【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、定置構造物の少なくとも一部の完全性を監視するための完全性監視システムを提供することである。完全性監視システムは、定置構造物に対して高い安全性を提供する。完全性監視システムは、同時に、高有益な効果と比較して相対的に低コストで提供することができる。
【0009】
本発明の完全性監視システムは、特許請求の範囲に規定され、以下の説明、例および図に規定される。
本発明の別の利点および本発明の実施形態の別の利点は、従属請求項ならびに以下の説明、例および図から明らかになるであろう。
【0010】
本明細書で用いる「備える」という用語は開放型用語と解釈されるべきであることを強調したい。つまり、「備える」という用語は、特別に規定した1または複数の特徴、たとえば1または複数の要素、1または複数のユニット、1または複数の整数、1または複数の段階、1または複数の部品および1または複数の以上の組み合わせの存在を特定するものと解釈されるべきであり、1または複数の他に述べる特徴の存在または追加を除外するものではない。
【0011】
特定の範囲及び好ましい範囲を含む本発明の全特徴は、組み合わせなられない特定の理由がない限り、本発明の範囲内において様々な方法で組み合わせることができる。
本発明の完全性監視システムの重要な特徴は、完全性監視システムが、少なくとも2つの異なる情報源からデータを取得し、取得したデータを組み合わせ、および/または比較するように構成され、またはこれらを行うことが可能であることである。それによって、完全性監視は非常に単純な様式で非常に信頼性が高いものとなり、さらに、完全性監視システムは、定置構造物の少なくとも一部を監視するための経済的かつ魅力な方法で提供され動作するものとなることができる。
【0012】
本明細書で用いる「定置構造物」という用語は、損傷を受けていない状況において、一般的に固定位置に保持され、任意には自然環境の影響のために、たとえば、風および/または水による限定された動作を受ける任意の固体(solid)構造物を意味する。たとえば定置構造物は、海底構造物であり、例えば海水流によって振動が生じる等したときに砂丘等の堆積物の移動によって海底の定置構造物の越流が生じることもある。他の定置構造物の例は後述する。
【0013】
以後では「定置構造物」という用語は、別に規定しない限り、定置構造物全体またはその一部を含む。
定置構造物の少なくとも一部の完全性を監視するための本発明の完全性監視システムは、少なくとも、
−振動センサと、
−コンピュータと、
−振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段と、
−時間データに応じた位置を取得して送信するための手段を備える。
【0014】
なお、完全性監視システムは、後述するように追加要素および/または追加機能を備えてもよい。
さらに、コンピュータは完全性監視システムの任意の他の要素と一体化されてもよい。たとえば、コンピュータまたはコンピュータの一部は振動センサと一体化されてもよい。コンピュータは、任意の種類のコンピューティング装置またはコンピューティング装置の部分であってもよい。本明細書のコンピュータは、データを計算可能な装置として規定される。言い換えれば、コンピュータはデータを受信することができ、受信したデータを用いて計算を実行することができる。コンピュータは、入力データを受信し、データを操作し、有用な形式で出力を提供することができるプログラム可能マシンであってもよい。メモリは、一般的にコンピュータの一体化された部分であり、またはコンピュータとデータ通信をする状態にある。コンピュータは、好ましくは1または複数のデジタルオペレーションシステムを用いて動作し、好ましくは、集積回路技術を用い、およびマイクロプロセッサを備える。多くの場合、コンピュータはPCまたはその一部であるか、またはPCまたはその一部を備えることが好ましく、1または複数の計算素子は、たとえば、1または複数の他の素子に埋め込まれることによって、システムの1または複数の別の素子に組み込まれてもよい。
【0015】
「データ」は任意の種類のデータを意味するが、多くの場合、デジタルデータ信号またはアナログデータ信号またはグラフィックカードまたは他のデータ変換要素を用いて変換された組み合わせの形となる。
【0016】
「時間データに応じた位置」は「位置(h)」と称することもあり、所与の時間における物理的な位置を意味する。この位置は海中構造物と関連するものでもよく、または地理的座標と関連するものでもよい。時間は、既知の(たとえば、選択した)開始時点から経過時間の形であってもよく、または航海標準時またはUTC(協定世界時)または他の標準時間帯などの標準時間であってもよい。
【0017】
「完全性監視」は、監視によって、監視対象の海中構造物の一部が激しく損傷し、通常の可動の障害となるかを、少なくとも検知可能であることを意味する。好ましくは、完全性監視は海中構造物の小さい損傷でも監視し、または海中構造物の損傷の危険性が高まったことを示すパラメータを監視することによって、損傷を回避することさえできるように、十分に感度が良い。
【0018】
本明細書の「振動」は、任意の波長の振動を意味するものと解釈されるべきであるが、一具体例では音響振動を意味する。本明細書の音響振動は、液体、および任意には固体における機械波を意味するものと解釈されるべきである。
【0019】
完全性監視システムは、時間に応じた振動を感知するための少なくとも1つの振動センサと、コンピュータと、振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段と、送信器を備える可動物体が監視サイトに対して選択した距離内にあるとき、当該可動物体の時間データに応じた位置を取得してコンピュータに送信するための手段とを備える。監視サイトには定置構造物の一部が含まれており、振動センサは監視サイト内での振動を感知するように構成され、コンピュータは、振動データを時間データに応じた位置と比較するためのハードウェアおよびソフトウェアを備える。
【0020】
可動物体は、原則的に任意の種類の可動物体であってよく、送信器を備えることによって、その時間データに応じた位置をコンピュータに送信することができる。この送信は、直接的に行われ、または、たとえば、衛星、インターネット、1または複数の無線、全地球測位要素または他の送信要素を備える1または複数の他の要素を介して、行われる。可動物体は、たとえば車両、航空機、電動工具または船舶であってもよい。別の例は後述する。
【0021】
一実施形態において、定置構造物は、固定した様式で設置された構造物であるか、地表または海底に敷設されるか埋設された構造物であるか、溝内埋設定置構造物といった、略固定された構造物である。
【0022】
「略固定された」とは、定置構造物が運動には影響を受けないこと、つまり、定置構造物は電動ユニットには接続せず、電動ユニットを備えないことを意味する。好ましくは、略固定された海中構造物は、±約20mを超える距離を移動せず、より好ましくは、略固定された海中構造物は±約10mを超える距離を移動せず、さらにより好ましくは、略固定された海中構造物は、最大で±約5mの距離を移動する。たとえば、錨または錨構造物、1または複数のボルト/ナットシステム、または定置構造物の移動を制限または防止する他の固定要素によって固定され得る。
【0023】
一実施形態において、略固定された構造物は、環境からの非構造化影響による受動運動を受け、たとえば、風または水から直接的または間接的に影響される受動運動を受ける。
一実施形態において、定置構造物は略固定された構造物であり、その構造物は固定した様式で、海底に敷設された海中構造物、または埋設および/または溝を掘って埋められた海中構造物であり、または埋設された非海中構造物である。
【0024】
本明細書の「海中構造物」とは、完全性の監視対象となる海中構造物の少なくとも一部が海面下にあるような、海面下に配置された構造物または構造物の一部を意味する。
本明細書の「非海中構造物」とは、完全性の監視対象となる海中構造物の少なくとも一部が海面上にあるような、上記で規定した海中構造物ではない構造物または構造物の一部を意味する。
【0025】
したがって、完全性の監視対象となる定置構造物の一部が海面上であり、完全性の監視対象となる定置構造物の別の部分が海面下である場合に、定置構造物は海中構造物および非海中構造物の両方を備えていてもよい。
【0026】
「溝を掘って埋められる」という用語は、海中構造物は溝に設置されるが、完全には堆積物によって覆われないことを特定するために用いられる。「埋設した」という用語は、定置構造物、たとえば海中構造物が完全に堆積物および、石、コンクリートおよび/またはアスファルトで覆われることを特定するために用いられる。
【0027】
