【文献】
SHEPPARD GEORGE S,DISCOVERY AND OPTIMIZATION OF ANTHRANILIC ACID SULFONAMIDES AS INHIBITORS 以下備考,J. MED. CHEM.,米国,AMERICAN CHEMICAL SOCIETY,2006年 6月 1日,V49 N13,P3832-3849,OF METHIONINE AMINOPEPTIDASE-2: A STRUCTURAL BASIS FOR THE REDUCTION OF ALBUMIN BINDING
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
本開示の特徴およびその他の詳細を、ここでさらに詳細に記載する。本発明をさらに記述する前に、本明細書、実施例および添付の特許請求の範囲の中で用いられるある種の用語をここにまとめる。これらの定義は、本開示の残り部分を考慮に入れて、そして当業者に理解されるように読み取るべきである。別記しない限り、本明細書中で用いられる技術用語および科学用語はすべて、当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。
定義
【0009】
「処置すること」は、当該症状、疾患、障害等の改善を生じる任意の作用、例えば少なくすること、低減すること、調整すること、または排除することを包含する。
【0010】
「アルケニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する不飽和直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。例示的アルケニル基としては、それぞれC
2−6アルケニルおよびC
3−4アルケニルとして本明細書中で言及される2〜6個または3〜4個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルケニル基としては、ビニル、アリル、ブテニル、ペンテニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0011】
「アルコキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合された直鎖または分枝鎖アルキル基(アルキル−O−)を指す。例示的アルコキシ基としては、それぞれC
1−6アルコキシおよびC
2−6アルコキシとして本明細書中で言及される1〜6個または2〜6個の炭素原子を有するアルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
「アルコキシアルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、第二の直鎖または分枝鎖アルキル基と結合された酸素と結合された直鎖または分枝鎖アルキル基(アルキル−O−アルキル−)を指す。例示的アルコキシアルキル基としては、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキルとして本明細書中で言及される、アルキル基が、各々独立して、1〜6個の炭素原子を含有するアルコキシアルキル基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、2−メトキシエチル、1−メトキシエチル、2−メトキシプロピル、エトキシメチル、2−イソプロポキシエチル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
「アルコキシカルボニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、カルボニル基に結合された酸素と結合される直鎖または分枝鎖アルキル基を指す(アルキル−O−C(O)−)。例示的アルコキシカルボニル基としては、C
1−6アルコキシカルボニルとして本明細書中で言及される、1〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルコキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0014】
「アルケニルオキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合された直鎖または分枝鎖アルケニル基を指す(アルケニル−O−)。例示的アルケニルオキシ基としては、C
3−6アルケニルオキシとして本明細書中で言及される、3〜6個の炭素原子を有するアルケニル基を有する基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的「アルケニルオキシ」基としては、アリルオキシ、ブテニルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0015】
「アルキニルオキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合された直鎖または分枝鎖アルキニル基を指す(アルキニル−O)。例示的アルキニルオキシ基としては、C
3−6アルキニルオキシとして本明細書中で言及される、3〜6個の炭素原子を有するアルキニル基を有する基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキニルオキシ基としては、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0016】
「アルキル」という用語は、本明細書中で用いる場合、飽和直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。例示的アルキル基としては、それぞれC
1−6アルキル、C
1−4アルキルおよびC
1−3アルキルとして本明細書中で言及される、1〜6個、1〜4個または1〜3個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖炭化水素が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
「アルキルカルボニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、カルボニル基と結合された直鎖または分枝鎖アルキル基(アルキル−C(O)−)を指す。例示的アルキルカルボニル基としては、C
1−6アルキルカルボニル基として本明細書中で言及される、1〜6個の炭素原子を有するアルキルカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキルカルボニル基としては、アセチル、プロパノイル、イソプロパノイル、ブタノイル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0018】
「アルキニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する不飽和直鎖または分枝鎖炭化水素を指す。例示的アルキニル基としては、それぞれC
2−6アルキニルおよびC
3−6アルキニルとして本明細書中で言及される、2〜6個または3〜6個の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキニル基としては、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、メチルプロピニル等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
「カルボニル」という用語は、本明細書中で用いる場合、基−C(O)−を指す。
【0020】
「シアノ」という用語は、本明細書中で用いる場合、基−CNを指す。
【0021】
「シクロアルコキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合されたシクロアルキル基を指す(シクロアルキル−O−)。例示的シクロアルコキシ基としては、C
3−6シクロアルコキシ基として本明細書中で言及される、3〜6個の炭素原子を有するシクロアルコキシ基が挙げられるが、これらに限定されない。例示的シクロアルコキシ基としては、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロヘキシルオキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「シクロアルキル」または「炭素環式基」という用語は、本明細書中で用いる場合、例えば、それぞれC
3−6シクロアルキルまたはC
4−6シクロアルキルとして本明細書中で言及される、3〜6個または4〜6個の炭素原子を有する飽和または部分不飽和炭化水素基を指す。例示的シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロブチルまたはシクロプロピルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0023】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、本明細書中で用いる場合、F、Cl、BrまたはIを指す。
【0024】
「ヘテロアリール」または「ヘテロ芳香族基」という用語は、本明細書中で用いる場合、1つ以上の異種原子、例えば1〜3個の異種原子、例えば窒素、酸素およびイオウを含有する単環式芳香族5〜6員環系を指す。可能な場合、上記へテロアリール環は、炭素または窒素を介して隣接基と連結され得る。ヘテロアリール環の例としては、フラン、チオフェン、ピロール、チアゾール、オキサゾール、イソチアゾール、イソキサゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジンまたはピリミジン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0025】
「ヘテロシクリル」または「複素環式基」という用語は、当該技術分野で認識されており、そしてその環構造が1〜3個の異種原子、例えば窒素、酸素およびイオウを含む飽和または部分不飽和4〜7員環構造を指す。可能な場合、ヘテロシクリル環は、炭素または窒素を介して隣接基と連結され得る。ヘテロシクリル基の例としては、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン、オキセタン、アゼチジン、テトラヒドロフランまたはジヒドロフラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0026】
「ヘテロシクリルオキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合されたヘテロシクリル基を指す(ヘテロシクリル−O−)。
【0027】
「ヘテロアリールオキシ」という用語は、本明細書中で用いる場合、酸素と結合されたヘテロアリール基を指す(ヘテロアリール−O−)。
【0028】
「ヒドロキシ」および「ヒドロキシル」という用語は、本明細書中で用いる場合、基−OHを示す。
【0029】
「オキソ」という用語は、本明細書中で用いる場合、基=Oを示す。
【0030】
「薬学的または薬理学的に許容可能な」は、適宜、動物またはヒトに投与される場合、有害な、アレルギー性のまたはその他の都合の悪い反応を生じない分子実体および組成物を含む。ヒト投与のためには、調製物は、生物学的製剤標準について食品医薬品局によりひつようとされるような滅菌性、発熱原性および一般的安全性および純度標準を満たすべきである。
【0031】
「製薬上許容可能な担体」または「製薬上許容可能な賦形剤」という用語は、本明細書中で用いる場合、薬学的投与に適合性である任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、等張および吸収遅延剤等を指す。薬学的活性物質のためのこのような媒質および作用物質の使用は、当該技術分野で周知である。組成物は、補足的、付加的または増強化治療機能を提供するその他の活性化合物も含有し得る。
【0032】
「薬学的組成物」という用語は、本明細書中で用いる場合、1つ以上の製薬上許容可能な担体と一緒に処方される本明細書中に開示されるような少なくとも1つの化合物を含む組成物を指す。
【0033】
「個体」、「患者」または「被験体」は、互換的に用いられ、そして任意の動物、例えば哺乳動物、好ましくはマウス、ラット、その他の齧歯類、ウサギ、イヌ、ネコ、ブタ、畜牛、ヒツジ、ウマまたは霊長類、最も好ましくはヒトを包含する。本発明の化合物は、哺乳動物、例えばヒトに投与され得るが、しかし他の哺乳動物、例えば獣医学的処置を必要とする動物、例えば飼育動物(例えば、イヌ、ネコ等)、農場動物(例えば、雌牛、ヒツジ、ブタ、ウマ等)および実験室動物(例えば、ラット、マウス、モルモット等)にも投与され得る。本発明の方法で処置される哺乳動物は、望ましくは、肥満症または体重減少の処置が所望される哺乳動物である。「調整」は、拮抗作用(例えば、抑制)、活性化作用、部分拮抗作用および/または部分活性化作用を包含する。
【0034】
本明細書中では、「治療的有効量」という用語は、研究者、獣医、医者またはその他の臨床医により捜し求められているものである組織、系または動物(例えば、哺乳動物またはヒト)の生物学的または医学的応答を引き出す本発明の化合物の量を意味する。本発明の化合物は、疾患を処置するために、治療的有効量で投与される。代替的には、化合物の治療的有効量は、所望の治療的および/または予防的効果を達成するために必要とされる量、例えば体重減少を生じる量である。
【0035】
「製薬上許容可能な塩(単数または複数)」という用語は、本明細書中で用いる場合、組成物に用いられる化合物中に存在し得る酸性または塩基性基の塩を指す。事実上塩基性である本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々の無機および有機酸と広範な種々の塩を形成し得る。このような塩基性化合物の製薬上許容可能な酸付加塩を調製するために用いられ得る酸は、非毒性酸付加塩、すなわち薬理学的に許容可能な陰イオンを含有する塩、例えばリンゴ酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、酢酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、サッカリン酸塩、蟻酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩およびパモエート(すなわち、1,1’−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))塩を形成するものである。事実上酸性である本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々の薬理学的に許容可能な陽イオンと塩基性塩を形成し得る。このような塩の例としては、アルカリ金属またはアルカリ土類金属塩、特にカルシウム、マグネシウム、ナトリウム、リチウム、亜鉛、カリウムおよび鉄塩が挙げられる。塩基性または酸性部分を含む本発明の組成物中に含まれる化合物は、種々のアミノ酸と製薬上許容可能な塩も形成し得る。本開示の化合物は、酸性および塩基性の両方の基を含有し得る;例えば、1つのアミノ基と1つのカルボン酸基を含有する。このような場合、化合物は、酸付加塩、両イオン性または塩基性塩として存在し得る。
【0036】
本開示の化合物は、1つ以上のキラル中心を含有し、したがって立体異性体として存在し得る。「立体異性体」という用語は、本明細書中で用いる場合、すべてのエナンチオマーまたはジアステレオマーからなる。これらの化合物は、ステレオジェニック炭素原子周囲の置換基の立体配置によって、記号「(+)」、「(−)」、「R」または「S」により示され得るが、しかし当業者は、構造がキラル中心を暗黙のうちに意味する、と理解する。本発明は、これらの化合物の種々の立体異性体およびその混合物を包含する。エナンチオマーまたはジアステレオマーの混合物は、命名法で「(±)」と示され得るが、しかし当業者は、構造が暗黙のうちにキラル中心を意味し得ると理解する。
【0037】
本開示の化合物は、1つ以上の二重結合を含有し、したがって、炭素−炭素二重結合周囲の置換基の整列に起因する幾何異性体として存在し得る。記号は、本明細書中に記載されるような一重、二重または三重結合であり得る結合を意味する。炭素−炭素二重結合周囲の置換基は、「Z」または「E」立体配置であるとして示され、この場合、「Z」および「E」という用語はIUPAC標準に従って用いられる。別記しない限り、二重結合を示す構造は、「E」および「Z」異性体の両方を包含する。炭素−炭素二重結合周囲の置換基は、代替的には、「シス」または「トランス」として言及され得るが、この場合、「シス」は二重結合の同一側における置換基を表し、「トランス」は、二重結合の反対側における置換基を表す。
【0038】
本開示の化合物は、炭素環式または複素環式環を含有し、したがって、当該環周囲の置換基の整列に起因する幾何異性体として存在し得る。炭素環式または複素環式環周囲の置換基の整列は、「Z」または「E」立体配置であるとして示されるが、この場合、「Z」および「E」という用語はIUPAC標準に従って用いられる。別記しない限り、炭素環式または複素環式環を示す構造は、「Z」および「E」異性体の両方を包含する。炭素環式または複素環式環周囲の置換基は、「シス」または「トランス」としても言及され得るが、この場合、「シス」という用語は環の平面の同一側における置換基を表し、「トランス」という用語は、環の平面の反対側における置換基を表す。置換基が環の平面の同一および反対側の両方に配置される化合物の混合物は、「シス/トランス」で示される。
【0039】
本発明の化合物の個々のエナンチオマーおよびジアステレオマーは、不斉またはステレオジェニック中心を含有する市販の出発物質から合成的に、あるいはラセミ混合物の調製と、その後の当業者に周知の分割方法により、調製され得る。これらの分割方法は、(1)キラル補助とのエナンチオマーの混合物の結合、その結果生じるジアステレオマー混合物の、再結晶化またはクロマトグラフィーによる分離、ならびに補助からの光学的に純粋な生成物の遊離、(2)光学的に活性な分割剤を用いる塩形成、(3)キラル液体クロマトグラフィーカラム上での光学エナンチオマーの混合物の直接分離、あるいは(4)立体選択的化学または酵素試薬を用いる動的分割により例示される。ラセミ混合物は、さらにまた、周知の方法により、例えばキラル相液体クロマトグラフィーにより、またはキラル溶媒中で化合物を結晶化することにより、それらの構成成分エナンチオマーに分割され得る。立体選択的合成、単一反応体が新規立体中心の生成中または先在立体中心の変換中に立体異性体の不等混合物を形成する化学的または酵素的反応は、当該技術分野で周知である。立体選択的合成は、エナンチオ−およびジアステレオ選択的変換の両方を包含し、キラル補助の使用を伴い得る。例えば、Carreira and Kvaerno, Classics in Stereoselective Synthesis, Wiley−VCH: Weinheim, 2009を参照。
【0040】
本明細書中に開示される化合物は、水、エタノール等のような製薬上許容可能な溶媒を伴う溶媒和ならびに非溶媒和形態で存在し得り、本発明は、溶媒和および非溶媒和形態の両方を包含するよう意図される。一実施形態では、化合物は非晶質である。一実施形態では、化合物は単一多型である。別の実施形態では、化合物は多型の混合物である。別の実施形態では、化合物は結晶形態で存在する。
【0041】
本発明は、本明細書中に列挙されるものと同一である本発明の同位体標識化合物も包含するが、但し、天然に通常見出される原子質量または質量数と異なる原子質量を有する原子により1つ以上の原子が置き換えられるものは除く。本発明の化合物中に組み入れられ得る同位体の例としては、水素、炭素、窒素、酸素、リン、イオウ、フッ素および塩素の同位体、例えば、それぞれ
2H、
3H、
13C、
14C、
15N、
18O、
17O、
31P、
32P、
35S、
18Fおよび
36Clが挙げられる。例えば、本発明の化合物は、重水素と取り替えられる1つ以上のH原子を有し得る。
【0042】
ある同位体標識化開示化合物(例えば、
3Hおよび
14Cで標識されたもの)は、化合物および/または基質組織分布検定において有用である。トリチウム化(すなわち
3H)および炭素−14(すなわち
14C)同位体は、それらの易調製性および検出可能性のために、特に好ましい。さらに、より重い同位体、例えば重水素(すなわち
2H)による置換は、より大きい代謝安定性に起因するある治療的利点(例えば、in vivo半減期増大、または必要投与量低減)をもたらし、それゆえ、いくつかの環境において選択され得る。本発明の同位体標識化合物は、一般的に、非同位体標識試薬を同位体標識試薬に置き換えることにより、本明細書中の実施例に開示されるものと同様の手順に従って調製され得る。
【0043】
「プロドラッグ」という用語は、開示化合物、あるいはその化合物の製薬上許容可能な塩、水和物または溶媒和物を産生するためにin vivoで転換される化合物を指す。転換は、種々の場所で(例えば、小腸管腔で、あるいは小腸、血管または肝臓の通過時に)、種々の機序により(例えば、エステラーゼ、アミダーゼ、ホスファターゼ、酸化および/または還元代謝により)起こり得る。プロドラッグは、当該技術分野で周知である(例えば、Rautio, Kumpulainen, et al, Nature Reviews Drug Discovery 2008, 7, 255参照)。例えば、本発明の化合物、あるいはその化合物の製薬上許容可能な塩、水和物または溶媒和物がカルボン酸官能基を含有する場合、プロドラッグは、酸基の水素原子を、(C
1−8)アルキル、(C
2−12)アルキルカルボニルオキシメチル、4〜9個の炭素原子を有する1−(アルキルカルボニルオキシ)エチル、5〜10個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルキルカルボニルオキシ)−エチル、3〜6個の炭素原子を有するアルコキシカルボニルオキシメチル、4〜7個の炭素原子を有する1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、5〜8個の炭素原子を有する1−メチル−1−(アルコキシカルボニルオキシ)エチル、3〜9個の炭素原子を有するN−(アルコキシカルボニル)アミノメチル、4〜10個の炭素原子を有する1−(N−(アルコキシカルボニル)アミノ)エチル、3−フタリジル、4−クロトノラクトニル、ガンマ−ブチロラクトン−4−イル、ジ−N,N−(C
1−2)アルキルアミノ(C
2−3)アルキル(例えば、β−ジメチルアミノエチル)、カルバモイル−(C
1−2)アルキル、N,N−ジ(C
1−2)アルキルカルバモイル−(C
1−2)アルキルおよびピペリジノ−、ピロリジノ−またはモルホリノ(C
2−3)アルキルのような基で置き換えることにより形成されるエステルを含み得る。
【0044】
同様に、本発明の化合物がアルコール官能基を含有する場合、プロドラッグは、アルコール基の水素原子を、(C
1−6)アルキルカルボニルオキシメチル、1−((C
1−6)アルキルカルボニルオキシ)エチル、1−メチル−1−((C
1−6)アルキルカルボニルオキシ)エチル、(C
1−6)アルコキシカルボニルオキシメチル、N−(C
1−6)アルコキシカルボニルアミノメチル、スクシノイル、(C
1−6)アルキルカルボニル、α−アミノ(C
1−4)アルキルカルボニル、アリールアルキルカルボニルおよび−α−アミノアルキルカルボニル(ここで、α−アミノアルキルカルボニル基は、各々独立して、天然L−アミノ酸から選択される)、P(O)(OH)
2、−P(O)(O(C
1−6)アルキル)
2またはグリコシル(ヘミアセタール型の炭水化物のヒドロキシル基の除去に起因する基)のような基に取り替えることにより形成され得る。
【0045】
本発明の化合物がアミン官能基を組入れる場合、プロドラッグは、例えばアミドまたはカルバメート、N−アルキルカルボニルオキシアルキル誘導体、(オキソジオキソレニル)メチル誘導体、N−マンニッヒ塩基、イミンまたはエナミンの創製により、形成され得る。さらに、第二級アミンは代謝的に開裂されて、生理活性第一級アミンを生成し得り、または第三級アミンは代謝的に開裂されて、生理活性第一級または第二級アミンを生成し得る。例えば、Simplicio, et al., Molecules 2008, 13, 519およびその中の参考文献を参照。
I. 三環式化合物
【0046】
ある実施形態において、本発明は、式I:
【化2】
式I
(式中、Dは、5〜7員複素環式またはヘテロ芳香族環であり得り(ここで、環BおよびD間の共同の2つの原子のうちの一方は窒素であり、他方は炭素である);
Bは、4〜6員飽和または部分不飽和複素環式環であり得り(ここで、B環は、任意に、利用可能な炭素原子のいずれかにおいて1つ以上のフッ素原子により置換され得る);
Xは、以下の:
+−C(R
D1R
D2)−
*、
+−C(R
C1)=
*、
+−N=
*、
+−C(R
D1R
D2)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
C1)=C(R
C2)−
*、
+−W
1−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(O)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−C(R
D3R
D4)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(R
D3R
D4)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(O)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−W
2−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−W
2−C(O)−
*からなる群から選択され得り(ここで、
+および
*は、式Iで示されているようなXの結合点を示す);
Yは、以下の:
*−CH
2−
#、
*−CH
2−CH
2−
#、
*−CH
2−CH
2−CH
2−
#、
*−CH
2−O−CH
2−
#からなる群から選択され得り(ここで、
*および
#は、式Iで示されているようなYの結合点を示す);
W
1は、以下の:OまたはN(R
N1)からなる群から選択され得り;
W
2は、以下の:OまたはN(R
N2)からなる群から選択され得り;
Aは、以下の:フェニル、S、NまたはOから各々選択される1、2または3つの異種原子を有する5〜6員へテロアリール、および、NまたはOから各々選択される1、2または3つの異種原子を有する4〜7員複素環からなる群から選択される環であり得り;
R
A1は、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C
1−4アルキルまたはC
1−3アルコキシ(ここで、C
1−4アルキルまたはC
1−3アルコキシは、任意に、1つ以上のフッ素により置換され得る)からなる群から選択され得り;
nは、1または2であり得り;
R
A2は、以下の:水素、R
iR
jN−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリル−(NR
a)−からなる群から選択され得り(ここで、前記ヘテロシクリルは、任意に、R
gから選択される1つ以上の置換基により置換され得り;前記ヘテロシクリルが−NH部分を含有する場合、その窒素は、1つ以上の基R
hにより任意に置換され得る);あるいは
R
A2は、以下の:C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
3−6アルケニルオキシ、C
3−6アルキニルオキシ、C
3−6シクロアルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−SO
2−、C
1−6アルキル−SO
2−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−C
1−6アルキル−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−C
1−6アルキル−、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
3−6アルケニルオキシ、C
3−6アルキニルオキシ、C
3−6シクロアルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−SO
2−、C
1−6アルキル−SO
2−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−C
1−6アルキル−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−C
1−6アルキル−、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキルは、R
P、フェニル、フェノキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール−(NR
a)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシまたはヘテロシクリル−N(R
a)−により任意に置換され得り;そしてこの場合、前記へテロアリールまたはフェニルは、R
fから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得り;そして前記ヘテロシクリルは、R
gから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得り;ここで、前記ヘテロシクリルが−NH部分を含有する場合、その窒素は1つ以上の基R
hにより任意に置換され得る);
R
D1およびR
D2は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノまたはヒドロキシルから選択される基により任意に置換され得る);
R
D3およびR
D4は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、C
1−3アルキルまたはC
1−3アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルおよびC
1−3アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
D5およびR
D6は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
