009)12:519-532;Jonesら,Ann.Rep.Med.Chem.,(2009)44:149-170;Schwartzら,Cell Metabolism,2010,11:445-447;および国際公開第2006/076231号を参照のこと;そして
PYYの放出に関する具体的な言及については、Schwartzら,Cell Metabolism,2010,11:445-447;および国際公開第2009/126245号を参照のこと。
【0027】
上記のように、GPR119アゴニストは、インクレチン放出を増強し、従って、インクレチン(例えば、GIP、GLP-1、およびPYY)に関連する障害の処置において使用され得る。しかし、多数のインクレチン(例えば、GIPおよびGLP-1)は、酵素ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)に対する基質である。Jonesおよび共同研究者ら(Jonesら,Ann.Rep.Med.Chem.,(2009)44:149-170)は、GPR119アゴニストである(2-フルオロ-4-メタンスルホニル-フェニル)-{6-[4-(3-イソプロピル-[1,2,4]オキサジアゾール-5-イル)-ピペリジン-1-イル]-5-ニトロ-ピリミジン-4-イル}-アミン(WO 2004/065380の化合物B111を参照のこと)とDPP-IVインヒビターとの組み合わせた投与が、血漿中GLP-1レベルを急激に上昇させ、そしていずれかの剤単独よりも有意に高い程度まで、グルコース耐性を改善させることを実証した。
【0028】
G.グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)
グルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP、胃抑制性ポリペプチドとしても公知)は、42アミノ酸のペプチドインクレチンホルモンであり、食物摂取後に、十二指腸の内分泌K細胞から放出される。放出されるGIPの量は、消費されるグルコースの量に大いに依存する。GIPは、膵臓β細胞におけるグルコース依存性インスリン分泌を刺激することが示されている。GIPは、その作用を、特定のGタンパク質共役レセプター、すなわち、GIPRによって媒介する。
【0029】
GIPは2位にアラニンを含むので、DPP-IV(GIPの分解を調節する酵素)に対する優れた基質である。全長GIP(1-42)は、生物学的に不活性なGIP(3-42)に迅速に転換される。内分泌性K細胞からの分泌の数分以内に、DPP-IVの阻害は、GIPの生物活性を増強することが示されている(例えば、非特許文献11;非特許文献12;非特許文献13;および非特許文献14を参照のこと)。全長の生物活性GIPの、例えば血液中での分析は、N末端特異的アッセイを使用して行われ得る(例えば、Deaconら,J Clin Endocrinol Metab(2000)85:3575-3581を参照のこと)。
【0030】
最近、GIPは、骨形成を促進することが示されている。GIPは、骨芽細胞レセプターを活性化させて、コラーゲンI型の合成およびアルカリホスファターゼの活性(両方、骨形成に関与する)の増大をもたらすことが示されている。GIPは、インビトロで、破骨細胞の活性および分化を阻害することが示されている。GIP投与は、卵巣摘出術に起因する骨の損失を予防することが示されている。GIPレセプター(GIPR)ノックアウトマウスは、減少した骨サイズ、より低い骨質量、変化した骨の微細構造および生化学特性、ならびに骨の代謝回転の変化したパラメータ(特に、骨の形成において)を証拠付ける(例えば、Zhongら,Am J Physiol Endocrinol Metab(2007)292:E543-E548;Bollagら,Endocrinology(2000)141:1228-1235;Bollagら,Mol Cell Endocrinol(2001)177:35-41;Xieら,Bone(2005)37:759-769;およびTsukiyamaら,Mol Endocrinol(2006)20:1644-1651を参照のこと)。
【0031】
骨の密度および形成を維持または増大させるための、GIPの有用性は、米国特許商標局によって、低下した骨鉱化作用のGIPペプチドの投与による処置についての米国特許第6,410,508号の発行によって、認められている。しかし、現在のGIPペプチドアゴニストは、経口でのバイオアベイラビリティの欠如(患者のコンプライアンスに悪影響を与える)に悩まされている。魅力的な代替のアプローチは、GIP活性の内因性レベルを増大させるための、経口で活性な組成物を開発することである。
【0032】
GPR119アゴニストは、GIPの放出を刺激することが示されている。Shah,Current Opinion in Drug Discovery & Development,(2009)12:519-532;Jonesら,Ann.Rep.Med.Chem.,(2009)44:149-170;WO 2007/120689;およびWO 2007/120702を参照のこと。
【0033】
H.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)
グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)は、プログルカゴンの翻訳後修飾から誘導され、そして腸の内分泌細胞により分泌される、インクレチンホルモンである。GLP-1は、その作用を、特定のGタンパク質共役レセプター(GPCR)、すなわち、GLP-1Rによって媒介する。GLP-1は、ブドウ糖ホメオスタシスを調節するホルモンとして、最もよく特徴付けられている。GLP-1は、グルコース依存性インスリン分泌を刺激し、そして膵臓のβ細胞質量を増大させることが示されている。GLP-1はまた、胃を空にする速度を低下させ、そして満腹を促進することが示されている。GLP-1ペプチドアゴニストの、2型糖尿病における血中グルコースの制御における効力は、数個の臨床研究[例えば、非特許文献15を参照のこと]において、ボディマスを減少させる際のその効力を有すると実証されている[非特許文献16]。
【0034】
GLP-1レセプターアゴニストはさらに、心筋梗塞に対して、ならびに認知障害および神経変性障害に対して、保護する際に有用である。GLP-1は、心筋梗塞のラットモデルにおいて、心臓を保護することが示されており[Boseら,Diabetes(2005)54:146-151]、そしてGLP-1Rは、げっ歯類モデルにおいて、学習および神経保護に関与することが示されている[Duringら,Nat.Med.(2003)9:1173-1179;およびGreigら,Ann N Y Acad Sci(2004)1035:290-315]。
【0035】
2型糖尿病などの特定の障害は、GLP-1の欠乏により特徴付けられる[例えば、Nauckら,Diabetes(2004)53補遺3:S190-196を参照のこと]。
【0036】
現在のGLP-1ペプチドアゴニストは、経口でのバイオアベイラビリティの欠如(効力に悪影響を与える)に悩まされている。経口で生体利用可能な、非ペプチドの低分子の、GLP-1Rのアゴニストを開発する努力は、これまで成功していない(Mentlein,Expert Opin Investig Drugs(2005)14:57-64)。魅力的な代替のアプローチは、血液中のGLP-1の内因性レベルを増大させるための、経口で活性な組成物を開発することである。
【0037】
GPR119アゴニストは、GLP-1の放出を刺激することが示されている。Shah,Current Opinion in Drug Discovery & Development,(2009)12:519-532;Jonesら,Ann.Rep.Med.Chem.,(2009)44:149-170;Schwartzら,Cell Metabolism,2010,11:445-447;およびWO 2006/076231を参照のこと。
【0038】
I.ペプチドYY(PYY)
ペプチドYY(PYY)は、36アミノ酸のペプチドであり、最初、1980年に、ブタ腸管から単離された(非特許文献17)。PYYは、腸内分泌L細胞から、大腸と小腸との両方において分泌される。ラットおよびヒトの腸において、免疫反応性PYYの濃度は、十二指腸および空腸において低く、回腸および結腸において高く、そして直腸において最も高いことが示されている(Lundbergら,PNAS USA(1982)79:4471-4475;Adrianら,Gastroenterol.(1985)89:1070-1077;Ekbladら,Peptides(2002)23:251-261;Uenoら,Regul Pept(2008)145:12-16)。ラットにおけるPYY発現はまた、ランゲルハンス島のα細胞および延髄の細胞に拡張することが報告されている(Ekbladら,Peptides(2002)23:251-261)。PYYは、PYY
1-36およびPYY
3-36として、循環中に放出される(Eberleinら,Peptides(1989)10:797-803)。PYY
3-36は、PYY
1-36から、N末端のTyr残基およびPro残基の、DPP-IVによる切断によって産生される。PYY
3-36は、ヒトの食後の血漿中の、PYYの優勢な形態である(Grandtら,Regul.Pept.(1994)51:151-159)。PYY
1-36およびPYY
3-36は、NPY Y2レセプター(Y2R)(Gタンパク質共役レセプター)において、匹敵するアゴニスト活性を有すると報告されている(Parkerら,Br.J.Pharmacol.(2008)153:420-431)。しかし、PYY
3-36は、高親和性Y2R選択的アゴニストであることが報告されている(Keireら,Am.J.Physiol.Gastrointest.Liver Physiol.(2000)279:G126-G131)。PYYは、その後、末梢投与後、ラットにおいて、高脂肪食物取り込みを減少させること(Okadaら,Endocrinology Supplement(1993)180)、および末梢投与後、マウスにおいて体重減少を引き起こすこと(Morleyら,Life Sciences(1987)41:2157-2165)が報告された。
【0039】
PYY
3-36の末梢投与は、ラットにおいて食物取り込みおよび体重増加を顕著に減少させること、ヒトにおいて食欲および食物取り込みを減少させること、ならびにマウスにおいて食物取り込みを減少させるがY2R-ヌルマウスにおいては減少させないことが報告されており、食物取り込み効果はY2Rを必要とすることを示唆するといわれている。ヒト研究において、PYY
3-36の注入は、食欲を有意に低下させ、そして食物取り込みを24時間にわたって33%低下させることが見出された。PYY
3-36を注入してこのペプチドを正常な食後の循環濃度に達せさせると、PYY
3-36のピーク血清中レベルが15分以内でもたらされ、その後、急速に減少して30分以内で基底レベルになった。PYY
3-36注入後の12時間の期間において、食物取り込みの有意な抑制が存在するが、12時間〜24時間の期間においては、食物取り込みに対して本質的に効果がないことが報告されている。ラット研究において、PYY
3-36の腹腔内への繰り返しの投与(7日間にわたって1日2回の注射)は、累積食物取り込みを減少させた(Batterhamら,Nature(2002)418:650-654;Renshawら,Current Drug Targets(2005)6:171-179)。
【0040】
PYY
3-36の末梢投与は、食物取り込み、体重増加および血糖上昇指数を、両方の性の代謝疾患の大規模なげっ歯類モデルにおいて減少させることが報告されている(Pittnerら,Int.J.Obes.Relat.Metab.Disord.(2004)28:963-971)。特定のアンタゴニストBIIE-246でのY2Rの遮断は、末梢投与された内因性および外因性のPYY
3-36が、食物取り込みを低下させる効果を減衰させることが報告されている(Abbottら,Brain Res(2005)1043:139-144)。新規な、作用期間の長い、選択的Y2Rポリエチレングリコール結合ペプチドアゴニストの末梢投与は、げっ歯類において、食物取り込みを減少させ、そしてグルコース代謝(グルコース処分、血漿中インスリンおよび血漿中グルコース)を改善することが報告されている(Ortizら,JPET(2007)323:692-700;Lambら,J.Med.Chem.(2007)50:2264-2268)。マウスにおけるPYY切除は、高インスリン血症および肥満症の発症をもたらすことが報告されている(Boeyら,Diabetologia(2006)49:1360-1370)。作用期間が長い、強力かつ高度に選択的なY2Rアゴニストの末梢投与は、マウスにおいて、食物取り込みを抑制し、そして脂肪代謝を促進することが報告されている(Balasubramaniamら,Peptides(2007)28:235-240)。
【0041】
インビボでPYY合成を刺激する因子は、食事により誘導される肥満症および遺伝的肥満症に対する保護を与え得、そしてグルコース耐性を改善し得ることが証拠付けられている(Boeyら,Neuropeptides(2008)42:19-30)。
【0042】
Y2Rアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、癲癇発作(例えば、カイニン酸発作)に対する保護を与え得ることが報告されている(El Bahhら,Eur.J.Neurosci.(2005)22:1417-1430;Woldbyeら,Neurobiology of Disease(2005)20:760-772)。
【0043】
Y2Rアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、吸収促進(proabsorbtive)(または抗分泌)ホルモンとして働き、静脈内投与されると、腸の種々の部分において、水とナトリウムとの両方の吸収を増大させることが報告されている(Bilchikら,Gastroenterol.(1993)105:1441-1448;Liuら,J.Surg.Res.(1995)58:6-11;Nightingaleら,Gut(1996)39:267-272;Liuら,Am Surg(1996)62:232-236;Balasubramaniamら,J.Med.Chem.(2000)43:3420-3427)。Y2Rアゴニスト(例えば、PYYアナログ)は、腸管上皮において、分泌を抑制し、そして吸収および増殖を促進することが報告されている(Balasubramaniamら,J.Med.Chem.(2000)43:3420-3427)。PYYは、正常ラットにおける腸管成長を促進することが報告されている(Gomezら,Am.J.Physiol.(1995)268:G71-G81)。Y2Rアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、腸の運動性を抑制し、そして下痢を予防するように働くことが報告されている(EP1902730;Cox,Peptides(2007)28:345-351もまた参照のこと)。
【0044】
Y2Rアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎およびクローン病)に対する保護を与え得ることが報告されている(国際公開第03/105763号)。PYY欠損マウスは、骨減少の表現型を示すこと、すなわち、PYYは、骨質量を増大させ得、そして/または骨質量の損失に対する保護を与え得る(例えば、骨質量の損失を減少させる)ことが示されている(Wortleyら,Gastroenterol.(2007)133:1534-1543)。PYY
3-36は、膵臓炎のげっ歯類モデルにおいて、保護を与え得ることが報告されている(Vona-Davisら,Peptides(2007)28:334-338)。
【0045】
新脈管形成は、Y2R欠損マウスにおいて損なわれることが報告されている(Leeら,Peptides(2003)24:99-106)。すなわち、Y2Rのアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、新脈管形成を促進する。創傷治癒は、Y2R欠損マウスにおいて損なわれることが報告されている(Ekstrandら,PNAS USA(2003)100:6033-6038)。すなわち、Y2Rのアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、創傷治癒を促進する。虚血性新脈管形成は、Y2R欠損マウスにおいて損なわれることが報告されている(Leeら,J.Clin.Invest.(2003)111:1853-1862)。すなわち、Y2Rのアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、虚血性組織の血管再生および機能の回復を促進させる。Y2Rのアゴニスト(例えば、PYY
1-36およびPYY
3-36)は、末梢動脈疾患のラットモデルにおいて、側副枝依存性血流の増大を媒介することが報告されている(Cruzeら,Peptides(2007)28:269-280)。
【0046】
PYYおよびY2Rアゴニスト(例えば、PYY
3-36)は、例えば、膵臓管腺癌などの膵臓がん、乳房浸潤性管腺癌などの乳がん、結腸腺癌などの結腸がん、およびバレット腺癌の症例において、腫瘍増殖を抑制し得ることが報告されている(Liuら,Surgery(1995)118:229-236;Liuら,J.Surg.Res.(1995)58:707-712;Griseら,J.Surg.Res.(1999)82:151-155;Tsengら,Peptides(2002)23:389-395;McFaddenら,Am.J.Surg.(2004)188:516-519)。
【0047】
Y2Rの、例えばPYY
3-36による刺激は、血漿中アディポネクチンの増大をもたらすことが報告されている(Ortizら,JPET(2007)323:692-700)。アディポネクチンは、強力な抗炎症特性を有するアディポカインである(Ouchiら,Clin Chim Acta(2007)380:24-30;Tilgら,Nat.Rev.Immunol.(2006)6:772-783)。アディポネクチンは、脈管内皮細胞およびマクロファージを標的化することによって、抗アテローム発生効果を与え、そして主として筋肉および肝臓において、インスリン感作効果を与える(Kubotaら,J.Biol.Chem.(2002)277:25863-25866;Maedaら,Nat.Med.(2002)8:731-737)。低いアディポネクチンレベルは、脂質異常症(上昇したトリグリセリド、低密度LDLコレステロール、および低HDLコレステロール)において、アテローム発生リポタンパク質に関連すると報告されている(Marsoら,Diabetes Care(2008)31:989-994)。アディポネクチンは、高密度リポタンパク質(HDL)の構築に関与している(Okuら,FEBS Letters(2007)581:5029-5033)。アディポネクチンは、代謝症候群の異常(インスリン抵抗性、高血糖症、および脂質異常症が挙げられる)を、低下したアディポネクチンレベルに関連する肥満症関連代謝症候群のマウスモデルにおいて、軽減することが見出された(Haraら,Diabetes Care(2006)29:1357-1362)。アディポネクチンは、組織虚血に応答する新脈管形成を刺激することが報告されている(Shibataら,J.Biol.Chem.(2004)279:28670-28674)。アディポネクチンは、内皮の一酸化窒素シンターゼ依存機構によって、大脳虚血性損傷を防止することが報告されている(Nishimuraら,Circulation(2008)117:216-223)。アディポネクチンは、心筋虚血-再灌流障害に対する保護を与えることが報告されている(Shibataら,Nat Med(2005)11:1096-1103;Taoら,Circulation(2007)115:1408-1416)。アディポネクチンは、AMP活性化プロテインキナーゼであるAkt、および一酸化炭素によって、心筋虚血-再灌流障害に対する保護を与えることが報告されている(Gononら,Cardiovasc Res.(2008)78:116-122)。アディポネクチンは、心肥大および間隙線維症を抑制する能力によって、心筋梗塞後の心収縮期の機能不全の発症に対する保護を与えること、ならびに筋細胞および毛細管の損失に対する保護を与えることが報告されている(Shibataら,J.Mol.Cell Cardiol.(2007)42:1065-1074)。アディポネクチンは、炎症性肺疾患に対する保護を与えることが報告されている。アディポネクチン欠損マウスは、気腫様の表現型を示す(Summerら,Am J.Physiol.Lung Cell Mol.Physiol(2008年3月7日))。アディポネクチンは、アレルギー性気道炎症および気道過剰応答性(例えば、喘息に関連し得るもの)に対する保護を与えることが報告されている(Shoreら,J.Allergy Clin.Immunol(2006)118:389-395)。アディポネクチンは、そのインスリン感作効果によって、肺動脈高血圧症に対する保護を与えると示唆されている(Hansmannら,Circulation(2007)115:1275-1284)。アディポネクチンは、肥満症関連高血圧症を軽減することが報告されており、この高血圧症の軽減は、部分的には、調節されないプロスタサイクリン発現に関与している(Ohashiら,Hypertension(2006)47:1108-1116)。アディポネクチンは、ヒト大動脈内皮細胞(HAEC)において、接着分子VCAM-1、E-セレクチンおよびICAM-1の、腫瘍壊死因子(TNF)-αにより誘導される発現を低下させること(Ouchiら,Circulation(1999)100:2473-2476)、ならびにマクロファージにおけるTNF-αの産生を阻害することが報告されている(Yokotaら,Blood(2000)96:1723-1732)。アディポネクチンは、脈管介入後の再狭窄に対する保護を与えることが報告されている(Matsudaら,J Biol Chem(2002)277:37487-37491)。炎症におけるTNF-αの中心的役割は、TNF-αがある種の炎症状態を処置する作用を遮断する剤の能力によって、実証されている。TNF-αにより媒介される炎症状態は、慢性関節リウマチ、炎症性腸疾患(例えば、クローン病)、強直性脊椎炎、乾癬、虚血性脳損傷、心臓同種移植片拒絶および喘息などを包含する(Bradley,J Pathol(2008)214:149-160)。例えば、Yamamotoら,Clinical Science(2002)103:137-142;Behre,Scand J Clin Lab Invest(2007)67:449-458;Guerre-Millo,Diabetes & Metabolism(2008)34:12-18;Parkerら,Br.J.Pharmacol.(2008)153:420-431を参照のこと。
【0048】
GPR119アゴニストは、PYYの放出を刺激することが示されている;Schwartzら,Cell Metabolism,2010,11:445-447;およびWO 2009/126245を参照のこと。
【発明を実施するための形態】
【0085】
(発明の詳細な説明)
本発明の特定の特徴(これらは、明りょうにするために、別々の実施形態の文脈で記載される)はまた、1つの実施形態において組み合わせで提供され得ることが理解される。逆に、本発明の種々の特徴(これらは、簡潔さのために、1つの実施形態の文脈で記載される)はまた、別々にか、または任意の適切な部分組み合わせで提供され得る。従って、本明細書中に記載される使用および医学的適応症の全ての組み合わせが、使用および医学的適応症の各全ての部分組み合わせが個々に明示的に本明細書中に記載されるかのように、本発明によって特に包含される。
【0086】
(定義)
明りょうさおよび一貫性のために、以下の定義が、本特許文献全体にわたって使用される。
【0087】
用語「アゴニスト」とは、本明細書中で使用される場合、Gタンパク質共役レセプター(例えば、GPR119レセプター)と相互作用してそれを活性化させ、これによってこのレセプターに特徴的な生理学的応答または薬理学的応答を開始させ得る部分をいう。例えば、アゴニストは、レセプターへの結合の際に細胞内応答を活性化させ得るか、または膜へのGTP結合を増強し得る。アゴニストは、完全アゴニストであっても部分アゴニストであってもよい。
【0088】
用語「アンタゴニスト」とは、本明細書中で使用される場合、レセプターにアゴニスト(例えば、内因性リガンド)と同じ部位で競合的に結合するが、このレセプターの活性形態によって開始される細胞内応答を活性化させず、これによって、アゴニストまたは部分アゴニストによる細胞内応答を阻害し得る部分をいう。アンタゴニストは、アゴニストも部分アゴニストも存在しない場合、ベースライン細胞内応答を減少させない。
【0089】
用語「GPR119」は、本明細書中で使用される場合、GenBank登録番号AY288416に見出されるヒトアミノ酸配列、ならびにその天然に存在する対立遺伝子変異体、およびその哺乳動物オルソログを包含する。本発明の化合物のスクリーニングおよび試験において使用するために好ましいヒトGPR119は、PCT出願番号WO2005/007647に見られる配列番号1のヌクレオチド配列、および配列番号2の対応するアミノ酸配列に提供されている。
【0090】
用語「処置の必要がある」および用語「その必要がある」は、処置をいう場合、交換可能に使用され、そして治療奉仕者(例えば、ヒトの場合には医師、看護士、ナースプラクティショナーなど;非ヒト哺乳動物を含めた動物の場合には獣医)によりなされる、その個体または動物が、処置を必要とするか、または処置から利益を得るという判断をいう。この判断は、治療奉仕者の経験の領域内である種々の要因に基づいてなされるが、本発明の化合物により処置可能な疾患、状態または障害の結果として、その個体がまたは病気になることの知識を含む。従って、本発明の化合物は、保護的もしくは予防的な様式で使用され得るか、または本発明の化合物は、この疾患、状態もしくは障害を軽減するか、阻害するか、もしくは改善するために使用され得る。
【0091】
用語「個体」とは、任意の動物をいい、哺乳動物(好ましくは、マウス、ラット、他のげっ歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマまたは霊長類)が挙げられ、最も好ましくは、ヒトである。
【0092】
用語「逆アゴニスト」とは、レセプターの内因性形態またはレセプターの構成的に活性化された形態に結合し、そしてこのレセプターの活性形態により開始されるベースライン細胞内応答を、アゴニストも部分アゴニストも存在しない場合に観察される活性の正常なベースレベルよりも低く阻害するか、または膜へのGTP結合を減少させる、部分をいう。好ましくは、このベースライン細胞内応答は、この逆アゴニストの非存在下でのベースライン応答と比較して、この逆アゴニストの存在下で、少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%、そして最も好ましくは少なくとも75%阻害される。
【0093】
用語「調節するまたは調節」とは、特定の活性、機能または分子の、量、質、応答または影響の、増加または減少をいう。
【0094】
用語「組成物」とは、少なくとも1種のさらなる成分と組み合わせられた化合物(本発明の化合物ならびにその塩、溶媒和物、および水和物が挙げられるが、これらに限定されない)をいう。
【0095】
用語「薬学的組成物」とは、本発明の化合物などの少なくとも1種の活性成分(本発明の化合物およびその塩、溶媒和物、および水和物が挙げられるが、これらに限定されない)を含有する組成物であって、これによって、この組成物が哺乳動物(例えば、限定されないが、ヒト)の処置および/またはその特定の効力のある結果についての調査に耐えられる、組成物をいう。当業者は、ある活性成分が所望の効力のある結果を有するか否かを、技術者の要求に基づいて決定するために適切な技術を理解し、そして評価する。
【0096】
用語「治療有効量」とは、研究者、獣医、内科医師または他の医者もしくは治療奉仕者によって、あるいは個体によって求められる、生物学的応答または医薬応答を、組織、系、動物、個体またはヒトにおいて惹起する、活性化合物または薬剤の量をいう。この生物学的応答または医薬応答は、以下のもののうちの1つ以上を含む:
(1)疾患を予防すること、例えば、疾患、状態または障害に罹患しやすくあり得るが、その疾患の病理も徴候もまた経験も示しもしていない個体において、疾患、状態または障害を予防すること;
(2)疾患を阻害すること、例えば、疾患、状態または障害の病理または症状を経験しているかまたは示している個体において、疾患、状態または障害を阻害すること(すなわち、その病理および/あるいは症状のさらなる発症を止めること);ならびに
(3)疾患を改善すること、例えば、疾患、状態または障害の病理または症状を経験しているかまたは示している個体において、疾患、状態または障害を改善すること(すなわち、その病理および/あるいは症状を逆転させること)。
【0097】
用語「体重管理」とは、本明細書中で使用される場合、体重を制御することを意味し、そして本発明の状況において、体重減少および体重減少の維持(本明細書中で体重維持とも呼ばれる)に関する。体重を制御することに加えて、体重管理は、体重に関連するパラメータ(例えば、BMI、体脂肪率および腰囲)を制御することを包含する。例えば、過体重または肥満である個体のための体重管理は、体重をより健常な範囲に維持することを目的とした、体重の減少をいい得る。また、例えば、過体重または肥満である個体のための体重管理は、体重の減少ありまたはなしでの、体脂肪または腰囲の減少を包含し得る。
【0098】
用語「体重減少の維持」または「体重維持」とは、本明細書中で使用される場合、体重減少後の体重増加を予防すること、減少させること、または制御することを包含する。体重増加が体重減少後に頻繁に起こることは公知である。体重減少は、例えば、食事療法、運動、疾病、薬物処置、外科手術またはこれらの方法の任意の組み合わせにより起こり得るが、体重を減少させた個体は頻繁に、減少させた体重のうちのいくらかまたは全てを回復する。従って、体重を減少させた個体における体重維持は、体重減少後の体重増加を予防すること、体重減少後に増加する体重の量を減少させること、体重減少後の体重増加を制御すること、または体重減少後の体重増加の速度を遅くすることを包含し得る。
【0099】
本発明の化合物
本発明の1つの局面は、とりわけ、以下の化合物:
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド;
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド;および
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)ベンズアミド
ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される化合物を提供する。
【0100】
本発明の1つの局面は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(式(Ia)、化合物1)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される化合物を提供する。
【0101】
本発明の化合物はまた、互変異性形態(例えば、ケト−エノール互変異性体)を含み得る。種々の互変異性形態が本発明の化合物の範囲内であることが理解される。
【0102】
本発明の化合物は、当業者により使用される関連する刊行された文献の手順に従って、調製され得る。これらの反応の例示的な試薬および手順は、本明細書中以下で、実施例に記載される。保護および脱保護が、当該分野において一般に公知である手順によって、行われ得る(例えば、Greene,T.W.およびWuts,P.G.M.,Protecting Groups in Organic Synthesis,第3版,1999[Wiley])を参照のこと。
【0103】
化合物1の結晶形態
本発明の1つの局面は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(式(Ia)、化合物1)の結晶形態に関する。
【0104】
化合物1の結晶形態は、例えば、示差走査熱量測定法(DSC)、粉末X線回折(PXRD)、および他の固相方法に関する、それらの独特の固相シグネチャーによって同定され得る。
【0105】
結晶形態の水または溶媒の含有量に関するさらなる特徴付けは、以下の方法(例えば、熱重量分析(TGA)、およびDSCなど)のいずれかによって、測定され得る。
【0106】
DSCについては、観察される温度は、サンプルの純度、温度変化の速度、ならびにサンプル調製技術および使用される特定の器具に依存することが公知である。従って、DSCサーモグラムに関して本明細書中で報告される値は、約±4℃変わり得る。DSCサーモグラムに関して本明細書中で報告される値はまた、1グラムあたり約±20ジュール変わり得る。
【0107】
PXRDについては、ピークの相対強度は、サンプル調製技術、サンプル設置手順および使用される特定の器具に依存して変わり得る。さらに、器具の変更および他の要因がしばしば、°2θ値に影響を与え得る。従って、回折パターンのピークの帰属は、±0.2°2θ変わり得る。
【0108】
TGAについては、本明細書中に報告される特徴は、約±10℃変わり得る。TGAについて、本明細書中に報告される特徴はまた、例えば、サンプルの変化に起因して、約±2%重量変化だけ変わり得る。
【0109】
結晶形態の吸湿性に関するさらなる特徴付けは、例えば、動的水分吸着(DMS)によって測定され得る。本明細書中に報告されるDMSの特徴は、約±5%相対湿度だけ変わり得る。本明細書中に報告されるDMSの特徴はまた、約±5%重量変化だけ変わり得る。
【0110】
化合物1(無水形態)
本発明の1つの局面は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)の無水形態に関する。化合物1の無水形態の結晶形態の物理特性を、以下の表に要約する。
【0112】
本発明の1つの局面は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)の無水結晶形態に関し、この無水結晶形態は、2θの観点で、以下の表:
【0114】
に見られるピークから選択される1つ以上のピークの全ての組み合わせを含む、粉末X線回折パターンを有する。
【0115】
本発明の1つの局面は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミドの無水結晶形態に関し、この無水結晶形態は、2θの観点で、20.1°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、13.6°±0.2°、および20.1°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、13.6°±0.2°、20.1°±0.2°、および25.0°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、20.1°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、21.9°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、14.9°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、21.9°±0.2°、24.2°±0.2°、24.5°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターンを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、実質的に
図6に示されるような粉末X線回折パターンを有し、ここで「実質的に」とは、報告されるピークが約±0.2°2θだけ変化し得ることを意味する。
【0116】
いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約143.9℃〜約153.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、145.9℃〜約151.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約146.9℃〜約150.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約147.9℃〜約149.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約148.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラムを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、実質的に
図7に示されるような示差走査熱量測定サーモグラムを有し、ここで「実質的に」とは、報告されるDSC特徴が約±4℃だけ変化し得ること、および報告されるDSC特徴が約±20ジュール/グラムだけ変化し得ることを意味する。
【0117】
いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約120℃までで1.0%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィールを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約120℃までで0.5%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィールを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約120℃までで0.25%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィールを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、約120℃までで0.05%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィールを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、実質的に
図7に示されるような熱重量分析プロフィールを有し、ここで「実質的に」とは、報告されるTGA特徴が約±10℃だけ変化し得ること、および報告されるTGA特徴が約±2%の重量変化だけ変化し得ることを意味する。
【0118】
いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、最大約90% RHにおいて約25℃で約0.35%未満の重量増加の動的水分吸着分析プロフィールを有する。いくつかの実施形態において、この無水結晶形態は、実質的に
図8に示されるような動的水分吸着分析プロフィールを有し、ここで「実質的に」とは、報告されるDMS特徴が±約5%の重量変化だけ変化し得ることを意味する。
【0119】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、13.6°±0.2°、および20.1°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約143.9℃〜約153.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;および/または
3)約120℃までで0.5%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0120】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、13.6°±0.2°、20.1°±0.2°、および25.0°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約145.9℃〜約151.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;ならびに/または
3)約120℃までで0.25%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0121】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、20.1°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約146.9℃〜約150.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;ならびに/または
3)約120℃までで0.05%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0122】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約147.9℃〜約149.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;ならびに/または
3)約120℃までで0.05%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0123】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、21.9°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約147.9℃〜約149.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;ならびに/または
3)約120℃までで0.05%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0124】
本発明の1つの局面は:
1)2θの観点で、8.6°±0.2°、13.6°±0.2°、14.9°±0.2°、17.5°±0.2°、18.3°±0.2°、20.1°±0.2°、21.1°±0.2°、21.9°±0.2°、24.2°±0.2°、24.5°±0.2°、25.0°±0.2°、および27.2°±0.2°にピークを含む粉末X線回折パターン;
2)約148.9℃の外挿開始温度を有する吸熱を含む示差走査熱量測定サーモグラム;ならびに/または
3)約120℃までで0.05%以下の重量損失を示す熱重量分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0125】
本発明の1つの局面は:
1)実質的に
図6に示されるような粉末X線回折パターン;
2)実質的に
図7に示されるような示差走査熱量測定サーモグラム;
3)実質的に
図7に示されるような熱重量分析プロフィール;および/または
4)実質的に
図8に示されるような動的水分吸着分析プロフィール
を有する無水結晶形態に関する。
【0126】
特定の実施形態:本発明の組成物、方法、適応症、薬学的製品、組み合わせ物、および化合物の使用
上記のことに加えて、限定されないが、他の特定の実施形態が、以下に記載および提供される。
【0127】
本発明の特定の組成物:
本発明の1つの局面は、本発明の化合物を含有する組成物に関する。
【0128】
用語「組成物」とは、少なくとも1種の他の化合物と組み合わせられた、本発明の少なくとも1種の化合物をいう。組成物中の本発明の化合物の量は、100.00%未満から、0.00%より大きい量までの範囲の、任意の量であり得ることが理解される。組成物の例としては、本発明の化合物を含有する標準品(例えば、方法の開発およびプロセス中の試験などにおいて使用するため);本発明の化合物のバルクAPI(すなわち、活性薬学的成分)(例えば、薬学的組成物を処方する際に使用するため);併用調製物(すなわち、薬剤/治療剤(単数または複数)と組み合わせた本発明の化合物);本発明の化合物を含有する生物学的サンプル(例えば、患者、動物、薬物動態学的研究、ADME研究、およびLADME研究において使用するため、またはこれらから得られる);本発明の化合物を含有する反応混合物(例えば、本明細書中の実施例のいずれかに記載されるような反応混合物);ならびに本発明の化合物を1種以上の成分(例えば、溶媒、反応物質、副生成物など)と組み合わせて含有する製造反応混合物などが挙げられるが、これらに限定されない。薬学的組成物は、組成物の特殊なサブセットであることが理解される。
【0129】
本発明の1つの局面は、本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物に関する。
【0130】
本発明の1つの局面は、組成物を調製する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。
【0131】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパック、およびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有する。
【0132】
本発明の1つの局面は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有する組成物に関する。
【0133】
用語「薬剤」および「第二の薬剤」を記載する実施形態の任意のものにおいて、これらの用語は、いくつかの局面において、式(Ia)の化合物ではない薬剤または第二の薬剤にさらに限定されることが理解される。用語「薬剤」および「第二の薬剤」は、実施例5に記載されるGPR119レセプター活性アッセイにおいて、検出可能ではないか、または50μM、10μM、1μM、および0.1μMから選択される値より大きいEC
50を有する薬剤または第二の薬剤をいい得ることが理解される。
【0134】
本発明の1つの局面は、組成物を調製する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と第二の薬剤とを混合する工程を包含する。
【0135】
本発明の1つの局面は、本発明の化合物、第二の薬剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する組成物に関する。
【0136】
本発明の1つの局面は、組成物を調製する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と、第二の薬剤と、薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。
【0137】
本発明はさらに、薬学的組成物を提供する。従って、本発明の1つの局面は、本発明の化合物および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。本発明の1つの局面は、組成物を調製する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。本発明の1つの局面は、本発明の化合物、第二の薬剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含有する薬学的組成物に関する。本発明の1つの局面は、組成物を調製する方法に関し、この方法は、本発明の化合物と、第二の薬剤と、薬学的に受容可能なキャリアとを混合する工程を包含する。
【0138】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパック、およびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有する。
【0139】
本発明の1つの局面は、本明細書中に記載されるような本発明の方法により得られる組成物に関する。
【0140】
本発明の特定の方法、薬学的製品、組み合わせ物、および使用
本発明の1つの局面は、GPR119レセプターの活性を調節する方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品を投与する工程を包含する。
【0141】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための方法に関し;この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品を投与する工程を包含する。
【0142】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品を投与する工程を包含する。
【0143】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置の方法に関し;この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品を処方する工程を包含する。
【0144】
実施例6は、化合物1が化合物2および化合物3に代謝されることを示す。従って、本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含し、ここでこの化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)、またはその薬学的に受容可能な塩の代謝化学反応の結果として生成する。本発明の別の局面は、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置の方法に関し;この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の本発明の化合物を投与する工程を包含し、ここでこの化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)、またはその薬学的に受容可能な塩の代謝化学反応の結果として生成する。いくつかの実施形態において、この化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(化合物2)、またはその薬学的に受容可能な塩である。いくつかの実施形態において、この化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)ベンズアミド(化合物3)、またはその薬学的に受容可能な塩である。
【0145】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターの活性を調節するための医薬の製造における、本発明の化合物;または本発明の組成物の使用に関する。
【0146】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための医薬の製造における、本発明の化合物;または本発明の組成物の使用に関する。
【0147】
本発明の1つの局面は、個体における障害の処置ための医薬の製造における本発明の化合物;または本発明の組成物の使用に関に関し、ここでこの障害は:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される。
【0148】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパック、およびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有し;治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において使用するためのものである。
【0149】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパック、およびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有し;個体においてGPR119レセプターの活性を調節する方法において使用するためのものである。
【0150】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法において使用するための、本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品に関する。
【0151】
本発明の1つの局面は、個体における障害の処置の方法において使用するための、本発明の化合物;本発明の組成物;または本発明の薬学的製品に関し、ここでこの障害は:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される。
【0152】
本発明の1つの局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において使用するための本発明の化合物に関し、ここでこの化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド、またはその薬学的に受容可能な塩の代謝化学反応の結果として生成する。
【0153】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法において使用するための本発明の化合物に関し、ここでこの化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド、またはその薬学的に受容可能な塩の代謝化学反応の結果として生成する。
【0154】
本発明の1つの局面は、個体における障害の処置の方法において使用するための本発明の化合物に関し、ここでこの化合物は、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド、またはその薬学的に受容可能な塩の代謝化学反応の結果として生成、そしてこの障害は:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される。
【0155】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有し;治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において使用するためのものである。
【0156】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有し;個体におけるGPR119レセプターの活性を調節する方法において使用するためのものである。
【0157】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、請求項1に記載の化合物を含有し;個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法において使用するためのものである。
【0158】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物を含有し、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害を処置する方法において使用するためのものである。
【0159】
本発明の1つの局面は、GPR119レセプターの活性を調節する方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0160】
本発明の1つの局面は、GPR119レセプターをアゴナイズする方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0161】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0162】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて処方する工程を包含する。
【0163】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置の方法に関し;この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0164】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置の方法に関し;この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を第二の薬剤と組み合わせて処方する工程を包含する。
【0165】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターの活性を調節するための医薬の製造における、本発明の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用に関する。
【0166】
本発明の1つの局面は、個体においてGPR119レセプターをアゴナイズするための医薬の製造における、本発明の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用に関する。
【0167】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための医薬の製造における、本発明の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用に関する。
【0168】
本発明の1つの局面は、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための医薬の製造における、本発明の化合物の、第二の薬剤と組み合わせての使用に関する。
【0169】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターの活性を調節するための医薬の製造における、薬剤の、本発明の化合物と組み合わせての使用に関する。
【0170】
本発明の1つの局面は、個体においてGPR119レセプターをアゴナイズするための医薬の製造における、薬剤の、本発明の化合物と組み合わせての使用に関する。
【0171】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるための医薬の製造における、薬剤の、本発明の化合物と組み合わせての使用に関する。
【0172】
本発明の1つの局面は、GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害の処置のための医薬の製造における、薬剤の、本発明の化合物と組み合わせての使用に関する。
【0173】
本発明の1つの局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において、第二の薬剤と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。
【0174】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターの活性を調節する方法において、第二の薬剤と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。
【0175】
本発明の1つの局面は、個体においてGPR119レセプターをアゴナイズする方法において、第二の薬剤と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。
【0176】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるため、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるために、第二の薬剤と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。
【0177】
本発明の1つの局面は、個体における:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害を処置する方法において、第二の薬剤と組み合わせて使用するための、本発明の化合物に関する。
【0178】
本発明の1つの局面は、治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において、本発明の化合物と組み合わせて使用するための薬剤に関する。
【0179】
本発明の1つの局面は、個体におけるGPR119レセプターの活性の調節において、本発明の化合物と組み合わせて使用するための薬剤に関する。
【0180】
本発明の1つの局面は、個体においてGPR119レセプターをアゴナイズする方法において、本発明の化合物と組み合わせて使用するための薬剤に関する。
【0181】
本発明の1つの局面は、個体におけるインクレチンの分泌を増大させるため、または個体における血中インクレチンレベルを増大させるために、本発明の化合物と組み合わせて使用するための薬剤に関する。
【0182】
本発明の1つの局面は、個体における:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害を処置する方法において、本発明の化合物と組み合わせて使用するための薬剤に関する。
【0183】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有し;治療によるヒトまたは動物の身体の処置の方法において使用するためのものである。
【0184】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有し;個体におけるGPR119レセプターの活性を調節する方法において使用するためのものである。
【0185】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有し;個体においてGPR119レセプターをアゴナイズする方法において使用するためのものである。
【0186】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有し;個体におけるインクレチンの分泌を増大させるか、または個体における血中インクレチンレベルを増大させる方法において使用するためのものである。
【0187】
本発明の1つの局面は、薬学的組成物、処方物、剤形、併用調製物、ツインパックおよびキットから選択される薬学的製品に関し;この薬学的製品は、本発明の化合物および第二の薬剤を含有し、個体における:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される障害を処置する方法において使用するためのものである。
【0188】
本発明の1つの局面は、各々が本明細書中に記載されるような化合物、方法、組成物、化合物の使用、薬剤、および薬学的製品に関し、ここでGPR119レセプターの活性を調節することは、個体においてGPR119レセプターをアゴナイズすることである。
【0189】
本発明の1つの局面は、各々が本明細書中に記載されるような化合物、方法、組成物、化合物の使用、薬剤、および薬学的製品に関し、ここでGPR119レセプターの活性を調節することは、個体におけるインクレチンの分泌を増大させることである。
【0190】
本発明の1つの局面は、各々が本明細書中に記載されるような化合物、方法、組成物、化合物の使用、薬剤、および薬学的製品に関し、ここでGPR119レセプターの活性を調節することは、個体における血中インクレチンレベルを増大させることである。
【0191】
本発明の1つの局面は、各々が本明細書中に記載されるような化合物、方法、組成物、化合物の使用、薬剤、および薬学的製品に関し、ここでGPR119レセプターの活性を調節することは、障害を処置することであり、この障害は:GPR119レセプターに関連する障害;インクレチンの分泌を増大させることにより軽減される状態;血中インクレチンレベルを増大させることにより軽減される状態;低い骨質量により特徴付けられる状態;神経学的障害;代謝関連障害;および肥満症から選択される。
【0192】
いくつかの実施形態において、薬剤または第二の薬剤は:DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、スルホニル尿素、SGLT2インヒビター、およびメグリチニドから選択される。いくつかの実施形態において、薬剤または第二の薬剤は:シタグリプチンリン(sitagliptin)、ビルダグリプチン(vildagliptin)、サクサグリプチン(saxagliptin)、アログリプチン(alogliptin)、リナグリプチン(linagliptin)、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリクラジド、ダパグリフロジン(dapagliflozin)、レモグリフロジン(remogliflozin)、およびセルグリフロジン(sergliflozin)から選択される。
【0193】
いくつかの実施形態において、この障害は2型糖尿病である。いくつかの実施形態において、この障害は高血糖症である。いくつかの実施形態において、この障害は高脂質血症である。いくつかの実施形態において、この障害は高トリグリセリド血症である。いくつかの実施形態において、この障害は1型糖尿病である。いくつかの実施形態において、この障害は脂質異常症である。いくつかの実施形態において、この障害は症候群Xである。いくつかの実施形態において、この障害は肥満症である。
【0194】
いくつかの実施形態において、この薬学的製品は薬学的組成物を含有する。いくつかの実施形態において、この薬学的製品は処方物を含有する。いくつかの実施形態において、この薬学的製品は剤形を含有する。いくつかの実施形態において、この薬学的製品は併用調製物を含有する。いくつかの実施形態において、この薬学的製品はツインパックを含有する。いくつかの実施形態において、この薬学的製品はキットを含有する。
【0195】
いくつかの実施形態において、この化合物とこの第二の薬剤とは、同時にか、別々にか、または逐次的に投与される。いくつかの実施形態において、この化合物とこの薬剤または第二の薬剤とは、同時に投与される。いくつかの実施形態において、この化合物とこの薬剤または第二の薬剤とは、別々に投与される。いくつかの実施形態において、この化合物とこの薬剤または第二の薬剤とは、逐次的に投与される。
【0196】
いくつかの実施形態において、このインクレチンはGLP-1である。いくつかの実施形態において、このインクレチンはGIPである。いくつかの実施形態において、このインクレチンはPYYである。
【0197】
本発明の1つの局面は、化合物、方法、組成物、化合物の使用、薬剤、および薬学的製品に関し、ここで本発明の化合物の量および第二の薬剤の量は、単独で投与される場合、実質的に治療上効果的ではない(すなわち、治療量以下の量)。しかし、本発明の化合物の量および第二の薬剤の量は、同時にか、別々にか、または逐次的に投与される場合、障害を処置する際に治療上有効であるために十分である。
【0198】
いくつかの実施形態において、この化合物およびこの薬剤またはこの第二の薬剤は、障害を処置する際に相乗効果を与える量で提供される。いくつかの実施形態において、この化合物単独の量は、障害を処置する際に実質的に治療上有効ではない。いくつかの実施形態において、この薬剤単独またはこの第二の薬剤単独の量は、障害を処置する際に実質的に治療上有効ではない。
【0199】
本発明の1つの局面は、本明細書中に記載されるような薬学的製品を調製する方法に関し、この方法は:本発明の化合物を第一の薬学的に受容可能なキャリアと混合して、化合物剤形を調製する工程、第二の薬剤を第二の薬学的に受容可能なキャリアと混合して、第二の薬剤剤形を調製する工程、およびこの化合物剤形とこの第二の薬剤剤形とを、同時、別々、または逐次的な使用のための、合わせた剤形として提供する工程を包含する。
【0200】
いくつかの実施形態において、第一の薬学的に受容可能なキャリアと第二の薬学的に受容可能なキャリアとは異なる。いくつかの実施形態において、これらの異なる薬学的に受容可能なキャリアは、同じ経路または異なる経路による投与のために適切である。いくつかの実施形態において、第一の薬学的に受容可能なキャリアと第二の薬学的に受容可能なキャリアとは、実質的に同じである。いくつかの実施形態において、これらの実質的に同じ薬学的に受容可能なキャリアは、同じ経路による投与のために適切である。いくつかの実施形態において、これらの実質的に同じ薬学的に受容可能なキャリアは、経口投与のために適切である。
【0201】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は:DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、インスリンアナログ、スルホニル尿素、SGLT2インヒビター、メグリチニド、チアゾリジンジオン、および抗糖尿病ペプチドアナログから選択される。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は:DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、スルホニル尿素、SGLT2インヒビター、およびメグリチニドから選択される。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は:DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、およびα-グルコシダーゼインヒビターから選択される。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、DPP-IVインヒビターである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ビグアナイドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、α-グルコシダーゼインヒビターである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、スルホニル尿素である。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、SGLT2インヒビターである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、メグリチニドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、およびプログアニルから選択される、ビグアナイドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:アカルボース、ミグリトール、およびボグリボースから選択される、α-グルコシダーゼインヒビターである。
【0202】
本発明の1つの局面は、体重管理の方法に関し、この方法は、その必要がある個体に、本発明の化合物を、第二の薬剤(例えば、本明細書中に記載される任意の剤)と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0203】
いくつかの実施形態において、この体重管理は、体重損失を包含する。いくつかの実施形態において、この体重管理は、体重損失の維持を包含する。いくつかの実施形態において、この体重管理は、減カロリー食をさらに包含する。いくつかの実施形態において、この体重管理は、定期的な運動のプログラムをさらに包含する。いくつかの実施形態において、この体重管理は、減カロリー食と定期的な運動のプログラムとの両方をさらに包含する。
【0204】
いくつかの実施形態において、体重管理の必要がある個体は、40kg/m
2以上;39kg/m
2以上;38kg/m
2以上;37kg/m
2以上;36kg/m
2以上;35kg/m
2以上;34kg/m
2以上;33kg/m
2以上;32kg/m
2以上;31kg/m
2以上;30kg/m
2以上;29kg/m
2以上;28kg/m
2以上;27kg/m
2以上;26kg/m
2以上;25kg/m
2以上;24kg/m
2以上;23kg/m
2以上;22kg/m
2以上;21kg/m
2以上;または20kg/m
2以上の初期ボディマス指数を有する患者であり;そしてこの患者は必要に応じて、少なくとも1つまたは少なくとも2つの体重関連共存状態を有する。
【0205】
いくつかの実施形態において、この共存状態は、存在する場合、高血圧症、脂質異常症、心臓血管疾患、耐糖能低下、および睡眠時無呼吸から選択される。
【0206】
本発明の特定の適応症:
本発明の文脈において、本明細書中に記載されるような化合物またはその薬学的組成物は、本明細書中に記載されるような、GPR119レセプターに関連する疾患、状態および/または障害の活性を調節するために利用され得る。
【0207】
いくつかの実施形態において、GPR119レセプターの活性の調節は、GPR119レセプター関連障害の処置を含む。いくつかの実施形態において、このGPR119レセプターに関連する障害は、インクレチンの分泌を増大させることにより改善される状態である。いくつかの実施形態において、GPR119レセプター関連障害は、血中インクレチンレベルを増大させることにより改善される状態である。いくつかの実施形態において、このインクレチンはGLP-1である。いくつかの実施形態において、このインクレチンはGIPである。いくつかの実施形態において、このインクレチンはPYYである。
【0208】
いくつかの実施形態において、GPR119レセプター関連障害は、低い骨質量により特徴付けられる状態である。いくつかの実施形態において、GPR119レセプター関連障害は、神経学的障害である。いくつかの実施形態において、GPR119レセプター関連障害は、代謝関連障害である。いくつかの実施形態において、GPR119レセプターに関連する障害は、2型糖尿病である。いくつかの実施形態において、GPR119レセプター関連障害は、肥満症である。
【0209】
本発明のいくつかの実施形態は、低い骨質量により特徴付けられる1つ以上の状態(骨減少症、骨粗鬆症、慢性関節リウマチ、変形性関節症、歯周疾患、歯槽骨損失、骨切り術による骨損失、小児期特発性骨損失、パジェット疾患、転移性がんに起因する骨損失、骨溶解性病変、脊柱の弯曲、および身長の損失から選択される)の全ての組み合わせを包含する。
【0210】
いくつかの実施形態において、神経学的障害は、脳卒中およびパーキンソン病から選択される。
【0211】
本発明のいくつかの実施形態は:1型糖尿病、2型真性糖尿病、およびこれらに関連する状態(例えば、冠状脈心臓病、虚血性脳卒中、血管形成術後の再狭窄、末梢脈管疾患、間欠性跛行、心筋梗塞(例えば、壊死およびアポトーシス)、脂質異常症、食事性脂肪血症、グルコース寛容減損(IGT)の状態、絶食時血漿中グルコースが損なわれた状態、代謝性アシドーシス、ケトーシス、関節炎、骨粗鬆症、高血圧症、うっ血性心不全、左心室肥大、末梢動脈疾患、糖尿病性網膜症、黄斑変性、白内障、糖尿病性腎症、糸球体硬化症、慢性腎不全、糖尿病性腎症、代謝症候群、症候群X、月経前緊張症候群、冠状脈心臓病、狭心症、血栓症、アテローム性動脈硬化症、心筋梗塞、一過性脳虚血発作、脳卒中、脈管再狭窄、高血糖症、高インスリン血症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、インスリン抵抗性、損なわれたグルコース代謝、勃起機能不全、皮膚および結合組織の障害、足潰瘍および潰瘍性大腸炎、内皮機能不全ならびに損なわれた脈管伸展性であるが、これらに限定されない)から選択される1つ以上の代謝関連障害の全ての組み合わせを包含する。
【0212】