「堆積物」という用語は、浸食された、または浸食されつつある任意の固形素材であって、運搬されて堆積した任意の固形素材を意味する。「被覆素材」という用語は、定置構造物を被覆する、または被覆し得る素材の総称であり、堆積物および石、コンクリートおよび/またはアスファルトを含む。
【0028】
本発明の完全性監視システムを適用して実質的な利点を得るために、定置構造物は、好ましくは、可動物体またはその一部によって、または可動物体に接続される部分または可動物体とともに可動する部分によって、少なくとも部分的に損傷を受ける危険性がある構造物であってもよい。
【0029】
さらに、定置構造物は、部分的にまたは全体的に視覚的監視ができなくてもよく、視覚的に監視することが困難であるかまたは費用がかかるような少なくとも1つの大きな寸法を有していてもよい。
【0030】
一実施形態において、定置構造物は、長さ寸法が当該長さ寸法と直角に測定される最大寸法の少なくとも100倍である細長い構造物である。定置構造物は、好ましくは、少なくとも約10m、たとえば少なくとも約100mの長さを有する。
【0031】
完全性監視システムは、定置構造物がケーブル、パイプおよび/または光ファイバであるか、または定置構造物がケーブル、パイプおよび/または光ファイバを備える状況では特に有利である。ケーブル、パイプ、光ファイバおよびこれらの組み合わせは非常に長くなることが多く、視覚的に監視することが困難であり、または費用がかかる。多くの状況では、ケーブル、パイプ、光ファイバおよびこれらの組み合わせは、移動する部品、たとえば移動する物体またはその一部、または可動物体に接続される部分または可動物体とともに可動する部分によって、損傷を受けることもある。本発明の完全性監視システムは、具体的には、ケーブル、パイプ、光ファイバおよび/またはこれらの組み合わせまたは一部を監視するための有利な解決方法を提供する。
【0032】
一実施形態において、定置構造物は、任意にはケーブルの束であるか、またはケーブルの束を備える。
ケーブルの束は、2つ以上の異なる種類のケーブル、パイプおよび/またはファイバからなる。ケーブル、パイプおよび/またはファイバは、程度の差はあるが、お互いに対して一体化され、たとえば、少なくとも2ヶ所以上の位置において長さに沿ってお互いに対して結束されてもよく、または、たとえば、導管、索または同様の外部被覆層において完全に一体化されてもよい。
【0033】
一実施形態において、定置構造物は海中構造物であり、海中構造物は略水平方向に設置される流れ線である。
一実施形態において、定置構造物は海中構造物であり、海中構造物は略垂直方向に設置されるライザである。
【0034】
このような海中構造物は従来技術において周知であり、本明細書においてはさらに詳細には記載しない。
一実施形態において、定置構造物は転送を行う定置構造物であり、たとえば、電力および/または電磁波を転送可能な定置構造物であり、および/または流動可能媒体、たとえば、炭化水素液および/または水などの液体を輸送可能な定置構造物である。
【0035】
電磁波とは、1または複数の任意の波の周波数を備える電磁放射を意味する。電磁波は、たとえば、電波、マイクロ波、赤外線、可視光、紫外線、X線およびガンマ線であり得る。電磁波は、好ましくは、約10nm以上の波長を有する。光ファイバでは、波長は、通常は、約10nmから約2000nmまで、好ましくは400nmから1600nmまでの範囲内である。一実施形態において、波長は、好ましくは電波(約lm以上)またはマイクロ波(約1mから約1mmまで)である。
【0036】
転送を行う定置構造物の完全性監視によって重要な安全性が提供され、結果として、炭化水素の漏れおよび流出による損傷、および/または供給する気体、水または電力の損失を防ぐことさえ可能となる。このような状況は、たとえば、工場、病院その他に対して犠牲が大きいこともあり、および/または一般家庭に対しては迷惑となることもある。本発明の完全性監視システムによって、損傷を予測することができ、転送を行う定置構造物を停止することもでき、および/または転送を行う定置構造物が完全に破裂する前に置換することもできる。
【0037】
完全性監視システムは、一実施形態では、転送を行う定置構造物の破裂を防ぐために、わずかに損傷した転送を行う定置構造物を修理する選択肢を提供してもよく、それによって転送を行う定置構造物の寿命を延長する。
【0038】
一実施形態において、定置構造物は、高圧電力ケーブル(約72kVから、たとえば、約550kVまで、またはそれ以上)、中圧電力ケーブル(約10−72kKV)、超電導ケーブル、光ファイバケーブルおよび/または通信ケーブルから好ましくは選択されるケーブルを備える。
【0039】
一実施形態において、定置構造物は、水などの液体、気体および/または原油などの炭化水素を運搬するためのパイプなどのパイプを備える。したがって、液体の流出の防止は、本発明の完全性監視システムの結果として実現されてもよい。
【0040】
振動センサは、原則的に、監視対象の定置構造物またはその部分の安全性監視を提供するための振動を感知するために、十分な感度を有する任意の種類のセンサであってもよい。振動センサは、一般的に、当業者には既知である。当業者は、たとえば、振動センサの製造者に連絡することによって、任意の完全性監視システムのために適切な振動センサまたはセンサを見つけることができるであろう。1または複数の振動センサを選択する際には、当業者は、たとえば、異なる種類の振動/騒音に対する振動センサの感度、振動センサの費用、振動センサの予測寿命、振動センサの正確さとともに、振動センサの大きさ、および振動センサから出力を得る可能な方法を考慮してもよい。好ましいセンサの例、たとえば、完全性監視システムの任意の適用を以下に記載する。
【0041】
一実施形態において、振動センサは音響センサである。音響センサは、一般的に従来技術において既知であり、多くの異なる適用において用いられている。振動センサは、好ましくは、マイクロホン、水中聴音器、地震計および/または光ファイバ音響センサを備えていてもよい。
【0042】
一実施形態において、振動センサは継続的に動作し、出力信号を時間とともに継続的に得ることができる。多くの種類の振動センサがこのような継続的動作に適切であるが、衝撃を受けて、および/または一定の選択したdbレベルを超える振動を受けて、所定の間隔をおいた動作にも適用されてもよい。
【0043】
一実施形態において、振動センサは所定の間隔をあけて動作する。
一実施形態において、完全性監視システムは、振動センサの動作を調整するための調整機能を備える。
【0044】
調整機能は、たとえば、振動センサの活動および/または感度を調整するために適用される、自動的、半自動的または設定可能な調整機構であってもよい。
(たとえば、電池残量を)節電するために、調整機能は、一実施形態において、活動に関連して自動的に調整されてもよい。ただし、多くの場合には、すべての動作中の部品が陸上にあり、または電池を使用するシステムが関与しない場合には、節電モードはあまり意味がない。一般的に、必要な電力量は節電モードがない場合であっても、相対的に低い。
【0045】
一実施形態において、調整機能は自動的または半自動的な調整機構であり、振動センサの感度を調整する。一般的に、定置構造物周囲の環境および監視サイト内の環境における騒音は時間とともに一定ではなく、定置構造物全体にわたって同一でもない。したがって、適切な感度を有するために、振動センサが騒音をフィルタで除去するためのこのような自動的または半自動的な調整機構を備えていると有利である。自動的または半自動的な調整機構は、たとえば、定置構造物に沿った騒音レベルの変化および/または経時的な音響レベルの変化を考慮するための範囲および時間依存型利得制御を備えていてもよい。
【0046】
安全性を高めるために、完全性監視システムは、一実施形態において、1または複数の冗長振動センサを備えていてもよい。この1または複数の冗長振動センサは、故障した振動センサを置換するため、および/または動作中の振動センサを試験するため、たとえば、動作中の振動センサを構成するために適用されてもよい。冗長センサまたはセンサは、置換および/または試験予定の1または複数の振動センサと同じであっても、異なっていてもよい。一般的に、冗長センサまたはセンサを、冗長センサまたはセンサが置換および/または試験予定の1または複数の振動センサと略等しいか、または少なくとも類似の種類であるように選択すると、簡潔になる。一実施形態において、冗長センサまたはセンサは、冗長センサまたはセンサが置換予定の1または複数の振動センサよりも低品質になるように選択され、当初の1または複数の振動センサが置換されている間にのみ使用するように構成される。
【0047】
冗長センサまたはセンサは、好ましくは、置換および/または試験するように構成される1または複数の振動センサに直接隣接して配置されてもよい。
一実施形態において、冗長センサまたはセンサは、置換および/または試験するように構成される1または複数の振動センサから距離を置いて配置される。たとえば、振動センサは一体型振動センサである場合は、冗長振動センサは非一体型振動センサであってもよい。