C1は、以下の:水素、ハロゲン、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子により任意に置換され得る);
R
C2は、以下の:水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
N1は、以下の:水素またはC
1−2アルキルからなる群から選択され;
R
N2は、以下の:水素、C
1−3アルキルまたはC
1−2アルキルカルボニルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルおよびC
1−2アルキルカルボニルは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
aおよびR
bは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素およびC
1−3アルキルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルは、以下の:フッ素、シアノ、オキソおよびヒドロキシルから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);あるいは
R
aおよびR
bは、それらが結合される窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択される付加的異種原子を有し得る4〜6員複素環式環を形成し得る(ここで、4〜6員複素環式環は、以下の:フッ素、シアノ、オキソまたはヒドロキシルからなる群から選択される1つ以上の置換基により炭素上で任意に置換され得る);
R
fは、各々の出現に関して独立して、以下の:R
P、水素、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−はR
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
gは、各々の出現に関して独立して、以下の:R
P、水素、オキソ、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−は、R
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
hは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルキル−S(O)
2−、C
1−6アルコキシカルボニル−、R
iR
jN−カルボニル−、R
iR
jN−SO
2−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルキル−S(O)
2−、C
1−6アルキルカルボニル−は、R
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
iおよびR
jは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、C
1−4アルキルおよびC
3−6シクロアルキルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−4アルキルおよびC
3−6シクロアルキルは、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、R
aR
bN−、R
aR
bN−カルボニル−、C
1−3アルコキシから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);あるいは
R
iおよびR
jは、それらが結合される窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択され、任意に、以下の:フッ素、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、R
aR
bN−、R
aR
bN−SO
2−、R
aR
bN−カルボニル−からなる群から選択される1つ以上の置換基により炭素上で置換され(ここで、前記C
1−6アルキルまたはC
1−6アルコキシは、フッ素、ヒドロキシルまたはシアノにより任意に置換され得る);そして以下の:C
1−6アルキル、R
aR
bN−カルボニル−からなる群から選択される1つ以上の置換基により窒素上で任意に置換される(ここで、前記C
1−6アルキルは、フッ素、ヒドロキシル、シアノにより任意に置換され得る)付加的異種原子を有し得る4〜7員複素環式環を形成し得り;
R
Pは、各々の出現に関して独立して、以下の:ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1−6アルコキシ、R
iR
jN−、R
iR
jN−カルボニル−、R
iR
jN−SO
2−、R
iR
jN−カルボニル−N(R
a)−からなる群から選択される)
の化合物、ならびにその製薬上許容可能な塩、立体異性体、エステルおよびプロドラッグを提供する。
【0047】
いくつかの実施形態では、Xは、以下の:
+−C(R
D1R
D2)−
*、
+−C(R
C1)=
*、
+−N=
*、
+−C(R
D1R
D2)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−O−C(R
D5R
D6)−
*、
+−N(R
N1)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−O−C(R
D3R
D4)−C(R
D5R
D6)−
*からなる群から選択される(ここで、
+および
*は、式Iで示されているようなXの結合点を示す)。例示的X部分は、以下の:
+−CH
2−
*、
+−CH=
*、
+−N=
*、
+−OCH
2−
*、
+−NHCH
2−
*および
+CH
2CH
2−
*からなる群から選択され得る(ここで、
+および
*は、式Iで示されているようなXの結合点を示す)。
【0048】
一実施形態では、R
D1、R
D2、R
C1およびR
N1は、各々の出現に関して独立して、水素およびメチルからなる群から選択され得る。例えば、R
D1、R
D2、R
C1およびR
N1は水素であり得る。
【0049】
ある実施形態では、R
D3、R
D4、R
D5およびR
D6は、各々の出現に関して独立して、水素、フッ素、シアノおよびC
1−2アルキルからなる群から選択され得る。例えば、R
D3、R
D4、R
D5およびR
D6は水素であり得る。
【0050】
一実施形態では、R
C2は、水素、ハロゲン、シアノおよびC
1−2アルキルからなる群から選択され得る。例えば、R
C2は水素であり得る。
【0051】
一実施形態では、R
N2は、水素およびC
1−2アルキルからなる群から選択され得る。例えば、R
N2は水素であり得る。
【0052】
ある実施形態では、環Dは、以下の:
【化3】
(式中、式Iで示されるように、
*および+はYとの結合点を示し、そして+はフェニル環およびB環との結合点を示す)
からなる群から選択され得る。意図された三環式コアの部分を構成し得る例示的D環としては、以下の:
【化4】
からなる群から選択されるものが挙げられる。いくつかの実施形態では、Yは、
*−CH
2−
#、
*−CH
2−CH
2−
#および
*−CH
2−O−CH
2−
#からなる群から選択される(ここで、
*および
#は、式Iで示されているようなYの結合点を示す)。例えば、Yは
*−CH
2−CH
2−
#であり得る(ここで、
*および
#は、式Iで示されているようなYの結合点を示す)。
【0053】
例えば、環Bは、ある実施形態では、以下の:
【化5】
(式中、式Iで示されるように、
*および#はYとの結合点を示す)
からなる群から選択され得る。意図された三環式コアの部分を構成し得る例示的B環としては、以下の:
【化6】
が挙げられ得る。
【0054】
本明細書中で提供されるのは、例えば、次式Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、IgおよびIh:
【化7】
により表される三環式化合物である。ある実施形態では、Aはフェニルであり得る。
【0055】
さらにまた本明細書中で提供されるのは、式II:
【化8】
式II
(式中、Dは、5〜7員複素環式またはヘテロ芳香族環であり得り(ここで、環BおよびD間の共同の2つの原子のうちの一方は窒素であり、他方は炭素である);
Bは、4〜6員飽和または部分不飽和複素環式環であり得り(ここで、B環は、任意に、利用可能な炭素原子のいずれかにおいて1つ以上のフッ素原子により置換され得る);
Xは、以下の:
+−C(R
D1R
D2)−
*、
+−C(R
C1)=
*、
+−N=
*、
+−C(R
D1R
D2)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
C1)=C(R
C2)−
*、
+−W
1−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(O)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−C(R
D3R
D4)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(R
D3R
D4)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−W
1−C(O)−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−W
2−C(R
D5R
D6)−
*、
+−C(R
D1R
D2)−W
2−C(O)−
*からなる群から選択され得り(ここで、
+および
*は、式Iで示されているようなXの結合点を示す);
Yは、以下の:
*−CH
2−
#、
*−CH
2−CH
2−
#、
*−CH
2−CH
2−CH
2−
#、
*−CH
2−O−CH
2−
#からなる群から選択され得り(ここで、
*および
#は、式Iで示されているようなYの結合点を示す);
W
1は、以下の:OまたはN(R
N1)からなる群から選択され得り;
W
2は、以下の:OまたはN(R
N2)からなる群から選択され得り;
R
A1は、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、ヒドロキシル、シアノ、ハロゲン、C
1−4アルキルまたはC
1−3アルコキシ(ここで、C
1−4アルキルまたはC
1−3アルコキシは、任意に、1つ以上のフッ素により置換され得る)からなる群から選択され得り;
nは、1または2であり得り;
R
A2は、以下の:水素、R
iR
jN−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリル−(NR
a)−からなる群から選択され得り(ここで、前記ヘテロシクリルは、任意に、R
gから選択される1つ以上の置換基により置換され得り;前記ヘテロシクリルが−NH部分を含有する場合、その窒素は、1つ以上の基R
hにより任意に置換され得る);あるいは
R
A2は、以下の:C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
3−6アルケニルオキシ、C
3−6アルキニルオキシ、C
3−6シクロアルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−SO
2−、C
1−6アルキル−SO
2−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−C
1−6アルキル−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−C
1−6アルキル−、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキル−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
3−6アルケニルオキシ、C
3−6アルキニルオキシ、C
3−6シクロアルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキル−N(R
a)−SO
2−、C
1−6アルキル−SO
2−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−C
1−6アルキル−、C
1−6アルキル−N(R
a)−カルボニル−C
1−6アルキル−、C
1−6アルコキシ−C
1−6アルキルは、R
P、フェニル、フェノキシ、ヘテロアリール、ヘテロアリールオキシ、ヘテロアリール−(NR
a)−、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシまたはヘテロシクリル−N(R
a)−により任意に置換され得り;そしてこの場合、前記へテロアリールまたはフェニルは、R
fから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得り;そして前記ヘテロシクリルは、R
gから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得り;ここで、前記ヘテロシクリルが−NH部分を含有する場合、その窒素は1つ以上の基R
hにより任意に置換され得る);
R
D1およびR
D2は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノまたはヒドロキシルから選択される基により任意に置換され得る);
R
D3およびR
D4は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、C
1−3アルキルまたはC
1−3アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルおよびC
1−3アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
D5およびR
D6は、各々独立して、以下の:水素、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
C1は、以下の:水素、ハロゲン、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子により任意に置換され得る);
R
C2は、以下の:水素、ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1−2アルキルまたはC
1−2アルコキシからなる群から選択され得り(ここで、C
1−2アルキルおよびC
1−2アルコキシは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
N1は、以下の:水素またはC
1−2アルキルからなる群から選択され得り;
R
N2は、以下の:水素、C
1−3アルキルまたはC
1−2アルキルカルボニルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルおよびC
1−2アルキルカルボニルは、1つ以上のフッ素原子、あるいはシアノ、ヒドロキシルまたはN(R
aR
b)から選択される基により任意に置換され得る);
R
aおよびR
bは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素およびC
1−3アルキルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−3アルキルは、以下の:フッ素、シアノ、オキソおよびヒドロキシルから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);あるいは
R
aおよびR
bは、それらが結合される窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択される付加的異種原子を有し得る4〜6員複素環式環を形成し得り(ここで、4〜6員複素環式環は、以下の:フッ素、シアノ、オキソまたはヒドロキシルからなる群から選択される1つ以上の置換基により炭素上で任意に置換され得る);
R
fは、各々の出現に関して独立して、以下の:R
P、水素、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
3−6シクロアルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−はR
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
gは、各々の出現に関して独立して、以下の:R
P、水素、オキソ、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−(ここで、wは0、1または2である)、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
2−6アルケニル、C
2−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシ、C
1−6アルキル−S(O)
w−、C
1−6アルキルカルボニル−N(R
a)−、C
1−6アルコキシカルボニル−N(R
a)−は、R
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
hは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルキル−S(O)
2−、C
1−6アルコキシカルボニル−、R
iR
jN−カルボニル−、R
iR
jN−SO
2−からなる群から選択され得り(ここで、C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6アルキニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルキル−S(O)
2−、C
1−6アルキルカルボニル−は、R
Pから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);
R
iおよびR
jは、各々の出現に関して独立して、以下の:水素、C
1−4アルキルおよびC
3−6シクロアルキルからなる群から選択され得り(ここで、C
1−4アルキルおよびC
3−6シクロアルキルは、フッ素、ヒドロキシル、シアノ、R
aR
bN−、R
aR
bN−カルボニル−、C
1−3アルコキシから選択される1つ以上の置換基により任意に置換され得る);あるいは
R
iおよびR
jは、それらが結合される窒素と一緒になって、O、SまたはNから選択され、任意に、以下の:フッ素、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、C
1−6アルキル、C
1−6アルコキシ、R
aR
bN−、R
aR
bN−SO
2−、R
aR
bN−カルボニル−からなる群から選択される1つ以上の置換基により炭素上で置換され(ここで、前記C
1−6アルキルまたはC
1−6アルコキシは、フッ素、ヒドロキシルまたはシアノにより任意に置換され得る);そして以下の:C
1−6アルキル、R
aR
bN−カルボニル−からなる群から選択される1つ以上の置換基により窒素上で任意に置換される(ここで、前記C
1−6アルキルは、フッ素、ヒドロキシル、シアノにより任意に置換され得る)付加的異種原子を有し得る4〜7員複素環式環を形成し得り;
R
Pは、各々の出現に関して独立して、以下の:ハロゲン、ヒドロキシル、シアノ、C
1−6アルコキシ、R
iR
jN−、R
iR
jN−カルボニル−、R
iR
jN−SO
2−、R
iR
jN−カルボニル−N(R
a)−からなる群から選択され得る)
により表される化合物、ならびにその製薬上許容可能な塩、立体異性体、エステルおよびプロドラッグである。
【0056】
ある実施形態では、式IIの三環式化合物のR
A1は、水素、ハロゲン、C
1−2アルキル、C
1−2アルコキシ(ここで、C
1−2アルキルは、任意に、1つ以上のフッ素により置換され得る)からなる群から選択され得る。例えば、R
A1は水素またはフッ素であり得る。
【0057】
別の実施形態では、式IIの三環式化合物のR
A2は、水素、R
iR
jN、ヘテロシクリル、C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6シクロアルキル、C
1−6アルコキシからなる群から選択され得る(ここで、前記ヘテロシクリルは、任意に、R
gから選択される1つ以上の置換基により置換され得り;前記ヘテロシクリルが−NH部分を含有する場合、その窒素は、1つ以上の基R
hにより任意に置換され得り;前記C
1−6アルキル、C
3−6アルケニル、C
3−6シクロアルキルおよびC
1−6アルコキシは1つ以上の基R
Pにより任意に置換され得る)。例えば、R
A2は、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル、3−(ピロリジン−1−イル)プロピル、(Z)−3−(N,N−ジエチルアミノ)プロプ−1−エニル、(Z)−3−(アゼチジン−1−イル)プロプ−1−エニル、(Z)−3−(ピロリジン−1−イル)プロプ−1−エニルからなる群から選択され得る。
【0058】
さらにまた本明細書中で提供されるのは、以下の:(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボン酸;(S)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボン酸;7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸;7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸;7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸;(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸;(S)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸;7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボン酸;(R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ−[a]ナフタレン−5−カルボン酸;6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボン酸からなる群から選択される化合物、ならびにその製薬上許容可能な塩、立体異性体、エステルおよびプロドラッグである。
【0059】
本明細書中に記載される化合物の製造方法を、スキーム1〜2を参照しながら以下で提供する。下記の反応においては、反応における望ましくない関与を回避するために、反応性官能基(例えば、ヒドロキシル、アミノ、チオまたはカルボキシル基)を保護することが必要であり得る。このような基の組入れ、およびそれらを導入し、除去するために必要とされる方法は、当業者に既知である(例えば、Greene, Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis. 2
nd Ed. (1999)参照)。脱保護ステップは、本明細書中に開示されるように、あるいは例えば以下で一般式Iで例示されるように、保護基の除去が式Iの化合物をもたらすよう、合成における最終ステップであり得る。以下のスキームで用いられる出発物質は、購入され得り、あるいは化学文献に記載された方法により、またはその適応により、当業者に既知の方法を用いて調製され得る。当該ステップが実施される順序は、導入される基、および用いられる試薬によって変わり得るが、しかし当業者には明らかである。
【0060】
一般式Iの三環式化合物を調製するために用いられる一般合成戦略は、スキーム1で示される。三環式系は、適切に置換され、保護されたフェニル環1Aから出発して、種々の方法で組み立てられ得る。基G’は、適切に保護されたカルボン酸、例えばメチル−またはtert−ブチルカルボキシレートであるか、あるいはカルボン酸に容易に転換され得る官能基、例えばニトリルまたはアルデヒドであり得る。基Gは、スルホンアミド基、あるいはその後、スルホンアミド基に転換され得る官能基、例えば適切に保護されたアニリンである。B’環は、置換フェニル環と直接結合されて、中間体1Bを生じ得るが、次いで、分子内反応によりD’環が形成されて、中間体1Eを生じ得る。代替的には、B’環は、リンカーX’を介して置換フェニル中間体1Aと結合されて中間体1Cを生じ、次に、分子内反応によりD’環が形成されて、中間体1Eを生じ得る。代替的には、D’環は、置換フェニル環上に集結されて中間体1Dを生じ、次いで、B’環が集合して中間体1Eを生じる。B’およびD’環に対する修飾は、必要とされる環系を提供するために必要であり得るが、これは、三環式コアの形成の前に、またはその後に実行され得る。式Iの化合物は、任意の保護基の除去により、中間体1Eから調製され得る。代替的には、一般式Iの化合物を生成するために、任意の保護基の除去の前に、Gでの修飾といったような1Eに対するさらなる修飾がなされ得る。合成過程における具体的ステップを、以下でさらに詳細に記載する。
【化9】
スキーム1
【0061】
スキーム1、ステップ(i)において、構造1Aの化合物は、一連の条件下で、構造1B’の化合物と連結され得る(ここで、B’は、1B型の化合物を得るための適切な環である)。B’環の導入は、多数のステップを、そして多数の中間体の調製を要し得る。保護基も必要とされ得る。
【0062】
R
1が適切な基(例えばハリドまたはトリフレート)である場合、炭素−窒素結合の形成により、1Aは1Bに転換され得る。炭素−窒素結合は、一連の条件下で形成され得る。例えば、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウムまたはトリス(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム)の存在下で、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、ホスフィン(例えば、BINAPまたはトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート)の存在下で、そして溶媒(例えばTHFまたはトルエン)中の塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたは炭酸セシウム)の存在下で、代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、1Aは1B’と反応され得る。
【0063】
代替的には、スキーム1、ステップ(i)において、室温〜溶媒の還流温度の温度で、銅触媒(例えば、銅またはヨウ化銅)の存在下で、塩基(例えば、炭酸カリウムまたはリン酸カリウム)の存在下で、任意に、溶媒(例えば、DMPU、DMFまたはトルエン)中の添加物(例えば、クラウンエーテル、例えば18−クラウン−6、あるいはリガンド、例えば1,10−フェナントロリンまたは1,4−ジアミノシクロヘキサン)の存在下で、1A(この場合、R
1は適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である)を1B’と反応することにより、代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、炭素−窒素結合は形成され得る。
【0064】
スキーム1、ステップ(iv)において、化合物1Bの基R
2およびR
3は、一緒に連結されて基X’を生じ、これがD’環を構成する。R
2またはR
3は、ステップ(i)中に保護基により遮蔽されており、基X’が形成される前に脱保護を要する。例えば、R
2がニトロ基である場合、その基は、例えば、安定な触媒(例えば、固体支持体、例えば炭素上のパラジウム)の存在下で水素を用いて、;あるいは無機還元剤(例えば、DMF中の塩化スズ(II))での処理により、還元されて、アミノ基を生じる。例えば、R
2またはR
3がヒドロキシアルキル基である場合、その基は、酸化剤(例えば、ジョーンズ試薬または二酸化マンガン)で処理されてアルデヒドを生じ;あるいは異なる酸化剤(例えば、過マンガン酸カリウム)で処理されて、カルボン酸を生じ得る。例えば、R
2またはR
3がアルデヒドデある場合、その基は、酸化剤(例えば、過マンガン酸カリウム)で処理されて、カルボン酸を生じるか、または還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)で処理されて、アルコールを生じ得る。例えばR
2またはR
3がケトンである場合、その基は、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)で処理されて第二級アルコールを生じ得る。例えば、R
2またはR
3がカルボン酸またはエステルである場合、その基は、還元剤(例えば、水素化アルミニウムリチウム)で処理されて、アルコールを生じ得る。例えばR
2またはR
3がアルケン基である場合、その基は、ボラン(例えば、9−ボロビシクロノナン)で処理され、その後、例えば過酸化水素で酸化されて、第一級または第二級アルコールを生じ得る。
【0065】
リンカーX’の形成は、当業者に既知の多数の方法で実行され得る。例えば、R
2がヒドロキシルで、R
3が−C(R
D5R
D6)OHまたは−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)OHである場合には、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)の存在下で、1Bは脱水剤(例えば、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D5R
D6)−または−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0066】
代替的には、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
3が−C(R
D5R
D6)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D5R
D6)−または−OC(R
D1R
D2)OC(R
D5R
D6)−である)。
【0067】
代替的には、R
2が−C(R
D1R
D2)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)で、R
3が−C(R
D5R
D6)OHである場合、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−C(R
D1R
D2)OC(R