本発明のいくつかの実施形態は:糖尿病、1型糖尿病、2型糖尿病、不充分なグルコース耐性、グルコース寛容減損、インスリン抵抗性、高血糖症、高脂質血症、高トリグリセリド血症、高コレステロール血症、脂質異常症、アテローム性動脈硬化症、脳卒中、症候群X、高血圧症、膵臓β細胞機能不全症、腸内分泌細胞機能不全症、糖尿、代謝性アシドーシス、白内障、糖尿病性腎症、糖尿病性ニューロパシー、末梢ニューロパシー、糖尿病性冠状動脈疾患、糖尿病性脳血管疾患、糖尿病性末梢脈管疾患、糖尿病性網膜症、代謝症候群、糖尿病に関連する状態、心筋梗塞、学習欠陥、記憶欠陥、神経変性障害、神経変性障害を罹患する個体において血中GLP-1レベルを増大させることにより軽減される状態、重篤な癲癇発作により引き起こされる興奮毒性能損傷、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンティングトン病、プリオン関連疾患、脳卒中、運動ニューロン疾患、外傷性脳損傷、脊髄損傷、および肥満症から選択される1つ以上の代謝関連障害の全ての組み合わせを包含する。
【0213】
いくつかの実施形態において、この障害は2型糖尿病である。いくつかの実施形態において、この障害は高血糖症である。いくつかの実施形態において、この障害は高脂質血症である。いくつかの実施形態において、この障害は高トリグリセリド血症である。いくつかの実施形態において、この障害は1型糖尿病である。いくつかの実施形態において、この障害は脂質異常症である。いくつかの実施形態において、この障害は症候群Xである。いくつかの実施形態において、この障害は肥満症である。いくつかの実施形態において、この障害は代謝症候群である。
【0214】
用語「代謝症候群」とは、本明細書中で使用される場合、患者を心臓血管疾患および/または2型糖尿病により罹患しやすくする危険因子のセットをいう。ある個体が、アメリカ心臓協会および国立心肺血液研究所により記載される以下の5つの危険因子のうちの3つ以上を同時に有する場合、この個体は代謝症候群を有するといわれる:(1)増大した腰囲:男性-40インチ(102cm)以上、女性-35インチ(88cm)以上;(2)上昇したトリグリセリド:150mg/dL以上;(3)低下したHDL(「善玉」)コレステロール:男性-40mg/dL未満、女性-50mg/dL未満;(4)上昇した血圧:130/85mmHg以上;および(5)上昇した空腹時グルコース:100mg/dL以上。
【0215】
処方物および組成物
処方物は、任意の適切な方法によって、代表的には、活性化合物(単数または複数)と、液体または微細に分割した固体キャリアあるいはその両方とを、必要な割合で均一に混合し、次いで必要であれば、得られた混合物を望ましい形状に形成することによって、調製され得る。
【0216】
従来の賦形剤(例えば、結合剤、充填剤、受容可能な湿潤剤、打錠滑沢剤および崩壊剤)が、経口投与のための錠剤およびカプセル剤において使用され得る。経口投与のための液体調製物は、液剤、エマルジョン、水性または油性の懸濁剤およびシロップの形態であり得る。あるいは、経口調製物は、使用前に水または別の適切な液体ビヒクルで再構成され得る、乾燥粉末の形態であり得る。さらなる添加剤(例えば、懸濁化剤または乳化剤、非水性ビヒクル(食用油が挙げられる)、防腐剤および矯味矯臭剤および着色剤)が、液体調製物に添加され得る。非経口剤形は、本発明の化合物を適切な液体ビヒクルに溶解させ、そしてこの溶液を濾過滅菌し、その後、適切なバイアルまたはアンプルに入れて密封することによって、調製され得る。これらは、剤形を調製するための多くの適切な当該分野において周知である方法の、ほんの数例である。
【0217】
本発明の化合物は、当業者に周知である技術を使用して、薬学的組成物に処方され得る。薬学的に受容可能なキャリアの、本明細書中に記載される以外のものが、当該分野において公知である。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,第20版,2000,Lippincott Williams & Wilkins,(編者:Gennaroら)を参照のこと。
【0218】
予防または処置において使用するために、本発明の化合物は、代替の用途において、生または純粋な化学物質として投与されることが可能であり得るが、化合物または活性成分を、薬学的に受容可能なキャリアをさらに含有する薬学的処方物または組成物として提示することが好ましい。
【0219】
薬学的処方物としては、経口投与、直腸投与、経鼻投与、局所投与(頬および舌下が挙げられる)、膣投与もしくは非経口投与(筋肉内、皮下および静脈内が挙げられる)に適した処方物、または吸入、注入もしくは経皮パッチによる投与に適した形態の処方物が挙げられる。経皮パッチは、薬物の分解を最小にしながら、効率的な様式での吸収のために薬物を提供することによって、制御された速度で薬物を分配する。代表的に、経皮パッチは、不透過性の裏打ち層、1つの感圧製接着剤、およびリリースライナーを備える除去可能な保護層を備える。当業者は、所望の効率的な経皮パッチを技術者の要求に基づいて製造するために適切な技術を理解および評価する。
【0220】
本発明の化合物は、従来のアジュバント、キャリア、または希釈剤と一緒になって、薬学的処方物の形態に配置され得、そしてそのような形態のその単位投薬量は、固体(例えば、錠剤もしくは充填されたカプセル剤)として、または液体(例えば、液剤、懸濁剤、エマルジョン、エリキシル剤、ゲルもしくはそれで満たされたカプセル剤)として(全て、経口用途のため)、あるいは直腸投与のための坐剤の形態で;あるいは非経口(皮下が挙げられる)用途のための滅菌注射可能溶液の形態で、使用され得る。このような薬学的組成物およびその単位剤形は、従来の成分を従来の割合で、さらなる活性化合物または原理ありまたはなしで含有し得、そしてこのような単位剤形は、使用されるべき毎日の意図される投薬量範囲に釣り合う任意の適切な有効量の活性成分を含有し得る。
【0221】
経口投与のためには、この薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル剤、懸濁剤または液体の形態であり得る。この薬学的組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含有する投薬単位の形態にされる。このような投薬単位の例は、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤または懸濁剤であり、従来の添加剤(例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチまたはポテトスターチ)を含み;結合剤(例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチまたはゼラチン)を含み;崩壊剤(例えば、コーンスターチ、ポテトスターチまたはカルボキシメチル-セルロースナトリウム)を含み;そして滑沢剤(例えば、滑石またはステアリン酸マグネシウム)を含む。この活性成分はまた、組成物として注射によって投与され得、ここで例えば、生理食塩水、デキストロースまたは水が、適切な薬学的に受容可能なキャリアとして使用され得る。
【0222】
本発明の化合物あるいはその溶媒和物、水和物または生理学的に機能的な誘導体は、薬学的組成物において活性成分として、特に、GPR119レセプターモジュレーターとして、使用され得る。「薬学的組成物」の文脈で定義される用語「活性成分」とは、「不活性成分」とは対照的に、薬学的組成物の主要な薬理効果を与える成分をいい、「不活性成分」は一般に、薬学的利益を全く提供しないと認識される。
【0223】
本発明の化合物を使用する場合の用量は、広い限度内で、慣習的であるように、医師に公知であるように変わり得、この用量は、各個々の症例において、個々の状態に対して調整されるべきである。この用量は、例えば、処置されるべき疾病の性質および重篤度、患者の状態、使用される化合物、または急性疾患状態であるか慢性疾患状態であるか、処置が行われるのか予防が行われるのか、またはさらなる活性化合物が本発明の化合物に加えて投与されるか否かに依存する。本発明の代表的な用量としては、約0.001mg〜約5000mg、約0.001mg〜約2500mg、約0.001mg〜約1000mg,0.001mg〜約500mg、0.001mg〜約250mg、約0.001mg〜100mg、約0.001mg〜約50mg、および約0.001mg〜約25mgが挙げられるが、これらに限定されない。比較的大きい量が必要とされるとみなされる場合に特に、1日の間に複数の用量(例えば、2用量、3用量または4用量)が投与され得る。個体に依存して、患者の医師または治療奉仕者により適切であるとみなされる場合に、本明細書中に記載される用量から上方または下方に外れることが必要になり得る。
【0224】
処置において使用するために必要とされる、活性成分、またはその活性な塩もしくは誘導体の量は、選択される特定の塩によってのみでなく、投与経路、処置される状態の性質、ならびに患者の年齢および状態によってもまた変わり、そして最終的には、診察する医師または臨床医の決定による。一般に、当業者は、モデル系(代表的には動物モデル)において得られたインビボデータを、別の(例えば、ヒト)モデルにどのように外挿するかを理解する。いくつかの状況において、これらの外挿は単に、別の(例えば哺乳動物であり、好ましくはヒト)モデルと比較した動物モデルの体重に基づき得るが、より頻繁には、これらの外挿は、単に体重に基づくのではなく、むしろ、種々の要因を含む。代表的な要因としては、患者の型、年齢、体重、性別、食事および医学的状態、疾患の重篤度、投与経路、薬理学的考慮事項(例えば、使用される特定の化合物の活性、効力、薬物速度論および毒物学的プロフィール)、薬物送達径が利用されるか否か、または急性疾患状態であるか慢性疾患状態であるか、処置が行われるのか予防が行われるのか、またはさらなる活性化合物が本発明の化合物に加えて、薬物組み合わせ物の一部として投与されるか否かが挙げられる。疾患状態を、本発明の化合物および/または組成物を用いて処置するための投薬計画は、上記のような種々の要因に従って選択される。従って、使用される実際の投薬計画は、広く変わり得、従って、好ましい投薬計画から外れ得、そして当業者は、これらの代表的な範囲の外側の投薬量および投薬計画が試験され得ること、および適切であれば、本発明の方法において使用され得ることを認識する。
【0225】
所望の用量は、簡便なために、一用量で提供され得るか、または適切な間隔(例えば、1日あたり2部分用量、3部分用量、4部分用量、もしくはより多い部分用量)で投与される分割用量として提供され得る。この部分用量自体が、例えば、複数の不連続な、緩く間隔を空けた投与に、さらに分割され得る。1日の用量は、比較的大きい量が適切であるとみなされて投与される場合に特に、数部分(例えば、2部分、3部分または4部分)の投与に分割され得る。適切であれば、固体の挙動に依存して、示される1日の用量から上方または下方に外れることが必要であり得る。
【0226】
本発明の化合物は、広範な種々の経口剤形および非経口剤形で投与され得る。以下の剤形が、その活性成分として、本発明の化合物、または本発明の化合物の薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物のいずれかを含有し得ることが、当業者に明らかである。
【0227】
薬学的組成物を本発明の化合物から調製するために、適切な薬学的に受容可能なキャリアの選択肢は、固体または液体のいずれか、あるいはこれらの両方の混合物であり得る。固体形態の調製物としては、散剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤および分散可能な顆粒剤が挙げられる。固体キャリアは、希釈剤、矯味矯臭剤、可溶化剤、滑沢剤、懸濁化剤、結合剤、防腐剤、錠剤崩壊剤、またはカプセル化材料としてもまた働き得る、1種以上の物質であり得る。
【0228】
散剤において、そのキャリアは、微細に分割された固体であり、これは、微細に分割した活性成分との混合物である。
【0229】
錠剤において、その活性成分は、必要な結合能力を有するキャリアと適切な割合で混合され、そして所望の形状およびサイズに圧縮される。
【0230】
散剤および錠剤は、種々の百分率の量の活性化合物を含有し得る。散剤または錠剤中の代表的な量は、0.5%〜約90%の活性化合物を含有し得る。しかし、技術者は、この範囲外の量がいつ必要とされるかを知る。散剤および錠剤のために適切なキャリアは、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、低融点蝋、およびカカオ脂などである。用語「調製物」とは、活性化合物と、キャリアとしてのカプセル化材料との処方物であって、キャリアありまたはなしの活性成分が、キャリアによって囲まれており、従って、このキャリアと会合しているカプセルを提供する、処方物をいう。同様に、カシェ剤およびロゼンジが包含される。錠剤、散剤、カプセル剤、丸剤、カシェ剤およびロゼンジは、経口投与に適した固体形態として使用され得る。
【0231】
坐剤を調製するためには、低融点蝋(例えば、脂肪酸グリセリドの混合物またはカカオ脂)が最初に融解され、そして撹拌によって、活性成分がその中に均質に分散される。次いで、この融解した均質な混合物が、従来のサイズを決められた型に注がれ、冷却され、これによって固化させられる。
【0232】
膣投与に適した処方物は、ペッサリー、タンポン、クリーム、ゲル、ペースト、フォームまたはスプレーとして提供され得、活性成分に加えて、適切であることが当該分野において公知であるようなキャリアを含有する。
【0233】
液体形態の調製物としては、液剤、懸濁剤およびエマルジョン(例えば、水溶液または水−プロピレングリコール溶液)が挙げられる。例えば、非経口注射液体調製物は、ポリエチレングリコール水溶液中の溶液として処方され得る。注射可能な調製物(例えば、滅菌注射可能な水性または油性の懸濁物)は、公知の技術に従って、適切な分散剤または湿潤剤および懸濁化剤を使用して、処方され得る。滅菌注射可能調製物はまた、非毒性の非経口で受容可能な希釈剤または溶媒中の、滅菌注射可能な溶液または懸濁物(例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液)であり得る。使用され得る受容可能なビヒクルおよび溶媒のうちでもとりわけ、水、リンゲル液および等張塩化ナトリウム溶液である。さらに、滅菌固定油が、溶媒または懸濁媒として従来使用されている。この目的で、任意のブランドの固定油(合成モノグリセリドまたはジグリセリドが挙げられる)が使用され得る。さらに、オレイン酸などの脂肪酸が、注射可能物の調製において用途を見出す。
【0234】
従って、本発明による化合物は、非経口投与(例えば、注射(例えばボーラス注射)または連続注入による)のために処方され得、そして単位用量形態で、アンプル内、予め充填された注射器内、小容量注入容器内に、防腐剤を加えられてまたは多用量容器内に、提供され得る。これらの薬学的組成物は、油性または水性のビヒクル内の、懸濁剤、溶液、またはエマルジョンなどの形態を取り得、そして懸濁化剤、安定剤および/または分散剤などの処方剤を含有し得る。あるいは、活性成分は、粉末形態であり得、粉末形態は、滅菌固体の無菌単離によってかまたは溶液からの凍結乾燥によって得られ得、使用前に適切なビヒクル(例えば、発熱性物質を含まない滅菌水)での構成のためのものである。
【0235】
経口用途に適切な水性処方物は、活性成分を水に溶解または懸濁させ、そして所望であれば、適切な着色剤、フレーバー、安定剤および増粘剤を添加することによって、調製され得る。
【0236】
経口用途に適切な水性懸濁物は、微細に分割した活性成分を、粘性物質(例えば、天然ガムもしくは合成ガム、樹脂、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、または他の周知の懸濁化剤)と一緒に水中に分散させることによって、作製され得る。
【0237】
使用の直前に、経口投与のための液体形態の調製物に転換されることが意図された、固体形態の調製物もまた包含される。このような液体形態としては、溶液、懸濁物およびエマルジョンが挙げられる。これらの調製物は、活性成分に加えて、着色剤、フレーバー、安定剤、緩衝剤、人工甘味料および天然甘味料、分散剤、増粘剤、および可溶化剤などを含有し得る。
【0238】
表皮への局所投与のためには、本発明による化合物は、軟膏剤、クリームもしくはローションとして、または経皮パッチとして処方され得る。
【0239】
軟膏剤およびクリームは、例えば、水性または油性の基剤を用いて、適切な増粘剤および/またはゲル化剤を添加して、処方され得る。ローションは、水性または油性の基剤を用いて処方され得、そして一般にまた、1種以上の乳化剤、安定剤、分散剤、懸濁化剤、増粘剤、または着色剤を含有する。
【0240】
口内への局所投与に適切な処方物としては、活性剤をフレーバー入り基剤(通常、スクロースおよびアカシアまたはトラガカント)中に含有するロゼンジ;活性成分を不活性基剤(例えば、ゼラチンおよびグリセリンまたはスクロースおよびアカシア)中に含有する口内錠;ならびに活性成分を適切な液体キャリア中に含有するうがい薬が挙げられる。
【0241】
液剤または懸濁剤は、従来の手段によって(例えば、点滴注入器、ピペットまたはスプレーを用いて)、鼻腔に直接付けられる。これらの処方物は、単一用量形態または多用量形態で提供され得る。後者の点滴注入器またはピペットの場合、患者が、適切な所定の体積の液剤または懸濁剤を投与することによって、達成され得る。スプレーの場合、例えば、計量噴霧スプレーポンプによって達成され得る。
【0242】
気道への投与はまた、エアロゾル処方物によって達成され得、この場合、活性成分は、適切な推進剤と一緒に加圧パック内に提供される。本発明の化合物またはこれらを含有する薬学的組成物がエアロゾルとして(例えば、鼻エアロゾルとして、または吸入によって)投与される場合、例えば、スプレー、ネブライザ、ポンプネブライザ、吸入装置、計量吸入器または乾燥粉末吸入器を使用して、行われ得る。本発明の化合物の、エアロゾルとしての投与のための薬学的形態は、当業者に周知であるプロセスによって、調製され得る。これらの調製のために、例えば、本発明の化合物の、水中、水/アルコール混合物中、または適切な生理食塩水溶液中の溶液または分散物が、慣習的な添加剤(例えば、ベンジルアルコールまたは他の適切な防腐剤、バイオアベイラビリティを増大させるための吸収増強剤、可溶化剤、および分散剤など)、ならびに適切であれば、慣習的な推進剤(例えば、二酸化炭素、CFC(例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、またはジクロロテトラフルオロエタン)が挙げられる)などを用いて、使用され得る。エアロゾルはまた、レシチンなどの界面活性剤を慣習的に含有し得る。薬物の用量は、計量弁の提供によって、制御され得る。
【0243】
気道への投与が意図される処方物(鼻腔内処方物が挙げられる)において、化合物は一般に、例えば10ミクロン以下のオーダーの小さい粒子サイズを有する。このような粒子サイズは、当該分野において公知である手段(例えば、微粒化)によって、得られ得る。所望であれば、活性成分の徐放を与えるように適合された処方物が使用され得る。
【0244】
あるいは、活性成分は、乾燥粉末(例えば、この化合物の、適切な粉末基剤(例えば、ラクトース、デンプン、デンプン誘導体(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース)およびポリビニルピロリドン(PVP))中の粉末混合物)の形態で提供され得る。簡便なために、粉末キャリアは、鼻腔内でゲルを形成する。この粉末組成物は、単位用量形態で、例えばゼラチンの、例えばカプセルまたはカートリッジ中に提供され得るか、あるいはブリスターパック中に提供され得、これらから、これらの粉末が吸入器によって投与され得る。
【0245】
これらの薬学的調製物は、好ましくは、単位剤形である。このような形態において、この調製物は、適切な量の活性成分を含有する単位用量に部分分割される。この単位剤形は、パッケージされた調製物であり得、そのパッケージは、不連続な量の調製物を、例えば、バイアルもしくはアンプル内でパケットに入れられた錠剤、カプセル剤および散剤として、含む。また、この単位剤形は、カプセル剤、錠剤、カシェ剤、またはロゼンジ自体であり得るか、あるいはパッケージされた形態の、適切な数のこれらの任意のものであり得る。
【0246】
経口投与用の錠剤またはカプセル剤、および静脈内投与用の液体が、好ましい組成物である。
【0247】
本発明による化合物は必要に応じて、薬学的に受容可能な塩(薬学的に受容可能な非毒性の酸(無機酸および有機酸が挙げられる)から調製された、薬学的に受容可能な酸付加塩が挙げられる)として存在し得る。代表的な酸としては、酢酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ショウノウスルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ジクロロ酢酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、馬尿酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、シュウ酸、およびp-トルエンスルホン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。カルボン酸官能基を含む、本発明の特定の化合物は、必要に応じて、非毒性の薬学的に受容可能な金属陽イオン、および有機塩基から誘導された陽イオンを含む、薬学的に受容可能な塩として存在し得る。代表的な金属としては、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、および亜鉛などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、薬学的に受容可能な金属は、ナトリウムである。代表的な有機塩基としては、ベンザチン(N
1,N
2-ジベンジルエタン-1,2-ジアミン)、クロロプロカイン(4-(クロロアミノ)安息香酸2-(ジエチルアミノ)エチル)、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン((2R,3R,4R,5S)-6-(メチルアミノ)ヘキサン-1,2,3,4,5-ペンタオール)、およびプロカイン(4-アミノ安息香酸2-(ジエチルアミノ)エチル)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の薬学的に受容可能な塩は、Bergeら,Journal of Pharmaceutical Sciences,66:1-19(1977)に列挙されている。
【0248】
酸付加塩は、化合物合成の直接の生成物として得られ得る。代替例において、遊離塩基が、適切な酸を含有する適切な溶媒に溶解され得、そしてその塩が、この溶媒をエバポレートすることによって、またはこの塩と溶媒とを他の方法で分離することによって、単離され得る。本発明の化合物は、当業者に公知である方法を使用して、標準的な低分子量溶媒と溶媒和物を形成し得る。
【0249】
本発明の化合物はまた、迅速に溶解する組成物または徐放組成物によって投与され得、ここでこの組成物は、生分解性の迅速に溶解するキャリアまたは徐放キャリア(例えば、ポリマーキャリアなど)および本発明の化合物を含有する。迅速に溶解するキャリアまたは徐放キャリアは、当該分野において周知であり、そして複合体を形成するために使用され、これらの複合体は、その中に活性化合物(単数または複数)を捕捉し、そして適切な環境(例えば、水性、酸性、塩基性など)において、迅速にかまたはゆっくりとのいずれかで分解/溶解する。このような粒子は有用である。なぜなら、これらの粒子は、体液中で分解/溶解して、その中の活性化合物(単数または複数)を放出するからである。このような組成物において使用される、本発明の化合物、キャリアまたは任意の賦形剤の粒子サイズは、当業者に公知である技術を使用して、必要に応じて調節され得る。
【0250】
粒子サイズは、処方物において重要な役割を果たし得る。粒子のサイズを減少させることは、物理特性を改変するために使用され得る。粒子サイズの減少は、粒子の数と、単位体積あたりの表面積の量との両方を増大させる。増大した表面積は、溶解の速度を改善し得、従って、溶解度を改善し得る。さらに、粒子サイズの減少は、溶解性が低い化合物に対して、胃腸での吸収を改善し得る。粒子サイズの減少は、当該分野において公知である方法のいずれか(例えば、沈殿/結晶化、および粉砕(機械的プロセスによるサイズの減少)など)によって、得られ得る。例えば、Remington,The Science and Practice of Pharmacy,第20版,2000,Lippincott Williams & Wilkins,(編者:Gennaroら)を参照のこと。
【0251】
本発明の化合物は、「プロドラッグ」に転換され得る。用語「プロドラッグ」とは、当該分野において公知である特定の化学基で修飾されており、そして個体に投与されると、これらの基が生体内変化を起こして親化合物を与える、化合物をいう。従って、プロドラッグは、化合物の特性を変更または排除するために一時的な様式で使用される1つ以上の特殊化された非毒性の保護基を含む、本発明の化合物として見られ得る。1つの一般的な局面において、「プロドラッグ」アプローチが、経口投与を容易にするために利用される。徹底的な議論が、T.HiguchiおよびV.Stella,Pro-drugs as Novel Delivery Systems、A.C.S.Symposium Seriesの第14巻;ならびにBioreversible Carriers in Drug Design,編者Edward B.Roche,American Pharmaceutical Association and Pergamon Press,1987に提供されている。
【0252】
本発明のいくつかの実施形態は、「併用療法」のための薬学的組成物を製造する方法を包含し、この方法は、本明細書中に開示される化合物実施形態のいずれかによる少なくとも1つの化合物を、本明細書中に記載されるような少なくとも1種の公知の薬剤および薬学的に受容可能なキャリアと一緒に混合する工程を包含する。
【0253】
GPR119レセプターモジュレーターが薬学的組成物において活性成分として利用される場合、これらはヒトにおける使用のみを意図されるのではなく、非ヒト哺乳動物における使用もまた同様に意図されることが留意される。動物の健康管理の分野における最近の進歩は、活性剤(例えば、GPR119レセプターモジュレーター)の、同伴(companionship)動物(例えば、ネコ、イヌなど)および家畜動物(例えば、ウマ、ウシなど)におけるGPR119レセプターに関連する疾患または障害の処置のための使用を考慮することを求めている。当業者は、このような化合物をこのような状況で利用することを理解すると容易に信じられる。
【0254】
水和物および溶媒和物
語句「薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物(複数形)」あるいはは語句「薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、または水和物(単数形)」が、本明細書中に記載される化合物をいう場合に使用される場合、その用語は、それらの化合物の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物、それらの化合物の薬学的に受容可能な塩、ならびにそれらの化合物の薬学的に受容可能な塩の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物を包含することが理解される。語句「薬学的に受容可能な溶媒和物および水和物」あるいは語句「薬学的に受容可能な溶媒和物または水和物」が、本明細書中に記載される塩をいう場合に使用される場合、その用語は、このような塩の薬学的に受容可能な溶媒和物および/または水和物を包含することもまた、理解される。
【0255】
本明細書中に記載される剤形は、その活性成分として、本明細書中に記載される化合物または薬学的に受容可能な塩のいずれかを、その薬学的に受容可能な溶媒和物または水和物として含有し得ることが、当業者に明らかである。さらに、本明細書中に記載される化合物およびそれらの塩の、種々の水和物および溶媒和物は、薬学的組成物の製造における中間体としての用途を見出す。適切な水和物および溶媒和物を作製および同定するための代表的な手順が、本明細書中に記載されるものの他にも、当業者に周知である。例えば、Polymorphism in Pharmaceutical Solids,編者Harry G.Britain,第95巻,Marcel Dekker,Inc.,New York,1999のK.J.Guillory,「Generation of Polymorphs,Hydrates,Solvates,and Amorphous Solids」の202頁〜209頁を参照のこと。従って、本発明の1つの局面は、本明細書中に記載される化合物および/またはそれらの薬学的に受容可能な塩の、水和物および溶媒和物を投与する方法に関し、これらの水和物および溶媒和物は、当該分野において公知である方法(例えば、熱重量分析(TGA)、TGA-質量分析、TGA-赤外分光学、粉末X線回折(XRPD)、カールフィッシャー滴定、および高分解能X線回折など)によって単離および特徴付けされ得る。溶媒和物および水和物を慣用的なベースで同定するための、迅速かつ効率的なサービスを提供する、数個の商業体が存在する。これらのサービスを与える会社の例としては、Wilmington PharmaTech(Wilmington,DE)、Avantium Technologies(Amsterdam)およびAptuit(Greenwich,CT)が挙げられる。
【0256】
多型および疑似多型
多型とは、ある物質が、結晶格子中の分子の異なる配置および/または配座を有する2つ以上の結晶相として存在する能力である。多型は、液相または気相においては同じ特性を示すが、固相においては異なる挙動をする。
【0257】
一成分の多型に加えて、薬物はまた、塩および他の多成分結晶相として存在し得る。例えば、溶媒和物および水和物は、APIホストと、ゲストとしての溶媒分子または水分子をそれぞれ含み得る。同様に、このゲスト化合物が室温で固体である場合、得られる形態はしばしば、共結晶と呼ばれる。塩、溶媒和物、水和物、および共結晶は、同様に多型を示し得る。同じAPIホストを共有するがそのゲストに関して異なる結晶相は、互いの擬似多型と称され得る。
【0258】
溶媒和物は、結晶化の溶媒の分子を、限定された結晶格子内に含む。結晶化の溶媒が水である溶媒和物は、水和物と称される。水は大気の成分であるので、薬物の水和物は、かなり容易に形成され得る。例えば、Stahlyは最近、「広範な種々の構造型」からなる245の化合物の多型スクリーンを公開し、これらのうちの約90%が複数の固体形態を示すことを明らかにした。全体として、これらの化合物のおよそ半分が多型であり、しばしば、1個〜3個の形態を有する。これらの化合物のうちの約3分の1が水和物を形成し、そして約3分の1が溶媒和物を形成した。64の化合物の共結晶スクリーンからのデータは、60%が、水和物でも溶媒和物でもない共結晶を形成することを示した(G.P.Stahly,Crystal Growth & Design(2007),7(6),1007-1026)。
【0259】
併用療法
本発明の化合物は、単一の活性薬剤として投与され得るか(すなわち、単剤療法)、または1種以上の薬剤(例えば、薬剤であり、例えば、公知の抗糖尿病剤)と組み合わせて使用されて、本明細書中に記載される疾患、状態、および障害の処置のために、一緒にかもしくは別々に投与され得る(すなわち、併用療法)。従って、本発明の別の局面は、代謝関連障害(肥満症などの体重関連障害が挙げられる)の処置の方法を包含し、この方法は、その必要がある個体に、治療有効量の式(Ia)の化合物またはその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、もしくは水和物を、本明細書中に記載されるような1種以上の薬剤(例えば、抗糖尿病剤)と組み合わせて投与する工程を包含する。
【0260】
本発明に従って、この組み合わせは、それぞれの活性成分(式(Ia)の化合物および薬剤)を、一緒にかまたは独立してかのいずれかで、必要に応じて、本明細書中に記載されるような生理学的に受容可能なキャリア、賦形剤、結合剤、希釈剤などと一緒に混合し、そしてこの混合物(単数または複数)を、薬学的組成物として、経口的にか非経口的にかのいずれかで投与することによって、使用され得る。式(Ia)の化合物が、別の活性化合物との併用療法として投与される場合、この式(Ia)の化合物とこの薬剤とは、同じ時点または異なる時点に与えられる別々の薬学的組成物として処方され得るか、あるいはこの式(Ia)の化合物とこの薬剤とは、1つの単位投薬形として一緒に処方され得る。
【0261】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な薬剤としては、抗肥満症剤(例えば、アポリポタンパク質-B分泌/ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質(apo-B/MTP)インヒビター);MCR-4アゴニスト、コレシストキニン−A(CCK-A)アゴニスト;セロトニンおよびノルエピネフリン再取り込みインヒビター(例えば、シブトラミン(sibutramine));交感神経様作用剤;β3アドレナリン作動性レセプターアゴニスト;ドパミンアゴニスト(例えば、ブロモクリプチン);メラニン細胞刺激ホルモンレセプターアナログ;カンナビノイド1レセプターアンタゴニスト[例えば、SR141716:N-(ピペリジン-1-イル)-5-(4-クロロフェニル)-1-(2,4-ジクロロフェニル)-4-メチル-1H-ピラゾール-3-カルボキサミド];メラニン凝集ホルモンアンタゴニスト;レプチン(OBタンパク質);レプチンアナログ;レプチンレセプターアゴニスト;ガラニン(galanin)アンタゴニスト;リパーゼインヒビター(例えば、テトラヒドロリプスタチン(tetrahydrolipstatin)、すなわち、オルリスタット(Orlistat));食欲抑制剤(anorectic agent)(例えば、ボンベシンアゴニスト);神経ペプチド-Yアンタゴニスト;甲状腺様因子(thyromimetic agent);デヒドロエピアンドロステロンまたはそのアナログ;糖質コルチコイドレセプターのアゴニストまたはアンタゴニスト;オレキシンレセプターアンタゴニスト;ウロコルチン(urocortin)結合タンパク質アンタゴニスト;グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)レセプターアゴニスト;毛様体神経栄養因子(例えば、Regeneron Pharmaceuticals,Inc.,Tarrytown,NYおよびProcter & Gamble Company,Cincinnati,OHから入手可能なAxokine
TM);ヒトアグーチ関連タンパク質(AGRP);グレリンレセプターアンタゴニスト;ヒスタミン3レセプター(H3R)のアンタゴニストまたは逆アゴニスト;ニューロメジンUレセプターアゴニスト;ノルアドレナリン作動性食欲抑制剤(例えば、フェンテルミンおよびマチンドールなど);食欲抑制薬(appetite suppressant)(例えば、ブプロピオン);ならびに5-HT
2cアゴニスト(例えば、ロルカセリン)が挙げられる。
【0262】
他の抗肥満症剤(上に記載された剤を含める)は、周知であるか、または本開示を考慮して、当業者に容易に明らかになる。いくつかの実施形態において、抗肥満症剤は、オルリスタット、シブトラミン、ブロモクリプチン、エフェドリン、レプチン、プソイドエフェドリン、およびロルカセリンからなる群より選択される。さらなる実施形態において、本発明の化合物および併用療法は、運動および/またはカロリーを制御された食事療法と一緒に施される。
【0263】
本発明の化合物と、抗肥満症剤、食欲抑制剤、食欲抑制薬および関連する剤との併用療法の範囲は、上に列挙された範囲に限定されず、原則的に、過体重および肥満の個体の処置のために有用な任意の薬剤または薬学的組成物との任意の組み合わせを包含することが理解される。
【0264】
本発明の化合物と他の薬剤との併用療法の範囲は、本明細書中で上記または下記において列挙される範囲に限定されず、原則的に、代謝関連障害に関連する疾患、状態または障害の処置のために有用な、任意の薬剤または薬学的組成物との任意の組み合わせを包含することが理解される。
【0265】