【0048】
振動センサは、監視対象の定置構造物少なくとも一部を備える監視サイト内の振動を感知可能であれば、原則的に、定置構造物に対して任意の位置に配置されてもよい。1または複数の振動センサに対する最適な位置は、監視対象の定置構造物の種類および監視を実行すべき場所に大きく左右される。さらに、1または複数の振動センサの構成の一部は、後述する追加の利点を提供することがわかっている。
【0049】
一実施形態において、システムは振動センサを備え、振動センサは定置構造物自体の振動を監視するために、定置構造物に直接接触するように配置される。相対的に騒音の大きい環境において、定置構造物自体の振動を監視するために、振動センサを定置構造物に直接接触するように配置することが非常に有利なこともある。それにより、騒音をフィルタして除去することが容易になり、定置構造物のより正確な完全性監視を得ることができる。さらに、振動センサ自体が非常に損傷を受けやすくなる状況では、定置構造物と直接接触することによって、たとえば、定置構造物と一体化することによって、振動センサを保護してもよい。
【0050】
一実施形態において、システムは、定置構造物に直接接触しないように構成される振動センサを備える。この実施形態は、定置構造物と可動物体との間の非常に正確な測定を得ることができるという追加の利点を得てもよい。たとえば、可動物体が振動センサを通過する場合に警告を開始するように完全性監視システムを構成してもよい。たとえば、定置構造物が埋設送水管であり、センサが送水管のたとえば10cm上に埋設されており、移動する物体が掘削工具である場合には、掘削工具が送水管に近づくことだけで誤認警告が発生されないようにしながら、動作中のドリルが送水管に近づきすぎると、警告が発生されてもよい。
【0051】
一実施形態において、振動センサは、少なくとも1つの水中聴音器を備え、たとえば従来の電気水中聴音器またはファイバレーザ水中聴音器を備える。これは、振動センサが濡れた環境または湿った環境で動作する状況において、たとえば海洋環境において特に有利である。
【0052】
水中聴音器は、具体的には、定置構造物が海中構造物である海洋システムにおいて適用される。水中聴音器はポイントセンサである。このようなセンサは従来技術において周知であり、本明細書ではさらに詳細には記載しない。一実施形態において、水中聴音器はファイバレーザ水中聴音器である。このようなファイバレーザ水中聴音器によって、非常に長い光学信号(接続)ケーブルが可能となるが、それでもポイントセンサのままである。水中聴音器の有益な例は、たとえば、米国特許第5,227,624号、米国特許第4,536,861号、米国特許第4,841,192号、米国特許第4,958,329号および米国特許第5,136,549号に記載されている。
【0053】
一実施形態において、振動センサは分散型振動センサである。
ファイバセンサなどの分散型センサは、たとえば1km以上、たとえば5−100kmまたは10−50kmなどの数百キロメートルまでにさえなる長い範囲も1つのセンサで監視することができるという有利点を提供する。したがって、監視対象の定置構造物が相対的に長い状況において、分散型振動センサを完全性監視システムで用いることは非常に有利である。ただし、分散型振動センサによって取得したデータの処理には、コンピュータの複雑なプログラミングが必要となることもある。しかし、このようなデータ処理用ソフトウェアは入手可能であり、不当な負担なしに当業者が選択することができる。任意の分散型振動センサに対して必要なソフトウェアは、分散型振動センサと一緒に販売されることが多い。
【0054】
一実施形態において、振動センサは光ファイバセンサを備える。光ファイバセンサは、好ましくは、ブリルアン後方散乱、ラーメン後方散乱またはレイリー後方散乱などの後方散乱効果によって動作されるように構成される。
【0055】
一実施形態において、光ファイバセンサは光ファイバの偏向特性を用いて動作し、好ましくは、後方散乱された信号の偏向特性を用いて、(たとえば、音波によって)ファイバの変形がある場合には、任意にその変形を検知する。
【0056】
一実施形態において、振動センサは、ファイバブラッググレーテイング(FBG)センサを備える。
前述したすべての種類の振動センサは本技術分野において周知である。
【0057】
振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段は、任意の種類の手段であってよく、完全性監視システムの任意の要素/物体と一体であっても、なくてもよく、またはインターネットなどの外部要素として完全にまたは部分的に提供されてもよい。今日では、データがデジタル送信方法を含む複数の異なる方法によって送信可能なことは周知である。
【0058】
一実施形態において、振動センサは、送信手段に一体化され、または直接接続する。振動センサは、たとえばコンピュータに直接接続し、伝達手段は直接接続によって提供され、および/または振動センサは、たとえば、ブルートゥース送信器または長距離送信器などの送信器を備える。本実施形態の振動センサは、好ましくは光ファイバセンサである。
【0059】
一実施形態では、コンピュータは振動センサに直接接続されない。この実施形態では、コンピュータは、任意には、振動センサから距離を置いて構成されるリモートコンピュータであり、距離は原則的には任意の距離であってもよい。一実施形態において、コンピュータは、振動センサから距離を置いて構成されるリモートコンピュータであり、距離は少なくとも1m、たとえば少なくとも約5m、たとえば少なくとも約100m、約100kmまたはそれ以上である。
【0060】
コンピュータは、たとえば、複数の完全性監視システムを接続する中央完全性監視コンピュータであってもよい。複数の完全性監視システムにおいては、少なくとも1つの完全性監視システムは本発明によるものである。それにより、世界中の任意の場所に配置される多くの定置構造物に対して中央完全性監視を提供することが可能となる。本実施形態において、振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段は、好ましくはインターネットを介した送信データを備えることが好ましい。
【0061】
一実施形態において、コンピュータは振動センサに直接接続され、振動センサはファイバ振動センサであり、直接接続によって、送信手段の少なくとも一部を提供する。
一実施形態において、振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段は、無線送信および/または光ファイバによる送信および/または電力線通信(PLC)を備え、無線送信は、たとえば、長距離送信および短距離送信(ブルートゥース)の両方を備える無線またはマイクロ波周波数送信を備える。
【0062】
一実施形態において、振動データを振動センサからコンピュータに送信するための手段は記録媒体を備える。本実施形態において、送信される振動データは時間に応じた振動を備え、時間データに応じた振動は遅延され、たとえば約10分から約30日まで、たとえば約1時間から約24時間までの遅延時間を備える。
【0063】
上記実施形態において、振動データを振動センサからコンピュータに送信するための手段は記録媒体を備える。完全性監視システムは、時間に応じた振動を記録することによって、および記録したデータを、たとえば時間遅延して無線でコンピュータに送信することによって動作してもよい。一実施形態において、完全性監視システムは、時間に応じた振動を第1の記録媒体に一定の長さの期間にわたって記録することによって、第1の記録媒体に記録することを終了することによって、および記録したデータをコンピュータに、たとえば、無線で、または物理的に第1の記録媒体(可動記録媒体であってもよい)をコンピュータに接続して送信することによって、動作してもよい。第1の記録媒体に記録したデータをコンピュータに送信することが、コンピュータに送信される可動物体の時間データに応じた位置、および/または、定置構造物に観測される起こりえる故障/損傷に条件付けられるように、システムを動作してもよい。第1の記録媒体への記録の終了時に、または終了時と重複するときに、たとえば、完全な記録を取得するために別の記録媒体への記録を開始してもよい。
【0064】
このようにすると、すべての振動データをコンピュータに送信する必要はなく、たとえば、早期の事故、たとえば、定置構造物に対する損傷が生じた場合には、振動データを後ほど調べることができ、または振動データを後ほど他の理由で検査することができる。
【0065】
振動データを振動センサからコンピュータに送信するための送信手段は、特に振動データが遅延して送信される場合には、時間データに応じた振動を送信するように構成されてもよい。ただし、振動データは、一実施形態では、時間データを備えずに送信される。この状況では、それぞれの振動データに関連する時間は、システムによって、好ましくはコンピュータによって生成される。これは、振動データが遅延せずに送信される場合、または遅延の長さが既知である場合、たとえば、一定の時間遅延である場合には、特に有利である。