D5R
D6)−である)。
【0068】
代替的には、R
2がヒドロキシルで、R
3が−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0069】
代替的には、R
2が−C(R
D1R
D2)Lで、R
3がカルボン酸である場合には、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−C(R
D1R
D2)OC(O)−である)。
【0070】
代替的には、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
3がカルボン酸またはカルボン酸エステルである場合には、1Bは、酸(例えば、塩酸)または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは無水酢酸)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)−または−C(R
D1R
D2)OC(O)−である)。
【0071】
代替的には、R
2がヒドロキシルで、R
3が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、1Bは、酸(例えば、塩酸)または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは無水酢酸)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0072】
代替的には、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
3がカルボン酸である場合には、カルボン酸が先ず混合無水物に(例えば、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下で、HATUで処理することにより)転換されて、その結果生じる混合無水物または活性化エステルは、さらに、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)−または−C(R
D1R
D2)OC(O)−である)。
【0073】
代替的には、R
2がヒドロキシルで、R
3が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、カルボン酸が先ず混合無水物に(例えば、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下で、HATUで処理することにより)転換されて、その結果生じる混合無水物または活性化エステルは、さらに、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)CR
D5R
D6)−である)。
【0074】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
3がカルボン酸である場合、カルボン酸は活性化エステルに(例えば、N−メチルモルホリンの存在下で、HATUおよび塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジン、あるいはTBTUで処理することにより)転換されて、その結果生じる活性化エステルは、さらに、塩基で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(O)−である)。
【0075】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
3が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合、カルボン酸は活性化エステルに(例えば、N−メチルモルホリンの存在下で、HATUおよび塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジン、あるいはTBTUで処理することにより)転換されて、その結果生じる活性化エステルは、さらに、塩基で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0076】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
3がカルボン酸である場合には、1Bは脱水剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(O)−である)。
【0077】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
3が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、1Bは脱水剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0078】
代替的には、スキーム1、ステップ(iv)において、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
3が−C(R
D5R
D6)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合には、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(R
D5R
D6)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(R
D5R
D6)−である)。
【0079】
代替的には、スキーム1、ステップ(iv)において、R
2が−NH(R
N1)で、R
3が−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合には、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0080】
代替的には、2つの基R
2またはR
3の一方がアルデヒドで、他方の基がホスホラン(例えば、アルキルトリフェニルホスホラン)またはアルキルホスホネート(例えば、アルキルホスホン酸ジエチルエステル)である場合には、1Bは、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたはヘキサメチルジシルアジ化ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’はアルケン(−C(R
C1)=C(R
C2)−である)。
【0081】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
3がアルデヒドまたはケトン(−C(O)(R
D5))である場合には、1Bは、塩素化溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)中で、任意に酸(例えば酢酸)の存在下で、室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)CH(R
D5)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)CH(R
D5)−である)。
【0082】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
3がアルデヒドまたはケトン(−C(R
D5R
D6)C(O)(R
D3))である場合には、1Bは、塩素化溶媒(例えば、1,2−ジクロロエタン)中で、任意に酸(例えば酢酸)の存在下で、室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)CH(R
D3)C(R
D5R
D6)−である)。
【0083】
代替的には、R
2が−NH
2で、R
3がオキソである場合には、1Bは、酸(例えば、p−トルエンスルホン酸)またはルイス酸(例えば、四塩化スズ)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N=である)。
【0084】
スキーム1、ステップ(ii)において、構造1Aの化合物は、1C’と反応して、リンカーX’を形成し、構造1Cの化合物を生じ得る。構造1Cを有する化合物におけるリンカーX’の形成は、多数のステップを、そして多数の中間体の調製を要し、そして保護基の使用も要し得る。
【0085】
例えば、R
2がヒドロキシル基で、R
4が−C(R
D5R
D6)OHまたは−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)OHである場合には、1Aおよび1C’は、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)の存在下で脱水剤(例えば、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D5R
D6)−または−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0086】
代替的には、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
4が−C(R
D5R
D6)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D5R
D6)−または−C(R
D1R
D2)OC(R
D5R
D6)−である)。
【0087】
代替的には、R
2がヒドロキシルで、R
4が−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲン、トシレートまたはトリフレート)である)である場合、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0088】
代替的には、スキーム1、ステップ(ii)において、R
2が−C(R
D1R
D2)Lで、R
4がカルボン酸である場合には、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−C(R
D1R
D2)OC(O)−である)。
【0089】
代替的には、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
4がカルボン酸またはカルボン酸エステルである場合には、1Aおよび1C’は、酸(例えば、塩酸)または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは無水酢酸)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)−または−C(R
D1R
D2)C(O)−である)。
【0090】
代替的には、R
2がヒドロキシルで、R
4が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、1Aおよび1C’は、酸(例えば、塩酸)または脱水剤(例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミドまたは無水酢酸)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0091】
代替的には、スキーム1、ステップ(ii)において、R
2がヒドロキシルまたは−C(R
D1R
D2)OHで、R
4がカルボン酸である場合には、カルボン酸は、アシルハロゲン化物に(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリルで処理することにより)、または混合無水物に(例えば、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下で、HATUで処理することにより、あるいはHOBTの存在下でジイソプロピルカルボジイミドで処理することにより)転換されて、次に、1Aおよび1C’が組み合わされて1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)−または−C(R
D1R
D2)C(O)−である)。
【0092】
代替的には、スキーム1、ステップ(ii)において、R
2がヒドロキシルで、R
4が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、カルボン酸は、アシルハロゲン化物に(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリルで処理することにより)、または混合無水物に(例えば、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、塩基、例えばジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下で、HATUで処理することにより、あるいはHOBTの存在下でジイソプロピルカルボジイミドで処理することにより)転換されて、次に、1Aおよび1C’が組み合わされて1Cを生じ得る(この場合、X’は−OC(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0093】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
4がカルボン酸である場合には、カルボン酸は、アシルハロゲン化物に(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリルで処理することにより)、または混合無水物に(例えば、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下でHATUで処理するか、またはHOBTの存在下でジイソプロピルカルボジイミドで処理することにより)転換されて、次に、1Aおよび1C’が組み合わされて1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(O)−である)。
【0094】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
4が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、カルボン酸は、アシルハロゲン化物に(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリルで処理することにより)、または混合無水物に(例えば、ジイソプロピルエチルアミンのような塩基の存在下で、塩化2,4,6−トリクロロベンゾイルで処理することにより)、または活性化エステルに(例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたはピリジンの存在下でHATUで処理するか、またはHOBTの存在下でジイソプロピルカルボジイミドで処理することにより)転換されて、次に、1Aおよび1C’が組み合わされて1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0095】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
4がカルボン酸である場合には、1Aおよび1C’は、組み合わされ、脱水剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(O)−である)。
【0096】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
4が−C(R
D5R
D6)CO
2Hである場合には、1Aおよび1C’は、組み合わされ、脱水剤(例えば、ジイソプロピルカルボジイミド)で処理されて、1Eを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(O)C(R
D5R
D6)−である)。
【0097】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
4が−C(R
D5R
D6)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲンまたはトリフレート)である)である場合には、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(R
D5R
D6)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)C(R
D5R
D6)−である)。
【0098】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
4が−C(R
D5R
D6)C(R
D3R
D4)L(ここで、Lは脱離基(例えば、ハロゲンまたはトリフレート)である)である場合には、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンまたは炭酸カリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である)。
【0099】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)または−C(R
D1R
D2)NH(R
N2)で、R
4がアルデヒドまたはケトン(−C(O)(R
D5))である場合には、1Aおよび1C’は、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタン)中で、任意に酸(例えば酢酸)の存在下で、室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下で、一緒に反応して、1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)CH(R
D5)−または−C(R
D1R
D2)N(R
N2)CH(R
D5)−である)。
【0100】
代替的には、R
2が−NH(R
N1)で、R
4がアルデヒドまたはケトン(−C(R
D5R
D6)C(R
D3)(O))である場合には、1Aおよび1C’は、塩素化溶媒(例えば、ジクロロメタンまたは1,2−ジクロロエタン)中で、任意に酸(例えば酢酸)の存在下で、室温〜溶媒の還流温度の間の温度で、還元剤(例えば、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)の存在下で、一緒に反応して、1Cを生じ得る(この場合、X’は−N(R
N1)CH(R
D3)C(R
D5R
D6)−である)。
【0101】
代替的には、2つの基R
2またはR
4の一方がアルデヒドで、他方の基がホスホラン(例えば、アルキルトリフェニルホスホラン)またはアルキルホスホネート(例えば、アルキルホスホン酸ジエチルエステル)である場合には、1Aおよび1C’は、塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたはヘキサメチルジシルアジ化ナトリウム)で処理されて、1Cを生じ得る(この場合、Xはアルケン(−C(R
C1)=C(R
C2)−である)。
【0102】
代替的には、R
2が適切な脱離基(例えば、ハリドまたはトリフレート)で、R
4が末端アルキンである場合には、1Aおよび1C‘は、パラジウム触媒(例えば、テトラキス−トリフェニルホスフィンパラジウム(0))の存在下で、任意に添加物(例えば、ヨウ化銅(I))の存在下で、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばDMF)中の塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、一緒に反応して、1Cを生じ得る(この場合、Xはアルキン(−C≡C−)である)。
【0103】
代替的には、R
2が脱離基(例えば、ハリドまたはトリフレート)で、R
4がアルキニルスタンナンである場合には、1Aおよび1C‘は、パラジウム触媒(例えば、ビス−トリフェニルホスフィンパラジウムクロリド)の存在下で、任意に溶媒(例えば、DMF)中の添加物(例えば、塩化リチウム)の存在下で、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、一緒に反応して、1Cを生じ得る(この場合、Xはアルキン(−C≡C−)である)。
【0104】
中間体アルキンは、溶媒(例えば、エタノールまたは酢酸エチル)中の触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下で、水素添加により還元されて、1Cを生じ得る(この場合、Xは−CH
2CH
2−である)。
【0105】
スキーム1、ステップ(v)において、構造1Eの化合物は、種々の条件下で、炭素−窒素結合の形成により構造1Cの化合物から調製され得る。D’環を形成するためには、反応前に任意の保護基を除去することが必要であり得る。
【0106】
例えば、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、ホスフィン(例えば、BINAPまたはトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート)の存在下で、そして溶媒(例えばTHFまたはトルエン)中の塩基(例えば、ナトリウムtert−ブトキシドまたは炭酸セシウム)の存在下で、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウムまたはトリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム)で1C(この場合、R
1は適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である)を処理することにより、代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、炭素−窒素結合が形成されて、構造1Eの化合物を生じ得る。
【0107】
代替的には、スキーム1、ステップ(v)において、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばDMPU、DMFまたはトルエン)中の塩基(例えば、炭酸カリウムまたはリン酸カリウム)の存在下で、任意に添加物(例えば、クラウンエーテル、例えば18−クラウン−6、またはリガンド、例えば1,10−フェナントロリンまたは1,4−ジアミノシクロヘキサン)の存在下で、銅触媒(例えば、銅またはヨウ化銅)で1C(この場合、R
1は適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である)を処理することにより、代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、炭素−窒素結合が形成されて、構造1Eの化合物を生じ得る。
【0108】
スキーム1、ステップ(iii)において、構造1Aの化合物は、構造1Dの化合物に転換され得る(この場合、D’は、6または7員縮合複素環式環であり、R
5およびR
6は、B’環を形成するために用いられ得る適切な官能基である)。構造1Aの置換フェニル環から構造1Dの二環式化合物を生成するための方法は、当業者によく知られている(Comprehensive Heterocyclic Chemistry Ed.: Katritzky, Ramsden, Scriven, and Taylor, Elsevier, 2008参照)。
【0109】
構造1Aの化合物は、構造1Dの化合物の形成に向けて中間体を提供するために、基R
1および/またはR
2を修飾することにより、構造1Aの他の化合物に転換され得る。例えば、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば,boc−保護化アミノ基)で、R
2がヒドロキシル基である場合には、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えば、アセトンまたはDMF)中の塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で、1Aはハロ置換アルキルケトン(例えば、BrCH
2C(O)R
6)と反応されて、構造1Aの化合物(この場合、R
1はニトロ基または保護化アミノ基(例えば,boc−保護化アミノ基)で、R
2はO−アルキルケトン(例えば、−OCH
2C(O)R
6)である)を生じ得る。
【0110】
代替的には、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2が適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンまたはトリ−o−トリルホスフィン)の存在下で、パラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム)の存在下で、そして溶媒(例えばアセトニトリルまたはTHF)中の塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、α,β−不飽和ケトン(例えば、ビニルケトン)と反応され得るか、あるいは代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がα,β−不飽和ケトン(例えば、−CH=CHC(O)R
6)である構造1Aの化合物を生じ得る。
【0111】
代替的には、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がアルデヒドである構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばTHFまたはDMF)中の塩基(例えば、水素化ナトリウムまたは炭酸カリウム)の存在下で、アルキルケトンと反応して、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がα,β−不飽和ケトン(例えば、−CH=CHC(O)R
6)である構造1Aの化合物を生じ得る。
【0112】
代替的には、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がアルデヒドである構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばTHF)中の塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウム)の存在下で、ケトンを混入するホスホランまたはアルキルホスホネートと反応して、R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がα,β−不飽和ケトン(例えば、−CH=CHC(O)R
6)である構造1Aの化合物を生じ得る。
【0113】
R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がα,β−不飽和ケトン(例えば、−CH=CHC(O)R
6)である中間体は、さらに、例えば、溶媒(例えばエタノール、酢酸エチルまたはジオキサン)中の触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下で、水素添加により還元されて、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)で、R
2がアルキルケトン(例えば、−CH
2CH
2C(O)R
6)である対応する中間体を生じ得る。
【0114】
代替的には、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−またはトリフルオロアセチル−保護化アミノ基)で、R
2が適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばアセトニトリル、THFまたはDMF)中のパラジウム触媒(例えば、酢酸パラジウム)、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、任意に銅塩(例えば、ヨウ化銅)の存在下で、適切に置換された末端アセチレンと反応され得るか、あるいは代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−またはトリフルオロアセチル−保護化アミノ基)で、R
2が置換アルキン(例えば、−C≡CR
6)である構造1Aの異なる化合物を生じ得る。
【0115】
代替的には、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−またはトリフルオロアセチル−保護化アミノ基)で、R
2が適切な基(例えば、ハリドまたはトリフレート)である構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばTHFまたはジオキサン)中のホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィンまたはトリ−tert−ブチルホスホニウム テトラ−フルオロボレート)の存在下で、パラジウム触媒(例えば、テトラキス−トリフェニルホスフィンまたはトリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム)の存在下で、適切に置換されたアルキニルスタナンと反応され得るか、あるいは代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−またはトリフルオロアセチル−保護化アミノ基)で、R
2が置換アルキン(例えば、−C≡CR
6)である構造1Aの化合物を生じ得る。
【0116】
R
1がニトロ基または保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)である構造1Aの化合物は反応して、R
1がアミノ基である対応する化合物を生成し得る。例えば、酸(例えば塩酸または酢酸)中で金属または金属塩(例えば、鉄、亜鉛またはスズ塩化物)で処理することにより、ニトロ基はアミノ基に還元され得る。代替的には、R
1が保護化アミノ基(例えば、boc−保護化アミノ基)である場合、室温と溶媒の還流温度の間の温度で、溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジオキサン)中の酸(例えば、トリフルオロ酢酸または塩化水素)で処理することにより、保護基は除去され得る。
【0117】
スキーム1、ステップ(iii)において、R
1がアミノ基で、R
2がケトン含有基(例えば、O−アルキルケトン、例えば−OC(R
D5R
D6)C(O)R
6または−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)C(O)R
6またはアルキルケトン、例えば−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(O)R