本発明のいくつかの実施形態は、本明細書中に記載されるような、疾患、障害、状態またはその合併症の処置の方法を包含し、この方法は、このような処置を必要とする個体に、治療有効量または治療有効用量の式(Ia)の化合物を、以下からなる群より選択される少なくとも1種の薬剤と組み合わせて投与する工程を包含する:スルホニル尿素(例えば、トルブタミド(オリナーゼ(Orinase));アセトヘキサミド(ジメロール(Dymelor));トラザミド(トリナーゼ);クロルプロパミド(ダイヤビニーズ);グリピジド(グルコトロール(Glucotrol));グリブリド(ディアベタ(Diabeta)、ミクロナーゼ(Micronase)、グリナーゼ(Glynase));グリメピリド(アマリール);グリクラジド(ディアミクロン(Diamicron));および当該分野において公知であるスルホニル尿素);メグリチニド(例えば、レパグリニド(repaglinide)(プランジン(Prandin))、ナテグリニド(スターリックス(Starlix))、ミチグリニド、および当該分野において公知である他のメグリチニド);ビグアナイド(例えば、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、および当該分野において公知であるビグアナイド);α-グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース、ミグリトール、および当該分野において公知であるα-グルコシダーゼインヒビター);チアゾリジンジオン-ペルオキシソーム増殖因子-活性化レセプター-γ(すなわち、PPAR-γ)アゴニスト(例えば、ロシグリタゾン(rosiglitazone)(アバンディア(Avandia))、ピオグリタゾン(アクトス)、トログリタゾン(レズリン(Rezulin))、リボグリタゾン(rivoglitazone)、シグリタゾン、および当該分野において公知であるチアゾリジンジオン);インスリンおよびインスリンアナログ;抗糖尿病ペプチドアナログ(例えば、エキセナチド(exenatide)、リラグルチド(liraglutide)、タスポグルチド(taspoglutide)、および当該分野において公知である抗糖尿病ペプチドアナログ);HMG-CoAレダクターゼインヒビター(例えば、ロスバスタチン、プラバスタチンおよびそのナトリウム塩、シンバスタチン、ロバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチン(cerivastatin)、ロスバスタチン、ピタバスタチン、プラバスタチン、および当該分野において公知である他のHMG-CoAレダクターゼインヒビター);コレステロール低下薬(例えば、フィブラート(ベザフィブラート、ベクロブラート、ビニフィブラート、シプロフィブラート(ciplofibrate)、クリノフィブラート、クロフィブレート、クロフィブル酸、エトフィブラート、フェノフィブラート、ゲムフィブロジル、ニコフィブラート、ピリフィブラート、ロニフィブラート、シンフィブラート、テオフィブラート(theofibrate)、および当該分野において公知である他のフィブラートが挙げられる);胆汁酸封鎖剤(bile acid sequestrant)(コレスチラミン、およびコレスチポールなどが挙げられる);ならびにナイアシン(niacin));抗血小板剤(例えば、アスピリンおよびアデノシン二リン酸レセプターアンタゴニスト(クロピドグレル、およびチクロピジンが挙げられる));アンギオテンシン変換酵素インヒビター(例えば、カプトプリル、エナラプリル、アラセプリル、デラプリル(delapril);ラミプリル、リジノプリル、イミダプリル、ベナゼプリル、セロナプリル(ceronapril)、シラザプリル、エナラプリラート、ホシノプリル、モベルチプリル(moveltopril)、ペリンドプリル、キナプリル、スピラプリル、テモカプリル、トランドラプリル、および当該分野において公知である他のアンギオテンシン変換酵素インヒビター);アンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト[例えば、ロサルタン(およびそのカリウム塩形態)、および当該分野において公知である他のアンギオテンシンIIレセプターアンタゴニスト;アディポネクチン;ならびにスクアレン合成インヒビター{例えば、(S)-α-[ビス[2,2-ジメチル-1-オキソプロポキシ)メトキシ]ホスフィニル]-3-フェノキシベンゼンブタンスルホン酸,一カリウム塩(BMS-188494)および当該分野において公知である他のスクアレン合成インヒビター}など。いくつかの実施形態において、本発明の化合物とこれらの薬剤とは、別々に投与される。さらなる実施形態において、本発明の化合物とこれらの薬剤とは、同時に投与される。
【0266】
本発明の化合物と組み合わせて使用され得る適切な薬剤としては、アミリンアゴニスト(例えば、プラムリンチド(pramlintide));インスリン分泌促進物質(例えば、GLP-1アゴニスト、エキセンジン-4(exendin-4)、およびインスリノトロピン(insulinotropin)(NN2211));アシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼインヒビター(例えば、エゼチミブ(ezetimibe)、エフルシミベ(eflucimibe)、および当該分野において公知である他のアシルCoAコレステロールアセチルトランスフェラーゼインヒビター);コレステロール吸収インヒビター(例えば、エゼチミブ、パマクエシド(pamaqueside)および当該分野において公知である他のコレステロール吸収インヒビター);コレステロールエステル輸送タンパク質インヒビター(例えば、CP-529414、JTT-705、CETi-1、および当該分野において公知である他のコレステロールエステル輸送タンパク質インヒビター);ミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質インヒビター(例えば、インプリタピド(implitapide)、および当該分野において公知である他のミクロソームトリグリセリド輸送タンパク質インヒビター);コレステロールモジュレーター(例えば、NO-1886、および当該分野において公知である他のコレステロールモジュレーター);胆汁酸モジュレーター(例えば、GT103-279および当該分野において公知である他の胆汁酸モジュレーター);インスリンシグナル伝達経路モジュレーター;タンパク質チロシンホスファターゼ(PTPases)のインヒビター;グルタミン-フルクトース-6-リン酸アミドトランスフェラーゼ(GFAT)の非低分子模倣物およびインヒビター;調節されない肝臓グルコース産生に影響を与える化合物;グルコース-6-ホスファターゼ(G6Pase)のインヒビター;フルクトース-1,6-ビホスファターゼ(F-1,6-BPase)のインヒビター;グリコゲンホスホリラーゼ(GP)のインヒビター;グルカゴンレセプターアンタゴニスト;ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)のインヒビター;ピルビン酸デヒドロゲナーゼキナーゼ(PDHK)インヒビター;インスリン感受性増強剤;インスリン分泌増強剤;胃を空にすることを抑制する因子(inhibitors of gastric emptying);α
2-アドレナリン作動性アンタゴニスト;レチノイドXレセプター(RXR)アゴニスト;およびジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-IV)インヒビターなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0267】
三部分からなる組み合わせ物
本発明のいくつかの局面は、本明細書中に記載されるような方法、薬学的製品、使用、化合物、および薬剤、のいずれかにおいて、2つの異なる薬剤と組み合わせて使用され得る、式(Ia)の化合物を包含する。
【0268】
いくつかの実施形態において、これらの2つの異なる薬剤は、本明細書中に記載される薬剤または薬剤のクラスのいずれかから選択される。いくつかの実施形態において、これらの2つの異なる薬剤は、DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、インスリンアナログ、スルホニル尿素、SGLT2インヒビター、メグリチニド、チアゾリジンジオン、および抗糖尿病ペプチドアナログから選択される。いくつかの実施形態において、これらの2つの異なる薬剤は、DPP-IVインヒビター、ビグアナイド、α-グルコシダーゼインヒビター、スルホニル尿素、およびSGLT2インヒビターの群の薬剤から選択される、全ての組み合わせを包含する。
【0269】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の群の化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1つ以上の化合物の全ての組み合わせを包含する:3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン;1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル;(1S,3S,5S)-2-[2(S)-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル;2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル;8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチン;1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸;4(S)-フルオロ-1-[2-[(1R,3S)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル;1-[(2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル]-4(S)-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン;(2S,4S)-2-シアノ-4-フルオロ-1-[(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル)エチルアミノ]アセチルピロリジン;8-(シス-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-b]ピロール-1-イル)-3-メチル-7-(3-メチル-ブタ-2-エニル)-1-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-3,7-ジヒドロ-プリン-2,6-ジオン;1-((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5ジフルオロピペリジン-2-オン;(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリル;5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド;((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン;(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル;6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン;2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル;(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン;(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル;(2S,5R)-5-エチニル-1-{N-(4-メチル-1-(4-カルボキシ-ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)グリシル}ピロリジン-2-カルボニトリル;および(1S,6R)-3-{[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]カルボニル}-6-(2,4,5-トリフルオロフェニル)シクロヘキサ-3-エン-1-アミンから選択されるDPP-IVインヒビター;フェンホルミン((フェニルエチル)ビグアナイド);メトホルミン(ジメチルビグアナイド);ブホルミン(ブチルビグアナイド);およびプログアニル(1-(p-クロロフェニル)-5-イソプロピルビグアナイド)から選択されるビグアナイド;アカルボース((2R,3R,4R,5R)-4-((2R,3R,4R,5S,6R)-5-((2R,3R,4S,5S,6R)-3,4-ジヒドロキシ-6-メチル-5-((1S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2-エニルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-2,3,5,6-テトラヒドロキシヘキサナール);ミグリトール((2R,3R,4R,5S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオール);およびボグリボース((1S,2S,3R,4S,5S)-5-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラオール)から選択されるα-グルコシダーゼインヒビター;NPHインスリン(ヒューマリンN、ノボリンN、NPHレチンII、およびイソフェンインスリン(insulin isophane)としても公知);インスリンリスプロ(28B-L-リジン-29B-L-プロリン-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである);インスリンアスパルト(28B-L-アスパラギン酸-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである);およびインスリングルリジン(insulin glulisine)(3B-L-リジン-29B-L-グルタミン酸-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである)から選択されるインスリンアナログ;トルブタミド(オリナーゼ、N-(ブチルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド);アセトヘキサミド(ジメロール、4-アセチル-N-(シクロヘキシルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド);
トラザミド (トリナーゼ、N-(アゼパン-1-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド);クロルプロパミド(ダイヤビニーズ、4-クロロ-N-(プロピルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド);グリピジド(グルコトロール、N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド);グリベンクラミド(グリブリド(ディアベタ、ミクロナーゼ、グリナーゼ、5-クロロ-N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド)としてもまた公知);グリメピリド(アマリール、3-エチル-4-メチル-N-(4-(N-((1r,4r)-4-メチルシクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド);およびグリクラジド(ディアミクロン、N-(ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド)から選択されるスルホニル尿素;ダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)-2-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール);レモグリフロジン(炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(4-(4-イソプロポキシベンジル)-1-イソプロピル-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル);ASP1941、カナグリフロジン(canagliflozin)((2S,3R,4R,5S,6R)-2-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール);ISIS 388626;セルグリフロジン(炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(4-メトキシベンジル)フェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル)、AVE2268((2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(2-(4-メトキシベンジル)チオフェン-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール)、BI10773、CSG453;およびLX4211から選択されるSGLT2インヒビター;レパグリニド(プランジン、(S)-2-エトキシ-4-(2-(3-メチル-1-(2-(ピペリジン-1-イル)フェニル)ブチルアミノ)-2-オキソエチル)安息香酸);ナテグリニド(スターリックス、(R)-2-((1r,4R)-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド)-3-フェニルプロパン酸);およびミチグリニド((S)-2-ベンジル-4-((3aR,7aS)-1H-イソインドール-2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル)-4-オキソブタン酸)から選択されるメグリチニド;ロシグリタゾン(アバンディア、5-(4-(2-(メチル(ピリジン-2-イル)アミノ)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン);ピオグリタゾン(アクトス、5-(4-(2-(5-エチルピリジン-2-イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン);トログリタゾン(レズリン、5-(4-((6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン);リボグリタゾン(5-(4-((6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン);およびシグリタゾン(5-(4-((1-メチルシクロヘキシル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)から選択されるチアゾリジンジオン;ならびにエキセナチド;リラグルチド;およびタスポグルチドから選択される抗糖尿病ペプチドアナログ。
【0270】
いくつかの実施形態において、これらの2つの異なる薬剤は、シタグリプチン、ビルダグリプチン、サクサグリプチン、アログリプチン、リナグリプチン、フェンホルミン、メトホルミン、ブホルミン、アカルボース、ミグリトール、ボグリボース、トルブタミド、アセトヘキサミド、トラザミド、クロルプロパミド、グリピジド、グリベンクラミド、グリメピリド、グリクラジド、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、およびセルグリフロジンの群の薬剤から選択される全ての組み合わせを包含する。
【0271】
ジペプチジルペプチダーゼIVインヒビター
ジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-IV、EC 3.4.14.5)は、広範なペプチド基質(ペプチドホルモン、神経ペプチド、およびケモカインが挙げられる)に対する触媒活性を示す。インクレチンであるグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)、およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)(これは、グルコース依存性インスリン分泌を刺激し、そして血中ブドウ糖ホメオスタシスを他の方法で促進する)は、DPP-IVによって、2位のアラニンで迅速に切断され、それらの生物学的活性の不活性化をもたらす。ペプチドYY(PYY)は、満腹の調節に関連する腸ペプチドである(Chaudhriら,Annu Rev Physiol(2008)70:239-255)。PYYは、PYY
1-36およびPYY
3-36として、循環中に放出される(Eberleinら,Peptides(1989)10:797-803)。PYY
3-36は、PYY
1-36から、N末端のTyr残基およびPro残基の切断によって、DPP-IVにより生成される。DPP-IV活性の薬理学的減衰と遺伝的減衰との両方が、インビボでの増強されたインクレチン作用、増大したインスリン、およびより低い血中グルコースに関連する。DPP-IV活性の遺伝的減衰は、肥満症に対する抵抗を与え、そしてインスリン感受性を改善することが示されている。DPP-IVのインヒビターは、治療剤として有用であることが示されており、例えば、ビルダグリプチン(1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル)またはシタグリプチン(3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン)の、2型糖尿病を罹患するヒト患者への経口投与は、有意に低下したHbA
1cレベルに関連する、絶食時のグルコースおよび食後のグルコースの偏りを低下させることが見出されている。2型糖尿病の処置へのDPP-IVインヒビターの応用に関する概説については、以下の刊行物が参照される:(1)H.-U.Demuthら,「Type 2 diabetes-therapy with DPP-IV Inhibitors」,Biochim.Biophys.Acta,1751:33-44(2005)、および(2)K.Augustynsら,「Inhibitors of proline-specific dipeptidyl peptidases:DPP-IV Inhibitors as a novel approach for the treatment of type 2 diabetes」,Expert Opin.Ther.Patents,15:1387-1407(2005)。
【0272】
従って、適切な薬剤としては、本発明の化合物と一緒に、別々にかまたは一緒にのいずれかで投与されて使用され得る、DPP-IVのインヒビターが挙げられる。DPP-IVインヒビターは、当該分野において周知であるか、または容易に同定され得、そしてそれらのインビトロでの生物学的活性は、利用可能な多数の方法(例えば、O’Brien,M.,Daily,B.,Schurria,M.,「Assay for DPPIV activity using a homogeneous,luminescent method」,Cell Notes,Issue 11,2005;DPPIV-Glo
TM Protease Assay Technical Bulletin #TB339もまた参照のこと)を使用して決定され得る。
【0273】
DPP-IVインヒビターの例は、Villhauerら,J.Med.Chem.(2003)46:2774-2789(LAF237について);Ahrenら,J.Clin.Endocrinol.Metab.(2004)89:2078-2084;Villhauerら,J.Med.Chem.(2002)45:2362-2365(NVP-DPP728について);Ahrenら,Diabetes Care(2002)25:869-875(NVP-DPP728について);Petersら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2004)14:1491-1493;Caldwellら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2004)14:1265-1268;Edmondsonら,Bioorg.Med.Chem.Lett.(2004)14:5151-5155;およびAbeら,J.Na.t Prod.(2004)67:999-1004に記載されている。
【0274】
DPP-IVインヒビターの具体的な例としては、例えば、米国特許第6,303,661号に記載されるような、ジペプチド誘導体またはジペプチド模倣物(例えば、アラニン-ピロリジド、イソロイシン-チアゾリジド、および偽基質(pseudosubstrate)N-バリルプロリル、O-ベンゾイルヒドロキシルアミン)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0275】
本発明のいくつかの実施形態は、米国特許第6,869,947号、同第6,867,205号、同第6,861,440号、同第6,849,622号、同第6,812,350号、同第6,803,357号、同第6,800,650号、同第6,727,261号、同第6,716,843号、同第6,710,040号、同第6,706,742号、同第6,645,995号、同第6,617,340号、同第6,699,871号、同第6,573,287号、同第6,432,969号、同第6,395,767号、同第6,380,398号、同第6,303,661号、同第6,242,422号、同第6,166,063号、同第6,100,234号、および同第6,040,145号に見出されるDPP-IVインヒビターから選択される1種以上のDPP-IVインヒビターの、全ての組み合わせを包含する。
【0276】
本発明のいくつかの実施形態は、米国特許第2005059724号、同第2005059716号、同第2005043292号、同第2005038020号、同第2005032804号、同第2005004205号、同第2004259903号、同第2004259902号、同第2004259883号、同第2004254226号、同第2004242898号、同第2004229926号、同第2004180925号、同第2004176406号、同第2004138214号、同第2004116328号、同第2004110817号、同第2004106656号、同第2004097510号、同第2004087587号、同第2004082570号、同第2004077645号、同第2004072892号、同第2004063935号、同第2004034014号、同第2003232788号、同第2003225102号、同第2003216450号、同第2003216382号、同第2003199528号、同第2003195188号、同第2003162820号、同第2003149071号、同第2003134802号、同第2003130281号、同第2003130199号、同第2003125304号、同第2003119750号、同第2003119738号、同第2003105077号、同第2003100563号、同第2003087950号、同第2003078247号、同第2002198205号、同第2002183367号、同第2002103384号、同第2002049164号、および同第2002006899号に見出されるDPP-IVインヒビターから選択される1種以上のDPP-IVインヒビターの、全ての組み合わせを包含する。
【0277】
本発明のいくつかの実施形態は、国際公開番号WO2005/087235、WO2005/082348、WO2005/082849、WO2005/079795、WO2005/075426、WO2005/072530、WO2005/063750、WO2005/058849、WO2005/049022、WO2005/047297、WO2005/044195、WO2005/042488、WO2005/040095、WO2005/037828、WO2005/037779、WO2005/034940、WO2005/033099、WO2005/032590、WO2005/030751、WO2005/030127、WO2005/026148、WO2005/025554、WO2005/023762、WO2005/020920、WO05/19168、WO05/12312、WO05/12308、WO05/12249、WO05/11581、WO05/09956、WO05/03135、WO05/00848、WO05/00846、WO04/112701、WO04/111051、WO04/111041、WO04/110436、WO04/110375、WO04/108730、WO04/104216、WO04/104215、WO04/103993、WO04/103276、WO04/99134、WO04/96806、WO04/92128、WO04/87650、WO04/87053、WO04/85661、WO04/85378、WO04/76434、WO04/76433、WO04/71454、WO04/69162、WO04/67509、WO04/64778、WO04/58266、WO04/52362、WO04/52850、WO04/50022、WO04/50658、WO04/48379、WO04/46106、WO04/43940、WO04/41820、WO04/41795、WO04/37169、WO04/37181、WO04/33455、WO04/32836、WO04/20407、WO04/18469、WO04/18468、WO04/18467、WO04/14860、WO04/09544、WO04/07468、WO04/07446、WO04/04661、WO04/00327、WO03/106456、WO03/104229、WO03/101958、WO03/101448、WO03/99279、WO03/95425、WO03/84940、WO03/82817、WO03/80633、WO03/74500、WO03/72556、WO03/72528、WO03/68757、WO03/68748、WO03/57666、WO03/57144、WO03/55881、WO03/45228、WO03/40174、WO03/38123、WO03/37327、WO03/35067、WO03/35057、WO03/24965、WO03/24942、WO03/22871、WO03/15775、WO03/04498、WO03/04496、WO03/02530、WO03/02596、WO03/02595、WO03/02593、WO03/02553、WO03/02531、WO03/00181、WO03/00180、WO03/00250、WO02/83109、WO02/83128、WO02/76450、WO02/68420、WO02/62764、WO02/55088、WO02/51836、WO02/38541、WO02/34900、WO02/30891、WO02/30890、WO02/14271、WO02/02560、WO01/97808、WO01/96295、WO01/81337、WO01/81304、WO01/68603、WO01/55105、WO01/52825、WO01/34594、WO00/71135、WO00/69868、WO00/56297、WO00/56296、WO00/34241、WO00/23421、WO00/10549、WO99/67278、WO99/62914、WO99/61431、WO99/56753、WO99/25719、WO99/16864、WO98/50066、WO98/50046、WO98/19998、WO98/18763、WO97/40832、WO95/29691、WO95/15309、WO93/10127、WO93/08259、およびWO91/16339に見出されるDPP-IVインヒビターから選択される1種以上のDPP-IVインヒビターの、全ての組み合わせを包含する。
【0278】
本発明のいくつかの実施形態は、特許出願公開番号EP1517907、EP1513808、EP1492777、EP1490335、EP1489088、EP1480961、EP1476435、EP1476429、EP1469873、EP1465891、EP1463727、EP1461337、EP1450794、EP1446116、EP1442049、EP1441719、EP1426366、EP1412357、EP1406873、EP1406872、EP1406622、EP1404675、EP1399420、EP1399471、EP1399470、EP1399469、EP1399433、EP1399154、EP1385508、EP1377288、EP1355886、EP1354882、EP1338592、EP1333025、EP1304327、EP1301187、EP1296974、EP1280797、EP1282600、EP1261586、EP1258476、EP1254113、EP1248604、EP1245568、EP1215207、EP1228061、EP1137635、EP1123272、EP1104293、EP1082314、EP1050540、EP1043328、EP0995440、EP0980249、EP0975359、EP0731789、EP0641347、EP0610317、EP0528858、CA2466870、CA2433090、CA2339537、CA2289125、CA2289124、CA2123128、DD296075、DE19834591、DE19828113、DE19823831、DE19616486、DE10333935、DE10327439、DE10256264、DE10251927、DE10238477、DE10238470、DE10238243、DE10143840、FR2824825、FR2822826、JP2005507261、JP2005505531、JP2005502624、JP2005500321、JP2005500308、JP2005023038、JP2004536115、JP2004535445、JP2004535433、JP2004534836、JP2004534815、JP2004532220、JP2004530729、JP2004525929、JP2004525179、JP2004522786、JP2004521149、JP2004503531、JP2004315496、JP2004244412、JP2004043429、JP2004035574、JP2004026820、JP2004026678、JP2004002368、JP2004002367、JP2003535898、JP2003535034、JP2003531204、JP2003531191、JP2003531118、JP2003524591、JP2003520849、JP2003327532、JP2003300977、JP2003238566、JP2002531547、JP2002527504、JP2002517401、JP2002516318、JP2002363157、JP2002356472、JP2002356471、JP2002265439、JP2001510442、JP2000511559、JP2000327689、JP2000191616、JP1998182613、JP1998081666、JP1997509921、JP1995501078、およびJP1993508624に見出されるDPP-IVインヒビターから選択される1種以上のDPP-IVインヒビターの、全ての組み合わせを包含する。
【0279】
いくつかの実施形態において、DPP-IVインヒビターは、当該分野において公知であるDPP-IVインヒビターアッセイ(本明細書中に開示される引用文献中のアッセイを含めて)のうちのいずれか1つにおいて、約10μM未満、約1μM未満、約100nM未満、約75nM未満、約50nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、または約1nM未満のIC
50を有する。いくつかの実施形態において、DPP-IVインヒビターは、当該分野において公知であるDPP-IVインヒビターアッセイ(本明細書中に開示される引用文献中のアッセイを含めて)のうちのいずれか1つにおいて、約50nM未満、約25nM未満、約20nM未満、約15nM未満、約10nM未満、約5nM未満、約4nM未満、約3nM未満、約2nM未満、または約1nM未満のIC
50を有する。
【0280】
いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、選択的DPP-IVインヒビターであり、ここでこの選択的DPP-IVインヒビターは、ヒト血漿DPP-IVに対して、PPCE、DPP-II、DPP-8およびDPP-9のうちの1つよりも、少なくとも約10倍高い選択性を有する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、選択的DPP-IVインヒビターであり、ここでこの選択的DPP-IVインヒビターは、ヒト血漿DPP-IVに対して、PPCE、DPP-II、DPP-8およびDPP-9のうちの1つよりも、少なくとも約100倍高い選択性を有する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、選択的DPP-IVインヒビターであり、ここでこの選択的DPP-IVインヒビターは、ヒト血漿DPP-IVに対して、PPCE、DPP-II、DPP-8およびDPP-9のうちの1つよりも、少なくとも約10倍高い選択性を有する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、選択的DPP-IVインヒビターであり、ここでこの選択的DPP-IVインヒビターは、ヒト血漿DPP-IVに対して、PPCE、DPP-II、DPP-8およびDPP-9のうちの1つよりも、少なくとも約1000倍高い選択性を有する。
【0281】
いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、経口で活性である。
【0282】
いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、ヒトDPP-IVのインヒビターである。
【0283】