【0066】
一実施形態において、完全性監視システムは、送信される時間に応じた振動データを記録するための記録媒体を備える。この記録を校正用の統計および/または後で事故を検査するために用いてもよい。
【0067】
可動物体の時間データに応じた位置を取得して送信するための手段は、任意の手段およびその組み合わせを備えていてもよい。前述したように、特にデジタルまたはアナログ形式でのデータの送信は周知であり、当業者は不当な負担なしに、単に通常の技能を用いて、多数のシステム/方法を適用することができる。
【0068】
一般的に、送信器を備える可動物体の時間データに応じた位置を取得して送信するための手段は、無線送信手段を備えることが望ましい。
一実施形態において、送信器を備える可動物体の時間データに応じた位置を取得して送信するための手段は、時間データに応じた位置を可動物体の送信器から(たとえばVHF送信器を用いて)直接受信可能であり、インターネット送信を介して、衛星を介して、および/またはおよび/または外部アンテナを介して受信可能である。受信器は、任意にはコンピュータと一体化された部分であり、またはコンピュータと無線通信、または光ファイバ通信をする。
【0069】
一実施形態において、可動物体の時間データに応じた位置を取得して送信するための手段は記録媒体を備える。本実施形態では、送信される時間データに応じた位置は、たとえば約10分から約30日まで、たとえば約1時間から約24時間まで遅延される。
【0070】
上記実施形態において、可動物体の時間データに応じた位置を取得してコンピュータに送信するための手段は、記録媒体を備える。完全性監視システムは記録する可動物体の時間に応じた位置を記録することによって、および記録したデータをコンピュータに、たとえば、時間遅延して無線で送信することによって、動作してもよい。一実施形態において、完全性監視システムは、時間に応じた位置を第1の記録媒体に一定の長さの期間にわたって記録することによって、第1の記録媒体に記録することを終了することによって、および記録したデータをコンピュータに、たとえば、無線で、または物理的に第1の記録媒体(可動記録媒体であってもよい)をコンピュータに接続して送信することによって、動作してもよい。第1の記録媒体に記録したデータをコンピュータに送信することが、コンピュータに送信される可動物体の時間データに応じた位置、および/または、定置構造物に観測される起こりえる故障/損傷に条件付けられるように、システムを動作してもよい。第1の記録媒体への記録の終了時に、または終了時と重複するときに、たとえば、完全な記録を取得するために別の記録媒体への記録を開始してもよい。
【0071】
このようにすると、すべての振動データをコンピュータに送信する必要はなく、たとえば、早期の事故を検証するために時間データに応じた位置を後ほど調べることができる。
一実施形態において、完全性監視システムは、送信される時間データに応じた位置を記録するための記録媒体を備える。この記録を校正用の統計および/または後で事故を検査するために用いてもよい。
【0072】
一実施形態において、コンピュータはハードウェアと、ソフトウェアとを備え、コンピュータは、少なくとも時間データに応じた位置を同じ時間に相関する振動データと比較するためのプロセッサを備え、それにより、コンピュータは、振動センサが所与の時間に感知した振動が、船舶などの可動物体が発生する振動であったか、または船舶などの可動物体が備える振動であったかを少なくとも推測することができる。
【0073】
これに関しては、ハードウェアはコンピュータの物理的な媒体を意味し、ソフトウェアはコンピュータプログラムを意味する。前述したように、ハードウェアまたはその部品は、完全性監視システムの他の部品、たとえば振動センサに一体化されてもよい。完全性監視システムで用いるソフトウェアは、様々なデータを収集するため、振動データを時間データに応じた位置と比較するため、好ましくは結果の出力をたとえば、画面、モニタ上に、および/またはプリンタを介して提供するために適用される周知のソフトウェアであってもよい。
【0074】
一実施形態において、コンピュータは、受信したデータおよび振動データと時間データに応じた位置との比較の結果を表示するためのモニタおよびまたはプリンタとのデータ通信を備え、またはモニタおよびまたはプリンタとデータ通信状態にある。
【0075】
前述したように、完全性監視システムは、お互いに同一であっても、異なっていてもよい、複数の振動センサを備えていてもよい。
振動センサおよび任意には振動センサのソフトウェアは、好ましくは、完全性監視システムが振動センサに対する振動の方向および/または定置構造物に対する振動の方向を測定するように選択される。
【0076】
一実施形態において、完全性監視システムは、少なくとも1つの光ファイバ振動センサを、分散型または準分散型センサの形で備える。準分散型センサは、分散型センサではないが、分散型センサであるかのように出力を感知するように適用することができるセンサを意味するものと解釈されるべきである。
【0077】
光ファイバ振動センサおよび/またはコンピュータは、一実施形態において、光ファイバ振動センサの複数の選択した長さ部分Nからの出力信号を取得して、任意には処理するように構成されてもよく、選択した部分Nは、好ましくは、少なくとも約1m、たとえば約50mまで、約1mから約10mまでの長さをそれぞれ有し、それぞれの部分の長さは、好ましくは略等しい。
【0078】
上記実施形態において、光ファイバ振動センサの複数の選択した長さ部分Nは略系統的に光ファイバ振動センサの長さに沿って配置されてもよく、それによって分散型振動データの計算処理を単純化する。長さ部分Nは重複部分であってよく、直接隣接する部分またはお互いに対して離れている部分であってもよい。
【0079】
一実施形態において、システムは、たとえば、ディスクリートセンサアレイの形で、または分散型または準分散型ファイバセンサの形でセンサアレイを備える。コンピュータは振動データをセンサアレイから取得して処理するように構成される。好ましい実施形態では、コンピュータは、振動を発生する物体の方向、距離および/または速度を測定するためのソフトウェアを備え、振動を発生する物体は、任意には可動物体である。
【0080】
好ましい実施形態では、完全性監視システムは、センサアレイまたは分散型または準分散型センサからの振動データにビーム形成機能を実施するように構成される。
一実施形態において、完全性監視システムは、ビーム形成機能を実施するように構成されることが望ましい。つまり、振動(音)の方向を計算することができ、それによって受信した音波の方向を推測することができる。
【0081】
センサアレイおよび計算方法(ソフトウェア)は従来技術において周知である。たとえば、米国特許第7,415,117号および米国特許第7,369,459号においてさらに記載されている。ビーム形成機能は、公差方位法に基づく計算を備えていてもよい。アレイ処理の実施および最適化する方法に関するさらなる情報および例は、「Optimum Array Processing (Detection、 Estimation、 and Modulation Theory、 Part IV)」by Harry L. Van Trees(ISBN 0−471−09390−4)に記載されている。
【0082】
本発明によれば、完全性監視システムは、送信器を備える可動物体が監視サイトから選択した距離内にあるときに、当該可動物体の時間データに応じた位置を取得してコンピュータに送信するための手段を備える。監視サイトは監視対象の定置構造物の一部を備える。監視サイトは、好ましくは、監視を所望する位置であり、システムを簡略化するために、監視サイトは、好ましくは、監視対象の定置構造物の一部によって占められる位置と同一であるように選択される。複数の定置構造物を1つの完全性監視システムによって監視する場合には、監視サイトは、好ましくは、監視対象の定置構造物のすべてを備える最小の位置であるように選択される。
【0083】
監視サイトに対して選択した距離は、一部の方向または全方向における距離であってもよい。たとえば、定置構造物が埋設定置構造物である場合には、可動物体が埋設定置構造物の下から定置構造物に接近する可能性は非常に低いため、選択した距離は定置構造物下の距離を含む必要はない。
【0084】
さらに、選択した距離は全方向において同じである必要はなく水平方向に選択した距離が垂直方向に選択した距離よりも長くなるように、異なっていてもよい。距離の選択は、好ましくは、可動物体または関連する/接続する要素から受ける損傷の危険性に関連して行う。
【0085】