6または−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)C(O)R
6)である構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えば1,2−ジクロロエタン)中で、任意に酸(例えば酢酸)の存在下で、還元剤(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたはシアノ水素化ナトリウム)で処理することにより、X’が−O−C(R
D5R
D6)−、−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−、−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)−または−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である構造1Dの化合物に転換され得る。
【0118】
代替的には、スキーム1、ステップ(iii)において、R
1がニトロ基で、R
2がケトン含有基(例えば、O−アルキルケトン、例えば−OC(R
D5R
D6)C(O)R
6または−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)C(O)R
6またはアルキルケトン、例えば−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(O)R
6または−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)C(O)R
6)である構造1Aの化合物は、溶媒(例えばエタノールまたは酢酸エチル)中で、金属触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下での水素添加により、X’が−O−C(R
D5R
D6)−、−OC(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−、−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)−または−C(R
D1R
D2)C(R
D3R
D4)C(R
D5R
D6)−である構造1Dの化合物に転換され得る。
【0119】
代替的には、スキーム1、ステップ(iii)において、R
1が保護化アミノ基(例えば、アセトアミドまたはトリフルオロアセトアミド)で、R
2が置換アルキンである構造1Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、任意に溶媒(例えばアセトニトリルまたはNMP)中のパラジウム触媒(例えば、パラジウムテトラキス−(トリフェニルホスフィン)またはトリス−(ジベンジリデン)−ジパラジウム)の存在下で、任意に、銅触媒(例えば、ヨウ化銅)の存在下で、塩基(例えば、炭酸カリウム、炭酸セシウムまたはカリウムtert−ブトキシド)で処理することにより、あるいは代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、X’が−CH=である構造1Dの化合物に転換され得る。
【0120】
X’が−CH=である構造1Dの化合物は、還元剤で処理することにより、X’が−CH
2−である構造1Dの他の化合物に転換され得る。例えば、X’が−CH=である構造1Dの化合物は、溶媒(例えば、エタノールまたは酢酸エチル)中のパラジウム触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウムまたは水酸化パラジウム)を用いて水素添加されて、X’が−CH
2−である構造1Dの化合物を生じ得る。代替的には、X’が−CH=である構造1Dの化合物は、溶媒、例えば酢酸またはトリフルオロ酢酸中、還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウムまたはトリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム)で処理することにより、X’が−CH
2−である構造1Dの他の化合物に転換され得る。
【0121】
スキーム1、ステップ(vi)において、構造1Dの化合物は、基R
5およびR
6間の反応により、B’環を構成する構造1Eの化合物に転換される。いくつかの場合には、必要な環系を生成し得るために、1D中の基R
5およびR
6に対する修飾が必要とされ得る。反応前に種々の官能基が保護されること、または反応前に既に存在する保護基を除去することが必要であり得る、と当業者は理解する。
【0122】
例えば、スキーム1、ステップ(vi)において、R
5がHで、R
6が、脱離基、例えば−CH
2CH
2L、−CH
2CH
2CH
2Lまたは−CH
2CH
2CH
2CH
2L(ここで、Lは脱離基、例えばハリドまたはスルホネート、例えばメシレートまたはトシレートである)により置換されるアルキル基である場合には、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えば、THFまたはDMF)中の塩基(例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムメトキシドまたは炭酸カリウム)で1Dは処理されて、B’環がアゼチジン、ピロリジンまたはピペリジンである構造1Eの化合物を生じ得る。
【0123】
代替的には、スキーム1、ステップ(vi)において、R
5が、脱離基、例えば−CH
2CH
2L、−CH
2CH
2CH
2Lまたは−CH
2CH
2CH
2CH
2L(ここで、Lは脱離基、例えばハリド、例えば臭化物またはヨウ化物である)により置換されるアルキル基で、R
6がベンゼンスルホニル基である場合には、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばトルエン)中の例えば、水素化トリブチルスズおよびアゾ−ビス−イソブチリオ二トリルで、ラジカル条件下で、1Dは処理されて、B’環がアゼチジン、ピロリジンまたはピペリジンである構造1Eの化合物を生じ得る。
【0124】
代替的には、スキーム1、ステップ(vi)において、R
5がCH
2CH
2OHで、R
6がCH
2L(ここで、Lは脱離基、例えばハリドまたはスルホネート、例えばメシレートまたはトシレートである)であるか、あるいはR
5がCH
2CH
2Lで、R
6がCH
2OHである場合には、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばジクロロメタン、THFまたはDMF)中の塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウムまたは水素化ナトリウム)で、1Dは処理されて、B’環がモルホリンである構造1Eの化合物を生じ得る。
【0125】
スキーム1、ステップ(vii)において、一般構造1Eの化合物は、カルボン酸への基G’の転換により、一般式Iの化合物に転換され得る。基G’がカルボン酸エステル(例えば、メチル、tert−ブチルまたはベンジルエステル)である場合には、種々の試薬および条件が用いられて、1Eが一般式Iの化合物に転換され得る。例えば、G’がメチル、エチルまたはベンジルエステルである場合、それは、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えば、メタノール、ジオキサンまたは水、あるいはその混合物)中の無機塩基(例えば、水酸化リチウムまたは水酸化ナトリウム)で処理することにより、あるいは代替的には、120〜180℃の温度でマイクロ波中で照射することにより、カルボン酸に転換され得る。代替的には、G’がベンジルエステルである場合には、それは、溶媒(例えば、ジオキサンまたは酢酸エチル)中で、触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下での水素添加により、カルボン酸に転換され得る。代替的には、G’がtert−ブチルエステルである場合、それは、溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジオキサン)中で酸(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸または塩化水素)で処理することにより、カルボン酸に転換され得る。
【0126】
代替的には、G’がニトリルである場合、それは、適切な条件下で(例えば、加熱、例えば還流での加熱)、水性酸(例えば、無機酸、例えば塩酸)で処理することにより、;あるいは適切な条件下で(例えば加熱、例えば還流での加熱)、水性塩基(例えば、水性水酸化物、例えば水性水酸化ナトリウム)で処理することにより、カルボン酸に転換され得る。
【0127】
代替的には、G’がアルデヒドまたはヒドロキシメチル部分である場合には、それは、適切な酸化試薬(例えば、過マンガン酸カリウムまたはクロム酸)で処理することにより、カルボン酸に転換され得る。
【0128】
基Gを修飾するための一般的合成戦略は、スキーム2で示される。G基は、三環式環系の集合の前、最中または後に、導入されおよび/または修飾されうる。スルホンアミドを集合するために用いられる具体的ステップは、以下でさらに詳細に記載される。
【化10】
スキーム2
【0129】
スキーム2において、星印は、基R
1およびR
2の存在(スキーム1に示したものと同じ)、またはD’およびB’環の存在を、あるいは環の調製に向けての中間体(スキーム1に示したものと同じ)を意味する。
【0130】
スキーム2、ステップ(i)において、Gがニトロ基である構造2Aの化合物は、溶媒(例えば、エーテル、例えばテトラヒドロフラン、あるいはアルコール、例えばメタノールまたはエタノール)中で、金属触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下で、還元することにより、例えば触媒的に水素添加することにより、化合物2Bに転換され得る。代替的には、Gがニトロ基である構造2Aの化合物は、化学的還元により構造2Bの化合物に転換され得る。例えば、還元は、酸(例えば、塩酸または酢酸)の存在下で、金属または金属塩(例えば、鉄、亜鉛またはスズ(II)塩化物)を用いて達成され得る。
【0131】
スキーム2、ステップ(i)において、Gが保護化アミノ基である構造2Aの化合物は、保護基の除去により構造2Bの化合物に転換され得る。アミノ基に関する保護基は当業者に周知であり、それらの除去方法も同じくよく知られている(例えば、Greene, Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis. 2nd Ed. (1999)参照)。例えば、Gがアミノ基(1または2つのBoc基で保護される)である構造2Aの化合物は、溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジオキサン)中の酸(例えばトリフルオロ酢酸、蟻酸または塩化水素)で処理することにより、構造2Bの化合物に転換され得る。
【0132】
代替的には、スキーム2、ステップ(i)において、Gがピバロイル保護化アニリンである構造2Aの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、溶媒(例えばメタノール)中の酸(例えば、濃硫酸)で処理することにより、構造2Bの化合物に転換され得る。
【0133】
スキーム2、ステップ(ii)において、構造2Bの化合物は、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な溶媒(例えば、ジクロロメタンまたはジメチルホルムアミド)中で、適切な塩基(例えば、ピリジン、ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸セシウム)の存在下で、適切なスルホニルクロリド(例えば、置換または非置換ベンゼンスルホニルクロリド)または活性化スルホン酸エステル(例えば、ペンタフルオロフェニルスルホン酸エステル)で処理することにより、構造2Cの化合物に転換され得る。
【0134】
式Iのいずれか、または例えば上記のような一般式Iの化合物、あるいは上記スキームで記載された中間体のいずれかは、さらに、当業者に既知の1つ以上の標準合成方法を用いて誘導体化され得る。このような方法は、置換、酸化または還元反応を包含し得る。これらの方法は、適切な官能基を修飾し、導入し、または除去することにより、一般式Iの化合物、または任意の先行中間体を獲得するかまたは修飾するためにも用いられ得る。特定の置換アプローチとしては、アルキル化、アリール化、ヘテロアリール化、アシル化、チオアシル化、ハロゲン化、スルホニル化、窒化、ホルミル化、加水分解およびカップリング手法が挙げられる。これらの手法は、親分子上に官能基を導入するために(例えば、芳香族環の窒化またはスルホニル化)、または2つの分子を一緒に連結するために(例えば、アミンをカルボン酸と連結して、アミドを生成するために;または2つの複素環の間に炭素−炭素結合を形成するために)、用いられ得る。例えば、アルコールまたはフェノール基は、ホスフィン(例えば、トリフェニルホスフィン)および脱水剤(例えば、ジエチル、ジイソプロピルまたはジメチルアゾジカルボキシレート)の存在下で、溶媒(例えばテトラヒドロフラン)中でフェノールをアルコールと連結することにより、エーテル基に転換され得る。代替的には、エーテル基は、適切な塩基(例えば水素化ナトリウム)を用いてアルコールを脱プロトン化し、その後、アルキル化剤(例えば、アルキルハリドまたはアルキルスルホネート)を付加することにより、調製され得る。
【0135】
別の例では、第一級または第二級アミンは、還元的アルキル化手法を用いてアルキル化され得る。例えば、アミンは、溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、またはアルコール、例えばエタノール)中で、必要な場合は、酸(例えば酢酸)の存在下で、アルデヒドおよび水素化ホウ素(例えば、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、またはシアノ水素化ホウ素ナトリウム)で処理され得る。
【0136】
別の例では、ヒドロキシ基(フェノール性OH基を含む)は、当業者に既知の条件を用いて、脱離基、例えばハロゲン原子またはスルホニルオキシ基(例えば、アルキルスルホニルオキシ、例えばトリフルオロメタンスルホニルオキシ、またはアリールスルホニルオキシ、例えばp−トルエンスルホニルオキシ)に転換され得る。例えば、脂肪族アルコールは、ハロゲン化炭化水素(例えばジクロロメタン)中で塩化チオニルと反応して、対応するアルキル塩化物を生成し得る。塩基(例えばトリエチルアミン)も、当該反応に用いられ得る。
【0137】
別の例では、エステル基は、エステル基の性質によって、酸または塩基触媒加水分解により対応するカルボン酸に転換され得る。酸触媒加水分解は、有機または無機酸(例えば、水性溶媒中のトリフルオロ酢酸、またはジオキサンのような溶媒中の塩酸のような無機酸)で処理することにより達成され得る。塩基触媒加水分解は、アルカリ金属水酸化物(例えば、水性アルコール、例えばメタノール中の水酸化リチウム)で処理することにより達成され得る。
【0138】
別の例では、化合物中の芳香族ハロゲン置換基は、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン)中で、任意に低温(例えば−78℃)で、塩基(例えば、リチウム塩基、例えばn−ブチルまたはtert−ブチルリチウム)で処理することにより、ハロゲン−金属交換に付され、次いで、混合物は、所望の置換基を導入するために求電子剤でクエンチされ得る。したがって、例えばホルミル基は、求電子剤としてジメチルホルムアミドを用いることにより、導入され得る。芳香族ハロゲン置換基は、カルボン酸、エステル、シアノまたはアミノ置換基のような基を導入するために、パラジウム触媒反応にも付され得る。
【0139】
別の例では、適切な脱離基(例えば、ハロゲンまたはスルホニルエステル、例えばトリフレート)で置換されるアリールまたはヘテロアリール環は、広範な種々の基質とのパラジウム触媒カップリング反応を受けて、炭素−炭素結合を形成し得る。例えば、ヘック反応を用いて、このような環系を、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な溶媒(例えば、THFまたはDMF)中で、塩基(例えば、炭酸カリウムまたは第三級アミン、例えばトリエチルアミン)の存在下で、リガンド(例えば、ホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン)の存在下で、有機パラジウム錯体(例えば、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウム(II)または塩化パラジウム(II))で処理することにより(さらに置換されることもされないこともある)アルケンと連結し得る。別の例では、薗頭反応を用いて、このような環系を、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な溶媒(例えば、THFまたはDMF)中で、塩基(例えば、炭酸カリウムまたは第三級アミン、例えばトリエチルアミン)の存在下で、パラジウム錯体(例えば、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよび銅(I)のハリド塩(例えば、ヨウ化銅(I))で処理することにより(さらに置換されることもされないこともある)アルキンと連結し得る。別の例では、スティル反応を用いて、室温と溶媒の還流温度との間の温度で、適切な溶媒(例えば、ジオキサンまたはDMF)中で、塩(例えば、ハロゲン化銅(I))の存在下または非存在下で、パラジウム錯体(例えば、テトラキス−(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0))の存在下で、有機スズ化合物(例えば、アルケニルスズまたはアルキニルスズ試薬、例えばアルケニルトリブチルスタンナン)で処理することによりアルケンまたはアルキンと連結し得る。
【0140】
特定の酸化アプローチとしては、脱水素化および芳香族化、脱カルボキシル化およびある官能基への酸素の付加が挙げられる。例えば、アルデヒド基は、当業者に周知の条件を用いて、対応するアルコールの酸化により調製され得る。例えば、アルコールは、溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン)中で、酸化剤(例えばデス・マーチン・ペルヨージナン)で処理され得る。代替的酸化条件、例えば塩化オキサリルおよび活性化量のジメチルスルホキシドで処理し、その後、アミン(例えばトリエチルアミン)の付加によりクエンチするという条件が用いられ得る。このような反応は、適切な溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン)中で、適切な条件(例えば、室温より低く、例えば−78℃に冷却し、その後、室温に暖める)下で、実行され得る。別の例では、周囲温度で、不活性溶媒(例えば、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン)中で、酸化剤(例えば、ペルオキシ酸、例えば3−クロロペルオキシ安息香酸)を用いて、イオウ原子が対応するスルホキシドまたはスルホンに酸化され得る。
【0141】
特定の還元アプローチとしては、特定の官能基からの酸素原子の除去、または不飽和化合物、例えば芳香族またはヘテロ芳香族環の飽和(または部分飽和)が挙げられる。例えば、金属水素化物(例えば、メタノールのような溶媒中の水素化アルミニウムリチウムまたは水素化ホウ素ナトリウム)を用いて、還元により、対応するエステルまたはアルデヒドから第一級アルコールが生成され得る。代替的には、金属水素化物(例えば、THFのような溶媒中の水素化アルミニウムリチウム)を用いて、還元により、対応するカルボン酸からCH
2OH基が生成され得る。別の例では、溶媒(例えば、エーテル、例えばTHF、またはアルコール、例えばメタノール)中で、金属触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム)の存在下での触媒的水素添加により、あるいは酸(例えば、酢酸または塩酸)の存在下で、金属(例えば亜鉛、スズまたは鉄)を用いた化学的還元により、ニトロ基がアミンに還元され得る。さらなる一例では、ニトリルの還元により、例えば溶媒(例えばTHF)中で、適切な条件(例えば、室温より低く、例えば−78℃に冷却するか、または例えば還流加熱する)下での、金属触媒(例えば、炭素のような固体支持体上のパラジウム、またはラネー・ニッケル)の存在下での触媒的水素添加により、アミンが得られる。
【0142】
一般式Iの化合物の塩は、慣用的手法を用いて、適切な溶媒または溶媒の混合物(例えば、エーテル、例えばジエチルエーテル、またはアルコール、例えばエタノール、あるいは水性溶媒)中で、一般式Iの化合物と適切な酸または塩基とを反応させることにより調製され得る。当業者に既知の方法を用いて、例えば慣用的イオン交換クロマトグラフィー法により、一般式Iの化合物の塩は、他の塩と交換され得る。
【0143】
一般式Iの化合物の特定のエナンチオマーを得ることが所望される場合、これは、当業者に既知のエナンチオマーを分離するための任意の適切な慣用的手法を用いることにより、エナンチオマーの対応する混合物から生成され得る。例えば、一般式Iの化合物のエナンチオマー(例えばラセミ体)と適切なキラル化合物(例えばキラル塩基)の混合物の反応により、ジアステレオマー誘導体(例えば塩)が生成され得る。次いで、ジアステレオマーは任意の慣用的手段、例えば結晶化またはクロマトグラフィーにより分離され、所望のエナンチオマーが回収され得る(例えば、ジアステレオマーが塩である場合、酸で処理することにより)。代替的には、エステルのラセミ混合物は、種々の生体触媒を用いて、動的加水分解により分割され得る(例えば、Patel Stereoselective Biocatalysts, Marcel Decker; New York 2000参照)。
【0144】
別の分割工程では、一般式Iの化合物のラセミ体は、キラル高速液体クロマトグラフィーを用いて分離され得る。代替的には、上記の製法のうちの1つにおいて適切なキラル中間体を用いることにより、特定のエナンチオマーが得られる。クロマトグラフィー、再結晶化およびその他の慣用的分離手法も、中間体または最終産物を伴って用いられ得るが、この場合、本発明の特定の幾何異性体を得ることが所望される。
II. 方法
【0145】
本発明の別の態様は、MetAP2の活性を調整する方法を提供する。このような方法は、本明細書中に記載される化合物に上記受容体を曝露することを包含する。いくつかの実施形態では、前記方法のうちの1つ以上により利用される化合物は、本明細書中に記載されるジェネリック、亜ジェネリックまたは具体的化合物のうちの1つ、例えば、式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、IgまたはIIの化合物である。MetAP2を調整するかまたは抑制する本明細書中に記載される化合物の能力は、当該技術分野で既知の、および/または本明細書中に記載される手法により評価され得る。本発明の別の態様は、患者におけるMetAP2の発現または活性に関連した疾患を処置する方法を提供する。例えば、意図される方法は、例えば患者における血管形成を低減するためには不十分な量で開示化合物を投与することにより、患者におけるチオレドキシン産生を増大するために、そして被験体における抗肥満過程の多臓器刺激を誘導するために有効な細胞内MetAP2の抑制を確立するのに十分な量で、開示化合物を投与することを包含する。
【0146】
ある実施形態では、本発明は、有効量の開示化合物を投与することにより、患者における肥満症を処置するかおよび/または改善する方法を提供する。さらにまた、それを必要とする患者における体重減少を誘導するための方法が本明細書中で提供される。意図される患者としては、ヒトだけでなく動物、例えば伴侶動物(例えば、イヌ、ネコ)も挙げられる。
【0147】
その他の意図される処置方法としては、被験体に本明細書中で開示される化合物を投与することにより、肥満関連症状または共存症を処置するかまたは改善する方法を包含する。例えば、それを必要とする患者における2型糖尿病を処置するための方法が、本明細書で意図される。
【0148】
例示的共存症としては、心臓障害、内分泌障害、呼吸器障害、肝障害、骨格障害、精神医学的障害、代謝障害および生殖障害が挙げられる。
【0149】
例示的心臓障害としては、高血圧症、異脂肪血症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、卒中、静脈血栓塞栓性疾患および肺高血圧症が挙げられる。例示的内分泌障害としては、成人における2型糖尿病および潜在性自己免疫性糖尿病が挙げられる。例示的呼吸器障害としては、肥満低換気症候群、喘息および閉塞性睡眠時無呼吸が挙げられる。例示的肝障害は、非アルコール性脂肪肝疾患である。例示的骨格障害としては、背部痛および体重支持関節の骨関節炎が挙げられる。例示的代謝障害としては、プラダー・ウィリー症候群および多嚢胞性卵巣症候群が挙げられる。例示的生殖障害としては、性機能不全、勃起機能不全、不妊症、産科学的合併症および胎児異常が挙げられる。例示的精神医学的障害としては、体重関連性抑うつおよび不安が挙げられる。
【0150】
特に、ある実施形態では、本発明は、上記の医学的適応症を処置する方法であって、それを必要とする被験体に、治療的有効量の本明細書中に記載される化合物、例えば式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、IgまたはIIの化合物を投与することを包含する方法を提供する。
【0151】
肥満症または「過剰体重」への言及は、除脂肪体重に対する比率で過剰な脂肪を指す。過剰な脂肪蓄積は、脂肪組織細胞のサイズの増大(肥大)ならびに数の増大(過形成)に関連する。肥満症は、絶対体重、体重:身長比、皮下脂肪の分布、ならびに社会的および美学的規範に関して、種々に測定される。体脂肪の一般的測定値は、体格指数(BMI)である。BMIは、体重(キログラムで表す)対身長の二乗(メートルで表す)の比を指す。体格指数は、次式のいずれかを用いて正確に算定され得る:体重(kg)/身長
2(m
2)(SI)または703×体重(Ib)/身長
2(in
2)(US)。
【0152】
米国疾病予防管理センター(CDC)に従って、過剰体重成人は25kg/m
2〜29.9kg/m
2のBMIを有し、肥満成人は30kg/m
2以上のBMIを有する。40kg/m
2以上のBMIは、病的肥満または極端な肥満を示す。肥満は、さらにまた、男性で約102cm、女性で約88cmの胴囲を有する患者を指す。小児に関しては、過剰体重および肥満の定義は、体脂肪に及ぼす年齢および性別の影響を考慮する。異なる遺伝学的背景を有する患者は、上記の一般的指針とは異なるレベルで「ひまん」とみなされ得る。
【0153】
本発明の化合物は、肥満の二次的結果の危険性を低減するために、例えば左心室肥大の危険性を低減するためにも有用である。肥満の危険がある患者、例えば過剰体重であるが、しかし肥満ではない、例えば約25〜30kg/m
2のBMIを有する患者を処置するための方法も意図される。ある実施形態では、患者はヒトである。
【0154】
BMIは、過剰脂肪が身体の異なる部分に選択的に生じ、脂肪組織の発達は身体のある部分においては、身体の他の部分よりも健康に危険であり得る、という事実を説明しない。例えば、典型的には「リンゴ形」体型に関連づけられる「中心性肥満」は、特に腹部領域における過剰脂肪症、例えば腹部脂肪および内臓脂肪に起因し、典型的には「梨形」体型(特に臀部における過剰脂肪に起因する)に関連する「末梢性肥満」より高い共存症の危険を保有する。胴囲/腰囲比(WHR)の測定値は、中心性肥満の指標として用いられ得る。中心性肥満を示す最小WHRは種々に設定されており、中心性肥満成人は、典型的には、女性で0.85以上、男性で0.9以上のWHRを有する。
【0155】
被験体が、過剰脂肪組織対除脂肪体重の比を説明する過剰体重であるかまたは肥満であるかを決定する方法は、被験体の身体組成を得ることを包含する。身体組成は、身体上の多数の場所、例えば腹部域、肩甲下領域、腕、臀部および大腿部における皮下脂肪の厚みを測定することにより得られる。次いで、これらの測定値を用いて、約4百分率点の許容誤差で、総体脂肪を概算する。別の方法は、生体電気インピーダンス法(BIA)で、これは、身体を通る電流の抵抗を用いて、体脂肪を概算する。別の方法は、身体浮力を測定するための水の大型タンクの使用である。体脂肪増大はより大きい浮力を生じるが、一方、より大きい筋肉質量は沈む傾向を生じる。
【0156】
別の態様において、本発明は、過剰体重または肥満被験体の処置方法であって、被験体における過剰体重または肥満であることと関連づけられる少なくとも1つのバイオマーカーのレベルを決定し、そして被験体における目標レベルを達成するために有効量の開示化合物を投与することを包含する方法を提供する。例示的バイオマーカーとしては、体重、体格指数(BMI)、胴囲/腰囲比(WHR)、血漿アディポカイン、およびその2つ以上の組合せが挙げられる。
【0157】
ある実施形態では、前記の方法のうちの1つ以上により利用される化合物は、本明細書中に記載されるジェネリック、亜ジェネリックまたは具体的化合物、例えば式I、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、IgまたはIIの化合物のうちの1つである。
【0158】
本発明の化合物は、最適薬学的効力を提供する投与量で、このような処置を必要とする患者(動物およびヒト)に投与され得る。任意の特定の用途に用いるために必要とされる用量は、患者毎に変わり、特定の化合物または組成物が選択されるだけでなく、投与経路、処置されている症状の性質、患者の年齢および症状、共存薬剤または患者が従っている特別な食事、ならびに当業者が認識する他の因子も伴っており、適切な投与量は最終的には担当医の判断である、と理解される。上記の臨床的症状および疾患を処置するために、本発明の化合物は、慣用的非毒性の製薬上許容可能な担体、アジュバントおよびビヒクルを含有する投与量単位処方物中で、経口的に、皮下に、局所的に、非経口的に、噴霧吸入により、または直腸的に投与され得る。非経口投与は、皮下注射、静脈内または筋肉内注射または注入技法を包含し得る。
【0159】