本発明のいくつかの実施形態は、以下の群のDPP-IVインヒビターならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1つ以上のDPP-IVインヒビターの全ての組み合わせを包含する:3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン;1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル;(1S,3S,5S)-2-[2(S)-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル;2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル;8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチン;1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸;4(S)-フルオロ-1-[2-[(1R,3S)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル;1-[(2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル]-4(S)-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン;(2S,4S)-2-シアノ-4-フルオロ-1-[(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル)エチルアミノ]アセチルピロリジン;8-(シス-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-b]ピロール-1-イル)-3-メチル-7-(3-メチル-ブタ-2-エニル)-1-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-3,7-ジヒドロ-プリン-2,6-ジオン;1-((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5ジフルオロピペリジン-2-オン;(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリル;5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド;((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン;(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル;6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン;2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル;(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル;(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン;(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル;(2S,5R)-5-エチニル-1-{N-(4-メチル-1-(4-カルボキシ-ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)グリシル}ピロリジン-2-カルボニトリル;および(1S,6R)-3-{[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]カルボニル}-6-(2,4,5-トリフルオロフェニル)シクロヘキサ-3-エン-1-アミン。
【0284】
リン酸シタグリプチン(Januvia(登録商標)、MK-0431、3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンのリン酸二水素塩)は、2型糖尿病の1日1回の経口処置のために、Merck & Co.により販売されている。Januviaは、メキシコで最初に発売され、その後、合衆国において商業化された。2007年に、その製品が欧州医薬品庁(EMEA)により認可され、そして現在、英国、ドイツおよびスペインにおいて入手可能である。2009年に、Januviaは、日本において認可および発売された。さらに、Merckもまた、米国において、食事療法および運動の付属物として、ならびに糖尿病の処置において血糖上昇制御を改善するための他の治療と合わせて、Januviaの認可を申し込んだ。この化合物3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンおよびその薬学的に受容可能な塩は、国際公開第2003/004498号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2003/004498に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0287】
いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンリン酸塩:
【0290】
3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンリン酸塩一水和物の結晶形態は、国際公開第2005/003135号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、結晶性3(R)-アミノ-1-[3-(トリフルオロメチル)-5,6,7,8-テトラヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7-イル]-4-(2,4,5-トリフルオロフェニル)ブタン-1-オンリン酸塩一水和物である。
【0291】
ビルダグリプチン(Galvus(登録商標)、LAF-237、1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル)は、別のDPP-IVインヒビターであり、そして最初にブラジルおよびメキシコにおいて、Novartisによって、2型糖尿病の経口での1日1回の処置のために商業化された。2008年に、市販承認申請(marketing authorization application)(MAA)が、欧州においてこの適応症について認可され、、そして2008年3月に英国において発売された。認可レターが、米国において提出された規制申請に対して受け取られた。ビルダグリプチンは、2010年に日本において認可された。化合物1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリルは、国際公開第2000/034241号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2000/034241に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0294】
化合物1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリルの特定の塩は、国際公開第2007/019255号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-[2-(3-ヒドロキシアダマンタ-1-イルアミノ)アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリルHCl:
【0297】
サクサグリプチン(Onglyza
TM、BMS-477118、(1S,3S,5S)-2-[2(S)-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル)は、別のDPP-IVインヒビターであり、これは、2009年に、AstraZenecaおよびBristol-Myers Squibbによって、米国において、2型糖尿病の処置のために発売された。2009年に、この製品は、単独でかまたはメトホルミンと組み合わせて、2型糖尿病の処置のために、欧州で認可された。第3相臨床研究が、2型糖尿病の処置について、日本で進行中である。化合物(1S,3S,5S)-2-[2(S)-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリルは、国際公開第2001/068603号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2001/068603に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(1S,3S,5S)-2-[2(S)-アミノ-2-(3-ヒドロキシアダマンタン-1-イル)アセチル]-2-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0300】
Takedaは、DPP-IVインヒビターであるアログリプチン(SYR-322、Nesina(登録商標)、2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル)の規制認可を、日本および合衆国において、2型糖尿病の1日1回の経口処置のために申請した。化合物2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル、およびその薬学的に受容可能な塩は、国際公開第2005/095381号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO 2005/095381に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0303】
2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリルの結晶形態は、国際公開第2007/035372号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、2-[6-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-3-メチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロピリミジン-1-イルメチル]ベンゾニトリル安息香酸塩:
【0306】
リナグリプチン(BI-1356、Ondero(登録商標)、Tradjenta
TM、8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチン)は、Boehringer Ingelheimにおいて、2型糖尿病の処置のためのメトホルミンへの付加治療としての可能性を評価するための第3相臨床開発中の、DPP-IVインヒビターである。化合物8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチンは、国際公開第2004/018468号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2004/018468に開示される化合物から選択される1種以上の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0309】
化合物8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチンの特定の多型は、国際公開第2007/128721号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、8-[3(R)-アミノピペリジン-1-イル]-7-(2-ブチニル)-3-メチル-1-(4-メチルキナゾリン-2-イルメチル)キサンチンの結晶形態である。
【0310】
ヅトグリプチン(Dutogliptin)(PHX-1149、1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸)は、Phenomix and Forestによる、2型糖尿病の経口での1日1回の処置についての第3相臨床治験中のDPP-IVインヒビターである。化合物1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸、およびその薬学的に受容可能な塩は、国際公開第2005/047297号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/047297に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0313】
1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸酒石酸塩の結晶形態は、国際公開第2008/027273号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-[N-[3(R)-ピロリジニル]グリシル]ピロリジン-2(R)-イルボロン酸酒石酸塩:
【0316】
メログリプチン(Melogliptin)(GRC-8200、4(S)-フルオロ-1-[2-[(1R,3S)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル)は、現在Glenmark PharmaceuticalsおよびMerck KGaAによって、2型糖尿病の処置について第2相臨床治験を受けている、DPP-IVインヒビターである。化合物4(S)-フルオロ-1-[2-[(1R,3S)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリルは、国際公開第2006/040625号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2006/040625に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、4(S)-フルオロ-1-[2-[(1R,3S)-3-(1H-1,2,4-トリアゾール-1-イルメチル)シクロペンチルアミノ]アセチル]ピロリジン-2(S)-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0319】
カルメグリプチン(Carmegliptin)(R-1579、1-[(2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル]-4(S)-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン)は、DPP-IVインヒビターである。化合物1-[(2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル]-4(S)-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オンは、国際公開第2005/000848号に開示されている。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/000848に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-[(2S,3S,11bS)-2-アミノ-9,10-ジメトキシ-2,3,4,6,7,11b-ヘキサヒドロ-1H-ピリド[2,1-a]イソキノリン-3-イル]-4(S)-(フルオロメチル)ピロリジン-2-オン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0322】
Taishoは、(2S,4S)-2-シアノ-4-フルオロ-1-[(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル)エチルアミノ]アセチルピロリジン(DPP-IVインヒビター)を、米国特許出願公開第2007/0112059において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、US 2007/0112059に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S,4S)-2-シアノ-4-フルオロ-1-[(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチル)エチルアミノ]アセチルピロリジン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0325】
Sanofi-Aventisは、一連の置換された二環式8-ピロリジンオキサンチン(8-pyrrolidineoxanthine)誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、米国特許出願公開第2007/0167468号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、米国特許出願公開第2007/0167468号に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、8-(シス-ヘキサヒドロ-ピロロ[3,2-b]ピロール-1-イル)-3-メチル-7-(3-メチル-ブタ-2-エニル)-1-(2-オキソ-2-フェニルエチル)-3,7-ジヒドロ-プリン-2,6-ジオン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0328】
Pfizerは、一連の3-アミノ-ピロリジン-4-ラクタム誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2007/148185号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2007/148185に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、1-((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5ジフルオロピペリジン-2-オンである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、1-((3S,4S)-4-アミノ-1-(4-(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-1,3,5-トリアジン-2-イル)ピロリジン-3-イル)-5,5ジフルオロピペリジン-2-オン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0331】
Syrrxは、一連の置換されたピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2005/095381号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/095381に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリルである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0334】
(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリルコハク酸塩の種々の結晶形態は、国際公開第2008/067465号に開示されている。本発明の1つの実施形態は、国際公開第2008/067465号に開示されるような、(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリルコハク酸塩のいずれか1つ以上の結晶形態に関する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、結晶性(R)-2-((6-(3-アミノピペリジン-1-イル)-3-メチル-2,4-ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)メチル)-4-フルオロベンゾニトリルコハク酸塩:
【0337】
Alantosは、一連の置換された2-シアノ-ピロリジン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2006/116157号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2006/116157に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミドである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、5-{(S)-2-[2-((S)-2-シアノ-ピロリジン-1-イル)-2-オキソ-エチルアミノ]-プロピル}-5-(1H-テトラゾール-5-イル)10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[a,d]シクロヘプテン-2,8-ジカルボン酸ビス-ジメチルアミド、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0340】
Mitsubishiは、一連の2,4-ジ置換ピロリジン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2002/0014271号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2002/0014271に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノンである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0343】
((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン塩の種々の結晶形態は、国際公開第2006/088129号および米国特許出願公開第2009/0216016号に開示されている。本発明の1つの実施形態は、国際公開第2006/088129号および米国特許出願公開第2009/0216016号に記載されるような、((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン塩のいずれか1つ以上の結晶形態に関する。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、結晶性((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン2.5臭化水素酸塩:
【0345】
またはその一水和物もしくは二水和物であり;いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、結晶性((2S,4S)-4-(4-(3-メチル-1-フェニル-1H-ピラゾール-5-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)(チアゾリジン-3-イル)メタノン二臭化水素酸塩である。
【0346】
Kyorinは、一連のピロリジンカルボニトリル誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2008/114857号および米国特許出願公開第2008/0146818号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2008/114857および米国特許出願公開第2008/0146818号に開示される化合物から選択される1種以上の化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリルである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S,4S)-1-[2-[(4-エトキシカルボニルビシクロ[2.2.2]オクタ-1-イル)アミノ]アセチル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0349】
Dainippon Sumitomoは、一連の二環式ピロール誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2006/068163号および米国特許出願公開第2009/0192129号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2006/068163および米国特許出願公開第2009/0192129号に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオンである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(6-[(3R)-3-アミノ-ピペリジン-1-イル]-5-(2-クロロ-5-フルオロ-ベンジル)-1,3-ジメチル-1,5ジヒドロ-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-2,4-ジオン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0352】
Dainippon Sumitomoは、2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリルを、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2009/084497号に開示した。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、2-({6-[(3R)-3-アミノ-3-メチルピペリジン-1-イル]-1,3-ジメチル-2,4-ジオキソ-1,2,3,4-テトラヒドロ-5H-ピロロ[3,2-d]ピリミジン-5-イル}メチル)-4-フルオロベンゾニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0355】
Hoffmann-La Rocheは、一連のN-置換ピロリジン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第03/037327号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO 03/037327に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0358】
(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルメタンスルホン酸塩の種々の結晶形態は、国際公開第2006/100181号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S)-1-{[2-(5-メチル-2-フェニル-オキサゾール-4-イル)-エチルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルメタンスルホン酸塩(すなわち、メシレート):
【0361】
Hoffmann-La Rocheによって国際公開第03/037327号に開示される他の化合物としては、(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、およびその薬学的に受容可能な塩(例えば、メタンスルホン酸塩)が挙げられる。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0364】
いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルメタンスルホン酸:
【0367】
(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルフマル酸塩の種々の結晶形態は、国際公開第2007/071576号に開示されている。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S)-1-{[1,1-ジメチル-3-(4-ピリジン-3-イル-イミダゾール-1-イル)-プロピルアミノ]-アセチル}-ピロリジン-2-カルボニトリルフマル酸塩(すなわち、フマレート):
【0370】
Pfizerは、一連のプロリン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2005/116014号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/116014に開示される化合物、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノンである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(3,3-ジフルオロピロリジン-1-イル)-((2S,4S)-4-(4-(ピリミジン-2-イル)ピペラジン-1-イル)ピロリジン-2-イル)メタノン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0373】
GlaxoSmithKlineは、一連のフルオロピロリジン誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第03/002531号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO 03/037327に開示されるDPP-IVインヒビター、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1つ以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル(デナグリプチン(Denagliptin))である。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0376】
(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリルおよび塩の種々の結晶形態は、国際公開第2005/009956号に開示されている。開示される1つの塩は、(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリルp-トルエンスルホン酸塩((2S,4S)-4-フルオロ-1-[4-フルオロ-β-(4-フルオロフェニル)-L-フェニルアラニル]-2-ピロリジンカルボニトリルp-トルエンスルホン酸塩、またはデナグリプチントシレートとも称される)である。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S,4S)-1-[(2S)-2-アミノ-3,3-ビス(4-フルオロフェニル)プロパノイル]-4-フルオロピロリジン-2-カルボニトリルp-トルエンスルホン酸塩:
【0378】
Abbottは、一連の置換されたピロリジニル誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2004/026822号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2004/026822に開示されるDPP-IVインヒビター、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1つ以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2S,5R)-5-エチニル-1-{N-(4-メチル-1-(4-カルボキシ-ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)グリシル}ピロリジン-2-カルボニトリルである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(2S,5R)-5-エチニル-1-{N-(4-メチル-1-(4-カルボキシ-ピリジン-2-イル)ピペリジン-4-イル)グリシル}ピロリジン-2-カルボニトリル、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0381】
Abbottはさらに、一連の置換されたシクロヘキサニル/シクロヘキセニル誘導体を、DPP-IVインヒビターとして、国際公開第2007/027651号に開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2007/027651に開示されるDPP-IVインヒビター、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1つ以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(1S,6R)-3-{[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]カルボニル}-6-(2,4,5-トリフルオロフェニル)シクロヘキサ-3-エン-1-アミンである。いくつかの実施形態において、このDPP-IVインヒビターは、(1S,6R)-3-{[3-(トリフルオロメチル)-5,6-ジヒドロ[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピラジン-7(8H)-イル]カルボニル}-6-(2,4,5-トリフルオロフェニル)シクロヘキサ-3-エン-1-アミン、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0384】
ビグアナイド
ビグアナイドは、嫌空性解糖を刺激し、末梢組織におけるインスリンに対する感受性を増大させ、腸管からのグルコース吸収を阻害し、肝性糖新生を抑制し、そして脂肪酸酸化を阻害する、薬物のクラスである。ビグアナイドの例としては、フェンホルミン((フェニルエチル)ビグアナイド)、メトホルミン(ジメチルビグアナイド)、ブホルミン(ブチルビグアナイド)、プログアニル(1-(p-クロロフェニル)-5-イソプロピルビグアナイド)、および当該分野において公知であるビグアナイドが挙げられる。
【0385】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のビグアナイドならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
(フェニルエチル)ビグアナイド、ジメチルビグアナイド、ブチルビグアナイド、1-(p-クロロフェニル)-5-イソプロピルビグアナイド
から選択されるビグアナイドである。
【0386】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(フェニルエチル)ビグアナイド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0389】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ジメチルビグアナイド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるビグアナイドであり;その化学構造は、以下のとおりである:
【0391】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ブチルビグアナイド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるビグアナイドであり;その化学構造は、以下のとおりである:
【0393】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、1-(p-クロロフェニル)-5-イソプロピルビグアナイド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるビグアナイドであり;その化学構造は、以下のとおりである:
【0395】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のビグアナイド:メトホルミン、フェンホルミン、ブホルミン、およびプログアニルから選択されるビグアナイドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、メトホルミンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、フェンホルミンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ブホルミンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、プログアニルである。
【0396】
α-グルコシダーゼインヒビター
α-グルコシダーゼインヒビターは、消化酵素(例えば、α-アミラーゼ、マルターゼ、α-デキストリナーゼ、スクラーゼなど)を膵臓およびまたは小腸において競合的に阻害する、薬物のクラスに属する。α-グルコシダーゼインヒビターによる可逆的阻害は、デンプンおよび糖の消化を遅くすることによって、血中グルコースレベルを遅延させるか、減少させるか、または他の方法で低下させる。α-グルコシダーゼインヒビターのいくつかの代表的な例としては、アカルボース((2R,3R,4R,5R)-4-((2R,3R,4R,5S,6R)-5-((2R,3R,4S,5S,6R)-3,4-ジヒドロキシ-6-メチル-5-((1S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2-エニルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-2,3,5,6-テトラヒドロキシヘキサナール)、ミグリトール((2R,3R,4R,5S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオール)、ボグリボース((1S,2S,3R,4S,5S)-5-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラオール)、および当該分野において公知であるα-グルコシダーゼインヒビターが挙げられる。
【0397】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のα-グルコシダーゼインヒビターならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