システムは、送信器を備える可動物体が選択した距離内にあるとき、時間データに応じた位置を取得してコンピュータに送信することができるように構成される。可動物体が選択した距離内にない限り、時間データに応じた位置は無視され、取得されず、および/またはコンピュータに送信されない。それにより、システムは、重要でない時間データに応じた位置を無視することができる。
【0086】
選択した距離を非常に長く選択すると、多数の無関係の時間データに応じた位置がコンピュータに送信されることも観測される。この状況では、時間データに応じた位置を分類するためのソフトウェアを備えることが望ましい。
【0087】
本発明の完全性監視システムは、陸上完全性監視システムであっても、または海洋完全性監視システムであってもよい。当業者には明らかであるように、陸上完全性監視システムおよび海洋完全性監視システムの選択した部分の詳細は、好ましくは、システムの種類に関連して、および水中で適用されるか否かに関連して選択されてもよい。
【0088】
好ましい実施形態では、完全性監視システムは海洋完全性監視システムであり、定置構造物は海中構造物であり、可動物体は船舶である。
本明細書で用いる「船舶」という用語は、海洋、運河、および/または河川を横切り、および/または航海可能な、任意の種類の海洋船、小舟または潜水艦を意味する。一実施形態において、船舶は、少なくとも300tを超えるすべての船舶を含む。一実施形態において、船舶は、たとえば25−100mの長さのトロール漁船を含む漁船などの少なくとも40tを超えるすべての船舶を含む。
【0089】
海中構造物は、たとえば、海洋で適用される前述の任意の定置構造物であってもよい。
一実施形態において、海中構造物は、少なくとも海中構造物の部分において、略垂直方向に延伸するライザである。「略垂直方向」とは静水時に海面に対して見た方向であり、一般的に、ライザは海底には敷設されず、溝を掘って埋められず、および/または埋設されないことを意味し、ライザは基本的に、海面に垂直には敷設されないことを意味する。一実施形態において、ライザは海底から海面ステーションまで、たとえば船舶またはプラットホームまで延伸する。
【0090】
一実施形態において、海中構造物は、海底に敷設され、溝を掘って埋められ、および/または埋設される可撓性ケーブルおよび/または可撓性パイプを備える。
本発明の海洋完全性監視システムにおいて、時間データに応じた位置を取得してコンピュータに送信するための手段は、好ましくは、データを自動識別システム(AIS)から取得することを含み、取得したデータは、船舶の送信器から直接取得されるか、または、インターネット送信を介して、船舶交通管理システム(VTS)を介して、および/または外部アンテナを介して取得され、船舶の送信器はトランスポンダである。
【0091】
AISは国際船舶追跡システムである。2004年12月から、国際海事機関(IMO)は、300tを超えるすべての船舶に対し、AISトランスポンダを船上に搭載することを求めている。AISトランスポンダは、船舶の位置、速度および航路、他の統計情報から船舶の識別、寸法および航海の詳細などを送信する。
【0092】
AISの目的は、当初は、港湾管理機関が海上交通をより良く制御しやすくすることとともに、船舶の衝突を避けることであった。一般的に、船舶に搭載する認可されたAISトランスポンダは、LORAN−CまたはGPS(全地球測位システム)受信器位置決定システムなどの位置および移動詳細を収集する位置決定システムと、この情報を送信してこのデータを公有して利用できるようにするVHF送信器とを備える。AISトランスポンダはさらに、ジャイロコンパスまたは回転率表示器などの他の電子航海センサと一体化されてもよい。他の船舶またはベースステーションはこの情報を受信し、単純なソフトウェアを用いて処理し、船舶の位置を海図プロッタまたはコンピュータ上に表示することができる。
【0093】
AIS位置データはインターネット上で、多くの政府機関および民間が運営する地理情報システム、たとえばwww.marinetraffic.com、www.vesseltracker.com、www.vtexplorer.com、およびwww.shiptracking.euを介して、入手可能である。
【0094】
「船舶交通管理システム(VTS)」は、港湾管理機関によって制定された海上交通監視システムである。VTSの目的は、航海の安全性および効率を改善すること、海上での生命の安全性を改善すること、および港湾周囲の区域において海洋環境を保護することである。VTSは、国際海事機関が1997年11月27日に採択したSOLAS Chapter V Regulation 12および船舶交通サービスのガイドライン(Guidelines for Vessel Traffic Services)(IMO Resolution A.857 (20))によって管理されている。
【0095】
VTSは、通常は包括的な交通画像を有する。これは、交通に影響するすべての要因およびすべての参加船舶の情報および意図が容易に入手可能であることを意味する。交通画像によって、展開している状況を評価し、状況に対応することができる。
【0096】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、時間データに応じた位置はコンピュータに対するインターネットを介して取得される。
一実施形態において、監視サイトは、監視対象の海中構造物の一部が占める位置と略同一であるように選択される。
【0097】
一実施形態において、監視サイトは、海中構造物の大局的方向に対して水平および垂直方向において約10mまでなど約100mまでの幅を有し、および海中構造物を含むために十分な高さを有する細長い区域になるように選択される。海中構造物の大局的方向は、5m以下の小さい屈曲を無視する海中構造物の長さ方向である。
【0098】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は選択した水平区域となる。システムは、コンピュータが時間データに応じた位置を選択した水平区域内の送信器を備える船舶か取得するように構成される。
【0099】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は、振動センサの範囲内にいる少なくとも平均的な騒音を出す40t船舶および/または約100dbの振動(音)を発生する船舶が、選択した距離内にもいるように選択される。
【0100】
このようにして、振動センサが平均的な騒音を出す40t船舶を検知すると、平均的な騒音を出す40t船舶の時間データに応じた位置は、確実にコンピュータに送信され、検知した振動データと相関させられる。
【0101】
一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は、振動センサが感知可能な位置(振動センサによって記録可能な位置である)にいる任意の船舶が選択した範囲内にいるように、十分広く選択される。
【0102】
一般的に、時間データに応じた位置を得ることが最も重要である船舶とは、接近するトロール漁船および漁船である。なぜなら、このような船舶は海底に沿って機器を引きずることが多く、さらに、このような船舶は、過って、海底に沿って錨を引きずりながら航海していることが多く観測されてきたためである。このような状況では、海中構造物は損傷する危険が高くなることもある。海洋完全性監視システムの選択した距離は、したがって、好ましくは、海洋完全性監視システムが、警告を起動し、好ましくは船舶に警告するために十分な時間を持って、このようなトロール漁船および漁船を検知することができるように選択される。
【0103】
これに関して、任意のセンサが振動を検知する元になる音速および距離は、水温、水の塩分および水流の渦に、少なくともわずかには依存することを注意すべきである。別に特定しない限り、測定は、したがって、静水時に、平均的な温度および水の塩分濃度において行うべきである。
【0104】
多くの場合、任意の区域の平均的な天候条件、温度、渦、塩分濃度などは周知である。選択した距離は、振動センサが感知するすべての船舶の時間データに応じた位置がコンピュータに送信されるように、安全性の余裕を持って選択することができる。
【0105】
一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は、海中構造物から少なくとも約100m、好ましくは、海中構造物から少なくとも約1km、好ましくは、海中構造物から少なくとも約2km、より好ましくは、海中構造物から少なくとも約5kmに相当する。監視サイトは海中構造物が占める位置であるときには、海中構造物までの距離は監視サイトまでの距離と同一である。
【0106】