処置は、所望に応じて、長くまたは短く継続され得る。組成物は、例えば1日当たり1〜4回またはそれ以上のレジメンで投与され得る。適切な処置期間は、例えば少なくとも約1週間、少なくとも約2週間、少なくとも約1ヶ月、少なくとも約6ヶ月、少なくとも約1年または無期限であり得る。処置期間は、所望の結果が、例えば体重減少目標が達成されると、終結し得る。処置レジメンは、体重の低減を提供するのに十分な用量が投与される矯正期を包含し、その後に、例えば体重増加を防止するのに十分な低用量が投与される維持期が続く。適切な維持用量は、本明細書中で提供される用量範囲のより低い方の部分に見出されるべきであると思われるが、しかし矯正および維持用量は、本明細書中の開示に基づいて、過度の実験を必要とせずに、当業者により個々の被験体に関して容易に確立され得る。食事と運動、肥満学的手法、例えばバイパスまたはバンディング手術、あるいは他の薬理学的作用物質を用いる処置を含めたその他の手段により、その体重が従来制御されてきた被験体における体重を維持するために、維持用量が用いられ得る。
III. 薬学的組成物およびキット
【0160】
本発明の別の態様は、製薬上許容可能な担体と一緒に処方される本明細書中に開示されるような化合物を含む薬学的組成物を提供する。特に、本発明の開示は、1つ以上の製薬上許容可能な担体と一緒に処方される本明細書中に開示されるような化合物を含む薬学的組成物を提供する。これらの処方物としては、経口、直腸、局所、頬、非経口(例えば、皮下、筋肉内、皮膚内または静脈内)、直腸、膣またはエーロゾル投与に適したものが挙げられるが、しかし任意の投与症例における最も適切な投与形態は、処置されている症状の程度および重症度によって、ならびに用いられている特定の化合物の性質によって決まる。例えば、開示組成物は単位用量として処方され得り、および/または経口または皮下投与のために処方され得る。
【0161】
本発明の例示的薬学的組成物は、薬学的調製物の形態で、例えば固体、半固体または液体形態で用いられ、これらは、外用、腸溶性または非経口適用に適した有機または無機担体または賦形剤と混合して、活性成分として本発明の化合物のうちの1つ以上を含有する。活性成分は、例えば錠剤、ペレット、カプセル、坐薬、溶液、乳濁液、懸濁液および使用に適した他の形態のために、通常の非毒性の製薬上許容可能な担体とともに調合され得る。活性対象化合物は、疾患の過程または症状に及ぼす所望の作用を生じるのに十分な量で、薬学的組成物中に含まれる。
【0162】
錠剤のような固体組成物を調製するために、主活性成分は、薬学的担体、例えば慣用的錠剤化成分、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、リン酸二カルシウムまたはゴム、およびその他の薬学的希釈剤、例えば水と混合されて、本発明の化合物またはその非毒性製薬上許容可能な塩の均質混合物を含有する固体前処方組成物を形成し得る。均質としてこれらの前処方組成物に言及する場合、組成物が等しく有効な単位剤形、例えば錠剤、ピルおよびカプセルに容易に細分され得るよう、活性成分が組成物全体に均一に分散される、ということを意味する。
【0163】
経口投与のための固体剤形(カプセル、錠剤、ピル、糖衣錠、粉末、顆粒等)では、対象組成物は、1つ以上の製薬上許容可能な担体、例えばクエン酸ナトリウムまたはリン酸二カルシウム、および/または以下のうちのいずれかと混合される:(1)充填剤または増量剤、例えばデンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトールおよび/またはケイ酸;(2)結合剤、例えばカルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロースおよび/またはアラビアゴム;(3)保湿剤、例えばグリセロール;(4)崩壊剤、例えば寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩および炭酸ナトリウム;(5)溶解遅延剤、例えばパラフィン;(6)吸収促進剤、例えば第四級アンモニウム化合物;(7)湿潤剤、例えばアセチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート;(8)吸収剤、例えばカオリンおよびベントナイト粘土;(9)滑剤、例えばタルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウムおよびその混合物;ならびに(10)着色剤。カプセル、錠剤およびピルの場合には、組成物は、緩衝剤も含み得る。類似の型の固体組成物は、ラクトースまたは乳糖のような賦形剤、ならびに高分子量ポリエチレングリコール等を用いて、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル中の充填剤としても用いられ得る。
【0164】
錠剤は、任意に1つ以上の補助成分を伴って、圧縮または成型により製造され得る。圧縮錠剤は、結合剤(例えば、ゼラチンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース)、滑剤、不活性希釈剤、防腐剤、崩壊剤(例えばデンプングリコール酸ナトリウムまたは架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム)、界面活性剤または分散剤を用いて調製され得る。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた対象組成物の混合物を適切な機械で成型することにより製造され得る。錠剤およびその他の固体剤形、例えば糖衣錠、カプセル、ピルおよび顆粒は、任意に、コーティングおよび外皮、例えば腸溶性コーティングおよび製薬業界で周知の他のコーティングを用いて刻み目を入れられるかまたは調製され得る。
【0165】
吸入または散布のための組成物は、製薬上許容可能な水性または有機溶媒またはその混合物中の溶液および懸濁液、ならびに粉末を包含する。経口投与のための液体剤形としては、製薬上許容可能な乳濁液、マイクロエマルション、溶液、懸濁液、シロップおよびエリキシルが挙げられる。対象組成物のほかに、液体剤形は、当該技術分野で一般に用いられる不活性希釈剤、例えば水またはその他の溶媒、可溶化剤および乳化剤、例えばエチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に、綿実油、落花生油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、ならびにソルビタン、シクロデキストリンおよびその混合物の脂肪酸エステルを含有し得る。
【0166】
懸濁液は、対象組成物のほかに、沈澱防止剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、アルミニウムメタヒドロキシド、ベントナイト、寒天およびトラガカントゴム、ならびにその混合物を含有し得る。
【0167】
直腸または膣投与のための処方物は坐薬として提示され得るが、これは、例えば、ココアバター、ポリエチレングリコール、坐薬蝋またはサリチル酸塩を含む1つ以上の適切な非刺激性賦形剤または担体と対象組成物とを混合することにより調製され得り、これは、室温で固体であるが、しかし体温では液体で、したがって体腔中で融解して、活性作用物質を放出する。
【0168】
対象組成物の経皮投与のための剤形としては、粉末、噴霧剤、軟膏、ペースト、クリーム、ローション、ゲル、溶液、パッチおよび吸入剤が挙げられる。活性構成成分は、滅菌条件下で、製薬上許容可能な担体と、ならびに必要とされ得る任意の防腐剤、緩衝剤または噴射剤と混合され得る。
【0169】
軟膏、ペースト、クリームおよびゲルは、対象組成物のほかに、賦形剤、例えば動物および植物脂肪、油、蝋、パラフィン、デンプン、トラガカントゴム、セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベントナイト、ケイ酸、タルクおよび酸化亜鉛、またはその混合物を含有し得る。
【0170】
粉末剤および噴霧剤は、対象組成物のほかに、賦形剤、例えばラクトース、タルク、ケイ酸、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウムおよびポリアミド粉末、またはこれらの物質の混合物を含有し得る。噴霧剤は、付加的に、通例の噴射剤、例えばクロロフルオロ炭化水素および揮発性非置換炭化水素、例えばブタンおよびプロパンを含有し得る。
【0171】
本発明の組成物および化合物は、代替的には、エーロゾルにより投与され得る。これは、当該化合物を含有する水性エーロゾル、リポソーム調製物または固体粒子を調製することにより成し遂げられる。非水性(例えば、フルオロカーボン噴射剤)懸濁液が用いられ得る。音波ネブライザーは、それらが剪断への作用物質の曝露を最小限にして、これが対象組成物中に含有される当該化合物の分解を生じ得るため、用いられ得る。普通は、水性エーロゾルは、対象組成物の水性溶液または懸濁液を慣用的製薬上許容可能な担体および安定化剤と一緒に処方することにより製造される。担体および安定化剤は、特定の対象組成物の要件に伴って変わるが、しかし典型的には、非イオン性界面活性剤(トゥイーン、プルロニックまたはポリエチレングリコール)、血清アルブミンのような無害タンパク質、ソルビタンエステル、オレイン酸、レシチン、アミノ酸、例えばグリシン、緩衝剤、塩、糖または糖アルコールを含む。エーロゾルは、一般的に、等張溶液から調製される。
【0172】
非経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、対象組成物を、酸化防止剤、緩衝剤、静菌剤、処方物を意図されるレシピエントの血液と等張にさせる溶質、沈澱防止剤または増粘剤を含有し得る、1つ以上の製薬上許容可能な滅菌性等張水性または非水性溶液、分散液、懸濁液または乳濁液、あるいは使用直前に滅菌注射溶液または分散液中に再構成され得る滅菌粉末と組合せて含む。
【0173】
本発明の薬学的組成物中に用いられ得る適切な水性および非水性担体の例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等)、およびその適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、注射用有機エステル、例えばオレイン酸エチルおよびシクロデキストリンが挙げられる。適正流動度は、例えばコーティング物質、例えばレシチンの使用により、分散液の場合には必要な粒子サイズの保持により、そして界面活性剤の使用により、保持され得る。
【0174】
別の態様では、本発明は、開示化合物および腸陽性物質、ならびにその製薬上許容可能な担体または賦形剤を含む腸溶性薬学的処方物を提供する。腸溶性物質は、胃の酸性環境中で実質的に不溶性であり、特定pHで腸液中で主に可溶性であるポリマーを指す。小腸は、胃と大腸との間の消化管(腸)の一部であり、十二指腸、空腸および回腸を含む。十二指腸のpHは約5.5、空調のpHは約6.5、そして遠位回腸のpHは約7.5である。したがって、腸溶性物質は、例えば、約5.0、約5.2、約5.4、約5.6、約5.8、約6.0、約6.2、約6.4、約6.6、約6.8、約7.0、約7.2、約7.4、約7.6、約7.8、約8.0、約8.2、約8.4、約8.6、約8.8、約9.0、約9.2、約9.4、約9.6、約9.8または約10.0のpHまで、可溶性でない。例示的腸溶性物質としては、酢酸フタル酸セルロース(CAP)、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCP)、酢酸フタル酸ポリビニル(PVAP)、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMCAS)、酢酸トリメリット酸セルロース、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸セルロース、酢酸ヘキサヒドロフタル酸セルロース、プロピオン酸フタル酸セルロース、酢酸マレイン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸プロピオン酸セルロース、メチルメタクリル酸およびメチルメタクリレートのコポリマー、メチルアクリレート、メチルメタクリレートおよびメタクリル酸のコポリマー、メチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のコポリマー(Gantrez ESシリーズ)、エチルメタクリレート−メチルメタクリレート−クロロトリメチルアンモニウムエチルアクリレートコポリマー、天然樹脂、例えばゼイン、シェラックおよびコーパル・コロホリウム、ならびにいくつかの市販の腸溶性分散系(例えば、オイドラギット L30D55、オイドラギット FS30D、オイドラギット L100、オイドラギット S100、コリコート EMM30D、エスタクリル 30D、コーテリックおよびアクアテリック)が挙げられる。上記の物質の各々の溶解度は、既知であるかまたはin vitroで容易に確定可能である。前記は考え得る物質の一覧であるが、しかし本開示の利益を有する当業者は、それは包括的ではなく、本発明の目的にかなうその他の腸溶性物質が存在する、と認識する。
【0175】
本発明が、例えば体重減少を必要とする消費者が使用するためのキットも提供することは、有益である。このようなキットは、適切な剤形、例えば上記のもの、ならびに炎症を調整し、低減し、または防止するためのこのような剤形の使用方法を記載する使用説明書を包含する。使用説明書は、消費者または医療従事者が、当業者に既知の投与様式に従って当該剤形を投与するよう指図する。このようなキットは、単一または多数のキット単位で包装され、販売されるのが有益である。このようなキットの一例は、いわゆるブリスター包装である。ブリスター包装は、包装産業において周知であり、薬学的単位剤形(錠剤、カプセル等)の包装のために広範に用いられている。ブリスター包装は、一般的に、好ましくは透明のプラスチック材料の箔で被覆される相対的に堅い物質のシートからなる。包装工程中、プラスチック箔に陥凹部が形成される。陥凹部は、包装されるべき錠剤またはカプセルのサイズおよび形状を有する。次いで、錠剤またはカプセルが陥凹部に置かれて、相対的に堅い物質のシートが、陥凹部が形成された方向と反対側の箔の面で、プラスチック箔に対して密封される。その結果、錠剤またはカプセルは、プラスチック箔とシートの間の陥凹部に密封される。好ましくは、シートの強度は、陥凹部に圧力を手で適用して、それにより陥凹の場所でシートに開口部が形成されることにより、錠剤またはカプセルがブリスター包装から取り出され得るような強度である。次いで、錠剤またはカプセルは、上記開口部を通して取り出され得る。
【0176】
例えば錠剤またはカプセルの隣に番号を付して、それにより、そのように特定される錠剤またはカプセルが摂取されるべきであるレジメンの日にちに番号が対応する、といった形で、キットに記憶補助を提供することが望ましい。このような記憶補助の別の例は、例えば以下のように、カードに印刷されたカレンダーである:「第一週、月、火、・・・等、第二週、月、火、・・・等」。記憶補助の他の変形は、容易に明らかになる。「1日用量」は、所定日に摂取されるべき単一錠剤またはカプセル、あるいはいくつかのピルまたはカプセルであり得る。さらにまた、第一化合物の1日用量は、1つの錠剤またはカプセルからなるが、一方、第二化合物の1日用量は、いくつかの錠剤またはカプセルからなり、この逆もある。記憶補助は、これを反映すべきである。
【0177】
第二活性作用物質を含む方法および組成物、または第二活性作用物質を投与することも、本明細書中で意図される。例えば、過剰体重または肥満であることのほかに、被験体または患者は、過剰体重または肥満症関連共存症、すなわち過剰体重または肥満であることに関連した、それにより悪化される、またはそれにより発生を早められる疾患およびその他の有害健康症状をさらに有し得る。これらの過剰体重または肥満症関連症状を処置することが従来示されている少なくとも1つの他の作用物質と組合せた開示化合物が、本明細書中で意図される。
【0178】
例えば、II型糖尿病は、肥満症と関連づけられている。II型糖尿病のある種の合併症、例えば能力障害および早期死亡は、持続性体重減少により防止され、改善され、または排除され得る(Astrup, A. Pub Health Nutr (2001) 4:499−5 15)。II型糖尿病を処置するために投与される作用物質としては、スルホニル尿素(例えば、クロルプロパミド、グリピジド、グリブリド、グリメピリド);メグリチニド(例えば、レパグリニドおよびナテグリニド);ビグアニド(例えば、メトフォルミン);チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン、トログリタゾンおよびピオグリタゾン);ジペプチジルペプチダーゼ−4阻害薬(例えば、シタグリプチン、ビルダグリプチンおよびサキサグリプチン);グルカゴン様ペプチド−1模倣物(例えば、エキセナチドおよびリラグルチド);ならびにアルファ−グルコシダーゼ阻害薬(例えば、アカルボースおよびミグリトール)が挙げられる。
【0179】
心臓障害および症状、例えば高血圧症、異脂肪血症、虚血性心疾患、心筋症、心筋梗塞、卒中、静脈血栓塞栓性疾患および肺高血圧症は、過剰体重または肥満症と関連づけられている。例えば、過剰脂肪組織は腎臓により作用されて、高血圧を引き起こす物質を分泌するため、高血圧症は肥満症と関連づけられている。付加的には、肥満症に伴って、産生されるインスリンの量は一般的に高く(過剰脂肪組織のため)、この過剰インスリンも血圧を上げる。高血圧症の主な処置選択肢は、体重減少である。高血圧症を処置するために投与される作用物質としては、クロルタリドン;ヒドロクロロチアジド;インダパミド、メトラゾン;ループ利尿薬(例えば、ブメタニド、エタクリン酸、フロセミド、ラシックス、トルセミド);カリウム保持性作用物質(例えば、塩酸アミロリド、ベンザミル、スピロノラクトンおよびトリアムテレン);末梢作用物質(例えば、レセルピン);中心性アルファ−作動薬(例えば、塩酸クロニジン、酢酸グアナベンズ、塩酸グアンファシンおよびメチルドーパ);アルファ遮断薬(例えば、メシル酸ドキサゾシン、塩酸プラゾシンおよび塩酸テラゾシン);ベータ遮断薬(例えば、アセブトロール、アテノロール、ベタキソロール、フマル酸ビソプロロール、塩酸カルテオロール、酒石酸メトプロロール、コハク酸メトプロロール、ナドロール、硫酸ペンブトロール、ピンドロール、塩酸プロプラノロールおよびマレイン酸チモロール);組合せアルファ−およびベータ遮断薬(例えば、カルベジロールおよび塩酸ラベタロール);直接血管拡張薬(例えば、塩酸ヒドララジンおよびミノキシジル);カルシウム拮抗薬(例えば、塩酸ジルチアゼムおよび塩酸ベラパミル);ジヒドロピリジン(例えば、ベシル酸アムロジピン、フェロジピン、イスラジピン、ニカルジピン、ニフェジピンおよびニソルジピン);ACE阻害薬(塩酸ベナゼプリル、カプトプリル、マレイン酸エナラプリル、フォシノプリルナトリウム、リシノプリル、モエキシプリル、塩酸キナプリル、ラミプリル、トランドラプリル);アンギオテンシンII受容体遮断薬(例えば、ロサルタンカリウム、バルサルタンおよびイルベサルタン);レニン阻害薬(例えば、アリスキレン);ならびにその組合せが挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンで、投与量で、投与される。
【0180】
Carr等(The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism (2004) Vol. 89, No. 6 2601−2607)は、過剰体重または肥満であることと異脂肪血症との間の関連を考察している。異脂肪血症は、典型的には、スタチンで処置される。スタチン(HMG−CoAレダクターゼ阻害薬)は、被験体におけるコレステロールの産生を遅くし、および/または動脈からコレステロール蓄積を除去する。スタチンとしては、メバスタチン、ロバスタチン、プラバスタチン、シムバスタチン、ベロスタチン、ジヒドロコンパクチン、フルバスタチン、アトルバスタチン、ダルバスタチン、カルバスタチン、クリルバスタチン、ベバスタチン、セフバスタチン、ロスバスタチン、ピタバスタチンおよびグレンバスタチンが挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投与量で投与される。Eckel (Circulation (1997) 96:3248−3250)は、過剰体重または肥満であることと虚血性心疾患との間の関連を考察している。虚血性心疾患を処置するために投与される作用物質としては、スタチン、硝酸塩(例えば二硝酸イソソルビドおよび一硝酸イソソルビド)、ベータ遮断薬およびカルシウムチャンネル拮抗薬が挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投与量で投与される。
【0181】
Wong等(Nature Clinical Practice Cardiovascular Medicine (2007) 4:436−443)は、過剰体重または肥満であることと心筋症との間の関連を考察している。心筋症を処置するために投与される作用物質としては、変力作用物質(例えばジゴキシン)、利尿薬(例えばフロセミド)、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬(例えば、ソトロール、アミオダロンおよびジソピラミド)、ならびにベータ遮断薬が挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投与量で投与される。Yusef等(Lancet (2005) 366(9497):1640−1649)は、過剰体重または肥満であることと心筋梗塞との間の関連を考察している。心筋梗塞を処置するために投与される作用物質としては、ACE阻害薬、アンギオテンシン II受容体遮断薬、直接血管拡張薬、ベータ遮断薬、抗不整脈薬および血栓溶解薬(例えば、アルテプラーゼ、レタプラーゼ、テネクテプラーゼ、アニストレプラーゼおよびウロキナーゼ)が挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投与量で投与される。
【0182】
Suk等(Stroke (2003) 34:1586−1592)は、過剰体重または肥満であることと卒中との間の関連を考察している。卒中を処置するために投与される作用物質としては、抗血小板薬(例えば、アスピリン、クロピドグレル、ジピリダモールおよびチクロピジン)、抗凝固薬(例えばヘパリン)、ならびに血栓溶解薬が挙げられる。Stein等(The American Journal of Medicine (2005) 18(9):978−980)は、過剰体重または肥満であることと静脈血栓塞栓症との関連を考察している。静脈血栓塞栓症を処置するために投与される作用物質としては、抗血小板薬、抗凝固薬および血栓溶解薬が挙げられる。Sztrymf等(Rev Pneumol Clin (2002) 58(2):104−10)は、過剰体重または肥満であることと肺高血圧症との間の関連を考察している。肺高血圧症を処置するために投与される作用物質としては、変力作用物質、抗凝固薬、利尿薬、カリウム(例えばK−dur)、血管拡張薬(例えば、ニフェジピンおよびジルチアゼム)、ボセンタン、エポプロステノールおよびシルデナフィルが挙げられる。呼吸器障害および症状、例えば肥満低換気症候群、喘息および閉塞性睡眠時無呼吸は、過剰体重または肥満であることと関連づけられている。Elamin (Chest (2004) 125:1972−1974)は、過剰体重または肥満であることと喘息との間の関連を考察している。喘息を処置するために投与される作用物質としては、気管支拡張薬、抗炎症薬、ロイコトリエン遮断薬および抗Ige薬が挙げられる。特定の喘息薬としては、ザフィルルカスト、フルニソリド、トリアムシノロン、ベクロメタゾン、テルブタリン、フルチカゾン、フォルモテロール、ベクロメタゾン、サルメテロール、テオフィリンおよびキソペネックスが挙げられる。
【0183】
Kessler等(Eur Respir J (1996) 9:787−794)は、過剰体重または肥満であることと閉塞性睡眠時無呼吸との間の関連を考察している。睡眠時無呼吸を処置するために投与される作用物質としては、モダフィニルおよびアンフェタミンが挙げられる。
【0184】
肝障害および症状、例えば非アルコール性脂肪性肝疾患は、過剰体重または肥満であることと関連づけられてきた。Tolman等(Ther Clin Risk Manag (2007) 6:1153−1163)は、過剰体重または肥満であることと非アルコール性脂肪性肝疾患との間の関連を考察している。非アルコール性脂肪性肝疾患を処置するために投与される作用物質としては、酸化防止剤(例えば、ビタミンEおよびC)、インスリン感作物質(メトフォルミン、ピオグリタゾン、ロシグリタゾンおよびベタイン)、肝保護薬および脂質低下薬が挙げられる。
【0185】
骨格障害および症状、例えば背部痛および体重支持関節の骨関節炎は、過剰体重または肥満であることと関連づけられてきた。van Saase (J Rheumatol (1988) 15(7):1152−1158)は、過剰体重または肥満であることと体重支持関節の骨関節炎との間の関連を考察している。体重支持関節の骨関節炎を処置するために投与される作用物質としては、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬(例えば、イブプロフェン、エトドラク、オキサプロジン、ナプロキセン、ジクロフェナクおよびナブメトン)、COX−2阻害薬(例えば、セレコキシブ)、ステロイド、サプリメント(例えば、グルコサミンおよび硫酸コンドロイチン)、ならびに人工関節液が挙げられる。
【0186】
代謝障害および症状、例えばプラダー・ウィリー症候群および多嚢胞性卵巣症候群は、過剰体重または肥満であることと関連づけられてきた。Cassidy (Journal of Medical Genetics (1997) 34:917−923)は、過剰体重または肥満であることとプラダー・ウィリー症候群との間の関連を考察している。プラダー・ウィリー症候群を処置するために投与される作用物質としては、ヒト成長ホルモン(HGH)、ソマトロピンおよび体重減少薬(例えば、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミンおよびトパマックス)が挙げられる。
【0187】
Hoeger (Obstetrics and Gynecology Clinics of North America (2001) 28(1):85−97)は、過剰体重または肥満であることと多嚢胞性卵巣症候群との間の関連を考察している。多嚢胞性卵巣症候群を処置するために投与される作用物質としては、インスリン感作物質、合成エストロゲンとプロゲステロンの組合せ、スピロノラクトン、エフロルニチンおよびクロミフェンが挙げられる。生殖障害および症状、例えば性機能不全、勃起機能不全、不妊症、産科学的合併症および胎児異常は、過剰体重または肥満であることと関連づけられてきた。Larsen等(Int J Obes (Lond) (2007) 8:1189−1198)は、過剰体重または肥満であることと性機能不全との間の関連を考察している。Chung等(Eur Urol (1999) 36(1):68−70)は、過剰体重または肥満であることと勃起機能不全との間の関連を考察している。勃起機能不全を処置するために投与される作用物質としては、ホスホジエステラーゼ阻害薬(例えば、タダラフィル、クエン酸シルデナフィルおよびバルデナフィル)、プロスタグランジンE類似体(例えばアルプロスタジル)、アルカロイド(例えばヨヒムビン)およびテストステロンが挙げられる。Pasquali等(Hum Reprod (1997) 1:82−87)は、過剰体重または肥満であることと不妊症との間の関連を考察している。不妊症を処置するために投与される作用物質としては、クロミフェン、クエン酸クロミフェン、ブロモクリプチン、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、GnRH作動薬、GnRH拮抗薬、タモキシフェン/ノルバデクス、ゴナドトロピン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、ヒト閉経期ゴナドトロピン(HmG)、プロゲステロン、組換え型濾胞刺激ホルモン(FSH)、ウロフォリトロピン、ヘパリン、フォリトロピンアルファおよびフォリトロピンベータが挙げられる。
【0188】
Weiss等(American Journal of Obstetrics and Gynecology (2004) 190(4):1091−1097)は、過剰体重または肥満であることと産科学的合併症との間の関連を考察している。産科学的合併症を処置するために投与される作用物質としては、塩酸ブピバカイン、ジノプロストンPGE2、メペリジンHCl、第一鉄・葉酸−500/イベレット(iberet)−葉酸−500、メペリジン、マレイン酸メチルエルゴノビン、ロピバカインHCl、ナルブフィンHCl、オキシモルホンHCl、オキシトシン、ジノプロストン、リトドリン、スコポラミンヒドロブロミド、クエン酸スフェンタニルおよび分娩促進薬が挙げられる。
【0189】
精神医学的障害および症状、例えば体重関連性抑うつおよび不安は、過剰体重または肥満であることと関連づけられてきた。Dixson等(Arch Intern Med (2003) 163:2058−2065)は、過剰体重または肥満であることと抑うつとの間の関連を考察している。抑うつを処置するために投与される作用物質としては、セロトニン再取込み阻害薬(例えば、フルオキセチン、エシタロプラム、シタロプラム、パロキセチン、セルトラリンおよびベンラファキシン);三環式抗うつ薬(例えば、アミトリプチリン、アモキサピン、クロミプラミン、デシプラミン、塩酸ドスレピン、ドキセピン、イミプラミン、イプリンドール、ロフェプラミン、ノルトリプチリン、オピプラモール、プロトリプチリンおよびトリミプラミン);モノアミンオキシダーゼ阻害薬(例えば、イソカルボキサジド、モクロベミド、フェネルジン、トラニルシプロミン、セレギリン、ラサギリン、ニアラミド、イプロニアジド、イプロクロジド、トロキサトン、リネゾリド、ジエノリド・カバピロン・デスメトキシヤンゴニンおよびデキストロアンフェタミン);精神刺激薬(例えば、アンフェタミン、メタンフェタミン、メチルフェニデートおよびアレコリン);抗精神病薬(例えば、ブチロフェノン、フェノチアジン、チオキサンテン、クロザピン、オランザピン、リスペリドン、クエチアピン、ジプラシドン、アミスルプリド、パリペリドン、シンビアックス、テトラベナジンおよびカンナビジオール);ならびに気分安定薬(例えば、炭酸リチウム、バルプロ酸、ジバルプロエクスナトリウム、バルプロ酸ナトリウム、ラモトリジン、カルバマゼピン、ガバペンチン、オキシカルバゼピンおよびトピラメート)が挙げられる。
【0190】