(2R,3R,4R,5R)-4-((2R,3R,4R,5S,6R)-5-((2R,3R,4S,5S,6R)-3,4-ジヒドロキシ-6-メチル-5-((1S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2-エニルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-2,3,5,6-テトラヒドロキシヘキサナール;(2R,3R,4R,5S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオール;(1S,2S,3R,4S,5S)-5-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラオール
から選択されるα-グルコシダーゼインヒビターである。
【0398】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(2R,3R,4R,5R)-4-((2R,3R,4R,5S,6R)-5-((2R,3R,4S,5S,6R)-3,4-ジヒドロキシ-6-メチル-5-((1S,4R,5S,6S)-4,5,6-トリヒドロキシ-3-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-2-エニルアミノ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-3,4-ジヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イルオキシ)-2,3,5,6-テトラヒドロキシヘキサナール(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0400】
から選択されるα-グルコシダーゼインヒビターである。
【0401】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(2R,3R,4R,5S)-1-(2-ヒドロキシエチル)-2-(ヒドロキシメチル)ピペリジン-3,4,5-トリオール(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0403】
から選択されるα-グルコシダーゼインヒビターである。
【0404】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(1S,2S,3R,4S,5S)-5-(1,3-ジヒドロキシプロパン-2-イルアミノ)-1-(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン-1,2,3,4-テトラオール(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0406】
から選択されるα-グルコシダーゼインヒビターである。
【0407】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、アカルボース、ミグリトール、およびボグリボースから選択されるα-グルコシダーゼインヒビターである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、アカルボースである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ミグリトールである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ボグリボースである。
【0408】
インスリンおよびインスリンアナログ
用語「インスリンアナログ」とは、天然に存在するヒトホルモンおよびインスリンレセプターリガンド(すなわち、合成インスリンアナログ)をいう。インスリンレセプターリガンドは、天然のヒトホルモンと構造的に異なるが、血糖制御の観点で、ヒトインスリンと実質的に同じ活性を有する。インスリンアナログの例としては、NPHインスリン(ヒューマリンN、ノボリンN、NPHレチンII(NPH Lletin II)、およびイソフェンインスリンとしても公知)、インスリンリスプロ(28B-L-リジン-29B-L-プロリン-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである)、インスリンアスパルト(28B-L-アスパラギン酸-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである)、インスリングルリジン(Insulin glulisine)(3B-L-リジン-29B-L-グルタミン酸-インスリンであり、ここでインスリンはヒトインスリンである)、および当該分野において公知であるインスリンアナログが挙げられる。
【0409】
NPHインスリンは、Eli Lilly and Companyにより、ヒューマリンNの名称で販売されており、そして糖尿病を罹患するヒトの血糖レベルの制御を補助する点で、中間で作用する(intermediate-acting)インスリンアナログであるとみなされている。インスリンリスプロは、Eli Lilly and Companyにより、ヒューマログの名称で販売されており、そして即座に作用する(rapid acting)インスリンアナログであるとみなされている。インスリンアスパルトは、Novo Nordiskにより販売されており、そしてノボラピッドとして販売されている。インスリンアスパルトは、速く作用する(fast acting)インスリンアナログであるとみなされている。インスリングルリジンは、Sanofi-Aventisにより開発され、そしてアピドラ(Apidra)の商品名で販売されている。インスリングルリジンは、即座に作用するインスリンアナログであるが、ヒトインスリンと比較して作用の持続時間が短いとみなされている。
【0410】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、NPHインスリンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される、インスリンアナログである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、インスリンリスプロならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるインスリンアナログである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、インスリンアスパルトならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるインスリンアナログである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、インスリングルリジンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるインスリンアナログである。
【0411】
スルホニル尿素
スルホニル尿素は、細胞膜中のレセプターを介してインスリン分泌のシグナルを伝達することによって、膵臓β細胞からのインスリンの分泌を促進する薬物である。スルホニル尿素の例としては、トルブタミド(オリナーゼ、N-(ブチルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド);アセトヘキサミド(ジメロール、4-アセチル-N-(シクロヘキシルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド);トラザミド(トリナーゼ、N-(アゼパン-1-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド);クロルプロパミド(ダイヤビニーズ、4-クロロ-N-(プロピルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド);グリピジド(グルコトロール、N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド);グリベンクラミド(グリブリドとしても公知)(ディアベタ、ミクロナーゼ、グリナーゼ、5-クロロ-N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド);グリメピリド(アマリール、3-エチル-4-メチル-N-(4-(N-((1r,4r)-4-メチルシクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド);グリクラジド(ディアミクロン、N-(ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド);および当該分野において公知であるスルホニル尿素が挙げられる。
【0412】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、スルホニル尿素ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド);5-クロロ-N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド;3-エチル-4-メチル-N-(4-(N-((1r,4r)-4-メチルシクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド
から選択されるスルホニル尿素である。
【0413】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、N-(ブチルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0415】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0416】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、4-アセチル-N-(シクロヘキシルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0418】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0419】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、N-(アゼパン-1-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0421】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0422】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、4-クロロ-N-(プロピルカルバモイル)ベンゼンスルホンアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0424】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0425】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-5-メチルピラジン-2-カルボキサミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0427】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0428】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-クロロ-N-(4-(N-(シクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-メトキシベンズアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0430】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0431】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、3-エチル-4-メチル-N-(4-(N-((1r,4r)-4-メチルシクロヘキシルカルバモイル)スルファモイル)フェネチル)-2-オキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-カルボキサミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0433】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0434】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、N-(ヘキサヒドロシクロペンタ[c]ピロール-2(1H)-イルカルバモイル)-4-メチルベンゼンスルホンアミド(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0436】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0437】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のスルホニル尿素ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:グリピジド、グリメピリド、およびグリベンクラミドから選択されるスルホニル尿素である。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、トルブタミドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、アセトヘキサミドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、トラザミドいくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、クロルプロパミドいくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、グリピジドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、グリブリドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、グリメピリドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、グリクラジドである。
【0438】
SGLT2インヒビター
ナトリウム-グルコーストランスポーター-2(SGLT2)インヒビターは、タンパク質SGLT2および腎臓でのグルコースの再吸収を阻害する薬物のクラスに属する。SGLT2インヒビターによる阻害は、再吸収され、従って尿中に排出されるグルコースを、遅延させるか、量を減少させるか、または他の方法で低下させる。SGLT2インヒビターのいくつかの代表的な例としては、ダパグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)-2-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール、Bristol-Myers SquibbおよびAstraZeneca)、レモグリフロジン(炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(4-(4-イソプロポキシベンジル)-1-イソプロピル-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル、GlaxoSmithKline)、ASP1941(Kotobuki/Astellas)、カナグリフロジン((2S,3R,4R,5S,6R)-2-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール、Johnson & Johnson/Mitsubishi/Tanabe)、ISIS 388626(アンチセンスオリゴヌクレオチド、Isis Pharmaceuticals)、セルグリフロジン(炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(4-メトキシベンジル)フェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル、GlaxoSmithKline)、AVE2268((2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(2-(4-メトキシベンジル)チオフェン-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール、Sanofi-Aventis)、BI10773(Boehringer Ingelheim)、CSG453(Chugai/Roche)、LX4211(Lexicon)、ならびに当該分野において公知であるSGLT2インヒビターが挙げられる。
【0439】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のSGLT2インヒビターならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(4-(4-イソプロポキシベンジル)-1-イソプロピル-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルカーボネート;エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(4-メトキシベンジル)フェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチルカーボネート;(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(2-(4-メトキシベンジル)チオフェン-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール;(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール
から選択されるSGLT2インヒビターである。
【0440】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(4-クロロ-3-(4-エトキシベンジル)フェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0442】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0443】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(4-(4-イソプロポキシベンジル)-1-イソプロピル-5-メチル-1H-ピラゾール-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0445】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0446】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、炭酸エチル((2R,3S,4S,5R,6S)-3,4,5-トリヒドロキシ-6-(2-(4-メトキシベンジル)フェノキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)メチル(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0448】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0449】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ダパグリフロジン、レモグリフロジン、およびセルグリフロジンから選択される、SGLT2インヒビターである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ダパグリフロジンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、レモグリフロジンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、セルグリフロジンである。
【0450】
AstellasおよびKotobukiは、一連のSGLT2インヒビターを、国際公開第2004/080990号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2004/080990に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。
【0451】
Aventisは、一連のSGLT2インヒビターを国際公開第2004/007517号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2004/007517に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(2-(4-メトキシベンジル)チオフェン-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオールである。いくつかの実施形態において、このSGLT2インヒビターは、(2R,3S,4S,5R,6S)-2-(ヒドロキシメチル)-6-(2-(4-メトキシベンジル)チオフェン-3-イルオキシ)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0454】
Tanabeは、一連のSGLT2インヒビターを国際公開第2005/012326号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/012326に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。1つのこのような化合物は、(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオールである。いくつかの実施形態において、このSGLT2インヒビターは、(2S,3R,4R,5S,6R)-2-(3-((5-(4-フルオロフェニル)チオフェン-2-イル)メチル)-4-メチルフェニル)-6-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロ-2H-ピラン-3,4,5-トリオール、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0457】
Boehringer Ingelheimは、一連のSGLT2インヒビターを国際公開第2005/092877号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2005/092877に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。
【0458】
Chugaiは、一連のSGLT2インヒビターを国際公開第2006/080421号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2006/080421に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。
【0459】
Lexiconは、一連のSGLT2インヒビターを国際公開第2008/109591号において開示した。本発明のいくつかの実施形態は、WO2008/109591に開示される化合物ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択される1種以上の化合物の全ての組み合わせを包含する。
【0460】
メグリチニド
メグリチニドは、スルホニル尿素と類似の様式であるが、異なる結合部位において、膵臓β細胞に結合することによって、インスリンの分泌を促進する。メグリチニドの例としては、Novo Nordiskのレパグリニド(プランジン、(S)-2-エトキシ-4-(2-(3-メチル-1-(2-(ピペリジン-1-イル)フェニル)ブチルアミノ)-2-オキソエチル)安息香酸)、ナテグリニド(スターリックス、(R)-2-((1r,4R)-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド)-3-フェニルプロパン酸)、およびミチグリニド((S)-2-ベンジル-4-((3aR,7aS)-1H-イソインドール-2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル)-4-オキソブタン酸)などが挙げられる。
【0461】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のメグリチニドならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
(S)-2-エトキシ-4-(2-(3-メチル-1-(2-(ピペリジン-1-イル)フェニル)ブチルアミノ)-2-オキソエチル)安息香酸;(R)-2-((1r,4R)-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド)-3-フェニルプロパン酸;(S)-2-ベンジル-4-((3aR,7aS)-1H-イソインドール-2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル)-4-オキソブタン酸
から選択されるメグリチニドである。
【0462】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(S)-2-エトキシ-4-(2-(3-メチル-1-(2-(ピペリジン-1-イル)フェニル)ブチルアミノ)-2-オキソエチル)安息香酸(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0465】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(R)-2-((1r,4R)-4-イソプロピルシクロヘキサンカルボキサミド)-3-フェニルプロパン酸(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0467】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0468】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、(S)-2-ベンジル-4-((3aR,7aS)-1H-イソインドール-2(3H,3aH,4H,5H,6H,7H,7aH)-イル)-4-オキソブタン酸(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0470】
から選択されるスルホニル尿素である。
【0471】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のメグリチニド:レパグリニド、ナテグリニド、ミチグリニド、ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるメグリチニドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、レパグリニドならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるメグリチニドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ナテグリニドならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるメグリチニドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ミチグリニドならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるメグリチニドである。
【0472】
チアゾリジンジオン
チアゾリジンジオンは、TZDとしてより一般的に公知である薬物のクラスに属する。これらの薬物は、核レセプターであるペルオキシソーム増殖因子-活性化レセプターγ(PPARγ)に結合することにより作用して、インスリン抵抗性の低下をもたらす多数の特定の遺伝子の転写を活性化する。チアゾリジンジオンの例としては、ロシグリタゾン(アバンディア、5-(4-(2-(メチル(ピリジン-2-イル)アミノ)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)、ピオグリタゾン(アクトス、5-(4-(2-(5-エチルピリジン-2-イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)、トログリタゾン(レズリン、5-(4-((6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)、リボグリタゾン(5-(4-((6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)、シグリタゾン(5-(4-((1-メチルシクロヘキシル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン)、および当該分野において公知であるチアゾリジンジオンが挙げられる。
【0473】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、以下のチアゾリジンジオンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
5-(4-(2-(メチル(ピリジン-2-イル)アミノ)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン;5-(4-(2-(5-エチルピリジン-2-イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン;5-(4-((6-メトキシ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン;5-(4-((1-メチルシクロヘキシル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン
から選択されるチアゾリジンジオンである。
【0474】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-(4-(2-(メチル(ピリジン-2-イル)アミノ)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0477】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-(4-(2-(5-エチルピリジン-2-イル)エトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0480】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-(4-((6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0483】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-(4-((6-メトキシ-1-メチル-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2-イル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0486】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、5-(4-((1-メチルシクロヘキシル)メトキシ)ベンジル)チアゾリジン-2,4-ジオン(化学構造を以下に示す)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物:
【0489】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ロシグリタゾンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるチアゾリジンジオンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、ピオグリタゾンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるチアゾリジンジオンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、トログリタゾンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるチアゾリジンジオンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、リボグリタゾンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるチアゾリジンジオンである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、シグリタゾンならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物から選択されるチアゾリジンジオンである。
【0490】
抗糖尿病ペプチドアナログ
抗糖尿病ペプチドアナログは、インクレチン模倣物(例えば、GLP-1およびGIP)として作用することによって、インスリンの分泌を促進するペプチドである。抗糖尿病ペプチドアナログの例としては、エキセナチド、リラグルチド、タスポグルチド、および当該分野において公知である抗糖尿病ペプチドアナログが挙げられる。
【0491】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、エキセナチド;リラグルチド;およびタスポグルチドから選択される抗糖尿病ペプチドアナログである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、エキセナチドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、リラグルチドである。いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、タスポグルチドである。
【0492】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、L-ヒスチジルグリシル-L-α-グルタミルグリシル-L-トレオニル-L-フェニルアラニル-L-トレオニル-L-セリル-L-α-アスパルチル-L-ロイシル-L-セリル-L-リジル-L-グルタミニル-L-メチオニル-L-α-グルタミル-L-α-グルタミル-L-α-グルタミル-L-アラニル-L-バリル-L-アルギニル-L-ロイシル-L-フェニルアラニル-L-イソロイシル-L-α-グルタミル-L-トリプトフィル-L-ロイシル-L-リジル-L-アスパラギニルグリシルグリシル-L-プロリル-L-セリル-L-セリルグリシル-L-アラニル-L-プロリル-L-プロリル-L-プロリル-L-セリンアミド(すなわち、エキセナチド)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物である。
【0493】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、L-ヒスチジル-L-アラニル-L-α-グルタミルグリシル-L-トレオニル-L-フェニルアラニル-L-トレオニル-L-セリル-L-α-アスパルチル-L-バリル-L-セリル-L-セリル-L-チロシル-L-ロイシル-L-α-グルタミルグリシル-L-グルタミニル-L-アラニル-L-アラニル-N6-[N-(1-オキソヘキサデシル)-L-α-グルタミル]-L-リジル-L-α-グルタミル-L-フェニルアラニル-L-イソロイシル-L-アラニル-L-トリプトフィル-L-ロイシル-L-バリル-L-アルギニルグリシル-L-アルギニル-グリシン(リラグルチド)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物である。
【0494】
いくつかの実施形態において、この薬剤またはこの第二の薬剤は、H
2N-His-2-メチル-Ala-Glu-Gly-Thr-Phe-Thr-Ser-Asp-Val-Ser-Ser-Tyr-Leu-Glu-Gly-Gln-Ala-Ala-Lys-Glu-Phe-Ile-Ala-Trp-Leu-Val-Lys-2-メチル-Ala-Arg-CONH
2(タスポグルチド)ならびにその薬学的に受容可能な塩、溶媒和物、および水和物である。
【0495】
他の有用性
本発明の別の目的は、組織サンプル(ヒトが挙げられる)中のGPR119レセプターを位置を確認して定量するため、および放射性同位元素標識された化合物の阻害結合によりGPR119レセプターリガンドを同定するために、放射線画像化においてのみでなく、インビトロとインビボとの両方におけるアッセイにおいてもまた有用な、放射性同位元素標識された本発明の化合物に関する。本発明のさらなる目的は、このような放射性同位元素標識された化合物を含む、新規GPR119レセプターアッセイを開発することである。
【0496】