振動センサは、システムが海洋完全性監視システムであるとき、好ましくは、相対的に長い範囲を有する。船舶を停止、または回転するためには相対的に長い時間がかかることが多く、危険な場合には、潜在的な損傷に対して相対的に早く警告を提供できることが好ましい。さらに、海洋の振動パターンは、相対的に安定しており、識別しやすい。そのため、このような騒音はフィルタで除去することができる。長い範囲/好感度な振動センサを有することの負担は、このような振動センサが大量の騒音も取得することであるが、前述したように、この負担は騒音すべての大部分をフィルタで除去することによって、簡単に克服することができる。
【0107】
一実施形態において、1または複数の振動センサは、海中構造物から約100mの距離内で、好ましくは、海中構造物から約500mの距離内で、通常の錨の降下および/または海底に沿った錨または同様の道具の引き上げを検知するように構成される。それにより、海底に沿って引きずる錨または他の機器を備えて接近する船舶によって受ける損傷を防止するために十分な時間を持って、警告が起動可能であってもよい。
【0108】
一実施形態において、1または複数の振動センサは、監視サイトで、約30dbまで、好ましくは約10dbまで、より好ましくは約3dbまで、またはさらに約1dbまで下げたレベルで約500Hzの振動を検知するように構成される。
【0109】
一般的に、今日既知であるファイバ光学センサは、最も効果的な水中聴音器よりも感度が低い。しかし、ほとんどの振動センサにとって、平均的な40t船舶が起こす振動(音)、および/または100dbの振動(音)を発生する船舶が起こす振動を検知するための約50Hzから約1kHzまでの範囲の振動の検知範囲は、約2km以上である。
【0110】
複数の振動センサを提供すること、そのビーム形成を構成することによって、検知範囲を増加させることができ、監視システムの感度も増加させることができる。
一実施形態において、海中構造物および監視サイト周囲の検知範囲は少なくとも約1kmであり、たとえば少なくとも約2km、好ましくは約10kmまでであることが望ましい。
【0111】
500Hzの周波数にとって、砂の海底での減衰は約0.12dB/mと予測される。水と堆積物の境界での音速率は1.04−1.08の範囲である。水中の音速は約1470m/sである。
【0112】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、1または複数の振動センサは、監視サイトで、約30dbまで、好ましくは約10dbまで、より好ましくは約3dbまで、またはさらに約1dbまで下げたレベルで約50Hzから1kHzまでの振動を検知するように構成される。
【0113】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、1または複数の振動センサは、船舶が海中構造物から約2kmの範囲内にあるとき、好ましくは船舶が海中構造物から約4kmの範囲内にあるとき、好ましくは船舶が海中構造物から約6kmの範囲内にあるとき、好ましくは船舶が海中構造物から約10kmの範囲内にあるとき、約100dbまで下げたレベルで約500Hzから約1kHzまでの、静水時に船舶が発生する振動を検知するように構成される。
【0114】
前述したように、振動センサは、定置構造物から距離を置いて配置されてもよく、定置構造物と接触して、または任意には定置構造物と一体化して配置されてもよい。海洋完全性監視システムの一実施形態において、振動センサは海中構造物の取り付け距離に取り付けられる。
【0115】
取り付け距離は、原則的に、監視サイトから振動を感知可能な限り、所望するだけ長くてもよい。取り付け距離は、たとえば、約1kmまでであり、たとえば約500mまで、約100mまで、約25mまでである。一実施形態において、取り付け距離は約1mから約100mまでの間である。
【0116】
海洋完全性監視システムの一実施形態においては、振動センサは海中構造物と接触し、または海中構造物と一体化する。
本明細書で用いる「接触する」とは、物理的に接触することを意味し、たとえば、取り付けること、または単に接触して配置することを意味する。
【0117】
好ましくは、海洋完全性監視システムのコンピュータは、ハードウェアと、ソフトウェアとを備え、コンピュータは、少なくとも時間データに応じた位置を、同じ時間に相関する振動データと比較するためのプロセッサを備え、それにより、コンピュータは、振動センサが所与の時間に感知した振動が、識別した船舶によって生じた振動であったか、または識別した船舶が備える振動であるかを少なくとも推測することができる。
【0118】
一般的に、海洋完全性監視システムは、少なくとも1つのメモリ、たとえば前述した1または複数のメモリを備えることが望ましい。
一実施形態において、コンピュータはデータベースメモリを備え、またはデータベースメモリとデータ通信状態にある。本明細書のデータベースメモリは、データベースを備えるメモリ、またはデータベースを備えるように構成されるメモリとして解釈されるべきである。データベースは、1または複数のユーザが使用することができる系統化したデータの集まりであると解釈される。データベースメモリは、好ましくはコンピュータによって取得した時間データに応じた振動および/または時間データに応じた位置の少なくとも一部を格納する。
【0119】
それにより、本発明の海洋完全性監視システムは、コンピュータによって取得した時間データに応じた振動および/または時間データに応じた位置の少なくとも一部を集積してもよい。データベースは、システムを構成するため、事故を予測するため、警告を起動するための条件を調整するためなどに用いてもよい。
【0120】
一実施形態において、システムはコンピュータとデータ通信するデータベースメモリを備え、データベースメモリは1または複数の船舶または船舶の種類の船舶距離に対する振動パターンの校正曲線を備え、コンピュータは通過する船舶までの距離を計算するためのソフトウェアを備える。
【0121】
一実施形態において、海中構造物は、埋設または溝を掘って埋められた海中構造物を備え、システムは、コンピュータとのデータ通信におけるデータベースメモリを備え、データベースメモリは、1または複数の船舶または1または複数の種類の船舶の船舶距離に対する振動パターンの校正曲線を備える。
【0122】
完全性監視システムが振動パターンを認識可能なことが望ましいこともある。たとえば、船舶が繰り返し、たとえば定期的に、埋設または溝を掘って埋められた海中構造物上を通過し、振動センサが海中構造物と共に、または海中構造物の横に埋設または溝を掘って埋められている状況においては、海洋完全性監視システムは、被覆素材のレベルが変化した場合には振動レベルの変化を検知してもよい。海洋完全性監視システムが振動パターンを認識し、任意には、方向、速度などを計算することができる場合には、海洋完全性監視システムのコンピュータは、好ましくは海中構造物の被覆素材のレベルの変化を計算するためのソフトウェアを備える。
【0123】
それにより、海洋完全性監視システムは、被覆素材のレベルが不十分であるか、およびいつ不十分となるかを計算および/または予測可能であってもよく、追加被覆素材を海中構造物が損傷する前に、たとえば、海中構造物の損傷を予防するために、適用してもよい。
【0124】
一実施形態において、時間データに応じた位置を測定してコンピュータに送信するための手段は、追加データを自動識別システム(AIS)から入手および/または取得することを含み、コンピュータは追加データをAISまたは別の情報源から取得するように構成される。コンピュータは、たとえば、一意的な識別、航路、速度、移動方向、警告、天候条件および前述のデータの予測/予報のうち1または複数を備える。一般的に、追加データは少なくとも船舶の一意的な識別を備えることが好ましい。
【0125】
天候条件に関する情報は、たとえば、風向および風速データならびに雷に関する情報も備えていてもよい。天候条件データは、たとえば、インターネットを介して直接提供されてもよい。
【0126】
天候条件に関する情報は、たとえば、強風条件中に錨を降下することによる潜在的な危険性を予測してもよく、警告を起動してもよい。
一定の天候条件が振動センサの感度を増減することもある。天候条件または天候条件の予報は、したがって、一実施形態では、警告を起動する設定点を調整するために、言い換えれば、天候に応じて警告の起動設定点を調整するために適用することができる。
【0127】
どの情報源から時間データに応じた位置を取得するかに関係なく、完全性監視システムは、天候関連のデータを収集するように、たとえば天気予報および/または天候関連の統計および/または時間に応じた天候条件に関連するデータを収集するように構成されてもよい。
【0128】
天候関連の統計および/または時間に応じた天候条件に関するデータは、たとえば、完全性監視システムが様々な種類の天候にどのように反応するかを予測するために、および/または改善した天気予報を提供するために用いることができる。改善した天気予報はさらに、完全性監視システムの1または複数の要素を調整するために用いることができる。
【0129】