Simon等(Archives of General Psychiatry (2006) 63(7):824−830)は、過剰体重または肥満であることと不安との間の関連を考察している。不安を処置するために投与される作用物質としては、セロトニン再取込み阻害薬、気分安定薬、ベンゾジアゼピン(例えば、アルプラゾラム、クロナゼパム、ジアゼパムおよびロラゼパム)、三環式抗うつ薬、モノアミンオキシダーゼ阻害薬およびベータ遮断薬が挙げられる。
【0191】
本発明の別の態様は、被験体における体重減少を助長し、保持するための方法であって、被験体における体重減少を生じるために有効な量の開示化合物を被験体に投与すること;そして被験体における減少体重を保持するための治療的有効量の異なる体重減少薬を投与することを包含する方法を提供する。体重減少薬としては、セロトニンおよびノルアドレナリン作動性再取込み阻害薬;ノルアドレナリン作動性再取込み阻害薬;選択的セロトニン再取込み阻害薬;ならびに腸リパーゼ阻害薬が挙げられる。特定の体重減少薬としては、オルリスタット、シブトラミン、メタンフェタミン、イオナミン、フェンテルミン、ブプロピオン、ジエチルプロピオン、フェンジメトラジン、ベンズフェテルミン、ブロモクリプチン、ロルカセリン、トピラメート、あるいはグレリン作用を遮断し、ジアシルグリセロールアシルトランスフェラーゼ1(DGAT1)活性を抑制し、ステアロイルCoAデサチュラーゼ1(SCD1)活性を抑制し、神経ペプチドY受容体1機能を抑制し、神経ペプチドY受容体2または4機能を活性化し、もしくはナトリウム−グルコース共輸送体1または2の活性を抑制することにより、食物摂取を調整するよう働く作用物質が挙げられる。これらの化合物は、当該技術分野で既知のレジメンおよび投与量で投与される。
実施例
【0192】
本明細書中に記載される化合物は、本明細書中に含入される教示および当該技術分野で既知の合成手法に基づいて、多数の方法で調製され得る。下記の合成方法の記述において、提示される反応条件、例えば溶媒の選択、反応雰囲気、反応温度、実験および作業手順の持続期間はすべて、別記しない限り、その反応に関して標準の条件であるよう選択され得る、と理解されるべきである。分子の種々の部分に存在する官能基は、提示された試薬および反応と適合すべきである、と有機合成業界の当業者には理解される。反応条件と適合しない置換基は、当業者には明らかであり、したがって、代替方法が示される。実施例に関する出発物質は、市販されているか、あるいは既知の材料から標準方法により容易に調製される。
【0193】
本明細書中で「中間体」として同定される化合物の少なくともいくつかは、本発明の化合物として意図される。
【0194】
実施例化合物に関して三重共鳴5mmプローブを有するVarian Unity Inova (400MHz)分光計を、そして中間体化合物に関してBruker Avance DRX (400MHz)分光計またはBruker Avance DPX (300MHz)分光計を用いて、周囲温度で
1H NMRスペクトルを記録した。テトラメチルシランに関してppmで、化学シフトを表す。以下の略号を用いた:br=広シグナル、s=一重線、d=二重線、dd=双二重線、dt=双三重線、ddd=二重双二重線、t=三重線、td=三重二重線、tdd=三重双二重線、q=四重線、m=多重線。
【0195】
保持時間および関連質量イオンを決定するための質量分光分析(LCMS)実験を、以下の方法を用いて実施した:
【0196】
方法A:ダイオードアレイ検出器を有するHewlett Packard HP1100 LC系と連結したWaters ZMD LC四極子質量分光計で、実験を実施した。分光計は、陽および陰イオンモードで操作する電子噴霧源を有する。Luna 3ミクロン30×4.6mm C18カラムおよび2mL/分流量を用いて、LCを実行した。初期溶媒系は、0.1%蟻酸を含有する95%水(溶媒A)および0.1%蟻酸を含有する5%アセトニトリル(溶媒B)を最初に0.5分間、その後、次の4分間に亘って、5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまでの勾配であった。最終溶媒系を、さらに1分間、一定に保持した。
【0197】
方法B:PDA UV検出器を有するWaters Acquity UPLC系と連結したWaters Micromass ZQ2000四極子質量分光計で、実験を実施した。分光計は、陽および陰イオンモードで操作する電子噴霧源を有する。Acquity BEH 1.7ミクロン C18カラム、Acquity BEH Shield 1.7ミクロンRP18カラムまたはAcquity HSST 1.8ミクロンカラムを用いて、LCを実行した。各カラムは、100×2.1mmの寸法を有し、0.4mL/分の流量で40℃に保持された。初期溶媒系は、0.1%蟻酸を含有する95%水(溶媒A)および0.1%蟻酸を含有する5%アセトニトリル(溶媒B)を最初に0.4分間、その後、次の6分間に亘って、5%溶媒Aおよび95%溶媒Bまでの勾配であった。最終溶媒系を、さらに0.8分間、一定に保持した。
【0198】
Biotage Initiator(商標)を用いてマイクロ波実験を実行したが、これは、単一モード共振器および動的フィールドチューニングを用いる。温度は40〜250℃に達し、圧力は20バールまで到達し得る。照射中に空冷を適用するための設備が存在する。
【0199】
C18逆相カラム(Genesis)(C18)またはC6−フェニルカラム(Phenomenex)(C6−フェニル)(100×22.5mm i.d.、粒子サイズ7ミクロン、230または254nmでUV検出、流量5〜15mL/分)を用いて、100−0から0−100%までの水/アセトニトリルまたは水/メタノール(0.1%蟻酸含有)の勾配で溶離して、分取HPLC精製を実行した。必要な生成物を含有する分画(LCMS分析により同定)をプールして、有機分画を蒸発により取り出し、残りの水性分画を凍結乾燥して、当該生成物を得た。
【0200】
Biotage SP1(商標)フラッシュ精製系(Touch Logic Control(商標)を有する)またはCombiflash Companion(登録商標)(予め包装されたシリカゲルIsolute(登録商標)SPEカートリッジ、Biotage SNAPカートリッジ、またはRedisep(登録商標)Rfカートリッジをそれぞれ有する)を用いて、カラムクロマトグラフィーを要する化合物を、手動でまたは完全自動で精製した。
【0201】
ISISDraw内でAutonom2000を用いて、化合物は命名されている。
【0202】
略号
DCM ジクロロメタン
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMAP 4−ジメチルアミノピリジン
THF テトラヒドロフラン
DMSO ジメチルスルホキシド
TFA トリフルオロ酢酸
DMAW−60 DCM/メタノール/酢酸/水60:18:3:2
DMAW−120 DCM/メタノール/酢酸/水120:15:3:2
実施例1: (R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボン酸
【化11】
【0203】
ジオキサン(9.6mL)および水(2.4mL)中のメチル(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼン−スルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体1、0.640g)および水酸化リチウム・一水和物(0.505g)の混合物に、135℃で45分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物を蟻酸で酸性にして、エタノールおよびトルエンで希釈し、真空濃縮した。残渣をDCM中のメタノール(10%溶液)で粉砕して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜10%の勾配で、メタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体を酢酸エチルで粉砕して、淡黄色固体を得て、これを温酢酸エチルで処理し、温めたまま濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を酢酸エチルで粉砕して、(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エン−1−イル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボン酸(0.299g)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.71 (1H, d), 7.39 (1H, dd), 7.14 (1H, d), 6.86 (1H, td), 6.76 (1H, dd), 6.51 (1H, d), 5.93 (1H, td), 4.41 (1H, dd), 4.15 (1H, br, s), 3.56−3.45 (3H, m), 3.31−3.09 (6H, m), 2.11−1.90 (3H, m), 1.39−1.37 (1H, m), 1.28 (6H, m).
LCMS (Method B) r/t 3.28 (M+H) 504
実施例2: (S)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボン酸
【化12】
【0204】
メチル(S)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体11)から出発して、実施例1と同様に調製した。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.71 (1H, d), 7.39 (1H, dd), 7.13 (1H, d), 6.86 (1H, td), 6.76 (1H, dd), 6.51 (1H, d), 5.93 (1H, ddd), 4.40 (1H, dd), 4.16 (1H, br, s), 3.56−3.44 (3H, m), 3.31−3.08 (6H, m), 2.12−1.89 (3H, m), 1.44−1.32 (1H, m), 1.28 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 3.29 (M+H) 504
実施例3: 7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸
【化13】
【0205】
ジオキサン(2mL)および水(0.5mL)中のメチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体16、0.092g)および水酸化リチウム・一水和物(0.077g)の懸濁液に、135℃で45分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物を蟻酸で酸性にしてpH4とした。エタノールおよびトルエンを付加し、その結果生じた混合物を真空濃縮した。残渣をDCM中のメタノール(10%溶液)で粉砕して、固体を濾し取り、DCMで洗浄した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜8%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体を酢酸エチルで粉砕し、60℃で一晩、真空乾燥して、7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸(0.039g)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.68 (1H, d), 7.54 (1H, br, s), 7.41 (1H, d), 7.18 (1H, d), 6.80 (1H, br, t), 6.74 (1H, dd), 6.67 (1H, s), 6.07 (1H, m), 4.02 (2H, t), 3.70 (2H, br, m), 3.18 (4H, br, q), 2.96 (2H, t), 2.57 (2H, m), 1.27 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 3.42 (M+H) 486
実施例4: 7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸
【化14】
【0206】
ジオキサン(2mL)および水(1mL)中のメチル7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体26、0.075g)および水酸化リチウム・一水和物(0.049g)の混合物に、110℃で20分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物を水で希釈し、蟻酸で酸性にしてpH4〜5とした。その結果生じた固体を水およびエーテルで洗浄し、次に乾燥して、クリーム色粉末を得た。固体をメタノールおよびアセトン中に溶解して、凍結乾燥し、次に、デシケーター中で、40℃で一晩、真空乾燥した。固体をDCMで粉砕し、濾過して、DCM(1mL)およびペンタン(1mL)で洗浄し、次いで、デシケーター中で、40℃で一晩、真空乾燥した。黄色固体を温酢酸エチル中に溶解して、混合物が混濁するまでペンタンを付加した。冷却時に、固体を濾過により収集して、ペンタンで洗浄し、デシケーター中で、40℃で一晩、真空乾燥して、7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール(0.023g)をクリーム色固体として得た。
1H NMR (DMSO−d
6) δ: 7.66 (2H, m), 7.58−7.43 (4H, m), 7.29 (1H, d), 6.46 (1H, s), 4.05 (2H, t), 2.95 (2H, t), 2.53 (2H, m).
LCMS (Method B) r/t 4.41 (M+H) 357
実施例5: 7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸
【化15】
【0207】
ジオキサン(10mL)および水(2.5mL)中のメチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体27、0.311g)および水酸化リチウム・一水和物(0.526g)の混合物に、135℃で45分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物をメタノールで希釈し、蟻酸で酸性にした。混合物を真空濃縮し、残渣をエタノールおよびトルエンで希釈して、再び真空濃縮した。残渣をDCM中のメタノール(20%溶液)で粉砕して、濾過した。濾液を真空濃縮し、残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、0〜20%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体を酢酸エチルで粉砕して、淡黄色固体を得て、これを、分取HPLC(C18)により精製し、5〜70%の勾配でアセトニトリルおよび水の混合物(0.1%蟻酸を含有)で溶離して、7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニル−アミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボン酸(0.090g)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.69 (1H, d), 7.38 (2H, m), 6.84 (1H, t), 6.76 (1H, d), 6.59 (1H, d), 5.95 (1H, m), 3.88 (2H, m), 3.56 (1H, br, s), 3.40−3.04 (9H, m), 1.80 (3H, m), 1.28 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 2.40 (M+H) 488
実施例6および7: 実施例5からのエナンチオマーの分離
【0208】
Chiralpak ICカラム(10mm×250mm、粒子サイズ5ミクロン)を用いて、無水エタノールで溶離して、実施例5からの試料をキラル分離に付した。各分離エナンチオマーを、分取HPLC(C18)によりさらに精製した(5〜98%勾配で、アセトニトリルおよび水の混合物(0.1%アンモニア含有)で溶離)。
実施例6: 第一溶離エナンチオマー(上記キラルカラム上での保持時間23分)
1H NMR (CD
3OD) δ: 7.68 (1H, m), 7.54 (1H, d), 7.33 (1H, d), 7.06 (2H, m), 6.62 (1H, d), 6.10 (1H, dt), 3.91−3.77 (3H, m), 3.35 (1H, m), 3.27−3.09 (8H, m), 1.92−1.77 (3H, m), 1.26 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 2.48 (M+H) 488
実施例7: 第二溶離エナンチオマー(上記キラルカラム上での保持時間35分)
1H NMR (CD
3OD) δ: 7.68 (1H, m), 7.55 (1H, d), 7.33 (1H, d), 7.07 (2H, m), 6.63 (1H, d), 6.15−6.05 (1H, m), 3.94−3.79 (3H, m), 3.35 (1H m), 3.28−3.11 (8H, m), 1.93−1.75 (3H, m), 1.26 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 2.50 (M+H) 488
実施例8: 7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボン酸
【化16】
【0209】
ジオキサン(10mL)および水(2.5mL)中のメチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(中間体31、0.48g)および水酸化リチウム・一水和物(0.526g)の混合物に135℃で合計75分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物をメタノールで希釈し、蟻酸で酸性にして、真空蒸発させた。残渣をDCM中の10%メタノールで粉砕し、濾過した。濾液を真空蒸発させて、残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体をアセトンで粉砕し、濾し取って、7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボン酸(0.14g)を淡黄色固体として得た。
1H NMR (DMSO−d
6) δ: 7.40 (2H, m), 7.19 (2H, m), 7.05 (1H, d), 6.29 (1H, d), 6.18 (1H, m), 3.93 (1H, br, t), 3.69 (1H, br, dd), 3.40−3.00 (8H, m), 2.75 (1H, br, d), 1.95−2.10 (3H, m), 1.82 (1H, m), 1.36 (1H, m), 1.18 (6H, t), 1.06 (1H, m).
LCMS (Method B) r/t 3.50 (M+H) 502.
実施例9: (R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボン酸
【化17】
【0210】
TFA(2mL)およびDCM(2mL)中のtert−ブチル(R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(中間体42、0.017g)の溶液を、室温で30分間放置し、次いで真空濃縮した。残渣をメタノール(15mL)中に溶解し、炭酸カリウム(0.2g)を付加して、混合物を5分間撹拌し、次いで濾過した。濾液を蟻酸で酸性にして、真空濃縮した。残渣をDCM中の20%メタノールで粉砕して、濾過した。濾液を真空濃縮し、残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、0〜20%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体をジエチルエーテルで粉砕し、濾過して、(R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザ−シクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボン酸(0.008g)を薄茶色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 9.2−9.8, (1H, br, s), 7.69 (1H, d), 7.36 (1H, dd), 7.16 (1H, d), 6.84 (1H, dt), 6.75 (1H, dd), 6.61 (1H, d), 5.92 (1H, m), 4.33 (1H, m), 4.24−4.12 (3H, m), 3.75 (1H, q), 3.54 (1H, t), 3.41 (1H, br, m), 3.28 (2H, m), 3.14 (2H, m), 2.69 (1H, m), 1.98 (1H, m), 1.29 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 2.80 (M+H) 490.
実施例10: 6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボン酸
【化18】
【0211】
ジオキサン(10mL)および水(2.5mL)中のメチル6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(中間体53、0.16g)および水酸化リチウム・一水和物(0.526g)の混合物に、135℃で45分間、マイクロ波を照射した。冷却後、混合物をメタノールで希釈して、蟻酸で酸性にして、真空蒸発させた。残渣を、トルエンおよびエタノールの混合物と共沸混合して、残渣をDCM中の20%メタノールで粉砕し、濾過した。濾液を真空蒸発させて、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、DMAW−60で溶離した。その結果生じた固体をHPLC(C18)によりさらに精製して、6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボン酸(0.035g)を得た。
1H NMR (DMSO−d
6) δ: 7.82 (1H, dd), 7.46 (1H, d), 7.30 (1H, d), 7.24 (3H, m), 5.96 (1H, m), 4.14 (2H, t), 3.36 (2H, d), 3.03 (2H, t), 2.55−2.74 (6H, m), 0.94 (6H, t).
LCMS (Method B) r/t 2.54 (M+H) 487.
中間体1: メチル(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化19】
【0212】
ジオキサン(9mL)およびDMSO(0.9mL)中のメチル(R)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体2、0.606g)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、1.01g)の溶液を、脱気し、窒素でパージした後、トリス−(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム(0)(0.057g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.036g)を付加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で1時間、95℃で加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチルで希釈して、水で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮し、残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、0〜10%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル(R)−7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(0.660g)を黄色発泡体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.89 (1H, dd), 7.02 (2H, m), 6.89 (1H, d), 6.77 (1H, d), 6.52 (1H, d), 6.02 (1H, m), 4.45 (1H, dd), 3.73 (3H, s), 3.59−3.43 (2H, m), 3.30−3.09 (4H, m), 2.65 (4H, br, s), 2.15−1.91 (3H, m), 1.47−1.26 (1H, m), 1.04 (6H, br, t).
中間体2: メチル(R)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化20】
【0213】
2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.656g)を、ピリジン(10mL)およびDCM(10mL)中のメチル(R)−7−アミノ−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体6、0.525g)の溶液に付加し、混合物を、室温で一晩撹拌した。混合物を真空濃縮して、残渣を、酢酸エチルと0.5M塩酸溶液の間に分配した。有機層を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜40%の勾配で酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して淡黄色固体を得て、これを、エーテルおよびシクロヘキサン(1:2)で粉砕して、メチル(R)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(0.820g)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.28 (1H, br, s), 7.96 (1H, dd), 7.40 (1H, dd), 7.06−6.99 (2H, m), 6.49 (1H, d), 4.43 (1H, dd), 3.85 (3H, s), 3.53 (1H, tdd), 3.45 (1H, td), 3.26 (1H, t), 3.14 (1H, td), 2.15−2.02 (2H, m), 2.01−1.90 (1H, m), 1.45−1.33 (1H, m).
中間体3: N,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン
【化21】
【0214】
ジエチルアミン(19ml)を、THF(60mL)中の((Z)−3−ブロモプロプ−1−エニル)−トリブチル−スタンナン(中間体4、7.52g)の溶液に付加し、混合物を3時間撹拌した。反応混合物を蒸発乾燥して、残渣を、アセトニトリル中の20%トリエチルアミンで予め洗浄しておいたシリカカラム上でのクロマトグラフィーにより精製した。カラムを、0〜10%の勾配で酢酸エチルとペンタンの混合物で溶離して、N,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(4.75g)を橙色油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 6.59 (1H, dt), 5.97 (1H, dt), 3.08 (2H, dd), 2.53 (4H, q), 1.49 (6H, m), 1.37−1.24 (6H, m), 1.04 (6H, t), 0.92−0.89 (15H, m).
中間体4: ((Z)−3−ブロモプロプ−1−エニル)−トリブチルスタンナン
【化22】
【0215】
DCM(60ml)中のトリフェニルホスフィン(5.32g)の溶液を、DCM(60mL)中の(Z)−3−トリブチルスタンナニルプロプ−2−エン−1−オール(中間体5、6.4g)および四臭化炭素(9.18g)の溶液に付加し、混合物を2.5時間撹拌した。混合物を濃縮して容積を低下させて、ペンタンを付加した。固体を濾過により除去し、濾液を蒸発乾燥した。ペンタンを付加し、固体を再び濾過により除去し、濾液を蒸発乾燥して、((Z)−3−ブロモプロプ−1−エニル)−トリブチルスタンナン(12.14g)を油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 6.71 (1H, dt), 6.11 (1H, d), 3.88 (2H, d), 1.52−1.50 (6H, m), 1.37−1.27 (6H, m), 0.99−0.97 (6H, m), 0.90 (9H, t).
中間体5: (Z)−3−トリブチルスタンナニル−プロプ−2−エン−1−オール
【化23】
【0216】
プロパルギルアルコール(5mL)を、−78℃で、THF(70mL)中の水素化アルミニウムリチウム(THF中1M、 43mL)の溶液に付加した。その結果生じた混合物を室温に温めて、18時間撹拌した。それを、−78℃に再冷却し、ジエチルエーテル(50mL)中のトリ−n−ブチルスズクロリド(8.32mL)の溶液を付加し、混合物を、徐々に室温に温めながら、3時間撹拌した。反応混合物を−5℃に冷却し、水および15%水酸化ナトリウム水溶液の付加によりクエンチして、次に、室温に温めた。酢酸エチルを付加し、混合物を1時間撹拌した。沈殿物をセライトを通して濾過し、濾液を蒸発乾燥した。残渣を、アセトニトリル中の20%トリエチルアミンで予め洗浄しておいたシリカカラム上でのクロマトグラフィーにより精製した。カラムを、0〜10%の勾配で酢酸エチルとペンタンの混合物で溶離して、(Z)−3−トリブチルスタンナニル−プロプ−2−エン−1−オール(5.06g)を透明油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 6.70 (1H, dt), 6.08 (1H, dt), 4.12 (2H, dd), 1.49 (6H, m), 1.31 (6H, m), 0.98−0.84 (15H, m).