本開示は、本発明の化合物、中間体、塩および結晶形態に存在する原子の、全ての同位体を含む。同位体としては、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する、原子が挙げられる。本発明の1つの局面は、本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態における1つ以上の原子の、同じ原子番号を有するが異なる質量数を有する原子で置き換えられたものの全ての組み合わせを含む。1つのこのような例は、1つの本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態において見出される、天然で最も豊富な同位体(例えば、
1Hまたは
12C)である原子の、天然で最も豊富ではない同位体(例えば、
2Hもしくは
3H(
1Hを置き換える)、または
11C、
13C、もしくは
14C(
12Cを置き換える))である異なる原子での置き換えである。このような置き換えが起こっている化合物は一般に、放射性同位元素標識された化合物であるといわれる。本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態の放射性同位元素標識は、当業者により公知である種々の異なる合成方法のうちのいずれか1つを使用して達成され得、そして当業者は、このような放射性同位元素標識を行うために必要とされる合成方法および利用可能な試薬を理解すると、容易に考えられる。一般例として、限定ではなく、水素の同位体としては、
2H(ジュウテリウム)および
3H(トリチウム)が挙げられる。炭素の同位体としては、
11C、
13C、および
14Cが挙げられる。窒素の同位体としては、
13Nおよび
15Nが挙げられる。酸素の同位体としては、
15O、
17O、および
18Cが挙げられる。フッ素の同位体としては、
18Fが挙げられる。硫黄の同位体としては、
35Sが挙げられる。塩素の同位体としては、
36Clが挙げられる。臭素の同位体としては、
75Br、
76Br、
77Br、および
82Brが挙げられる。ヨウ素の同位体としては、
123I、
124I、
125I、および
131Iが挙げられる。本発明の別の局面は、本発明の化合物、その中間体、塩、および結晶形態のうちの1種以上を含有する、組成物(例えば、合成中に調製されるもの)、予備処方物など、および薬学的組成物(例えば、本明細書中に記載される疾患のうちの1つ以上の処置のために、哺乳動物における使用を意図されて調製されるもの)であって、ここでこの組成物中の同位体の天然に存在する分布が変動しているものを包含する。本発明の別の局面は、本明細書中に記載されるような化合物を含有する組成物および薬学的組成物であって、この化合物が、1つ以上の位置で、天然で最も豊富な同位体以外の同位体で富化されているものを包含する。方法が、このような同位体の変動または富化を測定するために容易に利用可能であり(例えば、質量分析)、そして放射性同位体である同位体については、さらなる方法が利用可能である(例えば、HPLCまたはGCに関連して使用される放射線検出器)。
【0497】
放射性同位元素標識された特定の本発明の化合物は、化合物および/または基質の組織分布アッセイにおいて、有用である。いくつかの実施形態において、放射性核種である
3H同位体および/または
14C同位体は、これらの研究において有用である。さらに、より重い同位体(例えば、ジュウテリウム(すなわち、
2H))での置換は、より大きい代謝安定性から得られる特定の治療的利点(例えば、増大したインビボ半減期、または低下した投薬量の必要)を与え得、従って、いくつかの状況において好ましくあり得る。放射性同位元素標識された本発明の化合物は一般に、図面および実施例(後出)に開示される手順と類似の手順に従って、放射性同位元素標識された試薬を放射性同位元素標識されていない試薬の代わりに用いることによって、調製され得る。有用である他の合成方法が、以下で議論される。さらに、本発明の化合物中で提示される原子の全てが、このような原子の最も一般的に存在する同位体、または放射性がより低い同位体もしくは非放射性同位体のいずれかであり得ることが、理解されるべきである。
【0498】
放射性同位体を有機化合物に組み込むための合成方法が、本発明の化合物に適用可能であり、そして当該分野において周知である。活性レベルのトリチウムを標的分子に組み込むこれらの合成方法は、例えば、以下のものである:
A.トリチウムガスを用いる触媒的還元:この手順は通常、高特異性活性の生成物を与え、そしてハロゲン化前駆体または不飽和前駆体を必要とする。
【0499】
B.ホウ素化水素ナトリウム[
3H]を用いる還元:この手順は、さほど高価ではなく、そして還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、およびエステルなど)を含む前駆体を必要とする。
【0500】
C.ハロゲン化アルミニウムリチウム[
3H]を用いる還元:この手順は、ほぼ理論的な比活性で生成物を与える。この手順もまた、還元可能な官能基(例えば、アルデヒド、ケトン、ラクトン、およびエステルなど)を含む前駆体を必要とする。
【0501】
D.トリチウムガス曝露標識:この手順は、交換可能なプロトンを含む前駆体を、適切な触媒の存在下でトリチウムガスに曝露することを包含する。
【0502】
E.ヨウ化メチル[
3H]を使用するN-メチル化:この手順は通常、適切な前駆体を高比活性ヨウ化メチル(3H)で処理することによって、O-メチル(3H)生成物またはN-メチル(3H)生成物を調製するために使用される。この方法は一般に、より高い比活性(例えば、約70Ci/mmol〜90Ci/mmol)を可能にする。
【0503】
活性レベルの
125Iを標的分子に組み込む合成方法としては、以下のものが挙げられる:
A.Sandmeyerなどの反応:この手順は、アリールアミンまたはヘテロアリールアミンをジアゾニウム塩(例えば、ジアゾニウムテトラフルオロボレート塩)に転換し、その後、Na
125Iを使用して、
125I標識された化合物に転換する。代表的な手順は、Zhu,G-D.および共同研究者らによって、J.Org.Chem.,2002,67,943-948において報告された。
【0504】
B.フェノールのオルト
125ヨウ素化:この手順は、Collier,T.L.および共同研究者らによりJ.Labelled Compd.Radiopharm.,1999,42,S264-S266において報告されたように、フェノールのオルト位での
125Iの組み込みを可能にする。
【0505】
C.臭化アリールおよび臭化ヘテロアリールの
125Iでの交換:この方法は一般に、2工程プロセスである。第一の工程は、例えば、Pdにより触媒される反応[すなわち、Pd(Ph
3P)
4]を使用するか、あるいはトリアルキルスズハロゲン化物またはヘキサアルキルジスズ[例えば、(CH
3)
3SnSn(CH
3)
3]の存在下でアリールリチウムまたはヘテロアリールリチウムを介する、臭化アリールまたは臭化ヘテロアリールの、対応するトリアルキルスズ中間体への転換である。代表的な手順は、Le Bas,M.-D.および共同研究者らによって、J.Labelled Compd.Radiopharm.2001,44,S280-S282において報告された。
【0506】
放射性同位元素標識されたGPR119レセプターである式(Ia)の化合物は、化合物を同定/評価するためのスクリーニングアッセイにおいて使用され得る。一般的な観点で、新たに合成または同定される化合物(すなわち、試験化合物)は、放射性同位元素標識された式(Ia)の化合物のGPR119レセプターへの結合を減少させる能力について、評価され得る。従って、試験化合物がGPR119レセプターとの結合に関して放射性同位元素標識された式(Ia)の化合物と競合する能力は、その結合親和性と直接相関する。
【0507】
本発明の特定の標識化合物は、特定のGPR119レセプターに結合する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約500μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約100μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約10μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約1μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約0.1μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約0.01μM未満のIC
50を有する。1つの実施形態において、この標識化合物は、約0.005μM未満のIC
50を有する。
【0508】
開示されるレセプターおよび方法の他の用途は、とりわけ、本開示の精査に基づいて、当業者に明らかになる。
【実施例】
【0509】
本発明の化合物およびそれらの合成は、以下の実施例によってさらに説明される。以下の実施例は、本発明をさらに規定するために提供されるが、本発明をこれらの実施例の特定のものに限定するために提供されるのではない。本明細書中で上記および下記に記載される化合物は、AutoNomバージョン2.2、AutoNom 2000、CS ChemDraw Ultra Version 7.0.1、またはCS ChemDraw Ultra Version 9.0.7に従って命名される。特定の例において、文献での名称および/または一般名が使用され、そしてこれらの名称は、当業者により認識されることが理解される。
【0510】
化学:プロトン核磁気共鳴(
1H NMR)スペクトルを、QNP(Quad Nucleus Probe)またはBBI(Broad Band Inverse)およびz-勾配を備えたBruker Avance-400で記録した。化学シフトを、パーツパーミリオン(ppm)で、残留溶媒のシグナルを参照として使用して与える。NMRの略語を、以下のとおり使用する:s=一重線、d=二重線、dd=二重線の二重線、ddd=二重線の二重線の二重線、dt=三重線の二重線、t=三重線,td=二重線の三重線、tt=三重線の三重線、q=四重線、m=多重線、brs=幅広の一重線、brd=幅広の二重線、brt=幅広の三重線、brq=幅広の四重線。
【0511】
マイクロ波照射を、Smith Synthesizer
TMまたはEmrys Optimizer
TM(Biotage)を使用して行った。薄層クロマトグラフィー(TLC)をシリカゲル60 F
254(Merck)で行い、分取薄層クロマトグラフィー(prep TLC)をPK6Fシリカゲル60 A 1 mmプレート(Whatman)で行い、そしてカラムクロマトグラフィーを、シリカゲルカラムでKieselgel 60,0.063-0.200mm(Merck)を使用して行った。エバポレーションを減圧下でBuechiロータリーエバポレーターで行った。
【0512】
LCMS仕様:HPLC-ポンプ:LC-10AD VP,Shimadzu Inc.;HPLCシステムコントローラ:SCL-10A VP,Shimadzu Inc;UV検出器:SPD-10A VP,Shimadzu Inc;オートサンプラー:CTC HTS,PAL,Leap Scientific;質量分析計:Turbo Ion Spray源を備えるAPI 150EX,AB/MDS Sciex;ソフトウェア:Analyst 1.2。
【0513】
(実施例1.1:5-フルオロピリミジン-4,6-ジオールの調製。)
方法A
オーバーヘッド撹拌機、窒素フロー、および還流冷却器を備え付けた三口丸底フラスコに、メタノール中25重量%のナトリウムメトキシド(950mL,4.15mol)およびホルムアミド(357mL,8.98mol)を添加した。この混合物を約64℃まで加熱した。この反応混合物に2-フルオロマロン酸ジエチル(177mL,1.12mol)を、添加漏斗を使用して1時間かけて添加した。この反応混合物を64℃で72時間維持した。この反応混合物を室温まで冷却し、そしてその溶媒を減圧下で除去した。その残渣を0℃まで冷却し、そして濃塩酸を用いてpH1〜2までゆっくりと酸性化して、生成物の沈殿をもたらした。この生成物を濾過し、そして氷冷水性1N HCl溶液で洗浄した。そのオフホワイトの固体をアセトニトリルに懸濁させ、濾過し、そして減圧中で乾燥させて、5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(170g,1.31mol)を淡褐色がかった桃色固体として得、これをさらに精製せずに使用した。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 7.57 (s, 2H), 8.25 (s, 1H)。
【0514】
方法B
磁気撹拌機、窒素フローおよび還流冷却器を備え付けた5Lの三口丸底フラスコに、以下のもの:ナトリウムメトキシド(メタノール中25%のNaOMe)(1.425L,6.230mol)およびホルムアミド(0.535L,13.5mol)を窒素下で入れ、そして64℃まで加熱した。この反応混合物に、2-フルオロマロン酸ジエチル(CAS# 685-88-1、0.266L,1.684mol)を、添加漏斗を使用してゆっくりと添加した(反応は発熱)。この反応物を64℃で72時間加熱した。この反応物を室温まで冷却し、そして溶媒を減圧下で除去した。その残渣を氷浴により0℃まで冷却した。この混合物を撹拌し、そして10NのHClでpH約1〜2までゆっくりと酸性化した。生成物が析出したので濾過した。この生成物を氷冷1N HClで洗浄した。このオフホワイトの固体をACNに懸濁させ、濾過し、そして30℃で16時間乾燥させて(真空オーブン)、5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(349.4g,2.686mol,収率160%)を淡褐色がかった桃色固体として得た。5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(CAS#106615-61-6,600g,4.613mol,純度62%)を微粉砕(篩い分け)し、そして半融ガラス漏斗(4L粗)に入れた。この物質を0.5MのHCl(aq)の氷冷溶液に懸濁させ、そしてこの物質を懸濁させ(5分間)、次いで濾過した。次いで、このフィルターケーキを1.2LのACN、EtOAc、および最後にヘキサンで洗浄した。その固体を一晩乾燥させて(真空オーブン)、5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(276.459g,2.125mol,収率74%)を紫桃色がかった固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 7.9 (s, 1H), 12.3 (brs, 2H)。
【0515】
(実施例1.2:4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジンの調製。)
方法A
オキシ塩化リン(45.3mL,487mmol)を含む500mLの三口丸底フラスコに、5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(20.0g,154mmol)をゆっくりと添加し、そして得られた反応混合物を60℃まで加熱した。得られたスラリーに、N,N-ジメチルアニリン(42.2mL,331mmol)を、4時間かけてシリンジポンプを使用してゆっくりと添加し、そしてこの反応混合物を60℃で16時間撹拌した。この反応混合物を室温まで冷却し、そして撹拌しながら、ブラインと氷との混合物(400mL)にゆっくりと添加した。その水層をジクロロメタン(2×250mL)で抽出した。合わせた有機層(淡琥珀色)を6NのHClの冷水溶液(200mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、そしてガラス濾紙で減圧濾過により濾過し、そしてその溶媒を減圧下(加熱なし)で除去して、4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(13g,78mmol,収率50.6%)を琥珀色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 8.62 (s, 1H)。
【0516】
方法B
5-フルオロピリミジン-4,6-ジオール(276.459g,2.125mol)を含む2Lの三口丸底フラスコに、塩化ホスホリル(0.593L,6.376mol)を室温でゆっくりと添加して、スラリーを形成した。このスラリーに、N,N-ジメチルアニリン(81mL,0.638mol)を添加漏斗を使用して非常にゆっくりと添加し(発熱)、そしてこの反応を110℃で6時間続けた。6時間後、この反応混合物を室温まで冷却し、そしてブラインおよび氷(2L)に撹拌しながらゆっくりと添加した。その水層(赤色)をDCM(2×2L)で抽出した。合わせた有機層を冷6N HCl(蜜色の褐色)(2×1L)で洗浄し、そして飽和NaHCO
3(1L)で洗浄した。その有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、ガラス濾紙での減圧濾過により濾過し、そして曽於溶媒を減圧下(加熱なし)で除去して、4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(CAS#213265-83-9,347.9g,2.084mol,収率98%)を琥珀色油状物として得た。NMRは、この油状物が微量のDCMを含むことを示した。4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(420g,2.515mol)を減圧蒸留により蒸留して、4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(332.574g,1.992mol,収率79%)を無色油状物として得た。この生成物は、フラスコ内で-78℃で固化し、そして室温にすると融解した。蒸留の条件:油浴:100℃;生成物の沸騰温度:35℃;圧力:1Torr。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 8.8 (s, 1H)。
【0517】
(実施例1.3:2-フルオロ-2-メチルプロパンニトリルの調製。)
方法A
2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンニトリル(120mL,1.31mol)を含む1Lの三口丸底フラスコに、4℃で、三フッ化(ジエチルアミノ)硫黄(DAST)(172mL,1.31mol)を1時間かけて添加漏斗でゆっくりと添加した。この反応混合物を室温まで温め、そして一晩撹拌した。この混合物を減圧蒸留(40〜45℃/45mmHg)により直接精製して、2-フルオロ-2-メチルプロパンニトリル(83.36g,0.957mol,収率73.0%)を、メタクリロニトリル(約10%)を含有する無色油状物として得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.77 (d, J = 20 Hz, 6 H)。
【0518】
方法B
2-ヒドロキシ-2-メチルプロパンニトリル(CAS#75-86-5,221mL,2.420mol)を、1Lの三口丸底フラスコ内で-10℃(氷/アセトン/ドライアイス)まで冷却し、そしてDAST(246mL,1.861mol)を、添加漏斗を使用して2時間かけてゆっくりと添加した。一旦、この添加が終了したら、この反応物を室温まで温め、そして一晩撹拌した。この生成物を減圧蒸留(30℃,4Torr)により蒸留して、2-フルオロ-2-メチルプロパンニトリル(CAS#138999-34-5,148.65g,1.707mol,収率92%)を無色油状物として得た。表題化合物は、光から保護しなければ、琥珀色になった。最終生成物は、メタクリロニトリルを含有した(NMR推定約10%)。
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.8 (d, 6H)。
【0519】
(実施例1.4:(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド。)
方法A
1Lの丸底フラスコに、2-フルオロ-2-メチルプロパンニトリル(80.7g,0.927mol)およびエタノール(400mL)を添加した。得られた溶液に、ヒドロキシルアミンの50%水溶液(81.0mL,1.32mol)を添加漏斗でゆっくりと添加した。この混合物を60℃で3時間加熱した。この混合物を室温まで冷却し、そしてエタノールを減圧下で除去した。その残渣をジクロロメタン(200mL)に溶解させ、そしてその有機層を水(2×200mL)およびブライン溶液(200mL)で洗浄した。その水層をジクロロメタンで逆抽出した。合わせた有機物を無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、そして濾過した。その濾液を減圧下で濃縮して、(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(60.0g,0.499mol,収率53.9%)をオフホワイトの固体として得た。C
4H
9FN
2Oについての正確な計算値: 120.07, 実測値: LCMS m/z = 121.0 (M+H
+)(M+H)
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.58 (d, J = 24 Hz, 6 H), 4.64 (brs, 1H), 4.81 (brs, 2H)。
【0520】
方法B
2-フルオロ-2-メチルプロパンニトリル(148.65g,1.707mol)をEtOH(700mL)に溶解させ、そして水中50重量%のヒドロキシルアミン(135g,2.048mol)を、その温度をおよそ35℃に保ちながら非常にゆっくりと添加し、次いでこの反応混合物を、1Lの丸底フラスコ中80℃で16時間加熱した。16時間後、この反応混合物を室温まで冷却し、そして溶媒を減圧下で除去した。その残渣を、わずかに加熱しながらDCM(500mL)に溶解させ、そして溶解しなかった固体をデカンテーションした。そのDCMを減圧下で除去して、(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド127gを淡黄色固体として得た。この固体を100℃で3Torrで昇華させて、(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(74g,0.616mol,収率36.1%)を白色固体として得た。この最終生成物は、約7%(NMR推定)の脱離副反応生成物(CAS#339075-08-0)を含んだ。
【0521】
(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(120g,999mmol)を、MTBEからの再結晶により精製した。この物質を、5倍〜10倍の体積のMTBEに溶解させた。次いで、この溶液を、ドライアイスおよびアセトンを使用して-78℃まで冷却した。得られた沈殿物を減圧濾過により集め、そして冷MTBEで洗浄して、(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(114.019g,949mmol,収率95%)を白色固体として得た。表題化合物は、NMRによれば約1%の(Z)-N'-ヒドロキシメタクリルイミドアミドを含んだ。Mp: 101.9℃;
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ ppm 1.6 (d, 6H), 4.75 (brs, 2H), 7.55 (brs, 1H)。
【0522】
(実施例1.5:4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルの調製。)
1-(tert-ブトキシカルボニル)ピペリジン-4-カルボン酸(85g,372mmol)のアセトニトリル(450mL)中の溶液に、ジ(1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(72.4g,447mmol)を室温で添加し、そしてこの反応混合物を45℃で1時間加熱した。この反応を、ネガティブモードLC/MSにより監視した。この反応混合物を室温まで冷却し、そして(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(44.7g,372mmol)を添加した。この反応混合物を室温で1.5時間撹拌し、そしてその揮発性有機物を減圧下で除去した。その残渣を冷1M HCl水溶液(500mL)に注いだ。その水相を酢酸エチル(3×250mL)で抽出した。その有機層を合わせ、そして1MのHCl水溶液(3×150mL)ですすいだ。その有機層を合わせ、そして飽和NaHCO
3溶液(2×100mL)およびブラインで洗浄した。その有機相を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、(Z)-4-(2-フルオロ-1-(ヒドロキシイミノ)-2-メチルプロピルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(114g,344mmol,収率92%)を白色固体として得た。
【0523】
(Z)-4-(2-フルオロ-1-(ヒドロキシイミノ)-2-メチルプロピルカルバモイル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチルを含むフラスコを、加熱マントル中115℃で16時間、減圧下で加熱した。この反応混合物を減圧下50℃でさらに乾燥させて、4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(94g,300mmol,収率81%)を濃琥珀色油状物として得た。C
15H
24FN
3O
3についての正確な計算値: 313.37, 実測値: LCMS m/z = 314.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.46 (s, 9 H), 1.75 (s, 3 H), 1.77 - 1.90 (m, 5 H), 2.02 - 2.11 (m, 2 H), 2.89 - 3.01 (m, 2 H), 3.06 - 3.16 (m, 1 H), 4.04 - 4.14 (m, 2 H)。
【0524】
(実施例1.6:4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル塩酸塩の調製。)
0℃(外部氷浴)まで冷却した、ジオキサン中4MのHCl溶液(244mL,975mmol)の混合物に、4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-カルボン酸tert-ブチル(94g,300mmol)を添加した。この氷浴を外し、そしてこの反応混合物を室温で1時間撹拌した。この反応をLC/MSにより監視した。揮発性有機物を減圧下で除去して、黄色がかった固体を得た。この固体をtert-ブチルメチルエーテル(MTBE)で粉砕し、そして濾過により集めて、3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩(70.1g,281mmol,収率94%)を白色固体として得た。C
10H
17ClFN
3Oについての正確な計算値: 213.2, 実測値: LCMS m/z = 214.0 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.71-1.77 (d, J = 20 Hz, 6 H), 1.90-2.01 (m, 2 H), 2.18-2.25 (m, 2 H), 3.00-3.09 (m, 2 H), 3.30-3.37 (m, 2 H), 3.42-3.50 (m, 1 H), 8.85 (brs, 1 H), 9.02 (brs, 1 H)。
【0525】
(実施例1.7:5-(1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾールの調製。)
3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-5-(ピペリジン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール塩酸塩(45.0g,180mmol)のアセトニトリル中の懸濁物に、ジイソプロピルエチルアミン(94mL,541mmol)を添加し、続いて4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(18.81mL,180mmol)を添加した。この反応混合物を40℃で1時間撹拌した。揮発性有機物を減圧下で除去して、濃琥珀色油状物を得た。この油状物を水に注ぎ、そしてその生成物を酢酸エチル(2×250mL)で抽出した。その有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮して、黄色がかった固体を得た。この固体をBiotage
TMカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル勾配)により精製して、5-(1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール(40.4g,118mmol,収率65.2%)を白色固体として得た。C
14H
16ClF
2N
5Oについての正確な計算値: 343.76, 実測値: LCMS m/z = 344.2 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.77-1.81 (d, J = 20 Hz, 6H), 1.98-2.07 (m, 2H), 2.20-2.27 (m, 2H), 3.28-3.35 (m , 3H), 4.48-4.54 (m, 2H), 8.17 (s, 1H)。
【0526】
(実施例1.8:4-アミノ-3-フルオロ-N,N-ジメチルベンズアミドの調製。)
方法A
機械撹拌機、温度計、および添加漏斗を備え付けた三口丸底フラスコに、4-アミノ-3-フルオロ安息香酸(40g,258mmol)、ジメチルアミン(520mL,1.04mol)、およびジクロロメタン(1L)を添加した。この反応混合物を氷浴中で冷却し、そして1-プロパンリン酸環状無水物(250g,393mmol)を添加漏斗によりゆっくりと添加した。1時間後、この添加が完了したので、混合物を室温まで温めた。一晩撹拌した後に、この溶液を減圧下で濃縮し、そしてその残渣をジクロロメタンで抽出し、そして2MのNaOH水溶液で洗浄した。その有機相を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして減圧下で濃縮した。その残渣をBiotage
TMカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル勾配)により精製して、4-アミノ-3-フルオロ-N,N-ジメチルベンズアミド(31.9g,175mmol,収率67.9%)を黄褐色固体として得た。C
9H
11FN
2Oについての正確な計算値 182.2, 実測値: LCMS m/z = 183.3 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 3.05 (s, 6 H), 3.91 (brs, 2 H), 6.76 (t, J = 10 Hz, 1 H), 7.07 (dt, J = 8.15, 0.85 Hz, 1 H), 7.13 (dd, J = 11.43, 1.83 Hz, 1 H)。
【0527】
方法B
4-アミノ-3-フルオロ安息香酸(CAS#455-87-8,221.85g,1.402mol)をアセトニトリル(1.80L)に懸濁させた。この懸濁物にジ(1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(250g,1.542mol)を室温で添加すると、この反応物は泡立ち、そして透明な溶液になった。この反応混合物を0℃まで冷却し、次いでN-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.416L,2.383mol)を添加し、続いてジメチルアミン塩酸塩(137g,1.682mol)を添加した。この反応混合物を室温で30分間撹拌した。LCMSは、この反応が完了したことを示した。その溶媒を減圧下で除去した。その残渣をDCM(2L)に溶解させ、そして1MのHCl(2×2L)で洗浄した。これらの層の分離は、いくらかの固体の存在に起因して、観察することが困難であった。得られた混合物を濾過し、そして層を分離した。その水層をDCM(2×2L)で逆抽出した。その有機層を合わせ、そして乾燥させ(Na
2SO
4)、減圧濾過により半融ガラス漏斗で濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、270gの暗褐色固体を得た。この固体に2:1のトルエン:ヘキサンの混合物(2000mL)を添加し、そしてこの混合物を45℃まで加熱して、スラリーを形成した。得られた沈殿物を減圧濾過により集め、そして1:1のトルエン:ヘキサン(2L)およびヘキサン(2L)で洗浄した。得られた固体を乾燥させた(真空オーブン)。その濾液はいくらかの生成物を含んだので、その溶媒を減圧下で除去し、そしてスラリー化を繰り返した。第一のバッチは196gであり、そして第二のバッチは32.528gを含んだ。両方のバッチは、NMRおよびLC/MSによれば同一であったので、合わせて4-アミノ-3-フルオロ-N,N-ジメチルベンズアミド(CAS#536748-06-8,228.93g,1.257mol,収率90%)を淡褐色固体として得た。
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 2.9 (s, 6H), 5.5 (s, 2H), 6.8 (t, 1H), 7.0 (dd, J=8.21, 1.9 Hz, 1H), 7.1 (dd, J=12.13, 1.8 Hz, 1H). C
9H
11FN
2Oについての正確な計算値 182.2, 実測値: LCMS m/z = 183.2 [M+H]
+)。
【0528】
(実施例1.9:1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチルの調製。)
磁気撹拌機および窒素フローを備え付けた5Lの三口丸底フラスコに、以下のもの:4,6-ジクロロ-5-フルオロピリミジン(332.574g,1.992mol)を、アセトニトリル(2.6L)で補助しながら入れた。以下のものを、添加漏斗内で合わせた:ピペリジン-4-カルボン酸エチル(CSA#1126-09-6,0.316L,1.992mol)およびDIEA(0.522L,2.988mol)。この添加漏斗の内容物をこのフラスコにゆっくりと添加した(発熱)。この添加漏斗をACNですすいだ。LC/MSを添加の完了の30分後に測定して、この反応が完了したことを決定した。その溶媒を減圧下で除去して、油状残渣を得た。この残渣をEtOAc(3.0L)に溶解させ、1MのHCl(2×2.0L)で洗浄し、飽和NaHCO
3(1×2.0L)で洗浄し、そして飽和NaCl(1L)で洗浄した。その有機層を乾燥させ(Na
2SO
4)、ガラス濾紙での減圧濾過により濾過し、そして溶媒を減圧下で除去して、1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル(586.2g,2.037mol,収率102%)を淡黄色油状物として得、これをさらに精製せずに使用した。表題化合物は、NMRによればいくらかのEtOAcを含有した。C
12H
15ClFN
3O
2についての正確な計算値 287.08, 実測値: LCMS m/z = 288.4/290.2 [M+H]
+);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.2 (t, J=7.1 Hz, 3H), 1.6 (q, J=13.6, 3.8 Hz, 2H), 1.9 (dd, J=13.5, 3.7 Hz, 2H), 2.7 - 2.8 (m, 1H), 3.2 - 3.3 (m, 2H), 4.1 (q, J=7.2 Hz, 2H), 4.3 (d, 2H), 8.2 (d, J=1.5 Hz, 1H)。
【0529】
(実施例1.10:1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチルの調製。)
オーバーヘッド撹拌機、窒素フロー、および還流冷却器を備え付けた5Lの三口丸底フラスコに、以下のものをN
2下でジオキサン(2L)で補助しながら添加した:1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル(362g,1.257mol)、4-アミノ-3-フルオロ-N,N-ジメチルベンズアミド(229g,1.257mol)、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン(59.6g,126mmol)、炭酸セシウム(491g,1.508mol)およびジアセトキシパラジウム(14.11g,62.8mmol)。この混合物を102℃で2時間加熱した。2時間後、この反応は、LC/MSによれば完了した。この反応混合物を室温まで冷却した。この混合物をEtOAc(2L)で希釈し、そして少量の活性炭で処理した。この粗製混合物をシリカゲルのパッド(6Lフィルタ漏斗中12cmの高さ)で濾過し、そしてさらなるEtOAc(6×2L)ですすいだ。その濾液を減圧下で濃縮乾固させ、そして高真空下で乾燥させて、1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル(520.02g,1.2mol,収率95%)を褐色固体として得た。C
21H
25F
2N
5O3についての正確な計算値 433.19, 実測値: LCMS m/z = 434.4 [M+H]
+).