一実施形態において、コンピュータは、船舶または船舶機器が海中構造物を損傷する潜在的な危険を計算するためのソフトウェアを備える。この計算は、たとえば、振動データおよび時間データに応じた位置、および任意には、たとえば天候関連のデータおよび/または移動する物体の速度、移動方向および/または航路などのデータベースメモリからの他のデータの少なくとも一部に基づく。
【0130】
海洋完全性監視システムの一実施形態において、コンピュータは、振動データの少なくとも一部を、海中構造物が船舶または船舶機器によって損傷を受ける潜在的な危険と関連づけるためのソフトウェアを備える。それにより、危険を推測、計算または他の方法で予測されるときに、警告を起動することができる。
【0131】
一実施形態において、システムは、海中構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険によって起動されるように構成される警告を備える。コンピュータは、好ましくは、海中構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険を計算するように構成される。この計算は、好ましくは、振動データおよび時間データに応じた位置の少なくとも一部に基づいて計算されてもよい。一実施形態において、システムは、規定のパターンおよび/または最大振動設定点を超える振動レベルを有する振動データを検知すると警告を起動するように調整される。それにより、誤認警告を設定する危険性は非常に低くなり、より信頼性の高い警告システムが得られる。
【0132】
一実施形態において、以下の事例の1または複数は警告と判断される。
方向転換の有無にかかわらず、異常に低速な船舶の検知。
異常に高い振動レベル。
【0133】
特定の可動物体に関連づけることができない非常に高い振動レベル。
AISデータが入手できない振動/騒音。
海中構造物の一定の部分に対して、たとえば1ヶ月/6ヶ月/1年の期間にわたって、一定して増加する振動レベル。
【0134】
一実施形態において、完全性監視システムは陸上完全性監視システムである。本実施形態では、定置構造物は非海中構造物であり、たとえば、陸上で適用される任意の前述の定置構造物である。定置構造物は、好ましくは、ケーブルおよび/またはパイプを備える。
【0135】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、定置構造物は埋設され、または1または複数のパイロン上に支持される。
陸上完全性監視システムでは、可動物体は、陸上を移動可能な任意の種類の可動物体であってよく、送信器時間データに応じた位置を送信するための送信器を備える。可動物体は、たとえば、車両、航空機、および/または電動工具であってもよい。
【0136】
定置構造物が送信する定置構造物、たとえば、パイプ、ケーブルおよび/またはファイバである状況では、可動物体は、たとえば工業車両、トラクタ、掘削工具を有する車両およびまたはドリルなどの電動掘削工具であってもよい。
【0137】
好ましくは、可動物体は、GPS(全地球測位システム)の位置および任意には移動の詳細などの位置決定システムと、好ましくは可動物体の一意的な識別とともに、データをコンピュータに送信するように構成される送信器とを備え、またはこれらに接続される。
【0138】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、システムは、時間データに応じた位置を受信して、データをコンピュータに、任意には無線で、および/またはインターネットを介して送信するためのトランスポンダを備える。トランスポンダは、任意には、追加して振動データを送受信可能である。
【0139】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、システムは、コンピュータが監視サイトに対して選択した距離内の時間データに応じた位置を取得するように構成される。コンピュータは、たとえば、可動物体からその送信器を介して、時間データに応じた位置を直接的に取得してもよい。
【0140】
本発明の陸上完全性監視システムにおいて、特に、定置構造物が相対的に騒音を出す環境として構成される場合には、選択した距離は、好ましくは相対的に短い。
陸上完全性監視システムの一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は、定置構造物から少なくとも約10m、好ましくは海中構造物から少なくとも約100m、好ましくは海中構造物から少なくとも約500mに相当する。
【0141】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、監視サイトに対して選択した距離は、海中構造物から少なくとも約10m、好ましくは少なくとも約100m、好ましくは少なくとも約500mである。
【0142】
一実施形態において、選択した距離は、可動物体の種類によって異なっていてもよい。たとえば、一実施形態では、ドリルに対して選択した距離は、約20cmであってもよく、工業車両に対して選択した距離は、約10mであってもよい。
【0143】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、可動物体が電動工具の場合は、監視サイトに対して選択した距離は約5cmから約5mまで、たとえば5cmから約1m、たとえば約10cmから約50cmまでである。
【0144】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、1または複数の振動センサは、監視サイトで、約30dbまで、好ましくは約10dbまで、より好ましくは約3dbまで、またはさらに約1dbまで下げたレベルで約50Hzから1kHzまでの振動を検知するように構成される。
【0145】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、振動センサは定置構造物の取り付け距離に取り付けられる。取り付け距離は、たとえば約25mまでの約100mまでである。高騒音を出す環境では、取り付け距離は、好ましくは、相対的に短くするべきである。
【0146】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、振動センサは定置構造物と一体化される。
陸上完全性監視システムの一実施形態において、コンピュータは、ハードウェアと、ソフトウェアとを備え、コンピュータは、少なくとも時間データに応じた位置を、同じ時間に相関する振動データと比較するためのプロセッサを備え、それにより、コンピュータは、振動センサが所与の時間に感知した振動が、識別した船舶によって生じた振動であったか、または識別した船舶が備える振動であるかを少なくとも推測することができる。
【0147】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、コンピュータはデータベースメモリを備え、またはデータベースメモリとデータ通信状態にある。好ましくはコンピュータによって取得した時間データに応じた振動および/または時間データに応じた位置の少なくとも一部を格納してもよい。
【0148】
陸上完全性監視システムの一実施形態において、コンピュータは追加データを取得するように構成される。追加データは、一意的な識別、航路、速度、移動方向、警告、天候条件およびデータの予測/予報のうち少なくとも1つを備える。好ましくは、追加データは少なくとも一意的な識別を備える。
【0149】
追加データおよびデータベースは、陸上完全性監視システムに対して前述した対応する方法で適用されてもよい。
陸上完全性監視システムの一実施形態において、コンピュータは、可動物体またはこのような可動物体に関連する機器が定置構造物を損傷する潜在的な危険を計算するためのソフトウェアを備える。この計算は、好ましくは、振動データおよび時間データに応じた位置、および任意にはデータベースメモリからの他のデータ、たとえば上記で説明または述べた種類のデータの少なくとも一部に基づいてもよい。
【0150】
陸上完全性監視システムは、海洋完全性監視システムに対して説明した方法と同様の方法で警告を備えていてもよく、警告は同様の様式で作動するように設定されてもよい。
陸上完全性監視システムの一実施形態において、システムは、定置構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険によって起動されるように構成される警告を備え、コンピュータは、定置構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険を、好ましくは、振動データおよび時間データに応じた位置の少なくとも一部に基づいて計算するように構成される。好ましくは、誤認警告を減少するために、システムは規定のパターンおよび/または最大振動設定点を超える振動レベルを有する振動データを検知すると警告を起動するように調整される