中間体6: メチル(R)−7−アミノ−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化24】
【0217】
トルエン(40mL)中のメチル6−アミノ−3−ブロモ−2−((R)−1−ピロリジン−2−イルメトキシ)ベンゾエート(中間体7、1.65g)、酢酸パラジウム(0.281g)、(+/−)−2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(1.56g)および炭酸セシウム(3.26g)の混合物を、窒素雰囲気下で2時間、100℃で加熱した。混合物を冷却し、酢酸エチルと水の間に分配した。有機層を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でクロマトグラフィー処理し、0〜40%の勾配で酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離することにより精製して、メチル(R)−7−アミノ−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(0.528g)を暗色油として得た。
LCMS (Method A) r/t 2.09 (M+H) 249
中間体7: メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−((R)−1−ピロリジン−2−イルメトキシ)ベンゾエート
【化25】
【0218】
TFA(20mL)およびDCM(20mL)中のtert−ブチル(R)−2−[6−ブロモ−3−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシカルボニルフェノキシメチル]ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体8、 3.15g)の溶液を、室温で1時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル中に溶解して、炭酸カリウム水溶液で洗浄した。水性相を酢酸エチルで抽出し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−((R)−1−ピロリジン−2−イルメトキシ)ベンゾエート(1.65g)を無色ゴムとして得た。
LCMS (Method A) r/t 2.12 (M+H) 329/331
中間体8: tert−ブチル(R)−2−[6−ブロモ−3−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシカルボニルフェノキシメチル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【化26】
【0219】
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(1.21g)を、無水THF(25mL)中のメチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート(中間体9、 2.23g)、tert−ブチル(R)−2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボキシレート(1.11g)およびトリフェニルホスフィン(1.57g)の溶液に付加し、反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、一晩放置した。混合物を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、0〜30%の勾配で酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離し、tert−ブチル(R)−2−[6−ブロモ−3−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシカルボニル−フェノキシメチル]ピロリジン−1−カルボキシレート(3.17g)を無色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.61 (1H, br, d), 6.87 (1H, br, d), 4.14 (3H, br, m), 3.87 (3H, br, s), 3.41 (2H, br, m), 2.22 (1H, br, m), 2.02 (2H, br, m), 1.87 (1H, br, m), 1.47 (9H, s), 1.39 (18H, s).
中間体9: メチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート
【化27】
【0220】
メチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−(4−メチルベンゼンスルホニル−オキシ)ベンゾエート(中間体10、 6.2g)を、メタノール(200mL)中に溶解し、1M水酸化ナトリウム水溶液(50mL)を付加した。混合物を、室温で30分間撹拌した。メタノールを真空除去し、残渣を酢酸エチルおよび水で希釈して、酢酸で酸性にした。層を分離して、有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート(4.51g)を砂色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 11.88 (1H, s), 7.71 (1H, d), 6.64 (1H, d), 3.96 (3H, s), 1.39 (18 H, s).
中間体10: メチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−(4−メチル−ベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート
【化28】
【0221】
メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(Comess, et al, US2004 0167128に従って調製、 19.88g)をDCM(390mL)中に溶解し、トリエチルアミン(17.96g)、DMAP(9.86g)および4−メチルベンゼンスルホニルクロリド(15.43g)をそれに付加した。その結果生じた混合物を室温で4時間撹拌し、次いで、水で洗浄し、乾燥(MgSO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、黄色ゴム(48.2g)を得た。ゴムをアセトニトリル(390mL)中に溶解して、DMAP(9.86g)およびジ−tert−ブチルジカルボネート(37.17g)を付加し、その結果生じた混合物を室温で一晩撹拌した。さらに、ジ−tert−ブチルジカルボネート(14.5g)を付加して、混合物を室温でさらに1時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、残渣を酢酸エチル中に溶解して、クエン酸水溶液(10%)、重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、次いで、乾燥(MgSO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮し、残渣を、エーテルおよびシクロヘキサンの混合物(4:1、 100mL)で粉砕し、固体を濾し取った。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜60%の勾配で酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート(43.37g)を淡黄色粉末として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.78 (2H, d), 7.62 (1H, d), 7.33 (2H, d), 7.02 (1H, d), 3.81 (3H, s), 2.47 (3H, s), 1.39 (18H, s).
中間体11: メチル(S)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化29】
【0222】
メチル(S)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体12)から出発して、中間体1と同様の手順で調製した。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.90 (1H, dd), 7.04 (2H, m), 6.90 (1H, d), 6.77 (1H, d), 6.53 (1H, d), 6.04 (1H, m), 4.46 (1H, dd), 3.74 (3H, s), 3.59−3.44 (2H, m), 3.31−3.12 (4H, m), 2.68 (4H, br, m), 2.17−1.94 (3H, m), 1.46−1.28 (1H, m), 1.06 (6H, br, t).
中間体12: メチル(S)−7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化30】
【0223】
メチル(S)−7−アミノ−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート(中間体13)および2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリドから出発して、中間体2と同様の手順で調製した。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.28 (1H, br, s), 7.96 (1H, dd), 7.40 (1H, dd), 7.03 (2H, m), 6.48 (1H, d), 4.43 (1H, dd), 3.85 (3H, s), 3.57−3.39 (2H, m), 3.26 (1H, t), 3.13 (1H, td), 2.14−1.91 (3H, m), 1.46−1.33 (1H, m).
中間体13: メチル(S)−7−アミノ−2,3,3a,4−テトラヒドロ−1H−ベンゾ[b]ピロロ[1,2−d][1,4]オキサジン−6−カルボキシレート
【化31】
【0224】
メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−((S)−1−ピロリジン−2−イルメトキシ)ベンゾエート(中間体14)から出発して、中間体6と同様の手順で調製した。
LCMS (Method A) r/t 2.10 (M+H) 249
中間体14: メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−((S)−1−ピロリジン−2−イルメトキシ)ベンゾエート
【化32】
【0225】
tert−ブチル(S)−2−[6−ブロモ−3−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシカルボニルフェノキシ−メチル]ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体15)から出発して、中間体7と同様の手順で調製した。
LCMS (Method A) r/t 2.02 (M+H) 329/331
中間体15: tert−ブチル(S)−2−[6−ブロモ−3−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−メトキシカルボニルフェノキシメチル]ピロリジン−1−カルボキシレート
【化33】
【0226】
tert−ブチル(R)−2−ヒドロキシメチルピロリジン−1−カルボキシレートおよびメチル3−ブロモ−6−ビス−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ−2−ヒドロキシベンゾエート(中間体9)から出発して、中間体8と同様の手順で調製した。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.60 (1H, br, d), 6.85 (1H, br, d), 4.17−4.07 (3H, br, m), 3.86 (3H, br, s), 3.41 (2H, br, m), 2.21 (1H, br, m), 2.00 (2H, d), 1.87 (1H, br, s), 1.47 (9H, s), 1.38 (18H, s).
中間体16: メチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化34】
【0227】
ジオキサン(2mL)およびDMSO(0.2mL)中のメチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体17、 0.100g)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、 0.172g)の混合物を脱気して、窒素でパージした。トリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(0.009g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.006g)を付加し、反応混合物を、窒素雰囲気下で45分間、95℃で加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルと水の間に分配した。層を分離し、水性層を酢酸エチルで抽出した。併合有機層を乾燥(MgSO
4)し、濾過して、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜7.5%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.097g)を黄色油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.96 (1H, br, s), 8.10 (1H, dd), 7.25 (2H, s), 7.02 (2H, m), 6.93 (1H, d), 6.52 (1H, s), 6.05 (1H, d), 4.05 (2H, t), 3.96 (3H, s), 3.16 (2H, br, m), 3.02 (2H, t), 2.61 (4H, br, m), 1.63 (1H, m), 1.25 (1H, m), 0.98 (6H, m).
中間体17: メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化35】
【0228】
ピリジン(4mL)およびDCM(12mL)中のメチル7−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体18、 0.300g)および2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.427g)の混合物を、室温で30分間撹拌した。その結果生じた混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液(10%)およびブラインで洗浄した。有機層を乾燥(MgSO
4)し、濾過して、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜2%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.350g)を白色発泡体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 11.33 (1H, br, s), 8.23 (1H, dd), 7.38−7.29 (2H, m), 7.23 (1H, d), 7.07 (1H, ddd), 6.55 (1H, d), 4.03 (2H, t), 4.01 (3H, s), 3.03 (2H, t), 2.66−2.55 (2H, m).
中間体18: メチル7−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化36】
【0229】
メタノール(6mL)および水(0.06mL)中のメチル7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体19、 0.160g)および塩化スズ(II)(0.520g)の混合物を、60℃で8時間、加熱した。その結果生じた混合物を冷却し、DCMで希釈して、セライトを通して濾過した。濾液を1M水酸化ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄し、乾燥(MgSO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル7−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.100g)を褐色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.19 (1H, dd), 6.55 (1H, d), 6.47 (1H, d), 5.9−5.4 (2H, br, s), 4.03 (2H, t), 3.96 (3H, s), 3.02 (2H, t), 2.64−2.53 (2H, m).
中間体19: メチル7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化37】
【0230】
水素化ナトリウム(油中60%分散液、 0.096g)を、DMF(12mL)中のメチル2−(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート(中間体20、 0.460g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を、室温で30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.320g)を褐色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.89 (1H, d), 7.28 (1H, dd), 6.36 (1H, m), 4.14 (2H, t), 4.00 (3H, s), 3.10−3.03 (2H, m), 2.68 (2H, m).
中間体20: メチル2−(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート
【化38】
【0231】
塩化メタンスルホニル(0.176g)を、ピリジン(1mL)およびDCM(10mL)中のメチル2−(3−ヒドロキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート(中間体21、 0.360g)の溶液に付加し、反応混合物を、室温で4時間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、クエン酸水溶液(5%)、重炭酸ナトリウム水溶液およびブラインで洗浄して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をトルエン中に溶解し、4回蒸発乾燥して、メチル2−(3−メタンスルホニルオキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート(0.460g)を橙色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.88 (1H, d), 7.41 (1H, dd), 6.46 (1H, s), 4.31 (2H, t), 4.01 (3H, s), 3.05 (3H, s), 2.97 (2H, t), 2.19 (2H, m).
中間体21: メチル2−(3−ヒドロキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート
【化39】
【0232】
メチル5−ニトロ−2−[3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−1H−インドール−4−カルボキシレート(中間体22、 0.650g)を、メタノール(1.25M、18ml)中の塩化水素の溶液中に溶解し、その結果生じた混合物を、室温で1時間、撹拌した。混合物を真空濃縮して、残渣を酢酸エチルと炭酸カリウム水溶液(10%)との間に分配した。水性層を酢酸エチルで抽出し、併合有機層をブラインで洗浄して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル2−(3−ヒドロキシプロピル)−5−ニトロ−1H−インドール−4−カルボキシレート(0.388g)を暗橙色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 9.19 (1H, br, s), 7.89 (1H, d), 7.37 (1H, dd), 6.44 (1H, m), 4.02 (3H, s), 3.81 (2H, m), 2.97 (2H, t), 2.86 (1H, t), 2.00 (2H, m).
中間体22: メチル5−ニトロ−2−[3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−1H−インドール−4−カルボキシレート
【化40】
【0233】
カリウムtert−ブトキシド(0.230g)を、無水N−メチル−2−ピロリドン(18mL)中のメチル3−アセチルアミノ−6−ニトロ−2−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]ベンゾエート(中間体23、 0.70g)の溶液に付加し、反応混合物を70℃で1時間加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水およびブラインで洗浄して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、メチル5−ニトロ−2−[3−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−プロピル]−1H−インドール−4−カルボキシレート(0.530g)を暗橙色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 9.84 (1H, br, s), 7.87 (1H, d), 7.29 (1H, dd), 6.41 (1H, m), 4.60 (1H, m), 4.06−4.00 (1H, m), 4.00 (3H, s), 3.90−3.80 (1H, td), 3.60 (2H, m), 3.00−2.90 (2H, m), 2.11−1.78 (8H, m).
中間体23: メチル3−アセチルアミノ−6−ニトロ−2−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]ベンゾエート
【化41】
【0234】
ジオキサン(144mL)およびDMSO(16mL)中のメチル3−アセチルアミノ−2−ブロモ−6−ニトロベンゾエート(WO2004 063198(Ninkovic等)に従って調製、 7.1g)およびトリブチル−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]−スタンナン(中間体24、 20.5g)の溶液を脱気して、窒素でパージした。トリス−(ジベンジリデンアセトン)−ジパラジウム(1.02g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.650g)を付加し、混合物を50℃Cで30分間加熱した。冷却後、混合物をDCMで希釈し、セライトを通して濾過した。濾液を水およびブラインで洗浄し、乾燥(MgSO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、0〜100%の勾配で酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル3−アセチルアミノ−6−ニトロ−2−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]ベンゾエート(8.75g)を暗色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.65 (1H, d), 8.23 (1H, br, s), 8.12 (1H, d), 4.60 (1H, t), 3.98 (3H, s), 3.95−3.81 (2H, m), 3.57−3.47 (2H, m), 2.68 (2H, t), 2.29 (3H, s), 2.02−1.89 (2H, m), 1.86−1.66 (2H, m), 1.55−1.47 (4H, m).
中間体24: トリブチル−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]−スタンナン
【化42】
【0235】
n−ブチルリチウムの溶液(ヘキサン中2.5M、 22mL)を、−60℃で、THF(60mL)中の2−(ペント−4−イニルオキシ)テトラヒドロピラン(中間体25、 7.70g)の溶液に滴下した。混合物を撹拌して、1時間掛けて15℃に温度を上げさせた。次にそれを−60℃に再冷却して、THF(50mL)中の塩化トリブチルスズ(16.4g)の溶液を30分に亘って滴下した。混合物を撹拌して、1時間掛けて20℃に温度を上げさせた。1M水酸化ナトリウム水溶液(4mL)を注意深く付加して、反応混合物をセライトを通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜100%の勾配で酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、トリブチル−[5−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−ペント−1−イニル]−スタンナン(5.44g)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 4.60 (1H, t), 3.89−3.77 (2H, m), 3.54−3.40 (2H, m), 2.37−2.26 (2H, m), 1.81 (3H, m), 1.55 (10H, m), 1.38 (7H, m), 0.94−0.81 (15H, m).
中間体25: 2−(ペント−4−イニルオキシ)テトラヒドロピラン
【化43】
【0236】
3,4−ジヒドロ−2H−ピラン(5.0g)を、4−ペンチン−1−オール(5.0g)および4−メチルベンゼンスルホン酸(0.512g)の氷冷混合物に滴下した。その結果生じた混合物を、室温で4時間撹拌した。固体重炭酸ナトリウム(1.0g)を付加し、混合物を10分間撹拌し、次に濾過し、ジエチルエーテルで洗浄した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜100%の勾配で酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、2−(ペント−4−イニルオキシ)テトラヒドロピラン(7.72g)を透明油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 4.61 (1H, t), 3.93−3.79 (2H, m), 3.57−3.45 (2H, m), 2.36−2.29 (2H, m), 1.95 (1H, t), 1.89−1.67 (4H, m), 1.64−1.49 (4H, m).
中間体26: メチル7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化44】
【0237】
塩化ベンゼンスルホニル(0.092g)を、DCM(4mL)およびピリジン(1mL)中のメチル7−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体18、 0.100g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を室温で30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液で洗浄し、乾燥(MgSO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮し、次いでトルエン中に溶解して、再び蒸発乾燥した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜2%の勾配でメタノール(2M)中のアンモニアおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体をジエチルエーテルで粉砕して、メチル7−ベンゼンスルホニルアミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.078g)をクリーム色粉末として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.47 (1H, br, s), 7.72 (2H, m), 7.55 (1H, d), 7.42 (1H, m), 7.32 (3H, m), 6.47 (1H, d), 4.07 (2H, t), 3.86 (3H, s), 3.02 (2H, t), 2.62 (2H, m).
中間体27: メチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エン−1−イル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化45】
【0238】
メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体28)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチル−スタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3)から出発して、中間体1と同様の手順で調製した。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.02 (1H, m), 7.17 (1H, d), 7.04 (2H, m), 6.95 (1H, d), 6.58 (1H, d), 6.00 (1H, br, m), 3.87 (1H, br, m), 3.83 (3H, s), 3.41−3.23 (2H, m), 3.20−2.97 (4H, m), 2.52 (4H, br, m), 1.92−1.75 (2H, m), 1.33−1.16 (2H, m), 0.96 (6H, br, t).
中間体28: メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化46】
【0239】
ピリジン(4mL)およびDCM(12mL)中のメチル7−アミノ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体29、 0.400g)および2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.565g)の混合物を、室温で30分間撹拌した。混合物を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム水溶液(10%)およびブラインで洗浄して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜2%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離した。その結果生じた固体を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより再精製し、0〜100%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物(1%トリエチルアミンを含有)で溶離して、黄色固体を得て、これを再び、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、DCMおよびシクロヘキサン(50%)の混合物で、その後、DCM(100%)で溶離した。その結果生じた固体をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、5〜30%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.317g)を黄色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.25 (1H, br, s), 8.13 (1H, dd), 7.38 (1H, m), 7.29 (1H, d), 7.08 (1H, m), 6.56 (1H, d), 3.88 (4H, m), 3.41−3.27 (2H, m), 3.17 (1H, dd), 3.02 (1H, m), 1.92−1.76 (3H, m), 1.26 (1H, m).
中間体29: メチル7−アミノ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化47】
【0240】
メチル7−ニトロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体30、 1.01g)を、窒素雰囲気下でエタノール(38mL)中に溶解した。活性炭素上のパラジウム(10%、 0.100g)を付加し、窒素雰囲気を水素に取り替えた。次に、混合物を、水素雰囲気下で18時間、撹拌した。その結果生じた混合物をセライトを通して濾過し、濾液を真空濃縮して、橙色油(1.41g)を得た。これを、酢酸エチルと1M水酸化ナトリウム水溶液との間に分配した。水性層を酢酸エチルで抽出し、併合有機層を乾燥(MgSO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮して、メチル7−アミノ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(0.818g)を暗橙色油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 6.67 (1H, d), 6.53 (1H, d), 3.95−3.87 (1H, m), 3.86 (3H, s), 3.44−3.32 (2H, m), 3.29−3.19 (1H, m), 3.10−2.98 (1H, m), 1.97−1.86 (1H, m), 1.85−1.73 (2H, m), 1.44−1.30 (1H, m).
中間体30: メチル7−ニトロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート
【化48】
【0241】
メチル7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(中間体19、 1.00g)をTFA(100ml)中に溶解し、ナトリウムトリアセトキシボロヒドリド(8.11g)を付加した。反応混合物を室温で撹拌し、次いでトルエンで希釈して、真空濃縮した。残渣を炭酸カリウム水溶液中に溶解し、酢酸エチルで抽出して、乾燥(MgSO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜2%の勾配で、メタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル7−ニトロ−2,3,9,9a−テトラヒドロ−1H−ピロロ[1,2−a]インドール−8−カルボキシレート(1.66g)を黄色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.06 (1H, d), 7.21 (1H, d), 4.62 (1H, m), 3.96 (3H, s), 3.90 (1H, m), 3.51 (1H, dd), 3.31 (1H, dt), 3.14 (1H, dd), 2.31 (1H, m), 2.18−2.07 (2H, m), 1.70 (1H, m).
中間体31: メチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート
【化49】
【0242】
ジオキサン(12mL)およびDMSO(1.2mL)中のメチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(中間体32、 0.483g)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、 0.804g)の溶液を窒素でパージした後、トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.046g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.029g)を付加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で1時間、95℃で加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配でメタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル7−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(0.480g)を黄色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.88 (1H, dd), 7.00 (3H, m), 6.77 (1H, d), 6.38 (1H, d), 6.01 (1H, m), 3.69 (3H, s), 3.20−3.45 (5H, m), 3.15 (1H, m), 2.59−2.81 (5H, m), 2.20 (3H, m), 1.91 (1H, m), 1.44 (1H, m), 1.2 (1H, m), 1.07 (6H, br, t).
中間体32: メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート
【化50】
【0243】
2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.656g)を、ピリジン(15mL)およびDCM(15mL)中のメチル7−アミノ−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(中間体33、 0.575g)の溶液に付加し、混合物を室温で2時間撹拌した。混合物を真空濃縮し、残渣を、酢酸エチルと水の間に分配して、有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配で、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、淡黄色固体を得て、これを、エーテルとシクロヘキサン(1:1)の混合物で粉砕して、メチル7−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(0.966g)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.94 (1H, dd), 7.70 (1H, br, s), 7.43 (1H, dd), 7.09 (1H, d), 7.04 (1H, dt), 6.33 (1H, d), 3.82 (3H, s), 3.36 (1H, m), 3.29 (1H, t), 3.15 (1H, q), 2.59−2.80 (2H, m), 2.01−2.18 (3H, m), 1.89 (1H, m), 1.19−1.44 (2H, m).
中間体33: メチル7−アミノ−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート
【化51】
【0244】
硫酸(5mL)を、メタノール(50mL)中のメチル7−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(中間体34、 0.820g)の溶液に注意深く付加し、その結果生じた混合物を撹拌して、4時間還流加熱し、次いで4日間室温で放置した。次に混合物をさらに1.5時間還流加熱した。冷却後、溶液を真空蒸発させて、残渣を酢酸エチルと水の間に分配して、20%水酸化ナトリウム水溶液で塩基性にした。有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過して、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜30%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル7−アミノ−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロ−ピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(0.580g)を黄色ゴムとして得た。
LCMS (Method A) r/t 2.11 (M+H) 247
中間体34: メチル7−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート
【化52】
【0245】
トルエン(40mL)中のメチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−(2−ピロリジン−2−イル−エチル)−ベンゾエート(中間体35、 2.05g)、酢酸パラジウム(0.282g)、炭酸セシウム(3.26g)および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(1.557g)の混合物を、撹拌し、窒素下で1時間、100℃で加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜30%の勾配で、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル7−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−1,2,3,3a,4,5−ヘキサヒドロピロロ[1,2−a]キノリン−6−カルボキシレート(0.826g)を淡黄色固体として得た。
LCMS (Method A) r/t 4.01 (M+H) 331
中間体35: メチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−(2−ピロリジン−2−イル−エチル)−ベンゾエート
【化53】
【0246】
トリフルオロ酢酸(15mL)を、DCM(15mL)中のtert−ブチル2−{2−[6−ブロモ−3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体36、 2.54g)の溶液に付加し、混合物を室温で30分間放置した。その結果生じた溶液を真空濃縮して、残渣を、酢酸エチルと炭酸カリウム溶液の間に分配した。有機層を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮して、メチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−(2−ピロリジン−2−イル−エチル)ベンゾエート(2.05g)を白色発泡体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.99 (1H, br, s), 7.99 (1H, d), 7.56 (1H, d), 3.96 (3H, s), 3.48 (1H, m), 3.15−3.32 (2H, m), 2.83 (2H, m), 1.91−2.22 (5H, m), 1.70 (1H, m), 1.29 (9H, s).