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.2 (t, J=7.2 Hz, 3H), 1.5-1.7 (m, 2H), 1.9 (dd, J=13.3, 3.4 Hz, 2H), 2.61-2.71 (m, 1H), 3.0 (s, 6H), 3.1 (t, J=11.2 Hz, 2H), 4.08 (q, J=7.07 Hz, 2H), 4.2 (d, J=13.4 Hz, 2H), 7.2 (dd, J=8.1, 1.5 Hz, 1H), 7.30 (dd, J=11.1, 1.8 Hz, 1H), 7.6 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.9 (d, J=1.8 Hz, 1H), 8.8 (s, 1H)。
【0530】
(実施例1.11:1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸の調製。)
オーバーヘッド撹拌機および還流冷却器を備え付けた5Lの三口丸底フラスコに、以下のもの:1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸エチル(260g,0.6mol)およびトリエチルアミン(251mL,1.8mol)を、MeCN(2L)および水(40.8mL)で補助しながら入れた。これに、臭化リチウム(521g,5.998mol)を、内部温度を50℃未満に維持しながら少しずつ添加した(発熱)。この混合物を75℃で16時間加熱した。この混合物を濾過し、そしてその固体をMeCN(2×1L)で洗浄した。その固体を熱水(2L)に溶解させ、そしてその溶液を氷浴中で冷却した。この冷混合物に、10NのHCl(水性)を滴下漏斗を使用することによりゆっくりと添加して、pHを1にした。得られた沈殿物を減圧濾過により集め、1NのHCl(水性)(1L)で洗浄し、そしてオーブン中45℃で高真空下で乾燥させて、1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸(231g,0.570mol,収率95%)を淡褐色固体として得た。C
19H
21F
2N
5O
3についての正確な計算値 405.16, 実測値: LCMS m/z = 406.4 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.5-1.7 (m, 2H), 1.9 (dd, J=13.4, 3.0 Hz, 2H), 2.5-2.6 (m, J=10.8, 10.8, 4.0, 3.9 Hz, 1H), 3.0 (s, 6H), 3.1 (t, J=11.2 Hz, 2H), 4.2 (d, J=13.39 Hz, 2H), 7.2 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1H), 7.3 (dd, J=10.9, 1.8 Hz, 1H), 7.6 (t, J=8.1 Hz, 1H), 8.0 (d, J=1.3 Hz, 1H), 9.1 (brs, 1H), 11.3 (brs, 1H)。
【0531】
(実施例1.12:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)の調製。)
方法A
5-(1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール(1.0g,2.91mmol)および4-アミノ-3-フルオロ-N,N-ジメチルベンズアミド(0.530g,2.91mmol)のジオキサン(9mL)中の懸濁物に、酢酸パラジウム(II)(0.131g,0.582mmol)、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン(0.552g,1.164mmol)、および炭酸セシウム(3.32g,10.18mmol)を窒素下で添加した。この懸濁物を油浴中で次第に95℃まで加熱し、そしてこの温度で1時間撹拌した。この反応を水でクエンチし、そしてこの混合物を酢酸エチルで抽出した。その有機層を水(2×50mL)で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、減圧下で濃縮し、そしてBiotage
TMカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル勾配)により精製して、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(0.715g,1.461mmol,収率50.2%)を淡黄色固体として得た。C
23H
26F
3N
7O
2についての正確な計算値: 489.5, 実測値: LCMS m/z = 490.4 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.79 (d, J = 20 Hz, 6 H), 2.02 (dd, J = 13.83, 3.85 Hz, 2 H), 2.21 (dd, J = 13.52, 3.66 Hz, 2 H), 3.07 (brs, 6 H), 3.19 - 3.40 (m, 3 H), 4.36 - 4.56 (m, 2 H), 6.86 - 7.02 (m, 1 H), 7.18 - 7.32 (m, 2 H), 8.14 (d, J = 1.26 Hz, 1 H), 8.55 (t, J = 8.46 Hz, 1 H)。
【0532】
方法B
オーバーヘッド撹拌機および窒素フローを備え付けた5Lの三口丸底フラスコに、以下のもの:1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸(340g,0.839mol)およびジ(1H-イミダゾール-1-イル)メタノン(143g,0.881mol)をMeCN(2L)で補助しながら添加した。5分後、この反応混合物は均質になった。この反応を30分間続けた。t=30分でのLCMS(455.46[M+H]
+)は、この活性化した酸の反応が完了したことを示した。得られた混合物に(Z)-2-フルオロ-N'-ヒドロキシ-2-メチルプロパンイミドアミド(106g,0.881mol)を添加し、そしてこの反応混合物を16時間続けた。16時間後、得られた沈殿物を減圧濾過により集めた。この固体をMeCN(2L)で洗浄し、続いてMTBE(2L)およびヘキサン(2L)で洗浄し、そして高真空(真空オーブン)で加熱せずに乾燥させて、(E)-1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-N-(2-フルオロ-1-(ヒドロキシイミノ)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-カルボキサミド(330g,650mmol,収率78%)をオフホワイトの固体として得た。C
23H
28F
3N
7O
3についての正確な計算値 507.22, 実測値: LCMS m/z = 508.2 [M+H]
+);
1H NMR (400 MHz, DMSO-d
6) δ ppm 1.7 (s, 3H), 1.8 (s, 3H), 1.8 - 1.9 (m, 2H), 2.1 (dd, J=13.1, 2.8 Hz, 2H), 3.0 (s, 6H), 3.2-3.3 (m, 2H), 3.4-3.5 (m, J=11.0, 11.0, 4.0, 3.9 Hz, 1H), 4.3 (d, J=13.4 Hz, 2H), 7.2 (dd, J=8.2, 1.6 Hz, 1H), 7.3 (dd, J=11.0, 1.6 Hz, 1H), 7.6 (t, J=8.1 Hz, 1H), 7.9 (d, J=1.5 Hz, 1H), 8.8 (s, 1H)。
【0533】
その濾液は、LC/MSによれば、依然としていくらかの生成物を含んでいた。その溶媒を減圧下で除去して、黒色油状物(250g)を得た。この黒色油状物を固体と合わせず、その代わりに、自家減圧機を用いて90℃で16時間加熱した。16時間後、この反応が完了したので、その溶媒を減圧下で除去した。その残渣をEtOAcで希釈し、そして14cmの直径を有し7cmのシリカを満たした2Lの粗い漏斗を使用して、シリカプラグに通した。その生成物を2LのEtOAcで溶出して、36gの桃色がかった固体を得た。この固体をMTBEで粉砕して、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(19.2g,39.2mmol,収率4.68%)をオフホワイトの固体として得た(回収物2)。
【0534】
(E)-1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)-N-(2-フルオロ-1-(ヒドロキシイミノ)-2-メチルプロピル)ピペリジン-4-カルボキサミド(330g,650mmol)を2Lの丸底フラスコに移し、そしてDMA(500mL)を添加した。この反応物を110℃で4時間まで加熱した。この反応は、LC/MSによれば完了した。この反応物を室温まで冷却し、そしてMeCNで希釈した。得られた沈殿物を減圧濾過により集めて、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(250g,511mmol,収率60.9%)を白色固体として得た(回収物1)。その濾液は依然としていくらかの生成物を含んでいた。DMAおよびMeCNを減圧下で除去し、そして得られた沈殿物をMTBEで粉砕して、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(96g,196mmol,収率23.38%)を淡褐色固体として得た(回収物3)。3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミドの全ての回収物は、6%未満の出発物質1-(6-(4-(ジメチルカルバモイル)-2-フルオロフェニルアミノ)-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-カルボン酸を含んでいた。この出発物質を除去するために、各回収物を(回収物2および回収物3を合わせて)DMA(回収物1については500mL、および合わせた回収物2、3については230mL)に100℃で溶解させた。一旦、この固体が溶解したら、飽和水性NaHCO
3(回収物1については、500mLおよび合わせた回収物2、3については230mL)を穏やかに添加して、生成物を粉砕した。この混合物をDI水(回収物1については1.250L、および合わせたに回収物2、3ついては0.576L)で希釈した。この混合物を室温まで冷却し、そして得られた沈殿物を減圧濾過により集め、そして水で洗浄して、200gをオフホワイトの固体として(回収物1から)、および92.8gを淡褐色固体として(回収物2、3から)、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミドの合計として得た(292.8g,598mmol,収率71.3%)。
【0535】
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(281.8g,576mmol)を、機械撹拌機に取り付けた5Lの三口丸底フラスコ中でDMA(600mL)に溶解させ、そして100℃まで加熱した。全ての固体が溶液になった後に、DI水(600mL)を穏やかに添加した。次いで、この反応物をさらなるDI水(1800mL)で希釈して、総体積を重量で10倍にした。得られた沈殿物を減圧濾過により集め、そして水で洗浄した。そのケーキを濾過した漏斗上で自家減圧機で乾燥させた。このケーキがほとんど乾燥したら、これを高真空下45℃で一晩さらに(真空オーブン)乾燥させて、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(279.4g,571mmol,収率99%)を黄褐色固体として得た。
【0536】
(実施例1.13:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(化合物2)の調製。)
工程A:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸エチルの調製
5-(1-(6-クロロ-5-フルオロピリミジン-4-イル)ピペリジン-4-イル)-3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール(1.0g,2.91mmol)、4-アミノ-3-フルオロ安息香酸エチル(0.533g,2.91mmol)、ジアセトキシパラジウム(0.098g,0.436mmol)、1,1'-ビス(ジ-t-ブチルホスフィノ)フェロセン(0.414g,0.873mmol)、およびCs
2CO
3(2.464g,7.56mmol)のジオキサン(10mL)中の懸濁物を、従来通りに85℃で1時間加熱した。反応を水でクエンチし、そしてAcOEtで抽出した。その有機層を濃縮して残渣を得、そしてこの残渣を分取HPLCにより精製した。所望の生成物を含む画分を合わせ、飽和NaHCO
3(aq)で塩基性にし、減圧下で部分的に濃縮し、そしてAcOEtで抽出した。その有機層をブラインですすぎ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、表題化合物を得た(1.0g,2.039mmol,収率70%)。C
23H
25F
3N
6O
3についての正確な計算値: 490.2, 実測値: LCMS m/z = 491.3 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.39 (t, J = 7.07 Hz, 3H), 1.77 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.97-2.08 (m, 2H), 2.17-2.25 (m, 2H), 3.22-3.33 (m, 3H), 4.37 (q, J = 7.07 Hz, 2H), 4.42-4.50 (m, 2H), 7.04-7.10 (m, 1H), 7.78 (dd, J = 11.87, 1.89 Hz, 1H), 7.84-7.89 (m, 1H), 8.15-8.18 (m, 1H), 8.66 (t, J = 8.46 Hz, 1H)。
【0537】
工程B:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸の調製
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸エチル(440mg,0.897mmol)の、MeOH(15mL)とTHF(5.0mL)との混合溶媒中の溶液に、水酸化リチウム水和物(188mg,4.49mmol)および水(5.0mL)を添加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を1NのHCl(aq)でpH2〜3まで酸性にし、そして減圧中で濃縮して、有機溶媒を除去した。その固体を減圧濾過により集めて表題化合物を得た(394.3mg,0.853mmol,収率95%)。C
21H
21F
3N
6O
3についての正確な計算値: 462.2, 実測値: LCMS m/z = 463.4 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.77 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.98-2.07 (m, 2H), 2.19-2.23 (m, 2H), 3.23-3.34 (m, 3H), 4.43-4.51 (m, 2H), 7.16-7.20 (m, 1H), 7.83 (dd, J = 11.87, 1.89 Hz, 1H), 7.90-7.94 (m, 1H), 8.17-8.19 (m, 1H), 8.71 (t, J = 8.34 Hz, 1H), -OHは観察されなかった。
【0538】
工程C:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(化合物2)の調製
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸(73mg,0.158mmol)およびHATU(70mg,0.184mmol)のDMF(2mL)中の溶液に、メタンアミン(315μL,0.630mmol)を添加した。室温で1時間撹拌した後に、混合物をHPLC(5〜95%のCH
3CN)により精製した。所望の生成物を含む画分を部分的に濃縮し、そして残渣を1MのNaOHおよびCH
2Cl
2で抽出した。有機相をMgSO
4で乾燥させ、濾過し、そして濃縮して、表題化合物を得た(51.9mg,0.109mmol,収率69%)。C
22H
24F
3N
7O
2についての正確な計算値: 475.2, 実測値: LCMS m/z = 476.4 [M+H]
+;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3) δ ppm 1.77 (s, 3H), 1.82 (s, 3H), 1.98-2.07 (m, 2H), 2.19-2.23 (m, 2H), 3.02 (d, J=4.80 Hz, 3H), 3.23-3.31 (m, 3H), 4.43-4.48 (m, 2H), 6.04-6.05 (m, 1H), 7.00-7.02 (m, 1H), 7.47-7.50 (m, 1H), 7.62 (dd, J=11.87, 1.89 Hz, 1H), 8.15 (d, J=1.39 Hz, 1H), 8.61 (t, J=8.34 Hz, 1H)。
【0539】
(実施例1.14:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)ベンズアミド(化合物3)の調製。)
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸(実施例1.13の工程Bを参照のこと,50mg,0.108mmol)、塩化アンモニウム(17.35mg,0.324mmol)、およびHATU(61.7mg,0.162mmol)のDMF(2mL)中の懸濁物に、密封チューブ内で、N-エチル-N-イソプロピルプロパン-2-アミン(0.094mL,0.541mmol)を添加した。この混合物を室温で1時間撹拌した。この混合物を、分取HPLCにより直接精製した。純粋な画分を合わせ、飽和NaHCO
3(aq)で中和し、そしてMeCNをエバポレートして、固体を形成させた。この固体を減圧濾過により集めて、表題化合物(22.5mg,0.049mmol,収率45.1%)を白色固体として得た。C
21H
22F
3N
7O
2についての正確な計算値: 461.2, 実測値: LCMS m/z = 462.4 (M+H
+);
1H NMR (400 MHz, CDCl
3)δppm 1.80 (d, J=21.5 Hz, 6H), 2.00-2.07 (m, 2H), 2.19-2.23 (m, 2H), 3.23-3.32 (m, 3H), 4.44 - 4.49 (m, 2H), 5.74 (bs, 2H), 7.06 (t, J=3.7 Hz,1H), 7.55 (dd, J=8.6, 1.6 Hz, 1H), 7.66 (dd, J=11.9, 2.0 Hz, 1H), 8.16 (d, J=1.4 Hz, 1H), 8.66 (t, J=8.3 Hz, 1H)。
【0540】
(実施例2:雄性糖尿病ZDFラットにおけるホメオスタシスに対する3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)のインビボ効果(経口ブドウ糖負荷試験(oGTT))。)
雄性ZDFラットを、18時間絶食させ、無作為にグループ分けして(n=6)、0.3mg/kg、3mg/kg、10mg/kg、または30mg/kg(mg化合物/kg体重)のGPR119アゴニスト(化合物1)を与えた。化合物は、ブドウ糖のボーラス(3g/kg)の60分前に、強制給餌針を介して経口送達し(p.o.、容量4mL/kg)(
図1において時間=-60分)、別の群には、対照として、ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)を与えた。時間0分において、ブドウ糖のボーラスを投与した。-60分(化合物の投与前)、0分(ブドウ糖のボーラスを与えた時点)、およびブドウ糖のボーラス後、30分、60分、90分、および120分の時点で、グルコメーター(One-Touch Ultra
TM、LifeScan)を血糖値を用いて評価した。異なる時点における血漿ブドウ糖濃度(mg/dL)を
図1および表1に示す。ビヒクル対照と比較した、化合物で処置した動物におけるブドウ糖逸脱AUC(曲線下面積)の減少を、
図2および表2に示す。これらの結果は、GPR119アゴニストである3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)が、糖尿病ZDFラットにおけるブドウ糖チャレンジ後に血糖を低下させることを実証した。
【0541】
【表1】
【0542】
【表2】
【0543】
(実施例3:雄性糖尿病129SVEマウスにおけるブドウ糖ホメオスタシスに対する3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)のインビボ効果(経口ブドウ糖負荷試験(oGTT)))
雄性129SVEマウス(約8週齢)を、18時間絶食させ、無作為にグループ分けして(n=6)、0.3mg/kg、3mg/kg、または30mg/kg(mg/kg体重)のGPR119アゴニスト(化合物1)を与えた。化合物は、ブドウ糖のボーラス(3g/kg)の30分前に、強制給餌針を介して経口送達し(p.o.、容量4mL/kg)(
図3において時間=-30分)、別の群には、対照として、ビヒクル(20%ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリン)を与えた。時間0分において、ブドウ糖のボーラスを投与した。-30分(化合物の投与前)、0分(ブドウ糖のボーラスを与えた時点)、およびブドウ糖のボーラス後、20分、40分、60分、120分の時点で、グルコメーター(One-Touch Ultra
TM、LifeScan)を血糖値を用いて評価した。異なる時点における血漿ブドウ糖濃度(mg/dL)を
図3および表3に示す。ビヒクル対照と比較した、化合物で処置した動物におけるブドウ糖逸脱AUC(曲線下面積)の減少を、
図4および表4に示す。これらの結果は、GPR119アゴニストである3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)が、129SVEマウスにおけるブドウ糖チャレンジ後に血糖を低下させることを実証した。
【0544】
【表3】
【0545】
【表4】
【0546】
(実施例4:インクレチンホルモンGIP放出に対する3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)のインビボ効果)
雄性129SVEマウス(約8週齢)を、18時間絶食させ、無作為にグループ分けして(n=6)、0.1mpk、0.3mpk、1mpk、3mpk、10mpk、または30mpk用量(mg/kg体重)のGPR119アゴニスト(化合物1)を与えた。化合物は、強制給餌針を介して経口送達し(p.o.、容量4mL/kg)、45分後、血液サンプルを採取して、血漿総GIPレベルを決定した。別の群には、対照として、ビヒクル(PET:80%PEG400:10%エタノール:10%Tween80)を与えた。ブドウ糖の血漿GIPレベルは、Millipore製のTotal GIP ELISAキットを用いて決定した。結果を
図5および表5に示す。
【0547】
【表5】
【0548】
(実施例5:直接cAMP測定のためのホモジニアス時間分解蛍光法(HTRF(登録商標)アッセイ))
GPR119アゴニストである化合物1を、GPR119受容体を安定に発現するCHO-K1細胞を用い、製造業者の説明書(Cisbio,cAMP Dynamic 2 Assay Kit;#62AM4PEJ)に従うHTRF(登録商標)cAMP検出アッセイにおいて評価した。簡単に述べると、CHO-K1細胞に、GPR119のヌクレオチド配列(NCBIのmRNAおよびタンパク質の参照配列:NM_178471.2 & NP_848566、(GPR119はまた、グルコース依存性インスリン分泌性受容体(GDIR)とも呼ばれている)をコードするレンチウイルスベクターを形質導入した。最初のメチオニンをコードするコドンを、標準的な9アミノ酸のヘマグルチニンタグをコードするヌクレオチド配列で置き換えるようにGPR119ヌクレオチド配列のN末端を改変した。形質導入の後、GPR119受容体を発現する細胞を単離し、そして、単一クローンを、標準的な希釈−クローニング手順にしたがって単離した。アッセイの当日、培養CHO-GPR119細胞を回収し、アッセイバッファー中に懸濁し、そして、384ウェルのアッセイプレート(PerkinElmer Proxiplate #6008280)内に、1ウェルあたり2,000細胞の密度でプレーティングした。1つのcAMP標準曲線を各プレートに含めた。試験化合物をDMSO中に可溶化し、DMSO中で段階希釈し、次いで、細胞に加える前にアッセイバッファー中に希釈した。試験化合物を、10μMから出発する5倍の段階希釈における、10の点を用いて、三連で評価した。アッセイにおける最終DMSO濃度は0.5%であった。化合物および細胞を室温で1時間インキュベートし、次いで、検出試薬を各ウェルに加えた(細胞溶解バッファー内のcAMP-D2;その後、ユウロピウムクリプテート標識した抗cAMP抗体)。次いで、読み取りの前に、プレートを室温で1時間インキュベートした。時間分解した蛍光測定値を、PerkinElmer Envision
TMマイクロプレートリーダーまたはBMG Pherastar
TMマイクロプレートリーダー上で集めた。化合物N-(2-フルオロ-4-(メチルスルホニル)フェニル)-6-(4-(3-イソプロピル-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)-5-ニトロピリミジン-4-アミンを、各運転セットにおいてポジティブコントロールとして使用し、一方で、0.5% DMSOを含有するアッセイバッファーをネガティブコントロールとして使用した。HTRF(登録商標)アッセイを用いて、以下のGPR119アゴニストについてのEC
50値を観察した:
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1),23.4nM(n=32);
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N-メチルベンズアミド(化合物2),27.0nM(n=9);および
3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)ベンズアミド(化合物3),28.2nM(n=3)。
【0549】
(実施例6:3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)-N,N-ジメチルベンズアミド(化合物1)のインビボ代謝およびインビトロ代謝。)
実施例6.1:化合物1のインビボ代謝:
化合物1の代謝産物を、種々の種における様々な薬物動態学的研究から収集した血漿サンプルにおいて同定した。
【0550】
4つの種(マウス、ラット、イヌおよびサル)に、化合物1を投与し、そして血漿サンプルを、特定の研究プロトコルに従って、各種から所定の時点で収集した。次いで、これらのサンプルを処理し、そして代謝産物の同定および定量のために、LC/MS/MS分析に供した。3つの代謝産物(M1(化合物2)、M2(化合物3)、およびM3と指定した)が、種々の種からの血漿サンプルにおいて同定された。M1代謝産物は、化合物1のモノ-N-ジメチル化と同定され、そしてM2代謝産物は、化合物1のジ-N-ジメチル化産物であった。第三の代謝産物M3(すなわち、3-フルオロ-4-(5-フルオロ-6-(4-(3-(2-フルオロプロパン-2-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)ピペリジン-1-イル)ピリミジン-4-イルアミノ)安息香酸、下記を参照のこと)は、化合物1のカルボン酸であると決定された。
【0551】
【化65】
【0552】
代謝産物M1およびM2は、薬理学的に活性であることが見出され(実施例5を参照のこと)、一方でM3代謝産物は、実質的にほとんど活性を有さないことが示された(EC
50=100μM,HTRF(登録商標)アッセイ)。これらの3つの代謝産物の定量は、血漿サンプル中で、その形成の順序がM3>M1>M2であることを示した。M3は、全ての種において、主要な循環代謝産物であることが見出された。M2は、使用した分析条件下で、イヌ血漿サンプルにおいて観察されなかった。
【0553】
実施例6.2:種々の種からの肝ミクロソームにおける化合物1のインビトロ代謝
化合物1を、マウス、ラット、イヌ、サルおよびヒトの、肝ミクロソームタンパク質(最終濃度0.25mg/mL)と一緒に、3mMのMgCl
2および1mMのEDTAを含有する100mMのリン酸カルシウム緩衝液(pH7.4)中で、ある時間にわたって、β-NADPHの存在下または非存在下でインキュベートした。次いで、これらのサンプルを処理し、そしてその上清を、代謝産物の同定および定量のために、LC-MS/MSによって分析した。
【0554】
3つの代謝産物M1(モノ-N-ジメチル化)、M2(ジ-N-ジメチル化)およびM3(カルボン酸)が、ヒトを含めた全ての種のミクロロームインキュベーションにおいて同定された。代謝産物M1、M2、およびM3をまた、全ての種からの肝ミクロソームインキュベーションにおいて定量した。これらの代謝産物の形成の割合は、種によって異なったが、臨床前の種の肝ミクロソームにおいて観察された3つの代謝産物は全て、ヒト肝ミクロソームにおいて見出された(
図9、10、および11)。使用したインビトロ実験条件下では、M1の形成の割合が最も高く、これにM2およびM3が続いた。M2は、M1の二次性代謝産物であるようであった。イヌ肝ミクロソームにおけるM2の形成は、無視できるものであった。
【0555】
(実施例7:粉末X線回折)
粉末X線回折(PXRD)データを、X'Pert PRO MPD粉末回折計(PANalytical,Inc.)で、45kVおよび40mAに設定したCu源、Cu(Kα)放射線ならびにX'Celerator検出器を用いて収集した。サンプルをサンプルホルダに加え、そしてスパチュラおよび秤量紙(weigh paper)で滑らかに平坦にした。サンプルを回転させながら、X線回折図を、5〜40°2θの2θ範囲にわたる12分間の操作により得た。回折データをX'Pert Data Viewer Softwareバージョン1.0aおよびX’Pert HighScore Softwareバージョン1.0bで観察および解析した。化合物1の無水結晶形態についての粉末X線回折図を
図6に示す。
【0556】
(実施例8:示差走査熱量測定)
示差走査熱量測定(DSC)研究を、TA Instruments,Q2000を使用して、加熱速度10℃/分で実施した。この器具を、インジウム標準物質の融点および融解エンタルピーを使用して、温度およびエネルギーについて較正した。熱事象(脱溶媒和、融解など)を、Universal Analysis 2000ソフトウェア,バージョン4.1D,Build 4.1.0.16を使用して評価した。化合物1の無水結晶形態についてのDSCサーモグラムを
図7に示す。
【0557】
(実施例9:熱重量分析)
熱重量分析(TGA)を、TA Instruments TGA Q500またはQ5000を使用して、加熱速度10℃/分で実施した。この器具を、天秤の標準分銅、ならびに炉(キュリー点測定)のためのアルメル標準物質およびニッケル標準物質を使用して、較正した。減量などの熱事象を、Universal Analysis 2000ソフトウェア,バージョン4.1D,Build 4.1.0.16を使用して計算する。化合物1の無水結晶形態についてのTGAサーモグラムを
図7に示す。
【0558】
(実施例10:動的水分吸着分析。)
動的水分吸着(DMS)研究を、動的水分吸着分析器(VTI Corporation,SGA-100)を使用して実施した。5mg〜20mgのサンプルを風袋を差し引いたサンプルホルダに入れることによって、サンプルをDMS分析のために調製した。このサンプルを、VTI天秤の吊り下げワイヤに載せた。乾燥工程を、代表的に40℃0.5〜1%RHで1時間実行した。等温温度は25℃である。規定された% RH保持は代表的に、10%RHから90%RHの範囲であり、間隔は10%RH〜20%RHであった。10分間にわたる0.010%より小さい%重量変化または2時間までのうちの、先に起こる方を、次の%RH保持に続ける前に必要とした。上記のように平衡状態にしたサンプルの含水量を、各%RH保持において決定した。化合物1の無水結晶形態についての動的水分吸着プロフィールを
図8に示す。
【0559】
当業者は、本明細書中に記載された例示的実施例に対する種々の改変、付加、および交換が、本発明の趣旨から逸脱することなくなされ得ること、ならびに従って、本発明の範囲内であるとみなされることを、認識する。
【0560】
本願全体にわたる任意の参考文献の引用は、このような参考文献が本願に対する先行技術であることの認容であると解釈されるべきではない。