上記で述べたように、複数の完全性監視システムを接続するかまたは組み合わせて、たとえば、完全性を監視される定置構造物の中央監視を行うことができる。複数の完全性監視システムを組み合わせて、それぞれの完全性監視システムのコンピュータを中央管理するために中央局に配置してもよい。一実施形態において、1または複数の部分をお互いに共有することによって、複数の完全性監視システムを組み合わせる。複数の完全性監視システムは、たとえば、共通の中央コンピュータを共有してもよい。
【0151】
本発明はまた、定置構造物の少なくとも一部の完全性を監視する方法に関する。本発明の方法は以下を含む。
(i)時間に応じた振動を感知するための少なくとも1つの振動センサを提供することと、
(ii)コンピュータを提供することと、
(iii)振動センサからコンピュータまで振動データを送信するための送信手段を提供することと、
(iv)振動センサを少なくとも定置構造物の一部を備える監視サイト内の振動を感知するように構成することと、
(v)船舶が監視サイトに対して選択した距離内にあるときに、送信器を備える可動物体の時間データに応じた位置を取得することと、
(vi)コンピュータに、処理振動データおよび時間データに応じた位置を処理するために、比較する振動データを時間データに応じた位置と比較するためのソフトウェアを提供すること。
【0152】
上記についての例はすでに前述した。さらに、本発明の方法は、前述した完全性監視システムを用いることを含む。
個別の要素およびその組み合わせは前述したものであってもよい。
【0153】
本発明の方法の一実施形態において、定置構造物は海底に敷設された海中構造物であり、または埋設および/または溝を掘って埋められた海中構造物である。または定置構造物は非海中構造物である。本発明によれば、本方法は、定置構造物の少なくとも一部の完全性を測定することを含む。
【0154】
前述したように、好ましい実施形態では、定置構造物は、好ましくは、高圧電力ケーブル(約72kVから、たとえば、約550kVまで、またはそれ以上)、中圧電力ケーブル(約10−72kKV)、超電導ケーブル、光ファイバケーブルおよび/または通信ケーブルから選択される、信号および/または送電ケーブルなどのケーブルであり、またはこれらを備える。
【0155】
本発明の方法の一実施形態において、振動センサは、継続的にまたは所定の間隔で動作し、完全性監視システムは、振動センサの動作を調整するための調整機能を備える。本方法は、手動で、自動的に、または半自動的に振動センサの動作を、騒音量に関連して、選択した距離内の可動物体数に関連して、天候に関連して、時間(夜間/日中/営業日/休日等)に関連して、および/またはその他に関連して調整することを含む。
【0156】
本発明の方法の一実施形態において、調整機能は自動的または半自動的な調整機構であり、本方法は、振動センサの感度を調整すること、好ましくは、監視サイトの選択した距離内の振動の大きさによって調整することを含む。
【0157】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、騒音をフィルタで除去すること、好ましくは暗騒音の少なくとも一部をフィルタで除去することを含む。騒音をフィルタで除去する方法は当業者には周知である。
【0158】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、可動物体の時間データに応じた位置を記録することを含み、好ましくは、記録したデータは、後ほどイベントの分析のために用いることができる。
【0159】
たとえば、監視される定置構造物が突然、損傷を受けた場合には、記録した時間データに応じた位置を、好ましくは記録した振動データと組み合わせて、事故の分析のため、および任意には可動物体の特定のために用いることができる。たとえば、可動物体の運転者が警告を無視した可能性もあり、損害を可動物体の運転者または所有者に請求することもできる。
【0160】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、コンピュータが時間データに応じた位置を同じ時間に相関する振動データと比較し、この相関に基づき、振動センサが所与の時間で感知した振動が、可動物体が発生する振動であるか、または可動物体が発生する振動を備えるかを推測する。
【0161】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、振動センサに対する振動の方向および/または定置構造物に対する振動の方向を測定することを含む。振動の方向を測定する方法は、たとえば前述した方法であってもよい。
【0162】
本発明の方法の一実施形態において、システムは、ディスクリートセンサアレイの形で、または分散型または準分散型ファイバセンサの形でセンサアレイを備える。本方法は、振動を発生する物体の方向、距離および/または速度を測定することを含む。振動を発生する物体は、任意には可動物体である。
【0163】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、たとえば、前述したようにセンサアレイからの振動データをビーム形成することを含む。
本発明の方法の一実施形態において、完全性監視システムは海洋完全性監視システムである。本方法は、海中構造物の少なくとも一部の完全性を測定することを含む。
【0164】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、コンピュータが自動識別システム(AIS)と通信することを含む。
本発明の方法の一実施形態において、システムは海洋完全性監視システムである。本方法は、時間データに応じた位置を、同じ時間に相関する振動データと比較することを含み、それにより、システムは、振動センサが所与の時間に感知した振動が、識別した船舶によって生じた振動であったか、または識別した船舶が振動を備えていたかを少なくとも推測することができる。
【0165】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、コンピュータによって取得した時間データに応じた振動および時間データに応じた位置の少なくとも一部をデータベースメモリに格納することを含み、それによって、たとえば上記で説明および述べたように、データ収集を作成することを含む。
【0166】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、追加データを入手および/または取得することを含む。追加データは、たとえば、前述したように、一意的な識別、航路、速度、移動方向、警告、天候条件およびデータの予測/予報のうち少なくとも1つを備えてもよい。
【0167】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、可動物体またはこのような可動物体に関連する機器が定置構造物を損傷する潜在的な危険を計算することを含む。この計算は、好ましくは、振動データおよび時間データに応じた位置、および任意にはデータベースメモリからの他のデータ、たとえば前述した任意のデータの少なくとも一部に基づいてもよい。
【0168】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、振動データを、具体的には高振動レベルを備える振動データを、定置構造物が船舶または船舶機器によって損傷を受ける潜在的な危険と関連づけること、たとえば、海中構造物が船舶または船舶機器などの可動物体または可動物体に関連する機器によって損傷を受ける潜在的な危険と関連づけることを含む。
【0169】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、たとえば、前述したように、警告を起動することを含む。警告は、定置構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険によって起動されてもよい。コンピュータは、定置構造物を損傷する潜在的な危険または実際の危険を、好ましくは、振動データの少なくとも一部および時間データに応じた位置の少なくとも一部に基づいて計算するように構成される。本発明の方法は、好ましくは、誤認警告を減少するために、規定のパターンおよび/または最大振動設定点を超える振動レベルを有する振動データを検知すると警告を起動するようにシステムを調整することを含む。
【0170】
本発明の方法の一実施形態において、本方法は、振動パターンを定置構造物の通常の振動パターンに校正することを含む。
本発明の方法の一実施形態において、システムは海洋システムであり、コンピュータとデータ通信するデータベースメモリを備える。データベースメモリは、1または複数の船舶または1または複数の種類の船舶の船舶距離に対する振動パターンの校正曲線を備える。本方法は、通過する船舶に対する距離を計算することを含み、および/または、たとえば、前述したように、海中構造物の被覆素材のレベルの変化を計算することを含む。