中間体36: tert−ブチル2−{2−[6−ブロモ−3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニル−フェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート
【化54】
【0247】
N−ブロモスクシニミド(1.24g)を、アセトニトリル(40mL)中のtert−ブチル2−{2−[3−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体37、 2.74g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を真空濃縮して、残渣を、酢酸エチルと水の間に分配した。有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過して、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配で、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル2−{2−[6−ブロモ−3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート(2.55g)を無色ゴムとして得た。
LCMS (Method A) r/t 4.82 (M−H) 509, 511
中間体37: tert−ブチル2−{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート
【化55】
【0248】
エタノール(100mL)中のtert−ブチル2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニルエチニル]−ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体38、 3.71g)の溶液を、炭素上10%パラジウム(0.50g)で処理し、水素雰囲気下で4時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜20%の勾配で、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル2−{2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニル−フェニル]−エチル}−ピロリジン−1−カルボキシレート(3.21g)を無色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 9.56 (1H, br, d), 8.21 (1H, d), 7.36 (1H, t), 6.98 (1H, m), 3.96 (3H, s), 3.65−3.95 (1H, m), 3.25−3.55 (2H, m), 2.74 (2H, m), 1.73−2.09 (4H, m), 1.52−1.74 (2H, m), 1.42 (9H, s), 1.31 (9H, s).
中間体38: tert−ブチル2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニルフェニルエチニル]−ピロリジン−1−カルボキシレート
【化56】
【0249】
ジメチルホルムアミド(50mL)中のメチル2−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシベンゾエート(中間体39、 3.83g)、tert−ブチル2−トリブチルスタンナニルエチニル−ピロリジン−1−カルボキシレート(中間体41、 5.81g)、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド(0.702g)および塩化リチウム(1.28g)の混合物を、撹拌し、窒素下で1時間、95℃で加熱した。冷却後、混合物を真空濃縮して、残渣を酢酸エチルと水の間に分配した。有機層を水で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮し、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配で、酢酸エチルとシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル2−[3−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−メトキシカルボニル−フェニルエチニル]−ピロリジン−1−カルボキシレート(3.71g)を粘性ゴムとして得た。
LCMS (Method A) /t 4.55 (M−H) 427
中間体39: メチル2−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシベンゾエート
【化57】
【0250】
無水トリフルオロメタンスルホン酸(6.2g)を、DCM(70mL)中のメチル2−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−6−ヒドロキシベンゾエート(中間体40、 5.02g)およびピリジン(3.16g)の氷冷撹拌溶液に滴下し、混合物を1時間撹拌した。その結果生じた溶液を2M塩酸で洗浄し、相分離器を通して濾過して、濾液を真空蒸発させた。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル2−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−6−トリフルオロメタンスルホニルオキシベンゾエート(7.09g)を無色油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.66 (1H, br, s), 8.74 (1H, d), 7.56 (1H, t), 6.98 (1H, d), 4.01 (3H, s), 1.33 (9H, s).
中間体40: メチル2−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−6−ヒドロキシベンゾエート
【化58】
【0251】
塩化トリメチルアセチル(5.57g)を、水(40mL)および酢酸エチル(100mL)の混合物中のメチル2−アミノ−6−ヒドロキシベンゾエート(US2004 0167128(Comess等)に従って調製、 5.15g)および重炭酸ナトリウム(7.76g)の激しく撹拌した混合物に滴下し、混合物を1時間撹拌した。さらに、塩化トリメチルアセチル(5.57g)を付加し、混合物を一晩撹拌した。有機層を分離し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をペンタンで粉砕した。固体を濾過により収集して、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−6−ヒドロキシ−ベンゾエート(4.96g)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.41 (1H, s), 10.31 (1H, br, s), 8.21 (1H, d), 7.40 (1H, t), 6.72 (1H, d), 4.06 (3H, s), 1.34 (9H, s).
中間体41: tert−ブチル2−トリブチルスタンナニルエチニル−ピロリジン−1−カルボキシレート
【化59】
【0252】
n−ブチルリチウム(ヘキサン中1.6M、 12.3mL)を、窒素下で−78℃で、無水THF(80mL)中のtert−ブチル2−エチニルピロリジン−1−カルボキシレート(3.65g)の撹拌溶液に2分間に亘って付加し、次に、混合物を1時間掛けて−30℃に温度を上げさせた。次に、塩化トリブチルスズ(6.41g)を−30℃で滴下し、混合物を−10℃に温度を上げて、飽和重炭酸ナトリウムの付加によりクエンチした。層を分離して、有機層を乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜5%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル2−トリブチルスタンナニルエチニルピロリジン−1−カルボキシレート(5.54g)を無色油として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 4.35−4.6 (1H, br, s), 3.45 (1H, br, s), 3.29 (1H, br, s), 1.93−2.12 (3H, br, m), 1.86 (1H, br, s), 1.49−1.59 (6H, m), 1.48 (9H, s) 1.25−1.40 (6H, m), 0.95 (6H, m), 0.89 (9H, t).
中間体42: tert−ブチル(R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロ−ベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート
【化60】
【0253】
ジオキサン(3mL)およびDMSO(0.3mL)中のtert−ブチル(R)−6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(中間体43、 0.061g)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、 0.096g)の混合物を、窒素でパージして、トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.006g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.004g)を付加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で1.5時間、95℃で加熱した。さらに、N,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、 0.096g)、トリス−(ジベンジリデン−アセトン)ジパラジウム(0)(0.006g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.004g)を付加し、加熱をさらに17時間継続した。冷却後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜20%の勾配で、メタノールおよびDCMの混合物で溶離して、tert−ブチル(R)−6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(0.017g)を薄褐色発泡体として得た。
LCMS (Method A) r/t 2.76 (M+H) 546
中間体43: tert−ブチル(R)−6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート
【化61】
【0254】
2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.091g)を、ピリジン(2mL)およびDCM(2mL)中のtert−ブチル(R)−6−アミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(中間体44、 0.092g)の溶液に付加し、混合物を、室温で1時間、撹拌した。混合物を真空濃縮して、残渣をDCMと1M塩酸の間に分配し、相分離器を通して濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜25%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル(R)−6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ−[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(0.062g)を得た。
LCMS (Method A) r/t 4.31 (M+H) 513, 515
中間体44: tert−ブチル(R)−6−アミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート
【化62】
【0255】
エタノール(20mL)中のtert−ブチル(R)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザ−シクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(中間体45、 0.138g)の溶液を、炭素上の10%パラジウム(0.05g)で処理し、その結果生じた混合物を、水素雰囲気下で30分間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空濃縮して、tert−ブチル(R)−6−アミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(0.092g)を淡黄色固体として得た。
LCMS (Method A) r/t 2.27.
中間体45: tert−ブチル(R)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザ−シクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート
【化63】
【0256】
トルエン(35mL)中のtert−ブチル2−((R)−1−アゼチジン−2−イルメトキシ)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−ベンゾエート(中間体46、 1.46g)、酢酸パラジウム(0.167g)、炭酸セシウム(1.935g)および2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン(0.925g)の混合物を撹拌し、窒素下で4時間、100℃で加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルおよび水で希釈して、セライトを通して濾過した。有機層を分離し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、5〜40%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル(R)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−1,2,2a,3−テトラヒドロ−4−オキサ−8b−アザシクロブタ[a]ナフタレン−5−カルボキシレート(0.141g)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.31 (1H, br, s), 7.56 (1H, br d), 7.29−7.41 (5H, m), 6.73 (1H, br, d), 5.18 (2H, s), 4.34 (1H, dd), 4.24 (2H, br, m), 3.72 (2H, m), 2.73 (2H, m), 1.59 (9H, s).
中間体46: tert−ブチル2−((R)−1−アゼチジン−2−イルメトキシ)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモベンゾエート
【化64】
【0257】
アセトニトリル(20mL)中のtert−ブチル(R)−2−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−ブロモ−2−tert−ブトキシカルボニル−フェノキシメチル)アゼチジン−1−カルボキシレート(carboxylater)(中間体47、 1.74g)および4−メチルベンゼンスルホン酸(0.570g)の溶液を、室温で18時間放置した。さらに、4−メチルベンゼンスルホン酸(0.50g)を付加し、さらに1時間後、さらなる4−メチルベンゼンスルホン酸(0.50g)を付加した。1.5時間後、溶液を酢酸エチルで希釈し、炭酸カリウム溶液で洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をエーテルで粉砕し、濾過し、濾液を真空濃縮して、tert−ブチル2−((R)−1−アゼチジン−2−イルメトキシ)−6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモベンゾエート(1.46g)を無色油として得た。
LCMS (Method A) r/t 2.76 (M−H) 489, 491.
中間体47: tert−ブチル(R)−2−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−ブロモ−2−tert−ブトキシカルボニル−フェノキシメチル)−アゼチジン−1−カルボキシレート
【化65】
【0258】
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.717g)を、無水THF(20mL)中のtert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(中間体48、 1.25g)、tert−ブチル(R)−2−ヒドロキシメチルアゼチジン−1−カルボキシレート(0.665g)およびトリフェニルホスフィン(0.93g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を室温で30分間撹拌した。溶液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜20%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル(R)−2−(3−ベンジルオキシカルボニルアミノ−6−ブロモ−2−tert−ブトキシカルボニルフェノキシメチル)−アゼチジン−1−カルボキシレート(1.74g)を無色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.26 (1H, br, s), 7.79 (1H, d), 7.55 (1H, d), 7.30−7.40 (5H, m), 5.20 (2H, s), 4.52 (1H, m), 4.23 (2H, m), 3.89 (2H, t), 2.29−2.49 (2H, m), 1.61 (9H, s), 1.42 (9H, s).
中間体48: tert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート
【化66】
【0259】
炭酸カリウム(5.39g)を、ジオキサン(30mL)およびメタノール(150mL)中のtert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート(中間体49、 4.5g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を、室温で1時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を真空濃縮した。残渣を酢酸エチルおよび水中に溶解し、酢酸で酸性にした。有機層を分離して、飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニル−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(2.5g)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 11.81 (1H, s), 9.68 (1H, br, s), 7.83 (1H, d), 7.60 (1H, d), 7.30−7.40 (5H, m), 5.20 (2H, s), 1.67 (9H, s).
中間体49: tert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)−ベンゾエート
【化67】
【0260】
ベンジルクロロホルメート(1.705g)を、氷中で冷却しながら、ピリジン(50mL)中のtert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)−ベンゾエート(中間体50、 3.8g)の撹拌溶液に付加した。混合物を1時間撹拌し、さらに、ベンジルクロロホルメート(1.70g)を付加した。混合物をさらに1時間撹拌して、さらにベンジルクロロホルメート(1.70g)を付加した。さらに30分間撹拌後、溶液を真空濃縮して、残渣をDCMおよび1M塩酸中に溶解し、相分離器を通して濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル6−ベンジルオキシカルボニルアミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート(4.91g)を白色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 9.67 (1H, br, s), 8.18 (1H, d), 7.65 (2H, d), 7.31−7.46 (6H, m), 7.29 (2H, d), 5.22 (2H, s), 2.46 (3H, s), 1.68 (9H, s).
中間体50: tert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート
【化68】
【0261】
4−メチルベンゼンスルホニルクロリド(2.26g)を、DCM(40mL)中のtert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(中間体51、 2.85g)、DMAP(1.21g)およびトリエチルアミン(1.5g)の溶液に付加して、室温で1時間放置した。その結果生じた溶液を水で洗浄し、相分離器を通して濾過して、濾液を真空濃縮した。残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−(4−メチルベンゼンスルホニルオキシ)ベンゾエート(3.51g)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 7.68 (2H, d), 7.28 (2H, d), 7.15 (1H, d), 6.47 (1H, d), 3.0−4.6, (2H, br, s), 2.44 (3H, s), 1.66 (9H, s).
中間体51: tert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート
【化69】
【0262】
ジシクロヘキシルカルボジイミド(4.14g)を、tert−ブタノール(20mL)およびTHF(150mL)中の6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシ安息香酸(中間体63、 3.88g)およびDMAP(0.102g)の撹拌溶液に付加した。混合物を、室温で4時間撹拌した。その結果生じた白色沈澱を濾し取り、酢酸エチルで洗浄した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、2.5〜15%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、tert−ブチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(1.16g)を黄色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 11.99 (1H, s), 7.30 (1H, d), 6.06 (1H, d), 5.35 (2H, s), 1.65 (9H, s).
中間体52: 6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシ安息香酸
【化70】
【0263】
メチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシベンゾエート(Wang et al, Bioorg Med Chem Lett, 2007, 17, 2817に従って調製、 5.41g)および水酸化リチウム・一水和物(9.23g)の混合物を、ジオキサン(100mL)および水(100mL)中に懸濁して、80℃で一晩加熱した。次に、温度を、4時間、100℃に上げた。さらに、水酸化リチウム・一水和物(4.61g)を付加し、反応混合物を、さらに1時間、100℃で加熱した。冷却後、混合物を真空濃縮して、残渣を蟻酸で酸性にしてpH3として、酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥(MgSO
4)して、濾過し、濾液を真空濃縮して、6−アミノ−3−ブロモ−2−ヒドロキシ安息香酸(6.22g)を黒色/灰色固体として得た。
1H NMR (DMSO−d
6) δ: 7.24 (1H, d), 6.16 (1H, d).
中間体53: メチル6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート
【化71】
【0264】
ジオキサン(6mL)およびDMSO(0.6mL)中のメチル6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(中間体54、 0.264g)およびN,N−ジエチル−N−((Z)−1−トリブチルスタンナニルプロプ−1−エン−3−イル)−アミン(中間体3、 0.453g)の溶液を、窒素でパージして、次に、トリス−(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(0.046g)およびトリ−tert−ブチルホスホニウムテトラフルオロボレート(0.029g)を付加した。反応混合物を、窒素雰囲気下で2時間、95℃で加熱した。冷却後、混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄して、乾燥(Na
2SO
4)し、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、DMAW−120で溶離して、薄褐色ゴムを得て、これを、さらにシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜30%の勾配で、メタノールおよびDCMの混合物で溶離して、メチル6−[2−((Z)−3−ジエチルアミノプロプ−1−エニル)−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ]−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(0.166g)を無色ゴムとして得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.07 (1H, dd), 7.47 (1H, d), 7.37 (1H, d), 7.03 (1H, dt), 6.93 (2H, m), 6.06 (1H, m), 4.11 (2H, t), 4.00 (3H, s), 3.24 (2H, br, d), 3.14 (2H, t), 2.73 (2H, m), 2.63 (4H, br, q), 0.97 (6H, t).
中間体54: メチル6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート
【化72】
【0265】
2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルクロリド(0.410g)を、ピリジン(10mL)およびDCM(10mL)中のメチル6−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(中間体55、 0.290g)の溶液に付加し、その結果生じた混合物を、室温で24時間撹拌した。混合物を真空濃縮して、残渣を酢酸エチルと水の間に分配した。有機層を分離し、乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、0〜15%の勾配で、メタノールおよびDCMの混合物で溶離して、砂色固体を得て、これをエーテルで粉砕し、濾過して、メチル6−(2−ブロモ−4−フルオロベンゼンスルホニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(0.268g)を得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 8.16 (1H, dd), 7.51 (1H, d), 7.33 (2H, m), 7.05 (1H, dt), 4.09 (2H, t), 4.08 (3H, s), 3.13 (2H, t), 2.71 (2H, m).
中間体55: メチル6−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート
【化73】
【0266】
メタノール(30mL)中のメチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1Hベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(中間体56、 0.61g)および濃硫酸(1.5mL)の溶液を、撹拌し、44時間、還流加熱した。冷却後、溶液を真空濃縮して、残渣を水および酢酸エチル中に溶解し、5M水酸化ナトリウム溶液で塩基性にした。水性相を酢酸エチル(×8)で抽出し、併合抽出物を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をエーテルで粉砕し、濾過して、メチル6−アミノ−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(0.296g)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (DMSO−d
6) δ: 7.37 (1H, d), 6.61 (1H, d), 6.39 (2H, br, s), 4.03 (2H, t), 3.81 (3H, s), 2.90 (2H, t), 2.59 (2H, m).
中間体56: メチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1Hベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート
【化74】
【0267】
酢酸(25mL)中のメチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−ニトロ−3−(2−オキソピロリジン−1−イル)−ベンゾエート(中間体57、 0.89g)および鉄粉末(1.37g)の混合物を、撹拌し、115℃で2.5時間加熱した。冷却後、混合物を真空濃縮して、残渣を酢酸エチルおよび2M水酸化ナトリウム溶液中に溶解し、セライトを通して濾過した。有機相を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、50〜100%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離した。生成物をシリカ上でのクロマトグラフィーにより再精製し、0〜10%の勾配で、メタノールおよび酢酸エチルの混合物で溶離して、メチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2,3−ジヒドロ−1H−ベンゾ[d]ピロロ[1,2−a]イミダゾール−5−カルボキシレート(0.616g)をオフホワイト色固体として得た。
LCMS (Method A) r/t 2.26 (M+H) 316
中間体57: メチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−ニトロ−3−(2−オキソピロリジン−1−イル)−ベンゾエート
【化75】
【0268】
トルエン(15mL)中のN,N’−ジメチルエチレンジアミン(1.72g)の溶液を、メチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−ニトロ−ベンゾエート(中間体58、 1.72g)、ピロリジン−2−オン(0.489g)、ヨウ化銅(I)(0.091g)および炭酸カリウム(1.32g)の混合物に付加し、混合物を撹拌し、窒素下で110℃で5時間、加熱した。冷却後、混合物を水および酢酸エチルで希釈し、有機相を乾燥(Na
2SO
4)して、濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣を、シリカ上でのクロマトグラフィーにより精製し、10〜80%の勾配で、酢酸エチルおよびシクロヘキサンの混合物で溶離して、メチル6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−ニトロ−3−(2−オキソピロリジン−1−イル)−ベンゾエート(0.310g)をオフホワイト色固体として得た。
1H NMR (CDCl
3) δ: 10.25 (1H, br, s), 8.79 (1H, d), 7.44 (1H, d), 3.89 (3H, s), 3.75 (2H, t), 2.50 (2H, t), 2.22 (2H, m), 1.33 (9H, s).
中間体58: メチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニルアミノ)−2−ニトロ−ベンゾエート
【化76】
【0269】
塩化トリメチルアセチル(5.09g)を、ピリジン(40mL)およびDCM(40mL)中のメチル6−アミノ−3−ブロモ−2−ニトロ−ベンゾエート(Brock et al Tertrahedron, 1963, 19, 1911に従って調製、 7.74g)の溶液に付加して、室温で3時間放置した。混合物を真空濃縮して、残渣をDCMおよび1M塩酸中に溶解し、相分離器を通して濾過した。濾液を真空濃縮して、残渣をペンタンで粉砕した。固体を濾過して、メチル3−ブロモ−6−(2,2−ジメチルプロピオニル−アミノ)−2−ニトロベンゾエート(9.17g)を得た。
LCMS (Method A) r/t 4.23 (M−H) 357, 359
生物学的実施例:
【0270】
以下の検定を用いて、組換えヒトMetAP2活性を抑制するその能力に関して、化合物を試験する。
【0271】
内因性活性部位陽イオンを除去するためのアフィニティー精製およびEDTA処理により追跡調査されるSf9細胞で発現されるヒト組換えMetAP2を、MnCl
2に対して透析して、検定で用いられるマンガン酵素を生成した。精製MetAP2の希釈液を用いて、0.75mMメチオニン−アラニン−セリン(MAS)基質および50μg/mlのアミノ酸オキシダーゼの存在下で、100mM NaCl、pH7.5を含有する50mM HEPES緩衝液中で、25℃で30分間、検定を実行した(3倍シグナル:ノイズを生じる)。酸化ステップ中に放出されるH
2O
2を検出するホースラディッシュペルオキシダーゼと組合せて、Amplexレッド(10−アセチル−3,7−ジヒドロキシフェノキサジン)により生成される蛍光を用いて、MetAP2による基質の切断およびアミノ酸オキシダーゼによる遊離メチオニンの酸化を検定し、定量した。マルチウェル蛍光光度計を用いて、蛍光シグナルを検出した。化合物をDMSO中に希釈した後、検定緩衝液に付加し、検定における最終DMSO濃度は1%となった。
【0272】
IC
50は、所定の化合物が対照の50%抑制を達成する濃度と定義される。XLfitソフトウェアパッケージ(バージョン2.0.5)を用いて、IC
50値を算定する。
【0273】
本発明の化合物は、以下の表に示すように、この実施例の検定における活性を実証した(ここで、AはIC
50<0.05μMを表し、Bは0.05μM〜0.5μMのIC
50を表し、Cは、IC
50>0.5μMを表す)。
【表1】
参照による援用
【0274】
本明細書中で記述される出版物および特許はすべて、以下で列挙される事項も含めて、各々の個々の出版物または特許が参照により具体的におよび独立して参照により援用されるように、すべての目的のためにその記載内容が参照により本明細書で援用される。相容れない場合は、本出願が、本明細書中の任意の定義を含めて、統制する。
等価物
【0275】
本発明の具体的実施形態を考察してきたが、上記明細書は例証であって、本発明を限定するものではない。本発明の多数の変更は、この明細書を再検討すれば、当業者には明らかになる。本発明の全範囲は、特許請求の範囲(その等価物の全範囲とともに)、および明細書(このような変更とともに)を参照することにより確定されるべきである。
【0276】
別記しない限り、明細書および特許請求の範囲で用いられる成分、反応条件等の量を表す数値はすべて、「約」という用語によりすべての場合に修飾されていると理解されるべきものである。したがって、そうでないことが示されない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲で記述される数的パラメーターは、本発明により得られるよう求められる所望の特性によって変わり得る近似値である。